JP5812037B2 - 表面張力測定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、石炭の表面張力測定方法に関し、具体的には、レーザーラマン分光測定の結果に基づいて、表面張力を算出する方法に関する。
石炭のような材料の表面張力の測定方法として、毛管上昇法、最大泡圧法、液重法、懸滴法、輪環法、Wilhelmy法、拡張/収縮法、滑落法、フィルム・フローテーション(Film Flotation)法などが知られている。石炭は様々な分子構造で構成されており、その表面張力も一様ではないことが予想されるため、表面張力分布の評価が期待できるフィルム・フローテーション法(非特許文献1参照)が一番理にかなった測定法だと言える。
フィルム・フローテーション法は、粉砕した試料粒子と液体の表面張力が等しいとする考え方を応用した手法である。種々の表面張力を持つ液体に試料粒子を落下させ、それぞれの液体に対して浮遊した試料粒子の質量割合を求め、その結果から表面張力分布を得ることができる。また、強粘結炭、非微粘結炭、無煙炭など、炭種を問わず、あらゆる石炭の表面張力を測定できる。フィルム・フローテーション法で直接求められる表面張力は、臨界表面張力(接触角が0°の時の液体表面張力)であり、以下のように臨界表面張力から石炭の表面張力を求めることができる。
液体の表面張力γと固体(石炭)の表面張力γと、液体と固体との間の界面張力γSLとには次の関係が成立する。
γSL=γ+γ−2Φ(γγ0.5 ・・・(1)
ここで、Φ:(石炭と液体の)相互作用係数である。
また、ヤング(Young)の式から、液体の表面張力γと固体(石炭)の表面張力γと、液体と固体との間の界面張力γSLとの間には次の関係も成立する。
γ=γcosθ+γSL ・・・(2)
ここで、θ:液体に対する固体(石炭)の接触角である。
これらの(1)、(2)式から、次の関係式が導かれる。
1+cosθ=2Φ(γ/γ0.5 ・・・(3)
(3)式にθ=0°とγ=γ(γ:臨界表面張力)を代入すると、次の関係式が導かれる。
1+1=2Φ(γ/γ0.5 ・・・(4)
(4)式の両辺を2乗すると、固体(石炭)の表面張力γと臨界表面張力γとには次の関係が成立する。
Φγ=γ ・・・(5)
(5)式によって、臨界表面張力γと相互作用係数Φとにより石炭の表面張力γを求めることができる。
フィルム・フローテーション法で用いる液体と石炭との構造は大きく異なるが、その構造の違いに比べると石炭の銘柄や種類による構造の違いは小さいものと考えられ、かつ、上記式で用いられる相互作用係数Φは互いの分子構造に影響を受ける係数(定数)であるため、このΦは石炭銘柄によらず一定と仮定すると、固体(石炭)の表面張力γは臨界表面張力γのみで表される。よって、石炭の表面張力は臨界表面張力のみでも評価できると言える。
D.W.Fuerstenau:Internatinal Journal of Mineral Processing,20(1987),153.
上述した方法による石炭の一特性である表面張力の測定には、いずれも長時間(約1日)を要するため、時間の観点から効率的ではないという問題があった。また、表面張力の測定における操作が煩雑なため、熟練した測定者によらなければ、表面張力の測定値が一定しないという問題があった。そこで、本発明は、未知の石炭の表面張力の測定におけるこれらの問題を解決し、簡便にかつ非常に短時間で、石炭の表面張力を精度良く測定(算出)する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、様々な銘柄及び種類の石炭について、表面張力の測定並びにレーザーラマン分光測定を行ない、石炭の表面張力の調査及び検討を行った。その結果、レーザーラマンスペクトルから得られるピークの特性値、特に、特定の波数のときのピーク値が石炭の銘柄及び種類によらず表面張力の測定値と強い相関関係を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)複数個の石炭の各々についてレーザーラマン分光測定を行うとともに、前記複数個の石炭の各々について表面張力の測定を行い、未知の石炭についてレーザーラマン分光測定を行い、前記未知の石炭のピークの特性値を測定し、複数個の石炭の各々についてのレーザーラマン分光測定によるピークの特性値と前記表面張力の測定値との相関関係に基づいて、前記未知の石炭のピークの特性値から前記未知の石炭の表面張力値を算出することを特徴とする表面張力測定方法。
