JP5805554B2 - 計測点抽出プログラム、計測点抽出方法及び計測点抽出装置 - Google Patents
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Description
図11に示すように、航行体に搭載したレーザ測距装置(図示略)から地表に向けてレーザ光Lが発射される。レーザ光Lのレーザスポットは点ではなく、通常円形など大きさを有する面である。レーザ光Lは、樹木や建物などに当たって反射するだけでなく様々な物体で反射し、最後に地表面200で反射する。レーザ光Lの一部が、例えば樹木201の枝葉の間や、樹木201の下に生えている草木202の隙間などを通過して地表面200で反射することにより、樹木201や丈の低い草木202の下の地表面200のデータが得られる。葉が密に茂るところでは、レーザ光が地表面200にまで達しないこともある。
このようにレーザ測距装置に戻ってきた反射レーザ光の波形に対してパルスデータの取得範囲を規定することにより、通常計測点の抽出数が少なくなってデータ処理量が抑えられる。それゆえ、演算処理時の負荷が軽減され、さらに高速な演算処理及びデータ記録を実現できる。また、通常計測点の抽出数が少なくなるので、記録するデータ量も大幅に削減できる。例えば樹木の中でレーザ光が多数回反射するなどして反射レーザ光に多数のパルスが含まれるような場合に、不要なパルスデータの処理を省くことができる。なお、従来のレーザ測距装置では、記録できる通常計測点の数が例えば4点までと制限されているものもある。
破線で表された波形300は、レーザ測距装置から地表に向けて発射して戻ってきた反射レーザ光の波形を示している。波形300には4つのパルスが含まれ、それぞれのパルスにはピーク301,302,303,304がある。従来のレーザ測距装置では、ピーク301に対応する通常計測点301Aと、ピーク303に対応する通常計測点303Aと、ピーク304に対応する通常計測点304Aを取得し、記録する(通常記録方式)。しかし、ピーク302に対応する通常計測点を取得しない。それは、ピーク302が一つ前のピーク301(通常計測点301A)から約20ns(光路長にして約3m)の範囲内にあるためである。レーザ測距装置は、記録した3つの通常計測点301A,303A,304Aを外部の情報処理装置へ供給する。
1.一実施形態(計測点抽出部:波形ピーク計測点を抽出するアルゴリズムの例)
2.その他(各種変形例)
既述したように、航空レーザ測量では、(1)航行体の3次元の位置と姿勢、(2)レーザ光の発射時刻と物体で反射して戻ってきた受光時刻、(3)ミラーの回転角(レーザ光の照射角度)から地表又は地物までの距離を求め、地表又は地物の位置と高さを計算する。(1),(2)を求める技術は周知技術であるのでここでは簡単に説明する。
(2)におけるレーザ光の発射時刻及び受光時刻は、GPSを利用して算出する。波形記録方式のレーザ測距装置では、例えば航行コース毎に反射レーザ光に関する情報を蓄積して波形記録データを生成し、この波形記録データと通常計測点のデータを外部へ出力する。
本発明の計測点抽出方法が適用された計測点抽出アルゴリズムは、波形記録方式のレーザ測距装置から供給される、反射レーザ光の波形を反映した情報(波形情報)を含む波形記録データから波形のピークを検出し、そのピークを新たに計測点(以後、波形ピーク計測点と称する)として抽出する。
図1Aの波形10のピーク11,12,13,14は、図12の波形300のピーク301,302,303,304に相当する。通常記録方式によれば、図12に示すような波形10のピーク11に対応する通常計測点301Aと、ピーク13に対応する通常計測点303Aと、ピーク14に対応する通常計測点304Aが得られる。
(1)波形記録データ(波形10)の反射強度(縦軸)が時間(横軸)の推移に伴って上がり続けて下がるまでの区間(計測点抽出対象候補区間)におけるベクトル長が設定された値以上であるパルスのピークを波形ピーク計測点として検出し、その最大値(ピーク値)を時間とともに取得する。ここで、ベクトル長とは、波形記録データに基づく反射強度値が上がり続けて下がるまでの計測点抽出対象候補区間における最小値と最大値を結んだ線分(例えば図1Aの線分21,22,23,24)の長さ、すなわち、最大値から最小値までの延長(以下、「ピーク前延長」と称す)に相当する。式で表すと、√{(最大値−最小値)2+(最大値の時間−最小値の時間)2}で表わされる。
