実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1によるカメラ制御装置13の制御画面3の一例を示した図である。この制御画面3には、監視エリア31のマップ画像30が表示されるとともに、5台のカメラ10A〜10E(適宜、カメラ10と総称する。)のカメラシンボル35及び撮影エリアシンボル36が当該マップ画像30上に表示されている。
監視エリア31は、5台のカメラ10A〜10Eを用いて監視する領域であり、制御画面3に表示されるマップ画像30は、監視エリア31内における2次元のレイアウト情報である。ここでは、監視エリア31が特定施設の敷地であり、建物32A,32Bが配置されている場合の例について説明するが、監視エリア31は屋外でなくてもよい。例えば、建物内の特定フロアを監視エリア31とし、当該フロアの間取り図をマップ画像30として制御画面3に表示してもよい。
カメラシンボル35は、カメラ10の設置位置を示すシンボルであり、撮影エリアシンボル36は、カメラ10の撮影エリアを示すシンボルである。カメラ10の設置位置は予め与えられており、この設置位置に基づいて、カメラ10ごとにカメラシンボル35がマップ画像30上に表示される。また、カメラ10の撮影エリアは、その設置位置、駆動角及び画角に基づいて演算で求めることができ、この演算結果に基づいて、カメラ10ごとに撮影エリアシンボル36がマップ画像30上に表示される。
図2は、撮影エリアシンボル36と実際の撮影エリアとの関係を示した説明図である。図中の(a)は、カメラ10の受光軸101を水平方向から見た様子を示した図であり、図中の(b)は、上方向から見た様子を示した図である。また、図中の(c)は、カメラシンボル35及び撮影エリアシンボル36を示した図である。
(a)に示す通り、カメラ10は、設置高さhに取り付けられ、撮影方向に向かって受光軸101が延びている。設置高さhは、基準平面となる地面からの高さであり、カメラ10の基本情報の一つとして予め与えられている。受光軸101は、撮影画像の中央に相当する光軸であり、カメラ10のパン方向及びチルト方向の駆動角に応じて変化する。撮影点Pは、受光軸101が監視高さHの水平面と交差する位置である。監視高さHは、監視しようとする地面からの高さであり、予め定められている。例えば、人や車などを監視する場合には、監視高さHを1m程度にすればよい。
(b)に示す通り、カメラ10の撮影エリア102は台形形状からなる。撮影エリア102は、カメラ10の視野が監視高さHの水平面と交差する領域であり、カメラ10から遠ざかるほど幅が広くなる等脚台形になる。この等脚台形の対角線の交点が撮影点Pであり、撮影点Pを通る撮影エリア102の幅が撮影幅Wである。つまり、撮影点Pは、撮影画像の中央に現れる監視高さHの点である。また、撮影幅Wは、撮影点Pにおけるパン方向の撮影幅である。
(c)に示す通り、撮影エリアシンボル36は、撮影点P及び撮影幅Wを示すエリアシンボル361と、カメラ10から撮影点Pまでの光路を示す光路シンボル362とからなる。
エリアシンボル361は、撮影点Pを中心とし、撮影幅Wを直径とする円形形状からなり、撮影エリア102とは一致していない。しかしながら、撮影点Pは、撮影画像の中央に相当する位置であり、また、撮影幅Wは、撮影画像のパン方向の幅に相当する距離であることから、エリアシンボル361を用いて撮影点P及び撮影幅Wを示すことにより、ユーザは撮影エリア102を容易かつ直感的に理解することができる。なお、エリアシンボル361が円形であれば、その中心位置をユーザは容易に把握できることから、撮影点Pを明示する必要は必ずしもない。
光路シンボル362は、カメラシンボル35を通り、エリアシンボル361に接する2本の接線によって構成される略三角形の形状からなる。光路シンボル362を用いることにより、ユーザは、カメラ10の撮影方向や、カメラシンボル35とエリアシンボル361との対応関係を容易かつ直感的に理解することができる。
図3〜図5は、カメラ10のカバーエリア表示の一例を示した図であり、ユーザが指定したカメラ10のカバーエリア37が、図1の制御画面3のマップ画面30上に表示されている。カバーエリア37は、カメラ10によって撮影可能な監視エリア31内の小領域であり、カメラ10の基本情報の一つとして、カメラ10ごとに定められている。また、カバーエリア37の位置及び形状は、カメラ10の性能で決まる撮影限界に加えて、建物、植木などの障害物の配置や、カメラ10間の役割分担なども考慮し、初期設定時にユーザによって決定される。
カバーエリア37の位置及び形状の確認は、ユーザが指定したカメラ10に対応するカバーエリア37をマップ画像30上に表示することによって行われる。ここでは、マウスカーソルMを移動させ、いずれかのカメラシンボル35上に重ねれば、当該カメラシンボル35に対応するカメラ10が、カバーエリア37の表示対象として指定されるものとする。つまり、マウスオーバーされたカメラシンボル35について、カバーエリア37が表示され、カメラ10ごとにカバーエリア37を確認することができる。
図3には、カメラ10Aのカメラシンボル35がマウスオーバーされ、マップ画像30上にカメラ10Aのカバーエリア37が表示されている状態が示されている。同様にして、図4、図5には、カメラ10B,10Cのカメラシンボル35がマウスオーバーされ、マップ画像30上にカメラ10B、10Cのカバーエリア37が表示されている状態がそれぞれ示されている。
図6は、カメラ10のカバーエリア表示の他の例を示した図であり、ユーザにより指定された撮影点Pを含む1又は2以上のカバーエリア37が、図1の制御画面3のマップ画像30上に表示されている。つまり、図3〜図5では、ユーザが指定したカメラ10に基づいてカバーエリア37が表示されるのに対し、図6では、ユーザが指定した撮影点Pに基づいてカバーエリア37が表示される。
ユーザは、監視エリア31内の任意の点を撮影点Pとして指定することができ、指定された撮影点Pが属する1又は2以上のカバーエリア37がマップ画像30上に表示される。このため、ユーザが指定した撮影点Pが、2以上のカバーエリア37の重複領域に属していれば、これらのカバーエリア37が重複してマップ画像30上に表示される。この場合、カバーエリア37の表示色を互いに異ならせ、2以上のカバーエリア37を区別可能に表示することが望ましい。また、カバーエリア37が表示されているカメラ10のカメラシンボル35は、撮影可能なカメラであることを示すカメラシンボル35'に変化する。
ここでは、マウスカーソルMによって指示される任意の点が撮影点Pとして指定されるものとする。このため、マップ画像30内においてマウスカーソルMを移動させれば、その位置に応じて、表示されるカバーエリア37が変化していき、撮影点Pがどこにあれば、どのカメラ10で撮影できるのかを迅速かつ容易に把握することができる。
図中の(a)では、マウスカーソルMにより指定された撮影点Pが、カメラ10B及び10Cのカバーエリア37の重複領域内にある。このため、カメラ10B及び10Cのカバーエリア37がマップ画像30上に表示され、カメラ10B及び10Cのカメラシンボル35がカメラシンボル35'に変化する。
