JP5821762B2 - ベーン型圧縮機 - Google Patents

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Description

この発明は、ベーン型圧縮機に関するものである。
近年、地球温暖化防止対策のため、地球温暖化係数(Global Warming Potential、以下GWPという)の低い冷媒の使用が検討されている。しかしながら、低GWP冷媒は従来の冷媒より動作圧力が低い冷媒が多く、冷凍サイクル内の冷媒循環量が多く必要となる。冷凍サイクルの循環量を制御する圧縮機としては大きな押しのけ量が必要となり、圧縮要素部分の大型化が必須であった。これに対して、低GWP冷媒の使用が進んでいるカーエアコンなどでは動作圧力が低い冷媒を使用し省スペースを実現できるベーンロータリ圧縮機が使用されている。
従来のベーン型圧縮機は、シリンダの円筒状内部空間すなわちシリンダ室に設けられたロータシャフト(シリンダ内で回転運動する円柱形のロータ部と、ロータ部に回転力を伝達するシャフトとが一体化されたものをロータシャフトという)と、ロータシャフトのロータ部内に一箇所または複数箇所形成されたベーン溝と、そのベーン溝内に嵌入されたベーンを備え、シリンダとロータ部とベーンによって形成された圧縮室に冷媒を吸入し、ロータシャフトの回転とベーンの摺動ととともに、圧縮室の容積を変化させ、冷媒の圧縮を行っている。そのとき、ベーンの先端がシリンダ内周面と当接しながら摺動する(例えば、特許文献1参照)。
また、別の例として、ロータシャフトの内部を中空に構成しその中にベーンの固定軸を配し、ベーンはその固定軸に回転可能に取り付けられ、更に、ロータ部の外径付近に半円棒形状の一対の挟持部材を介してベーンがロータ部に対して回転自在に保持されているベーン型圧縮機も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平10−252675号公報(第4頁、第1図) 特開2000−352390号公報(第6頁、第1図)
例えば、特許文献1のような一般的なベーン型圧縮機は、ベーンがロータ部からシリンダ室の内周面すなわちシリンダ内周面に押し出される方向がロータ部のベーン溝により規制され、ベーンはロータ部の外周面に対して常に同じ傾きとなるように保持されている。ロータシャフトの回転に伴い、ベーンとシリンダ内周面の成す角度は変化するものは、全周に亘ってベーン先端がシリンダ内周面に当接するために、ベーンの先端のRをシリンダ内周面のRに比べて小さく構成する必要があった。
しかしながら、ベーン先端がシリンダ内周面と当接しながら摺動するものにおいては、Rの大きく異なるシリンダ内周面とベーン先端が摺動するため、二つの部品(シリンダ、ベーン)間に油膜を形成しその油膜を介して摺動する流体潤滑の状態にはならず、境界潤滑状態となる。一般に潤滑状態による摩擦係数は、流体潤滑では0.001〜0.005程度なのに対し、境界潤滑状態では概ね0.05以上と非常に大きくなる。
したがって、ベーン先端とシリンダ内周面が境界潤滑状態で摺動することにより摺動抵抗が大きく、機械損失の増大による圧縮機効率の大巾な低下が発生するとともに、同時にベーン先端及びシリンダ内周面が摩耗しやすく長期の寿命を確保することが困難であるという課題があった。
その改善する形態として、特許文献2のように、中空のロータ部の中に、ベーンをシリンダの円筒状内部空間すなわちシリンダ室の中心軸線にて回転可能に支持する固定軸を備え、且つベーンがロータ部とともに回転可能となるようにロータ部の外周部近傍で狭持部材を介してベーンを保持する方法がある。
この構成では、ベーンはシリンダ室の中心軸線にて回転支持されているので、ベーンがロータ部からシリンダ内周面に押し出される方向は常にシリンダ内周面の法線方向となるとともに、ベーン先端部がシリンダ内周面に沿うように移動する。すなわち、ベーンがシリンダ室の中心軸線を中心に回転することにより、ベーンはロータ部からシリンダ内周面の法線方向に押し出される構成となる。そのため、シリンダ内周面のRとベーン先端のRをほぼ一致させ、ベーン先端とシリンダ内周面を非接触に構成することができる。例え、ベーン先端とシリンダ内周面とが接触する場合でも十分な油膜による流体潤滑状態とすることができる。それにより、従来のベーン型圧縮機の課題であるベーン先端部の摺動状態を改善することが可能となる。
しかし、ロータ部を中空にした構成では、ロータ部への回転力の付与やロータ部の回転支持が難しくなる。中空のロータ部の両端面に端板を設け、一方の端板の中心にはロータ部を回転させるための回転力を伝達するシャフトすなわち回転軸を接続し回転軸を中心に回転支持されるとともに、もう一方の端板は中央部に穴を設けたリング状に形成し、ベーン固定軸やベーン軸支持材の回転範囲と端板を回転支持する部分とが干渉しないように構成する必要がある。このため、端板を回転支持する部分は、回転軸に比べて大径に構成する必要があり、摺動損失が大きくなるという課題があった。すなわち、損失が大きく大型化するという課題があった。
また、ベーン型圧縮機をより大きな冷凍能力の空調機などに使用していくためには、圧縮室容積の増加すなわち圧縮要素の押しのけ量増加が必要である。特に、空調機を大型化させないため、圧縮機を大型化させずに押しのけ量を増加させる必要がある。また、従来からある空調機であっても、圧縮機の押しのけ量が大きければ回転数を低く抑え騒音や効率などの改善を行うこともできる。そこで、圧縮要素すなわちシリンダの外形を大きくすることなく圧縮要素の押しのけ量を増加させるために、ロータ部の外径を小さくしシリンダ室の中心軸線に対するロータシャフトの中心軸線の偏心量を大きくしていく必要がある。しかしながら、従来のベーン型圧縮機の構成では、シリンダ室の中心軸線に対するロータシャフトの中心軸線の偏心量を大きくするとロータ部の中空空間内にベーン固定軸を配置できなくなる。あるいは、シリンダ室の中心軸線を含むようにロータ部の中空空間を大きくすると、ロータ部の外周部と中空空間を隔てる肉厚がなくなりロータ部を形成できなくなる、という寸法上の課題があった。すなわち、より大きな空調機に搭載するために、シリンダ室の中心軸線に対するロータシャフトの中心軸線の偏心量を大きくし圧縮室の容積拡大を行うことは容易にできないという課題があった。
この発明は、上記のよう課題を解決するためになされたもので、板状の形状を有しその長手方向をロータ部のほぼ径方向となるようにロータ部に配置されるとともにロータ部円周方向に回動自在かつロータ部のほぼ径方向に移動可能にロータ部に保持されたベーンがロータ部の外周面とシリンダの内周面とで形成される空間を仕切り圧縮室を形成するとともに、そのベーンがベーンの長手方向とシリンダの内周面の法線方向とをほぼ一致させた状態でシリンダ内をシリンダの円周方向に移動する圧縮機において、シリンダ室の中心軸線に対するロータシャフトの中心軸線の偏心量を大きくし圧縮室の容積拡大された大容量の圧縮機を得ることが目的である。
この発明に係るベーン型圧縮機は、ほぼ円筒状で、軸方向の両端が開口しているシリンダと、シリンダの一方の開口部を閉塞するシリンダヘッドと、シリンダの他方の開口部を閉塞するフレームと、シリンダ内でシリンダの中心軸線と偏心した中心軸線にて回転運動する円柱形のロータ部及びロータ部の中心軸線に設けられロータ部に回転力を伝達する回転軸部を有するロータシャフトと、板状の形状を有しその長手方向がロータ部のほぼ径方向となるようにロータ部に配置されるとともにロータ部円周方向に回動自在かつロータ部のほぼ径方向に移動可能にロータ部に保持されたベーンと、ベーンにてロータ部の外周面とシリンダの内周面とで形成される空間を仕切ることで圧縮室を形成するベーン型圧縮機において、
ベーンに、ベーンの長手方向とシリンダの内周面の法線方向とがほぼ一致するように規制しロータ部の回転運動によって回転軸部の周囲を回るベーンアライナを備え、回転軸部にベーンアライナと回転軸部とを接触させない逃がし部を設けたことを特徴とするベーン型圧縮機。
この発明に係るベーン型圧縮機は、ベーンの長手方向とシリンダの内周面の法線方向とがほぼ一致するように規制しロータ部の回転運動によって回転軸部の周囲を回るベーンアライナをベーンに備え、ベーンアライナが回転軸部に接触することないよう回転軸部に逃がし部を設けたので、シリンダ室の中心軸線に対するロータシャフトの中心軸線の偏心量を大きくし圧縮室の容積拡大された大容量の圧縮機を得ることができる。
この発明の実施の形態1に係るベーン型圧縮機の縦断面図である。 この発明の実施の形態1に係るベーン型圧縮機の圧縮要素の分解斜視図である。 この発明の実施の形態1に係るベーン型圧縮機の圧縮要素の横断面図である。 この発明の実施の形態1に係るベーン型圧縮機の圧縮動作の説明図である。 この発明の実施の形態1に係るベーン型圧縮機のロータシャフト細径部の作用を説明する説明図である。 この発明の実施の形態1に係るベーン型圧縮機の圧縮要素構成部品の寸法比較の説明図である。 この発明の実施の形態2に係るベーン型圧縮機の縦断面図である。 この発明の実施の形態2に係るベーン型圧縮機のベーンアライナの斜視図である。
実施の形態1.
