以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
「車両制御装置の全体構成」
本発明の実施形態として示す車両制御装置は、例えば図1に示すように構成される。この車両制御装置は、自車両が走行車線から逸脱する可能性が有る(車線逸脱傾向が有る)ことを検出して当該走行車線から逸脱しないように自車両の挙動を制御すると共に、自車両が走行車線を超えて路外へ逸脱する可能性が有る(路外逸脱傾向が有る)ことを検出して当該路外へ逸脱しないように自車両の挙動を制御するものである。この車両制御装置は、自車両の挙動を制御するために、自車両のヨーモーメントの発生量を制御する。特に、車両制御装置は、自車両の挙動を制御するときに、自車両に後続する後方車両を検出し、当該後方車両の有無等に基づいて、自車両に発生させるヨーモーメントを制御する。
車両制御装置は、コントローラ1に、前方カメラ2、車輪速センサ3、後方カメラ4、車両システム5が接続されている。
前方カメラ2は、走行車線内における自車両位置を検出するための外界認識センサである。この前方カメラ2は、例えば自車両前方に設けられ、数メートル先の車線区分線が撮像可能な撮像範囲とされている。前方カメラ2は、前方カメラ画像を所定時間毎にコントローラ1に出力する。
コントローラ1は、前方カメラ2により撮像された前方カメラ画像から車線区分線を検出し、検出した車線区分線に基づいて、走行車線内の自車両のヨー角Φ、横変位X、走行車線の曲率β、車線種類L_classを検出する。なお、横変位Xとは車線幅方向における車線中心から自車両までの距離を表わし、ヨー角Φとは車線延在方向と自車両進行方向との成す角を表わす。
後方カメラ4は、自車両に後方に存在し、自車両と同じ方向に走行する他車両を検出するための外界認識センサである。この後方カメラ4は、自車両後方に設けられ、数メートル〜数10メートル後方の後方車両が撮像可能な撮像範囲とされている。後方カメラ4は、後方カメラ画像を所定時間毎にコントローラ1に出力する。
コントローラ1は、後方カメラ4により撮像されたから後方カメラ画像から、後方車両の存在の有無及び自車両と後方車両との相対関係に関する情報を生成する。コントローラ1は、後方車両を検出したとき(後方車両の存在を検出したとき)には後方車両検出フラグfRear#lockをセットする。コントローラ1は、自車両から後方車両までの距離vRear#Dist、自車両に対する後方車両の相対速度vRear#Vel、自車両の横位置と後方車両の横位置との差である横位置オフセット量vRear#Y#Distを算出する。なお、上述の後方カメラ4は自車両後方の他車両を検出する外界認識センサであるため、例えばレーザーレーダやミリ波レーダ等に置き換えても良い。この場合はコントローラ1は、レーザーレーダやミリ波レーダ等によって検出されたデータを用い、自車両と後方車両との相対関係に関する情報を生成する。また、後方カメラ4によって後方車両の有無を検出し、レーザーレーダやミリ波レーダ等によって後方車両との相対関係(相対距離、相対速度、横位置オフセット量)を検出する等、これらを複合的に用いても良い。
車輪速センサ3は、自車の車輪速を計測する。車輪速センサ3は、自車両の4輪のそれぞれに対して設けられる。車輪速センサ3は、所定時間毎に車輪速信号をコントローラ1に出力する。これにより、コントローラ1は、自車両の各車輪ごとに、車輪速を検出できる。
車両システム5は、ブレーキ制御装置51、エンジン制御装置52、アクセルペダル制御装置53、シートベルト制御装置54を含む。車両システム5における各制御装置51〜54は、コントローラ1からの制御信号に応じて、自車両の車線逸脱を防止するための制御及び路外逸脱を防止するための制御を行う。
コントローラ1は、実際にはROM、RAM、CPU等にて構成されているが、当該CPUがROMに格納されたプログラムに従って処理をすることによって実現できる機能を有している。
コントローラ1は、前方カメラ2により撮像されたカメラ画像に基づいて、走行車線内の自車両のヨー角Φ、横変位X、走行車線の曲率β等を検出し、検出した車線中心からのヨー角Φ、横変位X、走行車線の曲率β等から自車両が走行車線から逸脱する可能性である車線逸脱傾向が有るか否かを判断する。なお、横変位Xとは車線幅方向における車線中心から自車両までの距離を表わし、ヨー角Φとは車線延在方向と自車両進行方向との成す角を表わす。これらヨー角Φ、横変位X、曲率βを、前方カメラ2により撮像されたカメラ画像から検出された車線区分線に基づいて検出する手法は公知の技術であるので特に詳述はしないが、例えば撮像した画像を俯瞰画像に変換し、俯瞰画像上における車線区分線の画像上下方向に対する角度からヨー角Φを、俯瞰画像上における車線区分線の左右方向位置から横変位Xを、俯瞰画像上における車線区分線の曲率から自車線の曲率βを検出することができる。コントローラ1は、車線逸脱傾向が有ると判断した場合に、自車両が走行車線から逸脱することを回避する方向のヨーモーメントである車線逸脱防止ヨーモーメントを自車両に付与する。
また、コントローラ1は、自車両が走行車線から逸脱した後に、自車両が路外に逸脱する可能性である路外逸脱傾向が有るか否かを判断する。コントローラ1は、路外逸脱傾向が有ることが判断された場合に、自車両が路外に逸脱することを回避する方向のヨーモーメントである路外逸脱防止ヨーモーメントを自車両に付与する。なおここで、本実施例において車線逸脱とは自車両が走行中の走行車線(自車線とも言う)からの逸脱(例えば対向車線、隣接車線、路肩への逸脱)を言い、走行路逸脱とは車両が走行するための走行路からの逸脱(例えば走行路から路肩への逸脱)を言う。また、路外逸脱とは走行路や路肩等を含む道路からの逸脱を言う(図3参照)。
コントローラ1は、自車両の車輪が振動付与構造に接触したか否かを検出し、検出結果に基づいて路外逸脱傾向の有無を判断する。この振動付与構造は、例えばランブルストリップスと称されるものが挙げられる。ランブルストリップスとは、走行路延在方向に沿って設けられた路面上の段差又は窪みにより形成される凹凸である。従って、車両の車輪がランブルストリップス上に乗り上げた(接触した)ときに自車両にノイズ及び/又は振動が発生する。これにより、自車両が路外に逸脱しかけている際に自車両のドライバに注意を喚起することができる。コントローラ1は、ランブルストリップス(振動付与構造)に自車両の車輪が接触(自車両のタイヤがランブルストリップスを踏んだ)ことを検出する。これにより、車両制御装置は、自車両が路外へ逸脱する可能性が有ることを検出して、自車両の路外逸脱(路外への逸脱)を防止する動作を行う。
コントローラ1は、自車両の車輪ごとに、ランブルストリップスに接触したか否かを判断する。コントローラ1は、自車両の4輪のうちいずれかの車輪でランブルストリップスと接触したと判定した場合に、自車両が路外へ逸脱する可能性が有ると判断する。コントローラ1は、ランブルストリップスと接触したと検出された車輪に応じて、自車両を走行路内に戻す制御指令値である路外逸脱防止ヨーモーメント、又は、路外への逸脱速度を低下させるための制御指令値である減速指令値を算出して、車両システム5へ出力する。
このようなコントローラ1は、後方車両との相対関係としての自車両から後方車両までの距離vRear_Dist、自車両に対する後方車両の相対速度vRear_Vel、後方車両検出フラグfRear_lock、自車両の横位置に対する後方車両の横位置である横位置オフセット量vRear_Y_Distに基づいて、車線逸脱防止ヨーモーメント及び路外逸脱防止ヨーモーメントを調整する。コントローラ1は、後方車両が検出されている場合に、車線逸脱防止ヨーモーメントの大きさ又は作動時間を調整して、当該車線逸脱防止ヨーモーメントの制御量を低減する。また、コントローラ1は、車線逸脱防止ヨーモーメントの制御量を低減した後に、路外逸脱傾向が有ると判断した場合には、路外逸脱防止ヨーモーメントの大きさ又は作動時間を調整して、当該路外逸脱防止ヨーモーメントの制御量を増大する。なおここで、車線逸脱防止ヨーモーメントの制御量とは単位時間あたりの車線逸脱防止ヨーモーメントの大きさを作動時間の間、時間積分した値を意味する。従って、(単位時間あたりの)車線逸脱防止ヨーモーメントの大きさが同一であっても作動時間が短い場合は車線逸脱防止ヨーモーメントの制御量は小さくなり、作動時間が同一であっても車線逸脱防止ヨーモーメントの大きさが小さければ車線逸脱防止ヨーモーメント制御量は小さくなる。同様に、(単位時間あたりの)路外逸脱防止ヨーモーメントの大きさが同一であっても作動時間が短い場合は路外逸脱防止ヨーモーメント制御量は小さくなり、作動時間が同一であっても路外逸脱防止ヨーモーメントの大きさが小さければ路外逸脱防止ヨーモーメント制御量は小さくなる。
また、コントローラ1は、上記のように車線逸脱防止ヨーモーメント及び路外逸脱防止ヨーモーメントの双方を調整するとき、後方車両に考慮して自車両の路外逸脱防止を実現するために、路外逸脱防止ヨーモーメントの大きさと作動時間との分担比を調整することもできる。
以下、コントローラ1の更に詳細な構成及び動作について説明する。
「コントローラ1の機能的な構成」
つぎに、上述した車両制御装置におけるコントローラ1の機能的な構成を、図2を参照して説明する。
コントローラ1は、線種判定部11、路外逸脱判断部12、路外逸脱制御作動判断部13、車線逸脱判断部14、ヨーモーメント指令値算出部15、ヨーモーメント指令値補正部16、後方車両検出部17を有する。更に、コントローラ1は、車両システム5に接続されたシートベルト作動指令値算出部18、エンジントルク指令値算出部19、ブレーキ液圧指令値算出部20、ヨーモーメント指令値算出部22、アクセルペダル反力指令値算出部23を有する。
