JP5828366B2 - 複フッ化物蛍光体の製造方法 - Google Patents
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しかし、更に耐湿性を向上させる有利な方法が望まれる。
なお、本発明に関連する先行技術文献は、上記文献に加えて下記の文献が挙げられる。
〔1〕 下記式(1)
A2MF6:Mn (1)
(式中、MはSi、Ti、Zr、Hf、Ge及びSnから選ばれる1種又は2種以上の4価元素、AはLi、Na、K、Rb及びCsから選ばれ、かつ少なくともNa及び/又はKを含む1種又は2種以上のアルカリ金属である。)
で表されるMn賦活複フッ化物である赤色蛍光体を製造する方法であって、反応原料として下記式(2)
A2MF6 (2)
(式中、MはSi、Ti、Zr、Hf、Ge及びSnから選ばれる1種又は2種以上の4価元素である。AはLi、Na、K、Rb及びCsから選ばれ、かつ少なくともNa及び/又はKを含む1種又は2種以上のアルカリ金属である。)
で表される複フッ化物の固体と、下記式(3)
A2MnF6 (3)
(式中、AはLi、Na、K、Rb及びCsから選ばれ、かつ少なくともNa及び/又はKを含む1種又は2種以上のアルカリ金属である。)
で表されるマンガン化合物の固体とを混合し、更に、上記混合物に、アルカリ金属の硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩又はフッ化物を、下記式(4)
A1F・nHF (4)
(式中、A1はNa、K、Rb及びNH4から選ばれる、1種又は2種以上のアルカリ金属又はアンモニウムであり、nは0.7以上4以下の数である。)
で表されるフッ化水素塩と共に固体で混合して、100℃以上500℃以下で加熱することを特徴とするMn賦活複フッ化物蛍光体の製造方法。
〔2〕 反応原料をセラミックス容器、又は反応物と接する部分がフッ素樹脂にて形成された反応容器内で加熱反応させることを特徴とする〔1〕記載のMn賦活複フッ化物蛍光体の製造方法。
〔3〕 反応原料を反応物と接する部分がフッ素樹脂にて形成された反応容器内で、100℃以上270℃以下で加熱反応させることを特徴とする〔1〕記載のMn賦活複フッ化物蛍光体の製造方法。
〔4〕 加熱によって得られた反応混合物を、無機酸溶液又はフッ化塩溶液で洗浄して不要成分を除去したのち、固液分離し、固形分を乾燥することを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のMn賦活複フッ化物蛍光体の製造方法。
更に、本発明は、下記の複フッ化物蛍光体の製造方法及び処理方法が関連する。
〔5〕 下記式(1)
A2MF6:Mn (1)
(式中、MはSi、Ti、Zr、Hf、Ge及びSnから選ばれる1種又は2種以上の4価元素、AはLi、Na、K、Rb及びCsから選ばれ、かつ少なくともNa及び/又はKを含む1種又は2種以上のアルカリ金属である。)
で表されるMn賦活複フッ化物である赤色蛍光体を製造する方法であって、反応原料として下記式(2)
A2MF6 (2)
(式中、MはSi、Ti、Zr、Hf、Ge及びSnから選ばれる1種又は2種以上の4価元素であって実質的にはMnは含まない、AはLi、Na、K、Rb及びCsから選ばれ、かつ少なくともNa及び/又はKを含む1種又は2種以上のアルカリ金属である。)
で表される複フッ化物の固体と、下記式(3)
A2MnF6 (3)
(式中、AはLi、Na、K、Rb及びCsから選ばれ、かつ少なくともNa及び/又はKを含む1種又は2種以上のアルカリ金属である。)
で表されるマンガン化合物の固体とを混合し、100℃以上500℃以下で加熱することを特徴とするMn賦活複フッ化物蛍光体の製造方法。
