JP5825508B2 - Icカードの製造装置及び製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、幅広い業界に導入され、生活者の身近な生活からビジネスまで様々な分野で利用が始まっている非接触式のICカードの製造装置及び製造方法に関する。
従来の非接触式ICカード(以下、「ICカード」という。)の製造方法としては、特許文献1に記載されたものがある。この方法によれば、先ず、基材となるPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムに銀ペーストをシルクスクリーン印刷することによりアンテナ回路基板を形成した後、このアンテナ回路基板上にICチップを異方導電性フィルムによって接続してICチップ付きアンテナ回路基板を作製する。次に、基材となるPETフィルムの片面に接着材を塗布した後、ICチップに相当する箇所に開口部を設けることにより、スペーサ層を作製する。次に、ICチップ付きアンテナ回路基板とスペーサ層とを、ラミネートロールを用いて連続的にラミネートすることにより、ICチップ付きアンテナ回路基板とスペーサ層との複合シートを作製する。次に、表皮基材となるPETフィルムの片面に接着材を塗布してICカードの表裏面となる表皮層を作製する。これらの表皮層をICチップ付きアンテナ回路基板とスペーサ層との複合シートの上下から、連続的にラミネートすることによりICカードを作製する。また、表裏面の表皮層にデザイン印刷が必要な場合は、ICカードを個片状に打ち抜いた後に実施する。
特開平10−329463号公報
このような従来の製法で作製したICカードでは、内部のICチップなどによる凹凸部分が生じる傾向がある。このため、この凹凸部分を接着材に吸収させ、ICカードとなる複合シートの表面を平滑にする目的で、鏡板を用いた熱プレスによって、内部の接着材を変形させることが試みられる。
しかし、一般的には、表裏面の表皮層を貼り合わせた後の複合シートに、ICカードとしての強度を持たせているため、接着材層の粘度が高く、十分に変形させるのは難しい。このため、熱プレスの温度が高い場合は、表皮層の方も変形してしまい、結果的にICカードとなる複合シートの表面にICチップによる凹凸部分の形状が浮き出てしまう問題があった。また、表皮層の変形を抑制するために、熱プレスの温度を低くすると、接着材層が変形せず、しかも熱プレスによる加圧中は表皮層が弾性変形してICチップによる凹凸部分を吸収してしまい、熱プレスの圧力解放後には熱プレス前と同様に、ICカードとなる複合シートの表面にICチップによる凹凸部分の形状が浮き出てしまう。このように、熱プレスのような後工程を追加する必要があるばかりでなく、この後工程を追加しても凹凸を低減する効果は小さく、完成したICカードの外観には改善の余地があった。また、熱プレスのような後工程が必要な点を除いたとしても、ICカードとなる複合シート自体の構成部材や製造プロセスが多く、近年の市場ニーズに対応したコストに抑えるのは困難であった。
本発明は上記問題点を解決するものであり、ICカードとなる複合シート自体の構成部材や製造プロセスが少なく低コスト化が図れるうえ、表面が平坦で外観の優れたICカードの製造装置及び製造方法を提供することを目的とする。
本発明は以下のものに関する。
(1) バックロール上に沿うように抱き合わされて支持された表皮基材にこの表皮基材よりもガラス転移温度が低い接着材を塗工し表皮層を形成する塗工手段と、この塗工手段によって形成された表皮層とICチップ付きアンテナ回路基板とをラミネートするラミネート手段と、を有するICカードの製造装置であって、前記ラミネートロールを有するラミネート手段が前記塗工手段と共通のバックロール上に設けられ、前記ICチップが前記バックロールと対向し、前記ICチップ付きアンテナ回路基板が前記ラミネートロール上に沿うように抱き合わされて支持され、前記表皮基材及び接着材の温度調整機構が、前記バッロールに設けられるICカード製造装置。
