以下、本発明について詳細に説明する。
〔実施の形態1〕
本実施の形態について図1〜図10に基づいて説明すれば、以下の通りである。
<有機EL表示装置の概略構成>
図4は、本実施の形態にかかる有機EL表示装置1の構成例を示す断面図である。
図4に示す有機EL表示装置1は、TFT基板10と、有機EL素子20と、接着層30と、封止基板40とを備えており、TFT基板10側から光を取り出すボトムエミッション型でRGBフルカラー表示タイプの表示装置である。
TFT基板10には、画素領域となる部分に、スイッチング素子としてのTFT等が形成されている。
有機EL素子20は、TFT基板10の表示領域においてマトリクス状に形成されている。
有機EL素子20が形成されたTFT基板10は、接着層30等により、封止基板40と貼り合わされている。
次に、有機EL表示装置1におけるTFT基板10および有機EL素子20の構成について詳述する。
<TFT基板10の構成>
図1は、本実施の形態にかかる有機EL表示装置1における各画素を構成するサブ画素配列を、上記有機EL表示装置1におけるTFT基板10の1画素領域におけるサブ画素領域の配列として模式的に示す図である。
なお、ここで、TFT基板10の1画素領域とは、表示パネル化したとき(つまり、有機EL表示装置1を組み立てたとき)に、カラー表示を行うための最小構成単位の画素(本実施の形態では3原色用画素)に相当する領域を示す。
また、TFT基板10のサブ画素領域とは、表示パネル化したとき(つまり、有機EL表示装置1を組み立てたとき)に、カラー表示を行うための最小構成単位となる1画素を構成する各サブ画素(ドット)に対応する領域を示す。
また、図2は、上記有機EL表示装置1を構成する画素の構成を示す平面図である。図3は、図2に示す有機EL表示装置1におけるTFT基板10のA−A線矢視断面図である。
なお、図1は、図3に示すTFT基板10のA−A線矢視断面をサブ画素の配列に着目して概略化した図に相当する。
図3に示すように、TFT基板10は、ガラス基板等の透明な絶縁基板11上に、TFT12(スイッチング素子)、層間絶縁膜13、配線14、エッジカバー15等が形成された構成を有している。
有機EL表示装置1は、フルカラーのアクティブマトリクス型の有機EL表示装置である。図2および図3に示すように、絶縁基板11上には、配線14で囲まれた領域に、それぞれ、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色の有機EL素子20からなる各色のサブ画素2R(1)・2G・2R(2)・2Bが、マトリクス状に配列されている。
すなわち、配線14で囲まれた領域が1つのサブ画素(ドット)であり、サブ画素ごとにR、G、Bの発光領域(発光部)が画成されている。
画素2(すなわち、1画素)は、赤色の光を射出する赤色のサブ画素2R(1)・2R(2)、緑色の光を射出する緑色のサブ画素2G、青色の光を射出する青色のサブ画素2Bの、4つのサブ画素2R(1)・2G・2R(2)・2Bによって構成されている。
各サブ画素2R(1)・2G・2R(2)・2Bには、各サブ画素2R(1)・2G・2R(2)・2Bにおける発光を担う各色の発光領域として、ストライプ状の各色の発光層23R(1)・23G・2R(2)・23Bによって覆われた露出部15R(1)・15G・15R(2)・15Bがそれぞれ設けられている。
発光層23R(1)・23G・23R(2)・23Bは、各色ごとに、蒸着によりパターン形成されている。
サブ画素2R(1)・2G・2R(2)・2Bには、有機EL素子20における第1電極21に接続されたTFT12がそれぞれ設けられている。各サブ画素2R(1)・2G・2R(2)・2Bの発光強度は、配線14およびTFT12による走査および選択により決定される。このように、有機EL表示装置1は、TFT12を用いて、有機EL素子20を選択的に所望の輝度で発光させることにより画像表示を実現している。
層間絶縁膜13は、各TFT12および配線14を覆うように、上記絶縁基板11上に、上記絶縁基板11の全領域に渡って積層されている。
層間絶縁膜13上には、有機EL素子20における第1電極21が形成されている。
また、層間絶縁膜13には、有機EL素子20における第1電極21をTFT12に電気的に接続するためのコンタクトホール13aが設けられている。これにより、TFT12は、上記コンタクトホール13aを介して、有機EL素子20に電気的に接続されている。
エッジカバー15は、第1電極21の端部で有機EL層が薄くなったり電界集中が起こったりすることで、有機EL素子20における第1電極21と第2電極26とが短絡することを防止するための絶縁層である。
エッジカバー15は、層間絶縁膜13上に、第1電極21の端部を覆うように形成されている。
各サブ画素2R(1)・2G・2R(2)・2Bの第1電極21は、図2に示すように、エッジカバー15のない部分でそれぞれ露出している。
この露出部15R(1)・15G・15R(2)・15Bが、前記したように各サブ画素2R(1)・2G・2R(2)・2Bの発光領域(発光部)となる。
言い換えれば、各サブ画素2R(1)・2G・2R(2)・2Bは、絶縁性を有するエッジカバー15によって仕切られている。エッジカバー15は、素子分離膜としても機能する。
図1に示すように、各サブ画素2R(1)・2G・2R(2)・2Bは、各々、上記露出部15R(1)・15G・15R(2)・15Bにおける発光領域(発光部)と、各露出部15R(1)・15G・15R(2)・15B間の非発光領域15r(1)・15g・15r(2)・15b(非発光部)とで形成されている。
このように、TFT基板10には、露出部15R(1)・15G・15R(2)・15Bにおける各色の発光領域が、有機EL表示装置1のサブ画素2R(1)・2G・2R(2)・2Bを構成するサブ画素領域(すなわち、サブ画素領域の一部)として含まれている。
<有機EL素子20の構成>
図3に示すように、有機EL素子20は、低電圧直流駆動による高輝度発光が可能な発光素子であり、第1電極21、有機EL層、第2電極26が、この順に積層されている。
第1電極21は、上記有機EL層に正孔を注入(供給)する機能を有する層である。第1電極21は、上記したようにコンタクトホール13aを介してTFT12と接続されている。
第1電極21と第2電極26との間には、図3に示すように、有機EL層として、第1電極21側から、正孔注入層兼正孔輸送層22、発光層23R(1)・23G・23R(2)・23B、電子輸送層24、電子注入層25が、この順に形成された構成を有している。
なお、図示してないが、必要に応じて正孔、電子といったキャリアの流れをせき止めるキャリアブロッキング層が挿入されていてもよい。また、一つの層が複数の機能を有していてもよく、例えば、正孔注入層と正孔輸送層とを兼ねた一つの層を形成してもよい。
なお、上記積層順は、第1電極21を陽極とし、第2電極26を陰極としたものである。第1電極21を陰極とし、第2電極26を陽極とする場合には、有機EL層の積層順は反転する。
正孔注入層は、第1電極21から有機EL層への正孔注入効率を高める機能を有する層である。また、正孔輸送層は、発光層23R(1)・23G・23R(2)・23Bへの正孔輸送効率を高める機能を有する層である。正孔注入層兼正孔輸送層22は、第1電極21およびエッジカバー15を覆うように、TFT基板10における表示領域全面に一様に形成されている。
なお、本実施の形態では、上記したように、正孔注入層および正孔輸送層として、正孔注入層と正孔輸送層とが一体化された正孔注入層兼正孔輸送層22を設けている。しかしながら、本実施の形態はこれに限定されるものではなく、正孔注入層と正孔輸送層とは互いに独立した層として形成されていてもよい。
正孔注入層兼正孔輸送層22上には、発光層23R(1)・23G・23R(2)・23Bが、それぞれ、サブ画素2R(1)・2G・2R(2)・2Bに対応して形成されている。
発光層23R(1)・23G・23R(2)・23Bは、第1電極21側から注入された正孔と第2電極26側から注入された電子とを再結合させて光を出射する機能を有する層である。発光層23R(1)・23G・23R(2)・23Bは、それぞれ、低分子蛍光色素、金属錯体等の、電流効率が高い材料で形成されている。
ここで、電流効率とは、単位面積当たりに或る値の電流を流した時に放射される輝度の割合を示すものであり、その単位はcd/Aで示される。
本実施の形態では、各色の発光領域の発光層23R(1)・23G・23R(2)・23Bで同一輝度の光を発生させた場合、発光層23Gの電流効率が最も高い。次いで、発光層23R(1)および発光層23R(2)の電流効率が高く、発光層23Bの電流効率が最も低い。
電子輸送層24は、第2電極26から発光層23R(1)・23G・23R(2)・23Bへの電子輸送効率を高める機能を有する層である。また、電子注入層25は、第2電極26から有機EL層への電子注入効率を高める機能を有する層である。
電子輸送層24は、発光層23R(1)・23G・23R(2)・23Bおよび正孔注入層兼正孔輸送層22を覆うように、これら発光層23R(1)・23G・23R(2)・23Bおよび正孔注入層兼正孔輸送層22上に、TFT基板10における表示領域全面に渡って一様に形成されている。
また、電子注入層25は、電子輸送層24を覆うように、電子輸送層24上に、TFT基板10における表示領域全面に渡って一様に形成されている。
なお、電子輸送層24と電子注入層25とは、上記したように互いに独立した層として形成されていてもよく、互いに一体化して設けられていてもよい。すなわち、有機EL表示装置1は、電子輸送層24および電子注入層25に代えて、電子輸送層兼電子注入層を備えていてもよい。
第2電極26は、上記のような有機層で構成される有機EL層に電子を注入する機能を有する層である。第2電極26は、電子注入層25を覆うように、電子注入層25上に、TFT基板10における表示領域全面に渡って一様に形成されている。
なお、発光層23R(1)・23G・23R(2)・23B以外の有機層は有機EL層として必須の層ではなく、要求される有機EL素子20の特性に応じて適宜形成すればよい。
また、正孔注入層兼正孔輸送層22および電子輸送層兼電子注入層のように、一つの層は、複数の機能を有していてもよい。
また、有機EL層には、必要に応じ、キャリアブロッキング層を追加することもできる。例えば、発光層23R(1)・23G・23R(2)・23Bと電子輸送層24との間にキャリアブロッキング層として正孔ブロッキング層を追加することで、正孔が電子輸送層24に抜けるのを阻止し、各色の発光効率を向上することができる。
上記構成において、第1電極21(陽極)、第2電極26(陰極)、および発光層23R(1)・23G・23R(2)・23B以外の層は、適宜挿入すればよい。
<サブ画素の構成>
従来は、有機EL表示装置1を構成する1つの画素が、赤(R)、緑(G)、青(B)の配列パターンで配列されていた。
これに対し、本実施の形態では、図1〜図3に示すように、最大の電流効率を有する発光層23Gを備えたサブ画素2Gと、最小の電流効率を有する発光層23Bを備えたサブ画素2Bとの間に、これら発光層23Gと発光層23Bとの間の電流効率を有する発光層を備えたサブ画素2R(1)・2R(2)を配置している。これにより、1つの画素2におけるサブ画素の配列を、赤(R)、緑(G)、赤(R)、青(B)としている。
なお、本実施の形態では、従来構成においてGのサブ画素と隣り合っていたRのサブ画素と、本実施の形態においてGのサブ画素とBのサブ画素との間に新たに配置したRのサブ画素とを区別するために、前者のRのサブ画素をサブ画素2R(1)とし、後者のRのサブ画素をサブ画素2R(2)としている。
上記のように配置することで、隣り合う2つのサブ画素のうち一方のサブ画素の発光層が他方のサブ画素の発光領域に侵入したとしても、従来に比して発光層の位置ずれに起因する画質の低下を抑制することができる。この点については後述する。
<サブ画素駆動回路の回路構成>
絶縁基板11上には、各サブ画素2R(1)・2G・2R(2)・2Bに対応して、それぞれTFT12を含むサブ画素駆動回路が設けられている。
図5は、各サブ画素を駆動するサブ画素駆動回路の回路構成を示す図である。
図5に示すように、上記サブ画素駆動回路は、制御用のトランジスタTr1、駆動用のトランジスタTr2、およびコンデンサCを備えている。
トランジスタTr1のソース端子は、ソース線14Sに接続されている。トランジスタTr1のゲート端子は、ゲート線14Gに接続されている。トランジスタTr1のドレイン端子は、トランジスタTr2のゲート端子に接続されている。