線種判定部11は、カメラ2から供給された前方カメラ画像から自車両が走行している走行車線の左右の車線区分線を検出し、検出した車線区分線の形状を判定する。具体的には例えば前方カメラ2にて撮像された画像を二値化処理する等によって車線区分線を検出し、検出した車線区分線が連続している距離が所定距離以上(例えば10m以上)であれば車線区分線は実線であり、走行路端の車線区分線であると判定し、車線区分線が連続している距離が所定距離未満(例えば10m未満)であれば車線区分線は破線であり、走行路端の車線区分線ではないと判定し、判定結果(左右の車線区分線がそれぞれ、走行路端の車線区分線であるか否か)を車線種類L_classとして車線逸脱判断部14と路外逸脱判断部12に供給する。
なお、本実施形態においては車線種類L_classは実線の車線区分線と破線の車線区分線の二種類としたが、これに限定されない。例えば車線種類L_classを実線の車線区分線、破線の車線区分線及び二重の車線区分線の三種類とし、実線もしくは二重の車線区分線であれば走行路端の車線区分線と判定し、破線の車線区分線であれば走行路端の車線区分線では無いと判定しても良い。また、走行路端の車線区分線の形状と走行路内の車線区分線の形状をナビゲーションの地図情報に対応して記憶しておき、記憶した情報と撮像した車線区分線の形状とを比較して走行路端の車線区分線であるか否かを判定しても良い。すなわち線種判定部11は、自車両が走行車線している車線の左右の車線区分線に対してそれぞれ、走行路端の車線区分線であるか否かを判定し、判定結果を車線種類L_classとして車線逸脱判断部14と路外逸脱判断部12に供給できれば良い。
車線逸脱判断部14は、車輪速センサ3にて検出された車輪速に基づいて自車速Vを検出すると共に、カメラ2により撮像された前方カメラ画像から車線区分線を検出し、検出した車線区分線に基づいて、走行車線内の自車両のヨー角Φ、車線中心からの横変位X、及び走行車線の曲率βを検出し、これら検出した自車速V、ヨー角Φ、横変位X、走行車線の曲率βに基づいて、自車両が走行車線から逸脱する可能性(車線逸脱傾向)が有るか否かの車線逸脱判断を行う。車線逸脱判断部14は、自車速Vが高いほど、走行車線内の自車両のヨー角Φが大ききほど、車線中心からの横変位Xが走行車線に近いほど、走行車線の曲率βが高いほど、大きくなる逸脱推定量を(詳細は後述する)を算出し、算出した逸脱推定量が予め定められた所定値(予め設定された閾値)を超えた場合に、車線逸脱判断フラグを路外逸脱判断部12、制御作動判断部13、ヨーモーメント指令値算出部15に供給してセットする。この車線逸脱判断フラグは、自車両が走行車線に対して左右どちらに逸脱しようとしているかの逸脱方向に応じて、右側逸脱、左側逸脱ごとに生成される。なお、上記車線逸脱判断フラグがセットされた状態で逸脱推定量が予め定められた所定値(予め設定された閾値)以下となった場合には、車線逸脱判断フラグのセットを解除する。
ヨーモーメント指令値算出部15は、車線逸脱判断部14から供給された車線逸脱判断フラグに基づいて、自車両の走行車線からの逸脱を防止するためのヨーモーメント指令値(車線逸脱制御指令値:車線逸脱防止ヨーモーメント)を算出する。また、ヨーモーメント指令値算出部15は、自車両が走行路から逸脱した後に路外逸脱することを防止するためのヨーモーメント指令値(路外逸脱制御指令値:路外逸脱防止ヨーモーメント)も算出する。ヨーモーメント指令値算出部15は、算出した車線逸脱防止ヨーモーメント及び路外逸脱防止ヨーモーメントをヨーモーメント指令値補正部16に供給する。なお、このヨーモーメント指令値算出部15におけるヨーモーメント指令値(車線逸脱防止ヨーモーメント及び路外逸脱防止ヨーモーメント)の算出方法に関しては後述する。
後方車両検出部17は、後方カメラ4から供給された後方カメラ画像に基づいて、後方車両の有無を検出し、後方車両が検出された時に、後方車両検出フラグfRear_lockをセットする。コントローラ1は、後方カメラ画像に基づいて、自車両から後方車両までの距離vRear_Dist、自車両に対する後方車両の相対速度vRear_Vel、自車両の横位置と後方車両との横位置との差である横位置オフセット量vRear_Y_Distを算出する。これらの自車両と後方車両との相対関係に関する情報は、ヨーモーメント指令値補正部16に供給される。なお、後方車両の有無の検出、及び自車両と後方車両との相対関係の算出は、例えば後方カメラ4から供給された後方カメラ画像のオプティカルフローに基づいて算出する等の公知の手法によって算出可能である。
路外逸脱判断部12は、車線逸脱判断部14から供給された車線逸脱判断フラグと、線種判断部11から供給された車線種類L_classに基づいて、自車両が走行路から逸脱する可能性が有るか否かを判断する。具体的には路外逸脱判断部12は、車線逸脱判断フラグがセットされ、且つ車線逸脱判断フラグ基づいて判別される逸脱方向の車線区分線の線種が実線(走行路端の車線区分線)であるか否かを車線種類L_classにもとづいて判定し、逸脱方向の車線区分線が実線である場合に走行路から逸脱する可能性が有ると判定して走行路逸脱判断フラグをセットする。また、車輪速センサ3から供給された車輪速信号に基づいて車輪がランブルストリップスに接触していることが判定された場合にランブルストリップス検出フラグをセットする。そして、走行路逸脱判断フラグ及びランブルストリップス検出フラグがセットされた場合に、自車両が走行路から逸脱しており、この後路外逸脱する可能性が有る(路外逸脱傾向が有る)と判定し、路外逸脱判断フラグを制御作動判断部13及びヨーモーメント指令値補正部16に供給してセットする。すなわち、自車両が走行路を逸脱する可能性が有る状態で(走行路逸脱判断フラグがセットされた状態で)、車輪がランブルストリップスに接触していることが判定された場合に(ランブルストリップス検出フラグがセットされた場合に)、路外逸脱する可能性が有る(路外逸脱傾向が有る)と判定し、路外逸脱判断フラグをセットする。ここで、車輪速センサ3から供給された車輪速信号に基づいて車輪がランブルストリップスに接触していることを判定する判定内容に関して説明する。
路外逸脱判断部12は、車輪速センサ3から供給された車輪速信号に基づいて、自車両の振動を算出する。このとき、路外逸脱判断部12は、各輪の車輪速に基づいて、例えば各輪の車輪速をそれぞれ微分処理して各輪の車輪加速度を算出する。路外逸脱判断部12は、各輪の車輪加速度に基づいて、各輪に対応した矩形波信号を生成し、ある車輪に対応する矩形波信号の周波数が所定の周波数閾値以上の場合には、車輪がランブルストリップスと接触していると判定する。ここで、上記矩形波信号の生成及び車輪がランブルストリップスと接触しているか否かの判定に関して、図34を用いて詳述する。
図34は車輪の加速度、加速度に基づいて生成される矩形波信号、車輪がランブルストリップスと接触していると判定された際にセットされるランブルストリップス検出フラグを表している。この図34に記載の通り先ず、車輪の加速度の絶対値と予め定められた所定の振幅閾値Aとを比較し、車輪の加速度の絶対値が所定の振幅閾値A以上である場合に1、車輪の加速度の絶対値が所定の振幅閾値A未満である場合に0となる信号を生成することにより矩形波信号を生成する。そして、矩形波信号の周波数が予め定められた所定の周波数以上である場合、具体的には予め定められた所定時間Ta(例えば30msec)の間に矩形波信号の立ち上がりが予め定められた所定回数N(例えば3回)以上検出された場合に、車輪がランブルストリップスに接触していると判定してランブルストリップス検出フラグをセットする。すなわち、車輪に発生する振動のうちの所定の振幅閾値以上の振幅の振動が、所定の周波数以上である場合に車輪がランブルストリップスに接触したと判定する。この車輪がランブルストリップスに接触したか否かの判定は各車輪それぞれに対して行い、いずれかの車輪がランブルストリップスに接触したことが判定された場合に、ランブルストリップスに接触した車輪の位置(左前輪、右前輪、左後輪、右後輪)を表す情報を含むランブルストリップス検出フラグをセットする。
なお上記振幅閾値Aは予め実験等によって得られた、車輪がランブルストリップスに接触することによって発生する車輪の加速度以下であって且つ、路面の細かな凹凸(例えばアスファルト表面の凹凸)によって車輪に発生する加速度以上の値が設定されている。また、上記所定回数Nも同様に、予め実験等によって得られた、車輪がランブルストリップスに接触することによって所定時間Ta間に発生する車輪の加速度の振動回数以下の値であって且つ、路面のうねり等によって発生する車輪の加速度の振動回数以上の値が設定されている。 また、上記所定時間Taは車速が大きくなるほど大きく設定する等、車速に応じて可変としても良い。
そして路外逸脱判断部12は上述の通り、走行路逸脱判断フラグがセットされ(すなわち走行路からの逸脱傾向が検出され)、且つランブルストリップス検出フラグがセットされ(すなわち車輪がランブルストリップスと接触していると判定され)た場合に、路外逸脱傾向が発生していると判定して、路外逸脱判断フラグを制御作動判断部13及びヨーモーメント指令値補正部16に供給してセットする。
