JP5821400B2 - 分光センサー及び角度制限フィルター - Google Patents
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Description
この態様によれば、遮光層によって光路を形成する構成により、微細なパターンの形成が可能であり、小型の角度制限フィルターの製造が可能となる。また、第1の光透過膜によって凸レンズを形成することにより、角度制限フィルターの通過光量を向上することが可能となる。さらに、複数の遮光層と光透過膜とを連続的に重ねることにより、角度制限フィルターの光路長を確保し、通過する光の入射角度を制限することができる。
この態様によれば、上述の角度制限フィルターを用いるので、小型の分光センサーの製造が可能となる。
この態様によれば、遮光層によって光路を形成することにより、微細なパターンの形成が可能であり、小型の角度制限フィルターの製造が可能となる。また、第1の光透過膜によって凸レンズを形成することにより、角度制限フィルターの通過光量を向上することが可能となる。さらに、複数の遮光層と光透過膜とを連続的に重ねることにより、角度制限フィルターの光路長を確保し、通過する光の入射角度を制限することができる。
これによれば、第1の遮光層の第1の溝に整合するように第3の光透過膜に第3の傾斜部が形成されるので、第3の傾斜部を所望の箇所に高精度に形成することができる。
これによれば、第2の溝の内部に第1の遮光層を構成する材料が完全には充填されず、第1の溝が形成されるので、第1の溝を所望の箇所に高精度に形成することができる。
この態様によれば、上述の角度制限フィルターを用いることにより、小型で感度の良い分光センサーを製造することができる。
なお、上方とは、基板の表面を基準として裏面に向かう方向とは反対の方向を意味する。
図1は、本発明の1つの実施形態に係る角度制限フィルター及び分光センサーを示す模式図である。図1(A)は分光センサーの平面図、図1(B)は図1(A)のB−B線断面図である。
分光センサー1は、角度制限フィルター10と、波長制限フィルター20と、受光素子30とを具備している(図1(B)参照)。図1(A)においては、波長制限フィルター20を省略している。
角度制限フィルター10は、受光素子30が形成されたP型シリコン基板3上に形成されている。本実施形態の角度制限フィルター10においては、複数の遮光層としてのタングステン(W)層14a〜14eによって、光路を画成する壁部が形成されている。タングステン層14a〜14eの各々は、少なくとも1つの開口部15を有している。なお、遮光層は、タングステン層14a〜14eに限らず、受光素子30によって受光しようとする波長の光の反射率がアルミニウムの反射率より低く、受光素子30によって受光しようとする波長の光を実質的に透過しない物質、例えば銅、窒化チタン、チタンタングステン、チタン、タンタル、窒化タンタル、クロム、モリブデンによって構成されていても良い。
タングステン層14a〜14eの各々に形成された開口部15によって、タングステン層14a〜14eの積層方向に沿った光路が形成される。
タングステン層14cの開口部15に相当する領域には、透光性を有する高屈折率膜11c及び低屈折率膜12cが位置している。タングステン層14cの開口部15と同様に、タングステン層14d或いは14eの開口部15に相当する領域には、それぞれ、透光性を有する高屈折率膜11d及び低屈折率膜12d、或いは、透光性を有する高屈折率膜11e及び低屈折率膜12eが位置している。
タングステン層14eの開口部15に相当する領域上には、透光性を有する高屈折率膜11f及び低屈折率膜12fが積層されている。
波長制限フィルター20は、例えば、角度制限フィルター10上に、酸化シリコン(SiO2)等の低屈折率の薄膜21と、酸化チタン(TiO2)等の高屈折率の薄膜22とを多数積層したものである。
低屈折率の薄膜21及び高屈折率の薄膜22は、それぞれ例えばサブミクロンオーダーの所定膜厚とし、これを例えば計60層程度にわたって積層することにより、全体で例えば6μm程度の厚さとする。
すなわち、波長制限フィルター20に入射した入射光は、低屈折率の薄膜21と高屈折率の薄膜22との境界面において、一部は反射光となり、一部は透過光となる。そして、反射光の一部は、他の低屈折率の薄膜21と高屈折率の薄膜22との境界面において再度反射して、上述の透過光と合波する。このとき、反射光の光路長と一致する波長の光は、反射光と透過光の位相が一致して強めあい、反射光の光路長と一致しない波長の光は、反射光と透過光の位相が一致せずに弱めあう(干渉する)。
