以下、図面を参照して、本発明の第1〜第3実施形態に係るオーバーヘッドコンベアについて詳細に説明する。
[第1実施形態]まず、図1〜図5を用いて第1実施形態に係るオーバーヘッドコンベア10の構成について説明する。図1は、バイターライン1における搬送工程の部分を示す上面図である。図2(A)は、バイターライン1における搬送工程の部分をバケットコンベア2の下流側から視た正面図である。図2(B)は、押しユニット11をバケットコンベア2の下流側から視た正面図である。図2(C)は、支持ユニット12をバケットコンベア2の下流側から視た正面図である。図3は、バイターライン1における搬送工程の部分を示す上面図であり、バケットコンベア2の走行スピードと、第一および第二のベルト13,17の走行スピードと、の関係を示す。図4(A)〜(C)は、バイターライン1における搬送工程の部分を示す上面図であり、オーバーヘッドコンベア10の動作手順を示す。図5(A)〜(C)は、バイターライン1における搬送工程の部分をバケットコンベア2の下流側から視た正面図であり、オーバーヘッドコンベア10の動作手順を示す。なお、各図において、図面の簡略化のため、一部の構成要件の図示を適宜省略する。
図1〜図5に示すオーバーヘッドコンベア10は、スティック型を呈するアイスクリーム等の冷菓XA1を製造するバイターライン1で使用される。バイターライン1は、冷菓XA1をモールド(図示省略)で成型する工程と、成型された冷菓XA1を搬送する工程(搬送工程ということもある。)と、搬送された冷菓XA1をピロー包装機(図示省略)で包装する工程と、等を備えている。なお、本実施形態では、冷菓XA1を搬送する場合を例に説明するが、本発明は、その他の食品や日用品等の各種物品を搬送する場合に適用できる。ピロー包装機の詳細は、特開2009−137628号公報の図2および図3等を参照されたい。
バイターライン1における搬送工程には、バケットコンベア2と、フィンガーコンベア4と、本発明に係る搬送装置としてのオーバーヘッドコンベア10と、が設けられている。
バケットコンベア2は、一列に並べられた複数のバケット3を備えている。各バケット3は、搬送面3aと、この搬送面3aにおけるバケットコンベア2の下流側(図1、図3および図4における下方側、図2および図5における手前側)から、フィンガーコンベア4とは反対の側方側(図1〜図5における左側)に延びるL字型のガイド部3bと、を備えている。搬送面3aには、バケットコンベア2の上流において、先の工程から冷菓XA1が置かれる。ガイド部3bは、搬送面3aに置かれた冷菓XA1をガイドする。各バケット3は、搬送面3aのフィンガーコンベア4側(図1〜図5における右側)が上方となるように傾けて配置され、スプロケットおよび環状のチェーン(いずれも図示省略)によって走行する。
このようなバケットコンベア2は、先の工程から引き継いだ複数の冷菓XA1を、それらの長手方向が流れ方向に直交するように各バケット3に個別に収容して搬送する。
フィンガーコンベア4は、バケットコンベア2の下流において、バケットコンベア2と直交するように、バケットコンベア2の側方からピロー包装機(図示省略)に向けて配置される。このフィンガーコンベア4は、バケット3の搬送面3aに連続する搬送面5aを備える筐体5と、この筐体5内に収容されたスプロケット6および環状のチェーン7と、搬送面5aに形成されたスリット5bから搬送面5a上に突出するようにチェーン7に取り付けられ、チェーン7と共に走行する複数のフィンガー8と、搬送面5aにおけるスリット5bに沿って設けられたガイド部9と、を備えている。
搬送面5aは、バケットコンベア2側(図1〜図5における左側)が下方となり、ピロー包装機(図示省略)側(図1〜図5における右側)が上方となるように傾けて配置されている。スリット5bは、フィンガー8が突出可能な幅を有し、バケットコンベア2側の上流からピロー包装機側の下流までの長さを有する。スプロケット6は、上流側および下流側の少なくとも2箇所に回転可能に配置されている。このスプロケット6は、モータ等の動力源(図示省略)に接続され、その動力源からの動力によって回転し、チェーン7を走行させる。チェーン7は、上流側および下流側において、スプロケット6に引っ掛けられている。このチェーン7は、スプロケット6の回転により走行する。フィンガー8は、チェーン7と共に走行することで、搬送面5a上の冷菓XA1を、バケットコンベア2側からピロー包装機に向けて押し進める。
このようなフィンガーコンベア4は、バケットコンベア2から引き継いだ複数の冷菓XA1を、それらの長手方向が流れ方向に沿うように流れ方向に並べて搬送する。