図中の(b)では、マウスカーソルMにより指定された撮影点Pが、カメラ10A〜10Cのカバーエリア37の重複領域内にある。このため、カメラ10A〜10Cのカバーエリア37がマップ画像30上に表示され、カメラ10A〜10Cのカメラシンボル35がカメラシンボル35'に変化する。
なお、マウスカーソルMがカメラシンボル35内にあれば、図3〜図5に示したようにカメラ10に対応するカバーエリア37を表示し、カメラシンボル35外にあれば、図6に示したように撮影点Pに対応するカバーエリア37を表示するように構成することもできる。また、図3〜図6では、マップ画像30上に撮影エリアシンボル36が表示されていないが、撮影アリアシンボル36が表示されているマップ画像30上にカバーエリア37を表示するように構成してもよい。
図7は、カメラ10のカバーエリア編集の一例を示した図であり、編集中のカバーエリア37が、図1の制御画面3のマップ画像30上に表示されている。ユーザは、編集対象としてカメラ10を指定することにより、当該カメラ10のカバーエリア37の形状を編集することができる。例えば、カバーエリア37が多角形からなる場合であれば、頂点の移動、追加又は削除を行うことにより、カバーエリア37の形状を自由に変更することができる。ただし、カバーエリア37の編集中に、ユーザがカメラ10の撮影限界を越えて頂点を移動させようとすれば、当該移動操作はキャンセルされる。撮影限界は、例えば、カメラ10からの距離や、駆動角の調整可能範囲に基づいて予め定められている。
図中では、カメラ10Aが編集対象として指定され、カメラ10Aのカバーエリア37がマップ画像30上に表示されている。このカバーエリア37の各頂点には、ハンドルポイント37hがそれぞれ表示されており、ユーザは、当該ハンドルポイントの移動、追加又は削除を行うことにより、カバーエリアの形状を変更することができる。
図中の(a)には、図3に示した形状のカバーエリア37に対し、右上のハンドルポイント37hをドラッグし、右方向へ移動させた結果が示されている。また、図中の(b)には、図3に示した形状のカバーエリア37に対し、右上のハンドルポイント37hを削除した結果が示されている。
図8〜図10は、ユーザ操作による撮影エリア変更の様子を示した図であり、制御画面3の変化の一例が時系列的に示されている。本実施の形態によるカメラ制御装置は、通常時には、予め定められた制御パターンに基づいて、各カメラ10の駆動角及び画角を制御している。例えば、撮影エリアがカバーエリア37内を巡回するようにカメラ10の駆動角及び画角を変化させ、あるいは、特定の撮影エリアを継続して撮影するように、カメラ10の駆動角及び画角を一定に保持している。ただし、一時的に特定エリアを監視する必要が生じた場合、ユーザは、当該特定エリアを新規撮影エリアとして指定し、この新規撮影エリアを撮影可能なカメラ10の中から、任意のカメラ10を選択すれば、選択したカメラ10の撮影エリアを新規撮影エリアに変更することができる。
図8は、ユーザが新規撮影エリアを指定する様子を示した図であり、新規撮影エリアシンボルRnが破線で表示されている。新規撮影エリアシンボルRnは、新規撮影点Pn及び新規撮影幅Wnを示すシンボルであり、ユーザが、新規撮影点Pn及び新規撮影幅Wnを指定することにより、図1の制御画面3のマップ画像30上に表示される。
新規撮影点Pnはユーザが指定する新たな撮影点であり、新規撮影幅Wnはユーザが指定する新たな撮影幅である。ユーザは、新規撮影点Pn及び新規撮影幅Wnを指定することにより、新たな撮影エリアとして新規撮影エリアを指定することができる。新規撮影エリアシンボルRnは、この様にして指定された新規撮影エリアを示すためのシンボルである。ここでは、新規撮影エリアシンボルRnが、新規撮影点Pnを中心とし、新規撮影幅Wnを直径とする円形形状からなるものとする。つまり、撮影エリアシンボル36のエリアシンボル361と同様、新規撮影エリアシンボルRnの形状は、新規撮影エリアと一致していないが、新規撮影エリアを容易かつ直感的に理解することができるシンボルとして表示される。
例えば、ユーザがマウスの左ボタンをクリックすれば、そのときのマウスカーソルMの位置が、新規撮影点Pnとして指定され、新規撮影エリアシンボルRnが表示される。次に、ユーザがマウスのホイールを操作すれば、新規撮影幅Wnが増減し、新規撮影エリアシンボルRnは、その中心を固定したまま、その直径が変化する。ユーザが、新規撮影エリアシンボルRnの直径を適切な大きさに調整し、マウスの左ボタンを再度クリックすれば、そのときの直径が新規撮影幅Wnとして指定される。
図9は、ユーザがカメラ10を選択する様子を示した図であり、2個の暫定撮影エリアシンボル38が破線で表示されている。図8において、ユーザが新規撮影エリアを指定すれば、この新規撮影エリアを撮影することができるカメラ10B、10Cについて、暫定撮影エリアシンボル38がそれぞれ表示される。この様にして暫定撮影エリアシンボル38が表示されたカメラ10の中から、新規撮影エリアの撮影に用いるカメラ10を選択することができる。
暫定撮影エリアシンボル38は、新規撮影エリアを撮影すると仮定した場合における撮影エリアシンボル36に相当し、同一のカメラ10について、撮影エリアシンボル36及び暫定撮影エリアシンボル38が同時に表示される。つまり、全てのカメラ10A〜10Eについて、撮影エリアシンボル36が表示されている状態を維持しながら、新規撮影エリアを撮影可能なカメラ10B,10Cについては、暫定撮影エリアシンボル38が追加的に表示される。なお、暫定撮影エリアシンボル38は、線種や色などを異ならせて、撮影エリアシンボル36と区別できるように表示されることが望ましい。
暫定撮影エリアシンボル38は、新規撮影点Pn及び新規撮影幅Wnを示す暫定エリアシンボル381と、カメラ10から新規撮影点Pnまでの光路を示す暫定光路シンボル382とからなる。暫定エリアシンボル381は、新規撮影点Pnを中心とし、新規撮影幅Wnを直径とする円形形状からなり、新規撮影エリアシンボルRnと一致している。暫定光路シンボル382は、カメラシンボル35を通り、暫定エリアシンボル381に接する2本の接線によって構成される略三角形の形状からなる。暫定光路シンボル382を表示することにより、ユーザは、新規撮影エリアに対するカメラ10の撮影方向を容易かつ直感的に理解することができる。
つまり、暫定撮影エリアシンボル38は、撮影エリアシンボル36が撮影点P及び撮影幅Wに基づいて表示されるのと全く同様にして、新規撮影点Pn及び新規撮影幅Wnに基づいて表示される。ただし、撮影エリアシンボル36は、実際の撮影エリアに対応するシンボルであり、撮影点P及び撮影幅Wがカメラ10の駆動角及び画角に基づく演算によって求められるのに対し、暫定撮影エリアシンボル38は、仮想的な撮影エリアに対応するシンボルであり、新規撮影点Pn及び新規撮影幅Wnがユーザにより指定される点で、両者は顕著に相違する。
