JP4322555B2 - 残留塩素濃度測定方法及び残留塩素濃度測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般には、作用極と対極とを備えた検出電極を用いて残留塩素還元電流を検出し、試料液(検水)中の残留塩素の濃度を検出する、所謂、ポーラログラフ法を利用した残留塩素濃度測定装置による残留塩素濃度測定方法、及び残留塩素濃度測定装置に関するものであり、特に、検出電極として隔膜を有しておらず作用極と対極とが直接検水に接触する露出型残留塩素電極を備えた残留塩素濃度測定装置による残留塩素濃度測定方法、及び残留塩素濃度測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、検水中の残留塩素濃度を検出するために、所謂、ポーラログラフ法を用いる検出電極、即ち、残留塩素電極にて、残留塩素の還元電流を測定することが行われている。
【0003】
斯かる残留塩素電極を備えた残留塩素濃度測定装置は、例えばプール水、水道水(上水)中の残留塩素濃度測定に利用される。又、例えばカット野菜、果実などの食料品の洗浄、殺菌のために、次亜塩素酸ナトリウムを水道水又は地下水で希釈した塩素濃度の比較的濃い塩素殺菌液(約200mg/L)が用いられるが、この洗浄、殺菌の前後においてシンクなどに入った洗浄、殺菌液の残留塩素を測定するために上記残留塩素濃度測定装置が利用される。
【0004】
残留塩素電極としては、(a)作用極及び対極を隔膜によって検水から隔離して、電極内空間に電解液を満たしてこれに作用極と対極とを浸漬する隔膜型残留塩素電極と、(b)作用極及び対極のそれぞれの少なくとも一部が検水に接する露出型残留塩素電極がある。
【0005】
隔膜型残留塩素電極は、隔膜を透過したガスが電解液のpHを変化させるような場合には誤差を生じるが、基本的には検水のpH、EC(電気伝導率)等の影響を受けないという利点を有している。しかし、隔膜型残留塩素電極には、次のような問題がある。(i)定期的に電解液、隔膜の交換が必要であると共に、その際に電極内に気泡を入れぬよう熟練が必要であり、保守が煩雑である。(ii)隔膜を透過した残留塩素を測定するため、応答性が悪い。(iii)電極出力が安定するまで、半日程度放置する必要があり、保守後の応答性が悪い。(iv)物理的な汚れが隔膜に付着すると、ガスの透過量が落ちることにより誤差を生じ、しかも上記のように隔膜の交換は煩雑であり保守性が悪い。(v)電解液を検水に流出させぬよう、隔膜部にシール構造が必要であり、構造が複雑である。
【0006】
これに対して、露出型残留塩素電極は、次のような利点を有している。(i)作用極と対極とが剥き出しになっているため洗浄が容易であり、保守が簡単である。(ii)残留塩素が直接作用極に到達するため、応答性が良い。(iii)保守(洗浄)後であっても直ぐに測定でき、保守後の応答性が良い。(iv)作用極又は対極に汚れが付着すると電気抵抗の変化のために誤差を生じることがあるが、上記のように洗浄が容易であり保守性が良い。(v)実質的に作用極と対極だけで構成できるため、構造が簡単である。
【0007】
このように、露出型残留塩素電極は、保守性、応答性、構造の簡易性等の点で、隔膜型電極に対して優れている。
【0008】
ところで、通常、残留塩素電極は、使用することにより作用極及び/又は対極の消耗などによって、電極感度が変化する。そのため、従来、一般には、所定の濃度の残留塩素を含有する標準液を調製し、これに対する電極出力を測定することで電極の感度変化を求めて校正を行っている。
【0009】
しかし、残留塩素は化学的に不安定な物質であり、常に一定濃度の標準液を調製することは困難である。従って、正確に校正を行うためには、調製した標準液の残留塩素濃度を決定する必要があるが、そのためには比色法などの他の分析法を用いなければならない。加えて、残留塩素は、濃度の経時変化が大きいため、標準液をまとめて調製して保管することが困難であり、校正の都度調製しなければならず、校正操作は極めて煩雑である。
【0010】
特許文献1は、校正を容易とした残留塩素計を提案している。即ち、特許文献1は、所定の濃度の残留塩素を含む校正標準液を用いる代わりに、大気中の酸素濃度に基づいてスパン校正を行うことを開示している。しかし、斯かる先行技術は、隔膜型残留塩素電極に関するものであり、対極や電解液の消耗による感度変化を校正することを開示しているが、検水の水質(pH、EC、汚れ等)の影響による感度変化を校正することについては何ら示していない。
【0011】
【特許文献1】
特開2002−116182号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、露出型残留塩素電極は、隔膜型残留塩素電極と比較して、保守性、応答性、構造の簡易性の点で多くの利点を有しているが、以下のような問題点を有する。
【0013】
露出型残留塩素電極は、隔膜を有しておらず、作用極と対極とが直接検水に接触するため、検水の水質(pH、EC、汚れ等)が変化すると、その影響が電極出力に現れる。
【0014】
このため、作用極及び/又は対極の消耗、汚れの付着等によって電極感度が変化していなくても、検水の水質の影響で電極感度は変化する。
【0015】
又、露出型残留塩素電極では、従来一般に行われているように残留塩素を含有する標準液を用いて感度校正を行うと、残留塩素の化学的な不安定さに起因する上述のような煩雑さ、正確性等における問題に加えて、検水の水質が標準液と異なっている場合に、斯かる標準液にて感度校正を行ったとしても検水の水質の影響により測定値に誤差を生じるという問題がある。
