JP5827501B2 - 運搬用台車及び荷下ろし小運搬方法 - Google Patents
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Description
しかし、素手の力で持ち運ぶことが難しいガラス製品の梱包体やガラス板張り建具のような積荷を立てた姿勢のまま、トラックの積荷台から下ろし、運搬用台車へ積んで指定された場所へ小運搬する仕事に適する運搬用台車は未だ見当たらない。
因みに、ガラス板張り建て具は、縦×横の寸法が2.4m×3m、厚さ150mm、重量は80Kgもある。このような大型・大重量板状物をトラックで積み出す製造工場などには、通例、フォークリフト車の用意があるので、それを利用してトラックの積荷台へ積み込む作業は一人でも容易に行える。しかし、前記積荷を下ろす場所には、たいていフォークリフト車の用意が無いし、フォークリフト車をトラックへ積んで持ち回ることもできない。よって、運転手一人の力作業で前記積荷の荷下ろし作業を行うほかないので、作業は困難をきわめる。
もっとも、車載クレーン搭載車で納品することも多くなっている。しかし、車載クレーン搭載車を使用する場合は、車載クレーンを搭載した分だけ積荷台が狭くなっており、積載量が減って運搬コストが増大する問題点もある。
特許文献2に記載された「板ガラス搬送装置」は、大型・大重量の板ガラスを立てた姿勢で水平運搬することに適した構成である。
また、特許文献3に記載された「パレット積載用台車」も、同様にガラス板を立てた姿勢のまま鉄製のパレット(梱包容器)内へ複数枚積層した大型・大重量板状物を、立てた姿勢で水平運搬することに適した構成である。
しかし、上記引用文献2、3の運搬車は、ともにガラス板等を立てた姿勢で水平運搬する用途を有するのみで、ガラス板等を立てた荷姿のままトラックの積荷台から一人作業で下ろして台車へ積む方法や手段については一切開示がない。
しかし、本願発明が対象とする大型・大重量の板状物を立てた姿勢のまま、トラックの積荷台から、1人の作業員の手作業で荷下ろしができる運搬用台車及び運搬用台車へ荷下ろしする方法については、一切開示も示唆もない。
前輪12と後輪13を備えた車台部11の後部に支柱14が立てられ、同支柱14に、荷台20の下辺枠部21の後部が上下方向への回転が可能に支持され、
前記荷台20は、その下辺枠部21の前部に荷物Wの前囲い枠部22を備えており、
前記荷台20の下辺枠部21と、前記車台部11又は支柱14との間に、荷台20の前記回転動作を緩衝する手段30が設置されており、
荷台20の下辺枠部21の後端部に、トラック100の積荷台101と連結し連結姿勢を保持する連結手段40又は42が設けられ、
車台部11に、運搬用台車1を路面上へ位置決め固定する位置決め手段50、51が設けられ、荷台20の下辺枠部21を水平姿勢に止めるストッパ手段18、及び下方へ回転した前囲い枠部22を一定位置に止めるストッパ手段19が設けられていること、
荷台の下辺枠部及び前囲い枠部に、荷物の引き込み用及び引き出し用として回転自在なコロ又はローラが複数設置され、前囲い枠部にはさらに、下方へ回転して前記ストッパ手段により一定位置に止められているときに荷物の引き込み用及び引き出し用として用いる誘導路部が延設されていることを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載した運搬用台車1において、前記下方へ回転した前囲い枠部は、前上がり傾斜角を5度〜15度の位置に設定して止められていることを特徴とする。
請求項4に記載した発明は、請求項1〜3のいずれか一に記載した運搬用台車1において、前記荷台の回転動作を緩衝する手段は、伸縮動作が自在なガススプリング、又はガススプリングとリンク機構とを組み合わせた構成であることを特徴とする。
