JP5804065B2 - シート状基材の塗工層の水分量及び/又は塗工量の測定装置 - Google Patents

シート状基材の塗工層の水分量及び/又は塗工量の測定装置 Download PDF

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Description

本発明は、紙、不織布、フィルムをはじめとするシート状物質の基材に塗料溶液を塗布して塗工層を設けた試料の水分量及び塗工量を、マイクロ波の共振により測定する装置に関するものである。
水分量測定と塗工量測定は、いずれも製紙業界のみならず、各製造業において極めて重要であり、その測定精度を品質管理の観点から高いものにしたいというニーズは非常に強いものである。
シート状物質の水分量や塗工量を測定する一手段として、マイクロ波共振器を利用した方法が知られている。共振器に入射するマイクロ波の周波数を連続的に変化させ、そのときの透過マイクロ波強度を検出すると図12(A)に示したような共振カーブが得られる。この共振器内部又は共振器近傍に試料を置くと、共振カーブは図12(B)に示したように変化する。この現象は図13に示したインダクタンスL、キャパシタンスC、抵抗RからなるLCR共振回路理論によって電気回路的に説明することができる。たとえば、マイクロ波空洞共振器では、アイリスがリアクタンス成分及びキャパシタンス成分を作り、これに導波管壁の抵抗分が加わって、LCR共振回路を形成している。試料の誘電率は容量Cに、誘電損失率は抵抗Rに関係し、これらが電磁結合により、共振器のL、C、Rと結合しているのと等価である。したがって、試料が存在すると容量Cは増加し、共振周波数f(f=1/{2π(LC)1/2}が小さくなる。同時に試料の誘電損失率によって抵抗Rも増加し、ピークレベルが減少するとともに、Q値、すなわち共振の鋭さも小さくなる。同じ現象を摂動理論によって説明することもできるが、説明は省略する。
特許文献1には、マイクロ波空洞共振器内に試料を挿入し、試料挿入前後の共振ピークレベルの変化量から試料の水分量を測定する方法及び装置が記載されている。これは、水が他の物質に比して大きな誘電損失率を有しているので、共振ピークレベルの変化量は水の誘電損失率と水の量の積のみに依存するという考えによるものである。
また、特許文献2には、誘電体共振器に一定条件で試料を配置し、試料がある場合とない場合との共振周波数の差から試料の坪量を、共振ピークレベルの差から試料の水分量を測定する方法及び装置が記載されている。ここでは、共振周波数のシフト量(試料がない場合の共振周波数とある場合の共振周波数との差)は、試料の誘電率を含む定数と試料の坪量(又は厚さ)の積で表されるとし、坪量既知の試料を用いて作成した検量線を基に、試料の坪量を測定している。
特許文献2では多層の塗工層を設けた場合のその塗工層の水分量に着目し、その影響を考慮した水分量測定方法に言及していた。しかしながら、実際には塗工層中の塗料固形分も誘電損失率を有しているため、共振ピークレベルの変化量は塗料固形分の誘電損失率とその絶対量にも影響を受けることがわかった。また、塗工層に含まれる水についても誘電損失率だけではなく誘電率も大きな値を有しているため、共振周波数シフト量についても、その値は水の誘電率とその絶対量に影響を受けることになる。つまり、より正確に水分量や塗工量を測定するためには、塗工層に含まれる水と塗料固形分のそれぞれの誘電率、誘電損失率の影響を考慮した測定を行うことが重要である。
特許文献3では、水分量と塗工量が既知である基準試料の、共振周波数と共振ピークレベルを実測し、塗工により増えた水の量ΔVw及び塗工層中の塗料固形分の量ΔVcと、塗工層の有無による共振周波数変化Δf及び共振ピークレベル変化ΔWとの間での後述の(1),(2)式で表わされる特性方程式において、それらの式中の係数K1、K2を決定した後、水分量と塗工量が未知の測定対象試料の共振周波数と共振ピークレベルを測定し、その特性方程式を連立させて測定対象試料のΔVw及びΔVcを算出することにより、測定対象試料の水分量及び塗工量を求める測定方法が提案されている。
また、特許文献3では、係数K1、K2を決定する方法に替えて、それらの特性方程式に従って検量線を作成し、検量線を用いて測定対象試料の水分量及び塗工量を求める測定方法も提案している。
