JP5809148B2 - 外科手術装置および該外科手術装置を含む内視鏡手術キット - Google Patents

外科手術装置および該外科手術装置を含む内視鏡手術キット Download PDF

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Description

本発明は育毛に関する。
育毛外科手術(Hair Restoration Surgery)(HRS)におけるドナー採取の外科的方法は、「ドナードミナンス」の原理、すなわち:毛髪が存続することが分かっている頭皮領域である「ドナー領域」由来の毛髪は、発毛が非永続的な頭皮区域である「レシピエント領域」に移植された場合にも同じように成長し続けるであろう、という見解に基づいている。
1950年代初頭、大型のパンチグラフトがドナー領域から切除され、レシピエント領域に移植されていた。これら大型のグラフトの利用は、移植後の毛髪の生存を確実にするために必要であった。より小さなグラフト、またはより小さなレシピエント部位への移植は、移植されたグラフトの血液灌流の減少に伴う低いグラフト生存度により、未だ実現可能ではなかった。上記大型グラフトの方法はレシピエント領域における移植グラフトの成長を可能にしたが、該グラフトはしばしば「プラグのような(pluggy)」外観を有し、またドナー領域のパンチ式採取による瘢痕が患者の後頭部に見た目の悪い鹿弾(buckshot)パターンを残した。
当初のHRS技術の上記欠点に取り組むために、剥離技法の形式のドナー毛髪採取の代替法が提案された。この手法は、ドナー領域から毛包を有している皮膚の細片を採取すること、閉じたドナー創部を縫合すること、個々の毛包または毛包のクラスター(別名毛包単位(FU))を切開すること、および個々のFUを別々にレシピエント領域に移植すること、を含むものであった。「マイクログラフティング」または毛包単位移植(FUT)という造語が作られたこの手法は、レシピエント領域における大型グラフトの「プラグのような」外観を最小限にする助けとなり、かつドナー領域には線状瘢痕だけを残し、より明白な鹿弾パターンは残さなかった。
「マイクログラフティング」技術により最大多数のグラフトを得たいという望みを動機として、多くの患者はより広いドナー細片の採取を要求し、その結果として該患者の頭の後頭(背側)部分に比較的大きな(2〜10mmの)線状瘢痕が残された。この明白な外科手術を証する痕跡は、毛包単位摘出(FUE)の開発の起動力を提供した。FUEでは、個々の毛包単位はそれぞれ小型の生検用パンチを用いてドナー領域から慎重に抜き出され、レシピエント領域に移植される。これは、FUEが大型の(4〜5mmの)パンチグラフトではなく個々のFUのみの移植を伴うという点で、当初のHRSの手法とは異なっている。この新規な技術は、ドナー領域における線状瘢痕という烙印を排除し、適切に行われた場合、ドナー領域における鹿弾パターンの出現を最小限とした。しかしながら、FUEが出現しながらもいくつかの不都合が根強く存在した。すなわち:高い割合(最大40%)の毛髪が横に切断される(したがって生存が制限される)、FUが摘出される場所から虫食い状態の瘢痕パターンが残ることが多い。また、相当数の患者(最大30%)は、該患者の、外科医にとって過度の課題を提示する毛髪の特徴(例えば淡色または相当な縮れ毛)を踏まえると、FUEに対する候補とはならない。
本発明は上記した懸案を鑑みてなされたものである。
一般的態様では、外科手術装置は、長尺状部材と、切開モジュールと、摘出モジュールとを備えている。切開モジュールは長尺状部材の第1端に着脱可能に取り付け可能であり、組織分離デバイスを備えている。摘出モジュールは長尺状部材の第1端に着脱可能に取り付け可能であり、吸引ポートおよび該吸引ポート内に配置された組織採取用具を備えている。
実施形態は、次の事項のうち1つ以上を備えることができる。前記装置は第1のモジュールまたは第2のモジュールを交換可能なように受け入れる。該装置は、長尺状部材の第2端に取り付けられた画像システムであって、長尺状部材の中の第1端と第2端との間の中空通路を通して標的物を照明するための光源と;標的物の画像を受像するための観察ポートとを備えた画像システムを備えている。
組織採取用具は、吸引ポート内に同心的に配置される。組織採取用具は中空である。組織採取用具はほぼ円筒状である。組織採取用具は、組織の標的領域を周囲の組織から分離するように構成される。組織採取用具は、該組織採取用具の最上縁部付近に配置された複数の湾曲型切断デバイスを備えている。切断デバイスは、鋭刃、鈍刃、アーム、レバー、化学物質、酵素、またはレーザーのうち少なくとも1つを備えている。
組織採取用具は操作者によって運転されるように構成される。組織採取用具は自動運転用に構成される。組織採取用具は、組織採取用具の内側表面に配置された複数の把持棚を備えている。
吸引ポートは組織の標的領域に吸引力を適用するように構成される。吸引ポートは、長尺状部材の長手方向軸に対して十分に角度をなして配向される。吸引ポートは、組織採取用具によって摘出された組織領域を受け取るリザーバと流体連通している。
長尺状部材は組織分離デバイスまたは組織採取用具に連結可能な制御機構を備えている。組織分離デバイスは長尺状部材に対して移動するように構成される。摘出モジュールは、皮膚の構造を検知するように構成されたセンサをさらに含んでなる。
組織の標的領域は毛包を含んでいる。長尺状部材は剛性または可撓性である。組織分離デバイスは、鋭刃、鈍刃、バルーン、電気焼灼デバイス、加圧されたガスまたは液体を供給するデバイス、レーザー、および酵素的または化学的な組織分離剤のうち少なくとも1つを備えている。