請求項5に記載した発明は、請求項1〜4のいずれか一に記載した運搬用台車1において、前記荷台20の下辺枠部21とトラック100の積荷台101とを連結して連結姿勢を保持する連結手段40は、下辺枠部21の後端部へ上下方向へ起伏する回転が自在に設置された、先端部にトラック100の積荷台101へ掛け止めるフック41を備えた渡り桟橋板40、又は先端部にトラック100の積荷台101へ掛け止めるフック43を備えた一対のフック部材42であることを特徴とする。
前記運搬用台車1の荷台20の下辺枠部21を水平状態に止め、連結手段40又は42によりトラック100の積荷台101と連結して荷台20の下辺枠部21を水平姿勢に支持させ、同運搬用台車1の車台部11に設置した位置決め手段50、51により路面上に位置決め固定すること、
トラック100の積荷台101に積まれた荷物Wは、積荷台101上を移動させて前記荷台20の下辺枠部21上へ引き込み進入させて同荷台20に支持させること、
次に、荷台20を支持しているストッパ手段18を解除して、荷台20の下辺枠部21を下向き方向へ回転させて前囲い枠部22を路面へ接近させ、同前囲い枠部22が車台部11の受け部材17へ止まった状態で同前囲い枠部22のストッパ手段19により止めて支持させ、
しかる後に前記位置決め手段50、51を解除し、運搬用台車1を手押し操作可能にし、目的の場所へ手押しにより小運搬することを特徴とする。
使用場所では、運搬用台車1の荷台20の下辺枠部21を水平状態に止め、連結手段40又は42によりトラック100の積荷台101と連結して荷台20の下辺枠部21を水平姿勢に支持させ、同運搬用台車1の車台部11に設置した位置決め手段50、51により路面上に位置決め固定する。そして、トラック100の積荷台101に積まれた荷物Wは、積荷姿勢のまま積荷台101上を滑らすように移動させて荷台20の下辺枠部21上へ引き込み進入させ同荷台20に支持させる。したがって、トラック100の運転手一人の力作業として荷物Wの積み替えが容易に可能である。
しかる後に前記位置決め手段50、51を解除して前輪12及び後輪13を着地させ、運搬用台車1を手押し操作可能状態にすると、一人の作業として目的の場所へ安定、安全な状態で小運搬することができる。
運搬用台車1が目的の場所へ到達すると、既に荷物Wは路面へ接近させ前囲い枠部22に支持されているので、そのまま、或いは位置決め手段50、51を再び働かせて固定した上で、前囲い枠部22上を滑らせる要領で荷物W引き出して下ろし、指定の保管場所へ楽に安全に置くことができる。
前記荷台20は、その下辺枠部21の前部に荷物の前囲い枠部22を備えている。
前記荷台20の下辺枠部21と、前記車台部11又は支柱14との間に、同荷台20の前記回転動作を緩衝する手段30が設置されている。
荷台20の下辺枠部21の後端部に、トラック100の積荷台101と連結し連結姿勢を保持する連結手段40又は42を設ける。
車台部11に、当該運搬用台車1を路面上へ位置決め固定する位置決め手段50、51を設ける。また、荷台20の下辺枠部21を水平姿勢に止めるストッパ手段18、及び下方へ回転した前囲い枠部22を一定位置に止めるストッパ手段19を設ける。
この運搬用台車1は、上記大型のガラス張り建具の荷下ろし小運搬に適するように平面視を前後方向に細長い形状とした車台部11が、その前後及び左右の位置にゴム車輪である前輪12と、大径の後輪13を備えて、地面上を略水平姿勢で走行する構成とされている。もっとも車台部11の平面形状は、積み込む荷物Wの形状に応じて適する形態及び構造とされる。前輪12及び後輪13はストッパー付きキャスターとして構成されている。前輪12と後輪13の車軸間隔は約1200mm余の大きさとされている。後輪13は、運搬用台車1の安定性を確保する配慮で、車輪幅を例えば800mmと大きく構成されている。