【0016】
この問題に対処するには、検水と同じ水質条件の正確な標準液を調製することが考えられるが、このような標準液を調製することは極めて困難であり、現実的でない。
【0017】
そこで、先ず、検水の残留塩素濃度を他の分析方法により測定して、この濃度に電極出力を合わせ込むことで検水の水質の影響をキャンセルし、その後の残留塩素濃度を電極の出力によって測定することが行われる。
【0018】
しかし、このような方法によれば、正確な校正が可能ではあるが、操作が煩雑であるばかりでなく、校正に多大な時間を要する。そのため、様々な検水に即時対応可能であり、更には携帯性の良い簡易な装置を実現する上では問題である。
【0019】
尚、上記特許文献1に開示される大気中の酸素濃度に基づいて電極感度をスパン校正する方法は、電極内に満たされた電解液で作用極と対極とが電気的に導通している隔膜型電極に対してのみ適用できるものであり、又、以上のような露出型残留塩素電極について固有の問題点を解決することはできない。
【0020】
従って、本発明の目的は、作用極と対極とが直接検水に接触する露出型残留塩素電極の出力を、校正時に残留塩素を含有する標準液或いは他の分析方法を用いることなく、簡易に校正して測定を行うことのできる残留塩素濃度測定方法及び残留塩素濃度測定装置を提供することである。
【0021】
本発明の他の目的は、作用極と対極とが直接検水に接触する露出型残留塩素電極の感度の、検水の水質の影響による変化を簡易に校正することができると共に、作用極及び/又は対極の消耗、汚れの付着等による変動をも簡易に校正して測定を行うことのできる残留塩素濃度測定方法及び残留塩素濃度測定装置を提供することである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記目的は本発明に係る残留塩素濃度測定方法及び残留塩素濃度測定装置にて達成される。要約すれば、第1の本発明は、作用極及び対極を具備する検出電極と、前記作用極と前記対極との間に流れる電流を検出する電流検出手段と、を有し、前記作用極及び前記対極のそれぞれの少なくとも一部を検水に接触させて、前記作用極と前記対極との間の残留塩素還元電流を検出して検水中の残留塩素濃度を求める残留塩素濃度測定装置による残留塩素濃度測定方法において、(a)予め求められた前記検出電極の残留塩素検出感度と溶存酸素検出感度との相関と、前記検出電極の当初の残留塩素検出感度と、に基づいて前記検出電極の当初の溶存酸素検出感度を求め、(b)前記作用極と前記対極との間に酸素還元電圧を印加し、溶存酸素を飽和させた検水に対する前記作用極と前記対極との間の酸素還元電流を検出すると共に、検水の温度を検出し、飽和溶存酸素濃度と液温との関係から検水中の溶存酸素濃度を求めて検水に対する前記検出電極の溶存酸素検出感度を求め、(c)前記検出電極の当初の溶存酸素検出感度と、検水に対する前記検出電極の溶存酸素検出感度と、の相関を求めて、該相関に基づいて前記検出電極の当初の残留塩素検出感度から検水に対する前記検出電極の残留塩素検出感度を求める、各段階を含み、前記(a)〜(c)の各段階により求めた検水に対する前記検出電極の残留塩素検出感度と、前記残留塩素還元電流の検出結果とから、検水中の残留塩素濃度を求めることを特徴とする残留塩素濃度測定方法である。
【0024】
第1の本発明の一実施態様によると、残留塩素濃度測定方法は更に、(i)前記検出電極の残留塩素検出感度と溶存酸素検出感度との相関を示す情報、(ii)前記飽和溶存酸素濃度と液温との関係を示す情報、及び(iii)前記作用極と前記対極との間に残留塩素還元電圧を印加し、所定の濃度の残留塩素を含有する標準液に対する前記作用極と前記対極との間の残留塩素還元電流を検出して求めた前記検出電極の前記当初の残留塩素検出感度を示す情報を、前記残留塩素濃度測定装置が備える記憶手段に記憶させる段階を含む。
【0025】
又、第1の本発明の一実施態様によると、残留塩素濃度測定方法は更に、求められた前記検水に対する前記検出電極の残留塩素検出感度を示す情報を前記残留塩素濃度測定装置が備える記憶手段に記憶させる段階を含む。
【0026】
第2の本発明によると、作用極及び対極を具備する検出電極と、前記作用極と前記対極との間に流れる電流を検出する電流検出手段と、を有し、前記作用極及び前記対極のそれぞれの少なくとも一部を検水に接触させて、前記作用極と前記対極との間の残留塩素還元電流を検出して検水中の残留塩素濃度を求める残留塩素濃度測定装置において、前記作用極と前記対極との間に残留塩素還元電圧又は酸素還元電圧を選択的に印加する電圧印加手段と;溶存酸素を飽和させた検水に対する、前記作用極と前記対極との間に酸素還元電圧を印加した際の前記作用極と前記対極との間の酸素還元電流の検出値に基づいて、検水に対する前記検出電極の残留塩素検出感度を求める演算手段と;前記検出電極が接触する検水の温度を検出する温度検出手段と;前記検出電極の残留塩素検出感度と溶存酸素検出感度との相関を示す第1の情報、飽和溶存酸素濃度と液温との関係を示す第2の情報、及び前記検出電極の当初の残留塩素検出感度を示す第3の情報を記憶するための記憶手段と;を有し、前記演算手段は、前記第1の情報及び前記第3の情報に基づいて算出される前記検出電極の当初の溶存酸素検出感度と、前記作用極と前記対極との間の酸素還元電流の検出値、前記温度検出手段による検水温度の検出値、及び前記第2の情報に基づいて算出される検水に対する前記検出電極の溶存酸素検出感度と、の相関を求めて、該相関に基づいて、前記第3の情報から検水に対する前記検出電極の残留塩素検出感度を求め、又、前記演算手段は、求めた検水に対する前記検出電極の残留塩素検出感度と、前記残留塩素還元電流の検出結果とから、検水中の残留塩素濃度を求めることを特徴とする残留塩素濃度測定装置が提供される。