別の一般的態様では、内視鏡手術キットは、患者の皮膚の下にキャビティを切開するための切開デバイスと、キャビティ内へ挿入するための摘出デバイスとを備えている。切開デバイスは、第1の長尺状部材と、第1の長尺状部材の第1端に取り付けられた組織分離デバイスとを備えている。摘出デバイスは、第2の長尺状部材と、第2の長尺状部材の第1端に取り付けられた吸引ポートと、吸引ポート内に配置された組織採取用具とを備えている。
実施形態は、次の事項のうち1つ以上を備えることができる。切開デバイスは、第1の長尺状部材の第2端に配置された画像システムを備えている。画像システムは、第1の長尺状部材の中の中空通路を通して第1の長尺状部材の第1端にある標的物を照明するための光源と、標的物の画像を受像するための観察ポートとを備えている。摘出デバイスは、第2の長尺状部材の第2端に配置された画像システムを備えている。
組織採取用具は吸引ポート内に同心的に配置される。吸引ポートは、第2の長尺状部材の長手方向軸に対して角度をなして配向される。
内視鏡手術キットはバリアデバイスをさらに備え、該バリアデバイスは、キャビティ内に配置されるように、かつ摘出デバイスの運転を該バリアデバイスによって画成された領域に制限するように、構成されている。バリアデバイスはキャビティを開放状態に維持するように構成される。バリアデバイスによって画成される領域は患者の特徴に基づいて決定される。
内視鏡手術キットは、吸引ポートと流体連通しているリザーバをさらに備えている。
さらなる態様では、方法は、長尺状部材の端部に取り付けられた組織分離デバイスを使用し、患者の皮膚の下にキャビティを作出すること、および、該キャビティから、長尺状部材の端部に取り付けられた吸引ポートを介してキャビティ表面の皮膚組織の選択部分に吸引力を適用することと;吸引ポート内に配置された組織採取用具を使用して皮膚組織の選択部分を周囲の組織から単離することと;皮膚の外側の外観を変化させずに皮膚組織の選択部分を周囲の組織から摘出するために、組織採取用具を使用して皮膚組織の選択部分に下向きの力を加えることと、を含む。
実施形態は、次の事項のうち1つ以上を備えることができる。皮膚組織の選択部分は毛包を含み、皮膚の下方にキャビティを作出することは、毛包より下方の面にキャビティを作出することを含む。
長尺状部材は内視鏡である。該方法は、内視鏡によって得られた画像に基づいて皮膚組織の選択部分を選択することをさらに含む。該方法は、皮膚組織の選択部分の画像を得ることをさらに含む。画像はキャビティの内部から得られる。
下方向の力を加えることは、組織採取用具を回転させることを含む。該方法は、皮膚の外側表面に対する組織採取用具の配置を検知することを含む。
該方法は、キャビティ内部にバリアデバイスを配置することをさらに含む。バリアデバイスは、組織採取用具の運転を該バリアデバイスによって画成された領域に制限するように構成される。バリアデバイスはキャビティを開放状態に維持するように構成される。該方法は、バリアデバイスによって画成される領域を患者の特徴に基づいて決定することをさらに含む。
該方法は、摘出された組織をリザーバ内に保存することを含む。
さらなる一般的態様では、方法は、長尺状部材の端部に取り付けられた組織分離デバイスを使用して皮膚の下方にキャビティを作出することを含む。該方法はさらに、該キャビティから、長尺状部材の端部に取り付けられた組織変質用具を使用して、皮膚の外側の外観を変化させずに、キャビティ表面の皮膚組織の選択部分に組織変質処置を施すことを含む。
実施形態は、次の事項のうち1つ以上を備えることができる。
皮膚組織の選択部分は毛包を含む。
組織変質処置は、レーザーを用いた照射、焼灼術、組織構造の変質、生化学的変質、加熱、電流の印加、または酵素の適用のうち少なくとも1つを含む。組織変質処置は、皮膚組織の選択部分の採取、アブレーション、または破壊を含む。
本明細書中に記載されるような育毛の内視鏡的手法は多くの長所を有している。毛包に皮膚表面の下から接近し、その結果としてFU採取しても完全な角質層が残るため、ドナー領域における術後の瘢痕化は最小限となるかまたは排除される。大きな線状の頭皮全層切開と、加えてその後のドナー領域閉止時に創傷端部にかかる張力とを無くすことにより、神経外傷由来の、苦痛を伴い、うずき、刺すような神経障害性の疼痛を事実上存在しないようにすることもできる。これらの2つの利点は、内視鏡的HRSすなわちパイロスコピー(piloscopy)を受けるHRS患者に必要な術後の回復時間の短縮に寄与する。
自己再生に必要な毛包の幹細胞を含有している構成要素(例えば峡部内部のバルジ、真皮乳頭を含んでいる毛球部など)のとり込みを視覚化することにより、ドナー領域から採取されるときにFUが横に切断されないことが確実となる。そのため、パイロスコピーは、各々のFUがレシピエント領域に移植されるとほぼ100%のグラフト生存率を可能にする。
更に、毛包摘出の内視鏡的手法は、毛包の自己再生のための構成要素がドナーFUの摘出毎に含まれているかどうかに関する問題がないため、適格患者集団に対する制限は撤廃される。これは、ひいては該手術から恩恵を受けることができる患者集団を拡げるものである。
育毛手術の原理を示す図。 育毛手術の原理を示す図。 皮膚の層および毛髪の断面図。 完全な毛包を詳細に示す図。 育毛手術の準備が施されている頭皮の全層断面図。 内視鏡手術による育毛のための手術手法を示す図。 先端側の切開刃装着物を備えている内視鏡を示す図。 図5Aの内視鏡の切開刃装着物の拡大図。 切開刃が視認キャビティを作出するステップを示す図。 切開刃が視認キャビティを作出するステップを示す図。 切開刃が視認キャビティを作出するステップを示す図。 バリアデバイスによって維持された視認キャビティの断面図。 安全なドナー領域を画成する図6Aのバリアデバイスを詳細に示す図。 図6Aのバリアデバイスがどのようにして各毛包の間の距離を拡げるかを示す図。 摘出デバイス装着物を備えた内視鏡を示す図。 図7の摘出デバイスの使用におけるステップを示す図。 図7の摘出デバイスの使用におけるステップを示す図。 図7の摘出デバイスの使用におけるステップを示す図。 図7の摘出デバイスの使用におけるステップを示す図。 摘出デバイスが毛包を摘出する方式を示す図。 摘出デバイスが毛包を摘出する方式を示す図。 摘出デバイスが毛包を摘出する方式を示す図。 摘出デバイスが毛包を摘出する方式を示す図。 グラフト保管タンクを示す図。 摘出された毛包単位が図8の保管タンクに達する前に分離されるステップを示す図。 摘出された毛包単位が図8の保管タンクに達する前に分離されるステップを示す図。 摘出された毛包単位が図8の保管タンクに達する前に分離されるステップを示す図。 摘出された毛包単位が図8の保管タンクに達する前に分離されるステップを示す図。
