JP5812638B2 - 円盤型分析チップ - Google Patents

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Description

本発明は、各種生化学検査などに好適に用いることができる分析チップに関し、より詳しくは、ターンテーブルなどの遠心装置上に載置し、該遠心装置の回転による遠心力を利用して検体と試薬とを反応させた後、光学測定などにより目的物質の検出または定量などを行なうことができる円盤型分析チップに関する。
近年、医療や健康、食品、創薬などの分野で、DNA(Deoxyribo Nucleic Acid)や酵素、抗原、抗体、タンパク質、ウィルスおよび細胞などの生体物質、ならびに化学物質を検知、検出あるいは定量する重要性が増してきており、それらを簡便に測定できる様々な分析チップおよびマイクロ化学チップ(以下、これらを総称して分析チップという。)が提案されている。マイクロチップは、実験室で行なっている一連の分析・実験操作を、ごく小さなチップ内で行なえることから、検体および試薬が微量で済み、コストが安く、反応速度が速く、ハイスループットな検査ができ、検体を採取した現場で直ちに検査結果を得ることができるなど多くの利点を有している。このような分析チップは、たとえば血液検査等の生化学検査用として好適に用いられている。
分析チップとしては、たとえば、コンパクトディスクのような円盤型の基板に多数のリザーバ(槽)およびこれらを接続する微細流路が形成された分析チップ(以下、分析チップの基板に形成される各種リザーバおよびこれらを接続する流路から構成される回路(パターン)全体を総称して流体回路という。)であって、円盤の中心を遠心中心とする回転による遠心力を利用してリザーバ中の液体(検体や試薬など)を移動させ所定の反応などを行なう分析チップが従来公知である(たとえば非特許文献1)。このような円盤型分析チップもまた、上述のような多くの利点を有しており、さらには遠心力を利用するために、ポンプやバルブなどの周辺機器を必要とせず、分析システム全体を小型化できるという大きな利点を兼ね備えている。
中嶋秀、「コンパクトディスク型マイクロチップを用いる流れ分析法」、「ぶんせき」社団法人日本分析化学会、2009年7月、p.381−382
分析チップは、様々な検査・分析法への展開(様々な種類の反応系への適用)が期待されており、このようなものとしては、生化学検査でよく用いられている免疫蛍光抗体法が挙げられる。免疫蛍光抗体法とは、検体(サンプル)中に含まれる微量の目的物質(検査対象物質)を、抗原抗体反応を利用して定量的に検出する手法の1つであり、たとえば、1)目的物質を含む検体(サンプル)、2)目的物質に特異的に結合する抗体で修飾されたビーズ等の固相、および、3)目的物質と抗体で修飾されたビーズとの結合体に特異的に結合する抗体であって、蛍光物質で標識された抗体(以下、蛍光標識抗体という。)の1)〜3)を混合して抗原抗体反応を行なわせ、未反応の検体(目的物質以外の成分)および未反応の蛍光標識抗体を洗浄、除去した後、目的物質と抗体で修飾されたビーズと蛍光標識抗体との結合体について蛍光測定を実施することによりその蛍光強度から目的物質を定量することができる。
上記免疫蛍光抗体法など、未反応物質を洗浄、除去する工程が必須となる反応系を用いる検査法(たとえば酵素標識抗体を用いるELISA法など)においては、目的物質の定量性および測定の信頼性を確保するために、未反応物質の入念な洗浄除去が必要である。たとえば、免疫蛍光抗体法において未反応の(遊離の)蛍光標識抗体が残存していると、大きな測定誤差の原因となる。
