JP5818059B2 - ウイルスの識別方法 - Google Patents
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Description
また、ウイルスの多重感染(例えば、HIV−1とHIV−2の同時感染)では、多重感染に気づかなかった場合、他のウイルスによる感染を見逃す危険性がある。
そしてウイルス由来のプロテアーゼに対する基質の特異的な分解産物の生成率を判定するために、プロテアーゼの基質特異性判定において、ペプチドへの蛍光体形成反応と逆相液体クロマトグラフィーとを利用したペプチド定量方法を適用し、変異が疑われるウイルスと野生型ウイルスのプロテアーゼ活性を比較することで、当該ウイルスが変異ウイルスであるか否かを識別できることを初めて見出した。そして複数の基質ペプチドを組み合わせることで、複数のウイルスプロテアーゼを含む、試料中の複数のウイルスを同時に識別できることも初めて見出した。
本発明者らはこれらの知見に基づいてさらに鋭意研究を行った結果、本発明を完成するに至った。
[1] 以下の工程:
(1)ウイルス由来のプロテアーゼとその基質ペプチドとを接触させて、基質ペプチドを分解させる工程;
(2)ホウ酸溶液中、酸化剤存在下で、工程(1)で得られた分解ペプチドとカテコールまたはその誘導体とを反応させて、蛍光体を製造する工程;
(3)工程(2)で得られた蛍光体を検出する工程
を含む、ウイルスの識別方法。
[2] カテコールまたはその誘導体が、式(I)
[3] 基質ペプチドのN末端アミノ基が保護されている、[1]または[2]に記載の方法。
[4] 基質ペプチドが2種以上の基質ペプチドである、[1]〜[3]のいずれか一に記載の方法。
[5] 酸化剤が過ヨウ素酸ナトリウムである、[1]〜[4]のいずれか一に記載の方法。
[6] 工程(1)で得られた分解ペプチドとカテコールまたはその誘導体との反応が、90℃〜110℃で行われる、[1]〜[5]のいずれか一に記載の方法。
[7] 変異ウイルスの識別方法である、[1]〜[6]のいずれか一に記載の方法。
[8] 以下の工程:
(1)変異が疑われるプロテアーゼとその基質ペプチドとを接触させて、基質ペプチドを分解させる工程;
(2)ホウ酸溶液中、工程(1)で得られた分解ペプチドとカテコールとを反応させて、蛍光体を製造する工程;
(3)工程(2)で得られた蛍光体の蛍光強度を測定する工程
を含む、変異プロテアーゼの検出方法。
[9] カテコールまたはその誘導体が、式(I)
[10] 基質ペプチドのN末端アミノ基が保護されている、[8]または[9]に記載の方法。
[11] 基質ペプチドが2種以上の基質ペプチドである、[8]〜[10]のいずれか一に記載の方法。
[12] 酸化剤が過ヨウ素酸ナトリウムである、[8]〜[11]のいずれか一に記載の方法。
[13] 工程(1)で得られた分解ペプチドとカテコールとの反応が、90℃〜110℃で行われる、[8]〜[12]のいずれか一に記載の方法。
に関する。
また、基質ペプチドの種類を2種以上に増やすことで、複数のウイルス変異を一回の測定で高い識別能をもって判定できる。
基質ペプチドの種類を2種以上に増やすことによっては、さらに複数のウイルスについて同時にウイルス変異を識別することができるようになる点で有用である。すなわち、本発明の識別方法はウイルス変異を基質ペプチドに対するプロテアーゼ活性の変化を指標に識別するため、プロテアーゼ反応により得られたペプチド断片が分離可能である限り、理論上、反応系内にウイルス(プロテアーゼ)が複数種存在しても同時にそれぞれのウイルス変異を識別することができるのである。
(1)変異が疑われるウイルス由来のプロテアーゼとその基質ペプチドとを接触させて、基質ペプチドを分解させる工程;
(2)ホウ酸溶液中、酸化剤存在下で工程(1)で得られた分解ペプチドとカテコールまたはその誘導体とを反応させて、蛍光体を製造する工程;
(3)工程(2)で得られた蛍光体を検出する工程
を含む、ウイルスの検出方法を提供する。以下、各工程に分けて説明する。
本工程は、変異が疑われるウイルス由来のプロテアーゼとその基質ペプチドとを接触させて、基質ペプチドを分解させる工程である。