【0028】
第2の本発明の一実施態様によると、残留塩素濃度測定装置は更に、前記記憶手段に対する情報の書き込み手段を有し、該書き込み手段は、前記演算手段が求めた検水に対する前記検出電極の残留塩素検出感度を示す情報を、前記記憶手段に記憶させる。
【0029】
第2の本発明の他の実施態様によると、前記検出電極は装置本体に対して着脱可能であり、前記残留塩素濃度測定装置は、前記記憶手段として、装置本体に取り付けられた第1の記憶手段と、前記検出電極又は前記検出電極を装置本体に対して接続するためのコネクタ若しくはケーブルに取り付けられた第2の記憶手段と、を有し、少なくとも前記第1の情報及び前記第2の情報は前記第1の記憶手段に記憶され、少なくとも前記第3の情報は前記第2の記憶手段に記憶される。そして、一実施態様では、残留塩素濃度測定装置は更に、前記第2の記憶手段に対する情報の書き込み手段を有し、該書き込み手段は、前記演算手段が求めた検水に対する前記検出電極の残留塩素検出感度を示す情報を、前記第2の記憶手段に記憶させる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る残留塩素濃度測定方法及び残留塩素濃度測定装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0031】
図1に本発明を適用し得る残留塩素濃度測定装置の一実施例を示す。残留塩素濃度測定装置1は、ポーラログラフ法を用いる検出電極、即ち、残留塩素電極10と、この残留塩素電極10からの信号を処理し、表示する装置本体20とを備え、残留塩素電極10はケーブル16を介してコネクタ17にて装置本体20に着脱自在に接続される。
【0032】
図2をも参照すると、残留塩素電極10がより詳しく示されており、本実施例では、残留塩素電極10は、電極本体11に保持された、検出部たる中空の概略細長円筒形状の電極支持体12に作用極13と対極14とを有している。残留塩素電極10は、露出型残留塩素電極であり、作用極13及び対極14は、その少なくとも一部が、電極支持体12の外表面に露出し、検水に接触するようになっている。
【0033】
本実施例では、作用極13は金又は白金とされ、対極14には、銀又は銀・塩化銀を使用する。作用極13は、ロッド形状のものを電極支持体12の外周壁に圧入して取り付けるか、或いは接着、注型により取り付けることができる。一方、対極14は、例えば、線状電極部材を電極支持体12の外周面に螺旋状に巻き付けることにより設けることができる。
【0034】
作用極13及び対極14には、それぞれリード線13a、14aの一端が接続され、これらリード線13a、14aの他端は、電極支持体12の中心穴12a内を通って、電極本体11内に設けられた配線用プリント基板(図示せず)に接続され、ケーブル16、コネクタ17の対応する接点17aを介して装置本体20に接続される。
【0035】
又、電極支持体12の中心穴12a内には、サーミスタや白金測温体のような温度検出手段たる温度測定素子15が配置され、リード線15aにより上記配線用プリント基板(図示せず)に接続され、ケーブル16、コネクタ17の対応する接点17aを介して装置本体20に接続される。
【0036】
図3をも参照すると、本実施例の残留塩素濃度測定装置1の概略制御ブロックが示されている。装置本体20は、装置動作を統括制御する本実施例ではマイクロコンピュータとされる演算制御手段21、演算制御手段21が従う後述の残留塩素濃度測定手順及び校正手順を示すプログラム、及び各種データを記憶するための第1の記憶手段22、電源23から電力が供給されて作用極13と対極14との間に演算制御手段21の指示に従い所定の電圧を印加する電圧印加手段24、作用極13と対極14との間に流れる電流を検出して検出信号を演算制御手段21に入力する電流検出手段(電流計)25、電流検知手段25からの入力信号に応じて演算制御手段21が演算処理することで求めた残留塩素濃度の測定結果、装置状態等を表示するための本実施例では液晶表示パネルとされる表示部26、残留塩素濃度測定動作・校正動作の開始/停止、各種データの入力等を行うための入力手段たる操作部27を有する。
【0037】
本実施例では、電圧印加手段24は、詳しくは後述するように、演算制御手段21の指示により、作用極13と対極14との間に、残留塩素を測定できる印加電圧、即ち、所定の残留塩素還元電圧(測定用印加電圧;通常、−200mV〜+100mV。本実施例では−100mV)、又は溶存酸素を測定できる印加電圧、即ち、所定の酸素還元電圧(校正用印加電圧;通常、−450mV〜−650mV。本実施例では−550mV)を選択的に切り替えて印加できるようになっている。そして、電流検出手段25は、作用極13と対極14との間に上記所定の残留塩素還元電圧を印加した際の残留塩素電極10の出力(以下「残留塩素検出出力」という。)と、作用極13と対極14との間に上記所定の酸素還元電圧を印加した際の残留塩素電極10の出力(以下「溶存酸素検出出力」という。)を、演算制御手段21に入力する。