本発明者らによって見出された未反応物質の洗浄除去が可能な分析チップとして、図1に示されるような流体回路を有する分析チップが挙げられる。図1に示される流体回路は、円盤型の基板上に溝パターンとして形成されたものであり、目的物質を含むサンプル液および蛍光標識抗体を収容する第1の槽1;抗体で修飾されたビーズ(抗体修飾ビーズ)を含有する液を収容する第2の槽2;洗浄液を収容する第3の槽3;第1の槽1、第2の槽2および第3の槽3よりも分析チップの外周部側(遠心力方向の下流側)に設けられ、サンプル液、蛍光標識抗体および抗体修飾ビーズを混合し、抗原抗体反応を行なう第4の槽4;第4の槽4よりも分析チップの外周部側(遠心力方向の下流側)に設けられ、廃液を収容する第5の槽5(この槽には流路を介して空気穴5aが接続されている。);第1の槽1と第4の槽4とを接続する第1の流路6;第1の流路6に連結され、第2の槽2と第4の槽4とを接続する第2の流路7;第3の槽3と第4の槽4とを接続する第3の流路8;および、第4の槽4と第5の槽5とを接続する第4の流路9から構成されている。第1〜第4の流路の各断面積は、第1の流路6=第2の流路7>第4の流路9>第3の流路8となるように設計されている。また、第4の流路9の断面積は、抗体修飾ビーズのサイズよりも小さい。
なお、上記溝パターン(流体回路)が形成された円盤型の基板上には、流体回路からの液の漏れ出しを防止するために、流体回路を覆う基板や貼着シールなどの積層部材が積層される。この積層部材には、サンプル液および蛍光標識抗体を注入する注入口、ならびに抗体修飾ビーズ)を含有する液を注入する注入口が設けられる。これらの注入口は、厚み方向に貫通する貫通口である。また、空気穴5aは、円盤型の基板上に形成された溝と、円盤型の基板上に積層される積層部材に形成される、該溝に連通する貫通口とによって構成される。
図1に示される流体回路を有する分析チップによれば、遠心力を利用して次の手順で免疫蛍光抗体法による検査を実施することが可能である。まず、第1の槽1に目的物質を含むサンプル液および蛍光標識抗体を注入し、第2の槽2に抗体修飾ビーズを含有する液を注入し、第3の槽3に洗浄液を注入する(ステップ1)。次に、分析チップの中心を回転中心とする分析チップの回転により、図示される方向の第1の遠心力(洗浄液が第3の槽3から排出されない程度の大きさの遠心力である。)を分析チップに印加することにより、目的物質を含むサンプル液、蛍光標識抗体および抗体修飾ビーズを含有する液を第4の槽4に導入、混合して抗原抗体反応を行なう(ステップ2)。
ついで、図示される方向の第2の遠心力(この遠心力は第1の遠心力より大きい)を印加することにより、第4の槽4から第5の槽5へ液を移動させ、廃液を行なう(ステップ3)。次に、図示される方向の第3の遠心力(この遠心力は第2の遠心力より大きい)を印加することにより、第3の槽3内の洗浄液を第4の槽4に導入して目的物質と抗体修飾ビーズと蛍光標識抗体との結合体を洗浄するとともに、洗浄後の洗浄液を第5の槽5へ移動させる(ステップ4)。このステップ4によって未反応のサンプルおよび未反応の蛍光標識抗体が除去される。最後に、第4の槽4に収容された目的物質と抗体修飾ビーズと蛍光標識抗体との結合体に対して検出光を照射することにより蛍光測定を行ない、目的物質を定量する(ステップ5)。
上記のように、図1に示される流体回路を有する分析チップによれば、第1〜第4の流路の各断面積を適切な大きさに設定し、これらの流路に異なる程度のバルブ機能(液体の排出を抑制する能力)を付与しているため、所望の液体を所望のタイミングで移動させることができ、これにより、抗原抗体反応を行なった後、液を排出し、ついで洗浄液を導入して洗浄を行なうという逐次的操作が一方向の遠心力の印加により可能となっている。
しかしながら、図1に示される流体回路を有する分析チップについては、洗浄液による洗浄効果に関し改善の余地があった。すなわち、図1に示される流体回路の場合、ステップ4の洗浄は1回しか行なうことができないが(つまり、第3の槽3内の洗浄液は、ステップ4における遠心力の印加によりその全量が第4の槽4に導入される。)、本発明者らによるさらなる検討により、1回のみの洗浄では洗浄が十分になされず、洗浄後も未反応物質が第4の槽4に残留する場合があることが明らかとなった。また、第3の槽3内に収容される洗浄液の量をあまり多くすると、第3の流路8のバルブ機能が十分に機能せず、ステップ3における遠心力の印加により、意図しない洗浄液の排出が生じることがあった。
本発明の目的は、流体回路内に存在する被洗浄物の洗浄を効果的に行なうことができ、たとえば免疫蛍光抗体法などの、被洗浄物を洗浄する工程が必須となる反応系を用いる検査法に好適に適用できる分析チップを提供することにある。
