JP5811942B2 - ガス濃度測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、波長可変型の半導体レーザを用いてガスの濃度を測定するガス濃度測定装置に関する。
測定対象物質の濃度を光によって測定する方法は、ガスやその他の形態の試料に対して行われている。この測定方法では、光学系の汚れが濃度測定に影響を及ぼすため、何らかの方法で濃度を補正しなければならない。
例えば、特許文献1に記載された光学式濃度測定装置では、試料を流すフローセル以外に、超純粋水又は精製水のゼロ水を封入したゼロ校正部と、特定の波長に対してある程度の吸収を持つ光学フィルタとゼロ水とを封入したスパン校正部とを有している。これらを回転機構により回転させて光路中にセットし、スパン校正やゼロ校正を行い、窓の汚れを補正している。
また、特許文献2に記載された赤外線ガス分析計では、セルに流すガスを切り替える装置を備えている。これにより、セルに流すガスを基準ガスと試料ガスとに切り替え、基準ガスを流した時の検出器出力を基準として試料ガスの濃度を計算している。
また、特許文献3に記載された多成分用レーザ式ガス分析計では、煙道での排ガス測定などに適用できる補正方法として、同期検波回路の出力信号(2f信号)が受光光量レベルと比例するので、受光量レベルと予め設定した受光光量設定値との比を、受光光量補正係数として算出し、この受光光量補正係数を用いて2f信号を補正している。
特開平9−113440号公報 特開平7−63682号公報 特開2009−264814号公報
しかしながら、特許文献1,2では、濃度を測定するために、ガスの流れを切り替えるか、あるいは基準ガスが充填されたセルを測定光路中に、挿入しなければならない。この方法は、オープンパスでの測定や煙道のような半開放系・スペースに制限がある場合における校正には採用できない。
また、受光量レベルと予め設定した受光光量との比を用いる方法では、光源が放射する光量が例えば劣化などにより低下した場合には、光量低下を正確に把握できず、濃度の補正に誤差が生じ、濃度測定にも支障を来たす。
本発明の課題は、光路中のダストや光学素子の汚れの影響を補正することで、測定精度を向上するとともに光源の劣化や光学系の異常を把握することができるガス濃度測定装置を提供する。
本発明に係るガス濃度測定装置は、上記課題を解決するために、レーザダイオードと該レーザダイオードの出射出力をモニタするモニタ用フォトダイオードとを有する光源部と、前記レーザダイオードからの光を測定ポイントに導く光ファイバと、前記光ファイバからの光を2分岐する分岐器と、前記分岐器で分岐された一方の光を受光するファイバ用フォトダイオードと、前記分岐器で分岐され且つ測定対象ガスを透過した他方の光を受光する受光素子と、前記受光素子の出力に基づき前記レーザ光の光路上に存するガスの濃度を演算する演算回路とを備え、前記演算回路は、前記モニタ用フォトダイオードからの信号と前記ファイバ用フォトダイオードからの信号との比を算出し且つこの比の変化に基づき前記光ファイバの異常を判定し、前記ガスの吸収を受けない波長を用い且つ前記ファイバ用フォトダイオードからの信号と前記受光素子からの信号との比に基づきガスの濃度を補正することを特徴とする。
本発明によれば、演算回路は、モニタ用フォトダイオードからの信号とファイバ用フォトダイオードからの信号との比を算出し且つこの比の変化に基づき光ファイバの異常を判定し、ガスの吸収を受けない波長を用い且つファイバ用フォトダイオードからの信号と受光素子からの信号との比に基づきガスの濃度を補正するので、光路中のダストや光学素子の汚れの影響を補正でき、測定精度が向上するとともに光源の劣化や光学系の異常を把握することができる。
実施例1のガス濃度測定装置の構成ブロック図である。 実施例1のガス濃度測定装置の構造図である。 実施例1のガス濃度測定装置のレーザ駆動電流を示す図である。 実施例1のガス濃度測定装置においてガスを透過した信号とガスの吸収スペクトルを示す図である。 実施例1のガス濃度測定装置において2f検波によって得られたガスの吸収を受けた信号を示す図である。 実施例1のガス濃度測定装置においてダストの有無における2f信号の変化を示す図である。 受光素子とモニタ用フォトダイオードと信号処理部との詳細図である。 実施例1のガス濃度測定装置においてモニタ用フォトダイオード出力、ダストの有無における受光量を示す図である。 光ファイバを用いて測定ポイントに光を導くガス濃度測定装置の構成ブロック図である。 光ファイバを用いて一つの光源部から複数の測定ポイントに光を導くガス濃度測定装置の構成ブロック図である。 光学系の汚れ防止を施したガス濃度測定装置の構造図である。 図1に示す構成とフォトダイオード出力との比と推定故障モードとを示す図である。 図9に示す構成とフォトダイオード出力との比と推定故障モードとを示す図である。