図1は実施の形態1を示す図で、ベーン型圧縮機の縦断面図である。図1を参照しながら、ベーン型圧縮機(密閉型)について説明する。但し、本実施の形態は、圧縮要素に特徴があり、ベーン型圧縮機(密閉型)は、一例である。本実施の形態は、密閉型に限定されるものではなく、エンジン駆動や開放型容器等の、他の構成のものにも適用される。また、本実施例においては、ベーンが2枚の場合を示しているが、1枚や3枚以上でもよい。
本実施の形態に示す圧縮機は、主に冷凍や空調用途として冷媒を圧縮・循環させる用途に用いられる。特にベーンが2枚以上の構成においては、シリンダの大きさに対して循環する冷媒の体積流量が大きいため、比較的大きな冷媒流量が必要とされる低圧冷媒用として好適である。冷媒の種類としては、標準沸点が−45℃以上となる、R600a(イソブタン)、R600(ブタン)、R290(プロパン)、R134a、R152a、R161、R407C、R1234yf、R1234ze等の冷媒に適している。
図1に示すベーン型圧縮機(密閉型)100は、密閉容器103内に、圧縮要素101と、この圧縮要素101を駆動する電動要素102とが収納されている。圧縮要素101は、密閉容器103の下部に位置し、密閉容器103内の底部に貯留する冷凍機油(図示せず)を圧縮要素101内の給油機構(図示せず)により圧縮要素101に導き、圧縮要素101の各摺動部が潤滑される。
圧縮要素101を駆動する電動要素102は、例えば、ブラシレスDCモータで構成される。電動要素102は、密閉容器103の内周に固定される固定子11と、固定子11の内側に配設され、永久磁石を有する回転子12を備える。
固定子11は、固定子鉄心、絶縁部材、コイルから構成され、コイルにはリード線15が接続されている。リード線15は密閉容器103に溶接により固定されたガラス端子13と接続されており、ガラス端子13から電力が供給される。ガラス端子13にはリード線15を介して固定子11のコイルに電力を供給する外部電源が接続される。コイルは、固定子鉄心に複数設けられたティースにポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)などで構成された絶縁部材を介して回転軸方向に巻き付けられている。このような構成によって、外部電源がコイルに通電すると、コイルが磁束を発生し、固定子鉄心上に複数の磁極を生成する。
なお、固定子鉄心は、薄板電磁鋼板を打抜いた鉄心シートを積層することで形成され、密閉容器103に焼嵌めによって固定されている。
回転子12は、固定子11と同様に薄板電磁鋼板を打抜いた鉄心シートを積層し構成された回転子鉄心と、回転子鉄心の外周側表面付近に磁石挿入孔が設けられている。その磁石挿入孔にはフェライト磁石や希土類磁石などの永久磁石が挿入され、回転子12上の磁極を形成する。
なお、永久磁石はフェライト磁石や希土類磁石などを単一使用しても、フェライト磁石と希土類磁石を混在使用しても構わない。また、磁石挿入孔は回転子鉄心の外周側表面付近と説明したが、永久磁石の磁力調整のため回転子鉄心の外周側表面から所定の距離を設けた回転子鉄心の内周側に設けても構わない。また、回転子鉄心に磁石挿入孔を設けず回転子鉄心の外周表面に貼り付けても構わない。
なお、回転子鉄心の中心には、ロータシャフト4の回転軸部4bが焼き嵌め等により締結されている。
以上のような構成によって、電動要素102は、回転子12の永久磁石が作る磁束と固定子11のコイルが作る磁束との作用によって、回転子12を回転させ、回転力をロータシャフト4へ伝達し、ロータシャフト4を介して圧縮要素101へ伝達する。
なお、電動要素102は、ブラシレスDCモータを一例として説明したが、回転子12に永久磁石を使わない、例えば、誘導電動機であっても構わない。誘導電動機の固定子の構成については、ブラシレスDCモータとほぼ同じであるが、回転子は永久磁石の代わりに二次コイルが設けられており、固定子側のコイルが回転子側の二次コイルに磁束を誘導して回転力を発生させ、回転子12を回転させる。
圧縮要素101は、吸入管(図示せず)から低圧の冷媒を圧縮室に吸入して圧縮し、圧縮された冷媒は、密閉容器103内に吐出され、電動要素102を通過して密閉容器103の上部に固定された吐出管14から外部(冷凍サイクルの高圧側)に吐出される。なお、密閉容器103内が高圧となる高圧タイプにて説明したが、ベーン型圧縮機200は、密閉容器103内が高圧となる高圧タイプであっても、密閉容器103内が低圧となる低圧タイプであっても構わない。
本実施の形態は、圧縮要素101に特徴があるので、以下、圧縮要素101について詳細に説明する。図1においても、圧縮要素101を構成する各部品に符号を付しているが、図2の分解斜視図の方が解りやすいので、主に図2を参照しながら、補足として図1および図3にて説明する。図2は実施の形態1を示す図で、ベーン型圧縮機の圧縮要素101の分解斜視図である。図3は図1のZ−Z’面にて切断した圧縮要素101の横断面図(上面図)である。図3の()内の符号は上面の部品に隠れた部品の符号である。
図2に示すように、圧縮要素101は以下に示す要素を有する。
(1)シリンダ1:全体形状がほぼ円筒状で、軸方向の両端部が開口した内部空間すなわちシリンダ室1aを有する。また、シリンダ室1aの内周面1bには吸入ポート1cが開口されており、吸入ポート1cは密閉容器103の外部の冷媒回路と接続される吸入管と接続される。同様に、内周面1bには後述する吐出ポート2cにつながる吐出流路1dが設けられており、吐出ポート2cとシリンダ室1aとを連通させる;
(2)フレーム2:断面がほぼT字状で、シリンダ1に接する部分がほぼ円板状であり、シリンダ1の一方の開口部(図2では上側)を閉塞する。フレーム2のシリンダ1側端面には、シリンダ室1aの中心軸線と同心で、かつシリンダ室1aの内径より小さい内径のほぼ円筒状の凹部2a(図1にのみ図示)が設けられている。凹部2aはシリンダ室1a側に開口しており、後述するベーンアライナ部5b、6bが嵌入し、凹部2aの内周面に押圧される。また、シリンダ1に接する側と反対側にはほぼ円筒状の軸受部2bが設けられ、軸受部2bの内部空間は凹部2aに連通している。後述するロータシャフト4の回転軸部4bが挿入され回転可能に保持する。なお、軸受部2bの中心軸線は、シリンダ室1aの中心軸線に対して偏心した位置に設けられており、シリンダ室1aの中心軸線に対してロータシャフト4の回転軸部4bは偏心した中心軸線上で回転運動を行う。また、フレーム2には、シリンダ1側端面から軸受部2b側に連通する吐出ポート2cが設けられている;
(3)シリンダヘッド3:断面がほぼT字状で、シリンダ1に接する部分がほぼ円板状であり、シリンダ1の開口部のうちフレーム2にて閉塞される側と反対側の開口部(図2では下側)を閉塞する。シリンダヘッド3のシリンダ1側端面には、シリンダ1の中心軸線と同心で、かつシリンダ室1aの内径より小さい内径の円筒状の凹部3aが設けられている。凹部3aは、シリンダ室1a側に開口しており、後述するベーンアライナ部5c、6cが嵌入し、凹部2aの内周面に押圧される。また、シリンダ1と接する側と反対側にはほぼ円筒状の軸受部3bが設けられており、軸受部3bの内部空間は凹部3aに連通しており、後述するロータシャフト4の回転軸部4cが挿入され回転可能に保持する。なお、軸受部3bの中心軸線は、シリンダ室1aの中心軸線に対して偏心した位置に設けられており、シリンダ室1aの中心軸線に対してロータシャフト4の回転軸部4cは偏心した中心軸線上で回転運動を行う;
(4)ロータシャフト4:シリンダ1内でシリンダ室1aのとは偏心した中心軸線上で回転運動を行うロータ部4a、及びロータ部4aの中心軸線の上下に設けられた回転軸部4b,4cが一体となった構造である。ロータ部4aには、ロータ部4aの軸方向に垂直な断面がほぼ円形でロータ部4aの軸方向に貫通するブッシュ保持部4d、4e及びベーン逃がし部4f、4gが設けられている。ブッシュ保持部4dはロータ部4aの外周側に設けられ、ベーン逃がし部4fはブッシュ保持部4dのロータ部4aの中心軸線側にブッシュ保持部4dと径方向に連通するように設けられている。同様に、ブッシュ保持部4eはロータ部4aの外周側に設けられ、ベーン逃がし部4gはブッシュ保持部4eのロータ部4aの中心軸線側にブッシュ保持部4eと径方向に連通するように設けられている。なお、ブッシュ保持部4d、4eはロータ部4aの外周面4kに開口されている。また、ロータシャフト4の回転軸部4bには、後述するベーンアライナ部5b、6bと軸方向にて重なる位置、すなわち、ベーンアライナ部5、6bが周囲を周回する箇所にベーンアライナ部の逃がし部が設けられている。この例で、逃がし部は回転軸部より径を細くした細径部4hにて形成されている。同様に、ロータシャフト4の回転軸部4cにも、後述するベーンアライナ部5c、6cと軸方向にて重なる位置、すなわち、ベーンアライナ部5c、6cが周囲を周回する箇所にベーンアライナ部の逃がし部が設けられている。この例で、逃がし部は回転軸部より径を細くした細径部4j(図1にのみ図示)にて形成されている;