オーバーヘッドコンベア10は、バケットコンベア2の下流において、バケットコンベア2で搬送された冷菓XA1を、強制的にフィンガーコンベア4の上流に供給する。このオーバーヘッドコンベア10は、バケットコンベア2の搬送面3a上の冷菓XA1を、フィンガーコンベア4の搬送面5a上に押し進める押しユニット11と、この押しユニット11に押し進められる冷菓XA1を支持する支持ユニット12と、の2つのユニットから構成される。押しユニット11および支持ユニット12は、それぞれ、第一または第二のベルト13,17を駆動するベルト駆動装置として機能する。すなわち、押しユニット11および支持ユニット12は、一体となって、ベルト駆動装置セットとして機能する。
押しユニット11は、バケットコンベア2の搬送面3aの上方からフィンガーコンベア4の搬送面5aの上方にわたって、バケットコンベア2の流れ方向と斜めに交差するように配置される第一のベルト13と、押しユニット11の上流側(図1〜図5における左側)および下流側(図1〜図5における右側)の合計2箇所に回転可能に配置され、第一のベルト13が引っ掛けられるプーリ14,15と、を備えている。第一のベルト13は、環状のベルト本体部13aと、このベルト本体部13aの外周面に設けられ、バケットコンベア2の搬送面3a上の冷菓XA1を押し進める複数の突起部13bと、を備えている。
支持ユニット12は、押しユニット11と並設するように、バケットコンベア2の搬送面3aの上方からフィンガーコンベア4の搬送面5aの上方にわたって、バケットコンベア2の流れ方向と斜めに交差するように配置される第二のベルト17と、支持ユニット12の上流側(図1〜図5における左側)、中間箇所、および下流側(図1〜図5における右側)の合計3箇所に回転可能に配置され、第二のベルト17が引っ掛けられるプーリ18,19,20と、を備えている。第二のベルト17は、環状のベルト本体部17aと、このベルト本体部17aの外周面に設けられ、押しユニット11に押し進められる冷菓XA1を支持する突起部17bと、を備えている。
以下、押しユニット11および支持ユニット12の各構成要件を説明する。なお、各構成要件の動作は、図示を省略する制御装置によって統括的に制御される。
(第一のベルト、ベルト本体部)第一のベルト13のベルト本体部13aは、バケットコンベア2の下流側(図1、図3および図4における下方側、図2および図5における手前側)に近付く方向で、かつフィンガーコンベア4の方向(図1〜図5における右方向)に傾けた方向(図1、図3および図4における右下方向、図2および図5における右手前方向)に走行する進行領域13a1と、バケットコンベア2の上流側(図1、図3および図4における上方側、図2および図5における奥側)に近付く方向で、かつフィンガーコンベア4と反対の方向(図1〜図5における左方向)に傾けた方向(図1、図3および図4における左上方向、図2および図5における左奥方向)に走行する退行領域13a2と、が無端で連結されて循環するように走行する第一の環状走行体である。
具体的に、ベルト本体部13aは、押しユニット11の上流側(図1〜図5における左側)に配置されたプーリ14の下部から、押しユニット11の下流側(図1〜図5における右側)に配置されたプーリ15の下部に進行領域13a1が延びて、プーリ15で折り返す。また、プーリ15の上部からプーリ14の上部に退行領域13a2が延びて、プーリ14で折り返す。このベルト本体部13aは、バケットコンベア2の搬送面3aの傾きに応じて、フィンガーコンベア4側が上方となるように傾けて配置されている。
ベルト本体部13aの内周面には、全域にわたって複数の凹凸(図示省略)が形成されている。この凹凸は、第一のベルト13がプーリ14,15に引っ掛けられている場合に、後述するプーリ14、15の凹凸(図示省略)と噛み合う。凹凸が噛み合っていることで、プーリ14,15のいずれかの回転により、第一のベルト13が走行する。
第一のベルト13の走行スピードは、ベクトル分解後のバケットコンベア2の流れ方向成分が、バケットコンベア2の走行スピードと同一または同程度となるように設定されている。ここでいう同程度とは、突起部13bがバケットコンベア2の搬送面3aを横切る際に、搬送面3a上の冷菓XA1を押し進め続けることができなくなるまで、バケットコンベア2に対してズレることがない程度のことをいう。
(プーリ)プーリ14,15は、第一のベルト13が着脱可能に取り付けられる第一の支持体である。プーリ14,15の外周には、全域にわたって複数の凹凸(図示省略)が形成されている。この凹凸は、各プーリ14,15に第一のベルト13が引っ掛けられている場合に、ベルト本体部13aの凹凸(図示省略)と噛み合う。プーリ14,15は、第一のベルト13との組合せで用いられる。このうちのプーリ14は、モータ等の動力源(図示省略)に接続され、その動力源からの動力によって回転し、第一のベルト13を走行させる。動力源に接続されていないプーリ15は、第一のベルト13の走行と共に回転する。このプーリ15は、ベルト本体部13aの脱落を防止するフランジ部(図示省略)を備えていてもよい。この場合、このフランジ部は、後述する第一のベルト13の突起部13bに影響を及ぼさない程度の低い高さに設定されている必要がある。なお、動力源に接続されたプーリ14の具体的な構成は、図面を用いて詳細に後述する。