車台部11の後端の両側位置に2本の支柱14、14が地上約950mmの高さまで垂直に立てられ、該支柱14、14間の上部に、荷台20の下辺枠部21の後部が、回転軸15によりブランコの如く上下方向への回転が自在に支持されている。
前記2本の支柱14、14の上部と、車台部11の前部との間が、前記荷台20の回転が可能な間隔を開けて平行に配置した2本の斜材16により剛結され、もって荷台20とこれに積んだ荷物Wが下方向へ回転する運動に対し十分安定で堅牢な構成とされている。
荷台20は、上記した大きな板ガラス建具の如き荷物Wを安定状態に積み込み支持できるように、前囲い枠部22の先端部と下辺枠部21の後部との間には、荷物Wの倒れ防止用として働く2本の補助枠材23、23が、中間部を略直角に屈曲した形状で平行に配置され連結されている。
したがって、図1及び図2に示したとおり、荷台20を側面方向に見ると、ほぼ正方の枠組み形状に構成されている。そして、荷台20は、前記下辺枠部21と前囲い枠22及び補助枠23とで囲まれた空間の後面24と上面25が開放されており、板状の荷物Wを引き込み進入させることが可能で、しかも倒れを防止して安定状態に収納・保持できる構成とされている。
荷台20の上記下辺枠部21と前囲い枠22にはそれぞれ、後述するように板ガラス建具の如き荷物Wを手作業により引き込み進入させる作業、又は同荷台20から引き出して路上などへ下ろす作業を容易にするため、回転自在なローラ26(又はコロ)が一定の間隔を開けて複数設置されている。隣接するローラ26、26間の隙間は目隠し板27で塞いだ構成とされている。
したがって、荷台20は、図1及び図2に実線で示したようにガススプリング30により下辺枠部21を水平な状態に支持させて、トラック100の積荷台101に積載された荷物Wを下辺枠部21へ引き込んで載せる。そして、ガススプリング30を操作して収縮動作を開始させることにより、下辺枠部21とその上の荷物Wを合一に、両者の重量に起因する大きな回転力を緩和・緩衝しつつ、回転軸15を中心として荷台20を図1、図2中に記載した矢印Rの方向(下方)へゆっくりと安全な状態に回転させる。その過程において荷台20に積んだ荷物Wは、当初下辺枠部21上に積んだ状態から、次第に前囲い枠22に載せる状態に切り換えて路面近傍の位置まで下ろす。
因みに、下方へ回転してきた前囲い枠22を、上記の受け止め部材17で支持させた前上がり傾斜角θ(図2参照)は、運搬用台車1の手押し走行中に、前囲い枠22上に載せた荷物Wが前囲い枠22上を滑って不用意に前方へ飛び出す不具合や危険を防ぐことができ、しかも小運搬後には作業員1人の腕力で荷物Wを前囲い枠22から引き出して下ろす作業が困難でないように、例えば5度〜15度ぐらいに設定されている。
渡り桟橋板40の構成は、図4に詳示した通り、荷台20の下辺枠部21の後端部の両側へ共通な回転軸を持つ配置で設置したヒンジ44により、図4に示す水平状態を中心として、上方へせいぜい30度ぐらいまで、及び下方へは少なくとも90度ぐらいまで自由に回転できる構成で取り付けて設置されている。
因みに運搬用台車1は、上記した寸法構成に基づき、荷台20の下辺枠部21は水平状態に支持されるとトラック100の積荷台101とほぼ同じ高さになる。したがって、渡り桟橋板40をヒンジ44の位置で回転して、図4のように水平な姿勢でトラック100の積荷台101へ連結すると、渡り桟橋板40は、荷台20の下辺枠部21とトラック100の積荷台101とをほぼ水平状態に連結することができる。
上記のようにしてトラック100の積荷台101と運搬用台車1とを渡り桟橋板40で連結し、更に前輪12及び後輪13を各々ストッパーを働かせ、或いは車輪止めを使用して固定した後に、トラック100の積荷台101上に積んだ荷物Wの荷下ろし作業を進めることができる。その際には図6に例示するように、1人の作業員(運転手)の腕力(手作業)で、板状の荷物Wは積荷台101上を滑らせ、更に渡り桟橋板40上を横滑りさせる要領で、荷台20の下辺枠部21上へと楽に乗り移らせることが出来る。
