JP5814382B2 - 平版印刷版を提供する方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ケイ酸塩を含まないアルカリ性現像剤組成物、および画像形成したポジ型平版印刷版前駆体、例えばビニルアセタール繰り返し単位を含有するものを現像する方法への上記アルカリ性現像剤組成物の使用に関する。
従来のまたは「湿式」平版印刷では、画像領域として知られているインキ受容性領域は、親水性表面上に形成される。この表面を水で濡らし、次いで平版印刷インキを適用すると、親水性領域は、水を保持してインキを撥き、また、インキ受容性領域は、インキを受け入れ、水をはじく。結局、インキは画像が複写されるべき材料の表面に転写される。
平版印刷版またはスリーブを作製するのに有用な平版印刷前駆体は、通常、基材の親水性表面上に適用された1層以上の画像形成可能な層を含む。上記画像形成可能な層は、好適なバインダー中に分散され得る1以上の放射線感受性成分を含む。さもなければ、上記放射線感受性成分がバインダー材料であってもよい。画像形成後、画像形成可能な層の画像形成領域または非画像形成領域のいずれかを、好適な現像剤を用いて除去し、上記支持体の下層の親水性表面を露出させる。画像形成した領域が除去されると、上記前駆体はポジ型と考えられる。逆に、非画像形成領域が除去されれば、上記前駆体はネガ型と考えられる。各場合において、残る画像形成可能な層の領域(即ち、画像領域)は、インキ受容性であり、現像処理によって露出した親水性表面の領域は水および水溶液、通常、湿し水を受け入れ、インキをはじく。
直接ディジタル画像形成は、印刷工業において、ますます重要なものとなってきた。平版印刷版製造用の平版印刷前駆体が、コンピュータ内の画像のディジタルコピーからの信号に応答してプレートセッターに画像形成する赤外レーザと共に用いるために開発されてきた。この「コンピュータ・トゥ・プレート(computer−to−plate)」技術は、一般的に、上記前駆体を画像形成するのにマスキングフィルムを用いる前者の技術と置き換えることができる。
1以上のフェノール系またはビニルアセタールのポリマーバインダを含有するポジ型の画像形成可能な組成物が、ポジ型平版印刷版前駆体に長年使用されてきた。例えば、そのような画像形成可能な組成物は、特許文献1(Levanon et al.)および特許文献2(Levanon et al.)および特許文献3(Wilson et al.)および特許文献4(Levanon et al.)に記載されている。しかしながら、ある特定の印刷用化学薬品および溶媒に対する耐性を向上することが引き続き必要とされてきた。
例えば、同時係属の、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第12/555,040号(Levanon,Bylina,Kampel,Rubin, Postel, Kurtser,およびNakashによって2009年9月9日出願された)に記載されているように、ヒドロキシルアリールエステル基を有する繰り返し単位をも含むポリ(ビニルアセタール)を用いることによって耐溶媒性を向上することができることが見出された。これらの平板を用いて良好な連続運転時間および耐溶媒性が得られたが、常用現像剤の現像寛容度を向上することが引き続き必要とされてきた。
特殊なポジ型平版印刷版前駆体を現像するために最適化された特定の現像剤組成物を設計することは極めて一般的である。このような試みが、コーティング保護剤を現像剤に含有させて、より効果的に非露出領域の画像形成可能なコーティングの溶解度を露出領域の画像形成可能なコーティングの溶解度より低くすることによって、行われてきた。
短い現像サイクルおよび自動現像装置を洗浄することの極端な困難さの共通原因の1つは、典型的な平版印刷版前駆体の基材上の酸化アルミニウム膜の現像液中への部分溶解に関連する。そのような酸化アルミニウム腐食を低減または排除する公知の技術には、アルカリケイ酸塩、非還元糖、塩化リチウムなどのリチウム塩の使用を含む。しかしながら、ケイ酸塩自体の使用は、処理浴の汚れを付け加える。塩化リチウムを含有する現像剤は、ヒドロキシルアリールエステル基も有するため、そのような前駆体の現像には好適ではないと考えられるポリビニルアセタールを含有する赤外レーザ露光膜を溶解するのが非常に遅いことがわかった。
これらの問題は、同時係属の、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第12/948,808号(Levanon,Huang,およびAskadskyによって同日出願され、名称METHOD OF PROCESSING USING SILICATE-FREE DEVELOPER COMPOSITION)に記載および請求された方法を用いて扱われた。記載された平版印刷版前駆体を、pH少なくとも12を有し、かつ少なくとも0.001グラム原子/kgの金属カチオンM2+、例えばバリウムカチオン、カルシウムカチオン、ストロンチウムカチオンおよび亜鉛カチオンを含む現像剤組成物を用いて現像することによって、向上した画像識別を達成した。
現像剤組成物中にカルシウムイオンなどのM2+カチオンが存在することによって、アルミニウム支持体を、アルカリ性現像液による腐食から保護するように作用することもできる。
現像サイクルの間、現像剤を溶解したコーティング材料で充填すると「シャープニング」として知られている問題を明らかにすることができる。「シャープニング」は、画像形成層の非露出領域が現像剤によって浸食されて、印刷版の重量損失が増加し、得られる印刷画像のドットサイズが減少する(ドットシャープニング)ように、現像活性がより高くなる上記現像剤組成物の変化によって生じる
これらの問題は、同時係属の、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第12/948,812号(本出願人らによって同日出願され、名称SILICATE-FREE DEVELOPER COMPOSITIONS)において扱われている。
しかしながら、現像剤組成物中のケイ酸塩およびメタケイ酸塩の存在を低減または排除して、サイクル寿命を延ばし、現像処理装置の清浄度を改善することが当工業分野において望まれている。ケイ酸塩を含まない現像剤組成物は当業者に公知であるが、基材上の酸化アルミニウムコーティングの腐食が増大する傾向がある。カルシウムイオンは、この問題を低減するために用いられてきたが、多くの場合、現像剤組成物中でカルシウム塩および水酸化カルシウムの沈澱を生じる。従って、通常のキレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびその塩が、上記現像剤組成物に添加されてきた。しかしながら、これらの通常のキレート剤の多くは、カルシウム塩および水酸化カルシウムの沈澱を防止するのに有効であるが、同様のキレート剤はカルシウムカチオンの有効性も低減して上記アルミニウム基材を保護し、非最適化量のキレート剤を含有する水酸化物系現像剤組成物によって酸化アルミニウムの腐食を増大さえすることを見出した。
従って、非常に広い濃度範囲にわたって上記基材の腐食を促進することなく、上記基材を保護するのに用いられるカルシウムまたはその他のカチオンの沈澱を生じないキレート剤を含有する、ケイ酸塩を含有しない現像剤組成物を提供することが望まれている。
米国特許第7,399,576号明細書 米国特許第7,544,462号明細書 米国特許出願公開第2006/0154187号明細書 米国特許出願公開第2009/0162783号明細書
本発明により、pH少なくとも12を有し、かつ
バリウムカチオン、カルシウムカチオン、ストロンチウムカチオンおよび亜鉛カチオンから成る群から選択される金属カチオンM2+、および
該金属カチオンに対する錯形成定数(logK)3.5〜4.5およびアルミニウムイオンに対する錯形成定数(logK)7以下を有するキレート剤を含む、ケイ酸塩を含有しない水性アルカリ現像剤組成物を提供する。
いくつかの態様では、上記現像剤組成物が、pH12〜13.5を有し、かつ
更に水酸化物であるアルカリ剤および分子量1000未満を有する非ホスホノ−ポリカルボン酸またはその塩を含有し、
2+がカルシウムカチオンであり、かつ
上記キレート剤が、カルシウムイオンに対する錯形成定数(logK)3.5から4.5およびアルミニウムイオンに対する錯形成定数(logK)7以下を有する。
更に他の態様では、上記現像剤組成物が、pH少なくとも12以上を有し、13.5を含み、かつ
更に水酸化物およびクエン酸塩であるアルカリ剤を含み、
2+がカルシウム金属カチオンであり、
前記キレート剤が、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸である。
加えて、本発明は、
(A)基材および画像形成可能な層を有するポジ型平版印刷版前駆体を画像的に露光して、上記画像形成可能な層内に露光領域および非露光領域を提供する工程、および
(B)上記露光した平版印刷版前駆体を、本発明の現像剤組成物で現像して、上記画像形成可能な層内の露光領域を除去する工程
を含む、平版印刷版を提供する方法を提供する。
従って、この方法は、pH少なくとも12以上を有し、13.5を含み、かつ
水酸化物であるアルカリ剤および前記キレート剤とは異なるアルカリ金属塩を含み、
金属カチオンM2+がカルシウム金属カチオンであり、
キレート剤が、カルシウム金属カチオンに対する錯形成定数(logK)3.5から4.5およびアルミニウムイオンに対する錯形成定数(logK)7以下を有する、現像剤組成物を用いて使用することができる。
本発明により、