図1Aおよび1Bを参照すると、患者100,120は、アンドロゲン性脱毛症(男性型脱毛症もしくは女性型脱毛症)に合致するパターンの脱毛または瘢痕性脱毛症のような様々な非アンドロゲン性の病状によって見られるようなより不規則な(限局性もしくはびまん性の)パターンの脱毛を生じている。アンドロゲン性脱毛症において最も一般的に影響を受ける領域は、前頭3分の1である102、頭皮中央部(midscalp)110、および頭頂部(または頂部)104である。外科的育毛は、ドナー領域106から毛包を採取し、完全な毛包を、限定するものではないが領域102,110,104などの所望の脱毛領域に移植する。移植された毛包の十分な成長がなされた後には、術後の患者はより十分な頭髪108、より濃い眉、より十分な睫毛、またさらにはより大量の顔髭もしくは体毛を享受する。内視鏡による外科的育毛(すなわちパイロスコピー)では、個々の完全な毛包は、頭皮の下に挿入された内視鏡デバイスにより、角質層210(すなわち皮膚表面;図2Aを参照のこと)の破壊を最小限として、または破壊を伴わずに採取される。
図2Aおよび2Bを参照すると、皮膚200の断面図は毛包202を囲んでいる天然の組織を示している。皮膚の3つの個別の層(表皮204、真皮206、および脂肪を含有する皮下層208)にまたがりつつ、毛包202は角質層210と呼ばれる表皮204の最表層において皮膚表面を通り抜けて突出している。完全な毛包202は図2Bに詳細に示されており、生存可能な自己組織へ移植された後に該毛包の自己複製を可能にする構成要素を備えている。幹細胞が豊富な2つの重要な領域は、立毛筋226付近に位置するバルジ領域212、および真皮乳頭216を含む毛包球214である。これら2つの幹細胞に富んだ領域間の連絡により毛包の再生が促進される。完全な毛包202の他の構成要素には、毛幹218、内毛根鞘222、外毛根鞘224、および皮脂腺228が挙げられる。
内視鏡による外科的育毛(すなわちパイロスコピー)では、各々の毛包202に皮膚表面の下から接近して採取する。具体的には、以下により詳細に議論されるように、個々の毛包はそれぞれ、毛包球214に対して深さ約1〜5mmの皮下層208内に外科的に作出される一定の平面230から視覚化され、次いで小型のパンチ刃で切除される。切除は、毛包202全体に加えて、毛包周囲皮下組織の、毛包球214に対して深さ1〜7mmの部分を組み入れる一方、摘出された毛包を元々囲んでいた天然組織の表面にある角質層210を無傷で残しておく。
図3を参照すると、育毛手術の開始に先立ち、無菌の生理食塩液チューメセント(典型的には約1〜10mL/cm)を、毛包を採取する予定の領域内において2種類のレベルで頭皮300に適用する。すなわち、皮膚表面の下方およそ2mmの第1の浅層レベル302、および皮膚表面から深さおよそ4〜5mmの第2の深層レベル304である。あわせると、浅層レベル302および深層レベル304におけるチューメセントの適用は、天然の周囲組織からの毛包球の摘出を容易にする。第1のチューメセント浅層302は、対象とする毛包を近隣の毛包から引き離す助けとなり、また本来ならばもろい組織を有する患者において皮膚の張りを高める。第2のチューメセント層304は、真皮乳頭216を付近の血管および毛包球の深さにある神経集網から引き離すことにより、その後に視認キャビティを作出可能な平面230を規定する助けとなる。
図4および5A〜Eを参照すると、毛包採取のための内視鏡的手法は、患者400の頭皮402の毛包深部の皮下組織の面を切開するために、内視鏡1(毛包の操作に関する場合はパイロスコープとしても知られる)を使用する。頭皮402の耳介後部区域において片側のみ1cmの全層切開部408が作られる。薄い直線状の切断刃10に取り付けられた0.4mmの内視鏡1(例えばオリンパス(Olympus)製のモデルA4605 30°)を収容している0.5mmのカニューレ挿入金属トロカール8(例えばオリンパス型A4604 15)が切開部408に挿入されて、毛包下方の皮下組織の面(図2Aの230)を切開し、毛包球の深部に分離層を作出する。分離層は、例えば、毛包球に対して深さ1〜5mmである。いくつかの実施形態では、分離層は、毛包球の構造上の完全性を変化させることなく毛包球に視覚的に近接することを可能にするように、毛包球に対して深さ1〜3mmである。概して、分離層の深さは、内視鏡1の操作者が毛包球の面の下にある結合組織を視認かつ分離すると同時に、近辺の血管および神経管への傷害を最小限にすることができるような深さである。
分離層は、加湿吹送、外牽引またはバルーン拡張によって拡大された視認キャビティに変形され、該キャビティにおいて内視鏡1の操作者は手術のドナー領域106の個々の毛包単位(FU)の深層構造(例えば毛包球214)を観察した後に、完全なFUをその天然の周囲組織から切除して次いで手術のレシピエント領域(例えば図1Aの領域102,110,104)に移植する。各々のFUは、1または複数の個々の毛包を含みうるものであり、毛包球領域の自然発生的な配置構成に基づいて下方からの視認により規定可能である。FUは、その直径および含んでいる毛髪の量に基づいて、一本毛FU、微細一本毛FU、二本毛FU、微細二本毛FU、三本毛FU、または四本以上の完全な毛包を含んでいる毛包群として分類されうる。
