JP5814176B2 - ウェッジカム式ブレーキの自動隙間調整機構 - Google Patents

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Description

本発明は、ウェッジカムのカム作用によりブレーキアームの基端部を拡開揺動するウェッジカム式ブレーキの自動隙間調整機構に関する。
従来、ブレーキを搭載する車両、特に強力な制動力が要求される鉄道車両用のディスクブレーキでは、ウェッジカムのカム作用により一対のブレーキアームの基端部を拡開してそれらの開放端部に設けられたパッドアッセンブリをブレーキロータ(ディスクロータ)の両側から挟圧してブレーキ動作を行う梃子式のキャリパブレーキが知られている。
これらの梃子式のキャリパブレーキでは、パッドアッセンブリが摩耗すると、ブレーキが効き始める時期が遅れて制動距離が長くなるという問題があった。
そこで、下記特許文献1には、ブレーキアームに、パッドアッセンブリの摩耗に伴う過剰ストロークが発生することがないように、通常、隙間調整機構であるアジャスタ機構をアクチュエータとブレーキアームの基端部との間に配設することが開示されている。
特開2008−164159号公報
特許文献1に開示されたブレーキシリンダは、図13に示すように、シリンダ本体102に対して相対移動するピストン103と、このピストン103とともに移動する軸棒104と、該軸棒104に取り付けられた押棒105と、該押棒105のシリンダ本体102からの突出長さをブレーキ作動の際に調整する突出長さ調整手段106とを備えており、押棒105はピストン103の移動方向と平行に延びる軸孔を有する円筒状に形成されるとともに、この軸孔の内面の少なくとも一部に雌ネジ151が形成され、軸棒104は、外面の少なくとも一部にこの雌ネジ151と螺合する雄螺子141が形成されており、これを軸孔に螺合させて挿入するとともに、外部からの軸周りの回転力を付与する回転力付与手段と係合可能な係合部142を有するものである。
このような突出長さ調整手段106を備えたブレーキシリンダ101において、圧力室102b内への圧力供給によって、ピストン103を図13(B)に示したように、軸棒104及び105を介して連結部材107を、シリンダ本体102における第1ケーシング121に対して拡開方向に移動させる。これによって、連結部材107と第1ケーシング121とのそれぞれに接続されたブレーキアームを揺動させてブレーキ動作が行われる。
そして、パッドアッセンブリに摩耗が生じた場合には、蓋部108を取り外して軸棒104における係合部142に、外部からハンドルレンチ等のソケットを係合させて回転させることで、押棒105の雌ネジ151に対する軸棒104の雄ネジ141の螺合を進行させて、軸棒104と押棒105との軸方向距離を拡大させることで、ブレーキアームの過剰ストロークを抑制する隙間調整が可能となる。
また、ブレーキパッドの制動面が摩耗すると、ブレーキを作動させる押棒105の必要ストロークが増大し、押棒105に形成された凹凸面152を介してのガイド部材161のストロークも大きくなり、過剰ストロークが発生する。これに伴い、規制体165がストッパ166に当接するようになると、ガイド部材161に大きな戻し力が作用するので、凹凸面152を乗り越えて押棒105が突出方向に変位することになり、ブレーキアームの過剰ストロークを抑制する自動隙間調整がなされる。
しかしながら、このような従来のアジャスタ機構にあっては、調整作業が外部からのハンドルレンチ等を用いた手動により行われるため、保守作業に負担がかかる上、部品構成が複雑なため、誤組付けを生じやすく、外部からのハンドルレンチ等を用いた手動による調整作業が押棒105と軸棒104との間でなされることから、雌ネジ151と雄螺子141との螺合部に過大な力が作用して螺合部が破損した場合、ブレーキ力が低下することも懸念される。
