JP5813644B2 - ガイドワイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、ヒトおよび/または動物の中空器官、特に血管において流体を導入および/または除去するように構成された、カテーテル用のガイドワイヤに関する。前記ガイドワイヤは、流体を送出および/または回収するための管腔を有する長尺の中空シャフトと、前記中空シャフトの遠位端部に同軸上に装着された可撓性ワイヤコイルの形態の挿入補助具と、を備え、ガイドワイヤ先端部が遠位端部に配置され、ガイドワイヤの可撓性を制御するために芯ワイヤが中空シャフトの管腔内に配置され、前記芯ワイヤは、管腔の外に長手方向におよびワイヤコイルを貫通してガイドワイヤ先端部まで延在する。さらに、本発明は、血管および/または腫瘍の診断処置および/または治療処置のための方法と、ヒトおよび/または動物の身体に対する診断および/または治療を目的とするガイドワイヤの使用と、に関する。
ガイドワイヤは通常、ヒトおよび/または動物の中空器官内にカテーテルを挿入する補助具としての役割を果たす。ガイドワイヤは、カテーテルを挿入する前に中空器官内に押し入れられかつ所望の箇所に位置決めされる。これを行うために、ガイドワイヤは、例えば狭くかつ著しく湾曲した血管の経路に沿って進めるように、遠位端部にて十分な可撓性を有しかつ薄いものでなければならない。しかしながら、それと同時に、ガイドワイヤは、近位端部の方向から前方に確実に押し入れることができるように十分な剛性をも有さなければならない。
例えば液体を導入および/または除去するために使用されるとともに、中空器官内において圧力測定プローブとして機能する中空ガイドワイヤもまた知られている。この種のガイドワイヤは、例えば、その近位部分において、ガイドワイヤ先端部を有する比較的可撓性の螺旋ばねを遠位端部に有する中空鋼チューブを有する。ガイドワイヤの剛性を制御するために、芯ワイヤが、例えば前記鋼チューブの遠位端部上に取り付けられる。前記芯ワイヤは、螺旋ばねを貫通してガイドワイヤ先端部まで延在する。さらに、螺旋ばねの近位端部の区域において、芯ワイヤは、ガイドワイヤの所定のスライドを可能にするために、前記螺旋ばねの近位端部の区域にその全周にわたり完全に溶接される。
前記ガイドワイヤを介して流体を送出および/または回収するために、1つまたは複数の側方開口が、ワイヤコイルの後の鋼チューブ中に形成される。このようにすることで、流体が、中空ガイドワイヤおよび側方開口を介して中空器官内に送出され得る、または、流体が、側方開口およびガイドワイヤを介して中空器官から除去される。圧力測定プローブとして使用される中空ガイドワイヤは、例えば特許文献1(サイメッド・ライフ・システムズ・インコーポレーテッド社)などに記載されている。
注入用の偏向自在なガイドワイヤが、特許文献2(ジョンソン・エンド・ジョンソン社)より知られている。前記可動端部は、ワイヤコイルにより形成される。注入液体をワイヤコイルの区域内に送るために、ガイドワイヤは、独立した注入チューブを収容する。前記注入チューブは、近位端部からワイヤコイルの区域内に延在し、前記区域において、治療液体が、ワイヤコイルの巻線同士の間の隙間を介してガイドワイヤから流出することが可能となる。ワイヤコイルは、プラスチックから作製された内方ジャケットと外方ジャケットとの間に収容される。この場合の欠点は、別個の注入チューブが、ガイドワイヤ内に収容されなければならない点、およびコイル区域における液体の放出を制御することができない点である。
特許文献3(インターベンショナル・イノベーションズ社)は、遠位部分が近位部分よりも小さな直径を有するガイドワイヤを開示している。タングステンまたは白金から作製される開口ワイヤコイルが、ガイドワイヤの遠位部分上に固定されることにより、ガイドワイヤの遠位先端部が組織を保護するために比較的軟質になる。中空ワイヤの遠位端部からワイヤコイル内に突出するロッド要素が、液体交換用の溝を備える。前記開口ワイヤコイルは、溝がガイドワイヤから現れるその正確な位置だけで、液体の放出が可能となるようなものであり、液体の輸送には適さない。
特許文献4(コーディス・コーポレイション社)は、液体の輸送システムを有する別のガイドワイヤを開示している。ワイヤコイルが、芯ワイヤ上に巻き付けられ、プラスチックジャケットが、ワイヤコイルの外側に取り付けられる。液体は、コイルの合間の螺旋状ライン構成部分内を進められる。液体は、前記プラスチックエンクロージャの端部にて出ることが可能である。欠点は、螺旋状ライン構成部分内で液体を案内することによって、チャネルが非常に長くかつ狭いものとなり、それに応じて流動抵抗が高くなる点である。
特許文献5(レイクリージョンマニュファクチュアリング社)は、外方螺旋ばねおよび内方螺旋ばねから構成され、これらのばねの中央に芯ワイヤが配置された、ガイドワイヤを提案している。外方螺旋ばねは、螺旋ラインとして形状設定され、相互に平行に延在し相互に連結される4つのコイルワイヤから構成される、リボン構造を有する。内方螺旋ばねは、単一のワイヤにより形成され、隣接し合う巻線同士の間には間隔が存在する。これらのコイルは、ガイドワイヤがトルクを伝達することが可能となるように、対向し合う方向に巻かれている。螺旋ばねの主要部分は、ガイドワイヤの最大制御を実現するように緊密に巻かれる。螺旋ワイヤは、遠位端部では間隔を有して巻かれ、巻線同士間の間隔は、注入開口としての役割を果たす。膜が、内方コイルの内面上に、または内方コイルと外方コイルとの間に設けられて、芯ワイヤがさらに中に配置される中央管腔を、流入液体のためのチャネルとして用いることが可能となる。
しかしながら、現在知られている、流体を送出および/または回収する中空ガイドワイヤは、完全に満足のゆくものではない。
したがって、流体を送出および/または回収するための、改良されたおよび容易に挿入可能なガイドワイヤが依然として必要とされている。
国際公開第97/32518号パンフレット 米国特許出願公開第2007/213689号明細書 国際公開第97/11735号パンフレット 米国特許第5322508号明細書 米国特許第5211636号明細書
本発明の目的は、冒頭で述べた技術分野に属し、ヒトおよび/または動物の中空器官における流体のより正確な送出および/または除去を可能にする、容易に挿入可能なガイドワイヤを提供することである。
前記目的は、請求項1において規定される特徴により達成される。本発明によれば、近位方向においてガイドワイヤ先端部に隣接するワイヤコイルの遠位内方区域が、芯ワイヤに沿って形成される流体チャネルを介して中空シャフトの管腔と連通し、さらに、導入および/または除去すべき流体のための少なくとも1つの外方向に開いた貫通開口を有する。
ここでは、ワイヤコイルは、特に、長手方向軸を中心として螺旋状に巻かれたワイヤにより形成された中空円筒状構造体として理解すべきである。ワイヤコイルは、特に、例えば白金などの金属ワイヤから形成される。しかしながら、ワイヤコイルのワイヤは、必ずしも金属から作製されなければならないわけではない。さらに、原則として、プラスチックから作製されるワイヤを用意することも考えられる。
芯ワイヤは、特に、例えば鋼などの金属から作製される。しかしながら、原則として、例えば高強度プラスチックおよび/または複合材料などの他の材料を、芯ワイヤに対して使用することも可能である。
本発明による貫通開口が、ガイドワイヤ先端部に隣接するワイヤコイルの遠位内方区域中に配置されるため、前記貫通開口は、ガイドワイヤ先端部の直近の区域に位置する。したがって、遠位内方区域と中空シャフトの管腔との間の流体チャネルと組み合わせることにより、流体を、ガイドワイヤからガイドワイヤ先端部の区域内に直に位置する中空器官内に導入することが可能となり、および/またはその中空器官から除去することが可能となる。ワイヤコイルの遠位内方区域の前記少なくとも1つの開口は、好ましくは、近位方向においてガイドワイヤ先端部に直に隣接する。
中空器官内におけるガイドワイヤ先端部の位置は、例えばX線などを使用する公知の撮像法などにより概して比較的正確に決定することが可能であるため、少なくとも1つの貫通開口がガイドワイヤ先端部に対して近傍に位置することにより、さらに、前記少なくとも1つの貫通開口の位置を非常に正確に決定することも可能となる。したがって、特に、貫通開口が近位方向においてワイヤコイルの後に配置される公知のガイドワイヤと比較した場合に、本発明によるガイドワイヤ中の貫通開口の位置は、より正確に決定され得る。
