以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態1)
本実施形態の接点装置について図1〜4を用いて説明を行う。なお、以下、図1における上下左右を基準とし、上下左右方向と直交する方向を前後方向として説明を行う。
本実施形態の接点装置は、図1、2に示すように、固定端子33、及び可動接触子35、及び接圧ばね36、及び容器(固定部材)61からなる接点ブロック3と、駆動ユニット(駆動手段)8と、ヨーク体(第一のヨーク)63とを備えている。
容器61は、図2(a)に示すように、セラミック等の耐熱性材料により、下面か開口した中空矩形箱型に形成されている。また、容器61の上面には、一対の貫通孔61aが左右に並設されている。
固定端子33は、銅等の導電性材料により略円柱状に形成され、上端部が拡径されて円板状の鍔部33aが形成され、下端面には、固定接点32が固着されている。なお、固定接点32は、固定端子33と一体に形成されていてもよい。そして、固定端子33は、その下端側が容器61の貫通孔61aに上方から挿入されて容器61内に突出する。続いて、鍔部33aが貫通孔61aの周縁部にろう付けされることで、固定端子33が容器61に固定される。
また、容器61における上面内側には、一対の固定端子33間にヨーク体63が固定されている。ヨーク体63は、軟鉄等の磁性材料から略直方体状に形成され、下面の左右方向の略中央には、前後方向に沿って凹部63aが形成されている。
可動接触子35は、導電性材料から略矩形平板状に形成され、上面における長手方向(左右方向)の両端側に可動接点34が各々固着される。そして、可動接触子35は、可動接点34と固定接点32とが互いに対向した状態で配設される。また、可動接触子35は、その前端中央及び後端中央に略直方体状の切り欠き35aがそれぞれ形成され、左右両端側に比べて幅寸法の小さい幅狭部351が中央部分に形成される。
接圧ばね36は、コイルスプリングからなり、軸方向を上下方向へ向けた状態で配設され、上端が可動接触子35の下面略中央に当接する。ここで、可動接触子35の下面略中央には、円板状の突部35cが形成され、当該突部35cが接圧ばね36の内径部に嵌まり込むことで、接圧ばね36の位置決めがなされている。
駆動ユニット8は,可動接触子35及び接圧ばね36を保持する保持体81と、保持体81に連結される可動軸82と、可動軸82を駆動する電磁石ブロック2とから構成される。
保持体81は、略矩形平板状のベース板811と、ベース板811の前後両端から各々上方へ延設されて互いに対向する一対の対向壁812と、一対の対向壁812の上端の略中央同士を連結する棒体状の規制部813とから、断面略矩形枠型に形成される。そして、ベース板811と規制部813との間には、可動接触子35と接圧ばね36とが配設される。ここで、接圧ばね36は、下端がベース板811に当接し、当該ベース板811と可動接触子35との間で圧縮状態で配設されて可動接触子35を上方へ押圧する。
そして、接圧ばね36に押圧された可動接触子35は、その上面が規制部813に当接することで上方(固定接点32側)への移動が規制される。
可動軸82は、長尺丸棒状に形成され、その上端がベース板811の略中央に連結され、下端に電磁石ブロック2が接続される。
そして、電磁石ブロック2によって可動軸82が上方へ移動されると、図3に示すように、当該移動に連動して保持体81も上方へ移動し、規制部813がヨーク体63の凹部63a内に収納される。それと同時に、保持体81に保持された可動接触子35が、固定端子33側へ移動し、可動接点34が固定接点32に当接して接点間が導通すると共に、可動接触子35がヨーク体63に近接する。ここでは、ヨーク体63の厚みは、容器61内に突出する固定端子33の突出長さと略等しい厚みに設定されている。
続いて、接点間が導通した後に、電磁石ブロック2によって可動軸82が更に上方へ移動されると、当該移動に連動して保持体81も更に上方へ移動する。その際、可動接触子35は、可動接点34が固定接点32に当接することで上方への移動が規制されてその位置が変化しない。そのため、保持体81の上方への移動に伴って、可動接触子35と保持体81のベース板811との間隔が狭くなり、接圧ばね36の圧縮量が大きくなって当該接圧ばね36の可動接触子35に対する押圧力が大きくなる。以下、接点導通後の可動軸82の移動量をオーバートラベル量(OT量)と称する。つまり、OT量に比例して接点間の接圧が大きくなる。