暫定撮影エリアシンボル38は、新規撮影エリアを撮影可能なカメラ10B,10Cについてのみ表示される。新規撮影エリアの撮影可否は、カバーエリア37に基づいて判定される。ここでは、新規撮影点Pnが、図6の(a)における撮影点Pと同一であり、カメラ10B及び10Cのカバーエリア37に属しているが、その他のカメラ10A、10D及び10Eのカバーエリア37には属していない。このため、2台のカメラ10B及び10Cのみが、新規撮影エリアを撮影できると判定され、これらのカメラ10B,10Cについてのみ暫定撮影エリアシンボル38が表示される。また、カメラ10B及び10Cのシンボル35は、新規撮影エリアを撮影できるカメラであることを示すカメラシンボル35'に変化する。
この状態において、ユーザは、暫定撮影エリアシンボル38が表示されたカメラ10B,10Cのうち、新規撮影エリアの撮影に用いるカメラ10を選択する。例えば、カメラシンボル35'をクリックすることにより選択する。選択できるカメラ10の数は任意であり、暫定撮影エリアシンボル38が表示されたカメラ10B,10Cの全てを選択することもできる。
図10は、撮影エリアの変更後の様子を示した図である。ここでは、ユーザが、撮影エリアを変更するカメラとして、カメラ10B,10Cの両方を選択し、カメラ10B,10Cの撮影エリアがともに新規撮影エリアへ変更された場合が示されている。
なお、カメラ10B、10Cの撮影エリアの変更は、変更後の撮影点P及び撮影幅W(つまり、新規撮影点Pnおよび新規撮影幅Wn)から駆動角及び画角をカメラ10B,10Cごとに算出し、算出された駆動角及び画角に基づいて、カメラ10B、10Cの駆動角及び画角を制御することにより実現する。
図11の(a)及び(b)は、図9及び図10と同様にして、ユーザ操作による撮影エリア変更の様子を示した図である。ここでは、新規撮影点Pnが、図6の(b)における撮影点Pと同一であり、カメラ10A〜10Cのカバーエリア37に属しているが、その他のカメラ10D及び10Eのカバーエリア37には属していない。このため、3台のカメラ10A〜10Cのみが、新規撮影エリアを撮影できると判定される。
その結果、図中の(a)に示した通り、3台のカメラ10A〜10Cについて暫定撮影エリアシンボル38が表示されている。また、3台のカメラ10A〜10Cのシンボル35が、新規撮影エリアを撮影できるカメラであることを示すカメラシンボル35'に変化している。その後、新規撮影エリアを撮影可能なカメラ10A〜10Cのうち、カメラ10Aのみをユーザが選択すれば、図中の(b)に示した通り、カメラ10Aの撮影エリアのみが変更される。
図12は、本発明の実施の形態1によるカメラ制御装置13を含むカメラ監視システム100の一構成例を示したブロック図である。このカメラ監視システム100は、2以上のカメラ10と、通信装置11と、撮影画像表示装置12及びカメラ制御装置13により構成される。
カメラ10は、監視エリア内に設置された撮像装置であり、パン方向及びチルト方向の駆動角を制御することにより、撮影方向を変化させることができる。また、光学ズーム又はデジタルズームにより、画角を制御することができる。ここでは、カメラ10が、動画像を撮影するためのズーム付き旋回型カメラであるものとする。
通信装置11は、撮影画像表示装置12及びカメラ制御装置13と、2以上のカメラ10とを双方向通信可能に接続している。例えば、2以上のカメラ10が接続されたLAN(Local Area Network)に対し、撮影画像表示装置12及びカメラ制御装置13を接続する。
撮影画像表示装置12は、通信装置11を介して、2以上のカメラ10から撮影画像をそれぞれ受信し、受信した撮影画像を表示する出力装置である。例えば、異なるカメラ10から受信した2以上の撮影画像を合成して同時に画面表示し、あるいは、順次に切り替えながら画面表示する。
カメラ制御装置13は、各カメラ10の駆動制御を行う制御装置であり、例えば、カメラ制御装置用のプログラムを実行するコンピュータとして実現することができる。カメラ制御装置13は、カメラ10ごとに駆動角及び画角を決定し、決定した駆動角及び画角を示すカメラ制御信号を生成し、当該カメラ10へ送信する。
図13は、図12のカメラ制御装置13の詳細構成例を示したブロック図であり、カバーエリアの表示機能及び編集機能に関する機能ブロックが示されている。このカメラ制御装置13は、ユーザ操作に基づいて、制御画面3上において、カバーエリアの表示及び編集を行うことができる。
マップ情報記憶部DS1は、制御画面3に表示するマップ画像30を保持している。カメラ基本情報記憶部DS2は、カメラ10ごとの基本情報を保持している。この基本情報には、設置位置、カバーエリアなどが含まれている。設置位置は、カメラ10が設置されている水平位置及び設置高さHであり、カバーエリア37は、初期設定時にユーザにより指定されたカメラ10の撮影可能範囲である。
操作入力部20は、ユーザのキー操作やマウス操作に基づいて、操作信号を出力する入力手段である。この操作信号は、カメラ指定部21、撮影点指示部22及びカバーエリア編集部26に入力される。
カメラ指定部21は、操作入力部20からの操作信号に基づいて、任意のカメラ10を指定する手段である。ここでは、マウスオーバーされたカメラシンボル35に対応するカメラ10が、カメラ指定部21によって指定され、当該カメラ10のカバーエリアが、表示対象又は編集対象となる。
撮影点指定部22は、操作入力部20からの操作信号に基づいて、任意の撮影点Pを指定する手段である。ここでは、監視エリア31内において、マウスカーソルMがカメラシンボル35以外を指示している場合に、当該マウスカーソルの指示している点が撮影点Pとして指定されるものとする。
カバーエリア編集部26は、操作入力部20からの操作信号に基づいて、カバーエリア37を編集する。カバーエリア37の編集は、制御画面3にカバーエリアを表示させた状態で、カメラ基本情報記憶部DS2内に保持されているカバーエリアを更新することにより行われる。
撮影可否判定部23は、カメラ10ごとに、撮影点指定部22が指定した撮影点Pを撮影可能な1又は2以上のカメラ10を判定する。すなわち、撮影点Pを各カメラ10のカバーエリア37とそれぞれ照合し、撮影点Pがカバーエリア37内に属しているカメラ10については撮影可と判断し、撮影点Pがカバーエリア37内に属していないカメラ10については撮影不可と判断する。
画像生成部24は、制御画面3の表示画像を生成する手段であり、生成された表示画像は、表示装置25に出力され、画面表示される。この画像生成部24は、カメラ表示部241、カバーエリア表示部242及び画像合成部245からなる。
カメラ表示部241は、マップ画像30上に表示するカメラシンボル35を生成している。カメラシンボル35は、カメラ基本情報記憶部DS2に保持されている設置情報に基づいてマップ画像30上に配置される。
カバーエリア表示部242は、マップ画像30上に表示するカバーエリア37のシンボルを生成している。シンボルを生成するカバーエリア37は、カメラ指定部21及び撮影可否判定部23の判定結果に基づいて決定される。具体的には、カメラ指定部21がカメラ10を指定した場合には、当該カメラ10のカバーエリア37のシンボルを生成する。また、撮影可否判定部23が撮影可否を判定した場合には、撮影可能と判定されたカメラ10のカバーエリア37のシンボルを生成する。この場合、カバーエリア表示部242は、撮影可否判定部23の判定結果を表示する撮影可否表示手段としてカバーエリア37を表示する。
