JP5818644B2 - エンジン駆動型インバータ発電機の制御方法,及びエンジン駆動型インバータ発電機 - Google Patents

エンジン駆動型インバータ発電機の制御方法,及びエンジン駆動型インバータ発電機 Download PDF

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Description

本発明は,エンジン駆動型インバータ発電機の制御方法,及びエンジン駆動型インバータ発電機に関し,より詳細には,エンジン駆動型インバータ発電機に搭載したエンジンの制御方法,及び前記制御方法を実行するエンジン駆動型インバータ発電機に関する。
エンジンによって発電機本体を駆動して電力を得るエンジン駆動型発電機は,停電時における非常用電源等として広く利用されていると共に,特にエンジンや発電機本体等の構成機器をパッケージ内に収容したパッケージ型のエンジン駆動型発電機は,その可搬性より,工事現場やイベント会場等,屋外における電源の確保が必要な場面において広く使用されている。
このようなエンジン駆動型発電機において,発電機本体で発生した交流をそのまま出力する場合,発電機本体が出力する交流の周波数は発電機本体の回転速度によって決まることから,一定周波数の電力を安定して供給するためには発電機本体,従ってエンジンの回転速度を一定速度に維持する「定速度制御」を行う必要がある。
しかし,回転速度を一定とした運転状態にある発電機本体にあっては,負荷電流が増加すると出力電圧が低下し,負荷電流が減少すると出力電圧が上昇する「垂下特性」を示すことから,このような制御が行われているエンジン駆動型発電機に対し,該発電機の定格出力電力に対して消費電力が小さい負荷を接続して使用すると,負荷電流が減少する分,出力電圧が高くなり,この電圧の上昇分,接続された負荷の大きさに対して供給される電力が過剰となるため,エンジンが無駄な燃料を消費していることになる。
そこで,発電機本体が出力する交流をそのまま負荷に供給することをせずに,これを一旦,ダイオード等で構成した直流出力部を通して直流に変換し,その後,インバータで所望の周波数の交流に変換することで,負荷に供給する電力の周波数が発電機本体の回転速度によって決定付けられないようにすると共に,接続する負荷の大きさに拘わらず直流出力部からの出力電圧が一定となるようにエンジンの回転速度を制御する「定電圧制御」を行う,エンジン駆動型インバータ発電機が提案されている(特許文献1の従来技術)。
すなわち,このようなエンジン駆動型インバータ発電機に対し,該発電機の定格出力電力よりも消費電力の小さな負荷を接続して使用すると,負荷の消費電力が小さい分,直流出力部の出力電圧が上昇しようとするが,前述した定電圧制御により直流出力部の出力電圧が一定となるようにエンジンの回転速度を制御することで,エンジンの回転速度を低下させることができ,その結果,負荷の減少に応じてエンジンが消費する燃料も減少させることができるものとなっている。
特に,このようなエンジン駆動型インバータ発電機では,定格電流の数倍の起動電流を必要とする三相交流電動機を備えた機器(以下,「モータ負荷」という。)を接続して使用する場合,モータ負荷が起動し,定格運転に移行して負荷電流が減少すると,これに対応してエンジンの回転速度を低下させることができ,経済的な運転ができるようになっている。
なお,このような定電圧制御を行うエンジン駆動型インバータ発電機において,エンジンの始動後,インバータを起動する前では,発電機本体には殆ど負荷がかかっていないためにこの状態で直流出力部の出力電圧が一定となるように前述の「定電圧制御」を行うと,エンジンの回転速度が低くなっているために発電機本体の回転速度がインバータから定格電圧を出力させるために必要な電圧を発生する回転速度に達しておらず,この状態でインバータを起動すると,インバータは定格電圧を出力できず,負荷の駆動に失敗する場合があること,また,インバータに負荷が接続されている状態でインバータを起動して,この起動と同時に負荷に対する通電が行われると,負荷電流の急増に伴い負荷トルクが急増することで暖気前のエンジンが停止するおそれがあることに鑑み,エンジンの始動直後は前述した定電圧制御を行わず,エンジンの回転速度を設定回転速度,具体的には,「インバータに定格負荷が接続された状態でインバータの出力電圧を所望の値に保つことができる程度に十分に高い回転速度」(特許文献1[0065]欄)に保つように制御する定速制御モードでの運転を行い,エンジンの回転速度が設定回転速度に達した後に前記インバータを起動させ,その後,定速制御モードの開始後,一定時間が経過する等の予め設定した制御モード移行条件が成立したときに,前述した定電圧制御に移行する制御方法も提案されている(特許文献1:請求項1,2,[0065]欄参照)。
特開2005−137164号公報
前掲の特許文献1に記載のエンジン駆動型インバータ発電機では,エンジンの始動後,制御モード移行条件が成立するまで定電圧制御を行わずに設定回転速度でエンジンを運転する定速制御モードで運転を行うと共に,この定速制御モードの運転時にインバータを起動するため,インバータは起動直後より定格電圧を出力できるようになっていると共に,仮にインバータに定格負荷(接続可能な最大の負荷)が接続されており,尚且つ,インバータの起動と同時に負荷に対する通電が開始された場合であっても,出力電圧不足やこれに伴う負荷の駆動失敗,負荷トルクの増大によるエンジンの停止等を好適に防止することができるものとなっている。
しかし,特許文献1における定速制御モードにおいて,エンジンの停止や負荷の駆動失敗を確実に防止するためには,定速度モードにおける設定回転速度を,定格負荷(接続可能な最大の負荷)を接続した状態でインバータの出力電圧を所望の値に保つことができる程度に十分に高い回転速度(特許文献1[0065]欄),すなわち,インバータが定格出力電力を出力する回転速度に設定する必要がある。
そのため,従来のエンジン駆動型インバータ発電機にあっては,定速制御モードにおける設定回転速度は,実際に接続されている負荷の大きさに拘わらず一定であり,この発電機の定格出力電力に対して小さな負荷を接続して使用した場合,定速度制御モードにおけるエンジンの回転速度は,接続された負荷に対して過大となるため,依然として無駄な燃料の消費が行われている。
また,この定速制御モードでの運転終了後に行われる定電圧制御では,直流出力部の出力電圧に応じてエンジンの燃料噴射量を調整することで回転速度を制御するため,直流出力部の出力電圧の変化が急激であると,エンジンの回転速度の変化には若干の遅れが生じる。
そのため,定電圧制御においてエンジンの回転速度を必要最小限まで落として運転すると,負荷の追加接続等によって急激な負荷電流の増加があった場合,これに伴う負荷トルクの急増にエンジンの回転速度の上昇が追いつかずにエンジンが停止するおそれがある。
また,負荷トルクの急増に伴うエンジンの停止を回避できたとしても,エンジンの回転速度の上昇を待つ間,出力電圧が一時的に低下するために,必要な出力電圧を維持できずに作動中の負荷を停止させてしまうおそれもある。
特に,追加接続する負荷が,大きな起動電流を必要とするモータ負荷である場合には,負荷の追加接続による負荷電流の上昇が大きくなり,前述したエンジンの停止や出力電圧の降下が起こり易い。
このことから,エンジンの停止や,作動中の負荷が停止することを確実に防止しようとすれば,定電圧制御におけるエンジンの回転速度を,その時点の負荷側消費電力を供給するに必要なエンジンの出力に対し,更に,生じ得る負荷変動に対応し得る出力の余裕分を上乗せした出力を発生し得る回転速度として決定する必要があり,接続される負荷が定格負荷に対して小さくなる程,生じ得る負荷変動幅も大きくなるため,この余裕分を大きくとる必要がある。
そのため,前述した定電圧制御を行う場合であっても,前述した余裕分,依然として無駄な燃料が消費されることになり,特に,エンジン駆動型インバータ発電機の定格出力電力に対して接続する負荷の消費電力が小さくなる程,無駄な燃料の消費が多くなる。
