JP5821323B2 - モータ用転がり軸受 - Google Patents

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Description

本発明は、高速冷却ファンモータ、軸流ファンモータ、高温・高速ファンモータブレードサーバ等のファンモータ主軸サポートに使用するモータ用転がり軸受に関するものである。
従来より、モータ軸を支持するための軸受をハウジングに取り付ける際の嵌合を容易にする為、軸受とハウジングとの間には、通常、正の隙間が設けられている。このような隙間がある状態で、回転体アンバランスによる回転荷重が外輪に作用すると、外輪がハウジングに対して相対回転するいわゆるクリープが発生することが知られている。このようなクリープが発生すると、嵌合面での磨耗が発生し、軸受の支持が不安定になる等の問題が発生する場合がある。
このクリープを防止する為に、外輪外周部に1本又は2本の凹溝が形成され、この凹溝内にOリングを巻き付けて、外輪とハウジングとの間の隙間を無くすようにしたものが提案されている(特許文献1)。
このようなOリングや止め輪の敷設により、ある程度のクリープ防止効果は得られるが、取付け状態に左右されず、安定して十分なクリープ防止効果が得られる転がり軸受が求められているいう課題があった。
この部分の改善の先行技術としては、軸受外輪とハウジング間に油、グリース等を塗布することにより、クリープ防止効果を上げるという提案がなされている(非特許文献1)。
これは、軸受外輪と軸受箱とのはめあい面の摩擦係数を小さくすることでクリープトルクを減少させ、クリープの発生を防止しようとするものである。
特開2004−308839号公報 転がり軸受のクリープ減少とその対策、機械の研究、1970年、22巻、8号、47〜52頁
しかしながら、この先行技術には、Oリング部への油、グリースの塗布は煩雑であり、又、ハウジングへ予め塗布しても、Oリングを敷設した軸受の取付の際に、油、グリースが拭われてしまい、外輪とハウジングの間にほとんど残らず、効果が十分に発揮されない場合があるという問題が有った。
上記問題を解決するために、請求項1の発明は、外輪と、内輪と、外輪と内輪との間に設けられた複数の転動体と、外輪外周面の片側又は両側に形成され周方向に沿った凹溝内に設けられた環状のOリングとを有し、前記Oリングには複数の凹みが形成され、当該凹みには油又はグリースが充填されており、軸受をモータ側のハウジングへ取り付ける際に前記Oリングの変形により前記凹みから放出された油又はグリースが、前記外輪外周面と前記ハウジングとの間に介在することを特徴とする。
本発明によれば、軸受の外輪へ敷設するOリングの凹みへ、油、グリースを保持しておくことができるので、軸受の取付時に油、グリースの塗布をする必要が無く、Oリング内部の凹みから油、グリースの滲み出しによって、外輪とハウジング間に油を供給することが可能になる。また凹みがOリングの弾性を緩和することでダンバー効果を発揮するため、軸受振動を低減できるとともに、取付け状態に左右されず安定してクリープを防止できるという効果を有する。
本発明の一実施の形態に係る転がり軸受の構成を一部に拡大して示す断面図。 Oリングの斜視図。 Oリングの断面図。
以下、本発明の一実施の形態に係る転がり軸受について添付図面を参照して説明する。なお、転がり軸受には、例えばスラスト軸受やラジアル軸受を含めることができるが、以下では一例としてラジアル軸受について説明する。
図1に示すように、本実施の形態の転がり軸受1は、互いに相対回転可能に対向配置された内輪2及び外輪3と、内外輪間に転動自在に配列された複数の転動体4とを備えており、複数の転動体4は、保持器5により所定間隔で回転可能に保持されている。
転動体4として玉やころを用いることが可能であるが、ここでは一例として玉を用いた例を示している。また、内外輪2、3間には、例えばシールやシールドなどの密封板6を設けることができる。これにより潤滑剤(例えば、グリース、油)の漏洩や異物(例えば、水、塵埃)の浸入が防止されている。なお、図1の転がり軸受には、密封板6の一例としてシールドが適用されている。
外輪3の外周面3aには、周方向に沿って環状の2列の凹溝10、10が形成され、この両凹溝10、10内には環状のOリング11、11が設けられている。Oリング11は、硬度がデュロメータで70程度のニトリルゴム(NBR)で形成され、図2及び、その断面図である図3から明らかな通り、断面が円形で表面に無数の凹み(ディンプル)12を有している。この凹み12には、油、グリースが保持されている。従い、この凹み12の粘性ダンパー効果により、クリープ抑制作用を向上させながら且つ軸受の振動を抑制することができる。
使用される油、グリースは、シリコン系のものがかかる効果を発揮する上では有効である。また、Oリング11は、転がり軸受の使用目的や使用環境に応じて、例えばフッ素ゴム(バイトン)、エチレンプロピレンゴム、シリコンゴム、熱可塑性エラストマなどの材料で形成することも可能である。
なお、上述した実施の形態では、外輪3の外周面3aの両側にそれぞれ凹溝10を形成し、この凹溝10内にOリング11がそれぞれ設けられている転がり軸受について説明したが、これに限定されることは無く、例えば外輪の外周面の片側に凹溝を形成し、この凹溝内にOリングが設けられている転がり軸受であっても上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、外輪外周とハウジングとの間のクリープ防止について説明したが、内輪内周に形成された凹溝にOリングを設けることにより、内輪と軸との間のクリープ防止を図ることも可能である。
1 転がり軸受
2 内輪
3 外輪
3a 外周面
4 転動体
5 保持器
6 密封板
10 凹溝
11 Oリング
12 凹み

Claims (1)

  1. 外輪と、内輪と、外輪と内輪との間に設けられた複数の転動体と、外輪外周面の片側又は両側に形成され周方向に沿った凹溝内に設けられた環状のOリングとを有し、前記Oリングには複数の凹みが形成され、当該凹みには油又はグリースが充填されており、軸受をモータ側のハウジングへ取り付ける際に前記Oリングの変形により前記凹みから放出された油又はグリースが、前記外輪外周面と前記ハウジングとの間に介在することを特徴とするモータ用転がり軸受。
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