画像合成部245は、マップ情報記憶部DS1から読み出したマップ画像30上に、カメラシンボル35及びカバーエリアシンボル37を配置し、制御画面3のための表示画像を生成する。
図14は、図12のカメラ制御装置13の詳細構成例を示したブロック図であり、撮影エリアの変更機能に関する機能ブロックが示されている。このカメラ制御装置13は、ユーザ操作に基づいて、撮影エリアを変更するとともに、カメラ制御信号を生成する。なお、図13に示されたブロックと同一のブロックには同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
カメラ制御情報記憶部DS3は、カメラ10ごとに制御情報を保持している。この制御情報には、カメラ10の現在の駆動角及び画角が含まれている。新規撮影エリア指定部27は、操作入力部20からの操作信号に基づいて、新規撮影エリアを指定する手段である。ここでは、新規撮影エリアが、新規撮影点Pn及び新規撮影幅Wnによって規定されるため、新規撮影エリア指定部27は、例えば、ユーザのマウス操作によって指定された新規撮影点Pn及び新規撮影幅Wnを出力する。
撮影可否判定部23は、カメラ10ごとに、新規撮影エリア指定部27が指定した新規撮影エリアを撮影可能な1又は2以上のカメラ10を判定する。新規撮影エリアを各カメラ10のカバーエリア37と照合し、新規撮影エリアを撮影可能なカメラを判定する。例えば、新規撮影点Pnがカバーエリア37内に属しているカメラ10については撮影可能であると判断し、新規撮影点Pnがカバーエリア37内に属していないカメラ10については、撮影不可であると判断する。
カメラ選択部28は、操作入力部20からの操作信号に基づいて、撮影可否判定部23が撮影可能と判断したカメラ10の中から、撮影エリアを変更するカメラ10を選択する選択手段である。
撮影エリア変更部29は、カメラ制御情報記憶部DS3内の制御情報を更新し、カメラ10の撮影エリアを変更するとともに、変更後の撮影エリアに基づいてカメラ駆動信号を生成し、カメラ10の駆動制御を行う。通常時は、予め与えられている駆動パターンに基づいて、カメラ10の駆動制御を行っている。カメラ10の駆動制御は、カメラ制御情報記憶部DS3内の駆動角及び画角を更新するとともに、更新された駆動角及び画角を含むカメラ制御信号を生成し、カメラ10へ出力することにより行われる。また、ユーザ操作に基づいて、新規撮影エリアが指定され、さらに、撮影エリアを変更するカメラ10が選択された場合には、選択されたカメラ10の撮影エリアが、新規エリアへ変更される。
画像生成部24は、カメラ表示部241、撮影エリア表示部243、暫定撮影エリア表示部244及び画像合成部245からなる。
撮影エリア表示部243は、マップ画像30上に表示する撮影エリアシンボル36を生成している。撮影エリアシンボル36は、全てのカメラ10について生成され、カメラ制御情報記憶部DS3に保持されている制御情報と、カメラ10の設置情報とに基づいてマップ画像30上に配置される。
暫定撮影エリア表示部244は、マップ画像30上に表示する暫定撮影エリアシンボル38を生成している。暫定撮影エリアシンボル38は、撮影可否判定部23が新規撮影エリアを撮影可能と判定したカメラ10について生成され、新規撮影エリア指定部27が指定する新規撮影エリアと、カメラ10の設置情報とに基づいてマップ画像30上に配置される。つまり、暫定撮影エリア表示部244は、撮影可否判定部23の判定結果を表示する撮影可否表示手段として暫定撮影エリアシンボル38を表示する。
画像合成部245は、マップ情報記憶部DS1から読み出したマップ画像30上に、カメラシンボル35、撮影エリアシンボル36及び暫定撮影エリアシンボル38を配置し、制御画面3のための表示画像を生成する。
図15のステップS101〜S103は、図14の画像生成部24における撮影エリアの表示処理の一例を示したフローチャートである。撮影エリアの表示は、マップ画像30上に撮影エリアシンボル36を配置することにより行われる。撮影エリアシンボル36の形状及び位置は、撮影点P及び撮影幅Wにより決まるため、撮影点P及び撮影幅Wが求められる。撮影点Pは、カメラ制御情報記憶部DS3内に保持されているカメラ10の駆動角に基づいて、撮影エリア表示部243により求められる(ステップS101)。また、撮影幅Wは、ステップS101で求めた撮影点Pと、カメラ制御情報記憶部DS3内に保持されているカメラ10の画角とに基づいて、撮影エリア表示部243により求められる(ステップS102)。この様にして求められた撮影点P及び撮影幅Wに基づいて、撮影エリアが表示される(ステップS103)。すなわち、撮影エリア表示部243が撮影エリアシンボル36を生成し、画像合成部245が撮影エリアシンボル36をマップ画像30上に配置することにより、表示装置25の制御画面3内に撮影エリアが表示される。
図16のステップS201〜S206は、ユーザ操作に基づく撮影エリアの変更処理の一例を示したフローチャートである。まず、新規撮影エリアを指定するユーザのマウス操作に基づいて、操作入力部20から操作信号が出力される。この操作信号に基づいて、新規撮影エリア指定部27から新規撮影点Pn及び新規撮影幅Wnが出力される(ステップS201,S202)。次に、撮影可否判定部23が、新規撮影エリアの撮影可否をカメラ10ごとに判定する(ステップS203)。その結果、撮影可能と判定されたカメラ10について、新規撮影点Pn及び新規撮影幅Wnに基づいて、暫定撮影エリアが表示される(ステップS204)。すなわち、暫定撮影エリア表示部244が暫定撮影エリアシンボル38を生成し、画像合成部245が暫定撮影エリアシンボル38をマップ画像30上に配置することにより、表示装置25の制御画面3内に暫定撮影エリアが表示される。
暫定撮影エリアが表示された状態で、撮影エリアを変更するカメラ10がユーザにより選択される(ステップS205)。カメラ10を指定するユーザのマウス操作に基づいて、操作入力部20から操作信号が出力されると、カメラ選択部28が、撮影エリアを変更するカメラ10を選択する。ユーザが指定できるのは、新規撮影エリアを撮影可能なカメラ10のみであり、カメラ選択部28は、ユーザが指定した1又は2以上のカメラ10を選択する。なお、ユーザがマウス操作により、撮影エリアを変更しないカメラ10を指定するように構成することもできる。この場合、カメラ選択部28は、新規撮影エリアを撮影可能なカメラ10であって、ユーザが指定しなかった1又は2以上のカメラ10を選択する。
撮影エリア変更部29は、カメラ選択部28が選択したカメラ10の撮影エリアを新規撮影エリアに変更する(ステップS206)。すなわち、新規撮影点Pn及び新規撮影幅Wnに基づいて、カメラ10ごとに駆動角及び画角を算出し、カメラ制御情報記憶部DS3内の駆動角及び画角を更新するとともに、カメラ制御信号として、駆動角及び画角をカメラ10に送信する。また、カメラ制御情報記憶部DS3内の駆動角及び画角が更新されると、撮影エリア表示部243が、新しい駆動角及び画角に応じた撮影エリアシンボル36を生成し、制御画面3も更新される。