【0038】
又、本実施例では、残留塩素電極10には、後述するように残留塩素電極10の感度校正のために必要なデータを記憶するための第2の記憶手段18が設けられている。第2の記憶手段18は、本実施例では、残留塩素電極10を装置本体20に接続するためのケーブル16の先端に取り付けられたコネクタ17内に設けられたメモリ回路とされる。別法として、第2の記憶手段18は、図6に示すように、残留塩素電極10の電極本体11内で、例えば上記配線用プリント基板等の上に設けてもよい。
【0039】
第2の記憶手段18としては、EEPROM、フラッシュメモリー、電池バックアップ突きRAM、EPROM、更にはワンタイムROM等を使用することができる。
【0040】
残留塩素電極10が適正に装置本体20に接続されると、装置本体20に設けられた電圧印加手段24、電流検出手段25は、残留塩素電極10の作用極13、対極14に接続されたリード線13a、14aと接続される。又、同様に残留塩素電極10が適正に装置本体20に接続されると、温度測定素子15に接続されたリード線15aは、装置本体20が備えるインターフェイス(図示せず)を介して演算制御手段21の入力に接続され、更に第2の記憶手段18は演算制御手段21と通信可能となる。本実施例では、装置本体20は、第2の記憶手段18に対する情報の読み込み/書き込み手段(図示せず)を備え、情報の読み込み/書き込みができるようになっている。
【0041】
残留塩素濃度の測定時には、残留塩素電極10を、例えばプール、池、或いはカット野菜などの食料品の洗浄、殺菌液の入ったシンク等の所望の測定箇所、或いはビーカーやバケツなどに採水された検水中に浸漬する。操作部27に設けられた測定開始キーを押すと、演算制御手段21の指示により、電圧印加手段23から作用極13と対極14との間に所定の残留塩素還元電圧、本実施例では−100mVが印加される。そして、このとき作用極13における検水中の残留塩素の還元反応、対極14における銀の酸化反応により、検水の残留塩素濃度に応じて作用極13と対極14との間に流れる残留塩素還元電流を、電流検出手段25によって検出する。演算制御手段21は、電流検出手段25から入力された検出電流値を、詳しくは後述するような、利用可能な検水に対する残留塩素電極10の残留塩素濃度検出感度情報に基づいて検水中の残留塩素濃度を示す信号に変換する。そして、演算制御手段21は、求めた残留塩素濃度を表示するための信号を表示部26に送信し、表示部26にて表示させる。又、測定結果は、装置本体20が備えるか或いは装置本体20に通信可能に接続されたプリンターを介して印字し出力してもよい。
【0042】
前述のように、作用極13と対極14とが直接検水に接触する露出型残留塩素電極は、検水の水質(pH、EC、汚れ等)が変化すると、その影響が電極の出力に現れ、作用極13及び/又は対極14の消耗或いは汚れの付着等によって電極感度が変化していなくても、検水の水質の影響で電極感度が変化する。
【0043】
従って、電極の感度校正を行う必要があるが、従来一般的に行われている所定の濃度の残留塩素を含有する標準液を用いた校正方法では、標準液の不安定さに起因する煩雑さ、正確性の問題に加えて、対象の検水と標準液とで水質が異なる場合に、測定値に誤差を生じるという問題がある。
【0044】
そこで、本発明によれば、校正時に残留塩素電極10によって検水の飽和溶存酸素濃度を測定することで、残留塩素検出感度に変換し、残留塩素電極10の感度校正を行う。
【0045】
図5を参照して説明すると、本発明者らは、多くの実験研究を通して、(i)所定の濃度の残留塩素を含有する残留塩素標準液を用いて測定した残留塩素検出出力の検量線の傾き(即ち、残留塩素検出感度)A[μA/mg/L](図5(a))と、(ii)同標準液にエアバブリング(空気曝気)を行い溶存酸素を飽和させたものを用いて測定した溶存酸素検出出力の検量線の傾き(即ち、溶存酸素検出感度)B[μA/mg/L](図5(b))と、の間に略一定の比例関係(B=αA;αは相関係数)が成立することを見出した。
【0046】
このため、例えば製品工場出荷時に、残留塩素標準液に対する残留塩素電極10の当初の残留塩素検出感度A(図5(a))を測定しておけば、これに上記相関係数αを乗じることにより、残留塩素電極10の計算上の当初の溶存酸素検出感度B(図5(b))を求めることができる。
【0047】
そして、残留塩素濃度の測定が所望される対象の検水に対する残留塩素電極10の感度校正に際しては、検水(残留塩素濃度未知)にエアバブリングを行い溶存酸素を飽和させ、作用極13と対極14との間に所定の酸素還元電圧を印加して溶存酸素検出出力を測定すると共に、その検水の液温を測定してその液温から求められる飽和溶存酸素濃度を求め、検水に対する残留塩素電極10の溶存酸素検出感度C[μA/mg/L](図5(c))を実測する。ここで求められた溶存酸素検出感度Cは、検水の水質(pH、EC、汚れ等)の影響を含んだ値となる。
【0048】
これにより、残留塩素標準液に対する当初の残留塩素検出感度Aから求めた計算上の当初の溶存酸素検出感度Bと、検水に対して実測した溶存酸素検出感度Cとから、これら感度BとCとの相関、即ち、変化率β[%]を算出することができる(β=C÷B×100)。この変化率βは、検水の水質の影響度合いを意味することになる。
【0049】
