以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
まず図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る搬送装置20を説明する。図1(A)は搬送装置20の部分側面図、(B)は搬送装置20の部分平面図である。搬送装置20は、対象物としてのロールRを搬送する対象物コンベアとしてのロールコンベア21と、ロールコンベア21上のロールRを軸線Rxまわりに回転させる回転手段としての回転装置25と、ロールコンベア21上のロールRを監視する監視カメラ28と、制御装置60とを備えている。
ここで図2を参照して、ロールRが消費者に使用される形態である製品Pについて説明する。ロールRは、本実施の形態では、合成樹脂製のラップフィルムFが円筒状に巻回されたものである。ロールRは、カートンCに収容されている。カートンCは、紙製の箱であり、細長い直方体の箱の一面が開口Chとなった本体部Cbと、開口Chまわりの本体部Cbを覆うようにして開口Chを塞ぐ蓋部Ccとから構成されている。円筒状に巻回されたラップフィルムFの先端には、カートンCを開封して初めて使用する際のラップフィルムFの引き出しを容易にする引出シールTが貼付されている。ラップフィルムFは、先端がロールRに貼り付いていると先端を摘みにくいが、引出シールTを摘んで引き出すことにより、容易に先端をロールRから剥離させることができる。引出シールTは、細長いテープの表面に、引き出し方向を示す矢印が表示された目印部Taと、目印部Ta以外の貼付部Tbとが表示されている。本実施の形態では、引出シールTの長さが、ロールRの断面の円周の1/3程度に形成されている。目印部Taは、引出シールTの先端から引出シールTの長さの1/6〜1/3程度を占めている。貼付部Tbは、本実施の形態では表面が赤色で着色されており、裏面には粘着剤が塗布されている。引出シールTは、目印部TaがラップフィルムFの先端から飛び出し、貼付部TbがラップフィルムFの先端を跨ぐようにして、ロールRに貼付されている。
製品Pは、製造工場において、側面が開口した筒状のカートンCに、カートンCの側面の開口からロールRを挿入し、その後に側面を閉塞することによって製造される。製品Pは、使用前には切断刃Ceの下方で切取片(不図示)が本体部Cbに接着されており、使用を開始する際に切取片(不図示)を切除することで、蓋部Ccを開閉することが可能になる。製品Pを開封したときに、引出シールTが開口Chから見える位置にあると便利である。搬送装置20(図1参照)は、ロールRをカートンCに挿入する際に引出シールTが開口Chから見える状態となるように、ロールRの向きを調節することができる装置である。
再び図1に戻って搬送装置20の説明を続ける。ロールコンベア21は、ロールRを支持する支持部材22を有している。支持部材22は、ロールRの長さの概ね1/3〜1/2の幅に形成されている。ここで、支持部材22の幅とは、ロールRが搬送される方向(以下「搬送方向D」という)に直交する方向の水平長さである。ロールRは、その軸線に直交する水平方向に搬送される。支持部材22は、長方形の板状部材が折り曲げられて形成されており、底板22b、前板22f、後板22r、前傾斜板22s、後傾斜板22tを有している。底板22bは、長方形の短辺が搬送方向Dに平行になるように水平に設けられている。前板22fは底板22bの搬送方向D下流側の辺から、後板22rは底板22bの搬送方向D上流側の辺から、それぞれ垂直上方に延びるように立設されている。前傾斜板22sは、前板22fの上端から搬送方向D下流側斜め上方に向けて延びている。後傾斜板22tは、後板22rの上端から搬送方向D上流側斜め上方に向けて延びている。前傾斜板22sの上端と後傾斜板22tの上端とは同じ高さになっている。このように形成された支持部材22は、前板22f、底板22b、後板22rで三方を囲まれて上方が開放された支持窪み22dを内部に形成している。支持部材22は、表面全体にモケットが貼り付けられている。これにより、支持部材22の表面に接触したロールR表面のラップフィルムFの損傷を防止することができると共に、支持部材22の表面が滑らかな面の場合に比べてロールRの搬送時に支持窪み22d内でロールRが動いてしまうことを抑制することができる。ロールRの動きを抑制するために、支持窪み22dは凹んだ形状であってもよい。