上記課題を解決すべくさらに鋭意検討した結果、本発明者らは、洗浄効果を上げるためには、1回の洗浄で用いる洗浄液の量を増やすよりも、むしろ洗浄液を流す回数を増やすことが極めて効果的であり、同じ洗浄液量であっても、複数回に分けて洗浄すると、洗浄効果が飛躍的に向上することを見出した。そして、さらなる検討により、リザーバ(槽)内に収容された洗浄液を複数回に分けて排出することが可能であり、これにより洗浄効果を飛躍的に向上させることができる流体回路構造を見出すに至った。
すなわち本発明は、内部空間(流体回路)を備えており、遠心力の印加により該内部空間内に存在する液体を内部空間内の所望の位置に移動させる円盤型の分析チップであって、該内部空間(流体回路)が、第1の液体を収容するための第1の槽;第2の液体を収容するための第2の槽;第3の液体を収容するための第3の槽;第1の槽、第2の槽および第3の槽よりも分析チップの外周部側に設けられる第4の槽;第4の槽よりも分析チップの外周部側に設けられる第5の槽;第1の槽と第4の槽とを接続する第1の流路;第2の槽と第4の槽とを接続する第2の流路;第3の槽と第4の槽とを接続する第3の流路;第4の槽と第5の槽とを接続する第4の流路;第3の流路上に配置され、分析チップ外部に連通する第1の空気穴を具備する第1のバッファ槽を含んでおり、第1の流路および第2の流路の断面積は第4の流路の断面積より大きく、かつ、第4の流路の断面積は第3の流路の断面積より大きい円盤型分析チップを提供する。
本発明において、上記内部空間(流体回路)は、第3の槽よりも分析チップの外周部側であって、かつ第4の槽よりも分析チップの中心部側に設けられる第2のバッファ槽をさらに含むことが好ましい。第2のバッファ槽は、第1のバッファ槽と同様、流路により第3の槽と第4の槽に接続される。
第4の槽は、好ましくは、分析チップ外部に連通する第2の空気穴を具備する。また、第5の槽は、好ましくは、分析チップ外部に連通する第3の空気穴を具備する。
本発明において、たとえば第1の液体は、分析対象であるサンプルおよび蛍光物質で標識された抗体を含む液体であり、第2の液体は抗体で修飾されたビーズを含有する液体であり、第3の液体は洗浄液であることができる。
本発明の円盤型分析チップによれば、第3の槽に収容された第3の液体(洗浄液)を複数回に分けて第4の槽に導入することが可能になるため、第4の槽に存在する被洗浄物を極めて効果的に洗浄することができる。このような本発明の円盤型分析チップは、たとえば免疫蛍光抗体法などの、被洗浄物を洗浄する(より具体的には、未反応物質を洗浄、除去する)工程が必須となる反応系を用いる検査法に好適に適用することができる。
未反応物質の洗浄除去が可能な分析チップの流体回路構造を示す概略上面図である。 本発明の円盤型分析チップの一例を示す概略上面図である。 本発明の円盤型分析チップが有する流体回路構造の好ましい一例を示す概略上面図である。 図3に示される流体回路を有する本発明の円盤型分析チップを用いて、第3の槽内の水を複数回に分割して第4の槽に導入する試験の結果を示す概略図である。 円盤型分析チップを回転させるための回転装置および光学測定を行なうための装置を示す概略図である。
図2は、本発明の円盤型分析チップの一例を示す概略上面図である。図2に示される円盤型分析チップ100は、各種槽(リザーバ)やこれらを接続する微細流路から主に構成される流体回路101を内部に有しており、図示されるような向き(もしくはその逆向き)に分析チップを回転させ遠心力を付与することにより、流体回路101内の液体(サンプル液、試薬液、洗浄液、廃液など)を流体回路101内の所望の位置(部位)に移動させることができる。図2に示される例において円盤型分析チップ100は、同じ形状(パターン)の流体回路101を8個有しており、8個の検査・分析を同時並行に実施することができるようになっている。8個の流体回路101は、円盤の径方向(すなわち、円盤の中心を遠心中心として分析チップを回転させたときの遠心力方向)に沿うように配列されている。なお、図2に示される例において流体回路101の数は8個であるが、これに限定されるものではなく、8個より少なくてもよいし、多くてもよい。