また、ブレーキアームの過剰ストロークを抑制する自動隙間調整に関しては、押棒105とガイド部材161との間の凹凸面152を乗り越えた押棒105側の進行によってなされることになるものの、規制体165やストッパ166等の余分な部材を要して複雑な構成となる上、パッド摩耗量が過大となったり、規制体165やストッパ166等の損傷で隙間調整機能が低下する可能性もある。
さらに、自動隙間調整後の押棒105の戻りを確実に防止するためには、凹凸面152による制動力を高めざるを得ず、その結果、ブレーキ作動に伴う自動隙間調整時に大きな抵抗となり、ブレーキシリンダ101の圧力室102bに供給する圧力を高める必要があり、円滑なブレーキストロークの障害となる。一方これを防ぐため、凹凸面152による制動力を低くすると、ブレーキ非作動時、押棒105が戻ってしまい、隙間調整が無効になってしまう。
そこで本発明の目的は、従来のアジャスタ機構における諸課題を解決して、組付け性に優れ、簡素な構造で高い精度を要することなく、隙間調整もスムースかつ安定して行え、ブレーキ力を低下させることもなく、通常ストロークと過剰ストロークとを明確に識別するとともに、通常のブレーキ作動に与える影響を最小限に抑制した上で、自動調整された隙間を確実に維持することが可能なウェッジカム式ブレーキの自動隙間調整機構を提供することにある。
上記の課題を解決するため、本発明のウェッジカム式ブレーキの自動隙間調整機構においては、次のような技術的手段を講じた。すなわち、
(1)ウェッジカムを形成したカムシャフトが軸方向に移動した際、前記ウェッジカムのカム作用によりブレーキアームの基端部を拡開揺動するウェッジカム式ブレーキにおいて、前記カムシャフトの先端部を、ブレーキ本体側の静止部に対しフリクション部材を介して位置調整可能に連結された調整ロッドに嵌合し、前記フリクション部材は、ブレーキ作動に伴い、前記カムシャフトに過剰ストロークが生じる際、摩擦力を発生することなく、前記調整ロッドが前記静止部に対して軸方向に移動して、前記カムシャフトの軸方向初期位置の変更を許容するとともに、ブレーキが解除された際は、前記カムシャフトに作用する戻り力に抗し、前記調整ロッドが前記静止部に対して移動するのを抑止する摩擦力を発生させるようにした。
(2)上記のウェッジカム式ブレーキの自動隙間調整機構において、前記調整ロッドを、ブレーキ本体に固定され、かつ、テーパ面が形成されたスリーブ部材の内部に嵌合するとともに、該調整ロッドの外周にフリクション部材を外嵌し、ブレーキ作動時に前記カムシャフトに過剰ストロークが生じる際には、前記フリクション部材が前記テーパ面の拡開方向に移動することにより、前記調整ロッドが前記ブレーキアームの揺動隙間を低減させる方向に移動するのを許容するとともに、前記ブレーキの非作動時には、前記フリクション部材が前記テーパ面の縮径方向に移動することにより、前記調整ロッドと前記スリーブ部材との相対移動を抑制するようにした。
本発明によれば、ウェッジカム式ブレーキにおいて、カムシャフトの先端部を、ブレーキ本体側の静止部に対しフリクション部材を介して位置調整可能に連結された調整ロッドに嵌合し、ブレーキ作動に伴い、カムシャフトに過剰ストロークが生じる際、フリクション部材は、摩擦力を発生することなく、調整ロッドが静止部に対して軸方向に移動して、カムシャフトの軸方向初期位置の変更を許容するので、ブレーキパッドが摩耗した場合でも、ブレーキの作動に影響を及ぼすことなく、カムシャフトが最適な位置に調整され、自動的に隙間調整がなされる。そして、ブレーキが解除された場合には、フリクション部材は、調整ロッドが静止部に対して移動するのを確実に抑止する摩擦力を発生するので、車両が大きく振動した場合などでも、自動調整された位置を確実に維持することができる。
このように本発明によれば、非常にシンプルな構成で、しかも大きな負荷を受ける規制体やストッパ等を必要とせず、信頼性の高いウェッジカム式ブレーキの自動隙間調整を実現することができる。
