JP5812278B2 - ねじ部材 - Google Patents

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Description

本発明は、ねじ部材に関し、特に食い付き機能を有する六角穴を備えたねじ部材に関する。
二部材を締結するねじの一種として、ねじの頭部に六角穴を有する六角穴付きボルトが知られている。この六角穴付きボルトは、ねじの頭部に十字型孔や一文字の孔を有する十字穴付きねじやすりわり付きねじと比べて、六角棒スパナから回転トルクを受け取るトルク受け面が多く形成されている。このため、トルク受け面が六角棒スパナから受け取るトルクを分散して受け取ることができる。そのため、六角棒スパナが六角穴から抜け出しにくく、かつ、トルクの伝達効率が高い。また、六角棒スパナが六角穴から抜け出すことを防止するために、ねじ頭部の六角穴を形成する内壁面は、ねじの軸芯と略平行に形成されていた。
一方で、六角穴付きボルトの六角穴の二面幅は、六角棒スパナを六角穴に挿入しやすいように、六角棒スパナの二面幅よりも大きく形成されている。二面幅とは、六角形の対向する二辺の間の離間距離である。これにより、六角棒スパナと六角穴との間に隙間が生じ、六角棒スパナの挿入容易性が実現されている。
特開平07−256562号公報
しかしながら、六角穴付きボルトの六角穴の二面幅は六角棒スパナの二面幅よりも大きく形成されているため、六角棒スパナが六角穴に挿入された場合に、六角穴の内壁面が六角棒スパナに接触しない。このため、六角穴付きボルトと六角棒スパナとの接触によって得られる食い付き機能が六角穴付きボルトには付与されていなかった。このため、食い付き機能を有する十字穴付きねじに比べて、六角穴付きボルトは作業性に劣るという欠点があった。
そこで六角穴付きボルトに食い付き機能を付与するために、六角穴付きボルト自体を磁化して磁力により食い付き機能を付与することも考えられる。しかし、これでは非磁性体である一部のステンレス鋼やチタンを用いて六角穴付きボルトを作製した場合に、食い付き機能を付与することができない。
また、特許文献1は、六角棒スパナの先端にばねを設け、このばねが六角穴付きボルトのトルク受け面を押圧することで、食い付き機能を付加させることを提案している。しかし、この構成を採用すると特殊な六角棒スパナが必要となり、汎用性に欠けてしまう。
そこで、本発明は、汎用の六角棒スパナで使用することができ、かつ、ねじの材質を選ばずに食い付き機能を実現できる六角穴を備えたねじ部材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明によれば、
頭部に六角棒スパナが係合される六角穴を備えたねじ部材であって、
前記六角穴は、上方に向かって開口する六角形の開口部と、前記開口部と対向する底面と、前記開口部と前記底面とを接続する側面部とから構成され、
前記側面部は、前記ねじ部材の軸芯方向に対して傾斜する少なくとも一つの傾斜側面を有し、
前記傾斜側面はその一部が、JIS B 4648に規定される六角棒スパナを前記六角穴に挿入した際に当該六角棒スパナと局所的に干渉する食い付き部となるように形成されていることを特徴とするねじ部材が提供される。
また、上記ねじ部材において、前記食い付き部は、前記六角棒スパナを摩擦力により保持するように構成してもよい。
また、上記ねじ部材において、前記軸芯からの前記傾斜側面の離間距離が、
前記開口部付近において、JIS B 1174、JIS B 1175、JIS B 1176、JIS B 1177、またはJIS B 1194に規定される六角穴の二面幅の最大値の半分近傍とされ、
前記底面と前記傾斜側面との境界から前記六角棒スパナの面取り部の長さより上方の位置において、JIS B 4648に規定される前記六角棒スパナの二面幅の最小値の半分近傍とされていてもよい。
また、上記ねじ部材において、前記傾斜側面は、前記ねじ部材の軸芯方向に対して0.5°〜5.0°傾斜していてもよい。