まずプロテアーゼ遺伝子に自体公知の方法で変異を導入し、この変異遺伝子を適切なベクターに導入して、大腸菌やファージ内で遺伝子を増幅する。次いで増幅した遺伝子を精製し、別の蛋白質発現ベクターに導入し、大腸菌や動物細胞内でプロテアーゼを発現させる。最後に発現したプロテアーゼを自体公知の方法で精製することで、変異プロテアーゼを得ることができる。
Arg−Lys−Ile−Leu−Phe−Leu−Asp−Gly(配列番号1)、
Ala−Arg−Val−Leu−Phe−Glu−Ala−Met(配列番号2)、
Ser−Gly−Ile−Phe−Leu−Glu−Thr−Ser(配列番号3)、
Ser−Gln−Asn−Tyr−Leu−Ile−Val−Gln(配列番号4)
などのペプチドが挙げられる。またウイルスがHCVの場合には、例えば
Asp−Thr−Glu−Asp−Val−Val−Cys−Cys−Ser−Met-Ser−Tyr−Thr−Lys(配列番号5)
などのペプチドが挙げられる。
基質ペプチドのN末端アミノ基の保護に用いられる、「アミノ基の保護基」としては、ペプチドのN末端アミノ基の保護基として通常用いられるものであれば特に限定されず、当業者であれば適宜選択することが可能である。当該アミノ基の保護基としては、ベンジルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、ベンゾイル基、スクシニル基などが挙げられる。
複数の基質ペプチドを用いることによって、得られるペプチドの分解パターンの情報が増えるので、複雑な遺伝子変異の表現型を詳細に分析することが可能になる。例えば変異HIV−1プロテアーゼの検出をする場合、上記した4種類のペプチドを全て変異が疑われるHIV−1プロテアーゼまたは野生型HIV−1プロテアーゼとの反応に付し、後述する解析方法によって、ペプチド断片の生成率に基づくウイルスプロテアーゼ分解パターンを比較することで、当該ウイルスが変異ウイルスであるか否かを識別することができる。
また2種以上の基質ペプチドを用いることによって、異なる種類のウイルスの変異についても一回の測定で同時に検証することが可能となる。つまり異なる種類のウイルスプロテアーゼに対応するそれぞれの基質ペプチドは断片化パターンが異なるので、それぞれのペプチド断片の生成率を分析することによってどのようなウイルスが存在するか、また当該ウイルスが変異ウイルスであるか否かを識別することも可能である。
プロテアーゼの量、基質ペプチドの量、反応液の組成などは、通常のプロテアーゼアッセイのプロトコルに沿って決定することが可能である。
本工程は、ホウ酸溶液中、酸化剤存在下で工程(1)で得られた分解ペプチドとカテコールまたはその誘導体とを反応させて、蛍光体を製造する工程である。
酸化剤の添加量は、後述する蛍光体形成反応を進行させ、特定の波長で発光する蛍光体が形成される限り特に限定されるものではない。しかしながら、反応系中に酸化剤と反応するような物質が存在する場合や、後述する蛍光体形成を妨げるような物質が存在する場合は、酸化剤が消費されて実質的に工程(2)で用いられる酸化剤の量が減少するので、酸化剤の量を増やす必要がある。例えば工程(1)で用いられた、変異が疑われるウイルス(プロテアーゼ)のサンプルが血液や血清であった場合、本工程において血液や血清中のプロテアーゼ以外の物質によって酸化剤が消費される場合がある。このような場合は、通常よりも酸化剤の量を増やすことで本工程を進行させることができる。
このような酸化剤の量は、当業者であれば適宜決定することが可能である。
また「カテコールの誘導体」としては、カテコールのベンゼン環のかわりにナフタレン環、ピリジン環などを配してもよい。
例えば本工程(2)の反応において、N末端にプロリンやグリシンを持つペプチドはカテコールとは反応しにくく、ほとんど蛍光体を形成できないが、カテコールの誘導体は、以下の実施例で示されるように、N末端にプロリンやグリシンを持つペプチドであっても、蛍光体を形成することができる。一方で、N末端にアデニンを持つペプチドはカテコールまたはその誘導体と反応して蛍光体を形成できる。このようにして、本発明のカテコールまたはその誘導体を組み合わせることで、様々な種類の分解ペプチドを蛍光体化することが可能であり、結果として、様々なウイルスについて検出することが可能となる。