支持部材22は、前板22fと後板22rとの間隔がロールRの外径よりもわずかに大きくなっている。ここで、ロールRの外径よりもわずかに大きいとは、表面にモケットが貼付された支持部材22の支持窪み22dに入ったロールRが、ロールコンベア21の移動やこれに伴う振動等によっては軸線Rxまわりの回転をせず、所定の外力が付加されたときにラップフィルムFの損傷を伴わずに軸線Rxまわりに回転できるように、支えられる間隔である。支持部材22は、搬送方向Dに直交する方向に、ロールRの中央に相当する位置に隙間を空けるように2つ設けられており、この2つ1組の支持部材22が、搬送方向Dに複数設けられている。このように支持部材22が配設されたとき、搬送方向Dに隣接する支持部材22の後傾斜板22tと前傾斜板22sとは近接しており、少なくともロールRの直径以上の隙間とならないようにして、支持部材22の隙間からロールRが落下しないようになっている。支持部材22は、前板22f及び後板22rの下方にそれぞれ設けられた接続部材22jを介してチェーン23に取り付けられている。ロールコンベア21は、ロールRの搬送速度(コンベアの移動速度)が可変に構成されており、あらかじめ定められた範囲内で任意の搬送速度に設定することができるように構成されている。
回転装置25は、ロールRに接触してロールRを軸線Rxまわりに回転させる回転板25sと、回転板25sを支えて上下に移動させる支持軸25rとを有している。本実施の形態では、回転装置25が、支持部材22の配設ピッチ分離れて2つ設けられている。回転装置25は、ロールコンベア21の表面上の方向(本実施の形態では水平方向)には動かずに、ロールコンベア21の表面と交差する方向(本実施の形態では鉛直方向)に往復移動するように、設置されている。
回転板25sは、ロールRに対して面で接触したときにロールRと支持部材22との間に働く摩擦力よりも大きな摩擦力が作用する材質で形成されており、本実施の形態では、シリコーンが円形板状(高さの低い円柱状)に形成された部材である。回転板25sがロールRに接触したときのロールRと支持部材22との間の摩擦力は、0(ゼロ)であってもよい。典型的には、ロールRが回転装置25に持ち上げられて支持部材22と接触しなくなったときに、ロールRと支持部材22との間の摩擦力は、0(ゼロ)となる。回転板25sの円形の大きさは、回転装置25の設置個数を勘案したうえでロールRを回転させたい量に応じて決定するとよく、本実施の形態では、円形の直径が、ロールRの断面円形の円周の半分の長さに形成されている。このように形成されていると、2つ設けられている回転装置25の回転板25sにそれぞれ最大で接触したロールRを、軸線Rxまわりに1回転させることができる。回転板25sの厚さ(円柱状の高さ)は、本実施の形態では、必要な強度を維持しつつ材料を削減する観点から、回転板25sの円形部分の直径の1/4倍程度に形成されているが、これに限らず、円形部分の直径の1/4倍未満でもよく、逆に円形部分の直径の1/4倍以上の、円形部分の直径の1/2倍や、直径と同程度、あるいは直径を超えてもよい。
支持軸25rは、上下に移動する回転板25sが上限位置にあるときに、回転板25sの上面となる円形の平面が、ロールコンベア21に搬送されているロールRの下端に接触し、かつ、ロールRの下端の軌跡と平行になるように、回転板25sの底面に取り付けられている。支持軸25rは、回転板25sの円形の上面がその上面内で円形の中心まわりに回転することができるように、回転板25sに取り付けられている。このように取り付けられていると、回転板25sがロールRに接触した際に適宜回転することになり、回転板25sの片減りを抑制することができる。支持軸25rは、回転板25sに接続された端部とは反対側の端部で駆動軸(不図示)に取り付けられており、駆動軸(不図示)に駆動されることで回転板25sを上限位置と下限位置との間で往復移動させることができるように構成されている。