図5Aおよび5Bを参照すると、切断刃10は内視鏡1の先端部500に取り付けられており、内視鏡1の基端部502で手持ち式係合デバイス(例えばトリガ)7を介して操作者によって操作される。切断刃10は典型的には長さ約0.5〜6.0mmである。トリガ7は回動運動を伴って移動するように切断刃10を制御して、軟質な皮下脂肪の切断および分離を促進する。起動されると、切断刃10は、内視鏡1の先端部500から離れて時計回りに前方および下方へ押し進むことにより、切開を進める。切開の間に切断刃10を押し進める前方および下方への動きに加えて、切断刃10に取り付けられたテープ11、駆動ホイール12、および操舵ホイール13を備えた操作レバーにより、刃10の横方向の払う動きが可能となり、この動きが切開面を拡大させる。いくつかの実施形態では、テープ11は、刃10の横方向の払う動きを容易にするために複数片のテープで作られる。切断刃10は、患者の頭皮組織によって示される指標および操作者の使い易さに基づいて、内視鏡1の操作者によって調整可能である。内視鏡1の操作者は、内視鏡の個々の前進ならびに横方向、上下方向、および前後方向の切断刃10の動きによって達成される組織穿通の量を制御することができる。
いくつかの実施形態では、切断刃10は、末端が丸くなった刃、電気焼灼デバイス、加圧されたガスもしくは液体の供給器、バルーン状の拡張デバイス、酵素的組織分離剤、レーザー、または所望の平面に沿って結合組織を分離することができる任意の他のデバイスと置き換えられてもよい。
図5Aを参照すると、最も標準的な内視鏡(例えば剛体の子宮鏡)のように、内視鏡1は3つのポートを有する。光ポート2は、内視鏡1の基端部502を通じて該内視鏡に入る光ファイバー光ケーブル504(例えばオリンパス製のモデルCLK‐3)からの光を受け入れる。吹送ポート3は、皮下組織平面の分離を促進、増強、および維持する加湿吹送ガスの進入口である。光ポート2を通って受け取られた光、および吹送ポート3を通って受け取られた吹送ガスはいずれも、内視鏡1の外側のトロカール8を通り抜け、内視鏡1の先端部500において外側の長円体6の中へ放出される。画像ポート4は、内視鏡1の斜角をなした先端部500のレンズ5を通して先端部500の領域内の組織の拡大観察を可能にする。いくつかの実施形態では、操作者は画像ポート4を通して直接見る。他の実施形態では、観察を容易にするために画像ポート4とテレビモニタとの間に電子カメラ(例えばCCDカメラ)が連結される。
切断刃10はレンズ5のすぐ下方に配置されていること、および先端部500の斜角をなした外形から、刃10および刃が切り離す組織は容易に視認される。
二酸化炭素のような加湿ガスが吹送用に使用される。ガスの温度は30〜33℃に下がる。吹送ガスの圧力は、1333〜6666Pa(10〜50mmHg)の範囲であり、また切断刃10によって設けられる視認キャビティの作出および維持を増強するために頭皮の弛緩性によって決定される。併せて、刃および吹送圧力により、少なくとも1.0mmの間隙を備えた視認キャビティが設けられる。そのような間隙により、切断刃10に接続された0.4mmの内視鏡1および外側トロカール8の前進が可能となる。
特定波長で発光する光源506は、一層かつより深い視覚化とその後の内視鏡1による頭皮毛包下の皮下組織を通した穿通を可能とする一方、毛包構造および自己再生に必要な必須の毛包構成要素(例えば幹細胞を含んでいる毛包球214およびバルジ212)を選択的に視覚化する能力をなおも保持または向上させる。いくつかの実施形態では、他の方法では視覚化が難しい可能性のある異なる色素を有する毛包において自己再生に必要な必須のFU構成要素をより良好に視認するために、光源506からの照明光を、内視鏡1の内側または外側に配置されたダイクロイックミラーによって、毛包の面に向かって反射される前にフィルタリングする。典型的な蛍光色素フィルタには、限定するものではないが、FITC(励起波長=490nm、放射波長=525nm)、DAPI(励起=350nm、放射=470nm)、またはローダミン(励起=511nm、放射=534nm)が挙げられる。照明光が広範な波長を有する場合、毛包の様々な構成要素から放射された光は、配置された適切な放射光フィルタによりフィルタリングされてから画像ポート4に至る。
ドナー領域内の個々のFU、または各FUの解剖学的構造の特定領域の視覚的強化は、術前に局所施用され、かつ約10〜15分以内に毛包に吸収される外来の発蛍光染料またはメチレンブルー染料のいずれかを使用して、達成されうる。他の場合には、各FUが周囲の組織から視覚的に区別されるのを可能にする抗体が適用されてもよい。いくつかの実施形態では、皮膚表面の下での毛包球の視覚化を容易にするために、明るく、熱の放射が最小限である外部光源(例えば、赤外線(すなわち熱)を後方に伝達することにより光ビーム中の熱をほぼ70%低減する二色性反射ハロゲン球)が、外側頭皮表面に設置される。他の実施形態では、選択的な視覚的強化は、毛包の特有の生物学的構造または特性のうち少なくともいずれか(例えば光もしくは音波の吸収もしくは反射特性、または磁性)の利点を活用する視覚的単離技術を使用して達成される。多くの場合、選択的に視覚化される毛包の特定領域は、生存能力のある構造全体の自己再生に必要な幹細胞を含んでおり、内視鏡の操作者が必要な組織を識別かつ切除することを可能にしている。
周囲の血管系を乱すことによって生じる何らかの不測の出血の制御は、内視鏡1が置かれている同じポートを通して電気焼灼デバイス(図示せず)を挿入することで達成可能である。電気焼灼デバイスの先端は内視鏡の先端部500のレンズ5によって視覚化可能である。活発な血管が明瞭に観察されれば、6〜16Hzの範囲の単極性電気焼灼電流を使用して出血を制御することができる。これで出血の制御が奏功しない場合は、出血が終わるまで、一旦器具を頭皮の下から安全に取り外して操作者が直接的な外からの圧力を患者の頭皮に安全に加えることもできる。場合によっては、電気焼灼に続く液体洗浄を可能にするために、液体供給器が内視鏡1に取り付けられてもよい。
