JP5826705B2 - トルク計測装置 - Google Patents
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Description
また、伝達関数の算出のためには、ねじり共振周波数の決定が必要となるところ、一般的に、トルクセンサで検出されるトルクには、ねじり共振周波数のピークと、供試体から作用するトルクに含まれる回転周波数のn次成分のピークとが混在するために、ねじり共振周波数を正しく検出することが困難な場合がある。そして、このような場合には、ねじり共振周波数、伝達関数を正しく算出することができず、結果、伝達関数に基づいて、ねじり共振により生じる測定誤差を良好に低減することができなくなることとなる。
ここで、以上のようなトルク計測装置には、さらに、前記ねじり共振周波数算定手段が算定したねじり共振周波数と、前記着目周波数スペクトルとに基づいて、伝達関数を算出する伝達関数算出手段と、前記トルクセンサが検出したトルクの、前記伝達関数算出手段が算出した伝達関数に従ってねじり共振による影響を除去した周波数スペクトルを算定する周波数スペクトル算定手段とを設けることが好ましい。
ここで、より具体的には、以上の前記伝達関数算出手段は、前記ねじり共振周波数算定手段が算定したねじり共振周波数をωn、前記着目周波数スペクトルの各トルク成分の大きさを、ねじり共振周波数ωnの1/m(但し、mは3以上)付近の周波数のトルク成分の平均的な大きさが1となるように正規化した正規化後周波数スペクトルが表す周波数ωのトルク成分の大きさをHD(ω)、H(ω)を式(1)、
または、前記伝達関数算出手段は、前記ねじり共振周波数算定手段が算定したねじり共振周波数をωn、前記着目周波数スペクトルが表す周波数ωのトルク成分の大きさをHT(ω)、kを定数として、H(ω)を式(1)、
なお、以上のようなトルク計測装置には、前記トラッキング手段が各回転周波数について算定した周波数スペクトルを、回転周波数を第1の軸、前記トルクの周波数を第2の軸として表すトラッキング結果グラフを表示すると共に、前記Nの値をオペレータより受け付けて設定する次数設定手段を設けたり、前記トラッキング結果グラフと共に、前記伝達関数算出手段が算出した伝達関数に従って前記トラッキング結果グラフをねじり共振による影響が除去されるように補正した補正後グラフを表示するキャリブレーション結果表示手段を設けるようにしてもよい。
図1に、本実施形態に係るトルク計測装置の構成を示す。
図示するように、トルク計測装置は、トルクセンサ1と計測装置2とより構成される。
ここで、供試体であるモータ3が回転駆動する当該モータ3の出力軸は、トルクセンサ1を介して、ブレーキ4が負荷を加える当該ブレーキ4の入力軸に連結され、トルクセンサ1は、モータ3の出力軸とブレーキ4の入力軸との間に働くトルクを検出する。
ここで、このようなトルクセンサ1は、たとえば、モータ3の出力軸とブレーキ4の入力軸とに各々カップリング11を介して両端が連結されたトーションバー12と、トーションバー12の捻れ角よりトーションバー12の両端間に加わるトルクを表すトルク検出信号を出力する検出回路13などより構成することができる。
制御部25は、オペレータのキャリブレーション開始の指示を操作部26を介して受け取ると、図2に示すキャリブレーション処理を行う。
図示するように、このキャリブレーション処理において制御部25は、モータ3の各回転周波数におけるトルクの周波数スペクトルを収集するトラッキングを制御する(ステップ202)。
すなわち、制御部25はステップ202において、回転制御部21を介してモータ3の回転周波数Frを漸次的に変化させながら、トルクデータ生成部221に、各回転周波数についての、トルクセンサ1が出力するトルク検出信号からの当該回転周波数のトルクデータの生成とメモリ23への格納を行わせる。また、FFT部222に、各回転周波数についての、メモリ23に格納された各回転周波数のトルクデータからの当該回転周波数の周波数スペクトルを表すデータである周波数スペクトルデータの生成とメモリ23への格納を行わせる。
また、ステップ204では、図4に示す次数選択ウインドウを表示部27に表示し、次数選択ウインドウ中に、このようなトルクマップ401を表示する。
そして、図2に戻り、このようにしてトルクマップ401を表示したならば(ステップ204)、伝達関数の算出に用いる次数Nの選択をオペレータから受け付ける(ステップ206)。
