JP5829675B2 - シャフトの軸方向運動を検出する装置 - Google Patents

Description

本発明は、請求項１の前文に記載されるように、シャフトの軸方向運動を検出する装置に関する。その装置は、互いに滑り接触するように配置される２つの部品を含む。シャフトは、それらの部品のうちの１つに取り付けられ、それらの部品のうちの１つの表面は、導電性材料で作られる。

回転するシャフトが半径方向荷重及び軸方向荷重の双方を受ける様々な応用が存在する。軸力は、装置の通常運転状態の際には一方向にのみ作用するが、異常運転状態では、通常の方向とは正反対の方向に作用する軸力が生じる場合がよくある。実際には、両方向の軸方向荷重を支えるように設計される軸受には常にいくらかの軸方向の隙間が存在するためである。また、軸力の方向が変化する場合にはシャフトの軸方向運動が存在する。いくつかの応用では、これを容認できるが、いくつかのケースでは、シャフトのその動きは、望ましくない運転状態の兆候となり得る。それ故に、シャフトの軸方向運動を検出するために使用され得る簡単な構成に対するニーズが存在する。例えば、内燃機関用のターボチャージャーにおいて、シャフトの軸方向運動は、そのターボチャージャーを損傷し得るプレサージ及びサージの兆候を示し得る。

本発明の目的は、シャフトの軸方向運動を検出するための、単純で且つ信頼性の高い構成を提供することである。

本発明による構成の特徴は、請求項１の特徴部分に記載される。

本発明によると、シャフトの軸方向運動を検出する構成は、第１部品及び第２部品を有し、第２部品は、導電性材料でできた表面を有し、その導電性の表面は、第１部品と滑り接触可能であり、且つ、それから離れることが可能であり、シャフトは、第１部品又は第２部品に取り付け可能である。その構成は、第１部品のところに配置されるセンサをさらに有する。そのセンサは、少なくとも部分的には導電性材料で作られ、第１領域及び第２領域を有する。第１領域は、第２部品の導電性の表面に電気的に接続される。第２領域は、閉じた電気回路が形成されるよう第１部品と第２部品とが互いに滑り接触する場合に、第２部品の導電性の表面と電気的に接触する。第１部品と第２部品とが互いに離れている場合、第２領域は、開いた電気回路が形成されるよう、第２部品の導電性の表面から離れている。また、その構成は、電気回路の開閉を検出する手段を有する。

シャフトの通常運転状態の際、それら２つの部品は、互いに接触していてもよく、或いは、互いに離れていてもよい。異常運転状態は、電気回路が開かれ或いは閉じられるようにシャフトを動かす。その回路の開閉が検出され、このことは、シャフトの運動の兆候を示す。本発明にしたがった構成により、シャフトの軸方向運動は、容易に検出され得る。その構成が使用される応用に応じて、この情報は、異なる目的のために使用され得る。例えば、その構成が用いられる装置が自動的に止められ、その速度が低減され、或いは、他の運転パラメータが調整され得る。

本発明の実施例によると、電気回路の開閉を検出する手段は、センサと第２部品の表面との間の抵抗を測定する手段を含む。その手段は、例えば、オーム計であってもよい。抵抗測定は、電気回路の開閉を検出するための単純な手段である。

本発明の別の実施例によると、第２部品は、シャフトの周りに配置され得るスラストカラーである。これは、スラストカラーを支える荷重担持部にセンサが配置されることを意味する。センサが荷重担持部に配置される場合、そのセンサを取り付けるための別の部品が必要とされることはない。

本発明の別の実施例によると、シャフトの軸方向運動を検出する構成は、第２荷重担持部及び第２スラストカラーを含み、第２スラストカラーは、導電性材料でできた表面を有し、その導電性の表面は、第２荷重担持部と滑り接触させられ得る。また、その構成は、第２荷重担持部に配置される第２センサを含む。第２荷重担持部は、第１荷重担持部によって担持される軸力とは正反対の軸力を担持するよう配置され、第２センサは、少なくとも部分的には導電性材料で作られ、第１領域及び第２領域を含み、第１領域は、第２スラストカラーの導電性の表面に電気的に接続される。第２領域は、閉じた電気回路が形成されるように第２荷重担持部及び第２スラストカラーが互いに滑り接触する場合に、第２スラストカラーの導電性の表面と電気的に接触する。第２荷重担持部及び第２スラストカラーが互いに離れている場合、第２領域は、開いた電気回路が形成されるように第２スラストカラーの導電性の表面から離れている。その構成は、その電気回路の開閉を検出する手段をさらに有する。

