以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(撮像装置)
2.第2の実施の形態(撮像装置)
<1.第1の実施の形態>
[撮像装置の構成]
図1は、本発明を適用した撮像装置の一実施の形態の構成を表している。
図1に示されるように、撮像装置100は、レンズ部101、シャッタ部102、および撮像素子103を有する。レンズ部101は、光学レンズや絞りを有し、焦点位置や光量の調整を行う。シャッタ部102は、光学式(機械式)のシャッタを有し、露光時間を制御する。撮像素子103は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等の光電素子を有する。撮像素子103は、レンズ部101およびシャッタ部102を介して入射する被写体からの光を、その光電素子により受光して光電変換を行い、受光量に応じた電気信号としてのアナログの画像信号を処理し、デジタル信号(画像データ)に変換する。なお、撮像素子103は、光学変換されて蓄積された電荷を取り込むタイミングを制御することにより受光時間を制御する電子シャッタとしての機能も有する。
また、撮像装置100は、制御部111乃至制御部113を有する。制御部111はレンズ部101を制御し、制御部112はシャッタ部102を制御し、制御部113は撮像素子103を制御する。
撮像装置100は、各処理部を結ぶバス120を有する。このバス120には、撮像素子103、制御部111乃至制御部113の他に、制御CPU(Central Processing Unit)121、ROM(Read Only Memory)122、およびRAM(Random Access Memory)123が接続される。
制御CPU121は、例えばROM122や記憶部127等に記録されているプログラムやデータを読み出し、RAM123等にロードし、実行することにより、撮像装置100を構成する各部を制御し、撮像装置100の各種機能を実現させる。
例えば制御CPU121は、バス120を介して制御部111乃至制御部113を制御し、レンズ部101乃至撮像素子103を駆動させ、例えば、絞り、シャッタ速度(露光時間)、およびISO感度(ゲイン)等を調整しながら、被写体を撮像させる。なお、シャッタ速度は、撮像素子103が光を受光する露光時間であり、光学式シャッタの開閉と、電荷の取り込み間隔(電子シャッタ)により決定される。つまり、シャッタ速度は、光学式シャッタで制御することもできるし、電子シャッタで制御することもできる。したがって、光学式シャッタおよび電子シャッタのいずれか一方を用いてシャッタ速度を制御するようにしてもよいし、若しくは、光学式シャッタおよび電子シャッタの両方を用いてシャッタ速度を制御するようにしてもよい。
ユーザによるシャッタボタンの深押し操作、セルフタイマやリモートコントローラからの指示を受けると、撮像装置100は、その操作や指示に対応する所定のタイミングにおいて、被写体を撮像し、その被写体の静止画像を取得し、記憶する。このようにユーザ等の操作や指示等に基づいて行われる被写体の静止画像の取得および記憶を撮像記憶と称する。また、この撮像記憶により得られる被写体の画像(静止画像)を撮像画像と称し、この撮像記憶が行われるタイミングを撮像記憶タイミングと称する。
撮像装置100は、撮像記憶を行うモードで動作している場合、撮像記憶タイミング以外の時も、被写体を撮像する。つまり、ユーザによるシャッタボタンの深押し操作、セルフタイマやリモートコントローラからの指示等が無くても、撮像素子103において、被写体の画像(動画像)が取り込まれる(得られる)。このように撮像記憶以外で得られる被写体の画像をスルー画と称する。
例えば、撮像記憶モードやユーザ操作等に基づいて、ユーザが絞りの効果の確認を所望していると判定される場合、若しくは、撮像記憶時の場合、制御CPU121は、フリッカの発生を考慮せずに、「きれいな」画像が得られるように制御部111乃至制御部113を制御する。制御CPU121は、このような制御により得られた画像データを、バス120を介して表示部126に供給したり、記憶部127に供給したりする。
また、例えば、撮像記憶モードやユーザ操作等に基づいて、撮像装置100自身が絞りの効果をユーザに確認させることを所望しており、かつ、スルー画にフリッカが検出されない場合、制御CPU121は、フリッカの発生を考慮せずに、「きれいな」画像が得られるように制御部111乃至制御部113を制御する。
さらに、例えば、スルー画にフリッカが検出された場合や、動作モードやユーザ操作に基づいて、撮像装置100自身が絞りの効果をユーザに確認させることを所望していると判定される場合、制御CPU121は、フリッカの発生を考慮せずに、「きれいな」画像が得られるように制御部111乃至制御部113を制御する。制御CPU121は、このような制御により得られた画像データを表示部126に供給し、その画像(スルー画)を表示させる。
バス120には、さらに、画像処理部124が接続される。撮像素子103において得られた画像データは、制御CPU121に制御されて、バス120を介して画像処理部124に供給される。画像処理部124は、制御CPU121に制御されて、その画像データに対してフィルタ処理やフリッカ検出等の画像処理を行う。
バス120には、また、制御部131を介して操作部125、制御部132を介して表示部126、並びに、制御部133を介して記憶部127が接続される。
操作部125は、例えば、ボタンやタッチパネル等の任意の入力デバイスよりなり、ユーザからの指示を受け付ける。制御部131は、操作部125を制御し、操作部125において受け付けられたユーザ指示を、バス120を介して、例えば制御CPU121等の適切な処理部に供給する。
表示部126は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)、有機ELディスプレイ(Organic ElectroLuminescence Display)、またはCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ等の任意のディスプレイよりなる。制御部132は、バス120を介して供給される、撮像画像やGUI(Graphical User Interface)等の画像データを表示部126に供給し、その画像を表示させる。例えば、表示部126は、制御部132に制御され、スルー画を表示する。
記憶部127は、例えば、フレキシブルディスク、テープデバイス、若しくはハードディスク等の磁気記録媒体、MD(Mini Disc(ソニー株式会社の登録商標))等の光磁気ディスク、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)等の光ディスク、または、フラッシュメモリ、SRAM(Static Random Access Memory)、若しくはDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリ等、任意の記録媒体よりなる。
制御部133は、バス120を介して供給される各種プログラムやデータを記憶部127に供給し、記憶させる。また、制御部133は、例えば制御CPU121等の指示に応じて、記憶部127に記憶されている情報を読み出し、その情報を、バス120を介して供給指定先に供給する。例えば、記憶部127は、制御部133に制御され、撮像画像の画像データを記憶する。
なお、この記憶部127が有する記録媒体は、例えばCDやDVD等のように記憶部127より脱着可能な、記憶可能なリムーバブルメディアであってもよい。その場合、記憶部127は、その記憶可能なリムーバブルメディアと、そのリムーバブルメディアが装着されたドライブ等により構成される。ドライブは、装着されたリムーバブルメディアに対して情報の読み出しや書き込みが可能なデバイスである。
バス120には、さらに通信部128が接続される。通信部128は、例えば、USB(Universal Serial Bus)、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)1394、またはイーサネット(登録商標)等の、任意の通信規格のインタフェースを有し、撮像装置100の外部の装置と、その通信規格に従って通信を行い、情報の授受を行う。例えば、通信部128は、バス120を介して供給された画像データを、通信部128に接続される撮像装置100の外部の装置に転送したり、外部の装置からデータやプログラムを取得し、それをバス120を介して記憶部127に記憶させたりする。
なお、通信部128および外部の装置は、互いに通信可能な状態であればよく、例えば、これらが、LANやインターネット等の任意の、1つまたは複数のネットワークを介して接続されていても良い。
また、通信部128および外部の装置は、例えば、IEEE802.11xやTransferJet(登録商標)のような、任意の無線通信規格に基づく無線通信を行うようにしてもよい。さらに有線通信と無線通信の両方を用いて通信を行うようにしても良い。