(2) 上記(1)において、接着材が反応性ホットメルト接着材であり、前記表皮基材のガラス転移温度以下で、かつ、塗工手段によって表皮基材上に塗工される接着材が溶融状態となったままで、ラミネート手段によってラミネートされるICカード製造装置。(3) 上記(1)又は(2)において、バックロールA上でICチップ付きアンテナ回路基板の一方の面に表皮層Aをラミネートするラミネート手段Aと、バックロールB上で前記ICチップ付きアンテナ回路基板の他方の面に表皮層Bをラミネートするラミネート手段Bとを備えるICカードの製造装置。
(4) 上記(1)から(3)の何れかにおいて、塗工手段及びラミネート手段に加えて、両面に表皮層をラミネートしたICチップ付きアンテナ回路基板を毎葉のシート状に切断するシートカット手段を備え、前記ラミネート手段からシートカット手段までを連続的に行うICカードの製造装置。
(5) バックロール上に沿うように抱き合わされて支持された表皮基材にこの表皮基材よりもガラス転移温度が低い接着材を塗工し表皮層を形成する塗工工程と、この塗工工程によって形成された表皮層とICチップ付きアンテナ回路基板とをラミネートするラミネート工程と、を有するICカードの製造方法であって、前記ラミネートロールを有するラミネート工程が前記塗工工程と共通のバックロール上で行われ、前記ICチップが前記バックロールと対向し、前記ICチップ付きアンテナ回路基板が前記ラミネートロール上に沿うように抱き合わされて支持され、前記バックアップロールに設けられる温度調整機構により、前記表皮基材及び接着材の温度が調整されるICカードの製造方法。
(6) 上記(5)において、接着材が反応性ホットメルト接着材であり、前記表皮基材のガラス転移温度以下で、かつ、表皮基材上に塗工される接着材が溶融状態となったままでラミネートされるICカードの製造方法。
(7) 上記(5)または(6)において、ラミネート工程が、バックロールA上でICチップ付きアンテナ回路基板の一方の面に表皮層Aをラミネートするラミネート工程Aと、バックロールB上で前記ICチップ付きアンテナ回路基板の他方の面に表皮層Bをラミネートするラミネート工程Bとを有するICカードの製造方法。
(8) 上記(5)から(7)の何れかにおいて、塗工工程及びラミネート工程に加えて、両面に表皮層をラミネートしたICチップ付きアンテナ回路基板を毎葉のシート状に切断するシートカット工程を備え、前記ラミネート工程からシートカット工程までを連続的に行うICカードの製造方法。
本発明によれば、非接触式ICカードとなる複合シート自体の構成部材や製造プロセスが少なく低コスト化が図れるうえ、表面が平坦で外観の優れた非接触式ICカードの製造装置及び製造方法を提供することが可能となる。
本発明のICカードの製造装置または製造方法により製造されるICカードの層構成を模式的に示す断面図である。 本発明のICカードの製造装置における製造方法を示すフロー図である。 本発明のICカードの製造装置における塗工手段A及びラミネート手段A、または本発明のICカードの製造方法における塗工工程A及びラミネート工程Aを示す。 本発明のICカードの製造装置における塗工手段B及びラミネート手段B、または本発明のICカードの製造方法における塗工工程B及びラミネート工程Bを示す。 本発明の実施例に係るICカードの製造装置または製造方法を示す図である。
本発明のICカード製造装置としては、図3に示すような、バックロールに支持された表皮基材A1に接着材A2を塗工し表皮層A16を形成する塗工手段A11と、この塗工手段A11によって形成された表皮層A16とICチップ付きアンテナ回路基板3とをラミネートするラミネート手段A8と、を有するICカードの製造装置21であって、前記ラミネート手段A8が前記塗工手段と共通のバックロールA7上に設けられるICカード製造装置21が挙げられる。これによれば、非接触式ICカードとなる複合シート自体の構成部材や製造プロセスが少なく低コスト化が図れるうえ、表面が平坦で外観の優れた非接触式ICカードの製造装置及び製造方法を提供することが可能となる。以下、詳細を説明する。