流体回路101は、円盤型分析チップ100の内部に形成された空間である。このような流体回路を有する円盤型分析チップは、円盤型の第1の基板上に流体回路構造に応じた溝パターンを形成し、当該第1の基板の溝形成面上に第2の基板を積層、接合することにより作製することができる。積層させる第2の基板にも流体回路を構成する溝パターンが形成されていてもよい。また、第2の基板を用いる代わりに、貼着シールなどの他の積層部材を第1の基板の溝形成面上に積層することにより円盤型分析チップを作製してもよい。
円盤型分析チップを構成する基板材料は特に限定されず、たとえば、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ガラス、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)が挙げることができる。工業的な生産性の観点から、PMMA、PET、COP、COCを用いることが好ましい。円盤型分析チップを分析において蛍光測定が行なわれる場合、基板材料は蛍光を生じにくい材料であることが好ましい。蛍光を生じにくい材料は、好ましくは(メタ)アクリル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂であり、具体的にはPMMA、COP、COCが挙げられる。
円盤型分析チップの厚さは特に限定されないが、0.1〜100mmであることが好ましく、より好ましくは2〜3mmである。円盤型分析チップの基板に溝パターンを形成する方法は特に限定されず、機械加工、サンドブラスト加工、射出成形などが挙げられる。基板同士の接合方法としては、少なくとも一方の基板の貼り合わせ面を融解させて溶着させる方法(溶着法)、接着剤を用いて接着させる方法などを挙げることができる。溶着法としては、基板を加熱して溶着させる方法;レーザー等の光を照射して、光吸収時に発生する熱により溶着する方法(レーザー溶着);超音波を用いて溶着する方法などを挙げることができる。なかでもレーザー溶着法が好ましく用いられる。
次に、本発明の円盤型分析チップが有する流体回路構造について、実施の形態を示してより詳細に説明する。図3は、本発明の円盤型分析チップが有する流体回路構造の好ましい一例を示す概略上面図であり、図2に示される円盤型分析チップ100が有する流体回路101を拡大して示したものである。本実施形態の円盤型分析チップが有する流体回路101は、免疫蛍光抗体法や酵素標識抗体を用いるELISA法など、被洗浄物を洗浄する工程が必須となる反応系を用いる検査法に好適に適用できる構造を有している。
図3に示されるように、流体回路101は、第1の液体を収容するための第1の槽10;第2の液体を収容するための第2の槽20;第3の液体を収容するための第3の槽30;第1の槽10、第2の槽20および第3の槽30よりも分析チップの外周部側(遠心力方向の下流側)に設けられる第4の槽40;第4の槽40よりも分析チップの外周部側(遠心力方向の下流側)に設けられる第5の槽50;第1の槽10と第4の槽40とを接続する第1の流路14;第1の流路14に連結され、第2の槽20と第4の槽40とを接続する第2の流路24;第3の槽30と第4の槽40とを接続する第3の流路34;第4の槽40と第5の槽50とを接続する第4の流路45;第3の流路34上に配置される第1のバッファ槽60;第2のバッファ槽70;第3の槽30と第2のバッファ槽70とを接続する第5の流路37;および、第4の槽40と第2のバッファ槽70とを接続する第6の流路47、から主に構成されている。
たとえば、本実施形態の円盤型分析チップを用いて免疫蛍光抗体法による検査を行なう場合、第1の液体は分析対象である目的物質を含むサンプルおよび蛍光物質で標識された抗体(蛍光標識抗体)を含む液体であり、第2の液体は抗体で修飾されたビーズ(抗体修飾ビーズ)を含有する液体であり、第3の液体は洗浄液であることができる。抗体修飾ビーズの粒径は特に制限されず、たとえば75μmのものなど従来公知のものを用いることができる。
第1のバッファ槽60、第4の槽40および第5の槽50はそれぞれ、分析チップ外部に連通する第1の空気穴61、第2の空気穴41、第3の空気穴51を具備している。これらの空気穴は、遠心力による流体回路101内の液体移動を円滑に行なわせる役割を果たす。これらの空気穴は、たとえば、第1の基板上に形成された溝と、第1の基板上に積層される第2の基板または貼着シールなどに形成される、該溝に連通する貫通口とによって構成することができる。これらの空気穴は、空気穴からの液体の漏洩を防止するため、連結される槽よりも分析チップの中心部側(遠心力方向の上流側)に設けられる。