監視カメラ28は、回転装置25の周辺で、ロールコンベア21に搬送されているロールRを監視する装置である。監視カメラ28は、本実施の形態ではCCDカメラが用いられている。このように構成されていることにより、レーザーセンサを用いる場合に比べて、1台で広範囲を検知することができる。監視カメラ28は、撮像画像全体のうちの特定の部分(所定の領域)を複数箇所について、区別して検知できるように構成されている。
図3に、監視カメラ28による撮像画像の例を示す。監視カメラ28は、2つの回転装置25を含む、ロールRの中央部分(引出シールTが貼付されている部分)の約3本分を1つの画像に収めることができる画角で設置されている。また、監視カメラ28は、所定の領域として、搬送方向D上流側の回転装置25Aの鉛直上方の領域W1と、搬送方向D下流側の回転装置25Bの鉛直上方の領域W2と、回転装置25Aの下流側直近の領域W3と、回転装置25Bの下流側直近の領域W4と、回転装置25Aから搬送方向D上流側に離れた領域W0とが定められている。この各領域W0〜W4にロールRが写るようになったときのロールRの位置が、各領域W0〜W4におけるロールRの状態を検知する検知位置となる。各領域W0〜W4は、本実施の形態では、搬送方向Dが、ロールRの断面円形の中心角を45°とする円弧を平面から見たときの長さ(ロールRの断面円形の半径×(2−21/2)1/2)で、搬送方向Dに直交する方向が引出シールTの幅よりも大きい長さの長方形に区画されている。領域W1及び領域W2は、各回転装置25A、25Bの回転板25s上の搬送方向D上流端に寄せて設定されている。
制御装置60は、搬送装置20の動作を制御する装置であり、ロールコンベア21の発停及び移動速度を制御することができるように構成されている。また、制御装置60は、回転装置25の上下方向への往復移動を、移動のタイミングも含めて制御することができるように構成されている。また、制御装置60は、監視カメラ28と信号ケーブルで接続されており、監視カメラ28が認識した画像に関する情報を信号として受信することができるように構成されている。
引き続き図1乃至図3を参照して、搬送装置20の作用を説明する。搬送方向Dに移動しているロールコンベア21には、前工程(不図示)で製造されたロールRが、回転装置25よりも上流側で支持窪み22dに収容される。このとき、引出シールTが上方に表れた場合に目印部Taが搬送方向D下流側で貼付部Tbが搬送方向D上流側になる向きで、ロールRが支持窪み22dに収容される。また、支持窪み22dに収容されたロールRは、前板22f、底板22b、後板22rに貼付されたモケットの起毛により3点で支持されているため、ロールコンベア21の移動に伴って支持窪み22d内で暴れてしまうことが抑制されている。
ロールコンベア21に収容された複数のロールRのうち、ある特定のロールRに注目すると、ロールコンベア21の搬送方向Dへの移動に伴って回転装置25に近づいてくる。ロールRは、回転装置25Aに至る前に、まず監視カメラ28の領域W0に写る検知位置に到達する。監視カメラ28は、ロールコンベア21と連動しており、搬送方向D上流側でロールRの端部と領域W0の端部とが一致した瞬間の画像(以下「判断画像」という)の情報の信号を制御装置60へ送信する。制御装置60は、監視カメラ28から送信されてきた判断画像を、ロールRの向きが適切か否かを判断する画像として処理する。制御装置60は、領域W0の判断画像における引出シールTの貼付部Tbが占める面積を監視対象部分として検知し、貼付部Tbの面積の割合が所定の範囲にあるか否かを判断する。ここで、所定の範囲は、製品Pの蓋部Ccを使用開始の際に開封したときに開口Chから引出シールTの目印部Taが確認できる位置となるような、判断画像における貼付部Tbの位置の許容範囲である。本実施の形態では、貼付部Tbが赤に着色されていて認識しやすいため、貼付部Tbの面積を監視対象部分として検知することとしている。なお、ロールRの向きを調節する目的は、引出シールTの目印部Taを開口Chから認識できる位置にするためであることから、目印部Taを基準位置とすることとする。