WO2005/012887号公報 特開2006−349425号公報 特開2009−58379号公報 特開平5−80003号公報
それらの特性方程式における係数K1、K2も、それに代わる検量線も装置定数であるから、同じ測定装置を使用する限りある基準試料についての係数K1、K2も検量線も変化しない筈である。しかし、実際には、測定装置の設置場所を移動することにより測定装置に作用する外部の電磁波の影響が変化したり、マイクロ波空洞共振器とデータ処理装置の距離が変化したために両者を接続するケーブルを長さの異なるものに交換したりするというように、測定環境が変化したときには測定結果の再現性が悪くなり、同じ基準試料についての係数K1、K2又は検量線を決定しなおさなければならない現象がみられた。
本発明は、そのような測定環境の変化によっても測定結果の再現性が低下しないようにする構成をもった測定装置を提供することを目的とするものである。
測定環境が変化した場合にも測定結果の再現性が低下しないようにするための方策を種々検討した結果、マイクロ波空洞共振器とデータ処理装置を接続するケーブルが測定結果の再現性低下の原因になっていることを突き止めた。通常、測定装置を設置するとその状態で基準試料と未知試料の測定を行うので、測定装置を移動させたり大きな環境変化があったりしない限り、ケーブルにより測定結果の再現性が低下することは考えられない。そのため、これまでこのような問題は意識されていなかった。
本発明では、ケーブルに起因することが判明したこの問題の解決策として、マイクロ波空洞共振器とケーブルの間にアイソレータを挿入して、ケーブルからマイクロ波空洞共振器へのマイクロ波の反射を防止することにより、この問題を解決できることを見出した。
本発明者等の見解によれば、この問題の詳細は以下のようであると考えられる。ケーブルからマイクロ波空洞共振器に達したマイクロ波は空洞共振器内で共振するが、その一部は元のケーブルに戻り、ケーブルの反対方向に向かって伝わりケーブルの反対側の端でさらに反射して、再びマイクロ波空洞共振器に向う。この反射したマイクロ波は空洞共振器に再度進入する。この反射波によってマイクロ波空洞共振器内の共振状態が影響を受け、本来の共振状態とは異なる、すなわち反射波が干渉した共振状態が検出される。反射波の位相は、最初にマイクロ波共振器に達したマイクロ波に対してケーブルの長さに依存してずれるため、ケーブルの長さが微小な変化をするだけで、測定値が変化する問題が生じていたのである。
アイソレータ自体はよく知られたものであるが、マイクロ波空洞共振器を用いて水分量や塗工量又は坪量を測定する場合に測定結果の再現性を向上させることを目的としてアイソレータを使用することは行われていない。これは、上記したような問題が認識されていなかったことが主な理由であり、そのような問題があるとは思われていないところに、コスト高を招くことの明らかな素子をあえて追加することは行わないからである。さらに、今回その問題の所在が認識されたが、その問題の解決にアイソレータが有効であることを見出すのに種々の検討が必要であったからである。
マイクロ波空洞共振器を用いて紙の水分量や坪量を測定する装置で、測定結果の再現性を向上させるためではなく、反射マイクロ波により発振器が破壊されるのを防止するためにアイソレータを使用する提案はなされている(特許文献4参照。)。そこでは、アイソレータは、発振器と、発振器からのマイクロ波を複数のマイクロ波空洞共振器に分配する分配器との間に配置されている。そのため、アイソレータとマイクロ波空洞共振器との間には分配器が介在しているため、アイソレータと分配器の間のケーブルと、分配器とマイクロ波空洞共振器との間のケーブルが介在することになる。その構成は後で比較例として示すような構成に対応したものであり、測定結果の再現性を向上させる効果はない。また、その提案の装置は発振器が破壊されるのを防止するためのものであるので、発振器が設けられない受信器側にはアイソレータは設けられることはない。