図6A〜Bを参照すると、切断刃10を使用した外科的切開によって視認キャビティ604が設けられると、キャビティ604は、内視鏡の先端部500ならびにその付属の切開モジュールおよび摘出モジュール両方の進入および機能のための広い間隙を維持するように、バリアデバイス602によって支持される。バリアデバイスは、患者の病歴、手術歴および家族歴、患者の毛髪の直径および密度、ならびに他の物理的特徴に基づいて外科医により術前に決定された、ドナー毛包が比較的永続的な領域である「安全ドナー区画」の外側境界線を操作者が規定するのを可能にするために、設けられた皮下の面230に沿って拡張する。安全ドナー区画(男性では多くの場合「馬蹄形縁(horseshoe rim)」の永久毛として見られる)とは、FUが患者の一生を通じて存続かつ成長し続ける可能性の最も高い区画を表わし;この区画の外側では、FUは永続的ではない可能性がある。安全ドナー区画を囲むためのバリアデバイス602の使用は、永続的FUの移植を確実とし、この区画の外側の毛髪の不用意な摘出を防止する。バリアデバイスの拡張は、毛包間の皮膚表面が拡大されるため、覆っている皮膚の毛髪密度が高い領域内での個々のFUの識別を容易にする。視認キャビティ604は、例えば1時間当たり50〜100mLの生理食塩水スプレーの間欠的投与によって、外科処置全体を通して保湿される。吹送ポート3を通じた加湿吹送は、少なくともおよそ5分ごとに行なわれることが好ましい。
図6Cを参照すると、バリアデバイス602は、上方の完全な皮膚の表面積を拡張して、隣接した毛包202の間の距離を拡げる(または、他の適用においては、対象とする個々の関連する組織領域の間の距離を拡げる)ために使用されてもよい。皮膚の伸展は毛包や皮膚を傷つけることはないが、隣接した毛包の間の自然な間隔を一時的に増大させる。この伸展は、皮膚表面の下からの毛包の視覚化、識別、および分類を容易にする。バリアデバイス602は、適所にある間は皮膚表面の下の拡大された視認キャビティを作出かつ保持し;該デバイスが除去されれば、覆っている皮膚表面領域は縮小して該領域の元の状態になる。バリアデバイス602は、例えば、バルーン伸張器または皮膚の外側に力を加える把持デバイスであってよい。いくつかの実施形態では、バリアデバイス602は、皮膚の下または皮膚内部に配置された多孔構造物であって該デバイスの多孔構造内の所望の位置において対象とする様々な組織(例えば毛包)が該デバイスを通って突出するのを可能にするものである。
図7を参照すると、視認キャビティの外科的切開が完了して、手術用器具類の安全通行を確実にするために少なくとも1.0mmの間隙が維持されると、摘出デバイス701が内視鏡1の先端部500に取り付けられて完全な毛包を単離、パンチング、および採取するために使用される。図の実施形態では、摘出デバイス701は円筒状のパンチである。しかしながら、他の実施形態では、摘出デバイスは長円形、立方形、またはかぎ形のデバイスであってもよいし、湾曲状または直線状の刃を有し適切な機能を行なうことができる別のデバイスであってもよい。摘出デバイス701は、2つの同心の円筒形構成要素すなわち:完全な毛包19の毛包球を囲んでいる脂肪および真皮組織を穿孔するために使用される斜角刃のコアリングシリンダ13と(図7Aを参照);周囲組織から毛包を単離するために、完全な毛包がまだ繋がっている最後の表皮組織を切断する、一連の内向きに角度がついたレバー704を有するクリッピングシリンダ14と(図7E〜7Hを参照)、を含む。他の実施形態では、コアリングシリンダ13は鈍刃であり、毛包下の皮下組織に対して下から押しつけて該デバイスを安定させ、コアリングシリンダがコアリングに先立って係合することができるようになっている。クリッピングシリンダ14は、内視鏡1の基端部でトリガ7に取り付けられたケーブル9を介して操作者により制御可能なレバー15によって駆動される。摘出デバイス701の軸は、概して、該摘出デバイスを通る流れを促進するために内視鏡1の長手方向軸に対して角度をなして配向される。本明細書中に記載された摘出デバイスは2つの同心の構成要素で構成されているが、他の実施形態では、摘出デバイス701は単一体である。いくつかの実施形態では、摘出デバイス701および切断刃10は、内視鏡の先端部500の上に一緒に取り付けられる。
内視鏡1の操作者は、コアリングシリンダ13の内部から視覚レンズ5(図5Aを参照)を通して毛包19の全体を観察する。したがって操作者は、毛包の自己再生にとって重要な全ての構成要素(図2Bに示された毛包球214、バルジ212、内毛根鞘222および外毛根鞘224を含む)が切開の過程に含まれていることを絶えず認識している。
摘出デバイス701は加湿型真空吸引チューブ16に接続され、該チューブはひいては真空源27(図8を参照)に接続される。真空源は、上方の摘出デバイス701から真空チューブ16へ向かって下流へ流れる吸引力を提供する。真空効果は容易に活性化/非活性化され、かつ/または真空源27に取り付けられたスイッチもしくはフットペダルによって増加/減少される。
図7および7Aを参照すると、コアリングシリンダ13は、1)内視鏡の基端部で制御される操作者駆動による上向きの動きと、2)真空チューブ16から生じる下向きの真空吸引力と、の組み合わせを使用して毛包19の深部で皮下脂肪700に付着する。この上向きおよび下向きの力の組み合わせは摘出デバイス701と毛包周囲の皮下軟部組織700との間の密封13Aを作り出し、その結果該組織を内視鏡1に対して安定させ、かつ完全な毛包19の適切な単離とその後の制御された採取を確実にする。