制御装置60は、貼付部Tbの面積の割合が所定の範囲にあるときは、回転装置25Aを下降させて、少なくともロールRが通過するまでは下降させた状態を維持する。他方、所定の範囲にないときは、回転装置25Aを上昇させた状態を維持する。すなわち回転装置25Aの回転板25sがロールRの下端に接触するようにする。回転装置25Aが上昇した状態を維持していると、ロールRが回転装置25Aの位置まで来たときに、ロールRが回転板25sに接触する。ロールRは、回転板25sに接触すると、回転板25sとの間の摩擦力によって接触点が滑らずに、回転板25sとの接触点が周方向に徐々に移動していく。これにより、ロールRは、搬送方向D上流側の任意の点が上方を通って搬送方向D下流側に移動するように、軸線Rxまわりに回転する。この軸線RxまわりのロールRの回転に伴って、引出シールTの位置も移動する。
回転装置25Aが上昇している状態で、ロールRが監視カメラ28の領域W1に写る検知位置に到達したら、制御装置60は、搬送方向D上流側でロールRの端部と領域W1の端部とが一致した瞬間の判断画像を処理する。制御装置60は、領域W1の判断画像を処理したら、領域W0のときと同様に、貼付部Tbの面積の割合が所定の範囲にあるか否かを判断する。貼付部Tbの面積の割合が所定の範囲にあるときは、その時点で回転装置25Aを下降させて回転板25sをロールRから離す。これにより、ロールRは、回転装置25Aによって軸線Rxまわりに概ね45°回転する。他方、所定の範囲にないときは、回転装置25Aを上昇させた状態を維持し、回転板25sの直径にわたってロールRを接触させる。これにより、ロールRは、回転装置25Aによって軸線Rxまわりに概ね180°回転する。ロールRは、回転板25sとの接触がなくなったとき、支持窪み22dの表面に貼付されているモケットの抵抗により、速やかに軸線Rxまわりの回転が停止する。ことのき、ロールRは、モケットと接触するので、表面のラップフィルムFの損傷がない。
回転装置25Aを通過したロールRは、次に、監視カメラ28の領域W3に写る検知位置に到達する。そして、制御装置60は、搬送方向D上流側でロールRの端部と領域W3の端部とが一致した瞬間の判断画像を処理する。制御装置60は、領域W3の判断画像を処理したら、領域W0、W1のときと同様に、貼付部Tbの面積の割合が所定の範囲にあるか否かを判断する。貼付部Tbの面積の割合が所定の範囲にあるときは、回転装置25Aよりも搬送方向D下流側にある回転装置25Bを下降させて、少なくともロールRが通過するまでは下降させた状態を維持する。他方、所定の範囲にないときは、回転装置25Bを上昇させた状態を維持し、回転装置25Bの回転板25sがロールRの下端に接触するようにする。回転装置25Bが上昇している状態でロールRが回転装置25Bの位置まで来ると、回転装置25Aに接触したときと同様に、ロールRが回転板25sに接触して軸線Rxまわりに回転し、これによって引出シールTの位置も移動する。
回転装置25Bが上昇している状態で、ロールRが監視カメラ28の領域W2に写る検知位置に到達したら、制御装置60は、搬送方向D上流側でロールRの端部と領域W2の端部とが一致した瞬間の判断画像を処理する。制御装置60は、領域W2の判断画像を処理したら、各領域W0、W1、W3のときと同様に、貼付部Tbの面積の割合が所定の範囲にあるか否かを判断する。貼付部Tbの面積の割合が所定の範囲にあるときは、その時点で回転装置25Bを下降させて回転板25sをロールRから離す。これにより、ロールRは、回転装置25Bによって軸線Rxまわりに概ね45°回転する。他方、所定の範囲にないときは、回転装置25Bを上昇させた状態を維持し、回転板25sの直径にわたってロールRを接触させる。これにより、ロールRは、回転装置25Bによって軸線Rxまわりに概ね180°回転する。ロールRは、回転板25sとの接触がなくなったとき、モケットの抵抗で、速やかに軸線Rxまわりの回転が停止する。ロールRは、2つの回転装置25A、25Bを通過する間に、回転装置25A、25Bの下降するタイミングに応じて、軸線Rxまわりに、理論上、0°、45°、180°、225°、360°のいずれかの角度分回転することとなる。