本発明に係るねじ部材によれば、傾斜側面の一部が食い付き部となるように形成されているため、六角棒スパナを挿入した際に局所的に干渉し、六角棒スパナを六角穴の内部で保持することができる。六角穴を形成する傾斜側面によって食い付き性を実現したので、材料を選ばずに食い付き機能を有するねじ部材を提供することができる。また、この六角穴には汎用のJIS B 4648で規定される六角棒スパナを挿入することができるので、汎用性が高い。よって、汎用の六角棒スパナで回すことができ、かつ材料を選ばずに食い付き機能を実現したねじ部材を提供することができる。
本発明の実施形態に係る六角穴付きボルトの断面図である。 図1に示した六角穴付きボルトの上面図である。 図2のIII−III矢視断面図である。 第1参考例に係る六角穴付きボルトの断面図である。 第2参考例に係る六角穴付きボルトの六角穴を示す部分断面図である。 本発明の変形例に係る六角穴付きボルトの上面図である。 実施例に係る六角穴付きボルトの六角穴を示す部分断面図である。
以下、本発明の実施形態に係る六角穴付きボルトを、図1から図3を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る六角穴付きボルトの側断面図である。図1に示すように、六角穴付きボルトは軸芯Axに沿って延びる部材である。この六角穴付きボルトは、雄ねじ部11が設けられた軸部1と、軸部1と連続し外周面が平坦な首部2と、軸部1より大径の頭部3とを備えている。
図2は図1に示した六角穴付きボルトの上面図である。図3は図2のIII−III矢視断面図である。なお、図3は、六角穴に六角棒スパナ100を挿入した状態を示している。図2に示すように、六角穴付きボルトの頭部3には上方に開口する六角穴が設けられている。この六角穴には、対応する大きさの六角棒スパナ100が軸芯Axに沿って挿入可能である。例えば、M3の六角穴付きボルトの六角穴には、二面幅の呼びが2.5の六角棒スパナ100を挿入可能である。
図2,3に示すように、この六角穴は、上方に開口する六角形の開口部11と、この開口部11と対向する底面12と、開口部11と底面12とを接続する側面部13と、から構成されている。本実施形態において側面部13は、3つの平行側面14と3つの傾斜側面15により構成されている。六角穴付きボルトの六角穴は、六角形状のパンチを用いて、ボルトの頭部3を形成するときに同時に六角穴を加工するため、六角穴の底面12は底に向かってくぼんだ凹面状となっている。
平行側面14は、六角穴付きボルトの軸芯Axと平行に形成されている。また、傾斜側面15は、底面12側から開口部11側に向かって拡径するように六角穴付きボルトの軸芯Axに対して傾斜されている。平行側面14及び傾斜側面15はそれぞれ一様な平坦面である。本実施形態においては、傾斜側面15の軸芯Axに対する傾斜角度θは、3°に設定されている。また、図2に示すように、これら平行側面14と傾斜側面15は、交互に並んで配列されている。
図3に示したように、軸芯Axからの傾斜側面15の離間距離rは、開口部11で六角棒スパナ100の二面幅Dの半分よりも大きく、底面12近傍で六角棒スパナ100の二面幅Dの半分よりも小さく設定されている。なお、六角棒スパナ100の対向する2つの側面の離間距離を二面幅と呼ぶ。
より具体的には、開口部11付近における軸芯Axからの傾斜側面15の離間距離r1は、JIS B 1174(六角穴付きボタンボルト)、JIS B 1175(六角穴付きショルダボルト)、JIS B 1176(六角穴付きボルト)、JIS B 1177(六角穴付き止めねじ)、またはJIS B 1194(六角穴付き皿ボルト)に規定されている六角穴の二面幅の最大値の半分近傍とされている。例えば、M3の六角穴付きボルトの場合には、開口部11付近における離間距離r1は1.29mm近傍の長さに設定されている。なお、いずれのJISの規格でも、六角棒スパナ100が開口部11に挿入できるように、六角穴の二面幅は六角棒スパナ100の二面幅よりも大きい値が指定されている。
また、底面12付近である、底面12と傾斜側面15との境界16から六角棒スパナ100のJIS B 4648で規定される面取り部101の長さより上方において、この離間距離r2は、六角棒スパナ100のJIS B 4648に規定される二面幅Dの最小値の半分近傍の長さとされている。例えば、M3の六角穴付きボルトの場合には、この部位の離間距離r2は1.23mm近傍の値に設定されている。
(第1参考例)