したがって、渡り桟橋板40にも荷物Wを軽く滑らせるローラ又はコロを設置しておくことも好ましい。
上記構成の運搬用台車1は、荷台20を例えば図8に示すように前囲い枠部22が車台部11の上記した受け止め部材17へ当たる位置まで回転して下げると、比較的に小型・軽量で細幅な構成になるので、トラック100の積荷台101上へ、大型・大重量板状物Wの積載位置を避けた空きスペースを確保して積荷台101上へ一緒に載せて各目的地へ運ぶことで、1人の作業員(運転手)のみでも荷下ろし小運搬の利便に供し得る。この場合、車台部11と支柱14及び斜材16の構造を折り畳式、或いは組み立て解体が自在な構成とし、或いは後輪13の車輪間隔を伸縮可能な構成とし、更に荷台20も組み立て、解体が容易に可能な構成にすると、更に持ち運びや積荷台101への積み込みも容易にできる。
即ち、トラック100が目的地へ着くと、積荷台101を構成するアオリ103のうち、荷物Wを下ろそうとする側のアオリ103を回転して下方へ倒して、先ず運搬用台車1を先行して地面上へ下ろす。そして、先ずは図1に示したようにガススプリング30を伸張させる操作をして、荷台20を例えば図1に示したように下辺枠部21が水平な状態にする。しかる後に前記の運搬用台車1を、トラック100の積荷台101のうちアオリ103を倒した側へ移動させ、積荷台101上の荷物Wへ最も近くて荷下ろし作業が容易な位置に定め、運搬用台車1の荷台20をほぼ直角な向きに配置し、同荷台20の後部側をトラック100の積荷台101へ接近させる。
次には上記渡り桟橋板40のフック41をトラック100の積荷台101の隙間102から引き抜いて外し、トラック100との連結を解除して荷台20を回転させる。
その手段として荷台20の下辺枠部21を水平状態に支持しているガススプリング30を収縮させる操作を行う。すると荷物Wを載せた荷台20は、回転軸15を中心に図2の円弧矢印Rのように前囲い枠部22の方が下向き方向へゆっくり回転する。このときの荷台20の回転は、ガススプリング30が有する速度の緩和、緩衝機能により、荷物W及び荷台20の重量に起因する大きな回転力に抵抗しつつ、安全な速度を保った回転を行わせることが出来る。
かくして荷台20が下方へ回転する途中の段階を図7に示した。更に図8は荷台20の前囲い枠部22が車台部11の突き当たり部材17へ突き当たって止まり、支持状態となった段階を示している。
つまり、上記のように荷台20が下方へ回転する途中の段階で、荷台20上の板状をなす荷物Wは、下辺枠部21上へ乗せた状態から、前囲い枠部22に支持される状態へと変化する。
運搬用台車1を目的の場所へ到達させたならば、荷物Wを下ろして載置するのに適正な方向へ運搬用台車1の向き及び位置を定める。そして、再び前輪12及び後輪13のストッパーを働かせ、或いは車輪止めを使用して位置を固定する。しかる後に、荷台20の前囲い枠部22上に載せた荷物Wを、立てた荷姿のまま、前囲い枠部22上を滑らすように引き出して、指定の保管場所へ下ろし、立て掛けて置くことができる。
即ち、図5に示した渡り桟橋板40’は、先端にフックを有さず、単に荷物Wを荷台20へ引き込む際の渡り板としてのみ機能する構成とされている。
一方、荷台20を構成する下辺枠部21を構成する両側のフレーム材21’の外面側には、別途、トラック100の積荷台101のアオリ103を倒して形成される隙間102へ差し込んで連結するフック43を形成したフック部材42、42が、軸45を中心として上下方向への回転が自在に設置されている。前記フック43を隙間102へ差し入れている限り、運搬用台車1は、トラック100に反力をとってその位置及び姿勢を一定に保持し続ける。