波長制限フィルターは、上記の例に限定されず、特定の範囲の波長の光を透過する材料でもよい。また、特定の範囲の波長の光を分離するプリズムでもよい。
受光素子30は、波長制限フィルター20及び角度制限フィルター10を通過した光を受光して光起電力に変換する素子である。
図2は、上記実施形態の効果を説明するための模式図である。図2は、上記実施形態に係る分光センサーの図1(B)に相当する断面を示しているが、透明部分の断面を示すハッチングは省略している。
ここで、第1の実施形態に係る分光センサー1の製造方法について説明する。分光センサー1は、P型シリコン基板3に受光素子30を形成し、次に、受光素子30の上に角度制限フィルター10を形成し、次に、角度制限フィルター10の上に波長制限フィルター20を形成することによって製造する。
最初に、P型シリコン基板3に受光素子30を形成する。例えば、まず、P型シリコン基板3にイオン注入等を行うことによってN型の第1の半導体領域31を形成する。そして、第1の半導体領域31にさらにイオン注入等を行うことによって、N型の第4の半導体領域34と、P型の第2の半導体領域32とを形成する。そして、第2の半導体領域32にさらにイオン注入等を行うことによって、高濃度のP型の第3の半導体領域33を形成する。この工程は、同一のP型シリコン基板3上の半導体素子を含む電子回路の形成と同時に行うことができる。
次に、受光素子30の上に角度制限フィルター10を形成する。
図3〜図5は、上記実施形態に係る角度制限フィルターの形成工程を示す断面図である。
(1)まず、受光素子30が形成されたP型シリコン基板3の上に酸化シリコン膜12aを形成する。次に、酸化シリコン膜12aの一部(第4の半導体領域34の上方の領域)をエッチングすることにより、酸化シリコン膜12aに溝を形成する。
次に、酸化シリコン膜12aに形成された溝の中にタングステン層14aを埋め込む。このタングステン層14aは、電子回路のための配線用のアルミニウム合金層と当該電子回路に含まれる半導体素子とを接続する導電プラグ(図示せず)の形成と同時に、形成される。
次に、酸化シリコン膜12a、タングステン層14a及びアルミニウム合金層17bの上に、高屈折率膜11b及び11gとなる酸化シリコン膜を高密度プラズマCVD法によって形成する。次に、高屈折率膜11b及び11gとなる酸化シリコン膜の上に、低屈折率膜12b及び12gとなる酸化シリコン膜を形成する。これらの酸化シリコン膜は、電子回路のための配線用のアルミニウム合金層の上の絶縁膜(図示せず)の形成と同時に形成される。次に、CMP法により、低屈折率膜12b及び12gとなる酸化シリコン膜を平坦化する。
次に、低屈折率膜12b、タングステン層14b及びアルミニウム合金層17cの上に、高屈折率膜11c及び11gとなる酸化シリコン膜を高密度プラズマCVD法によって形成する(図4(E))。図6は、高密度プラズマCVD法による高屈折率膜11cの形成の様子を示す断面図である。高密度プラズマCVD法においては、プラズマに含まれるイオンによって、酸化シリコンがエッチングされながら成膜される。図6(A)に示すように、タングステン層14bは、その上面に第1の溝16bを有している。第1の溝16bの周囲において、エッチングされながら堆積しようとする酸化シリコンは、よりエッチングされにくい第1の溝16bの内部に堆積する。このため、図6(B)に示すように、第1の溝16bの周囲には、高屈折率膜11cの膜厚の小さい部分が形成される。そして、高屈折率膜11cには、タングステン層14bの開口部15における周縁部から中心部に向かって膜厚が大きくなる方向に傾斜した傾斜部110が形成される。
次に、角度制限フィルター10の上に波長制限フィルター20を形成する(図1参照)。例えば、まず、角度制限フィルター10の上に酸化シリコン層を形成し、この酸化シリコン層をCMP法等によって所定角度の傾斜構造体23a及び23bに加工する。次に、低屈折率の薄膜21と高屈折率の薄膜22とを交互に多数積層する。
以上の工程によって分光センサー1が製造される。
以上の製造方法によれば、マイクロレンズとなる高屈折率膜11c〜11fの膜厚が、タングステン層14b〜14eの溝16b、16c等の周囲において小さくなる。これにより、タングステン層14b〜14eの開口部15の位置に対してマイクロレンズの位置がずれることなく、自己整合的に高精度に形成される。
Claims (7)
- 第1の開口部を有する第1の遮光層と、