上記のように構成される六角穴付きボルトの作用を説明する前に、第1参考例に係る六角穴付きボルトを説明する。図4は、第1参考例に係る六角穴付きボルトの図3と同様の断面図である。第1参考例に係る六角穴付きボルトの六角穴は、上面から見て六角形の開口部211と、底面212と、開口部211と底面212とを接続する側面部213とから構成されている。この側面部213は、いずれも軸芯Axと平行な6つの平行側面214から構成されている。
側面部213が軸芯Axと平行に形成されているため、この六角穴において、軸芯Axからの側面部213の離間距離r4はどの二面をとっても同じ大きさであり、六角穴の深さのどの位置でも同じ大きさである。本参考例において、この離間距離r4は六角棒スパナ100の二面幅Dの半分よりも大きく設定されている。これにより、六角穴付きボルトの挿入容易性が確保されている。
しかしこの挿入容易性を確保したために、開口部211から底面212にかけて、六角棒スパナ100の外周面と六角穴の側面部213との間に隙間gが生じている。このため、六角穴の側面部213が六角棒スパナ100を保持できず、六角棒スパナ100は容易に六角穴から離脱してしまい、食い付き機能が生じていない。つまり、第1参考例に係る六角穴付きボルトでは、挿入容易性を高めた代償として、食い付き性が犠牲となっている。
(作用)
これに対して本発明の実施形態に係る図3に示した六角穴付きボルトによれば、挿入容易性と食い付き性が両立されている。以下に、図3を用いて本実施形態に係る六角穴付きボルトの作用を説明する。
まず、側面部13のうちの3面に形成された傾斜側面15により、開口部11付近の離間距離r1は六角棒スパナ100の二面幅Dの半分よりも大きく設定されている。これにより、六角棒スパナ100を六角穴に挿入しやすくされている。特に、六角棒スパナ100の先端を六角穴に入れた後も、六角棒スパナ100の先端は一様に傾斜された傾斜側面15にガイドされ、六角穴の底面12側まで滑らかに挿入することができる。
また、傾斜側面15により、底面12付近の離間距離r2は六角棒スパナ100の二面幅Dの半分よりも小さく設定されている。これにより、六角穴の底面12側まで挿入された六角棒スパナ100の先端が、傾斜側面15の底面12側近傍の一部で局所的に干渉する。この傾斜側面15のうち、六角棒スパナ100と局所的に干渉が生じた部位を食い付き部17と呼ぶ。食い付き部17では六角棒スパナ100の外周面と六角穴の内面との間で摩擦力が生じ、六角棒スパナ100が摩擦力により六角穴付きボルトに保持される。なお、本実施形態においては、六角棒スパナ100は、傾斜側面15の食い付き部17でのみ接触し、平行側面14とは接触しない。
このように、本実施形態に係る六角穴付きボルトによれば、傾斜側面15の一部である食い付き部17によって食い付き性が実現されている。これにより、磁力を用いて食い付き性を与える場合と比べて、材料を選ばず食い付き機能を備えた六角穴付きボルトを提供することができる。
さらに、この六角穴には汎用のJIS B 4648で規定される六角棒スパナ100を挿入することができる。つまり、特殊な工具を必要とせず、汎用の六角棒スパナによって、食い付き機能を備えた六角穴付きボルトを使用することができる。したがって、汎用の六角棒スパナで使用でき、かつ、材料を選ばずに食い付き機能が実現された六角穴付きボルトを提供することができる。
また、この六角穴付きボルトは、底面12、平行側面14及び傾斜側面15を形成する形成面を備えた六角形状の頭部を備えたパンチを用いて、ボルトの頭部3を成形する時に同時に六角穴を加工できる。したがって、ばね等を組み込む工程が不要であり、安価に食い付き機能を備えた六角穴付きボルトを提供することができる。
なお、傾斜側面15は上方に向かって拡径するように傾斜しているので、六角棒スパナ100の挿入に伴い、六角棒スパナ100と接触する食い付き部17は下方にその領域が拡大する。このとき、食い付き部17の上端は、離間距離r2が六角棒スパナ100の二面幅Dの半分よりも小さく設定された部位である。この食い付き部17の上端が位置する部位は、底面12と傾斜側面15の境界16との離間距離h1が、六角棒スパナ100のJIS B 4648で規定される面取り部101の長さよりも大きく設定されている。
この食い付き部17の上端の形成位置を上記のように規定した理由を図3と図5を参照して説明する。図5は、第2参考例に係る六角穴付きボルトの六角穴を示す部分拡大図である。