回転装置25Bを通過したロールRは、次に、監視カメラ28の領域W4に写る検知位置に到達する。そして、制御装置60は、搬送方向D上流側でロールRの端部と領域W4の端部とが一致した瞬間の判断画像を処理する。制御装置60は、領域W4の判断画像を処理したら、貼付部Tbの有無を判断する。貼付部Tbがあるときは、概ね目印部Taが開口Chから見える位置にあることとなるため、ロールRをそのままロールコンベア21で搬送方向D下流側(次工程)に搬送する。他方、貼付部Tbがないときであって、そのロールRが領域W0、W1、W3、W2のいずれにおいても貼付部Tbを検知しなかったものであるときは、引出シールTそのものが取り付けられていない可能性があるため、ロールRをロールコンベア21から除外する。これにより、引出シールTが貼付されていない製品Pが市場に流通してしまうことを阻止することができる。
以上で説明したように、搬送装置20では、ロールコンベア21に搬送されているロールRに取り付けられている引出シールTの位置に応じて、回転装置25が上下に移動してロールRに接触することでロールRを軸線Rxまわりに回転させて向きを調節することができるので、引出シールTの目印部Taを開口Chから認識できる位置に合わせることができる。また、ロールRの向きを監視カメラ28で検知しながら適切な量を回転させるようにしているので、開封したときに引出シールTが摘みにくくなっている製品Pが市場に流通してしまうことを低減することができる。
以上の説明では、回転手段が、ロールRに接する位置とロールRから離間する位置との間を往復移動することで、ロールRに接触している時間に応じてロールRを軸線Rxまわりに回転させる回転装置25であるとしたが、ロールRの両端を把持して回転させる回転機構であってもよい。しかしながら、回転装置25とすると、簡便な構成でロールRの向きを調節することができるため、好ましい。
以上の説明では、回転装置25が2つ設けられているとしたが、設置個数はロールRの必要回転角や回転板25sの直径等を勘案して適宜変更してもよい。また、2つ設けられた回転装置25のそれぞれの回転板25sの直径が、ロールRが2つの回転装置25を通過したときに最大で軸線Rxまわりに1回転することができるようにする観点から、ロールRの断面円形の円周の半分の長さに形成されているとしたが、軸線Rxまわりに回転させたい角度に応じて適宜変更してもよい。
以上の説明では、回転装置25が、常時は上昇位置にあり、必要に応じて下降することとしたが、逆に、常時は下降位置にあって必要に応じて上昇するように構成されていてもよい。また、以上の説明では、ロールRが、1つの回転装置25を通過する間に、回転装置25の下降のタイミングに応じて軸線Rxまわりに45°又は180°回転することとしたが、回転する角度は、回転装置25を下降させるタイミングを調節することで任意に決定することができる。
以上の説明では、ロールRに引出シールTが取り付けられているとしたが、引出シールTに代えて、裏面に粘着剤の塗布されていない引出テープを、ラップフィルムFの先端に挟むようにしてもよい。
次に図4を参照して、本発明の第2の実施の形態に係るカートニングマシン1を説明する。図4はカートニングマシン1の概略構成を示す概念図である。カートニングマシン1は、扁平に折り畳まれたカートン(以下「扁平カートンCf」という。)を所定の場所に搬送する搬送コンベア13と、扁平カートンCfが広げられて形成されたカートンCを搬送するカートンコンベア31と、上述した搬送装置20と、搬送装置20で向きが調節されたロールRをカートンCに挿入する挿入装置41と、搬送装置20と共用でカートニングマシン1全体の動作をも制御する制御装置60とを備えている。制御装置60は、搬送装置20の動作を制御するほか、搬送コンベア13、カートンコンベア31、挿入装置41の発停及び移動速度を制御することができるように構成されている。