以下、本発明のガス濃度測定装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
実施例のガス濃度測定装置は、レーザを用いて波長を掃引しながら測定対象ガス種に固有の波長の光強度が変化することを利用した装置である。
ガス濃度の測定には、単純にレーザの波長を変化させる(直接吸収分光法)のほか、波長走査を高周波の波長変調を伴いながら行う(TDLAS)方法が高感度な測定法が知られている。
TDLASは、変調周波数の2倍の周波数で信号を検波する点において、直接吸収分光法とは相違するが、これらの手法では、測定対象ガスが吸収される波長ばかりではなく、測定対象ガスが吸収されない波長も走査して、測定対象ガスが吸収される波長における光信号強度と、測定対象ガスが吸収されない波長における光信号強度との違いを検出してガスの濃度を算出する。
図1は、実施例1のガス濃度測定装置の構成ブロック図である。図2は、実施例1のガス濃度測定装置の構造図である。図2に示すガス濃度測定装置は、光源部1からのレーザ光に対して略直角方向に配置された煙道壁7にガスが流れる場合にガスの濃度を測定するものである。
図1に示すガス濃度測定装置において、左側の煙道壁7に取り付けられた発光部取付部品5aの端側には、光源部1と、測定対象ガスに出射光を照射させるためのコリメートレンズ2と、レーザ駆動回路8、温度調整機構9とが設けられている。
測定対象ガスは、NH3、NO、NO2、SO2、HCL、H2O、CO、CO2、O2などである。光源部1はDFB−LD(半導体レーザ)やDFB−QCL(量子カスケードレーザ)である。
光源部1は、ガスの吸収波長と同じ波長を発光するレーザダイオード1aと、レーザダイオード1aの出射出力をモニタするモニタ用フォトダイオード(モニタ用PD)1bとを備えている。レーザ駆動回路8は、レーザダイオード1aを駆動する。
温度調整機構9は、温度調整器9a、ペルチェ素子9b、測温素子9cとを備える。測温素子9cは、レーザダイオード1aの温度を検出し、温度調整器9aは、測温素子9cで検出された温度に基づきペルチェ素子9bを駆動することによりレーザダイオード9aの温度を制御することによりレーザダイオード1aの波長を安定化させて、所定の波長を得る。
右側の煙道壁7に取り付けられた受光部取付部品5bの端側には、測定対象ガスを透過した光を集光する集光レンズ3と、集光レンズ3で集光された光を受光する受光素子4と、プリアンプ回路10aと、同期検波回路10bと、演算回路10cとが設けられている。
プリアンプ回路10aは、受光素子4で受光した受光信号を増幅する。同期検波回路10bは、プリアンプ回路10で増幅された受光信号に対して、レーザ駆動回路8の変調信号の2倍の周波数で同期検波し、2f信号を得る。演算回路10cは、同期検波回路10bからの2f信号に基づきガスの濃度を演算する。
実施例1のガス濃度測定装置のTDLASでは、図3に示すように、レーザに高周波変調(周波数f)を重畳しながら、ガスの吸収スペクトルを走査するような発光をさせる駆動電流が与えられる。即ち、図3に示すような吸収スペクトルを走査しつつ高周波変調動作するための駆動電流をレーザダイオード1aに供給する。
ガスを透過した後の信号とガスの吸収スペクトルとを図4に示す。ガスにより信号が吸収されると、変調周波数の2倍の周波数成分が発生する。この信号に対して周波数2fで同期検波回路により同期検波を行うと、図5に示すように、吸収度スペクトルの2次微分波形と同等で、ガスの濃度に比例したピーク高さ(又はピークトゥバレー)を持つ信号が観測される。
図5に示す波形の信号強度は、ガス濃度だけではなく、図6に示すように、ガスに照射されるレーザ光強度に比例する。従って、光学系の汚れや光路中のダストなどによって、濃度測定用の受光素子4で受光する強度が低下した場合には、図6に示すように、光学系の汚れや光路中のダストなどがない時の信号に比較して、小さい信号になる。このため、測定されたガスの濃度が小さく計算される。
(ガス濃度の誤差補正)
実施例1のガス濃度測定装置は、TDLASにおいて、ガスの吸収のない波長領域のモニタ用フォトダイオード1bの出力と受光素子4からの受光出力との比によって、光学系の汚れや光路中のダストなどによる光強度の低下を検出し、ガス濃度の測定誤差を補正することを特徴とする。