図7Bを参照すると、吸引密封13Aが確立されてしまえば、操作者はトリガ7を押してレバー18に係合して位置18Aへと前進させる一方、コアリングシリンダ13の基部に結合したままであるため、コアリングシリンダ13をねじる方式で上向きに移動させる。コアリングシリンダは、摘出デバイスが後で下向きに引くときに回動の方向が逆であれば、上方へ移動されるときには時計回りにねじれても反時計回りにねじれてもよい。コアリングシリンダ13内に埋設された検知デバイス14Aは、コアリングシリンダ13が上向きに移動するときに、コアリングシリンダ13が角質層210を穿孔したり、皮膚表面702のあらかじめ選択された距離以内(例えば1mm未満、または幹細胞を含んでいる峡部が始まる面より下の深さである約0.74mm)の組織を切断したりするのを防止する。検知デバイス14Aは、例えば、コアリングシリンダ13の上端にあってもよいし、コアリングシリンダ13内の他所に配置されてもよく、または皮膚内における抵抗の勾配に基づいた生得的フィードバックプロセスによって使用可能となってもよい(下記により詳細に記載)。研究から、毛包のバルジ領域(毛髪幹細胞が存在する重要な領域)は皮膚表面702の平均1.66mm下に位置することが実証された。したがって、この深さのバルジと皮膚表面との間の対象とするFU19の上側境界線を外科的に作出することが重要である。検知デバイス14Aは、完全な毛包19が単離および採取されるときに角質層の構造的完全性を外見上破壊しないように、角質層に損傷を負わせないことを確実にする。
検知デバイス14Aは、皮膚の物理的かつ構造的特徴に基づいて皮膚表面702へのコアリングシリンダ13の接近を決定する。コアリングシリンダが皮膚の表面に接近するにつれて、切断運動は減少する。例えば、コアリングシリンダが回転トルクを使用して切断している場合、表皮および角質層中のコラーゲンおよびフィブリン含量の増加によってもたらされる抵抗の増大により、コアリングシリンダが皮膚表面に接近して移動するにつれ回転数は減少する(すなわち、方程式V=IRに従う)。場合によっては、操作者が、検知デバイス14Aからのフィードバックによって切断デバイスの角質層への望ましい接近度を検出することが可能であり、このフィードバックに基づいて切断を停止することができる。
図7Cおよび7E〜7Hを参照すると、コアリングシリンダ13が皮膚表面に向かって上向きに穿孔する安全な最大地点が達成されると、クリッピングシリンダ14頂部の切断デバイス704が係合する。複数の内側に向かって湾曲した刃を備えている切断デバイス704は、毛幹が位置するコアリングシリンダ13の中心に向かってクリッピングシリンダ14の上端周縁から内側に向かって通過する。上記の湾曲した刃による表皮204の表層の剪断は毛幹に達し、毛包を天然の組織から分離することができる。加湿型チューブ16を通して提供される連続的な真空は、毛包19を周囲の天然の環境から離れて分離するように誘導する付加的な下向きの力を提供する。
いくつかの実施形態では、切断デバイス704は、切断デバイス704が格納時にはコアリングシリンダ13の表面に沿って同一面上に位置し、かつクリッピングシリンダがコアリングシリンダ13の先端を越えて押し進められれば再び内向きに角度をなした配置状態をとることを可能にする、半可撓性金属(例えばニチノール)からできている。上方の完全な角質層から下向きの力は、内向きに角度をなしたレバーをさらに内側へ向けて、該レバーが残りの表皮組織を切り取る能力を高める助けにもなる。
毛包19が天然の組織から分離すれば、クリッピングシリンダ14はその後の毛包採取に備えて内視鏡1の基端部502のトリガ7によって初期状態に戻される。
図7Dを参照すると、完全な毛包19および何らかの付属の毛包周囲組織を含んだ単離毛包ユニット(FU)(すなわちマイクログラフト)706は、真空力27(図8)、およびトリガ7によって稼働せしめられると内視鏡1の先端部500付近の生理食塩水ポート22から放出される無菌生理食塩水(例えば0.5mL〜1.5mLの生理食塩水)の注水ジェット流により、加湿型真空チューブ16の中に押し進められる。
代替実施形態では、コアリングシリンダ13はトリガ7の作用によって上向きに移動される。この場合、切断デバイス704はコアリングシリンダ13に配置され、コアリングシリンダが安全な最大限の前進に達すると係合される。単離されることになっている毛包19の上側の境界表面が切断デバイスによって十分に分離されると、操作者はトリガ7を稼働して、コアリングシリンダ13が上向きに移動するときの回転とは反対の方向に回転する、ねじる方式で下向きに引き下げられるようにする。コアリングシリンダ13の内側から突出する微小な単方向の把持棚(フックと同種)は、コアリングシリンダ13が下向きに引き下げられるにつれて、上向きに移動するときの回転とは反対方向に回転しながら、毛包19を囲む毛包周囲組織208,206,204(すなわち図7Aに描かれるような700)を握持する。直後に単離されることになっている毛包19の上端または表面で静止している湾曲した刃704に連結されたシリンダ内部の微小な棚の把持および牽引する動きは、毛包19をその天然の軟組織環境から引き出すための機械的圧力を提供する。
切断デバイス704は鋭刃として上記に説明されているが、他の変形形態、例えば回転刃もしくは回転レバー、レーザー、酵素溶液、または手術状況に適した別種の切断デバイスも可能である。