搬送コンベア13は、扁平カートンCfを筒状に広げる場所の近傍まで搬送する装置である。搬送コンベア13は、2つのプーリ13pに張架された無端ベルト13vを有している。本実施の形態では、プーリ13pとしてスプロケットが、無端ベルト13vとしてローラーチェーンが、それぞれ用いられている。無端ベルト13vには、突起としての爪13cが、無端ベルト13vの外側に突き出る態様で、所定の間隔ごとに複数設けられている。本実施の形態では、扁平カートンCfが搬送される方向(搬送方向D)に直交する方向に間を空けて無端ベルト13vが2つ対になって設けられており、一対の無端ベルト13vの爪13cを結んだ仮想線が、搬送方向Dに直交するように調節されている。無端ベルト13vは、プーリ13pが駆動源(不図示)に回転させられることにより、扁平カートンCfが載置される面が搬送方向Dに移動するように構成されている。
搬送コンベア13の、搬送方向D上流側の端部の上方には、扁平カートンCfを上下に重ねて収容するカートンマガジン11が配設されている。カートンマガジン11は、鉛直線に対して搬送方向D上流側に傾いて設置されている。カートンマガジン11の下方には、カートンマガジン11の底部から扁平カートンCfを取り出して搬送コンベア13に載置するサクションカップ12が配設されている。サクションカップ12は、上下に揺動運動をすることで、カートンマガジン11内に収容されている最下部の扁平カートンCfを取り出して搬送コンベア13に載置するように構成されている。
搬送コンベア13に対して搬送方向D下流には、位置決めガイド14が設けられている。位置決めガイド14は、搬送コンベア13によって直線運動させられてきた扁平カートンCfの移動を止めて、扁平カートンCfを筒状に広げる位置を決定する部品である。位置決めガイド14は、断面が矩形(長方形又は正方形)の四角柱状に形成された柱部14bと、梁状に形成された突部14pとを有している。位置決めガイド14は、2つの柱部14bが搬送方向Dに直交する水平方向に間隔を空けてそれぞれ鉛直に延びるように設けられており、突部14pが2つの柱部14bの下端をつなぐように水平に延びている。突部14pは、柱部14bよりも搬送コンベア13側に突き出る態様で取り付けられている。また、扁平カートンCfが位置決めガイド14に衝突した位置における扁平カートンCfの下方には、扁平カートンCfを吸着可能で上下に往復動する吸引棒(不図示)が配設されている。扁平カートンCfは、位置決めガイド14に衝突したときに上昇した吸引棒(不図示)に吸着され、吸引棒(不図示)の下降に伴って下方に引かれる際に、位置決めガイド14の突部14pに引っかかった部分が残ろうとすることにより、箱形(筒状)に開くこととなる。
カートンコンベア31は、扁平カートンCfが箱形に開かれたカートンCを搬送する装置であり、扁平カートンCfが位置決めガイド14に衝突する位置の下方から、搬送方向Dに水平に延びている。カートンコンベア31は、搬送コンベア13よりも低い位置で、吸引棒(不図示)を跨ぐように配設されている。カートンコンベア31は、カートンCの搬送速度(コンベアの移動速度)が可変に構成されており、あらかじめ定められた範囲内で任意の搬送速度に設定することができるように構成されている。カートンコンベア31に搬送されるカートンCは、筒状の両端面が開口している。カートンコンベア31は、カートンCの開口面が搬送方向Dに対して側面となる状態でカートンCを搬送するように、カートン抑え32が設けられている。カートン抑え32は、搬送されるカートンCの間隔(搬送方向Dにおける距離)が、ロールコンベア21に搬送されるロールRの間隔と同じになるピッチで設けられている。
搬送装置20は、ロールコンベア21がロールRをカートンコンベア31の側近まで搬送することができる位置に設置されている。ロールコンベア21は、少なくとも位置決めガイド14の下方の位置から所定の距離は、カートンコンベア31と並走するように設けられている。ここでの所定の距離は、ロールRをカートンCに挿入するのに必要な距離である。ロールコンベア21は、カートンコンベア31と並走する部分はカートンコンベア31と同じ高さに設けられている。本実施の形態では、ロールコンベア21とカートンコンベア31とが、同一の駆動軸(不図示)にそれぞれ取り付けられた同一規格かつ同一歯数のスプロケット(不図示)でそれぞれ駆動されるように構成されていることにより、同じ搬送速度でかつ同期するようになっている。