図7は、受光素子とモニタ用フォトダイオードと信号処理部との詳細図である。モニタ用PDプリアンプ10dは、モニタ用フォトダイオード1bからの信号を増幅し、A/D変換器および演算回路10cに出力する。プリアンプ回路10aは、受光素子4からの信号を増幅し、同期検波回路10bを介してA/D変換器および演算回路10cに出力する。A/D変換器および演算回路10cは、モニタ用PDプリアンプ10dからの信号と受光素子4からの信号とをディジタル信号に変換し、このディジタル信号に基づいてガス濃度の測定誤差を補正する。補正に使用する信号は、受光素子もモニタ用フォトダイオードいずれも同期検波回路10bによる2f検波しない信号である。
以下、ガス濃度の測定誤差の補正方法を詳細に説明する。演算回路10cは、図8に示すようなダストがないときの受光素子4からの受光出力Pn(t)を、モニタ用フォトダイオード1bの出力Po(t)で除算し、Pn(t)/Po(t)=Aoを算出する。以後、ガス濃度を測定中は、この比をモニタし続ける。
演算回路10cは、ダストがあるときの受光素子4の受光出力がPd(t)であるとき、Pd(t)/Po(t)=Aを求め、値Aと値Aoとを用いて値B=A/Aoを算出する。
演算回路10cは、ダストがあるときの2f信号のp−v値を値Bで除算することにより、ダストがないときの2f信号強度に補正し、補正された2f信号に基づいてガスの濃度を計算することができる。この場合、ガス濃度計算では、光学系(コリメートレンズ、集光レンズ)の汚れによる光量低下も補正できる。
また、モニタ用フォトダイオード1bの出力が低下した場合、即ち出力が変化した場合には、レーザダイオード1aが異常であるとして光源部1の状態を把握することができる。
また、実施例1のガス濃度測定装置は、図9に示すような光ファイバ12を用いて測定ポイントに光を導く構成を備えている。図9において、光ファイバ12は、レーザダイオード1aから出射された光を測定ポイントに設けられた光カプラ13又はビームスプリッタ14(分岐器)に導く。
光カプラ13又はビームスプリッタ14は、光ファイバ12からの光を2分岐して光ファイバ用フォトダイオード15と、コリメートレンズ2と測定対象ガスと介して集光レンズ3に導く。光ファイバ用フォトダイオード15は、光ファイバ12からの光を受光する。従って、光ファイバ用フォトダイオード15の受光量によって、光ファイバ12の断線や光軸のずれをモニタすることができる。
また、演算回路10cは、光ファイバ用フォトダイオード15の出力信号と、モニタ用フォトダイオード1bの出力信号との比を算出し、この比をモニタすることにより光ファイバ12の断線などの異常を検出することができる。
さらに、光ファイバ用フォトダイオード15の信号強度とガスを透過した光を受ける受光素子4の信号強度とを用いて、光学系やダストの影響を補正できることは言うまでもない。
また、光ファイバ12を用いる方法は、図10に示すような方法であっても良い。図10に示すように、レーザダイオード1aからの光は、光カプラ13により2つの光ファイバ12に2分岐した後、複数の測定ポイントに導くことができる。
各測定ポイントに設けられた光ファイバ用フォトダイオード15により、光ファイバ12、光学系の異常の把握、光学系の汚れ、ダストの影響の補正を測定ポイント毎に個別に行うことができる。
また、信号処理部10は、レーザの使用初期段階の受光出力Po(t)をPoint(t)として、演算回路10cに格納しておき、受光出力Point(t)と濃度測定時に得られる値とを比較することで、レーザダイオード1aの発光強度の低下をモニタする。
これにより、発光強度の低下を把握でき、発光強度が予め設定した出力の下限値以下になった場合には、レーザダイオード1aが故障であると判定しても良い。
また、図11に示すように、パージガス供給管11からパージガスがコリメートレンズ2,集光レンズ3などの光学系に供給された場合には、光学系の汚れが防止される。即ち、光学系に汚れが付着しない場合、光路中での光強度変化は、ガスによるガスによる吸収を除くと、ダストに起因すると考えられる。従って、Pn(t)/Po(t)=Aoはダスト濃度に反比例する。
この場合、ガスによる吸収を受けない波長の光強度について、演算回路10cは、モニタ用フォトダイオード1bからの信号と受光素子4からの信号との比に基づきダストの濃度を算出することができる。
また、図1、図9、図10に示すような構成において、複数のフォトダイオードの出力比を用いることにより、故障箇所の特定確度を向上させることができる。