このように,従来のエンジン駆動型インバータ発電機では,エンジンの停止や出力電圧の降下に伴う作動中の負荷の停止等を確実に防止しようとすれば,発電機の定格出力電力を基準とし,実際に接続される負荷の大きさに拘わらず,定速度運転モード,定電圧制御のいずれの運転状態においても,定格負荷の接続,乃至は,定格負荷に至る負荷変動があった場合を想定して,これに対応するに十分な余裕を持った回転速度でエンジンを駆動する必要がある。
そのため,重負荷用の発電機に軽負荷を接続して使用することは可能ではあるが,このような状態での使用は燃費を著しく悪化させることから,従来のエンジン駆動型インバータ発電機によって低燃費で,且つ,CO排出量や騒音の発生を抑えた環境に優しい発電を行おうとすれば,「重負荷用」,「標準用」,「軽負荷用」等のように,定格出力電力の異なる複数の発電機を別途用意しておき,用途に合わせて使用する負荷に対応した定格出力電力の発電機を選択して使用することが必要となり,これに対応して複数台の発電機を準備しようとすれば多大な初期投資が必要であった。
このことから,1台の発電機で,無駄な燃料の消費や必要以上のCO排出,騒音の発生を抑制しつつ,軽負荷から重負荷まで対応できるエンジン駆動型インバータ発電機の開発が要望されていた。
そこで本発明は,上記従来技術における欠点を解消するためになされたものであり,1台のエンジン駆動型インバータ発電機において,軽負荷から重負荷まで,広範に対応することができ,しかも,各負荷を接続して使用した際,前述した「軽負荷用」,「標準用」,「重負荷用」として専用に設計されていた従来のエンジン駆動型インバータ発電機と同等以上の低燃費,低CO排出量,低騒音を実現することのできるエンジン駆動型インバータ発電機,及びその制御方法を提供することを目的とする。
以下に,課題を解決するための手段を,発明を実施するための形態で使用する符号と共に記載する。この符号は,特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態の記載との対応を明らかにするためのものであり,言うまでもなく,本願発明の技術的範囲の解釈に制限的に用いられるものではない。
上記目的を達成するために,本発明のエンジン駆動型インバータ発電機の制御方法は,エンジン21,前記エンジン21によって駆動される発電機本体22,前記発電機本体22で発生した交流を直流に変換するコンバータ31,及び前記コンバータ31より出力された直流を所定の交流に変換して負荷へ供給するインバータ32を備え,前記エンジン21の回転速度が負荷の状況に応じて可変であるエンジン駆動型インバータ発電機1において,
前記負荷の起動後,通常回転速度として設定した所定の回転速度域で前記エンジン21を運転する通常運転モードによる制御を実行可能と成すと共に,
前記通常運転モードで運転されている前記エンジン駆動型インバータ発電機1において追加の負荷を起動する前に,前記通常運転モードを終了して,接続済みの負荷に対する電力の供給を継続しつつ,前記エンジン21の回転速度を所定の追加負荷起動回転速度に上昇させる追加負荷起動モードへ移行し,
前記追加負荷起動モード時における追加負荷の起動を検知した後,前記追加負荷起動モードを終了して,前記エンジン21を前記通常運転モードに移行することを特徴とする(請求項1)。
前述したエンジン駆動型インバータ発電機1の制御方法における前記追加負荷起動モードにおいて,
前記エンジン駆動型インバータ発電機1に接続された負荷の状況を示す値を所定時間経時的に取得し,
この負荷の状況を示す値を基準値として一時記憶し,
その後再度取得された負荷の状況を示す値と前記基準値とを比較し,
再度取得された負荷の状況を示す値が前記基準値に対して所定値高い値以上の場合には,前記基準値を再度取得された負荷の状況を示す値に書き換え更新すると共に,前記所定時間を延長する処理を繰り返し,
再度取得された負荷の状況を示す値が前記基準値に対して所定値高い値に満たない場合であって,かつ前記所定時間を経過したときに,追加負荷が起動したと検知するようにしても良い(請求項2)。
なお,前記負荷の状況を,前記エンジン駆動型インバータ発電機1に接続された負荷の消費電力により検知するようにしても良く(請求項3),又は,
前記負荷の状況を,前記エンジン駆動型インバータ発電機1に接続された負荷の電流値により検知するようにしても良い(請求項4)。
更に,上記制御方法を実施する本発明のエンジン駆動型インバータ発電機1は,エンジン21,前記エンジン21によって駆動される発電機本体22,前記発電機本体22で発生した交流を直流に変換するコンバータ31,及び前記コンバータ31より出力された直流を所定の交流に変換して負荷へ供給するインバータ32を備え,前記エンジン21の回転速度が負荷の状況に応じて可変であるエンジン駆動型インバータ発電機1において,
前記エンジン駆動型インバータ発電機1に対する各種設定及び/又は動作指示を入力するための入力手段7と,前記エンジン駆動型インバータ発電機に対して接続される負荷の状況を検知する負荷状況検知手段と,前記入力手段7を介して入力された各種設定や動作指示と,前記負荷状況検知手段が検知した負荷の状況に基づいて,エンジン21やインバータ32及びコンバータ31の動作を制御するコントローラ8を設け,
前記負荷の起動後,通常回転速度として設定した所定の回転速度域で前記エンジン21を運転する通常運転モードを前記コントローラ8に実行させるように構成して成り,
前記入力手段7に,更にエンジンの回転速度を所定の追加負荷回転速度に上昇させる追加負荷起動モードへ移行することの指令を入力するための,追加負荷起動モード開始指令入力手段73を設け,前記エンジン駆動型インバータ発電機1が前記通常運転モードで運転されている状態で,前記追加負荷起動モード開始指令入力手段73からの移行指令を受信すると,前記通常運転モードを終了して,接続済みの負荷に対する電力の供給を継続しつつ,前記エンジン21の回転速度を所定の追加負荷起動回転速度に上昇させる追加負荷起動モードへ移行すると共に,前記追加負荷起動モード時における追加負荷の起動を検知した後,前記追加負荷起動モードを終了して,前記通常運転モードに移行するよう前記コントローラ8を構成したことを特徴とする(請求項5)。
上記構成のエンジン駆動型インバータ発電機1において,前記コントローラ8が,
前記追加負荷起動モード時に,前記エンジン駆動型インバータ発電機1に接続された負荷の状況を示す値を所定時間経時的に取得し,
取得した前記負荷の状況を示す値を基準値として一時記憶し,その後再度取得された負荷の状況を示す値と前記基準値とを比較し,再度取得された負荷の状況を示す値が前記基準値に対して所定値高い値以上の場合には,前記基準値を再度取得された負荷の状況を示す値に書き換え更新すると共に,前記所定時間を延長する処理を繰り返し,
再度取得された負荷の状況を示す値が前記基準値に対して所定値高い値に満たない場合であって,かつ前記所定時間を経過したときに,追加負荷が起動したと検知する処理を行うように構成しても良い(請求項6)。
なお,前記負荷状況検知手段が,前記負荷の状況として前記エンジン駆動型インバータ発電機1に接続された負荷の消費電力を検知するようにしても良く(請求項7),又は,
前記負荷状況検知手段が,前記負荷の状況として前記エンジン駆動型インバータ発電機1に接続された負荷の電流値を検知するようにしても良い(請求項8)。
以上説明した本発明の構成により,本発明のエンジン駆動型インバータ発電機1によれば,以下の顕著な効果を得ることができた。
追加の負荷を起動する際,通常運転モードを終了してエンジン21の回転速度を所定の追加負荷起動回転速度に一時的に上昇させ,この状態で追加の負荷を起動するものとしたことにより,追加負荷の起動時にエンジンが停止したり,作動中の負荷が停止したりすることを確実に防止することができ,特に,大きな起動電流を必要とするモータ負荷を追加起動する際に効果的である。
その結果,通常運転モードの全期間中,追加負荷の起動に備えて比較的大きな余裕分を上乗せした回転速度で運転を行う場合に比較して,追加負荷起動モードにおける比較的短時間のみ,エンジンの回転速度の上昇を行うため,燃費の大幅な低減を行うことができた。