トランジスタTr2のドレイン端子は電源配線14Vと接続されている。トランジスタTr2のソース端子は、有機EL素子20に接続されている。
コンデンサCは、トランジスタTr2のドレイン端子とトランジスタTr2のゲート端子との間に設置されている。コンデンサCは、電圧保持用のコンデンサである。
このような構成を有するサブ画素駆動回路においては、データ書込み時に、ゲート線14GがH(ハイ)になることによりトランジスタTr1がオンとなる。これにより、ソース線14Sからのデータ電圧信号がコンデンサCに書き込まれる。続いて、ゲート線14GがL(ロー)となることにより、トランジスタTr1がオフとなる。これにより、コンデンサCとソース線14Sとが遮断され、コンデンサCはデータ書込み時に書き込まれたデータ電圧信号を保持する。
トランジスタTr2の電流は、コンデンサCの両端の電圧の大きさにより決定される。このため、データ電圧信号に応じた電流が有機EL素子に供給される。
なお、各サブ画素駆動回路の構成は上記のものに限定されるものではない。例えば、トランジスタTr1・Tr2の特性バラツキや経年変化を補償するための回路などが追加されることもある。それに伴って、ゲート線14G、ソース線14S、および電源配線14V以外の配線が設けられる場合がある。
<蒸着装置の概略構成>
図6は、本実施の形態で用いられる蒸着装置150の要部の概略構成を示す斜視図である。
図6に示すように、蒸着装置150は、真空チャンバ600内に配置されたマスクユニット500を有する。
マスクユニット500は、蒸着用のマスク102(蒸着マスク)と、蒸着源103と、これらマスク102と蒸着源103との間に配置された制限板300とで構成されている。
これらマスク102、蒸着源103、および制限板300は、例えば同一のホルダ等の保持部材を用いて一体的に形成されており、互いに相対的な位置が固定されている。
蒸着源103は、マスク102および制限板300との間に一定の空隙を有して(つまり、一定距離離間して)対向配置されている。
蒸着源103は、蒸着材料を加熱して蒸発(蒸着材料が液体材料である場合)または昇華(蒸着材料が固体材料である場合)させることで気体状の蒸着粒子を発生させる。
蒸着源103は、制限板300およびマスク102との対向面に、蒸着粒子を射出させる射出口103a(貫通口)を有しており、気体にした蒸着材料を、蒸着粒子として射出口103aから射出させる。
なお、図6では、蒸着源103が複数の射出口103aを有している場合を例に挙げて図示しているが、射出口103aの数は特に限定されるものではなく、少なくとも1つ形成されていればよい。
また、射出口103aは、図6に示すように一次元状(すなわち、ライン状)に配列されていてもよく、二次元状(すなわち、面状(タイル状))に配列されていても構わない。
また、蒸着源103は、るつぼと称される、内部に蒸着材料を直接収容する加熱容器を備えた構成を有していてもよい。
あるいは、別の構成として、上記蒸着源103は、ロードロック式の配管(図示せず)と、該配管に接続された蒸着粒子供給源(図示せず)とを備え、射出口103aが設けられたノズル部に蒸着粒子を供給することで該射出口103aから蒸着粒子を射出する構成を有していてもよい。
マスク102には、所望の位置・形状に、開口部102a(貫通口)が形成されており、マスク102の開口部102aを通過した蒸着粒子のみが、被成膜基板200に到達して蒸着膜を形成する。
これにより、開口部102aに対応する、被成膜基板200の所望の位置にのみ、所望の成膜パターンを有する有機膜が、蒸着膜として蒸着形成される。
なお、図6では、一例として、マスク102に、走査方向と平行な方向に延設された帯状(ストライプ状、スリット状)の開口部102aが、複数配列して設けられている場合を例に挙げて図示している。
被成膜基板200に、前記したようにサブ画素2R(1)・2G・2R(2)・2Bごとに蒸着膜パターンを形成する場合には、マスク102として、サブ画素2R(1)・2G・2R(2)・2Bごとに開口部102aが形成されたファインマスクを使用する。
一方、被成膜基板200における表示領域全面に蒸着膜パターンを形成する場合には、表示領域全面が開口したオープンマスクを使用する。
サブ画素2R(1)・2G・2R(2)・2Bに成膜パターンを形成する例としては、例えば発光層23R(1)・23G・23R(2)・23Bが挙げられる。この場合、蒸着は、発光層23R(1)・23G・23R(2)・23Bの色ごと(つまり、R・G・Bごと)に行われる(これを「塗り分け蒸着」と言う)。
開口部102aは、被成膜基板200への蒸着膜のパターン形成として、TFT基板10における発光層23R(1)・23G・23R(2)・23Bの塗り分け形成を行う場合、これら発光層23R(1)・23G・23R(2)・23Bの同色列のサイズとピッチとに合わせて形成される。
例えば、赤色を表示するサブ画素2R(1)・2R(2)の発光層23R(1)・23R(2)の成膜を行う場合、赤色の発光材料を蒸着させる領域のみが開口したファインマスクを蒸着用のマスク102として用いて、成膜を行う。
また、表示領域全面に蒸着膜パターンを形成する例としては、正孔注入層兼正孔輸送層22(もしくは正孔注入層、正孔輸送層)、電子輸送層24、電子注入層25等がある。
この場合、表示領域全面および成膜が必要な領域のみ開口しているオープンマスクを蒸着用のマスク102として用いて成膜を行う。なお、第2電極26についても同様である。
但し、有機膜を被成膜基板200の被成膜面200aの全面に成膜する場合には、マスク102は必ずしも必要ではない。
制限板300には、上下方向に貫通する複数の開口部301(貫通口)が形成されている。
蒸着源103の射出口103aから射出された蒸着粒子は、制限板300の開口部301およびマスク102の開口部102aを通って被成膜基板200に達する。
蒸着源103の射出口103aから射出された蒸着粒子は、ある程度の広がりを持って放射状に射出される。
しかしながら、蒸着源103の射出口103aから射出された蒸着粒子が制限板300の開口部301を通ることで、被成膜基板200に入射される蒸着粒子の角度は、一定の角度以下に制限される。
すなわち、制限板300を用いてスキャン蒸着を行う場合、制限板300によって制限された蒸着粒子の広がり角度よりも大きい射出角度を有する蒸着粒子は、制限板300によって全て遮蔽される。
なお、制限板300は、斜め成分の蒸着粒子をカットするため、加熱しないか、図示しない熱交換器により冷却される。このため、制限板300は、蒸着源103の射出口103aよりも低い温度になっている。
また、被成膜基板200の方向に蒸着粒子を飛来させないときには、図示しないシャッタを、制限板300と蒸着源103との間に配置する必要がある。
このため、被成膜基板200の被成膜面200aに垂直な方向における制限板300の位置は、制限板300が、マスク102と蒸着源103との間に、蒸着源103から離間して設けられてさえいれば、特に限定されるものではない。制限板300は、例えばマスク102に密着して設けられていてもよい。
制限板300の長辺の幅は、例えば、マスク102の長辺の幅と同程度の大きさに形成され、制限板300の短辺の幅は、例えば、マスク102の短辺の幅と同程度の大きさに形成される。
なお、図6では、マスク102と蒸着源103との間に上記したように制限板300が設けられている場合を例に挙げて図示しているが、制限板300は、必ずしも必須ではない。
また、図6では、蒸着源103が被成膜基板200の下方に配されており、被成膜基板200が、その被成膜面200aが下方を向いている状態で、蒸着源103から蒸着粒子を上方に向かって射出して被成膜基板200に蒸着(アップデポジション)させる場合を例に挙げて示している。
しかしながら、上記蒸着方法はこれに限定されるものではなく、蒸着源103を、被成膜基板200の上方に設け、蒸着源103から蒸着粒子を下方に向かって射出して被成膜基板200に蒸着(ダウンデポジション)させてもよい。
また、蒸着源103は、例えば、横方向に向けて蒸着粒子を射出する機構を有し、被成膜基板200の被成膜面200a側が蒸着源103側を向いて垂直方向に立てられている状態で、蒸着粒子を横方向に射出して被成膜基板200に蒸着(サイドデポジション)させてもよい。
<有機EL表示装置1の製造方法>
図7は、有機EL表示装置1の製造工程を工程順に示すフローチャートである。
図7に示すように、本実施の形態にかかる有機EL表示装置1の製造方法は、例えば、TFT基板・第1電極作製工程(S1)、正孔注入層・正孔輸送層蒸着構成(S2)、発光層蒸着工程(S3)、電子輸送層蒸着工程(S4)、電子注入層蒸着工程(S5)、第2電極蒸着工程(S6)、封止工程(S7)を備えている。
以下に、図7に示すフローチャートに従って、図2および図3を参照して上記した各工程について説明する。
但し、本実施の形態に記載されている各構成要素の寸法、材質、形状等はあくまで一実施形態に過ぎず、これによって本発明の範囲が限定解釈されるべきではない。
また、上記したように、本実施形態に記載の積層順は、第1電極21を陽極、第2電極26を陰極としたものであり、反対に第1電極21を陰極とし、第2電極26を陽極とする場合には、有機EL層の積層順は反転する。同様に、第1電極21および第2電極26を構成する材料も反転する。
まず、図3に示すように、公知の技術でTFT12並びに配線14等が形成されたガラス等の絶縁基板11上に感光性樹脂を塗布し、フォトリソグラフィ技術によりパターニングを行うことで、絶縁基板11上に層間絶縁膜13を形成する。
絶縁基板11としては、例えば厚さが0.7〜1.1mmであり、y軸方向の長さ(縦長さ)が400〜500mmであり、x軸方向の長さ(横長さ)が300〜400mmのガラス基板あるいはプラスチック基板が用いられる。なお、本実施の形態では、ガラス基板を用いた。
層間絶縁膜13としては、例えば、アクリル樹脂やポリイミド樹脂等を用いることができる。アクリル樹脂としては、例えば、JSR株式会社製のオプトマーシリーズが挙げられる。また、ポリイミド樹脂としては、例えば、東レ株式会社製のフォトニースシリーズが挙げられる。但し、ポリイミド樹脂は一般に透明ではなく、有色である。このため、図3に示すように、有機EL表示装置1としてボトムエミッション型の有機EL表示装置を製造する場合には、層間絶縁膜13としては、アクリル樹脂等の透明性樹脂が、より好適に用いられる。
層間絶縁膜13の膜厚としては、TFT12による段差を補償することができればよく、特に限定されるものではない。本実施の形態では、例えば、約2μmとした。
次に、層間絶縁膜13に、第1電極21をTFT12に電気的に接続するためのコンタクトホール13aを形成する。
次に、導電膜(電極膜)として、例えばITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)膜を、スパッタ法等により、100nmの厚さで成膜する。
次いで、上記ITO膜上にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングを行った後、塩化第二鉄をエッチング液として、上記ITO膜をエッチングする。その後、レジスト剥離液を用いてフォトレジストを剥離し、さらに基板洗浄を行う。これにより、層間絶縁膜13上に、第1電極21をマトリクス状に形成する。
なお、第1電極21に用いられる導電膜材料としては、例えば、ITO、IZO(Indium Zinc Oxide:インジウム亜鉛酸化物)、ガリウム添加酸化亜鉛(GZO)等の透明導電材料、金(Au)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)等の金属材料を用いることができる。
また、上記導電膜の積層方法としては、スパッタ法以外に、真空蒸着法、CVD(chemical vapor deposition、化学蒸着)法、プラズマCVD法、印刷法等を用いることができる。
第1電極21の厚さとしては特に限定されるものではないが、上記したように、例えば、100nmの厚さとすることができる。
次に、層間絶縁膜13と同様にして、エッジカバー15を、例えば約1μmの膜厚でパターニング形成する。エッジカバー15の材料としては、層間絶縁膜13と同様の絶縁材料を使用することができる。
以上の工程により、TFT基板10および第1電極21が作製される(S1)。
次に、上記のような工程を経たTFT基板10に対し、脱水のための減圧ベークおよび第1電極21の表面洗浄として酸素プラズマ処理を施す。