第1の槽10、第2の槽20および第3の槽30はそれぞれ、第1の液体、第2の液体、第3の液体を注入するための図示しない注入口を有している。これらの注入口は、第1の基板上に積層される第2の基板または貼着シールなどに形成される、厚み方向に貫通する貫通口である。また、これらの貫通口は空気穴としての役割も果たし得る。
第1〜第4の流路の各断面積は、図1に示される流体回路と同様、第1の流路14=(または≒)第2の流路24>第4の流路45>第3の流路34となるように設計されている。第1の流路14および第2の流路24の断面積は、たとえば600×600〜900×900μm2程度とすることができる。また、第3の流路34の断面積は、たとえば100×20〜200×50μm2程度とすることができ、第4の流路45の断面積は、たとえば80×50〜200×50μm2程度とすることができる。抗体修飾ビーズを用いて免疫蛍光抗体法などの検査法を実施する場合、抗体修飾ビーズの第5の槽50への漏出を防止するために、第4の流路45の断面積は、抗体修飾ビーズのサイズよりも小さくされる。
本実施形態の流体回路101は、第1のバッファ槽60に加えて、第2のバッファ槽70を備えている。この第2のバッファ槽70は、第3の槽30および第4の槽40に流路(それぞれ第5の流路37、第6の流路47)を介して接続されており、これにより第3の流路34による第3の槽30から第4の槽40へ通じるルートとは別の、第3の槽30から第4の槽40へ通じるルートが形成されている。第3の流路34と第4の槽40との接続位置は、図3を参照して、第4の槽40の右側側面である一方、第6の流路47と第4の槽40との接続位置は、第4の槽40の左側側面(第3の流路34と第4の槽40との接続位置と反対側の面)である。第2のバッファ槽70は、第3の槽30よりも分析チップの外周部側(遠心力方向の下流側)であって、かつ第4の槽40よりも分析チップの中心部側(遠心力方向の上流側)に設けられる。
第2のバッファ槽70、第5の流路37および第6の流路47をさらに備える本実施形態の流体回路101によれば、第3の槽30内の洗浄液を第4の槽40に導入して第4の槽40内に存在する被洗浄物を洗浄する際、左右両方向から洗浄液を第4の槽40に導入することができるため、洗浄効率をさらに向上させることができる。ただし、第2のバッファ槽70第5の流路37および第6の流路47は必須ではなく、求められる洗浄度などを考慮して必要に応じて付設すればよい。
各槽のサイズ、形状、断面積などは、流体回路内に導入される液体の量などに応じて適宜設定されるが、通常、槽間を接続する流路の断面積よりも十分に大きな断面積を有する。本実施形態の流体回路101において第4の槽40は、その分析チップの外周部側(遠心力方向の下流側)に膨らんだ領域を有しているが、これは、遠心力印加時に被洗浄物(抗体修飾ビーズを含む結合体など)を収容する領域(被洗浄物収容領域)であり、被洗浄物をこの領域内にトラップすることにより、効率的に洗浄を行なうことができる(図示されるように、第4の槽40に導入された洗浄液はすべてこの領域を通って第5の槽50へ排出される)。
本実施形態の流体回路101は、第3の槽30と第4の槽40とを接続する第3の流路34上に第1のバッファ槽60が配置されていること(第3の槽30と第4の槽40との間に第1のバッファ槽60を介在させたこと)を1つの特徴としており、この第1のバッファ槽60の配置により、第3の槽30に収容されている第3の液体を複数回に分割して第4の槽40に導入することが可能になっている。これは次の理由による。第1の空気穴61を具備する第1のバッファ槽60が介在している場合、所定の大きさの遠心力を印加している間は、第3の槽30に収容されている第3の液体は第1のバッファ槽60を通って第4の槽40に導入され続ける。このとき、送液される第3の液体は第1のバッファ槽60の部分で分断されるか、または分断されやすい状態にある。遠心力の印加を停止すると、第1の空気穴61が存在する領域を境に、第3の液体が分断される。このような分断により、第3の液体の一部が第3の槽30に残存し、第3の槽30内の液体と第1のバッファ槽60内の液体とが途切れた状態となる。