さらに、バス120には、ドライブ151が接続される。このドライブ151は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリなどのリムーバブルメディア152を駆動する。ドライブ151は、装着されたリムーバブルメディア152よりプログラムやデータを読み出し、それを、バス120を介して制御CPU121、RAM123、若しくは記憶部127等、適切な処理部に供給する。
なお、ドライブ151を撮像装置100と異なるデバイスとし、撮像装置100がリムーバブルメディア152に記憶されている情報を読み出す際に、撮像装置100に適宜接続されるようにしてもよい。
[制御CPUの構成例]
次に、制御CPU121の構成について説明する。
図2は、図1の制御CPU121が有する機能ブロックの主な構成例を示す図である。図2に示されるように、制御CPU121は、撮像設定部201、画像取得部202、画像処理部203、フリッカ検出部204、および撮像制御部205を有する。制御CPU121は、例えばRAM123にロードされたプログラムを実行したりデータを処理したりすることにより、以下に説明する各機能を実現する。
撮像設定部201は、例えばユーザ操作に基づいて、撮像記憶モード、絞り制御値、シャッタ速度、またはISO感度(ゲイン)等、撮像に関する各種設定を行う。画像取得部202は、撮像設定部201による設定にしたがって、制御部111乃至制御部113を制御し、取り込み画像(スルー画や撮像画像)を取得させる。
画像処理部203は、画像処理部124を制御し、画像データに対して所定の画像処理を実行させる。フリッカ検出部204は、画像処理部124を制御し、スルー画の画像データからフリッカの発生を検出させる。フリッカの検出方法は任意である。
撮像制御部205は、スルー画における、撮像画像の仕上がりの再現性をより向上させるように、絞り制御値、シャッタ速度、およびISO感度(ゲイン)等の撮像に関する各種パラメータを設定し、画像の取り込みを制御する。
撮像制御部205は、モード設定取得部211、明るさ情報取得部212、スルー画用制御値セット算出部213、および撮像記憶用制御値セット算出部214を有する。また、撮像制御部205は、さらに、モード操作判定部215、フリッカ判定部216、制御値補正部217、制御値セット選択部218、制御値設定部219、およびデバイス駆動部220を有する。
モード設定取得部211は、例えば撮像設定部201により設定された撮像装置100の撮像記憶モードの設定を取得する。この撮像記憶モードの設定は、例えばRAM123や記憶部127等に保持されている。明るさ情報取得部212は、取り込み画像に基づいて、被写体の明るさについての情報を取得する。
スルー画用制御値セット算出部213は、スルー画用の制御値セットを算出する。制御値セットとは、絞り制御値、シャッタ速度、およびISO感度(ゲイン)を含む任意のパラメータの制御値の集合である。スルー画用制御値セット算出部213は、スルー画におけるフリッカの発生の抑制を優先させる制御値よりなるスルー画用の制御値セットを算出する。
撮像記憶用制御値セット算出部214は、撮像記憶用の制御値セットを算出する。撮像記憶用制御値セット算出部214は、フリッカの発生を考慮せずに「きれいな」画像を得ることを優先させる制御値よりなる撮像記憶用の制御値セットを算出する。
モード操作判定部215は、各種設定やユーザ操作等に従って、絞りの効果の確認が必要であるか否か等の判定を行う。フリッカ判定部216は、スルー画においてフリッカが発生しているか否かを判定する。
制御値補正部217は、スルー画用制御値セット算出部213により設定されたスルー画用制御値セットの各制御値を補正する。制御値セット選択部218は、モード操作判定部215やフリッカ判定部216による判定結果に基づいて、採用する制御値セットを選択する。
制御値設定部219は、制御値セット選択部218により選択された各制御値を設定し、デバイス駆動部220は、その設定された制御値により制御部111乃至制御部113等を制御し、各デバイスを駆動させる。
[スルー画用制御値セット算出部の構成例]
図3は、図2のスルー画用制御値セット算出部213の主な構成例を示す機能ブロック図である。図3に示されるように、スルー画用制御値セット算出部213は、機能ブロックとして、露出合計値算出部251、露出合計値判定部252、絞り設定部253、シャッタ速度設定部254、およびISO感度設定部255を有する。これらの機能ブロックは、制御CPU121が、例えばRAM123にロードされたプログラムを実行したりデータを処理したりすることにより実現される。
露出合計値算出部251は、被写体の明るさに応じて、ターゲットとなる適正露出にするために必要な制御値の合計値を算出する。露出合計値判定部252は、露出合計値算出部251により算出された合計値と、所定の閾値とを比較することにより、その合計値の大きさを判定する。
絞り設定部253は、露出合計値判定部252により判定された、合計値の大きさに応じて絞り制御値を設定する。シャッタ速度設定部254は、露出合計値判定部252により判定された、合計値の大きさに応じてシャッタ速度を設定する。ISO感度設定部255は、露出合計値判定部252により判定された、合計値の大きさに応じてISO感度(ゲイン)を設定する。
なお、制御値算出方法の具体的な手順は異なるものの、撮像記憶用制御値セット算出部214も、スルー画用制御値セット算出部213と同様に、適正な合計値に基づいて、絞り制御値、シャッタ速度、およびISO感度(ゲイン)を設定する。したがって、撮像記憶用制御値セット算出部214は、スルー画用制御値セット算出部213と同様の機能ブロックを有する。つまり、図3に示される機能ブロックの構成例は、撮像記憶用制御値セット算出部214にも適用することができる。したがって、以下においては、撮像記憶用制御値セット算出部214の説明も図3を利用して行う。
[撮像処理の流れ]
次に、以上のような構成の撮像装置100により実行される各種処理について説明する。最初に、図4のフローチャートを参照して、撮像処理の流れの例を説明する。撮像装置100に電源が投入されると撮像処理が開始される。
撮像処理が開始されると、ステップS101において、撮像設定部201は、例えばユーザ操作や初期設定等に基づいて、撮像記憶モード等の設定を行う。ステップS102において、画像取得部202は、ステップS101において行われた設定に従って、制御部111乃至制御部113を制御して、レンズ部101乃至撮像素子103を駆動させ、画像(スルー画)を取り込む。
画像取得部202は、得られた画像データを画像処理部124に供給する。画像処理部203は、ステップS103において、画像処理部124を制御し、画像データに対して画像処理を行わせる。ステップS104において、フリッカ検出部204は、画像処理部124を制御し、画像データの画像(スルー画)において、フリッカの検出を行う。
ステップS105において、撮像制御部205は、撮像記憶時の画像により近いスルー画を得ることができるように、絞りの制御値、シャッタ速度、およびISO感度(ゲイン)を含む各種パラメータを制御しながら、スルー画の取り込みや撮像記憶の制御を行う。この制御処理の詳細については後述する。
ステップS106において、制御CPU121は、撮像処理を終了するか否かを判定する。終了しないと判定された場合、制御CPU121は、処理をステップS101に戻し、それ以降の処理を繰り返す。また、ステップS106において、例えば、撮像装置100の電源が切断されたり、動作モードが、既に撮像記憶された撮像画像を閲覧する閲覧モードに切り替えられたりするなどして、撮像処理を終了すると判定された場合、制御CPU121は、撮像処理を終了する。
[制御処理の流れ]
次に、図5のフローチャートを参照して、図4のステップS105において実行される制御処理の流れの例を説明する。
制御処理が開始されると、モード設定取得部211は、ステップS121において、ユーザが設定している撮像記憶モードを含む各種設定モードを取得する。次に、明るさ情報取得部212が、ステップS122において、被写体の明るさに関する情報である明るさ情報を取得する。
ステップS123において、スルー画用制御値セット算出部213は、被写体の明るさ情報に基づいて、適正となる露出にするために必要な明るさを算出し、これに相当する各制御デバイスの制御量(制御値セット)を決定する。スルー画用制御値セットの算出方法の詳細については後述する。
ステップS124において、撮像記憶用制御値セット算出部214は、被写体の明るさ情報に基づいて撮像記憶用制御値セットを算出する。この撮像記憶用の制御値セットの算出方法の詳細については後述する。