このようにして成し遂げられた本発明を、図4を参照して概略的に示す。マイクロ波空洞共振器1は、導波管の途中に管軸に垂直に、穴の開いた2つのアイリスプレートを備えている。それらのアイリスプレート間が共振器部分となり、アイリスプレートの外側の導波管部分がそれぞれアンテナを備えた第1と第2の進行波部分となっており、共振器部分には導波管を横切るようにシート状試料を配置するスリットが設けられている。第1の進行波部分側には所定の範囲の周波数で発振させるマイクロ波掃引発振器20が接続され、第2の進行波部分側にはマイクロ波強度受信器22,24が接続されている。第1の進行波部分とマイクロ波掃引発振器20の間には、マイクロ波掃引発振器20から第1の進行波部分のアンテナ14a方向にのみ信号を伝送する方向に配置され、第1の進行波部分のアンテナ14aのコネクタ部にケーブルを介さないで直接に接続された第1のアイソレータ15aが設けられ、第2の進行波部分とマイクロ波強度受信器22,24の間に、第2の進行波部分のアンテナ14bからマイクロ波強度受信器22,24方向にのみ信号を伝送する方向に配置され、第2の進行波部分のアンテナ14bのコネクタ部にケーブルを介さないで直接に接続された第2のアイソレータ15bが設けられている。
データ処理装置37は、マイクロ波強度受信器22,24からの信号を受けて共振周波数でのピークレベルを検出するピークレベル検出部30、マイクロ波強度受信器22,24からの信号を受けて共振周波数を検出する共振周波数検出部32、シート状基材の表面に塗工層を設けた試料と塗工層を設けていない試料との間でのピークレベル検出部30によるピークレベル差及び共振周波数検出部32による共振周波数差に基づいて塗工層の水分量及び塗工量を求める演算部35を備えている。
好ましい形態として、データ処理装置37は装置定数保持部35を備えている。第1の形態では、装置定数保持部35は塗工層の水分量及び塗工量を求める際の係数を装置定数として保持している。そして、演算部35は未知試料を測定したときのピークレベル検出部30によるピークレベル検出値及び共振周波数検出部32による共振周波数に装置定数保持部35に保持されている係数を用いて塗工層の水分量及び塗工量を算出する。
ここで、塗工層の水分量及び塗工量を求める際の装置定数としての係数は、以下に示されるK1、K2である。すなわち、水分量と塗工量が既知である基準試料の、共振周波数と共振ピークレベルを実測し、ΔVw(塗工により増えた水の量)及びΔVc(塗工層中の塗料固形分の量)について下記(1)、(2)式よりなる特性方程式が成立する。
Δf=K1〔(ε'w−1)ΔVw+(ε'c−1)ΔVc〕・・・(1)
ΔW=K2(ε''w×ΔVw+ε''c×ΔVc〕・・・(2)
ここで、
Δf=fb−fs
b : シート状基材の共振周波数、
s : 塗工層を設けた試料の共振周波数、
ΔW=Pb−Ps
b : シート状基材の共振ピークレベル、
s : 塗工層を設けた試料の共振ピークレベル、
ε'w、ε'c : 水及び塗料固形分の誘電率、
ε''w、ε''c : 水及び塗料固形分の誘電損失率
である。
係数K1、K2を基準試料について決定して、それをデータ処理装置37の装置定数保持部35に記憶させる。本発明では測定環境が変化した場合でも係数K1、K2が変化しないので、その後は水分量と塗工量が未知の測定対象試料の共振周波数と共振ピークレベルを測定し、特性方程式を連立させて測定対象試料のΔVw及びΔVcを算出することにより、測定対象試料の水分量及び塗工量を求めることができる。
第2の形態は、第1の形態における装置定数としての係数K1、K2に替えて、検量線データを装置定数としてデータ処理装置の装置定数保持部35に記憶させたものである。第2の形態においても、第1の形態と同様に、水分量と塗工量が既知である基準試料の共振周波数と共振ピークレベルを実測し、ΔVw及びΔVcについて(1)、(2)式よりなる特性方程式に従って検量線を作成し、その検量線データを装置定数として装置定数保持部35に記憶させる。その後は、第1の形態と同様に、水分量と塗工量が未知の測定対象試料の共振周波数と共振ピークレベルを測定し、装置定数保持部35に記憶されている検量線データから測定対象試料のΔVw及びΔVcを算出することにより、測定対象試料の水分量及び塗工量を求めることができる。
本発明の測定装置は、第1の進行波部分のアンテナのコネクタ部と第2の進行波部分のアンテナのコネクタ部に、それぞれケーブルを介さないで直接にアイソレータを設け、それらのアイソレータを介してデータ処理装置につながるケーブルを接続したので、マイクロ波共振器を用い、シート状基材とその基材に塗工層を設けた試料との、共振周波数の差と共振ピークレベルの差とに基づいて、試料の水分量と塗工量を測定する際の測定結果の再現性を向上させることができるようになった。