また、従来例において図23(a)を用いて説明した通り、一般的に、可動接触子35の近傍にヨークが設けられていない場合、電流が流れる可動接触子35の周囲には当該可動接触子35の中心を磁界の中心として同心円状に磁束が発生する。(図23において、紙面の奥側から手前側へ向かって電流が流れているものとする)。ここで、図23(a)において、可動接触子35内を右から左へ向かう磁束の数と、可動接触子35内を左から右へ向かう磁束の数とが略等しいため、可動接触子35に電磁力は発生しない。
一方、本実施形態の接点装置では、接点間が導通した際、図4に示すように、可動接触子35の上面に近接するヨーク体63の影響により、可動接触子35の周囲に発生する磁界のバランスが崩れる。具体的に説明すると、可動接触子35の周囲に発生する磁束がヨーク体63側へ引き寄せられ、可動接触子35内を右から左へ通過する磁束の多くが、ヨーク体63に引き寄せられて可動接触子35内を通る数が減少する。一方、可動接触子35内を左から右へ通過する磁束の数は増加する。つまり、可動接触子35内を左から右へ通過する磁束の数が、可動接触子35内を右から左へ通過する磁束の数よりも多くなる。ここで、可動接触子35内を右から左へ向かう磁束は、可動接触子35に対して下向きの電磁力を付与し、可動接触子35内を左から右へ向かう磁束は、可動接触子35に対して上向きの電磁力を付与する。そのため、可動接触子35には上向きの電磁力が働く。つまり、接点導通時には、可動接触子35に対して、接圧ばね36から受ける上向きの押圧力と、ヨーク体63による上向きの電磁力との2つの上向きの力が作用する。
また、本実施形態の接点装置では、ヨーク体63は、駆動ユニット8から独立して容器61に固定されていることから、駆動ユニット8における保持体81及び可動軸82の移動にヨーク体63は連動しない。そのため、接点導通後は、ヨーク体63と、可動接触子35との間の距離(ギャップG1)は、OT量に拠らず従来よりも短く設定できると共に、ギャップG1を一定に保つことができる。つまり、OT量を増加させたとしてもギャップG1が大きくなることが無く、可動接触子35に作用するヨーク体63による上向きの電磁力の減少を防止でき、接点間の接圧を効率よく高めることができる。
また、ギャップG1の値をOT量とは独立して設定することができるため、ギャップG1の値を調整することで、接点間の接圧を高めるために上記電磁力が最も効果を発揮できる設計を容易に行うことができる。
また、上記上向きの電磁力を安定して得られることから、電磁石ブロック2を小さくしたとしても、短絡電流に対する耐力(接圧)を維持することができ、接点装置の小型化を図ることができる。これにより、接点装置の消費電力の低減、及びコストダウンを図ることができる。
また、図21で示した従来例における接点装置では、ヨーク板74が、可動接触子35及び接圧ばね36と共に保持体81に保持されていた。ここで、接点装置を安定して動作させるためには、保持体81に対して可動接触子35及び接圧ばね36及びヨーク板74を精度よく組み付ける必要がある。
一方、本実施形態の接点装置では、ヨーク体63が、駆動ユニット8から独立して設けられ、可動接触子35及び接圧ばね36のみが、保持体81に保持されることから、保持体81に組み付ける部品点数を従来に比べて減少させることができる。そのため、従来の接点装置に比べて組み立てが容易となり、製造コストを低減することができる。
また、保持体81で保持する部品が減少するため、保持体81を駆動させる際に必要となる力を小さくすることができる。従って、電磁石ブロック2で発生させる電磁力を抑えつつも接圧を維持することができ、当該電磁石ブロック2の小型化及び省電力の低減及びコストダウンをより図ることができる。
なお、本実施形態の接点装置では、ヨーク体63に凹部63aを形成しているが、当該凹部63aは、規制部813を収納可能であれば、前後両端が開放したものであっても、閉塞したものであってもよい。
そして、上記本実施形態の接点装置は、例えば、図5〜7に示すような電磁継電器に用いられる。
