JP5810817B2 - ゴルフクラブヘッド - Google Patents

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Description

本発明はゴルフクラブヘッドに係り、更に詳しくは、ヘッドのぶれを抑制して真っ直ぐに振り抜くことに適したゴルフクラブヘッドに関する。
ゴルフボールを真っ直ぐに飛ばすためには、フェース面がスクウェアの状態(フェース面が飛球線方向に対して直角となる状態)で打球することが要求される。
しかしながら、スクウェアでボールを捉えることは上級者でも容易なことではなく、ボールに付与されるスピン回転軸の向きがばらついて左右に曲がってしまう、といった状態をもたらす傾向が多く見受けられる。
このようなボールの曲がりは、プレーヤーのスイング動作に起因する要素を多分に含んでいるが、ティーショット以外での打球は、ソール面が地面に接する状態となるため、その接触によってヘッドが左右にぶれ、当該ぶれに起因してボールが曲がってしまう場合も多い。
特許文献1には、ヘッドのソール面が接地したときの抵抗を低減してヘッドを真っ直ぐに誘導することを企図したゴルフクラブヘッドが開示されている。
特許3936887号公報
特許文献1記載のゴルフクラブヘッドは、ソール面の中間領域に、フェース面から後方に向かう膨出部を設けるとともに、当該膨出部の間に相対的に凹んだ領域(リセス)を設けた構成となっている。
しかしながら、特許文献1記載のゴルフクラブヘッドは、実質的には、ソール面に膨出部を設けるというだけの構成であり、膨出部が地面に接する状態でボールを打撃するようにヘッドを通過させたときに、地面との接触抵抗によってヘッドが左右にぶれる可能性をもたらす傾向がある。これは、ボールを打撃するときに、ソール面と地面との接触位置が膨出部と地面との接触位置よりも上位となる構成に原因があるものと思われる。
また、特許文献1記載のゴルフクラブヘッドは、膨出部がヘッドのフェース面を上位に持ち上げている状態となり、フェース中心が高くなってボールの上部側を打撃し、ヘッドの重心位置も変わってしまうという問題がある。
[発明の目的]
本発明の目的は、既存のゴルフクラブヘッドと同じようにソール面が地面に接触しながら通過できるようにし、その際に、通過をガイドするような作用を付与することで、スイングに際して真っ直ぐに振り抜くことができ、ボールをできるだけ真っ直ぐ飛ばすことに適したゴルフクラブヘッド提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明は、特許請求の範囲記載の構成を採用したものであり、具体的には、ヘッドの直進性を保持するソール面に凸状のリブが設けられたゴルフクラブヘッドであって、
前記リブは、幅が4.5mm〜5.0mm、高さの最大が2.5mm〜3.0mmとなる上端部を含み、フェース面に略直交する方向に沿って前後に延び、ソール面の最下部がライ角を保つ状態で地面に接触しながら通過するときに、前記最下部よりも上位で地面に接触する位置に設けられる、という構成を採っている。
なお、前記リブは、ヒール側に少なくとも一本設けられる構成とすることができる。上記幅、高さの範囲外では、ヘッドが左右にばらつき、その結果、打撃によるボールスピン回転軸が基準軸に対して傾きが大きくなり、ボール直進性が担保し難くなる。
また、前記リブは、ホーゼル部の中心軸線と前記ソール面との交差部を通過して前後に延びることが好ましい。
更に、前記リブは、前記上端部の幅方向両側から次第に高さを減じる傾斜面を介して前記ソール面に連なる領域を含んで構成されている。
また、前記リブの前端は、前記フェース面と前記ソール面との交差部より所定距離後退して位置し、当該後退位置をリブ前端として高さと幅が次第に大きく設けられて前記上端部に連なように設けることもできる。
なお、本発明において、「地面に接触」とは、ティーアップしていないゴルフボールをスイートエリアで打撃したときの、ソール面と地面との接触状態を理想とするものである。従って、「地面に接触」とは、ソール面が地面に対して特定のレベルで通過する場合と、そのレベルに対して上下方向に若干ずれた状態をも含み得る。「若干ずれた状態」とは、いわゆる「ダフリ」、「トップ」と称される状態を除外した範囲である。また、地面は、土の表面及び又は芝生をも含む。
本発明によれば、ソール面のヒール側において、一部肉厚を変化させて前後方向に延びるようにリブを設け、幅及び高さを上記範囲とすることで、スイングに際してヘッドの直進性を保った軌道を確保することができる。すなわち、ヘッドが左右にぶれることを抑制し、フェース面がボールに対してスクウェアの位置を保った状態でボールを捉えることができるようになる。
また、リブを設ける位置をホーゼル部の中心軸線との関係において定めることで、シャフト軸線上にリブが存在するようになり、地面に対するリブの通過軌跡を安定して保ち易くなる。
更に、リブの幅方向両側は曲面を介してソール面に連なるため、表面を滑らかに維持することができ、ソール面が芝生に接触しながら移動するときの抵抗が極端に大きくなるような不都合は生じない。
また、リブの前端側は前記上端部に向かって次第に高さと幅が大きくなるように形成されているので、フェース面が芝生に接触し初めた当初の抵抗が過大になることがなく、ヘッドスピードが落ちるといった不利益を抑制することが期待できる。
本発明がフェアウェイウッドに適用されたヘッドをフェース面側から見た図。 前記ゴルフクラブヘッドをソール面側から見た図。 前記ゴルフクラブヘッドを反転してヒール側から見た図。 図2のA−A線矢視拡大断面図。 変形例を示す図1と同様の図。 図5のゴルフクラブヘッドをソール面側から見た図。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1及び図2に示されるように、いわゆるフェアウェイウッドと称されるタイプのゴルフクラブヘッド10は、フェース面11と、当該フェース面11の上部及び下部にそれぞれ連なるクラウン面13、ソール面14と、クラウン面13及びソール面14のヒール側14A上方に連なるホーゼル部15とを含み、当該ホーゼル部15に図示しないシャフトが取り付けられるように構成されている。