また、調整ロッドを、ブレーキ本体に固定され、かつ、テーパ面が形成されたスリーブ部材の内部に嵌合するとともに、該調整ロッドの外周にフリクション部材を外嵌し、ブレーキ作動時に前記カムシャフトに過剰ストロークが生じる際には、フリクション部材がテーパ面の拡開方向に移動することにより、調整ロッドがブレーキアームの揺動隙間を低減させる方向にスムースに移動するのを許容するとともに、ブレーキの非作動時には、フリクション部材がテーパ面の縮径方向に移動することにより、調整ロッドとスリーブとの相対移動が確実に抑止されるので、新たな部品を使用することなく、円滑な自動隙間調整と、調整位置の保持を両立させることができる。
本発明の実施例に係る、ウェッジカム式ブレーキの全体構造を示す図 本発明の実施例に係る自動隙間調整機構の全体構造を示す図(図1のA−A断面) 自動隙間調整機構の初期状態を示す要部平断面図 実施例に係る自動隙間調整機構の状態を示す分解斜視図 ブレーキ非作動時における自動隙間調整機構の状態を示す要部平断面図 ブレーキ作動時における自動隙間調整機構の状態を示す要部平断面図 隙間調整(アジャスト)直前のブレーキ作動状態を示す要部平断面図。 自動隙間調整機構による隙間調整時のブレーキ作動状態を示す要部平断面図 自動隙間調整機構による隙間調整後、ブレーキ非作動に復帰した状態を示す要部平断面図 自動隙間調整機構とブレーキアームを介したパッドアッセンブリとの関連による隙間調整の過程を示す模式図 ブレーキ解除時のフリクション部材の状態を示す図 ブレーキ作動時のフリクション部材の状態を示す図 従来の隙間調整機構を備えたブレーキシリンダの説明図
以下、本発明のウェッジカム式ブレーキの自動隙間調整機構を実施するための好適な形態を図面に基づいて説明する。
以下、図1、図2を用いて、本発明のウェッジカム式ブレーキの自動隙間調整機構について説明する。
図1は、ウェッジカム式ブレーキの全体構造を示し、ボディ1はサポート2を介して、車体側に固定され、サポート2の反対側には、一対のブレーキアーム3、3の中間部がブレーキアーム軸4、4によってそれぞれ軸支される。
ブレーキアーム3、3の各開放端(サポート2の反対側)にはパッドホルダ5を介してパッドアッセンブリ6、6が装着されている。
図2は、ブレーキが非作動の初期状態における図1のA−A断面を示しており、ブレーキアーム3、3の各基端部には、出力軸となるリンクロッド7、7の外側端が球面ブッシュ8により支持されており、このリンクロッド7、7の内側端は、球面ブッシュ9により、ローラアーム10、10に連結、支持されている。そして、ローラアーム10、10の下端は、ベアリング11、11を介してストラット12の両端部に軸支されて、リンク式倍力装置を構成している。
図2において、カムシャフト13の上方には、エアーシリンダ14が配設されており、ブレーキを作動させるため、エアーを供給口15から導入して、エアーシリンダ14内部の空圧室に充填させると、エアーピストン16をチャンバスプリング17の復元力に抗して下側に作動させる。
カムシャフト13の下側への移動に伴い、ローラアーム10、10の上端に取り付けられたカムローラ18、18は、カムシャフト13にナット19により取り付けられたウェッジカム20の傾斜面に乗り上げることになる。
ウェッジカム20の傾斜面へのカムローラ18、18の乗上げによって、ローラアーム10、10は拡開方向に揺動して、ローラアーム10、10の略中間部に球面ブッシュ9、9により連結・支持されたリンクロッド7、7を梃子の原理によって倍力して外方(図面左右方向)へ軸動させる。これによって、ブレーキアーム3、3の各基端部をアーム軸4、4を揺動中心として拡開方向に移動させて、ブレーキアーム3、3の開放端部に配設されたパッドアッセンブリ6、6をディスクロータ21(図10参照)に挟圧させてブレーキ動作が行われる。