図9A〜9Dを参照すると、単離された完全な毛包19を含むマイクログラフト706は、加湿型吸引チューブ16を通り、入口ポート25を通り、単離コンテナ28へ向かって引き込まれる。複数の単離コンテナ28が使用されて、各々が異なるカテゴリーのFU(例えば、FUに含まれる完全な毛包の数または直径に基づいて決定される)を受け入れている。FUを適切な単離コンテナに分けるために、チューブ16に沿って配置されたセンサ900は、各FUが包含している完全な毛包の数および直径に基づいて該FUを識別かつ分類する。留意すべきことは、本開示との関連においては、完全な毛包とは、十分な量の幹細胞含有領域を両方とも(すなわち毛包の自己再生に必要な毛包球(真皮乳頭)およびバルジ領域(峡部内)を)含んでいる毛包として定義されることである。毛包内の毛包球とバルジとの間の構造的結合は、完全と見なされる毛包については連通していなければならない。
センサ900は分離デバイス902を稼働させて、適切な単離コンテナ28に対応するゲート904の開放を引き起こし、かつFUがその適切な単離コンテナに到達することを可能にする。分離は、選択された単離コンテナに向かう通路に沿って最大の吸引力により稼働される。
図8を参照すると、各々の単離コンテナ28には、摂氏1〜10度の温度範囲に冷却された保存溶液(例えば通常生理食塩水、酸素およびATPを富化した溶液など)の無菌収集プール23が入っている。収集プールはSchuco(登録商標)の吸引キャニスタ(Suction Canister)と同様のものであり、吸引圧力の発生に使用される真空源27はSchuco(登録商標)Vacと同種である。真空源27は、上述のように、完全なFU 706の単離を支援するために使用される真空を提供する。真空圧は6666Pa〜3.999×10Pa(50〜300mmHg)の範囲である。真空源27と単離コンテナ28との間に配置されたフィルタ26は、収集プール23の無菌性を維持する。入口ポート25の近くに位置するバリア24(典型的には高さ約2cm)は、グラフト706が真空源27に向かって引き込まれるのではなく収集プール23の中へ下向きに落下するのを確実にする助けとなる。
保存溶液のプール23に含まれる単離マイクログラフト706の集合物は、続いてFUあたりの毛髪の数または個々の毛髪の直径のうち少なくともいずれかのような毛包の特徴に基づいてさらに手動で分離される。各々のFU束706は次の収集トラフすなわち:微細な一本毛FU;硬い一本毛FU;微細な二本毛FU;硬い二本毛FU;微細な三本毛FU;硬い三本毛FU;およびFU当たり3本を超える毛髪のクラスターを含んでいる毛包群(FF)、のうちの1つへ送られる。
所望の数の完全なFUが患者から有効に採取された後、バリアデバイス、内視鏡1、摘出デバイス701、およびこれらが含まれている視認用トロカール8が、患者の頭皮下の視認キャビティから取り除かれる。その後、内視鏡とその付属物が導入された1cmの切開部は、目立たない耳介後部区域にほとんど気付かない程度の線状瘢痕しか残らないように、5‐0ナイロン縫合糸を使用して連続縫合で縫合閉止される。
FUの内視鏡的採取と同期させて、患者頭皮のレシピエント部位が、16‐25ゲージの通常の皮下注射針を用いて作成される。
一般に、上記の外科的採取処理は、患者が手術台上で、ドナー領域への接近を可能にする直立位、側臥位、腹臥位、または仰臥位のいずれかとなって行なわれる。処置の開始に先立って、患者は、毛包採取処理過程全体にわたって快適であることを確実にするために、適切な抗不安薬(anti−anxiolytic)および鎮痛薬を投与される。さらに、低用量(例えば1〜3mL)の局所麻酔薬が、最初の切開が行われて最終的に閉止縫合糸が配置される入口部位に使用されてもよい。
いくつかの実施形態では、FUは、上述の切断手法ではなく視認キャビティ内部からの酵素的手法またはレーザーに基づいた手法のうち少なくともいずれかによって採取されてもよい。
多くの場合、上述の内視鏡は追加の機能を、例えば、限定するものではないが生理食塩水洗浄能、電気焼灼能、ステープルおよび/または縫合(sutering)能、ならびにレンズ洗浄用の設備も備えている。
上述のデバイスおよび方法は操作者によって制御されるが、内視鏡のロボット制御またはその他の自動制御も本開示の範囲内にある。
他の実施形態では、上述の内視鏡の小型版が、例えばレーザー、焼灼器、熱、電流、酵素、または摘出デバイスのような方法を用いた皮膚表面より下方における毛包の除去または殺処理による体毛の除去に、使用されてもよい。
上述の外科手術手技は毛包の採取に関して示されたが、当然ながら、該手技は広く適用可能であり、他の外科的適用にも使用可能である。先術の説明は、本発明の範囲を例証するものであって限定するものではないことが意図されており、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって定義される。その他の実施形態は添付の特許請求の範囲の範囲内にある。

Claims (29)

  1. 皮膚表面の下から組織の標的領域に接近することによって、周囲の組織から組織の標的領域を採取するための外科手術装置であって、
    第1端および第2端を有する長尺状部材と、
    長尺状部材の第1端に着脱可能に取り付け可能な切開モジュールであって、組織の標的領域の下方の皮下組織の面を切開するように構成される組織分離デバイスを備えている切開モジュールと、
    長尺状部材の第1端に着脱可能に取り付け可能な摘出モジュールであって、
    吸引ポート、
    該吸引ポート内に配置されるとともに、周囲の組織から組織の標的領域を分離するように構成されるコアリングシリンダを有する組織採取用具、および
    コアリングシリンダを通して標的領域を観察するように構成される画像システム、を備える摘出モジュールと
    を含んでなる外科手術装置。
  2. 長尺状部材は、切開モジュールおよび摘出モジュールを交換可能なように受け入れることを特徴とする、請求項1に記載の外科手術装置。
  3. 画像システムは、長尺状部材の第2端に取り付けられており、
    長尺状部材の第1端と第2端との間の中空通路を通して標的領域を照明するための光源と、
    標的領域の画像を受像するための観察ポートと、を備える、請求項1に記載の外科手術装置。