スルー画用と撮像記憶用の両方について制御値セットが算出されると、続いて、撮像装置100のモード等によっていずれか一方を選択する処理が行われる。ステップS124の処理が終了すると、撮像制御部205は、処理をステップS125に進める。
ステップS125において、モード操作判定部215は、撮像記憶を開始するか否かを判定する。例えば、ユーザによりシャッタボタンが深押しされたり、セルフタイマやリモートコントローラからの制御信号等によって撮像記憶イベントが発生したりして、撮像記憶を開始すると判定された場合、モード操作判定部215は、処理をステップS126に進める。
この場合、撮像記憶が行われるので、ステップS126において、制御値セット選択部218は、撮像記憶用の制御値セットを選択する。ステップS126の処理が終了すると、制御値セット選択部218は、処理をステップS133に進める。
また、ステップS125において、まだ撮像記憶を開始しない(撮像記憶が行われる前の状態である)と判定された場合、モード操作判定部215は、処理をステップS127に進める。ステップS127において、モード操作判定部215は、撮像記憶モードやユーザ操作等に基づいて、ユーザがスルー画において絞りの効果の確認を行うことを所望しているか否かを判定する。
撮像装置100の撮像記憶モードとして、例えば、マニュアルモード、絞り優先モード、および、プログラムシフトモードがある。マニュアルモードにおいては、各種設定値を全てユーザが決定することができる。絞り優先モードにおいては、ユーザが絞りを設定することができる。その他の制御値は、撮像装置100により、ユーザに設定された絞りの値に基づいて決定される。プログラムシフトモードにおいては、シャッタ速度と絞りとの組み合わせをユーザが選択することができる。
このようにユーザが絞りを設定するモードの場合、一般的に、ユーザが、スルー画において、自分自身が設定した絞りの効果を確認したいと考えていることが期待される。もちろん、上述したモードは例であり、上述した以外のモードに対して、ユーザが絞りの効果を確認したいと考えているとみなすようにしてもよい。
また、例えば、撮像装置100が絞りを決定するが、ユーザが手動で設定を行うと、その手動設定が優先されるようなモードの場合、絞り設定を行うユーザ操作を受けて、ユーザが、スルー画において、絞りの効果を確認したいと考えているとみなすことができる。
さらに、例えば、撮像装置100が、所謂一眼レフカメラのファインダのように、表示部126に表示されるスルー画以外に撮像画像の構図等を確認することができる機能を有する場合、スルー画を表示しないようにすることもできる。このような場合においてスルー画を表示させることは、絞りの効果を確認したい意思の表れと解釈することができる。つまり、スルー画を表示させる「プレビューボタン」を押下するユーザ操作を受けて、ユーザが、スルー画において、絞りの効果を確認したいと考えているとみなすことができる。
このように所定の操作に対して、ユーザが絞りの効果を確認したいと考えているとみなすことができる。もちろん、上述した操作以外の操作に対して、ユーザが絞りの効果を確認したいと考えているとみなすようにすることもできる。
ステップS127において、このように撮像記憶モードやユーザ操作等から、ユーザがスルー画において絞りの効果の確認を行うことを所望していると判定された場合、モード操作判定部215は、処理をステップS128に進める。
この場合、撮像記憶時の制御値とできるだけ同じ制御値でスルー画を得るようにする。したがって、ステップS128において、制御値補正部217は、ステップS123において算出されたスルー画用の各制御値を、撮像記憶用の各制御値に近づけるように、撮像記憶用の各制御値で補正する。この制御値補正処理の流れの詳細については、後述する。
制御値が補正されると、制御値セット選択部218は、ステップS129において、ステップS128の処理により補正された(補正後の)制御値セットを選択する。補正後の制御値セットが選択されると、制御値セット選択部218は、処理をステップS133に進める。
なお、この場合、ステップS124の処理において算出される撮像記憶用の制御値セットを選択するようにしてもよい。ただし、一般的に撮像記憶用の制御値セットがスルー画の制御値として適切であるとは限らない。例えば、長時間露光する撮像記憶等の場合、シャッタ速度が遅く、スルー画のフレームレートが低下し、不自然なコマ送り画像や静止画となってしまう恐れがある。
また、絞りが設定され、露光量が適正であれば、シャッタ速度やISO感度(ゲイン)の設定の違いは、絞りの値の違いに比べて目立たない。さらに、被写体がフリッカ環境下に居ることも考えられる。したがって、ユーザが絞りの効果を確認することができるようにすることが最優先であるものの、さらに、フリッカの発生もできるだけ抑制させるようにすることが望ましい。
したがって、撮像制御部205(制御値補正部217)は、上述したように、スルー画用の制御値セットを補正することにより、各制御値を、スルー画の制御値としての適正な範囲内で、撮像記憶用の制御値セットに近づけるようにする。
ところで、ステップS127において、撮像記憶モードやユーザ操作等から、ユーザがスルー画において絞りの効果の確認を行うことを所望していないと判定された場合、モード操作判定部215は、処理をステップS130に進める。
ステップS130において、モード操作判定部215は、撮像記憶モードやユーザ操作等に基づいて、撮像装置100がスルー画において絞りの効果をユーザに確認させることを所望しているか否かを判定する。
撮像装置100の撮像記憶モードとして、例えば、おまかせシーン認識モードがある。
おまかせシーン認識モードは、撮像装置100が被写体に応じて撮像記憶モードを選択するモードである。このおまかせシーン認識モードの場合、撮像装置100は、取り込んだ画像の特徴にしたがって、例えば、夜景、夜景&人物、三脚夜景、逆光、逆光&人物、風景、マクロ、および人物(ポートレート)等のモードの中から被写体に最適なモードを選択する。この選択方法や選択肢となるモードの種類や数は任意である。撮像装置100は、選択したモードに従って、絞り、シャッタ速度、ISO感度(ゲイン)等の制御値セットを設定する。
このおまかせシーン認識モードの場合、ユーザは絞りを全く設定しない。しかしながら、例えば、人物(ポートレート)や夜景&人物等のように、主たる被写体を人物にするようなモードの場合、撮像装置100は、その被写体(人物)を際立たせるために、背景をぼかすように設定にする。
このようなモードの場合、被写界深度が重要になるので、ユーザにその絞りの効果を確認させることが望ましい。つまり、撮像装置100が絞りの効果をユーザに確認させることを所望しているとみなすことができる。もちろん、被写界深度が重要になると考えられるモードであれば、上述した以外のモードであっても、撮像装置100が絞りの効果をユーザに確認させることを所望しているとみなすことができる。
モード操作判定部215は、ステップS130において、このようにモードにしたがって、撮像装置100がスルー画において絞りの効果をユーザに確認させることを所望していると判定すると、処理をステップS131に進める。
絞りの効果をユーザに確認させるためには、少なくとも絞りの制御値を撮像記憶用の制御値に合わせる必要があるが、被写体がフリッカの環境下に存在する場合、スルー画においてフリッカが発生し、その仕上がりが撮像画像と異なるものとなってしまう恐れがある。
そこで、フリッカ判定部216は、ステップS131において、フリッカ検出部204により行われたフリッカの検出結果を参照し、スルー画においてフリッカが検出されたか否かを判定する。
フリッカが検出されず、被写体はフリッカ環境下にないと判定された場合、フリッカ判定部216は、処理をステップS128に戻す。つまり、スルー画においてフリッカが検出されない場合、撮像制御部205(制御値補正部217)は、ユーザが絞りの効果の確認を望んでいる場合と同様に、スルー画用の制御値セットを補正する。
また、ステップS131において、フリッカ検出部204によりスルー画においてフリッカが検出されたと判定された場合、フリッカ判定部216は、処理をステップS132に進める。つまり、この場合、スルー画にはフリッカが明らかに発生しており、ユーザに絞りの効果を確認させることは容易ではない。さらに、ユーザが絞りを設定しておらず、絞りの効果を重要視しているとはいえない。そこで、撮像制御部205は、スルー画におけるフリッカの発生を抑制することにより、スルー画の仕上がりを撮像画像に近づけるようにすることを最優先とする。
また、ステップS130において、撮像装置100が絞りの効果をユーザに確認させることを望んでいないと判定された場合、モード操作判定部215は、処理をステップS132に進める。
例えば、おまかせシーン認識モードにより、被写界深度が重要でないと考えられるモードが選択されている場合、撮像装置100が絞りの効果をユーザに確認させることを所望していないとみなすことができる。
また、撮像装置100の他の撮像記憶モードとして、例えば、シーンセレクションモードやシャッタ速度優先モードがある。