一実施例の水分量及び塗工量の測定装置を示す概略構成図である。 本発明で用いるマイクロ波空洞共振器の第1の例を示す概略構成図である。 本発明で用いるマイクロ波空洞共振器の第2の例を示す概略構成図である。 一実施例の水分量及び塗工量の測定装置を示すブロック図である。 図4に示したブロック図の構成を実施する測定装置の一例を示す構成図である。 図4に示したブロック図の実施例の動作を示すタイムチャート図である。 マイクロ波空洞共振器によって3種の状態において試料を測定した際に得られるそれぞれの共振カーブを示す図である。 基材に塗工層を設けた場合の層構成を仮想的に示した断面図である。 誘電率と共振周波数シフト量の関係の一例を示すグラフである。 誘電損失率と共振ピークレベル変化の関係の一例を示すグラフである。 一実施例における測定と演算の各ステップからなるフローチャートである。 (A)はマイクロ波空洞共振器の共振により得られる共振カーブを示す図、(B)は試料の有無による同共振カーブの変化を示す図である。 マイクロ波空洞共振器の共振の原理を説明する等価回路図である。 マイクロ波空洞共振器の導波管部分のアンテナにアイソレータを直接接続した状態を示す断面図である。 図14Aに示した接続部分の分解図である。
一実施例の水分量及び塗工量の測定装置の概要を図1に示す。マイクロ波空洞共振器1に試料10を接触又は近づけて走行させ、リアルタイムで共振ピークレベルを測定する。
マイクロ波空洞共振器1は図2又は図3に示されたものである。図2のマイクロ波空洞共振器は、導波管2Aが導波管部分4a,4b,6a及び6bからなり、その導波管2Aの途中に管軸に垂直に、穴の開いた2つのアイリスプレート8a,8bを備え、アイリスプレート8a,8b間が共振器部分4a,4bとなり、アイリスプレート8a,8bの外側が進行波部分6a,6bとなっており、共振器部分4a,4bを横切るように試料10を配置するスリット12を設けたものである。一方の進行波部分6aには1〜25GHzの間での所定の範囲の周波数で発振させるマイクロ波掃引発振器がアイソレータを介して接続され、他方の進行波部分6bはアイソレータを介してマイクロ波強度受信器が接続されている。14a,14bはそれぞれ進行波部分6a,6bに設けられたアンテナであり、アンテナ14aはアイソレータを介してマイクロ波掃引発振器に接続され、アンテナ14bはアイソレータを介してマイクロ波強度受信器に接続されている。
図3のマイクロ波空洞共振器は、導波管2Bが導波管部分4a,4b,4a,4b,16a及び16bからなる。一対の進行波部分の一方が一方のアイリスプレート8aに隣接する導波管部分16aとこの導波管部分16aにつながりマイクロ波掃引発振器にアイソレータを介して接続されている導波管部分6aとからなる。一対の進行波部分の他方が他方のアイリスプレート8bに隣接する導波管部分16bとこの導波管部分16bにつながりアイソレータを介してマイクロ波強度受信器に接続されている導波管部分6bとからなっているものである。
図3のマイクロ波空洞共振器は、マイクロ波掃引発振器に接続された進行波部分の導波管部分6aとアイリスプレート8aとの間にさらに導波管部分16aを配置し、マイクロ波強度受信器に接続された進行波部分の導波管部分6bとアイリスプレート8bとの間にさらに導波管部分16bを配置した点において図2のマイクロ波空洞共振器と異なる。導波管部分16a,16bはともに進行波部分である。
図1にも概略的に示されているように、導波管の途中に管軸に垂直に設けられた穴の開いた2つのアイリスプレート8a,8bは、導波管の管軸上に1つずつの穴が開けられている。アイリスプレート8a,8b間が共振器部分4a,4bとなり、共振器部分4a,4bを横切るように試料10を配置するスリット12が設けられている。
スリット12は共振器部分4a,4bの電界ベクトルが最大にとなる位置に配置されている。スリット12は試料10が通過するので、その際の支障にならない範囲で狭い方がよい。
アイリスプレート8a,8bの外側6a,6b(図3の場合は16a,16bも含む。)が進行波部分となっている。一方の進行波部分6aには励磁用アンテナ14aが設けられ、そのアンテナ14aにはアイソレータ15aを介して1〜25GHzの間での所定の範囲の周波数で発振させるマイクロ波掃引発振器20が接続されている。他方の進行波部分6bにはアンテナ14bが設けられ、そのアンテナ14bにはアイソレータ15bを介して検波器22と増幅器及びA/D(アナログ/デジタル)変換器24からなるマイクロ波強度受信器が接続されている。