(5)ベーン5、6:ベーンは少なくとも1個以上ロータ部4aに設けられており、ここでは第1のベーン5と第2のベーン6の2個設けられた例にて説明する。ベーン5は、ほぼ直方体形状の板状のベーン部5aと、ベーン部5aの端面に設けられた部分リング形状すなわち円弧形状のベーンアライナ部5b、5cから構成されている。ベーン部5aは、板状の長手方向がロータ部4aの径方向となるようにロータ部4aに取り付けられた状態で、ロータ部4aの中心側と反対側であるシリンダ内周面1b側のベーン先端部5dと、ロータ部4aの中心軸線側のベーン背面部5eと、ロータ部4aの軸方向、フレーム2側の側面部5fと、ロータ部4aの軸方向、シリンダヘッド3側の側面部5gと、ロータ部4aの円周方向の側面部5h、5jとで構成されている。ベーン部5aの軸方向の側面部5fのベーン背面部5e側にはベーンアライナ部5bが設けられている。同様にベーン部5aの軸方向の側面部5gのベーン背面部5e側にはベーンアライナ部5cが設けられている。なお、ベーン部5aはベーンアライナ部5b、5cのほぼ中央部で、かつ、ベーン部5aの長手方向がベーンアライナ部5b、5cの円弧形状の外周面と直交する方向すなわち法線方向となり、ベーン先端部5dがベーンアライナ部5b、5cの円弧の中心と反対方向すなわち外側に向けられ設けられる。同様に、ベーン6は、ほぼ四角形形状で板状のベーン部6aと、ベーン部6aの端面に設けられた部分リング形状すなわち円弧形状のベーンアライナ部6b、6cから構成されている。ベーン部6aは、板状の長手方向がロータ部4aの径方向となるようにロータ部4aに取り付けられた状態で、ロータ部4aの中心側と反対側であるシリンダ内周面1b側のベーン先端部6dと、ロータ部4aの中心軸線側のベーン背面部6eと、ロータ部4aの軸方向、フレーム2側の側面部6fと、ロータ部4aの軸方向、シリンダヘッド3側の側面部6gと、ロータ部4aの円周方向の側面部6h、6jとで構成されている。ベーン部6aの軸方向の側面部6fのベーン背面部6e側にはベーンアライナ部6bが設けられている。同様にベーン部6aの軸方向の側面部6gのベーン背面部6e側にはベーンアライナ部6cが設けられている。なお、ベーン部6aはベーンアライナ部6b、6cのほぼ中央部で、かつ、ベーン部6aの長手方向がベーンアライナ部6b、6cの円弧形状の外周面と直交する方向すなわち法線方向となり、ベーン先端部6dがベーンアライナ部6b、6cの円弧の中心と反対方向すなわち外側に向けられ設けられる。ベーンアライナ部5b、5c、6b、6cの外径すなわちロータ部4aの中心軸線側からベーンアライナ部5b、5c、6b、6cのベーン先端部5d、6d側の面までの半径は、フレーム2やシリンダヘッド3に形成された凹部2a、3aの内径とほぼ同じの半径にて構成され、ベーンアライナ部5b、6bは凹部2aに、ベーンアライナ部5c、6cは凹部3aに回動可能に嵌入される。また、ベーンアライナ部5b、5c、6b、6cの内径側はロータシャフト4に最近接する回転位相において、回転軸部4b,4cの外径よりも内側となり、細径部4h、4jには接触しないように構成される。なお、ベーンアライナ部5b、5c、6b、6cの軸方向の寸法すなわち高さはロータシャフト4の細径部4h、4jの軸方向の寸法すなわち高さと同じである。また、ベーン部5a、6aのシリンダ内周面1b側に位置するベーン先端部5d、6dは外側に円弧形状に形成され、その円弧形状の半径はシリンダ内周面1bの半径とほぼ同等に構成されている。なお、ベーンが1個で構成される場合のベーンアライナ部は、凹部2a、3aの内径とほぼ同じの半径のリング形状であっても構わない;
(6)ブッシュ7、8:本実施例ではベーン5,6に対し各1対使用されており、第1のベーン5に対応する第1のブッシュを7、第2のベーン6に対応する第2のブッシュを8とする。ほぼ半円柱状であり一対で構成され、ロータ部4aのブッシュ保持部4d、4eに、ほぼ半円柱状の一対のブッシュ7、8は嵌入される。嵌入された一対のブッシュ7に挟持されるようにベーン5のベーン部5aが保持される。同様に、嵌入された一対のブッシュ8に挟持されるようにベーン6のベーン部6aが保持される。さらに、ベーン部5aはブッシュ保持部4dからベーン逃がし部4fに移動することにより、ロータ部4aのほぼ径方向に移動される。同様に、ベーン部6aはブッシュ保持部4eからベーン逃がし部4gに移動することにより、ロータ部4aのほぼ径方向に移動される。すなわち、ブッシュ7、8の内側にベーン5,6の夫々のベーン部5a,6aがロータ部4aに対してロータ部4aの円周方向に回動自在かつロータ部4aのほぼ径方向に移動可能に保持される。なお、ブッシュ保持部4d、4e及びベーン逃がし部4f、4gに挿入され保持されるベーン5、6のベーン部5a、6aはロータ部4aのブッシュ保持部4d、4eに設けられたロータ部外周面4kの開口部からシリンダ内周面1bに向かってベーン先端部5d、6dが移動し、シリンダ内周面1bとロータ部外周面4kで形成される空間をベーン部5a、6aの長手方向にて仕切り、シリンダ内に複数の作動室すなわち吸入室あるいは圧縮室を形成する;
次に動作について説明する。ロータシャフト4の回転軸部4bが電動要素102等(エンジン駆動の場合は、エンジン)の駆動部からの回転動力を受け、ロータ部4aは、シリンダ1内で回転運動する。ロータ部4aの回転運動に伴い、ロータ部4aの外周付近に配置されたブッシュ保持部4d、4eは、ロータシャフト4を中心軸線とした円周上を周回する。ブッシュ保持部4d、4eにはそれぞれ一対のブッシュ7、8が保持され、そのブッシュ7、8間にベーン5,6のベーン部5a、6aがそれぞれロータ部4aの円周方向に回動可能に保持されている。すなわち、ブッシュ保持部4d、4eとブッシュ7、8によって、ロータ部4aのベーン5、6の保持部が構成され、ベーン5、6はロータ部4aの保持部とともにロータ部4aの円周方向に移動しロータシャフト4の周囲を周回する。
一方、ベーン5、6のベーン部5a、6aは、ロータ部4aの保持部にロータ部4aのほぼ径方向にも移動可能に保持されている。それに対して、ベーン部5a、6aの軸方向に設けられたベーンアライナ部5b、5c、6b、6cは、フレーム2及びシリンダヘッド3のシリンダ1と接する側に形成された凹部2a、3aに回転可能に嵌入され、ベーン5,6のロータ部4aの径方向への移動を規制している。ロータ部4aが回転すると、ロータ部4aの回転に伴う遠心力や、ベーン背面部5e、6e側とベーン先端部5d、6d側との圧力差、具体的には凹部2a、3aとロータ部4aとで形成される空間に進入する冷媒の圧力とシリンダ内周面1bとロータ部外周面4kとで形成される空間内の冷媒圧力の圧力差によって、ロータ部4aの保持部をシリンダ内周面1bに向かって径方向に移動する。このとき、ベーンアライナ部5b、5c、6b、6cは、その外周面すなわちベーン先端部5d、6d側の側面が凹部2a、3aの内周面2d、3dに押圧され、ベーン5、6がシリンダ内周面1b側に移動する量を制限する。このベーンアライナ部5b、5c、6b、6cと凹部2a、3aによって、ベーン5、6は、必要以上にシリンダ内周面1b側に移動してシリンダ内周面1bと接触することなく、ベーン先端部5d、6dとシリンダ内周面1bとの間に微小な隙間を形成することができる。
次に、ロータ部4aが回転すると、ベーン5、6とともにベーン5、6に設けられたベーンアライナ部5b、5c、6b、6cも凹部2a、3aの内周面2d、3dに押圧された状態で凹部2a、3aの円周方向に移動する。ベーン5、6のベーン部5a、6aは、その長手方向がベーンアライナ部5b、5c、6b、6cの円弧形状の外周面と直交する方向すなわち法線方向となり、ベーン先端部5d、6dがベーンアライナ部5b、5c、6b、6cの円弧の中心と反対側すなわち外側に向けられ設けられている。したがって、ベーンアライナ部5b、5c、6b、6cが凹部2a、3aの内周面2d、3dに押圧された状態ではベーン部5a、6aの長手方向は凹部2a、3aの径方向すなわちシリンダ室1aの径方向を向いている。そして、ベーン部5a、6aの長手方向にてシリンダ内周面1bとロータ部外周面4kで形成される空間を仕切り圧縮室と吸入室を形成する。
一方、ロータ部4aの中心軸線Cとシリンダ室1aの中心軸線Bとは偏心した位置に設けられているので、ロータ部4aの径方向とシリンダ室1aの径方向、すなわちロータ部外周面4kの法線方向とシリンダ内周面1bの法線方向は異なる。ベーン部5a、6aがロータ部4aの保持部を移動してシリンダ内周面1bとロータ部外周面4kで形成される空間を仕切る場合、ベーン部5a、6aの長手方向はロータ部4aの径方向に移動することになり、ベーンアライナ部5b、5c、6b、6cと凹部2a、3aの内周面2d、3dが規制しようとするシリンダ室1aの径方向に干渉することになる。それに対して、ロータ部4aにてベーン部5a、6aを保持しているブッシュ7、8がブッシュ保持部4d、4e内で回動してベーン部5a、6aの長手方向をロータ部4aの保持部を移動する方向からシリンダ内周面1bの法線方向に変える。これによって、ベーン部5a、6aがロータ部4aの保持部を移動する方向とシリンダ内周面1bとロータ部外周面4kで形成される空間を仕切るベーン部5a、6aの長手方向とが干渉することはなくなる。
これによって、ベーン5、6は、ベーン部5a、6aの長手方向がシリンダ内周面1bの法線方向とほぼ一致する状態にてシリンダ内周面1bとロータ部外周面4kで形成される空間を仕切り、シリンダ室1a内をシリンダ室1aの円周方向に移動することができる。
一方、凹部2a、3a内には、シリンダ室1aの中心軸線Bとは偏心した位置に回転軸部4b、4cが配置されている。しかし、ベーンアライナ部5b、5c、6b、6cは円弧形状すなわち回転の中心側を空間とする形状に構成としているので、ベーンアライナ部5b、5c、6b、6cは、回転軸部4b、4cに接触することなく、その周囲を回転するように構成されている。
なお、ベーン先端部5d、6dをシリンダ内周面1bに沿ってスムーズに移動させるためにも、凹部2a、3aの内周面はシリンダ内周面1bと同心の円筒状に構成するとともに、ベーンアライナ部5b、5c、6b、6cも凹部2a、3aの内周面と同じ径の円弧形状とし、凹部2a、3aの内周面すなわちシリンダ室1aの中心軸線Bの同心の円周上を移動できるようにしている。