前記第1の開口部に位置する第1の光透過膜であって、前記第1の開口部の周縁から前記第1の開口部の中心に向かって膜厚が大きくなる方向に傾斜した第1の傾斜部を有する前記第1の光透過膜と、
前記第1の開口部に前記第1の光透過膜と重なって位置し、前記第1の光透過膜よりも屈折率が小さい第2の光透過膜であって、前記第1の開口部の周縁から前記第1の開口部の中心に向かって膜厚が小さくなる方向に傾斜した第2の傾斜部を有する前記第2の光透過膜と、
前記第1の開口部と少なくとも一部が重なる第2の開口部を有し、前記第1の遮光層の第1の面に接する第2の遮光層と、
前記第2の開口部に位置する第3の光透過膜であって、前記第2の開口部の周縁から前記第2の開口部の中心に向かって膜厚が大きくなる方向に傾斜した第3の傾斜部を有する前記第3の光透過膜と、
前記第2の開口部に前記第3の光透過膜と重なって位置し、前記第3の光透過膜よりも屈折率が小さい第4の光透過膜であって、前記第2の開口部の周縁から前記第2の開口部の中心に向かって膜厚が小さくなる方向に傾斜した第4の傾斜部を有する前記第4の光透過膜と、
を含み、
前記第3の傾斜部は、前記第1の遮光層の前記第1の面に接するように延伸する、角度制限フィルター。 - 光の波長を制限する波長制限フィルターと、
請求項1に記載の角度制限フィルターと、
前記波長制限フィルター及び前記角度制限フィルターを通過した光を検出する受光素子と、
を含む分光センサー。 - 前記第1の光透過膜は、前記第2の光透過膜と前記受光素子との間に位置する、請求項2に記載の分光センサー。
- 基板の上方における第1の領域の周縁から前記第1の領域の中心に向かって膜厚が大きくなる方向に傾斜した第1の傾斜部を有する第1の光透過膜をプラズマCVD法によって形成する工程(a)と、
前記第1の光透過膜上に、前記第1の光透過膜よりも屈折率が小さい第2の光透過膜であって、前記第1の領域の周縁から前記第1の領域の中心に向かって膜厚が小さくなる方向に傾斜した第2の傾斜部を有する前記第2の光透過膜を形成する工程(b)と、
前記第1の領域内に第1の開口部を有する第1の遮光層を、前記第2の光透過膜及び前記第1の光透過膜の一部に埋め込む工程(c)と、
前記第2の光透過膜上に、前記第1の開口部と少なくとも一部が重なる第2の領域の周縁から前記第2の領域の中心に向かって膜厚が大きくなる方向に傾斜した第3の傾斜部を有する第3の光透過膜をプラズマCVD法によって形成する工程(d)と、
前記第3の光透過膜上に、前記第3の光透過膜よりも屈折率が小さい第4の光透過膜であって、前記第2の領域の周縁から前記第2の領域の中心に向かって膜厚が小さくなる方向に傾斜した第4の傾斜部を有する前記第4の光透過膜を形成する工程(e)と、
前記第2の領域内に第2の開口部を有し、前記第1の遮光層の第1の面に接する第2の遮光層を、前記第4の光透過膜及び前記第3の光透過膜の一部に埋め込む工程(f)と、
を含み、
工程(d)は、前記第1の遮光層の前記第1の面に接するように延伸する第3の傾斜部を有する第3の光透過膜を形成することを含む、角度制限フィルターの製造方法。 - 請求項4において、
工程(c)は、前記第1の遮光層の前記第1の面に前記第1の開口部を囲む第1の溝を有する第1の遮光層を形成することを含み、
工程(d)は、前記第1の溝の内部に延在するように前記第3の光透過膜を形成することを含む、
角度制限フィルターの製造方法。 - 請求項5において、
工程(c)は、
前記第2の光透過膜及び前記第1の光透過膜の一部に、前記第1の遮光層を埋め込むための第2の溝を形成し、
前記第2の溝の内部と、前記第2の光透過膜上とに、前記第1の遮光層を構成する材料を前記第2の溝の深さよりも小さい厚さで堆積させ、
前記第2の光透過膜上に堆積した前記第1の遮光層を構成する材料を除去することにより、前記第1の溝を有する前記第1の遮光層を形成することを含む、角度制限フィルターの製造方法。 - 前記基板に受光素子を形成する工程と、
前記受光素子の上方に、請求項4〜請求項6の何れか一項に記載の方法により、前記受光素子に向けて通過する光の入射方向を制限する角度制限フィルターを形成する工程と、
前記角度制限フィルターの上方に、前記角度制限フィルターに向けて光を透過する傾斜構造体を形成し、前記傾斜構造体の上方に多層膜を形成することにより、前記角度制限フィルターを通過できる光の波長を制限する波長制限フィルターを形成する工程と、
を含む、分光センサーの製造方法。
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