本発明に用いる塗工手段を説明する。本発明の塗工手段とは、表皮基材の表面に接着材を塗布し表皮層を形成する手段をいう。例えば、図3に示すように、塗工手段A11は、バックロールA7上に支持された表皮基材A1を挟んで、バックロールA7とは反対側に配置される。詳細は図示しないが、塗工手段A11は、塗工する接着材A2を供給する押出機と、バックロールA7に支持された表皮基材A1との間のギャップにより塗工の厚みを規定するバックプレート、塗工する幅を規定するサイドプレート等を有している。そして、バックロールA7上に支持された表皮基材A1の表面に対して、接着材A2を供給しつつ所定の厚みと幅で接着材A2を塗工する。塗工時の温度範囲は、使用する接着材や塗工条件等にもよるが、常温(20℃)から250℃の範囲である。塗工手段A11には、上記の他に、ダイコータ、ロールコータなどを用いることができる。塗工手段A11は、塗工の厚みを調整するため、表面基材A1と塗工手段A11との間のギャップを制御できる機構を有する。接着材A2の供給に用いる押出機は、単軸押出式または同方向の2軸押出式及び異方向2軸押出機が使用でき、供給する接着材A2が、充填剤等を混合した樹脂あるいは反応性を伴う樹脂を用いたもの場合は、混練機構のある2軸押出機が望ましい。なお、上記では、図3の塗工手段A11を例にとって説明したが、図4に示す塗工手段B12についても、同様である。
次に、バックロールについて説明する。本発明のバックロールとは、表皮基材等の被塗工体に塗工を行う際に被塗工体を支持しつつ搬送するロールをいう。例えば、図3の例で示すように、バックロールA7は、被塗工体である表皮基材A1を挟んで、塗工手段A11とは反対側に配置される。バックロールA7は、金属または、ゴム、プラスチック等の弾性体からなる表面を有するロールであり、ゴム、プラスチックの場合、表面硬度はショア硬度で50以上が望ましく、さらに70以上の高硬度のものが接着材の剪断応力を下げられるため好ましい。また、バックロールA7には、塗工温度が高温の場合に生じ易い表皮基材A1の熱変形を防止するため、温度調整機構を有するのが望ましい。この機構により、表皮基材A1の反り、しわ、うねりを抑制することができ、また、接着材A2の温度を一定に保つことができる。さらに、表皮基材A1をバックロールA7上に沿うように抱き合わせることにより、接着材A2を塗工した後に生じ易い表皮基材A1のそり、しわ、うねりを抑制することができる。なお、上記では、図3のバックロールA7を例にとって説明したが、図4に示すバックロールB9についても、同様である。
本発明に用いるラミネート手段について説明する。本発明のラミネート手段とは、シート状の部材同士を貼り合せる手段をいう。例えば、図3に示すように、接着材A2を塗工した表皮基材A1とICチップ付きアンテナ回路基板3とを張り合わせるために用いられるラミネートロールA8が挙げられる。ラミネート手段は、図3の例で示すように、接着材A2を塗工した表皮基材A1とICチップ付きアンテナ回路基板3とを挟んで、バックロールA7とは反対側に配置される。ラミネートロールA8は、金属、または、ゴム、プラスチック等の弾性体からなる表面を有するものを使用できる。ゴム、プラスチックの場合、表面硬度はショア硬度で50以上が望ましく、さらに70以上の高硬度のものが接着材A2の剪断応力を下げられるため好ましい。なお、上記では、図3のラミネートロールA8を例にとって説明したが、図4に示すラミネートロールB10についても、同様である。