(2)前記レーザーラマン分光測定の結果として得られるスペクトルのGバンドピークの強度に対するDバンドピークの強度の比であるR値を用いることを特徴とする上記(1)に記載の表面張力測定方法。
(3)複数個の石炭の各々についての前記R値と前記表面張力の測定値とからなる複数のデータ組を準備し、前記複数のデータ組に基づいて、前記R値を説明変数とし前記表面張力の測定値を目的変数とした表面張力近似曲線を作成し、前記未知の石炭についての前記レーザーラマン分光測定の結果から前記R値を算出し、作成した表面張力近似曲線に基づいて、前記未知の石炭のR値から、前記未知の石炭の表面張力値を算出することを特徴とする上記(2)に記載の表面張力測定方法。
本発明を用いることで、表面張力が未知の石炭について、長い時間が必要となる表面張力の測定を行わず、かつ、熟練した測定者でない者でも、石炭の表面張力を非常に簡便に、迅速かつ精度よく算出することが可能となる。
石炭のラマンスペクトル及びピーク分離結果の一例である。 フィルム・フローテーション法による表面張力測定の原理を示す説明図である。 表面張力の分布を頻度分布曲線で示したグラフである。 石炭試料のレーザーラマン分光測定から得られるR値と表面張力との相関を示したグラフである。
本発明における石炭の表面張力を測定する方法の手順の概要について説明する。
1.N個以上の銘柄の石炭の各々について、複数回のレーザーラマン分光分析法によるスペクトル測定を行う。ここで、Nは3以上の自然数である。
2.石炭の各々について表面張力を測定する。なお、この表面張力の測定は、上記1.のスペクトル測定の前で行ってもよい。
3.未知の石炭についてレーザーラマン分光測定を行い、未知の石炭のピークの特性値を測定する。
4.石炭の各々についてスペクトル測定の結果(ピークの特性値)と表面張力の測定値との相関関係に基づいて、未知の石炭のピークの特性値から未知の石炭の表面張力の値を算出する。
次に、上記の手順に沿って、以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
複数銘柄・種類の石炭の各々についての、レーザーラマン分光分析法による測定において、波数1600cm−1付近に位置するGバンドピークの強度を測定する。次いで、波数1400cm−1付近に位置するDバンドピークの強度を測定する。測定したGバンドピーク強度に対するDバンドピーク強度の比(Dバンドピーク強度/Gバンドピーク強度、ピークの強度比、またはR値と記す)を算出し、これらの強度の比のデータを保存する。
本発明者らは、様々な銘柄・種類の石炭について、表面張力測定及びレーザーラマン分光測定を行ない、石炭の表面張力の調査及び検討を行った。その結果、レーザーラマンスペクトルから得られるピークの特性値が、石炭の銘柄・種類によらず、表面張力の測定値と強い相関関係を示すことを見出した。特に350℃〜800℃で加熱処理した石炭試料のレーザーラマン分光測定による特性値と非常に強い相関が認められることを知見した。石炭は、加熱処理によりコークスへと変化するが、本発明において、レーザーラマン分光測定の対象とする石炭には、上記のように800℃以下の温度で加熱処理された石炭も含まれている。
この知見に基づけば、あらかじめ、いくつかの石炭についてフィルム・フローテーション法による表面張力値とレーザーラマン分光測定によるR値との相関関係に基づく検量線を作成すれば、未知の石炭試料における表面張力が、レーザーラマン分光により簡易、且つ短時間で求めることが可能となる。すなわち、まず、表面張力の測定値とレーザーラマン分光測定で算出されたR値とからなる複数のデータ組を準備し、準備した複数点のデータ組に基づいて、R値を説明変数とし、表面張力値を目的変数とした表面張力近似曲線を作成する。次いで、未知の石炭についてのレーザーラマン分光測定を行い、その結果からR値を算出する。その算出したR値から、未知の石炭の表面張力の値をこの表面張力近似曲線に基づいて算出する。このようにして、未知の石炭の表面張力値の算出が可能となる。
図1は、石炭を500℃で乾留後急冷したものを試料として室温で測定したラマンスペクトル及びピーク分離結果の一例である。図1の横軸はレーザーの波数(cm−1)であり、縦軸はラマン強度(a.u.)である。図1中の曲線10aは生スペクトルを示し、曲線10bはピーク分離合成スペクトルを示し、曲線10cはGバンドピーク分離スペクトルを示し、曲線10dはDバンドピーク分離スペクトルを示す。石炭のレーザーラマン分光測定では、図1に示すように波数1600cm−1付近に位置するGバンドピークと、1400cm−1付近に位置するDバンドピークが得られる。ここで、Gバンドピークは、炭素の二重結合に起因し、石炭のグラファイト構造に由来する石炭分子中の芳香族縮合環の骨格構造の性質を表している。また、Dバンドピークは、本来、石炭の無秩序な構造に由来するが、やはり石炭分子の構造についての情報を示すことが知られている。