図17のステップS301〜S304は、図16の撮影可否の判定処理(ステップS203)の一例を示したフローチャートである。撮影可否判定部23は、新規撮影点Pnを各カメラ10のカバーエリア37と照合することにより、カメラ10ごとに撮影の可否を判定している(ステップS301)。つまり、新規撮影点Pnがカバーエリア37に属するカメラ10については、新規撮影エリアを撮影可能であると判定する(ステップS302,S303)。一方、新規撮影点Pnがカバーエリア37に属していないカメラ10については、新規撮影エリアの撮影は不可であると判定する(ステップS302,S304)。
本実施の形態によるカメラ制御装置13は、ユーザが、新規撮影点Pn及び新規撮影幅Wnを指定することにより、カメラ10の駆動角及び画角を制御し、所望の新規撮影エリアを撮影することができる。このため、従来のカメラ制御装置のように、ユーザがカメラ10の駆動角及び画角を指定する必要がなく、熟練したオペレータでなくても、カメラ10の撮影エリアの変更を容易かつ迅速に行うことができる。
また、本実施の形態によるカメラ制御装置13は、ユーザが指定する新規撮影点Pn及び新規撮影幅Wにより、2以上のカメラ10に共通の新規撮影エリアが指定され、カメラ10ごとの駆動角及び画角が演算により求められる。このため、2以上のカメラ10の撮影エリアを変更する場合であっても、カメラ10ごとに駆動角や画角を指定する必要がなく、2以上のカメラ10の撮影エリアを容易かつ迅速に変更することができる。
また、本実施の形態によるカメラ制御装置13は、同一のカメラ10について、実際の撮影エリアを示す撮影エリアシンボル36と、撮影エリアを変更した場合の仮想的な撮影エリアを示す暫定撮影エリアシンボル38とを同時に表示する。このため、ユーザが撮影エリアを変更するカメラを容易かつ適切に選択することができる。特に、2以上のカメラ10について、それぞれ撮影エリアシンボル36及び暫定撮影エリアシンボル38を同時に表示することにより、現在の撮影エリアを継続して監視する必要性や、新しい撮影点に対する撮影方向、新しい撮影方向に到達するまでの駆動時間などを比較考量し、撮影エリアを変更するカメラとして、適切なカメラ10を選択することができる。
また、本発明によるカメラ制御装置13は、2以上のカメラ10について、新規撮影エリアの撮影可否を判定し、撮影可能なカメラ10についてのみ暫定撮影エリアシンボルを表示する。このため、ユーザは、2以上のカメラ10のうち、撮影エリアを変更するカメラとして、適切なカメラ10を容易に選択することができる。
また、本発明によるカメラ制御装置13は、カメラ10ごとにカバーエリア37を保持しており、各カメラ10に共通の新規撮影点Pnを各カメラ10のカバーエリア37とそれぞれ照合することにより、カメラ10ごとに新規撮影エリアの撮影可否を判定する。このため、ユーザは、2以上のカメラ10のうち、撮影エリアを変更するカメラとして、適切なカメラ10を更に容易に選択することができる。
また、本発明によるカメラ制御装置13は、カメラ10ごとにカバーエリア37をユーザが指定できる。このため、カメラ10の性能による撮影限界だけでなく、建物や植木等の障害物の配置やカメラ10間の役割分担などを考慮して、撮影可否の判定を行うことができる。このため、ユーザは、2以上のカメラ10のうち、撮影エリアを変更するカメラとして、適切なカメラ10を更に容易に選択することができる。
なお、本実施の形態では、新規撮影エリアが新規撮影点Pn及び新規撮影幅Wnによって規定され、新規撮影エリアを指定するために、ユーザが新規撮影点Pn及び新規撮影幅Wnを指定する場合について説明したが、本発明は、この様な場合のみに限定されない。例えば、新規撮影幅Wnが一定であれば、新規撮影幅Wnを指定する必要はなく、ユーザは新規撮影点Pnのみを指定すれば、新規撮影エリアを指定することができる。
さらに、撮影エリアの変更時には、カメラ10の撮影点Pのみを変更し、カメラ10の撮影幅Wは変更しないように構成することもできる。この場合、暫定撮影エリアシンボル38には、対応するカメラ10の撮影幅Wを用いることができる。あるいは、暫定撮影エリアシンボル38を新規撮影点Pnと、カメラ10から新規撮影点Pnまでの光路とを示すシンボルとして表示することもできる。
また、ユーザが新規撮影幅Wnを指定する必要がない場合、図13の撮影点指定部22が指定する撮影点Pを新規撮影点Pnとして用いることができ、図14の新規撮影エリア指定部27は不要となる。
また、本実施の形態では、新規撮影エリアの撮影可否を判定し、新規撮影エリアを撮影可能なカメラ10について、暫定撮影エリアを表示する場合の例について説明したが、本発明は、この様な場合のみに限定されない。すなわち、全てのカメラ10について、暫定撮影エリアを表示することもできる。この場合、ユーザは、各カメラ10ごとに表示された撮影エリア及び暫定撮影エリアを見て、全てのカメラ10の中から、撮影エリアを変更する1又は2以上のカメラ10を選択する必要がある。
また、本実施の形態では、撮影可能であると判定されたカメラ10に対し、暫定撮影エリアを表示するカメラ制御装置13の例について説明したが、本発明によるカメラ制御装置13は、全てのカメラ10について暫定撮影エリアを表示するように構成することもできる。
また、上記実施の形態では、監視エリア31内に2台以上のカメラ10が設置され、マップ画像30上に2個以上のカメラシンボル35が表示される場合の例について説明したが、本発明は、この様な場合のみに限定されない。例えば、監視エリア31内に1台のカメラ10が設置され、マップ画像30上に1個のカメラシンボル35が表示される場合であってもよい。この様な場合であっても、同じカメラ10について、撮影エリアシンボル36及び暫定撮影エリアシンボル38を同時に表示することにより、ユーザは、カメラ10に対する実際の駆動制御を行う前に、当該駆動制御後に撮影できるエリアと、当該駆動制御後に撮影できなくなるエリアを確認し、この確認結果に基づいて、駆動制御を行うか否かを判断することができる。
また、上記実施の形態では、マウスの左クリックを行うことにより、新規撮影点Pnが指定され、その後、ホイール操作を行うことにより、新規撮影幅Wnが指定される場合の例について説明したが、本発明は、このような場合のみに限定されない。
例えば、新規撮影点Pn及び新規撮影幅Wnが互いに独立して指定できる次のような構成であってよい。クリック操作を行わなくても、マウスカーソルMの位置が、常に、新規撮影点Pnとして指定され、ユーザがマウスを移動させれば、移動後のマウスカーソルMの位置が直ちに撮影点Pnとして指定される。一方、ユーザがホイール操作を行えば、新規撮影幅Wnが変化し、マウスカーソルMを移動させても、新規撮影幅Wnは一定のまま維持される。この場合、ユーザがマウスを移動させれば、撮影可否の判定処理が直ちに行われ、1又は2以上の暫定撮影エリアシンボル38が直ちに表示される。
実施の形態2.