ラミネートロールA8は、塗工手段A11を設けたものと同一の(共通の)バックロールA7上に設けられる。これにより、塗工手段A11で表皮基材A1上に接着材A2を塗工して形成された表皮層A16は、すぐにラミネートロールA8によって、ICチップ付きアンテナ回路基板3とラミネートされるため、接着材A2が溶融状態となったままでラミネートすることができる。このとき、バックロールA7の温度調整機能を用いれば、接着材A2を溶融状態に維持することはさらに容易である。また、このように接着材A2が溶融状態となったままでラミネートされることで、ICチップ6による凹凸部分があっても、この凹凸部分に接着材A2が追従して変形するので、表皮基材A1の表面に影響が残らないようにすることができる。したがって、複合シートA13の表皮基材A1の表面は平坦性を維持できる。また、ICチップ6の凹凸部分に対応する表皮基材A1表面の平坦性や、複合シートA13の厚みを調整するため、バックロールA7とラミネートロールA8との間にはギャップを調整できるギャップ制御機構、さらに、バックロールA7とラミネートロールA8との間で圧力を付与できる圧力調整機構を有するのが望ましい。なお、上記では、図3のラミネートロールA8を例にとって説明したが、図4に示すラミネートロールB10についても、同様である。
図1は、本発明のICカードの製造装置21または製造方法により製造されるICカード22の層構成を模式的に示す断面図である。表皮基材A1、表皮基材B5は、ICカード22の表面または裏面となり装飾性や保護機能を有するものであり、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチック材料を用いて形成される。また、経済性の点では、発泡タイプのPETフィルムや、ポリプロピレン、紙基材等を用いることが好ましい。後工程での生産効率を考慮すると、ロール状で準備しておくことが有効である。
本発明に用いる接着材は、シート状の部材同士をラミネートで接着するものであり、例えば、図3に示すように、表皮基材A1とICチップ付きアンテナ回路基板3とを接着して複合シートA13を形成したり、または図4に示すように、複合シートA13と表皮基材B5とを接着して複合シートB14を形成するものである。接着材A2及び接着材B4としては、熱可塑性接着材、熱硬化性接着材、UV硬化性接着材等を用いることができる。接着材A2及び接着材B4として、ホットメルト型の熱可塑性接着材を用いると、Tg(ガラス転移温度)が表皮基材A1及び表皮基材B5として用いられるPETよりも低いため、ラミネート時の温度や圧力を低くすることができるので、表皮基材A1及び表皮基材B5がラミネート時の熱や圧力によって変形するのを抑制できる。
本発明において表皮層とは、表皮基材に接着材を備えたものをいう。例えば、図3においては、バックロールA7上で表皮基材A1上に接着材A2が塗工されて表皮層A16が形成され、この表皮層A16がICチップ付きアンテナ回路基板3とラミネートされるが、ラミネートの前後を問わず、表皮基材A1と接着材A2とを積層した部分が表皮層A16に相当する。なお、上記では、図3の表皮層A16を例にとって説明したが、図4に示す表皮層B17についても、同様である。
本発明においてICチップ付きアンテナ回路基板とは、ICチップを搭載したアンテナ回路基板をいい、アンテナ回路基板とは、アンテナ回路を形成した基板をいう。アンテナ回路基板としては、アンテナ回路を有するシート状のものであれば特に限定はないが、一般的には、基材としてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用い、その上に配置した金属層をエッチングしてアンテナ回路を形成することにより形成できる。金属層としては、アルミニウム箔や銅箔が用いられるのが一般的である。その後、ICチップをアンテナ回路上に搭載することでICチップ付きアンテナ回路基板を得ることができる。ICチップの搭載には、異方導電性の接着材を用いるのが作業性の面から望ましい。なお、後工程での生産効率を考慮すると、IC付きアンテナ回路基板は、ロール状で準備しておくことが有効である。
