JP5817539B2 - 脂肪族ポリエステル系重合体組成物及び成形体 - Google Patents
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例えば、特許文献1には、結晶性プロピレン系重合体、ポリ乳酸樹脂、エポキシ基を有するエチレン系重合体、エラストマー類を含む樹脂組成物が開示され、引張破断伸び、耐衝撃性および光沢に優れた自動車、家電、産業分野等に使用可能な樹脂組成物が記載されている。また、剛性や耐衝撃性に優れた樹脂組成物として、特許文献2、特許文献3、特許文献4には、結晶性プロピレン系重合体、ポリ乳酸樹脂、エポキシ基を有するエチレン系重合体に特定のメルトフローレイトからなるエラストマーを含む樹脂組成物が記載されている。
プロピレン系重合体(B)40〜93質量%と、
エポキシ基を含有するエチレン系重合体(C)1〜15質量%と、
エラストマー(D)5〜30質量%(但し、(A)と(B)と(C)と(D)の合計量を100質量%とする)とを含有する脂肪族ポリエステル系重合体組成物であって、
上記エラストマー(D)が、
温度190℃および荷重21.2Nの条件で測定されるメルトフローレイトが0.1〜0.45g/10分であるエチレン−ブテン共重合体(d−1)と、
温度190℃および荷重21.2Nの条件で測定されるメルトフローレイトが3.5〜20g/10分であるエチレン−オクテン共重合体(d−2)からなり、
エチレン−ブテン共重合体(d−1)とエチレン−オクテン共重合体(d−2)の合計量を100重量%とするときに、エチレン−ブテン共重合体(d−1)が15〜45重量%、エチレン−オクテン共重合体(d−2)が55〜85重量%である脂肪族ポリエステル系重合体組成物を提供するものである。
以下、各成分について説明する。
脂肪族ポリエステル系重合体(A)は、ヒドロキシカルボン酸やラクトンからなるポリエステル系重合体や、ジオールとジカルボン酸の重縮合体、及びそれらの共重合体が挙げられる。脂肪族ポリエステル(A)が共重合体の場合、コポリマーの配列の様式は、ランダム共重合体、交替共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等のいずれの様式でもよい。
また、これらは、少なくとも一部が、キシリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート等のような多価イソシアネートや、セルロース、アセチルセルロース、エチルセルロース等のような多糖類等の架橋剤で架橋されたものでもよい。さらに、これらは、少なくとも一部が、線状、環状、分岐状、星形、三次元網目構造等のいずれの構造をとってもよく、何ら制限はなく、ポリオレフィン系樹脂との共重合体や、ポリオレフィン系樹脂とのグラフト重合体であってもよい。
また、この(A)成分は、単独又は組合せて用いることが可能である。
また、ラクトンとしては、プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン、ラウロラクトン等が挙げられる。
脂肪族ポリエステル系重合体(A)としてポリ乳酸を用いる場合、ポリ乳酸としてはそれを構成している乳酸成分中のL体の比率が94モル%以上のものであることが好ましい。L体の比率をこのような範囲とすることにより融点の低下を防ぐことが可能となる。
また、脂肪族ポリエステル系重合体(A)としてのポリ乳酸は、その分子量は6万以上であることが好ましい。
なお本発明において、重量平均分子量(Mw)は、GPCにより、標準ポリスチレンを分子量標準物質として用いて測定された値を用いる。
ポリエチレンサクシネート及びポリブチレンサクシネートは、例えば、特開平6−271656号公報に記載の方法により製造することができる。この方法では、(無水)こはく酸とエチレングリコール(又は1,4−ブタンジオール)とをエステル交換してオリゴマーを得、次いで得られたオリゴマーを重縮合する。
また、特開平4−189822号公報や特開平5−287068号公報に記載されているように、ポリエチレンサクシネート及びポリブチレンサクシネートを製造する際にジイソシアナート又はテトラカルボン酸二無水物を架橋剤として用いてもよい。
また、ポリカプロラクトンは、ε−カプロラクトンとエチレングリコール、ジエチレングリコール等のジオールとを触媒の存在下で反応させて得られる。この反応において用いられる触媒としては、有機スズ化合物、有機チタン化合物、有機ハロゲン化スズ化合物等が挙げられる。これらの触媒を0.1ppm〜5000ppm添加し、100℃〜230℃好ましくは不活性気体中で単量体を重合させることによってポリカプロラクトンが得られる。これらの製法は、例えば、特公昭35−189号、特公昭35−497号、特公昭40−23917号、特公昭40−26557号、特公昭43−2473号、特公昭47−14739号、特開昭56−49720号、特開昭58−61119号等に開示されている。
これらの製造方法のうち、植物由来の原料から製造されたものが好適に用いられる。