図5に示すように、第2参考例に係る六角穴付きボルトでは、境界16からの食い付き部17の上端の離間距離h1が、六角棒スパナ100の面取り部101の長さh2よりも小さく設定されている。なお、面取り部101の長さh2とは、図示したように、六角棒スパナ100の先端面から面取りされた領域の末端までの長さを言う。
六角棒スパナ100の先端には、面取り部101が設けられていることがある。取り扱い上の安全性を高めるためや、他の部材に傷をつけないようにするためである。図5に示すように、面取り部101が設けられた六角棒スパナ100をこの六角穴に挿入すると、六角棒スパナ100の面取り部101の先端が六角穴の底面12に接触し、挿入が停止する。このとき、六角棒スパナ100を六角穴の奥まで挿入したにもかかわらず、食い付き部17が六角棒スパナ100の外周面に接触しないことがある。
これは、図示したように、六角棒スパナ100の面取り部101が食い付き部17に対向する位置で、六角棒スパナ100が停止してしまうためである。これでは、食い付き部17が六角棒スパナ100に接触せず、食い付き機能が発現しない。
そこで図3のように、本実施形態に係る六角穴付きボルトでは、境界16からの離間距離h1が、少なくとも六角棒スパナ100の先端の面取り部101の長さh2よりも大きくなる位置に、食い付き部17の上端が形成されている。このような位置に食い付き部17が形成された六角穴に六角棒スパナ100を挿入すると、食い付き部17が面取り部101の形成されていない六角棒スパナ100の外周面に確実に接触する。よって、先端に面取り部101が設けられた六角棒スパナ100を用いる場合であっても、六角穴付きボルトに確実に食い付き機能を付与することができる。
なお、食い付き部17の上端と境界16との離間距離h1を面取り部101の長さh2よりも十分に大きく設定し、六角棒スパナ100を六角穴に挿入したときに、六角棒スパナ100の先端面が六角穴の底面12に接触させないように構成することが好ましい。
このような構成によれば、六角棒スパナ100の挿入過程において、六角棒スパナ100の先端面が底面12に接触する前に、食い付き部17が六角棒スパナ100の外周面と接触を開始する。その結果、六角棒スパナ100の挿入に連れて、傾斜側面15と六角棒スパナ100との接触面積が拡大し、六角棒スパナ100に大きな摩擦力が生じる。これにより、挿入に連れて大きな摩擦力を得ることができ、強固に六角棒スパナ100を保持することができる。
また、六角棒スパナ100の先端面が底面12に当接した場合には、それ以上挿入することができず、この時点で得られる摩擦力よりも大きな摩擦力が得られない。しかし、六角棒スパナ100の先端面が六角穴の底面12に接触させないように構成しておけば、六角棒スパナ100をより深く挿入する、あるいは、挿入力を増すことにより、食い付き部17で得られる摩擦力も大きくすることができる。これにより、六角穴付きボルトを繰り返し使用して傾斜側面15が磨耗した場合にも、食い付き機能を維持するこができる。
例えば、六角棒スパナ100が規定されるJIS B 4648によれば、先端に形成する面取り部101の大きさf(面取りを施す領域の長さ)は六角棒スパナ100の対角距離eと二面幅sとを用いて、以下の式で定義される。
f=(eの最大値−sの最小値)/2 (1)
M3の六角穴付きボルトに挿入される二面幅の呼びの大きさが2.5の六角棒スパナ100の場合には、f=(2.82−2.46)/2=0.18mmとなる。したがって、M3の六角穴付きボルトの場合には、底面12と側面部13との境界16から0.18mmより上方に食い付き部17を設ける。
(変形例)
なお、上述の実施形態では六角穴を構成する側面部13の3面が傾斜側面15である例を挙げて説明したが、本発明はこれに限らない。図6は、本発明の変形例に係る六角穴付きボルトの上面図を示している。図6の(a)及び(b)に示すように、側面部13の2面あるいは、6面を傾斜側面15としてもよい。
図6の(a)のように、2面に傾斜側面15を設ける場合は、側面部13のうち互いに対向する2面を傾斜側面15とすることができる。本変形例においては、六角棒スパナ100は、一対の傾斜側面15の食い付き部17に局所的に干渉し、六角穴付きボルトに保持される。なお、この例に限らず、隣り合う2面を傾斜側面15としたり、2つの傾斜側面15で一つの平行側面14を挟むように配置してもよい。