本発明においては、図3〜図5に示すように、バックロール上A7で、ICチップ付きアンテナ回路基板3の一方の面に表皮層A16をラミネートするラミネート手段A8と、バックロールB9上でICチップ付きアンテナ回路基板3の他方の面に表皮層B17をラミネートするラミネート手段B10とを備えるのが望ましい。これによれば、ICチップ付きアンテナ回路基板3の表裏のそれぞれに、表皮層A16と表皮層B17とを連続してラミネートすることができるので、生産効率を向上させることができる。
本発明においては、図5に示すように、塗工手段A11、B12及びラミネート手段A8、B10に加えて、両面に表皮層A16、B17をラミネートしたICチップ付きアンテナ回路基板3を毎葉のシート状に切断するシートカット手段18を備え、ラミネート手段A8、B10からシートカット手段18までが連続的に行われるのが望ましい。これによれば、ICチップ付きアンテナ回路基板3の表裏のそれぞれに、表皮層A16と表皮層B17とを連続してラミネートすることができるうえ、毎葉のシート状に切断するシートカットまでが、連続で作業できるため、さらに、生産効率を向上させることができる。
本発明に用いるシートカット手段とは、連続して繋がった状態のシートを必要なサイズの毎葉のシートに切断するものをいう。例えば、図5に示すように、ICチップ付きアンテナ回路基板3の両面に表皮層A16及び表皮層B17をラミネートした状態の連続した複合シートB14に対して、必要なサイズへの切断を行うシートカット手段18である。シートカット手段18としては、例えばロータリーカット方式、押し切りカット方式等が挙げられる。押し切りカット方式としては、複合シートB14の上下に対向配置される上型と下型を備えるカッター18を有し、カッター18の上型は上下動可能に設けられるものが挙げられる。
本発明のICカード製造方法としては、図3に示すように、バックロールA7上に支持された表皮基材A1に接着材A2を塗工し表皮層A16を形成する塗工工程Aと、この塗工工程Aによって形成された表皮層A16とICチップ付きアンテナ回路基板3とをラミネートするラミネート工程Aと、を有するICカードの製造工程であって、前記ラミネート工程Aが前記塗工工程Aと共通のバックロールA7上で行われるICカードの製造方法が挙げられる。図3〜図5に示すように、ラミネート工程が、バックロールA7上でICチップ付きアンテナ回路基板3の一方の面に表皮層A16をラミネートするラミネート工程Aと、バックロールB9上で前記ICチップ付きアンテナ回路基板3の他方の面に表皮層B17をラミネートするラミネート工程Bとを有するのが望ましい。また、塗工工程及びラミネート工程に加えて、両面に表皮層A16、B17をラミネートしたICチップ付きアンテナ回路基板3を毎葉のシート状に切断するシートカット工程を備え、前記ラミネート工程からシートカット工程までを連続的に行うのが望ましい。
塗工工程Aでは、図2(a)及び図3に示すように、バックロールA7上に支持された表皮基材A1に接着材A2が塗工され、表皮層A16が形成される。ICチップ付きアンテナ回路基板3は、別途準備される。
ラミネート工程Aでは、図2(b)及び図3に示すように、表皮層A16とICチップ付きアンテナ回路基板3とがラミネートされ、複合シートA13が形成される。このラミネート工程Aは塗工工程Aと共通のバックロールA7上で行われる。これにより、接着材A2が塗工時の溶融状態のままでラミネートされるため、ICチップ6の凹凸部分を接着材A2により吸収することができる。また、バックロールA7の温度を調整することにより、ラミネート時の温度を表皮基材A1のガラス転位点温度以下とすることができるので、表皮基材A1の熱軟化を防ぎ、ギャップ制御、圧力付与することによりICチップ6の凹凸部分に対応する箇所でも表面の平坦性が得られる。
塗工工程Bでは、図2(c)及び図4に示すように、バックロールB9上に支持された表皮基材B5に接着材B4が塗工され、表皮層B17が形成される。