次いで、従来の蒸着装置を用いて、TFT基板10上に、正孔注入層および正孔輸送層(本実施の形態では正孔注入層兼正孔輸送層22)を、TFT基板10における表示領域全面に蒸着する(S2)。
具体的には、表示領域全面が開口したオープンマスクを、TFT基板10に対しアライメント調整を行った後に密着して貼り合わせ、TFT基板10とオープンマスクとを共に回転させながら、蒸着源より飛散した蒸着粒子を、オープンマスクの開口部を通じて表示領域全面に均一に蒸着する。
ここで表示領域全面への蒸着とは、隣接した色の異なるサブ画素間に渡って途切れなく蒸着することを意味する。
正孔注入層と正孔輸送層とは、上記したように一体化されていてもよく、独立した層として形成されていてもよい。各々の膜厚としては、例えば、10〜100nmである。
正孔注入層、正孔輸送層、あるいは正孔注入層兼正孔輸送層22の材料としては、例えば、アントラセン、アザトリフェニレン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、トリフェニレン、ベンジン、スチリルアミン、トリフェニルアミン、ポルフィリン、トリアゾール、イミダゾール、オキサジアゾール、オキザゾール、ポリアリールアルカン、フェニレンジアミン、アリールアミン、およびこれらの誘導体、チオフェン系化合物、ポリシラン系化合物、ビニルカルバゾール系化合物、アニリン系化合物等の鎖状式あるいは環式共役系のモノマー、オリゴマー、またはポリマー等が挙げられる。
本実施の形態では、正孔注入層および正孔輸送層として、正孔注入層兼正孔輸送層22を設けるとともに、正孔注入層兼正孔輸送層22の材料として、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)を使用した。また、正孔注入層兼正孔輸送層22の膜厚は30nmとした。
次に、上記正孔注入層兼正孔輸送層22上に、エッジカバー15の露出部15R(1)・15G・15R(2)・15Bを覆うように、サブ画素2R(1)・2G・2R(2)・2Bに対応して発光層23R(1)・23G・23R(2)・23Bをそれぞれ塗り分け形成(パターン形成)する(S3)。
上記したように、発光層23R(1)・23G・23R(2)・23Bには、低分子蛍光色素、金属錯体等の電流効率が高い材料が用いられる。例えば、アントラセン、ナフタレン、インデン、フェナントレン、ピレン、ナフタセン、トリフェニレン、アントラセン、ペリレン、ピセン、フルオランテン、アセフェナントリレン、ペンタフェン、ペンタセン、コロネン、ブタジエン、クマリン、アクリジン、スチルベン、およびこれらの誘導体、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体、ビス(ベンゾキノリノラト)ベリリウム錯体、トリ(ジベンゾイルメチル)フェナントロリンユーロピウム錯体、ジトルイルビニルビフェニル等が挙げられる。
発光層23R(1)・23G・23R(2)・23Bの膜厚としては、例えば、10〜100nmである。
本実施の形態にかかる蒸着方法並びに蒸着装置を用いた発光層23R(1)・23G・23R(2)・23Bの塗り分け形成については、後で詳述する。
次に、上記した正孔注入層・正孔輸送層蒸着工程(S2)と同様の方法により、電子輸送層24を、上記正孔注入層兼正孔輸送層22および発光層23R(1)・23G・23R(2)・23Bを覆うように、上記TFT基板10における表示領域全面に蒸着する(S4)。
続いて、上記した正孔注入層・正孔輸送層蒸着工程(S2)と同様の方法により、電子注入層25を、上記電子輸送層24を覆うように、上記TFT基板10における表示領域全面に蒸着する(S5)。
電子輸送層24および電子注入層25の材料としては、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェニルキノキサリン誘導体、シロール誘導体等が挙げられる。
具体的には、Alq(トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム)、アントラセン、ナフタレン、フェナントレン、ピレン、アントラセン、ペリレン、ブタジエン、クマリン、アクリジン、スチルベン、1,10−フェナントロリン、およびこれらの誘導体や金属錯体、LiF等が挙げられる。
上記したように電子輸送層24と電子注入層25とは、一体化されていても独立した層として形成されていてもよい。各々の膜厚としては、例えば、1〜100nmである。また、電子輸送層24および電子注入層25の合計の膜厚は、例えば20〜200nmである。
本実施の形態では、電子輸送層24の材料にAlqを使用し、電子注入層25の材料には、LiFを使用した。また、電子輸送層24の膜厚は30nmとし、電子注入層25の膜厚は1nmとした。
次に、上記した正孔注入層・正孔輸送層蒸着工程(S2)と同様の方法により、第2電極26を、上記電子注入層25を覆うように、上記TFT基板10における表示領域全面に蒸着する(S6)。
第2電極26の材料(電極材料)としては、仕事関数の小さい金属等が好適に用いられる。このような電極材料としては、例えば、マグネシウム合金(MgAg等)、アルミニウム合金(AlLi、AlCa、AlMg等)、金属カルシウム等が挙げられる。第2電極26の厚さは、例えば50〜100nmである。
本実施の形態では、第2電極26としてアルミニウムを50nmの膜厚で形成した。これにより、TFT基板10上に、上記した有機EL層、第1電極21、および第2電極26からなる有機EL素子20を形成した。
次いで、有機EL素子20が形成されたTFT基板10と、封止基板40とを、接着層30にて貼り合わせ、有機EL素子20の封入を行った。
封止基板40としては、例えば厚さが0.4〜1.1mmのガラス基板あるいはプラスチック基板等の絶縁基板が用いられる。なお、本実施の形態では、ガラス基板を用いた。
なお、封止基板40の縦長さおよび横長さは、目的とする有機EL表示装置1のサイズにより適宜調整してもよく、TFT基板10における絶縁基板11と略同一のサイズの絶縁基板を使用し、有機EL素子20を封止した後で、目的とする有機EL表示装置1のサイズに従って分断してもよい。
なお、有機EL素子20の封止方法としては、上記した方法に限定されない。他の封止方式としては、例えば、掘り込みガラスを封止基板40として使用し、封止樹脂やフリットガラス等により枠状に封止を行う方法や、TFT基板10と封止基板40との間に樹脂を充填する方法等が挙げられる。有機EL表示装置1の製造方法は、上記封止方法に依存せず、あらゆる封止方法を適用することが可能である。
また、第2電極26上には、該第2電極26を覆うように、酸素や水分が外部から有機EL素子20内に浸入することを阻止する、図示しない保護膜が設けられていてもよい。
上記保護膜は、絶縁性や導電性の材料で形成される。このような材料としては、例えば、窒化シリコンや酸化シリコンが挙げられる。また、上記保護膜の厚さは、例えば100〜1000nmである。
上記の工程により、有機EL表示装置1が完成される。
このような有機EL表示装置1において、配線14からの信号入力によりTFT12をオン(トランジスタTr1をオンしてコンデンサCの電圧を決定した後にTr2をオン)させると、第1電極21から有機EL層へ正孔が注入される。一方で、第2電極26から有機EL層に電子が注入され、正孔と電子とが発光層23R(1)・23G・23R(2)・23B内で再結合する。再結合した正孔および電子がエネルギーを失活する際に、光として出射される。
有機EL表示装置1においては、各サブ画素2R(1)・2G・2R(2)・2Bの発光輝度を制御することで、所定の画像が表示される。
<発光層の塗り分け方法>
以下に、蒸着装置150を用いて発光層23R(1)・23G・23R(2)・23Bの塗り分け形成を行う方法について具体的に説明する。
図8は、図7に示す蒸着装置150を用いて、被成膜基板200としてTFT基板10を使用し、該被成膜基板200に所定のパターンを成膜する方法の一例を示すフローチャートである。
まず、図6に示すように、蒸着源103、マスク102(ファインマスク)、制限板300、被成膜基板200をそれぞれ真空チャンバ600内に投入し、これら蒸着源103、マスク102、制限板300、被成膜基板200のアライメントを行う(S11)。
なお、アライメントには、マスクホルダ等のホルダやアライメントマーカ等、常用の手段並びに方法を用いることができ、その順番も特に限定されない。
マスク102および制限板300は、蒸着源103とマスク102との間に制限板300が位置するように、それぞれ蒸着源103上に設置(固定)される。
マスク102、制限板300、蒸着源103は、その相対的な位置が固定されるように、例えばマスクユニット500として用いられる。
これらマスクユニット500および被成膜基板200は、それぞれ、図示しないマスクユニット保持部材、被成膜基板保持部材等により保持される。
なお、上記アライメントでは、蒸着源103とマスク102とが、これら蒸着源103とマスク102との間の距離が一定に保持されると同時に、基板走査方向とマスク102に形成されたストライプ状の開口部102aの長軸方向とが一致するように位置合わせされる。
また、被成膜基板200は、該被成膜基板200の同色サブ画素列の方向が基板走査方向に一致するように位置合わせされるとともに、被成膜基板200とマスク102との間の隙間(基板−マスクギャップ)が一定になるようにギャップ調整される。
次に、上記被成膜基板200およびマスクユニット500の少なくとも一方を走査しながら、被成膜基板200であるTFT基板10に、例えば青色の発光層23Bの材料を蒸着させる(S12)。
このとき、被成膜基板200が、マスク102上を通過するように基板走査を行う。
発光層23Bは、その材料に、3−フェニル−4(1’−ナフチル)−5−フェニル−1,2,4−トリアゾール(TAZ)(ホスト材料)と、2−(4’−t−ブチルフェニル)−5−(4’’−ビフェニルイル)−1,3,4−オキサジアゾール(t−Bu PBD)(青色発光ドーパント)とを使用し、それぞれの蒸着速度を5.0nm/s、0.67nm/sとして、これら材料(青色有機材料)を共蒸着させることにより形成した。
蒸着源103から射出された青色有機材料の蒸着粒子は、被成膜基板200がマスク102上を通過するときに、マスク102の開口部102aを通じて、マスク102の開口部102aに対向する位置に蒸着される。
これにより、被成膜基板200には、その移動方向における一端部から他端部に亘ってストライプ状の蒸着膜が形成される。
なお、このときのマスク102には、被成膜基板200に成膜される蒸着膜のパターンに応じて開口部102aが形成されたファインマスクを使用した。すなわち、ここでは、発光層23Bに相当する位置に開口部102aを有するファインマスクを使用した。
発光層の膜厚は、往復走査(つまり、被成膜基板200の往復移動)並びに走査速度により調整することができる。
本実施の形態では、図6に示すように一方向に被成膜基板200を走査した後、該被成膜基板200の走査方向を反転させ、先の一方向への蒸着と同様の方法を用いて、先の一方向への蒸着で形成した上記青色有機材料からなる蒸着膜上に、さらに上記青色有機材料を蒸着させた。これにより、膜厚50nmの発光層23Bを形成した。
その後、発光層23Bが形成された被成膜基板200を真空チャンバ600から取り出した(S13)。
次に、赤色の発光層23R(1)・23R(2)形成用のマスクユニット500並びに真空チャンバ600を用いて、上記発光層23Bが形成された被成膜基板200に、上記発光層23Bの成膜処理と同様にして、赤色の発光層23R(1)・23R(2)を成膜した。
なお、発光層23R(1)・23R(2)の成膜処理では、マスク102として、これら発光層23R(1)・23R(2)に相当する位置に開口部102aを有するファインマスクを準備した。
そして、上記マスク102を、発光層23R(1)・23R(2)形成用の真空チャンバ600に設置し、マスク102の開口部102aが、各サブ画素2R(1)・2R(2)列に一致するようにアライメントして、蒸着を行った。
発光層23R(1)・23R(2)は、その材料に、TAZ(ホスト材料)と、ビス(2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナト−N,C3’)イリジウム(アセチルアセトネート)(btp2Ir(acac))(赤色発光ドーパント)とを使用し、それぞれの蒸着速度を5.0nm/s、0.53nm/sとして、これら材料(赤色有機材料)を共蒸着させることにより形成した。