なお、ベーンアライナ部5b、5c、6b、6cは凹部2a、3aの内周面に押圧されて回転方向に摺動する。しかしながら、回転軸部4b、4cすなわちロータ部4aの回転の中心軸線Cとシリンダ室1aの中心軸線Bとは偏心した位置あることから、ベーンが複数ある場合は、ロータ部4aの保持部に常に同じ方向を向きすなわちベーン同士が周方向において等間隔に保持されず、ベーン同士が周方向に近づいたり遠のいたりする。したがって、例えば、ベーンが2枚の場合、ベーンアライナ部を凹部の半周の円弧とすると、ロータ部4aの回転にともない、ベーンアライナ部同士が周方向にて衝突し、ベーン部がシリンダ内周面1bの法線方向を向かず、ベーン先端部5d、6dをシリンダ内周面1bに沿って、移動できない。そこで、ベーンアライナ部同士が衝突しない周方向の長さとしている。例えば、本願のようなベーンが2枚の場合は、凹部2a、3aの内周面の半周より短く設けてある。なお、ベーンアライナ部をどれだけ短くするかは偏心量によって決まる。
一方、ベーンが凹部2a、3aの内周面に押圧されて、押し出されるロータ部外周面4kから押し出される量と方向を規制していることに対し、ベーンアライナ部5b、5c、6b、6cが短くなりすぎると、その力をベーンアライナ部全体に分散させることができず、破損する。すなわち、ベーンアライナ部全体5b、5c、6b、6cに押圧する力を分散させるためにも、できるだけ広い面積で力を受けることが望ましく、ベーンアライナ部を周方向にできるだけ長くし、さらにベーンアライナ部全体が凹部2a、3aの内周面に当接するように構成する。これにより、ベーンアライナ部が押圧する力を分散させながら、ベーンが押し出される量と方向を規制されるとともに、複数のベーンが干渉することなく、凹部2a、3aの内周面に押圧して回転方向に摺動することができる。なお、ベーンアライナ部が凹部2a、3aの内周面に広く当接することによって、そこに供給される潤滑油の油膜の形成も良好となる。
以上のブッシュ保持部4d、4e、ブッシュ7、8、ベーンアライナ部5b、5c、6b、6c、フレーム2の凹部2a、シリンダヘッド3の凹部3aの構成により、ベーン部5a、6aの長手方向がシリンダ内周面1bの法線方向すなわちシリンダ内周面1bからシリンダの中心軸線の方向に向きが規制されシリンダ内周面1bとロータ部外周面4kで形成される空間を仕切ると同時に、ベーン先端部5d,6dはシリンダ内周面1bと数μm程度の微小な隙間を形成しながら、シリンダ内周面1bと接触せずにシリンダ内周面1bに沿って移動する。なお、この微小な隙間は密閉容器103の底部から圧縮要素101に供給される冷凍機油によってシールされる。
なお、凹部2a、3aの内径はロータの外径より小径であるが、その凹部2a、3aの内径の範囲にはロータシャフト4の中心軸線を含む。
ロータシャフト4の回転軸部4b、4cは、図3のようにシリンダ1のシリンダ室1aの中心軸線Bとは偏心した中心軸線C上に配置されているので、ロータ部4aは、ロータ部外周面4kとシリンダ内周面1bとが最近接する最近接部分Aを有するようにシリンダ室1a内に配置され、シリンダ室1aの中心軸線Bとは偏心した中心軸線C上で回転する。なお、最近接部分Aでは、ロータ部外周面4kとシリンダ内周面1bの間には微小な隙間が形成され、ロータ部外周面4kとシリンダ内周面1bは接触せずに回転している。微小な隙間は圧縮要素101に供給される冷凍機油によってシールされている。
図4はベーン型圧縮機の圧縮要素101の上面図で圧縮動作を示す。図4を参照しながら、ロータシャフト4の回転に伴いシリンダ1内に、ロータ部4a及び2枚のベーン部5a、6aにより形成される空間(圧縮室あるいは吸入室)が容積変化する様子を説明する。先ず、図4において、ロータシャフト4のロータ部4aとシリンダ内周面1bとの最近接部分Aに、第1のベーン先端部5dがかかる位相を、「角度0°」と定義する。そして、「角度0°」の状態からロータ部4aが反時計回りに回転した角度を、それぞれ、「角度0°」、「角度45°」、「角度90°」、「角度135°」、「角度180°」、「角度225°」、「角度270°」、「角度315°」として、図4ではベーン5、6の位置を示す。なお、図4の「角度0°」の図に示す矢印Dは、ロータシャフト4の回転方向(図4では反時計方向)であり、他の「角度45°」〜「角度315°」の図では、ロータシャフト4の回転方向を示す矢印は省略している。同様に、シリンダ室1aの中心軸線B、中心軸線Bとは偏心した位置の回転軸部4b、4cの中心軸線Cについても、「角度0°」の図に示し、「角度45°」〜「角度315°」の図では、記号は省略している。
そして、ロータシャフト4の回転にともない、シリンダ1内では「角度0°」の状態から「角度315°」の状態まで順に変化し、「角度315°」の状態のあとは、再び「角度0°」の状態に戻る。また、破線の矢印は、ベーン5、6がロータ部外周面4kからシリンダ内周面1bに向かって押されている方向を示している。
ロータシャフト4のロータ部外周面4kとシリンダ内周面1bとが最近接している最近接部分A(上死点)の近傍からロータ部4aの回転方向すなわち反時計回り方向に所定の距離離れた位置(例えば、約45°回転した位置)に吸入ポート1cが設けられている。
また、ロータシャフト4のロータ部4aとシリンダ内周面1bとが最近接している最近接部分Aの近傍からロータ部4aの反回転方向すなわち時計回り方向に所定の距離離れた位置(例えば、約45°回転した位置)に吐出流路1dおよび吐出ポート2cが設けられている。したがって、吸入ポート1cと吐出流路1dおよび吐出ポート2cとは最近接部分Aを挟んだ位置に備えられている。
図4の「角度0°」及び「角度180°」のときは、シリンダ1内すなわちシリンダ室1a内にベーン5および6によって仕切られた内部空間が2箇所形成される。「角度0°」の場合、左側の空間すなわち最近接部分Aからみてロータ部4aの回転方向側(反時計回り方向側)の空間202は吸入工程の途中であり、回転とともに容積が拡大し、シリンダ1に形成された吸入ポート1cより低圧の冷媒ガスを吸入する。右側の空間すなわち最近接部分Aからみてロータ部4aの反回転方向側(時計回り方向側)の空間201は圧縮工程の途中であり、回転とともに容積が縮小し、空間内の冷媒ガスを圧縮する。なお、空間201は吐出ポート2cと連通しているが、吐出ポート2cに設けられた吐出弁(図示せず)によって閉鎖されており、容積の縮小とともに圧縮し続けられる。空間201内の冷媒ガスの圧力が所定の圧力(密閉容器内の圧力)に達すると、吐出弁が開き、空間201内の冷媒ガスは吐出ポート2cを介して空間201から密閉容器103内に吐出される。すなわち、吐出工程となる。なお、空間202のような吸入工程中の空間を吸入室と呼ばれ、空間201のような圧縮工程中の空間を圧縮室と呼ばれる。「角度180°」の場合も、同様に、最近接部分Aからみてロータ部4aの回転方向側の空間203は吸入工程の途中、最近接部分Aからみてロータ部4aの反回転方向側の空間202は圧縮工程の途中である。空間202にも吐出ポート2cが連通しているが吐出弁によって閉鎖されており、空間202内が所定の圧力に達すると、吐出弁が開き、空間202内の冷媒ガスを吐出する動作は同じである。
図4の「角度45°」及び「角度225°」では、シリンダ1内に空間が3箇所形成される。それらを最近接部分A(上死点)から反時計回りに説明する。「角度45°」の場合、最近接部分A(上死点)からベーン5までの空間203は新たに形成された吸入室であるが、吸入ポート1cとはまだ連通していない空間である。さらに反時計回りに進んで、ベーン5からベーン6に挟まれた空間202は吸入ポート1cと連通している吸入室となる。そして、ベーン6から最近接部分A(上死点)までの空間201は圧縮工程途中の圧縮室となる。「角度225°」の場合も同様に、最近接部分A(上死点)からベーン6までの空間204は新たに形成された吸入室であり、ベーン6からベーン5に挟まれた空間203は吸入ポート1cと連通している吸入室である。そして、ベーン5から最近接部分A(上死点)までの空間202は圧縮工程途中の圧縮室である。
図4の「角度90°」及び「角度270°」でも、シリンダ1内に空間が3箇所形成される。それらを最近接部分A(上死点)から反時計回りに説明する。「角度90°」の場合、最近接部分A(上死点)からベーン5までの空間203は吸入室である。ベーン5からベーン6に挟まれた空間202はこの位相のときに最大容積となり、吸入工程が完了して吸入ポート1cとは連通しなくなる。これ以降、空間202は吸入室から圧縮室に変わり、内部の冷媒ガスを圧縮する圧縮工程となる。なお、吸入ポート1cは空間203と連通し、空間203に冷媒ガスが吸入開始される。また、ベーン6から最近接部分A(上死点)までの空間201は圧縮工程あるいは空間201内の冷媒ガスが所定の圧力(密閉容器内の圧力)まで達し冷媒ガスを空間201から密閉容器103内に排出する吐出工程となる空間である。「角度270°」の場合も同様に、最近接部分A(上死点)からベーン6までの空間204は吸入室であり、ベーン6からベーン5に挟まれた空間203は吸入工程が完了し、圧縮工程を開始する。すなわち、吸入室から圧縮室に変わり、冷媒ガスを圧縮開始する。そして、ベーン5から最近接部分A(上死点)までの空間202は圧縮工程あるいは吐出工程にある空間である。
図4の「角度135°」及び「角度315°」でも、シリンダ1内に空間が3箇所形成される。それらを最近接部分A(上死点)から反時計回りに説明する。「角度135°」の場合、最近接部分A(上死点)からベーン5までの空間203は吸入室である。ベーン5からベーン6に挟まれた空間202は圧縮工程の途中であり内部は中間圧の空間となる。また、ベーン6から最近接部分A(上死点)までの空間201は吐出工程途中の空間である。「角度315°」の場合も同様に、最近接部分A(上死点)からベーン6までの空間204は吸入室であり、ベーン6からベーン5に挟まれた空間203は圧縮工程の途中の空間である。そして、ベーン5から最近接部分A(上死点)までの空間204は吐出工程途中の空間である。