  4. 組織採取用具は、吸引ポート内に同心的に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の外科手術装置。
  5. 組織採取用具は、クリッピングシリンダをさらに備えていることを特徴とする、請求項1に記載の外科手術装置。
  6. クリッピングシリンダは、コアリングシリンダの周囲で同心的に配置されることを特徴とする、請求項5に記載の外科手術装置。
  7. クリッピングシリンダはさらに、周縁部を有し、かつ、該周縁部から内側に向かって剪断を行うように構成される少なくとも1つの切断デバイスを備えていることを特徴とする、請求項5に記載の外科手術装置。
  8. 少なくとも1つの切断デバイスは、鋭刃、鈍刃、アーム、レバー、化学物質、酵素、およびレーザーのうち少なくとも1つを備えていることを特徴とする、請求項7に記載の外科手術装置。
  9. 組織採取用具は操作者によって運転されるように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の外科手術装置。
  10. コアリングシリンダは、その内側表面に配置され、かつ、標的領域を把持するように構成される複数の把持棚を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の外科手術装置。
  11. 組織の標的領域は毛包を含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の外科手術装置。
  12. 吸引ポートは組織の標的領域に吸引力を適用するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の外科手術装置。
  13. 吸引ポートは長尺状部材の長手方向軸に対して角度をなして配向されることを特徴とする、請求項1に記載の外科手術装置。
  14. 長尺状部材は組織分離デバイスおよび組織採取用具に連結可能な制御機構を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の外科手術装置。
  15. 組織分離デバイスは、長尺状部材に対して移動するように構成される刃を備えることを特徴とする、請求項1に記載の外科手術装置。
  16. 摘出モジュールは、皮膚表面へのコアリングシリンダの接近を決定するように構成される検知デバイスをさらに含んでなることを特徴とする、請求項1に記載の外科手術装置。
  17. 検知デバイスは、摘出デバイスが皮膚の下から該皮膚に接近すると、該皮膚の特徴を検知するように構成されたセンサをさらに含んでなることを特徴とする、請求項16に記載の外科手術装置。
  18. 長尺状部材は可撓性であることを特徴とする、請求項1に記載の外科手術装置。
  19. 組織分離デバイスは、鋭刃、鈍刃、バルーン、電気焼灼デバイス、加圧されたガスおよび液体の少なくとも一方を供給するデバイス、酵素的組織分離剤、化学的組織分離剤、およびレーザーのうち少なくとも1つを備えていることを特徴とする、請求項1に記載の外科手術装置。
  20. 吸引ポートは、組織採取用具によって摘出された組織の標的領域を受け取るリザーバと流体連通していることを特徴とする、請求項1に記載の外科手術装置。
  21. 内視鏡手術キットであって、
    完全な角質層が残るように、患者の皮膚表面の下から組織の標的領域に接近して、皮膚の下にキャビティを作出するための切開デバイスであって、
    第1の長尺状部材、および
    第1の長尺状部材の第1端に取り付けられた組織分離デバイス
    を含んでなる切開デバイスと、
    患者の皮膚表面の下から組織の標的領域に接近してキャビティ内へ挿入するための摘出デバイスであって、
    第2の長尺状部材、
    第2の長尺状部材の第1端に取り付けられた吸引ポート、
    周囲の組織から組織の標的領域を採取するように構成される組織採取用具であって、吸引ポート内に配置されるとともに、周囲の組織から組織の標的領域を分離するように構成されるコアリングシリンダを有する組織採取用具、および
    コアリングシリンダを通して標的領域を観察するように構成される画像システム
    を含んでなる摘出デバイスと
    を含んでなる内視鏡手術キット。
  22. 切開デバイスは、第1の長尺状部材の第2端に配置された別の画像システムをさらに含んでなることを特徴とする、請求項21に記載の内視鏡手術キット。
  23. 画像システムは、
    第2の長尺状部材の中空通路を通して第2の長尺状部材の第1端にある標的領域を照明するための光源と、
    標的領域の画像を受像するための観察ポートと
    を備えていることを特徴とする、請求項21に記載の内視鏡手術キット。
  24. 摘出デバイスは、第2の長尺状部材の第2端に配置された画像システムをさらに含んでなることを特徴とする、請求項21に記載の内視鏡手術キット。
  25. 組織採取用具は吸引ポート内に同心的に配置されることを特徴とする、請求項21に記載の内視鏡手術キット。
  26. 吸引ポートは第2の長尺状部材の長手方向軸に対して角度をなして配向されることを特徴とする、請求項21に記載の内視鏡手術キット。
  27. キャビティを開放状態に維持するために、キャビティ内に配置されるように構成されているバリアデバイスをさらに備えていることを特徴とする、請求項21に記載の内視鏡手術キット。
  28. バリアデバイスはバルーン伸張器をさらに備えることを特徴とする、請求項27に記載の内視鏡手術キット。
  29. 吸引ポートと流体連通しているリザーバをさらに含んでなることを特徴とする、請求項21に記載の内視鏡手術キット。
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