JP5811632B2 - 炭酸ガス濃度計 - Google Patents

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Description

本発明は、炭酸ガス濃度計に関する。さらに詳しくは、液相中の溶存炭酸ガス濃度と気相中の炭酸ガス濃度の双方を測定可能な、隔膜式電極法による炭酸ガス濃度計に関する。
炭酸ガス(CO)は、生物の呼吸作用や光合成など、自然界と深い関わりを持っているばかりでなく、植物の栽培や魚介類の養殖、発酵工業における培養過程等、人々の生活を支える産業の各分野で、多面的な影響を与えている。そのため、隔膜式電極法、溶液に吸収させた後の中和法、非分散赤外線吸収法、熱伝導度法、ガスクロマトグラフイー等、種々の炭酸ガス濃度を定量する方法が知られている。
中でも、隔膜式電極法は、液相中の溶存炭酸ガス濃度と、気相中の炭酸ガス濃度の双方を、同じ電極を用いて直接測定できるという優れた特徴を有しており、例えば非特許文献1に示す炭酸ガス濃度計が市販されている。
隔膜式電極法では、隔膜で封止され内部液を収容したセンサボディー内にpHセンサを内蔵する電極を使用する。内部液には一定濃度のNaHCOが含まれていて、隔膜を透過した炭酸ガス濃度に比例して、つまり、検体の炭酸ガス濃度に比例して内部液のpHが変化する。そして、内部液に浸漬したpHセンサは、内部液のpHに応じた電位(mV)を出力するようになっている。したがって、この電位(mV)から、検体の炭酸ガス濃度を求めることができる。
ところが、検体の炭酸ガス濃度が等しくても、温度が異なると電位(mV)が変化する。これは、内部液に対する炭酸ガスの溶解度、隔膜の炭酸ガス透過性、pHセンサの感度等が温度により異なるためである。そこで、従来、隔膜式電極法の電極には、温度センサが内蔵され、この温度センサによって測定された温度情報を用いて、検出された電位(mV)を、25℃における電位(mV)に変換する自動温度補償が行われている。
隔膜式電極法では、この25℃における電位(mV)から検体の炭酸ガス濃度を求めるため、25℃における電位(mV)と検体の炭酸ガス濃度との関係を、予め測定装置に記憶させておく必要がある。そのため、炭酸ガス濃度が既知の標準液又は標準ガスを用いた校正作業が行われている。
非特許文献1では、25℃において、2体積%、20体積%の炭酸ガスを各々発生させる2種類の標準液を用いて、検体(気相)の炭酸ガス濃度(体積%)を測定できるようになっていた。
「CGP−1 ポータブル炭酸ガス濃度計」カタログ、東亜ディーケーケー株式会社、2008年1月15日
しかし、非特許文献1のように、所定濃度の炭酸ガスを発生させる標準液を用いる場合、同じ標準液でも、温度によって発生する炭酸ガス濃度が異なる。例えば、25℃において2体積%の炭酸ガスを発生させる標準液は、15℃において、1.50体積%の炭酸ガスを発生する。その場合、1.50体積%を校正値としなければならない。そのため、標準液の温度が25℃以外の場合、校正液の温度特性表を参照して校正値を確認しなければならなかった。
また、隔膜式電極法では液相中の溶存炭酸ガス濃度も測定できるが、非特許文献1のように、体積%単位で測定値が表示される炭酸ガス濃度計で溶存炭酸ガス濃度(mg/L)を求めようとすると、ブンゼン吸収係数を用いた複雑な換算式を用いた換算が必要であった。そのため、液相中の溶存炭酸ガス濃度と、気相中の炭酸ガス濃度の双方を、同じ電極を用いて直接測定できるという優れた特徴を生かし切れないものであった。
液相中の溶存炭酸ガス濃度(mg/L)と、気相中の炭酸ガス濃度(体積%)の双方を簡便に測定できるようにするためには、mg/Lと体積%の双方の単位表示が可能な装置とすることが考えられる。
その場合、例えば、溶存炭酸ガス濃度が14.9mg/Lの標準液と149mg/Lの標準液を用い、mg/L単位で測定装置を校正すれば、検体(液相)の溶存炭酸ガス濃度(mg/L)を測定できるようになる。
また、溶存炭酸ガス濃度が14.9mg/Lの標準液と149mg/Lの標準液は、各々25℃において、炭酸ガス濃度が1体積%、10体積%のガスを発生させる。そこで、25℃においてこれらの標準液を用い、体積%単位で測定装置を校正すれば、検体(気相)の炭酸ガス濃度(体積%)を測定できるようになる。
ところが、mg/Lと体積%の双方の単位表示が可能な装置とした場合、mg/L単位で測定装置を校正して検体(液相)の溶存炭酸ガス濃度(mg/L)を測定した後、検体(気相)の炭酸ガス濃度(体積%)を測定したいと思うと、再度体積%単位で測定装置を校正するか、mg/L単位のままで測定し、ブンゼン吸収係数を用いた複雑な換算式で換算を行わなければならない。
しかも、隔膜式電極法による炭酸ガス濃度計は操作が簡便であるため、測定原理などを充分に理解していない操作者が扱う場合も多い。そのため、mg/L単位と体積%単位を間違えて、測定値を記録してしまうことも考えられる。また、標準液の温度が25℃以外であるにもかかわらず、25℃の校正値で校正してしまう懸念もある。
これらの場合、ブンゼン吸収係数を用いた換算式で正しい値に換算することも可能である。しかし、ブンゼン吸収係数は温度に依存するため、測定時の温度が不明であると換算不能となり、せっかくの測定記録が無駄になりかねない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、mg/L単位と体積%単位をあまり意識せずに測定ができ、測定原理などを充分に理解していない操作者であっても、適切に検体(液相)の溶存炭酸ガス濃度または検体(気相)の炭酸ガス濃度(体積%)の測定値を取得できる炭酸ガス濃度計を提供することを課題とする。
上記の課題を達成するために、本発明は、以下の構成を採用した。
[1]炭酸ガス電極と、該炭酸ガス電極の出力が入力される演算制御装置と、操作者が前記演算制御装置に各種情報と指示を入力する操作部とを有する炭酸ガス濃度計であって、
前記炭酸ガス電極は、筒状のセンサボディーと、該センサボディーの一端部を水密に封止する気体透過性の隔膜と、前記センサボディー内に収容された内部液と、該内部液に浸漬されたpHセンサと、温度センサとを備え、前記演算制御装置に、pHセンサの電位E(mV)と温度センサによって測定した温度t(℃)を出力するように構成され、
前記演算制御装置は、炭酸ガス濃度D(mg/L)と標準温度における電位E(mV)との関係を示す検量線を特定する情報を記憶する検量線記憶部と、一以上の検体の測定時の温度t(℃)と炭酸ガス濃度D(mg/L)とを記憶する測定値記憶部と、該演算制御装置全体の動作を統括すると共に各種演算を行う演算処理部を備え、
前記演算処理部は、以下のステップN1〜N3を常時行い、前記操作部から測定値取込指示が入力されたときに、以下のステップM1を行い、また、前記操作部から炭酸ガス濃度D出力指示が入力されたときに以下のステップS1を行い、また、前記操作部から炭酸ガス濃度G出力指示が入力されたときに以下のステップT1〜T3を行うと共に、
前記操作部から標準試料Aの炭酸ガス濃度D (mg/L)を特定する情報と校正値取込指示が入力されたときに、以下のステップA1を行い、次いで前記操作部から標準試料Bの炭酸ガス濃度D (mg/L)を特定する情報と校正値取込指示が入力されたときに、以下のステップB1を行い(但し、D ≠D )、その後ステップC1を行うことを特徴とする炭酸ガス濃度計。
ステップN1:温度tとpHセンサの電位Eの現在値を前記炭酸ガス電極から取得する。
ステップN2:取得した温度tに基づき、取得したpHセンサの電位Eを標準温度における電位En(mV)に換算する。
ステップN3:検量線記憶部の検量線を特定する情報による検量線に基づき、標準温度における電位En(mV)に対応する炭酸ガス濃度D(mg/L)を求める。
ステップM1:測定値取込指示がされたときに取得した温度tと、測定値取込指示がされたときにステップN1〜N3で求めた炭酸ガス濃度D(mg/L)を測定値記憶部に記憶させる。
ステップS1:ステップM1で記憶させた炭酸ガス濃度D(mg/L)を出力する。