本発明で用いられるプロピレン系重合体(以下、成分(B)ともいう)は、プロピレンに由来する単量体単位を有し、プロピレン単独重合体(以下、成分(B−1)ともいう)、及び、プロピレン−エチレン共重合体(以下、成分(B−2)ともいう)からなる群から選ばれる少なくとも1種のプロピレン系重合体が用いられる。
プロピレン−エチレン共重合体(成分(B−2))としては、プロピレン−エチレンランダム共重合体(以下、成分(B−2−1)ともいう)、プロピレン−エチレンブロック共重合体(以下、成分(B−2−2)ともいう)が挙げられる。このプロピレン−エチレンブロック共重合体(成分(B−2−2))とは、プロピレン単独重合体成分と、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分とからなる共重合体である。
プロピレン系重合体(成分(B))として、好ましくは、成形体の剛性、耐熱性又は硬度の観点から、プロピレン単独重合体(成分(B−1))及び、プロピレン−エチレンブロック共重合体(成分(B−2−2))である。
プロピレン−エチレンブロック共重合体(成分(B−2−2))のプロピレン単独重合体成分の、13C−NMRによって測定されるアイソタクチック・ペンタッド分率は成形体の剛性の観点から0.95以上が好ましく、さらに好ましくは0.98以上である。
具体的には、13C−NMRスペクトルによって測定されるメチル炭素領域の吸収ピークの面積に対する、mmmmピークの面積の割合が、アイソタクチック・ペンタッド分率である。この方法によって測定された英国 NATIONAL PHYSICAL LABORATORYのNPL標準物質 CRM No.M19−14Polypropylene PP/MWD/2のアイソタクチック・ペンタッド分率は、0.944であった。
体成分の135℃のテトラリン溶媒中で測定される極限粘度([η]EP)は、成形体の外観の観点から、好ましくは、1.5〜12dl/gであり、より好ましくは2〜8dl/gである。
チーグラー・ナッタ型触媒としては、チタン含有固体状遷移金属成分と有機金属成分を組み合わせて用いる触媒系が挙げられる。メタロセン触媒としては、シクロペンタジエニル骨格を少なくとも1個有する周期表第4族〜第6族の遷移金属化合物及び助触媒成分を組み合わせて用いる触媒系が挙げられる。
重合法としては、スラリー重合法、気相重合法、バルク重合法、溶液重合法、及び、これらを組み合わせた重合法が挙げられる。また重合法は、バッチ式、連続式のいずれでもよく、一段重合でも、多段重合でもよい。また、プロピレン系重合体(成分(B))としては、市販のプロピレン系重合体を用いてもよい。
本発明に用いられるエポキシ基を含有するエチレン系重合体(以下、成分(C)ともいう)は、エポキシ基を含有する単量体に由来する単量体単位と、エチレンに由来する単量体単位とを有する共重合体である。エポキシ基を含有する単量体としては、例えば、グリシジルメタアクリレート、グリシジルアクリレート等のα,β−不飽和グリシジルエステル、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル等のα,β−不飽和グリシジルエーテルを挙げることができ、好ましくはグリシジルメタアクリレートである。
本発明に用いられるエラストマー(以下、成分(D)ともいう)は、エチレン−ブテン共重合体(以下、成分(d−1)ともいう)と、エチレン−オクテン共重合体(以下、成分(d−2)ともいう)からなる。
(d−1)が15重量%以上であると剛性、耐熱性、低温での衝撃強度が高くなり、また(d−1)が45重量%以下であると、ゲート部の衝撃強度や低温での衝撃強度が高くなる。
(1)メルトフローレイト(MFR、単位:g/10分)
JIS K7210(1995)に従い、荷重21.2Nの条件で測定した。
温度は、プロピレン系重合体は230℃、ポリ乳酸系樹脂、エポキシ基を含有するエチレン系重合体及びエラストマーは190℃で測定した。
(2)グリシジルメタアクリレートに由来する単量体単位含有量(単位:質量%)
エポキシ基を含有するエチレン系重合体のプレスシートを作製し、赤外吸収スペクトルの特性吸収の吸光度を厚さで補正して、検量線法により求めた。なお、グリシジルメタアクリレート特性吸収としては、910cm−1のピークを用いた。
幅100mm×長さ400mm×厚み2mmtのキャビティと、幅100mm×厚み2mmtの面中央に幅15mm、厚み2mmtの形状のサイドゲートを有する金型を用い、100mm×400mm×2mmtの成形体を射出成形により得た。この成形体をゲート側から100mmの位置で切り出し、100mm×100mm×2mmtのゲート部切り出し品を得た。このゲート部切り出し品を内径50mm、外径70mmの受け台上に設置し、先端が半径5mmのRを有する撃芯(ダーツ)をゲート部切り出し品中央部に乗せ、撃芯(ダーツ)上に3kgの荷重を自由落下させてJIS K7211に記載された方法・計算に従って試験を行い、50%破壊する高さ(cm)と荷重(kg)から成形品ゲート部の衝撃強度を求めた。
(4)曲げ剛性(FM、単位:MPa)
JIS K7203に規定された方法に従って測定した。射出成形により成形された試験片を用いた。試験片の厚さは3.2mm、曲げ負荷速度は2.0mm/分であり、曲げ剛性(FM)を評価した。測定温度は23℃で行った。