第２スラストカラーに配置される第２センサを用いて、シャフトの運転状態に関するより多くの情報が取得され得る。通常運転状態の際に軸方向荷重が第１荷重担持部によって担持され、且つ、第２荷重担持部と第２スラストカラーとの間に隙間がある場合、軸力の方向の変化は、最初に、第１スラストカラーに接続される電気回路の開状態として検出され、その後、第２スラストカラーに接続される電気回路の閉状態として検出される。

本発明の別の実施例によると、その構成は、ターボチャージャーにおいて、プレサージ又はサージを検出するために用いられる。その構成は、プレサージ又はサージの早期検出を可能にし、ターボチャージャーへの損傷を防止し得る。

本発明の他の実施例の特徴は、従属項で定められる。

内燃機関のためのターボチャージャーの断面図を示す。 図１のターボチャージャーにおけるスラストカラー構成をより詳細に示す。 図１のスラストカラー構成に関連するセンサ構成を示す。

これより、本発明のいくつかの実施例を添付図面を参照して説明する。

図１〜図３は、本発明の実施例を示し、その構成は、内燃機関のためのターボチャージャー１０のシャフト９の軸方向運動を検出するために用いられる。ターボチャージャー１０が通常運転状態の下で動作する場合、シャフト９の軸方向荷重は、スラストカラー２によって担持される。スラストカラー２は、座面１ａを有する荷重担持部１に対して回転するよう配置される。スラストカラーは、導電性材料でできた表面２ａを有する。スラストカラー２及びその表面２ａは、例えば、金属又は合金といった同じ材料で作られ得る。或いは、スラストカラー２は、導電性材料でコーティングされてもよい。スラストカラー２の外面全体が導電性材料で作られる必要はなく、座面１ａと接触する表面２ａが導電性であれば十分である。荷重担持部１は、金属又は合金等の、軸受で使用され得る任意の適切な材料で作られる。座面１ａは、荷重担持部１の本体と同じ材料で作られてもよく、異なる材料で作られてもよい。例えば、荷重担持部１の本体がスチールで作られ、一方で、座面１ａが、銅基合金又はホワイトメタル等の低摩擦係数を有する材料で作られてもよい。

シャフト９の運動を検出するために、センサ３が荷重担持部１に配置されている。図２に示され、図３でより詳細に示されるセンサ３は、３つの部品を有する。そのセンサは、導電性材料で作られるセンサコア３ａを有する。センサコア３ａの材料は、金属又は合金であってもよいが、何らかのポリマー等の他の導電性の固体材料が用いられてもよい。非導電性材料で作られる絶縁層３ｂは、センサコア３ａの周りに配置されている。絶縁層３ｂは、例えば、何らかの非導電性ポリマーで作られ得る。センサコア３ａ及び絶縁層３ｂは、センサ３を荷重担持部１に固定するために用いられるセンサボディ３ｃの内側にある。絶縁層３ｂ及びセンサボディ３ｃは、必ずしも、センサ３の不可欠の部品ではない。荷重担持部１が非導電性材料で作られる場合、センサコア３ａを荷重担持部１から絶縁する必要はない。また、荷重担持部１に直接固定するのに適切な機械的特性を有する材料でセンサコア３ａが作られる場合、センサボディ３ｃを有する必要はない。これは、センサコア３ａがセンサ３全体を形成し得ることを意味する。また、絶縁層３ｂ及びセンサボディ３ｃは、同じ部品であってもよい。センサボディ３ｃが非導電性材料で作られる場合、それは、絶縁層３ｂとしてもセンサボディ３ｃとしても機能し得る。センサ３が絶縁層３ｂを有する場合、且つ／或いは、荷重担持部１が非導電性材料で作られる場合、センサボディ３ｃは、導電性材料で作られてもよい。

センサ３の第１端部には、導体４を通じてスラストカラー２の導電性の表面２ａに電気的に接続される第１領域３ｄが提供される。第１領域３ｄは、絶縁層３ｂで覆われる。しかしながら、導体４がスラストカラー２に接続される必要はない点に留意すべきである。その構造物の他の何らかの部品がスラストカラー２に電気的に接続されているのであれば、導体４がその部品に接続されてもよい。例えば、その構成が用いられる構造物のフレームが導電性材料で作られており、電流がそのフレームからスラストカラー２に流れることができるのであれば、導体４は、そのフレームに取り付けられてもよい。センサ３の第２端部には、スラストカラー２の導電性の表面２ａと電気的に接触する第２領域３ｅが提供される。また、スラストカラー２は、グラウンドにも接続される。センサコア３ａが導電性材料で作られるため、荷重担持部１及びスラストカラー２が互いに滑り接触している場合、閉じた電気回路が形成される。その電気回路は、センサ３とスラストカラー２の表面２ａとの間の抵抗を測定するオーム計５を備える。