〔6〕 更に、上記混合物に下記式(4)
A1F・nHF (4)
(式中、A1はNa、K、Rb及びNH4から選ばれる、1種又は2種以上のアルカリ金属又はアンモニウムであり、nは0.7以上4以下の数である。)
で表されるフッ化水素塩を固体で混合して加熱することを特徴とする〔5〕記載のMn賦活複フッ化物蛍光体の製造方法。
〔7〕 下記式(1)
A2MF6:Mn (1)
(式中、MはSi、Ti、Zr、Hf、Ge及びSnから選ばれる1種又は2種以上の4価元素、AはLi、Na、K、Rb及びCsから選ばれ、かつ少なくともNa及び/又はKを含む1種又は2種以上のアルカリ金属である。)
で表されるMn賦活複フッ化物である赤色蛍光体に、下記式(4)
A1F・nHF (4)
(式中、A1はNa、K、Rb及びNH4から選ばれる、1種又は2種以上のアルカリ金属又はアンモニウムであり、nは0.7以上4以下の数である。)
で表されるフッ化水素塩を固体で混合して加熱することを特徴とするMn賦活複フッ化物蛍光体の処理方法。
〔8〕 反応原料をセラミックス容器、又は反応物と接する部分がフッ素樹脂にて形成された反応容器内で加熱反応させることを特徴とする〔7〕記載のMn賦活複フッ化物蛍光体の処理方法。
〔9〕 加熱によって得られた反応混合物を無機酸溶液又はフッ化塩溶液で洗浄して不要成分を除去したのち、固液分離し、固形分を乾燥することを特徴とする〔7〕又は〔8〕記載のMn賦活複フッ化物蛍光体の処理方法。
本発明に係る蛍光体の製造方法は、下記式(1)
A2MF6:Mn (1)
(式中、MはSi、Ti、Zr、Hf、Ge及びSnから選ばれる1種又は2種以上の4価元素、AはLi、Na、K、Rb及びCsから選ばれ、かつ少なくともNa及び/又はKを含む1種又は2種以上のアルカリ金属である。)
で表されるMn賦活複フッ化物である赤色蛍光体を製造する方法であって、下記式(2)
A2MF6 (2)
(式中、MはSi、Ti、Zr、Hf、Ge及びSnから選ばれる1種又は2種以上の4価元素であって実質的にMnは含まない、AはLi、Na、K、Rb及びCsから選ばれ、かつ少なくともNa及び/又はKを含む1種又は2種以上のアルカリ金属である。)
で表される複フッ化物の固体と、下記式(3)
A2MnF6 (3)
(式中、AはLi、Na、K、Rb及びCsから選ばれ、かつ少なくともNa及び/又はKを含む1種又は2種以上のアルカリ金属である。)
で表されるマンガン化合物の固体とを混合し、100℃以上500℃以下で加熱することを特徴とするものである。
H2MF6 (5)
(式中、MはSi、Ti、Zr、Hf、Ge及びSnから選ばれる1種又は2種以上の4価元素であって実質的にMnは含まない。)
で表される化合物の溶液に、フッ化物、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物などの対応するアルカリ金属Aの水溶性塩の溶液又は固体を加えて製造したものを用いることも可能である。
これら原料の混合には、両原料をポリエチレンなどの袋に入れて振ったり回転させたりする方法、ポリエチレン等でできた蓋付きの容器に入れて、ロッキングミキサー、タンブラーミキサーなどにかける、乳鉢で一緒にすりまぜるなど任意の方法が用いることができる。
A1F・nHF (4)
(式中、A1はLi、Na、K、Rb及びNH4から選ばれる、1種又は2種以上のアルカリ金属又はアンモニウムであり、nは0.7以上4以下、好ましくは0.9以上2.5以下の数である。)
で表されるフッ化水素塩を固体で混合して加熱することで、反応を促進させることができる。これらフッ化水素塩としては、フッ化水素アンモニウム(NH4HF2)、フッ化水素ナトリウム(NaHF2)、フッ化水素カリウム(KHF2)などの市販品や、KF・2HFなどを用いることができる。