なお、上記発光層23R(1)・23R(2)の膜厚は、それぞれ50nmとした。
その後、発光層23R(1)・23R(2)が形成された被成膜基板200を真空チャンバ600から取り出した。
また、このようにして発光層23R(1)・23R(2)を形成した後、緑色の発光層23G形成用のマスクユニット500並びに真空チャンバ600を用いて、発光層23B・23R(1)・23R(2)の成膜処理と同様にして、緑色の発光層23Gを成膜した。
なお、発光層23Gの成膜処理では、マスク102として、発光層23Gに相当する位置に開口部102aを有するファインマスクを準備した。
そして、上記マスク102を、発光層23G形成用の各真空チャンバ600に設置し、マスク102の開口部102aが、各サブ画素2G列に一致するようにアライメントして、蒸着を行った。
上記発光層23Gは、その材料に、(TAZ)(ホスト材料)と、Ir(ppy)3(緑色発光ドーパント)とを使用し、それぞれの蒸着速度を5.0nm/s、0.67nm/sとして、これら材料(緑色有機材料)を共蒸着させることにより形成した。
なお、上記発光層23Gの膜厚は、それぞれ50nmとした。
以上の工程によって、発光層2R(1)・2G・2R(2)・2Bがパターン形成されたTFT基板10を得た。
<サブ画素配列と混色との関係>
次に、本実施の形態にかかる有機EL表示装置1におけるサブ画素配列による効果について、TFT基板10における各発光層2R(1)・2G・2R(2)・2Bの蒸着膜パターンの位置ずれと混色との関係から説明する。
図1〜図3に示すように、有機EL表示装置1では、緑(G)色のサブ画素列と青(B)色のサブ画素列との間には、常に赤(R)色のサブ画素列が配置されている。
この理由は、以下の通りである。
各色のサブ画素は、前述したように電流効率が互いに異なり、一般的に、G、R、Bの順に大きい(Gが最も高い)。
前記したように、G、R、Bのサブ画素ごとに塗り分けられた蒸着膜のパターン、特に、発光層23R(1)・23G・23R(2)・23Bのパターンに位置ずれが生じた場合、その位置ずれが許容範囲を超えると、隣り合う2つのサブ画素(以下、説明の便宜上、サブ画素(P1)・(P2)と記す)のうち、一方のサブ画素(P1)の領域で形成されるべき発光層が、他方のサブ画素(P2)の発光領域に侵入してしまう。
このとき、侵入された側のサブ画素(P2)の発光領域における発光層の色が、侵入したサブ画素(P1)における発光層の色と異なる場合、サブ画素(P2)の発光領域では、サブ画素(P1)の発光層の色の影響を受ける。すなわち、隣り合うサブ画素(P1)・(P2)の色が混じりあう、いわゆる混色が発生する。
混色の影響は、混色する色の発光層同士の電流効率の差に依存する。
ここで、侵入される側のサブ画素(P2)の発光層の電流効率が、侵入する側のサブ画素(P1)の発光層の電流効率と比べて相対的に低いと仮定する。
この場合、発光層の位置ずれにより、サブ画素(P2)の発光領域に、サブ画素(P1)の発光層が侵入して重なると、わずかな侵入であっても、放射される光度(光の強度)が大きくなる。
すなわち、各色の発光層間の電流効率差が大きいほど、混色の影響が大きくなる。
<電流効率差と混色の影響との関係>
以下に、電流効率差と混色の影響との関係について、計算式を用いて説明する。
ここで、上記サブ画素(P2)に侵入するサブ画素(P1)の発光層の割合をkとする。なお、ここで、kは、サブ画素(P2)の発光領域に対する、サブ画素(P2)において発光層の重なっている領域(重畳領域)の面積比に等しい。
また、サブ画素(P2)で発光層が重畳することにより総膜厚が増えて電気抵抗が増加する割合をN倍とする。
このとき、或る電流値において、混色のない(侵入のない)状態での上記サブ画素(P2)における発光層の電気抵抗をRxとすると、混色が生じた場合の上記サブ画素(P2)における発光層の全抵抗は、抵抗値「Rx/(1−k)」の抵抗と抵抗値「N×Rx/k」の抵抗との並列回路と見なせる。
有機EL素子20が定電流密度iで駆動されている時、重畳領域での電流密度isと非重畳領域での電流密度imとは、それぞれ(式1)、(式2)で示される。
ここで、k=0.1、N=5とおけば、is=1/46×i、im=45/46×iとなる。つまり、この割合で電流が重畳領域と非重畳領域に振り分けられる。
次に、重畳領域に流れた電流が、サブ画素(P2)における発光領域での発光に寄与する割合をξとする。
すなわち、割合ξに相当する分の電流は、本来発光すべき、サブ画素(P2)の色の出力光に変換される。
しかしながら、割合(1−ξ)に相当する分の電流は、サブ画素(P2)に隣接するサブ画素(P1)の色の出力光に変換される。
したがって、サブ画素(P2)の発光層の電流効率をηとし、サブ画素(P2)に侵入する、隣りのサブ画素(P1)の発光層の電流効率をηxとした時、サブ画素(P2)の発光色の発光輝度Eと、隣りのサブ画素(P1)の発光色の発光輝度Exとは、それぞれ(式3)、(式4)で示される。
上述のkとNの値を用い、ξ=0.5とすれば、E=91/92×η×i、Ex=1/92×ηx×iと表せる。
ここで、サブ画素(P2)にサブ画素(P1)の発光層が侵入しない状態では、E=η×i、Ex=0であるので、サブ画素(P2)では、本来の発光輝度が91/92に低下する一方で、1/92×ηx×iの分だけサブ画素(P1)の色が混ざって現れる。
(式4)から明らかなように、ηxおよびiが大きければ大きいほど、混色の影響(Exの値)は、強くなる。ηxが最大となるのは、電流効率が最大の発光層であり、iが大きくなるのは電流効率が最小の発光層である。すなわち、最小の電流効率の発光層を形成するサブ画素の発光領域に、最大の電流効率の発光層が侵入する場合に、混色の影響が最も強くなる。
なお、本実施の形態並びに後述する各実施の形態において、「電流効率」は、特に言及しない限り、各色の発光領域の発光層で同一の輝度の光を発生させたときの電流効率を示すものとする。
サブ画素として、本実施の形態のようにG、R、Bの3色のサブ画素で1画素を構成する場合、Gのサブ画素は、Bのサブ画素に比して、電流効率(cd/A)、つまり、単位電流当たりの発光輝度が非常に大きい。
すなわち、同一の電流量ではGのサブ画素の方がBのサブ画素に比して発光輝度が高い(強く光る)。
したがって、Bのサブ画素の発光領域にGのサブ画素の発光層が侵入した場合、仮に混色が発生している領域の面積が小さくても、Gのサブ画素の方がBのサブ画素に比して発光が強いため、混色発生領域では、Bと大きく異なる色が出力される。この結果、混色が明瞭に現れることとなる。
このような混色の発生は、有機EL表示装置の表示品質の低下を招来する。
そこで、本実施の形態では、従来構成において隣り合っていたサブ画素2Gとサブ画素2Bとの間に、図1〜図3に示すようにサブ画素2R(2)を配置し、各画素2において、各色のサブ画素を、サブ画素2R(1)/サブ画素2G/サブ画素2R(2)/サブ画素2Bの順に一次元状に配列した。
つまり、本実施の形態では、行方向に、赤(R)/緑(G)/赤(R)/青(B)の順にサブ画素を配列した。
本実施の形態によれば、各色のサブ画素をこのように配列することで、隣り合う2つのサブ画素(P1)・(P2)のうち一方のサブ画素(P1)の発光層が他方のサブ画素(P2)の発光領域に侵入したとしても、従来に比して発光層の位置ずれに起因する画質の低下を抑制することができる。
<蒸着パターンの位置ずれが発生したときの各サブ画素での光の挙動>
次に、上記したように各サブ画素2R(1)・2G・2R(2)・2Bを配列したときに蒸着パターンの位置ずれが発生した場合の各サブ画素2R(1)・2G・2R(2)・2Bでの光の挙動について具体的に説明する。
図9の(a)〜(h)は、有機EL表示装置1の画素2における、各サブ画素2R(1)・2G・2R(2)・2Bのうち、隣り合う一方のサブ画素の発光層が他方のサブ画素の発光領域に侵入するパターンを、TFT基板10の要部の構成を用いて模式的に示す図である。
ここでは、図9の(a)〜(h)に示すように、各色の発光層に位置ずれが発生し、隣り合う2つのサブ画素のうち一方のサブ画素における発光層が他方のサブ画素における発光領域に侵入した状況を想定する。
この場合、図9の(a)〜(h)に示す8つの侵入パターン(パターン(1)〜(8))が想定される。
パターン(1):図9の(a)に示すように、露出部15R(1)におけるサブ画素2R(1)の発光領域内に、サブ画素2R(1)の発光層23R(1)を形成後に、サブ画素2Gの発光層23Gが侵入するパターン。
パターン(2):図9の(b)に示すように、露出部15R(1)におけるサブ画素2R(1)の発光領域内に、サブ画素2R(1)の発光層23R(1)を形成する前に、サブ画素2Gの発光層23Gが侵入するパターン。
パターン(3):図9の(c)に示すように、露出部15Gにおけるサブ画素2Gの発光領域内に、サブ画素2Gの発光層23Gを形成する前に、サブ画素2R(1)の発光層23R(1)が侵入するパターン。
パターン(4):図9の(d)に示すように、露出部15Gにおけるサブ画素2Gの発光領域内に、サブ画素2Bの発光層23Bを形成後に、サブ画素2R(2)の発光層23R(2)が侵入するパターン。
パターン(5):図9の(e)に示すように、露出部15Bにおけるサブ画素2Bの発光領域内に、サブ画素2Bの発光層23Bを形成後に、サブ画素2R(2)の発光層23R(2)が侵入するパターン。
パターン(6):図9の(f)に示すように、露出部15Bにおけるサブ画素2Bの発光領域内に、サブ画素2Gの発光層23Gを形成する前に、サブ画素2R(2)の発光層23R(2)が侵入するパターン。
パターン(7):図9の(g)に示すように、露出部15R(1)におけるサブ画素2R(2)の発光領域内に、サブ画素2R(2)の発光層23R(2)を形成する前に、サブ画素2Bの発光層23Bが侵入するパターン。
パターン(8):図9の(h)に示すように、露出部15R(2)におけるサブ画素2R(2)の発光領域内に、サブ画素2R(2)の発光層23R(2)を形成後に、サブ画素2Bの発光層23Bが侵入するパターン。
図9の(a)に示すパターン(1)の場合、サブ画素2R(1)の発光領域内で、R色の光(R光)にG色の光(G光)が混じる混色が発生する。
しかし、発光層23R(1)と発光層23Gとの電流効率の差は、発光層23Bと発光層23Gとの電流効率の差よりも小さい。換言すれば、同一輝度の光を発光層23R(1)と発光層23Bとで発生させる場合、発光層23Bよりも発光層23R(1)の方が、電流効率が高く、必要とする電流が小さい。
電流が小さければ、G光の発光輝度も小さくなる。したがって、サブ画素2Bの発光領域内にサブ画素2Gの発光層23Gが侵入する場合よりも混色の影響は小さくなる。
図9の(b)に示すパターン(2)の場合も、パターン(1)と同様である。
図9の(c)に示すパターン(3)の場合、サブ画素2Gの発光領域内で、G光にR光が混じる混色が発生する。
しかし、発光層23R(1)と発光層23Gとの電流効率の差は、発光層23Bと発光層23Gとの電流効率の差よりも小さい。換言すれば、同一輝度の光を発光層23R(1)と発光層23Bとで発生させる場合、発光層23Bよりも発光層2R(1)の方が、電流効率が高く、必要とする電流が小さい。
そのため、サブ画素2Gの発光領域内にサブ画素2Bの発光層23Bが侵入する場合よりも発光層23R(1)が侵入する場合の方が、混色の影響は大きくなる。但し、発光層23Gの電流効率は最大であるため、発光層23Gに必要とする電流は最も小さい。電流が小さければ、R光の発光輝度も小さくなる。
したがって、サブ画素2Gの発光領域内にサブ画素2Rの発光層23R(1)が侵入しても、混色の影響は重大な問題となり難い。
図9の(d)に示すパターン(4)の場合も、パターン(3)と同様である。
図9の(e)に示すパターン(5)の場合、サブ画素2Bの発光領域内でB色の光(B光)にR光が混じる混色が発生する。
しかし、発光層23R(2)と発光層23Bとの電流効率の差は、発光層23Gと発光層23Bとの電流効率の差よりも小さい。換言すれば、発光層23R(2)の電流効率は、発光層23Gの電流効率よりも小さい。
したがって、サブ画素2Bの発光領域内にサブ画素2Gの発光層23Gが侵入する場合よりも混色の影響は小さくなる。
図9の(f)に示すパターン(6)の場合も、パターン(5)と同様である。
図9の(g)に示すパターン(7)の場合、サブ画素2R(2)の発光領域内で、R光にB光が混じる混色が発生する。