シーンセレクションモードは、ユーザが、撮像記憶の時の場面(シーン)を設定するモードである。各シーンには、各シーンに最適とされる制御値セットが用意されている。つまり、ユーザが撮像記憶の時のシーンを設定すると、撮像装置100は、絞り制御値、シャッタ速度(露光時間)、およびISO感度(ゲイン)等の各制御値を、その設定されたシーンに応じた値に設定する。
シャッタ速度優先モードは、ユーザがシャッタ速度(露光時間)を設定し、その設定値を用いて、撮像設定部201が、絞り制御値やISO感度(ゲイン)等の他の制御値を設定するモードである。
これらのモードのように絞りの設定を撮像装置100に一任していると考えられるモードの場合、ユーザは絞りの効果を確認したいと所望しておらず、かつ、撮像装置100も絞りの効果をユーザに確認させることを所望していないとみなすことができる。
そこで、このようなモードの場合、制御値セット選択部218は、ステップS132において、スルー画用の制御値セットを選択する。制御値セットを選択すると、制御値セット選択部218は、処理をステップS133に進める。
ステップS133において、制御値設定部219は、ステップS126、ステップS129、若しくは、ステップS132において選択された制御値セットの各制御値を設定する。ステップS134において、デバイス駆動部220は、ステップS133の処理により設定された制御値に従ってレンズ部101乃至撮像素子103等のデバイスを駆動させる。
ステップS134の処理が終了すると、撮像制御部205は、処理を図4のステップS105に戻し、ステップS106に処理を進める。
つまり、図4の撮像処理が行われる間、図5の制御処理が繰り返し実行される。
以上のように、フリッカ判定部216によって、被写体がフリッカ環境下にあると判定された場合のみ、制御値セット選択部218が、スルー画を取り込む際の制御値として、スルー画用の制御値セットを選択する。これにより、撮像記憶時には、フリッカの発生を考慮しない撮像記憶用の制御値セットを用いることができる。つまり、撮像記憶前の制御のために、撮像記憶時の制御のパラメータの値が制限されてしまうことを抑制することができる。
その上で、撮像装置100は、フリッカが発生した場合であっても、スルー画と撮像画像との間の仕上がりの差を低減させることができる。例えば、スルー画においてフリッカが発生すると、その画像の仕上がりは、フリッカが発生しない撮像画像とは異なるものとなってしまう。しかしながら、撮像装置100は、上述したように、フリッカが検出されるとスルー画用の制御値セットを選択するので、スルー画におけるフリッカの発生を抑制することができる。
ここで重要なことは、制御値セット選択部218が、『被写体がフリッカ環境下にあると判定された場合のみ』、スルー画用の制御値セットを選択することである。換言するに、フリッカが発生していない場合、制御値セット選択部218は、スルー画用の制御値セットをそのまま選択せずに、撮像記憶用の制御値セットに近づけるように補正された値を選択する。
スルー画用の制御値セットを採用する場合、フリッカの発生が抑制されるものの、撮像記憶用の制御値セットとは異なる値である可能性が高い。つまり、フリッカ発生時程ではないものの、スルー画と撮像画像とで仕上がりにある程度の差が生じる恐れがある。
例えば特許文献3に記載の方法の場合、シャッタが押下されていない状態においては、必ず、撮像記憶の時用の露出線図とは異なるスルー用の露出線図を用いて絞り制御値やシャッタ速度値等が算出される。つまり、ユーザは、シャッタを半押しするまで、撮像画像の仕上がりを正確に確認することができない。
また、特許文献3に記載の方法の場合、例えば絞りをユーザが手動で調整する場合、ユーザは、撮像画像における絞りの効果を確認するために、絞りの制御値を変更する度にシャッタを半押しする必要があった。また、セルフタイマによる撮像記憶、被写体の笑顔を検出して行う自動撮像記憶、若しくは、リモートコントローラを用いた撮像記憶のように、所謂シャッタボタンの「半押し」操作が省略されるような撮像記憶の場合、ユーザは撮像画像の仕上がりを確認することができないまま撮像記憶を行わなければならなかった。
これに対して撮像装置100は、制御値セット選択部218が、『被写体がフリッカ環境下にあると判定された場合のみ』、スルー画用の制御値セットを選択するので、スルー画の制御値と撮像記憶時の制御値との差をより低減させることができる。
つまり、フリッカの発生の有無に関わらず、撮像装置100は、撮像記憶時の画像により近いスルー画を得ることができ、ユーザは、特別な操作を必要とせずに、そのスルー画によって撮像画像の仕上がりをより正確に確認することができる。
なお、被写体がフリッカ環境下にないと判定された場合、制御値セット選択部218が、撮像記憶用の制御値セットを選択するようにしてもよいことは上述したとおりである。
また、制御値セット選択部218は、撮像記憶モードやユーザ操作等に基づいて、ユーザが絞りの効果の確認を所望していると考えられる場合、フリッカの発生の有無に関わらず、撮像記憶用の制御値セットに近づけるように補正された値を選択する。
逆に、制御値セット選択部218は、撮像記憶モードやユーザ操作等に基づいて、ユーザが絞りの効果の確認を所望しておらず、かつ、撮像装置100自身もユーザに絞りの効果を確認させることを所望していないと考えられる場合、フリッカの発生の有無に関わらず、スルー画用の制御値セットを選択する。
このように、絞りの効果の確認が重要である、若しくは、重要でないことが明らかな場合、撮像装置100は、フリッカの発生の有無に関わらず、選択する制御値セットを決定することにより、制御値の不要な更新を抑制し、より安定したスルー画を得ることができる。
また上述したように、撮像装置100が、絞りの効果をユーザが確認することができるようにするか否かを、撮像記憶モードやユーザ操作等に基づいて決定する。したがって、ユーザは、特別な操作を必要とせずに、絞りの効果を確認すべき場合に、絞りの効果を確認することを優先させたスルー画を見ることができる。さらに、ユーザは、特別な操作を必要とせずに、絞りの効果を確認する必要がない場合に、フリッカの発生を抑制することを優先させたスルー画を見ることができる。つまり、ユーザは、状況に応じて適切なスルー画を見ることができる。
[スルー画用制御値セット算出処理の流れ]
次に、図6のフローチャートを参照して、図5のステップS123において実行されるスルー画用制御値セット算出処理の流れの例を説明する。
以下においては、環境の光源の周波数を、商用電源周波数にも使用される60Hzであるものとして説明する。もちろん、50Hzであってもよいし、それ以外の周波数であっても良い。
基本的に、スルー画においてフリッカの発生を抑制するためには、シャッタ速度を光源の周波数の整数倍にそろえることが効果的である。以下においては、このような光源の周波数の整数倍のシャッタ速度をフリッカレスシャッタ速度と称する。つまり、光源周波数60Hzの場合、フリッカレスシャッタ速度は、以下の集合で表される。
フリッカレスシャッタ速度={n/120|n∈N}
={1/120,1/60,1/30,・・・}
スルー画用制御値セット算出処理が開始されると、スルー画用制御値セット算出部213の露出合計値算出部251(図3)は、ステップS151において、図5のステップS122の処理により取得された被写体の明るさのレベルを用いて、ターゲットとなる露出値、すなわち、被写体を適正露出にするために必要な露出値の合計値(目標露出合計値)を算出する。
目標露出合計値が算出されると、その大きさに応じて、各制御値が決定される。例えば以下のような手順で処理が行われる。
ステップS152において、露出合計値判定部252は、目標露出合計値が、撮像装置100の制御可能範囲の下限限界を下回っているか否かを判定する。つまり、露出合計値判定部252は、ステップS151において算出された目標露出合計値と、撮像装置100が制御可能な、絞り制御値の下限値、シャッタ速度の下限値(最も遅いシャッタ速度、すなわち、露光時間の上限値)、およびISO感度(ゲイン)の上限値(最も高感度)の合計値(基準露出値)とを比較する。
目標露出合計値がこの場合の基準露出値より小さく、撮像装置100の制御可能範囲の下限限界を下回っていると判定された場合、露出合計値判定部252は、処理をステップS153に進める。
この場合、目標露出合計値が可動範囲外のため、全ての露出パラメータが限界値となるように設定される。つまり、絞り設定部253は、ステップS153において、絞り制御値を下限値に設定する。シャッタ速度設定部254は、ステップS154において、シャッタ速度を下限値(露光時間の上限値)に設定する。ISO感度設定部255は、ステップS155において、ISO感度(ゲイン)を上限値(最も高感度)に設定する。
各制御値が設定されると、スルー画用制御値セット算出部213は、スルー画用制御値セット算出処理を終了し、処理を図5のステップS123に戻し、ステップS124に処理を進める。
