JP5823442B2 - 両開き戸の同時開閉機構および両開き戸 - Google Patents
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Description
両開き戸を開放状態とするには、2枚の戸を左右に同時に開く必要があるため両手を使う必要がある。しかし、片手または両手が荷物などで塞がっているときや車椅子に乗っている者にとっては、両方を一度に開くことが困難な場合がある。
例えば、特許文献1には、扉を軸着する扉支軸に同径のチェーンギヤを嵌着し、このチェーンギヤにタスキ掛状、または平行にチェーンを装着した左右同時開閉扉が記載されている。
特許文献2には、両開き戸の左右の回転軸に設けられた左右の駆動傘歯車と、駆動傘歯車と噛合する左右の従動傘歯車と、従動傘歯車が両端に設けられた伝達軸とを備えた両開戸開閉装置が記載されている。また、この特許文献2には、両開戸の回転軸に設けられた駆動プーリーと、この駆動プーリーに係合して回転力を伝達する伝達ベルトと、伝達ベルトが係合する左右の従動プーリーと、従動プーリーと同軸に設けられた相互に噛合する左右の伝達歯車とを備えた両開戸開閉装置が記載されている。
しかし、特許文献1〜3に記載の従来の同時開閉装置では、扉が閉まるときの衝撃を緩和する点については考慮されていない。例えば、特許文献4に記載されているようなドアクローザを扉と戸枠に設置して、緩やかに扉を閉めることで、扉の衝撃を緩和させることができるが、同時開閉機構と別体で、大掛かりなものが扉に付くことになるため、扉の意匠性が低下するだけでなく、コストアップとなり、扉の設置にスペースを要する。
本発明の両開き戸によれば、一方の扉または他方の扉のいずれかを開けば、同時開閉機構により両方の扉が開き、閉鎖するときには手を離すだけで、グラビティヒンジにより片方の扉が自重で閉まれば、同時開閉機構によりもう片方も閉まる。そして、狭い室内であっても、一方の扉または他方の扉は、閉鎖状態において室外側へ膨らんでいるため室内を広く確保することができる。
本発明の実施の形態1に係る両開き戸について、図面に基づいて説明する。
図1および図2に示すように、両開き戸10は、左右の固定扉10aの間で、一方の扉と他方の扉とが、観音開きするものである。両開き戸10は、上枠21と縦枠22,22と、下枠23とにより構成された戸枠20に設置されている。
両開き戸10は、一方の扉である左扉11と、他方の扉である右扉12とから構成されている。左扉11と右扉12とは、開閉に伴って回転する上下の回転軸31a,31bにより支持されている。
開閉機構30は、上枠21に内蔵されている。開閉機構30は、回転軸31a,31bと同軸に配置された一対の回転部材である円盤部材32a,32bと、それぞれの円盤部材32a,32bに、両端部が連結された棒状のリンク部材33とを備えている。
円盤部材32bとリンク部材33との連結位置となるねじ穴321と回転軸31a,31bとを結ぶ線と、仮想線Lとの成す角度が鋭角となるのが、開放時に回転し始める円盤部材32a,32bの応力をリンク部材33に伝達しやすいので望ましい。本実施の形態では、ねじ穴321と回転軸31a,31bとを結ぶ線と、仮想線Lとの成す角度θが45°となるように形成されている(図4(A)および同図(B)参照)。
リンク部材33の一方の端部には、緩衝装置34が設けられている。ここで、リンク部材33の一方の端部は、左扉11および右扉12が閉鎖するときに、開閉機構30の側方に位置する戸枠に接近する側である。図3においては、左扉11および右扉12が閉鎖するときには、リンク部材33が左方向へ移動するため、緩衝装置34が左扉11側のリンク部材33の端部に設けられている。
図2および図3に示すように、まず、左扉11または右扉12をいずれか、例えば、右扉12を開こうとして、右扉12を平面視して反時計回りに回転させ始めると、反時計回りの右扉12の回転と共に、右扉12側の回転軸31bが同方向に回転する。回転軸31bが回転すると、回転軸31bと同軸に固定された右扉12側の円盤部材32bが同方向に回転する。
円盤部材32aの時計回りの回転により、左扉11側の回転軸31aが時計回りに回転することで、左扉11が同方向に回転して、左扉11が右扉12と同じ向きで開く。
扉を閉めるときには、手を離せば、左扉11はグラビティヒンジ36により回転軸31aと同軸位置の底部が支持されているので、左扉11の自重により閉鎖方向へ移動して、円盤部材32a、リンク部材33の移動方向および円盤部材32bの回転方向が、開放状態とするときと反対方向に動作することで、両方の扉が閉まる。
円盤部材32a,32bを帯板状部材32c,32dとしても、円盤部材32a,32bとリンク部材33との連結位置となるねじ穴321と回転軸31a,31bとを結ぶ線と、仮想線Lとの成す角度が鋭角となるのが、開放時の応力がリンク部材33に伝達しやすいので望ましい。
本発明の実施の形態2に係る両開き戸について、図面に基づいて説明する。本実施の形態2に係る両開き戸は、一方の扉と他方の扉とが、実施の形態1と同様に、観音開きするだけでなく、2枚の扉が互いに反対方向へも開くようにしたものである。
まず、本実施の形態2に係る両開き戸の両方の扉が、同じ方向へ観音開きすることを説明する。