第２領域３ｅとスラストカラー２の表面２ａとの間で直接的な機械的接触を有する必要はない。潤滑油の薄い層が存在し、それ故に、第２領域３ｅとスラストカラー２の表面２ａとの間に狭い隙間が存在してもよく、また、それにもかかわらず、それらの部品は互いに電気的に接触している。その潤滑油は、導電性であってもよく、或いは、一方の部品から他方の部品へ電流が流れるようにその隙間を極めて狭いものとしてもよい。

ターボチャージャー１０が異常運転状態に遭遇した場合、シャフト９が動き、スラストカラー２と荷重担持部１との間に隙間が形成されるという状況を引き起こし得る。それら２つの部品の間に隙間が形成された場合には、センサ３の第２領域３ｅも、スラストカラー２の導電性の表面２ａから離される。これは、センサ３とスラストカラー２との間の抵抗の増加として検出される。また、電気回路の開状態を検出するためにオーム計５以外の他の手段が使用され得ることを当業者は理解するであろう。例えば、その電気回路は、電源及び電流計を備えていてもよい。そして、電流計は、その電気回路の電流を測定し、電流の低下としてその回路の開状態を検出する。

本発明の実施例では、ターボチャージャー１０において、プレサージ又はサージを検出するために、シャフト９の軸方向運動を検出するための構成が用いられる。ターボチャージャー１０は、シャフト９、第１スラストカラー２、第２スラストカラー８、第１センサ３、及び第２センサ６を有する。明確化のため、図２では、センサコア、絶縁層、及びセンサボディが示されず、また、図２及び図３の電気回路は、概略的に示されるのみである。センサ３、６は、図１には示されていない。センサ３、６は、一部品で作られてもよく、或いは、それらは、絶縁層及びセンサボディを有していてもよい。

センサ３、６の双方は、センサ３、６の第１端部のところに第１領域３ｄ、６ｄを有し、また、センサ３、６の第２端部のところに第２領域３ｅ、６ｅを有する。第１スラストカラー２は、第１荷重担持部１の座面１ａに対して回転する。第２座面７ａを有する第２荷重担持部７は、第２スラストカラー８が第２座面７ａに対して回転できるように配置される。しかしながら、通常運転状態の下では、第２スラストカラー８と第２荷重担持部７との間には隙間が存在する。座面１ａ、７ａと接触し得るスラストカラー２、８の表面における部分は、導電性材料で作られる。

第１センサ３及び第２センサ６は、それぞれ、第１領域３ｄ、６ｄから、導体４、１４を通じて、第１スラストカラー２及び第２スラストカラー８の導電性の表面２ａ、８ａに電気的に接続される。また、それらの電気回路は、それら回路の開閉を検出できるオーム計５、１３を備える。或いは、電流計又は他の何らかの手段がそれら電気回路の開閉を検出するために使用されてもよい。

ターボチャージャー１０の通常運転状態の下では、シャフト９における軸方向荷重は、ターボチャージャー１０のコンプレッサ側１１を向いている。そのため、その軸方向荷重は、第１荷重担持部１によって担持され、その座面１ａは、第１スラストカラー２と滑り接触している。その結果、第１センサ３の第２領域３ｅもまた第１スラストカラー２の表面２ａと接触し、また、第１センサ３が配置される電気回路は閉状態にある。ターボチャージャー１０がプレサージに遭遇した場合、通常の軸力とは正反対の軸力がシャフト９に影響を及ぼし、ターボチャージャー１０のタービン側１２の方にシャフト９を動かそうとする。その力が十分に大きい場合、第１スラストカラー２及び第１荷重担持部１が互いに離れるように、シャフト９は、ターボチャージャー１０のタービン側１２の方に動く。また、このことは、第１センサ３と第１スラストカラー２との間の電気的接触を切る。その結果、電気回路が開かれ、また、このことは、センサ３と第１スラストカラー２との間の抵抗の増加として検出される。

プレサージによってもたらされる力が十分に大きい場合、或いは、ターボチャージャー１０がサージに遭遇した場合、シャフト９は、第２スラストカラー８と第２荷重担持部７との間の接触が形成されるような距離だけ移動する。また、これは、第２センサ６の第２領域６ｅが第２スラストカラー８と接触して第２電気回路が閉じられることを意味する。このことは、第２センサ６と第２スラストカラー８との間の抵抗の減少として検出される。

シャフト９の回転速度は、ターボチャージャー１０の運転状態に関する追加的な情報を与えるために測定され得る。その回転速度に関する情報が、シャフト９の軸方向運動に関する情報と組み合わされると、ターボチャージャー１０の運転状態のより正確な見通しが得られ、プレサージ又はサージが検出された場合には、修正措置が適切に取られ得る。プレサージ又はサージの状況を終わらせるために採用され得る実現可能な動作は、ターボチャージャー１０のコンプレッサを通る流れを増加させること、又は、チャージ圧を低下させることを含む。