また、図6の(b)のように、6面全てを傾斜側面15としてもよい。この場合は、側面部13(傾斜側面15)の6面全てが軸芯Axからの離間距離が等しいので、六角棒スパナの軸芯と六角穴の中心とを一致させやすい。このため、六角棒スパナ100を挿入しやすく、また、トルク伝達が安定する。なお、六角棒スパナ100は、傾斜側面15の食い付き部17に局所的に干渉し、六角穴付きボルトに保持される。
なお、食い付き部17で生じる摩擦力が六角穴付きボルトの自重よりも大きいと、六角棒スパナ100を六角穴に挿入した後、六角棒スパナ100の先端が下方を向くようにしても、六角穴付きボルトが六角棒スパナ100から脱落しない。このため、六角穴付きボルトを六角棒スパナ100の先端に装着した状態で、六角穴付きボルトを脱落させることなく自在に六角棒スパナ100の向きを変えることができる。これにより、六角穴付きボルトを用いた作業の作業性を大幅に向上することができる。このように、摩擦力を六角穴付きボルトの自重より大きく設定するには、以下の条件を満たすように各部の寸法等を設定するとよい。
六角棒スパナ100を六角穴に挿入する状況での力の釣り合いを考える。六角棒スパナ100を六角穴に挿入する力をF1、挿入力F1により生じた傾斜側面15での傾斜側面15に垂直な方向の抗力をN、傾斜側面15の数をna、傾斜側面15の軸芯Axに対する傾斜角度をθ、六角棒スパナ100を六角穴に挿入する際の傾斜側面15の摩擦係数をμとする。なお、平行側面14には挿入力F1の力は作用しない。反力Nの軸芯Ax方向の力N・sinθと、反力により生じた軸芯Ax方向の摩擦力N・μcosθと、この反力Nが生じる傾斜側面15の数を考慮すると、力のつりあいは以下の式で表現される。
F1=na・N・(μcosθ+sinθ) (2)
ここで、以下の関係式が成立する。
na・N=F1/(μcosθ+sinθ) (3)
次に、六角棒スパナ100を六角穴から抜く状況での力の釣り合いを考える。六角棒スパナ100を六角穴から抜く力をF2、力F2により生じた傾斜側面15での傾斜側面15に垂直な方向の抗力をN、傾斜側面15の数をna、傾斜側面15の軸芯Axに対する傾斜角度をθ、六角棒スパナ100を六角穴から抜く際の傾斜側面15の摩擦係数をμとする。なお、平行側面14には挿入力Fの力は作用しない。このとき、力のつりあいは式(2)と同様に、以下の式で表現される。
−F2=na・N・(-μcosθ+sinθ) (4)
関係式(4)より、以下の式が得られる。
F2=na・N・(μcosθ−sinθ) (5)
ここで、上記関係式(3)を式(5)に代入すると、以下の式が得られる。
F2=F1・(μcosθ−sinθ)/(μcosθ+sinθ) (6)
ここで、六角穴付きボルトの自重をMgとしたとき、自重で六角穴付きボルトが六角穴から抜け出さないためには、以下の不等式が成立する必要がある。
F2>Mg (7)
つまり、式(6),(7)を用いて以下の関係式を満たすように、傾斜角θ及び摩擦係数μ、μを選択すればよい。
F1・(μcosθ−sinθ)/(μcosθ+sinθ)>Mg (8)
(実施例)
以上を考慮して、具体的にJIS B 1176に規定されるM3の六角穴付きボルトに本発明を適用した実施例を試作した。この実施例を図7を用いて説明する。図7は、実施例に係る六角穴付きボルトの部分断面図である。実施例に係る六角穴付きボルトは、図6の(b)で示したように、側面部13の6面全てを傾斜側面15とした。なお、以下に紹介する実施例は単に実際の寸法の一例を挙げただけであって、本発明は以下の寸法に限定されることはない。
まず、JIS B 1176によれば、側面部13の深さ(頭部3の上面から境界16までの距離)は1.3〜1.85mmに設定できる。そこで、側面部13の深さを1.5mmに設定した。
次に、六角穴付きボルトの自重よりも大きな摩擦力を得るための傾斜角度θの範囲を確認する。六角穴付きボルトの自重Mgを0.16[N]、六角棒スパナ100を六角穴に挿入する力を1[N]、六角穴付きボルトと六角棒スパナ100の両者間に働く摩擦係数(μ=μ)を0.14と想定する。この場合、式(8)より、0<θ<5.6°の範囲であれば自重よりも大きな摩擦力が得られる。