(a)各々が基材およびポリマーバインダを含有する画像形成可能な最外層を有する、1以上のポジ型平版印刷版前駆体、および
(b)本発明のケイ酸塩を含有しない水性アルカリ現像剤組成物
を含む、平版印刷版を提供するのに有用なキットも提供する。
上記キットは、好適なカートンまたはパッケージ中に如何なる数でも供給されることができる(通常、数百個)平版印刷版前駆体、および一般的に好適な容器に供給される公知の現像剤組成物の組み合わせを含む。上記キットの部品は、単一または多数の供給元または販売業者から別々にオーダーおよび供給されることができ、或いは同一の供給元または販売業者からいっしょにオーダーおよび供給されることができる。
本発明は、同時に多くの問題を解決することがわかった。上記現像剤組成物はケイ酸塩を含有しないので、処理サイクルを延ばすことができ、処理装置および現像剤組成物の洗浄を改善することができる。基材の酸化アルミニウム層の腐食を、M2+カチオン(特にカルシウム)の存在によって最小限にし、それによって沈澱を防止する溶液中の上記M2+カチオンを保持するために、ある特定のキレート剤を使用することができることがわかった。
ただ普通のものではないカルシウム(またはカチオン)キレート剤を用いることができる。M2+金属カチオン(例えばカルシウム)に対する錯形成定数(logK)3.5〜4.5およびアルミニウムイオンに対する錯形成定数(logK)7以下を有するキレート剤だけが有用である。上記M2+金属カチオンに対するキレート剤錯形成定数が高過ぎ(4.5より大きい)、アルミニウムイオンに対する錯形成定数が7より高いと、上記基材の保護が不十分なものとなる。上記M2+金属カチオンに対するキレート剤錯形成定数が低くなり過ぎると、上記M2+カチオン塩および水酸化物の望ましくない沈澱が生じる。従って、上記キレート剤錯形成定数は、すべての所望の目的を達成する特定の範囲内でなければならない。
本明細書中で用いられる用語「平版印刷版前駆体」、「印刷版前駆体」、「ポジ型平版印刷版前駆体」および「前駆体」により、本発明の実施において用いることができるポジ型の画像形成可能な要素を意味する。他に表示しない限り、本明細書中で用いられる用語「現像剤組成物」および「現像剤」は、本発明の上記組成物を意味する。
(現像剤組成物)
前述の1以上の問題を解決するのに有利に用いることができる現像剤組成物の種々の態様がある。上記現像剤組成物のすべては、pH少なくとも12、通常、12〜13.5、より好ましくは12.5〜13.5を有する。この高アルカリ性pHは、ケイ酸塩およびメタケイ酸塩が存在しない(目的をもって添加しない)限り、一般に1以上のアルカリ剤を用いて得られる。有用なアルカリ剤には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物が挙げられる。いくつかの態様では、ナトリウムイオンおよびカリウムイオンの両方が上記アルカリ剤の一部として存在する。そのような態様においては、カリウムイオンがナトリウムイオンより多く存在すること、例えばカリウムイオンのナトリウムイオンに対するモル比が1:1より大きいことが望ましい。上記アルカリ金属イオンの合計量は、概して、0.3〜1グラム原子/kgである。
上記現像剤組成物は、一般的にバリウムカチオン、カルシウムカチオン、ストロンチウムカチオン、および亜鉛カチオンから選択される1以上の金属カチオン(M2+)を含む。カルシウムカチオン、ストロンチウムカチオン、および亜鉛カチオンが特に有用であり、いくつかの態様においては、カルシウムカチオンが特定のポリマーバインダ、例えば前述の構造(Ib)によって表される繰り返し単位を含有するポリマーバインダを含有する画像形成層の表面を保護するのに特に有利である。
上記金属カチオンM2+は、一般的に0.001グラム原子/kg以上、通常、0.001〜0.01グラム原子/kgの量で上記現像剤組成物に存在する。上記金属カチオンM2+は、対応する塩を用いることによって、上記現像剤組成物に導入することができる。
加えて、上記現像剤組成物は、各々がカルシウム金属カチオンに対する錯形成定数(logK)3.5〜4.5およびアルミニウムイオンに対する錯形成定数(logK)7以下を有する1以上のキレート剤を含む。多くの態様において、キレート剤と共に用いられる上記M2+金属カチオンはカルシウムカチオンまたはストロンチウムカチオンのいずれかであり、この場合において、カルシウムカチオンが最も好ましい金属カチオンである。
これらの特性を有する有用なキレート剤は、特に限定されないが、カルシウム金属カチオンと共に特に有用である、ホスホノ−ポリカルボン酸、例えば2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸などのホスホノアルキル−ポリカルボン酸を含む。
上記キレート剤は、0.01〜0.1モル/L、典型的には、0.03〜0.11モル/Lの量で含有することができる。
上記現像剤組成物は、1以上のXn−アニオンまたはそれらの塩を有する1以上のアルカリ金属塩をも含むことができる。そのようなアニオンは、上記現像剤組成物の他の成分によって提供される如何なるアニオンとも異なる。これらのアニオンは、無機酸または有機カルボン酸のアニオンであってもよい。そのようなアニオンは、前述のキレート剤とは異なって、一般的にホスホノ基を含まない。有用なXn−アニオン(および対応する塩のアニオン部分)の例として、特に限定されないが、硝酸(硝酸塩)、カルボン酸(カルボン酸塩)、クエン酸(クエン酸塩)、酢酸塩、酒石酸(酒石酸塩)、およびシュウ酸塩が挙げられる。クエン酸アルカリ金属塩は特に有用である。上記塩は、一般的に0.05〜0.2モル/L、典型的には、0.07〜0.15モル/Lの量で含有することができる。
上記現像剤組成物の任意であるが望ましい成分は、カチオン性界面活性剤またはベタインである。2以上の上記現像剤組成物を用いることもでき、その合計量は一般的には少なくとも0.01重量%、典型的には0.1〜3重量%である。上記カチオン性界面活性剤は、画像形成した平版印刷版前駆体の非画像形成領域(除去されるべきでない領域)、特に以下の構造(Ia)によって表される繰り返し単位を含むものにおいて、上記現像剤組成物の腐食を緩和することができる。本発明に用いられる好適なカチオン性界面活性剤は、それらに限定されないが、脂肪酸の四級アンモニウムハロゲン化物が挙げられる。そのようなカチオン性界面活性剤の1つの例として、例えば米国特許出願公開第2006/0154187号明細書(Wilson et al.)に記載された「ハイドロマックス(Hydromax)300」が挙げられる。
上記現像剤組成物は、最も良好な濡れ性、安定性、溶解性、保護性、分散性または洗浄性を達成するために、1以上の界面活性剤をも含むことができる。実際には、そのような界面活性剤は、一般的にアニオン性またはノニオン性である。両方のタイプが存在することができる。有用なアニオン性界面活性剤は、アルキルアリールスルホネートなどのアルキルアリールスルホネート系のもの、例えばダウケミカル社(Dow Chemical Company)から「ダウファックス(Dowfax)2A1」として市販されているアルキルジフェニルオキサイドジスルホネートがある。上記アニオン性およびノニオン性界面活性剤は、配合量0.1〜2重量%で存在することができる。
上記現像剤組成物は、すべての公知の量で現像した印刷版を保護する、現像剤の従来の成分である材料、例えばヒドロトロープ、バイオサイド、消泡剤、ガミング(gumming)材料を更に含むことができる。
上記現像剤組成物は、上記成分を水に溶解することによって、作製することができる。上記現像剤組成物は、使用する準備ができた形で供給されても、または使用前に水または水性アルカリ溶液で1.5〜2.5倍に希釈される濃縮物の形で提供されてもよい。
各現像剤組成物は、それ自体の補充液として使用することができるが、より好ましくは、特別に配合した補充液を使用することができる。上記補充液組成物においては、上記アルカリ剤の濃度は一般に、現像処理中のアルカリ剤の消費を補うために、上記現像剤組成物中のアルカリ剤の濃度より高い。現像剤組成物槽全体のイオン伝導度値およびアルカリ度値の間には、しばしば相関性がある。
いくつかの態様では、補充液組成物は多量のアルカリ剤(例えば水酸化物)を有するだけでなく、増加した量のM2+カチオン、キレート剤、またはカチオン性界面活性剤もまた有することができる。
(ポジ型平版印刷版前駆体)
本発明は、水溶性ポリマーバインダおよび放射線吸収化合物を含む画像形成可能な層を有する基材をその上に含む画像形成したポジ型画像形成可能な要素を現像するのに用いることができ、上記ポリマーバインダは、
(a)側鎖ヒドロキシアリール基を含むビニルアセタール繰り返し単位、
(b)ヒドロキシアリールエステル基を含む繰り返し単位、または
(c)ランダムに、繰り返し単位(Ia)および(Ib)のいずれかまたは両方のタイプ
をランダムに含有する。
本開示の目的のために、構造(Ia)または(Ib)、或いは構造(Ia)および(Ib)をランダムに含むものとして定義された上記ポリマーバインダは、主要なポリマーバインダとして考えられる。後述のように、上記主要なポリマーバインダは上記画像形成可能な層中に存在しなければならないが、必ずしも上記ポリマーバインダのみが上記画像形成可能な層中に存在するとは限らない。
ほとんどの態様では、上記ポリマーバインダは、以下により詳細に記載する、以下の構造(Ia)および(Ib):
Figure 0005814382
のいずれかまたは両方によって表される繰り返し単位をランダムに含む。構造(Ia)および(Ib)の繰り返し単位の両方が存在する場合、ポリマーバインダ中の合計繰り返し単位をベースとして、ランダムに、上記構造(Ia)繰り返し単位は10〜35モル%存在し、上記構造(Ib)の繰り返し単位が25〜60モル%存在する。