両開き戸10xは、例えば、ユニバーサルデザインのトイレTの扉として使用することができる。左扉11xと右扉12xとは、先端側が、トイレTの室外側へ湾曲した円弧面に形成されていることで、左扉11xと右扉12xとが閉鎖状態のときに、2枚の扉の中央部がトイレTの室外側へ膨らんでおり、室内側に空間が設けられている。
左扉11xと右扉12xとは、開閉に伴って回転する上下の回転軸31ax,31bxにより支持されている。
開閉機構30xは、同方向に観音開きする点については、図8に示すように、実施の形態1に係る開閉機構30と原理は同じである。開閉機構30と異なる点については、リンク部材33の取り付け位置を変更することで、観音開きの開く方向が反対方向へも開くように形成されている。
図9に示す開閉機構30xは、図7に示す開閉機構30xと同じ構成部材であるが、リンク部材33の連絡位置が、図7に示す開閉機構30xと異なる。
但し、「d:開放時」の状態での開閉機構30xの回転軸31a,31bxへの取り付けは、「c:開放時」の状態のときと左右が反対になっている。
また、実施の形態1と同様に、グラビティヒンジを左扉11xまたは右扉12xの下側の回転軸31ax,31bxに設けておけば、扉を開放したときに、自動的に閉鎖動作を開始させることができる。このとき、リンク部材33に緩衝装置34が設けられているため、利用者は、左扉11xまたは右扉12xの閉鎖時の衝撃音などを心配することなく、扉を閉めることができる。
また、車椅子を使用する利用者がトイレTを利用する場合では、図8(A)に示す両開き戸10xであれば左扉11xを、同図(B)に示す両開き戸10xであれば右扉12xを押しながらトイレTに進入し、使用後には、図8(A)に示す両開き戸10xであれば右扉12xを、同図(B)に示す両開き戸10xであれば左扉11xを押しながら退出することができる。また、グラビティヒンジにより自動的に左扉11xまたは右扉12xが閉まれば、反対側も開閉機構30xにより自動的に閉まる。従って、利用者は車椅子に乗ったまま、後退することなく、トイレTに入ったり出たりすることができる。
10a,10ax 固定扉
11,11x 左扉
11a 一面
12,12x 右扉
12a 一面
12b 他面
20 戸枠
21 上枠
22 縦枠
23 下枠
30,30x 開閉機構
31a,31b,31ax,31bx 回転軸
32,32a,32b 円盤部材
32c,32d 帯板状部材
321 ねじ穴
321a,321b ねじ穴
33 リンク部材
331 ねじ穴
34 緩衝装置
36 グラビティヒンジ
37 当接部
L 仮想線
T トイレ
Claims (6)
- 一方の扉と他方の扉とが観音開きする両開き戸の同時開閉機構において、
前記一方の扉と他方の扉とのそれぞれの回転軸の回転と共に、同方向に回転する一対の回転部材と、
前記一対の回転部材の一方の回転部材の回転を、他方の回転部材に逆転した状態で伝達させるために、前記一対の扉の回転軸同士を結ぶ仮想線を中心線として、前記一方の回転部材の一方側に偏心した位置と、前記他方の回転部材の他方側に偏心した位置とにそれぞれ連結されたリンク部材と、
前記一方の扉と他方の扉とが閉鎖するときに戸枠の縦枠に接近する側の前記リンク部材で、前記回転部材から突き出た前記リンク部材の一方の端部に設けられ、前記一方の扉が閉鎖するときに、固定された受け部に当接させて衝撃を緩和させる緩衝装置と
を備えたことを特徴とする両開き戸の同時開閉機構。 - 前記一方の扉と他方の扉とが閉鎖状態にあるときに、前記リンク部材および前記回転部材の連結位置と回転軸とを結ぶ線と、前記仮想線との成す角度が鋭角である請求項1記載の両開き戸の同時開閉機構。
- 一方の扉と他方の扉とが互いに反対方向へ開く両開き戸の同時開閉機構において、
前記一方の扉と他方の扉とのそれぞれの回転軸の回転と共に、同方向に回転する一対の回転部材と、
前記一対の回転部材の一方の回転部材の回転を、他方の回転部材に正転した状態で伝達させるために、前記一対の扉の回転軸同士を結ぶ仮想線Lを中心線として、一方の回転部材の一方側に偏心した位置と、前記他方の回転部材の一方側に偏心した位置とにそれぞれ連結されたリンク部材と、
前記一方の扉と他方の扉とが閉鎖するときに戸枠の縦枠に接近する側の前記リンク部材で、前記回転部材から突き出た前記リンク部材の一方の端部に設けられ、前記一方の扉が閉鎖するときに、固定された受け部に当接させて衝撃を緩和させる緩衝装置と
を備えたことを特徴とする両開き戸の同時開閉機構。 - 前記回転部材は、前記回転軸に固定された円盤部材であり、
前記リンク部材は、前記円盤部材の円盤面に連結されている請求項1から3のいずれかの項に記載の両開き戸の同時開閉機構。 - 前記回転部材は、前記回転軸に固定された帯板状部材であり、
前記リンク部材は、前記帯板状部材の先端部に連結されている請求項1から3のいずれかの項に記載の両開き戸の同時開閉機構。 - 前記請求項1から5のいずれかに記載の開き戸の同時開閉機構と、一方の扉または他方の扉を自重で閉めるグラビティヒンジとを備え、
前記一方の扉または他方の扉は、閉鎖状態において室外側へ膨らんでいることを特徴とする両開き戸。
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