このフッ化水素塩の混合の方法は限定的でないが、混合中に発熱するおそれもあるので、強い力で擦り混ぜるような方法は避け、短時間で混合することが望ましい。
混合された原料を密閉容器に入れ、容器ごと乾燥機、オーブンなどに入れるか、ガスの抜け口を持つ容器を用いて外からヒーターで直接加熱する方法のいずれかが適用できる。密閉容器を用いる場合は、反応物に接する部分がフッ素樹脂でできているものを用いることが好ましい。これに限らずフッ素樹脂製の容器は加熱温度が270℃以下の場合に好適に用いることができる。加熱温度がこれより高い場合、セラミックス製の容器を用いることが好ましい。この場合のセラミックスはアルミナ、マグネシア又はマグネシウムアルミニウムスピネルなどが好適である。
得られた複フッ化物は、従来の湿式法によって得られるMn賦活複フッ化物と同等の発光特性に優れたものである。
A2MF6:Mn (1)
(式中、MはSi、Ti、Zr、Hf、Ge及びSnから選ばれる1種又は2種以上の4価元素、AはLi、Na、K、Rb及びCsから選ばれ、かつ少なくともNa及び/又はKを含む1種又は2種以上のアルカリ金属である。)
で表されるMn賦活複フッ化物である赤色蛍光体である。従来公知の湿式法のそれぞれの方法や、本発明で述べた乾式法のいずれかで製造されたものを用いることができる。
A1F・nHF (4)
(式中、A1はLi、Na、K、Rb及びNH4から選ばれる、1種又は2種以上のアルカリ金属又はアンモニウムであり、nは0.7以上4以下の数である。)
で表されるフッ化水素塩を固体で混合して加熱する。これらフッ化水素塩としては、フッ化水素アンモニウム(NH4HF2)、フッ化水素ナトリウム(NaHF2)、フッ化水素カリウム(KHF2)などの市販品や、KF・2HFなどを用いることができる。
このフッ化水素塩の混合の方法は限定的でないが、混合中に発熱するおそれもあるので、強い力で擦り混ぜるような方法は避け、短時間で混合することが望ましい。
ケイフッ化カリウム(森田化学工業(株)製、K2SiF6)粉末26.43gと、ヘキサフルオロマンガン酸カリウム(後述の参考例1記載の方法で作製、K2MnF6)粉末2.46gを同一のポリエチレン製チャック付袋に入れた。手で振ったりゆっくり回転させたりして5分間かけて混合した。混合比率はSi1モルに対し、Mnが0.083モルに相当する。
この混合粉に、更にフッ化水素カリウム(ステラケミファ製酸性フッ化カリウム、KHF2)の粉末14.06gを加え、上記と同様にして混合した。比率はSi 1モルに対し、KHF2は1.5モルに相当する。粉体混合物のうち2.0g(混合粉)を後の評価のためにとっておいた。
粉体混合物を図1に示す二重容器1に入れて密閉した。ここで、図1において、二重容器1はステンレススチール(SUS)製の容器本体2の内壁にポリテトラフルオロエチレン製の内層3を形成してなるもので、この二重容器1内に粉体混合物10を入れ、SUS製の蓋体4で密閉し、オーブンに入れて加熱した。温度は250℃で時間は12時間保持し、自然冷却した。
洗浄液として、4.1gのケイフッ化カリウムを100cm3の50質量%フッ化水素酸(ステラケミファ製SA−X、50質量%HF)に溶解した液を用意しておいた。このうち75cm3に上記の反応物の残りを加え、撹拌をしながら10分間おいた。塊状の部分はほぐれて粉末状になった。
