JP5811962B2 - コークス強度の推定方法 - Google Patents
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これらの指数を測定するためには、数多くの大規模な設備や作業が必要であり、設備の運転や維持などに高額なコストや複数の人員が必要になるという問題点がある。
また、平均壁厚についても同様に3次元的に解析すればより精度良く推定でき、コークス強度の推定精度をより向上できることも見出した。
そのような、知見に基づいてなされた本発明の要旨は次のとおりである。
前記低円形度気孔量として、コークスの断面を3次元で画像解析して数値化した3次元平均低円形度気孔量を用い、
前記数値化した、平均壁厚W(μm)、3次元平均低円形度気孔量Lav(mm2/mm3)、粗大イナート量I(%)、原料石炭の揮発分含有量VM(%)を用いて、コークスのドラム強度指数DI150 15を下記の(1)式によって推定することを特徴とするコークス強度の推定方法。
DI150 15=A×W−B×Lav−C×I−D×VM+E ・・・(1)
ここで、A、B、C、D、Eは、定数である。
[2]さらに、前記コークス壁の平均壁厚として、コークスの断面を3次元で画像解析して数値化した3次元平均壁厚を用い、
前記数値化した、3次元平均壁厚Wav(μm)、3次元平均低円形度気孔量Lav(mm2/mm3)、粗大イナート量I(%)、原料石炭の揮発分含有量VM(%)を用いて、コークスのドラム強度指数DI150 15を、前記(1)式に代えて、下記の(2)式によって推定することを特徴とする上記[1]に記載のコークス強度の推定方法。
DI150 15=A×Wav−B×Lav−C×I−D×VM+E ・・・(2)
ここで、A、B、C、D、Eは、定数である。
[3]前記3次元平均低円形度気孔量を、マイクロX線CTによる3次元断層画像を画像解析して数値化することを特徴とする上記[1]または[2]に記載のコークス強度の推定方法。
また、平均壁厚についても同様に3次元的に解析すれば、コークス強度の推定精度をより向上することができる。
コークスの破壊は脆性破壊であり、コークス塊内部の欠陥を起点として破壊が起こることが予想される。そこで、本発明者らは、コークスの3次元断面画像をもとに、有限要素法による応力解析を行った。
また、3次元の構造がコークスの破壊に影響を及ぼすのは低円形度気孔量であり、コークス壁の平均壁厚、低円形度気孔量、及び粗大イナート量のうち、特に3次元断面画像の解析が有効なのは、低円形度気孔量であることを見出した。
これに対し、その測定に3次元画像を用いると、二次元画像では判別できない3次元的に連結した低円形度気孔が判別できるようになり、それを3次元方向に平均化して数値化すれば、より精度よくコークス強度への寄与を評価できることがわかった。
また、低円形度気孔の測定に用いた3次元画像から、平均壁厚についても3次元方向に平均化して数値化することにより、さらに精度良く評価できることもわかった。
まず、コークス試料を作成し、その試料からマイクロX線CT(以下、X線CTと略記する)を用いて、次のような手順で3次元の断層画像を作成する。
b)得られたコークスから粒径が20mm程度のコークスを採取し、X線CTを用いて2次元の断層画像を撮影する。その際、3次元の方向へのスライス幅は、例えば0.02mmとする。図1(a)に断層画像の1例を示す。
c)セル(画素)のCT値にしきい値を設け、得られた断層画像をコークス壁が黒色領域、気孔が白色領域になるように2値化処理して、2値化画像を得る。図1(b)に2値化画像の1例を示す。
d)2値化画像から解析対象を抽出する。図1(c)に抽出画像の1例を示す。
e)1画像を1要素としてメッシュを作成し、画像を積み重ねて3次元(3D)メッシュを作成する。図1(d)に3Dメッシュの1例を示す。
以上の手順によって得られたコークスの3次元画像の一例を図2、3に示す。
以下、コークスの断面画像からコークス強度の推定に必要な上記物理量をそれぞれ数値化して求める方法について説明する。
3次元画像での低円形度気孔量を求めるには、図4に示すように、3次元に構成した画像をX軸、Y軸、Z軸に垂直な断面(スライス断面)に分解し、それぞれのスライス断面の二次元画像において、以下の手順で低円形度気孔を数値化する。
a2)得られた2値化画像について、水平方向に全てのセルをスキャンして、それぞれの気孔について、白色領域のセルの数と白色領域と黒色領域の境界の位置から、気孔面積S(mm)と周囲長l(mm)を求める。そして、求められたSとlの値から下式によってそれぞれの気孔の円形度を求める。