(第一のベルト、突起部)複数(本実施形態では4個(プーリが4回転することで第一のベルト13が1周するものとする))の突起部13bは、後述するプーリ14の切欠き部14cの数と同数(本実施形態では1個)を一つの単位として、所定の一定の間隔で、ベルト本体部13aの外周面に対し、直交するように設けられている。これら複数の突起部13bは、ベルト本体部13aに対し、接着剤により固定されている。複数の突起部13bは、進行領域13a1において、バケットコンベア2の搬送面3aに向けて突出する。各突起部13bは、第一のベルト13が走行することによって、バケットコンベア2の搬送面3a上の冷菓XA1を、フィンガーコンベア4の搬送面5a上に押し進める。なお、突起部13bのプーリ14との関係は、図面を用いて詳細に後述する。
(第二のベルト、ベルト本体部)第二のベルト17のベルト本体部17aは、バケットコンベア2の下流側(図1、図3および図4における下方側、図2および図5における手前側)に近付く方向で、かつフィンガーコンベア4の方向(図1〜図5における右方向)に傾けた方向(図1、図3および図4における右下方向、図2および図5における右手前方向)に走行する進行領域17a1と、バケットコンベア2の上流側(図1、図3および図4における上方側、図2および図5における奥側)に近付く方向で、かつフィンガーコンベア4と反対の方向(図1〜図5における左方向)に傾けた方向(図1、図3および図4における左上方向、図2および図5における左奥方向)に走行する退行領域17a2と、が無端で連結されて循環するように走行する第二の環状走行体である。
具体的に、ベルト本体部17aは、支持ユニット12の上流側(図1〜図5における左側)に配置されたプーリ18の下部から、支持ユニット12の中間箇所に配置されたプーリ19の下部を経由して、支持ユニット12の下流側(図1〜図5における右側)に配置されたプーリ20の下部に進行領域17a1が延びて、プーリ20で折り返す。また、プーリ20の上部からプーリ18の上部に退行領域17a2が延びて、プーリ18で折り返す。このベルト本体部17aは、バケットコンベア2の搬送面3aの傾きに応じて、フィンガーコンベア4側が上方となるように傾けて配置されている。
ベルト本体部17aは、バケットコンベア2の下流において、ベルト本体部13aに並設されている。ベルト本体部17aは、ベルト本体部13aと比較して、バケットコンベア2の上流側に配置されている。
ベルト本体部13a,17aは、互いに長さが同一である。ただし、フィンガーコンベア4の搬送面5aの上方において、ベルト本体部17aの進行領域17a1が、ベルト本体部13aの進行領域13a1と比較して、搬送面5aから早く離反するように配置されている。
第一および第二のベルト13,17は、互いに連動して走行し、速度が同一である。具体的に、第二のベルト17の走行スピードは、ベクトル分解後のバケットコンベア2の流れ方向成分が、バケットコンベア2の走行スピードと同一または同程度となるように設定されている。ここでいう同程度とは、突起部17bがバケットコンベア2の搬送面3aを横切る際に、搬送面3a上の冷菓XA1を支持できなくなるまで、バケットコンベア2に対してズレることがない程度のことをいう。
ベルト本体部17aの内周面には、全域にわたって複数の凹凸(図示省略)が形成されている。この凹凸は、第二のベルト17がプーリ18〜20に引っ掛けられている場合に、後述するプーリ18〜20の凹凸(図示省略)と噛み合う。凹凸が噛み合っていることで、プーリ18〜20のいずれかの回転により、第二のベルト17が走行する。
(プーリ)プーリ18〜20は、第二のベルト17が着脱可能に取り付けられる第二の支持体である。プーリ18〜20の外周には、全域にわたって複数の凹凸(図示省略)が形成されている。この凹凸は、各プーリ18〜20に第二のベルト17が引っ掛けられている場合に、ベルト本体部17aの凹凸(図示省略)と噛み合う。プーリ18〜20は、第二のベルト17との組合せで用いられる。このうちのプーリ18は、モータ等の動力源(図示省略)に接続され、その動力源からの動力によって回転し、第二のベルト17を走行させる。動力源に接続されていないプーリ19,20は、第二のベルト17の走行と共に回転する。これらプーリ19,20は、ベルト本体部17aの脱落を防止するフランジ部(図示省略)を備えていてもよい。この場合、これらのフランジ部は、後述する第二のベルト17の突起部17bに影響を及ぼさない程度の低い高さに設定されている必要がある。なお、動力源に接続されたプーリ18の具体的な構成は、図面を用いて詳細に後述する。