ソール面14は、図1に示されるように、円弧状の曲面形状を備えており、ヒール側14A(図1中右側)にリブ20が設けられている。リブ20は、前後方向(図1中紙面直交方向)に延びて形成されており、図2に示されるように、フェース面11に対して略直交する方向に向けられている。また、リブ20の前端は、フェース面11とソール面14との交差部(エッヂ)Eから距離Lだけ後退したところに位置し、当該位置から高さと幅が次第に大きく設けられて高さHの最大が2.5mm〜3.0mm、幅Wが4.5〜5.0mmの範囲内における一定幅となる上端部25に連なるようになっている。上端部25は略平坦な面で、その幅方向両側が傾斜部25Aを介してソール面14に連なることで断面視略台形のリブ(図4参照)を呈するようになっており、上端部25に繋がる後部26は、幅を次第に拡大しながら高さを減じてソール面14に連なるように設けられている。従って、リブ20は、ソール面14を正面としてみたときに、先端側(フェース面側)が先細で、中間が略同一幅で、後部が末広がりとなってソール面14に融合するような平面形状を備えたものとなる。なお、後部は上端部25とは区別される部分である。
次に、前記ヘッドにシャフトを取り付けたゴルフクラブを用いた実施例について、比較例と共に説明する。
[クラブ仕様]
ヘッド 09inpresC's
シャフト ヤマハオリジナルシャフトMX−509F(フレックスSR)
番手 フェアウェイウッドの5番
重量 327グラム
ライ角α 60.25度
バランス D0
リブ位置 リブ20はホーゼル部15の中心軸線S(図4参照)とソール面14との交差部を通過し、前後すなわちフェース面11に対して略直交する方向に向けられた(スイング方向と平行)。
上記仕様のゴルフクラブを試打用ロボットに保持させて各5球実打し、それぞれのスピン軸の標準偏差を求めた。スピン軸の標準偏差は、ボールに与えられるスピンの中心軸の傾きであり、基準位置(0度)に対して小さい差である程飛球のばらつきが少なく、リブが効果的に働いて直進性が担保されることになる。因みに、スピン軸の傾きが「0度」であれば、ボールは完全に真っ直ぐに飛んだ状態となる。
Figure 0005810817
表1から明らかなように、リブの上端部高さ2.5mm〜3.0mmであって、幅を4.5mm〜5.0mmとした実施例1〜6は、比較例1〜21に比べ、スピン軸の標準偏差が最大でも2.9であり、飛球のばらつきが少ないことが実証される。つまり、実施例1〜6は、上記寸法設定範囲内におけるリブを設けているため、リブを全く有しない比較例21に比べて、打ち出したボールの直線性が改善されて真っ直ぐに飛んでいることが明らかとなる。また、高さ2.5mm〜3.0mm、幅4.5mm〜5.0mmの条件を満たさない比較例の場合には、スピン軸の標準偏差がリブを有しない従来タイプよりも更にばらつきが大きくなって、ヘッドが左右のぶれてしまっていることが認められる。
なお、上記実打に際し、ソール面と地面との接触状態を高速度カメラで撮影し、その際に、ライ角α通りにゴルフクラブが通過するとともに、ソール面14の最下部が地面に接し、ヒール側のリブがそれより高い位置で芝生に接した状態で通過したことが認められている。
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、特定の実施の形態に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施例に対し、当業者が様々な変更を加えることができるものである。
例えば、ソール面14のヒール側14Aにリブ20を設けたが、図5、6に示されるように、デザイン上の観点からトウ側にリブ21を設けてもよい。この場合、リブ21は、前後方向に延びるように形成し、前部が後部よりも内側に向けられた傾斜方向に向ける構成が例示できる。
また、本発明が適用されるゴルフクラブは、フェアウェイウッド或いはユーティリティと称するタイプのゴルフクラブ等、ウッドのみでなくアイアンゴルフクラブへの適用を妨げない。
10…ゴルフクラブヘッド、11…フェース面、14…ソール面、14A…ヒール側、14B…トウ側、15…ホーゼル部、20…リブ、25…上端部、25A…傾斜部、α…ライ角

Claims (5)

  1. ヘッドの直進性を保持するソール面に凸状のリブが設けられたゴルフクラブヘッドであって、
    前記リブは、幅が4.5mm〜5.0mm、高さの最大が2.5mm〜3.0mmとなる上端部を含み、フェース面に略直交する方向に沿って前後に延び、ソール面の最下部がライ角を保つ状態で地面に接触しながら通過するときに、前記最下部よりも上位で地面に接触する位置に設けられていることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
  2. 前記リブは、ヒール側に少なくとも一本設けられていることを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
  3. 前記リブは、ホーゼル部の中心軸線と前記ソール面との交差部を通過して前後に延びていることを特徴とする請求項1又は2記載のゴルフクラブヘッド。
  4. 前記リブは、前記上端部の幅方向両側から次第に高さを減じる傾斜面を介して前記ソール面に連なる領域を含むことを特徴とする請求項1、2又は3記載のゴルフクラブヘッド。
  5. 前記リブの前端は、前記フェース面と前記ソール面との交差部より所定距離後退して位置し、当該後退位置をリブ前端として高さと幅が次第に大きく設けられて前記上端部に連なるように設けられていることを特徴とする請求項1ないしの何れかに記載のゴルフクラブヘッド。
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