ここで、オペレータは表示されているトルクマップから、トルクマップ上に現れている、Fr=F/nの線のうち、ねじり共振によるトルク成分Tのピークによる輝点が顕著に現れている線を選定する。ここで、ねじり共振によるトルク成分Tのピークによる輝点は縦線(F=ωn)上に現れるので、オペレータは、トルクマップ上で縦線状の輝線を形成するように並んでいる輝点が、ねじり共振によるトルク成分Tのピークによる輝点であると認識することができる。
図2に戻り、このようにして次数Nの選択をオペレータから受け付けたならば(ステップ206)、伝達関数算出部24に伝達関数を算出させる(ステップ208)。
ここで、伝達関数算出部24による伝達関数の算出は次のように行う。
すなわち、図5aに示すトルクマップ上の、オペレータによって選択された次数Nの線(Fr=F/N)上の各座標に対応する(周波数F、輝度が表すトルク成分の大きさT)より、図5bに示す周波数スペクトルを算出する。
そして、図5bに示す周波数スペクトル上でピークが現れる周波数Fを算出し、算出した周波数Fをねじり共振周波数ωnとする。ここで、図5bに示す周波数スペクトルにおいて、各周波数のトルク成分の大きさTには、モータ3の回転周波数のN次の回転周波数で現れるピーク相当のトルクが等しく含まれたものとなる。よって、図5bに示す周波数スペクトルはねじり共振によるピークのみが現れるものとなる。したがって、図3a1、a2に示したような回転周波数のN次の回転周波数のピークとねじり共振によるピークが混在する周波数スペクトルとは異なり、容易にピーク位置からねじり共振周波数ωnを正しく算出することができる。
ここで、このように正規化するのは、式1に従う伝達関数H(ω)の値は、ωn/3以下の領域でおよそ1となることが期待できるからである。したがって、この正規化は、図5bの周波数スペクトルのトルク成分の大きさTが、ねじり共振周波数ωnの1/3以下の任意の周波数において大きさ1となるように正規化するようにしてもよい。
ただし、伝達関数の算出は、図5bの周波数スペクトルにおける、周波数ωのトルク成分の大きさTを、HT(ω)で表すものとして、式1の伝達関数H(ω)と、HT(ω)に係数kを乗じた値との式3で表される自乗誤差Eが最小となる、係数kと減衰率ζを算出し、ねじり共振周波数ωnと、算出した減衰率ζとを式1に代入し、求める伝達関数H(ω)とするようにしてもよい。
また、トルクマップと補正後トルクマップの表示は、図6に示すように表示部27にキャリブレーション確認ウインドウを表示し、トルクマップ601と、補正後のトルクマップ602を並べて表示することにより行う。
ここで、オペレータは、この表示より、トルクマップ601において現れているねじり共振によるトルク成分Tのピークによる縦線状の輝線が、補正後のトルクマップ602では消えており、モータ3の回転周波数のn次の回転周波数の位置に現れるピークによる斜めの輝線が残っていることより、キャリブレーションが正しく行われたことを確認できたならば、「補正を有効にする」ボタン603を操作し、そうでない場合には「やり直す」ボタン604を操作する。
以上、制御部25が行うキャリブレーション処理について説明した。
なお、制御部25は、図4の次数選択ウインドウ、キャリブレーション確認ウインドウのキャンセルボタンがオペレータによって操作された場合に、キャリブレーション処理の終了を制御する。
さて、このようにしてキャリブレーション処理によって、補正関数を設定されたFFT部222は、以降、メモリ23に格納されたトルクデータに対してFFTを施してトルクの周波数スペクトルデータを生成する際に、トルクデータに対してFFTを施して得た周波数スペクトルにおける各周波数Fのトルク成分の大きさTを、補正関数を用いて、T×{1/H(F)}に変換することにより、当該周波数スペクトルを補正した上で、補正した周波数スペクトルを表す周波数スペクトルデータとしてメモリ23に格納する。
ところで、以上の実施形態では、キャリブレーション処理において、ステップ206で伝達関数の算出に用いる次数Nの選択をオペレータから受け付けるようにしたが、伝達関数の算出に用いる次数Nは自動的に選定するようにしてもよい。すなわち、この場合には、次数Nを予め固定的に定めるようにしてもよいし、所定の次数範囲内の各次数iについて、次数iの線(Fr=F/i)上の各座標に対応する(周波数F、輝度が表すトルク成分Tの大きさ)より図5bに示すように周波数スペクトルを求め、最もピークが顕著に表れている周波数スペクトルの次数iを伝達関数の算出に用いる次数Nとするようにしてもよい。
Claims (7)