管腔からワイヤコイルを貫通してガイドワイヤ先端部まで延在する芯ワイヤにより、ガイドワイヤの遠位区域における弾性もまた、非常に正確に調節することが可能となり、これは、さらに、中空器官内におけるガイドワイヤの挿入性および制御性を向上させる。具体的には、例えば、中空シャフトとワイヤコイルとの間の移行区域における弾性の急激な変化を、例えば挿入時のガイドワイヤの捩れを抑制する芯ワイヤによって補償することが可能となる。同様に、通常は超弾性のワイヤコイルの弾性を、芯ワイヤにより低下させかつ特定の要件に適合させることが可能である。したがって、特に、とりわけ空間を節約する特に小さなワイヤ径を有するワイヤコイルを使用することが可能となる。したがって、ガイドワイヤまたはガイドワイヤ先端部は、中空器官内の所望の箇所に対してより的確に目標とされ、かつより正確なやり方で移動または操作され得る。したがって、示したように、本発明による貫通開口の配置と組み合わせることにより、ヒトおよび/または動物の中空器官において流体を導入および/または除去する精度を驚くべき度合いまで高めることが可能となる。
さらに、本発明による解決手段により、管腔とワイヤコイルの遠位内方区域との間の流体チャネルが管腔およびワイヤコイル内の全体に延在することが可能となるため、空間を節約しかつコンパクトな構造が可能となる。好ましくは、空間が、中空シャフトの管腔内においておよび/またはワイヤコイルの内方区域内において、芯ワイヤに沿って形成される。前記空間は、流体チャネルとしての役割を果たす。特に有利な実施形態においては、中空シャフトは、その遠位端部に、ワイヤコイルの近位端部の前方開口と連通する前方開口を有する。中空シャフト上およびワイヤコイル上の2つの前方開口の断面表面積は、有利には、前記区域における芯ワイヤの断面表面積よりも大きい。このようにすることで、流体の通過を可能にする空間が、芯ワイヤに沿って残される。
この種の構造において、本発明によるガイドワイヤは、全長にわたり実質的に一定であるか、またはガイドワイヤ先端部に向けて連続的に漸減してガイドワイヤの挿入性を高める、断面表面積を有するように構成することが可能である。
中空シャフトの遠位端部およびワイヤコイルの近位端部は、例えば、相互に溶接される、および/または相互に接着結合される。特に、ワイヤコイルの近位端部は、その面で、中空シャフトの遠位端部に接する。しかしながら、ワイヤコイルの近位端部が中空シャフトの遠位端部を囲むように、中空シャフトの遠位端部に対してワイヤコイルの近位端部を押し付けることもまた可能である。ワイヤコイルの近位端部が中空シャフトの遠位端部内に押し込まれる構成もまた、有利である。この場合には、中空シャフトの遠位端部は、ワイヤコイルの近位端部を囲む。
概して、本発明によるガイドワイヤは、ヒトおよび/または動物の中空器官内に容易に挿入可能なものであるとともに、さらにヒトおよび/または動物の中空器官内の所定の箇所にて高い精度で的確な目標に流体を導入および/または除去することを可能にする。
好ましくは、ワイヤコイルと芯ワイヤとの間の流体透過性連結部が、ワイヤコイルが芯ワイヤに対して機械的に固定されかつワイヤコイルの遠位内方区域が流体透過性連結部から近位方向に位置するワイヤコイルの近位内方区域と連通するように、ワイヤコイルの近位端部の区域に存在する。このようにすることで、ガイドワイヤの横軸方向可撓性の大幅な低下を伴わずに長手方向におけるワイヤコイルの圧縮および/または拡張がほぼ完全に防止されるため、特に、中空器官内においてガイドワイヤの依然として比較的高い精度でのスライドが可能となる。それにもかかわらず、ワイヤコイルと芯ワイヤとの間の連結部が、特に流体透過性であることにより、前記連結部の近位に位置する近位内方区域は、連結部の遠位に位置するワイヤコイルの遠位内方区域と依然として連通する。このようにすることで、芯ワイヤとワイヤコイルとの間の安定的な機械的連結によっても、ワイヤコイルを貫通して長手方向に延在する流体チャネルを容易に得ることが可能となる。
例えば非常に長いワイヤコイルの場合など、必要に応じて、複数の流体透過性連結部をワイヤコイルと芯ワイヤとの間において長手方向に互いに離間させて配置することが可能である。しかしながら、原則として、流体透過性連結部を省くことも考えられる。しかしながら、中空器官が非常に狭く、ガイドワイヤの移動時に高い度合いの抵抗を生じさせる場合には、ワイヤコイルが移動時に強く圧縮および/または拡張される可能性があるため、流体透過性連結部を省くことが時として不利となる場合がある。
原則的には、流体透過性連結部は、ワイヤコイルの長手方向中心軸に対して非対称的および/または一方に偏倚するように構成された、ワイヤコイルと芯ワイヤとの間で一体的に結合された連結部として、特にはんだ付けされた連結部として存在する。これは、流体透過性連結部の区域において、芯ワイヤに隣接するチャネル状通路を、送出および回収すべき流体の通過が自在な状態に留めるという効果を有する。さらに、このように構成された流体透過性連結部において、追加的な要素は一切必要なく、これにより、とりわけ必要な空間量が減少し、かつこれに応じたよりコンパクトなガイドワイヤの構造が可能となる。
特に、前記一体的に結合された連結部は、はんだ付けされた連結部である。しかしながら、接着連結部および/または溶接された連結部を設けることもまた可能である。特に、複数の個別の連結ウェブが、存在してもよく、例えば芯ワイヤとワイヤコイルとの間においてラジアル方向に延在するはんだおよび/または接着剤から構成されてもよい。さらに、これらの連結ウェブは、連結ウェブ同士間の空間が流体のための通路を形成することにより、流体透過性連結部を形成する。
別の好ましい実施形態において、流体透過性連結部は、一体的に結合された連結部として、特にはんだ付けされた連結部として構成され、芯ワイヤに対して平行に延在するとともに一体的に結合された連結部の中に埋め込まれるチューブが、送出および/または回収すべき流体のためのチャネル状通路として存在する。前記一体的に結合された連結部は、例えばはんだ付けされた連結部および/または接着連結部などとして構成することが可能である。前記チューブにより、流体透過性連結部は、一方においては、比較的正確に規定された貫通開口を有する。他方においては、チューブを、一体的に結合される連結部の中に比較的容易に埋め込むことが可能であり、これによりガイドワイヤの製造が容易化されることが判明している。この場合、前記チューブに沿って位置する芯ワイヤは、その全長にわたって、一体結合により、ワイヤコイルに連結させることが可能となり、これは、芯ワイヤを一方の側でワイヤコイルに連結させるよりも通常は容易である。さらに、芯ワイヤとワイヤコイルとの間に、より安定的な連結が形成される。
芯ワイヤは、有利には、ワイヤコイルの近位端部から近位方向に距離を置いて管腔に固定され、特に、管腔の長手方向軸に対して偏心的に配置される。このようにすることで、芯ワイヤは、ワイヤコイルの近位端部からワイヤコイル全体を貫通して遠位端部またはガイドワイヤ先端部まで延在する。この種の構成は、中空シャフトとワイヤコイルとの間において通常見受けられる弾性の急激な変化が前記芯ワイヤにより最適に補償され得るため、特に有利であることが判明している。さらに、管腔の境界表面に接した状態の芯ワイヤの偏心構成により、ガイドワイヤの製造が容易化される。芯ワイヤおよび中空シャフト、およびさらには管腔の境界表面が、例えば金属などの同様の材料から作製される場合には、芯ワイヤは、例えば管腔の境界表面上に直接的に溶接され得る。
しかしながら、ワイヤコイル内に突出する中空シャフトを設けること、及び遠位方向において芯ワイヤをワイヤコイルの近位端部から離間させて配置することも、また可能である。これは、特定の使用については時として有利となる場合があるが、その場合には、中空シャフトとワイヤコイルとの間において、比較的大きな弾性変化が生じるおそれがある。
管腔および/またはワイヤコイルは、好ましくは、円形断面区域を有し、特に、芯ワイヤの最大外径は、管腔の最小内径よりも小さく、および/またはワイヤコイルの最小内径よりも小さい。特に好ましくは、管腔の最小内径および/またはワイヤコイルの最小内径は、ワイヤコイルの区域における芯ワイヤの外径の3〜4倍である。これにより、空間が、管腔内および/またはワイヤコイル内において、芯ワイヤの全長にわたり芯ワイヤに沿って残される。前記空間は、送出および/または回収すべき流体のための、(ガイドワイヤの長手方向軸に対して平行に延在する)流体チャネルとしての役割を果たすことが可能である。これは、流体チャネルの構成に対する非常に簡単な手段に相当するとともに、製造技術の観点からも有利である。さらに、これにより、非常にコンパクトなガイドワイヤの構成が可能となり、さらにこれにより、中空器官内におけるガイドワイヤの挿入性および正確な動きが高められる。