エアーシリンダ14に対して軸方向の反対側(図2下側)である、カムシャフト13の先端部13A側には、本実施例による自動隙間調整機構が配設される。
自動隙間調整機構は、図3の要部拡大図に示すように、車体側に固定され、静止部となるボディ1に対して支持されたスリーブ部材22と、その内周部に嵌合された調整ロッド23と、この調整ロッド23内に摺動自在に嵌合されたカムシャフト13、そして、図7で後述するように、過剰ストローク時に調整ロッド23の後端面(図3の上端側)に、ウェッジカム20の前端面(図3の下端側)が衝接するように構成されている。
スリーブ部材22の内周面には、フリクション部材24が配設され、止め輪25によって抜け止めされている。なお、フリクション部材24により調整ロッド23の外周面に作用する摩擦力は、チャンバスプリング17の復元力により確実に大きくなるよう設定されているため、チャンバスプリング17の復元力が作用しても、互いの摺動は確実に規制されるようになっている。
また、過剰ストロークにより隙間調整がなされた後に、スリーブ部材22に対して他方側(ブレーキ作動方向)に突出した調整ロッド23を、外部から押圧して復帰させるためのリリースプラグ27がボディ1の他方側(図3下方側)に配設される。なお、このリリースプラグ27は、キャップ28により被覆され、復帰スプリング29により、上方に付勢されている。
これにより、パッドアッセンブリ等の新品の交換等の際に、リリースプラグ27による上方への付勢によって、カムシャフト13の軸方向の初期位置を変更して軸方向の原位置に容易に再設定できるので、パッドアッセンブリ等の新品の交換等が迅速に行える。
図4は、本発明のウェッジカム式ブレーキに採用される自動隙間調整機構を理解し易く示した分解斜視図である。
前述したように、カムシャフト13の先端部13A側には、本実施例の自動隙間調整機構が配設されている。
自動隙間調整機構は、静止部であるボディ1に支持されたスリーブ部材22と、その内周部に嵌合された調整ロッド23と、この調整ロッド23内に摺動自在に嵌合されたカムシャフト13、さらには、過剰ストローク時に調整ロッド23の後端面に前端面が衝接することになるウェッジカム20とから構成される。
調整ロッド23の内周面とカムシャフト13の外周面との間には、ブッシュ26が調整ロッド23の内周面に圧入される。カムシャフト13の先端部13Aには径大部13Bが形成され、調整ロッド23の中間に形成された径小段部23Aに衝接して、図3に示されるように、カムシャフト13の復帰時に、カムシャフト13の径大部13Bが、調整ロッド23の径小段部23Aに衝接して抜け止めされる。
すなわち、スリーブ部材22のスリーブ部には、カムシャフト13の先端部13Aをガイドするブッシュ26を内周面に圧入した調整ロッド23が嵌合され、この調整ロッド23内の中間の径小段部23Aに衝接するよう、カムシャフト13の先端部13Aの径大部13Bがさらに嵌合される。スリーブ部材22と調整ロッド23との間にはフリクション部材24が配設され、このフリクション部材24はスリーブ部材22のスリーブ部との間に設置される止め輪25によって抜け止めされる。なお、スリーブ部材22及びウェッジカム20にわたって挿通されたカムシャフト13の基端部に螺合されるナット30により、カムシャフト13はウェッジカム20に緊締されている。
図5〜図9は、本実施例の自動隙間調整機構がどのように作動するかを説明するための要部平断面図で、ボディ、エアーシリンダ、及びリリースプラグ等が図示省略されており、自動隙間調整機構の詳細についても簡略化されている。
図5は、図2と同様、自動隙間調整機構はもとよりブレーキも非作動の初期状態を示し、この状態から、図示外のエアーピストン16により、チャンバスプリング17の復元力に抗してカムシャフト13を軸方向他方側(図面下側)に作動させると、図6に示すように、通常のブレーキ作動状態となり、カムシャフト13に取り付けられて形成されたウェッジカム20の傾斜面にカムローラ18、18が乗り上げる。