そして、上記変化率βを、工場出荷時に求めた当初の残留塩素検出感度A(図5(a))に乗じることで、検水の水質の影響を補正した残留塩素検出感度D[μA/mg/L](図5(d))を求めることができる(D=A×β÷100)。
【0050】
このように、検水に対する溶存酸素検出出力を測定することにより、検水の水質条件(pH、EC、汚れ等)からの影響度合いを算出し、残留塩素濃度測定時の誤差要因を補正することができる。
【0051】
即ち、本発明の一態様によると、本発明に係る残留塩素濃度測定装置1の校正方法は、次の各段階を含んで成る。
【0052】
(i)予め、残留塩素電極10の残留塩素検出感度と溶存酸素検出感度との相関係数αを求める。
【0053】
(ii)作用極13と対極14との間に残留塩素還元電圧を印加して、所定の濃度の残留塩素を含有する標準液に対する作用極13と対極14との間の残留塩素還元電流を検出し、残留塩素電極10の当初の残留塩素検出感度Aを求める。
【0054】
(iii)上記相関係数αを示す情報と、残留塩素電極10の当初の残留塩素検出感度Aを示す情報と、に基づいて残留塩素電極10の計算上の当初の溶存酸素検出感度Bを求める。
【0055】
(iv)作用極13と対極14との間に酸素還元電圧を印加し、エアバブリングにより溶存酸素を飽和させた対象検水に対する作用極13と対極14との間の酸素還元電流を検出すると共に、検水温度を検出し、飽和溶存酸素濃度と液温との関係を示す既知の情報から検水中の溶存酸素濃度を求めて、検水に対する残留塩素電極10の溶存酸素検出感度Cを求める。
【0056】
(v)残留塩素電極10の計算上の当初の溶存酸素検出感度Bと、検水に対する実測による残留塩素電極10の溶存酸素検出感度Cとの相関(変化率β)を求める。
【0057】
(vi)上記変化率βを示す情報と、残留塩素電極10の当初の残留塩素検出感度Aを示す情報と、に基づいて検水に対する残留塩素電極10の残留塩素検出感度Dを求める。
【0058】
斯かる校正手順に従うことにより、検水に対する残留塩素電極10の感度校正を行う際に、不安定で扱い難い残留塩素含有標準液や、他の分析方法を使用することなく、単に対象の検水にエアバブリングを行い溶存酸素を飽和させ、この検水に対する溶存酸素検出出力を測定するだけで、極めて簡易に残留塩素電極10の感度校正を行うことができる。
【0059】
又、予め求められている残留塩素電極10の残留塩素検出感度と溶存酸素検出感度との相関(相関係数α)を用いることで、製品工場出荷時には、各電極毎に溶存酸素を飽和させた標準液に対する溶存酸素検出出力を測定しなくてよく、工場出荷時の工程数の削減、コスト低減を実現することができる。
【0060】
以下、本実施例の残留塩素濃度測定装置1に即して、本発明に係る残留塩素濃度測定装置の校正方法を更に説明する。
【0061】
図4をも参照して、本実施例では、装置本体20の第1の記憶手段22には、残留塩素濃度の測定手順、校正手順、相関係数α、飽和溶存酸素濃度と液温との関係を示す情報が、装置本体20の製造時若しくは工場出荷時に専用の治具等を用いて予め記憶される。
【0062】
表1は、所定の残留塩素標準液を用いて測定した残留塩素検出感度Aと、同標準液にエアバブリングを行って溶存酸素を飽和させたものを用いて測定した溶存酸素検出感度Bとを、本実施例に従う実質的に同一の構成を有する複数の残留塩素電極10について調べた結果を示す。
【0063】
【表1】
【0064】
表1に示すように、複数の残留塩素電極10について、相関係数αは略一定であることが分かる。本実施例では、多くの実験を通して求めた値の平均値である、相関係数α=50を用いる。勿論、本発明は、これに限定されるものではない。本発明者らの多くの実験研究によると、通常、αは40〜65程度となる。
【0065】
従って、本実施例では、計算上の当初の溶存酸素検出感度Bは、下記式、
B=A×α
=A×50 ・・・(1)
のように算出することができる。本実施例では、これら相関係数α及び計算式は、校正手順(ソフト)に組み込んで第1の記憶手段22に予め記憶される。そして、必要に応じて、演算制御手段21が、この手順に従って当初の残留塩素検出感度Aから計算上の当初の溶存酸素検出感度Bを算出する。
【0066】
又、装置本体20の第1の記憶手段22に予め記憶させる飽和溶存酸素濃度と液温との関係を示す情報としては、例えば、文献にて既知のものを用いることができる。例えば、表2は、G.A.Truesdale et al“The solubility of Oxygen in Pure Water and Sea-water” J.Appl.Chem.,Vol.5,No.2,P53〜62,1955に記載される飽和溶存酸素濃度と液温との関係の抜粋を示す。
【0067】
【表2】
【0068】
本実施例では、斯かる飽和溶存酸素濃度と液温との関係は、数式化して、校正手順に組み込んで第1の記憶手段22に予め記憶させる。そして、必要に応じて演算制御手段21が、検水の液温から飽和溶存酸素濃度を算出する。
【0069】
一方、本実施例では、残留塩素電極10のコネクタ17に内蔵された第2の記憶手段18には、工場出荷時に、実測した当初の残留塩素検出感度A[μA/mg/L]が、専用の治具等を用いて記憶される。
【0070】
尚、残留塩素電極10の残留塩素検出出力、溶存酸素検出出力には、それぞれ下記表3に示すような温度特性がある。表3は、残留塩素検出感度、残留塩素検出感度について、25℃での感度(検量線傾き)を基準としたときの変化率を示す。