しかしながら、この種の構成は、絶対的に必須であるわけではない。原則として、芯ワイヤは、管腔および/またはワイヤコイルを完全に満たすこともまた可能である。特に、芯ワイヤの内部に、例えば送出および/または回収すべき流体を管腔とワイヤコイルの遠位内方区域との間で運ぶことを可能にする通路チャネルを構成することなどが可能である。適切であるとみなされる場合には、同様に、少なくとも1つの他の長手方向に延在する管腔を、送出および/または回収すべき流体が通過する流体チャネルとしての役割を果たすように、中空シャフト内におよび/または中空シャフトの外側に、構成することが可能である。
芯ワイヤ、中空シャフト、管腔、および/またはワイヤコイルは、必ずしも円形断面を有していない。例えば、適切な場合には、ガイドワイヤの前記要素が、楕円形断面を有することもまた可能である。これらの場合において、直径は、特に、ガイドワイヤの長手方向に対して垂直な横軸方向における各要素の最大のものとして理解すべきである。
少なくとも1つの開口を形成するために、ワイヤコイルのうちの少なくとも2つの隣接し合う巻線が、好ましくは、接触することなく配置され、および/または、互いから離間される。この場合に、有利には、これら少なくとも2つの隣接し合う巻線の間には、ワイヤコイルのワイヤ径の0.1〜0.5倍に相当する間隔が存在する。特に、この種の開口は、ワイヤコイルから側方にすなわち横軸方向に開口する。特にワイヤコイルが円形ワイヤから作製される場合には、開口は、実質的に全体的にエッジを有さない。これにより、中空器官内における開口の噛込みおよび/または突刺しの危険性が最小限となるため、特に中空器官内におけるガイドワイヤの良好な挿入性および位置決め性(positionability)が保証される。さらに、開口のサイズまたは表面積を、開口を形成する隣接し合う巻線同士間の間隔により、および/または離間される巻線の個数により、容易に調節することが可能となる。このようにすることで、開口を、非常に多様な要件に対して広範囲にわたり適合させることが可能となる。さらに、開口のための追加的な要素を配置する必要がないため、ガイドワイヤは、非常にコンパクトにすることが可能となる。特に、開口の隣接し合う巻線同士間にワイヤ径の0.1〜0.5倍の間隔があることにより、多様な金属製ワイヤ材料から作製されるワイヤコイルの適切な弾性との組合せにおいて、十分な透過性が確保される。開口を形成するために、ワイヤコイルは、所望の箇所にて軟引き(soft-drawn)されてもよい。
しかしながら、ワイヤコイルの隣接し合う巻線間の開口に加えて、またはその代わりに、原則的には、例えば、ガイドワイヤ先端部中に開口を設けることもまた可能である。この開口は、例えばガイドワイヤ先端部を通して長手方向に延在するボアとすることが可能である。このようにすることで、流体を、ガイドワイヤ先端部の直前において遠位方向に送出および/または回収することが可能となり、これは、特定の要件にとっては有利である場合がある。
さらに、特定の用途については、および/または特定のワイヤ材料の場合には、隣接し合う巻線間の間隔が、ワイヤコイルのワイヤ径の、0.1倍未満とすることが可能であり、または0.5倍よりも大とすることが可能である。
別の好ましい実施形態において、ワイヤコイルの少なくとも1つの液密部分が形成されるように、ワイヤコイルのうちの複数の他の隣接する巻線同士が、互いに接した状態で構成される。したがって、前記少なくとも1つの開口との組合せにおいて、送出および/または回収すべき流体のための出口および/または入口を、ワイヤコイルの正確に規定された箇所に設けることが可能となる。このようにすることで、実質的に中空器官内の正確に特定された位置の一点にて、流体の送出および/または回収を行うことが可能となる。したがって、例えば単一のワイヤから構成され得る単一ワイヤコイルを用いて、(ジャケットまたは管として膜を追加的に設ける必要なしに)流体を搬送し、さらに各開口を介して流体を除去または導入することが可能となる。
しかしながら、流体が、例えばワイヤコイルの遠位内方区域全体にわたり、またはさらにワイヤコイルの全長にわたり送出および/または回収され得るように、ワイヤコイルのうちの複数のまたは全ての巻線が離間されることもまた可能である。このようなワイヤコイルの構成は、特に、大きな表面積にわたって薬物を投与する場合に有利となり得る。当然ながら、離間された巻線同士間の部分がより長いことが、全長に沿って分配される流体の放出または取込みには繋がらない点に留意されたい。
さらに、互いに接した状態の巻線のみから構成されるワイヤコイルを用意することが、原則的には可能であり、場合によっては特定の使用にとって有利となる。この場合には、上記において既に説明したように、少なくとも1つの開口は、例えばガイドワイヤ先端部中に形成することが可能である。
特に好ましい一実施形態においては、複数の開口および複数の液密部分が、ワイヤコイル中に存在し、これらは、好ましくは、交互に連続的に配置されるとともに、特にワイヤコイルの全長に沿って一定間隔で配置される。個々の開口は、特に、実質的に同一サイズのものである。このようにすることで、流体を、複数の離間された箇所において同時に局所的に送出および/または回収することが可能となる。特に、これにより、流体の送出時に正確な投与が可能となる。
しかしながら、原則として、開口は、特定の使用にとって適切である場合には、一定でない間隔で存在することも可能である。
ワイヤコイルの液密部分は、好ましくは放射線不透過性である。これを目的として、ワイヤコイルは、好ましくは白金ワイヤから作製される。前記ワイヤ径は、特に少なくとも25μmであり、好ましくは45〜55μmである。このようにすることで、液密部分、すなわち互いに接した状態の巻線を含むワイヤコイルの部分が、X線を用いた通常使用される撮像法において放射線不透過となるとともに、直接的に視覚化することが可能となる。この場合には、ガイドワイヤ上の追加的なX線マーカを省くことが可能となる。したがって、ワイヤコイルの位置を非常に正確に決定することが可能となる。
離間された巻線により形成されるワイヤコイルの開口は、好ましくは放射線透過性である。これは、特に少なくとも2つの隣接し合う巻線同士の間の間隔が、ワイヤコイルのワイヤ径の0.1〜0.5倍である場合に、実現することが可能となる。これにより、ワイヤコイル中の開口の直接的な視覚化が可能となり、その結果として、流体の送出および/または回収の精度がさらに高まる。複数の放射線透過性開口が、一定の間隔で配置され、ワイヤコイルの放射線不透過性部分が、それらの間に位置する場合には、ガイドワイヤの位置または中空器官の経路を3次元で厳密に決定することが可能となる。
しかしながら、原則として、ワイヤコイルの液密部分が、放射線透過性であることも可能であり、および/または開口が、放射線不透過性であることも可能である。これらの場合において、望ましい場合には、例えば金属リングなどの追加的なX線マーカをガイドワイヤ上に配置することなども可能である。
さらに、ワイヤコイルの弾性が、好ましくは、中空シャフトの弾性よりも高い。特に、ワイヤコイルの弾性率は、中空シャフトの弾性率未満である。これにより、ガイドワイヤの遠位部分が、遠位方向においてその遠位部分の後方に位置するガイドワイヤの区域よりも弾性がより高くなる。これにより、ガイドワイヤの比較的高い弾性の遠位部分が、例えば血管などの、ある場合においては非常に分岐するとともに湾曲した中空器官の中で、比較的良好に操作され得ると同時に、後方部分が、ガイドワイヤ内に押し入れるのに十分な剛性を有する。したがって、全般的には、ガイドワイヤの挿入性および位置決め性が向上する。遠位区域における弾性の調節は、上記において説明したように、芯ワイヤを介して行われる。
しかしながら、原則として、芯ワイヤおよび中空シャフトの弾性は、特定の使用に適する場合には、例えば同一であることもまた可能である。
特に好ましくは、中空シャフトは、鋼チューブの形態で存在し、ワイヤコイルは、特に白金ワイヤから作製される。この種の組合せは、正確な位置決めと組み合わされる良好な挿入性の点において、特に適切であることが判明している。さらに、前記鋼および白金は、この文脈(context)において対象の非常に多くの重要な流体に対して非常に高い度合いで化学的に不活性である。
しかしながら、原則として、中空シャフトおよび/またはワイヤコイルに対して他の材料を使用することもまた可能である。特に、中空シャフトは、例えばプラスチックチューブから作製することが可能である。
さらに、中空シャフトが2パートまたは3以上のパートで構成されることが有利である。この場合に、中空シャフトの近位部分は、好ましくは、中空シャフトの遠位部分よりも低い弾性を有する。近位部分の弾性率は、特に、中空シャフトの遠位部分の弾性率よりも高い。さらに、中空シャフトの遠位部分が、ワイヤコイルよりも低い可撓性を有することが好ましい。特に、中空シャフトの遠位部分の弾性率は、ワイヤコイルの弾性率よりも高い。有利には、2パートまたは3以上のパートから構成される中空シャフトの外径が、中空シャフトの全長にわたって実質的に一定である。それに応じて、有利には、2パートまたは3以上のパートから構成される中空シャフトの内径が、中空シャフトの全長にわたって実質的に一定である。