これによって、ストラット12の両端部のベアリング11、11に軸支された一対のローラアーム10、10がリンク式倍力装置として機能し、ベアリング11、11を軸支点として外側に拡開し、ローラアーム10、10の略中間部に球面ブッシュ9、9により連結・支持されたリンクロッド7、7を梃子の原理によって倍力されて外方(図面左右方向)へ軸動させる。このようにして、図1、図2に示されるブレーキアーム3、3の各基端部を、アーム軸4を揺動中心として拡開方向に移動させて、その開放端部に配設されたパッドアッセンブリ6、6をディスクロータ21(図10参照)に挟圧させてブレーキ動作が行われる。
このときカムシャフト13の径大部13Bは、図3に示される調整ロッド23内に圧入されたブッシュ26や調整ロッド23内周の径小段差部23Aの複数箇所で安定して支持されて、調整ロッド23内を軸方向に移動することができるので、ウェッジカム20の傾斜面によってローラアーム10、10を拡開してリンクロッド7、7を介してブレーキ動作を行うことになる。
この状態からブレーキ動作が解除されると、カムシャフト13は、チャンバスプリング17の復元力により、初期位置に復帰すべく図面上方へ後退する。その結果、カムシャフト13の先端部の径大部13Bが調整ロッド23における径小段差部23Aに衝接して初期位置となる。
図7は自動隙間調整機構の過剰ストロークによる隙間調整(アジャスト)直前のブレーキ作動状態を示す要部平断面図で、図8は自動隙間調整機構の隙間調整時のブレーキ作動状態を示す要部平断面図である。パッド等が摩耗すると、ブレーキアーム3の揺動ストロークが増大し、ひいては、カムシャフト13のストロークが通常の範囲を逸脱して過剰ストロークとなり、軸方向下方側に移動する。
これによって、図7に示すように、調整ロッド23の後端面(上端面)にウェッジカム20の前端面(下端面)が衝接することになる。カムシャフト13が過剰ストロークによりさらに進行(下降)すると、図8に示すように静止部であるスリーブ部材22と調整ロッド23との間に配設されたフリクション部材24の摩擦による抵抗値を超えて、スリーブ部材22に対して調整ロッド23が相対的に進行して突出し、隙間調整が完了する。
図9は、自動隙間調整機構の隙間調整後のブレーキ非作動状態を示す要部平断面図である。隙間調整が完了すると、この状態から、チャンバスプリング17の復元力により、カムシャフト13が調整スリーブ23内を初期位置に戻り、カムシャフト13の先端部の径大部13Bが調整ロッド23における径小段差部23A(図3参照)に衝接して初期位置となる。
パッド等の摩耗により起因した過剰ストロークによって生じたブレーキアーム3、3の揺動隙間を解消すべく補償された隙間調整により、調整ロッド23がスリーブ部材22から相対的に進行して突出した状態となっていることから、隙間調整後のカムシャフト13の初期位置は原位置よりも隙間調整された調整ロッド23の突出分だけウェッジカム20も進行した位置にあり、したがって、ウェッジカム20の傾斜面とカム係合するローラアーム10、10も拡開した状態となっており。つまり、パッド等の摩耗分だけ予め進行した隙間調整状態が現出される。
図10は、自動隙間調整機構とブレーキアームを介したパッドアッセンブリとの関連による隙間調整工程の模式図である。図10では静止側であるボディに取り付けられたスリーブ部材20については図示を省略されている。図10(A)の初期状態からウェッジカム20及びカムシャフト13が進行し、カムローラ18、18を介してブレーキアーム3、3の基端部が拡開し、揺動支点であるアーム軸4,4を中心に揺動して開放端部に装着されたパッドアッセンブリ6、6をディスクロータ21の側面に挟持して圧接して図10(B)のブレーキ作動状態になる。このとき、カムシャフト13は調整ロッド22に対して進行する。