工程(2)における一回の反応で用いられるカテコールまたはその誘導体の種類としては、特に限定されず、1種類であってもよいし、2種類以上のカテコールまたはその誘導体を同時に用いてもよい。特に、複数のカテコールまたはその誘導体を用いることによって、得られるペプチドの蛍光修飾パターンの情報が増えるので、複雑な遺伝子変異の表現型を詳細に分析することが可能になる。例えば変異HIV−1プロテアーゼの検出をする場合、上記したペプチドに対し、種々のカテコールまたはその誘導体を全て変異が疑われるHIV−1プロテアーゼまたは野生型HIV−1プロテアーゼとの反応に付し、後述する解析方法によって、蛍光修飾の質的、量的パターンに基づくウイルスプロテアーゼ分解パターンを比較することで、当該ウイルスが変異ウイルスであるか否かを識別することができる。
本工程は、工程(2)で得られた蛍光体を検出することで、ウイルスやそのプロテアーゼが変異しているか否かを分析する工程である。
HPLC条件としては、例えばカテコールを用いた場合は、励起波長を400nm近傍に、蛍光波長を500nm近傍にそれぞれ設定する。カテコール誘導体を用いる場合は、その都度適宜最適な条件を設定することが可能である。これ以外のHPLC条件は特に限定されず、当業者であれば適宜条件を設定することが可能である。
例えば、蛍光体の検出をHPLCで行う場合は、変異が疑われるウイルス由来のプロテアーゼを用いた場合のHPLCピークと、野生型プロテアーゼを用いた場合のHPLCピークのパターンを比較して、問題とするウイルスが変異しているか否かを識別する。より具体的には図1のように、変異ウイルスのプロテアーゼでは、変異によって基質特異性が変化しているため、野生型(a)と比較して、ピークの消失(b)や減少(c)が観察される。このように分離パターンを比較することで、ウイルスが変異しているか否かを識別することができる。
また、HPLCのように得られる蛍光体の検出を同時に行えるのであれば、基質ペプチドの種類を増やすことで、たとえ試料中に複数のウイルスが含まれる場合であっても、一回の測定で識別することが可能となる。
ウイルスに羅患していることが疑われる対象(例、ヒトなどの哺乳動物)の血液や唾液などを採取し、これをウイルスプロテアーゼのサンプルとしてそのまま、または精製して、工程(1)に付す。次いで得られた分解ペプチドを工程(2)に付し、最後に工程(3)で蛍光体を検出する。そして事前に得ておいた特定のウイルスプロテアーゼの基質ペプチドの分解パターンと比較することで、羅患したウイルスがどのようなウイルスであるかを診断することが可能である。
pMalc2xベクターに配列番号6で示される野生型HIV−1プロテアーゼ遺伝子を組み込んだプラスミドを鋳型に、PCRを用いたランダムミューテーションを行った。
Fwdプライマー:5’−TTTGGATCCCCTCAGATCACTCCTTGGCAG−3’(配列番号7)
Revプライマー:5’−AGGAAGCTTTTAAAAATTTAAAGTGCAGCC−3’(配列番号8)
変異型HIV−1プロテアーゼ遺伝子2;配列番号10(Leu5→Pro,Gly57→Arg,Asn83→Tyr)、
変異型HIV−1プロテアーゼ遺伝子3;配列番号11(Leu5→Pro,Gly57→Arg,Asp60→Glu)、
変異型HIV−1プロテアーゼ遺伝子4;配列番号12(Leu5→Pro,Gly57→Arg,Gly68→Arg)。
実施例1で得られた変異型HIV−1プロテアーゼ遺伝子をもつ大腸菌を、2mLのLA液体培地に植菌し、37℃で一晩振盪培養した。一晩培養した培養液1mLを100mLのLA液体培地に植菌し、37℃で3時間継代培養した。終濃度1mMになるようにisopropyl−β−D−thiogalactopyranosideを加え、さらに37℃で3時間培養した。4000×gで20分間遠心分離することで集菌し、菌体を1×PBS 10mLで洗浄した。菌体は、5mLのassay buffer(50mM sodium acetate(pH5.5),1.0M NaCl,1.0mM EDTA,2.5% glycerol)に懸濁後、Model 300 V/T(BioLogics)を用いて超音波破砕(power 40%,pulser 50%,15分間)を行った。次いで、13,500×gで10分間遠心分離を行い、上清を変異型HIV−1プロテアーゼの各サンプル(変異型HIV−1プロテアーゼ1〜4)とした。