また,このように追加負荷起動モードにおけるエンジンの回転速度上昇は一時的なものであることから,追加負荷起動回転速度をエンジンの定格回転速度以上に設定した場合であっても,エンジン21に対する負担は殆ど無く,その結果,同程度の定格出力電力を有するエンジン駆動型インバータ発電機に搭載するエンジンを,従来のものに比較して1クラス小型のものとすることができ,より一層の燃費の向上を得ることができた。
さらに,追加負荷起動モードにあるとき,追加負荷を起動する前,又は,前回取得した負荷の状況に対して所定の高い値以上の値が検出されたときには,負荷が起動している途中であると判断し,追加負荷起動モードを継続するよう時間を延長し,追加負荷を起動する前,又は,前回取得した負荷の状況に対して所定の高い値未満の値が検出されたときには,追加負荷の起動が行われた,又は,追加負荷の起動操作自体が行われなかったと判断して,エンジン21を高速運転する追加負荷起動モードを終了して,エンジン21を負荷の状況に応じて運転する通常運転モードに自動復帰することで,無駄な燃料消費を抑えることができた。
負荷状況検知手段が,前記負荷の状況として負荷の消費電力を検知するようにした場合には,負荷の消費電力に応じてエンジンを適切な回転速度で運転でき,例えばモータ負荷のように急激な負荷変動により力率が変化して無効電力が増減しても,消費電力に基づいてエンジン21の回転速度を変化させることから,エンジン21の回転速度が無用に変動することがなく,安定した回転速度でエンジン21を運転することができるから,燃料消費量を低減でき,騒音の低減を図ることができた。
又は,負荷状況検知手段が,前記負荷の状況として負荷の電流値を検知するようにした場合には,消費電力により負荷の状況を検知する構造よりも簡素な構造で,複雑なプログラムを必要とせず,負荷の状況が変化することを速く検知することができることから,制御遅れによるエンジン21の停止や出力電圧の大幅な低下がより防止できた。
本願のエンジン駆動型インバータ発電機の構成例を示すブロック図。 入力手段の構成例を示す説明図。 エンジンの回転速度と接続可能な負荷の相関図。 エンジン駆動型インバータ発電機における負荷起動モード移行前のフロー。 エンジン駆動型インバータ発電機における負荷起動モードのフロー。 エンジン駆動型インバータ発電機における通常運転モードのフロー。 エンジン駆動型インバータ発電機における別の通常運転モードのフロー。 エンジン駆動型インバータ発電機における追加負荷起動モードのフロー。
以下に,添付図面を参照しながら本発明のエンジン駆動型インバータ発電機と,このエンジン駆動型インバータ発電機において行われる制御方法について説明する。
〔発電機の構成〕
(1)全体構成
図1において,符号1は,本発明のエンジン駆動型インバータ発電機であり,このエンジン駆動型インバータ発電機1は,エンジン21,及び前記エンジン21によって駆動される発電機本体22を有する発電部2,この発電部2で発生した交流を直流に変換するコンバータ31,前記コンバータ31からの直流を所定周波数の交流に変換して出力するインバータ32を有する電力変換部3,前記電力変換部3の出力波形を改善するフィルタ41〜43を備えた波形整形部4を備え,この波形整形部4で整形された交流出力を,ブレーカ5等を介して接続された出力端子台6より取り出すことができるようになっている。
また,エンジン駆動型インバータ発電機1には,ユーザによる各種の設定や動作指示の入力を行うための入力手段7と,前記入力手段7を介して入力された各種設定や動作指示,電力変換部3等からの検出信号に基づいて,発電部2や電力変換部3の動作を制御するコントローラ8が設けられている。
(2)発電部
発電部2は,エンジン21と,このエンジンによって駆動される発電機本体22と,エンジンの回転速度を制御するエンジンコントロールユニット(ECU)26とを備え,エンジン21の出力軸に発電機本体22の回転軸が連結され,エンジン21と発電機本体22とが同期して回転する。
本実施形態において発電機本体22は,永久磁石式発電機であり,前述したエンジン21によって駆動されることで,回転速度に応じた周波数の三相交流を発電し出力する。
エンジン21には,電気信号によって燃焼室に対する燃料の噴射量を調整する電子ガバナ24と,回転速度を検出する回転速度センサ25を設けている。
エンジンコントロールユニット(ECU)26は,エンジン21の電気的な制御を総合的に行うための電子制御装置であり,エンジン21に設けた電子ガバナ24に対して制御信号を送信することで,燃料の噴射量や噴射タイミング等を制御できるようになっており,エンジン21の回転速度センサ25で検出した回転速度(実測回転速度)と,コントローラ8から出力された回転速度(目標回転速度)との偏差が0になるよう電子ガバナ24に対して燃料の噴射量(又は燃料の増減量)を指示する燃料制御信号を送信する。
なお,本実施形態において前記回転速度センサ25はエンジン21の所定回転角度毎に回転パルス信号を発信するものであって,ECU26ではこの回転パルス信号に基づいて実測回転速度を算出する。
(3)電力変換部
電力変換部3は,発電機本体22より出力された三相交流を直流に変換するコンバータ31と,このコンバータ31から出力された直流を所定の三相交流に変換するインバータ32と,前記コンバータ31及びインバータ32を制御する制御ユニット33と,前記コンバータに入力する三相交流の電流値を検出する電流検出手段34と,インバータから出力された三相交流の電流値を検出する電流検出手段35とを備える。
発電機本体22より出力された三相交流は,電力変換部3に設けたコンバータ31に入力され,このコンバータ31に内蔵された複数のトランジスタをスイッチング動作することによって直流に整流された後,コンデンサによって平滑化して出力される。
本実施形態にあっては,コンバータ31は入力された三相交流の電圧値よりも高い所定の直流の電圧値を出力する図示しない昇圧回路を設け,また,前記コンデンサは平滑化及び負荷変動時の電圧降下を抑えることができる容量を備えたものを採用していることから,前記昇圧回路とコンデンサの働きによって直流の電圧値を安定させることができる。
このコンバータ31によって三相交流から変換された直流は,その後,同じく電力変換部3に設けられているインバータ32に入力され,入力手段7によってユーザが設定した周波数,かつ,別途ユーザが設定した出力電圧値となるようインバータ32に内蔵された複数のトランジスタをスイッチング動作し,PWM(パルス幅変調)方式によって三相交流に変換されて出力される。
コンバータ31やインバータ32は電子制御装置である制御ユニット33によって制御されていて,この制御ユニット33には,電流検出手段34で検出したコンバータ31に入力される三相交流各相の電流値,コンバータ31とインバータ32との間の直流電圧値,電流検出手段35で検出したインバータから出力された三相交流各相の電流値が入力されると共に,エンジン21の所定回転角度毎に回転速度センサ25から発信される回転パルス信号や,コントローラ8から送信された周波数や出力電圧の指令信号などが受信される。
制御ユニット33は,回転パルス信号から発電機本体22の電気角を推定した後,コンバータ31に入力される三相交流各相の電流値からq軸電流値及びd軸電流値に変換し,このq軸電流値及びd軸電流値に基づいて電気角を求めて,前記推定電気角と前記電気角とを置き換え,前記電気角に基づいてPWM信号を生成し,生成したPWM信号をコンバータ31に内蔵した複数のトランジスタへそれぞれ出力する。さらに,コントローラ8から出力された周波数指令信号に基づいて電気角を生成し,生成した電気角とコントローラ8から出力された出力電圧指令信号およびコンバータ31とインバータ32との間の直流電圧値に基づいてPWM信号を生成し,生成したPWM信号をインバータ32に内蔵した複数のトランジスタへそれぞれ送信する。
また,制御ユニット33は,インバータ32から出力された三相交流各相の電流値を,周波数指令信号に基づいて生成した電気角からq軸電流値及びd軸電流値に変換し,このq軸電流値及びd軸電流値と,コントローラ8から送信された出力電圧の指令信号等から負荷側の消費電力を算出し,この消費電力によりエンジン駆動型インバータ発電機1に対して接続される負荷の状況を検知し,消費電力をコントローラ8へ出力する。