この種のガイドワイヤは、特に、ガイドワイヤ先端部に向けて漸増する弾性を有する。中空シャフトが2つのパートまたは3つ以上のパートから構成されることにより、長手方向における弾性の漸増が、1パート中空シャフトの場合よりも長い区域に及ぶことが可能となる。したがって、中空器官内におけるガイドワイヤの挿入性および位置決め性をさらに高めることが可能となる。
2パートまたは3以上のパートから構成される中空シャフトにおいて、芯ワイヤは、好ましくは、中空シャフトの近位部分に取り付けられ、芯ワイヤは、特に中空シャフトの遠位端部およびワイヤコイルを貫通してガイドワイヤ先端部まで延在する。これにより、長手方向におけるガイドワイヤの弾性の漸増が、特に正確に制御され得るようになり、かつ中空シャフトおよびワイヤコイルの種々の区域間の移行部での弾性の急激な変化が、必要に応じて補償され得る。
しかしながら、原則的には、1パート中空シャフトを使用することも可能である。さらに、例えば遠位部分および近位部分において実質的に同一の弾性を有する、2パートまたは3以上のパートから構成される中空シャフトを用意することも可能である。望ましい場合には、これらの場合において、例えば芯ワイヤを介して弾性を制御することが可能である。同様に、中空シャフトの外径および/または内径は、例えば遠位方向に漸減するように構成することが可能である。
好ましくはガイドワイヤの可撓性が、芯ワイヤの近位端部からガイドワイヤ先端部に向けて連続的に漸減するように、芯ワイヤの直径が、芯ワイヤの近位端部から芯ワイヤの遠位端部に向けて漸減することが、特に好ましい。特に、これは、中空シャフトが1パート、2パート、または3以上のパートのいずれから構成されるかとは無関係である。
しかしながら、適切である場合には、芯ワイヤは、別様に構成することも可能である。
好ましい一変形形態において、近位部分は、金属チューブ、特に鋼チューブから構成され、および/または、遠位部分は、プラスチックチューブ、特にポリイミドチューブから構成される。この種の組合せは、正確な位置決め性に加えて良好な挿入性の点で、特に有利であることが判明している。さらに、前記材料は、この文脈において対象の非常に多くの重要な流体に対して非常に高い度合いで化学的に不活性である。
しかしながら、特定の使用について、中空シャフトの他の材料または構造が、有利となる場合もある。
好ましくは、これら複数のパートが、同一の外径を有する。すなわち、移行部に段差が存在しない。したがって、この別の設計方法によれば、近位部分(例えば鋼チューブ)および遠位部分(例えば別個のワイヤコイル)およびそれらを連結する中間チューブ(プラスチックチューブ)が、同一の外径を有する。有利には、内径もまた、実質的に同一のサイズである。さらに、説明した前記変形形態においてはいずれの場合においても、ガイドワイヤの管状部分が同一の外径を有する3つの部分のみから構成されるとともに、追加の膜(エンベロープ)を含まないことが、特に有利である。
したがって、特に好ましい一実施形態は、ワイヤコイルが単一ワイヤから構成される点、ワイヤコイルの区域が追加の膜を含まない点、および厳密に3つの異なる管状部分が実質的に同一の外径を有する点を特徴とする。
さらに、芯ワイヤを囲みかつ中空シャフトの遠位端部から突出する中空円筒状の管状スタブが、ワイヤコイルの内部に部分的に延在することが有利となり得る。管状スタブの遠位端部は、近位方向においてワイヤコイルの遠位端部から離間される。このようにすることで、ワイヤコイルは、中空シャフトへの移行部にて追加的に支持され得る。これにより、特に、連結部の安定性が高められるとともに、移行部での弾性の変化が低下する。管状スタブの遠位端部が、ガイドワイヤ先端部から離間されて配置されることにより、ガイドワイヤ先端部の直後のワイヤコイル中に側方に形成された開口を介して流体を送出および回収することもまた可能となる。管状スタブが、ガイドワイヤ先端部まで延在する場合、流体は、例えばガイドワイヤ先端部中に長手方向に形成された開口を介して、送出および/または回収することが可能となる。
しかしながら、この種のスタブは、絶対的に必須であるわけではなく、したがって省くまたは修正することもまた可能である。
好ましくは、管状スタブの外径が、ワイヤコイルの内径とほぼ一致する。ワイヤコイルの最適な支持は、このようにして実現される。さらに、好ましくは、管状スタブの内径が、管状スタブの区域における芯ワイヤの外径よりも大きい。このようにして、空間が、芯ワイヤに沿って残されるとともに、送出および/または回収すべき流体を通過させるための流体チャネルとしての役割を果たす。これは、特にコンパクトであり、かつ製造技術の観点からも有利な解決策である。
しかしながら、特に、上記の直径から逸脱することも考えられる。管状スタブの選択内径が、この区域における芯ワイヤの外径とほぼ一致する場合には、流体チャネルは、上記において既に説明したように、例えば芯ワイヤ内および/または管状スタブに沿った別個の流体チャネル内などに形成することが可能である。
管状スタブは、より好ましくは内側において、流体透過性連結部を介して芯ワイヤに連結されるとともに、外側では他の連結部を介してワイヤコイルに連結される。このようにすることで、ワイヤコイルの長手方向における圧縮および/または拡張がほぼ完全に防止されるため、中空器官内における、さらにより正確なガイドワイヤの移動が、特に可能となる。すでに上述したように、流体透過性連結部は、非対称的および/または一方に偏倚して構成された、管状スタブとコイルワイヤとの間において一体的に結合された連結部であることが可能であり、特にはんだ付けされた連結部であることが可能である。同様に、流体透過性連結部内に追加のチューブを埋め込むことが可能である。このようにすることで、流体透過性連結部の区域において、芯ワイヤに接するチャネル状通路が、送出および/または回収すべき流体が通過自在となる状態に留まる。管状スタブとワイヤコイルとの間の他の連結部が、例えば一体的に結合された連結部、特に溶接された連結部、接着連結部、および/またははんだ付けされた連結部として存在することも可能である。
しかしながら、この種の流体透過性連結部および/または他の連結部を省くこともまた可能である。
ガイドワイヤのガイドワイヤ先端部は、特にワイヤコイルの遠位端部上の丸められた付属品として存在する。半球状付属品が、ガイドワイヤ先端部として特に適することが判明している。ガイドワイヤ先端部としてのこの種の付属品は、特に非外傷的なものである。例えば、ガイドワイヤ先端部は、プラスチック材料から作製される。
しかしながら、特定の使用にとって必要または有利と見なされる場合には、他の形状のガイドワイヤ先端部もまた可能である。ガイドワイヤ先端部は、必ずしも独立した部分および/または付属品として存在しなくてもよい。場合によっては、ワイヤコイルの遠位端部がガイドワイヤ先端部として構成されることが、特定の使用にとって有利となる場合もある。この場合には、ガイドワイヤ先端部およびワイヤコイルは、例えば単一部材として構成することが可能である。
本発明によるガイドワイヤは、特に、ヒトおよび/または動物に対する診断および/または治療を目的として使用することが可能である。具体的には、本発明によるガイドワイヤは、例えば、末梢動脈閉塞疾患もしくは冠状動脈性心疾患の治療のため、血管の再開通のため、劣化したバイパス血管の流動性改善治療のため、腫瘍の薬物療法のため、および/またはヒトおよびまた動物の身体の中空器官内における圧力測定のためなどに、使用することが可能である。しかしながら、他の使用もまた可能である。
本発明の他の一態様は、血管および/または腫瘍の診断処置および/または治療処置のための方法に関する。この方法において、本発明によるガイドワイヤの遠位部分が、血管内に挿入され、ガイドワイヤ先端部が、血管におけるおよび腫瘍の区域における治療すべき個所に位置決めされ、次いで流体活性物質が、中空シャフトの管腔およびガイドワイヤの少なくとも1つの開口を介して、治療すべき血管および/または腫瘍内へと導入される。
流体活性物質の放出は、数秒間または数時間の期間にわたり行うことが可能であり、臨床的適応に主に左右される。流速、したがってさらには物質の放出量は、ガイドワイヤの近位端部にて流体活性物質に対して印加される圧力に、および投与される流体活性物質の物質特性に主に左右される。
本発明によるガイドワイヤの正確な位置決め性により、血管および/または腫瘍内への本発明によるガイドワイヤの挿入、ならびに局所的なおよび/または一点における流体活性物質の投与が、大きなおよび非常に正確に予測可能な効果を有することが可能となる。