挿入装置41は、ロールコンベア21に搬送されているロールRを、カートンコンベア31に搬送されているカートンCに挿入する装置である。挿入装置41は、ロールRをカートンCに向けて押す挿入棒42を有している。図4では、挿入棒42が、二次元の紙面に表している都合上、上下に延びるように示されているが、実際には、ロールR及びカートンCの長手方向に対して平行で、水平に延びるように配設されている。挿入棒42は、環状に周回する周回チェーン(不図示)に、支持窪み22dのピッチと同じピッチで取り付けられている。挿入棒42は、カートンコンベア31との間にロールコンベア21を挟むように配設されている。挿入棒42は、ロールコンベア21とカートンコンベア31とが並走する部分では、ロールコンベア21に並走する軌跡を描くように設けられている。挿入装置41は、周回チェーン(不図示)の移動速度が、あらかじめ定められた範囲内で任意に設定することができるように可変に構成されており、本実施の形態では、ロールコンベア21及びカートンコンベア31の搬送速度と同じ移動速度でかつ同期するように設定されている。
引き続き図4を参照してカートニングマシン1の作用を説明する。カートニングマシン1を作動させるに際し、カートンマガジン11に扁平カートンCfを充填しておく。搬送コンベア13が搬送方向Dに動いている状態で、サクションカップ12が上下に揺動することにより、カートンマガジン11の最下部にある扁平カートンCfが、カートンマガジン11から取り出され、搬送コンベア13に載置される。このとき、扁平カートンCfが、搬送方向Dに所定の間隔で設けられている爪13cの間に順次載置されるように、サクションカップ12の揺動の周期及びタイミングが調節されている。搬送コンベア13に載置された扁平カートンCfは、爪13cによって搬送方向Dに押される。
扁平カートンCfが搬送コンベア13の末端に至ると、扁平カートンCfから爪13cが外れ、位置決めガイド14へ向けて慣性で送り出される。扁平カートンCfは、位置決めガイド14の柱部14bに当接すると、下方から上昇してきた吸引棒(不図示)に吸着されて下方に引き寄せられる。そして、吸引棒(不図示)によって下方へ引かれた扁平カートンCfは、搬送方向D下流側の端部が突部14pに当たることで下降を阻害されるため、搬送方向D上流側の端部片側が下方に移動することで、箱形に開かれてカートンCとなる。カートンCは、カートンコンベア31に載置され、搬送方向Dに搬送される。このとき、カートンコンベア31に載置されたカートンCの蓋部Cc(図2参照)が上方になるように、あらかじめカートンマガジン11に充填される扁平カートンCfの向きが調節されている。
カートンコンベア31に搬送されるカートンCの横には、引出シールT(図2参照)が上方に位置するように向きの調節が完了しているロールRがロールコンベア21に搬送されて来ている。搬送されているロールR及びカートンCは、挿入装置41の位置まで来ると、挿入棒42によってロールRがカートンCの方向に押され、カートンCの側面の開口からロールRが挿入される。ここで、ロールコンベア21に搬送されているロールRは、向きの調節が完了しているので、引出シールTの目印部Ta(図2参照)がカートンCを開けたときに開口Chから視認できる状態でカートンCに挿入されることとなる。ロールRが挿入されたカートンCは、さらに搬送方向D下流側に搬送される際に、側面の開口が糊付けされて閉じられて(不図示)、製品P(図2参照)となる。このようにして製造された製品Pは、開封したときに引出シールTの目印部Taが、カートンC中の見やすい場所に位置している。以上で説明したように、カートニングマシン1によれば、ロールRに貼付された引出シールTの目印部Taが開口Chの方を向いて収容された製品P(ロールR入りカートンC)を製造することができる。