しかし、発光層23Bと発光層23R(2)との電流効率の差は、発光層23Gと発光層23R(2)との電流効率の差よりも小さい。換言すれば、発光層23Bの電流効率は、発光層23Gの電流効率よりも小さい。
したがって、サブ画素2R(2)の発光領域内にサブ画素2Gの発光層23Gが侵入する場合よりも混色の影響は小さくなる。
図9の(h)に示すパターン(8)の場合も、パターン(7)と同様である。
いずれの場合も、最大の電流効率を有する色の発光層(発光層23G)と、最小の電流効率を有する色の発光層(発光層23B)とにおいて、最小の電流効率を有する色の発光層の発光領域に、最大の電流効率を有する色の発光層が侵入するパターンよりも、混色の影響を小さくすることができる。
以上、まとめると、(I)侵入する側のサブ画素(P1)の発光層の電流効率が、侵入される側のサブ画素(P2)の発光層の電流効率よりも高い場合(P1の発光層の電流効率>P2の発光層の電流効率)には、Bの発光領域に発光層23Gが侵入した場合よりも、混色の影響は小さくなる。
また、(II)侵入された側のサブ画素(P2)の発光層の電流効率が、侵入した側のサブ画素(P1)の発光層の電流効率よりも高い場合(P2の発光層の電流効率>P1の発光層の電流効率)には、侵入された側のサブ画素(P2)に流れる電流は小さくてよいので、侵入した側のサブ画素(P1)の発光層による発光色の発光輝度が小さくなる。このため、混色の影響が重大な問題となり難い。
本実施の形態によれば、上記したように、同一の輝度を複数の色の発光層で発生させたときに、電流効率が最も大きい色の発光層と、電流効率が最も小さい色の発光層との間に、両電流効率の中間の大きさの電流効率を有する色の発光層が常に介在している。
このため、上記電流効率が最も大きい色の発光層の発光色と、上記電流効率が最も小さい色の発光層の発光色とが混色するおそれがない。
よって、上記サブ画素配列とすることで、最終的に得られた有機EL表示装置1において、発光層の位置ずれに起因してたとえ混色が生じたとしても、電流効率が最も大きい色の発光層と電流効率が最も小さい色の発光層とが混色する場合と比較して混色の影響を小さくすることができる。
例えば、従来のようにGのサブ画素とBのサブ画素とが隣接して配列されている場合に、G光とB光とが混色する場合と比較して混色の影響を小さくすることができ、これによる画質低下を抑制することができる。
したがって、本実施の形態によれば、サブ画素間の非発光領域を拡大することなく、上記した混色の影響を小さくすることができる。この結果、有機EL表示装置1の信頼性や表示品位を向上させることができる。
<サブ画素配列の変形例>
なお、本実施の形態においては、上記したように、カラー表示を行うための最小構成単位の画素がRGBの3原色からなる3色のサブ画素からなり、1つの画素における各色のサブ画素の配列、言い換えれば、TFT基板10の1画素領域における各サブ画素領域における発光層の発光色の並び順を、R/G/R/Bとした場合について説明した。
しかしながら、上記配列は、電流効率の順列に基づいて適宜配置すればよく、発光色の配列は前記配列に限定されるものではない。
図10は、蒸着膜の電流効率が異なるN(Nは3以上の整数)種のサブ画素からなる画素が、一次元方向(つまり、一方向)に配列されている例を模式的に示す図である。
なお、隣り合う2つのサブ画素は、最大の電流効率を有する色の発光層(蒸着膜)を備えたサブ画素と、最小の電流効率を有する色の発光層(蒸着膜)を備えたサブ画素との組み合わせ以外の組み合わせのサブ画素とされている。
図10では、各色のサブ画素に対し、発光層の電流効率の大きいものから順に「1」から「N」まで番号を振っている。
従来では、隣り合う2つのサブ画素の組み合わせとして、最大の電流効率を有する蒸着膜を備えたサブ画素と最小の電流効率を有する蒸着膜を備えたサブ画素とが隣り合っていた。
これに対し、本実施の形態では、最大の電流効率を有する色の発光層を備えたサブ画素(図10中、「1」のサブ画素)と、最小の電流効率を有する色の発光層を備えたサブ画素(図10中、「N」のサブ画素)と間に、発光層の電流効率の大小順が「K(K=2〜(N−1)までの何れかの整数)」番目のサブ画素(最大または最小の電流効率を有する色の発光層を備えたサブ画素以外のサブ画素)を配置する。すなわち、左から(N−1)、(N−2)、・・・、2、1、2、・・・(N−1)、Nの順にサブ画素を配置する。
これにより、隣り合う位置に配置された2つのサブ画素に着目した場合に、一方のサブ画素の発光層が他方のサブ画素の発光領域に侵入したとしても、その侵入による混色の程度(色の変化の度合い)を、従来構成に比して抑制することができる。その結果、従来構成に比して画質の低下を抑制することができる。
なお、一般的には、前記したように、G色の発光層の電流効率が最も高く、B色の発光層の電流効率が最も低い。
しかしながら、前記したように、発光層は、低分子蛍光色素等の蛍光色素や、金属錯体等、電流効率が高い材料で形成されており、ホスト材料や発光ドーパント等の材料を適宜変更し、組み合わせることで、電流効率が変わる。
したがって、例えば、発光層の電流効率が〔G〕→〔B〕→〔R〕の順に小さくなるのであれば、上記サブ画素配列を、〔B〕/〔G〕/〔B〕/〔R〕の発光層順とすればよい。
なお、ここで、電流効率の大きさを示す順番もしくは配列の順番として用いた〔R〕、〔G〕、〔B〕の表記は、それぞれ、R色の発光層、G色の発光層、B色の発光層を簡略化して示している。なお、以下の説明および後述する実施形態でも同様の表記とする。
また、1つの画素におけるサブ画素の色数は、図10に示すように、3色に限らず、4色以上でもよい。その際、隣接するサブ画素における発光層同士の電流効率差が最も小さくなるようにすればよい。
具体的には、サブ画素を配列する際に、或るサブ画素に隣接するサブ画素は、電流効率の順列において隣り合っている発光層を選択すればよい。例えば、上記のR、G、BにY(イエロー)を加えた4色のサブ画素で1つの画素を形成する場合が考えられる。
なお、以下では、Y色の発光層を〔R〕、〔G〕、〔B〕と同様に〔Y〕と略記する。
このとき、R・G・B・Yの各色のサブ画素における各発光層の電流効率の大きさが、〔G〕→〔Y〕→〔R〕→〔B〕の色順に小さくなる(つまり、G色の発光層の電流効率>Y色の発光層の電流効率>R色の発光層の電流効率>B色の発光層の電流効率)場合、各色のサブ画素の配列を、〔R〕/〔Y〕/〔G〕/〔Y〕/〔R〕/〔B〕の発光層順とし、この〔R〕/〔Y〕/〔G〕/〔Y〕/〔R〕/〔B〕の6つのサブ画素を、1つの画素を構成する最小構成単位(1単位)とすればよい。
この場合、Y色のサブ画素(Yサブ画素)に隣り合うサブ画素は、R色のサブ画素(Rサブ画素)およびG色のサブ画素(Gサブ画素)であり、これらRサブ画素およびGサブ画素は、電流効率の大小順においてYサブ画素と隣り合っている。
すなわち、上記したように各色の発光層の発光領域が一次元方向に配列されているとともに、隣り合う発光領域における発光層間の電流効率の差が最小となるように各サブ画素を配列するという制約のもとで1画素をM色のサブ画素により構成する場合、1画素は、最小で(M−1)×2個のサブ画素によって形成することができる。
この場合、最大および最小の電流効率を有する発光層を備えたサブ画素は、それぞれ1つずつ設けられる。また、それ以外の電流効率を有する発光層を備えたサブ画素はそれぞれ2つずつ設けられる。
<駆動方式の変形例>
本実施の形態では、前記したように、各サブ画素2R(1)・2G・2R(2)・2Bに対応して、それぞれ、TFT12を含むサブ画素駆動回路が設けられている場合を例に挙げて説明した。
しかしながら、本実施の形態はこれに限定されるものではない。すなわち、サブ画素2R(1)・2R(2)は、上記したように各サブ画素2R(1)・2R(2)に各々TFT12を設けることで個別に駆動されてもよく、2つのサブ画素2R(1)・2R(2)を1つのTFT12で同時に駆動してもよい。
上記したように2つのサブ画素2R(1)・2R(2)を個別に駆動する場合には、Rサブ画素のみ、図1〜3中、横方向(すなわち、列方向)の表示精細度を2倍とすることができる。
〔実施の形態2〕
本実施の形態について主に図11〜図15に基づいて説明すれば、以下の通りである。
なお、本実施の形態では、主に、前記実施の形態1との相違点について説明するものとし、実施の形態1で用いた構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の番号を付し、その説明を省略する。
<概要>
図11は、本実施の形態にかかるサブ画素配列の一例を模式的に示す図である。図11は、3色のサブ画素で1つの画素2を構成する場合のサブ画素の配置例を示している。
なお、図11中、実線は、1つの画素2(図11中、一点鎖線で示す)を構成するサブ画素を示し、該画素2の近傍の画素の一部を構成するサブ画素は、破線で示している。
本実施の形態においては、1画素を構成するサブ画素の配列態様が実施の形態1と異なる。
すなわち、前記実施の形態1では、1画素を構成するサブ画素が一次元方向に配列されている構成とした。
これに対し、本実施の形態では、例えば図11に示すように、各画素2、つまり、1画素を構成する各色のサブ画素が、二次元方向に、つまり、二次元状(マトリクス状、タイル状)に配列されている。
なお、上記各色のサブ画素の配列については、後で詳述する。
<蒸着方式>
ここで、図11に示すようにサブ画素を二次元的に配列して1画素を構成する場合の蒸着方式について説明する。
図12は、本実施の形態で用いられる蒸着方式の一例を模式的に示す図である。
図12に示すように、本実施の形態では、前記実施の形態1と異なり、各サブ画素に蒸着膜をパターン形成する方法として、蒸着用のマスク303を、被成膜基板200に密着固定しながら蒸着する方法を用いる。
具体的には、被成膜基板200と蒸着源302とを対向配置させ、目的とする蒸着領域以外の領域に蒸着粒子が付着しないように、マスク303に、所望の蒸着膜パターンに対応した開口部304を設ける。これにより、該開口部304を介して蒸着粒子を被成膜基板200に蒸着させることにより、パターン形成を行う。
被成膜基板200は、図示しない真空チャンバ内に配置され、被成膜基板200の下方には蒸着源302が配置される。マスク303は、被成膜基板200に密着固定して用いられる。
なお、マスク303には、例えば被成膜基板200と同等以上の大きさのマスク303が用いられる。或いは、被成膜基板200よりも小さいマスク303を使用し、蒸着を必要としない非蒸着領域に防着板を配することで、マスク303外に飛散する蒸着粒子を、防着板(遮蔽板)等で適宜除去してもよい。
蒸着源302は、固定されていてもよいし、或いは、蒸着動作中に可動してもよい。また、蒸着源302が可動する場合、蒸着源302として、例えば図6に示す蒸着源103のように帯状のライン型蒸着源を使用し、この蒸着源302と被成膜基板200とを相対的に移動させながら蒸着してもよい。或いは、蒸着源302として、被成膜基板200と同等の大きさをもつ面型蒸着源を使用し、被成膜基板200の被成膜面全面に一括して蒸着してもよい。
また、被成膜基板200とマスク303とが一体的に回転等の移動を行うように構成してもよい。
なお、本実施の形態では、上記蒸着方式を使用し、図11に示すように実施の形態1とは異なる蒸着膜パターンにて蒸着膜を形成したことを除けば、実施の形態1と同様の工程にて有機EL表示装置1を製造した。
<サブ画素配列>
次に、本実施の形態におけるサブ画素配列について説明する。
本実施の形態では、上記したように、複数のサブ画素を二次元的に配列して1画素が構成されている。
本実施の形態における1画素のサブ画素配列は、図11に示すように、実施の形態1と同じく〔R〕/〔G〕/〔R〕/〔B〕の発光層順である。但し、本実施の形態では、前記したように、実施の形態1と異なり、タイル状に配列(すなわち、二次元配列)されている。
行方向には、〔R〕/〔B〕の配列と、〔G〕/〔R〕の配列との2行のサブ画素が配置されている。また、列方向にも同様に、〔B〕/〔R〕の配列と、〔R〕/〔G〕の配列との2列のサブ画素が配置されている。これにより、各画素2内では、時計回りまたは反時計回りで、〔R〕/〔G〕/〔R〕/〔B〕の順に、各色の発光層、つまり、各色のサブ画素が配列されている。
これにより、〔G〕の四方および〔B〕の四方には、常に〔R〕が配置されるようになっている。
なお、このように各色のサブ画素または発光層をタイル状に配列する場合、実施の形態1で用いたように被成膜基板200よりも小さい蒸着用のマスク102を用いて走査しながら蒸着を行うスキャン蒸着法を用いることはできない。