つまり、渡り桟橋板40の桟橋としての機能と、フック部材42が運搬用台車1とトラック100の積荷台101とを連結する機能とを分離した構成を特徴とする。
従って、本実施例2によれば、渡り桟橋板40’はフックを持たないから、上記した引き込み方向の幅寸が下辺枠部21の奥行き寸法よりも長い板状の荷物Wを下辺枠部21及び渡り桟橋板40’上に載せた場合でも、荷台20を図2の前方へ回転させることに一切支障とならない。一方、両側2本のフック部材42、42は、下辺枠部21の両外側に位置するから、前記の長い板状の荷物Wを下辺枠部21及び渡り桟橋板40’上に載せていても、何時でも必要に応じてトラック100の積荷台101の隙間102から引き抜いて下辺枠部21との連結を解くことが容易に可能である。
隙間102から外されたフック部材42は軸45を中心に、及び渡り桟橋板40’はヒンジ44を中心に回転させてそれぞれ収納状態にできる。
なお、上記のフック部材42、42の取り付け板は、下辺枠部21ではなく、運搬用台車1の後部に立つ支柱14の上部へ軸45により取り付けて実施することもできる。
また、フック部材42、42が、運搬用台車1における荷台20の下辺枠部21の後部をトラック100の積荷台101へ十分に接近させた状態に取り付けることができ、トラック100の積荷台101へ積んだ荷物Wを荷台20の下辺枠部21へ引き込む作業の際に不都合でないときは、渡り桟橋板40’の設置を省略した構成で実施することもできる。
そこで以下には、上記実施例1、2の構成の説明と重複する説明は省きつつ、実施例3の要点を説明する。
実施例3として主に図10及び図11に示した運搬用台車1も、前輪12と後輪13を備えた車台部11の後部に支柱14が立てられ、同支柱14の上部に回転軸15により、荷台20の下辺枠部21の後部が上下方向への回転が可能に支持されている。
荷台20は、その下辺枠部21の前部に略直角に立ち上がる前囲い枠部22を備えており、下辺枠部21と前囲い枠部22それぞれの端部間が、荷物Wの倒れ防止用として働く補助枠材23で連結されている。荷台20の回転後には最終的に荷物Wを載せることになる前囲い枠部22へ接近した近傍位置に、前囲い枠部22と平行な配置で、荷物Wのはみ出し防止用として働く落下防止材23’が、補助枠材23と下辺枠部21との間に架設されている。
同じく荷台20の下辺枠部21の外側面部の中間位置には、取っ手61が水平な向きに固定して設置されている。この取っ手61は、例えば図10に実線で示したように下辺枠部21を水平姿勢に位置決めした状態で、当該運搬用台車1を作業員の手で押し動かす操作に至便である。
本実施例3の場合、荷台20の前記回転動作の速度を緩和、緩衝する手段であるガススプリング30は、支柱14の中間高さの位置に後方向きに固定されたブラケット53と、前記荷台20の下辺枠部21を構成する枠材の外側面部に固定して起立させたブラケット54との間に設置されている。これは図10に例示したように、荷台20の上記回転動作の速度を緩和、緩衝するガススプリング30の機能が必要十分に発揮される構成に工夫した結果である。
更に、前囲い枠部22の先端部には、荷台20と共に図10中に点線で図示したように路面に接近する位置まで回転された際に、同前囲い枠部22上に載せた荷物Wを下ろす際に、路面との段差量を可及的に軽減して着地時の衝撃を緩和できるように逆向き角度に屈曲されたローラ付きの誘導路部55が延長構造として付設されている。
もっとも荷台20の回転により下降された前記誘導路部55の先端は、通例図10に示したように路面上に設置するパレット70と干渉を起こさない高さとして、パレット70へ荷物Wを載置する作業に支障ない構成とされる。