【0071】
【表3】
【0072】
従って、斯かる温度特性を考慮して、当初の残留塩素検出感度A、検水に対する溶存酸素検出感度Cを算出する。本実施例では、工場出荷時において、当初の残留塩素検出感度Aは、基準温度25℃に正規化されて第2の記憶手段18に記憶される。
【0073】
又、斯かる温度特性(温度係数)を示す情報は、本実施例では、装置本体20の第1の記憶手段22に予め記憶され(残留塩素電極10の第2の記憶手段18に記憶させてもよい。)、演算制御手段21は、必要に応じて、温度測定素子15で測定した検水の液温から、検水に対する溶存酸素検出感度Cを基準温度25℃に正規化して算出する。更に、残留塩素の測定時においては、温度測定素子15による検水の液温の測定値から、検水に対する残留塩素検出感度Dを補正して用い、残留塩素濃度を算出する。
【0074】
さて、残留塩素電極10の感度校正時には、
(1)先ず、適当なビーカーやバケツに採水された対象の検水をエアバブリングし、溶存酸素を飽和させる。
【0075】
(2)そして、溶存酸素が飽和された検水中に残留塩素電極10を浸漬して、残留塩素測定装置1の操作部27に設けられた校正開始キー、或いは印加電圧選択キーを押すことにより、印加電圧を校正用印加電圧、即ち、酸素還元電圧(本実施例では−550mV)に切り替える。これにより、演算制御手段21の指示によって電圧印加手段24は作用極13と対極14との間に電圧を印加する。演算制御手段21は、第1の記憶手段22に記憶された校正手順に従って、電極出力の安定化の判断等を経て、溶存酸素検出出力を実測する。本実施例では、溶存酸素検出出力に関して、10秒あたりの電流値変化が±1μAであれば電流値が安定したと判断して、最終読み取り値(又は10秒間の平均値)を安定値とする。ここでは、溶存酸素検出出力は、34.5[μA、25℃において]であったものとする。
【0076】
(3)同時に、演算制御手段21は、残留塩素電極10に設けられた温度測定素子15による検水の液温の検出信号を入力し、飽和溶存酸素濃度と液温との関係を示す既知の情報から、検水の飽和溶存酸素濃度を求める。ここでは、液温は25℃であったものとし、このとき、検水の飽和溶存酸素濃度は、表2から8.11mg/Lと求まる。
【0077】
(4)これにより、演算制御手段21は、上記(2)における溶存酸素を飽和させた検水に対する溶存酸素検出出力の実測値と、上記(3)におけるその検水の飽和溶存酸素濃度の計算値とから、下記式、
C=34.5[μA]÷8.11[mg/L]
=4.25[μA/mg/L]
のように、校正手順に従って検水に対する溶存酸素検出感度Cを算出する。これは、一時、演算制御手段21が備える記憶部に記憶される。
【0078】
(5)一方、演算制御手段21は、残留塩素電極10の第2の記憶手段18に記憶されている当初の残留塩素検出感度Aを読み込む。ここでは、当初の残留塩素検出感度Aは、0.100[μA/mg/L]であったものとする。そして、上記式(1)に従って、下記式、
B=A×50
=0.100[μA/mg/L]×50
=5.00[μA/mg/L]
のように、計算上の当初の溶存酸素検出感度Bを算出する。これは、一時、演算制御手段21が備える記憶部に記憶される。
【0079】
(6)次いで、演算制御手段21は、検水の水質の影響度合い、即ち、上記(5)における計算上の当初の溶存酸素検出感度Bと、上記(4)における検水に対する溶存酸素検出感度Cとの変化率βを、下記式、
β=C÷B×100
=4.25[μA/mg/L]÷5.00[μA/mg/L]×100
=85[%]
のように、校正手順に従って算出する。
【0080】
(7)そして、演算制御手段21は、検水の水質の影響を補正した、検水に対する残留塩素検出感度Dを、下記式、
D=A×β÷100
=0.100[μA/mg/L]×85[%]×100
=0.085[μA/mg/L]
のように、校正手順に従って算出する。
【0081】
こうして求められた、検水に対する残留塩素電極10の残留塩素検出感度Dの情報は、本実施例では、演算制御手段21が情報読み込み/書き込み手段を介して残留塩素電極10のコネクタ17に内蔵された第2の記憶手段18に記憶させる。
【0082】
そして、次に行われる残留塩素濃度の測定からは、この第2の記憶手段18に記憶された検水に対する残留塩素検出感度Dを使用して、上述の残留塩素濃度の測定手順に従って、残留塩素濃度を算出し、表示部26に表示させる。
【0083】
ここで、残留塩素電極10の第2の記憶手段18に記憶できる検水に対する残留塩素検出感度(電極係数)Dを複数、例えば、10個とし、所望時に操作者が操作部27から指示するなどして、記憶されている残留塩素検出感度Dを表示部26に表示したり、或いはプリンタ等で印字することによって、校正履歴を確認するのに役立てることができる。又、例えば、異なる複数の水質について測定をする場合に、各水質別に上述のようにして求めた残留塩素検出感度Dを、所定の水質の検水を指定可能な情報と関係付けて記憶させ、検水の水質が変わる毎に、複数記憶された残留塩素検出感度Dを、例えば操作者が操作部27から選択することにより切り替えて用い、その所定の検水に対する残留塩素濃度を演算することができる。一具体例を挙げれば、水質の異なる複数のプール施設の残留塩素濃度を1台の残留塩素濃度測定装置1で測定する際に、プール施設毎に残留塩素電極10に設けられた第2の記憶手段18に記憶させた残留塩素検出感度Dを選択して(切り替えて)用いることで、各プール施設に応じて残留塩素濃度を測定することができる。