円形度=(4π×S)/(l2)
a3)円形度が、例えば0.5以下の気孔を低円形度気孔として特定し、低円形度気孔について累積周囲長Rs(mm)を求める。
a4)累積周囲長Rsと画像の領域面積Sa(mm2)から、低円形度気孔量AL(mm/mm2)を、例えば、X軸についてALx=Rs/Saとして求める。
a6)続いて、3次元のY軸及びZ軸方向の低円形度気孔量Ly及びLzについて、Lxと同様にして求める。
a7)以上で求めた各軸の低円形度気孔量Lx、Ly、Lzを用い、3次元平均低円形度気孔量Lav(mm/mm2)を、Lav=(Lx+Ly+Lz)/3として求める。
気孔間に存在するコ−クス壁の平均壁厚Wは従来技術と同様にして2次元画像から、あるいは、低円形度気孔量を求めたのと同様に3次元画像を解析して数値化することができる。
2次元画像からは以下の方法によって数値化する。
b1)前記c)で得られた2次元の2値化画像を、水平方向に全画素スキャンしてコークス壁の厚み(隣接する気孔間の最短距離)を測定し、その平均値Wh(μm)を求める。
b2)垂直方向についても同じようにコークス壁の厚みを測定し、その平均値Wv(μm)を求める。
b3)平均壁厚W(μm)を、W=(Wh+Wv)/2として求める。
ナンバー付けは気孔との境界に接しているセルをナンバー1として定義し、境界から離れるごとにナンバー2、ナンバー3と数が増加するように定義し、この操作を各気孔境界から実施する。
すなわち、図5に示すように、黒色領域(気孔)に接するセルにナンバー1を付与し、ナンバー1に接し、黒色領域に接しないセルにナンバー2を付与する。以後同様に、ナンバーnに接するセルにナンバーn+1を付与していく。
図6に、後述の実施例で用いたコークスJ、H、Gについて、コークス壁厚さナンバー毎の付与頻度をヒストグラムとして示す。コークスの種類によりコークス壁厚さナンバーの頻度分布が異なることがわかる。
c3)得られた気孔厚さナンバー毎の頻度(%)から、X軸のスライス断面毎の平均壁厚AWxを次式によって求める。
平均壁厚AWx=Σ{(セルの長さ)×(コークス壁厚さナンバー)×頻度(%)}/100
c5)続いて、3次元のY軸及びZ軸方向の平均壁厚Wy及びWzについて、Wxと同様にして求める。
c6)以上で求めた各軸の低円形度気孔量Wx、Wy、Wzを用い、3次元平均壁厚Wav(μm)を、Wav=(Wx+Wy+Wz)/3として求める。
粗大イナート量Iは、従来技術と同様にして以下の方法によって数値化する。
d1)前記2値化画像中に存在するイナート組織をマーキングし、画像解析ソフトを用いて、絶対最大長が0.5mm以上のマーキングした領域について画像の全領域に対する累積面積比Si(%)を計測する。
d2)前のa2)で求めたそれぞれの気孔の面積S(mm)から、画像の全領域における気孔の累積面積Svを求め、画像の領域面積Saに対する累積面積比Sp(%)を、Sp=Sv/Sa×100として求める。
d3)粗大イナート量I(%)を、I=Si/(100−Sp)×100として求める。
なお、イナート組織の絶対最大長0.5mm以上としたが、これに限定されるものではない。一方、現実的な上限としては特に規定されないが、2mm以下が例示できる。
特許文献1によれば、ドラム強度指数DI150 15は、平均壁厚W、2次元画像より求められた低円形度気孔量L、粗大イナート量I、原料石炭の揮発分含有量VMを用いて、下記の式(3)により推定することができる。
DI150 15=A×W−B×L−C×I−D×VM+E ・・・(3)
なお、式(1)において、A、B、C、D、Eは定数であり、最低5種類のコークスのドラム強度指数DI150 15、平均壁厚W、低円径度気孔量L、粗大イナート量I、揮発分VMを測定して求められる。
DI150 15=A×W−B×Lav−C×I−D×VM+E ・・・(1)
これにより、精度を一段と高めてコークス強度を推定することができる。
DI150 15=A×Wav−B×Lav−C×I−D×VM+E ・・・(2)
これにより、(1)式による精度をさらに高めてコークス強度を推定することができる。
A=0.01、B=0.50、C=0.14、D=0.1、E=89.84
ここで、平均壁厚Wの係数A(=0.01)は、セルの長さとして対角線を用いた場合の係数であるので、幅を用いた時には、Aは0.01/1.41=0.0071とすればよい。