アイソレータ15aは、マイクロ波掃引発振器20からアンテナ14a方向にのみ信号を伝送する方向に配置され、アンテナ14aのコネクタ部にケーブルを介さないで直接に接続されている。アイソレータ15bは、アンテナ14bからマイクロ波強度受信器方向にのみ信号を伝送する方向に配置され、アンテナ14bのコネクタ部にケーブルを介さないで直接に接続されている。
アンテナのコネクタ部にアイソレータを直接接続した部分の例を図14Aに示す。図14Bはその分解図である。いずれも断面図で示されている。図14Aは発振器側のアイソレータ15aの接続部分を示しているが、受信器側のアイソレータ15bの接続部分も全く同じ構造であるので、受信器側の図示とその説明は省略する。
アンテナ14Aはコネクタ部50に保持されている。コネクタ部50は金属製であり、円筒状の本体をもち、導波管部分6aに取りつけられる先端側にフランジ52を備えている。アンテナ14Aは絶縁性の樹脂からなる円筒状のスリーブ54に保持され、そのスリーブ54がコネクタ部50の円筒の穴に挿入されることにより、アンテナ14Aはスリーブ54によってコネクタ部50の穴に固定されて保持されている。
スリーブ54の先端はフランジ52から突出し、アンテナ14Aの先端はスリーブ54の先端よりもさらに突出している。フランジ52から突出したスリーブ54の外径は導波管部分6aのアンテナ取りつけ用の穴58の大きさに対応している。アンテナ14Aの先端を導波管部分6aの穴58に挿入するとスリーブ54がその穴58に嵌めこまれ、フランジ52が導波管部分6aの外面と接触する。導波管部分6aもコネクタ部50も金属製であるので、両者は電気的に導通する。
スリーブ54はコネクタ部50の基端まで挿入されている。アンテナ14aの基端はスリーブ54の基端側の途中の位置まで挿入され、スリーブ54内でアイソレータ15aの接続端子56と接触して電気的に接続されるようになっている。
アイソレータ15aの接続端子56はアイソレータ15aから突出して設けられている。接続端子56をアンテナ14aと接続するために、アイソレータ15aには接続端子56の側方を取り囲む金属製の円筒状コネクタ部59が設けられている。接続端子56とコネクタ部59は樹脂からなる絶縁部材60によって電気的に絶縁されている。接続端子56の先端はコネクタ部59の先端よりも低い位置に設定されている。
アイソレータ15aのコネクタ部59をアンテナ14aのコネクタ部50に接続するために、コネクタ部50の外周面には雄ネジ62が設けられ、コネクタ部59の内周面には雌ネジ64が設けられている。ネジ62と64を螺合させることによりコネクタ部50とコネクタ部59が接続され、スリーブ54内でアンテナ14aの基端とアイソレータ15aの接続端子56が接触して電気的に接続される。
コネクタ部50と59は、特に特に限定されるものではないが、例えばMIL/IEC規格SMC型コネクタを挙げることができる。
アイソレータ15a,15bは、特に限定されるものではないが、例えばYサーキュレータ形アイソレータ、ファラデー回転型アイソレータ、共鳴形アイソレータなどを使用することができる。
マイクロ波強度受信器の増幅器及びA/D変換器24はデータ処理装置37に接続されている。データ処理装置37は、図4に示されるように、マイクロ波強度受信器からの信号を受けて共振周波数でのピークレベルを検出するピークレベル検出部30、マイクロ波強度受信器からの信号を受けて共振周波数を検出する共振周波数検出部32、塗工層の水分量及び塗工量を算出する演算部34、及び演算部34が塗工層の水分量及び塗工量を算出する際の装置定数を保持している装置定数保持部35を含んでいる。
第1の形態では、装置定数保持部35は、シート状基材の表面に塗工層を設けた試料と塗工層を設けていない試料との間でのピークレベル検出部30によるピークレベル差及び共振周波数検出部32による共振周波数差に基づいて塗工層の水分量及び塗工量を求める際の係数K1、K2を装置定数として保持している。そして、この形態では、演算部34は、未知試料を測定したときのピークレベル検出部30によるピークレベル検出値及び共振周波数検出部32による共振周波数に装置定数保持部35に保持されている係数K1、K2を用いて(1)、(2)式により塗工層の水分量及び塗工量を算出する。