第1のバッファ槽60が有する第1の空気穴61は、第1のバッファ槽60によって第3の液体が分断された後、再度遠心力を印加したときに、第3の液体を流れやすくする役割を果たす(この空気穴がないと、第1のバッファ槽60内の空気部分が膨張する必要があり、第3の液体が流れにくくなる。)。
これに対し、第1のバッファ槽60を有しない場合には、所定の大きさの遠心力を印加して第3の液体の一部を第4の槽40に導入した後、遠心力の印加を停止した場合、第3の液体は分断されず、第3の流路34を満たした状態であるため、再度遠心力を印加したときに、所定の回転数未満の回転数で第3の液体が流れて、結果、第3の槽30内の液体が流れやすくなり、第3の槽30内の第3の液体を、分割回数を多くして第4の槽40に導入することができない。
なお、上記と同様の理由から、第2のバッファ槽70を設ける場合には、第2のバッファ槽にも空気穴を設けることが好ましい。
図4は、図3に示される流体回路101を有する本発明の円盤型分析チップを用いて、第3の槽30内の水を複数回に分割して第4の槽40に導入する試験の結果を示す概略図である。図4(a)は遠心力を印加する前の状態を示しており、水の全量が第3の槽30に収容されている。図4(b)〜図4(j)はそれぞれ、第1回目、第2回目・・・、第9回目の遠心力を印加した後、遠心力の印加を停止したときの状態を示したものである。図4に示されるように、遠心力を印加する度(遠心力印加は計9回)に、第3の槽30内に存在する水の一部(全部ではなく)が第4の槽40に導入される(なお、第4の槽40に導入された水は、第4の流路45を通って第5の槽50まで到達する)ことが実証された。すなわち、本実施形態の円盤型分析チップによれば、第3の槽内に存在する液体の第4の槽への分割導入が可能(第4の槽内に存在する被洗浄物の多段階洗浄が可能)であることが実証された。なお、第3の槽30内に残存する水の量が少なくなるほど、分析チップの回転数を同じにした場合、水にかかる遠心力が小さくなっていき、第3の槽30から排出しにくくなるため、図4(b)から図4(j)に進むにつれ、遠心力印加時の分析チップの回転数を上げていった。
本実施形態の円盤型分析チップは、免疫蛍光抗体法による検査を行なう場合を例に挙げれば、たとえば次のようにして使用することができる。まず、第1の槽10に目的物質を含むサンプルおよび蛍光標識抗体を含む液(たとえば5μL)を注入し、第2の槽20に抗体修飾ビーズを含有する液(たとえば5μL)を注入し、第3の槽30に洗浄液(たとえば80μL)を注入する(ステップ1)。次に、分析チップの中心を回転中心とする分析チップの回転により、図3に示される方向の第1の遠心力(洗浄液が第3の槽3から排出されない程度の大きさの遠心力である。)を分析チップに印加することにより、目的物質を含むサンプルおよび蛍光標識抗体を含む液、ならびに抗体修飾ビーズを含有する液を第4の槽40に導入、混合して抗原抗体反応を行なう(ステップ2)。
ついで、図3に示される方向の第2の遠心力(この遠心力は第1の遠心力より大きい)を印加することにより、第4の槽40から第5の槽50へ液を移動させ、廃液を行なう(ステップ3)。
次に、図3に示される方向の第3の遠心力(この遠心力は第2の遠心力より大きい)を印加することにより、第3の槽30内の洗浄液の一部を第4の槽40に導入して目的物質と抗体修飾ビーズと蛍光標識抗体との結合体を洗浄するとともに、洗浄後の洗浄液を第5の槽50へ移動させる(ステップ4)。そして、図4に示されるように、このステップ4を複数回行ない、多段階洗浄を行なう。この複数回のステップ4によって未反応のサンプルおよび未反応の蛍光標識抗体が効果的に除去される。最後に、第4の槽40に収容された目的物質と抗体修飾ビーズと蛍光標識抗体との結合体に対して検出光を照射することにより蛍光測定を行ない、目的物質を定量する(ステップ5)。