そこで、開口部11での離間距離r1をJIS B 1176に規定される六角穴付きボルトの二面幅の最大値である2.58mmの半分である1.29mmに設定する。また、JIS B 4648に規定される六角棒スパナ100の面取り部101の長さは0.18mmである。よって、境界16から面取り部101の長さ0.18mm離間した食い付き部17の上端での離間距離r2を、JIS B 4648に規定される六角棒スパナ100の二面幅Dの最小値である2.46mmの半分である1.23mmに設定する。
これにより、傾斜角度θの正接は、開口部11での離間距離r1と食い付き部17の上端での離間距離r2との差(1.29−1.23=0.06)と、頭部3の上面31からの食い付き部17の上端までの深さ(1.5−0.18=1.32)を用いて、算出することができる。これによれば、傾斜角度θの正接は以下のように求まる。
tanθ=0.06/1.32=0.0455
よって傾斜角度θは2°45′となる。これは、上記した0<θ<5.6°の条件を満たす。なお、実際にも寸法公差を考慮し、傾斜角度θは0.5°から5.0°の範囲に設定することが好ましく、1°から3°に設定することがより好ましい。
以上、本発明を実施形態及び変形例を例に挙げて説明したが、本発明は上述の実施形態及び変形例に限定されない。
例えば、本実施形態では六角穴付きボルトを挙げて説明したが、本発明はこれに限られない。例えば六角穴付き止めねじ、六角穴付きボタンボルト、六角穴付きショルダボルト、六角穴付き皿ボルトなど、六角穴を備えたねじ部材に本発明を適用できる。
また、上述の実施形態では、六角棒スパナ100を六角穴付きボルトの六角穴に挿入するとして説明したが、本発明はこの例に限られない。例えば、六角棒スパナ100の変わりに、六角ビットや六角ドライバなどを使用することもできる。
1:軸部、2:首部、3:頭部、10:六角穴、11:開口部、12:底面、13:側面部、14:平行側面、15:傾斜側面、16:境界、100:六角棒スパナ、101:面取り部

Claims (4)

  1. 頭部に六角棒スパナが係合される六角穴を備えたねじ部材であって、
    前記六角穴は、上方に向かって開口する六角形の開口部と、前記開口部と対向する底面と、前記開口部と前記底面とを接続する側面部とから構成され、
    前記側面部は、前記ねじ部材の軸芯方向に対して傾斜する少なくとも一つの傾斜側面を有し、
    前記傾斜側面はその一部が、JIS B 4648に規定される六角棒スパナを前記六角穴に挿入した際に当該六角棒スパナと局所的に干渉する食い付き部となるように形成されており、
    F1を、六角棒スパナを前記六角穴に挿入する力、
    Mgを、前記ねじ部材の自重、
    傾斜角θを、前記傾斜側面の前記軸芯方向に対する傾斜角度、
    μ を、六角棒スパナを前記六角穴に挿入する際の前記傾斜側面の摩擦係数、
    μ を、六角棒スパナを前記六角穴から抜く際の前記傾斜側面の摩擦係数、としたとき、
    前記傾斜角θ及び前記摩擦係数μ 、μ が、以下の式を満たすように選択されていることを特徴とするねじ部材。
    F1・(μ cosθ−sinθ)/(μ cosθ+sinθ)>Mg
  2. 前記食い付き部は、前記六角棒スパナを摩擦力により保持することを特徴とする請求項1に記載のねじ部材。
  3. 前記軸芯からの前記傾斜側面の離間距離が、
    前記開口部付近において、JIS B 1174、JIS B 1175、JIS B 1176、JIS B 117、またはJIS B 1194に規定される六角穴の二面幅の最大値の半分近傍とされ、
    前記底面と前記傾斜側面との境界から前記六角棒スパナの面取り部の長さより上方の位置において、JIS B 4648に規定される前記六角棒スパナの二面幅の最小値の半分近傍とされていることを特徴とする請求項1または2に記載のねじ部材。
  4. 前記傾斜側面は、前記ねじ部材の軸芯方向に対して0.5°〜5.0°傾斜していることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のねじ部材。
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