ASTM D 648に規定された方法に従って測定した。射出成形で得られた127mm×12.7mm×6.4mmtの試験片を用いた。試験荷重は0.45MPaで評価した。
(6)アイゾット衝撃強度(単位:J/m)
JIS K 7110(1984)に規定された方法に従って測定した。射出成形により成形された試験片を用いた。試験片の厚さは3.2mmであり、成形の後にノッチ加工されたノッチ付きのアイゾット衝撃強度を評価した。測定温度は−30℃で行った。
成分(A):ポリ乳酸系樹脂
ユニチカ株式会社製「テラマックTE−2000C」
MFR(190℃)=12g/10分
成分(B−1):プロピレン系重合体
プロピレン単独重合体成分と、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分とからなるプロピレン−エチレンブロック共重合体、MFR(230℃)=55g/10分、プロピレン−エチレンブロック共重合体に含まれるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分の含有量=12重量%
成分(B−2):プロピレン系重合体
プロピレン単独重合体、MFR(230℃)=19g/10分
成分(B−3):プロピレン系重合体
プロピレン単独重合体、MFR(230℃)=100g/10分
成分(C):エポキシ基を含有するエチレン系重合体
住友化学株式会社製「ボンドファーストE」(エチレン−グリシジルメタアクリレート共重合体、MFR(190℃)=3g/10分、グリシジルメタアクリレートに由来する単量体単位含有量=12質量%)
(d−1)三井化学株式会社製「タフマーA0250」(エチレン−1−ブテン共重合体、MFR(190℃)=0.27g/10分、密度=859kg/m3)
(d−2)ダウ・ケミカル株式会社製「エンゲージEG8200」(エチレン−1−オクテン共重合体、MFR(190℃)=5.0g/10分、密度=870kg/m3)
(d−3)ダウ・ケミカル株式会社製「エンゲージEG8150」(エチレン−1−オクテン共重合体、MFR(190℃)=0.5g/10分、密度=868kg/m3)
(d−4)ダウ・ケミカル株式会社製「エンゲージ8842」(エチレン−1−オクテン共重合体、MFR(190℃)=1.2g/10分、密度=859kg/m3)
耐候剤として、旭電化工業株式会社製 「アデカスタブ LA52」を0.15質量部と住友化学株式会社製 「スミソーブ400」を0.05質量部、酸化防止剤として、住友化学株式会社製 「スミライザーGA80」を0.05質量部、BASF社製 「IRGAFOS168」を0.05質量部、顔料マスターバッジとして、住化カラー社製、グレー色顔料マスターバッジ(商品名PEM−8Y2386MB)を3質量部用いた。
樹脂組成物を次の方法で製造した。
50mmφ二軸混練押出機(東芝機械社製TEM50A)を用い、表1に示す割合、混練方法で混練を行った。前記押出機は、上流から順に第1原料投入口、第2原料投入口、第3原料投入口の3箇所の原料投入口を有していた。なお、原料の投入は、第1原料投入口から表1の「1stFeed」欄に記載の成分を、第2原料投入口から表1の「2ndFeed」欄に記載の成分を、第3原料投入口から表1の「3rdFeed」欄に記載の成分を、それぞれ投入した。シリンダ温度は190℃に設定し、押出量50kg/時間、スクリュ回転数200rpmで、樹脂組成物のペレットを得た。
なお、表1において、各成分の含有量は、成分(A)、成分(B)、成分(C)及び成分(D)の合計量を100質量%とした。その他の成分の含有量は、上記成分(A)〜成分(D)の合計量を100質量部とした。
また、住友重機械社製SE180D型射出成形機を用いて、成形温度220℃、金型温度35℃、射出時間20秒、冷却時間35秒の条件で、ゲート部の衝撃強度評価用の100mm×400mm×2mmtの平板を成形した。
その結果を表1に示す。
Claims (2)
- 脂肪族ポリエステル系重合体(A)1〜45質量%と、
プロピレン系重合体(B)40〜93質量%と、
エポキシ基を含有するエチレン系重合体(C)1〜15質量%と、
エラストマー(D)5〜30質量%(但し、(A)と(B)と(C)と(D)の合計量を100質量%とする)とを含有する脂肪族ポリエステル系重合体組成物であって、
上記エラストマー(D)が、
温度190℃および荷重21.2Nの条件で測定されるメルトフローレイトが0.1〜0.45g/10分であるエチレン−ブテン共重合体(d−1)と、
温度190℃および荷重21.2Nの条件で測定されるメルトフローレイトが3.5〜20g/10分であるエチレン−オクテン共重合体(d−2)からなり、
エチレン−ブテン共重合体(d−1)とエチレン−オクテン共重合体(d−2)の合計量を100重量%とするときに、エチレン−ブテン共重合体(d−1)が15〜45重量%、エチレン−オクテン共重合体(d−2)が55〜85重量%である脂肪族ポリエステル系重合体組成物。 - 請求項1に記載の脂肪族ポリエステル系重合体組成物からなる成形体。
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