実施の形態1では、新規撮影点Pnをカバーエリア37と照合することにより撮影可否判定を行う場合の例について説明した。これに対し、本実施の形態では、新規撮影エリアをカバーエリア37と照合することにより、撮影可否判定を行う場合の例について説明する。
図18のステップS401〜S404は、図16の撮影可否の判定処理(ステップS203)の他の例を示したフローチャートである。撮影可否判定部23は、新規撮影エリアを各カメラ10のカバーエリア37と照合することにより、カメラ10ごとに撮影の可否を判定している(ステップS401)。
その結果、新規撮影エリアがカバーエリア37からはみ出さないカメラ10については、新規撮影エリアを撮影可能であると判定する(ステップS402,S403)。一方、新規撮影エリアがカバーエリア37からはみ出しているカメラ10については、新規撮影エリアの撮影は不可であると判定する(ステップS402,S404)。
換言すれば、新規撮影エリアの全体がカバーエリア37に属するカメラ10については、新規撮影エリアを撮影可能であると判定する一方、新規撮影エリアの少なくとも一部がカバーエリア37に属さないカメラ10については、新規撮影エリアの撮影は不可であると判定する(ステップS402,S404)。
新規撮影エリアがカバーエリア37からはみ出すか否かの判定(ステップS402)は、例えば、カバーエリア37に属する新規撮影点Pnからカバーエリアの外縁までの距離Lに基づいて判定することができる。まず、新規撮影点Pnが、カバーエリア37に属するか否かを判定する。その結果、新規撮影点Pnがカバーエリア37に属する場合には、更に新規撮影点Pnからカバーエリア37の周縁までの最短距離を求め、求められた最短距離が新規撮影エリアの半径Wn/2以上であれば、新規撮影エリアは、カバーエリア37からはみ出さないと判定することができる。一方、新規撮影点Pnがカバーエリア37に属さない場合や、カバーエリアの周縁までの最短距離が新規撮影エリアの半径Wn/2よりも短い場合には、新規撮影エリアがカバーエリア37からはみ出していると判定することができる。
本実施の形態によるカメラ制御装置13は、新規撮影エリアの全体がカバーエリア37に属するか否かに基づいて撮影可否判定を行っている。このため、新規撮影エリアの一部がカバーエリア37からはみ出し、新規撮影点Pnを新規撮影幅Wnで撮影を行うことができないカメラ10については、撮影不可と判断することができ、当該カメラ10については暫定撮影エリアシンボル38が表示されないようにすることができる。
実施の形態3.
本実施の形態では、カメラ10の画角調整範囲に基づいて、当該カメラ10による撮影可否の判定を行う場合について説明する。撮影可否判定部23において撮影可否の判定を行う場合、新規撮影エリアを撮影するために必要となる画角を暫定画角として求め、この暫定画角をカメラ10の画角調整範囲と比較する。その結果、暫定画角が画角調整範囲外であれば、新規撮影点Pn又は新規撮影エリアと、カバーエリア37との照合結果にかかわらず、当該カメラ10は撮影不可であると判定される。
図19は、本発明の実施の形態3によるカメラ制御装置13の動作の一例を示した図であり、制御画面3における表示の一例が示されている。図11の(a)と比較すれば、新規撮影点Pnは同一であるが、新規撮影幅Wnが大きくなっている。このため、新規撮影エリアを撮影するのに必要な暫定画角は、カメラ10A〜10Cのいずれについても、図11(a)の場合よりも大きくなる。
ここでは、新規撮影点Pnがカメラ10Bに近く、かつ、新規撮影幅Wnが大きいことから、カメラ10Bの暫定画角が、カメラ10Bの画角調整範囲の上限を越えてしまっているものとする。つまり、カメラ10Bは、画角を画角調整範囲の上限値にしたとしても、新規撮影幅Wnよりも狭い範囲しか撮影することができない。この場合、撮影可否判定部23は、カメラ10Bについては撮影不可と判定し、暫定撮影エリア表示部244は、カメラ10Bについて暫定撮影エリアシンボル38を表示させない。
図20は、本発明の実施の形態3によるカメラ制御装置13の動作の他の例を示した図であり、制御画面3における表示の一例が示されている。図11の(a)と比較すれば、新規撮影点Pnは同一であるが、新規撮影幅Wnが小さくなっている。このため、新規撮影エリアを撮影するのに必要な暫定画角は、カメラ10A〜10Cのいずれについても、図11(a)の場合よりも小さくなる。
ここでは、新規撮影点Pnがカメラ10A,10Cから遠く、かつ、新規撮影幅Wnが小さいことから、カメラ10A,10Cの暫定画角が、カメラ10A,10Cの画角調整範囲の下限を越えてしまっているものとする。つまり、カメラ10A,10Cは、画角を画角調整範囲の下限値にしたとしても、新規撮影幅Wnよりも広い範囲しか撮影することができない。この場合、撮影可否判定部23は、カメラ10A,10Cについては撮影不可と判定し、暫定撮影エリア表示部244は、カメラ10A,10Cについて暫定撮影エリアシンボル38を表示させない。
カメラ10の画角調整範囲は、予め与えられており、カメラ基本情報の一つとして、カメラ基本情報記憶部DS2に保持されている。このため、撮影可否判定部23は、この画角調整範囲に基づいて、新規撮影エリアの撮影可否を判定する。つまり、新規撮影点Pn及び新規撮影幅Wnにより新規撮影エリアが指定されると、この新規撮影エリアを撮影するために必要な暫定画角をカメラ10ごとに求める。そして、求められた暫定画角をカメラ10の画角調整範囲と比較することにより、撮影可否を判定する。
図21のステップS501〜S506は、本発明の実施の形態3による撮影可否の判定処理の一例を示したフローチャートである。まず、撮影可否判定部23は、新規撮影点Pnを各カメラ10のカバーエリア37と照合する(ステップS501)。その結果、新規撮影点Pnがカバーエリア37に属していないカメラ10については、新規撮影エリアを撮影できないと判定する(ステップS502,S506)。ここまでの処理は、図17の場合(実施の形態1)と同様である。
一方、新規撮影点Pnがカバーエリア37に属するカメラ10については、新規撮影エリアを撮影するための暫定画角が求められる(ステップS503)。このような暫定画角は、新規撮影点Pn及び新規撮影幅Wnに基づく演算によって求めることができる。そして、ステップS503において求められた暫定画角が角度調整範囲と比較される(ステップS504)。その結果、上記暫定画角が角度調整範囲内であれば、新規撮影エリアを撮影可能であると判定され(ステップS505)、上記暫定画角が角度調整範囲外であれば、新規撮影エリアの撮影は不可であると判定される(ステップS506)。
本実施の形態によるカメラ制御装置13は、新規撮影エリアを撮影するために必要な暫定画角を求め、この暫定画角をカメラ10の画角調整範囲に基づいて、撮影可否判定を行っている。このため、新規撮影エリアを適切に撮影することができないカメラ10については、撮影不可とすることができる。従って、当該カメラ10については暫定撮影エリアシンボル38が表示されないようにすることができる。このため、熟練していないオペレータでも、新規撮影エリアに応じた適切なカメラ10を容易に選択することができる。
実施の形態4.