図10と図11が分かり易いように、運搬用台車1の車台部11を構成する外周フレーム材のうち前後方向の2辺を形成するフレーム材において前輪12に近い外側位置に位置決め手段50が垂直下向きの姿勢に設置されている。また、同車台部11を構成する外周フレーム材のうち後端側の辺を形成するフレーム材の外側面の左右位置に、やはり垂直下向きの姿勢で位置決め手段51がそれぞれ設置されている。ただし、位置決め手段50、51の設置位置は前記の限りではない。また、上記段落番号[0015]で説明したように、前輪12と後輪13がストッパー付きであるときは、位置決め手段50、51の設置は必ずしも必要でなく、用途内容に応じていずれか一方を選択して実施すれば足りる。
したがって、運搬用台車1を荷台後部のフック部材42、42によりトラック100の積荷台101と連結した際に、或いは目的の場所まで小運搬して荷物Wを下ろす作業を始める際に、上記の各位置決め手段50、51の足踏みピン57を作業者が足で踏み込み路面へ突き立てると、前輪12、後輪13が路面から浮上し足踏みピン57で支持した状態に堅固に位置決め固定ができ、以後の各作業を行い易くできる。
もっとも、位置決め手段50、51を上記足踏みピン57の構成に限るものではなく、同様な機能を期待できる他の構成、手段を採用して実施できる。
荷台20の下辺枠部21を水平状態に位置決めして止める手段、或いは荷台20を下向き方向へ回転させて前囲い枠部22が車台部11の受け部材17へ突き当たった位置で止める手段の基本は、上記したガススプリング30の適切な位置決め操作で一応は達成される。しかし、荷台20の下辺枠部21上へトラック100の積荷台101から荷物Wを乗り移らせる作業、或いは下降した前囲い枠部22から路面上のパレット70へ荷物Wを下ろす作業の際に起こり易い衝撃的な振動や衝撃に対して十分安定した位置決め状態を保持できるとは言い難い。仮に前記の各作業時に荷台20がぐらぐら動いて不安定であると、危険な作業となることは明らかで、ぐらつきは防止する必要がある。前記の不具合を防ぐストッパ手段18、19として、本実施例3では以下に説明するピンロック機構を採用しており、機械的に強固な位置決め固定を行う構成とした。ただし、ストッパ手段18、19としてのピンロック機構も市販品を利用することが出来るので、詳細な説明は割愛する。
一方、荷台20の下辺枠部21を構成する外周フレーム材の外側面であって、前記止めピン182が進退する位置にピン孔183を有する被固定部材184が固定されている。つまり、荷台20を上方へ回転して下辺枠部21を水平状態とした際に、止めピン182と被固定部材184のピン孔183の位置が一致する構成である。
よって作業員は上記下辺枠部21の水平状態において、止めピン182を手で押し込んでピン受け部材184のピン孔183へ差し込むことで、下辺枠部21の前記位置を機械的に強固に固定することができる。
逆に荷物Wを積み込んだ後、荷台20を下方へ回転するに際しては、先ず前記の止めピン182をピン孔183から引き抜く。しかる後に、上記のガススプリング30を収縮させる操作を行って荷台20を下方へゆっくりと回転させる。
かくして下方へ回転した荷台20は、その前囲い枠部22が車台部11の受け部材17へ突き当たって止まる。そこで作業者は、ストッパ手段19を操作して更に機械的に強固な位置決め固定の処理を行うことができる。
一方、車台部11を構成する外周フレームの前方部位の外側面であって、上記したように前囲い枠部22が受け部材17へ突き当たって止まった際に丁度上記被固定部材191のピン孔190と位置が一致し、同ピン孔190への出入りが可能な位置に止めピン192(図11参照)が前記被固定部材191の回転方向と直交する向きへ足踏みペダル193で駆動し進退自在に設置されている。
もっとも、上記ストッパ手段18、19の設置位置及び構造は、上記実施例に限るものではない。特にストッパ手段19は、ストッパ手段18と同様に手作業でピン孔へ差し込み又は引き抜く構成で実施することもできる。
11 車台部
12 前輪
13 後輪