添付の請求項の範囲内で、本発明の多くの変形が可能である。例えば、第１部品がスラストカラーであってもよく、それ故に、センサがそのスラストカラーに配置されてもよい。また、第１部品及び第２部品が軸受の一部ではなく、シャフトの軸方向運動を検出するためのみに用いられる独立した部品であってもよい。例えば、第１部品又は第２部品は、シャフトの周りに配置されるスリーブであってもよく、静止している他方の部品と接触させられてもよい。図ではセンサが細長い物体として提示されているが、他の多くの形状も実現可能である。例えば、センサは、金属又は他の何らかの適切な材料で作られたプレートであってもよい。また、その構成は、ターボチャージャー以外の他の多くの応用で用いられてもよい。例えば、プロペラキャビテーションを検出するために、船のプロペラシャフトに関連して使用されてもよい。また、内燃機関におけるクランクシャフトの軸方向運動を検出するために用いられてもよい。

Claims (7)

1. 第１部品及び第２部品を有する、異常運転状態におけるシャフトの軸方向運動を検出するための装置であって、
   前記第２部品は、導電性材料でできた導電性の表面を有し、
   前記導電性の表面は、通常運転状態において前記第１部品と滑り接触することが可能であり、且つ、前記異常運転状態において前記第１部品から離れることが可能であり、
   前記シャフトは、前記第１部品又は前記第２部品に取り付け可能であり、
   センサが、前記第１部品に配置され、
   前記センサは、少なくとも部分的には導電性材料で作られ、第１領域及び第２領域を有し、
   前記第１領域は、前記第２部品の前記導電性の表面に電気的に接続され、
   前記第２領域は、閉じた電気回路が形成されるよう、前記通常運転状態において前記第１部品と前記第２部品とが互いに滑り接触している場合に前記第２部品の前記導電性の表面と電気的に接触し、
   また、前記第２領域は、開いた前記電気回路が形成されるよう、前記異常運転状態において前記第１部品と前記第２部品とが互いに離れている場合に、前記第２部品の前記導電性の表面から離れ、
   当該装置はさらに、前記電気回路の開閉を検出する手段を有し、
   前記第１部品は、荷重担持部であり、前記第２部品は、前記シャフトの周りに配置され且つ前記荷重担持部と滑り接触し得るスラストカラーである、
   装置。
2. 前記電気回路の開閉を検出する手段は、前記センサと前記第２部品の表面との間の抵抗を測定する手段を含む、
   請求項１に記載の装置。
3. 前記センサは、導電性のセンサコア、及び、前記センサコアの周りに配置される絶縁層を有する、
   請求項１又は２に記載の装置。
4. 前記絶縁層はまた、前記センサの第１端部のところで前記第１領域を覆う、
   請求項３に記載の装置。
5. 前記センサコア及び前記絶縁層は、センサボディの内側に配置される、
   請求項３又は４に記載の装置。
6. 当該装置は、第２荷重担持部及び第２スラストカラーを有し、
   前記第２スラストカラーは、導電性材料でできた導電性の表面を有し、
   前記第２スラストカラーの前記導電性の表面は、前記異常運転状態において前記第２荷重担持部と滑り接触することが可能であり、且つ、前記通常運転状態において前記第２荷重担持部から離れることが可能であり、
   当該装置はさらに、前記第２荷重担持部に配置される第２センサを有し、
   前記第２荷重担持部は、前記荷重担持部によって担持される軸力とは反対の軸力を担持するよう配置され、
   前記第２センサは、少なくとも部分的には導電性材料で作られ、第１領域及び第２領域を有し、
   前記第２センサの前記第１領域は、前記第２スラストカラーの前記導電性の表面に電気的に接続され、
   前記第２センサの前記第２領域は、閉じた第２電気回路が形成されるよう、前記異常運転状態において前記第２荷重担持部と前記第２スラストカラーとが互いに滑り接触している場合に前記第２スラストカラーの前記導電性の表面と電気的に接触し、
   また、前記第２センサの前記第２領域は、開いた前記第２電気回路が形成されるよう、前記通常運転状態において前記第２荷重担持部と前記第２スラストカラーとが互いに離れている場合に、前記第２スラストカラーの前記導電性の表面から離れ、
   当該装置はさらに、前記第２電気回路の開閉を検出する手段を有する、
   請求項１乃至５の何れか一項に記載の装置。
7. 当該装置は、ターボチャージャーにおいて、プレサージ又はサージを検出するために用いられる、
   請求項１乃至６の何れか一項に記載の装置。

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