ラミネート工程Bでは、図2(d)及び図4に示すように、表皮層B17と複合シートA13とがラミネートされ、複合シートB14が形成される。このラミネート工程Bは塗工工程Bと共通のバックロールB9上で行われる。
シートカット工程では、図5に示すように、両面に表皮層A16、B17をラミネートしたICチップ付きアンテナ回路基板3が毎葉のシート状に切断される。なお、必要に応じて、図5に示すように、ラミネート工程Aまたはラミネート工程Bの後に、平坦化ロールA23、B24を用いた平坦化工程を加えてもよい。
(実施例)
図3〜図5に示すように、表皮基材A1である厚さ0.188mmのPETシート(帝人デュポンフィルム株式会社製)上に、厚さ0.28mmの反応性ホットメルト接着材A2であるハイボン4883(日立化成ポリマー株式会社製、商品名。ハイボンは登録商標。)を、バックロールA7上に設けた塗工装置A11を用いて塗工し、得られた表皮層A16の接着材A2が溶融したままの状態で、この表皮層A16とICチップ付きアンテナ回路基板3とを、表皮基材A1のTg以下(70℃)でラミネートし、複合シートA13を作製した。この表皮基材A1への塗工からラミネートまでは、塗工に用いたのと同一のバックロールA7上で連続して行った。その後、さらに連続して、表皮基材B5である厚さ0.188mmのPETシート(帝人デュポンフィルム株式会社製)上に、厚さ0.10mmの反応性ホットメルト接着材B4であるハイボン4883(日立化成ポリマー株式会社製、商品名。ハイボンは登録商標。)を、バックロールB9上に設けた塗工装置B12を用いて塗工し、得られた表皮層B17の接着材B4が溶融したままの状態で、この表皮層B4と複合シートA13とを、表皮基材B17のTg温度以下(70℃)でラミネートし、ICチップ付きアンテナ回路基板3を内包した複合シートB14を得た。この表皮基材B5への塗工からラミネートまでは、塗工に用いたのと同一のバックロールB9上で連続して行った。カッター18により、毎葉のシートに切断し、複合シートC15を得た。さらに、最終サイズへの加工を行い、厚み0.76mmの非接触ICカードを作製した。
(比較例)
実施例と同様にして、表皮基材Aである厚さ0.188mmのPETシート(帝人デュポンフィルム株式会社製)上に、厚さ0.28mmの反応性ホットメルト接着材Aであるハイボン4883(日立化成ポリマー株式会社製、商品名。ハイボンは登録商標。)を、バックロールA上に設けた塗工装置Aを用いて塗工し、表皮層Aを得た後、バックロールA上から一旦取り出した。また、表皮基材Bである厚さ0.188mmのPETシート(帝人デュポンフィルム株式会社製)上に、厚さ0.10mmの反応性ホットメルト接着材Bであるハイボン4883(日立化成ポリマー株式会社製、商品名。ハイボンは登録商標。)を、バックロールB上に設けた塗工装置Bを用いて塗工し、表皮層Bを得た後、バックロールB上から取り出した。次に、表皮層Aと表皮層Bとの間に、ICチップ付きアンテナ回路基板を挟んで、表皮層A及び表皮層Bの外側から、平面の熱プレスを使用して、130℃加熱、0.5MPaの条件で、上下から熱プレスラミネートを行い、ICチップ付きアンテナ回路基板を内包した複合シートBを形成した。その後、カッターにより、毎葉のシートに切断し、複合シートCを得た。さらに、最終サイズへの加工を行い、厚み0.76mmの非接触ICカードを作製した。
実施例及び比較例の結果を表1に示す。実施例は、ICチップによる凹凸部分に対応する箇所でも、表面の凹凸が2〜8μmであり、目視では凹凸は目立たず、外観は良好であった。一方、比較例は、ICチップによる凹凸部分に対応する箇所では、表面の凹凸が20〜30μmであり、目視でも表面の凹凸が確認され、外観が不満足であった。なお、表面の凹凸の測定は、表面粗さ測定機サーフテストSJ−400(ミツトヨ株式会社製、商品名。サーフテストは登録商標。)を用いて、チップの実装部分と非実装部分との高低差を測定することにより行った。
Figure 0005825508
1:表皮基材A