本実施形態において負荷状況検知手段は,消費電力を算出する制御ユニット33のほか,前記消費電力を算出するための各種設定や信号,指令等を送信する機器であって,例えば電流検出手段35やコントローラ8,ECU26等を含む。
なお,負荷状況検知手段は,本実施形態に限定されず,インバータ32から出力された三相交流の電流値を検出する電流検出手段35とし,この電流値により負荷の状況を検知するようにしてもよい。
エンジン21の回転速度センサ25から発信される回転パルス信号は,制御ユニット33でエンジンの回転速度(実測回転速度)を生成し,コントローラ8へ出力してもよい。
(4)波形整形部
電力変換部3より出力された所定周波数の三相交流は,その後,波形整形部4を介して波形整形が行われ,出力端子台6に接続された負荷に対して出力される。
本実施形態にあっては,この波形整形部4は,ACリアクトル41とフィルタコンデンサ42によって構成されるLCフィルタと,コモンモードチョーク43によって構成されており,LCフィルタ(41,42)によってインバータ32の出力電流・電圧波形を改善すると共に高調波,高周波を除去して三相交流を正弦波に近付けていると共に,コモンモードチョーク43によってコモンモードノイズを除去している。
(5)入力手段
(5-1) 概説
入力手段7は,ユーザがエンジン駆動型インバータ発電機1に対する各種設定や指令を入力するための手段であり,例えばボタンスイッチ等のモメンタリスイッチ,切替スイッチやボリュームスイッチ(可変抵抗器)等の機械式のスイッチ類によって構成するものとしても良く,更には,入力手段の全部又は一部を,タッチパネル機能を備えた液晶画面によって実現し,この液晶画面の表示に従って,画面上の所定の位置に触れることで,前述した各種設定を入力できるようにしても良い。そして,入力手段7を介してユーザが入力した各種設定や指令はコントローラ8へ送信される。
図2に示す実施形態において,入力手段7には,更に周波数設定手段71,出力電圧設定手段72,追加負荷起動モード開始指令入力手段73,接続負荷設定手段74,最低回転速度設定手段75,及びスタータスイッチ76が設けられている。
(5-2) 周波数設定手段
周波数設定手段71は,本発明のエンジン駆動型インバータ発電機1の出力端子台6より出力する三相交流の周波数を設定するための手段であり,図2に示す実施形態にあっては,この周波数設定手段71として,更に,周波数調整ボリューム711と,周波数切替スイッチ712を設け,周波数調整ボリューム711により周波数を任意の値に設定できるようにしていると共に,出力周波数を我が国における商用周波数(50Hz又は60Hz)に設定する場合には,周波数切替スイッチ712の切替により,いずれかを選択して設定できるようにしている。
(5-3) 出力電圧設定手段
前述の出力電圧設定手段72は,出力電圧を設定するための手段であり,図示の実施形態にあっては,この出力電圧設定手段72として,更に,出力電圧調整ボリューム721と,出力電圧切替スイッチ722を設け,出力電圧調整ボリューム721により出力電圧を任意の値に設定できるようにしていると共に,負荷側の定格電圧として一般的である200V又は220Vに設定する場合には,出力電圧切替スイッチ722の切替により,いずれかを出力電圧として選択すると共に設定できるようにしている。
(5-4) 追加負荷起動モード開始指令入力手段
追加負荷起動モード開始指令入力手段73は,後述するように,通常運転モードでの運転時に,追加の負荷を起動する際に,通常運転モードでの運転を終了して,追加負荷起動モードへの移行を指令するものであり,本実施形態にあっては,これをON,OFF切替を行うスイッチとして設けている。
もっとも,この追加負荷起動モード開始指令入力手段73は,例えば既に駆動中の負荷と追加接続する負荷の合計に応じて,後述する追加負荷起動モード時におけるエンジンの回転速度である追加負荷起動回転速度を設定するボリュームスイッチや,予め設定された回転速度から選択する切替スイッチ等として構成しても良く,または,これをモメンタリスイッチにより構成し,このモメンタリスイッチの操作によって追加負荷起動モードに移行するようにしても良く,更には,このモメンタリスイッチの1回の操作毎に,所定回転速度ずつ追加負荷起動回転速度が増加又は低下するように構成しても良い。
また,追加負荷起動モードへの運転移行の指令を入力するための手段と,追加負荷起動回転速度を設定するための手段とを別個に設けるものとしても良い。
(5-5) 接続負荷設定手段
接続負荷設定手段74は,エンジンの始動後,最初に起動する負荷の大きさを設定するための手段で,本実施形態にあっては,接続する負荷の大きさとして軽負荷(定格7.5kW以下のモータ負荷),標準(定格11kW以下のモータ負荷),及び重負荷(定格15kW以下のモータ負荷)の三種類を設定し,これらのうちのいずれかを選択する切替スイッチとして構成しているが,この構成に代え,又はこの構成と共に,操作回数に応じて所定値ずつ段階的に設定を変えることができるモメンタリスイッチを設け,又は,接続する負荷の大きさを無段階に設定可能とするボリュームスイッチを設け,接続する負荷の大きさを段階的に,又は任意に設定可能としても良い。
(5-6) 最低回転速度設定手段
最低回転速度設定手段75は,後述する通常運転モードにおけるエンジン21の最低回転速度を設定するためのもので,図示の実施形態にあっては,これを切替スイッチとしてオート(最低回転速度1300min-1)とパワー(最低回転速度2200min-1)のいずれか一方を選択して設定できるようにしている。
もっとも,この最低回転速度設定手段75としては,前述した切替スイッチと共に,又は切替スイッチに代えて,前述の最低回転速度を任意の値に設定するボリュームスイッチを設け,最低回転速度を任意に設定可能としても良い。
(5-7) スタータスイッチ
スタータスイッチ76は,エンジン駆動型インバータ発電機1の始動・停止スイッチであり,このスタータスイッチ76の操作によって,エンジン21や,コントローラ8,入力手段7,その他の電装品に対する通電を断った「停止」位置,エンジン21や電装品に対する通電を開始してエンジン21を運転可能な状態とする「運転」位置,及び,エンジン21に設けた図示せざるセルモータに対する通電を行い,エンジン21を始動させる「始動」位置間で,スイッチの切替を行うことができるようになっており,本実施形態にあっては,このスタータスイッチとして,鍵の差し込みにより前記各位置間の切り替えが可能となるスイッチを使用している。
なお,図示の実施形態にあっては,単一のスイッチで,停止,運転,始動の3位置を切り替え可能としているが,例えば「停止」と「運転」位置間の切替を行うスイッチ(例えば切替スイッチ)と,セルモータの始動を行うスイッチ(例えばモメンタリスイッチ)を別個に設ける等しても良い。
(6)コントローラ
前述の入力手段7を介してユーザが入力した各種の設定や指令,及び,制御ユニット33から出力された負荷側の消費電力やエンジン21の回転速度,波形整形部4から出力された三相交流の各相間の線間電圧値は,いずれもマイクロコントローラ等によって構成されたコントローラ8に入力される。
このコントローラ8は,メモリ内に格納されたプログラムに従い,入力手段7を介してユーザにより入力された設定や指令,制御ユニット33から送信された消費電力や回転速度,波形整形部から出力された三相交流の各相間の線間電圧値に基づいて,ECU26,及び制御ユニット33に対し,エンジン21の制御,コンバータ31やインバータ32の制御を指令する信号を送信する。
コントローラ8には,負荷側の消費電力と,エンジン21の回転速度との対応関係を示す回転速度対応テーブルを備えており,消費電力に基づいて,回転速度対応テーブルを参照してエンジン21の論理回転速度を求める。
回転速度対応テーブルは,エンジン21の燃費曲線に基づき,検知した負荷側の消費電力と,負荷側の消費電力を発生するに必要なエンジン21の出力に対し,生じ得る負荷変動に対応し得る所定の余裕値を加えた出力を発生させるために最も少ない燃料消費量となるエンジン21の回転速度との関係が設定されており,アイドル回転速度,最高回転速度に基づき,消費電力が低い又は0の場合には,エンジン21の回転速度がアイドル回転速度となるように設定され,その後,本実施形態では消費電力が増加するにつれてエンジン21の回転速度が直線的に増加し,最高回転速度にてクランプされるように設定される。