(2)ただし、計測点抽出対象候補区間における最大値が、設定した最小反射強度値(例えば図1Aの最小反射強度ライン20)以下の場合は、計測点抽出対象候補区間の最大値とそのときの往復時間を波形ピーク計測点として抽出しない。
また、計測点抽出対象候補区間におけるベクトル長を所定値以上とすることにより、ノイズのような不要なピークを検出してしまう可能性を小さくすることができ、データ量の削減及び処理速度向上につながる。
また、最小反射強度値に関しては、その値が小さいほどより多くのピークを検出できるが、小さすぎるとノイズのような不要なピークを検出してしまう可能性がある。したがって、最小反射強度値は適切な値に設定することが望ましい。それにより、データ処理速度が上がり、またデータ量の削減につながる。
この波形30の場合、通常計測点31Aから約20nsが経過するまでの間(標高差にして3m)は新たな通常計測点が生成されないため、波形記録データの波形情報から波形ピーク計測点を抽出する。通常計測点31Aのピーク31は、レーザ光が発射されてからおよそ29nsの位置にある。通常計測点31Aから約20ns以内(レーザ光発射後の約29nsから約49nsの区間)において、線分42を含む計測点抽出対象候補区間があるので、線分42の先端であるピーク32の反射強度値と該ピーク32が発生した時間を取得し、波形ピーク計測点の候補とする。同様に、線分43を含む計測点抽出対象候補区間があるので、線分43の先端であるピーク33の反射強度値と該ピーク32が発生した時間を取得し、波形ピーク計測点の候補とする。
そして、上記(1),(2)の処理を行い、条件を満たしたものだけを波形ピーク計測点として抽出する。
このように、通常計測点と重複する時間の波形ピーク計測点を抽出しないことにより、新たに取得する波形ピーク計測点が抑えられ、通常計測点と合わせた計測点全体のデータ量の削減に繋がる。
まず、波形記録データから一のレーザ照射地点に対する反射レーザ光の波形記録データを取得する(ステップS1)。
そして、時間tのときの反射レーザ光の反射強度値と、時間t+1のときの反射強度値を比較し、結果をメモリに保存する(ステップS4)。
上がり続けた区間がない場合には、この計測点抽出アルゴリズムの処理を終了する。
図3は、本発明の一実施形態に係る計測点抽出アルゴリズムを実行する計測点抽出装置の構成例を示すブロック図である。
本実施形態に係る計測点抽出装置50は、主にデータ取得部51と、計測点抽出部52と、メモリ部53と、表示制御部54と、制御部55と、ユーザI/F部56と、表示装置57を備えて構成される。
次に、本発明の一実施形態に係る計測点抽出アルゴリズムを利用した計測点抽出装置の動作例を、図4及び図5を参照して説明する。
図4は、計測点抽出アルゴリズムを利用した計測点抽出装置50の動作例を示すフローチャートである。図5は、表示装置57の表示画面の例を示す説明図であり、Aは表示画面の一例を示し、Bは波形記録データの波形の一例を示している。
ウィンドウ60は、表示画面を表示する表示領域と、指定した表示処理や演算処理を指示するためのボタンが配置されたボタン領域を備える。ボタン領域には、アイコンで表示された複数のボタン62−1〜62−14が設けられている。
・ボタン62−2は、波形記録データを可視化データ(画像データ)に変換し、表示装置57の表示画面に表示する処理を指示するためのボタンである。ボタン62−2を押下すると、表示画面に波形記録データの地表面における計測位置を把握できる画像が表示されるが、詳細説明は割愛する。
・ボタン62−4は、設定されたしきい値を元に、波形記録データの波形情報から波形ピーク計測点を抽出する処理を指示するためのボタンである。
・ボタン62−5は、ボタン62−4を操作して抽出された波形ピーク計測点を計測点に追加するとともに、表示画面に表示できる可視化データ(画像データ)にするためのボタンである。
・ボタン62−6は、1波形の通常計測点データ(例えば1波形4点)と、波形記録データの波形情報から検出した波形ピーク計測点データの合成処理を指示するためのボタンである。
・ボタン62−7は、ボタン62−6を操作して合成処理した各計測点データを、波形記録データに追加する処理を指示するボタンである。
・ボタン62−9は、ボタン62−8を操作して表示した波形ピーク計測点の前後の計測点の波形を閲覧したいときに、表示を前後の波形ピーク計測点の波形に移動させるためのボタンである。
・ボタン62−10は、ユーザがマニュアルで波形のピークに計測点を追加するためのボタンである。