(1)HIV−1プロテアーゼによるペプチド分解
4種類のアセチル化ペプチド:
基質1:Acetyl−Arg−Lys−Ile−Leu−Phe−Leu−Asp−Gly(配列番号1)、
基質2:Acetyl−Ala−Arg−Val−Leu−Phe−Glu−Ala−Met(配列番号2)、
基質3:Acetyl−Ser−Gly−Ile−Phe−Leu−Glu−Thr−Ser(配列番号3)、および
基質4:Acetyl−Ser−Gln−Asn−Tyr−Leu−Ile−Val−Gln(配列番号4)、
を基質として用いた。
上記(1)で得られた各反応液(125μL)に、それぞれ2.5mMカテコール100μL、300mM H3BO3−NaOH(pH 7.0)50μL、1.0mM NaIO4 50μLを加え(全量325μL:終濃度としてカテコール0.77mM、Na3BO3 46mM、NaIO4 0.15mM)、100℃で10分間加熱後、氷中にて5分間冷却した。冷却後、反応液を13,500g,5分間遠心分離を行い、上清20μLをHPLCによって分析した。
HPLC条件:移動層;15−80%メタノール+5% 0.25M pH7.0 H3BO3−NaOH(0−40min linear gradient)、励起波長400nm,蛍光波長500nm,カラムODS−100S RP−18e type(150mm×4.6mm i.d,pore size 5mm,Tosoh)。野生型および変異型HIV−1プロテアーゼに関する結果を図2に示す。
抗エイズ薬のHIV−1プロテアーゼ活性の阻害効果を調べる1つの方法として、以下の実験を行った。
野生型および変異型HIV−1プロテアーゼをそれぞれ含む大腸菌抽出液とリトナビルまたはペプスタチンAを混合し(全量94μL:終濃度としてタンパク質0.1μg/μL、リトナビル0.1〜10μM、ペプスタチンA1〜100μM)、37℃で15分間保温した。この溶液に各2.5mMの4種類の基質ペプチドを含む混合液6μLを加え、37℃で2時間反応させた。その後、実施例3と同様に、分解ペプチドを蛍光体へ変換して高速液体クロマトグラフィーによる分離と検出を行った。結果を図3および図4に示す。
これらの結果は、変異によって、阻害剤(抗エイズ薬)に対する抵抗性を獲得したことを示すものであり、本発明の検出方法が、阻害剤をもとに開発された抗ウイルス薬に対して、変異ウイルスが耐性であるか否かを容易に判別できることを示している。
実施例3の酵素反応液の中に10μLのヒト血清を添加し、37℃で2時間酵素反応を行った。その後、実施例3と同様に、分解ペプチドを蛍光体へ変換して高速液体クロマトグラフィーによる分離と検出を行った。このとき、蛍光体への変換反応におけるNaIO4の濃度を1.0mMまたは2.5mMとし、それぞれのクロマトグラムを比較した。結果を図5に示す。
血清存在下1.0mM NaIO4を使用した場合、血清非存在下と比較すると、ピーク高さは50%以下に低下した。しかし、蛍光誘導化反応に用いるNaIO4の濃度を上げることで、ピーク高さを70%以上にまで回復することができた。これは、血清中の成分によって、酸化剤が消費され、蛍光誘導化反応に必要な酸化剤が不足したことを示している。
以上の結果から、酸化剤の濃度を調節することで、たとえサンプルが血液由来のものであっても、ウイルスプロテアーゼを検出可能であることが分かった。
HIV−1プロテアーゼを含む大腸菌抽出液とHIV−1プロテアーゼの基質ペプチドからなる酵素反応液の中に、HCVプロテアーゼおよびHCVプロテアーゼの基質ペプチドを添加し(全量100μL:終濃度としてタンパク質0.1μg/μL、各基質ペプチド0.05mM、HCVプロテアーゼ1.25または2.5ng/μL)、37℃で2時間酵素反応を行った。