更に他の態様では、構造(Ia)および(Ib)からの繰り返し単位に加えて、ランダムに、ポリマーバインダ中の合計繰り返し単位をベースとして、25〜60モル%の以下の構造(Ic):
Figure 0005814382
によって表される繰り返し単位を含み、任意に25モル%以上の以下の構造(Id):
Figure 0005814382
によって表される繰り返し単位を含み、任意に10モル%以上の以下の構造(Ie):
Figure 0005814382
によって表される繰り返し単位を含み、任意に20モル%以上の以下の構造(If):
Figure 0005814382
によって表される繰り返し単位を含み、構造(Ic)〜(If)については以下により詳細に記載する。
構造(Ia)および(Ib)においては、Rは、置換または非置換ヒドロキシアリール基、例えば置換または非置換ヒドロキシフェニルまたはヒドロキシナフチル基であり、上記アリール基は環内に1〜3のヒドロキシル基を有する。典型的には、上記アリール環には、1つだけのヒドロキシル基が存在する。任意にアリール基に存在することができる他の置換基には、それらに限定されないが、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、および上記画像形成可能な要素中の上記ポリマーバインダの性能に悪影響を与えない他の基が挙げられる。
は、ヒドロキシル基がエステル結合に対してオルト位である置換または非置換ヒドロキシアリール基である。いくつかの上記R基は、環状イミド基で置換されており、例えば、それらに限定されないが、マレイミド基、フタルイミド基、テトラクロロフタルイミド基、ヒドロキシフタルイミド基、カルボキシフタルイミド基およびナフタルイミド基
を含む脂肪族または芳香族イミド基などの環状イミド置換基を有する置換または非置換ヒドロキシフェニルまたはヒドロキシナフチル基である。Rへの更なる任意の置換基は、それらに限定されないが、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、および上記画像形成可能な要素中の上記環状イミド基またはポリマーバインダの特性に悪影響を与えない他の基が挙げられる。環状イミド置換基を有し、他の置換基を有さないヒドロキシフェニル基が、上記ポリマーバインダに有用である。
構造(Id)において、Rは水素或いは炭素原子1〜12個を有する置換または非置換の直鎖状または分岐状アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、クロロメチル基、トリクロロメチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、およびドデシル基)、炭素環中に炭素原子5〜10個を有する置換または非置換のシクロアルキル(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、4−クロロシクロヘキシル)、或いは芳香環中に炭素原子6〜10個を有する置換または非置換のアリ−ル基(例えば、フェニル、ナフチル、p−メチルフェニル、およびp−クロロフェニル)である。そのような基は、1以上の置換基、例えばアルキル、アルコキシ、およびハロゲン、または上記画像形成可能な要素中の上記ポリマーバインダの性能に悪影響を与えないことが当業者には容易に推測することができる他の基が挙げられる。
構造(Ie)において、Rは−Ox−(CH)y−COOH基(ここで、xは0または1であり、yは0、1または2である)で置換されたアリール基(例えばフェニルまたはナフチル基)である。典型的には、xは1であり、yは1であり、上記アリール基がフェニル基である。上記アリール基は更なる置換基、例えば上記画像形成可能な要素中の上記ポリマーバインダの性能に悪影響を与えないアルキル、アルコキシまたはハロゲンを有することができる。
構造(If)において、Rは芳香環中に炭素原子6〜10個を有し、1以上の置換基、例えばアルキル、アルコキシ、および上記画像形成可能な要素中の上記ポリマーバインダの特性に悪影響を与えないことが当業者には容易に推測することができる他の基を有することができる置換または非置換のアリ−ル基(例えばフェニルまたはナフチル基)である。
いくつかの態様では、上記ポリマーバインダは各構造(Ia)〜(If):
Figure 0005814382

Figure 0005814382
(式中、R、R、R、R、R、xおよびyは前述の通りであり、すべてランダムに、ポリマーバインダ中の合計繰り返し単位をベースとして、kは15〜25モル%、lは25〜45モル%、mは30〜55モル%、nは0〜15モル%、oは0〜8モル%、pは0〜10モル%である)
によって表される繰り返し単位をランダムに含む。
更に他の態様では、上記ポリマーバインダは各構造(Ia)〜(Id):
Figure 0005814382
Figure 0005814382
(式中、R、RおよびRは前述の通りである)
によって表される繰り返し単位をランダムに含む。
更に他の態様では、各構造(Ia)〜(Ie):
Figure 0005814382

Figure 0005814382
(式中、R、R、R、R、xおよびyは前述の通りである)
によって表される繰り返し単位をランダムに含むポリマーバインダの使用を含む。
構造(Ia)または(Ib)、或いは構造(Ia)および(Ib)の両方並びに任意に(Ic)、(Id)、(Ie)または(If)によって表される繰り返し単位を含む主要なポリマーバインダは、上記表示された繰り返し単位によって特定されたもの以外の繰り返し単位を含むことができ、そのような繰り返し単位は当業者に容易に理解できるものである。従って、本発明に有用なポリマーバインダは特に構造(Ia)〜(If)によって特定された繰り返し単位に限定されない。主要なポリマーバインダにおいては2以上のタイプの繰り返し単位が存在し、上記繰り返し単位どうしはランダムに存在する。
異なる置換基を有する構造(Ia)、(Ib)、(Id)、(Ie)および(If)の特定の組の繰り返し単位のいくつかからのマルチタイプの繰り返し単位が存在してもよい。例えば、異なるR基を有するマルチタイプの繰り返し単位が存在してもよく、異なるR基を有するマルチタイプの繰り返し単位が存在してもよく、異なるR基を有するマルチタイプの繰り返し単位が存在してもよく、異なるR基を有するマルチタイプの繰り返し単位が存在してもよく、或いは異なるR基を有するマルチタイプの繰り返し単位が存在してもよい。加えて、上記主要なポリマーバインダ中の繰り返し単位の数およびタイプは、概してランダム配列であるが、特定の繰り返し単位のブロックが意図せずに存在してもよい。
上記主要なポリマーバインダは、上記画像形成可能な層の合計乾燥重量をベースとして、一般的に40〜95重量%(典型的には、50〜80重量%)の量で存在する。
本発明に用いられる主要なポリマーバインダは、ジメチルスルホキシド(DMSO)またはN‐メチルピロリドン(NMP)またはこれらの溶媒のγ‐ブチロラクトン(BLO)との混合物中の金属水酸化物、金属アルコキシドおよび環状アミンなどの塩基性触媒存在下での、ヒドロキシ置換した芳香族酸のアルキルまたはアリールエステルのポリビニルアルコールとのエステル交換反応によって作製することができる。
上記主要なポリマーバインダのいくつかの態様は、芳香環に環状イミド(例えば、フタルイミド基)で置換された側鎖ヒドロキシアリール基を有する。そのようなポリマーは、DMSOまたはNMP、またはこれらの溶媒のBLOとの混合物中の金属水酸化物、金属アルコキシドまたは環状アミンなどの塩基性触媒存在下での、ヒドロキシル置換した芳香族酸のアルキルまたはアリールエステルの環状イミド誘導体のポリビニルアルコールとのエステル交換反応によって、或いはDMSOまたはNMP、またはこれらの溶媒のBLOとの混合物中の金属水酸化物、金属アルコキシドまたは環状アミンなどの塩基性触媒存在下での、ヒドロキシル置換した芳香族酸のアルキルまたはアリールエステルの環状イミド誘導体の混合物のポリビニルアルコールとのエステル交換反応によって作製することができる。
上記主要なポリマーバインダは、単独で、または本明細書中で2次ポリマーバインダとして認識される他のアルカリ溶解性ポリマーバインダと混合して用いることができる。これらの付加的なポリマーバインダには、他のポリ(ビニルアセタール)、例えば米国特許第6,255,033号および同6,541,181号明細書(前述)、国際公開第04/081662号パンフレット(前述)、並びに米国特許出願公開第2008/0206678号明細書(Levanon et al.)に記載されたポリ(ビニルアセタール)が挙げられる。
上記主要なポリマーバインダと共に用いることができる2次ポリマーバインダのタイプは特に限定されない。一般に、画像形成可能な要素のポジ型放射線感受性を低下させない観点から、上記2次ポリマーバインダは多くの場合、アルカリ溶解性ポリマーである。
他の有用な2次ポリマーバインダとして、ノボラックおよびレゾール樹脂などのフェノール樹脂、例えばフェノールおよびホルムアルデヒドの縮合ポリマー、m−クレゾールおよびホルムアルデヒドの縮合ポリマー、p−クレゾールおよびホルムアルデヒドの縮合ポリマー、m−/p−混合クレゾールおよびホルムアルデヒドの縮合ポリマー、フェノール、クレゾール(m−、p−またはm−/p−混合物)およびホルムアルデヒドの縮合ポリマー、およびピロガロールおよびアセトンの縮合コポリマーが挙げられる。更に、側鎖にフェノール基を含有する化合物を共重合することによって得られるコポリマーも使用することができる。