上記電磁継電器は、図7に示すハウジング4内に、図5に示す、電磁石ブロック2を有する駆動ユニット8と、接点ブロック3と、ヨーク体63と、カプセルヨーク39とを収納する。以下、図5(a)における上下左右を基準とし、上下左右方向と直交する方向を前後方向とする。
電磁石ブロック2は、図5,6に示すように、コイルボビン21と、励磁巻線22の両端がそれぞれ接続される一対のコイル端子23と、コイルボビン21内に配設固定される固定鉄芯24と、可動鉄芯25と、継鉄26と、復帰ばね27とを備える。
コイルボビン21は、樹脂材料により上端及び下端に鍔部21a、21bが形成された略円筒状に形成され、鍔部21a、21b間の円筒部21cには励磁巻線22が巻回されている。また、鍔部21aの略中央には、略円板状の凹部21dが形成され、当該凹部21dの底面は、コイルボビン21の内径に連通している。そして、コイルボビン21の内径部には、上端に鍔部28aが形成された有底円筒状の円筒部材28が挿通し、鍔部28aが凹部21dに収納固定される。
また、円筒部材28の円筒部28b内には、磁性材料から略円柱状に形成される可動鉄芯25が配設され、更に、可動鉄芯25の上方には、磁性材料から略円柱状に形成されて軸方向において可動鉄芯25と対向する固定鉄芯24が配設される。ここで、固定鉄芯24の下面略中央及び可動鉄芯25の上面略中央には、それぞれ円柱状の凹部24a、25aが形成されている。そして、固定鉄芯24と可動鉄芯25との間には、コイルスプリングからなる復帰ばね27が配設され、復帰ばね27の上端が凹部24aの底面に当接し、復帰ばね27の下端が凹部25aの底面に当接する。
また、可動軸82は、固定鉄芯24に軸方向に形成される貫通孔24bを移動自在に挿通し、更に、可動鉄芯25に軸方向に沿って形成される貫通孔25bに嵌挿することで、可動鉄芯25に連結される。
励磁巻線22は、図6(c)に示すように、コイルボビン21の鍔部21aに設けられる一対の端子部121に端部が各々接続され、端子部121に接続されるリード線122を介して一対のコイル端子23とそれぞれ接続される。
コイル端子23は、銅等の導電性材料から形成され、半田等によりリード線122と接続される。
継鉄26は、図5(a)に示すように、コイルボビン21の上端側に配設される継鉄板26Aと、コイルボビン21の下端側に配設される継鉄板26Bと、継鉄板26Bの左右両端から継鉄板26A側へ延設される一対の継鉄板26Cとから構成される。
継鉄板26Aは、略矩形板状に形成され、その略中央には挿通孔26bが形成されている。ここで、固定鉄芯24の上端面からは、円筒状の嵌合突部25cが突設されており、当該嵌合突部25cが挿通孔26bに嵌挿されることで、固定鉄芯24が継鉄板26Aに固定される。
また、コイルボビン21における下端側の内周面と、円筒部材28の外周面との間に形成される隙間部分には、磁性材料からなる円筒状のブッシュ26Dが嵌合されている。当該ブッシュ26Dは、継鉄板26A〜26Cと固定鉄芯24と可動鉄芯25と共に磁気回路を形成する。
また、図5(a)に示すように、容器61の開口周縁にはフランジ38の一端がろう付けにより接合される。そして、フランジ38の他端が第一の継鉄板26Aとろう付けにより接合される。また、容器61の周囲には、接点間で発生するヨークを短時間で消弧するためのカプセルヨーク39が配設される。
カプセルヨーク39は、容器61の前面及び後面に各々対向して配設される矩形板状の一対の永久磁石391と、当該一対の永久磁石391を保持するための一対の保持部材392とから構成される。
保持部材392は、鉄等の磁性材料からなり、互いに対向する一対の側片39aと、当該一対の側片39aの端部間を接続する連結片39bとから略コの字状に形成されている。そして、保持部材392は、容器61の左右両側に連結片39bを対向させた状態で各々配設され、一対の側片39aにより一対の永久磁石391及び容器61を挟み込んでいる。
ハウジング4は、図6(c)に示すように、樹脂材料によって略矩形箱状に形成され、上面が開口した中空箱型のハウジング本体41と、ハウジング本体41の開口に覆設する中空箱型のカバー42とから構成される。
ハウジング本体41は、左右側壁に略三角形状の突片141が形成されており、当該突片141には、電磁継電器を取り付け面にねじ留めにより固定する際に用いられる挿通孔141aが形成されている。また、ハウジング本体41の上端側の開口周縁には段部41aが形成されており、下端側に比べて外周が小さくなっている。そして、段部41aの前面側にはコイル端子23の端子部23bが嵌め込まれる一対のスリット41bが形成されている。更に、段部41aの後面側には、一対の突部41cが左右方向に並設されている。