ステップT1:ステップM1で記憶させた温度tにおけるブンゼン吸収係数を求める。
ステップT2:ステップM1で記憶させた炭酸ガス濃度D(mg/L)を、ステップT1で求めたブンゼン吸収係数を用いて、炭酸ガス濃度G(体積%)に換算する。
ステップT3:ステップT2により求めた炭酸ガス濃度G(体積%)を出力する。
ステップA1:校正値取込指示がされたときにステップN1〜N2で求めた標準温度における電位En(mV)を、炭酸ガス濃度D (mg/L)に対応する電位E (mV)として、炭酸ガス濃度D (mg/L)と共に検量線記憶部に記憶させる。
ステップB1:校正値取込指示がされたときにステップN1〜N2で求めた標準温度における電位En(mV)を、炭酸ガス濃度D (mg/L)に対応する電位E (mV)として、炭酸ガス濃度D (mg/L)と共に検量線記憶部に記憶させる。
ステップC1:検量線記憶部に記憶させた炭酸ガス濃度D (mg/L)及び電位E (mV)、並びに炭酸ガス濃度D (mg/L)及び電位E (mV)を用い、炭酸ガス濃度D(mg/L)と標準温度における電位E (mV)との関係を示す検量線を求める。
[2]炭酸ガス電極と、該炭酸ガス電極の出力が入力される演算制御装置と、操作者が前記演算制御装置に各種情報と指示を入力する操作部とを有する炭酸ガス濃度計であって、
前記炭酸ガス電極は、筒状のセンサボディーと、該センサボディーの一端部を水密に封止する気体透過性の隔膜と、前記センサボディー内に収容された内部液と、該内部液に浸漬されたpHセンサと、温度センサとを備え、前記演算制御装置に、pHセンサの電位E(mV)と温度センサによって測定した温度t(℃)を出力するように構成され、
前記演算制御装置は、炭酸ガス濃度D(mg/L)と標準温度における電位E(mV)との関係を示す検量線を特定する情報を記憶する検量線記憶部と、一以上の検体の測定時の温度t(℃)と標準温度における電位E(mV)を、当該検体の測定時における検量線を特定する情報と共に記憶する測定値記憶部と、該演算制御装置全体の動作を統括すると共に各種演算を行う演算処理部を備え、
前記演算処理部は、以下のステップN1〜N2を常時行い、前記操作部から測定値取込指示が入力されたときに、以下のステップM2を行い、また、前記操作部から炭酸ガス濃度D出力指示が入力されたときに以下のステップS2〜S3を行い、また、前記操作部から炭酸ガス濃度G出力指示が入力されたときに以下のステップT4〜T7を行うと共に、
前記操作部から標準試料Aの炭酸ガス濃度D (mg/L)を特定する情報と校正値取込指示が入力されたときに、以下のステップA1を行い、次いで前記操作部から標準試料Bの炭酸ガス濃度D (mg/L)を特定する情報と校正値取込指示が入力されたときに、以下のステップB1を行い(但し、D ≠D )、その後ステップC1を行うことを特徴とする炭酸ガス濃度計。
ステップN1:温度tとpHセンサの電位Eの現在値を前記炭酸ガス電極から取得する。
ステップN2:取得した温度tに基づき、取得したpHセンサの電位Eを標準温度における電位En(mV)に換算する。
ステップM2:測定値取込指示がされたときに取得した温度tと、測定値取込指示がされたときにステップN1〜N2で求めた標準温度における電位En(mV)を、当該検体の測定時における検量線を特定する情報と共に測定値記憶部に記憶させる。
ステップS2:ステップM2で記憶させた標準温度における電位En(mV)に対応する炭酸ガス濃度D(mg/L)を、該ステップM2で記憶させた当該検体の測定時における検量線を特定する情報による検量線に基づき、求める。
ステップS3:ステップS2で求めた炭酸ガス濃度D(mg/L)を出力する。
ステップT4:ステップM2で記憶させた標準温度における電位En(mV)に対応する炭酸ガス濃度D(mg/L)を、該ステップM2で記憶させた当該検体の測定時における検量線を特定する情報による検量線に基づき、求める。
ステップT5:ステップM2で記憶させた温度tにおけるブンゼン吸収係数を求める。
ステップT6:ステップT4で求めた炭酸ガス濃度D(mg/L)を、ステップT5で求めたブンゼン吸収係数を用いて、炭酸ガス濃度G(体積%)に換算する。
ステップT7:ステップT6により求めた炭酸ガス濃度G(体積%)を出力する。
ステップA1:校正値取込指示がされたときにステップN1〜N2で求めた標準温度における電位En(mV)を、炭酸ガス濃度D (mg/L)に対応する電位E (mV)として、炭酸ガス濃度D (mg/L)と共に検量線記憶部に記憶させる。
ステップB1:校正値取込指示がされたときにステップN1〜N2で求めた標準温度における電位En(mV)を、炭酸ガス濃度D (mg/L)に対応する電位E (mV)として、炭酸ガス濃度D (mg/L)と共に検量線記憶部に記憶させる。
ステップC1:検量線記憶部に記憶させた炭酸ガス濃度D (mg/L)及び電位E (mV)、並びに炭酸ガス濃度D (mg/L)及び電位E (mV)を用い、炭酸ガス濃度D(mg/L)と標準温度における電位E (mV)との関係を示す検量線を求める。
本発明の炭酸ガス濃度計によれば、mg/L単位と体積%単位をあまり意識せずに測定ができ、測定原理などを充分に理解していない操作者であっても、適切に検体(液相)の溶存炭酸ガス濃度または検体(気相)の炭酸ガス濃度(体積%)の測定値を取得できる。
本発明の実施形態に係る炭酸ガス濃度計の全体構成図である。 本発明の実施形態における炭酸ガス電極を、模式的示す要部断面図である。 本発明の実施形態に係る炭酸ガス濃度計の回路構成図である。 液体用セルを用いた校正及び測定の方法を示す説明図である。 気体用セルを用いた校正及び測定の方法を示す説明図である。
<第1実施形態>
[装置構成]
本発明の第1実施形態に係る炭酸ガス濃度計について説明する。図1に示すように、本実施形態の炭酸ガス濃度計は、炭酸ガス電極1と濃度計本体10とを備え、炭酸ガス電極1と濃度計本体10との間は、リード線9で接続されている。
図2に炭酸ガス電極1の要部を模式的に示す。図2に示すように、筒状のセンサボディー2と、センサボディー2の下端部を水密に封止する気体透過性の隔膜3と、センサボディー内に収容された内部液4と、内部液4に浸漬されたガラス電極5及び比較電極6と、同じく内部液4に浸漬された温度センサ8を備えている。
隔膜3には、液体は通さず気体を透過可能な材質が用いられる。例えば、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーンゴムなどが用いられる。
内部液4は、一定濃度のNaHCOを含んでおり、隔膜3を透過して溶解する炭酸ガス濃度に比例して、すなわち、検体の炭酸ガス濃度に比例して、pHが可逆的に変化するようになっている。
隔膜3を透過して内部液4に溶解する炭酸ガス濃度と内部液4のpHとの関係は、以下のとおりである。
まず、炭酸ガスは内部液4に溶解して、式(1)の平衡関係が生じ、その平衡関係の解離定数は、式(2)のように表される。
Figure 0005811632
Figure 0005811632
式(2)の両辺の対数をとれば、式(3)となる。
logK=log[H]+log[HCO ]−log[CO] …(3)
式(3)に下式(4)、(5)を代入すると式(6)が得られる。
pK≒−logK …(4)
pH≒−log[H] …(5)
pH=pK+log[HCO ]−log[CO] …(6)
内部液4は、充分に高い濃度のNaHCOを含んでいるので、炭酸ガスの溶解による[HCO ]の変化は無視できる程度となり、式(6)は、式(7)に近似できる。
pH≒定数−log[CO] …(7)
式(7)に示すように、検体の炭酸ガス濃度が1桁変化すると、内部液4のpHは1単位変化する。検体の炭酸ガス濃度が上がると、pH値は低い方向に、すなわち、酸性側に変化する。
ガラス電極5は下端部にpH感応ガラス膜5aを備えている。pH感応ガラス膜5aと隔膜3との間には、両者が僅かに離間するように、図示を省略するスペーサーが配置されている。そして、隔膜3との間に保持された内部液4のpHに応じて、pH感応ガラス膜5aに起電力が生じるようになっている。