他の有用な2次ポリマーバインダの例には、主鎖および/または側鎖(ペンダント基)に以下の(1)〜(5)の酸性基を有する以下の組のポリマーが挙げられる。
(1)スルホンアミド(―SONH−R’)、
(2)置換スルホンアミド系酸基(以下、活性イミド基という)、例えば(―SONHCOR’、―SONHSOR’、―CONHSOR’)、
(3)カルボン酸基(―COH)、
(4)スルホン酸基(―SOH)、および
(5)リン酸基(―OPO)、
上記基(1)〜(5)中のR’は、水素または炭化水素基を表す。
スルホンアミド基(1)を有する代表的な2次ポリマーバインダは、例えばスルホンアミド基を有する化合物から誘導される主成分としての最小構成単位から成るポリマーである。従って、そのような化合物の例として、少なくとも1つの水素原子が窒素原子に結合する少なくとも1つのスルホンアミド基および少なくとも1つの重合性不飽和基を1分子中に有する化合物が挙げられる。これらの化合物には、m−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、およびN−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミドがある。従って、m−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、またはN−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミドなどのスルホンアミド基を有する重合用モノマーのホモポリマーまたはコポリマーを用いることができる。
活性イミド基(2)を有する2次ポリマーバインダの例には、主構成成分としての活性イミド基を有する化合物から誘導される繰り返し単位を含有するポリマーがある。そのような化合物の例には、以下の構造式:
Figure 0005814382
によって表される部分を有する重合性不飽和化合物が挙げられる。
そのような重合性不飽和化合物の例には、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミドおよびN−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミドが挙げられる。
上記(3)〜(5)の基のいずれかを有する2次ポリマーバインダには、所望の酸性基、または重合後にそのような酸性基に変換することができる基を有するエチレン性不飽和重合性モノマーを反応させることによって容易に作製されるものが挙げられる。
上記2次ポリマーバインダは、重量平均分子量2,000以上および数平均分子量500以上を有することができる。典型的には、上記重量平均分子量は5,000〜300,000であり、上記数平均分子量は800〜250,000であり、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1.1〜10である。
上記2次ポリマーバインダの混合物は、1以上の主要ポリマーバインダと共に用いることができる。上記2次ポリマーバインダは、上記放射線感受性組成物または画像形成可能な層中の合計ポリマーバインダの乾燥重量をベースとして、1〜50重量%、典型的には5〜30重量%の量で存在することができる。
上記放射線感受性組成物は、1以上の現像性向上化合物をさらに含むことができる。国際公開第2004/081662号(Memetea et al.)には、酸性の性質を有する様々な現像性向上化合物を用いて、必要とする画像形成エネルギーを低減するようにポジ型組成物および要素の上記感受性を向上することが記載されている。酸性現像性向上化合物(ADEC)、例えばカルボン酸または環状酸無水物、スルホン酸、スルフィン酸、アルキル硫酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸エステル、フェノール、スルホンアミド、またはスルホンイミドは、更に現像寛容度および耐刷性を向上することができる。そのような化合物の代表例は、本明細書中で上記酸現像性向上化合物に関して引用された米国特許出願公開第2005/0214677号明細書(前述)の段落[0030]〜[0036]に記載されている。
上記画像形成可能な層は、米国特許第7,544,462号明細書(Levanon et al.)に記載されているような1以上の塩基性現像性向上化合物(BDEC)および米国特許出願公開第2009/0162783号明細書(Levanon et al.)に記載されているような1以上の現像性向上化合物(DEC)も含むことができる。例えば、上記現像性向上化合物は、特に1以上のアミノ基がアリール基に直接結合する場合、1以上のアミノ基およびカルボン酸基を有する有機化合物である。上記現像性向上化合物は、以下の構造(DEC):
Figure 0005814382
(式中、RおよびRは独立して、水素、或いは置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のシクロアルキル基、或いは置換または非置換のアリール基であり、
Aは、分子鎖内に1以上の炭素、窒素、硫黄、または酸素原子を有する置換または非置換有機結合基であり、Aは、−[N(R)(R)]に直接結合した置換または非置換アリーレン基を含有し、
mは、1〜4の整数であり、およびnは、1〜4の整数である)
によって表すことができる。
上記平版印刷版前駆体はポジ型であり、本明細書中に記載されている上記主要なポリマーバインダは単一の表面画像形成可能な層中に存在する。
上記表面画像形成可能な層はまた、画像形成可能な層の合計乾燥重量をベースとして、0.1〜10重量%の量で、ヒドロキシマンデル酸を含有することができる。
本発明に用いられる平版印刷版前駆体は、ポジ型であり、本明細書中に記載されている上記主要なポリマーバインダは単一の画像形成可能な層中にポリマーバインダとして存在する。
一般に、平版印刷版前駆体は、1以上の主要なポリマーバインダ、放射線吸収化合物(後述)、任意に現像性向上組成物、および他の任意の添加剤(addenda)を含有する放射線感受性組成の配合物の、好適な基材への好適な適用によって画像形成可能な層を形成することによって、形成される。上記基材はたいてい、上記配合物の塗布前に、種々の方法によって後述のように処理または被覆される。例えば、上記基材は、接着性または親水性の向上のために、「中間層」を提供するように処理することができ、上記画像形成可能な層は上記中間層上に適用される。
上記基材は、一般的に、親水性表面、または画像形成側に適用された画像形成用配合物よりも高親水性である表面を有する。上記基材は、画像形成性要素、例えば平版印刷版を作製するために従来からより使用されている如何なる材料からも構成できる支持体を含む。基材は通常、シート、フィルムまたは箔の形態であり、強固であり、安定であり、そして可撓性を有し、また色記録がフルカラー画像を見当合わせするような使用条件下では耐寸法変化性を有する。典型的には、支持体は、ポリマーフィルム(例えばポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースエステルポリマー、およびポリスチレンフィルム)、ガラス、セラミック、金属シートまたは箔、または剛性紙(樹脂コート紙および金属化紙を含む)、またはこれらの材料のうちのいずれかの積層体(例えばポリエステルフィルム上へのアルミニウム箔の積層体)などのいかなる自立型材料であってもよい。金属支持体としては、アルミニウム、銅、亜鉛、チタンおよびこれらの合金のシートまたは箔が挙げられる。
ポリマーフィルム支持体の一方または両方の表面を、親水性を高めるために「下引き(subbing)」層で改質することができ、或いは、平坦性を高めるために、紙支持体を同様にコートすることができる。下引き層材料の例としては、それらに限定されないが、アルコキシシラン、アミノ−プロピルトリエトキシシラン、グリシジオキシプロピル−トリエトキシシラン、およびエポキシ官能性ポリマー、ならびに、ハロゲン化銀写真フィィルムに使用される従来の親水性下引き材料(例えばゼラチン、および他の天然由来および合成の親水性コロイド、ならびに塩化ビニリデンコポリマーなどのビニルポリマー)が挙げられる。
1つの基材は、物理的砂目立て、電気化学的砂目立て、化学的砂目立て、およびこれに続く陽極酸化を含む、当業者に知られた技術によってコーティングまたは処理することができるアルミニウム支持体から構成される。アルミニウムシートは、機械的または電気化学的に砂目立てされ、リン酸または硫酸、および常套の方法を用いて陽極酸化することができる。
例えばケイ酸塩、デキストリン、フッ化カルシウムジルコニウム、ヘキサフルオロケイ酸、ホスフェート/フッ化ナトリウム、ポリ(ビニルホスホン酸)(PVPA)、ビニルホスホン酸コポリマー、ポリ(アクリル酸)、またはアクリル酸コポリマー溶液、または
英国特許第2,098,627号明細書および特開昭57−195697号公報(両方共にHerting et al.)に記載されているような縮合アリールスルホン酸のアルカリ塩でアルミニウム支持体を処理することにより、任意の中間層を形成することができる。砂目立ておよび陽極酸化が施されたアルミニウム支持体は、表面親水性を向上するために公知の方法を用いてホスフェート(例えば、NaHPO)およびフッ化ナトリウムで処理することができる。
基材の厚さは変化してもよいが、印刷による摩耗に耐えるのに十分な厚さを有し、かつ印刷版の周りを巻くのに十分に薄いものであるべきである。いくつかの態様としては、厚さ100〜600μmを有する処理されたアルミニウム箔が挙げられる。
基材の裏側(非画像形成側)には、平版印刷版前駆体の取り扱い性および「感触(feel)」を向上するために、スリップ層または艶消し層を被覆することができる。