粉末状になった沈殿物をブフナー漏斗でろ別し、先に作成した洗浄液の残りで振りかけ洗浄した。更にアセトンで洗浄して回収後、真空乾燥した。28.2gの粉末製品が得られた(洗浄乾燥粉)。この粉末製品の粒度分布を、気流分散式レーザー回折法粒度分布測定器(HELOS&RODOS、Sympatec社製)によって測定した。その結果、粒径8.6μm以下の粒子が全体積の10%(D10=8.6μm)、粒径21.3μm以下の粒子が全体積の50%(D50=21.3μm)、粒径33.7μm以下の粒子が全体積の90%を占めた(D90=33.7μm)。
次に、加熱未洗浄粉の粉末X線回折パターンを図3に示す。KHF2のピークの比が大きくなっているのに対し、K2MnF6のピークは混合粉の図2に比べて大幅に弱くなっている。他の化合物のピークと重ならない、2θ=34°付近のピークを見るとそれがはっきりわかる。MnはK2SiF6に取り込まれていって、K2MnF6が減っていると推定できる。
これら各段階の粉末試料の発光スペクトルを、量子効率測定装置QE1100(大塚電子(株)製)を用いて、励起波長450nmで測定した。励起光と蛍光のスペクトルを図5に示す。混合粉は発光を示さないが、加熱未洗浄粉は赤色の発光を示している。その発光が洗浄・乾燥により強まっている。
同装置で測定した450nm励起での吸収率と内部量子効率は表1のとおりである。
[K2MnF6の調製]
非特許文献4に記載されている方法に準拠し、以下の方法で調製した。
塩化ビニル樹脂製の反応槽の中央にフッ素樹脂系イオン交換膜の仕切り(隔膜)を設け、イオン交換膜を挟む2室の各々に、いずれも白金板からなる陽極と陰極を設置した。反応槽の陽極側に、フッ化マンガン(II)を溶解させたフッ化水素酸水溶液、陰極側にフッ化水素酸水溶液を入れた。両極を電源につなぎ、電圧3V、電流0.75Aで電解を行った。電解を終えた後、陽極側の反応液に、フッ化水素酸水溶液に飽和させたフッ化カリウムの溶液を過剰に加えた。生成した黄色の固体生成物をろ別、回収し、K2MnF6を得た。
フッ化水素カリウムの14.06gを11.72gに代え、硫酸水素カリウム(和光純薬試薬特級、KHSO4)を4.08g加えることのほかは、実施例1と同様にして、31.0gのK2SiF6:Mnの粉末製品を得た。実施例1と同様にして測定した粒度分布の結果は、D10=8.2μm、D50=22.1μm、D90=35.4μmであった。
フッ化水素カリウムの14.06gを11.72gに代え、硝酸カリウム(和光純薬試薬特級、KNO3)を3.03g加えることのほかは、実施例1と同様にして、30.4gのK2SiF6:Mnの粉末製品を得た。実施例1と同様にして測定した粒度分布の結果は、D10=6.9μm、D50=20.0μm、D90=31.0μmであった。
K2SiF6粉末26.43gと、実施例1と同じK2MnF6粉末1.23gを同一のポリエチレン製チャック付袋に入れた。手で振ったりゆっくり回転させたりして5分間かけて混合した。混合比率はSi1モルに対し、Mnが0.042モルに相当する。
この混合物をマグネシアるつぼに入れ、更にSUSの外容器に入れてから温度制御付管状炉に入れた。炉はドラフトチャンバー中に置き、SUS容器には内部でガスが発生した場合に抜ける口を設け、マグネシアるつぼのふたにも穴をあけておいた。また管状炉の中に入っていないSUS容器の出口部分は、SUSの管を巻いて水を流して冷却できるようにしておいた。この反応装置は図6に示した。この装置を用いて、300℃で8時間加熱し、自然冷却した。反応物を取り出し、すりつぶして回収した。30.2gのK2SiF6:Mnの粉末製品が得られた。実施例1と同様にして測定した粒度分布の結果は、D10=7.3μm、D50=16.7μm、D90=37.5μmであった。