なお、例えば車輪の上下Gを検出する上下Gセンサを各車輪に設け、路外逸脱判断部12は上下Gセンサで検出された上下Gに基づいて各車輪とランブルストリップスとの接触を判断しても良い。この場合、路外逸脱判断部12は、上下Gセンサによって検出された上下加速度に基づいて、上記と同様に矩形波信号を生成し、生成した矩形波信号に基づいて、各車輪がランブルストリップスに接触しているか否かを判断する。すなわち、ランブルストリップスは、予め定められた所定距離毎に設けられた段差又は窪みによって形成されているため、車輪がランブルストリップスに接触している際には車輪の加速度に振動が発生すると共に、車輪の上下Gに振動が発生する。従って、車輪の加速度の振動もしくは車輪の上下Gの振動に基づいて、自車両の車輪がランブルストリップスと接触していると判断することができる。
ヨーモーメント指令値補正部16は、後方車両検出部17から供給された自車両と後方車両との相対関係に関する情報に基づいて、ヨーモーメント指令値算出部15から供給された車線逸脱防止ヨーモーメント及び路外逸脱防止ヨーモーメントを補正する。ヨーモーメント指令値補正部16は、後方車両検出部17によって後方車両が検出されている場合には車線逸脱防止ヨーモーメントを所定値より低減し、その後に、路外逸脱傾向が有ると判断された場合には路外逸脱防止ヨーモーメントを増大させるように補正する。なお、このヨーモーメント指令値補正部16による補正方法の詳細は、後述するものとする。ヨーモーメント指令値補正部16は、ヨーモーメント指令値算出部15から供給された路外逸脱防止ヨーモーメント及び車線逸脱防止ヨーモーメントを補正していなければそのまま制御作動判断部13に出力し、補正していれば補正後の路外逸脱防止ヨーモーメント及び車線逸脱防止ヨーモーメントを制御作動判断部13に出力する。
制御作動判断部13は、路外逸脱判断部12から供給された路外逸脱フラグ、車線逸脱判断部14から供給された車線逸脱判断フラグ、ヨーモーメント指令値補正部16から供給された車線逸脱防止ヨーモーメント及び路外逸脱防止ヨーモーメントに基づいて、車両システム5を制御する。制御作動判断部13は、車両システム5の各部を制御する制御信号を、シートベルト作動指令値算出部18、エンジントルク指令値算出部19、ブレーキ液圧指令値算出部20、ヨーモーメント制御部22、アクセルペダル反力指令値算出部23、警報装置54に供給する。
制御作動判断部13は、ヨーモーメント指令値補正部16から供給された路外逸脱防止ヨーモーメントに基づいて、ヨーモーメントを自車両に付与するよう制御信号を生成して後述するヨーモーメント制御部22に出力する。具体的には、路外逸脱判断フラグがセットされている場合には(車線逸脱判断フラグのセット状態に関わらず)路外逸脱防止ヨーモーメントに基づく制御信号を生成して後述するヨーモーメント制御部22に出力する。一方、路外逸脱判断フラグがセットされておらず、車線逸脱判断フラグのみがセットされている場合には車線逸脱防止ヨーモーメントに基づく制御信号を生成して後述するヨーモーメント制御部22に出力する。また、路外逸脱判断フラグに基づいて後述するシートベルト作動指令値算出部18、エンジントルク指令値算出部19、ブレーキ液圧指令値算出部20、ヨーモーメント制御部22、アクセルペダル反力指令値算出部23、警報装置54に作動指令を出力する。
シートベルト作動指令値算出部18は、制御作動判断部13から供給された作動指令を基に、シートベルト作動指令値を算出し、当該指令値をシートベルト制御装置54に供給する。
エンジントルク指令値算出部19は、制御作動判断部13から供給された作動指令に基づいてエンジントルク指令値を算出し、当該指令値をエンジン制御装置52に供給する。
ブレーキ液圧指令値算出部20は、制御作動判断部13から供給された作動指令に基づいて、ブレーキ液圧指令値を算出し、当該指令値をブレーキ制御装置51に供給する。
ヨーモーメント制御部22は、制御作動判断部13から供給された車線逸脱防止ヨーモーメントもしくは路外逸脱防止ヨーモーメントに基づいて、左右車輪のブレーキ液圧の差としての液圧差指令値を算出し、当該指令値をブレーキ制御装置51に供給する。
アクセルペダル反力指令値算出部23は、制御作動判断部13から作動指令が供給された場合には、アクセルペダル反力指令値を算出し、当該指令値をアクセルペダル制御装置53に供給する。
「車両制御装置の全体動作」
つぎに、上述したように構成された車両制御装置による、路外逸脱防止のための全体動作について説明する。
例えば図3に示すように、自車両が位置P1から走行していて、実線の走行車線L1を横切って、位置P2にて右前車輪RがランブルストリップスRSを踏み、その後に、位置P3にて左前車輪LがランブルストリップスRSを踏んで、位置P4に走行した場面についての動作を説明する。
車両制御装置は、図4に示すような動作を、自車両走行時において一定間隔毎に連続的に行う。
先ず、ステップS1において、コントローラ1は、前方カメラ2の前方カメラ画像、後方カメラ4の後方カメラ画像、車輪速センサ3の検出値(各輪の車輪速Vwi(i=1〜4))等の各種データを読み込む。具体的には、コントローラ1の線種判別部11がカメラ2で撮像された前方カメラ画像を、車線逸脱判断部14が前方カメラ2で撮像された前方カメラ画像及び車輪速センサ3の検出値を、路外逸脱判断部12が車輪速センサ3の検出値を、後方車両検出部17が後方カメラ4で検出された後方カメラ画像及び車輪速センサ3の検出値を、それぞれ読み込む。
次のステップS2において、コントローラ1は、車輪速センサ3の検出値に基づく自車速Vを算出すると共に、前方カメラ2の前方カメラ画像に基づいて車線区分線を検出して横変位X、ヨー角Φ、走行車線の曲率β、車線種類L_class等の車両走行状態を検出及び算出する。具体的にはコントローラ1の線種判別部11が左右の車線区分線のそれぞれが走行路端の車線区分線であるか否かの判定結果である車線種類L_classを、車線逸脱判断部14が自車速V、横変位X、ヨー角Φ及び走行車線の曲率βを、後方車両検出部17が自車速Vを、それぞれ検出及び算出する。本実施形態において、コントローラ1の車線逸脱判断部14及び、後方車両検出部17は、通常走行時に、例えば後輪駆動の車両の場合は、前輪の車輪速Vw1,Vw2の平均値として、自車速Vを算出する。具体的には、コントローラ1は、下記の式1により、自車速Vを算出する。
V=(Vw1+Vw2)/2 (式1)
なお、ABS制御などの車速を用いたシステムが作動している場合には、そのようなシステムで使用している自車速(推定車速)を用いても良い。
次のステップS3において、車線逸脱判断部11によって車線逸脱判断を行う。このとき、車線逸脱判断部11は、ステップS2にて検出した前方カメラ画像に基づく横変位X、ヨー角Φ、走行車線の曲率β及び自車速Vに基づいて、車線逸脱判断を行う。この車線逸脱判断に関して具体的に説明する。まず、車線逸脱判断部14は逸脱推定量を算出する。本実施形態では、ステップS2にて算出した自車速V、前方カメラ画像に基づく横変位X、ヨー角Φ、走行車線の曲率βを用いて、下記の式2に従って、逸脱推定量Xsを算出する。なお、カメラ画像に基づく横変位X、ヨー角Φ、走行車線の曲率βはいずれも左方向を正値、右方向を負値とする。
Xs = Tt × V × ( Φ + Tt × V × β ) + X (式2)
ここで、Ttは、前方注視距離算出用の車頭時間である。すなわち、上記(式2)からわかる通り逸脱推定量Xsとは、現在から車頭時間経過後の自車両の車線幅方向位置の車線中央からの距離の推定値、つまり車頭時間経過後の横変位の推定値を表す。そして、車線逸脱判断部14は、算出された逸脱推定量Xsと予め定められた逸脱判断閾値Xc(即ち予め定められた所定の横変位であり、車線幅の半分以下の予め定められた値)とを比較して、逸脱推定量Xsの絶対値が逸脱判断閾値Xc以上である場合に自車両が走行車線から逸脱する傾向が有る(車線逸脱傾向が有る)ことを判断する。これはすなわち、車頭時間経過後の自車両の車線幅方向位置が車線中心から逸脱判断閾値Xcの位置よりも車線外側である場合に車線逸脱傾向が有ると判断することを意味し、言い換えれば自車両の車線幅方向位置と車線端(車線端の車線区分線)との距離が所定距離以下となった場合に車線逸脱傾向が有ると判断することを意味する。具体的には、下記の(1)〜(3)の場面が想定される。
(1)コントローラ1は、算出した逸脱推定量Xsが逸脱判断閾値Xc以上(Xs≧Xc)である場合、自車両が左側に逸脱する傾向が有ると判断し、車線逸脱判断フラグFldを「LEFT」に設定する(車線逸脱判断フラグをセットする)。
(2)コントローラ1は、算出した逸脱推定量Xsが逸脱判断閾値Xcの負値以下(Xs≦−Xc)である場合、自車両が右側に逸脱する傾向が有ると判断し、車線逸脱判断フラグFld「RIGHT」に設定する(車線逸脱判断フラグをセットする)。
(3)コントローラ1は、上記場面(1)、(2)に該当しない場合、自車両に車線逸脱傾向が無いと判断し、車線逸脱判断フラグFldを「OFF」に設定する(車線逸脱判断フラグをセットしない)。
次のステップS4において、コントローラ1の路外逸脱判断部12は、自車両が走行路から逸脱する傾向に有るか否か(走行路逸脱傾向の有無)の判定である走行路逸脱判断を行う。このとき、路外逸脱判断部12は、ステップS3にて線種判別部11が検出した車線種類L_classと、車線逸脱判断部14で設定した車線逸脱判断フラグFldとに基づいて、走行路逸脱判断を行う。例えば、車線逸脱判断フラグFldが「RIGHT」、且つ、逸脱方向の車線種類L_classが走行路端の車線区分線(例えば実線)の場合、路外逸脱判断部12は、走行路逸脱フラグFlg_road_departの値を、「1」とする。すなわち、車線逸脱判断フラグFldに基づいて車線逸脱傾向の有無及び車線逸脱方向を判別し、車線逸脱傾向が有る場合に車線逸脱方向の車線区分線の線種を車線種類L_classに基づいて判別し、車線逸脱方向の車線区分線の線種が走行路端の車線区分線(例えば実線)であれば、走行路逸脱フラグFlg_road_departの値を「1」とする(走行路逸脱フラグFlg_road_departをセットする)。一方、それ以外の場合は走行路逸脱フラグFlg_road_departの値を「0」とする(走行路逸脱フラグFlg_road_departをセットしない)。