(第二のベルト、突起部)複数(本実施形態では4個(プーリが4回転することで第二のベルト17が1周するものとする))の突起部17bは、後述するプーリ18の切欠き部18cの数と同数(本実施形態では1個)を一つの単位として、所定の一定の間隔でベルト本体部17aの外周面に対し、直交するように設けられている。これら複数の突起部17bは、ベルト本体部17aに対し、接着剤により固定されている。複数の突起部17bは、進行領域17a1において、バケットコンベア2の搬送面3aに向けて突出する。各突起部17bは、第二のベルト17が走行することによって、搬送面3a上を突起部13bによって押し進められる冷菓XA1に追従し、その冷菓XA1を、バケットコンベア2の上流側(図1、図3および図4における上方側、図2および図5における奥側)から支持する。なお、突起部17bのプーリ18との関係は、図面を用いて詳細に後述する。
次に、バイターライン1における搬送工程に設けられた各構成要件の動作手順について、図4および図5に基づいて説明する。
第一のベルト13は、所望の一定のスピードで走行する。第一のベルト13が走行することによって、進行領域13a1における突起部13bは、バケットコンベア2の搬送面3aの上方において、バケットコンベア2の下流側(図1、図3および図4における下方側、図2および図5における手前側)に近付く方向で、かつフィンガーコンベア4の方向(図1〜図5における右方向)に傾けた方向(図1、図3および図4における右下方向、図2および図5における右手前方向)に走行する。進行領域13a1において走行する突起部13bは、走行するバケットコンベア2の搬送面3a上の冷菓XA1を、フィンガーコンベア4の搬送面5a上に押し進める(図4(A)→図4(B)、図5(A)→図5(B)参照)。
第二のベルト17は、第一のベルト13に連動して、所望の一定のスピードで走行する。第二のベルト17が走行することによって、進行領域17a1における突起部17bは、バケットコンベア2の搬送面3aの上方において、バケットコンベア2の下流側(図1、図3および図4における下方側、図2および図5における手前側)に近付く方向で、かつフィンガーコンベア4の方向(図1〜図5における右方向)に傾けた方向(図1、図3および図4における右下方向、図2および図5における右手前方向)に走行する。進行領域13a1において走行する突起部17bは、走行するバケットコンベア2の搬送面3a上を突起部13bによって押し進められる冷菓XA1に追従し、その冷菓XA1を、バケットコンベア2の上流側(図1、図3および図4における上方側、図2および図5における奥側)から支持する(図4(A)→図4(B)、図5(A)→図5(B)参照)。
フィンガーコンベア4の搬送面5aの上方に到達した突起部17bは、突起部13bに先立って上方に移動して、冷菓XA1から離反する(図5(B)参照)。突起部17bが離反した冷菓XA1は、フィンガーコンベア4のガイド部9によって、バケットコンベア2の上流側(図1、図3および図4における上方側、図2および図5における奥側)から支持される。
フィンガーコンベア4のフィンガー8は、搬送面5a上を下流側(図1〜図5における右側)に走行する。搬送面5a上を走行するフィンガー8は、フィンガーコンベア4の搬送面5a上に到達した冷菓XA1を、突起部13bと共に、フィンガーコンベア4の下流側(図1〜図5における右側)に押し進める(図4(B)および図5(B)参照)。
その後、突起部13bは、突起部17bに続いて上方に移動して、冷菓XA1から離反する(図示省略)。突起部13bが離反した冷菓XA1は、フィンガーコンベア4のフィンガー8のみによって、フィンガーコンベア4の下流側(図1〜図5における右側)に押し進められる(図4(C)および図5(C)参照)。
次に、第一および第二のベルト13,17のプーリ14,18に引っ掛けられた状態について、図6に基づいて説明する。図6(A)は、第一および第二のベルト13,17がプーリ14,18から取り外された状態を示す斜視図であり、図6(B)は、第一および第二のベルト13,17がプーリ14,18に引っ掛けられた状態を示す斜視図である。
図6(A)および図6(B)に示すように、プーリ14は、ベルト本体部13aが引っ掛けられるプーリ本体部14aと、このプーリ本体部14aに設けられ、ベルト本体部13aの脱落を防止する一対のフランジ部14bと、このフランジ部14bに切り欠かれた状態で形成された切欠き部14cと、を備えている。切欠き部14cは、図示する姿勢において、右手前側のフランジ部14bにおける左手前側の側方に一つ形成されている。切欠き部14cの幅はw1である。プーリ14は、第一のベルト13との組合せで用いられ、第二のベルト17には対応しない。