実施例4と同じ仕込み量でK2SiF6とK2MnF6を混合した。これに更に6.85gのフッ化水素アンモニウム(ステラケミファ製酸性フッ化アンモニウム、NH4HF2)を混合した。実施例4と同じ図6の装置にこれを仕込み、350℃で6時間加熱した。冷却後に取り出し、35質量%塩酸(和光純薬製電子工業用、HCl)10cm3とエタノール70cm3の混合液に加えて撹拌した。ブフナー漏斗でろ別し、アセトンで洗浄して回収後、真空乾燥した。32.7gのK2SiF6:Mnの粉末製品が得られた。実施例1と同様にして測定した粒度分布の結果は、D10=9.1μm、D50=18.0μm、D90=32.5μmであった。
実施例4と同じ仕込み量でK2SiF6とK2MnF6を混合した。これに更に7.03gのKHF2を混合した。実施例5と同様に加熱した。冷却後に取り出し、40質量%フッ化アンモニウム溶液(森田化学工業(株)製半導体用、NH4F)80cm3に加えて撹拌した。ブフナー漏斗でろ別し、アセトンで洗浄して回収後、真空乾燥した。32.3gのK2SiF6:Mnの粉末製品が得られた。実施例1と同様にして測定した粒度分布の結果は、D10=8.9μm、D50=18.6μm、D90=28.1μmであった。
ヘキサフルオロチタン酸カリウム(森田化学工業(株)製、K2TiF6)粉末28.8gを用い、実施例1と同じK2MnF6を1.48g用い、KHF2は9.37g用いたことのほかは、実施例1と同じように混合を行い、同条件で加熱した。冷却後に取り出し、50質量%HF10cm3とアセトン70cm3の混合液に加えて10分間撹拌した。粉末状になった沈殿物をブフナー漏斗でろ別し、アセトンで洗浄して回収後、真空乾燥した。32.7gのK2TiF6:Mnの粉末製品が得られた。実施例1と同様にして測定した粒度分布の結果は、D10=9.9μm、D50=38.2μm、D90=72.6μmであった。
ケイフッ化ナトリウム(森田化学工業(株)製、Na2SiF6)粉末22.56gを用い、ヘキサフルオロマンガン酸ナトリウム(後述の参考例2の方法で作製、Na2MnF6)2.14gを用い、フッ化水素カリウムに代えてフッ化水素ナトリウム(ステラケミファ製酸性フッ化ナトリウム、NaHF2)9.36gを用いたことのほかは、実施例1と同じように混合を行い、同条件で加熱した。冷却後反応物を回収し粗く砕いた。
別に2.8gのケイフッ化カリウムを100cm3の50質量%HFに溶解した液を用意しておいた。このうち75cm3に上記の反応物を加え、撹拌をしながら10分間おいた。塊状の部分はほぐれて粉末状になった。粉末状になった沈殿物をブフナー漏斗でろ別し、先に作成した洗浄液の残りで振りかけ洗浄した。更にアセトンで洗浄して回収後、真空乾燥した。25.6gのNa2SiF6:Mnの粉末製品が得られた。実施例1と同様にして測定した粒度分布の結果は、D10=6.2μm、D50=29.7μm、D90=56.1μmであった。
[Na2MnF6の調製]
参考例1のK2MnF6の調製と同様の電解反応槽を用い、フッ化カリウムの代わりにフッ化ナトリウムを加えることのほかは同様に反応させ、生成した黄色の固体生成物をろ別、回収し、Na2MnF6を得た。
フッ化水素カリウム(KHF2)に代えてKF・2HFで表されるフッ化水素塩(森田化学工業(株)製)11.77gを加えること、及びヘキサフルオロマンガン酸カリウム粉末の添加量を0.99gに代えることのほかは、実施例1と同様にして、29.9gのK2SiF6:Mnの粉末製品を得た。実施例1と同様にして測定した粒度分布の結果は、D10=18.1μm、D50=27.8μm、D90=40.9μmであった。