上記工程を経て、「角度180°」の場合のベーン6から最近接部分A(上死点)までの空間201及び「角度0°」のベーン5から最近接部分A(上死点)までの空間202は消滅する。
このように、ロータシャフト4の回転により、シリンダ室1a内では最近接部分A(上死点)からロータ部4aの回転方向すなわち反時計回り方向側に形成され吸入ポート1cと連通する空間はロータ部4aの回転とともに徐々に容積が大きくなり、吸入ポート1cから冷媒を吸入する。その空間からベーンを挟んでロータ部4aの回転方向、反時計回り方向に隣接する空間は徐々に容積が小さくなり、中の冷媒が圧縮される。そして、所定の圧力まで圧縮された冷媒は、フレーム2に設けられた吐出ポート2cから密閉容器103内に吐出される。
以上のように、圧縮要素101では、シリンダ室1a内でロータ部4aが回転することによって、最近接部分A(上死点)とベーンあるいは2つのベーンに挟まれた空間は徐々に容積を変化させ、吸入ポート1cからその空間に冷媒を吸入し、吸入した冷媒を圧縮し、そして、所定の圧力になると吐出ポート2cから密閉容器103内に吐出される動作を繰り返し行う。
一方、「角度0°」から「角度315°」までの一周の間、ベーンアライナ部5b、5c、6b、6cが凹部2a、3aの内周面2d、3dに押圧されるとともにブッシュ7、8がブッシュ保持部4d、4e内で回動することによって、ベーン5、6は、破線の矢印の方向で示すベーン部5a、6aの長手方向とシリンダ内周面1bの法線方向とがほぼ一致した状態にてシリンダ内周面1bとロータ部外周面4kで形成される空間を仕切り、シリンダ室1a内をシリンダ室1aの円周方向に移動する。
このような構成と動作を行うベーン型圧縮機において、より大きな空調機に適用していくためには、外形を大きくすることなく圧縮室の容積を増加すなわち圧縮要素の押しのけ量を増加させていく必要がある。また、従来からの空調機であっても、外形を大きくすることなく圧縮要素の押しのけ量を増加させることができれば、圧縮機を低回転にて使用でき、騒音や効率の改善につながる。しかしながら、ベーン型圧縮機において、圧縮要素の押しのけ量を増加させる場合には、制約が多く、容易にはできない。
ベーン型圧縮機において、圧縮要素の押しのけ量を増加しようとした場合の課題と、その解決策ついて、説明を行う。図5は、ベーン5、6と、ロータシャフト4の回転軸部4b,4cと、ロータシャフト4のロータ部4aの外周と、の位置関係と、ロータシャフト4の回転軸部4b,4cに設けた細径部4h、4jの作用を説明するものであり、図5(a)は、従来どおりのベーン型圧縮機(ロータシャフト4の回転軸部4b,4cに細径部を形成しない構成)の圧縮要素の構成を示す上面図である。図5(b)(c)は、図5(a)に対し、押しのけ量を増加させるため、シリンダ室1aの中心軸線に対するロータシャフト4の中心軸線の偏心量を仮に大きくした場合の構成と課題を説明する図である。図5(d)は、偏心量を大きくした場合の課題を解決した構成を説明する図である。
ベーン型圧縮機の圧縮要素101は、図5(a)において、ベーンアライナ部5b、5c、6b、6cはフレーム2の凹部2aとシリンダヘッド3の凹部3aに嵌入されている。しかし、この凹部2a、3aの一部でもシリンダ内周面1bおよびロータ部外周面4kで形成される空間の軸方向に配置されると、この空間と凹部2a、3aとが連通するようになり、この空間にベーン5,6によって形成される吸入室および圧縮室は、凹部2a、3aを介して連通する状態になる。そのため、圧縮ができない状態になる。凹部2a、3aがシリンダ内周面1bおよびロータ部外周面4kで形成される空間と連通しないようにするためには、凹部2a、3aの内周面2d、3dがロータ部外周面4kより回転軸部4b、4c側に設けられるように設計する必要がある。したがって、凹部2a、3aに嵌入されるベーンアライナ部5b、5c、6b、6cもまた回転軸の軸方向においてロータ部外周面4kより回転軸部4b、4c側に配置される。
一方、ロータ部4aが回転軸部4b、4cの回転力によってシリンダ室1a内で回転運動を行うと、ロータ部4aに保持されたベーン5,6もシリンダ室1a内をロータ部4aの回転方向すなわちシリンダ室1aの円周方向に移動する。ベーン5,6に設けられたベーンアライナ部5b、5c、6b、6cもベーン5,6の移動とともに凹部2a、3a内を凹部2a、3aの内周面2d、3dに沿って凹部2a、3aの円周方向に移動する。凹部2a、3a内には、凹部2a、3aの中心軸線すなわちシリンダ室1aの中心軸線から偏心した位置に回転軸部4b、4cが配置されており、この回転軸部4b、4cの回転にともなって、ベーンアライナ部5b、5c、6b、6cは回転軸4b、4cの周囲を周回している。回転軸部4b、4cはシリンダ室1aの中心軸線に対して偏心した位置に配置されているので、同じくシリンダ室1aの中心軸線に対して偏心した位置に中心軸線が配置されたロータ部4aは、シリンダ内周面1bとロータ部外周面4kとが最近接する最近接部分Aを有する。同様に、凹部2a、3aの中心軸線に対して偏心した位置に配置された凹部2a、3a内の回転軸も、凹部2a、3aの内周面2d、3dと回転軸部4b、4cの外周面とが最近接する最近接部分を有する。そのため、回転軸部4b、4cの周囲を周回するベーンアライナ部5b、5c、6b、6cは、凹部2a、3aの内周面2d、3dと回転軸部4b、4cの外周面との隙間を通過する必要があり、凹部2a、3aの内径を小さくしすぎると、ベーンアライナ部5b、5c、6b、6cがその隙間を通過することができなくなる。よって、凹部2a、3aの内径は、凹部2a、3aと回転軸部4b、4cとが最近接する部分の隙間をベーンアライナ部5b、5c、6b、6cが通過できる程度の大きさに設計する必要がある。
なお、凹部2a、3aの内周面2d、3dと回転軸部4b、4cの外周面との隙間の間隔は、ベーンアライナ部5b、5c、6b、6cの径方向の肉厚よりやや広めに設定されているが、ベーンアライナ部5b、5c、6b、6cの径方向の肉厚はベーン5,6が冷媒の差圧によって押圧されるときの応力に対し破損しない程度の強度にて設定されることで構わないので、本願のように低圧冷媒であれば、6mm程度であれば問題ない。
一方、シリンダ内周面1bおよびロータ部外周面4kをベーン部5a、6aにて仕切り吸入室および圧縮室を形成する圧縮要素において、圧縮要素の押しのけ量を増加させるためには、ロータ部4aの外径を小さくしシリンダ室1aの中心軸線に対するロータシャフト4の中心軸線の偏心量を大きくする設計方法が一般的である。
しかし、図5(b)に示すように、ロータ部4aの外径を小さくしシリンダ室1aの中心軸線に対するロータシャフト4の中心軸線の偏心量を大きくすると、ベーン部がロータ部4aの保持部を径方向にロータ部外周面4kからシリンダ内周面1b側へ向かって最大に移動した位置すなわちベーン部がロータ部4a内からシリンダ室1aにほぼ全て現われる(ベーン部の角度が角度180°の位置、図5(b)ではベーン部6aの位置)では、凹部2a、3aの内周面2d、3dが回転軸の軸方向においてロータ部外周面4kよりシリンダ内周面1b側にあり、凹部2a、3aとシリンダ内周面1bおよびロータ部外周面4kで形成される空間とが連通する状態となり、吸入室と圧縮室が形成できなくなる。
そこで、図5(c)に示すように、図5(b)の状態から凹部2a、3aの内径とベーンアライナ部5b、5c、6b、6cの外径を小さくすることで、凹部2a、3aとシリンダ内周面1bとロータ部外周面4kとの間の空間の連通状態は無くなるが、ベーン部がロータ部4aの保持部を径方向にロータ部外周面4kからロータ部4aの中心軸線側へ向かって最大に移動した位置すなわちベーン部がロータ部4a内にほぼ全て収納される位置(ベーン部の角度が角度0°の位置、図5(c)ではベーン部5aの位置)、すなわち凹部2a、3aと回転軸部4b、4cとが最近接する部分にて、ベーンアライナ部5b、5c、6b、6cの移動する軌道が回転軸部4b、4cと交わり、ベーンアライナ部5b、5c、6b、6cが凹部2a、3aの内周面2d、3dと回転軸部4b、4cの外周面の隙間を通過することができなくなる。
したがって、ロータ部4aの外径を小さくしシリンダ室1aの中心軸線に対するロータシャフト4の中心軸線の偏心量を大きくするためには、ロータ部4aの外径と凹部2a、3aの内径と回転軸の偏心量を調整が必要となり、調整は容易ではない。
図5(c)の状態の解決方法として、図示しないが、回転軸部4b、4c全体を細径化し凹部2a、3aの内周面2d、3dと回転軸部4b、4cの外周面の隙間を拡大する方法が考えられるが、材料などの変更なしに回転軸部4b、4cを細径化すると、ロータ部4aが受ける圧力による荷重に対し、回転軸部を支持するフレーム2やシリンダヘッド3の軸受部2b、3bと回転軸部4b、4cに十分な負荷能力が確保できず、軸受部2b、3bと回転軸部4b、4cとが破損する。
軸受部2b、3bの負荷を軽減するため軸方向に大きくする方法もあるが圧縮機の高さ方向に大きくする必要があり、圧縮機を大型化させずに押しのけ量を増加させることとは相反する。
よって、回転軸部4b、4c全体を細径化することは難しい。
そこで、本願ではロータシャフト4の回転軸部4b、4cがベーンアライナ部5b、5c、6b、6cと干渉する部分に逃がし部を設けて課題の解決を図った。ここでは、具体的な逃がし部として、凹部2a、3a内の回転軸部4b、4cに細径部4h、4jを設けた例にて説明をする。図5(d)はその例を説明する図である。なお、図5(d)は、図1〜4にて説明してきた構成を同じものである。