比較電極6は、pH感応ガラス膜5aの起電力を検知するための対極であり、ガラス電極5と比較電極6とからpHセンサ7が構成されている。
濃度計本体10には、内部に図3に示す演算制御装置30が備えられている。また、前面に液晶表示部11が、側面にデータ入出力端子12が設けられている。液晶表示部11には、炭酸ガス濃度と、温度センサ8が感知している温度、およびサンプル番号が表示される。
また、前面に操作キー21、22、23、24、25、26、27からなる操作部20を備えている。
ここで、操作キー21は高濃度側の校正を行うためのキーで、操作キー22は低濃度側の校正を行うためのキーである。
後述のように、本実施形態では、標準試料A(高濃度側)、標準試料B(低濃度側)の炭酸ガス濃度(mg/L)が各々予め決められているので、操作キー21を押すことにより、標準試料Aの炭酸ガス濃度D(mg/L)を特定する情報と校正値取込指示を、濃度計本体10内の演算制御装置30に入力したことになる。同様に、操作キー22を押すことにより、標準試料Bの炭酸ガス濃度D(mg/L)を特定する情報と校正値取込指示を、演算制御装置30に入力したことになる。
操作キー23は炭酸ガス濃度や温度の現在値を表示させるためのキーである。
操作キー24は演算制御装置30に測定値を取り込ませるためのキーで、操作キー24を押すことにより、測定値取込指示を入力したことになる。
操作キー25は演算制御装置30に記憶させた測定値を出力させるためのキーで、操作キー25を押すことにより、炭酸ガス濃度D出力指示または炭酸ガス濃度G出力指示を入力したことになる。
また、操作キー26は炭酸ガス濃度の単位を切り換えるためのキーで、操作キー26を押す毎に、mg/L及び%(体積%)のいずれか一方を選択できるようになっている。
そして、操作キー26でmg/Lを選択した状態で操作キー25を押せば、炭酸ガス濃度D出力指示を入力したことになり、操作キー26で%(体積%)を選択した状態で操作キー25を押せば、炭酸ガス濃度G出力指示を入力したことになる。
操作キー27は電源スイッチである。
なお、炭酸ガス濃度Dまたは炭酸ガス濃度Gの出力先は、液晶表示部11であってもよいし、データ入出力端子12に接続された外部機器であってもよい。液晶表示部11では、操作キー26を押す毎に、炭酸ガス濃度の単位表示を、mg/L及び%(体積%)のいずれか一方のみを選択的に切り換えて点灯表示すると共に、点灯した単位に即した炭酸ガス濃度および温度の数値、並びにサンプル番号を表示するようになっている。
図3に示すように、演算制御装置30は、演算処理部31、検量線記憶部32、測定値記憶部33、変換器34を備えている。
演算処理部31は、演算制御装置30における各種処理に必要な演算を行うと共に、演算制御装置30全体の動作を統括している。
検量線記憶部32は、炭酸ガス濃度D(mg/L)に対応する標準温度(本実施形態では25℃)の電位E(mV)、並びに炭酸ガス濃度D(mg/L)に対応する標準温度の電位E(mV)を記憶できるようになっている。また、これらの記憶した値から求められる炭酸ガス濃度D(mg/L)と標準温度における電位E(mV)との関係を示す検量線も記憶できるようになっている。
測定値記憶部33は、一以上の検体の測定時の温度t(℃)と炭酸ガス濃度D(mg/L)とを記憶できるようになっている。
変換器34は、炭酸ガス電極1から入力される信号をインピーダンス変換及びA/D変換して、演算処理部31に受け渡すようになっている。
[常時運転]
本実施形態の炭酸ガス濃度計は、操作キー27を押して電源を入れると、常時運転を開始する。また、操作キー25を押した後に操作キー23を押すと、常時運転を再開する。
常時運転では、以下のステップN1〜N3を常時行っている。また、操作キー26でmg/Lを選択していると、ステップN1〜N3に続いてさらに以下のステップN4を行い、操作キー26で%(体積%)を選択していると、以下のステップN1〜N3に続いてさらに、以下のステップN5〜7を行う。
ステップN1:温度センサ8による温度tとpHセンサ7の電位Eの現在値を炭酸ガス電極1から取得する。
ステップN2:取得した温度tに基づき、取得したpHセンサ7の電位Eを標準温度における電位En(mV)に換算する。
ステップN3:検量線記憶部の検量線を特定する情報による検量線に基づき、標準温度における電位En(mV)に対応する炭酸ガス濃度D(mg/L)を求める。
ステップN4:ステップN1〜N3で求めた炭酸ガス濃度D(mg/L)の現在値を、液晶表示部11に出力する。
ステップN5:温度tの現在値におけるブンゼン吸収係数を求める。
ステップN6:ステップN1〜N3で求めた炭酸ガス濃度D(mg/L)の現在値を、ステップN5で求めたブンゼン吸収係数を用いて、炭酸ガス濃度G(体積%)の現在値に換算する。
ステップN7:ステップN6により求めた炭酸ガス濃度G(体積%)の現在値を、液晶表示部11に出力する。
ステップN2では、取得した温度tに基づき、取得したpHセンサの電位Eを標準温度(本実施形態では25℃)における電位Eに換算する。これは、従来も行われていた電極の自動温度補償である。炭酸ガス電極1におけるpHセンサの電位Eは、検体の炭酸ガス濃度(mg/L)が等しくても、温度が異なると変化する。その主たる要因は、内部液4に溶解する炭酸ガスの溶解度が温度により異なることにあるが、その他にも、隔膜3の炭酸ガス透過性が温度により変化すること、pHセンサ7の起電力は、温度依存性のネルンストの式に従うこと等の要因も含んでいる。
そこで、実験的に求めた炭酸ガス電極1の温度依存性(上記要因が複合された結果による依存性)に基づき、自動温度補償を行うのが、ステップN2である。
ステップN3では、換算した標準温度における電位Eに対応する炭酸ガス濃度D(mg/L)を、検量線記憶部32に記憶させた検量線を特定する情報による検量線に基づいて求める。
ステップN5で求めるブンゼン吸収係数(Bunsen absorption coefficient, α)とは、ある温度(℃)の単位体積の水に溶ける分圧1気圧のある気体の体積を、0℃、1気圧の時の体積に補正した値である。表1に、化学便覧(Hodgman et al.(1958))に記載された0〜50℃における炭酸ガスのブンゼン吸収係数αCO2を示す。
Figure 0005811632
温度tは、通常表1に記載された15℃、20℃のような切りの良い値ではなく、例えば18.4℃のような値となる。このような表に記載されていない温度tにおけるブンゼン吸収係数αCO2は、直線補間や近似式により求める。
ステップN6における炭酸ガス濃度D(mg/L)から炭酸ガス濃度G(体積%)への換算は、以下の式(8)により行う。
G(体積%)=D(mg/L)/(19.635 × αCO2 ) …(8)
式(8)は、以下のようにして求められた式である。
まず、液相中の炭酸ガス濃度D(mg/L)は、気相中の炭酸ガス分圧PCO2(hPa)及びブンゼン吸収係数αCO2と、式(9)の関係にある。
D(mg/L)=(PCO2 / 1013) × CO2分子量 × (αCO2 / 22414) × 106
= (PCO2 / 1013) × 44.01 × (αCO2 / 22414) × 106
= 1.9383 ×PCO2 × αCO2 …(9)
また、炭酸ガス分圧PCO2(hPa)と炭酸ガス濃度G(体積%)は、式(10)の関係にある。
CO2 = 1013 × G / 100 = 10.13 × G …(10)
式(9)と式(10)から式(11)が得られる。
D(mg/L)= 1.9383 × 10.13 × G(体積%)× αCO2
= 19.635 × αCO2 ×G(体積%) …(11)
したがって、
G(体積%)=D(mg/L)/(19.635 × αCO2 ) …(8)
[標準試料]