実施の形態3では、カメラ10の画角調整範囲に基づいて撮影可否判定を行う場合の例について説明した。これに対し、本実施の形態では、新規撮影エリアを撮影するための画角が角度調整範囲外となるカメラ10については、撮影不可と判定するのではなく、その画角調整範囲に応じた暫定撮影エリアシンボル38'を表示する場合について説明する。
図22は、本発明の実施の形態4によるカメラ制御装置13の動作の一例を示した図であり、制御画面3における表示の一例が示されている。ユーザが指定した新規撮影点Pn及び新規撮影幅Wnは、図19の場合と同一であり、カメラ10Bは、その画角を画角調整範囲の上限値にしたとしても、新規撮影幅Wnよりも狭い範囲しか撮影することができない。
そこで、図22では、カメラ10Bに対し、その画角調整範囲の上限値に対応する撮影幅を有する暫定撮影エリアシンボル38'を表示している。つまり、撮影点は新規撮影点Pnと一致しているが、撮影幅は新規撮影幅Wnよりも小さい暫定撮影エリアシンボル38'をマップ画像30上に表示している。このような暫定撮影エリアシンボル38'を表示することにより、ユーザは、カメラ10Bにより新規撮影点Pnを撮影することはできるが、そのときの撮影幅は、新規撮影幅Wnとは異なり、暫定撮影エリアシンボル38'によって示された撮影幅であると理解することができる。
例えば、カメラ10を選択する基準として、撮影幅よりも撮影方向が重要であるという場合もある。この様な場合に、画角が不足するカメラ10Bを撮影不可であると判定するのではなく、カメラ10Bについて暫定撮影エリアシンボル38'を表示し、カメラ10Bにより撮影できる撮影幅を表示すれば、ユーザの選択肢を広げることができる。
図23は、本発明の実施の形態4によるカメラ制御装置13の動作の他の例を示した図であり、制御画面3における表示の他の例が示されている。ユーザが指定した新規撮影点Pn及び新規撮影幅Wnは、図20の場合と同一であり、カメラ10A,10Cは、その画角を画角調整範囲の下限値にしたとしても、新規撮影幅Wnよりも広い範囲しか撮影することができない。
このため、図23では、カメラ10A,10Cに対し、その画角調整範囲の下限値に対応する撮影幅を有する暫定撮影エリアシンボル38'を表示している。つまり、撮影点は新規撮影点Pnと一致しているが、撮影幅は新規撮影幅Wnよりも大きい暫定撮影エリアシンボル38'をマップ画像30上に表示している。このような暫定撮影エリアシンボル38'を表示することにより、ユーザは、カメラ10A,10Cにより新規撮影点Pnを撮影することはできるが、そのときの撮影幅は、新規撮影幅Wnとは異なり、暫定撮影エリアシンボル38'によって示された撮影幅であると理解することができる。
実施の形態4によるカメラ制御装置13では、撮影可否判定部23が、実施の形態1の場合と同様にして、新規撮影点Pnをカバーエリア37と照合し、カメラ10ごとに撮影可否を判定する。つまり、図22のカメラ10Bや、図23におけるカメラ10A,10Cであっても、撮影可能であると判定される。
さらに、撮影可否判定部23は、撮影可能と判定されたカメラ10について、新規撮影エリアを撮影するのに必要な画角を求め、求められた画角を当該カメラ10の画角調整範囲と比較し、適正画角であるか否かを判定する。つまり、上記画角が画角調整範囲内であれば、適正画角であると判定する一方、上記画角が画角調整範囲の上限値よりも大きければ、画角不足であると判定し、画角調整範囲の下限値よりも小さければ、画角超過であると判定する。
暫定撮影エリア表示部244は、撮影可否判定部23による適正画角の判定結果に基づいて、暫定撮影エリアシンボル38を生成する。つまり、適正画角であると判定されたカメラ10については、新規撮影点Pn及び新規撮影幅Wnに基づいて暫定撮影エリアシンボル38を生成する。一方、画角不足と判定されたカメラ10については、その画角調整範囲の上限値に対応する撮影幅からなる暫定撮影エリアシンボル38'を生成する。また、画角超過と判定されたカメラ10については、その画角調整範囲の下限値に対応する撮影幅からなる暫定撮影エリアシンボル38'を生成する。
本実施の形態によるカメラ制御装置13では、カメラ10ごとに、新規撮影エリアに対応する画角を画角調整範囲と比較し、当該画角が適正画角であるか否かを判定し、この判定結果に基づいて、暫定撮影エリアシンボル38,38'を表示する。このため、ユーザが撮影エリアを変更するカメラを選択する際の選択肢を増やすことができる。
また、新規撮影エリアに対応する画角が画角調整範囲外となるカメラ10については、画角の限界値に対応する撮影幅を有する暫定撮影エリアシンボル38'が表示される。このため、ユーザは、当該カメラ10によって撮影できる撮影エリアを知ることができ、適切なカメラ10を選択することができる。
実施の形態5.