図10(C)は、パッドアッセンブリ6、6におけるパッドが摩耗して自動隙間調整機構により隙間調整が行われて、図示省略のスリーブ部材22のフリクション部材24に対する調整ロッド23が進行した突出状態にあり、また、パッドアッセンブリ6、6がディスクロータ21に接触していないブレーキ非作動の状態が示されている。
図10(D)は、ウェッジカム20及びカムシャフト13が共に進行してブレーキアーム3、3が作動位置に揺動し、その開放端部に装着されたパッドアッセンブリ6、6がディスクロータ21の側面に挟持して圧接したブレーキ作動中の状態が示されている。
図10の例では、簡略化のため、ローラアーム10等により構成されるリンク式倍力装置ではなく、ウェッジカム20にて押し広げられるカムローラ18、18がリンクロッドを介して直接にブレーキアーム3、3の基端部を拡開するような形式となっているが、もちろん、図2のようなローラアーム13を備えたリンク式倍力装置としてもよい。
図11、図12を用いてフリクション部材24の構造を詳細に説明する。
フリクション部材24は、例えば、スチール製の芯線を密に巻き付けることにより構成され、調整ロッド23に嵌合されている。また、スリーブ部材22の内部には、図において下方に向けて拡開するテーパ面が形成されており、調整ロッド23の外周面との間隙が上方に向かうにつれ徐々に狭くなっており、その上端は、フリクション部材24の芯線の径より確実に小さくなるよう設定されている。
なお、具体的には、この例では、フリクション部材24は、ばね鋼SUS304からなる芯線をしまり嵌めで螺旋状に巻き付けることにより形成されている。
図11は、図2と同様に、ウェッジカム20が上端にあるブレーキ解放時、すなわちブレーキ非作動の状態を示しており、チャンバスプリング17の作用により、カムシャフト13は上端に偏倚されており、これにより、フリクション部材24の上端は、スリーブ部材22の開口部上端付近と調整ロッド23の外周面との間隙がフリクション部材24の芯線の径と一致するところで係止される。
このとき、フリクション部材24の上端付近が、スリーブ部材22の開口部に形成されたテーパ面の作用により、調整ロッド23の表面に向けて強力に押圧され、調整ロッド23が上昇しようとしても、その外周面とスリーブ部材22の開口部内面との間に強力な摩擦力が発生し、車両が大きく振動しても、調整ロッド23がスリーブ部材22に対し相対的に移動することが防止される。
一方、図12に示すように、ブレーキが作動され、パッド等の摩耗分だけ予め進行した隙間調整がなされる場合には、ウェッジカム20が、チャンバスプリング17の作用に抗してカムシャフト13が下降し、これに伴い調整ロッド23が下降する場合には、フリクション部材24の上端付近が、スリーブ部材22の内部に形成されたテーパ面上方の縮径部から開放されるので、調整ロッド23には、その外表面がフリクション部材24と摺接する際の摩擦力のみが作用するので、スムースに隙間調整のための移動を行うことができる。
なお、フリクション部材24を、スリーブ部材22の開口部に形成されたテーパ面に沿う形状、すなわち、下方に向けて拡開する形状にすれば、よりスムースな隙間調整と確実な係止を実現することができる。
以上、本発明の実施例について説明してきたが、フリクション部材24としてゴム等の合成樹脂からなる円筒部材としてもよい。
要は、パッドアッセンブリ6のパッドが摩耗して、ブレーキ作動時にカムシャフト11が過剰にストロークした際、調整ロッド23が、ブレーキアーム3、3の揺動隙間を低減させる方向、すなわち、図12では下降を許容する方向には、摩擦力が低減され、一方、ブレーキが非作動になった際には、チャンバスプリング9による復元力に打ち勝って、調整ロッド23のスリーブ部材22に対する相対移動を確実に抑止するによう、強力な摩擦力を発生するようにすればよいから、フリクション部材24としてゴム等の合成樹脂からなる円筒部材で形成する場合は、調整ロッド23の内周面にテーパ面を設けることに代え、フリクション部材24の厚みを、上方に向けて徐々に厚くすることによりテーパ面を設けてもよい。