本実施形態の炭酸ガス濃度計では、炭酸ガス濃度計に付属された校正液用粉末及びイオン強度調整剤を用い、定められた処方に従って調製した所定の炭酸ガス濃度(mg/L)の校正液を標準試料A(高濃度側)、標準試料B(低濃度側)とする。
すなわち、本実施形態では、標準試料A(高濃度側)、標準試料B(低濃度側)の炭酸ガス濃度(mg/L)が、各々予め決められている。
以下の説明は、炭酸ガス濃度D(mg/L)=149mg/L、炭酸ガス濃度D(mg/L)=14.9mg/Lの場合を例にとって行う。
まず、校正液用粉末としては、その水溶液を酸性にすると炭酸ガスを発生する炭酸水素ナトリウムの粉末を使用する。また、イオン強度調整剤としては、校正液用粉末の水溶液pHを4以下とできるイオン強度調整剤、例えばクエン酸を20〜22質量%、クエン酸三ナトリウムを0.1%以下含有する緩衝液を使用できる。
そして、0.628gを予め秤量して袋詰めした校正液用粉末1袋を純水に溶解して1000mLとし、校正液原液とする。この校正液原液は、炭酸ガス濃度328mg/Lに相当する。校正液原液は、密栓容器に保存すれば、2ヶ月間程度は±10%の精度で使用できる。但し、より正確な校正を行うために、校正液原液の調製は、校正作業の都度行うことが好ましい。
次に、校正液原液を純水で2倍に希釈したものを高濃度校正液とする。この高濃度校正液1容に対して、1/10容のイオン強度調整剤を加えると、炭酸ガス濃度D(mg/L)=149mg/Lの標準試料A(高濃度側)となる。
次に、高濃度校正液を純水で10倍に希釈したものを低濃度校正液とする。この低濃度校正液1容に対して、1/10容のイオン強度調整剤を加えると、炭酸ガス濃度D(mg/L)=14.9mg/Lの標準試料B(低濃度側)となる。
イオン強度調整剤は、校正作業直前に高濃度校正液ないし低濃度校正液に添加することが好ましい。また、後述のように、外気を実質的に遮断できる専用の液体用セル内で添加することが好ましい。
なお、炭酸ガス濃度D(mg/L)=149mg/Lの標準試料A(高濃度側)は、25℃において10.0体積%の炭酸ガス(気相)を発生させる。また、炭酸ガス濃度D(mg/L)=14.9mg/Lの標準試料B(低濃度側)は、25℃において1.00体積%の炭酸ガス(気相)を発生させる。
[校正]
校正は、図4に示すような専用の液体用セル40を用いて行うことが好ましい。液体用セル40は、底面から約50〜60mm上の内側に、リング状の凸部41を有しており、検体約50mLを入れた状態で、炭酸ガス電極1を、その先端が凸部41より下側となるように挿入すると、検体の液面が凸部41より上側まで上昇するように構成されている。
この液体用セル40に前記の高濃度校正液50mLを入れ、撹拌子51を入れてマグネチックスターラー50の上に載せる。
炭酸ガス電極1には、予めOリング42を下から30mmくらいのところに嵌め、純水で良く洗浄した後、水分を拭き取っておく。
そして、イオン強度調整剤5mLを添加し、マグネチックスターラー50で撹拌する。撹拌により、均一な標準試料A(高濃度側)が得られたら、撹拌を継続したまま、できるだけ速やかに、炭酸ガス電極1を、Oリング42が凸部41に軽くのる位置まで液体用セル40に挿入する。炭酸ガス電極1の挿入により、標準試料AはOリング42より上にあふれ、あふれた標準試料Aにより、Oリング42より下の標準試料Aと外気とが、実質的に遮断される。
この状態で、操作者が操作キー21を押すと、演算制御装置30は以下のステップA1を行う。
ステップA1:操作キー21が押されたときにステップN1〜N2で求めた標準温度における電位En(mV)を、炭酸ガス濃度D(mg/L)に対応する電位E(mV)として、炭酸ガス濃度D(mg/L)と共に検量線記憶部32に記憶させる。
すなわち、ステップN2で換算した標準温度における電位En(mV)を、炭酸ガス濃度D(mg/L)に対応する電位E(mV)として、炭酸ガス濃度D(mg/L)(本実施形態では、149mg/L)と共に検量線記憶部32に記憶させる。
ステップA1を行う間、操作キー26により、炭酸ガス濃度の単位としていずれの単位が選択されていてもよい。mg/Lと%(体積%)のいずれが選択されていても、ステップA1で記憶させる炭酸ガス濃度の単位は、mg/Lである。
ステップA1で電位E(mV)と炭酸ガス濃度D(mg/L)を記憶させるタイミングは、操作者が操作キー21を押したときであるが、操作者が操作キー21を押すのと完全に同時である場合に限られず、操作キー21を押した後、温度tと電位Eの値が安定したときであってもよい。
ステップA1で、操作者が操作キー21を押すのと同時に電位E(mV)と炭酸ガス濃度D(mg/L)を記憶させる場合、液晶表示部11の炭酸ガス濃度は現在値のままである。すなわち、操作キー26によりmg/Lが選択されていれば、前記ステップN4による炭酸ガス濃度D(mg/L)の現在値の表示が継続し、操作キー26により%(体積%)が選択されていれば、前記ステップN5〜N7による炭酸ガス濃度G(体積%))の現在値の表示が継続する。
この場合、操作者は、液晶表示部11の炭酸ガス濃度の現在値が充分に安定したことを確認してから、操作キー21を押すことが好ましい。操作キー21を押した直後の液晶表示部11の炭酸ガス濃度は、標準試料A(高濃度側)の濃度に変化する。すなわち、操作キー26によりmg/Lが選択されていれば炭酸ガス濃度の表示は149mg/Lとなり、操作キー26により%(体積%)が選択されていれば、その温度において対応する気相の炭酸ガス濃度G(体積%)となる。本実施形態では、例えば25℃の場合、10.0%の表示に変化する。
ステップA1で、操作者が操作キー21を押すのと同時ではなく、温度tと電位Eの値が安定してから記憶させれば、操作者が操作キー21を押すタイミングが早すぎても、正確な値を記憶させることが可能となる。
値が安定してから記憶させる方法としては、単位時間あたりの値の変化量が所定値以下となったことを判別する方法等、公知の安定判別方法を利用して値が安定したことを確認してから記憶させる方法、操作者が操作キー21を押してから一定時間経過後に記憶させる方法が挙げられる。
操作者が操作キー21を押すのと同時ではなく、安定判別後、または一定時間経過後に電位E(mV)と炭酸ガス濃度D(mg/L)を記憶させる場合、ステップA1が終了したことは、適宜の手段によって操作者に伝えることができる。
例えば、操作キー21を押した後ステップA1の終了前は液晶表示部11のサンプル番号に代えて「CAL1」との点滅表示を行うと共に標準試料A(高濃度側)の炭酸ガス濃度を固定値として表示し、終了時にサンプル番号の表示に戻すと共に、炭酸ガス濃度は現在値の表示に戻す方法や、電子音を発生させる等の方法が挙げられる。
標準試料B(低濃度側)による校正も、標準試料A(高濃度側)による校正と同様に行う。すなわち、図4に示すような専用の液体用セル40に前記の低濃度校正液50mLを入れ、撹拌子51を入れてマグネチックスターラー50の上に載せる。
炭酸ガス電極1には、予めOリング42を下から30mmくらいのところに嵌め、純水で良く洗浄した後、水分を拭き取っておく。
そして、イオン強度調整剤5mLを添加し、マグネチックスターラー50で撹拌する。撹拌により、均一な標準試料B(低濃度側)が得られたら、撹拌を継続したまま、できるだけ速やかに、炭酸ガス電極1を、Oリング42が凸部41に軽くのる位置まで液体用セル40に挿入する。
この状態で、操作者が操作キー22を押すと、演算制御装置30は以下のステップB1を行う。
ステップB1:校正値取込指示が入力されたときにステップN1〜N2で求めた標準温度における電位En(mV)を、炭酸ガス濃度D(mg/L)に対応する電位E(mV)として、炭酸ガス濃度D(mg/L)と共に検量線記憶部32に記憶させる。
すなわち、ステップN2で換算した標準温度における電位En(mV)を、炭酸ガス濃度D(mg/L)に対応する電位E(mV)として、炭酸ガス濃度D(mg/L)(本実施形態では、14.9mg/L)と共に検量線記憶部32に記憶させる。