図5(d)は、(a)〜(c)と同様に、ベーン5、6のベーン部5a、6aはロータ部4aの保持部にロータ部4aの円周方向に回動自在かつロータ部4aのほぼ径方向に移動可能に保持され、ベーンアライナ部5b、5c、6b、6cはフレーム2の凹部2aとシリンダヘッド3の凹部3aに嵌入され、ロータ部4aの回転運動とともにロータ部の円周方向に移動する。ロータ部4aには、フレーム2の軸受部2bを通り凹部2aを貫通してロータ部の回転軸上に設けられた回転軸部4bと、シリンダヘッド3の軸受部3bを通り凹部3aを貫通してロータ部の回転軸上に設けられた回転軸部4cが備えられ、ベーンアライナ部5b、5c、6b、6cはこの回転軸部4b、4cの周囲を凹部2a、3aの内周面に沿って移動するので、凹部2a、3aの内周面2d、3dと回転軸部4b、4cの外周面の隙間を通過することができず、回転軸部4b、4cと干渉するが、凹部2a、3a内の回転軸部の径を、軸受部2b、3bと摺動する回転軸部の径より細くすることにより、凹部2a、3aの内周面2d、3dと回転軸部4b、4cの外周面の隙間を径方向に広げる。これにより、その隙間をベーンアライナ部5b、5c、6b、6cが通過できるようになる。凹部2a、3a内の回転軸部は、軸受部2b、3bと摺動しロータシャフト4にかかる負荷を支持していないので、細径化しても強度上、問題はない。一方、軸受部2b、3bおよび軸受部2b、3bと摺動している回転軸部は、従来と、その回転軸部の径やロータシャフト4を支持している位置は変わらないので、軸受の負荷は変わらない。よって、その強度も従来のままである。
なお、凹部2a、3a内の回転軸部4b、4cに設ける細径部4h、4jはベーンアライナ部5b、5c、6b、6cを通過させるため、ベーンアライナ部5b、5c、6b、6cと軸方向の寸法はほぼ同じである。
また、細径部4h、4jはロータ部4aと軸受2b、3bにて受けている回転軸部との間に設けられるので、外部から荷重がかけられるロータ部4aを支えるため、軸受部はロータ部4aにできるだけ近い方が強度上都合良く、細径部4h、4jも軸方向にはできるだけ短く配置されたほうが良い。さらに、細径化してはりの強度が下がる分、短い方が強度も良くなり、都合が良い。したがって、ベーンアライナ部もベーン部と軸方向に直結した位置に配置されることによって、細径部4h、4jがロータ部4aの軸方向の近傍に設けれ、軸受部をできるだけロータ部4aの近傍に配置できる。
このような構成において、まず、フレーム2の凹部2aの内径とシリンダヘッド3の凹部3aの内径を小さくすることにより、ベーン部がロータ部4a内からシリンダ室1aにほぼ全て現われる位置(ベーン部が角度180°の位置、図5(d)では6aの位置)では、凹部2a、3aの内周面2d、3dが回転軸の軸方向においてロータ部外周面4kより回転軸側にあり、凹部2a、3aがシリンダ内周面1bおよびロータ部外周面4kで形成される空間と連通しない適正な位置が確保される。
そして、この凹部2a、3aの内径にて、ベーン部がロータ部4a内にほぼ全て収納される位置(ベーン部が角度0°の位置、図5(d)では5aの位置)、すなわち凹部2a、3aの内周面2d、3dと回転軸部4b、4cの外周面とが最近接する最近接部分では、ベーンアライナ部は軸方向にて回転軸部4b、4cの外周面より中心軸線側にあるが、細径部4h、4jにより凹部2a、3aの内周面2d、3dと回転軸部4b、4cの外周面すなわち細径部4h、4jの外周面との隙間をベーンアライナ部が通過できるように広げられ、回転軸部4b、4cに接触することはない構成となる。すなわち、ロータ部4aの回転運動にともないベーン5,6がシリンダ室1a内をシリンダ室1aの円周方向に移動すると、そのベーン5,6に設けられたベーンアライナ部も凹部2a、3a内を凹部2a、3aの円周方向に移動し、凹部2a、3aの内周面2d、3dと回転軸部4b、4cの外周面が最近接する隙間を、回転軸部4b、4cの外周面より中心軸線側を、回転軸部4b、4cの外周面すなわち細径部4h、4jの外周面に接触することなく通過することができる。
以上により、シリンダ室1aの中心軸線に対するロータシャフト4の中心軸線の偏心量を増大させるため、フレーム2の凹部2aの内径とシリンダヘッド3の凹部3aの内径を小さくしても、凹部2a、3aの内周面2d、3dと回転軸部4b、4cの外周面が最近接する部分の回転軸部4b、4cにベーンアライナ部5b、5c、6b、6cを逃がすための逃がし部を設けたので、ベーンアライナ部5b、5c、6b、6cが回転軸部4b、4cの周囲を周回しても凹部2a、3aの内周面2d、3dと回転軸部4b、4cの外周面が最近接部分を通過することができ、ロータ部4aに保持されたベーン5、6はロータ部4aの回転運動によってシリンダ室1aの中心軸線を中心とした円周上を移動することができる。
以上のような構成により、シリンダ室1aの中心軸線に対するロータシャフト4の中心軸線の偏心量を増大させることが可能となり、シリンダ1を大型化することなく押しのけ量の大きな圧縮機を構成できるようになる。
例えば、図6のように、シリンダ室1aの内径をa、ロータ部4aの外径をb、フレーム2の凹部2aの内径およびシリンダヘッド3の凹部3aの内径をc、回転軸部4bおよび4cの外径をd、ロータシャフト4の細径部4hおよび4jの外径をeとしたとき、シリンダ1の内径を変えることなく、シリンダ室1aの中心軸線に対するロータシャフト4の中心軸線の偏心量を約25%増加させるためには、ロータ部4aの外径bを偏心量増加前の約95.2%、凹部2aの内径および凹部3aの内径cを偏心量増加前の約90.3%に縮小させる必要があるが、回転軸部4bおよび4cの外径dに対して約62.5%の外径eの細径部4hおよび4jを設け、シリンダ室1aに対するロータシャフト4の位置をロータ部外周面4kとシリンダ内周面1bとが最近接する最近接部分Aの方向すなわち偏心方向に移動することにより構成できる。すなわち、シリンダの大きさを大型化することなく押しのけ量の大きな圧縮機を構成できる。
なお、シリンダ室1aの内径aに対する各部品の比率は、シリンダ室1aの内径aに対して、偏心量増加前ではロータ部4aの外径bが約84%、凹部2a、3aの内径が約62%に構成されている場合、本実施の形態による偏心量増加を行うとロータ部4aの外径bは約80%、凹部2a、3aの内径は約56%にて構成でき、シリンダの大きさを変えることなく押しのけ量を約22%大きくした圧縮機が構成できる。
なお、細径部4hおよび4jの外径をeは、材料の強度と、ベーンアライナ部の径方向の肉厚によるが、ベーンアライナ部の径方向の肉厚は、凹部の内周面に押圧されたときベーンアライナ部が破損あるいは変形しない程度の強度によって決められている。押圧する力はシリンダ室内の冷媒圧力と密閉容器内の冷媒圧力の差圧によるものであり、本願のような低圧冷媒を使用するときには、ベーンアライナ部をできるだけ薄くすることもできるので、さらに、偏心量増加も期待できる。
なお、ここではベーンアライナ部5b、5c、6b、6cが凹部2a、3aの回転軸部4b、4cと接触する例で説明したが、このような構成を行った場合、ベーン部5a、5bの軸方向に設けられベーン部5a、5bとともにロータ部4aの円周方向を移動するものは、回転軸部4b、4cにその軌道が交わり回転軸部4b、4cと接触する。したがって、回転軸部4b、4cに設けられた逃がし部が逃がすものは、ベーンアライナ部5b、5c、6b、6cとは限らず、ベーン部5a、5bの軸方向に設けられたものが回転軸部4b、4cと接触させないようにするための逃がし部である。
また、ロータシャフト4の回転軸部4b、4cの軸受部2b、3bとの摺動部ではない部分の径を小さくして細径部4h、4jを形成したので、軸受部2b、3bにおける負荷能力を損なうことなく信頼性の高い圧縮機を得ることができる。
更に、フレーム2及びシリンダヘッド3の端面に構成された凹部2a、3aの内径とこれと嵌合するベーンアライナ部5b、5c、6b、6cの外径とは、ほぼ同等の半径であり、両者は十分な冷凍機油を保持した流体潤滑状態で摺動することができるので、摩擦抵抗が小さく、機械損失の少ない高効率で信頼性の高い圧縮機を得ることができる。
また、ベーン部の先端5d、6dは、シリンダ内周面1bとほぼ同等の半径とすることにより、微小な隙間を形成して非接触となり、両者の間の摺動による損失は発生せず、また、両者の隙間からのガスの漏れも最小限にすることができので、効率の高い圧縮機を得ることができる。
また、ロータシャフト4のロータ部4aと回転軸部4b,4cが一体で構成されているため、端板を取り付ける必要がなく、部品点数が少なくなると同時に端板取り付けに伴う同軸の悪化や歪みの問題が発生せず、高精度にロータシャフトを構成することができるという効果がある。
以上により、ベーン型圧縮機において、簡単な構成の変更にて、外形を大きくすることなく圧縮要素の押しのけ量を増加させることができるので、同じ大きさの圧縮機でありながらより大きな冷凍能力の空調機に搭載し使用することができるようになる。これによって、空調機の冷凍能力が大きくなっても空調機を大型化させずに冷凍能力が大きな空調機を構成できるようになる。
また、従来からの空調機においても、同じ大きさながら圧縮要素の押しのけ量が大きな圧縮機を搭載できるようになるので、圧縮機の回転数を低く抑えた運転を行い騒音や効率の改善を行うことができる。
なお、回転軸部4b、4cの逃がし部は、回転軸部4b、4cの軸方向に直角方向の断面において回転軸部4b、4cと同心の円柱形状で説明したが、必ずしも、円柱状である必要はない。例えば、ベーン5、6が配置されている方向の細径部は回転軸部4b、4cより細径化されているが、ベーン5、6が配置されている方向と直角方向の細径部は回転軸部4b、4cとほぼ同じ径とした、回転軸の軸方向に直角方向の断面において、中心が回転軸部4b、4cと同心の楕円形であっても構わない。これにより、無駄な細径部4h、4jを形成する必要はなく、ロータシャフト4の細径部における強度もより強いものが形成できる。
また、回転軸の軸方向に直角方向の断面において、円形や楕円形ではなく、ベーン5、6が配置されている方向の細径部を切欠いた構成であっても構わない。これでもロータシャフト4の細径部の強度もより強いものが形成できる。
実施の形態2.