次のステップS5において、ヨーモーメント指令値算出部15は次式に従って自車両の走行車線からの逸脱を防止するための目標となる車線逸脱防止ヨーモーメントMsを算出する。このとき、ヨーモーメント指令値算出部15は、下記の(1)、(2)の場合に分けて車線逸脱防止ヨーモーメントMsを算出する。
(1)車線逸脱判断フラグFld = LEFT 又は RIGHT の場合、すなわち車線逸脱判断フラグがセットされている場合、
車線逸脱防止ヨーモーメントMs= -Kv2 × Ks2 (式3)
なる式3に従って、車線逸脱防止ヨーモーメントMsを算出する。
(2)車線逸脱判断フラグFld = OFF の場合、すなわち車線逸脱判断フラグがセットされていない場合、車線逸脱防止ヨーモーメントMsを「0」とする。
式3において、Kv2は車両諸元によって定まる定数であり、Ks2は自車速Vに応じて変動するゲインである。
また、ヨーモーメント指令値算出部15は、次式に従って自車両の路外逸脱を防止するための目標となる路外逸脱防止ヨーモーメントMrを算出する。
路外逸脱防止ヨーモーメントMr = Kr2 × f(Φ、v) (式4)
上記式4において、Kr2は補正ゲインである。f(Φ、v)は走行車線内の自車両のヨー角Φと自車速Vの関数である。このf(Φ、v)によれば、走行車線内の自車両のヨー角Φが大きいほど路外逸脱防止ヨーモーメントMrを大きくし、自車速Vが高いほど路外逸脱防止ヨーモーメントMrを大きくする。なお、上記車線逸脱防止ヨーモーメントMs及び路外逸脱防止ヨーモーメントMrの方向は、いずれも自車両の向き(進行方向)を車線中央方向に制御する方向のヨーモーメントである。
次のステップS6において、路外逸脱判断部12は、車輪速センサ3からの車輪速信号に基づいて、自車両の各車輪がランブルストリップスRSに接触したかを検出する。ステップS4にて走行路逸脱フラグFlg_road_departがセットされ、かつ自車両の車輪がランブルストリップスRSに接触したことを検出した場合には路外逸脱判断フラグをセットしてステップS7に処理を進める。一方、走行路逸脱フラグFlg_road_departがセットされていない、もしくは自車両の車輪がランブルストリップスRSに接触したことを検出していない場合には路外逸脱判断フラグをセットせずにステップS7に進む。
ここで、ランブルストリップスに接触したかの検出は、各輪について行う。図5に示すように、(1)のように右前輪FRでランブルストリップスRSを検出した場合は、右前輪検出フラグfRS_HIT_FRを「1」とし、(3)のように左前輪FLでランブルストリップスRSを検出した場合は、左前輪検出フラグfRS_HIT_FLを「1」とし、(2)のように右後輪RRでランブルストリップスRSを検出した場合は、右後輪検出フラグfRS_HIT_RRを「1」とし、(4)のように左後輪RLでランブルストリップスRSを検出した場合は、左後輪検出フラグfRS_HIT_RLを「1」とする。なお、これら右前輪検出フラグfRS_HIT_FR、左前輪検出フラグfRS_HIT_FL、右後輪検出フラグfRS_HIT_RR、左後輪検出フラグfRS_HIT_RLを総称してランブルストリップス検出フラグと言う。
なお、以下の説明では、前輪でランブルストリップスRSを検出した際の制御作動を記載するが、後輪でランブルストリップスRSを検出した時であっても制御動作をしても良い。また、以下では右側に逸脱した例を示すが、左側に逸脱したときでは、逆側のフラグを利用して同様の処理を行うことになる。
次のステップS7においては、後方車両検出部17によって自車両の後方車両を検出したか否かを判定する。自車両の後方車両を検出した場合にはステップS7に処理を進め、自車両の後方車両を検出していない場合には、ステップS8に処理を進める。
後方車両を検出した場合、後方車両検出部17は、自車両と後方車両との相対関係に関する情報を算出する。具体的には、後方車両検出部17は、後方カメラ4から供給された後方カメラ画像に対し、特徴点を抽出してオプティカルフローを算出する等の処理を行うことによって自車両から所定範囲内に存在する後方車両を検出したときには、後方車両検出フラグfRear_lockを「1」にセットする。また、後方車両検出部17は、後方カメラ画像内の後方車両の大きさ等から自車両から後方車両までの距離vRear_Distを求める。更に後方車両検出部17は、後方カメラ画像内における後方車両の横位置から、横位置オフセット量vRear_Y_Distを求める。更に後方車両検出部17は、後方カメラ画像内の特徴点を抽出してオプティカルフローを算出する等によって、自車両に対する後方車両の相対速度vRear_Velを求める。なお、この自車両と後方車両との相対関係に関する情報(自車両から後方車両までの距離vRear_Dist、横位置オフセット量vRear_Y_Dist、自車両に対する後方車両の相対速度vRear_Vel)の算出方法はこれに限定されず、例えばレーザーレーダやミリ波レーダ等のレーダ装置によって検出しても良い。自車両と後方車両との相対関係は上述のような公知の手法によって検出可能であり、いずれの手法を用いるかは適宜変更可能である。
次のステップS8においては、ヨーモーメント指令値補正部16は、ヨーモーメント指令値算出部15で算出されたヨーモーメント指令値としての車線逸脱防止ヨーモーメントMs及び路外逸脱防止ヨーモーメントMrを補正して、補正した車線逸脱防止ヨーモーメントMs及び路外逸脱防止ヨーモーメントMrを制御作動判断部13に出力する。具体的にはヨーモーメント指令値補正部16は、ステップS7にて後方車両が検出されている場合には、車線逸脱防止ヨーモーメントMsを低減し、路外逸脱防止ヨーモーメントMrを増大させるよう、双方のヨーモーメント指令値を補正する。なおここで、ステップS7において後方車両が検出されていない場合、ヨーモーメント指令値補正部16は、ヨーモーメント指令値算出部15で算出された車線逸脱防止ヨーモーメントMs及び路外逸脱防止ヨーモーメントMrを補正せずに制御作動判断部13に出力する。
ヨーモーメント指令値補正部16は、車線逸脱防止ヨーモーメントMsと路外逸脱防止ヨーモーメントMrとの分担比を調整することが望ましい。また、ヨーモーメント指令値補正部16は、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの作動時間の増加分と大きさの増加分との比を調整することが望ましい。なお、この双方のヨーモーメント指令値の分担比については後述する。
次のステップS9において、コントローラ1は、制御作動判断部13にて、警報装置45の警報作動判断を行う。具体的には、図6に示すように、ステップS6でセットされた路外逸脱判断フラグと、右前輪検出フラグfRS_HIT_FR、左前輪検出フラグfRS_HIT_FL、右後輪検出フラグfRS_HIT_RR、左後輪検出フラグfRS_HIT_RLとに基づいて、警報作動判断を行う。
例えば、図3のように自車両が走行路から右方向に逸脱する場面を想定し、図6以降を用いて説明する。自車両に車線逸脱傾向が発生して車線逸脱判断フラグFldが「RIGHT」となり(図6における(A))、その後に右前輪検出フラグfRS_HIT_FRが「1」となったの場合(図6における(B))には路外逸脱判断フラグがセットされ、該路外逸脱判断フラグに基づいて制御作動判断部13が警報装置54に1次警報作動指令を出力することにより路外逸脱に対する1次警報を作動させ、1次警報フラグfWOW_FIRSTを「fWOW_FIRST=1」とする。そして、右前輪検出フラグfRS_HIT_FRを「1」とした後に、左前輪検出フラグfRS_HIT_FLを「fRS_HIT_FL=1」となった場合には(図6における(C))、制御作動判断部13が警報装置54に2次警報作動指令を出力することにより路外逸脱に対する2次警報を作動させ、2次警報フラグfWOW_SECONDを「fWOW_SECOND=1」とする。ここで、上記2次警報は1次警報に対して、運転者により明確に、自車両の路外逸脱の可能性を報知するものである。具体的には、例えば1次警報における警報音よりも2次警報における警報音を大きくする、もしくは1次警報を警報音のみとして2次警報を警報音と警報ランプの点灯とする等、2次警報は1次警報に対して、運転者に強い警報を行なうものである。
なお、この例では、右側逸脱に対して1次警報フラグfWOW_FIRST、2次警報フラグfWOW_SECONDを遷移させたが、点線の走行車線L2に逸脱する左側逸脱に対しても、左側車輪の検出フラグを利用して同様の処理を実施することとなる。
次のステップS10において、コントローラ1は、制御作動判断部13により、シートベルト制御作動判断を行う。具体的には、図7に示すように、路外逸脱判断フラグと、左前輪検出フラグfRS_HIT_FL、右前輪検出フラグfRS_HIT_FRに応じて、シートベルト作動判断を行う。
例えば、右側に車線逸脱傾向が発生して車線逸脱判断フラグFldが「RIGHT」となり(図7における(A))、その後、右前輪がランブルストリップスRSを踏んで右前輪検出フラグfRS_HIT_FRが「1」となった場合(図7における(B))に路外逸脱判断フラグがセットされ、1次シートベルト作動フラグfPSB1_ACTを「1」とする。さらに、左前輪がランブルストリップスRSを踏んで左前輪検出フラグfRS_HIT_FLが「1」となった場合(図7における(C))には、2次シートベルト作動フラグfPSB2_ACTを「1」とする。