ステップA1と同様に、ステップB1を行う間、操作キー26により、炭酸ガス濃度の単位としていずれの単位が選択されていてもよい。mg/Lと%(体積%)のいずれが選択されていても、ステップB1で記憶させる炭酸ガス濃度の単位は、mg/Lである。
また、ステップB1で電位E(mV)と炭酸ガス濃度D(mg/L)を記憶させるタイミングは、操作者が操作キー22を押したときであるが、操作者が操作キー22を押すのと完全に同時である場合に限られず、操作キー22を押した後、温度tと電位Eの値が安定したときであってもよい。
ステップB1で、操作者が操作キー22を押すのと同時に電位E(mV)と炭酸ガス濃度D(mg/L)を記憶させる場合、液晶表示部11の炭酸ガス濃度は現在値のままである。
この場合、操作者は、液晶表示部11の炭酸ガス濃度の現在値が充分に安定したことを確認してから、操作キー22を押すことが好ましい。操作キー22を押した直後の液晶表示部11の炭酸ガス濃度は、標準試料B(低濃度側)の濃度に変化する。すなわち、操作キー26によりmg/Lが選択されていれば炭酸ガス濃度の表示は14.9mg/Lとなり、操作キー26により%(体積%)が選択されていれば、その温度において対応する気相の炭酸ガス濃度G(体積%)となる。本実施形態では、例えば25℃の場合、1.0%の表示に変化する。
操作者が操作キー22を押すのと同時ではなく、安定判別後、または一定時間経過後に電位E(mV)と炭酸ガス濃度D(mg/L)を記憶させる場合、ステップB1が終了したことは、適宜の手段によって操作者に伝えることができる。
例えば、操作キー22を押した後ステップB1の終了前は液晶表示部11のサンプル番号に代えて「CAL2」との点滅表示を行うと共に標準試料B(低濃度側)の炭酸ガス濃度を固定値として表示し、終了時にサンプル番号の表示に戻すと共に、炭酸ガス濃度は現在値の表示に戻す方法や、電子音を発生させる等の方法が挙げられる。
演算制御装置30は、ステップA1とステップB1の双方が終了した後、直ちに、以下のステップC1〜C2を行う。
ステップC1:検量線記憶部32に記憶させた炭酸ガス濃度D(mg/L)及び電位E(mV)、並びに炭酸ガス濃度D(mg/L)及び電位E(mV)を用い、炭酸ガス濃度D(mg/L)と標準温度における電位E(mV)との関係を示す検量線を求める。
ステップC2:求めた検量線を、検量線記憶部32に記憶させる。
検量線は、炭酸ガス濃度D(mg/L)の常用対数と標準温度における電位E(mV)との間の相関関係である。この相関関係は、ほぼ一次関数で表せる。そのため、2組の炭酸ガス濃度D(mg/L)と標準温度における電位E(mV)が得られれば、検量線が求められる。
[検体(液相)の測定]
検体(液相)の溶存炭酸ガス濃度(mg/L)を測定する場合、炭酸ガス電極1を、直接現場における検体に浸漬してもよいが、より正確な測定を行うためには、検体を専用の液体用セル40にサンプリングして測定を行うことが好ましい。
すなわち、図4に示すような専用の液体用セル40に検体の約50mLを入れ、撹拌子51を入れてマグネチックスターラー50の上に載せる。
炭酸ガス電極1には、予めOリング42を下から30mmくらいのところに嵌め、純水で良く洗浄した後、水分を拭き取っておく。
そして、炭酸ガス電極1を、Oリング42が凸部41に軽くのる位置まで液体用セル40に挿入し、マグネチックスターラー50で撹拌を行う。
この状態で、操作者が操作キー24を押すと、測定値取込指示が入力されたことになり、演算制御装置30は以下のステップM1を行う。
ステップM1:操作キー24が押されたときに取得した温度tと操作キー24が押されたときのステップN1〜N3で求めた炭酸ガス濃度D(mg/L)を測定値記憶部33に記憶させる。
本実施形態では、温度tと炭酸ガス濃度D(mg/L)と共に、当該検体を特定する情報であるサンプル番号と取込日時(当該検体の温度tと炭酸ガス濃度を取り込んで記憶させた日時、以下同じ)も共に記憶される。
操作者が操作キー24を複数回押すと、その都度ステップM1を行う。例えば、5回押した場合、サンプル番号1〜5の各々について、温度tと炭酸ガス濃度D(mg/L)がサンプル番号および取込日時と共に測定値記憶部33に記憶される。
ステップM1を行う間、操作キー24により、炭酸ガス濃度の単位としていずれの単位が選択されていてもよい。mg/Lと%(体積%)のいずれが選択されていても、ステップM1で記憶させる炭酸ガス濃度の単位は、mg/Lである。
ステップM1で温度tと炭酸ガス濃度D(mg/L)を記憶させるタイミングは、操作者が操作キー24を押したときであるが、操作者が操作キー24を押すのと完全に同時である場合に限られず、操作キー24を押した後、温度tと炭酸ガス濃度D(mg/L)の値が安定したときであってもよい。
ステップM1で、操作者が操作キー24を押すのと同時に温度tと炭酸ガス濃度D(mg/L)を記憶させる場合、操作者が操作キー24を押すのと同時に、液晶表示部11のサンプル番号を、次に記憶させるサンプルの番号に更新する。すなわち、サンプルの番号は、既に記憶させた測定数に1を加えた数となる。例えば、5回押した場合、サンプル番号は6となる。
一方、液晶表示部11の炭酸ガス濃度は現在値のままである。すなわち、操作キー26によりmg/Lが選択されていれば、前記ステップN4による炭酸ガス濃度D(mg/L)の現在値の表示が継続し、操作キー26により%(体積%)が選択されていれば、前記ステップN5〜N7による炭酸ガス濃度G(体積%))の現在値の表示が継続する。
操作者が操作キー24を押すのと同時ではなく、安定判別後、または一定時間経過後に温度tと炭酸ガス濃度D(mg/L)を記憶させる場合、ステップM1が終了したことは、適宜の手段によって操作者に伝えることができる。
例えば、操作キー24を押した後ステップM1の終了前は液晶表示部11のサンプル番号の点滅表示を行い、終了時に更新したサンプル番号の連続表示する方法や、電子音を発生させる等の方法が挙げられる。
記憶させた温度tと炭酸ガス濃度D(mg/L)を液晶表示部11に表示する場合は、操作キー26によりmg/Lを選択した状態で操作キー25を押すと、操作者により炭酸ガス濃度D出力指示が入力されたこととなり、以下のステップS1を行う。なお、操作キー26によるmg/Lの選択は、操作キー25を押す前でも、同時でも、後でもよい。
ステップS1:ステップM1で記憶させた炭酸ガス濃度D(mg/L)を出力する。
本実施形態ではステップS1において、ステップM1で同時に記憶させた温度t、サンプル番号および取込日時と共に、炭酸ガス濃度D(mg/L)を液晶表示部11に表示(出力)する。
操作者が操作キー25を複数回押すと、各検体の測定値(炭酸ガス濃度と温度)とサンプル番号および取込日時を、サンプル番号1から順次表示(出力)する。
操作者が操作キー24を複数回押し、複数の検体について温度tと炭酸ガス濃度D(mg/L)等が測定値記憶部33に記憶された後、操作キー26によりmg/Lが選択されている状態で、プリンター、パーソナルコンピュータ等の外部機器をデータ出力端子12に接続すると、演算制御装置30は、これらの外部機器に、複数の検体についての温度tと炭酸ガス濃度D(mg/L)を、サンプル番号および取込日時とともに出力する。
この場合、操作キー26によりmg/Lを選択しつつ、外部機器をデータ出力端子12に接続する行為が、炭酸ガス濃度D出力指示となる。
[検体(気相)の測定]
検体(気相)の炭酸ガス濃度(体積%)を測定する場合、炭酸ガス電極1を、直接現場における検体に暴露してもよいが、より正確な測定を行うためには、図5に示すような専用の気体用セル60に検体(気体)を通気させた状態で測定を行うことが好ましい。気体用セル60は、底面から約50〜60mm上の内側に、リング状の凸部61を有しており、下部に接続した送気管70から検体が供給されるようになっている。
炭酸ガス電極1には、予めOリング42を下から30mmくらいのところに嵌め、純水で良く洗浄した後、水分を拭き取っておく。
そして、炭酸ガス電極1を、Oリング42が凸部61に軽くのる位置まで気体用セル60に挿入し、送気管70から検体を供給する。供給された検体は、排出口62から排出される。