本発明者らによる調査によって、複数銘柄・種類の石炭についてのR値とその表面張力との関係について、そのR値が大きい石炭ほど、表面張力の値が大きくなるということがわかった。R値が大きい石炭ほど芳香族縮合環の拡がりが少なく、芳香環のエッジ部が多くなり、芳香環のエッジ部は活性サイトであり、内部芳香環形成炭素と比較して極性を有することになる。そのため、芳香環エッジ部の大小を示すR値と表面張力には強い相関関係が得られると推察される。この相関関係を用いれば、従来法に比較して簡易且つ高精度に石炭の表面張力を正確に算出(測定)することができる。
レーザーラマン分光分析法によるスペクトル測定に用いる石炭試料は加熱後の石炭を用いることが好ましい。石炭試料の加熱温度としては、350℃〜800℃とすることが好ましい。350℃〜800℃では実用的に用いられている多くの石炭が軟化溶融するとされている。そのため、350℃〜800℃の温度に加熱することで、石炭中の水分と低分子量成分(タールやピッチ等)が除去され、スペクトル測定の結果の安定化を図ることが可能となる。ここで、加熱温度が350℃未満の場合は、測定試料の石炭に水分や低分子量成分が多く残存する場合があるため、スペクトル測定の結果から算出する表面張力の値が正確に測れない場合がある。また、加熱温度が800℃を超えると、スペクトル測定において、ノイズの発生が大きくなり、S/N比が悪くなり、算出した表面張力の値の信頼性が低下する場合がある。なお、レーザーラマン分光測定が行われる未知の石炭試料の加熱温度は、表面張力値とR値との検量線を作成する際に行われるレーザーラマン分光測定における石炭試料の加熱温度と同じにすることが好ましい。
また、スペクトル測定に供する試料の粒径は、従来方法による表面張力測定に供した試料と同様の粒径のものを用いることが望ましい。後述するが、試料の粒子は粒径250μm以下に粉砕することが好ましい。
レーザーラマンスペクトルは一般に市販されている分光器により測定することができる。レーザーの種類は特に限定されるものではなく、Arレーザー、He−Neレーザーなどを用いることができる。前述したようにレーザーラマン分光測定では図1に示すような波数1600cm−1付近に位置するGバンドピークと波数1400cm−1付近に位置するDバンドピークが認められる。
個々の銘柄の石炭について、R値は、例えば、次のようにして求めることができる。図1に示すようなスペクトルに対し、ピークの底線を定めるベースラインによって、バンドピークの形状を規定した後、このピークをスペクトルから抽出し、そのバンド強度を求める。これらの作業は測定データの信号処理などによって行うことができる。なお、バンド強度の求め方は上述の方法に限られるものではなく、例えば、コンピュータなどを用いて、バンドピークの形状を決定した後に、カーブフィッティングなど最小自乗法によるピーク分割によりバンドピークを求める方法であってもよい。
個々の種類および銘柄の石炭のR値は、ラマンスペクトルにおけるGバンドピークの強度に対するDバンドピークの強度の比であるR値(Dバンド強度/Gバンド強度)を計算することで得られる。同一試料内で1点以上レーザーラマン分光測定を行えばR値の算出は可能である。なお、試料における測定の代表性、平均値を得るために、同一試料内で2点以上測定し、その平均値を用いることが望ましい。より正確さを求める場合は10点以上測定してもよい。レーザーラマン分光測定は1点あたり1分程度の時間で測定が終了することから、10点測定してもその測定時間は10分ほどで完了する。そのため、レーザーラマン分光測定は非常に迅速な測定方法であると言える。
石炭の表面張力の測定は、フィルム・フローテーション法を用いて行った。フィルム・フローテーション法の基本原理を、図2を用いて説明する。フィルム・フローテーション法は、粉砕した試料粒子1を気相2中から液体3の表面上に落下させて、試料粒子1が液体3にまさに浸漬する時(図2の中央の試料粒子の場合であり、接触角がほぼ0°に等しい時)、試料粒子と液体の表面張力が等しいとする考え方を応用した手法である。図2の矢印4は試料粒子1の表面張力を示している。種々の表面張力を持つ液体に試料粒子を落下させ、それぞれの液体に対して浮遊した試料粒子の質量割合を求め、その結果を頻度分布曲線に表すことで、図3に示すような表面張力分布を得ることができる。このフィルム・フローテーション法を用いれば、強粘結炭、非微粘結炭、無煙炭など、炭種を問わず、あらゆる石炭の表面張力を測定できる。なお、フィルム・フローテーション法で直接求められる表面張力は、臨界表面張力(接触角が0°の時の液体表面張力)である。