カバー42は、下面が開口した中空箱型に形成されており、後面にはハウジング本体41に組み付ける際にハウジング本体41の突部41cが嵌まり込む一対の孔部42aが形成されている。また、カバー42の上面中央には、上面を左右に略2分割する矩形板状の仕切り部42cが形成され、当該仕切り部42cの左右両側にはそれぞれ、固定端子33が挿通する一対の挿通孔42bが形成される。
そして、図6(c)に示すように、ハウジング4に駆動ユニット8及び接点ブロック3を収納する際、コイルボビン21の下端の鍔部21bと、ハウジング本体41の底面との間に略矩形状の下側クッションゴム43が介装される。また、容器61とカバー42との間に、固定端子33の鍔部33aが挿通する挿通孔44aが形成された上側クッションゴム44が介装されている。
そして、上記電磁継電器では、励磁巻線22が通電されると、可動鉄芯25が固定鉄芯24に吸引されて復帰ばね27を押し縮めながら上方へ移動し。これに伴い、可動鉄芯25に嵌挿した可動軸82が上方へ移動する。そして、可動軸82に連結された保持体81が上方へ移動することで、当該保持体81に保持された可動接触子35も上方へ移動する。これにより、可動接触子35に固着された可動接点34が、固定接点32に当接して接点間が導通する。
上記電磁継電器では、ヨーク体63が、駆動ユニット8から独立して容器61に固定されていることから、駆動ユニット8における保持体81及び可動軸82の移動にヨーク体63は連動しない。そのため、接点導通後は、ヨーク体63と、可動接触子35との間の距離(ギャップG1)は、OT量に拠らず従来よりも短く設定できると共に、ギャップG1を一定に保つことができる。つまり、OT量を増加させたとしてもギャップG1が大きくなることが無く、可動接触子35に作用するヨーク体63による上向きの電磁力の減少を防止でき、接点間の接圧を効率よく高めることができる。
また、ギャップG1の値をOT量とは独立して設定することができるため、ギャップG1の値を調整することで、接点間の接圧を高めるために上記電磁力が最も効果を発揮できる設計を容易に行うことができる。
また、上記上向きの電磁力の減少を防止し、且つ当該電磁力が安定して得られることから、従来よりも電磁石ブロック2を小さくしたとしても、短絡電流に対する耐力(接圧)を維持することができ、電磁継電器の小型化を図ることができる。
また、従来からある電磁継電器が備える接点装置では、図21で示したように、ヨーク板74が、可動接触子35及び接圧ばね36と共に保持体81に保持されていた。ここで、接点装置を安定して動作させるためには、保持体81に対して可動接触子35及び接圧ばね36及びヨーク板74を精度よく組み付ける必要がある。
一方、上記電磁継電器が備える接点装置は、ヨーク体63が、駆動ユニット8から独立して設けられ、可動接触子35及び接圧ばね36のみが、保持体81に保持されることから、保持体81に組み付ける部品点数を減少させることができる。そのため、従来の接点装置に比べて組み立てが容易となり、製造コストを低減することができる。
(実施形態2)
本実施形態の接点装置について図8〜10を用いて説明を行う。以下、図8における上下左右を基準とし、上下左右方向と直交する方向を前後方向として説明を行う。
本実施形態の接点装置は、図8に示すように、可動接触子35と接圧ばね36との間にヨーク体(第二のヨーク)64が介装されている点のみが実施形態1の接点装置と異なっている。なお、その他の構成については、実施形態1と共通であるため共通の符号を付して説明を省略する。
ヨーク体64は、略矩形板状のベース板641と、ベース板641の前後両端から上方へ向けて各々延設される一対の延設壁642とから略コの字状に形成される。そして、ヨーク体64は、一対の延設壁642間に形成される凹部64bに可動接触子35の幅狭部351が嵌め込まれた状態で当該可動接触子35に固定される。また、ヨーク体64におけるベース板641の下面略中央には、略円板状の突部64aが形成され、当該突部64aが接圧ばね36の上端側内径部に嵌まり込むことで、接圧ばね36の位置決めがなされる。そして、ヨーク体64が、接圧ばね36によって上方向へ押圧される。