送気管70から検体を供給しながら操作者が操作キー24を押すと、測定値取込指示が入力されたことになり、演算制御装置30は検体(液相)の測定の場合と同様に上記ステップM1を行う。その結果、取得した温度tと求めた炭酸ガス濃度D(mg/L)が、サンプル番号および取込日時と共に測定値記憶部33に記憶される。
ここで、炭酸ガス濃度D(mg/L)は、検体(気相)と気液平衡の関係にある液相中の溶存炭酸ガス濃度に相当する。
ステップM1を行う際、操作キー24により、炭酸ガス濃度の単位としていずれの単位が選択されていてもよい。mg/Lと%(体積%)のいずれが選択されていても、ステップM1で記憶させる炭酸ガス濃度の単位は、mg/Lである。
その他、ステップM1に関する事項は、検体(液相)の測定の場合と同様であるので、詳細な説明を省略する。
記憶させた温度tと炭酸ガス濃度D(mg/L)から、炭酸ガス濃度G(体積%)を液晶表示部11に表示する場合は、操作キー26により%(体積%)を選択した状態で操作キー25を押すと、操作者により炭酸ガス濃度G出力指示が入力されたこととなり、以下のステップT1〜T3を行う。なお、操作キー26による%(体積%)の選択は、操作キー25を押す前でも、同時でも、後でもよい。
ステップT1:ステップM1で記憶させた温度tにおけるブンゼン吸収係数を求める。
ステップT2:ステップM1で記憶させた炭酸ガス濃度D(mg/L)を、ステップT1で求めたブンゼン吸収係数を用いて、炭酸ガス濃度G(体積%)に換算する。
ステップT3:ステップT2により求めた炭酸ガス濃度G(体積%)を出力する。
常時運転に関する項で説明したように、ステップT1において、表1のような表に記載されていない温度tにおけるブンゼン吸収係数αCO2は、直線補間や近似式により求める。
また、ステップT2における炭酸ガス濃度D(mg/L)から炭酸ガス濃度G(体積%)への換算は、以下の式(8)により行う。
G(体積%)=D(mg/L)/(19.635 × αCO2 ) …(8)
本実施形態ではステップT3において、ステップM1で炭酸ガス濃度D(mg/L)と同時に記憶させた温度t、サンプル番号および取込日時と共に、炭酸ガス濃度G(体積%)を液晶表示部11に表示(出力)する。
操作者が操作キー25を複数回押すと、各検体の測定値(炭酸ガス濃度と温度)とサンプル番号および取込日時を、サンプル番号1から順次表示(出力)する。
操作者が操作キー24を複数回押し、複数の検体について温度tと炭酸ガス濃度D(mg/L)等が測定値記憶部33に記憶された後、操作キー24により体積%が選択されている状態で、プリンター、パーソナルコンピュータ等の外部機器をデータ出力端子12に接続すると、演算制御装置30は、これらの外部機器に、複数の検体についての温度tと換算により求めた炭酸ガス濃度G(体積%)を、サンプル番号および取込日時とともに出力する。
この場合、操作キー26により体積%を選択しつつ、外部機器をデータ出力端子12に接続する行為が、炭酸ガス濃度G出力指示となる。
なお、このとき、換算前の対応する炭酸ガス濃度D(mg/L)を併せて出力してもよい。
以上説明したように、本実施形態では、校正値取込指示と測定値取込指示が入力された際は、選択している単位にかかわらず、同じ内容のデータが演算制御装置30に記憶される。そのため、操作者は、校正時や測定時に、単位を気にする必要がない。
また、演算制御装置30には、温度に影響されない炭酸ガス濃度D(mg/L)と温度tが記憶されるので、最終的に液晶表示部11或いは外部機器に出力したいときまでに適切な単位を選択すれば、いつでも炭酸ガス濃度D(mg/L)を出力できるのは勿論、炭酸ガス濃度G(体積%)も、いつでも換算して出力できる。
また、換算に必要な温度は、従来電極の自動温度補償のためにのみ利用していた温度センサ8によって得られるので、炭酸ガス電極1として、特別な電極を用意する必要もない。
<第2実施形態>
[装置構成等]
本発明の第2実施形態に係る炭酸ガス濃度計の装置構成は、測定値記憶部33が、一以上の検体の測定時の温度t(℃)と標準温度における電位E(mV)を、当該検体の測定時における検量線を特定する情報と共に記憶できるようになっている他は、第1実施形態に係る炭酸ガス濃度計の装置構成と同じである。
ここで、「当該検体の測定時における検量線を特定する情報」とは、当該検体の測定時に検量線記憶部に記憶されている情報であって、そのときの検量線を特定できる情報のことで、例えば、以下の情報が挙げられる。
a.当該検体の測定時に検量線記憶部に記憶されている炭酸ガス濃度D(mg/L)及び電位E(mV)、並びに炭酸ガス濃度D(mg/L)及び電位E(mV)からなるデータセット。
b.当該検体の測定時に検量線記憶部に記憶されている検量線。
c.検量線記憶部が、炭酸ガス濃度D(mg/L)及び電位E(mV)、並びに炭酸ガス濃度D(mg/L)及び電位E(mV)からなるデータセットを、当該データセットを特定するデータセット番号と共に複数記憶できるようになっている場合の、当該検体の測定時に検量線記憶部に記憶されている最新のデータセットのデータセット番号。
d.検量線記憶部が、検量線を、当該検量線を特定する検量線番号と共に複数記憶できるようになっている場合の、当該検体の測定時に検量線記憶部に記憶されている最新の検量線番号。
なお、常時運転の態様、用いる標準試料および構成の態様も、第1実施形態に係る炭酸ガス濃度計と同じである。
[検体(液相)の測定]
本実施形態では、操作者が操作キー24を押すと、演算制御装置30は以下のステップM2を行う。
ステップM2:操作キー24が押されたときに取得した温度tと、操作キー24が押されたときのステップN1〜N2で求めた標準温度における電位En(mV)を測定値記憶部に記憶させる。
本実施形態では、温度tと標準温度における電位En(mV)、当該検体の測定時における検量線を特定する情報と共に、当該検体を特定する情報であるサンプル番号と取込日時も共に記憶される。
操作者が操作キー24を複数回押すと、その都度ステップM2を行う。例えば、5回押した場合、サンプル番号1〜5の各々について、温度tと標準温度における電位En(mV)と当該検体の測定時における検量線を特定する情報が、サンプル番号および取込日時と共に測定値記憶部33に記憶される。
ステップM2を行う間、操作キー24により、炭酸ガス濃度の単位としていずれの単位が選択されていてもよい。mg/Lと%(体積%)のいずれが選択されていても、ステップM2では、炭酸ガス濃度それ自体を記憶させるのではない。
ステップM2で温度tと標準温度における電位En(mV)等を記憶させるタイミングは、操作者が操作キー24を押したときであるが、操作者が操作キー24を押すのと完全に同時である場合に限られず、操作キー24を押した後、温度tと標準温度における電位En(mV)の値が安定したときであってもよい。
ステップM2のその他の事項は、ステップM1の場合と同様なので、詳細な説明を省略する。
記憶させた温度tと標準温度における電位En(mV)から、炭酸ガス濃度D(mg/L)を液晶表示部11に表示する場合は、操作キー26によりmg/Lを選択した状態で操作キー25を押すと、操作者により炭酸ガス濃度D出力指示が入力されたこととなり、以下のステップS2〜S3を行う。なお、操作キー26によるmg/Lの選択は、操作キー25を押す前でも、同時でも、後でもよい。
ステップS2:ステップM2で記憶させた標準温度における電位En(mV)に対応する炭酸ガス濃度D(mg/L)を、該ステップM2で記憶させた当該検体の測定時における検量線を特定する情報による検量線に基づき、求める。
ステップS3:ステップS2で求めた炭酸ガス濃度D(mg/L)を出力する。
本実施形態ではステップS3において、ステップM1で同時に記憶させた温度tおよびサンプル番号および取込日時と共に、炭酸ガス濃度D(mg/L)を液晶表示部11に表示(出力)する。
操作者が操作キー25を複数回押すと、各検体の測定値(炭酸ガス濃度と温度)とサンプル番号および取込日時を、サンプル番号1から順次表示(出力)する。