フィルム・フローテーション法による表面張力測定についての諸条件を以下に述べる。フィルム・フローテーション法で用いる液体は、石炭の表面張力値が20〜73mN/mの範囲に分布していることから、この範囲内の表面張力を持つ液体を用いればよい。例えば、エタノール、メタノール、プロパノール、tert−ブタノール、アセトンなどの有機溶媒が考えられる。これらの有機溶媒の水溶液から20〜73mN/mの表面張力を持つ液体を作製することが可能である。
表面張力を測定するサンプルの粒度については、測定原理より接触角がほぼ0°に等しいときの表面張力を測定することが望ましく、粉砕した試料粒子の粒径が大きくなるにつれて接触角が増加するため、粒径は小さいほど望ましく、粉砕に係る効率を考慮すると、試料粒子は粒径250μm以下に粉砕することが好ましい。
フィルム・フローテーション法に用いる試料作成方法の一例として、石炭を粒径200μm以下に粉砕し、3℃/minで500℃まで加熱し、液体窒素で急冷後、150μm以下に粉砕し、30℃で8時間真空乾燥する方法がある。石炭の粉砕粒度は、組織、性状などが不均一である石炭から均質な試料を作製するという観点から、JIS M8812に記載されている石炭の工業分析における粉砕粒度、250μm以下が望ましい。
加熱速度は、コークス炉においてコークスが製造されるときの一般的な加熱速度に合わせればよく、上記のように、例えば、3℃/minとしてもよい。乾燥方法については表面に付着した水分を除去できる方法であればよく、上記の方法以外にも空気中、または窒素、アルゴンなどの不活性ガス中で100〜200℃に加熱する方法がある。
以上のようにすれば、表面張力が未知の石炭について、長い時間が必要となる表面張力の測定を行わず、かつ、熟練した測定者でない者でも、石炭の表面張力を非常に簡便に、迅速かつ精度よく算出することが可能となる。
いくつかの石炭(複数の種類及び銘柄)について、レーザーラマン分光測定を行い、各石炭についてのR値を算出した。また、フィルム・フローテーション法によって、各石炭についての表面張力の測定を行った。表面張力の測定値と算出したR値とに基づいて、検量線(表面張力近似曲線)を作成した。その検量線から、未知となる石炭の表面張力値を算出した。
〔レーザーラマン分光測定における測定結果の再現性(測定精度)の検証〕
レーザーラマン分光測定結果に基づき石炭のR値を精度良く算出した例を示す。銘柄の異なる5種類の石炭A、B、C、D、Eを用意し、これを、粒径200μm以下に粉砕し、3℃/minで表1に示す加熱温度に加熱し、液体窒素で急冷後、150μm以下に粉砕し、30℃で8時間真空乾燥した試料を用いた。これらの試料に対して、レーザーラマン分光法によりR値を測定した。
レーザーラマン分光測定にはThermo Electron社製 NICOLET ALMEGA XR(レーザー波長532nm、レーザー出力:1%、露光時間:20秒、露光回数:2回、レーザー径:10μm程度)を用いた。データの代表性、正確さを得るために測定は同一試料内でランダムに36点測定した。このときの測定時間は約26分であった。得られたラマンスペクトルをピーク分離した後、Gバンドピークの強度に対するDバンドピークの強度の比であるR値を求めた。
表1に銘柄の異なる5種類の石炭A〜Eを加熱処理した試料を用いて、レーザーラマン分光測定を行ったときのR値の算出結果を示す。なお、表1中の「R値」は、36点の測定データの平均値であり、表1中の「標準偏差」、「相対標準偏差」は、測定データの統計情報である。
Figure 0005812037
表1に示す5種類の石炭A〜Eについて上記測定条件でレーザーラマン分光測定を行ったところ、その相対標準偏差は全て10%以内であり、非常に良好で高精度な測定ができていることがわかる。また、銘柄、熱処理温度に関わらず良好な測定が迅速にでき、かつ、測定結果に再現性があることが示された。
〔検量線(表面張力近似曲線)の作成方法〕
レーザーラマン分光測定結果に基づき算出したR値と、石炭の表面張力γとの相関関係を求めた一例を示す。