プーリ18は、ベルト本体部17aが引っ掛けられるプーリ本体部18aと、このプーリ本体部18aに設けられ、ベルト本体部17aの脱落を防止するフランジ部18bと、このフランジ部18bに切り欠かれた状態で形成された切欠き部18cと、を備えている。切欠き部18cは、図示する姿勢において、左奥側のフランジ部18bにおける上方に一つ形成されている。切欠き部18cの幅はw2であり、切欠き部14cの幅w1と異なる。すなわち、切欠き部18cの形状は、切欠き部14cの形状と異なる。このプーリ18は、第二のベルト17との組合せで用いられ、第一のベルト13には対応しない。
第一のベルト13が備える突起部13bは、ベルト本体部13aの幅方向(図面における右手前方向)に突出するように設けられている。突起部13bのベルト本体部13aから突出する部分は、プーリ14における切欠き部14cの幅w1と比較して一回り小さい幅を有し、切欠き部14cに嵌まる。突起部13bのベルト本体部13aから突出するこの部分は、プーリ18における切欠き部18cの幅w2と比較して大きい幅を有し、切欠き部18cには嵌まらない。
第二のベルト17が備える突起部17bは、ベルト本体部17aの幅方向(図面における左奥方向)に突出するように設けられている。突起部17bのベルト本体部17aから突出する部分は、プーリ18における切欠き部18cの幅w2と比較して一回り小さい幅を有し、切欠き部18cに嵌まる。
なお、上記実施形態では、プーリ14および18は、切欠き部14c,18cの形状が互いに異なると共に、切欠き部14c,18cのフランジ部14b,18bに形成された位置が互いに異なるものであるが、切欠き部14c,18cの数と、切欠き部14c,18cのフランジ部14b,18bに形成された位置と、切欠き部14c,18cの形状と、の組合せが互いに異なるものであればよい。
すなわち、図7(A)に示すように、プーリ14および18における切欠き部14c,18cの数のみが互いに異なるものであってもよい。この場合、後述する第2実施形態を参考にするように、突起部13bとして、プーリ14の切欠き部14cに嵌まる嵌合部材と、冷菓XA1を押し進める押し面を有する押し部材と、を備えた上で、当該嵌合部材の数を切欠き部14cの数(本例では3個)と同じにすることになる。また、突起部17bとして、プーリ18の切欠き部18cに嵌まる嵌合部材と、冷菓XA1を支持する支持面を有する支持部材と、を備えた上で、当該嵌合部材の数を切欠き部18cの数(本例では2個)と同じにすることになる。
すなわち、この例では、第一のベルト13が備える複数の嵌合部材は、プーリ14の切欠き部14cの数と同数(本例では3個)を一つの単位として、所定の一定の間隔で、ベルト本体部13aの外周面に対して設けられている。また、第二のベルト17が備える複数の嵌合部材は、プーリ18の切欠き部18cの数と同数(本例では2個)を一つの単位として、所定の一定の間隔で、ベルト本体部17aの外周面に対して設けられている。
また、プーリ14および18における切欠き部14c,18cのフランジ部14b,18bに形成された位置のみが互いに異なるものであってもよい。具体的には、図7(B)に示すように、プーリ14および18における切欠き部14c,18cのフランジ部14b,18bに形成された位置の間隔のみが互いに異なるものが挙げられる。この場合、図(A)に示す例と同様、突起部13bとして、嵌合部材と押し部材とを備えた上で、当該嵌合部材の数を切欠き部14cの数(本例では2個)と同じにすることになる。また、突起部17bとして、嵌合部材と支持部材とを備えた上で、当該嵌合部材の数を切欠き部18cの数(本例では2個)と同じにすることになる。
すなわち、この例では、第一のベルト13が備える複数の嵌合部材は、プーリ14の切欠き部14cの数と同数(本例では2個)を一つの単位として、所定の一定の間隔で、ベルト本体部13aの外周面に対して設けられている。また、第二のベルト17が備える複数の嵌合部材は、プーリ18の切欠き部18cの数と同数(本例では2個)を一つの単位として、所定の一定の間隔で、ベルト本体部17aの外周面に対して設けられている。
あるいは、図7(C)に示すように、プーリ14および18における切欠き部14c,18cの形成されたフランジ部14b,18bの配置のみが互いに異なるものが挙げられる。
さらに、図7(D)に示すように、プーリ14および18における切欠き部14c,18cの形状(この例では、大きさ)のみが互いに異なるものであってもよい。この場合、切欠き部14cの方が大きい形状であり、切欠き部18cの方が小さい形状である。
そして、図8(A)に示すように、プーリ14および18における切欠き部14c,18cの形状のみが互いに異なるものであってもよい。この場合、切欠き部14cの方がV字形状であり、切欠き部18cの方が矩形状である。