本実施形態では,消費電力と回転速度の対応関係を回転速度対応テーブルとしてコントローラ8に記憶しているが,これに代えて,消費電力と回転速度との対応関係を計算式とし,この計算式をコントローラ8に記憶しておいてもよい。
また,本実施形態では負荷の状況を消費電力により検知しているが,これに代えて負荷の状況を負荷の電流値により検知した場合には,電流値と回転速度の対応関係を回転速度対応テーブル又は計算式としてコントローラ8に記憶しておいてもよい。
前述した負荷変動に対応し得る所定の余裕値は,負荷側の消費電力に対して一定の値であってもよく,また,所定の余裕値を,負荷側の消費電力が小さいときには大きくし,負荷側の消費電力が大きいときには小さくするようにしてもよい。
なお,負荷起動モード移行時や通常運転モード移行時,追加負荷起動モード移行時に,エンジン21のECU26へ送信する目標回転速度は後述の動作説明に記載する。
本実施形態では,波形整形部から出力された三相交流の各相間の線間電圧値を入力し,この線間電圧値が入力手段で設定した出力電圧値となるようコントローラへ出力する出力電圧の指令信号を補正するようにしている。
〔動作説明〕
以上のように構成された本発明のエンジン駆動型インバータ発電機1の動作を,図4〜図7を参照して説明する。
(1)始動前操作
本発明のエンジン駆動型インバータ発電機1は,エンジン21を始動する前に,入力手段7に設けた周波数設定手段71,出力電圧設定手段72,接続負荷設定手段74,及び最低回転速度設定手段75を操作して,出力する周波数,出力電圧値,接続する負荷の大きさ,及び最低回転速度の設定を行う(図4:S2)。
これらの設定手段71,72,74,75が,切替スイッチやボリュームスイッチ(可変抵抗器)等の機械式のスイッチ類である場合には,この作業は,本発明のエンジン駆動型インバータ発電機1に設けた電装品類に対する通電を断った状態において行っても良いが,これらの設定手段を,いずれもタッチパネル機能を備えた液晶画面上に行う画面表示によって実現する場合には,スタータスイッチ76を「運転」位置に操作して,入力手段7を構成する液晶画面,コントローラ8,ECU26及び制御ユニット33等の電装品に対する通電を行い(図4:S1),タッチパネルを介した入力を可能とした状態で前述した各種の設定を行う(図4:S2)。
なお,上記設定手段をタッチパネル等で実現した場合,コントローラ8は,エンジン駆動型インバータ発電機1の停止後においても上記設定を保持するように構成しても良く,この場合,前回使用時における設定に変更がなければ,上記設定の入力を省略できるようにしても良い。
(2)始動
以上のように,入力手段7に設けた各設定手段71,72,74,75による設定の完了後,スタータスイッチ76を,「運転」位置から「始動」位置に移動すると,エンジン21に設けた図示せざるセルモータに対する通電が行われ,セルモータの回転によってエンジン21が始動すると共に(図4:S3),エンジン21の始動後,スタータスイッチ76を,「運転」の位置に戻して,運転を継続させる。
本実施形態にあっては,エンジンの回転速度が所定の回転速度(一例として1200min-1)に達すると(図4:S4),コントローラ8が制御ユニット33に対し出力開始信号(PON信号)を出力し(図4:S5),このPON信号を受信した制御ユニット33は,インバータ32のゲートをONにして(図4:S6),インバータからの出力が開始可能な状態となる。
(3)暖気運転
前述した制御手段8は,エンジン21の起動時,所定の条件に従い,エンジン21の暖気運転を行うようにしても良い。
本実施形態にあっては,エンジン21に設けた図示せざる冷却水の温度センサからの電気信号に基づいて,コントローラ8がエンジンの冷却水温度が設定温度未満であると判断すると,コントローラ8は,後述する負荷起動モードへの移行を行わず,エンジン21の冷却水温度が設定温度となる迄運転する暖気運転をECU26に行わせる。
本実施形態にあっては,一例として温度センサによって検知されたエンジンの冷却水温度が20℃未満である場合,20℃以上となる迄,各種設定の相違に拘わらず,エンジンを一律1300min-1の一定速度で運転して暖気運転を行うように構成した(図4:S7,S8)。
なお,所定の暖気運転を行う場合には,エンジンの暖気が完了した後に負荷の接続が行われるため,負荷の接続に伴うエンジンの停止をより確実に防止することができる。
(4)負荷起動モード
以上のようにして,エンジン21の始動後,エンジン21の温度が所定の温度以上になると暖気運転を終了し,コントローラ8は負荷起動モードに移行する(図5:S9)。
この負荷起動モードは,前述の接続負荷設定手段74によって設定された接続負荷の大きさに応じて,予め設定された回転速度でエンジンの定速運転を行うもので,前記接続負荷設定手段74を,予め設定された複数の大きさの負荷の中からいずれかの大きさの負荷を選択可能に構成すると共に,前記コントローラ8に記憶した予め設定した負荷の大きさと負荷起動回転速度の対応関係に基づいて,前記接続負荷設定手段で選択された負荷の大きさから所定の負荷起動回転速度を目標回転速度として,この目標回転速度をECU26へ送信する。接続負荷設定手段74による設定を,「軽負荷」,「標準」,「重負荷」という三者のうちからいずれかを選択するようにした本実施形態の構成にあっては,一例として「軽負荷」(定格7.5kW以下のモータ負荷)を設定した場合の負荷起動回転速度を1300min-1(図5:S10,S11),「標準」(定格11kW以下のモータ負荷)を設定した場合の負荷起動回転速度を2200min-1(図5:S10,S12),「重負荷」(定格15kW以下のモータ負荷)を設定した場合の負荷起動回転速度を2800min-1 (図5:S10,S13)とした。
なお,上記負荷起動回転速度は,設定された大きさの負荷の接続に必要なエンジンの回転速度であれば良く,例えばエンジン駆動型インバータ発電機1の各機種毎に,予め実験的に求めておくことができる。
また,上記の説明では,接続する負荷の大きさを,「軽負荷」,「標準」,「重負荷」の3つの中からいずれか1つを選択して設定できるようにしたが,前述したように,接続負荷設定手段74として,ボリュームスイッチ(可変抵抗器)等を設け,所定の数値範囲の負荷から無段階に任意の大きさの負荷を選択できるようにしても良く,更には接続負荷設定手段74としてモメンタリスイッチを設け,このモメンタリスイッチの操作回数に応じて負荷の大きさを段階的に任意に設定できるようにしても良い。
このように,接続する負荷の大きさを任意に設定可能とした場合には,予め各エンジン駆動型インバータ発電機1毎に,図3に示すようにエンジン21の回転速度と接続可能な負荷の大きさの対応関係を実験的に求めておくなどして,コントローラ8の記憶手段に,上記実験的に求めた関係に従い,設定される接続負荷の大きさと負荷起動回転速度との対応関係を記憶させておき,設定された接続負荷の大きさに応じた負荷起動回転速度で,エンジンを駆動するようにしても良い。
接続する負荷の大きさを,予め設定された複数の大きさの中から選択して行うことで,接続負荷の設定が容易であり,また,ボリュームスイッチ等の操作により所定の選択範囲から任意に設定可能とすることで,接続する負荷の大きさに正確に対応した,より細かな設定が可能である。
このようにして,エンジンの回転速度が,設定された接続負荷の大きさに応じた負荷起動回転速度で定速制御が行われる「負荷起動モード」で運転が行われている状態で,設定した負荷の大きさに対応した負荷の接続を行う。
本実施形態において,波形整形部4と出力端子台6間に設けたブレーカ5は,出力電圧が所定値(一例として約100〜110V)を下回ると波形整形部4と出力端子台6間の回路を開くように構成されており,従って,エンジンの始動時には,負荷はインバータ32に接続されていない状態になっている。