上記実施の形態では、新規撮影エリアを撮影可能なカメラ10の全てに対し、暫定撮影エリアが表示される場合について説明した。これに対し、本実施の形態では、新規撮影エリアを撮影可能なカメラ10の数が予め定められたN個を越えている場合に、表示される暫定撮影エリアの数がN個になるように、上記カメラ10の一部に対してのみ暫定撮影エリアを表示する場合について説明する。
図24は、本発明の実施の形態5によるカメラ制御装置13の動作の一例を示した図であり、制御画面3における表示の一例が示されている。ユーザが指定した新規撮影点Pn及び新規撮影幅Wnは、図11(a)の場合(実施の形態1)と同一であり、3台のカメラ10A〜10Cが新規撮影エリアを撮影可能なカメラ10であると判定される。
実施の形態1のカメラ制御装置13では、新規撮影エリアを撮影可能なカメラ10A〜10Cの全てについて、暫定撮影エリアシンボル38が表示される。つまり、図11(a)では、3つの暫定撮影エリアシンボル38が表示されている。このようなカメラ制御装置13では、制御画面3内に多数の暫定撮影エリアシンボル38が表示されることが考えられる。
これに対し、本実施の形態によるカメラ制御装置13では、最大で2個の暫定撮影エリアシンボル38しか表示させない。つまり、新規撮影エリアを撮影可能と判断された3台のカメラ10A〜10Cを2台のカメラ10B,10Cに絞り込み、これらのカメラ10B,10Cについてだけ暫定撮影エリアを表示する。暫定撮影エリアの表示対象となるカメラ10の絞り込みは、各カメラ10A〜10Cまでの撮影距離LA〜LCに基づいて行われる。
図中の(a)では、新規撮影エリアを撮影可能な3台のカメラ10A〜10Cのうち、撮影距離LA〜LCが短い2台のカメラ10B,10Cについてだけ暫定撮影エリアシンボル38が表示されている。撮影距離LA〜LCは、各カメラ10A〜10Cから新規撮影点Pnまでの距離である。従って、ユーザは、暫定撮影エリアが表示されているカメラ10B,10Cの中から、撮影エリアを変更するカメラを選択することができる。
図中の(b)は、ユーザがカメラ10Cを選択し、カメラ10Bを選択しなかった場合の様子が示されている。カメラ10Cの撮影エリアは、新規撮影エリアに変更され、カメラ10Bの撮影エリアは、変更されていない。
一般に、新規撮影エリアを多数のカメラ10で撮影できる場合、撮影距離の長いカメラ10がユーザによって選択されることはない。むしろ、多数の暫定撮影エリアシンボル38を表示することにより、制御画面3が見づらくなり、また、カメラ制御装置13の処理負荷が過大になる場合がある。このため、本実施の形態によるカメラ制御装置13では、同時に表示される新規撮影エリアシンボル38の数を制限している。
図25のステップS601〜S609は、本発明の実施の形態5による撮影エリアの変更処理の一例を示したフローチャートである。ステップS601〜S603は、図16のステップS201〜S203と同様であるため、重複する説明は省略する。ただし、ステップS603の撮影可否の判定処理では、図17、図18に示されたいずれの処理を採用することもできる。
撮影可否の判定処理(ステップS603)において、撮影可能と判定されたカメラ10の数を予め定められた数Nと比較する(ステップS604)。その結果、カメラ10の数がNを越えていなければ、ステップS607に進む。一方、カメラ10の数がNを越えていれば、新規撮影エリアを撮影可能であると判定されたカメラ10について、新規撮影点Pnまでの撮影距離がそれぞれ求められる(ステップS605)。これらの撮影距離は、基準平面上における距離であってもよいし、カメラ10の配置高さも考慮した3次元空間内における距離であってもよい。
次に、これらの撮影距離が互いに比較され、撮影距離が最も短いN個のカメラ10が、暫定撮影エリアの表示対象として選択される(ステップS606)。カメラ選択数Nは、任意の自然数であり、予め与えられている。例えば、初期設定時にユーザによって指定される。
その後に実行されるステップS607〜S609は、図16のステップS204〜S206と同様であるため、重複する説明は省略する。なお、ステップS607において表示される暫定撮影エリアの数はN個以下になっている。
実施の形態6.
上記実施の形態では、新規撮影エリアがユーザ操作によって指定される場合の例について説明した。これに対し、本実施の形態では、センサ出力に基づいて新規撮影エリアが指定される場合について説明する。
図26及び図27は、本発明の実施の形態6によるカメラ制御装置13の動作の一例を示した図であり、制御画面3における表示の一例が示されている。侵入検知センサ4は、検知エリア内における侵入者の有無を検知するセンサであり、侵入者を発見した場合には、当該侵入者の検知エリア内における位置も検出することができる。ここでは、監視エリア31の一部又は全部が検知エリアとして定められ、当該侵入検知エリア内における侵入者の有無を監視している。
図26(a)には、カメラ10A,10Bの撮影エリア内にいる侵入者が、カメラ10A,10Bを用いて監視されている様子が示されている。図26(b)には、その後、侵入者がカメラ10A,10Bの撮影エリア外へ移動した状態が示されている。また、侵入検知センサ4が出力する追尾信号に基づいて、新規撮影エリアシンボルRnが表示されている。
侵入検知センサ4は、侵入者を発見した場合、一定時間ごとに、侵入者の位置(侵入位置)を含む追尾信号を生成する。あるいは、侵入者が一定以上の距離を移動した場合に上記追尾信号を生成する。カメラ制御装置13は、この追尾信号に基づいて新規撮影エリアを指定する。例えば、新規撮影点Pnを侵入位置とし、新規撮影幅Wnを一定値とする新規撮影エリアが指定される。その後の動作は、図25のステップS603〜S606(実施の形態5)の場合と同様である。すなわち、撮影可否の判定、撮影距離の算出、カメラの自動選択及び撮影エリアの変更が順に実行される。図27には、この様にして撮影エリアが変更された後における制御画面3が示されている。
本実施の形態によるカメラ制御装置13は、侵入検知センサ4からの追尾信号に基づいて、新規撮影エリアが指定され、撮影距離に基づいて自動選択されたカメラについて、撮影エリアの変更が行われる。このため、侵入者を自動追尾しながら、カメラ撮影による監視を行うことができる。
なお、上記実施の形態では、撮影エリアシンボル36が、円形のエリアシンボル361と、略三角形の光路シンボル362とからなる例について説明したが、本発明による撮影エリアシンボル36は、このような形状のものだけに限定されない。
同様にして、上記実施の形態では、暫定撮影エリアシンボル38が、円形の暫定エリアシンボル381と、略三角形の暫定光路シンボル382とからなる例について説明したが、本発明による暫定撮影エリアシンボル38は、このような形状のものだけに限定されない。