操作者が操作キー24を複数回押し、複数の検体について温度tと標準温度における電位En(mV)等が測定値記憶部33に記憶された後、操作キー26によりmg/Lが選択されている状態で、プリンター、パーソナルコンピュータ等の外部機器をデータ出力端子12に接続すると、演算制御装置30は、これらの外部機器に、複数の検体についての温度tと炭酸ガス濃度D(mg/L)を、サンプル番号および取込日時とともに出力する。なお、当該検体の測定時における検量線を特定する情報を同時に出力してもよい。
この場合、操作キー26によりmg/Lを選択しつつ、外部機器をデータ出力端子12に接続する行為が、炭酸ガス濃度D出力指示となる。
[検体(気相)の測定]
本実施形態では、送気管70から検体を供給しながら操作者が操作キー24を押すと、測定値取込指示が入力されたことになり、演算制御装置30は検体(液相)の測定の場合と同様に上記ステップM2を行う。その結果、取得した温度tと標準温度における電位E(mV)と当該検体の測定時における検量線を特定する情報が、サンプル番号および取込日時と共に測定値記憶部33に記憶される。
ステップM2を行う際、操作キー24により、炭酸ガス濃度の単位としていずれの単位が選択されていてもよい。ステップM2に関する事項は、検体(液相)の測定の場合と同様であるので、詳細な説明を省略する。
記憶させた温度tと標準温度における電位En(mV)から、炭酸ガス濃度G(体積%)を液晶表示部11に表示する場合は、操作キー26により%(体積%)を選択した状態で操作キー25を押すと、操作者により炭酸ガス濃度G出力指示が入力されたこととなり、以下のステップT4〜T7を行う。なお、操作キー26による%(体積%)の選択は、操作キー25を押す前でも、同時でも、後でもよい。
ステップT4:ステップM2で記憶させた標準温度における電位En(mV)に対応する炭酸ガス濃度D(mg/L)を、該ステップM2で記憶させた当該検体の測定時における検量線を特定する情報による検量線に基づき、求める。
ステップT5:ステップM2で記憶させた温度tにおけるブンゼン吸収係数を求める。
ステップT6:ステップT4で求めた炭酸ガス濃度D(mg/L)を、ステップT5で求めたブンゼン吸収係数を用いて、炭酸ガス濃度G(体積%)に換算する。
ステップT7:ステップT6により求めた炭酸ガス濃度G(体積%)を出力する。
本実施形態ではステップT7において、ステップM2で標準温度における電位En(mV)と同時に記憶させた温度t、サンプル番号および取込日時と共に、炭酸ガス濃度G(体積%)を液晶表示部11に表示(出力)する。
操作者が操作キー25を複数回押すと、各検体の測定値(炭酸ガス濃度と温度)とサンプル番号および取込日時を、サンプル番号1から順次表示(出力)する。
操作者が操作キー24を複数回押し、複数の検体について温度tと標準温度における電位En(mV)等が測定値記憶部33に記憶された後、操作キー24により体積%が選択されている状態で、プリンター、パーソナルコンピュータ等の外部機器をデータ出力端子12に接続すると、演算制御装置30は、これらの外部機器に、複数の検体についての温度tと換算により求めた炭酸ガス濃度G(体積%)を、サンプル番号および取込日時とともに出力する。なお、当該検体の測定時における検量線を特定する情報を同時に出力してもよい。
この場合、操作キー26により体積%を選択しつつ、外部機器をデータ出力端子12に接続する行為が、炭酸ガス濃度G出力指示となる。
なお、このとき、換算前の対応する炭酸ガス濃度D(mg/L)を併せて出力してもよい。
以上説明したように、本実施形態では、校正値取込指示と測定値取込指示が入力された際は、選択している単位にかかわらず、同じ内容のデータが演算制御装置30に記憶される。そのため、操作者は、校正時や測定時に、単位を気にする必要がない。
また、演算制御装置30には、温度に影響されない標準温度における電位En(mV)と温度tが記憶されるので、最終的に液晶表示部11或いは外部機器に出力したいときまでに適切な単位を選択すれば、いつでも炭酸ガス濃度D(mg/L)を出力できるのは勿論、炭酸ガス濃度G(体積%)も、いつでも換算して出力できる。
また、換算に必要な温度は、従来電極の自動温度補償のためにのみ利用していた温度センサ8によって得られるので、炭酸ガス電極1として、特別な電極を用意する必要もない。
<他の実施形態>
上記実施形態では、演算制御装置が濃度計本体に総て内蔵された構成としたが、演算制御装置の一部又は全部は、炭酸ガス電極に内蔵させてもよい。
また、炭酸ガス電極と濃度計本体は、リード線で直接接続されていなくても、無線により接続されていてもよい。
また、測定値取込指示は、検体毎に入力せず、複数の指示を一括して入力することもできる。また、指示を予約入力してもよい。例えば、24時間後から1時間に12回測定値を取込むように入力してもよい。
また、上記実施形態では、標準試料A(高濃度側)、標準試料B(低濃度側)の炭酸ガス濃度(mg/L)が各々予め決められている態様を示したが、標準試料の炭酸ガス濃度(mg/L)を任意に選択したい場合は、例えば演算制御装置30にテンキーを設け、炭酸ガス濃度(mg/L)の数値を操作者が手入力できるようにすればよい。
また、手入力する場合は、必ずしもmg/L単位の数値を入力する必要はなく、対応する気相の標準温度における炭酸ガス濃度(体積%)、対応する気相のそのときの温度における炭酸ガス濃度(体積%)等、炭酸ガス濃度D(mg/L)及び炭酸ガス濃度D(mg/L)を特定できる情報であればよい。
また、上記実施形態では、検量線記憶部が、炭酸ガス濃度D(mg/L)に対応する標準温度(本実施形態では25℃)の電位E(mV)、並びに炭酸ガス濃度D(mg/L)に対応する標準温度の電位E(mV)からなるデータセットと、このデータセットから求められる炭酸ガス濃度D(mg/L)と標準温度における電位E(mV)との関係を示す検量線の双方を記憶する態様としたが、検量線記憶部は検量線を特定する情報を記憶していれば良いので、例えば、前記データセットのみを記憶させても、当該データセットから求めた検量線のみを記憶させてもよい。なお、前記データセットのみを記憶させた場合、検量線は、使用の都度前記データセットから求めればよい。
また、上記実施形態では、液体の標準試料A、Bを用いて校正する態様を示したが、現場で標準ガスが得られる場合は、標準ガスを用いて構成することができる。その場合、図5に示す気体用セル60を用いて校正する。標準ガスの濃度を体積%で入力しても、演算制御装置30は、上述の式(11)により炭酸ガス濃度D(mg/L)及び炭酸ガス濃度D(mg/L)を特定して、認識することができる。
また、上記実施形態の炭酸ガス濃度計を用いて、検体(液相)中の炭酸イオン及び炭酸水素イオンの測定を行うこともできる。これらのイオンは、そのままでは、炭酸ガス電極1で検知できない。そのため、これらのイオンの全量が炭酸ガスに変化するように、検体のpHを4以下に低下させれば、これらのイオンを測定することができる。
また、上記実施形態では、温度センサがセンサボディー内に収容された構成としたが、例えば、温度センサがセンサボディーの側面に設けられた態様や、センサボディーと併設されている態様の炭酸ガス電極を採用してもよい。
また、上記実施形態では、標準温度を25℃としたが、25℃以外の温度を標準温度としてもよい。
本発明の炭酸ガス濃度計は、例えば、施設栽培における炭酸ガス濃度の計測と制御、果物の炭酸ガス封入貯蔵における濃度管理、燃焼ガス中の炭酸ガス濃度の測定、炭酸飲料水中の含有炭酸ガス濃度測定、各所製造原料中の炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムの測定等、幅広い分野に利用が可能である。
1…炭酸ガス電極、2…センサボディー、3…隔膜、4…内部液、5…ガラス電極、
6…比較電極、7…pHセンサ、8…温度センサ、9…リード線、
10…濃度計本体、11…液晶表示部、12…データ入出力端子、