上記構成からなる本実施形態の接点装置は、電磁石ブロック2によって可動軸82が上方へ移動し、当該移動に伴って保持体81が上方へ移動すると、可動接触子35と共にヨーク体64も上方へ移動する。そして、図10(a)、(b)に示すように、可動接点34が、固定接点32に当接して接点間が導通すると、可動接触子35は、固定端子33によって上方への移動が規制され、ヨーク体64は、可動接触子35によって上方への移動が規制される。
そして、図11に示すように、可動接触子35に流れる電流によってヨーク体63,64を通る磁束が形成され、ヨーク体63,64間に磁気吸引力が働く。ここで、本実施形態の接点装置において、ヨーク体63は容器61に固定されていることから、ヨーク体63は上記磁気吸引力によって移動することはなく、ヨーク体63に作用する磁気吸引力が駆動ユニット8側へ伝わることがない。一方、ヨーク体64は、上下方向において移動自在であるため、上記磁気吸引力によってヨーク体63側(上方向)へ吸引されて可動接触子35を上方向(固定接点32側)へ押圧する。つまり、本実施形態の接点装置では、ヨーク体63,64間に発生する磁気吸引力によって可動接触子35に対してのみ上方向の力が働き、接点間の接圧を効率よく高めることができる。
また、ヨーク体63が容器61に固定されており、ヨーク体64は、可動接触子35に固定されて接点導通後は可動接触子35と共に固定接点32側への移動が規制される。そのため、接点導通後は、OT量に拠らずヨーク体63,64間の距離(ギャップG2)を一定に保つことができると共に、当該ギャップG2を従来よりも短く設定でき、接点間の接圧を高めると共に当該接圧を安定させることができる。
また、従来より、2つのヨーク間に働く磁気吸引力によって、接点間における接圧の低下の防止を図った接点装置があったが、当該接点装置では、2つのヨークの両方が保持体に保持されているものであった。ここで、接点装置を安定して動作させるためには、保持体に対して部品を精度よく組み付ける必要があることから、保持体に組み付ける部品が多い程、製造工数が多くなって製造コストが増大していた。
一方、本実施形態の接点装置では、ヨーク体63が、駆動ユニット8から独立して設けられ、可動接触子35及び接圧ばね36及びヨーク体64のみが、保持体81に保持される。つまり、2つのヨーク(ヨーク体63,64)の一方(ヨーク体64)のみを、保持体81に組み付ければよいため、保持体81に組み付ける部品点数を従来に比べて減少させることができる。従って、従来の接点装置に比べて組み立てが容易となり、製造コストを低減することができる。
また、本実施形態の接点装置において、駆動ユニット8には、上記磁気吸引力に起因して当該駆動ユニット8に力を付与する部品が組みつけられていない。そのため、電磁石ブロック2は、上記磁気吸引力に対する耐力を備える必要がなく、短絡電流に対する耐力を保った上で、電磁石ブロック2を小型化でき、消費電力の低減及びコストダウンを行うことができる。そのため、電磁石ブロック2は、上記磁気吸引力に対する耐力を備える必要がなく、短絡電流に対する耐力を保った上で、電磁石ブロック2を小型化でき、消費電力の低減及びコストダウンを行うことができる。
また、接点装置の設計時において、ギャップG2の値をOT量とは独立して設定することができるため、ギャップG2の値を調整することで、接点間の接圧を高めるために上記磁気吸引力が最も効果を発揮できる設計を容易に行うことができる。
また、可動接触子35は、既存の可動接触子と共通であることから、追加工の必要が無く、製造コストの上昇を抑えることができる。
(実施形態3)
本実施形態の接点装置について図12〜15を用いて説明を行う。以下、図12における上下左右を基準とし、上下左右方向と直交する方向を前後方向として説明を行う。
本実施形態の接点装置は、図12、13に示すように、ヨーク体63、64、及び可動接触子35の代わりに、ヨーク体65,66及び可動接触子37が用いられている点が実施形態2の接点装置と異なっている。なお、その他の構成については、実施形態2と共通であるため共通の符号を付して説明を省略する。
ヨーク体65は、軟鉄等の磁性材料から略直方体状に形成され、容器61の上面内側に固定されている。