上記基材は、放射線感受性組成物が適用された円筒形表面であってもよく、従って印刷機の一体部分であってもよい。そのような画像形成されたシリンダーの使用は、例えば米国特許第5,713,287号明細書(Gelbart)に記載されている。
上記画像形成可能な層(および放射線感受性組成物)は、典型的には、1以上の放射線吸収化合物をも含み、これらの化合物は、通常、赤外線に対して感受性を有し、従って、上記放射線吸収化合物は、一般的には700〜1400nm、典型的に750〜1250nmの放射線を吸収する赤外線吸収化合物(「IR吸収化合物」)として公知である。画像形成可能な層は、一般的には、平版印刷版前駆体中の最外層である。
好適なIR染料の例としては、それらに限定されないが、アゾ染料、スクアリリウム染料、クロコネート染料、トリアリールアミン染料、チアゾリウム染料、インドリウム染料、オキソノール染料、オキサゾリウム染料、シアニン染料、メロシアニン染料、フタロシアニン染料、インドシアニン染料、インドトリカルボシアニン染料、ヘミシアニン染料、ストレプトシアニン染料、オキサトリカルボシアニン染料、チオシアニン染料、チアトリカルボシアニン染料、メロシアニン染料、クリプトシアニン染料、ナフタロシアニン染料、ポリアニリン染料、ポリピロール染料、ポリチオフェン染料、カルコゲノピリロアリーリデンおよびビ(カルコゲノピリロ)ポリメチン染料、オキシインドリジン染料、ピリリウム染料、ピラゾリンアゾ染料、およびオキサジン染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、キノンイミン染料、メチン染料、アリールメチン染料、ポリメチン染料、スクアリン染料、オキサゾール染料、クロコニン染料、ポルフィリン染料、および前記染料類の置換した形またはイオン化形などが挙げられる。好適な染料は、例えば米国特許第4,973,572号明細書(DeBoer)、同第5,208,135号明細書(Patel et al.)、同第5,244,771号明細書(Jandrue Sr. et al.)および同第5,401,618号明細書(Chapman et al.)、および欧州特許出願公開第0 823 327号明細書(Nagasaki et al.)に開示されている。
アニオン性発色団を有するシアニン染料も有用である。例えば、シアニン染料は、2つの複素環式基を有する発色団を有することができる。別の態様では、米国特許出願公開第2005−0130059号明細書(Tao)に記載されているように、シアニン染料は、2以上のスルホン酸基、例えば2つのスルホン酸基、および2つのインドレニン基を有することができる。
好適なシアニン染料の有用なものに関する一般的記述が、国際公開第2004/101280号パンフレット(Munnelly et al.)の段落[0026]において式で示されている。
低分子量IR吸収染料に加えて、ポリマーに結合されたIR染料部分を使用することもできる。さらに、IR染料カチオンを使用することができ、すなわち、このカチオンは、カルボキシ、スルホ、ホスホまたはホスホノ基を側鎖に含むポリマーとイオン相互作用する染料塩のIR吸収部分である。
近赤外線吸収シアニン染料も有用であり、例えば米国特許第6,309,792号明細書(Hanck et al.)、同第6,264,920号明細書(Achilefu et al.)、同第6,153,356号明細書(Urano et al.)および同第5,496,903号明細書(Watanabe et al.)に記載されている。好適な染料は、常套の方法および出発材料を用いて形成することができ、或いは、American Dye Source(カナダ国ケベック州ベ−デュルフェ)およびFEW Chamicals(ドイツ国)を含む種々の商業的供給元から得ることができる。近赤外線ダイオードレーザビームのための他の有用な染料が、例えば米国特許第4,973,572号明細書(前述)に記載されている。
有用なIR吸収化合物は、カーボンブラック、例えば当業者に公知のように可溶化基で表面官能化されたカーボンブラックなどのカーボンブラックが挙げられる。親水性の非イオン性ポリマーにグラフト化されたカーボンブラック、例えばFX−GE−003(Nippon Shokubai製)、またはアニオン基で表面官能化されたカーボンブラック、例えばCAB−O−JET 200またはCAB−O−JET 300(Cabot Corporation製)も有用である。他の有用な顔料としては、それらに限定されないが、ヘリオゲン・グリーン、ニグロシン塩基、酸化鉄(III)、酸化マンガン、プリシアン・ブルー、およびパリス・ブルーが挙げられる。顔料粒子のサイズは、画像形成可能な層の厚さより大きくなるべきではなく、好ましくは、顔料粒子のサイズは、画像形成可能な層の厚さの半分未満である。
平版印刷版前駆体において、放射線吸収化合物は、一般的に、0.1〜30重量%の乾燥被覆量で存在するか、または上記化合物が、0.5〜15重量%の量で存在するIR染料である。この目的に必要な特定の量は、使用される特定の化合物に依存して、当業者であれば容易に理解することができる。
あるいは、放射線吸収化合物は、画像形成可能な層と熱的に接触する別の層に含まれてもよい。従って、画像形成中に、上記別の層中の放射線吸収化合物の作用を、上記化合物が元は含まれていなかった画像形成可能な層に移すことができる。
画像形成可能な層(および放射線感受性組成物)は、着色剤顔料または染料、或いはUVまたは可視光感受性化合物である1以上の追加の化合物を含むこともできる。顔料着色剤は、一般的に放射線感受性の画像形成可能な層を基材に適用するのに用いられる0.1g/L未満のコーティング溶液中に一般的に不溶性である有機着色剤であってもよい。そのようなコーティング溶液は、一般的にヒドロキシル、エステル、エーテル、カルボニル、カルボキシル、アミド、またはニトリル基を有し、かつ沸点30〜250℃を有する。有用な顔料着色剤には、それらに限定されないが、フタロシアニン、ペリレン、およびアゾ顔料が挙げられる。アルカリ性現像剤中に可溶性の着色剤染料が有用である。有用な着色剤染料としては、トリアリールメタン染料、例えばエチル・バイオレット、クリスタル・バイオレット、マラカイト・グリーン、ブリリアント・グリーン、ビクトリア・ブルーB、ビクトリア・ブルーR、およびビクトリアピュアブルーBO、BASONYL バイオレット610およびD11(仏国ロンジュモーのPCAS)が挙げられる。これらの化合物は、現像された平版印刷版内の非露光(非画像形成)領域を露光された(画像形成された)領域から区別するコントラスト染料として作用することもできる。
画像形成可能な層(および放射線感受性組成物)はさらに、様々な添加剤、例えば分散剤、保湿剤、バイオサイド、可塑剤、コーティング適性またはその他の特性のための界面活性剤、増粘剤、充填剤および増量剤、pH調整剤、乾燥剤、消泡剤、保存剤、酸化防止剤、現像助剤、レオロジー調整剤、またはこれらの組み合わせ、あるいは平版印刷分野において一般的に使用されている他の如何なる添加剤を、常套の量で含んでいてもよい。
ポジ型平版印刷版前駆体は、常套のコーティング法またはラミネーション法を用いて、基材(およびその表面上に設けられたその他の親水性層)の表面の上に画像形成可能な層(放射線感受性組成物)配合物を適用することにより製造することができる。例えば、好適なコーティング用溶媒中に所望の成分を分散または溶解させることにより配合物を適用することができ、得られた配合物は、好適な装置および方法、例えばスピンコーティング、ナイフコーティング、グラビアコーティング、ダイコーティング、スロットコーティング、バーコーティング、ワイヤロッドコーティング、ローラーコーティング、または押出ホッパーコーティングを用いて、基材に適用される。配合物は、好適な支持体(例えば印刷装置上印刷シリンダー)上に噴霧することによっても適用できる。
画像形成可能な層のコーティング重量は、0.5〜3.5g/m、好ましくは1〜3g/mである。
層配合物をコーティングするために使用される溶媒は、配合物中のポリマーバインダおよびその他のポリマー材料および非ポリマー成分の性質に応じて選択される。一般に、画像形成可能な層配合物は、当業者に公知の条件および技術を用いて、アセトン、メチルエチルケトン、または別のケトン、テトラヒドロフラン、1−メトキシ−2−プロパノール、N−メチルピロリドン、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、γ−ブチロラクトン、およびこれらの混合物からコーティングされる。代表的なコーティング用溶媒混合物を下記例において説明する。
他の配合物のコーティング前に溶媒を除去するために、種々の層配合物の適用の間に、中間乾燥工程を用いることができる。乾燥工程は、種々の層の混合を防止するのを助けることもできる。
本発明に従ってポジ型平版印刷版前駆体を製造する代表的な方法を、下記例において説明する。
基材上で画像形成可能な層を乾燥させた後(すなわち、コーティングが自立し、指触乾燥状態になった後)、上記平版印刷版前駆体を少なくとも4時間、典型的には少なくとも20時間、または少なくとも24時間にわたって、40℃〜90℃(典型的には50〜70℃)で熱処理する。最大熱処理時間は数日間であってよいが、しかし熱処理のための最適な時間および温度は、常套の試験によって容易に決定することができる。このような熱処理は、「コンディショニング」工程としても知られている。このような処理は、例えば欧州特許第823,327号明細書(Nagasaka et al.)および同第1,024,958号明細書(McCullough et al.)に記載されている。