20…操作部、21〜27…操作キー、30…演算制御装置、
31…演算処理部、32…検量線記憶部、33…測定値記憶部、34…変換器、
40…液体用セル、50…マグネチックスターラー、60…気体用セル、
70…送気管

Claims (2)

  1. 炭酸ガス電極と、該炭酸ガス電極の出力が入力される演算制御装置と、操作者が前記演算制御装置に各種情報と指示を入力する操作部とを有する炭酸ガス濃度計であって、
    前記炭酸ガス電極は、筒状のセンサボディーと、該センサボディーの一端部を水密に封止する気体透過性の隔膜と、前記センサボディー内に収容された内部液と、該内部液に浸漬されたpHセンサと、温度センサとを備え、前記演算制御装置に、pHセンサの電位E(mV)と温度センサによって測定した温度t(℃)を出力するように構成され、
    前記演算制御装置は、炭酸ガス濃度D(mg/L)と標準温度における電位E(mV)との関係を示す検量線を特定する情報を記憶する検量線記憶部と、一以上の検体の測定時の温度t(℃)と炭酸ガス濃度D(mg/L)とを記憶する測定値記憶部と、該演算制御装置全体の動作を統括すると共に各種演算を行う演算処理部を備え、
    前記演算処理部は、以下のステップN1〜N3を常時行い、前記操作部から測定値取込指示が入力されたときに、以下のステップM1を行い、また、前記操作部から炭酸ガス濃度D出力指示が入力されたときに以下のステップS1を行い、また、前記操作部から炭酸ガス濃度G出力指示が入力されたときに以下のステップT1〜T3を行うと共に、
    前記操作部から標準試料Aの炭酸ガス濃度D (mg/L)を特定する情報と校正値取込指示が入力されたときに、以下のステップA1を行い、次いで前記操作部から標準試料Bの炭酸ガス濃度D (mg/L)を特定する情報と校正値取込指示が入力されたときに、以下のステップB1を行い(但し、D ≠D )、その後ステップC1を行うことを特徴とする炭酸ガス濃度計。
    ステップN1:温度tとpHセンサの電位Eの現在値を前記炭酸ガス電極から取得する。
    ステップN2:取得した温度tに基づき、取得したpHセンサの電位Eを標準温度における電位En(mV)に換算する。
    ステップN3:検量線記憶部の検量線を特定する情報による検量線に基づき、標準温度における電位En(mV)に対応する炭酸ガス濃度D(mg/L)を求める。
    ステップM1:測定値取込指示がされたときに取得した温度tと、測定値取込指示がされたときにステップN1〜N3で求めた炭酸ガス濃度D(mg/L)を測定値記憶部に記憶させる。
    ステップS1:ステップM1で記憶させた炭酸ガス濃度D(mg/L)を出力する。
    ステップT1:ステップM1で記憶させた温度tにおけるブンゼン吸収係数を求める。
    ステップT2:ステップM1で記憶させた炭酸ガス濃度D(mg/L)を、ステップT1で求めたブンゼン吸収係数を用いて、炭酸ガス濃度G(体積%)に換算する。
    ステップT3:ステップT2により求めた炭酸ガス濃度G(体積%)を出力する。
    ステップA1:校正値取込指示がされたときにステップN1〜N2で求めた標準温度における電位En(mV)を、炭酸ガス濃度D (mg/L)に対応する電位E (mV)として、炭酸ガス濃度D (mg/L)と共に検量線記憶部に記憶させる。
    ステップB1:校正値取込指示がされたときにステップN1〜N2で求めた標準温度における電位En(mV)を、炭酸ガス濃度D (mg/L)に対応する電位E (mV)として、炭酸ガス濃度D (mg/L)と共に検量線記憶部に記憶させる。
    ステップC1:検量線記憶部に記憶させた炭酸ガス濃度D (mg/L)及び電位E (mV)、並びに炭酸ガス濃度D (mg/L)及び電位E (mV)を用い、炭酸ガス濃度D(mg/L)と標準温度における電位E (mV)との関係を示す検量線を求める。
  2. 炭酸ガス電極と、該炭酸ガス電極の出力が入力される演算制御装置と、操作者が前記演算制御装置に各種情報と指示を入力する操作部とを有する炭酸ガス濃度計であって、
    前記炭酸ガス電極は、筒状のセンサボディーと、該センサボディーの一端部を水密に封止する気体透過性の隔膜と、前記センサボディー内に収容された内部液と、該内部液に浸漬されたpHセンサと、温度センサとを備え、前記演算制御装置に、pHセンサの電位E(mV)と温度センサによって測定した温度t(℃)を出力するように構成され、
    前記演算制御装置は、炭酸ガス濃度D(mg/L)と標準温度における電位E(mV)との関係を示す検量線を特定する情報を記憶する検量線記憶部と、一以上の検体の測定時の温度t(℃)と標準温度における電位E(mV)を、当該検体の測定時における検量線を特定する情報と共に記憶する測定値記憶部と、該演算制御装置全体の動作を統括すると共に各種演算を行う演算処理部を備え、
    前記演算処理部は、以下のステップN1〜N2を常時行い、前記操作部から測定値取込指示が入力されたときに、以下のステップM2を行い、また、前記操作部から炭酸ガス濃度D出力指示が入力されたときに以下のステップS2〜S3を行い、また、前記操作部から炭酸ガス濃度G出力指示が入力されたときに以下のステップT4〜T7を行うと共に、
    前記操作部から標準試料Aの炭酸ガス濃度D (mg/L)を特定する情報と校正値取込指示が入力されたときに、以下のステップA1を行い、次いで前記操作部から標準試料Bの炭酸ガス濃度D (mg/L)を特定する情報と校正値取込指示が入力されたときに、以下のステップB1を行い(但し、D ≠D )、その後ステップC1を行うことを特徴とする炭酸ガス濃度計。
    ステップN1:温度tとpHセンサの電位Eの現在値を前記炭酸ガス電極から取得する。
    ステップN2:取得した温度tに基づき、取得したpHセンサの電位Eを標準温度における電位En(mV)に換算する。
    ステップM2:測定値取込指示がされたときに取得した温度tと、測定値取込指示がされたときにステップN1〜N2で求めた標準温度における電位En(mV)を、当該検体の測定時における検量線を特定する情報と共に測定値記憶部に記憶させる。
    ステップS2:ステップM2で記憶させた標準温度における電位En(mV)に対応する炭酸ガス濃度D(mg/L)を、該ステップM2で記憶させた当該検体の測定時における検量線を特定する情報による検量線に基づき、求める。
    ステップS3:ステップS2で求めた炭酸ガス濃度D(mg/L)を出力する。
    ステップT4:ステップM2で記憶させた標準温度における電位En(mV)に対応する炭酸ガス濃度D(mg/L)を、該ステップM2で記憶させた当該検体の測定時における検量線を特定する情報による検量線に基づき、求める。
    ステップT5:ステップM2で記憶させた温度tにおけるブンゼン吸収係数を求める。
    ステップT6:ステップT4で求めた炭酸ガス濃度D(mg/L)を、ステップT5で求めたブンゼン吸収係数を用いて、炭酸ガス濃度G(体積%)に換算する。
    ステップT7:ステップT6により求めた炭酸ガス濃度G(体積%)を出力する。
    ステップA1:校正値取込指示がされたときにステップN1〜N2で求めた標準温度における電位En(mV)を、炭酸ガス濃度D (mg/L)に対応する電位E (mV)として、炭酸ガス濃度D (mg/L)と共に検量線記憶部に記憶させる。
    ステップB1:校正値取込指示がされたときにステップN1〜N2で求めた標準温度における電位En(mV)を、炭酸ガス濃度D (mg/L)に対応する電位E (mV)として、炭酸ガス濃度D (mg/L)と共に検量線記憶部に記憶させる。
    ステップC1:検量線記憶部に記憶させた炭酸ガス濃度D (mg/L)及び電位E (mV)、並びに炭酸ガス濃度D (mg/L)及び電位E (mV)を用い、炭酸ガス濃度D(mg/L)と標準温度における電位E (mV)との関係を示す検量線を求める。
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