・ボタン62−11は、計測点抽出アルゴリズムを適用する波形のパルスを間引くときに使用するボタンである。
・ボタン62−12は、計測点抽出アルゴリズムを波形のすべてのパルスに適用するときに使用するボタンである。
・ボタン62−13は、波形から抽出した波形ピーク計測点を削除するためのボタンである。
・ボタン62−14は、しきい値を設定するウィンドウを呼び出すためのボタンである。
例えば最小反射強度を小さい値に設定すると、ノイズを含む大量の波形ピーク計測点が処理対象となるので、ある程度大きな値にすることが望ましい。一例として、最小反射強度を適切な値に設定して固定しておき、生成される波形ピーク計測点の数をピーク前延長の値により調整するとよい。
また、ユーザが波形ピーク計測点を追加することを選択しなかった場合は、計測点抽出部52は、しきい値を設定するためのウィンドウ80を表示装置57に再度表示させてもよい。この場合、再度設定されたしきい値に基づいて波形ピーク計測点が生成されるかどうか評価し、採用する場合には当該しきい値をメモリ部53に保存する。
図7に、抽出されたすべての波形ピーク計測点を平面上に表示した例を示す。図7Aの表示画面61Aは、表示画面61と同じ計測範囲において、追加されたすべての波形ピーク計測点を表示している。
(1)波形記録方式で取得された反射レーザ光の波形記録データから効率的に波形ピーク計測点を抽出するができる。それにより、以下のような効果が期待できる。
・地盤計測点の抽出率の向上
・森林の内部構造の把握
図8は、本発明の一実施形態に係る計測点抽出アルゴリズムを利用した測量結果の一例を示す説明図であり、Aは横断線付き航空写真、Bは横断線に沿う断面図、Cは断面図の一部拡大図である。
航空写真90の横断線90L(図8A)に沿う断面図(図8B)を見ると、灰色の点で表された通常計測点だけでは森林内部の情報が少ない。一方、黒色の点で表された波形ピーク計測点により森林内部の情報及び地盤の情報を抽出できている。図8Bの破線で囲んだ部分を拡大した断面図(図8C)では、その傾向が顕著である。例えば航空写真90中央の畑91とその周囲の森林における地盤の状態や両者の接続の様子をはっきり把握できる。また、森林の内部構造を把握できるので植生の分析に大きく寄与する。例えば、この森林では全体に枝葉が比較的少ないが、その分下草が生えていることがわかる。
航空写真95の横断線95L(図9A)に沿う断面図(図9B)を見ると、灰色の点で表された通常計測点だけでは森林内部の情報が少ない。一方、黒色の点で表された波形ピーク計測点により森林内部の情報及び地盤の情報を抽出できている。図9Bの破線で囲んだ部分を拡大した断面図(図9C)では、その傾向が顕著である。例えば航空写真95の森林内部における地盤の状態をはっきり把握できる。また、森林の内部構造を把握できるので植生の分析に大きく寄与する。例えば、この森林では図8の例と比較して枝葉が多いことがわかる。
[変形例1]
ここで、変形例1として、ユーザが自分で波形情報に計測点を追加・削除する場合を説明する。
ステップS22の処理において、表示装置57に指定した計測点の波形が表示されている状態でユーザがボタン62−10を押下し、計測点が存在しないピークを選択することにより、当該ピークを新たな計測点として追加することができる。図5Bの例で説明すると、ユーザI/F部56で波形70の計測点のないピーク72を選択すると、計測点抽出部52は、計測点72Pを新たな計測点として生成する。
また、図4のステップS26以降の処理では、波形記録データの全データに対して新たな波形ピーク計測点を生成するバッチ処理を実行しているが、波形記録データに対して段階的に操作して波形ピーク計測点を追加することも可能である。
この場合、図4のステップS23のしきい値設定後、ユーザがボタン62−4,62−5,62−6を順次操作することで、計測点抽出部52は、波形記録データからピーク抽出処理、計測点生成処理、通常計測点に新たに生成した波形ピーク計測点を都度確認しながら合成する処理を段階的に実行する。
また、上述した実施形態において、しきい値を設定するためのウィンドウ80を表示させてしきい値を設定する際に、波形記録データの波形情報から間引きのピークを抽出するしきい値を設定してもよい。例えば、想定されるラストパルスより大きいピークを抽出しないようにしきい値を設定したり、想定されるファーストパルスのみが抽出されるようにしきい値を所定値以上に設定したりする。このように、間引きのしきい値を設定することにより、ラストパルスあるいはファーストパルスのみを抽出することが可能になり、波形記録データを用いた多様な解析を行うことができる。