第1の槽10に導入する液体(第1の液体)として蛍光標識抗体を含む液(5μL)を用い、第2の槽20に導入する液体(第2の液体)として抗体で修飾されていないビーズ(ビーズ径75μm)を含有する液(5μL)を用い、第3の槽30に導入する液体(第3の液体)として洗浄液(PBS、80μL)を用いたこと以外は上記と同様にしてステップ1〜5(洗浄回数は約10回)を実施し、被洗浄物収容領域に検出光を照射することにより蛍光測定を行なったところ、蛍光強度はブランク(ここでいうブランクとは、十分に洗浄ができているとあらかじめ実証されている状態を意味する)と同じであった。この結果から、本実施形態の円盤型分析チップにより、極めて効果的な洗浄を行なえることが確認された。
なお、分析チップの回転および蛍光測定などの光学測定は、図5のような装置を用いて行なうことができる。図5に示される回転装置は、ターンテーブル201とターンテーブル201を回転させるためのモータ202とを備える。ターンテーブル201上に円盤型分析チップ100を載置し、モータ202によりターンテーブル201を回転させることにより、分析チップ外周部方向への遠心力を付与することができる。遠心力の大きさはターンテーブル201の回転速度により制御される。
また、図5に示される光学測定装置は、流体回路の所定の部位(上記の実施形態では第4の槽40)に検出光を照射するための光源301と、蛍光物質から発せられた蛍光などを検出するための光検出器302とから構成されている。光源301としては、LED(発光ダイオード)、LD(レーザーダイオード)などを用いることができ、光検出器302としては、PD(フォトダイオード)、APD(アバランシェ・フォトダイオード)、PM(フォトマル)などを用いることができる。
10 第1の槽、14 第1の流路、20 第2の槽、24 第2の流路、30 第3の槽、34 第3の流路、37 第5の流路、40 第4の槽、41 第2の空気穴、45 第4の流路、47 第6の流路、50 第5の槽、51 第3の空気穴、60 第1のバッファ槽、61 第1の空気穴、70 第2のバッファ槽、100 円盤型分析チップ、101 流体回路、201 ターンテーブル、202 モータ、301 光源、302 光検出器。

Claims (4)

  1. 内部空間を備えており、遠心力の印加により前記内部空間内に存在する液体を前記内部空間内の所望の位置に移動させる円盤型の分析チップであって、
    前記内部空間は、
    分析対象であるサンプルおよび蛍光物質で標識された抗体を含む液体を収容するための第1の槽と、
    抗体で修飾されたビーズを含有する液体を収容するための第2の槽と、
    洗浄液を収容するための第3の槽と、
    前記第1の槽、前記第2の槽および前記第3の槽よりも分析チップの外周部側に設けられる第4の槽と、
    前記第4の槽よりも分析チップの外周部側に設けられる第5の槽と、
    前記第1の槽と前記第4の槽とを接続する第1の流路と、
    前記第2の槽と前記第4の槽とを接続する第2の流路と、
    前記第3の槽と前記第4の槽とを接続する第3の流路と、
    前記第4の槽と前記第5の槽とを接続する第4の流路と、
    前記第3の流路上に配置され、分析チップ外部に連通する第1の空気穴を具備する第1のバッファ槽と、を含み、
    前記第3の流路の一部であって、前記第1のバッファ槽と前記第4の槽とを接続する流路は、1本の流路からなり、
    前記第1の流路および前記第2の流路の断面積は前記第4の流路の断面積より大きく、かつ、前記第4の流路の断面積は前記第3の流路の断面積より大きい円盤型分析チップ。
  2. 前記内部空間は、前記第3の槽よりも分析チップの外周部側であって、かつ前記第4の槽よりも分析チップの中心部側に設けられる第2のバッファ槽をさらに含み、
    前記第2のバッファ槽は、流路により前記第3の槽と前記第4の槽に接続されている請求項1に記載の円盤型分析チップ。
  3. 前記第4の槽は、分析チップ外部に連通する第2の空気穴を具備する請求項1または2に記載の円盤型分析チップ。
  4. 前記第5の槽は、分析チップ外部に連通する第3の空気穴を具備する請求項1〜3のいずれかに記載の円盤型分析チップ。
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