次いで、図8(B)に示すように、プーリ14および18にそれぞれ複数種類(この例では、2種類)の切欠き部14c1,14c2,18c1,18c2を形成し、1種類目の切欠き部14c1,18c1については形状のみが、また、2種類目の切欠き部14c2,18c2についても形状のみが、それぞれ互いに異なるものであってもよい。この場合、1種類目の切欠き部14c1,18c1の方がV字形状であり、互いに大きさが異なる。また、2種類目の切欠き部14c2,18c2の方が矩形状であり、互いに大きさが異なる。
この例によれば、搬送する冷菓XA1の品種によって使用する第一のベルト13および第二のベルト17を変更できる。すなわち、第一品種の冷菓XA1を搬送する場合には、V字形状の切欠き部14c1,18c1に対応する第一のベルト13および第二のベルト17を使用することになり、第二品種の冷菓XA1を搬送する場合には、矩形状の切欠き部14c2,18c2に対応する第二のベルト13および第二のベルト17を使用することになる。
このように、オーバーヘッドコンベア10によれば、ベルト本体部13aが所望するようにプーリ14の定められた位置に引っ掛けられた場合、突起部13bが、プーリ14のフランジ部14bに形成された切欠き部14cに嵌まる。同様に、ベルト本体部17aが所望するようにプーリ18の定められた位置に引っ掛けられた場合、突起部17bが、プーリ18のフランジ部18bに形成された切欠き部18cに嵌まる。一方、ベルト本体部13aが所望するように引っ掛けられずに、プーリ14の定められていない位置に引っ掛けられた場合、突起部13bがプーリ14のフランジ部14bに乗り上げる(図示省略)。同様に、ベルト本体部17aが所望するように引っ掛けられずに、プーリ18の定められていない位置に引っ掛けられた場合、突起部17bがプーリ18のフランジ部18bに乗り上げる(図示省略)。これにより、突起部13b,17bをプーリ14,18のフランジ部14b,18bに形成された切欠き部14c,18cに嵌めることを認識しない者が作業する場合であっても、作業中にそのことを認識させられる。ひいては、ベルト本体部13a,17aが所望するようにプーリ14,18の定められた位置に引っ掛けられる。
また、突起部13bが冷菓XA1を押し進める押し面(符号省略)を有するから、すなわち、突起部13bが冷菓XA1を押し進める機能を有するから、突起部13bとは別に、冷菓XA1を押し進める機能を有する部品を備えなくてよい。同様に、突起部17bが、バケットコンベア2の上流側から冷菓XA1を支持することで、突起部13bと共に冷菓XA1を押し進める機能を有するから、突起部17bとは別に、バケットコンベア2の上流側から冷菓XA1を支持する機能を有する部品を備えなくてよい。これにより、部品点数を削減できる。ひいては、生産コストを削減できる。
なお、突起部13bは、プーリ14の切欠き部14cに嵌まる機能と、冷菓XA1を押し進める機能と、を有するが、これら機能毎の部品に分けて突起部13bを構成してもよい。すなわち、後述する第2実施形態に係るオーバーヘッドコンベア25のように、突起部13bとして、プーリ14の切欠き部14cに嵌まる嵌合部材13b1と、冷菓XA1を押し進める押し面(符号省略)を有する押し部材13b2と、を備えるようにしてもよい。この場合、第一のベルト13における嵌合部材13b1の個数は、1個以上で、押し部材13b2の個数(本実施形態では4個)以下であればよい。
また、突起部17bは、プーリ18の切欠き部18cに嵌まる機能と、バケットコンベア2の上流側から冷菓XA1を支持することで、突起部13bと共に冷菓XA1を押し進める機能と、を有するが、これら機能毎の部品に分けて突起部17bを構成してもよい。すなわち、後述する第2実施形態に係るオーバーヘッドコンベア25のように、突起部17bとして、プーリ18の切欠き部18cに嵌まる嵌合部材17b1と、バケットコンベア2の上流側から冷菓XA1を支持することで、突起部13bと共に冷菓XA1を押し進める支持面(符号省略)を有する支持部材17b2と、を備えるようにしてもよい。この場合、第二のベルト17における嵌合部材17b1の個数は、1個以上で、支持部材17b2の個数(本実施形態では4個)以下であればよい。
さらに、プーリ14および18は、切欠き部14c,18cの数と、切欠き部14c,18cのフランジ部14b,18bに形成された位置と、切欠き部14c,18cの形状と、の組合せが互いに異なるから、ベルト本体部13a,17aが、組合せで用いられるプーリ14または18にそれぞれ引っ掛けられる。これにより、ベルト本体部13a,17aの掛違いが防止できる。
なお、第一および第二のベルト13,17は、切欠き部14c,18cの数(本実施形態では、切欠き部14cが1個、切欠き部18cが1個)に対応する突起部13b,17bの数(本実施形態では、各突起部13b,17bの数が4個で同じ)と、突起部13b,17bのベルト本体部13a,17aに設けられた位置(本実施形態では、各ベルト本体部13a,17aを4等分した位置で同じ)と、突起部13b,17bの切欠き部14c,18cに嵌まる部分の形状(本実施形態では、突起部13bの切欠き部14cに嵌まる部分が、w1より一回り小さい幅を有する形状であり、また、突起部17bの切欠き部18cに嵌まる部分が、w2より一回り小さい幅を有する形状であり、互いに異なる)と、の組合せが互いに異なる。