流体活性物質は、例えば撮像処置のための造影剤、血栓溶解物質、および/または抗血小板作用、塞栓作用、中毒作用、および/または抗増殖作用を有する物質などである。
血栓溶解物質の代表例は、例えば、(アルテプラーゼ)rt-PA、メタライズ(Metalyse)(登録商標)、ストレプトキナーゼ、および/またはウロキナーゼなどである。さらに、流体活性物質として適するものは、例えば抗血小板作用および抗血漿作用(anti-plasma effect)を有する物質の組合せなどである。この場合に、特に、アスピリン、クロピドグレル、エフィエント(Effient)(登録商標)、またはGPIIb/IIIA拮抗物質群を使用することが可能である。抗増殖作用を有する物質としては、例えばパクリタキセル、タクロリムス、シロリムス、および/またはエベロリムスを使用することが可能である。しかしながら、治療方法によっては、他の活性物質を使用することも可能である。
梗塞の急性期における血管の再開通の際に、非再灌流現象が虚血後にしばしば生じる。この現象は、主に末梢血栓塞栓症および/または血栓性末梢血管閉塞症により引き起こされる。全身性血栓溶解療法は、血塊が、血栓溶解物質が届かないものであるか、または古いために破壊することが不可能な古い血塊であることにより、血塊を破壊することが場合によっては不可能となる。本発明によるガイドワイヤをこのような血管の末梢部内に挿入すること、ならびに例えば(アルテプラーゼ)rt-PA、メタライズ(Metalyse)(登録商標)、ストレプトキナーゼ、および/またはウロキナーゼなどの血栓溶解物質を局所的に投与することにより、本発明によるガイドワイヤの少なくとも1つの開口が血栓性構造の直近に位置することによって、血栓溶解作用を高めることが可能となる。さらに、抗血小板作用および抗血漿作用を有する物質の組合せにより、順行性流のさらなる向上を期待することも可能となる。これらには、特に、アスピリン、クロピドグレル、エフィエント(Effient)(登録商標)、またはGPIIb/IIIa拮抗物質群が含まれる。
同様に、延長血管突起(extended vessel process)に沿って動脈硬化性の変化を示す劣化したバイパス血管が、血塊により塞がれ、同様に非再灌流現象の傾向を有する。この場合にも、本発明によるガイドワイヤの挿入、および抗血漿作用または抗血小板作用を有する物質の放出により、可能な限りの流れの改善をもたらすことが可能となる。
末梢動脈閉塞疾患もしくは冠状動脈性心疾患を伴うびまん性血管症状を有する患者は、現行の介入技術では、ある限度までの治療が可能であるに過ぎない。この場合に、本発明によるガイドワイヤを挿入することにより、およびパクリタキセル、タクロリムス、シロリムス、および/またはエベロリムスなどの抗増殖性物質を放出することにより、管腔幅に対する効果を実現可能であることを期待することができる。
明確に規定された血液供給を有するとともに除去することの不可能な、または患者を高い外科的リスクにさらすことによってか、もしくは患者の他の健康状態に大きな被害をもたらすことによってしか除去することが可能でない特定の腫瘍が、本発明によるガイドワイヤを血管内挿入することにより、薬物で治療することが可能となる。この場合に使用し得る物質は、塞栓性、中毒性、および抗増殖性のものである。
本発明の他の有利な実施形態および特徴の組合せは、以下の詳細な説明および特許請求項の全体から得られる。
以下の図面は、例示の実施形態を説明するために使用される。
貫通開口がワイヤコイルのガイドワイヤ先端部のすぐ後に位置し、かつ流体透過性連結部が芯ワイヤとワイヤコイルとの間に存在する、本発明による第1のガイドワイヤの長手方向断面図である。 線A-Aに沿った横断面において図1のガイドワイヤを示す図である。 線B-Bに沿った横断面において図1のガイドワイヤを示す図である。 流体透過性連結部が埋込みチューブの形態である、本発明による第2のガイドワイヤの長手方向断面図である。 線C-Cに沿った横断面において図4のガイドワイヤを示す図である。 複数の貫通開口がワイヤコイル中において相互に離間されている、本発明による第3のガイドワイヤの長手方向断面図である。 管状スタブが中空シャフトからワイヤコイル内に突出した状態の、本発明による第4のガイドワイヤの長手方向断面図である。 線D-Dに沿った横断面において図7のガイドワイヤを示す図である。 狭まった血管内に挿入された場合の図1のガイドワイヤの長手方向断面図である。
原則として、図面中の同一の部分には、同一の参照符号が付されている。
図1〜図3は、本発明による第1のガイドワイヤ100を示す。図1は、第1のガイドワイヤ100の長手方向中心軸101に沿った長手方向断面を示す。ガイドワイヤ100は、2パートの中空シャフト110を備え、前記中空シャフト110の近位部分111は、例えば中空の円筒状鋼チューブから作製されるのに対し、遠位部分115は、近位部分111に対して同軸上に配置される中空の円筒状ポリイミドチューブから作製される。中空シャフト110の近位部分111の横断面が、図2に示される。前記材料選択により、中空シャフト110の遠位部分115の弾性は、近位部分111の弾性よりも高い。
近位部分111の遠位端部112は、内径が一定のまま遠位方向にテーパ状をなす一方で、遠位部分115の近位端部116は、近位部分111の遠位端部112に対して相補的な態様で、外径が一定のまま近位方向に円錐状に広がる。2つの部分111,115の内径同士およびさらに外径同士は、一定の直径120.1を有する連続円形円筒状管腔120が中空シャフト110中に存在するように、実質的に同一のサイズである。
遠位部分115の遠位端部117から、同軸上に配置された中空円筒状ワイヤコイル150が、中空シャフト110から離れるように遠位方向に延在する。ワイヤコイル150の近位端部152は、圧接により遠位部分115の遠位端部117に固定される。ワイヤコイルは、例えば約50μmのワイヤ直径を有する白金ワイヤから作製される。ワイヤコイル150の横断面が、図3に示される。ワイヤコイル150の可撓性は、中空シャフト110の遠位部分115の可撓性よりも高い。
プラスチックから作製され非外傷的に丸められた半球状の付属品の形態のガイドワイヤ先端部170が、ワイヤコイルの遠位端部153上に取り付けられる。ガイドワイヤ先端部170は、例えば圧接により、ワイヤコイル150に連結することが可能である。
ガイドワイヤ先端部170の後に近位方向に直に連続して配置される、ワイヤコイル150の第1の巻線と第2の巻線との間、およびワイヤコイル150の第2の巻線と第3の巻線との間は、ガイドワイヤ先端部の区域において流体透過貫通開口154がワイヤコイル150中に存在するように、離間される。第1の巻線と第2の巻線との間の第1の間隔154.1、および第2の巻線と第3の巻線との間の第2の間隔154.2は、いずれの場合でも、ワイヤコイル150のワイヤ直径の0.3倍にほぼ相当する。
貫通開口154は、近位方向においてガイドワイヤ先端部170に隣接するワイヤコイル150の遠位内方区域151に直に通じている。したがって、換言すれば、ワイヤコイル150の遠位内方区域151は、導入および/または除去されるべき流体のための、外方向に開いた貫通開口154を有する。ワイヤコイル150の他の巻線同士は、互いに直に接した状態で構成されるとともに、ワイヤコイル150の液密/放射線不透過性部分155を形成する。
ワイヤコイル150の内径150.1は、全長にわたり実質的に一定であり、かつ中空シャフト110の内径と、または中空円筒状管腔120の直径とほぼ一致する。
中空シャフト110の近位部分111においては、芯ワイヤ130の近位端部131が、管腔120の境界表面上に、または中空シャフト110の内部にさらに溶接される。芯ワイヤ130の近位端部131は、中空シャフト110内において偏心的に配置される。芯ワイヤ130は、遠位部分115およびワイヤコイル150を貫通してガイドワイヤ先端部170まで延在する。芯ワイヤ130の遠位端部132は、例えば圧接により、ガイドワイヤ先端部170に連結される。
芯ワイヤ130は、例えば鋼から作製され、かつ近位端部131から遠位端部132にかけて漸減する外径を有する。芯ワイヤ130の近位端部131での近位外径130.1は、ワイヤコイル150の区域における芯ワイヤの遠位外径130.2よりも大きい。ガイドワイヤ100の可撓性は、芯ワイヤ130の近位端部131からガイドワイヤ先端部170に向けて実質的に連続的に低下する。
芯ワイヤ130の外径130.1,130.2は、例外なく、管腔120の直径120.1よりも小さく、かつワイヤコイル150の内径150.1よりも小さい。