熱処理中に、平版印刷版前駆体を非透水性シート材料で包むか、または囲んで、前駆体からの水分の除去に対する有効なバリヤーとすることも望ましい。このプロセスについての詳細は米国特許第7,175,969号明細書(Ray et al.)に記載されている。
(画像形成および現像)
本発明に用いられる平版印刷版前駆体は、如何なる有用な形態を有してもよい。上記前駆体は、好適な基材上に配置された必須のポジ型の画像形成可能な層を有しており、如何なる好適な大きさおよび形状(例えば、正方形または矩形)を有していてもよい。
使用中、平版印刷版前駆体は、波長700〜1400nmの赤外線レーザを使用して、ある波長の赤外線の好適な供給源に暴露される。画像形成部材を露光するために使用されるレーザは、ダイオードレーザシステムの信頼性および手入れの要らないことにより、ダイオードレーザであることが可能であるが、他のレーザ、例えば気体または固体レーザも使用できる。レーザ画像形成のための出力、強度、および露光時間の組み合わせは、当業者には容易に明らかである。現在、市販のイメージセッターにおいて使用される高性能レーザまたはレーザダイオードは、750〜1250nmの範囲の1以上の波長の赤外線を放射する。
画像形成装置は、プレートセッターとしてだけ機能することができ、あるいは、画像形成装置は、平版印刷機内に直接組み込まれていてもよい。後者の場合、印刷は画像形成直後に開始することができ、これにより印刷機設定時間をかなり短縮することができる。画像形成装置は、平版印刷版前駆体をドラムの内側または外側の円筒面に装着した状態で、平床型レコーダとして、またはドラム型レコーダとして構成することができる。有用な画像形成装置は、波長830nmの近赤外線を放出するレーザダイオードを備えるEastman Kodak Company(カナダ国ブリティッシュコロンビア州バーナビー)から市販のいくつかのモデルのKodak Trendsetter イメージセッターとして市販されている。他の好適な画像形成供給源としては、波長1064nmで作動するCrescent 42T Platesetter(イリノイ州シカゴのGerber Scientificから市販)、およびScreen PlateRite 4300シリーズまたは8600シリーズのプレートセッター(イリノイ州シカゴのScreenから市販)が挙げられる。さらなる有用な放射線源としては、平版印刷版前駆体が印刷版シリンダーに取り付けられている間に平版印刷版前駆体に画像形成するために使用することができるダイレクト画像形成印刷機が挙げられる。好適なダイレクト画像形成印刷機の例としては、Heidelberg SM74−DI プレス(オハイオ州デイトンのHeidelbergから市販)が挙げられる。
IR画像形成スピードは、30〜1500mJ/cm、または典型的には40〜300mJ/cmであることができる。
レーザ画像形成は通常行われる方法であるが、画像形成は、画像形成的に熱エネルギーを提供する他の手段によって行うことができる。例えば、画像形成は、米国特許第5,488,025号明細書(Martin et al.)に記載されている「サーマル・プリンティング」として公知の方法における熱抵抗ヘッド(サーマル・プリンティング・ヘッド)を用いて行うことができる。サーマル・プリント・ヘッドは市販されている(例えば、Fujitsu Thermal Head FTP−040 MCS001およびTDK Thermal Head F415 HH7−1089)。
画像形成は、一般的に、ダイレクトデジタル画像形成によって実施される。画像信号は、コンピュータ上のビットマップデータファイルとして記憶される。このようなファイルは、ラスターイメージプロセッサ(RIP)、または他の好適な手段により生成できる。ビットマップは、カラーの色相、そしてスクリーンの頻度および角度を規定するために構成される。
平版印刷版前駆体の画像形成することにより、画像形成された(露光された)領域と非画像形成(非露光)領域とから成る潜像を含む画像形成された前駆体が形成される。画像形成された前駆体を本発明の現像剤組成物により現像することによって、画像形成可能な層およびその下の層の露光された領域のみを主に除去し、(一般にアルミニウムを含む)基材の親水性表面を露出させる。現像は、画像形成可能な層の画像形成された(露光された)領域を除去するのに十分な時間実施されるが、画像形成可能な層の非画像形成(非露光)領域を除去するほど長くない時間実施される。画像形成可能な層の画像形成された(露光された)領域は、現像剤組成物に「可溶性」または現像剤組成物によって「除去可能」であると説明される。なぜならば、上記画像形成された領域は、画像形成可能な層の非画像形成(非露光)領域よりも容易に、現像剤中で除去され、溶解し、または分散されるからである。従って上記「可溶性」という用語は、「分散性」であることも意味する。
一般的に、現像剤組成物は、現像剤組成物を含むアプリケーターを用いて画像形成された前駆体を擦るかまたは拭うことにより、画像形成された前駆体に適用される。あるいは、画像形成された前駆体に、現像剤組成物をはけ塗りすることもでき、または露光された領域を除去するのに十分な力で現像剤組成物を画像形成された前駆体に吹き付けることにより、現像剤組成物を適用することができる。また、画像形成された前駆体を現像剤組成物中に浸漬することもできる。すべての場合において、現像された画像は、平版印刷版に形成される。現像は、好適なロール、ブラシ、タンク、および必要であれば溶液の送り出し、処分または再循環のための配管を含む好適な装置中で実施されてもよい。浸漬タンクを用いる現像が特に有用である。
上記現像剤組成物は、「濃度調整(working strength)」液として添加されてもよく、或いは水または水性アルカリ溶液で1.5〜2.5倍に希釈され得る「濃縮物(concentrate)」として添加されてもよい。従って、濃縮された形の現像剤組成物は、水または水性アルカリ溶液或いは両方で希釈することによって、得られる濃度調整現像剤組成物が所望量の各成分を有するように、適当な濃度の種々の成分を有する。
現像中に、上記現像剤組成物は、再生量の同一溶液で補充されてよく、または同様のまたは異なる濃度の種々の成分を有する現像剤組成物で補充されてよい。例えば、現像剤補充組成物は、より高濃度のアルカリ剤、M2+金属カチオン、そして他の成分、例えばカチオン性界面活性剤またはキレート剤を有してもよい。上記より高濃度とは、所望の成分の5〜20%だけ高い濃度であってもよい。
補充の速度は、現像される前駆体の面積をベースとして、常套の試験によって容易に決定することができる。ほとんどの場合、上記補充の速度は、現像タンク中の現像組成物の導電率を測定して上記導電率を目的の導電率にできる限り近づけることによって制御およびモニターすることができる。補充中に上記導電率が高くなり過ぎると、希釈剤、例えば水のみを上記現像タンクに加えてもよい。
現像に続いて、画像形成された前駆体を水で濯ぎ、そして好適な様式で乾燥させることができる。乾燥させた前駆体を、従来のガミング(gumming)溶液(好ましくはアラビアゴム)で処理することもできる。
得られる平版印刷版は、ランレングスを増加するために実施することができる露光後ベーキング作業において、ベーキングすることもできる。ベーキングは、例えば220℃〜260℃で1〜10分間、または120℃で30分間行うことができる。
上記平版印刷版の印刷面に平版印刷インキおよび湿し水を適用することにより、印刷を実施することができる。上記インキは、画像形成可能な層の非画像形成(非露光または非除去)領域により取り込まれ、上記湿し水は、画像形成および現像プロセスによって露出された基材の親水性表面により取り込まれる。上記インキは、次いで、その上に画像の所望の刷りを提供するために、好適な受容材料(例えば布地、紙、金属、ガラスまたはプラスチック)に転写される。必要であれば、上記平版印刷版から受容材料へ上記インキを転写するために、中間「ブランケット」ロールを使用することができる。上記平版印刷版は、必要であれば、従来のクリーニング手段および化学薬品を使用して、刷りの間にクリーニングすることができる。
本発明により、少なくとも以下の態様およびそれらの組み合わせを提供するが、本開示の示唆から、当業者には他の特徴の組み合わせが本発明の範囲内であると考えることが妥当である。
1.pH少なくとも12を有し、かつ
バリウムカチオン、カルシウムカチオン、ストロンチウムカチオンおよび亜鉛カチオンから成る群から選択される金属カチオンM2+、および
該金属カチオンに対する錯形成定数(logK)3.5〜4.5およびアルミニウムイオンに対する錯形成定数(logK)7以下を有するキレート剤を含む、ケイ酸塩を含有しない水性アルカリ現像剤組成物。
2.前記金属カチオンM2+がカルシウム、ストロンチウムまたは亜鉛である、態様1の現像剤組成物。
3.前記キレート剤が、カルシウムに対するlogK(錯形成定数)3.5から4.5およびアルミニウムイオンに対するlogK(錯形成定数)7未満を有する態様1または2の現像剤組成物。
4.pH12〜13.5を有する、態様1〜3のいずれか1つの現像剤組成物。
5.さらにクエン酸塩、酢酸塩、酒石酸塩、硝酸塩、およびシュウ酸塩の内の少なくとも一つであるアルカリ金属塩を更に含む、態様1〜4のいずれか1つの現像剤組成物。
6.前記キレート剤が、ホスホノ−ポリカルボン酸である、態様1〜5のいずれか1つの現像剤組成物。
7.前記キレート剤が、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸である、態様1〜6のいずれか1つの現像剤組成物。
8.前記M2+が、含有量0.001〜0.01 グラム原子/kgで存在する、態様1〜7のいずれか1つの現像剤組成物。