このため、図12に示すようにマスク303を被成膜基板200に密着させて蒸着を行う。
なお、本実施の形態でも、実施の形態1と同じく、一例として、例えば、Bの発光層(発光層23B)を形成した後、Rの発光層(発光層23R(1)・23R(2))、Gの発光層(発光層23G)の順で発光層を形成した。
なお、本実施の形態でも、電流効率の順列は、実施の例1と同じく、〔G〕→〔R〕→〔B〕の順に小さくなる。
なお、本実施の形態でも、行方向、列方向共に、Gのサブ画素とBのサブ画素とが隣接することはない。
したがって、本実施の形態でも、前記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。但し、本実施の形態では、図11に示すように、Gのサブ画素とBのサブ画素との間の離間距離Dは、斜め方向の画素ピッチとなる。
前記実施の形態1では、Gのサブ画素(サブ画素2G)とBのサブ画素(サブ画素2B)とは、Rのサブ画素(サブ画素2R(2))を挟んで一次元方向にのみ配列していた。
このため、Gのサブ画素とBのサブ画素とは、「Rの発光領域の幅+非発光領域の幅」だけ離間していた。
より具体的には、Gの発光層23Gと、Bの発光領域とは、図1に示すように、「Rの発光領域の幅15R(2)+非発光領域15r(2)の幅×2+非発光領域15bの幅」だけ離間していた。また、Bの発光層23Bと、Gの発光領域とは、図1に示すように、「Rの発光領域の幅15R(2)+非発光領域15r(2)の幅×2+非発光領域15gの幅」だけ離間していた。
さらに、Gの発光領域とBの発光領域とは、図1に示すように、「Rの発光領域の幅15R(2)+非発光領域15gの幅+非発光領域15r(2)の幅×2+非発光領域15bの幅」だけ離間していた。
したがって、実施の形態1と比較すると、本実施の形態では、最大の電流効率を有するGの発光層23Gが、斜め方向に隣り合う、最小の電流効率を有する発光層23Bの発光領域に侵入するマージンは小さくなる。
しかし、例えばタイル状の配置を正方形とし、非発光領域の幅がいずれのサブ画素同士間においても同一だとすると、Gのサブ画素とBのサブ画素との間のマージンは、「非発光領域の幅×√2」となる。
より具体的には、Gの発光層23Gと、Bの発光領域との離間距離は、「非発光領域15bの幅×√2」だけ離間し、Bの発光層23Bと、Gの発光領域との離間距離は、「非発光領域15gの幅×√2」だけ離間する。
したがって、Gのサブ画素とBのサブ画素とが列方向に隣り合う従来の構造よりも、マージンは向上する。
また、本実施の形態においては、実施の形態例1と比べて、縦方向(行方向)にもRの画素の表示精細度が2倍になるという利点がある。
しかも、図11に示す縦方向(行方向)および横方向(列方向)どちらの方向に発光層のパターン位置ずれが生じた場合でも、Gの発光層の蒸着膜パターンがBの発光層の発光領域に侵入したり、Bの発光層の蒸着膜パターンがGの発光層の発光領域に侵入したりすることはない。
このように、本実施の形態では、1つの画素内においては、行方向および列方向のそれぞれの方向において、最大の電流効率を有するGの発光層を有するサブ画素と、最小の電流効率を有するBの発光層を有するサブ画素とが隣り合わないように、サブ画素2Gとサブ画素2Bとの間に、Gの発光層とBの発光層の中間の大きさの電流効率を有するRの発光層を有するRのサブ画素が配置されている。
これにより、発光層の行方向の位置ずれおよび列方向の位置ずれに起因する画質低下を抑制することができる。
なお、行方向および列方向のいずれにも傾斜する方向(斜め方向)においても、最大の電流効率を有するGの発光層を有するサブ画素と、最小の電流効率を有するBの発光層を有するサブ画素とが隣り合わないように、Gのサブ画素とBのサブ画素との間に、Gの発光層とBの発光層の中間の大きさの電流効率を有するRの発光層を有するRのサブ画素を配置するのがより好ましい。
但し、斜め方向に隣り合う2つのサブ画素同士の距離が十分確保されている場合には、上記Gのサブ画素およびBのサブ画素における一方のサブ画素の発光層が他方のサブ画素の発光領域に侵入することは無いか、若しくは、その可能性が低い。
したがって、このような場合には、Gのサブ画素とBのサブ画素とが斜め方向に隣り合わないように、Gのサブ画素とBのサブ画素との間に、上記したように例えばRのサブ画素を配置する必要はない。
一方、斜め方向に隣り合う2つのサブ画素同士の距離が十分確保されていない場合には、Gのサブ画素とBのサブ画素とが隣り合わないように、Gのサブ画素とBのサブ画素との間にRのサブ画素を配置する形態に代えて、図13の(b)に示す形状の発光層あるいはサブ画素を形成してもよい。
図13の(a)・(b)は、発光層あるいは発光層と発光領域との形状変更による、斜め方向に隣り合うサブ画素間の離間距離の拡大を示す図である。
なお、図13の(a)・(b)は、それぞれ、図11に示す画素2において斜め方向に隣り合うサブ画素間の離間距離を示している。
また、図13の(a)は、離間距離拡大前の斜め方向に隣り合うサブ画素間の離間距離Dを示し、図13の(b)は、離間距離拡大後の斜め方向に隣り合うサブ画素間の離間距離D’(D<D’)を示す。
図13の(b)に示すように、斜め方向に隣り合うサブ画素における発光層および発光領域のうち少なくとも一方を八角形状とすることで、図13の(a)に示すように四角形状である場合と比べて、斜め方向において隣り合う2つのサブ画素間の離間距離(より厳密には、斜め方向において隣り合う2つの発光層の発光領域の離間距離)を広くすることができる。
これによっても、一方のサブ画素の発光層が他方のサブ画素の発光領域に侵入するのを未然に防ぐことができ、これによる混色を無くすことができる。
したがって、これによる画質低下を抑制することが可能となる。このため、表示品位に優れた有機EL表示装置1、あるいは、そのような有機EL表示装置1を提供するための表示用基板であるTFT基板10を提供することができる。
<サブ画素配列の変形例>
なお、本実施の形態でも、1画素を3原色のサブ画素で構成する場合を例に挙げて説明したが、本実施の形態はこれに限定されるものではない。すなわち、1つの画素におけるサブ画素の色数は、3色に限らず、4色以上でもよい。
以下に、4色のサブ画素を二次元状に配置して1画素を構成する場合について説明する。
図14は、4色のサブ画素で1つの画素2を構成する場合のサブ画素の配置例を示す図である。
なお、図14でも、実線は、1つの画素2(図14中、一点鎖線で示す)を構成するサブ画素を示し、該画素2の近傍の画素の一部を構成するサブ画素は、破線で示している。
ここで、各色のサブ画素の発光層をそれぞれ〔S1〕〜〔S4〕とし、各色のサブ画素における発光層の電流効率が、〔S1〕、〔S2〕、〔S3〕、〔S4〕の順に高い(〔S1〕が最大)ものとする。
このとき、〔S1〕と〔S4〕とが隣り合わないように各色のサブ画素を配列し、かつ、できるだけ少ないサブ画素数で1画素を構成しようとすれば、図14に示す配置パターンが考えられる。
図14に示すサブ画素の配置パターンは、列方向(図14の横方向)に2つ、各列内、すなわち各列における行方向(図14の縦方向)に4つのサブ画素が配置されている。
具体的には、列方向に延びる2つのサブ画素列に着目し、左側のサブ画素列を第一列、右側のサブ画素列を第二列というものとすると、上記第一列においては、〔S1〕、〔S2〕、〔S3〕が、上方から〔S1〕→〔S2〕→〔S3〕→〔S2〕の順に配列されている。また、第二列においては、〔S2〕、〔S3〕、〔S4〕が、上方から〔S2〕→〔S3〕→〔S4〕→〔S3〕の順に配列されている。
ところで、図14に示すサブ画素の配置例は、最大の電流効率を有する発光層のサブ画素と最小の電流効率を有する発光層のサブ画素とが隣り合わないように、〔S1〕〜〔S4〕の4色のサブ画素を配列し、かつ、できるだけ少ないサブ画素数で1画素を構成しようとする点以外に、次のような点が考慮されている。
電流効率の差に起因する画質低下を可及的に抑制するためには、隣り合う2つのサブ画素における発光層同士の電流効率差が最小となるように配置すればよい。
この観点から、図14に示すサブ画素の配置例においては、各色のサブ画素に注目したときに、その注目色のサブ画素(注目サブ画素)における発光層と電流効率の順(電流効率の大きさ)が最も近い色の発光層を有するサブ画素を、上記注目サブ画素の隣の位置に配置している。
例えば、図14に示すように、〔S1〕の周囲には、〔S1〕の次に電流効率が大きい〔S2〕を配置し、〔S2〕の周囲には、〔S2〕と電流効率の大きさが近い〔S1〕および〔S3〕を配置し、〔S3〕の周囲には、〔S3〕と電流効率の大きさが近い〔S2〕および〔S4〕を配置し、〔S4〕の周囲には、〔S4〕の次に電流効率が小さい〔S3〕を配置している。
このような配置態様においては、1画素に、最大および最小の電流効率の発光層を有するサブ画素が1つずつ、中間の電流効率の発光層を有するサブ画素が3つずつ設けられている。
上記配置態様を採用することで、行方向・列方向共に隣り合うサブ画素の発光層は、電流効率の順において隣り合っている。すなわち、隣り合うサブ画素における発光層同士の電流効率差を最小としている。これにより、混色の影響を最も低減することができる。
ここで、1画素に設けるサブ画素の色(種類)の数をM(M≧3)とした場合、最大の電流効率を有する発光層のサブ画素と最小の電流効率を有する発光層のサブ画素とが隣り合わないように各色のサブ画素を配列する(条件1)とともに、できるだけ少ないサブ画素数で1画素を構成し(条件2)、このとき、隣り合う2つのサブ画素における発光層同士の電流効率の差が最小となるようにする(条件3)という3つの条件を満たすようにM種類のサブ画素で1画素を構成する場合のサブ画素の配置例を、図15に示す。
図15では、行方向(図15の縦方向)に{(M−2)×2}行、列方向(図15の横方向)に2列のサブ画素が配置されている例を示している。
具体的には、各色のサブ画素の発光層をそれぞれ〔S1〕〜〔Sm〕(m≧3)とし、電流効率を、〔S1〕、〔S2〕、・・・、〔Sm−1〕、〔Sm〕の順列(〔S1〕が最大)とするとともに、行方向に延びる2つのサブ画素列に着目し、左側のサブ画素列を第一列、右側のサブ画素列を第二列というものとする。
このとき、図15に示すサブ画素の配置パターンは、第一列においては〔S1〕〜〔Sm−1〕が昇順に配置される。そして、m≧4の場合には、上記したように昇順に配置した後、次いで、〔Sm−2〕〜〔S2〕が降順に配置される。
また、第二列においては、〔S2〕〜〔Sm〕が昇順に配置される。そして、m≧4の場合には、上記したように昇順に配置した後、次いで、〔Sm−1〕〜〔S3〕が降順に配置される。なお、以下、この配置態様を、説明の便宜上、「配置態様A」と称する。
この配置態様Aでは、1つの画素につき、最大および最小の電流効率の発光層を有するサブ画素は1つずつ設けられている。また、最大および最小以外の電流効率の発光層を有するサブ画素は2つずつ備えられている。
このように、M色のサブ画素で1つの画素を構成する場合に、上記条件1〜3を満たす画素は、少なくとも(M−2)×4(個)(M≧3)のサブ画素によって形成される。
なお、1画素に設けるサブ画素数につき、列方向と行方向とでサブ画素の数を同数とする場合には、行方向におけるサブ画素の数および列方向におけるサブ画素の数は、共に{(M−2)×2}となり、1画素当たりのサブ画素数は{(M−2)×2}2となる。
この際、列方向だけでなく、行方向においても、上記配置態様Aに従い、隣接するサブ画素同士の電流効率差が最小となるように配置する。行方向・列方向共にサブ画素の数を増やすことで、個々のサブ画素の形状を特に調整することなく、1つの画素の形状を正方形とすることができる。
〔実施の形態3〕
本実施の形態について主に図9の(a)〜(h)および図16の(a)〜(d)に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態では、主に前記実施の形態1、2との相違点(特に実施の形態1との相違点)について説明するものとし、実施の形態1・2で用いた構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の番号を付し、その説明を省略する。
前記実施の形態1・2では、各色の発光層の成膜順による効果については言及しなかったが、発光層の位置ずれに起因する画質低下を抑制する上で、上記成膜順も重要な要素となる。そこで、本実施の形態では、上記成膜順による効果について説明する。