ワイヤコイル150の近位部分において、芯ワイヤ130は、流体透過性連結部160を介してワイヤコイル150に連結される。前記流体透過性連結部160は、例えばはんだ付けされた連結部の形態の一体的に接合された連結部である。流体透過性連結部160は、流体透過性連結部160の区域において、芯ワイヤ130に沿うチャネル状通路161を、送出および回収すべき流体の通過が自在な状態に留めるように、ガイドワイヤ100の長手方向中心軸101に対して非対称的および/または一方に偏倚するように構成される。したがって、ワイヤコイル150の遠位内方区域151は、チャネル状通路161を介して、ワイヤコイル150の近位内方区域156と連通する。横断面において、流体透過性連結部は、ワイヤコイル150の内方区域の断面範囲の約40%を占める。ワイヤコイル150の内径150.1は、流体透過性連結部160の区域において、この区域の芯ワイヤ130の近位外径130.1の約3.5倍の大きさである。
したがって、第1のガイドワイヤ100の管腔120は、芯ワイヤ130に沿って形成されたチャネル状通路161を介して、ワイヤコイル150の遠位内方区域151と連通し、さらに前記遠位内方区域151は、流体を送出および/または回収するための、外部方向への貫通開口154を有する。
図4は、長手方向中心軸201に沿った長手方向断面において、本発明による第2のガイドワイヤ200を示す。図5は、第2のガイドワイヤの流体透過性連結部260の区域の横断面を示す。
第2のガイドワイヤ200は、管腔220を有する中空シャフト210を同様に有し、第2のガイドワイヤ200の中空シャフト210および管腔220は、第1のガイドワイヤ100の中空シャフト100および管腔120と実質的に同一である。同様に、第2のガイドワイヤ200は、ガイドワイヤ先端部270および芯ワイヤ230により、中空シャフト210上に固定されたワイヤコイル250を有する。ワイヤコイル250、ガイドワイヤ先端部270、および芯ワイヤ230は、第1のガイドワイヤ100の対応する部分とやはり実質的に同一である。さらに、第2のガイドワイヤ200の前記部分は、第1のガイドワイヤ100の対応する部分と同様に構成され、かつ同様に相互に固定される。したがって、第2のガイドワイヤ200のワイヤコイル250は、送出および/または回収すべき流体のための、ガイドワイヤ先端部270の直後に構成される貫通開口254をやはり有する。
しかしながら、第1のガイドワイヤ100とは対照的に、第2のガイドワイヤ200は、流体透過性連結部260を有し、該流体透過性連結部260は、その中に埋め込まれるとともに、送出および/または回収すべき流体のためのチャネル状通路として芯ワイヤに対して平行に延在するチューブ261と一体的に接合された連結部として構成される、流体透過性連結部260を有する。チューブ261は、例えばはんだ材料内に一体的に接合された態様で全長にわたって埋め込まれるとともに、ワイヤコイル250に連結される。
したがって、第2のガイドワイヤ200の管腔220は、前記チューブ261を介して、ワイヤコイル250の遠位内方区域251と連通する。前記チューブ261は、チャネル状通路としての役割を果たし、芯ワイヤ230に沿って配置される。遠位内方区域251は、流体を送出および/または回収するための貫通開口254をやはり有する。
図6は、長手方向中心軸301に沿った長手方向断面において、本発明による第3のガイドワイヤ300を示す。
第3のガイドワイヤ300は、管腔320を有する中空シャフト310を同様に有し、第3のガイドワイヤ300の中空シャフト310および管腔320は、第1のガイドワイヤ100の中空シャフト110および管腔120と実質的に同一である。同様に、第3のガイドワイヤ300は、ガイドワイヤ先端部370および芯ワイヤ330により、中空シャフト310に固定されたワイヤコイル350を有する。ワイヤコイル350は、同様に、例えば約50μmの直径を有する白金ワイヤから作製される。
しかしながら、第1のガイドワイヤ100とは対照的に、ワイヤコイル350は、互いに離間された複数の貫通開口354a,354b,354c,354dを有する。近位方向においてガイドワイヤ先端部370の直後に位置するワイヤコイル350の第1の巻線および第2の巻線は、ガイドワイヤ先端部370の区域において第1の流体透過性/放射線透過性貫通開口354aがワイヤコイル350中に存在するように、相互に離間される。
第1の液密/放射線不透過性部分355aが、遠位方向において、第1の流体透過性貫通開口354aに隣接する。第1の液密部分355aは、例えばワイヤコイル350のうちの互いに直に接した状態の4つの巻線によって形成される。
近位方向において、第1の液密部分355aの後には、第2の流体透過性/放射線透過性貫通開口354bが続く。該第2の流体透過性/放射線透過性貫通開口354bは、ワイヤコイル350のうちの2つの離間された巻線によって形成される。近位方向において、第2の流体透過性/放射線透過性貫通開口354bの後には、ワイヤコイル350の第2の液密/放射線不透過性部分355bが続く。第1の液密区域355aと同様に、第2の液密区域355bもまた、例えばワイヤコイル350のうちの互いに直に接した状態の4つの巻線によって形成される。
近位方向において、第2の液密部分355bの後には、第3の流体透過性/放射線透過性貫通開口354cが続く。前記第3の流体透過性/放射線透過性貫通開口354cは、ワイヤコイル350の2つの離間された巻線によってやはり形成される。近位方向において、前記第3の貫通開口の後には、第3の液密/放射線不透過性部分355cが続く。前記第3の液密/放射線不透過性部分355cは、同様に、ワイヤコイル350のうちの互いに直に接した状態の4つの巻線によって形成される。
近位方向において、第3の液密部分355cの後には、ワイヤコイル350の2つの離間された巻線によってやはり形成される、第4の流体透過性/放射線透過性貫通開口354dが続く。
前記第4の流体透過性貫通開口354dは、近位方向において、ワイヤコイルのうちの互いに直に接した状態の4つの巻線により形成される、ワイヤコイル350の第4の液密/放射線不透過性部分355dによって隣接される。
近位方向において、ワイヤコイルの近位端部352を形成するワイヤコイル350の最後のワイヤ巻線は、中空シャフト310の遠位端部317に溶接される。
したがって、ワイヤコイル350の全長にわたり、複数の流体透過性/放射線透過性貫通開口354a,354b,354c,354dが、規則的に互いに離間されるとともに、複数の液密/放射線不透過性部分355a,355b,355c,355dによって分離される。離間された貫通開口354a,354b,354c,354dはそれぞれ、例えば、長手方向中心軸301に対して平行な方向において測定した場合に、ワイヤコイル350のワイヤ直径の約0.5倍となる幅を有する。
第4の液密部分355dの区域において、中空シャフト310から突出しかつワイヤコイル350を貫通してガイドワイヤ先端部まで延在する芯ワイヤ370が、流体透過性連結部360を介して、ワイヤコイル350に連結される。流体透過性連結部360は、第1のガイドワイヤ100の流体透過性連結部160と実質的に同一の構成を有するとともに、例えばはんだ付けされた連結部の形態で一体的に接合された連結部として存在する。したがって、流体透過性連結部360は、流体透過性連結部360の区域において、芯ワイヤ330に沿うチャネル状通路361を、送出および回収すべき流体の通過が自在な状態に留めるように、第3のガイドワイヤ300の長手方向中心軸301に対して非対称的および/または一方に偏倚するように構成される。横断面において、流体透過性連結部は、ワイヤコイル350の内方区域の断面範囲の約40%を占める。ワイヤコイル350の内径は、流体透過性連結部360の区域において、前記区域の芯ワイヤ330の外径の約3.5倍の大きさである。
したがって、第3のガイドワイヤ300の管腔320は、芯ワイヤ330に沿って形成されるチャネル状通路361を介して、ワイヤコイル350の遠位内方広域351と連通する。遠位内方区域351は、流体を送出および/または回収するための4つの貫通開口354a,354b,354c,354dをやはり有する。
図7および図8は、長手方向軸401に沿った長手方向断面において、および横断面において、本発明による第4のガイドワイヤ400を示す。第4のガイドワイヤ400の中空シャフト410、ワイヤコイル450、ガイドワイヤ先端部470、および芯ワイヤ430は、第1のガイドワイヤ100の対応する部分と実質的に同一である。したがって、ワイヤコイル450は流体透過性貫通開口454を有し、該流体透過性貫通開口454は近位方向においてガイドワイヤ先端部470の直後に配置され、かつ前記流体透過性貫通開口454はワイヤコイルの3つの離間された巻線により形成されるとともにワイヤコイルの遠位内方区域451と連通する。第4のワイヤコイル450の貫通開口454は、第1のガイドワイヤ100の貫通開口151と実質的に一致する。