9.前記キレート剤が、含有量0.01〜0.1 mol/Lで存在する、態様1〜8のいずれか1つの現像剤組成物。
10.アニオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤のいずれかまたは両方を含む、態様1〜9のいずれか1つの現像剤組成物。
11.pH12〜13.5を有し、かつ
更に水酸化物であるアルカリ剤および前記キレート剤以外のアルカリ金属塩を含み、
金属カチオンM2+がカルシウム金属カチオンであり、
前記キレート剤が、カルシウム金属カチオンに対する錯形成定数(logK)3.5から4.5およびアルミニウムイオンに対する錯形成定数(logK)7以下を有する、態様1〜10のいずれか1つの現像剤組成物。
12.前記キレート剤が、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸である、態様11の現像剤組成物。
13.pH12〜13.5を有し、かつ
更に水酸化物およびクエン酸塩であるアルカリ金属塩を含み、
金属カチオンM2+がカルシウム金属カチオンであり、
前記キレート剤が、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸である、態様1〜12のいずれか1つの現像剤組成物。
14.カチオン性界面活性剤を更に含む態様13の現像剤組成物。
15.(A)基材および画像形成可能な層を有するポジ型平版印刷版前駆体を画像的に露光して、該画像形成可能な層内に露光領域および非露光領域を提供する工程、および
(B)該露光した平版印刷版前駆体を、態様1〜14のいずれか1つの現像剤組成物で現像して、該画像形成可能な層内の露光領域を除去する工程
を含む、平版印刷版を提供する方法。
16.前記ポジ型平版印刷版前駆体がアルミニウム含有支持体および前記支持体上に配置された単一の画像形成可能な層を有する、態様15の方法。
17.前記ポジ型平版印刷版前駆体が前記画像形成可能な層に赤外線吸収化合物を含有し、かつ画像的露光が赤外線を用いて行われる、態様15または16の方法。
18.前記画像形成可能な層が、以下の構造(Ia)および(Ib):
Figure 0005814382

Figure 0005814382
(式中、
構造(Ia)および(Ib)の繰り返し単位の両方が存在する場合、ポリマーバインダ中の合計繰り返し単位をベースとして、構造(Ia)の繰り返し単位が10〜35モル%、構造(Ib)の繰り返し単位が25〜60モル%存在し、
Rは、置換または非置換ヒドロキシアリール基であり、
は、ヒドロキシル基がエステル結合に対してオルト位である置換または非置換ヒドロキシアリール基である。)
のいずれかまたは両方によって表される繰り返し単位をランダムに含有するポリマーバインダを含む態様15〜17のいずれか1つの方法。
19.前記ポジ型平版印刷版前駆体が、ヒドロキシマンデル酸;アリール基に直接結合する少なくとも1つのアミノ基および少なくとも1つのカルボン酸基を有する有機化合物;またはヒドロキシマンデル酸および該有機化合物の少なくとも1つの両方;を含有する表面画像形成可能な層を有する、態様15〜18のいずれか1つの方法。
20.前記現像剤組成物が、pH12〜13.5を有し、かつ
水酸化物、前記キレート剤以外のアルカリ金属塩を含み、
金属カチオンM2+がカルシウム金属カチオンであり、
キレート剤が、カルシウム金属カチオンに対する錯形成定数(logK)3.5から4.5およびアルミニウムイオンに対する錯形成定数(logK)7以下を有する、態様15〜19のいずれか1つの方法。
21.前記キレート剤が、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸である、態様20の方法。
22.pH12〜13.5を有し、かつ
水酸化物、クエン酸塩を含み、
金属カチオンM2+がカルシウム金属カチオンであり、
キレート剤が、pH12〜13.5を有し、かつ
水酸化物、前記キレート剤以外のアルカリ金属塩を含み、
金属カチオンM2+がカルシウム金属カチオンであり、
キレート剤が、カルシウム金属カチオンに対する錯形成定数(logK)3.5から4.5およびアルミニウムイオンに対する錯形成定数(logK)7以下を有する、態様15〜21のいずれか1つの方法。
23.前記現像剤組成物が、カチオン性界面活性剤、および任意にアニオン性界面活性剤を含む、態様15〜22のいずれか1つの方法。
24.前記現像剤組成物を、工程Bで使用するために水または水性アルカリ溶液で少なくとも1.5倍希釈される濃縮物として供給する、現像処理装置中で行われる、態様15〜22のいずれか1つの方法。
25.前記ポジ型平版印刷版前駆体が、NaHPOおよびフッ化ナトリウムの溶液で処理した、粒状および陽極処理したアルミニウム支持体を含む、態様15〜24のいずれか1つの方法。
26.(a)各々が支持体およびポリマーバインダを含む画像形成可能な最外層を有する1以上のポジ型平版印刷版前駆体、および
(b)態様1〜15のいずれか1つのケイ酸塩を含有しない水性アルカリ現像剤組成物
を含む、平版印刷版を提供するのに有用なキット。
以下の実施例は本発明の実施を説明するものであり、如何なる形にせよ本発明の範囲を制限するものではない。
以下の材料を、実施例の作製および使用に用いた。他に表示しない限り、材料はアルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Company;Mileaukee WI)から入手した。
「ベイヒビット(Bayhibit)AM」は、2‐ホスホノブタン‐1,2,4‐トリカルボン酸、「PBTC」の50%水溶液(バイエル社(Bayer AG))である。
「ハイドロマックス(Hydromax)300」は、有機脂肪酸四級アンモニウムクロライド混合物の40%水溶液(ケマックス・パフォーマンス・プロダクツ社(Chemax Performance Products;Greenville SC)である。
「ダウファックス(Dowfax)2A1」は、アニオン性アルキルジフェニルオキサイドジスルホネート(ダウケミカル社(Dow Chemical Company))である。
クエン酸カリウムは、クエン酸トリカリウム塩、一水和物である。
クエン酸ナトリウムは、クエン酸トリナトリウム塩、二水和物である。
硝酸カリウムは、硝酸カリウム塩である。
ABAは、4‐アミノ安息香酸を表わす。
BLOは、γ‐ブチロラクトンを表わす。
「BPA 1100」は、ウィースバーデン(Wiesbaden)のAZEM社から入手されたレゾール樹脂である。
DBUは、1,8‐ジアザビシクロ‐[5,4,0]ウンデカ‐7‐エン(98%)を表わす。
ジオキサラン(diоxalane)は、1,3‐ジオキサランである。
DMABAは、4‐(ジメチルアミノ)安息香酸を表わす。
MEKは、メチルエチルケトンを表わす。
NMPは、N‐メチルピロリドンを表わす。
「ポリフォックス(Polyfox)PF652」は、界面活性剤である(Omnova)。
PMは、オランダのリヨンデルバッセル・インダストリー社(LyondellBasell Industries)から「アルコソルブ(Arcosolve)PM」で入手することができる1‐メトキシ‐2‐プロパノールである。
S0094は、ドイツのFEWケミカル(Chemical)社から入手することができる赤外線吸収染料(λmax=813nm)である。
「スーダン・ブラック(Sudan Black)B」は中性ジアゾ染料(C.U.26150)である。
「ビクトリア・ブルー(Victoria Blue)R」は、トリアリールメタン染料(Basic Blue 11,C.I.44040)である。
EDDSは、エチレンジアミン‐N,N‐二琥珀酸、三ナトリウム塩を表わす。
EDTAは、エチレンジアミン四酢酸、二ナトリウム塩を表わす。
DTPAは、ジエチルトリアミン五酢酸を表わす。
NTAは、ニトリロ‐三酢酸を表わす。
(前駆体1)
前駆体1は、ポリマーIの代わりにポリマーHを用いた以外は、明細書中で引用されている同時係属の本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第12/555,040号の実施例12に従って作製した。画像形成可能な層を、以下の成分を含有するコーティング配合から作製した。
Figure 0005814382
上記コーティング配合を濾過し、公知の方法によってリン酸ナトリウムおよびフッ化ナトリウムの水溶液を用いて処理を行った電気化学的に粗化し陽極酸化したアルミニウム支持体に塗布した。得られた画像形成可能な層のコーティングを、グランツ・アンド・ジェンセン(Glunz & Jensen)の「ユニグラフ・クォーツ(Unigraph Quartz)」オーブン中130℃で30秒間乾燥した。得られた画像形成可能な層の乾燥被覆重量は1.5g/mであった。得られた平版印刷版前駆体を更に、オーブン中62℃および相対湿度29%で24時間処理した。
(前駆体2)
前駆体2は、段落[0213]に記載のポジ型画像形成可能な層配合を有し、現像性向上化合物としてDMABAを含有する米国特許出願公開第2009/0162783号(Levanon et al.)の実施例2に従って作製した。
(実施例1)
前駆体1の試料を、コダック・マグナス(Kodak Magnus)400クアンタム(Quantum)画像形成装置を用いて、エネルギー範囲50〜200mJ/cm露光し、下記の現像剤1を用いてマーキュリー・マーク(Mercury Mark)VI現像装置中で、23℃で25秒間現像した。
Figure 0005814382
上記自動現像装置中に作りたての現像剤1を用いて得られた結果を、以下の表にまとめた。
Figure 0005814382