さらにこのようにテーパ面を形成するのに代え、例えば、図11において、下降する際には大きな摩擦力を発生せず調整ロッド23の下降を許容し、上昇する際にはこれを阻止するラチェット機構を設け、ブレーキパッド交換時などには、ラチェットに設けた解除機構を作動させ、調整ロッド23を上昇させて、ブレーキパッド新品位置に復帰させるようにすればよい。
その他、本発明の趣旨の範囲内で、ウェッジカムの形状、及びそのカムシャフトへの取付け形態、ウェッジカムとブレーキアーム基端部との関連構成、さらには、過剰ストロークが生じる際に、ウェッジカムの前端面が調整ロッドの後端面に衝接する構造として、調整ロッドの後端面とウェッジカムの前端面との間に製作誤差を調整するシム等を介在させる等様々な変形例が考えられる。
さらに、調整ロッドのスリーブ部材に対する摩擦付与部材としてのフリクション部材の材質、摩擦係数の選定、あるいは、スリーブ部材の内周側に配設するものに代えて、調整ロッドの外周側に配設するなどの配設形態、カムシャフトの先端部における径大部と調整ロッドにおける径小段差部との衝接形態、リリースプラグの形状、形式及びそのボディへの配設形態等についても適宜選定できる。
また、実施例では、鉄道車両用ブレーキを用いて説明したが、大型トラック等の自動車等にも本発明を適用できることは明らかである。
以上説明したように、本発明のウェッジカム式ブレーキの自動隙間調整機構によれば、ブレーキ作動に伴い、カムシャフトに過剰ストロークが生じる際、摩擦力を発生することなく、カムシャフトの軸方向初期位置の変更を許容するとともに、ブレーキが解除された際は、その変更位置が確実に維持されるので、新たな部品を使用することなく、円滑な自動隙間調整と、調整位置の保持を両立させることができるので、信頼性の高いブレーキ装置として広く採用されることが期待できる。
1 ボディ
2 サポート
3 ブレーキアーム
4 ブレーキアーム軸
5 パッドホルダ
6 パッドアッセンブリ
7 リンクロッド
10 ローラアーム
13 カムシャフト
20 ウェッジカム
22 スリーブ部材
23 調整ロッド
24 フリクション部材

Claims (2)

  1. ウェッジカムを形成したカムシャフトが軸方向に移動した際、前記ウェッジカムのカム作用によりブレーキアームの基端部を拡開揺動するウェッジカム式ブレーキにおいて、
    前記カムシャフトの先端部を、ブレーキ本体側の静止部に対しフリクション部材を介して位置調整可能に連結された調整ロッドに嵌合し、
    前記フリクション部材は、ブレーキ作動に伴い、前記カムシャフトに過剰ストロークが生じる際、摩擦力を発生することなく、前記調整ロッドが前記静止部に対して軸方向に移動して、前記カムシャフトの軸方向初期位置の変更を許容するとともに、ブレーキが解除された際は、前記カムシャフトに作用する戻り力に抗し、前記調整ロッドが前記静止部に対して移動するのを抑止する摩擦力を発生させることを特徴とするウェッジカム式ブレーキの自動隙間調整機構。
  2. 前記調整ロッドを、ブレーキ本体に固定され、かつ、テーパ面が形成されたスリーブ部材の内部に嵌合するとともに、該調整ロッドの外周にフリクション部材を外嵌し、ブレーキ作動時に前記カムシャフトに過剰ストロークが生じる際には、前記フリクション部材が前記テーパ面の拡開方向に移動することにより、前記調整ロッドが前記ブレーキアームの揺動隙間を低減させる方向に移動するのを許容するとともに、前記ブレーキの非作動時には、前記フリクション部材が前記テーパ面の縮径方向に移動することにより、前記調整ロッドと前記スリーブ部材との相対移動を抑制するようにしたことを特徴とする請求項1に記載されたウェッジカム式ブレーキの自動隙間調整機構。
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