実施の形態1では、ベーン5、6がロータ部4aの回転に伴う遠心力やベーンアライナ部5b、5c、6b、6c側とベーン先端部5d、6d側との圧力差にて径方向すなわちロータ部外周面4kからシリンダ内周面1bに向かって押し出され、シリンダ内周面1bとロータ部外周面4kで形成される空間を仕切り、シリンダ1内に吸入室あるいは圧縮室を形成するような構成であった。しかしながら、圧縮機の起動時や低回転時のベーンアライナ部側とベーン先端部側の圧力差が小さいときや、吸入室から液冷媒が進入し、液圧縮により圧縮室内の圧力が急上昇したときなどは、ベーン5、6をロータ部外周面4kから押し出す力よりもベーン5、6をロータ部4aの中心方向に押し戻す力の方が大きくなり、ベーン5、6はロータ部4aの中心方向に移動しようとする。このとき、ベーンアライナ部5b、5c、6b、6cは、転覆すなわちフレーム2の凹部2aの内周面2dおよびシリンダヘッド3の凹部3aの内周面3dから離れ、ベーンアライナ部5b、5c、6b、6cとローラシャフト4とが接触し、損傷あるいは破損するという課題がある。また、ベーンアライナ部5b、5c、6b、6cがフレーム2の凹部2aの内周面2dおよびシリンダヘッド3の凹部3aの内周面3dから離れ、ベーンアライナ部5b、5c、6b、6cが凹部2a、3a内を自由に摺動すると、ベーンアライナ部5b、5c、6b、6cへの冷凍機油の供給が不十分となり、摺動するベーンアライナ部5b、5c、6b、6c、凹部2a、3a、ロータ部4aが磨耗あるいは損傷する。そこで、ベーンアライナ部5b、5c、6b、6cが凹部2aの内周面2dおよび凹部3aの内周面3dから離れ転覆することを防止するため、凹部2a、3aの内周面2d、3dに対してベーン5、6の径方向への移動を規制するストッパをベーンアライナ部5b、5c、6b、6cに設けた。この発明について実施の形態2にて説明する。
図7は、実施の形態2を示す図で、ベーン型圧縮機の縦断面図であり、図8は、図7のストッパを設けたベーン5、6の斜視図である。ベーン5、6は同一形状の部品であるため、図8ではベーン5の符号にて示し、ベーン6の場合の符号は()内に示す。実施の形態1と同一符号の部分は、実施の形態1と同一あるいは同様の部品であって、同様の機能を果たす部分である。
フレーム2には、シリンダ1側端面にシリンダ室1aの中心軸線と同心で、かつシリンダ室1aの内径より小さい内径のほぼ円筒状の凹部2aが設けられ、ベーンアライナ部5b、6bが嵌入されている。同様に、シリンダヘッド3にも、シリンダ1側端面にシリンダ1の中心軸線と同心で、かつシリンダ室1aの内径より小さい内径の円筒状の凹部3aが設けられ、ベーンアライナ部5c、6cが嵌入されている。
なお、凹部2a、3aは、軸方向の一方がシリンダ室1a側に開口し、もう一方は平面にて閉塞されている。すなわち、凹部2a、3aは、円筒状の側面すなわち内周面2d、3dと軸方向の一方を閉塞する円形状の平面2e、3eによって構成される。その平面2e、3eには内周面2d、3dに沿ってリング状の溝2f、3fが設けられている。
一方、ベーン5、6はベーン部5a、6aとベーンアライナ部5b、5c、6b、6cから構成されている。ほぼ四角形状のベーン部5aは、シリンダ内周面1b側のベーン先端部5dと、その反対側であるロータ部4aの中心軸線側のベーン背面部5eと、ロータ部4aの軸方向、フレーム2側の側面部5fと、ロータ部4aの軸方向、シリンダヘッド3側の側面部5gと、ロータ部4aの円周方向の側面部5h、5jとで構成されている。ベーン部5aの軸方向の側面部5fのベーン背面部5e側にはベーンアライナ部5bが設けられている。さらに、そのベーンアライナ部5bのフレーム2側すなわちベーン部5aと反対側には、ベーンアライナ部5bよりも径方向にて薄肉でありベーンアライナ部5bとほぼ同心に形成され、軸方向に延出された部分リング形状すなわち円弧形状のストッパ部5kが設けられている。同様にベーン部5aの軸方向の側面部5gのベーン背面部5e側にはベーンアライナ部5cが設けられ、そのベーンアライナ部5cのシリンダヘッド3側すなわちベーン部5aと反対側には、ベーンアライナ部5cよりも径方向にて薄肉でありベーンアライナ部5cとほぼ同心に形成され、軸方向に延出された部分リング形状すなわち円弧形状のストッパ部5pが設けられている。なお、ストッパ部5k、5pは、回転軸部4b、4cとの干渉を防止するため、ベーンアライナ部5b、5cの外周側すなわちベーン先端部5d側に設けられている。
同様に、ベーン部6aは、シリンダ内周面1b側のベーン先端部6dと、その反対側であるロータ部4aの中心軸線側のベーン背面部6eと、ロータ部4aの軸方向、フレーム2側の側面部6fと、ロータ部4aの軸方向、シリンダヘッド3側の側面部6gと、ロータ部4aの円周方向の側面部6h、6jとで構成されている。ベーン部6aのフレーム2側側面部6fのベーン背面部6e側にはベーンアライナ部6bが設けられ、そのベーンアライナ部6bのフレーム2側すなわちベーン部5aと反対側には、ベーンアライナ部6bよりも径方向にて薄肉でありベーンアライナ部6bとほぼ同心に形成され、軸方向に延出された部分リング形状のストッパ部6kが設けられている。同様にベーン部6aのシリンダヘッド3側側面部6gのベーン背面部6e側にはベーンアライナ部6cが設けられ、そのベーンアライナ部6cのシリンダヘッド3側すなわちベーン部6aと反対側には、ベーンアライナ部6cよりも径方向にて薄肉でありベーンアライナ部6cとほぼ同心に形成され、軸方向に延出された部分リング形状のストッパ部6pが設けられている。なお、ストッパ部6k、6pは、回転軸部4b、4cとの干渉を防止するため、ベーンアライナ部6b、6cの外周側すなわちベーン先端部6d側に設けられている。
ベーンアライナ部5b、5c、6b、6cに設けられたストッパ部5k、5p、6k、6pは凹部2a、3aのリング状溝2f、3fに嵌入され、圧縮要素101が構成される。これにより、ベーン5、6の径方向の移動が規制される。
なお、リング状溝2f、3fとストッパ部5k、5p、6k、6pは、軸方向にて、回転軸部4b、4cの外周側に位置する。偏心量をできるだけ大きくしようとしたとき、最近接部でベーンアライナ部5b、5c、6b、6cを細径部4h、4jにぎりぎりまで押し込んだ構造としたいので、ロータ部4aの回転とともにベーン5、6が移動したとき、ストッパ部5k、5p、6k、6pと回転軸部4b、4cとの干渉を防止するため、ストッパ部5k、5p、6k、6pはベーンアライナ部5b、5c、6b、6cより径方向にて薄肉形状とするとともに、ベーンアライナ部5b、5c、6b、6cの外周側すなわちベーン先端部5d、6d側に設けられている。
なお、ベーンアライナ部に設けたストッパ部は、フレーム側、シリンダヘッド側の両側に該部分を設けたが、どちらか片方だけでもよい。
また、ストッパ部はベーンアライナ部の外周側すなわちベーン先端部側に設けられているが、図7、8のようにストッパ部とベーンアライナ部の外周面が連続的につながっている配置でなくても良い。すなわち、ストッパ部がベーンアライナ部の外周側より若干内周側、例えばストッパ部の肉厚程度内周側に設けられても構わない。
また、凹部2a、3aの内周面2d、3dとリング状溝2f、3fの側面とが連続的につながっている配置でなくても良い。すなわち、リング状溝2f、3fの側面が凹部2a、3aの内周面2d、3dより若干内周側、例えばストッパ部の肉厚程度内周側に設けられても構わない。
また、リング状溝2f、3fの幅はストッパ部5k、5p、6k、6pの肉厚より広くても構わない。例えばストッパ部の肉厚程度、リング状溝2f、3fの幅を広く設けても構わない。ベーン5、6の径方向へ移動を許すが、この程度の径方向の移動動作では、ベーンアライナ部5b、5c、6b、6cの転覆は生じない。
次に動作について説明する。ロータシャフト4が駆動部から回転動力を受け、ロータ部4aがシリンダ1内で回転し、その回転にともなって、ロータ部4aのブッシュ保持部4d、4eのブッシュ7、8間に保持されたベーン5、6もシリンダ室1aを中心軸線とした円周上を移動する。