40質量%のケイフッ化水素酸(H2SiF6)水溶液(森田化学工業(株)製)15.6cm3を、まず50質量%HF100cm3と混合した。これに、実施例1と同じK2MnF6粉末を1.19g加えて撹拌して溶解させ、Si、FとMnを含む水溶液(第1溶液)を調製した。また、13.95gのフッ化カリウムを40cm3の50質量%HFに溶解させ、室温まで放冷し、フッ化カリウムを含む水溶液(第2溶液)を調製した。次に、撹拌した第1溶液に、第2溶液を約3分間かけて少しずつ加え、10分間程度撹拌し、淡橙色の固体が生成した。この固体生成物をろ別し、アセトンで洗浄し真空乾燥して、15.64gのK2SiF6:Mnの粉末製品を得た。実施例1と同様にして測定した粒度分布の結果は、D10=15.1μm、D50=36.9μm、D90=60.3μmであった。
40質量%のチタンフッ化水素酸(H2SiF6)水溶液(森田化学工業(株)製)15.6cm3を、まず50質量%HF100cm3HFと混合した。これに、実施例1と同じK2MnF6粉末を0.74g加えて撹拌して溶解させ、Ti、FとMnを含む水溶液(第1溶液)を調製した。また、23.43gのKHF2を22cm3の50質量%HFと34cm3の純水に溶解させ、フッ化カリウムを含む水溶液(第2溶液)を調製した。次に、撹拌した第1溶液に、第2溶液を約2分間かけて少しずつ加え、10分間程度撹拌し、淡橙色の固体が生成した。この固体生成物をろ別し、アセトンで洗浄し真空乾燥して、13.73gのK2TiF6:Mnの粉末製品を得た。実施例1と同様にして測定した粒度分布の結果は、D10=13.6μm、D50=46.5μm、D90=103.2μmであった。
40質量%のケイフッ化水素酸(H2SiF6)水溶液(森田化学工業(株)製)234cm3を、まず50質量%フッ化水素酸(HF)(SA−X、ステラケミファ(株)製)2,660cm3と混合した。これに、予め前述の方法で作製したK2MnF6粉末を13.32g加えて攪拌し溶解させた(第1溶液)。
これとは別に、フッ化水素カリウム(KHF2)210.5gを50質量%フッ化水素酸水溶液680cm3、純水1,270cm3と混合し溶解させた(第2溶液)。
第1溶液を攪拌しながら、第2溶液を少しずつ加えていったところ、淡橙色の沈殿が生じた。この沈殿をブフナー漏斗でろ別し、十分脱液した後、アセトンをふりかけて洗浄し、脱液して回収し、更に真空乾燥した。184.9gの粉末製品が得られた。
この粉末のうちの26.43gをとり、これにKF・2HFで表されるフッ化水素塩1.96gを混合し、実施例1と同様の容器に入れて同条件で加熱し、以下も同様の操作を行って26.87gの蛍光体を得た。実施例1と同様にして測定した粒度分布の結果はD10=13.1μm、D50=25.8μm、D90=39.7μmであった。
実施例10で、沈殿析出、ろ別、洗浄、真空乾燥のみ行った、熱処理に用いなかった残りをとった。実施例1と同様にして測定した粒度分布の結果はD10=8.4μm、D50=19.2μm、D90=29.3μmであった。
実施例及び比較例によって得られた蛍光体の発光特性を実施例1で述べた、量子効率測定装置QE1100(大塚電子(株)製)で測定した。励起波長450nmでの吸収率と量子効率を表2に示す。
実施例及び比較例によって得られた蛍光体の耐久性試験を行った。
蛍光体を粉末のまま、蓋のない小皿に入れ、耐久性試験として、温度65℃、相対湿度90%に維持した恒温恒湿器(エスペック(株)製)中で30分間及び7日間静置し、実験例2と同様にして内部量子効率を測定した。その結果を表3に示す。
図7に示す試験用発光装置を作製した。図7中、11は凹部12を有する不透明なベースハウジングで、凹部12の内底面にチップ13が配置されている。チップ13は、InGaN系青色発光ダイオードで、発光ピーク波長450nm、ピーク半価幅20nmのものである。図中、14、15はそれぞれベースハウジング11に埋め込まれた電気接続部で、一方の電気接続部14はチップ13の下側電極と電気的に接しており、他方の電気接続部15はチップ13の上部電極とボンディングワイヤ16を介して接続されている。上記ベースハウジング11の凹部12の壁面17は可視光を反射するようになっており、また凹部12内には、蛍光体18を予め混練した液状の熱硬化性樹脂の硬化物19が充填され、チップ13が封止されている。