14 支柱
17 受け部材
20 荷台
21 下辺枠部
22 荷物止め部(前囲い枠部)
26 ローラ
30 回転緩衝手段(ガススプリング)
40 連結手段(渡り桟橋板)
41 フック
42 連結手段(フック部材)
43 フック
50、51 位置決め手段
100 トラック
101 積荷台
102 隙間
103 アオリ
W 荷物(大型・大重量板状物)
Claims (7)
- 前輪と後輪を備えた車台部の後部に支柱が立てられ、同支柱に、荷台の下辺枠部の後部が上下方向への回転が可能に支持され、
前記荷台は、その下辺枠部の前部に荷物の前囲い枠部を備えており、
前記荷台の下辺枠部と、前記車台部又は支柱との間に、荷台の前記回転動作を緩衝する手段が設置されており、
荷台の下辺枠部の後端部に、トラックの積荷台と連結し連結姿勢を保持する連結手段が設けられ、
車台部に、運搬用台車を路面上へ位置決め固定する位置決め手段が設けられ、荷台の下辺枠部を水平姿勢に止めるストッパ手段、及び下方へ回転した前囲い枠部を一定位置に止めるストッパ手段が設けられていること、
荷台の下辺枠部及び前囲い枠部に、荷物の引き込み用及び引き出し用として回転自在なコロ又はローラが複数設置され、前囲い枠部にはさらに、下方へ回転して前記ストッパ手段により一定位置に止められているときに荷物の引き込み用及び引き出し用として用いる誘導路部が延設されていることを特徴とする、運搬用台車。 - 前記誘導路部は、路面との段差量を可及的に軽減する向きに屈曲されていることを特徴とする、請求項1に記載した運搬用台車。
- 前記下方へ回転した前囲い枠部は、前上がり傾斜角を5度〜15度の位置に設定して止められていることを特徴とする、請求項1又は2に記載した運搬用台車。
- 前記荷台の回転動作を緩衝する手段は、伸縮動作が自在なガススプリング、又はガススプリングとリンク機構とを組み合わせた構成であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載した運搬用台車。
- 前記荷台の下辺枠部とトラックの積荷台とを連結して連結姿勢を保持する連結手段は、下辺枠部の後端部へ上下方向へ起伏する回転が自在に設置された、先端部にトラックの積荷台へ掛け止めるフックを備えた渡り桟橋板、又は先端部にトラックの積荷台へ掛け止めるフックを備えた一対のフック部材であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載した運搬用台車。
- 前記運搬用台車を路面上へ位置決め固定する位置決め手段は、車台部の前部及び後部の外側部位に設置された、垂直下向きに押し下げて路面に突き立て前輪及び後輪を路面から浮き上がらせる足踏みピン機構として構成されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載した運搬用台車。
- 上記請求項1〜6のいずれかに記載した運搬用台車を使用して実施する荷下ろし小運搬方法であって、
運搬用台車の荷台の下辺枠部を水平状態に止め、連結手段によりトラックの積荷台と連結して荷台の下辺枠部を水平姿勢に支持させ、同運搬用台車の車台部に設置した位置決め手段により路面上に位置決め固定すること、
トラックの積荷台に積まれた荷物は、積荷台上を移動させて前記荷台の下辺枠部上へ引き込み進入させて同荷台に支持させること、
次に、荷台を支持しているストッパ手段を解除して、荷台の下辺枠部を下向き方向へ回転させて前囲い枠部を路面へ接近させ、同前囲い枠部が車台部の受け部材へ止まった状態を更にストッパ手段により止めて支持させ、
しかる後に前記位置決め手段を解除して運搬用台車を手押し操作可能にし、目的の場所へ手押しにより小運搬することを特徴とする、荷下ろし小運搬方法。
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