しかしながら、第1のガイドワイヤ100とは対照的に、第4のガイドワイヤ400は、第4のガイドワイヤ400の長手方向中心軸401に対して同軸方向において、中空シャフト410からワイヤコイル450の内方区域内に突出する中空円筒状チューブの形態の管状スタブ480をさらに有する。管状スタブ480の近位端部481は、例えば接着剤結合および/または溶接により、中空シャフト410の遠位端部417に固定される。管状スタブ480の外径は、中空シャフト410の内径およびワイヤコイル450の内径と実質的に一致する。
管状スタブ480の近位部分は、例えば接着連結により、ワイヤコイル450の近位部分に連結される。
管状スタブ480の遠位端部は、貫通開口454が管状スタブ480により覆われず、したがって通過自在の状態に留められるように、遠位方向において貫通開口454の直前に配置される。
第4のガイドワイヤ400の芯ワイヤ430は、管状スタブ480を貫通して延在する。管状スタブ480の内径は、例外なく、この区域における芯ワイヤ430の外径よりも大きい。したがって、送出および回収すべき流体が通過し得るチャネル状通路461が、芯ワイヤ430に沿った管状スタブ480内において通過自在な状態に留められる。
したがって、管状スタブ480内に存在する前記チャネル状通路461により、第4のガイドワイヤ400の管腔420は、ワイヤコイル450の遠位内方区域451と連通する。前記遠位内方区域451は、流体を送出および/または回収する流体透過性貫通開口454をやはり有する。
図9は、血管500内に押し入れられた後の図1〜図3の第1のガイドワイヤ100を示す図である。ガイドワイヤ先端部170は、例えば薬物によって治療すべき血管500内の狭まった位置501の直ぐ前に位置する。体外に位置する(および図9に図示されない)ガイドワイヤ100の近位端部の区域において、投与すべき薬物502を、管腔120内に導入することが可能であるとともに、ガイドワイヤ先端部170の直ぐ後に位置する貫通開口154を介して血管500内に送給することが可能である。貫通開口154が、ガイドワイヤ先端部170の区域の直後に位置するため、投与すべき薬物は、治療すべき狭窄部501の区域内に比較的正確に進む。
上述の実施形態は、例示的な例のみとして理解すべきであり、これらの例は、本発明の文脈(context)の範囲内において任意の所望の形態で修正することが可能である。
したがって、ガイドワイヤ100,200,300,400の全てにおいて、例えば、2パートの中空シャフト110,210,310,410を、1パートの中空シャフトと置き換えることが可能である。これらは、例えば鋼チューブの形態などで存在することが可能である。この場合には、ワイヤコイルは、例えば中空シャフトの前面上に溶接され得る。さらに、当然ながら、3つ、4つ、または5つ以上の独立した副次的部分を有するマルチパートの中空シャフトを使用することも可能である。これらのシャフトが、1パート、2パート、または3以上のパートのいずれであるかにかかわらず、中空シャフト110,210,310,410は、特に挿入性を向上させるために、例えば遠位方向にテーパ状となるように構成することも可能である。
中空シャフト110の近位部分111の遠位端部区域112および/または遠位部分115の近位端部区域116もまた、別様に構成および/または連結することが可能である。例えば、2つの部分111,115が、いずれの場合においても長手方向中心軸101に対して直角に位置する環状前面を介して、当接状態で一体的に接合され、接着剤結合および/または溶接され得る。
同様に、ガイドワイヤ先端部170,270,370,470は、別様に構成することもまた可能であり、例えば特定用途向けに適合化することが可能である。
流体透過性連結部160,260,360に加えて、芯ワイヤ130,230,330とワイヤコイル150,250,350との間に他の連結部を形成することも可能である。しかしながら、原則的には、流体透過性連結部160,260,360を完全に省くこともまた可能である。同様に、第4のガイドワイヤ400において、例えばワイヤコイルの安定性をさらに高めるためなどに、追加の流体透過性連結部を、芯ワイヤと管状スタブ480との間に形成することが可能である。
第2のガイドワイヤ200の流体透過性連結部260において、例えば流体透過性断面表面積を拡大するためなどに、チューブ261に加えて他のチューブがあってもよい。
さらに、原則的には、適切である場合には、ワイヤコイル150,250,350,450を、ガイドワイヤ先端部に向けて遠位方向にテーパ状に構成することもまた可能である。ある状況においては、これは、ガイドワイヤの挿入性を高め得る。
第3のガイドワイヤ300において、さらに、ワイヤコイル450の4つの貫通開口354a,354b,354c,354dよりも多数のまたは少数の貫通開口を設けることもまた可能である。したがって、例えば、ワイヤコイルの全長にわたり流体が送出および/または回収され得るように、ワイヤコイル450の全ての巻線が離間されることが考えられる。これに対応する構成は、最初の2つのガイドワイヤ100,200のワイヤコイル150,250においても可能である。
第1のガイドワイヤ100において、芯ワイヤ130の近位端部131は、原則的には、中空シャフト110の遠位部分115に取り付けることもまた可能である。さらに、芯ワイヤ130は、例えば弾性の急激な変化を補償するためなどに、段階的に漸減および/または漸増する外径を有する区域を有することも可能である。しかしながら、原則的には、芯ワイヤは、全長にわたり一定の外径を有することも可能である。
特定の使用にとって有利である場合には、ガイドワイヤ100,200,300,400の全てを、例えば楕円形断面などを有するように構成することもまた可能である。
さらに、適切であることが明らかな場合には、中空シャフト110,210,310,410自体の上に追加の貫通開口を設けることもまた可能である。
結論として、ヒトおよび/または動物の中空器官内への容易な挿入が可能であり、かつさらにはヒトおよび/または動物の中空器官内の所定の箇所にて高い精度および目標設定で流体を導入および/または除去することが可能となる、新規のガイドワイヤが作製されたと言える。
100 第1のガイドワイヤ
101 長手方向中心軸
131 芯ワイヤ130の近位端部
111 中空シャフト110の近位部分
112 近位部分111の遠位端部
120 連続円形円筒状管腔
130 芯ワイヤ
156 ワイヤコイル150の近位内方区域
161 チャネル状通路
155 液密/放射線不透過性部分
151 ワイヤコイル150の遠位内方区域
154 流体透過貫通開口
153 ワイヤコイルの遠位端部
132 芯ワイヤ130の遠位端部
170 ガイドワイヤ先端部
154.1 第1の間隔
154.2 第2の間隔
150 ワイヤコイル
160 流体透過性連結部
152 ワイヤコイル150の近位端部
117 遠位部分115の遠位端部
115 中空シャフト110の遠位部分
116 遠位部分115の近位端部
110 2 パート中空シャフト
130.1 芯ワイヤ130の近位端部131の近位外径
120.1 管腔120の直径
150.1 ワイヤコイル150の内径
130.1 芯ワイヤ130の外径
130.2 芯ワイヤの遠位外径
200 第2のガイドワイヤ
201 長手方向中心軸
220 管腔
230 芯ワイヤ
261 チューブ
250 ワイヤコイル
251 ワイヤコイル250の遠位内方区域
254 貫通開口
270 ガイドワイヤ先端部
260 流体透過性連結部
210 中空シャフト
300 第3のガイドワイヤ
301 長手方向中心軸
320 管腔
330 芯ワイヤ
361 チャネル状通路
355a 第1の液密/放射線不透過性部分
355b 第2の液密/放射線不透過性部分
355c 第3の液密/放射線不透過性部分
355d 第4の液密/放射線不透過性部分
354a 第1の流体透過性/放射線透過性貫通開口
354b 第2の流体透過性/放射線透過性貫通開口
354c 第3の流体透過性/放射線透過性貫通開口
354d 第4の流体透過性/放射線透過性貫通開口
370 ガイドワイヤ先端部
351 ワイヤコイル350の遠位内方広域
350 ワイヤコイル
360 流体透過性連結部
352 ワイヤコイルの近位端部
317 中空シャフト310の遠位端部
310 中空シャフト
400 第4のガイドワイヤ
401 長手方向中心軸
420 管腔
430 芯ワイヤ
481 管状スタブ480の近位端部
461 チャネル状通路