従って,エンジン21の始動後,負荷起動モードへ移行した後,ユーザが前述のブレーカ5を操作し,また,負荷自体にもスイッチが設けられている場合には更にこれをON操作することで,負荷の接続を行う。
このようにして,負荷の接続が行われると,この負荷が起動してインバータ32の負荷側に設けた電流検出手段35が負荷側の変化を検出し,この検出信号を制御ユニット33を介して受信したコントローラ8は,負荷が起動したと判断して負荷起動モードを終了して通常運転モードに移行する。
本実施形態にあっては,電流検出手段35にて検出した負荷側の電流値が所定値(一例として1A)以上を検出し(図5:S14),この検出信号を連続して設定時間(一例として20秒)受信すると,コントローラ8は負荷の起動があったと判断し(図5:S15),負荷起動モードでの運転を終了し(図5:S16)後述する通常運転モードに移行するようにした。
このように,本発明のエンジン駆動型インバータ発電機1では,負荷の接続時,接続する負荷の大きさに応じた適切な回転速度でエンジンが制御されているため,エンジンの停止や出力電圧の降下が発生することの防止と,低燃費の実現という相反する要求を両立させ得るものとなっている。
本実施形態では,負荷起動モード時,負荷の起動前後において負荷起動回転速度で定速制御が行われるが,コントローラ8において,回転速度対応テーブルを参照して負荷の状況である消費電力に対応した論理回転速度を求め,この論理回転速度と,設定した負荷起動回転速度とを比較して,論理回転速度が負荷起動回転速度以下の場合には,エンジン21のECU26に負荷起動回転速度を目標回転速度として送信し,論理回転速度が負荷起動回転速度よりも高い場合には,論理回転速度を目標回転速度としてECU26に送信するようにしてもよい。
または,負荷起動モード時,コントローラ8において,負荷の状況である負荷の消費電力と接続負荷設定手段で設定した負荷の大きさである負荷の定格出力とを比較して,負荷の消費電力が負荷の定格出力よりも大きい場合には回転速度対応テーブルを参照して負荷の状況に対応した論理回転速度を求め,この論理回転速度を目標回転速度としてECU26へ送信し,負荷の消費電力が負荷の定格出力以下の場合には負荷の大きさに対応した負荷起動回転速度を目標回転速度として,ECU26へ送信するようにしてもよい。
このように構成することで,接続された負荷の消費電力が予め想定していた消費電力を上回っていた場合であっても,この差分が補正され,エンジンの停止や出力電圧の降下が生じることを防止することができる。
(5)通常運転モード
以上のようにして,負荷起動モードでの運転が終了して通常運転モードに移行すると(図6:S17),コントローラ8は,入力手段7に設けた前述の最低回転速度設定手段75によって設定された最低回転速度を下限とする所定の回転速度である通常回転速度でエンジンの制御を行うよう,最低回転速度設定手段75において「オート(モード)」又は「パワー(モード)」のいずれかを選択し(図6:S18),「オート(モード)」を選択した場合には一例として1300min-1を最低回転速度に設定し(図6:S19),「パワー(モード)」を選択した場合には一例として2200min-1を最低回転速度に設定し(図6:S20),「オート(モード)」を選択した場合には,回転速度が1300min-1のときに発電機が出力可能な大きさである13kWを基準となる負荷の状況である基準電力とし(図6:S21),「パワー(モード)」を選択した場合には,回転速度が2200min-1のときに出力可能な大きさである22kWを基準電力とする(図6:S21)。そして,制御ユニット33において検知された消費電力を実際の負荷の状況を示す情報として受信して(図6:S23),前記消費電力と設定した最低回転速度に対応する基準電力とを比較して(図6:S24),消費電力が基準電力よりも大きい場合には,回転速度対応テーブルを参照して消費電力に基づいて論理回転速度を求め,論理回転速度を目標回転速度としてエンジン21のECU26に送信し(図6:S25),消費電力が基準電力以下の場合には,設定した最低回転速度を目標回転速度としてエンジン21のECU26に送信する(図6:S26)。
図7には,図6を参照して説明した前述の通常運転モードのフローに代わる,別の通常運転モードのフローを記載する。このフローは,負荷起動モードでの運転が終了して通常運転モードに移行すると(図7:S17),コントローラ8は,入力手段7に設けた前述の最低回転速度設定手段75によって設定された最低回転速度を下限とする通常回転速度でエンジンの制御を行うよう,最低回転速度設定手段75において「オート(モード)」又は「パワー(モード)」のいずれかを選択し(図7:S18),「オート(モード)」を選択した場合には一例として1300min−1を最低回転速度に設定し(図7:S19),「パワー(モード)」を選択した場合には一例として2200min−1を最低回転速度に設定し(図7:S20),制御ユニット33において検知された消費電力を実際の負荷の状況を示す情報として受信して(図7:S23),回転速度対応テーブルを参照して消費電力に基づいて論理回転速度を求め(図7:S29),設定された最低回転速度と論理回転速度とを比較して(図7:S30),論理回転速度が最低回転速度よりも高い場合には,論理回転速度を目標回転速度としてエンジン21のECU26に送信し(図7:S31),論理回転速度が最低回転速度以下の場合には,最低回転速度を目標回転速度としてエンジン21のECU26に送信する(図7:S32)。
最低回転速度設定手段75において「オート(モード)」若しくは「パワー(モード)」のいずれかを選択可能とした本実施形態にあっては,一例としてオートモードでは1300min-1,パワーモードでは2200min-1を前述の最低回転速度として設定し,エンジンの回転速度制御がこの最低回転速度を下限として制御されるようにしたが,前述した最低回転速度設定手段75として,図2に示す切替スイッチに代え,又はこの切替スイッチと共に,ボリュームスイッチ(可変抵抗器)や,1回の操作毎に所定値毎に設定を変更可能に設定されたモメンタリスイッチを設ける等して,この最低回転速度を無段階又は段階的に任意の値に設定できるようにした場合,設定に応じた最低回転速度が通常回転速度の下限値として設定される。
更には,接続された負荷の状態と最低回転速度の対応関係を予めコントローラ8の記憶手段に記憶させておき,算出された消費電力によって検知された負荷の状況に応じてコントローラ8が前記対応関係に基づいて最低回転速度を設定するようにしても良い。
なお,前述の最低回転速度は,一例として,接続負荷設定手段74によって設定された負荷の大きさに応じて,コントローラ8が自動で設定するように構成しても良い。
また,エンジンが最低回転速度で運転されているとき,前記最低回転速度設定手段75で設定された回転速度を,負荷の状況に基づいて変化させるようにしても良く,この場合,最低回転速度で運転している所定時間の消費電力の最大値と最小値との差である変動幅を取得し,変動幅が所定の変動幅よりも小さいと,例えば1300min-1に設定されている最低回転速度を100min-1低下させて1200min-1とし,これに伴い,エンジンの回転速度を1200min-1にする。なお,エンジンが最低回転速度で運転されているときに,消費電力が基準電力よりも大きくなった場合には,エンジン回転速度は消費電力に応じた回転速度に上昇し,1200min-1に低下した最低回転速度は当初最低回転速度設定手段で設定された最低回転速度1300min-1に戻るようにしてもよい。
このように構成することで,負荷側における消費電力値の変化が大きく安定していない状態では急激な負荷変動の発生に備えて比較的大きな余裕を持った回転速度で運転が行われる一方,負荷側の消費電力が小さく,かつ変化が少なく安定するに従い,余裕分の回転速度を減少して,より必要最小限の回転速度に近い回転速度でエンジンを駆動することができ,従って,エンジンによって消費される燃料も最小限にすることができるようになっている。
