JP5819771B2 - 磁石を用いた固定具あるいは吊り下げ具 - Google Patents
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磁石を用いた固定具あるいは吊り下げ具は、鉄板などの被吸着面からの距離に相応して吸着力が減少するため、直接磁石あるいは磁石の保持力を高めるために用いるヨークを被吸着面に接触するよう配置するほか、被吸着面を滑落しない、また被吸着面を傷つけないことを目的として比較的薄膜なフィルム・合成紙・織物・合成ゴムなどの単体あるいは有効な複合物を被吸着面との接触面に配置する場合がある。
物品を被吸着面に吊り下げあるいは保持するために必要な磁石の吸着力は、保持する物品の重量分に相応し、たとえば比較的軽量の物品を対象とした場合には磁石の吸着力は軽少でよく、一方吊り下げあるいは保持するものの重量が比較的大きな場合は大きな吸着力を有する磁石を必要とする。
図1は比較的重量のあるものを吊り下げるために考案された磁石式吊り下げ具の例であり、(イ)は正面図、(ロ)は側面図、(ハ)断面図を示す。吊り下げ部cを有する本体a内に磁石bが封入され、被吸着面dに磁着可能となっており、取外し時には本体aの側面に軸着したレバーhを利用しててこの原理によって被吸着面から強制的に離脱させる構造としている。eはてこの支点、fは力点である。
図2(A)(B)の断面図(イ)、背面図(ロ)にその例を示す。(A)では本体aに2個の磁石b、(B)では4個の磁石bを取り付けたものである。
図2(C)(D)の断面図(イ)、背面図(ロ)は、ネオジウム磁石の代用としてゴム磁石を使用した例を示す。いずれも本体aの容積に匹敵する磁石bを用いている。
フック体の上部を永久磁石が取り付けられた磁石ホルダー体の下部に回転自在に支承し、フック体の上端を磁石ホルダー体に対する回転支承部より所定量上方に突出させることによってフック体が梃子を構成するというものである。
強い吸着力を持たせれば、引き剥がす際に強い力を要し、年少者や高齢者、障害者などにおいては取扱いが不便とならざるを得なかったのである。
図1のようにレバーhを付加したものにおいても、レバー操作に力を要し、特許文献1のようにフック体をてことした吊り下げ具においても同様な難点がみられた。
そこで、この発明の目的とするところは、強い吸着力を有する固定具あるいは吊り下げ具であっても、被吸着面から弱い力で引き剥がすことのできる固定具あるいは吊り下げ具を提供するところにある。
磁石には軟鉄板(ヨーク)を追加することもできる。
強い吸着力を有する磁石を強い吸着力を有する磁石領域に配置し、弱い吸着力を有する磁石を弱い吸着力を有する磁石領域に配置することによって達成されるが、吸着力が同等の磁石であっても大きさや個数を調整することによって強い吸着力を有する磁石領域と弱い吸着力を有する磁石領域を構成することもできる。
また、固定具としては、被吸着面に磁石を利用して吸着させる場合のみならず、固定具を壁面などの取付面に取り付けておき、鉄製工具などを保持する固定具としても応用可能である。
工具を保持する固定具として使用した場合にも、強い吸着力で安定した保持状態が得られるとともに、工具を取り外す際には、弱い力で簡単に取り外すことができる。
磁石を使用した吊り下げ具は種々のものが提供されており、さらに、その例を詳述すれば次の通りである。
図3(A)は一般的な磁石を用いた吊り下げ具の例としてその正面図(イ)と断面図(ロ)を示している。図3(B)は吊り下げ部cに別途金具を用いず、本体aと一体となった構造を有する吊り下げ具の例を示す断面図である。
図4(A)の側面図(イ)、断面図(ロ)は、本体aに連結部hを有し、吊り下げ用部品やその他取り付ける物品を連結する機能を有する磁石式固定具の例である。また、その応用例を図4(B)や図5(A)から(D)に示す。
図4(B)の背面図(イ)、側面図(ロ)は、連結部hに吊り下げ用金具cを取り付けた例、図5(A)の正面図(イ)、側面図(ロ)は本体aの両側部に取付穴hを設け、吊り下げ用金具cを装着した例、図5(B)は図4(A)の固定具の連結部hにアーム付の表示部材を軸着した例を示している。
容器a内に磁石bの設置位置以外に磁石を設置できる空間があるとすれば複数の磁石を並べて設置することが可能である。磁石式吊り下げ具の例として図5(C)に示す。本体a内において2個の磁石bが用いられている。なおこの方式は図2(A)(B)の例と同等の性質を有し磁石の使用方法としては一般的である。
二列の磁石b1、b2を用いるため、相手工具に対して保持する部分つまり吸着部分の範囲が広くなり工具が揺れ動きあるいは震動で落下することが抑制され、しかも磁石の吸着力の主な部分が強い吸着力を有する磁石b1であり、てこの原理でその支点となる工具保持器の上の角の部分である支点eに近くなることにより工具の着脱に要する力は強力な吸着力を有する磁石のみを使用するよりも小さくなる。
本体aの形状としては図11(A)のように三角形に限らず、図11(B)から(D)のように各種形状をとり得ることは明らかである。
本発明の磁石式固定具に求められる吸着力の限界が例えば被吸着面から取り外そうと扱う人の指や腕の力を限界とするならば、高齢者や障害者などにも同様に磁石式固定具を扱えるように実用的な設計が可能になる。