次のステップS11において、コントローラ1は、制御作動判断部13により、アクセルペダル制御作動判断を行う。具体的には、路外逸脱判断フラグと、左前輪検出フラグfRS_HIT_FL、右前輪検出フラグfRS_HIT_FRに応じて、アクセルペダル制御作動判断を行う。
例えば、右側に車線逸脱傾向が発生して車線逸脱判断フラグFldが「RIGHT」となり(図8における(A))、その後、右前輪がランブルストリップスRSを踏んで右前輪検出フラグfRS_HIT_FRが「1」となった場合(図8における(B))に路外逸脱判断フラグがセットされ、1次アクセルペダル作動フラグfFFP1_ACTを「1」とする。さらに、左前輪がランブルストリップスRSを踏んで左前輪検出フラグfRS_HIT_FLが「1」となった場合(図8における(C))には、2次アクセルペダル作動フラグfFFP2_ACTを「1」とする。
次のステップS12において、コントローラ1は、制御作動判断部13により、エンジントルク制御作動判断を行う。具体的には、路外逸脱判断フラグと、左前輪検出フラグfRS_HIT_FL、右前輪検出フラグfRS_HIT_FRに応じて、エンジン制御作動判断を行う。
例えば、右側に車線逸脱傾向が発生して車線逸脱判断フラグFldが「RIGHT」となり(図9における(A))、その後、右前輪がランブルストリップスRSを踏んで右前輪検出フラグfRS_HIT_FRが「1」となった場合(図9における(B))に路外逸脱判断フラグがセットされ、1次エンジン作動フラグfETRQ1_ACTを「1」とする。さらに、左前輪がランブルストリップスRSを踏んで左前輪検出フラグfRS_HIT_FLが「1」となった場合(図9における(C))には、2次エンジン作動フラグfETRQ2_ACTを「1」とする。
次のステップS13において、コントローラ1は、制御作動判断部13により、ヨーモーメント制御作動判断を行う。具体的には、路外逸脱判断フラグ及び車線逸脱判断フラグFldと、右前輪検出フラグfRS_HIT_FRに応じて、ヨーモーメント制御作動判断を行う。
例えば、右側に車線逸脱傾向が発生して車線逸脱判断フラグFldが「RIGHT」(図10における(A))となった場合には、ヨーモーメントの発生を指令するフラグとしてのヨーモーメント作動フラグをセットするとともに、ヨーモーメント指令値補正部16から入力した車線逸脱防止ヨーモーメントMsをヨーモーメント制御部21に出力する。その後、右前輪がランブルストリップスRSを踏んで右前輪検出フラグfRS_HIT_FRが「1」となった場合(図10における(B))に、路外逸脱判断部12にて路外逸脱判断フラグがセットされ、このセットされた路外逸脱判断フラグに基づいて、路外逸脱防止ヨーモーメントの発生を指令するフラグとしての路外逸脱防止ヨーモーメント作動フラグfMOM1_ACTを「1」セットするとともに、ヨーモーメント指令値補正部16から入力した路外逸脱防止ヨーモーメントMrをヨーモーメント制御部21に出力する。すなわち制御作動判断部13は、車線逸脱判断フラグがセットされた場合には車線逸脱防止ヨーモーメントMsをヨーモーメント制御部21に出力し、路外逸脱判断フラグがセットされた場合には路外逸脱防止ヨーモーメントMrをヨーモーメント制御部21に出力する。
次のステップS14において、コントローラ1は、制御作動判断部13により、減速制御作動判断を行う。具体的には、路外逸脱判断フラグと、左前輪検出フラグfRS_HIT_FL、右前輪検出フラグfRS_HIT_FRに応じて、減速制御作動判断を行う。
例えば、右側に走行路逸脱傾向が発生して車線逸脱判断フラグFldが「RIGHT」となり(図11における(A))、その後、右前輪検出フラグfRS_HIT_FRが「1」となり(図11における(B))路外逸脱判断フラグがセットされ、さらに左前輪検出フラグfRS_HIT_FLが「1」となった場合(図11における(C))に、自車両を減速させる減速作動フラグfPCMD_ACTを「1」とする。
次のステップS15において、コントローラ1は、シートベルト作動指令値算出部18により、シートベルト制御量を算出する。図12に示すように、ステップS10で判断されたシートベルト作動フラグに応じて、シートベルト制御量を算出する。例えば、1次シートベルト作動フラグfPSB1_ACTが「1」となった場合には、Aといった予め定められた所定の巻き上げ量だけ所定時間に亘りシートベルトを巻き上げ、シートベルトの張力を増大させる。1次シートベルト作動の後に、2次シートベルト作動フラグfPSB2_ACTが「1」となった場合、1次シートベルト作動時よりも大きい力で、巻き上げ量をA〜Bに亘りシートベルトを巻き上げる。
次のステップS16において、コントローラ1は、アクセルペダル反力指令値算出部22により、アクセルペダル制御量を算出する。図13に示すように、ステップS11で判断されたアクセルペダル作動フラグに応じて、アクセルペダル制御量を算出する。例えば、1次アクセルペダル作動フラグfFFP1_ACTが「1」となった場合は、Aといった予め定められた所定のアクセル反力量だけ、所定時間に亘りアクセルペダル反力を増加させるような指令値とする。ここでは、所定量、所定時間としたが、例えば、逸脱時のヨー角が0となるまで作動させてもよい。また、1次アクセルペダル作動後、2次アクセルペダル作動フラグfFFP2_ACTが「1」となった場合は、1次アクセルペダル作動時の制御量Aよりも大きなアクセルペダル反力Bとなるように指令値を算出する。また、逸脱度に応じて指令値を算出しても良い。
次のステップS17において、コントローラ1は、エンジントルク指令値算出部19により、エンジントルク低減制御量を算出する。図14に示すように、ステップS12で判断されたエンジントルク作動フラグに応じて、エンジントルク低減制御量を算出する。例えば、1次エンジン作動フラグfETRQ1_ACTが「1」となった場合には、ドライバのアクセル開度に応じたエンジン駆動トルクを予め定められた所定のエンジントルク低減制御量Aだけ所定時間に亘り低減させるような指令値とする。1次エンジン制御作動後、2次エンジン作動フラグfETRQ2_ACTが「1」となった場合は、1次エンジン作動時の低減制御量Aよりも大きな低減制御量Bとなるように指令値を算出する。
次のステップS18において、コントローラ1は、ヨーモーメント制御部22により、車線逸脱防止ヨーモーメントMs、路外逸脱防止ヨーモーメントMrに基づいた液圧差指令値を算出する。
ヨーモーメント制御部22は、ステップS13でヨーモーメント作動フラグがセットされた場合に液圧差指令値を算出する。例えば、ヨーモーメント制御部22は、図15に示すように、ヨーモーメント作動フラグがセットされたときに車線逸脱防止ヨーモーメントMsが入力していれば、自車両に車線逸脱防止ヨーモーメントMsが発生するように液圧差指令値を算出し、ヨーモーメント作動フラグがセットされたときに路外逸脱防止ヨーモーメントMrが入力していれば、自車両に路外逸脱防止ヨーモーメントMrが発生するように液圧差指令値を算出する。すなわち、ヨーモーメント作動フラグがセットされた際に液圧差指令値の算出を判断し、液圧差指令値は入力するヨーモーメント(車線逸脱防止ヨーモーメントMsもしくは路外逸脱防止ヨーモーメントMr)に基づいて算出される。なお、自車両に所望のヨーモーメントを発生させるために付与する左右輪の液圧差の算出方法は周知の技術であるのでここでは詳述しないが、例えばヨーモーメントの値に対する左右輪の液圧差をマップとして記憶しておき、入力するヨーモーメントの大きさ(車線逸脱防止ヨーモーメントMsもしくは路外逸脱防止ヨーモーメントMr)に基づいてマップ引きによって液圧差指令値を算出すれば良い。ここで、車線逸脱防止のためのヨーモーメント作動フラグは、車線逸脱判断フラグFldもしくは路外逸脱フラグFlg_road_departがセットされたときにセットされる。これにより、ヨーモーメントの制御量としての車線逸脱防止ヨーモーメントMsに基づく液圧差指令値は、時刻taにて所定値Aが設定され、路外逸脱防止ヨーモーメントMrに基づく液圧差指令値は、時刻ta後の時刻tbにて所定値Aが設定される。
次のステップS19において、コントローラ1は、ブレーキ液圧指令値算出部20により、減速制御量を算出する。図16に示すように、ステップS14で判断された減速作動フラグに応じて、減速制御量を算出する。例えば、減速作動フラグfPCMD_ACTが「1」となった場合に、予め定められた所定のブレーキ液圧値で所定時間に亘り、車両各輪のブレーキを作動させるように指令値を算出する。また、車速が0となるまで減速制御を継続するような指令値としても良い。
次のステップS20において、コントローラ1は、ステップS15〜ステップS19にて算出された各制御量を車両システム5に出力する。これにより、コントローラ1は、シートベルト制御装置54によるシートベルトの巻き上げ量、エンジン制御装置52によるエンジントルク量、ブレーキ制御装置51によるブレーキ液圧、アクセルペダル制御装置53によるアクセルペダル反力、警報装置45による警報を制御する。
「ヨーモーメント制御量の調整処理」
つぎに、上述した車両制御装置において、自車両の後方車両が検出された場合に、車線逸脱防止ヨーモーメントMs及び路外逸脱防止ヨーモーメントMrのそれぞれのヨーモーメントの制御量を調整することについて、説明する。