銘柄の異なる22種類の石炭の試料をそれぞれ粒径200μm以下に粉砕し、3℃/minで500℃に加熱し、液体窒素で急冷後、150μm以下に粉砕し、30℃で8時間真空乾燥させて22種類の試料を作製した。これらの試料の表面張力を、フィルム・フローテーション法で測定した。フィルム・フローテーション法での表面張力測定に使用する液体には安価かつ取り扱いが簡便なエタノールを用いた。測定した表面張力分布より表面張力分布の平均値を算出し、この表面張力分布の平均値を石炭の表面張力の指標とし、その値をγとして表示した。
また、上述と同様にして作製された22試料について、レーザーラマン分光測定を行った。この測定には、Thermo Electron社製 NICOLET ALMEGA XR(レーザー波長532nm、レーザー出力:1%、露光時間:20秒、露光回数:2回、レーザー径:10μm程度)を用いた。データの代表性、正確さを得るために測定は同一試料内でランダムに36点測定した。このときの測定時間は約26分であった。得られたラマンスペクトルをピーク分離した後、Gバンドピークの強度に対するDバンドピークの強度の比であるR値を求めた。
図4は、上記の求めたR値と測定した表面張力との相関を示したグラフである。図4によれば、レーザーラマン分光測定から得られるR値と石炭の表面張力値γは非常に強い相関関係にあることがわかる。未知の石炭試料において、R値がわかれば、この相関関係から求められる一次の直線式(表面張力近似曲線)においてR値に対応する表面張力を算出する。従って、この表面張力近似曲線より未知の石炭試料において、R値から、その表面張力γを簡易に求め得ることが示された。以上の結果より、本発明を用いることで石炭の一特性である表面張力を高精度かつ簡易、迅速に算出できることが明らかとなった。
〔レーザーラマン分光測定結果に基づき石炭の表面張力を精度良く算出した例〕
表2に、上述の方法により500℃に加熱処理して作製した銘柄の異なる5種類の石炭F〜Jについて、上記方法により作成した検量線を用いて、上記の方法でレーザーラマン分光測定を行い、その結果から算出した表面張力計算値と、フィルム・フローテーション法で求めた表面張力実測値とを比較した結果を示す。なお、石炭Jについては、同一銘柄の石炭を用い試料作製操作(粉砕、加熱、急冷、粉砕、乾燥)を、時期を変えて3回行い、3つの試料(J−1,J−2,J−3)を作製し、これらについて測定を行った。
Figure 0005812037
表2に示すように、検量線を使ってレーザーラマン分光測定の結果から算出した表面張力値と、フィルム・フローテーション法で測定した表面張力測定値とは、良く一致しており、レーザーラマン分光測定の結果を用いて、石炭の表面張力の値を迅速かつ精度よく算出できることが確認された。また、熟練した測定者でない者でも、石炭の表面張力を非常に簡便に、迅速かつ精度よく算出することが可能となる。
1 試料粒子
2 気相
3 液体
4 表面張力
10a 生スペクトル
10b ピーク分離合成スペクトル
10c Gバンドピーク分離スペクトル
10d Dバンドピーク分離スペクトル

Claims (3)

  1. 複数個の石炭の各々についてレーザーラマン分光測定を行うとともに、
    前記複数個の石炭の各々について表面張力の測定を行い、
    未知の石炭についてレーザーラマン分光測定を行い、前記未知の石炭のピークの特性値を測定し、
    複数個の石炭の各々についてのレーザーラマン分光測定によるピークの特性値と前記表面張力の測定値との相関関係に基づいて、前記未知の石炭のピークの特性値から前記未知の石炭の表面張力値を算出することを特徴とする表面張力測定方法。
  2. 前記レーザーラマン分光測定の結果として得られるスペクトルのGバンドピークの強度に対するDバンドピークの強度の比であるR値を用いることを特徴とする請求項1に記載の表面張力測定方法。
  3. 複数個の石炭の各々についての前記R値と前記表面張力の測定値とからなる複数のデータ組を準備し、
    前記複数のデータ組に基づいて、前記R値を説明変数とし前記表面張力の測定値を目的変数とした表面張力近似曲線を作成し、
    前記未知の石炭についての前記レーザーラマン分光測定の結果から前記R値を算出し、
    作成した表面張力近似曲線に基づいて、前記未知の石炭のR値から、前記未知の石炭の表面張力値を算出することを特徴とする請求項2に記載の表面張力測定方法。
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