実験では、熱硬化性樹脂としてシリコーン樹脂(信越化学工業(株)製LPS−5547)10質量部と、蛍光体として実施例及び比較例で得られた複フッ化物赤色蛍光体4質量部を混合して用いた。これをベースハウジングの凹部に注入したのち、150℃で4時間加熱して硬化させた。
作成したLEDの発光色を大塚電子製全光束測定装置でまず測定した。色はCIE色度座標(x,y)で表される。次に、85℃の恒温器中で、0.2Aの電流を100時間流し続けた後、同様に発光色を測定した。初期と100時間後のxの変化dxとyの変化dyの積dxdyを見た。また、60℃、相対湿度90%でも同様の試験を行った。その結果を表4に示す。
2 容器本体
3 内層
4 蓋体
5 容器
6 内層
7 ガス流出孔
7a ガス流出管
8 蓋体
9a 冷却管
9b ヒーター
10 粉体混合物
11 ベースハウジング
12 凹部
13 チップ
14 電気接続部
15 電気接続部
16 ボンディングワイヤ
17 壁面
18 蛍光体
19 熱硬化性樹脂
Claims (4)
- 下記式(1)
A2MF6:Mn (1)
(式中、MはSi、Ti、Zr、Hf、Ge及びSnから選ばれる1種又は2種以上の4価元素、AはLi、Na、K、Rb及びCsから選ばれ、かつ少なくともNa及び/又はKを含む1種又は2種以上のアルカリ金属である。)
で表されるMn賦活複フッ化物である赤色蛍光体を製造する方法であって、反応原料として下記式(2)
A2MF6 (2)
(式中、MはSi、Ti、Zr、Hf、Ge及びSnから選ばれる1種又は2種以上の4価元素である。AはLi、Na、K、Rb及びCsから選ばれ、かつ少なくともNa及び/又はKを含む1種又は2種以上のアルカリ金属である。)
で表される複フッ化物の固体と、下記式(3)
A2MnF6 (3)
(式中、AはLi、Na、K、Rb及びCsから選ばれ、かつ少なくともNa及び/又はKを含む1種又は2種以上のアルカリ金属である。)
で表されるマンガン化合物の固体とを混合し、更に、上記混合物に、アルカリ金属の硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩又はフッ化物を、下記式(4)
A1F・nHF (4)
(式中、A1はNa、K、Rb及びNH4から選ばれる、1種又は2種以上のアルカリ金属又はアンモニウムであり、nは0.7以上4以下の数である。)
で表されるフッ化水素塩と共に固体で混合して、100℃以上500℃以下で加熱することを特徴とするMn賦活複フッ化物蛍光体の製造方法。 - 反応原料をセラミックス容器、又は反応物と接する部分がフッ素樹脂にて形成された反応容器内で加熱反応させることを特徴とする請求項1記載のMn賦活複フッ化物蛍光体の製造方法。
- 反応原料を反応物と接する部分がフッ素樹脂にて形成された反応容器内で、100℃以上270℃以下で加熱反応させることを特徴とする請求項1記載のMn賦活複フッ化物蛍光体の製造方法。
- 加熱によって得られた反応混合物を、無機酸溶液又はフッ化塩溶液で洗浄して不要成分を除去したのち、固液分離し、固形分を乾燥することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のMn賦活複フッ化物蛍光体の製造方法。
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