2:接着材A
3:ICチップ付きアンテナ回路基板
4:接着材B
5:表皮基材B
6:ICチップ
7:バックロールA
8:ラミネートロールA(ラミネート手段A)
9:バックロールB
10:ラミネートロールB(ラミネート手段B)
11:塗工装置A(塗工手段A)
12:塗工装置B(塗工手段B)
13:複合シートA
14:複合シートB
15:複合シートC
16:表皮層A
17:表皮層B
18:カッター(シートカット手段)
19:搬送ロール
20:アンテナ回路基板
21:ICカード製造装置
22:ICカード
23:平坦化ロールA
24:平坦化ロールB

Claims (8)

  1. バックロール上に沿うように抱き合わされて支持された表皮基材にこの表皮基材よりもガラス転移温度が低い接着材を塗工し表皮層を形成する塗工手段と、この塗工手段によって形成された表皮層とICチップ付きアンテナ回路基板とをラミネートするラミネート手段と、を有するICカードの製造装置であって、前記ラミネートロールを有するラミネート手段が、前記塗工手段と共通のバックロール上に設けられ、前記ICチップが前記バックロールと対向し、前記ICチップ付きアンテナ回路基板が前記ラミネートロール上に沿うように抱き合わされて支持され、前記表皮基材及び接着材の温度調整機構が、前記バッロールに設けられるICカード製造装置。
  2. 請求項1において、接着材が反応性ホットメルト接着材であり、前記表皮基材のガラス転移温度以下で、かつ、塗工手段によって表皮基材上に塗工される接着材が溶融状態となったままで、ラミネート手段によってラミネートされるICカード製造装置。
  3. 請求項1又は2において、バックロールA上でICチップ付きアンテナ回路基板の一方の面に表皮層Aをラミネートするラミネート手段Aと、バックロールB上で前記ICチップ付きアンテナ回路基板の他方の面に表皮層Bをラミネートするラミネート手段Bとを備えるICカードの製造装置。
  4. 請求項1から3の何れかにおいて、塗工手段及びラミネート手段に加えて、両面に表皮層をラミネートしたICチップ付きアンテナ回路基板を毎葉のシートに切断するシートカット手段を備え、前記ラミネート手段からシートカット手段までを連続的に行うICカードの製造装置。
  5. バックロール上に沿うように抱き合わされて支持された表皮基材にこの表皮基材よりもガラス転移温度が低い接着材を塗工し表皮層を形成する塗工工程と、この塗工工程によって形成された表皮層とICチップ付きアンテナ回路基板とをラミネートするラミネート工程と、を有するICカードの製造方法であって、前記ラミネートロールを有するラミネート工程が前記塗工工程と共通のバックロール上で行われ、前記ICチップが前記バックロールと対向し、前記ICチップ付きアンテナ回路基板が前記ラミネートロール上に沿うように抱き合わされて支持され、前記バッロールに設けられる温度調整機構により、前記表皮基材及び接着材の温度が調整されるICカードの製造方法。
  6. 請求項5において、接着材が反応性ホットメルト接着材であり、前記表皮基材のガラス転移温度以下で、かつ、表皮基材上に塗工される接着材が溶融状態となったままでラミネートされるICカードの製造方法。
  7. 請求項5又は6において、ラミネート工程が、バックロールA上でICチップ付きアンテナ回路基板の一方の面に表皮層Aをラミネートするラミネート工程Aと、バックロールB上で前記ICチップ付きアンテナ回路基板の他方の面に表皮層Bをラミネートするラミネート工程Bとを有するICカードの製造方法。
  8. 請求項5から7の何れかにおいて、塗工工程及びラミネート工程に加えて、両面に表皮層をラミネートしたICチップ付きアンテナ回路基板を毎葉のシート状に切断するシートカット工程を備え、前記ラミネート工程からシートカット工程までを連続的に行うICカードの製造方法。
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