そして、後述する第3実施形態に係るオーバーヘッドコンベア30のように、突起部13b,17bがフランジ部14b,18bに乗り上げたか否かを検知するセンサ31を備える場合には、突起部13bがフランジ部14bに乗り上げたことを検知したときに、または突起部17bがフランジ部18bに乗り上げたことを検知したときに、それらのことを報知したりオーバーヘッドコンベア30を停止したりすることで、ベルト本体部13aが所望するように引っ掛けられずに、プーリ14,15の定められていない位置に引っ掛けられている状態、ベルト本体部17aがプーリ18〜20の定められていない位置に引っ掛けられている状態、またはベルト本体部13a,17aの掛違い状態のままオーバーヘッドコンベア30が動作することが防止できる。
[第2実施形態]次に、図9を用いて、第2実施形態に係るオーバーヘッドコンベア25の構成について説明する。図9は、オーバーヘッドコンベア25における第一および第二のベルト13,17がプーリ14,18に引っ掛けられた状態を示す斜視図である。
なお、第2実施形態に係るオーバーヘッドコンベア25の特徴部分のみを説明し、第1実施形態に係るオーバーヘッドコンベア10と同様の構成要件、作用、および効果についての説明は省略する。後述する第3実施形態についても、特徴部分のみを説明し、他の実施形態と同様の構成要件、作用および効果についての説明は省略する。
図9に示すオーバーヘッドコンベア25は、突起部13bとして、プーリ14の切欠き部14cに嵌まる嵌合部材13b1と、冷菓XA1を押し進める押し面(符号省略)を有する押し部材13b2と、を備えていると共に、突起部17bとして、プーリ18の切欠き部18cに嵌まる嵌合部材17b1と、バケットコンベア2の上流側から冷菓XA1を支持することで、押し部材13b2と共に冷菓XA1を押し進める支持面(符号省略)を有する支持部材17b2と、を備えている点で、第1実施形態と異なる。
本実施形態では、第一のベルト13が備える複数(本実施形態では4個)の嵌合部材13b1は、プーリ14の切欠き部14cの数と同数(本実施形態では1個)を一つの単位として、所定の一定の間隔で、ベルト本体部13aの外周面に対して設けられている。また、第二のベルト17が備える複数の嵌合部材17b1は、プーリ18の切欠き部18cの数と同数(本実施形態では1個)を一つの単位として、所定の一定の間隔で、ベルト本体部17aの外周面に対して設けられている。
[第3実施形態]次に、図10を用いて、第3実施形態に係るオーバーヘッドコンベア30の構成について説明する。図10は、バイターライン1における搬送工程の部分をバケットコンベア2の下流側から視た正面図である。
図10に示すオーバーヘッドコンベア30は、第1実施形態に係るオーバーヘッドコンベア10の構成要件に加えて、突起部13b,17bがフランジ部14b,18bに乗り上げたか否かを検知するセンサ31を備えている。センサ31は、可視光または赤外線等の光を照射する投光部(図示省略)と、切欠き部14c,18cを挟んで投光部に対向するように設けられた受光部(図示省略)と、を備える透過型の光電センサである。受光部は、投光部から照射されて切欠き部14c,18cを経る光を検出して信号を出力する。
ベルト本体部13a,17aがプーリ14,15,18〜20の定められた位置に引っ掛けられている場合、突起部13b,17bがプーリ14,18で折り返す間、投光部から照射される光は突起部13b,17bに遮られる。一方、ベルト本体部13a,17aがプーリ14,15,18〜20の定められていない位置に引っ掛けられている場合、突起部13b,17bがプーリ14,18で折り返す間を含め、ベルト本体部13a,17aが走行する間、投光部から照射される光は受光部で検出される。
センサ31は、突起部13b,17bが光を遮ることを所定の周期で検出する場合、突起部13b,17bがフランジ部14b,18bに乗り上げていないものと、すなわち、ベルト本体部13a,17aがプーリ14,18の定められた位置に引っ掛けられているものと検知する。一方、突起部13b,17が光を遮ることを検出しない場合、突起部13b,17bがフランジ部14b,18bに乗り上げているものと、すなわち、ベルト本体部13a,17aがプーリ14,18の定められていない位置に引っ掛けられているものと検知する。