第2の形態では、装置定数保持部35は、シート状基材の表面に塗工層を設けた試料と塗工層を設けていない試料との間でのピークレベル検出部30によるピークレベル差及び共振周波数検出部32による共振周波数差に基づいて塗工層の水分量及び塗工量を求める際の検量線データを装置定数として保持している。そして、この形態では、演算部34は、未知試料を測定したときのピークレベル検出部30によるピークレベル検出値及び共振周波数検出部32による共振周波数検出値に装置定数保持部35に保持されている検量線データを用いて塗工層の水分量及び塗工量を算出する。
マイクロ波掃引発振器20から出たマイクロ波は、アイソレータ15aによりアンテナ14a方向にのみ伝送されて空洞共振器1に入る。空洞共振器1に入ったマイクロ波は、アイリスプレート8aの穴を通って共振器部分4a,4bに導かれ、共振器部分4a,4bで共振が起こる。共振器部分4a,4bで共振を起こしたマイクロ波の一部がアイリスプレート8bの穴を通って他方のアンテナ14bにより検知される。アンテナ14bにより検知されたマイクロ波は、アイソレータ15bによりアンテナ14bからダイオード22方向にのみ伝送され、増幅及びA/D変換器24でその共振レベルが検知される。共振器部分4a,4bのスリット12に試料10を置くか、又は近づけると、試料10の誘電率に応じて共振周波数が変化し、誘電損失率に応じてピークレベルが変化する。
図4の構成を実現する一例として、図5に示されるように、空洞共振器1とベクトルネットワークアナライザ40をケーブル44a、44bで接続する。空洞共振器1側にはアイソレータ15a、15bが設けられており、ケーブル44a、44bはそれぞれアイソレータ15a、15bを介して空洞共振器1に接続される。ベクトルネットワークアナライザ40は、その「OUT」側にマイクロ波掃引発振器20を内蔵しており、「IN」側にマイクロ波強度受信器22,24を内蔵している。マイクロ波掃引発振器20からのマイクロ波はその「OUT」端子からケーブル44a及びアイソレータ15aを経て空洞共振器1のアンテナ14a(図1参照)に供給される。空洞共振器1のアンテナ14b(図1参照)で検知されたマイクロ波は、アイソレータ15b及びケーブル44bを経て「IN」端子からベクトルネットワークアナライザ40内のマイクロ波強度受信器22,24に送られる。
ここでは、ベクトルネットワークアナライザ40はデータ処理装置37の機能を実現している。しかし、データ処理装置37はパーソナルコンピュータ42により実現することができ、又は他のコンピュータにより実現することもできる。
ベクトルネットワークアナライザ40はS21モードにおける共振カーブのピークレベルをGP−IBインターフェースを用いてパーソナルコンピュータ42にデータを送り、パーソナルコンピュータ42ではリアルタイムで水分量と塗工量を算出することができる。またシート状の試料が搬送系により搬送されているときに搬送中の試料に対して共振器1がある一定の条件で設置されるように構成することによって、共振器1の内部又は近傍を連続して試料を搬送しつつ測定することにより、オンライン測定装置とすることもできる。ここでS21モードとはネットワークアナライザの4端子定数のSパラメータの方向を表し、1と2からなる2ポートで1→2の方向への透過測定を行うという意味である。
アンテナ14bにより検知された共振レベルは、ベクトルネットワークアナライザ40内で検波ダイオード22によって電圧に変換される。その後、図6に示されるように、増幅及びA/D変換器24での増幅とA/D変換処理を経て、データ処理装置37に導かれる。データ処理装置37では、掃引中に100000個のデータを取り込むと同時にピークレベル検出部30で最大値(ピークレベル)を検出し、共振周波数検出部32で共振周波数を検出する。これを、約50ミリ秒毎に繰り返す。実際の測定では、種々のノイズのためにピークレベルが変動する場合があるので、平均化処理を行うことにより、安定した測定を行うことができる。