Claims (12)
- レーザ測距装置から地表に向けて発射したレーザ光の反射レーザ光の波形を反映した情報を含む波形記録データから、前記波形の振幅値が上がり続けて下がるまでの区間を検出する手順と、
前記波形の振幅値の前記区間における最小値から最大値を結ぶ線分の長さを算出する手順と、
前記最小値から前記最大値を結ぶ線分の長さが予め設定されたしきい値以上であるとき、前記最大値とそのときの往復時間を波形ピーク計測点として抽出する手順を、
コンピュータに実行させるための計測点抽出プログラム。 - さらに、前記レーザ測距装置により前記波形記録データにおける前記波形のピークと対応する計測点として、抽出数を少なくする規定の下で抽出された通常計測点のうちの指定された通常計測点を含む波形を表示装置に表示させる手順と、
前記指定された通常計測点を含む前記波形から前記波形ピーク計測点が抽出された場合、抽出された前記波形ピーク計測点を前記波形の該当ピークと対応させて表示させる手順、を含む
請求項1に記載の計測点抽出プログラム。 - 前記抽出された前記波形ピーク計測点を前記波形の該当ピークと対応させて表示させる手順において、
前記抽出された前記波形ピーク計測点が、前記波形のピークのうち対応する通常計測点が表示されていないピークに対するものである場合に、当該波形ピーク計測点を前記波形の該当ピークと対応させて表示させる
請求項2に記載の計測点抽出プログラム。 - さらに、入力操作信号に基づいて前記しきい値を設定するためのしきい値設定画面を表示装置に表示させる手順と、
前記しきい値設定画面のしきい値入力欄に入力された値を前記しきい値として設定し、記憶部に保存する手順と、
前記設定したしきい値に基づいて前記波形ピーク計測点を抽出する処理を行う手順、を含む
請求項1〜3のいずれかに記載の計測点抽出プログラム。 - 前記しきい値入力欄として、最小反射強度の値を設定する欄と、前記波形の振幅値の前記区間における最小値から最大値を結ぶ線分の長さの値を設定する欄と、を有する
請求項4に記載の計測点抽出プログラム。 - さらに、前記波形記録データから抽出された前記波形ピーク計測点を新たな計測点として追加するか否かをユーザに選択させるための選択画面を表示装置に表示させる手順と、
抽出された前記波形ピーク計測点を新たな計測点として追加することが前記ユーザにより選択された場合、当該波形ピーク計測点を記憶部に保持する手順と、を含む
請求項1又は2に記載の計測点抽出プログラム。 - さらに、前記波形記録データから抽出された前記波形ピーク計測点を含む平面図を表示装置に表示させる手順、を含む
請求項1に記載の計測点抽出プログラム。 - さらに、表示画面上に、前記レーザ測距装置により前記波形記録データにおける前記波形のピークと対応する計測点として、抽出数を少なくする規定の下で抽出された通常計測点と、前記波形記録データから抽出された前記波形ピーク計測点とを一緒にあるいは選択的に表示させる手順、を含む
請求項1に記載の計測点抽出プログラム。 - レーザ測距装置から発射したレーザ光の反射レーザ光の波形を反映した情報を含む波形記録データから、前記波形の振幅値が上がり続けて下がるまでの区間を検出し、
前記波形の振幅値の前記区間における最小値から最大値を結ぶ線分の長さを算出し、
前記最小値から前記最大値を結ぶ線分の長さが設定されたしきい値以上であるとき、前記最大値とそのときの往復時間を波形ピーク計測点として抽出する
計測点抽出方法。 - 前記区間における最大値が予め設定された値以下である場合は、前記最大値を前記波形ピーク計測点として抽出しない
請求項9に記載の計測点抽出方法。 - 前記波形の振幅値は、前記反射レーザ光の反射強度値である
請求項9又は10に記載の計測点抽出方法。 - レーザ測距装置から地表に向けて発射したレーザ光の反射レーザ光の波形を反映した情報を含む波形記録データから、前記波形の振幅値が上がり続けて下がるまでの区間を検出し、前記波形の振幅値の前記区間における最小値から最大値を結ぶ線分の長さを算出し、前記最小値から前記最大値を結ぶ線分の長さが予め設定したしきい値以上であるとき、前記最大値とそのときの往復時間を波形ピーク計測点として抽出する計測点抽出部と、
前記計測点抽出部で抽出された波形ピーク計測点を出力する出力部と、
を備える計測点抽出装置。
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