ヨーク体66は、軟鉄等の磁性材料から形成され、略矩形板状のベース板661と、ベース板661の四隅から上方向へそれぞれ延設される4つの延設片662とから構成される。つまり、ベース板661の前後両端には、隙間66aを介して一対の延設片662が左右に並設され、ベース板661の左右両端には、隙間66bを介して一対の延設片662が前後に並設されている。
可動接触子37は、導電性材料から左右方向に長い略直方体状に形成され、その前面略中央、及び後面略中央にそれぞれ直方体状の切り欠き37aが形成されている。つまり、可動接触子37は、左右方向における略中央部に左右両側に比べて幅が狭くなった幅狭部371が形成されている。また、幅狭部371の上面略中央には、前後方向に沿って凹部37bが形成されている。
そして、保持体81の一対の対向壁812間に可動接触子37及びヨーク体66及び接圧ばね36が配設される。その際、可動接触子37の切り欠き部37aにヨーク体66の延設片662が嵌め込まれた状態で、可動接触子37にヨーク体66が固定され、可動接触子37の凹部37bと、ヨーク体66の隙間66aとが連通する。また、接圧ばね36は、保持体81のベース板811とヨーク体66のベース板661との間に圧縮状態で配設されて、ヨーク体66を上方へ押圧する。ここで、ベース板661の下面中央に形成される略円板状の突部66cが、接圧ばね36の上端側内径部に嵌まり込むことで、接圧ばね36の位置決めがなされている。
そして、接圧ばね36に押圧されたヨーク体66と共に可動接触子37が上方へ移動し、可動接触子37の凹部37b及びヨーク体66の隙間66aに保持体81の規制部813が収納される。ここで、図14(a)に示すように、可動接触子37は、その凹部37bの底面が規制部813に当接することで、上方向への移動が規制される。
上記構成からなる本実施形態の接点装置は、電磁石ブロック2によって可動軸82が上方へ移動すると、当該移動に伴って保持体81が上方へ移動する。そして、可動接触子37と共にヨーク体66も上方へ移動する。続いて、図15に示すように、可動接点34が、固定接点32に当接して接点間が導通すると、可動接触子37は、上方への移動が規制され、ヨーク体66は、可動接触子37によって上方への移動が規制される。そのため、可動軸82が更に上方へ移動すると、ヨーク体66と、保持体81のベース板811との間隔が狭くなり、接圧ばね36の圧縮量が大きくなって可動接触子37に対する押圧力が大きくなる。ここで、保持体81の規制部813は、OT量と同じ距離だけ可動接触子37の凹部37b内を上方へ移動するが、上記OT量が凹部37bの深さ寸法以下となるように、電磁石ブロック2は設計される。
そして、可動接触子37に流れる電流によって、図16に示すように、ヨーク体65,66を通る磁束が形成され、ヨーク体65,66間に磁気吸引力が働く。ここで、本実施形態の接点装置では、ヨーク体65は、容器61に固定されていることから、ヨーク体65は上記磁気吸引力によって移動することはなく、ヨーク体65に作用する磁気吸引力が駆動ユニット8側へ伝わることがない。一方、ヨーク体66は、上下方向において移動自在であるため、上記磁気吸引力によってヨーク体65側(上方向)へ吸引されて可動接触子37を上方向(固定接点32側)へ押圧する。つまり、本実施形態の接点装置では、ヨーク体65,66間に発生する磁気吸引力によって可動接触子37に対して上方向の力が働き、接点間の接圧を効率よく高めることができる。
また、ヨーク体65が容器61に固定されており、ヨーク体66は、可動接触子37に固定されて接点導通後は可動接触子37と共に固定接点32側への移動が規制される。そのため、図15(b)に示すように、接点導通後は、OT量に拠らずヨーク体65,66間の距離(ギャップG3)を一定に保つことができると共に、当該ギャップG3を従来よりも短く設定でき、接点間の接圧を高めると共に当該接圧を安定させることができる。
また、従来より、2つのヨーク間に働く磁気吸引力によって、接点間における接圧の低下の防止を図った接点装置があったが、当該接点装置では、2つのヨークの両方が保持体に保持されているものであった。ここで、接点装置を安定して動作させるためには、保持体に対して部品を精度よく組み付ける必要があることから、保持体に組み付ける部品が多い程、製造工数が多くなって製造コストが増大していた。