<1画素をサブ画素2R(1)・2G・2R(2)・2Bで構成する場合>
まず、最大の電流効率を有する発光層と最小の電流効率を有する発光層との間に、その中間の電流効率を有する発光層を形成する場合について、図9の(a)〜(h)に示すように、1画素がサブ画素2R(1)・2G・2R(2)・2Bで構成されている場合を例に挙げて説明する。
図9の(a)に示すパターン(1)の場合、重畳領域(混色領域)に着目すると、発光層23R(1)・23Gうち、発光層23R(1)が下層であり、発光層23Gが上層となっている。図9の(c)に示すパターン(3)の場合も同様である。
また、図9の(e)に示すパターン(5)の場合、重畳領域(混色領域)に着目すると、発光層23R(2)・23Bのうち、発光層23Bが下層であり、発光層23R(2)が上層となっている。図9の(g)に示すパターン(7)の場合も同様である。
すなわち、図9の(a)・(c)・(e)・(g)では、電流効率が低い発光層から順に、つまり、前記したステップS1で、陽極である第1電極21を形成後に、ステップS3で、発光層23R・23G・23Bを蒸着する際に、電流効率が低い発光層ほど先に蒸着を行う。
有機EL素子の発光層は、一般的に、陽極側に近い領域で発光しやすいという性質を有している。
したがって、図9の(a)に示すパターン(1)では、混色領域において、下層である、侵入される側の発光層23R(1)の方が発光しやすくなる。
同様に、図9の(e)に示すパターン(5)では、混色領域において、下層である、侵入される側の発光層23Bの方が発光しやすくなる。
一方、図9の(c)に示すパターン(3)では、混色領域において、下層である、侵入する側の発光層23R(1)の方が発光しやすくなるが、下層の発光層23R(1)の電流効率が上層の発光層23Gの電流効率よりも低いために、その効果が相殺される(打ち消される)。
一方、図9の(g)に示すパターン(7)では、混色領域において、下層である、侵入する側の発光層23Bの方が発光しやすくなるが、下層の発光層23Bの電流効率が上層の発光層23R(2)の電流効率よりも低いために、その効果が相殺される。
なお、前記実施の形態1で説明したように、図9の(a)〜(h)に示すパターン(1)〜(8)の場合には、最大の電流効率を有する発光層23Gと最小の電流効率を有する発光層23Bとの間に、その中間の電流効率を有する発光層23R(2)が形成されていることで、混色による影響を小さくすることができる。
しかしながら、このとき、上記したように、各発光層23R(1)・23G・23R(2)・23Bの成膜順を、電流効率が小さい順(すなわち、ここでは、〔B〕→〔R〕→〔G〕)とすることで、その効果をさらに向上させることができる。
<1画素を従来構成とする場合>
なお、本実施の形態は、上記したように最大の電流効率を有する発光層と最小の電流効率を有する発光層との間に、その中間の電流効率を有する発光層を形成する場合に限定されるものではない。
例えば、各画素2が、Rのサブ画素、Bのサブ画素、Gのサブ画素の3つのサブ画素からなり、Gの発光層とBの発光層とが隣り合う従来構成のサブ画素配列を有する場合についても、前記のような成膜順を規定することで、発光層の位置ずれに起因する画質低下を抑制することができる。
図16の(a)〜(d)は、有機EL表示装置1における各画素2を構成するサブ画素配列の変形例を模式的に示す図である。
ここでは、図16の(a)〜(d)に示すように、各画素2を構成する3つのサブ画素2R・2G・2Bにおける発光層23R・23G・23Bのいずれかに位置ずれが発生し、隣り合う2つのサブ画素のうち一方のサブ画素における発光層が他方のサブ画素における発光領域に侵入した状況を想定する。
なお、図16の(a)〜(d)において、R・G・Bの各色のサブ画素における各発光領域は、各サブ画素2R・2G・2Bでのエッジカバー15の露出部15R・15G・15Bによって示される。
従来構成のサブ画素配列の場合、図16の(a)〜(d)に示す4つの侵入パターン(パターン(I)〜(IV))が想定される。
パターン(I):図16の(a)に示すように、露出部15Rにおけるサブ画素2Rの発光領域内に、サブ画素2Rの発光層23Rを形成後に、サブ画素2Gの発光層23Gが侵入するパターン。
パターン(II):図16の(b)に示すように、露出部15Gにおけるサブ画素23Gの発光領域内に、サブ画素2Gの発光層23Gを形成する前に、サブ画素2Rの発光層23Rが侵入するパターン。
パターン(III):図16の(c)に示すように、露出部15Bにおけるサブ画素2Bの発光領域内に、サブ画素2Bの発光層23Bを形成後に、サブ画素2Gの発光層23Gが侵入するパターン。
パターン(IV):図16の(d)に示すように、露出部15Gにおけるサブ画素2Gの発光領域内に、サブ画素2Gの発光層23Gを形成する前に、サブ画素2Bの発光層23Bが侵入するパターン。
ここで、例えば図16の(a)に示すパターン(I)の場合、重畳領域に着目すると、発光層23R・23Gのうち、発光層23Rが下層であり、発光層23Gが上層となっている。図16の(b)に示すパターン(II)の場合も同様である。
また、図16の(c)に示すパターン(III)の場合、重畳領域(混色領域)に着目すると、発光層23G・23Bのうち、発光層23Bが下層であり、発光層23Gが上層となっている。図16の(d)に示すパターン(IV)の場合も同様である。
すなわち、図16の(a)〜(d)でも、電流効率が低い発光層から順に、つまり、陽極である第1電極21を形成した後に陰極である第2電極26を形成する場合、電流効率が低い発光層ほど先に蒸着を行う。
これにより、上記したように1画素に設けるサブ画素の種類(色)や数に関係なく、発光層の位置ずれに起因する画質低下を抑制することができる。
なお、第1電極21を陰極とし、第2電極26を陽極とする場合には、発光層の積層順は反転し、第1電極21を形成した後に、電流効率が大きい発光層ほど先に蒸着を行えばよい。
すなわち、仮に異なる色の発光層同士が重畳した場合にその重畳領域において電流効率が小さい発光層ほど陽極側に位置するように、各色の発光層の電流効率の大小順にしたがって各色の発光層を形成するようにすればよい。
〔実施の形態4〕
本実施の形態について主に図17および図18に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態では、主に前記実施の形態1〜3との相違点について説明するものとし、実施の形態1〜3で用いた構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の番号を付し、その説明を省略する。
実施の形態1〜3では、同一平面内に、電流効率が異なる蒸着膜パターンが少なくとも3列設けられており、隣り合う2つの蒸着膜パターンは、最大の電流効率を有する蒸着膜パターンと最小の電流効率を有する蒸着膜パターンとの組み合わせ以外の組み合わせの蒸着膜パターンである場合について説明した。
しかしながら、電流効率が異なる蒸着膜パターンを、隣りのサブ画素領域に侵入すると何らかの問題が発生する蒸着膜パターンであり、そのような蒸着膜パターンの配列を、隣り合うサブ画素領域に侵入すると何らかの問題を発生させる要因となる特性に基づいて変更すると考えた場合、同様の思想を、隣りのサブ画素領域に侵入すると何らかの問題が発生する他の蒸着膜パターンの配列にも適用することができる。
例えば、マイクロキャビティ効果を最適化するべく、各色のサブ画素において総膜厚を変化させる必要がある場合に、発光層以外の層(例えば正孔輸送層など)で調整することが考えられる。
図17は、本実施の形態にかかる有機EL表示装置1の概略構成を示す断面図である。
図17に示すように、本実施の形態では、正孔輸送層の膜厚を、R、G、Bの各色ごと、つまり、サブ画素2R・2G・2Bごとに、変化させて最適化している。
本実施の形態では、図17に示すように、各画素2が、青色の光を射出する青色のサブ画素2B(1)・2B(2)、赤色の光を射出する赤色のサブ画素2R、緑色の光を射出する緑色のサブ画素2Gの、4つのサブ画素2B(1)・2R・2B(2)・2Gによって構成されている。
各サブ画素2B(1)・2R・2B(2)・2Gには、それぞれ、対応する発光層23B(1)・23R・23B(2)・23Gが設けられている。
また、図17に示す有機EL表示装置1は、図3に示す有機EL表示装置1における正孔注入層兼正孔輸送層22に代えて、正孔注入層22Aと、正孔輸送層28B(1)・28R・28B(2)・28Gとを備えている。正孔輸送層28B(1)・28R・28B(2)・28Gは、それぞれ同一の材料からなり、その膜厚のみがそれぞれ異なっている。
各サブ画素2B(1)・2R・2B(2)・2Gにおける各露出部15B(1)・15R・15B(2)・15G内には、正孔輸送層28B(1)および発光層23B(1)、正孔輸送層28Rおよび発光層23R、正孔輸送層28B(2)および発光層23B(2)、正孔輸送層28Gおよび発光層23Gが、それぞれ、正孔注入層22A側からこの順に隣接して積層されている。
本実施の形態では、発光層23B(1)・23R・23B(2)・23Gに加え、上記正孔輸送層28B(1)・28R・28B(2)・28Gに対しても、塗り分け形成(パターン形成)を行う。
図18は、図17に示す有機EL表示装置1の製造工程を、工程順に示すフローチャートである。
本実施の形態にかかる有機EL表示装置1の製造方法は、図18に示すように、正孔注入層・正孔輸送層蒸着工程(S2)に代えて、正孔注入層蒸着工程(S21)と、正孔輸送層蒸着工程(S22)とを備えている。
なお、ステップS2以外の工程については、各画素2をサブ画素2B(1)・2R・2B(2)・2Gで構成したことに伴う変更(すなわち、マスクパターンの変更)を除けば、基本的には、前記実施の形態1に記載の各ステップと同じである。したがって、本実施の形態では、正孔注入層蒸着工程(S21)および正孔輸送層蒸着工程(S22)以外の各ステップについては、その説明を省略する。
本実施の形態では、前記実施の形態1におけるTFT基板作製工程(S1)と同様にして作製されたTFT基板10に対し、まず、前記実施の形態1と同様に、脱水のための減圧ベークおよび第1電極21の表面洗浄として酸素プラズマ処理を施す。
その後、従来の蒸着装置を用いて、前記実施の形態1と同様にして、正孔注入層22Aを、TFT基板10内の表示領域全面に対して蒸着する(S21)。
本実施の形態では、正孔注入層22Aの材料として、m−MTDATA(4、4’4”−トリス(N−3−メチルフェニル−N−フェニルアミノ)−トリフェニルアミン)を使用し、その膜厚は30nmとした。
次に、前記実施の形態1に記載した蒸着装置150を用いて、正孔輸送層28B(1)・28R・28B(2)・28Gの塗り分け蒸着を行う(S22)。
つまり、まず、発光層23B(1)・23R・23B(2)・23Gとは材料が異なるだけで同様の蒸着方法を用いて、例えば、サブ画素2Rの正孔輸送層28Rを形成する。
次に、正孔輸送層28Rが形成されたTFT基板10を、基板走査方向と垂直の方向にずらし、正孔輸送層28Rと同様にして、サブ画素2B(1)・2B(2)用の正孔輸送層28B(1)・28B(2)を形成する。
その後、正孔輸送層28B(1)・28R・28B(2)が形成されたTFT基板10を、基板走査方向と垂直の方向にずらし、正孔輸送層28B(1)・28R・28B(2)と同様にして、サブ画素2G用の正孔輸送層28Gを形成する。
これら正孔輸送層28B(1)・28R・28B(2)・28Gの各膜厚は、各サブ画素2B(1)・2R・2B(2)・2Gごとに、被成膜基板200であるTFT基板10の走査速度や往復回数を変えることで、変えることができる。
本実施の形態では、サブ画素2R、サブ画素2B(1)・2B(2)、サブ画素2Gの順(つまり、正孔輸送層28R、正孔輸送層28B(1)・28B(2)、正孔輸送層28Gの順)に膜厚が厚くなるように各正孔輸送層28B(1)・28R・28B(2)・28Gの膜厚が設定されている。
本実施の形態では、正孔輸送層28B(1)・28R・28B(2)・28Gの材料としてα―NPDを使用し、それぞれの膜厚は、順に、100nm、50nm、100nm、150nmとした。
このように、正孔輸送層28B(1)・28R・28B(2)・28Gの膜厚を、各色のサブ画素(各サブ画素2B(1)・2R・2B(2)・2G)で可変させることで、マイクロキャビティ効果を、各色で最適化することができる。
なお、マイクロキャビティ効果とは、各色(例えばR・G・B)のサブ画素に形成された光学的な共振構造により、第1電極21と第2電極26との間で発生した光が往復して共振し、その結果、発光スペクトルの先鋭化および色純度の向上が生じる現象である。