この実施例では、図7に示したような共振カーブを用いて塗工層に含まれる水と塗料固形分とを分離してその量を測定する。図7はマイクロ波空洞共振器によって3種の状態において試料を測定した際に得られるそれぞれの共振カーブを示す図である。共振カーブAは試料の無いブランク時に得られる共振カーブ、共振カーブBは基材のみを測定するときに得られる共振カーブ、共振カーブCは基材に塗工層があるときに得られる共振カーブを示す図である。これらの共振カーブの関係から、塗工層に含まれる水と塗料固形分の寄与分を分離し、それぞれの量と誘電率、誘電損失率が共振周波数シフト量や共振ピークレベル変化量に与える影響を正確に求める。
以下本発明における水分量と塗工量の測定原理を説明する。マイクロ波共振器の内部又は近傍に、塗工層を設けていないシート状基材を置いたとき、図7において共振カーブAから共振カーブBのように変化したとする。共振カーブAは基材がない場合の共振カーブである。このときの共振周波数シフト量Δfb及び共振ピークレベル変化量ΔWbは次のように表すことができる。
Δfb=f0−fb=K1×(ε'b−1)ΔVb・・・(1a)
ΔWb=P0−Pb=K2×ε''bΔVb・・・(2a)
ε'b: 基材の誘電率
ε''b: 基材の誘電損失率
ΔVb : 基材の量(測定面積当たり)
o : 基材がない場合(ブランク)の共振周波数
b : 基材がある場合の共振周波数
o : 基材がない場合(ブランク)の共振ピークレベル
b : 基材がある場合の共振ピークレベル
Δfb : 基材とブランクとの共振周波数シフト量
ΔWb : 基材とブランクとの共振ピークレベル変化量
1、K2 : 比例定数
次に、同じ基材に塗工層を設けた試料を共振器内部又は近傍に置いたとき、図7中の共振カーブCのように変化したとする。このとき、塗工層を設けた試料は仮想的に図8に表すように、基材と、塗工により増えた水の層と、塗工により増えた塗料固形分からなる層の多層状構造をとると仮定すると、このときの共振周波数シフト量Δfs及び共振ピークレベル変化ΔWs量は次のように表すことができる。図8は基材に塗工層を設けた場合の層構成を仮想的に示した断面図である。
Δfs=f0−fs=K1{(ε'b−1)ΔVb+(ε'w−1)ΔVw+(ε'c−1)ΔVc}・・・(3)
ΔWs=P0−Ps=K2×(ε''bΔVb+ε''wΔVw+ε''cΔVc)・・・(4)
ε'w: 水の誘電率
ε''w: 水の誘電損失率
ε'c: 塗料固形分の誘電率
ε''c: 塗料固形分の誘電損失率
ΔVw : 塗工により増えた水の量
ΔVc : 塗工により増えた塗工層中の塗料固形分の量
s : 試料がある場合の共振周波数
s : 試料がある場合の共振ピークレベル
Δfs : 試料がある場合とブランクとの共振周波数シフト量
ΔWs : 試料がある場合とブランクとの共振ピークレベル変化量
(1a)式及び(3)式より次の(5)式をえる。
Δf=Δfs−Δfb=K1{(ε'w−1)ΔVw+(ε'c−1)ΔVc}・・・(5)
Δf:試料と基材との共振周波数の差
(2a)式及び(4)式より次の(6)式をえる。
ΔW=ΔWs−ΔWb=K2×(ε''wΔVw+ε''cΔVc)・・・(6)
ΔW:試料と基材との共振ピークレベルの差
(5)式及び(6)式における定数K1、K2は共振器などの装置により決まる装置定数である。よってあらかじめこの装置定数を求めておけば、Δf及びΔWを測定することにより塗工により増えた水の量ΔVwと塗工層中の塗料固形分の量ΔVcを算出することができ、それらの値から試料の水分量と塗工量を得ることができる。ここで塗工により増えた水の量ΔVwと塗工層中の塗料固形分の量ΔVcはそれぞれ水の体積、塗料固形分の体積を正確には意図しているがそれぞれ既知の比重で補正すれば質量に換算できる。すなわち、この(5)、(6)式がΔVw(塗工により増えた水の量)及びΔVc(塗工層中の塗料固形分の量)についての特性方程式となる。
次に具体的にK1、K2を求める手順を説明する。
まず、塗工層を設けていない基材の共振カーブを測定する。次に、同じ基材に塗料溶液をその量を変えて塗工、乾燥した基準試料数点を用意し、それぞれの共振カーブを測定する。各基準試料の水分量及び塗工量を求める方法を説明する。まず塗工する前の基材を一定の面積に切断して重量を測定し、塗工後の各基準試料の重量も測定する。さらに塗工後の基準試料は120℃の乾燥機内で2時間以上乾燥させ、重量を測定する。乾燥により減少した重量は水分によるものであるため、すなわち乾燥前後の重量の差は水分の重量となる。同様に乾燥後の重量と基材のみの重量の差は塗工層のみの重量となる。あらかじめ求めておいた基材の面積を基に、各々の重量から水分量及び塗工量へと換算する。得られた水分量と塗工量から、既知の比重を用いて塗工により増えた水の量ΔVw及び塗料固形分の量ΔVcを求めた。