また、図6のステップS152において、目標露出合計値がこの場合の基準露出値以上であり、撮像装置100の制御可能下限の限界を下回っていないと判定された場合、露出合計値判定部252は、処理をステップS156に進める。
これ以降、露出合計値判定部252は、目標露出合計値が基準露出値を下回るまで、基準露出値を徐々に大きくしながら目標露出合計値との比較を繰り返す。つまり、露出合計値判定部252は、目標露出合計値の大きさを判別する。絞り設定部253乃至ISO感度設定部255は、判別された目標露出合計値の大きさに応じて制御値を決定する。
以下に、具体的に説明する。ステップS156において、露出合計値判定部252は、目標露出合計値が、絞り制御値の下限限界、いちばん遅いフリッカレスシャッタ速度、および、ISO感度(ゲイン)の下限限界を下回っているか否かを判定する。つまり、露出合計値判定部252は、ステップS151において算出された目標露出合計値と、撮像装置100が設定可能な範囲で、絞り制御値の下限値、最も遅いフリッカレスシャッタ速度(1/30秒)、およびISO感度(ゲイン)の上限値(最も高感度)の合計値(基準露出値)とを比較する。
目標露出合計値がこの場合の基準露出値より小さいと判定された場合、露出合計値判定部252は、処理をステップS157に進める。この場合、絞り設定部253は、ステップS157において、絞り制御値を下限値に設定する。ISO感度設定部255は、ステップS158において、ISO感度制御値(ゲイン)を上限値(最も高感度)に設定する。
さらに、シャッタ速度設定部254は、ステップS159において、シャッタ速度を、その下限値(露光時間の上限値、つまり最も遅い値)乃至1/30秒の間の適正露出となる値に設定する。つまり、シャッタ速度設定部254は、目標露出合計値から今設定した絞り制御値とISO感度制御値(ゲイン)を差し引いたものを設定する。
各制御値が設定されると、スルー画用制御値セット算出部213は、スルー画用制御値セット算出処理を終了し、処理を図5のステップS123に戻し、ステップS124に処理を進める。
また、図6のステップS156において、目標露出合計値がこの場合の基準露出値以上であると判定された場合、露出合計値判定部252は、処理をステップS160に進める。
ステップS160において、露出合計値判定部252は、目標露出合計値が、絞り制御値の下限値、いちばん遅いフリッカレスシャッタ速度、および、ISO感度(ゲイン)の上限値の合計値を下回っているか否かを判定する。つまり、露出合計値判定部252は、ステップS151において算出された目標露出合計値と、撮像装置100が設定可能な、絞り制御値の下限値、最も遅いフリッカレスシャッタ速度(1/30秒)、および、ISO感度(ゲイン)の下限値(最も低感度)の合計値(基準露出値)とを比較する。
目標露出合計値がこの場合の基準露出値より小さいと判定された場合、露出合計値判定部252は、処理をステップS161に進める。この場合、絞り設定部253は、ステップS161において、絞り制御値を下限値に設定する。シャッタ速度設定部254は、ステップS162において、シャッタ速度を、最も遅いフリッカレスシャッタ速度(1/30秒)に設定する。
さらに、ISO感度設定部255は、ステップS163において、ISO感度(ゲイン)を上限値(最も高感度)乃至下限値(最も低感度)の間で適正露出となる値に設定する。つまり、ISO感度設定部255は、目標露出合計値から今設定された絞り制御値とシャッタ速度を差し引いたものを設定する。
各制御値が設定されると、スルー画用制御値セット算出部213は、スルー画用制御値セット算出処理を終了し、処理を図5のステップS123に戻し、ステップS124に処理を進める。
また、図6のステップS160において、目標露出合計値がこの場合の基準露出値以上であると判定された場合、露出合計値判定部252は、処理をステップS164に進める。
ステップS164において、露出合計値判定部252は、目標露出合計値が、絞り制御値の下限値、2番目に遅いフリッカレスシャッタ速度、および、ISO感度(ゲイン)の下限値の合計値を下回っているか否かを判定する。つまり、露出合計値判定部252は、ステップS151において算出された目標露出合計値と、撮像装置100が設定可能な、絞り制御値の下限値、2番目遅いフリッカレスシャッタ速度(1/60秒)、および、ISO感度(ゲイン)の下限値(最も低感度)の合計値(基準露出値)とを比較する。
目標露出合計値がこの場合の基準露出値より小さいと判定された場合、露出合計値判定部252は、処理をステップS165に進める。この場合、絞り設定部253は、ステップS165において、絞り制御値を下限値に設定する。シャッタ速度設定部254は、ステップS166において、シャッタ速度を、2番目に遅いフリッカレスシャッタ速度(1/60秒)に設定する。
さらに、ISO感度設定部255は、ステップS167において、ISO感度(ゲイン)を、所定の範囲内で適正露出となる値に設定する。つまり、ISO感度設定部255は、目標露出合計値から今設定された絞り制御値とシャッタ速度を差し引いたものを設定する。なお、この所定の範囲の上限は、ISO感度(ゲイン)の上限値(最も高感度)である。また、この所定の範囲の下限は、その上限値よりも2番目に遅いフリッカレスシャッタ速度の明るさの分だけ下方の値である。
各制御値が設定されると、スルー画用制御値セット算出部213は、スルー画用制御値セット算出処理を終了し、処理を図5のステップS123に戻し、ステップS124に処理を進める。
また、図6のステップS164において、目標露出合計値がこの場合の基準露出値以上であると判定された場合、露出合計値判定部252は、処理をステップS168に進める。
ステップS168において、露出合計値判定部252は、目標露出合計値が、絞り制御値の下限値、3番目に遅いフリッカレスシャッタ速度、および、ISO感度(ゲイン)の下限値の合計値を下回っているか否かを判定する。つまり、露出合計値判定部252は、ステップS151において算出された目標露出合計値と、撮像装置100が設定可能な、絞り制御値の下限値、3番目遅いフリッカレスシャッタ速度(1/120秒)、および、ISO感度(ゲイン)の下限値(最も低感度)の合計値(基準露出値)とを比較する。
目標露出合計値がこの場合の基準露出値より小さいと判定された場合、露出合計値判定部252は、処理をステップS169に進める。この場合、絞り設定部253は、ステップS169において、絞り制御値を下限値に設定する。シャッタ速度設定部254は、ステップS170において、シャッタ速度を、3番目に遅いフリッカレスシャッタ速度(1/120秒)に設定する。
さらに、ISO感度設定部255は、ステップS171において、ISO感度(ゲイン)を所定の範囲内で適正露出となる値に設定する。つまり、ISO感度設定部255は、目標露出合計値から今設定された絞り制御値とシャッタ速度制御値を差し引いたものを設定する。
各制御値が設定されると、スルー画用制御値セット算出部213は、スルー画用制御値セット算出処理を終了し、処理を図5のステップS123に戻し、ステップS124に処理を進める。
スルー画用制御値セット算出部213は、フリッカレスシャッタ速度の要素数だけ、このような手順を繰り返す。つまり、各フリッカレスシャッタ速度について、目標露出合計値と基準露出値とが比較される。ここでは、光源の周波数が60Hzであるので、1/120秒が最速のフリッカレスシャッタ速度(フリッカが発生しない最短の露光時間)となる。
したがって、図6のステップS168において、目標露出合計値がこの場合の基準露出値以上であると判定された場合、露出合計値判定部252は、処理をステップS172に進める。
ステップS172において、露出合計値判定部252は、目標露出合計値が、絞り制御値の上限値、3番目に遅い(最も速い)フリッカレスシャッタ速度、および、ISO感度(ゲイン)の上限値の合計値を下回っているか否かを判定する。つまり、露出合計値判定部252は、ステップS151において算出された目標露出合計値と、撮像装置100が設定可能な、絞り制御値の下限値、最も高速なフリッカレスシャッタ速度(1/120秒)、および、ISO感度(ゲイン)の上限値(最も高感度)の合計値(基準露出値)とを比較する。
目標露出合計値がこの場合の基準露出値より小さいと判定された場合、露出合計値判定部252は、処理をステップS173に進める。この場合、絞り設定部253は、ステップS173において、絞り制御値を最大値に設定する。シャッタ速度設定部254は、ステップS174において、シャッタ速度制御値を、最も速いフリッカレスシャッタ速度(1/120秒)に設定する。