480 管状スタブ
482 管状スタブ480の遠位端部
454 流体透過性貫通開口
470 ガイドワイヤ先端部
453 ワイヤコイル450の遠位端部
451 ワイヤコイル450の遠位内方区域
450 ワイヤコイル
417 中空シャフト410の遠位端部
410 中空シャフト
500 血管
501 血管500内の狭まった位置、治療すべき狭窄部
502 薬物

Claims (19)

  1. ヒトおよび/または動物の中空器官、特に血管において流体を導入および/または除去するように構成された、カテーテル用のガイドワイヤ(100)であって、
    a) 前記流体を送出および/または回収するための管腔(120)を有する長尺の中空シャフト(110)と、
    b) 前記中空シャフト(110)の遠位端部(117)に同軸上に装着された可撓性のワイヤコイル(150)の形態の挿入補助具であって、ガイドワイヤ先端部(170)が、前記ワイヤコイルの遠位端部(153)に配置された、挿入補助具と、
    c) 前記ガイドワイヤ(100)の可撓性を制御するために、前記中空シャフト(110)の前記管腔(120)内に配置された芯ワイヤ(130)であって、前記管腔(120)の外に長手方向におよび前記ワイヤコイル(150)を貫通して前記ガイドワイヤ先端部(170)まで延在する、芯ワイヤ(130)と、
    d) 近位方向において前記ガイドワイヤ先端部(170)に隣接する前記ワイヤコイル(150)の遠位内方区域(151)であって、前記芯ワイヤ(130)に沿って形成される流体チャネル(151,161,155)を介して、前記中空シャフト(110)の前記管腔(120)と連通する、前記ワイヤコイル(150)の遠位内方区域(151)と、を備え、
    e) 導入および/または除去すべき前記流体のための少なくとも1つの外方向に開いた貫通開口(154)を有し、
    f) 少なくとも1つの貫通開口(154)を形成するために、ワイヤコイル(150)の少なくとも2つの隣接し合う巻線同士が間隔をおいて配置され、
    g) 前記芯ワイヤ(450)を囲みかつ前記中空シャフト(410)の遠位端部(417)から突出する中空円筒状の管状スタブ(480)が、前記ワイヤコイル(450)の内部に部分的に延在することを特徴とするガイドワイヤ。
  2. 前記ワイヤコイル(150)が前記芯ワイヤ(130)に対して機械的に固定されるとともに、前記ワイヤコイル(150)の前記遠位内方区域(151)が、流体透過性連結部(160)から近位方向に位置する前記ワイヤコイル(150)の近位内方区域(156)と連通するように、前記ワイヤコイル(150)と前記芯ワイヤ(130)との間の流体透過性連結部(160)が、前記ワイヤコイル(150)の近位端部(152)の区域に存在することを特徴とする請求項1に記載のガイドワイヤ。
  3. 前記流体透過性連結部(160)は、前記ワイヤコイル(150)の長手方向中心軸(101)に対して非対称的および/または一方に偏倚するように構成された、前記ワイヤコイル(150)と前記芯ワイヤ(130)との間の一体的に結合された連結部として、特にはんだ付けされた連結部として存在し、その結果流体透過性連結部(160)の区域において、前記芯ワイヤ(130)に隣接するチャネル状通路(161)が、送出および/または回収すべき前記流体の通過が自在な状態に留まることを特徴とする請求項2に記載のガイドワイヤ。
  4. 前記流体透過性連結部(260)は、一体的に結合された連結部として、特にはんだ付けされた連結部として構成され、前記芯ワイヤ(230)に対して平行に延在しかつ前記一体的に結合された連結部(260)の中に埋め込まれるチューブ(261)が、送出および/または回収すべき前記流体のためのチャネル状通路として存在することを特徴とする請求項2に記載のガイドワイヤ。
  5. 前記芯ワイヤ(130)は、前記ワイヤコイル(150)の近位端部(152)から近位方向に距離を置いて前記管腔(120)に固定され、特に、前記管腔(120)の長手方向軸に対して偏心的に、前記管腔(120)の境界表面に接した状態で配置されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のガイドワイヤ。
  6. 前記芯ワイヤ(130)の外径(130.1,130.2)が、前記管腔(120)の内径(120.1)よりも小さく、および/または前記ワイヤコイル(150)の内径(150.1)よりも小さく、前記管腔(120)の前記内径(120.1)および/または前記ワイヤコイル(150)の前記内径(150.1)は、好ましくは、前記ワイヤコイル(150)の区域における前記芯ワイヤ(130)の前記外径(130.2)よりも3〜4倍大きいことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のガイドワイヤ。
  7. 前記少なくとも2つの隣接し合う巻線間に、特に前記ワイヤコイル(150)のワイヤ径の0.1〜0.5倍に相当する間隔(154.1,154.2)が存在することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のガイドワイヤ。
  8. 前記ワイヤコイル(150)の複数の他の隣接し合う巻線(155)同士が、互いに接した状態で配置され、そのようにして前記ワイヤコイルの少なくとも1つの液密部分を形成することを特徴とする請求項7に記載のガイドワイヤ。
  9. 複数の貫通開口(354a,354b,354c,354d)および複数の液密部分(355a,355b,355c,355d)が存在し、これらは、好ましくは、交互に連続的に配置されるとともに、特に前記ワイヤコイル(350)の全長にわたって一定間隔で配置されることを特徴とする請求項8に記載のガイドワイヤ。
  10. 前記ワイヤコイル(150)の弾性が、前記中空シャフト(110)の弾性よりも高いことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のガイドワイヤ。
  11. 前記中空シャフト(110)は、鋼チューブの形態で存在し、かつ前記ワイヤコイル(150)は、特に白金ワイヤから作製されることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のガイドワイヤ。
  12. 前記中空シャフト(110)は、2パートまたは3以上のパートで構成され、前記中空シャフト(110)の近位部分(111)が、好ましくは、前記中空シャフト(110)の遠位部分(115)よりも低い弾性を有することを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のガイドワイヤ。
  13. 前記近位部分(111)は、金属チューブ、特に鋼チューブから構成され、および/または、前記遠位部分(115)は、プラスチックチューブ、特にポリイミドチューブから構成されることを特徴とする請求項12に記載のガイドワイヤ。
  14. 前記中空シャフトの前記遠位部分(115)は、前記ワイヤコイル(150)よりも低い可撓性を有することを特徴とする請求項12または13に記載のガイドワイヤ。
  15. 管状スタブ(480)の遠位端部(482)が近位方向において前記ワイヤコイル(450)の前記遠位端部(453)から離間されたことを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載のガイドワイヤ。
  16. 前記管状スタブ(480)の外径が、前記ワイヤコイル(450)の内径とほぼ一致し、かつ前記管状スタブ(480)の内径が、好ましくは、前記管状スタブ(480)の区域における前記芯ワイヤ(430)の外径よりも大きいことを特徴とする請求項15に記載のガイドワイヤ。
  17. 前記芯ワイヤ(130)の直径が、近位端部(131)から遠位端部(132)に向けて漸減することを特徴とする請求項1から16のいずれか一項に記載のガイドワイヤ。
  18. 前記ガイドワイヤ先端部(170)は、前記ワイヤコイル(150)の前記遠位端部(153)上の丸められた好ましくは半球状の付属品として存在し、特にプラスチック材料から作製される請求項1から17のいずれか一項に記載のガイドワイヤ。
  19. 前記ワイヤコイルは、単一のワイヤから構成され、前記ワイヤコイルの区域は、追加の膜がなく、かつ厳密に3つの異なる管状部分が、実質的に同一の外径を有して用意される、すなわち、鋼チューブ、プラスチックチューブ及びワイヤコイルが、それぞれ同一の外径を有することを特徴とする請求項1から18のいずれか一項に記載のガイドワイヤ。
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