または,最低回転速度を変化させる方法は,前述の方法に代えて,最低回転速度で運転している所定時間の消費電力の最大値を取得し,予め記憶した最低回転速度と最低回転速度において当該発電機が出力可能な大きさとの対応関係に基づいて,設定された最低回転速度(一例として1300min-1)における当該発電機が出力可能な大きさ(一例として13kW)を求め,取得された消費電力の最大値と,求めた出力可能な大きさ(一例として13kW)とを比較して,消費電力の最大値が求めた出力可能な大きさ(一例として13kW)よりも小さいときには,1300min-1に設定されている最低回転速度を100min-1低下させて1200min-1とし,これに伴い,エンジンの回転速度を1200min-1にする。なお,エンジンが最低回転速度の1200min-1で運転されているときに,消費電力が最低回転速度1200min-1における当該発電機が出力可能な大きさ12kWよりも大きくなった場合には,エンジン回転速度は消費電力に応じた回転速度に上昇し,1200min-1に低下した最低回転速度は当初最低回転速度設定手段で設定された最低回転速度1300min-1に戻るようにしてもよい。
このように構成することで,エンジンが最低回転速度で運転しているときに,負荷側における消費電力が,最低回転速度における出力可能な大きさよりも小さいと,急激な負荷変動の発生に備えたエンジンの出力余裕を持っていると判断し,より必要最小限の回転速度に近い回転速度でエンジンを駆動することができ,従って,エンジンによって消費される燃料も最小限にすることができるようになっている。
上記通常運転モードによる運転は,入力手段7に設けた追加負荷起動モード開始指令入力手段73を介して,ユーザが追加負荷起動モードの開始を指令する迄行われ(図6,7:S27),追加負荷起動モードの開始が指令されると,通常運転モードでの運転が終了し(図6,7:S28),後述する追加負荷起動モードによる運転が開始される。
(6)追加負荷起動モード
通常運転モードにおける運転が行われている状態で,入力手段7に設けた追加負荷起動モード開始指令入力手段73をユーザが操作して,追加負荷起動モードへの移行を指令すると(図6,7:S27),通常運転モードによる運転が終了して(図6,7:S28),追加負荷起動モードによる運転が開始される(図8:S33)。
これにより,コントローラ8は,ECU26に対して予め設定した追加負荷回転速度を目標回転速度として送信し,これを受信したECU26は,エンジン21の回転速度を追加負荷回転速度,本実施形態では一例として2800min-1に上昇させる(図8:S34)。
本実施形態では,追加負荷起動モードにおける負荷起動回転速度を一定の回転速度としているが,これに代えて追加負荷起動回転速度を複数設定すると共に,作動中の負荷と追加接続する負荷の合計に応じて複数設定された追加負荷回転速度から,対応する回転速度を選択するようにしてもよく,又は,追加負荷起動回転速度を所定の数値範囲内で任意の値に設定可能と成すと共に,作動中の負荷と追加接続する負荷の合計に応じて追加負荷起動回転速度を選択するようにしてもよい。
追加負荷起動モードにおけるエンジン21の回転速度である追加負荷起動回転速度を,所定の数値群の中から,又は,所定の数値範囲から選択できるようにすることで,追加起動する負荷の大きさと,既に作動中の負荷の大きさの合計に基づき,適切な通過負荷起動回転速度を選択することができ,エンジンの停止や出力電圧の降下防止と,低燃費の実現をより確実に実現することができる。
一例として,定格出力電力が22kWのエンジン駆動型インバータ発電機において,最低回転速度設定手段75により「オート」の設定が行われていると共に,負荷として,モータ負荷を接続するものとした場合,接続済の負荷の消費電力が0〜13kWの範囲であると,通常回転速度を最低回転速度である1300min-1 として運転が行われていると共に,接続済の負荷の消費電力が13kWを越えると,接続済の負荷の消費電力の増大に対応して通常回転速度を上昇し,負荷の消費電力が22kWに達すると,通常回転速度を定格回転速度である2200min-1とする制御が行われていると仮定し,接続済みのモータ負荷の消費電力が7.5kWで1300min-1の回転速度で運転されているエンジン駆動型インバータ発電機1に,更に定格出力7.5kWのモータ負荷を追加接続し,このモータ負荷を起動しようとした場合について説明する。
このような状態において,通常回転速度が最低回転速度である1300min−1に維持されている状態では,接続済の負荷の消費電力が大きくなると,その分,追加接続可能な負荷は減少する。
モータ負荷を起動する際には定格電流の数倍の起動電流が流れることから,通常のエンジン駆動型発電機1は,モータ負荷の定格出力に対して約3倍の電力を出力できる能力を必要とするが,本実施形態のエンジン駆動型インバータ発電機は,インバータを制御する制御ユニットの機能によりインバータから出力する交流の周波数を一時的に低下させると共に,出力電圧を一次的にブレーカが回路を開くことのない所定値まで低下させるので,モータ負荷の定格出力に対して2倍の電力を出力できる能力があればよい。このことから,接続済みのモータ負荷の消費電力が7.5kWで,更に定格出力7.5kWのモータ負荷を追加接続し起動するには,運転中のモータ負荷の消費電力7.5kWと,新たに起動するモータ負荷の定格出力の2倍にあたる15kWとの合計22.5kWの電力を出力できるようにする必要である。
しかしながら,22.5kWの電力を出力しようとすると,定格回転速度2200min−1で運転されているエンジン駆動型インバータ発電機の定格出力電力(22kW)を超えてしまい,エンジンの停止や,出力電圧の降下により起動済みのモータ負荷の停止が生じるおそれがある。
これに対し,エンジン21の回転速度を,定格回転速度である2200min-1を越えて一時的に2800min-1まで上昇させた場合,発電機1が出力可能な電力が一時的に定格出力電力(22kW)を越えて28kWまで増大するため,追加接続可能負荷も一時的に増大して余裕が生じ,比較的大きな追加負荷の接続を行った場合であっても,エンジンの停止や出力電圧の降下が生じることを防止できるものとなっている。
なお,前述の例のように,追加接続する負荷として,定格電流に対して数倍の起動電流を必要とするモータ負荷を想定した場合であっても,負荷接続時,一時的にエンジンの回転速度を定格回転速度以上に上昇させることで前述のエンジン駆動型インバータ発電機1の例では一時的に22.5kW以上の電力が出力できる回転速度まで上昇させることができれば,消費電力が7.5kWのモータ負荷を接続した状態で,更に定格7.5kWのモータ負荷を追加起動させることができ,負荷の接続後,負荷が通常運転に移行して消費電力が低下(前述の例では,2基のモータ負荷の消費電力が15kW以下に低下)すれば,エンジンの回転速度を定格回転速度(前述の例では2200min-1)における定格出力電力(前述の例では22kW)の範囲で運転することが可能であり,定格回転速度以上でのエンジン21の運転は,追加するモータ負荷の起動時における比較的短時的で良く,エンジン21には大きな負担はかからない。
なお,上記の例では追加負荷起動回転速度を,一例としてエンジン21の定格回転速度以上の回転速度とする例を説明したが,例えば,接続済みのモータ負荷の消費電力が7.5kWで1300min-1の回転速度,13kWの電力が出力可能に運転されているエンジン駆動型インバータ発電機1に対し,更に定格5.5kWのモータ負荷を追加接続し起動しようとした場合のように,接続済みの負荷の消費電力7.5kWと追加接続する負荷の定格出力の2倍にあたる11kWとの合計(18.5kW)がエンジン駆動型インバータ発電機1の定格出力電力(22kW)の範囲内にある等,追加起動する負荷の大きさによっては,追加負荷起動回転速度をエンジンの定格回転速度2200min-1を越えない範囲で設定するものとしても良い。
以上のようにして,エンジンの回転速度を所定の追加負荷起動回転速度(一例として2800min-1)に上昇させる追加負荷起動モードの運転に移行すると,コントローラ8は負荷の状況を示す値として負荷電流を検知する電流検出手段35からの検出信号を受信し,受信した検出信号に基づき,コントローラ8が負荷電流値を経時的に取得し,追加負荷起動モードの開始後,初回取得値を基準電流値として一時記憶する(図8:S35)。