車線逸脱防止ヨーモーメントMsは、式3に従って設定され、路外逸脱防止ヨーモーメントMrは、式4に従って、ヨーモーメント指令値算出部15によって設定される。ヨーモーメント指令値補正部16は、自車両と後方車両との相対関係に応じて、車線逸脱防止ヨーモーメントMsを低減し、路外逸脱防止ヨーモーメントMrを増大させるよう補正する。これにより、車両制御装置は、車線逸脱及び路外逸脱の双方を防止するためのヨーモーメントの制御量を、車線逸脱防止ヨーモーメントMsと路外逸脱防止ヨーモーメントMrに分担させる。このとき、ヨーモーメント指令値補正部16は、後方車両検出フラグfRear_lock、自車両から後方車両までの距離vRear_Dist、自車両に対する後方車両の相対速度vRear_Vel、横位置オフセット量vRear_Y_Distに基づいて、車線逸脱防止ヨーモーメントMsと路外逸脱防止ヨーモーメントMrとの分担比を設定する。
ヨーモーメント指令値補正部16は、図17に示すように、ヨーモーメントの制御量を、車線逸脱防止ヨーモーメントMsと路外逸脱防止ヨーモーメントMrとで同じとする。図17は、縦軸を単位時間当たりにおけるヨーモーメントの大きさ(絶対値)、横軸をヨーモーメントを発生させる作動時間として、ヨーモーメントの大きさとヨーモーメントを発生させる作動時間の積算値(すなわち図17の車線逸脱防止ヨーモーメントMs及び路外逸脱防止ヨーモーメントMrに対応した実線内の面積)をヨーモーメントの制御量としてを示している。なお、後述する図20、図21、図23においても本図17と同様に、縦軸を単位時間当たりにおけるヨーモーメントの大きさ、横軸をヨーモーメントを発生させる作動時間として記載する。
自車両の後方車両が検出された場合、ヨーモーメント指令値補正部16は、ヨーモーメントの制御量を、図18に示すように、車線逸脱防止ヨーモーメントMsに対する路外逸脱防止ヨーモーメントMrの割合を調整して、車線逸脱防止ヨーモーメントMsの制御量と路外逸脱防止ヨーモーメントMrの制御量との分担比を調整する。分担比が0.5である場合、路外逸脱防止ヨーモーメントMrは、車線逸脱防止ヨーモーメントMsと同じ制御量である。ヨーモーメント指令値補正部16は、車線逸脱防止ヨーモーメントMsの制御量よりも路外逸脱防止ヨーモーメントMrの制御量を大きく設定するよう、分担比を0.5よりも高くする。以下、車線逸脱防止ヨーモーメントMsの制御量及び路外逸脱防止ヨーモーメントMrの制御量の調整処理について、具体的に説明する。
(第1のヨーモーメント制御量の調整処理)
第1のヨーモーメント制御量の調整処理は、後方車両が検出された場合に、車線逸脱防止ヨーモーメントMsと路外逸脱防止ヨーモーメントMrの制御量の分担比を補正する。
自車両と後方車両との相対関係は、例えば図19に示すように、自車両V1と後方車両V2との距離vRear_Dist、自車両V1に対する後方車両V2の相対速度vRear_Vel、横位置オフセット量vRear_Y_Dist等を用いる。
具体的には、ヨーモーメント指令値補正部16は、後方車両V2と自車両V1の余裕時間TTCもしくは車間時間THWを算出する。TTCは、現在の自車両V1に対する後方車両V2の相対速度vRear_Velが維持されると仮定して、後方車両V2が自車両V1に追いつくまでの予測時間であり、THWは後方車両V2が現在の速度で現在の自車両V1の位置に到達する時間である。すなわちTTCとは自車両と後方車両との車間距離を自車両に対する後方車両の相対速度で除算した値であり、THWとは自車両と後方車両との車間距離を後方車両の現在の速度で除算した値である。これらの値は、自車両V1と後方車両V2との接近度合いを表す。
ヨーモーメント指令値補正部16は、自車両V1が実線の走行車線L1から逸脱する傾向が有ると判断された場合に、車線逸脱判断フラグFldがセットされ、当該セットされた時の余裕時間TTC(もしくは車間時間THW)に応じて、車線逸脱防止ヨーモーメントMsと路外逸脱防止ヨーモーメントMrとの制御量の分担比を調整する。例えば、図20に示すように、車線逸脱防止ヨーモーメントMs及び路外逸脱防止ヨーモーメントMrの作動時間を同じとし、車線逸脱防止ヨーモーメントMsの大きさをAからA’に低減させ、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの大きさをBからB’に増大する。図21に示すように、車線逸脱防止ヨーモーメントMsの大きさをAからA’に低くし、大きさAはそのままにして車線逸脱防止ヨーモーメントMsの作動時間をBからB’に長くしても良い。
ヨーモーメント指令値補正部16は、図22に示すように、余裕時間TTC(もしくは車間時間THW)が長いほど、車線逸脱防止ヨーモーメントMsに対する路外逸脱防止ヨーモーメントMrの制御量の割合を高くするよう分担比を調整する。すなわち、車線逸脱防止ヨーモーメントMsよりも路外逸脱防止ヨーモーメントMrが大きいという条件下で、後方車両V2との余裕時間TTC(もしくは車間時間THW)が短い場合は路外逸脱防止ヨーモーメントMrの分担比を大きくし、逆に、自車両V1との余裕時間TTC(もしくは車間時間THW)が長い場合は、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの分担比を小さくする。ここで、分担比の最小値は、車線逸脱防止ヨーモーメントMsの制御量と路外逸脱防止ヨーモーメントMrの制御量とが同じ制御量となる0.5とする。
更に、ヨーモーメント指令値補正部16は、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの分担比を大きくするために、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの大きさ、作動時間の何れかを変更したが、例えば図23に示すように、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの大きさと作動時間の双方を変更しても良い。この場合、車線逸脱防止ヨーモーメントMsの大きさをAからA’に低くした制御量だけ、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの大きさをB1からB1’に増大するよう補正し、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの作動時間をB2からB2’に長くするよう補正する。
このとき、ヨーモーメント指令値補正部16は、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの大きさを増大することによる制御量の増大分と、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの作動時間を増大することによる制御量の増大分との比を変更しても良い。路外逸脱防止ヨーモーメントMrの作動時間が長いほど、自車両V1の走行軌跡を緩やかに走行車線内に戻すようにできる。また、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの大きさを増大することによって、急峻にヨーモーメントを自車両V1に付与でき、路外逸脱の可能性を低減させることができる。
ヨーモーメント指令値補正部16は、図24に示すように、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの作動時間と大きさの分担比を決定する。例えば、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの増大分のうち、半分の増大量を路外逸脱防止ヨーモーメントMrの大きさの増大分とし、残りの半分の増大量を路外逸脱防止ヨーモーメントMrの作動時間の増大分とした場合、分担比は、0.5となる。
以上説明したように、本発明の実施形態として示した車両制御装置によれば、自車両に車線逸脱傾向が有ると判断した場合には、自車両に車線逸脱防止ヨーモーメントMsを付与して車線逸脱を防止し、更に自車両に路外逸脱傾向が有ると判断した場合には自車両に路外逸脱防止ヨーモーメントMrを付与して路外逸脱を防止する。これにより、車線逸脱防止ヨーモーメントMsを大きくすることなく自車両の路外逸脱を確実に防止することができる。
ここで、後方車両V2が存在する場合、自車両に車線逸脱防止ヨーモーメントMsを付与したことによって発生する自車両の挙動が大きいと、後方車両V2の運転者に違和感を与える可能性が有る。すなわち、例えば自車両V1に走行車線L1からの車線逸脱傾向が発生した際に車線逸脱防止ヨーモーメントMsを付与することのみで路外逸脱を防止しようとした場合、自車両V1に大きな車線逸脱防止ヨーモーメントMsを付与する必要が有る。このように、自車両V1に走行車線L1からの車線逸脱傾向が発生した際に自車両V1に大きな車線逸脱防止ヨーモーメントMsを付与した場合には、図25に示す様に、急峻に自車両V1が実線の走行車線L1内に戻る走行軌跡を描き、位置P1,P2’,P3’のような急峻な車両挙動を伴う走行軌跡T’となる。これにより、後方車両V2のドライバに違和感を与えることがある。
これに対し本発明の実施形態として示した車両制御装置によれば、後方車両V2が検出されている場合に、車線逸脱傾向が有ると判断した場合には、車線逸脱防止ヨーモーメントMsの大きさ又は作動時間を調整して、当該車線逸脱防止ヨーモーメントMsの制御量を低減する。そして、車線逸脱防止ヨーモーメントMsの制御量を低減した後に、路外逸脱傾向が有ると判断した場合には、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの大きさ又は作動時間を調整して、当該路外逸脱防止ヨーモーメントMrの制御量を増大する。