【0084】
又、作用極13及び/又は対極14の消耗等による電極感度の変動を校正するために、所定の検水に対して定期的に上述のような校正動作を行うことも当然できる。この場合、残留塩素電極10の第2の記憶手段18に記憶されている所定の検水に対する残留塩素検出感度(電極係数)を書き換えてもよいし、別の記憶領域に区別して記憶させてもよい。
【0085】
以上説明した如く、本発明によれば、残留塩素を含有する標準液や、他の分析方法を使用することなく、対象検水の水質(pH、EC、汚れ等)の影響を排除して、簡易に残留塩素電極10の感度校正を行うことができる。
【0086】
又、定期的に上述のような校正動作を行うことにより、作用極13及び/又は対極14の消耗、或いは作用極13、対極14への汚れの付着等による感度変動をも校正することができる。
【0087】
更には、上記変化率βを求めることによって、残留塩素電極10の残留塩素検出感度の変動を簡易に検知することができるので、例えば残留塩素電極10の洗浄或いは交換が必要であるか否かを判断等するために、簡易に電極感度をチェックすることができる。このような用途のために、表示部26に求めた変化率βを表示してもよい。
【0088】
尚、本実施例のように、当初の残留塩素検出感度A、検水に対する残留塩素検出感度Dを残留塩素電極10が備える記憶手段に記憶させることによって、残留塩素電極10の寿命による交換、或いは複数の電極をある装置本体20に対して並行して交換使用するような場合を考えると、電極自体が残留塩素検出感度の情報を保持しているので極めて好都合である。しかし、本発明は、上述して具体的に説明した各種データの記憶態様に限定されるものではない。残留塩素電極10、装置本体20にそれぞれ設けられる記憶手段にいずれのデータを記憶させるかは、適宜選択することができ、又、全てのデータを残留塩素電極10、装置本体20のいずれかの記憶手段に記憶させてもよい。
【0089】
又、上述のように、製品工場出荷時に、各残留塩素電極毎に溶存酸素を飽和させた標準液に対する溶存酸素検出出力を測定せず、予め求められた相関係数αを残留塩素濃度測定装置1が備える記憶手段に記憶させることで、工場出荷時の工程数の削減、コスト低減の点で極めて有効である。しかし、所望により、各残留塩素電極10について、例えば製品工場出荷時に、残留塩素の標準液をエアバブリングしたものに対する溶存酸素検出出力と、その液温から求まる飽和溶存酸素濃度と、から当初の溶存酸素検出をも実測して、各残留塩素電極10に対する実測による相関係数α又は実測による当初の溶存酸素検出感度B自体を残留塩素濃度測定装置1(残留塩素電極10又は装置本体20)が備える記憶手段に記憶させておいてもよい。そして、これらを上記校正手順におけるそれぞれの代わりに用いることによって、検水に対する残留塩素検出感度Dを求めることができる。
【0090】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、作用極及び対極を具備する検出電極と、作用極と対極との間に流れる電流を検出する電流検出手段と、を有し、作用極及び対極のそれぞれの少なくとも一部を検水に接触させて、作用極と対極との間の残留塩素還元電流を検出して検水中の残留塩素濃度を求める残留塩素濃度測定装置による残留塩素濃度測定方法は、(a)予め求められた検出電極の残留塩素検出感度と溶存酸素検出感度との相関と、検出電極の当初の残留塩素検出感度と、に基づいて検出電極の当初の溶存酸素検出感度を求め、(b)作用極と対極との間に酸素還元電圧を印加し、溶存酸素を飽和させた検水に対する作用極と対極との間の酸素還元電流を検出すると共に、検水の温度を検出し、飽和溶存酸素濃度と液温との関係から検水中の溶存酸素濃度を求めて検水に対する検出電極の溶存酸素検出感度を求め、(c)検出電極の当初の溶存酸素検出感度と、検水に対する検出電極の溶存酸素検出感度と、の相関を求めて、該相関に基づいて検出電極の当初の残留塩素検出感度から検水に対する検出電極の残留塩素検出感度を求める、各段階を含み、前記(a)〜(c)の各段階により求めた検水に対する前記検出電極の残留塩素検出感度と、前記残留塩素還元電流の検出結果とから、検水中の残留塩素濃度を求める構成とされるので、
(1)作用極と対極とが直接検水に接触する露出型残留塩素電極の出力を、校正時に残留塩素を含有する標準液或いは他の分析方法を用いることなく、簡易に校正して測定を行うことができる。
(2)作用極と対極とが直接検水に接触する露出型残留塩素電極の感度の、検水の水質の影響による変化を簡易に校正することができると共に、作用極及び/又は対極の消耗、汚れの付着等による変動をも簡易に校正して測定を行うことができる。
といった格別なる効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用し得る残留塩素濃度測定装置の一実施例の概略構成図である。
【図2】図1の残留塩素濃度測定装置が備える残留塩素電極の一部切り欠き断面図である。
【図3】図1の残留塩素濃度測定装置の概略制御ブロック図である。
【図4】本発明に係る残留塩素濃度測定装置の校正方法に関する各種データの一記憶態様を説明するための模式図である。
【図5】本発明に係る残留塩素濃度測定装置の校正方法の概念図である。
【図6】本発明を適用し得る残留塩素濃度想定装置の他の実施例の概略構成図である。