このとき、HIV−1プロテアーゼの基質ペプチドとしては実施例3で用いた4種類の基質(配列番号1〜4)を用い、またHCVプロテアーゼの基質ペプチドとしては、Acetyl−Asp−Thr−Glu−Asp−Val−Val−Cys−Cys−Ser−Met−Ser−Tyr−Thr−Lys(配列番号5)を用いた。
その後、実施例3と同様の方法で分解ペプチドを蛍光体へ変換して、高速液体クロマトグラフィーにより蛍光体を分離し、検出した。結果を図6に示す。
このように、基質ペプチドの種類を増やすことで、複数のプロテアーゼを同時に識別可能であることが分かった。
種々のカテコール誘導体は、東京化成工業から購入した。分解ペプチドとしては、カテコールと反応して蛍光を生じるペプチドと蛍光を生じないペプチド(アラニン−グリシン;AG、プロリン−グリシン;PG、グリシン−プロリン;GP)を用意した。
40μMペプチド250μL、0.5mMカテコール誘導体375μL、200mM H3BO3−NaOH(pH 7.0)312μL、1.5mM NaIO4 63μLを加え(終濃度として、各ペプチド10μM、各カテコール誘導体187.5μM、Na3BO3 62.4mM、NaIO4 94.5μM)、100℃で10分間加熱後、氷中にて5分間冷却した。冷却後、反応液を13,500gで5分間遠心分離を行い、上清20μLをHPLCによって分析した。
HPLC条件:移動層;15−80%メタノール+5% 0.25M pH7.0 H3BO3−NaOH(0−40min linear gradient)、励起波長330〜420nm,蛍光波長430〜520nm,カラムODS−100S RP−18e type(150mm×4.6mm i.d,pore size 5mm,Tosoh)。
結果を図7に示す。
Claims (7)
- 以下の工程:
(1)変異が疑われるプロテアーゼとその少なくとも2種のN末端アセチル化基質ペプチドとを接触させて、基質ペプチドを分解させる工程;
(2)ホウ酸溶液中、酸化剤存在下で、工程(1)で得られた分解ペプチドと、下記カテコールまたはその誘導体:
(式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、C 1−6 アルキル、C 1−6 アルキル−カルボキシル、カルボキシル)
とを反応させて、蛍光体を製造する工程;
(3)工程(2)で得られた蛍光体をHPLCで測定する工程;および
(4)工程(3)で得られた測定結果から、変異が疑われるプロテアーゼの基質ペプチドに対する活性と野生型プロテアーゼの該基質ペプチドに対する活性とを該基質ペプチドの分解率を指標に比較し、該変異が疑われるプロテアーゼが変異型であるか否かを識別する工程
を含む、変異プロテアーゼの検出方法。 - 酸化剤が過ヨウ素酸ナトリウムである、請求項1に記載の方法。
- 工程(1)で得られた分解ペプチドとカテコールまたはその誘導体との反応が、80℃〜110℃で行われる、請求項1または2に記載の方法。
- 変異が疑われるプロテアーゼが血液または唾液の生体試料から採取されたものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
- 変異が疑われるプロテアーゼが血液または唾液の生体試料から採取され、該生体試料中に存在する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
- 変異が疑われるプロテアーゼがHIVプロテアーゼである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
- 変異が疑われるプロテアーゼがHIVプロテアーゼであり、以下の工程:
(0)血液または唾液からRNAを抽出し、逆転写酵素を用いて、HIVウイルスのcDNAを作製し、該cDNAを鋳型とするPCRにより、HIVプロテアーゼ遺伝子を増幅し、発現ベクターにクローニングして発現プラスミドを作製し、該発現プラスミドを用いて、大腸菌または動物細胞を形質転換することにより、HIVプロテアーゼを準備する行程
によりHIVプロテアーゼを準備することをさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
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