- 出力軸を備え当該出力軸を回転駆動する回転駆動装置の前記出力軸と、入力軸を備え当該入力軸に負荷を加える負荷装置の前記入力軸とを連結すると共に、前記出力軸と前記入力軸との間に作用するトルクを検出するトルクセンサを備えたトルク計測装置であって、
前記回転駆動装置の前記出力軸の回転周波数を変化させながら、各回転周波数について、当該回転周波数において前記トルクセンサが検出したトルクの周波数スペクトルを算定するトラッキング手段と、
前記各回転周波数について、前記トラッキング手段が当該回転周波数について算定した周波数スペクトルから、当該回転周波数のN倍(但し、Nは特定の自然数)の周波数のトルク成分の大きさを抽出し、抽出した各トルク成分の大きさの周波数分布を表す周波数スペクトルである着目周波数スペクトルにおいてピークが現れる周波数をねじり共振周波数として算定するねじり共振周波数算定手段とを有することを特徴とするトルク計測装置。
- 請求項1記載トルク計測装置であって、
前記ねじり共振周波数算定手段が算定したねじり共振周波数と、前記着目周波数スペクトルとに基づいて、伝達関数を算出する伝達関数算出手段と、
前記トルクセンサが検出したトルクの、前記伝達関数算出手段が算出した伝達関数に従ってねじり共振による影響を除去した周波数スペクトルを算定する周波数スペクトル算定手段とを有することを特徴とするトルク計測装置。
- 請求項2記載のトルク計測装置であって、
前記伝達関数算出手段は、前記ねじり共振周波数算定手段が算定したねじり共振周波数をωn、前記着目周波数スペクトルの各トルク成分の大きさを、ねじり共振周波数ωnの1/m(但し、mは3以上)付近の周波数のトルク成分の平均的な大きさが1となるように正規化した正規化後周波数スペクトルが表す周波数ωのトルク成分の大きさをHD(ω)、H(ω)を式(1)、
として、式(2)
のエラーEが最小となる減衰率ζを求め、ねじり共振周波数ωnと、求めた減衰率ζとを、上記式(1)に代入したH(ω)を、前記伝達関数として算定することを特徴とするトルク計測装置。
- 請求項2記載のトルク計測装置であって、
前記伝達関数算出手段は、前記ねじり共振周波数算定手段が算定したねじり共振周波数をωn、前記着目周波数スペクトルが表す周波数ωのトルク成分の大きさをHT(ω)、kを定数として、H(ω)を式(1)、
として、式(2)
のエラーEが最小となる定数kと減衰率ζとを求め、ねじり共振周波数ωnと求めた減衰率ζとを、上記式(1)に代入したH(ω)を、前記伝達関数として算定することを特徴とするトルク計測装置。
- 請求項1、2、3または4記載のトルク計測装置であって、
前記トラッキング手段が各回転周波数について算定した周波数スペクトルを、回転周波数を第1の軸、前記トルクの周波数を第2の軸として表すトラッキング結果グラフを表示すると共に、前記Nの値をオペレータより受け付けて設定する次数設定手段を有することを特徴とするトルク計測装置。
- 請求項2、3または4記載のトルク計測装置であって、
前記トラッキング手段が各回転周波数について算定した周波数スペクトルを、回転周波数を第1の軸、前記トルクの周波数を第2の軸として表すトラッキング結果グラフを表示すると共に、前記伝達関数算出手段が算出した伝達関数に従って前記トラッキング結果グラフをねじり共振による影響が除去されるように補正した補正後グラフを表示するキャリブレーション結果表示手段を有することを特徴とするトルク計測装置。
- 出力軸を備え当該出力軸を回転駆動する回転駆動装置の前記出力軸と、入力軸を備え当該入力軸に負荷を加える負荷装置の前記入力軸とを連結すると共に、前記出力軸と前記入力軸との間に作用するトルクを検出するトルクセンサに接続されるコンピュータによって読み取られ実行されるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータに、前記回転駆動装置の前記出力軸の回転周波数を変化させながら、各回転周波数について、当該回転周波数おいて前記トルクセンサが検出したトルクの周波数スペクトルを算定するトラッキングステップと、
前記各回転周波数について、当該回転周波数について算定した周波数スペクトルから、当該回転周波数のN倍(但し、Nは特定の自然数)の周波数のトルク成分の大きさを抽出し、抽出した各トルク成分の大きさの周波数分布を表す周波数スペクトルである着目周波数スペクトルにおいてピークが現れる周波数をねじり共振周波数として算定するねじり共振周波数算定ステップとを実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
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