これにより、この車両制御装置によれば、後方車両V2が存在する場合に、後方車両V2の運転者に与える違和感を抑制しながら適切に自車両V1が路外逸脱を抑制することできる。すなわち、後方車両V2が検出されたときに、車線逸脱防止ヨーモーメントMsを低減して運転者に与える違和感を抑制しても、自車両V1の路外への逸脱を防止することができる。
すなわち、例えば図25に示すように、後方車両V2が存在する場合には、自車両に走行車線L1からの車線逸脱傾向が発生した際に自車両に付与する車線逸脱防止ヨーモーメントMsを、後方車両V2が存在しない場合に比して低減する。その後自車両V1が位置P1にて走行車線L1から逸脱し、自車両V1が位置P1からP2に走行して、ランブルストリップスRSと接触して路外逸脱防止ヨーモーメントMrを発生させるときには、当該路外逸脱防止ヨーモーメントMrを車線逸脱防止ヨーモーメントMsを低減していない場合に比して増大させる。これにより、自車両V1は、車線逸脱防止ヨーモーメントMsを低減したことによって位置P3まで逸脱しても、路外逸脱防止ヨーモーメントMrによって位置P4,P5のように、緩やかに実線の走行車線L1内に戻るような走行軌跡Tで走行できる。
また、この車両制御装置によれば、自車両V1の車輪がランブルストリップスRSに接触していると判断された場合に、路外逸脱傾向が有ると判断するので、自車両V1がランブルストリップスRSに接触したときに、増大した路外逸脱防止ヨーモーメントMrを付与でき、自車両V1を実線の走行車線L1内に戻すことができる。
更に、この車両制御装置によれば、自車両V1の位置と実線の走行車線L1との距離を検出し、当該検出した距離が所定距離以下となった場合に車線逸脱傾向が有ると判断するので、自車両V1の車線逸脱を防止することができる。
更に、この車両制御装置によれば、後方車両V2の接近度合い(TTC等)が高いほど、車線逸脱防止ヨーモーメントMsの制御量を低減し、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの制御量を増大する。これにより、車両制御装置によれば、後方車両V2が接近しているときには、図26に示した緩やかな走行軌跡Tによって自車両V1を実線の走行車線L1内に戻すことができ、後方車両V2を考慮して適切なヨーモーメントを付与できる。
(第2のヨーモーメント制御量の調整処理)
つぎに、第2のヨーモーメント制御量の調整処理について説明する。
第2のヨーモーメント制御量の調整処理は、走行車線の幅方向における自車両と後方車両との相対位置(すなわち、自車両V1の横位置と後方車両V2との横位置との差)に基づいて、車線逸脱防止ヨーモーメントMs及び路外逸脱防止ヨーモーメントMrを調整するものである。以下、この第2のヨーモーメント制御量の調整処理の形態について説明する。
この第2のヨーモーメント制御量の調整処理は、図26に示すように、自車両が走行する走行車線の車線幅W、走行車線の幅方向における自車両と後方車両との相対位置である横位置オフセット量vRear_Y_Dist、後方車両V2の実線の走行車線L1からの距離に応じて、車線逸脱防止ヨーモーメントMsと路外逸脱防止ヨーモーメントMrとの分担比、及び、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの大きさと作動時間との分担比を調整するものである。
この車両制御装置において、後方車両検出部17は、自車両V1の横位置と自車両V1との横位置との差である横位置オフセット量vRear_Y_Distを検出する。そして、ヨーモーメント指令値補正部16は、横位置オフセット量vRear_Y_Distの差が小さいほど、車線逸脱防止ヨーモーメントMsの制御量を低減し、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの制御量を増大する。これにより、横位置オフセット量vRear_Y_Distが小さく後方車両V2が回避行動をとりずらいときには、車線逸脱防止ヨーモーメントMsを低減して、緩やかな走行軌跡Tで実線の走行車線L1内に戻るようヨーモーメントを付与する。
また、この車両制御装置において、後方車両検出部17は、後方車両V2と実線の走行車線L1の端との幅方向における距離を検出する。そして、ヨーモーメント指令値補正部16は、後方車両V2と実線の走行車線L1の端との幅方向における距離が短いほど、車線逸脱防止ヨーモーメントMsの制御量を低減し、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの制御量を増大する。これにより、後方車両V2と実線の走行車線L1の端との幅方向における距離が短く回避行動をとりずらいときには、車線逸脱防止ヨーモーメントMsを低減して、緩やかな走行軌跡Tで実線の走行車線L1内に戻るようヨーモーメントを付与する。
このような第2のヨーモーメント制御量の調整処理において、車両制御装置は、後方車両の横位置オフセット量vRear_Y_Dist及び後方車両V2と走行車線端との幅方向における距離に応じて、車線逸脱防止ヨーモーメントMsを低減し、且つ路外逸脱防止ヨーモーメントMrを増大させることに加え、以下のように路外逸脱防止ヨーモーメントMrの調整を行う。
第2のヨーモーメント制御量の調整処理では、走行車線の車線幅Wに基づいて、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの増大分のうち、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの大きさの増大分と路外逸脱防止ヨーモーメントMrの作動時間の増大分との比を調整する。図27に示すように、走行車線の車線幅Wが狭い場合には、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの作動時間の増大分を、車線逸脱防止ヨーモーメントMsの大きさの増大分よりも大きくする。逆に、走行車線の車線幅Wが広い場合には、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの作動時間の増大分を、車線逸脱防止ヨーモーメントMsの大きさの増大分よりも小さくする。これにより、走行車線の車線幅Wが広い場合には緩やかな挙動で自車両V1を走行車線内に戻すよう路外逸脱防止ヨーモーメントMrを発生させ、走行車線の車線幅Wが狭い場合には急峻な挙動で自車両V1を走行車線内に戻すよう路外逸脱防止ヨーモーメントMrを発生させる。
また、第2のヨーモーメント制御量の調整処理では、横位置オフセット量vRear_Y_Distに基づいて、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの増大分のうち、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの大きさの増大分と路外逸脱防止ヨーモーメントMrの作動時間の増大分との比を調整しても良い。図28に示すように、横位置オフセット量vRear_Y_Distが大きい場合には、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの作動時間の増大分を、車線逸脱防止ヨーモーメントMsの大きさの増大分よりも小さくする。逆に、横位置オフセット量vRear_Y_Distが小さい場合には、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの作動時間の増大分を、車線逸脱防止ヨーモーメントMsの大きさの増大分よりも大きくする。これにより、横位置オフセット量vRear_Y_Distが小さい場合には緩やかな挙動で自車両V1を走行車線内に戻すよう路外逸脱防止ヨーモーメントMrを発生させ、横位置オフセット量vRear_Y_Distが大きい場合には急峻な挙動で自車両V1を走行車線内に戻すよう路外逸脱防止ヨーモーメントMrを発生させる。
以上のように、第2のヨーモーメント制御量の調整処理によれば、以下の効果を発揮する。
車両制御装置によれば、横位置オフセット量vRear_Y_Distが小さいほど、車線逸脱防止ヨーモーメントMsの制御量を低減し、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの制御量を増大するので、横位置オフセット量vRear_Y_Distが小さく後方車両V2が自車両V1の挙動変化に対して回避行動をとりにくいときには、緩やかな走行軌跡Tで実線の走行車線L1に戻すようヨーモーメントを付与できる。
また、この車両制御装置によれば、後方車両V2と実線の走行車線L1端との幅方向における距離が短いほど、車線逸脱防止ヨーモーメントMsの制御量を低減し、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの制御量を増大する。したがって、この車両制御装置によれば、後方車両V2が実線の走行車線L1に近く、自車両V1が走行車線に戻ることを回避しにくいので、緩やかな走行軌跡Tで自車両V1を実線の走行車線L1内に戻すことができ、後方車両V2のドライバに与える違和感を低減できる。