センサ31によって、突起部13b,17bがフランジ部14b,18bに乗り上げているものと、すなわち、ベルト本体部13a,17aがプーリ14,18の定められていない位置に引っ掛けられているものと検知された場合、オーバーヘッドコンベア30は、ブザーやランプ(いずれも図示省略)によってそのことを報知したり、動作を停止したりする。
本発明は、上記各実施形態に限られるものではなく、その趣旨および技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
すなわち、上記各実施形態において、押しユニット11および支持ユニット12を一体のものとして備えるようにしてもよい。すなわち、第一および第二のベルト13,17を、一つのベルトで構成するようにしてもよい。
あるいは、上記各実施形態において、ベルト本体部13a,17aの凹凸と、プーリ14,15,18〜20の凹凸と、を噛み合わせることに代えて、特開平06−056237号公報に記載されたベルトコンベアのように、ベルト本体部13a,17aに、複数の貫通孔(図示省略)を等間隔に連続するように設けると共に、プーリ14,15,18〜20に、ベルト本体部13a,17aの貫通孔に対応する複数の突起(図示省略)を設け、ベルト本体部13a,17aの貫通孔と、プーリ14,15,18〜20の凹凸と、を噛み合わせるようにしてもよい。
あるいは、上記各実施形態において、押しユニット11の色と、支持ユニット12の色と、を互いに異なるようにしてもよい。具体的に、第一のベルト13およびプーリ14を、第一の色(例えば、白色)とし、第二のベルト17およびプーリ18を、第一の色とは異なる第二の色(例えば、黒色)とする。これにより、第一および第二のベルト13,17がいずれのプーリ14,18との組合せで用いられるかを容易に判断させられる。これにより、ベルト本体部13a,17aの掛違いがさらに防止できる。
あるいは、上記各実施形態において、各構成要件の数量、形状、大きさは適宜変更できる。例えば、突起部13b,17bの数と、突起部13b,17bのベルト本体部13a,17aに設けられた位置と、突起部13b,17bの切欠き部14c,18cに嵌まる部分の形状と、等が挙げられる。この場合、第一および第二のベルト13,17は、突起部13b,17bの数と、突起部13b,17bのベルト本体部13a,17aに設けられた位置と、突起部13b,17bの切欠き部14c,18cに嵌まる部分の形状と、の組合せが互いに異なる必要がある。また、各プーリ14,18は、第一または第二のベルト13,17のいずれかとの組合せで用いられるように、切欠き部14c,18cの数と、切欠き部14c,18cのフランジ部14b,18bに形成された位置と、切欠き部14c,18cの形状と、が適宜設定される。この場合、各プーリ14b,18bは、切欠き部14c,18cの数と、切欠き部14c,18cのフランジ部14b,18bに形成された位置と、切欠き部14c,18cの形状と、の組合せが互いに異なる必要がある。
また、突起部13b,17bが切欠き部14c,18cに嵌まればよく、突起部13b,17bの形状と、切欠き部14c,18cの形状と、が互いに異なる態様であってもよい。具体的には、例えば、突起部13b,17bの形状が矩形状であり、切欠き部14c,18cの形状がV字形状であってもよい。
あるいは、上記各実施形態において、冷菓XA1の供給元となる搬送装置として、バケットコンベア2を採用することに限定されず、サーボループ装置等を採用できる。サーボループ装置の詳細は、特開2000−053235号公報の図1等を参照されたい。
あるいは、上記各実施形態において、冷菓XA1の受入先となる搬送装置として、フィンガーコンベア4を採用することに限定されず、バーコンベア、サイドフィンガーコンベア、もしくはプレートコンベア等を採用できる。バーコンベアの詳細は、実開昭63−123403号公報の図1等を参照されたい。サイドフィンガーコンベアの詳細は、特開2001−010605号公報の図3等を参照されたい。プレートコンベアの詳細は、特開2011−006212号公報の段落[0024]および図3等を参照されたい。
あるいは、上記各実施形態において、冷菓XA1を包装する包装機として、ピロー包装機(図示省略)を採用することに限定されず、三方シール機、もしくは四方シール機等を採用できる。三方シール機の詳細は、特開2000−168743号公報の図3等を参照されたい。四方シール機の詳細は、特開平08−282731号公報の図4等を参照されたい。
あるいは、上記各実施形態の構成要件を、可能な範囲で他の実施形態に適用してもよい。
あるいは、上記第3実施形態において、センサ31として、透過型の光電センサに代えて、限定反射型やその他の型の光電センサを備えるようにしてもよい。あるいは、圧力センサ(マイクロスイッチ)や近接センサ等を備えるようにしてもよい。近接センサには、電磁誘導を利用した高周波発振型、磁石を用いた磁気型、あるいは静電容量の変化を利用した静電容量型のそれぞれのものが挙げられる。