さらに、ISO感度設定部255は、ステップS175において、ISO感度(ゲイン)を所定の範囲内で適正露出となる値に設定する。つまり、ISO感度設定部255は、目標露出合計値から今設定された絞り制御値とシャッタ速度制御値を差し引いたものを設定する。なお、この所定の範囲の上限は、ISO感度(ゲイン)の上限値(最も高感度)である。また、この所定の範囲の下限は、その上限値よりも最速のフリッカレスシャッタ速度の明るさの分だけ下方の値である。
各制御値が設定されると、スルー画用制御値セット算出部213は、スルー画用制御値セット算出処理を終了し、処理を図5のステップS123に戻し、ステップS124に処理を進める。
また、図6のステップS168において、目標露出合計値がこの場合の基準露出値以上であると判定された場合、露出合計値判定部252は、処理をステップS176に進める。
ステップS176において、露出合計値判定部252は、目標露出合計値が、絞り制御値の上限値、シャッタ速度の上限値(露光時間の下限値)、および、ゲインの下限値の合計値を下回っているか否かを判定する。つまり、露出合計値判定部252は、ステップS151において算出された目標露出合計値と、撮像装置100が設定可能な、絞り制御値の上限値、シャッタ速度の上限値(最も速い)、および、ISO感度(ゲイン)の下限値(最も低感度)の合計値(基準露出値)とを比較する。
目標露出合計値がこの場合の基準露出値より小さいと判定された場合、露出合計値判定部252は、処理をステップS177に進める。この場合、絞り設定部253は、ステップS177において、絞り制御値を上限値に設定する。ISO感度設定部255は、ステップS178において、ISO感度(ゲイン)を下限値に設定する。
さらに、シャッタ速度設定部254は、ステップS179において、シャッタ速度を、1/120秒乃至上限値(最も速い)の間で適正露出となる値に設定する。つまり、シャッタ速度設定部254は、目標露出合計値から今設定した絞り制御値とISO感度(ゲイン)を差し引いたものを設定する。
各制御値が設定されると、スルー画用制御値セット算出部213は、スルー画用制御値セット算出処理を終了し、処理を図5のステップS123に戻し、ステップS124に処理を進める。
また、図6のステップS176において、目標露出合計値が、撮像装置100の制御可能範囲の上限を上回っていると判定された場合、露出合計値判定部252は、処理をステップS180に進める。
この場合、目標露出合計値が可動範囲外である。絞り設定部253は、ステップS180において、絞り制御値を上限値に設定する。シャッタ速度設定部254は、ステップS181において、シャッタ速度を上限値(最も速い)に設定する。ISO感度設定部255は、ステップS182において、ISO感度(ゲイン)を下限値(最も低感度)に設定する。
各制御値が設定されると、スルー画用制御値セット算出部213は、スルー画用制御値セット算出処理を終了し、処理を図5のステップS123に戻し、ステップS124に処理を進める。
スルー画用制御値セット算出部213は、以上のような手順でスルー画用制御値セットの各制御値を求めることにより、フリッカの発生を抑制するような制御値を算出することができる。
つまり、ここで重要なことは、シャッタ速度設定部254が、フリッカの発生を抑制するために、シャッタ速度を、可能な限り、いずれかのフリッカレスシャッタ速度に設定することである。
換言するに、シャッタ速度がいずれかのフリッカレスシャッタ速度に設定される限り、上述した以外の手順で各制御値を求めるようにしてもよい。つまり、ステップS152、ステップS156、ステップS160、ステップS164、ステップS168、ステップS172、およびステップS176の各判定処理は、任意の順番で行うことができる。例えば、図6のフローを、ステップS176側からステップS152側に向かって処理を進めるようにしてもよい。
また、各判定処理の内容も図6を参照して上述した以外であってもよい。上述した手順は、フリッカレスシャッタ速度を採用することのみを優先させたものであり、その他のパラメータについては考慮されていない。しかしながら、例えば、スルー画に撮像記憶の時の被写界深度やゲインを少しでも多く反映させたい場合、画作りの上での制約がある場合、または、デバイス制御上の制約がある場合等のように、フリッカの発生の抑制以外のことも考慮する必要がある場合が考えられる。
このような各ケースに応じて、図6に示される制御順序を入れ替えるようにしてもよい。例えば、図6においては、各フリッカレスシャッタ速度において、ISO感度(ゲイン)によって露出の微調整を行い(例えば、ステップS163、ステップS167、およびステップS171)、絞りの値はできるだけ小さくする(例えば、ステップS161、ステップS165、およびステップS169)ように説明した。しかしながら、これに限らず、絞り制御値を最大化することを優先させるようにしてもよい。
つまり、シャッタ速度をフリッカレスシャッタ速度に保つようにすれば、その他の制御方法は基本的に任意であるので、撮像制御部205は、より多様な条件下において適切なスルー画用の制御値を算出することができる。
[撮像記憶用制御値セット算出処理の流れ]
次に、図7のフローチャートを参照して、図5のステップS124において実行される撮像記憶用制御値セット算出処理の流れの例を説明する。
以下においては、レンズの焦点距離が40mmであるものとする。一般的に、シャッタ速度(露光時間)が、「1/焦点距離」よりも短いと、手ぶれによって撮像画像がぶれてしまうのが抑制される。以下においては、1/40秒を、この手ぶれ抑制の分岐点として説明する。この分岐点(1/40秒)を手ぶれシャッタ速度とも称する。つまり、シャッタ速度(露光時間)が1/40秒よりも短い場合、撮像画像における手ぶれによる「ぶれ」が抑制されるものとする。なお、光学式手ぶれ補正機能を含む各種手ぶれ補正機能によって手ぶれ軽減処理が別途施されるときには、この限りではない。
撮像記憶用制御値セット算出処理が開始されると、撮像記憶用制御値セット算出部214の露出合計値算出部251(図3)は、ステップS201において、図5のステップS122の処理により取得された被写体の明るさのレベルを用いて、ターゲットとなる露出値、すなわち、被写体を適正露出にするために必要な露出値の合計値(目標露出合計値)を算出する。この値は露光量(EV)を含む、デバイスの違いを吸収する明るさの共通のパラメータであり、これを露出の制御に寄与するデバイスに振り分けることにより、適正となる露出となるように制御することが可能となる。
目標露出合計値が算出されると、その大きさに応じて、各制御値が決定される。例えば以下のような手順で処理が行われる。
ステップS202において、露出合計値判定部252は、目標露出合計値が、撮像装置100の制御可能範囲の下限を下回っているか否かを判定する。つまり、露出合計値判定部252は、ステップS201において算出された目標露出合計値と、撮像装置100が設定可能な、絞り制御値の下限値、シャッタ速度の下限値(最も遅いシャッタ速度、すなわち、露光時間の上限値)、およびISO感度(ゲイン)の上限値(最も高感度)の合計値(基準露出値)とを比較する。
目標露出合計値がこの場合の基準露出値より小さく、撮像装置100の制御可能範囲の下限限界を下回っていると判定された場合、露出合計値判定部252は、処理をステップS203に進める。
この場合、目標露出合計値が可動範囲外のため、全ての露出パラメータが限界値となるように設定される。つまり、絞り設定部253は、ステップS203において、絞り制御値を下限値に設定する。シャッタ速度設定部254は、ステップS204において、シャッタ速度を下限値(露光時間の上限値)に設定する。ISO感度設定部255は、ステップS205において、ISO感度(ゲイン)を上限値(最も高感度)に設定する。
各制御値が設定されると、撮像記憶用制御値セット算出部214は、撮像記憶用制御値セット算出処理を終了し、処理を図5のステップS124に戻し、ステップS125に処理を進める。
また、図7のステップS202において、目標露出合計値がこの場合の基準露出値以上であり、撮像装置100の制御可能範囲の下限限界を下回っていないと判定された場合、露出合計値判定部252は、処理をステップS206に進める。
これ以降、露出合計値判定部252は、目標露出合計値が基準露出値を下回るまで、基準露出値を徐々に大きくしながら目標露出合計値との比較を繰り返す。つまり、露出合計値判定部252は、目標露出合計値の大きさを判別する。絞り設定部253乃至ISO感度設定部255は、判別された目標露出合計値の大きさに応じて制御値を決定する。
以下に、具体的に説明する。
ステップS206において、露出合計値判定部252は、目標露出合計値が、絞り制御値の下限値、手ぶれシャッタ速度、およびISO感度(ゲイン)の下限値の合計値(基準露出値)を下回っているか否かを判定する。目標露出合計値がこの場合の基準露出値より小さいと判定された場合、露出合計値判定部252は、処理をステップS207に進める。
この場合、絞り設定部253は、ステップS207において、絞り制御値を下限値に設定する。ISO感度設定部255は、ステップS208において、ISO感度(ゲイン)を上限値(最も高感度)に設定する。