また、製造したコークスA〜Oから、粒径が20mm程度のコークスを採取し、各コークスについてX線CTを用い、スライス幅0.02mmで3次元の断層画像を撮影した。
得られた断層画像を2次元で画像解析して、平均壁厚W、低円形度気孔量L、粗大イナート量Iを求めた。表1の従来例の欄に、コークスの製造に用いた石炭の揮発分含有量VMと、画像解析から得られたこれらの値をそれぞれ示す。
なお、低円形度気孔量を数値化する際に気孔の円形度が0.2以下のものを対象とし、粗大イナート量を数値化する際にイナート組織の絶対最大長が1mm以上のものを対象とした。
得られた平均壁厚W、粗大イナート量I、2次元低円形度気孔量Lと上記で得られた定数A〜Eを用い、式(3)から従来例のDI150 15を推算した。推算で得られた値を表1の従来例の欄に併せて示す。
平均壁厚Wと粗大イナート量Iについては、従来例の2次元の画像解析から得られた値を用い、低円形度気孔量Lについては3次元の画像解析で求めた。
ここで得られた3次元低円形度気孔量Lavと、従来例で得られた平均壁厚W、粗大イナート量I、及び、定数A〜Eを用い、式(1)から発明例1のDI150 15を推算した。
得られた3次元低円形度気孔量Lavと得られたDI150 15の値を表1の発明例1の欄に併せて示す。
発明例1において、平均壁厚Wについても3次元の画像解析で推算して求めた。
得られた平均壁厚Wav、粗大イナート量I、3次元低円形度気孔量Lavと上記で得られた定数A〜Eを用い、式(2)から発明例1のDI150 15を推算した。
得られた平均壁厚Wavと得られたDI150 15の値を表1の発明例2の欄に併せて示す。
図7(a)に、2次元低円形度気孔量Lを用いて推定した従来例のDI150 15と実績のDI150 15とを比較した結果を示し、図7(b)に、従来例に対し3次元平均低円形度気孔量Lavに置き換えて推定した発明例1のDI150 15と実績のDI150 15とを比較した結果を示す。
図7(a)、(b)に示すように、いずれの場合でも実績DI150 15と推定DI150 15の間には明確な相関関係が認められるが、本発明に基づき、3次元平均低円形度気孔量Lavを用いて推定した場合には、従来の2次元低円形度気孔量Lを用いた場合よりも、より強い相関関係が認められ、本発明によりコークス強度の推定精度が向上していることがわかる。
また、図7(c)に、3次元平均低円形度気孔量Lavと3次元平均壁厚Wavに置き換えて推定した発明例2のDI150 15と実績のDI150 15とを比較した結果を示す。さらに3次元平均壁厚Wavを用いることにより、発明例1よりも相関関係が向上していることが認められる。
Claims (3)
- コークスの断面を画像解析して、コークス壁の平均壁厚、円形度が所定値以下の低円形度気孔における低円形度気孔量、及び絶対最大長が所定値以上の粗大イナート組織における粗大イナート量をそれぞれ数値化して求め、求められたこれらの数値と原料石炭の揮発分含有量とを用いてコークス強度を推定するコークス強度の推定方法において、
前記低円形度気孔量として、コークスの断面を3次元で画像解析して数値化した3次元平均低円形度気孔量を用い、
前記数値化した、平均壁厚W(μm)、3次元平均低円形度気孔量Lav(mm2/mm3)、粗大イナート量I(%)、原料石炭の揮発分含有量VM(%)を用いて、コークスのドラム強度指数DI150 15を下記の(1)式によって推定することを特徴とするコークス強度の推定方法。
DI150 15=A×W−B×Lav−C×I−D×VM+E ・・・(1)
ここで、A、B、C、D、Eは、定数である。 - さらに、前記コークス壁の平均壁厚として、コークスの断面を3次元で画像解析して数値化した3次元平均壁厚を用い、
前記数値化した、3次元平均壁厚Wav(μm)、3次元平均低円形度気孔量Lav(mm2/mm3)、粗大イナート量I(%)、原料石炭の揮発分含有量VM(%)を用いて、コークスのドラム強度指数DI150 15を、前記(1)式に代えて、下記の(2)式によって推定することを特徴とする請求項1に記載のコークス強度の推定方法。
DI150 15=A×Wav−B×Lav−C×I−D×VM+E ・・・(2)
ここで、A、B、C、D、Eは、定数である。 - 前記コークスの断面を3次元で画像解析して数値化するに当たり、マイクロX線CTによる3次元断層画像を画像解析して数値化することを特徴とする請求項1または2に記載のコークス強度の推定方法。
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