更にこの車両制御装置によれば、走行車線の車線幅Wに基づいて、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの増大分のうち、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの大きさの増大分と路外逸脱防止ヨーモーメントMrの作動時間の増大分との比を調整する。これにより、車両制御装置は、走行車線の車線幅Wが狭いほど後方車両V2が自車両V1を回避しにくいことを考慮して、走行車線の車線幅Wが狭いほど、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの作動時間を長くして緩やかな走行軌跡Tで実線の走行車線L1内に自車両V1を戻すことができる。逆に、走行車線の車線幅Wが広いほど後方車両V2が自車両V1を回避しやすいことを考慮して、走行車線の車線幅Wが広いほど、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの作動時間を短くして急峻な走行軌跡T’で実線の走行車線L1内に自車両V1を戻すことができる。
更にまた、この車両制御装置によれば、横位置オフセット量vRear_Y_Distが大きいほど、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの増大分のうち、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの作動時間の増大分を小さくできる。これにより、横位置オフセット量vRear_Y_Distが大きいほど、後方車両V2が自車両V1を回避しやすいことを考慮して、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの作動時間を短くして、急峻な走行軌跡T’とし、自車両V1が路外逸脱することを回避できる。逆に、横位置オフセット量vRear_Y_Distが小さい場合には、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの作動時間を長くできる。これにより、横位置オフセット量vRear_Y_Distが小さいほど、後方車両V2が自車両V1を回避しずらいことを考慮して、緩やかな走行軌跡Tで自車両V1を実線の走行車線L1内に戻すことができる。
(第3のヨーモーメント制御量の調整処理)
つぎに、第3のヨーモーメント制御量の調整処理について説明する。なお、この第3のヨーモーメント制御量の調整処理においても、上述したように、後方車両V2の存在に応じて車線逸脱防止ヨーモーメントMsを低減し、路外逸脱防止ヨーモーメントMrを増大させる。路外逸脱防止ヨーモーメントMrを増大させるとき、車両制御装置は、第3のヨーモーメント制御量の調整処理によって路外逸脱防止ヨーモーメントMrを調整する。
第3のヨーモーメント制御量の調整処理において、車両制御装置は、自車両V1が走行する走行路の勾配を検出する。ヨーモーメント指令値補正部16は、検出された勾配に基づいて、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの増大分のうち、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの大きさの増大分と路外逸脱防止ヨーモーメントMrの作動時間の増大分との比を調整する。
例えば図29に示すように、車両制御装置は、自車両が位置Pから位置P’まで移動しているときの勾配θを検出する。そして、第3のヨーモーメント制御量の調整処理では、勾配θに基づいて、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの増大分のうち、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの大きさの増大分と路外逸脱防止ヨーモーメントMrの作動時間の増大分との比を調整する。
図30に示すように、登り勾配である場合には、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの作動時間の増大分を、車線逸脱防止ヨーモーメントMsの大きさの増大分よりも大きくする。逆に、下り勾配である合には、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの作動時間の増大分を、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの大きさの増大分よりも小さくする。これにより、登り勾配である場合には緩やかな挙動で自車両V1を走行車線内に戻すよう路外逸脱防止ヨーモーメントMrを発生させ、下り勾配の場合には急峻な挙動で自車両V1を走行車線内に戻すよう路外逸脱防止ヨーモーメントMrを発生させる。
この車両制御装置によれば、走行路の勾配によって自車両V1及び後方車両V2の走行速度が高くなる下り坂の場合には、後方車両V2が自車両V1を回避しずらいので、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの作動時間を長くできる。これにより、この車両制御装置によれば、緩やかな走行軌跡Tで自車両V1を実線の走行車線L1内に戻すことができる。また、車両制御装置によれば、走行路の勾配によって自車両V1及び後方車両V2の走行速度が低い登り坂の場合には、後方車両V2が自車両V1を回避しやすいので、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの作動時間を短くして、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの大きさを高くできる。これにより、この車両制御装置によれば、急峻な走行軌跡T’で自車両V1を実線の走行車線L1内に戻すことができる。
(第4のヨーモーメント制御量の調整処理)
つぎに、第4のヨーモーメント制御量の調整処理について説明する。なお、この第4のヨーモーメント制御量の調整処理においても、上述したように、後方車両V2の存在に応じて車線逸脱防止ヨーモーメントMsを低減し、路外逸脱防止ヨーモーメントMrを増大させる。路外逸脱防止ヨーモーメントMrを増大させるとき、車両制御装置は、第4のヨーモーメント制御量の調整処理によって路外逸脱防止ヨーモーメントMrを調整する。
第4のヨーモーメント制御量の調整処理は、後方車両V2の走行状態に応じて路外逸脱防止ヨーモーメントMrを調整する。この車両制御装置において、後方車両検出部17は、検出された後方車両V2の走行状態を検出する。
例えば図31に示すように、自車両V1は、後方車両V2から車車間通信によって送信された後方車両情報を受信する。この後方車両情報には、後方車両V2が所定の速度を維持して走行する所謂クルーズコントロール機能を使用して走行しているか否かの情報、当該機能の設定車速が含まれている。このクルーズコントロール機能は、ドライバによって設定された設定車速となるよう実車速を制御するものであり、且つ、先行車両を認識している場合には設定車速以内で先行車両との距離が所定距離以上となるよう実速度を調整するものである。
ヨーモーメント指令値補正部16は、後方車両V2から、当該後方車両V2がクルーズコントロール機能を使用している最中である情報を受信した場合、図32に示すように、当該クルーズコントロール機能における設定速度と実速度との差を求める。後方車両V2の実速度は、後方車両V2から車車間通信によって取得しても良く、自車両V1の実速度と後方車両V2間の相対速度とに基づいて算出しても良い。
ヨーモーメント指令値補正部16は、図33に示すように、後方車両V2の設定車速と実速度との差が小さい場合には、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの作動時間の増大分を、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの大きさの増大分よりも大きくする。逆に、後方車両V2の設定車速と実速度との差が大きい場合には、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの作動時間の増大分を、車線逸脱防止ヨーモーメントMsの大きさの増大分よりも小さくする。これにより、後方車両V2の設定車速と実速度との差が小さい場合には緩やかな挙動で自車両V1を走行車線内に戻すよう路外逸脱防止ヨーモーメントMrを発生させ、後方車両V2の設定車速と実速度との差が大きい場合には急峻な挙動で自車両V1を走行車線内に戻すよう路外逸脱防止ヨーモーメントMrを発生させる。
この車両制御装置によれば、後方車両V2が定速走行をしており、当該定速走行時の設定車速と実車速との偏差が大きい場合には、路外逸脱防止ヨーモーメントMrの作動時間を短くする。これにより、車両制御装置によれば、急峻な走行軌跡T’で自車両V1を実線の走行車線L1内に戻すようヨーモーメントを付与できる。
後方車両V2がクルーズコントロール機能を使用していた場合、自車両V1が車線逸脱した際に、後方車両V2によって自車両V1が認識されないロストが発生する可能性がある。後方車両V2に自車両V1のロストが発生した時、後方車両V2が設定車速以下で走行していた場合は、後方車両V2の実速度を設定車速にするよう加速する可能性がある。この時、自車両V1の車両制御装置は、自車両V1が車線逸脱制御及び路外逸脱制御を作動させたときに、後方車両V2のドライバに自車両V1の挙動変化に違和感を与える可能性がある。このため、車両制御装置は、車線逸脱防止ヨーモーメントMsを低減し、路外逸脱防止ヨーモーメントMrを増大する。これにより、後方車両V2のドライバに与える違和感を低減することができる。
更に、車両制御装置は、設定車速と実速度との差が小さいときには車線逸脱防止ヨーモーメントMsの作動時間を長くして、緩やかな走行軌跡Tで実線の走行車線L1内に戻るようにヨーモーメントを付与して、後方車両V2のドライバの違和感を低減できる。
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。