【符号の説明】
1 残留塩素濃度測定装置
10 残留塩素電極(検出電極)
11 電極本体
12 電極支持体(検出部)
13 作用極
14 対極
15 温度測定素子(温度検出手段)
16 ケーブル
17 コネクタ
18 第2の記憶手段(記憶手段)
20 装置本体
21 マイクロコンピュータ(演算制御手段)
22 第1の記憶手段(記憶手段)
23 電源
24 電圧印加手段
25 電流計(電流検出手段)
26 表示部
27 操作部
Claims (7)
- 作用極及び対極を具備する検出電極と、前記作用極と前記対極との間に流れる電流を検出する電流検出手段と、を有し、前記作用極及び前記対極のそれぞれの少なくとも一部を検水に接触させて、前記作用極と前記対極との間の残留塩素還元電流を検出して検水中の残留塩素濃度を求める残留塩素濃度測定装置による残留塩素濃度測定方法において、
(a)予め求められた前記検出電極の残留塩素検出感度と溶存酸素検出感度との相関と、前記検出電極の当初の残留塩素検出感度と、に基づいて前記検出電極の当初の溶存酸素検出感度を求め、
(b)前記作用極と前記対極との間に酸素還元電圧を印加し、溶存酸素を飽和させた検水に対する前記作用極と前記対極との間の酸素還元電流を検出すると共に、検水の温度を検出し、飽和溶存酸素濃度と液温との関係から検水中の溶存酸素濃度を求めて検水に対する前記検出電極の溶存酸素検出感度を求め、
(c)前記検出電極の当初の溶存酸素検出感度と、検水に対する前記検出電極の溶存酸素検出感度と、の相関を求めて、該相関に基づいて前記検出電極の当初の残留塩素検出感度から検水に対する前記検出電極の残留塩素検出感度を求める、
各段階を含み、前記(a)〜(c)の各段階により求めた検水に対する前記検出電極の残留塩素検出感度と、前記残留塩素還元電流の検出結果とから、検水中の残留塩素濃度を求めることを特徴とする残留塩素濃度測定方法。 - 更に、(i)前記検出電極の残留塩素検出感度と溶存酸素検出感度との相関を示す情報、(ii)前記飽和溶存酸素濃度と液温との関係を示す情報、及び(iii)前記作用極と前記対極との間に残留塩素還元電圧を印加し、所定の濃度の残留塩素を含有する標準液に対する前記作用極と前記対極との間の残留塩素還元電流を検出して求めた前記検出電極の前記当初の残留塩素検出感度を示す情報を、前記残留塩素濃度測定装置が備える記憶手段に記憶させる段階を含むことを特徴とする請求項1の残留塩素濃度測定方法。
- 更に、求められた前記検水に対する前記検出電極の残留塩素検出感度を示す情報を前記残留塩素濃度測定装置が備える記憶手段に記憶させる段階を含むことを特徴とする請求項1又は2の残留塩素濃度測定方法。
- 作用極及び対極を具備する検出電極と、前記作用極と前記対極との間に流れる電流を検出する電流検出手段と、を有し、前記作用極及び前記対極のそれぞれの少なくとも一部を検水に接触させて、前記作用極と前記対極との間の残留塩素還元電流を検出して検水中の残留塩素濃度を求める残留塩素濃度測定装置において、
前記作用極と前記対極との間に残留塩素還元電圧又は酸素還元電圧を選択的に印加する電圧印加手段と、
溶存酸素を飽和させた検水に対する、前記作用極と前記対極との間に酸素還元電圧を印加した際の前記作用極と前記対極との間の酸素還元電流の検出値に基づいて、検水に対する前記検出電極の残留塩素検出感度を求める演算手段と、
前記検出電極が接触する検水の温度を検出する温度検出手段と、
前記検出電極の残留塩素検出感度と溶存酸素検出感度との相関を示す第1の情報、飽和溶存酸素濃度と液温との関係を示す第2の情報、及び前記検出電極の当初の残留塩素検出感度を示す第3の情報を記憶するための記憶手段と、
を有し、
前記演算手段は、前記第1の情報及び前記第3の情報に基づいて算出される前記検出電極の当初の溶存酸素検出感度と、前記作用極と前記対極との間の酸素還元電流の検出値、前記温度検出手段による検水温度の検出値、及び前記第2の情報に基づいて算出される検水に対する前記検出電極の溶存酸素検出感度と、の相関を求めて、該相関に基づいて、前記第3の情報から検水に対する前記検出電極の残留塩素検出感度を求め、又、
前記演算手段は、求めた検水に対する前記検出電極の残留塩素検出感度と、前記残留塩素還元電流の検出結果とから、検水中の残留塩素濃度を求めることを特徴とする残留塩素濃度測定装置。 - 更に、前記記憶手段に対する情報の書き込み手段を有し、該書き込み手段は、前記演算手段が求めた検水に対する前記検出電極の残留塩素検出感度を示す情報を、前記記憶手段に記憶させることを特徴とする請求項4の残留塩素濃度測定装置。
- 前記検出電極は装置本体に対して着脱可能であり、前記残留塩素濃度測定装置は、前記記憶手段として、装置本体に取り付けられた第1の記憶手段と、前記検出電極又は前記検出電極を装置本体に対して接続するためのコネクタ若しくはケーブルに取り付けられた第2の記憶手段と、を有し、少なくとも前記第1の情報及び前記第2の情報は前記第1の記憶手段に記憶され、少なくとも前記第3の情報は前記第2の記憶手段に記憶されることを特徴とする請求項4の残留塩素濃度測定装置。
- 更に、前記第2の記憶手段に対する情報の書き込み手段を有し、該書き込み手段は、前記演算手段が求めた検水に対する前記検出電極の残留塩素検出感度を示す情報を、前記第2の記憶手段に記憶させることを特徴とする請求項6の残留塩素濃度測定装置。
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