さらに、シャッタ速度設定部254は、ステップS209において、シャッタ速度を、下限値(最も遅い値)乃至手ぶれシャッタ速度(1/40秒)の間で適正露出となる値に設定する。つまり、シャッタ速度設定部254は、目標露出合計値から今設定した絞り制御値とISO感度(ゲイン)を差し引いたものを設定する。
各制御値が設定されると、撮像記憶用制御値セット算出部214は、撮像記憶用制御値セット算出処理を終了し、処理を図5のステップS124に戻し、ステップS125に処理を進める。
また、図7のステップS206において、目標露出合計値がこの場合の基準露出値以上であると判定された場合、露出合計値判定部252は、処理をステップS210に進める。
ステップS210において、露出合計値判定部252は、目標露出合計値が、絞り制御値の下限値、手ぶれシャッタ速度、および、ISO感度(ゲイン)の下限値の合計値を下回っているか否かを判定する。
目標露出合計値がこの場合の基準露出値より小さいと判定された場合、露出合計値判定部252は、処理をステップS211に進める。この場合、絞り設定部253は、ステップS211において、絞り制御値を下限値に設定する。シャッタ速度設定部254は、ステップS212において、シャッタ速度を手ぶれシャッタ速度(1/40秒)に設定する。
さらに、ISO感度設定部255は、ステップS213において、ISO感度(ゲイン)を上限値(最も高感度)乃至下限値(最も低感度)の間で適正露出となる値に設定する。つまり、ISO感度設定部255は、目標露出合計値から今設定された絞り制御値とシャッタ速度を差し引いたものを設定する。
各制御値が設定されると、撮像記憶用制御値セット算出部214は、撮像記憶用制御値セット算出処理を終了し、処理を図5のステップS124に戻し、ステップS125に処理を進める。
また、図7のステップS210において、目標露出合計値がこの場合の基準露出値以上であると判定された場合、露出合計値判定部252は、処理をステップS214に進める。
ステップS214において、露出合計値判定部252は、目標露出合計値が、絞り制御値の下限値、シャッタ速度の上限値(最も速い値)、およびISO感度(ゲイン)の上限値(最も高感度)の合計値を下回っているか否かを判定する。
目標露出合計値がこの場合の基準露出値より小さいと判定された場合、露出合計値判定部252は、処理をステップS215に進める。この場合、絞り設定部253は、ステップS215において、絞り制御値を所定の値(例えばF5.6)に設定する。ISO感度設定部255は、ステップS216において、ISO感度を、下限値(最も低感度)に設定する。
さらに、シャッタ速度設定部254は、ステップS217において、シャッタ速度制御値を、手ぶれシャッタ速度(1/40秒)乃至上限値の間で適正露出となる値に設定する。つまり、シャッタ速度設定部254は、目標露出合計値から今設定された絞り制御値とISO感度(ゲイン)を差し引いたものを設定する。
各制御値が設定されると、撮像記憶用制御値セット算出部214は、撮像記憶用制御値セット算出処理を終了し、処理を図5のステップS124に戻し、ステップS125に処理を進める。
また、図7のステップS214において、目標露出合計値がこの場合の基準露出値以上であると判定された場合、露出合計値判定部252は、処理をステップS218に進める。
ステップS218において、露出合計値判定部252は、目標露出合計値が、絞り制御値の上限値、シャッタ速度の上限値(最も速い値)、およびISO感度(ゲイン)の下限値(最も低感度)の合計値を下回っているか否かを判定する。
目標露出合計値がこの場合の基準露出値より小さいと判定された場合、露出合計値判定部252は、処理をステップS219に進める。この場合、シャッタ速度設定部254は、ステップS219において、シャッタ速度を上限値(最も速い値)に設定する。ISO感度設定部255は、ステップS220において、ISO感度(ゲイン)を下限値(最も低感度)に設定する。
さらに、絞り設定部253は、ステップS221において、絞り制御値を所定の値(例えばF5.6)から上限値までの間で適正露出となる値に設定する。つまり、絞り設定部253は、目標露出合計値から今設定されたシャッタ速度とISO感度(ゲイン)を差し引いたものを設定する。
各制御値が設定されると、撮像記憶用制御値セット算出部214は、撮像記憶用制御値セット算出処理を終了し、処理を図5のステップS124に戻し、ステップS125に処理を進める。
また、図7のステップS218において、目標露出合計値がこの場合の基準露出値以上であると判定された場合、露出合計値判定部252は、処理をステップS222に進める。
この場合、目標露出合計値が可動範囲外である。絞り設定部253は、ステップS222において、絞り制御値を上限値に設定する。シャッタ速度設定部254は、ステップS223において、シャッタ速度を上限値(最も速い値)に設定する。ISO感度設定部255は、ステップS224において、ISO感度(ゲイン)を下限値(最も低感度)に設定する。
各制御値が設定されると、撮像記憶用制御値セット算出部214は、撮像記憶用制御値セット算出処理を終了し、処理を図5のステップS124に戻し、ステップS125に処理を進める。
撮像記憶用制御値セット算出部214は、以上のような手順で撮像記憶用制御値セットの各制御値を求めることにより、撮像画像に適した制御値を算出することができる。
なお、以上に説明した処理の流れは、シャッタ速度を高速にすることを優先し、被写界深度の浅い画像を撮像することを優先した場合の例である。このような処理の流れは、例えば、シーンセレクションモードでユーザがポートレートやマクロなど、一般に被写界深度の浅い画を好まれるモードを選択したときや、カメラに制御を任せるモードに設定されているときにカメラによってポートレートやマクロを含む被写界深度の浅い画作りをしたいと判断されたときに使用されるのが望ましい。
もちろん、この撮像記憶用制御値セット算出処理の流れは、上述した以外であってもよく、例えば、目標露出合計値が可動範囲の下限よりも大きいと分かった時点で絞りを動かすことを優先するなどして、各分岐の条件を変更した場合には、絞りを絞ることを優先するようなフローで処理が行われるようにしてもよい。このようなフローは、例えば、シーンセレクションモードでユーザが風景モードを選択したときや、カメラに制御を任せるモードに設定されているときにカメラによって風景を含む被写界深度の深い画作りをしたいと判断されたときに使用されるのが望ましい。
もちろん、これら以外の任意の手順で撮像記憶用制御値セット算出処理が行われるようにしても良い。
[制御値補正処理の流れ]
次に、図8のフローチャートを参照して、図5のステップS128において実行される制御値補正処理の流れの例を説明する。
なお、以下において、Avdは、スルー画用の絞り制御値を示し、Tvdは、スルー画用のシャッタ速度(露光時間)を示し、Svdは、スルー画用のISO感度(ゲイン)を示す。つまり、Avd、Tvd、およびSvdは、図5のステップS123において実行されるスルー画用制御値セット算出処理により算出される。
また、Aviは、撮像記憶用の絞り制御値を示し、Tviは、撮像記憶用のシャッタ速度(露光時間)を示し、Sviは、撮像記憶用のISO感度(ゲイン)を示す。つまり、Avi、Tvi、およびSviは、図5のステップS124において実行される撮像記憶用制御値セット算出処理により算出される。
制御値補正処理が開始されると、撮像制御部205の制御値補正部217(図2)は、ステップS241において、スルー画用の絞り制御値Avd、シャッタ速度Tvd、およびISO感度Svdを、保持されている場所(例えば、RAM123や記憶部127等)から取得する。制御値補正部217は、さらに、ステップS242にいて、撮像記憶用の絞り制御値Avi、シャッタ速度Tvi、およびISO感度Sviを、保持されている場所(例えば、RAM123や記憶部127等)から取得する。
ステップS243において、制御値補正部217は、スルー画用の絞り制御値Avdに撮像記憶用の絞り制御値Aviをセットする。つまり、更新後のAvdをAvd’とするとAvd’=Aviとなる。
ステップS244において、制御値補正部217は、絞り制御値Avを更新したことによる露出の差分を、シャッタ速度Tvで以下のように補う。
Tvd’=Tvd+(Avd−Avd’) =Tvd+(Avd−Avi)
ステップS245において、制御値補正部217は、シャッタ速度Tvを更新したことによる露出の差分を、ISO感度Svで以下のように補う。
Svd’=Svd+(Tvd−Tvd’) =Svd−(Avd−Avi)
以上のように各制御値が補正されると、制御値補正部217は、制御値補正処理を終了し、処理を図5のステップS128に戻し、ステップS129に処理を進める。