一方、本実施形態の接点装置では、ヨーク体65が、駆動ユニット8から独立して設けられ、可動接触子37及び接圧ばね36及びヨーク体66のみが、保持体81に保持される。つまり、2つのヨーク(ヨーク体65,66)の一方(ヨーク体66)のみを、保持体81に組み付ければよいため、保持体81に組み付ける部品点数を従来に比べて減少させることができる。従って、従来の接点装置に比べて組み立てが容易となり、製造コストを低減することができる。
また、本実施形態の接点装置において、駆動ユニット8には、上記磁気吸引力に起因して当該駆動ユニット8に力を付与する部品が組みつけられていない。そのため、電磁石ブロック2は、上記磁気吸引力に対する耐力を備える必要がなく、短絡電流に対する耐力を保った上で、電磁石ブロック2を小型化でき、消費電力の低減及びコストダウンを行うことができる。
また、接点装置の設計時において、ギャップG3の値をOT量とは独立して設定することができるため、ギャップG3の値を調整することで、接点間の接圧を高めるために上記磁気吸引力が最も効果を発揮できる設計を容易に行うことができる。
また、本実施形態の接点装置において、図17に示すように、ヨーク体65の代わりに実施形態1で用いたヨーク体63を用いてもよい。上記の場合、ヨーク体63の溝(第二の凹部)63aが、上下方向において可動接触子37の溝(第一の凹部)37bに対向し、接点導通後には、図18に示すように、凹部63aの下端と凹部37bの上端が近接することで、凹部63aと凹部37bとで囲まれた矩形状の移動空間Sが形成される。そして、規制部813は、OT量が大きくなるに従って移動空間S内を、凹部37b側から凹部63a側へ移動する。このように、ヨーク体65の代わりにヨーク体63を用いることで、規制部813の可動距離を、凹部63aの深さ分だけ長くすることができ、OT量をより長く設定できてより大きな接圧を得ることが可能となる。
(実施形態4)
本実施形態の接点装置について図19、20を用いて説明を行う。以下、図19における上下左右を基準とし、上下左右方向と直交する方向を前後方向として説明を行う。
本実施形態の接点装置は、図19に示すように、保持体72を有さず、更に、可動軸82の代わりに可動軸83を有している点が、実施形態1の接点装置と異なっている。なお、その他の構成については、実施形態1と共通であるため共通の符号を付して説明を省略する。
可動軸83は、可動接触子35の幅狭部351の略中央に形成される挿通孔35b、及び接圧ばね36の内径部を移動自在に挿通する軸部831と、軸部831の上端に形成される略矩形板状の規制部832とから構成される。規制部832は、可動接触子35の上面に当接し、当該可動接触子35の固定接点32側(上側)への移動を規制する。
また、接圧ばね36は、上端が可動接触子35の下面に当接し、下端が実施形態1の図5で示した継鉄板26Aに当接し、当該継鉄板と可動接触子35との間に圧縮状態で配設されて可動接触子35を上方向へ押圧する。
そして、電磁石ブロック2によって可動軸83が上方へ移動されることで規制部832による可動接触子35に対する上方向への規制が解除され、接圧ばね36から受ける押圧力によって可動接触子35が上方へ移動する。そして、可動接点34が、固定接点32に当接して接点間が導通する。その際、可動接触子35の上面が、ヨーク体63に近接し、規制部832が、ヨーク体63の凹部63a内に収納される。
上記接点装置では、接点導通後において、可動軸83のOT量に拠らず可動接触子35とヨーク体63との間隔(ギャップG4)を従来よりも短く設定できると共に、ギャップG4を一定とすることができる。そのため、OT量に拠らず可動接触子35に働く上向きの電磁力を大きくすることができると共に、当該電磁力を安定して作用させることができる。従って、接点間の接圧を安定させることができて効率よく接圧を高めることができる。
また、接点装置の設計時において、ギャップG4の値をOT量とは独立して設定することができるため、ギャップG4の値を調整することで、接点間の接圧を高めるために上記磁気吸引力が最も効果を発揮できる設計を容易に行うことができる。
なお、本実施形態の接点装置において、可動接触子35を用いる代わりに実施形態3で示した可動接触子37を用いてもよく、当該可動接触子37を用いた場合、OT量をより長く設定することができて、接圧をより高めることができる。