最適なマイクロキャビティ効果が生じる光学的距離は各色の発光波長で異なるため、各色で光学的距離を調整する必要があり、その一つの方法として、上記したように、特定の有機層の膜厚を可変させる方法がある。
このように正孔輸送層28B(1)・28R・28B(2)・28Gの膜厚を、各色(各サブ画素2B(1)・2R・2B(2)・2G)で可変させる場合、隣り合うサブ画素同士で正孔輸送層の膜厚が異なると、両サブ画素の境界部で総膜厚が変化する。特に、最大の膜厚を有するGの正孔輸送層と最小の膜厚を有するRの正孔輸送層とが隣り合う場合、隣り合うサブ画素同士で総膜厚が大きく変化することになる。
そこで、本実施の形態では、総膜厚の変化をできるだけ抑制するために、サブ画素の配列パターンを決定するパラメータとして、上記発光層の電流効率に代えて正孔輸送層の膜厚とし、隣り合うサブ画素間で正孔輸送層の膜厚差が最小となるように、サブ画素の配列パターンを決めてもよい。
この場合、発光層の電流効率差を、正孔輸送層の膜厚差と差し替えるだけで、サブ画素間の非発光領域を拡大することなく、上記した総膜厚の変化を抑制することができる。この結果、有機EL表示装置1の信頼性や表示品位を向上させることができる。
なお、各画素2におけるサブ画素の配列パターンを図17に示すように2B(1)・2R・2B(2)・2Gの順とした場合、サブ画素2B(2)とサブ画素2Gとが隣り合う。
したがって、この場合には、前記したように発光層の電流効率が〔G〕→〔B〕→〔R〕の順に小さくなるか、もしくは、発光層の電流効率が〔R〕→〔B〕→〔G〕の順に小さくなるようにすればよい。
あるいは、発光層23B(1)・23R・23B(2)・23Gを、前記したように電流効率が小さい順に形成すればよい。すなわち、例えば、発光層の電流効率が、〔B〕→〔R〕→〔G〕の順に大きくなる場合、発光層23B(1)・23B(2)、発光層23R、発光層23Gの順に、発光層23B(1)・23R・23B(2)・23Gを形成すればよい。
各色の正孔輸送層の形成順と各色の発光層の形成順とは、必ずしも一致している必要はなく、上記したように、これら配列パターンを決定するパラメータに応じて、層ごとに、適宜変更してもよい。
なお、本実施の形態では、上記したように、正孔輸送層28B(1)・28R・28B(2)・28Gの膜厚を、各色ごとに変更したが、本実施の形態はこれに限定されるものではない。正孔輸送層28B(1)・28R・28B(2)・28Gに限らず、正孔注入層22A、電子輸送層24、電子注入層25、あるいは、前記した図示しないキャリアブロッキング層等についても、各色ごとに膜厚を変えて形成してもよい。
<要点概要>
以上のように、上記各実施の形態にかかる表示用基板は、蒸着膜からなる発光層をそれぞれ有する少なくとも3色の発光領域をサブ画素領域として含む複数の画素領域を有し、隣り合う2つの発光領域は、各色の発光領域の発光層で同一の輝度の光を発生させたときに最大の電流効率を有する色の発光層の発光領域と最小の電流効率を有する色の発光層の発光領域との組み合わせ以外の組み合わせの発光領域である。
また、上記各実施の形態にかかる表示用基板の製造方法は、以上のように、蒸着膜からなる発光層をそれぞれ有する少なくとも3色の発光領域をサブ画素領域として含む複数の画素領域を有する表示用基板の製造方法であって、各色の発光領域の発光層で同一の輝度の光を発生させたときに電流効率が最も大きい色の発光層と電流効率が最も小さい色の発光層との間に、上記電流効率が最も大きい色の発光層の電流効率と電流効率が最も小さい色の発光層の電流効率との間の大きさの電流効率を有する色の発光層を少なくとも一つ形成する方法である。
上記構成および製造方法によれば、最大の電流効率を有する色の発光層の発光領域と最小の電流効率を有する色の発光層の発光領域とが隣り合う従来構成に比して、隣り合う2つの発光領域の電流効率の差を小さくすることができる。したがって、たとえ隣り合う2つの発光領域のうち一方の発光領域の発光層(蒸着膜)が他方の発光領域に侵入したとしても、その侵入による混色の程度(色の変化の度合い)を従来よりも抑制することができるので、非発光領域を拡大することなく、蒸着膜の位置ずれに起因する表示品質の低下を抑制することができる。
また、上記表示用基板は、各色の発光層の発光領域が、一次元方向に配列されているとともに、隣り合う発光領域における発光層間の電流効率の差が最小となるように配列された構成を有していることが望ましい。
また、上記表示用基板の製造方法は、上記各色の発光層の発光領域が、一次元方向に配列されており、隣り合う発光領域における発光層間の電流効率の差が最小となるように上記各色の発光層を形成する方法であることが望ましい。
上記構成および製造方法によれば、上記一次元方向に隣り合う2つの発光領域のうち一方の発光領域における発光層が他方の発光領域に侵入した場合に、その侵入による混色の程度(色の変化の度合い)を最も抑制することができ、その結果、画質の低下を最も抑制することができる。
また、上記表示用基板は、1つの画素領域が、M(M≧3)色の発光領域からなる少なくとも(M−1)×2のサブ画素領域を備え、1つの画素領域中に、最大の電流効率を有する色の発光層の発光領域と最小の電流効率を有する色の発光層の発光領域とをそれぞれ1つ含む構成を有していることが望ましい。
上記構成によれば、最大の電流効率を有するサブ画素領域と最小の電流効率を有するサブ画素領域とが隣り合わないようにサブ画素領域を配列するとともに、できるだけ少ないサブ画素領域の数で1画素を構成することができる。
また、上記表示用基板は、上記画素領域が、上記サブ画素領域として、緑色、赤色、青色の発光層をそれぞれ有する3色の発光領域を備え、緑色の発光層を有する発光領域と青色の発光層を有する発光領域との間に赤色の発光層を有する発光領域が設けられた構成を有していることが望ましい。
上記構成によれば、最大の電流効率を有する緑色の発光層の発光領域と最小の電流効率を有する青色の発光層の発光領域とが隣り合う構成に比して、隣り合う2つの発光領域の電流効率の差を小さくすることができる。
また、上記表示用基板は、上記画素領域が、上記サブ画素領域として、緑色、黄色、赤色、青色の発光層をそれぞれ有する4色の発光領域を備え、緑色の発光層を有する発光領域と青色の発光層を有する発光領域との間に、黄色の発光層を有する発光領域と赤色の発光層を有する発光領域とが設けられた構成を有していることが望ましい。
上記構成によれば、最大の電流効率を有する緑色の発光層の発光領域と最小の電流効率を有する青色の発光層の発光領域とが隣り合う構成に比して、隣り合う2つの発光領域の電流効率の差を小さくすることができる。
また、上記表示用基板は、各色の発光層の発光領域が、二次元方向に配列されているとともに、一次元方向に隣り合う発光領域における発光層間の電流効率の差および上記一次元方向に直交する方向に隣り合う発光領域における発光層間の電流効率の差がそれぞれ最小となるように配列された構成を有していることが望ましい。
また、上記表示用基板の製造方法は、各色の発光層の発光領域は、二次元方向に配列されており、一次元方向に隣り合う発光領域における発光層間の電流効率の差および上記一次元方向に直交する方向に隣り合う発光領域における発光層間の電流効率の差がそれぞれ最小となるように上記各色の発光層を形成する方法であることが望ましい。
上記構成および製造方法によれば、上記一次元方向に隣り合う2つの発光領域のうち一方の発光領域における発光層が他方の発光領域に侵入した場合にも、上記一次元方向に直交する方向に隣り合う2つの発光領域のうち一方の発光領域における発光層が他方の発光領域に侵入した場合にも、その侵入による混色の程度(色の変化の度合い)を最も抑制することができる。その結果、画質の低下を最も抑制することができる。
また、上記表示用基板は、1つの画素領域が、M(M≧3)色の発光領域からなる少なくとも(M−2)×4のサブ画素領域を備え、一画素領域中に、最大の電流効率を有する色の発光層の発光領域と最小の電流効率を有する色の発光層の発光領域とがそれぞれ1つ含まれた構成を有していることが望ましい。
上記構成によれば、最大の電流効率を有するサブ画素領域と最小の電流効率を有するサブ画素領域とが隣り合わないようにサブ画素領域を配列するとともに、できるだけ少ないサブ画素領域の数で1画素を構成し、かつ、隣り合う2つのサブ画素領域同士の電流効率の差が最小となるようにした画素を構成することができる。
また、上記表示用基板は、1つの画素領域が、M(M≧3)色の発光領域からなる{(M−2)×2}2のサブ画素領域を備えた構成を有していることが望ましい。
上記構成によれば、最大の電流効率を有するサブ画素領域と最小の電流効率を有するサブ画素領域とが隣り合わないようにサブ画素領域を配列するとともに、できるだけ少ないサブ画素領域の数で1画素を構成し、かつ、隣り合う2つのサブ画素領域同士の電流効率の差が最小となるようにした正方形状の画素を構成することができる。
また、上記したように各色の発光層の発光領域を二次元方向に配列する場合、上記発光層および発光領域の少なくとも一方は八角形状であることが望ましい。
これにより、斜め方向において隣り合う2つの発光層の発光領域の離間距離を広くすることができるので、隣り合う発光層のうち一方の発光層が他方の発光層の発光領域に侵入することを未然に防止し、これによる混色を無くすことができる。
このため、画質の低下を抑制し、表示品位に優れた有機エレクトロルミネッセンス表示装置を得ることができる表示用基板を提供することができる。
また、上記表示用基板は、各発光領域に薄膜トランジスタが設けられた構成を有していることが望ましい。
上記したように各発光領域に薄膜トランジスタが設けられていることで、表示パネル化したとき、すなわち、上記表示用基板を用いて例えば有機エレクトロルミネッセンス表示装置を製造したとき、1画素内に形成された、同じ色の発光層のサブ画素の表示精細度を向上させることができる。
また、以上のように、上記実施の形態の一例にかかる表示用基板は、同一平面内に、膜厚が異なる蒸着膜パターンが少なくとも3列設けられており、隣り合う2つの蒸着膜パターンは、最大の膜厚を有する蒸着膜パターンと最小の膜厚を有する蒸着膜パターンとの組み合わせ以外の組み合わせの蒸着膜パターンである。
上記構成によれば、同一平面内に、膜厚が異なる蒸着膜パターンが少なくとも3列設け、隣り合う2つの蒸着膜パターンを、最大の膜厚を有する蒸着膜パターンと最小の膜厚を有する蒸着膜パターンとの組み合わせ以外の組み合わせの蒸着膜パターンとしたので、最大の膜厚を有する蒸着膜パターンと最小の膜厚を有する蒸着膜パターンとが隣り合う構成に比して、隣り合う2つの蒸着膜パターン同士の膜厚の差を小さくすることができる。
その結果、膜厚を適宜設定することで、隣り合う2つの蒸着膜パターンのうち一方の蒸着膜パターンの蒸着膜が他方の蒸着膜パターンの蒸着膜の領域に侵入したとしても、その侵入による総厚のばらつきを抑制することが可能となる。
したがって、非発光領域を拡大することなく、蒸着膜の位置ずれに起因する表示品質の低下を抑制することができる。
また、以上のように、上記各実施の形態にかかる有機エレクトロルミネッセンス表示装置は、上記各実施の形態の何れかにかかる表示用基板を備えている。
この構成によれば、上記いずれかの構成による効果が得られる有機エレクトロルミネッセンス表示装置を実現することができる。
また、以上のように、上記各実施の形態にかかる有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法は、陽極を形成する陽極形成工程と、陰極を形成する陰極形成工程とを備えるとともに、陽極形成工程と陰極形成工程との間に、蒸着膜からなる少なくとも3色の発光層を色ごとに順に形成する発光層形成工程とを備え、上記発光層形成工程では、各色の発光領域の発光層で同一の輝度の光を発生させたときに電流効率が小さい色の発光層ほど陽極形成工程に近い順番で形成される。
上記の方法によれば、侵入する側の発光層の方が陽極に近い場合であっても、その逆の場合であっても、上記順番で発光層を形成することで、混色が生じたとしても、その影響を小さくすることができる。したがって、隣り合う2つの発光領域のうち一方の発光領域の蒸着膜が他方の発光領域の蒸着膜の領域に侵入した場合に、その侵入による混色の程度(色の変化の度合い)を抑制することができ、その結果、画質の低下を抑制することができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。