このようにすることにより、絞り制御値Avには、撮像記憶用の値(Avi)が用いられているので、ユーザがスルー画において撮像記憶の時の被写界深度をより正確に確認することができる。また、シャッタ速度TvやISO感度Svには、スルー画用の値(TvdおよびSvd)を補正した値が用いられる。したがって、撮像記憶用のシャッタ速度(Tvi)やISO感度(Svi)がスルー画に適さない場合も、撮像制御部205は、各制御値を適切な値に設定することができる。
以上においては、被写界深度をユーザに確認させることを優先させているため、撮像記憶用の絞り制御値Aviを用いて、シャッタ速度TvやISO感度Svを補正するように説明したが、もちろん、これ以外の任意の方法で補正処理を行うようにしてもよい。
<2.第2の実施の形態>
[制御CPUの構成]
以上に説明した第1の実施の形態においては、スルー画用の制御値セットと撮像記憶用の制御値セットの両方を算出し、状況に応じて、いずれか一方を選択して採用するように説明したが、これに限らず、例えば、状況に応じて、スルー画用の制御値セット若しくは撮像記憶用の制御値セットのいずれか一方を算出するようにしてもよい。
図9は、その場合の制御CPU121が有する機能ブロックの主な構成例を示す図である。
図9に示されるように、この場合も制御CPU121は、基本的に第1の実施の形態の場合(図2)と同様の構成を有する。ただし、図9の場合、撮像制御部205は、図2の場合に存在した制御値セット選択部218を省略することができる。
[制御処理の流れ]
この場合の制御処理の流れの例を図10のフローチャートを参照して説明する。
図10に示されるように、この場合も、制御処理は、基本的に第1の実施の形態の場合(図5)と同様に実行される。
ただし、制御値セットを算出するステップS123およびステップS124の処理は省略する。つまり、ステップS321においてモード設定取得部211がステップS121の場合と同様に撮像記憶モード設定を取得し、ステップS322において明るさ情報取得部212がステップS122の場合と同様に被写体の明るさ情報を取得した後、ステップS323において、モード操作判定部215がステップS125の場合と同様に撮像記憶を開始するか否かを判定する。
撮像記憶を開始すると判定された場合、ステップS324において、撮像記憶用制御値セット算出部214が、ステップS126の処理の代わりに、ステップS124の場合と同様の撮像記憶用制御値セット算出処理を行い、撮像記憶用の制御値セットを算出する。
また、ステップS323において撮像記憶を開始しないと判定された場合、スルー画用制御値セット算出部213は、ステップS325において、ステップS123の場合と同様のスルー画用制御値セット算出処理を行い、スルー画用の制御値セットを算出する。
スルー画用の制御値セットが算出された後、モード操作判定部215は、ステップS326において、ステップS127の場合と同様に、ユーザが絞りの効果の確認を望んでいるか否かを判定する。
撮像記憶モードやユーザ操作等に基づいて、ユーザが絞りの効果の確認を所望していると判定された場合、制御値補正部217は、ステップS327において、ステップS128の場合と同様に制御値補正処理を行い、スルー画用の制御値を撮像記憶用の制御値で補正する。なお、この場合、他に制御値セットが生成されていないので、制御値を補正することにより、その補正された制御値が選択される。つまり、ステップS129の処理は省略される。
また、ステップS326において、ユーザが絞りの効果の確認を所望していないと判定された場合、モード操作判定部215は、ステップS328において、ステップS130の場合と同様に、撮像装置100がユーザに絞りの効果を確認させることを望んでいるか否かを判定する。
望んでいると判定された場合、フリッカ判定部216は、ステップS329において、ステップS131の場合と同様に、被写体がフリッカ環境下にいるか否かを判定する。スルー画にフリッカが発生していないと判定された場合、処理はステップS327に戻される。
ステップS329において、スルー画にフリッカが発生していると判定された場合、フリッカ判定部216は、処理をステップS330に進める。また、ステップS328において、撮像装置100がユーザに絞りの効果を確認させることを所望していないと判定された場合、モード操作判定部215は、処理をステップS330に進める。
これらの場合、他に制御値セットが生成されていないので、ステップS325において算出されたスルー画用の制御値セットが選択されていることになる。したがって、ステップS132の処理は省略される。
ステップS330において、制御値設定部219は、ステップS133の場合と同様に、生成された各制御値を設定する。ステップS331において、デバイス駆動部220は、ステップS134の場合と同様に、ステップS330の処理により設定された制御値に従ってレンズ部101乃至撮像素子103等のデバイスを駆動させる。
ステップS331の処理が終了すると撮像制御部205は、制御処理を終了し、処理を図4のステップS105に戻し、ステップS106に処理を進める。
このようにすることにより、必要な制御値セットのみを生成するようにすることができるので、撮像制御部205は、制御処理全体の負荷を低減させることができる。
ただし、この第2の実施の形態の場合、撮像記憶モードやユーザ操作を判定してから制御値を生成しなければならない。これに対して、第1の実施の形態の場合、予め撮像記憶用とスルー画用の両方の制御値を生成しているので、撮像記憶モードやユーザ操作の判定結果に応じていずれか一方を選択するのみでよい。つまり、第1の実施の形態の制御処理(図5)の方が、第2の実施の形態の制御処理(図10)よりも、デバイス制御の即応性を向上させることができる。
なお、図5および図10のフローチャートにおいては、ユーザがシャッタボタンを深押し等することにより、撮像記憶を開始すると判定するように説明したが、例えば、ユーザがシャッタボタンを半押しした場合も、ユーザが撮像記憶の時と同等の画像を所望しているとみなし、撮像記憶の時の場合と同様に、ステップS126に処理を進め、撮像記憶用の制御値を用いて制御が行われるようにしてもよい。例えば、ユーザがシャッタボタンを半押ししている間、スルー画が静止画となるようにしてもよい。
もちろん、半押し操作と深押し操作との違いからユーザの意思が異なるものであると解釈し、ユーザがシャッタボタンを半押し操作した場合は、ステップS132に処理を進め、スルー画用の制御値を用いて制御が行われるようにしてもよいし、ステップS128に処理を進め、スルー画用の制御値を撮像記憶用の制御値で補正した値を用いて制御が行われるようにしてもよい。
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。上述した一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフウェアを構成するプログラムが、ネットワークや記録媒体からインストールされる。
この記録媒体は、例えば、図1に示されるように、装置本体とは別に、撮像装置100の管理者にプログラムを配信するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM,DVDを含む)、光磁気ディスク(MD(登録商標)を含む)、もしくは半導体メモリなどよりなるリムーバブルメディア152により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態で管理者に配信される、プログラムが記録されているROM122や、記憶部127に含まれるハードディスクなどで構成される。
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
また、以上において、1つの装置(または処理部)として説明した構成が、複数の装置(または処理部)として構成されるようにしてもよい。逆に、以上において複数の装置(または処理部)として説明した構成が、まとめて1つの装置(または処理部)として構成されるようにしてもよい。また、各装置(または各処理部)の構成に上述した以外の構成が付加されるようにしてももちろんよい。さらに、システム全体としての構成や動作が実質的に同じであれば、ある装置(または処理部)の構成の一部が他の装置(または他の処理部)の構成に含まれるようにしてもよい。つまり、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
本発明は、例えば、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話機、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistants)、UMPC(Ultra Mobile Personal Computer)、ノート型パーソナルコンピュータ、監視用撮像システム、医療用撮像システム、交通管理システム等、撮像機能を有する装置やシステム等であればどのようなものにも適用することができる。