透明点は、所定の温度および時間で露光領域が現像剤によって完全に除去された最低画像形成エネルギーである。直線性点(Linearity Point)は、200lpiスクリーンでの50ドットが50%±0.2%ドットで再生されるエネルギーである。シアン密度損失(CDL%)によって、平版印刷版上の非露光領域の現像剤に対する耐性の測定を提供する。CDL%は、以下の式:
CDL%=(OD−OD)/OD x 100
(式中、ODは現像後の非露光コーティングの光学密度であり、ODは現像前の非露光コーティングの光学密度である。)
を用いて計算する。光学密度は、シアンフィルターを装着したX−Rite 500 Series Spectrodensitometerを用いて測定した。
腐食重量損失データにより、画像形成可能な層の下の支持体の現像剤に対する耐性の測定を提供する。16cm×16cmの正方形のコーティングしていない支持体を用いて測定した。上記重量損失を、アルミニウム正方形の初期重量を上記現像剤中23℃で30秒間処理し、水洗し、乾燥した後のアルミニウム正方形の重量と比較することによって、測定した。
(実施例2)
前駆体1の代わりに前駆体2を用いた以外は、実施例1を繰り返した。現像剤への浸漬時間を20秒間に設定して、その結果を以下の表に示した。
Figure 0005814382
上記表からわかるように、現像剤1を用いて現像した場合の前駆体2は、CDL、透明点および直線性点に関して良好な画像形成特性を有するだけでなく、上記アルミニウム含有支持体の腐食がほとんどまたはまったくないことも示した。
(比較例1)
Bayhibit AMを除いた現像剤2を用いて現像を行った以外は、実施例2を繰り返した。得られた現像剤は水酸化カルシウムの沈澱を示し、残った濾液は前駆体1のコーティングの非露光領域および上記アルミニウム含有支持体に対して非常に激しい腐食を示した。
(実施例3および4)
実施例3および4は、実施例1に用いられたアルミニウム含有支持体(画像形成性コーティングなしの前駆体1)の、3%KOH、0.05%CaCl x 2HOおよび0.2%または0.5%のBayhibit AMから誘導される簡易化された現像剤に対する耐性を説明する。
種々の簡易化された現像剤に対する支持体耐性を、以下の通り測定した。
上記支持体の16cm×16cmの試料を、試験現像剤中23℃で30秒間浸漬し、水洗し、乾燥した。上記処理前後の上記支持体の表面上での光学密度(OD)および試験試料の合計重量を測定した。上記光学密度は、X−Rite 500 Series Spectrodensitometerを用いて測定した。得られた重量損失値を、標準液としての3%KOH溶液中で上記試験試料を処理することによって得られた重量損失値(0.918g/m)によって標準化した。その結果を、以下の表に示した。
Figure 0005814382
上記結果からわかるように、本発明の現像剤組成物は、前駆体1に用いられたアルミニウム含有支持体に、ほとんどまたはまったく腐食を生じなかった。
(実施例5〜8)
上記3%KOH溶液にカルシウムイオンを加えず、上記キレート剤Bayhibit AM配合量を変化させたことを除いて、実施例3および4を繰り返した。錯体生成定数を、Trend in Analytical Chemistry,Vol.22(10),2003から得た。その結果を、以下にまとめた。
Figure 0005814382
上記実施例からの結果により、Ca2+に対する錯体生成定数3.5〜4.5およびAl3+に対する錯体生成定数7以下を有するキレート剤の使用は、上記キレート剤を高配合量で用いた場合でさえによって3%KOH溶液によって、実施例1に用いられたアルミニウム含有支持体(前駆体1)の腐食を悪化させる作用はほとんどまたはまったくなかった。
(比較例2〜4)
現像剤におけるBayhibit AMを本発明の範囲外の3つのキレート剤の各々に変えたことを除いて、実施例3および4を繰り返した。アクリル酸(比較例2、0.069モル/L、0.5重量%)、クエン酸(比較例3、0.026モル/L、0.5重量%)および琥珀酸(比較例4、0.042モル/L、0.5重量%)のキレート剤の各々を用いて、Ca2+カチオンに対する錯体生成定数(lоg K)は3.5以下であった。3つすべての溶液は、作りたてであるが、時間と共にカルシウム塩の沈澱を示すが、安定であった。従って、これらの現像剤組成物は、適当な貯蔵安定性は有さなかった。
(比較例5〜16)
現像剤におけるBayhibit AMを本発明の範囲外の種々のキレート剤に変えたことを除いて、実施例5〜8を繰り返した。上記カルシウムおよびアルミニウムに対する錯体生成定数を、Trend in Analytical Chemistry,Vol.22(10),2003から得た。その結果を、以下にまとめた。
Figure 0005814382
これら比較例の結果により、現像剤に本発明の範囲外のキレート剤を用いることによって、平版印刷版前駆体1に用いられたアルミニウム含有支持体上の現像剤組成物の腐食を劇的に増大した。これらの現像剤に対する標準化した重量損失値は1より大きくなり、それらが3%KOH溶液より、上記支持体に対する浸食的であることを示している。
(実施例9〜10)
CaCl x 2HOの代わりに、実施例4の溶液の0.00272グラム原子/kgに相当するカチオン濃度を有する他のM2+カチオン含有塩を用いることを除いて、実施例4を繰り返した。その結果を、以下の表に示す。
Figure 0005814382
上記結果により、Zn2+カチオンはZn2+、Sr2+およびCa2+カチオンの内で少なくとも有効であるが、Zn2+およびSr2+カチオンは実施例1(前駆体1)に用いられるアルミニウム含有支持体を保護するためにも有効であることを示している。
(実施例11)
現像剤組成物中のZn2+カチオン量を、溶液の0.00272グラム原子/kgに相当するファクター10(10X)だけ増加したことを除いて、実施例9を繰り返した。その結果を、以下の表にまとめる。
Figure 0005814382
上記結果により、上記Zn2+カチオンは、より高濃度で用いる場合、上記アルミニウム含有支持体を保護するのにより有効であることを示している。
(比較例17〜21)
CaCl x 2HOの代わりに、実施例4の溶液の0.00272グラム原子/kgに相当する金属カチオン量(1x)またはファクター10(10X)だけ増加した量での本発明の範囲外の金属カチオンを用いることを除いて、実施例4を繰り返した。その結果を、以下の表に示す。
Figure 0005814382
上記結果により、上記現像剤組成物中にSn2+、Mg2+およびLiカチオンを用いることにより、たとえ上記量がファクター10Xだけ増加したとしても、実施例1(前駆体1)に用いられるアルミニウム含有支持体を保護するのに有効でなかったことを示している。

Claims (6)

  1. (A)基材および画像形成可能な層を有し、赤外線吸収化合物を含有するポジ型平版印刷版前駆体を赤外線に画像的に露光して、該画像形成可能な層内に露光領域および非露光領域を提供する工程、および
    (B)該露光した平版印刷版前駆体を、現像剤組成物で現像して、該画像形成可能な層内の露光領域を除去する工程
    を含み、
    現像剤組成物が、pH少なくとも12を有し、かつ
    バリウムカチオン、カルシウムカチオン、ストロンチウムカチオンおよび亜鉛カチオンから成る群から選択される金属カチオンM2+、および
    カルシウムイオンに対する錯形成定数(logK)3.5〜4.5およびアルミニウムイオンに対する錯形成定数(logK)7以下を有するキレート剤を含む、ケイ酸塩を含有しない水性アルカリ現像剤組成物であり、
    基材が、陽極酸化膜を含む硫酸またはリン酸を用いて陽極酸化したアルミニウム含有支持体である、
    平版印刷版を提供する方法。
  2. 前記画像形成可能な層が、以下の構造(Ia)および(Ib):
    Figure 0005814382
    (式中、
    構造(Ia)および(Ib)の繰り返し単位の両方が存在する場合、ポリマーバインダ中の合計繰り返し単位をベースとして、構造(Ia)の繰り返し単位が10〜35モル%、構造(Ib)の繰り返し単位が25〜60モル%存在し、
    Rは、置換または非置換ヒドロキシアリール基であり、
    は、ヒドロキシル基がエステル結合に対してオルト位である置換または非置換ヒドロキシアリール基である。)
    のいずれかまたは両方によって表される繰り返し単位をランダムに含有するポリマーバインダを含む請求項1記載の方法。
  3. 前記ポジ型平版印刷版前駆体が、ヒドロキシマンデル酸;アリール基に直接結合する少なくとも1つのアミノ基および少なくとも1つのカルボン酸基を有する有機化合物;またはヒドロキシマンデル酸および該有機化合物の少なくとも1つの両方;を含有する画像形成可能な層を有する請求項1または2記載の方法。
  4. 前記アルミニウム含有支持体が、NaHPOおよびフッ化ナトリウムの溶液で処理された、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  5. 前記現像剤組成物中の金属カチオンM2+がカルシウム、ストロンチウムまたは亜鉛カチオンである、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
  6. 前記現像剤組成物が、さらにクエン酸塩、酢酸塩、酒石酸塩、硝酸塩、およびシュウ酸塩の内の少なくとも一つであるアルカリ金属塩を更に含む、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
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