そして,カウンタ経過時間Tと延長時間Tを0(リセット)とすると共に,カウンタのカウントを開始する(図8:S36)。その後再度負荷電流を受信し(図8:S37),取得した負荷電流が記憶している基準電流値に対して所定の値(本実施形態では3A)加算した電流値以上になると(図8:S38),取得した負荷電流を基準電流値として書き換え更新し(図8:S39),現時点のカウンタ経過時間Tに10秒を加算してこの時間(T+10)を延長時間Tとして書き換え更新して(図8:S40),再度負荷電流を受信する(図8:S37)。このように負荷電流が上昇し続けている間,基準電流値と延長時間Tの更新を繰り返す。
再度負荷電流を受信し(図8:S37),新たに取得した負荷電流が記憶している基準電流値に対して所定の値(本実施形態では3A)加算した電流値未満のときには,現時点のカウンタ経過時間Tが30秒以上か判断し(図8:S41),30秒未満のときには再度負荷電流を受信し(図8:S37),30秒以上のときにはカウンタ経過時間Tと記憶している延長時間Tとを比較し(図8:S42),カウンタ経過時間Tが延長時間T未満のときには再度負荷電流を受信し(図8:S37),カウンタ経過時間Tが延長時間T以上のときには追加負荷起動モードを終了する(図8:S43)。このように負荷電流の上昇が検知されない場合,または負荷電流の上昇が止まった場合には所定時間経過(カウンタ経過時間Tが30秒経過し,かつ延長時間T経過)した後追加負荷起動モードを終了し,通常運転モードへ移行する。
なお,コントローラ8は,初回の負荷電流を基準電流値に記憶してから(図8:S35)30秒間に初回の基準電流値に対して3A以上高い電流の検出がされなかった場合,追加の負荷接続が行われなかったものとして,追加負荷起動モードを終了し(図8:S43),これにより,エンジン21を高速運転する追加負荷起動モードから通常運転モードに自動復帰することで,無駄な燃料消費が抑えられるようになっている。
1 エンジン駆動型インバータ発電機
2 発電部
21 エンジン
22 発電機本体
24 電子ガバナ
25 回転速度センサ
26 エンジンコントロールユニット(ECU)
3 電力変換部
31 コンバータ
32 インバータ
33 制御ユニット
34 電流検出手段
35 電流検出手段
4 波形整形部
41 ACリアクトル
42 フィルタコンデンサ
43 コモンモードチョーク
5 ブレーカ
6 出力端子台
7 入力手段
71 周波数設定手段
711 周波数調整ボリューム
712 周波数切替スイッチ
72 出力電圧設定手段
721 出力電圧調整ボリューム
722 出力電圧切替スイッチ
73 追加負荷起動モード開始指令入力手段
74 接続負荷設定手段
75 最低回転速度設定手段
76 スタータスイッチ
8 コントローラ

Claims (8)

  1. エンジン,前記エンジンによって駆動される発電機本体,前記発電機本体で発生した交流を直流に変換するコンバータ,及び前記コンバータより出力された直流を所定の交流に変換して負荷へ供給するインバータを備え,前記エンジンの回転速度が負荷の状況に応じて可変であるエンジン駆動型インバータ発電機において,
    前記負荷の起動後,通常回転速度として設定した所定の回転速度域で前記エンジンを運転する通常運転モードによる制御を実行可能と成すと共に,
    前記通常運転モードで運転されている前記エンジン駆動型インバータ発電機において追加の負荷を起動する前に,前記通常運転モードを終了して,接続済みの負荷に対する電力の供給を継続しつつ,前記エンジンの回転速度を所定の追加負荷起動回転速度に上昇させる追加負荷起動モードへ移行し,
    前記追加負荷起動モード時における追加負荷の起動を検知した後,前記追加負荷起動モードを終了して,前記エンジンを前記通常運転モードに移行することを特徴とするエンジン駆動型インバータ発電機の制御方法。
  2. 前記追加負荷起動モードにおいて,
    前記エンジン駆動型インバータ発電機に接続された負荷の状況を示す値を所定時間経時的に取得し,
    この負荷の状況を示す値を基準値として一時記憶し,
    その後再度取得された負荷の状況を示す値と前記基準値とを比較し,
    再度取得された負荷の状況を示す値が前記基準値に対して所定値高い値以上の場合には,前記基準値を再度取得された負荷の状況を示す値に書き換え更新すると共に,前記所定時間を延長する処理を繰り返し,
    再度取得された負荷の状況を示す値が前記基準値に対して所定値高い値に満たない場合であって,かつ前記所定時間を経過したときに,追加負荷が起動したと検知することを特徴とする請求項1記載のエンジン駆動型インバータ発電機の制御方法。
  3. 前記負荷の状況を,前記エンジン駆動型インバータ発電機に接続された負荷の消費電力により検知することを特徴とする請求項1又は2記載のエンジン駆動型インバータ発電機の制御方法。
  4. 前記負荷の状況を,前記エンジン駆動型インバータ発電機に接続された負荷の電流値により検知することを特徴とする請求項1又は2記載のエンジン駆動型インバータ発電機の制御方法。
  5. エンジン,前記エンジンによって駆動される発電機本体,前記発電機本体で発生した交流を直流に変換するコンバータ,及び前記コンバータより出力された直流を所定の交流に変換して負荷へ供給するインバータを備え,前記エンジンの回転速度が負荷の状況に応じて可変であるエンジン駆動型インバータ発電機において,
    前記エンジン駆動型インバータ発電機に対する各種設定及び/又は動作指示を入力するための入力手段と,
    前記エンジン駆動型インバータ発電機に対して接続される負荷の状況を検知する負荷状況検知手段と,
    前記入力手段を介して入力された各種設定や動作指示と,前記負荷状況検知手段が検知した負荷の状況に基づいて,エンジンやインバータ及びコンバータの動作を制御するコントローラを設け,
    前記負荷の起動後,通常回転速度として設定した所定の回転速度域で前記エンジンを運転する通常運転モードを前記コントローラに実行させるように構成して成り,
    前記入力手段に,エンジンの回転速度を所定の追加負荷回転速度に上昇させる追加負荷起動モードへ移行することの指令を入力するための,追加負荷起動モード開始指令入力手段を設け,
    前記エンジン駆動型インバータ発電機が前記通常運転モードで運転されている状態で,前記追加負荷起動モード開始指令入力手段からの移行指令を受信すると,前記通常運転モードを終了して,接続済みの負荷に対する電力の供給を継続しつつ,前記エンジンの回転速度を所定の追加負荷起動回転速度に上昇させる追加負荷起動モードへ移行すると共に,前記追加負荷起動モード時における追加負荷の起動を検知した後,前記追加負荷起動モードを終了して,前記通常運転モードに移行するよう前記コントローラを構成したことを特徴とするエンジン駆動型インバータ発電機。
  6. 前記コントローラが,
    前記追加負荷起動モード時に,前記エンジン駆動型インバータ発電機に接続された負荷の状況を示す値を所定時間経時的に取得し,
    取得した前記負荷の状況を示す値を基準値として一時記憶し,その後再度取得された負荷の状況を示す値と前記基準値とを比較し,再度取得された負荷の状況を示す値が前記基準値に対して所定値高い値以上の場合には,前記基準値を再度取得された負荷の状況を示す値に書き換え更新すると共に,前記所定時間を延長する処理を繰り返し,
    再度取得された負荷の状況を示す値が前記基準値に対して所定値高い値に満たない場合であって,かつ前記所定時間を経過したときに,追加負荷が起動したと検知する処理を行うように構成したことを特徴とする請求項5記載のエンジン駆動型インバータ発電機。
  7. 前記負荷状況検知手段が,前記負荷の状況として前記エンジン駆動型インバータ発電機に接続された負荷の消費電力を検知することを特徴とする請求項5又は6記載のエンジン駆動型インバータ発電機。
  8. 前記負荷状況検知手段が,前記負荷の状況として前記エンジン駆動型インバータ発電機に接続された負荷の電流値を検知することを特徴とする請求項5又は6記載のエンジン駆動型インバータ発電機。
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