図12(A)の例は、被吸着面dに吸着した本体aの磁石から離れた部分を被吸着面d側に押しつけることにより本体aの端が力点fとなり、磁石bの力点側端部が支点eとなり磁石bが被吸着面dと角度をなし、被吸着面dと磁石bの隙間に例えば紙gなどの比較的薄いものを差し込み、その状態のまま被吸着面dに押しつける力を解放すれば磁石の吸着力により本体aは元の位置に戻ろうして紙gなどを被吸着面に保持できるというものである。
図13において構造ならびに機能の違いを説明する。
図13(イ)において、(B)は本発明の原理図(A)を図12の例に掲げた磁石式固定具と比較するために形状を意図的に模倣した例である。(C)は図12(A)の磁石式固定具を本発明と比較のために形状を相似にし、且つ吸着力の強い磁石b1と吸着力の弱い磁石b2を用いた例である。(E)は図12(B)に示した磁石式固定具を本発明と比較するために形状を似せ、且つ吸着力の強い磁石b1と吸着力の弱い磁石b2を用いた例である。なお(A)から(F)まで本体の向きは鉛直方向に対して問わないものとする。
これは図で示す本体aの形状における中央を意味するのではなく(C)から(F)の例の場合、支点eが磁石b1及びb2と力点fとなる庇部hとの中間にあることを意味する。
本発明の目的であるより小さな力で磁石式固定具を被吸着面dから離脱する動作に関しては、図13の(D)では図13(ロ)に示すように庇部hを被吸着面d方向に押しつけ被吸着面dから乖離した本体aの磁石b2側を力点fとしてgの方向に被吸着面dから持ち上げれば、本発明のてこの原理で容易に被吸着面dから本体aを離脱することができる。
つまり図12(A)(B)の例は、従来の磁石の使用に関して一応の利便性を提供しているが、例えば本発明では比較的重量のあるものや大きな物体の吊り下げや固定もしくは看板や金具を連結するための取り付け部を有する磁石式固定具などにも適用可能であるのに対して、例えばメモ用紙やカレンダーなどの比較的薄く軽量の掲示物を固定する用途に限定されるものでる。
結局、図12(A)(B)においては機能面と被吸着面からの離脱という磁石式固定具に必要不可欠の要素を包括することは不可能といえる。
図14(E)の動作説明図から明らかなように、本体aにおける吸着力の中心は本体aの中心から強い吸着力側に偏心しており、支点eから磁石吸着力中心までの距離iは支点eから力点fまでの距離jに比べて小さく、被吸着面dからの本体aの乖離を容易にしている。
(ホ)で示す通り、磁石中心から支点eまでの距離iが支点から力点までの距離jより短くなり,吊り下げ部hの大きさや連結部cまでの長さ、また吊り下げ部と一体となった力点fや連結部における被吸着面を押し出す形状が同じであれば本体aを被吸着面dから乖離させるために必要な力つまり吊り下げ部hを吸着面から引き起こす力は軽減することが出来る。
これに対して本発明を適用した例を図17(ロ)に示す。各符号は図17(イ)と同様であるが、磁石b1は吸着力の強い磁石、磁石b2は吸着力の弱い磁石である点において異なる。上部本体a1における支点e1から磁石中心から偏心した吸着力中心までの距離i1、並びに下部本体a2における支点e2から磁石中心から偏心した吸着力中心までの距離i2がいずれも図17(イ)のi1及びi2に比べて短いことから下部本体a2、上部本体a1を被吸着面dから乖離させる場合、いずれも小さな力で操作することができる。なお、下部本体a2に用いる磁石b1並びに磁石b2に求められる吸着力が比較的小さくて良い場合は、下部本体a2の磁石は単体の磁石としても良い。
吸着力の強弱異なる強磁性体の集合体は、それぞれ同種且つ同一の吸着力を持つ磁石を例えば強い吸着力を有する側に2個、補完する側に1個というように数量を調整して配置することも可能である。
このことにより高価なネオジウム磁石などを用いる際、本体に要求される必要な吸着力の100%を高価な大きなネオジウム磁石に託す必要はなく、場合によっては高価なネオジウム磁石の代替えとして安価なフェライト磁石を有効に用いる検討も可能である。
b1…強い吸着力の磁石
b2…弱い吸着力の磁石
c…吊り下げ部
d…被吸着面
e…支点
f…力点
g…動作方向
Claims (4)
- てこの原理を応用した固定具あるいは吊り下げ具において、取外し時の支点となる部分と力点となる部分を両端部に配置し、単数あるいは複数の磁石で構成される強い吸着力を有する磁石領域を支点側に配置し、単数あるいは複数の磁石で構成される弱い吸着力を有する磁石領域を力点側に配置することによって、支点から磁石吸着力の中心までの距離iを支点から力点までの距離jよりも小さくした固定具あるいは吊り下げ具。
- 強い吸着力を有する磁石領域が、強い吸着力を有する磁石で構成され、弱い吸着力を有する磁石領域が、弱い吸着力を有する磁石で構成されている請求項1記載の固定具あるいは吊り下げ具。
- 吸着力が同等の磁石を用い、強い吸着力を有する磁石領域と弱い吸着力を有する磁石領域が磁石の大きさ又は個数によって区別されている請求項1記載の固定具あるいは吊り下げ具。
- 固定具が壁面等に取り付けられ、工具などを保持する固定具として使用される請求項1、2または3記載の固定具。
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