ベーン5、6は、ロータ部4aの回転に伴う遠心力やベーンアライナ部5b、5c、6b、6c側とベーン先端部5d、6d側との圧力差によって、径方向すなわちロータ部外周面4kからシリンダ内周面1bに向かって押し出す力を受けている。ベーンアライナ部側の凹部2a、3aとロータ4aによって形成される空間には軸受部2b、3bの隙間などから密閉容器103内の高圧冷媒が進入する一方、ベーン先端部5d、6d側のロータ部外周面4kとシリンダ内周面1bとの間の空間は低圧冷媒を吸入するので、ベーンアライナ部5b、5c、6b、6c側とベーン先端部5d、6d側との圧力差がベーン5、6をロータ部外周面4kから押し出す力になる。これらの力によって、ベーン5、6は、径方向すなわちロータ部外周面4kからシリンダ内周面1bに向かって押し出されるが、そのとき、ベーンアライナ部5b、5c、6b、6cは、その外周面すなわちロータシャフト4と反対側の側面が凹部2a、3aの内周面2d、3dに押圧され、その状態以上、ベーン5、6が径方向すなわちロータ部外周面4kからシリンダ内周面1bに向かって押し出されないように規制している。
一方、圧縮機の起動時や低回転時は、ロータ部4aの回転に伴う遠心力は弱く、密閉容器内の圧力もそれほど高くないため、ベーンアライナ部側の凹部2a、3aとロータ4aによって形成される空間とベーン先端部5d、6d側のロータ部外周面4kとシリンダ内周面1bとの間の空間との圧力差も小さい。また、吸入室から液冷媒が進入した場合、液圧縮により圧縮室内の圧力が急上昇する。このような場合、ベーン5、6をロータ部外周面4kから押し出す力よりもベーン5、6をロータ部4aの中心方向に押し戻す力の方が大きくなり、ベーン5、6はロータ部4aの中心方向に移動しようとする。このままでは、ベーンアライナ部5b、5c、6b、6cは転覆しベーン5、6が破損するが、凹部2a、3aのリング状溝2f、3fとベーンアライナ部に設けたストッパ部5k、5p、6k、6pとの嵌入により、ベーン5、6のロータ部4aの中心方向への移動が規制されている。すなわち、ベーン5、6をロータ部4aの中心方向に押し戻す力が働いても、リング状溝2f、3fとストッパ部5k、5p、6k、6pによって、ベーン5、6が中心方向押し戻されることはなく、転覆することもない。一方、ベーン5、6のロータ部4aの回転方向における摺動は、従来と同じであり圧縮動作は変わらない。
また、リング状溝2f、3fとストッパ部5k、5p、6k、6pは、軸方向にて、回転軸部4b、4cの外周側に位置するが、ベーンアライナ部5b、5c、6b、6cより径方向にて薄肉形状とするとともに、ベーンアライナ部5b、5c、6b、6cの外周側すなわちベーン先端部5d、6d側に設けられていることから、回転軸部4b、4cとの干渉を防止し、シリンダ室1aの中心軸線に対するロータシャフト4の中心軸線の偏心量を増大を容易にできるようにしている。
以上のように、フレーム2およびシリンダヘッド3の凹部2a、3aのリング状溝2f、3fとベーンアライナ部5b、5c、6b、6cのストッパ部5k、5p、6k、6pとを嵌合させベーン5、6の径方向の移動を規制するように構成したので、圧縮機の起動時や低回転時、吸入室から液冷媒が進入した場合などの過渡運転状態等で、ベーン5、6がロータ部外周面4kからシリンダ内周面1bに向かって押し出される力が低下しても、ベーン5、6が転覆し、ベーンアライナ部5b、5c、6b、6cがロータシャフト4に接触し、ベーンアライナ部5b、5c、6b、6cおよびロータシャフト4が損傷あるいは破損することを防止することができる。
また、ベーン5、6が転覆すなわちベーンアライナ部5b、5c、6b、6cが凹部2aの内周面2dおよび凹部3aの内周面3dから離れることを防止できるので、両者は冷凍機油を十分に保持した流体潤滑状態で摺動することができ、摩擦抵抗が小さく、機械損失の少ない高効率で信頼性の高い圧縮機を得ることができる。
以上により、圧縮要素の押しのけ量を増加させ、圧縮機の回転数を低く抑えた運転の比率や起動の頻度が増えても、ベーンが転覆することがない信頼性の高い圧縮機を得ることができ、空調機の騒音や効率の改善を行うことができる。
また、吸入室から液冷媒が進入した場合でも、ベーンが転覆することがないので、より信頼性の高い圧縮機を得ることができる。
1 シリンダ、1a シリンダ室、1b シリンダ内周面、1c 吸入ポート、1d 吐出流路、2 フレーム、2a 凹部、2b 軸受部、2c 吐出ポート、2d 内周面、2e 円形平面、2f リング状溝、3 シリンダヘッド、3a 凹部、3b 軸受部、3d 内周面、3e 円形平面、3f リング状溝、4 ロータシャフト、4a ロータ部、4b 回転軸部、4c 回転軸部、4d ブッシュ保持部、4e ブッシュ保持部、4f ベーン逃がし部、4g ベーン逃がし部、4h 細径部、4j 細径部、4k ロータ部外周面、5 第1のベーン、5a ベーン部、5b ベーンアライナ部、5c ベーンアライナ部、5d ベーン先端部、5e ベーン背面部、5f 側面部、5g 側面部、5h 側面部、5j 側面部、6 第2のベーン、6a ベーン部、6b ベーンアライナ部、6c ベーンアライナ部、6d ベーン先端部、6e ベーン背面部、6f 側面部、6g 側面部、6h 側面部、6j 側面部、7 ブッシュ、8 ブッシュ、11 固定子、12 回転子、13 ガラス端子、14 吐出管、15 リード線、100 圧縮機、101 圧縮要素、102 電動要素、103 密閉容器。

Claims (6)

  1. ほぼ円筒状で、軸方向の両端が開口しているシリンダと、前記シリンダの一方の開口部を閉塞するシリンダヘッドと、前記シリンダの他方の開口部を閉塞するフレームと、前記シリンダ内で前記シリンダの中心軸線に対して偏心した中心軸線にて回転運動する円柱形のロータ部および前記ロータ部の中心軸線に設けられ前記ロータ部に回転力を伝達する回転軸部とを有するロータシャフトと、板状の形状を有しその長手方向が前記ロータ部のほぼ径方向となるように前記ロータ部に配置されるとともに前記ロータ部円周方向に回動自在かつロータ部のほぼ径方向に移動可能に前記ロータ部に保持されたベーンと、とを有し、前記ベーンにて前記ロータ部の外周面と前記シリンダの内周面とで形成される空間を仕切ることで圧縮室を形成するベーン型圧縮機において、
    前記ベーンに、前記ベーンの長手方向と前記シリンダの内周面の法線方向とがほぼ一致するように規制し前記ロータ部の回転運動によって前記回転軸部の周囲を回るベーンアライナを備え、
    前記回転軸部に前記ベーンアライナと前記回転軸部とが接触しないように逃がし部を設けたことを特徴とするベーン型圧縮機。
  2. 前記シリンダヘッドと前記フレームは前記シリンダ端面側にシリンダ内径と同心の凹部を有するとともに、前記ベーンアライナは前記凹部の内径とほぼ同じ径のリング形状あるいは円弧形状の外形を有し、前記ベーンアライナが前記凹部に嵌入されることによって前記ベーンアライナは前記シリンダヘッドまたは前記フレームに保持されることを特徴とする請求項1に記載のベーン型圧縮機。
  3. 前記逃がし部は前記回転軸に設けられた径の細い細径部にて構成されたことを特徴とする請求項1または2に記載のベーン型圧縮機。
  4. 前記シリンダヘッドの凹部は、略円筒状の内周面と前記内周面の軸方向の一方を閉塞する平面とで構成され、前記平面に前記内周面に沿ってリング状溝が設けられるとともに、前記シリンダヘッドの凹部に嵌入される前記ベーンアライナに前記リング状溝に嵌入する係止部が設けられたことを特徴とする請求項2に記載のベーン型圧縮機。
  5. 前記フレームの凹部は、略円筒状の内周面と前記内周面の軸方向の一方を閉塞する平面とで構成され、前記平面に前記内周面に沿ってリング状溝が設けられるとともに、前記フレームの凹部に嵌入される前記ベーンアライナに前記リング状溝に嵌入する係止部が設けられたことを特徴とする請求項2または4に記載のベーン型圧縮機。
  6. 冷媒に、標準沸点が−45℃以上の冷媒を用いたことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のベーン型圧縮機。
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