例えば、図12に示す構成では、比r=(受光素子4の出力)/(モニタ用フォトダイオード1bの出力)とし、モニタ用フォトダイオード1bの初期出力を得るとともに、比rを算出する。これにより、モニタ用フォトダイオード1bの故障、ダストによる出力低下、受光素子4の故障、レーザダイオード1a駆動系の異常を推定することができる。
また、図13に示す構成では、比r1=(受光素子4の出力)/(モニタ用フォトダイオード1bの出力)、比r2(光ファイバ用フォトダイオード15の出力)/(モニタ用フォトダイオード1bの出力)、比r3(受光素子4の出力)/(光ファイバ用フォトダイオード15の出力)として、モニタ用フォトダイオード1bの初期出力、光ファイバ用フォトダイオード15を得る。これにより、光ファイバの異常を含めた各種の異常を推定することができる。
例えば、モニタ用フォトダイオード1bの出力が低下して比r1,r2が上昇し、比r3が初期値である場合には、モニタ用フォトダイオード1bが故障していると推定できる。また、モニタ用フォトダイオード1bの出力は変化せず、比r1,r2が低下し、光ファイバ用フォトダイオード15の出力が低下して、比r3が変化しなければ、光ファイバの異常と推定できる。
このように実施例のガス濃度測定装置によれば、ダストや光学系の汚れに起因する2f信号強度の変化を、出射直後とガスを透過した後の光強度との比とによって補正し、ガス濃度の測定誤差を補正することができる。
なお、モニタ用フォトダイオード1bがパッケージに内蔵されているレーザダイオード1aが入手できるので、モニタ用フォトダイオード1bを別途用意せずに済む。モニタ用フォトダイオード1bの信号からレーザダイオード1aの発光強度をモニタできるため、レーザダイオード1aの出力低下を観測でき、レーザダイオード1aの劣化を把握できる。
また、光ファイバ12を用いて測定ポイントに光を導く場合には、測定ポイントを設けることにより、上記効果以外に光ファイバ12の断線などの異常を把握することができる。
本発明に係るガス濃度測定装置は、ガス分析装置や排ガス測定装置に利用可能である。
1‥光源部、1a‥レーザダイオード、1b‥モニタ用フォトダイオード、2‥コリメートレンズ、3‥集光レンズ、4‥受光素子、5a‥発光部取付部品、5b‥受光部取付部品、7‥煙道壁、8‥レーザ駆動回路、9a‥温度調整器、9b‥ペルチェ素子、9c‥測温素子、10‥信号処理部、10a‥プリアンプ回路、10b‥同期検波回路、10c‥A/D変換および演算回路、10d‥モニタPD用プリアンプ回路、11‥パージガス供給管、12‥光ファイバ、13‥光カプラ(スプリッタ)、14‥ビームスプリッタ、15‥光ファイバ用モニタ、16‥電気−光変換器、17‥光−電気変換器。

Claims (4)

  1. レーザダイオードと該レーザダイオードの出射出力をモニタするモニタ用フォトダイオードとを有する光源部と、
    前記レーザダイオードからの光を測定ポイントに導く光ファイバと、
    前記光ファイバからの光を2分岐する分岐器と、
    前記分岐器で分岐された一方の光を受光するファイバ用フォトダイオードと、
    前記分岐器で分岐され且つ測定対象ガスを透過した他方の光を受光する受光素子と、
    前記受光素子の出力に基づき前記レーザ光の光路上に存するガスの濃度を演算する演算回路とを備え、
    前記演算回路は、前記モニタ用フォトダイオードからの信号と前記ファイバ用フォトダイオードからの信号との比を算出し且つこの比の変化に基づき前記光ファイバの異常を判定し、前記ガスの吸収を受けない波長を用い且つ前記ファイバ用フォトダイオードからの信号と前記受光素子からの信号との比に基づきガスの濃度を補正することを特徴とするガス濃度測定装置。
  2. 前記演算回路は、前記ガスの吸収を受けない波長を用い且つ前記受光素子からの信号と前記モニタ用フォトダイオードからの信号との比に基づきガスの濃度を補正することを特徴とする請求項1記載のガス濃度測定装置。
  3. 光学系内にパージガスを供給するパージガス供給管を備え、
    前記演算回路は、前記ファイバ用フォトダイオードからの信号と前記受光素子からの信号との比に基づきダストの濃度を補正することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のガス濃度測定装置。
  4. 前記演算回路は、前記モニタ用フォトダイオードからの信号の変化に基づき前記レーザダイオードの異常を判定することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載のガス濃度測定装置。
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