基材の共振周波数と基準試料の共振周波数との差Δfを縦軸に、〔(水の誘電率ε'w−1)×ΔVw+(塗料固形分の誘電率εc'−1)×ΔVc〕を横軸にしてプロットしていくと、図9に示す1次の相関を示すグラフが得られた。このグラフの傾きが(5)式の定数K1を表す。図9は誘電率と共振周波数のシフト量の関係を示す検量線の図でもある。
また、基材の共振ピークレベルと各基準試料の共振ピークレベルとの差ΔWを縦軸に、(水の誘電損率ε''w×ΔVw+塗料固形分の誘電損率ε''c×ΔVc)を横軸にしてプロットしていくと、図10に示す1次の相関を示すグラフが得られた。このグラフの傾きが(6)式の定数K2を表す。図10は誘電損率と共振ピークレベルの変化量の関係を示す検量線の図でもある。
本発明は、これらの相関関係を検量線として保持しておく形態と、これらの相関関係から求められる定数K1及びK2を保持しておく形態の2形態をとることができる。検量線を用いる形態では水分量と塗工量が未知の測定対象試料について測定して得られるΔf及びΔWを検量線に当てはめてΔVw及びΔVcを求め、その値から水分量と塗工量を算出する。定数K1及びK2を用いる形態では測定対象試料について測定して得られたΔfを(5)式に、ΔWを(6)式に適用して、計算によりΔVw及びΔVcを求め、その値から水分量と塗工量を算出する。このようにして、水分量と塗工量が未知の試料をオンライン測定すると、測定して得られるΔfとΔWから、あらかじめ求めておいた検量線又は定数K1及びK2を用いて、その未知試料の水分量と塗工量を直ちに得ることができる。
本発明における水分量と塗工量の測定について、図11に示すフローチャートを用いて説明する。図11は一実施例における測定、演算の各ステップからなるフローチャートを示す。
ステップ1で塗工層を設けていない基材について共振周波数fbと共振ピークレベルPbを測定しておく。
つぎに、ステップ2で塗工層を設けた測定対象試料の共振周波数fsと共振ピークレベルPsを測定する。
ステップ3では共振周波数シフト量Δf(=fb−fs)と共振ピークレベル変化量ΔW(=Pb−Ps)を計算する。このΔf及びΔWは、試料の誘電率ε'、誘電損失率ε''、及び試料の量ΔVを用いて先に説明した特性方程式をもって、以下のようにすでに述べた(1)、(2)式で表すことができる。
Δf=fb−fs=K1{((ε'w−1)ΔVw+(ε'c−1)ΔVc)・・・(1)
ΔW=Pb−Ps=K2×(ε''wΔVw+ε''cΔVc)・・・(2)
ε'w:水の誘電率
ε''w:水の誘電損失率
ε'c:塗料固形分の誘電率
ε''c:塗料固形分の誘電損失率
ΔVw:塗工により増えた水の量
ΔVc:塗工層中の塗料固形分の量
そこで、(1)式、(2)式で表されるΔVw及びΔVcと、Δf及びΔWとの関係を検量線として求めておくか、あるいは比例定数K1,K2を算出しておけば、ステップ3で求められるΔfとΔWの値から、水分量と塗工量が得られることになる。そこで、同じ基材に量を変えて塗料溶液を塗工した基準試料数点のΔVwとΔVcをあらかじめ求めておいた上で、Δf及びΔWの値を測定することで、両者の関係を表わす検量線を作っておくか、もしくは、比例定数K1、K2を決定し、特性方程式を作っておく。
ステップ4では、ステップ3で求めたΔfとΔWの値を前述の検量線あるいは特性方程式に当てはめてΔVcとΔVwを算出し、それらの値から測定対象試料の水分量と塗工量を求めるものである。オンライン測定の場合は、一定時間ごとにステップ2〜4を繰り返せばよい。
次にアイソレータの効果について説明する。
図5の実施例では、空洞共振器1とベクトルネットワークアナライザ40の間はアイソレータ15a、15bを介してケーブル44a、44bで接続されている。
まず、アイソレータ15a、15bを設けないで空洞共振器1とベクトルネットワークアナライザ40をケーブル44a、44bで接続して試料のΔWを測定した。その結果を表1に示す。
Figure 0005804065
ここで、ケーブル44bは同じものを使用し、ケーブル44aとして種類の異なる4つのケーブル(1)〜(4)のいずれかを使用して測定を行った。ケーブル(1)〜(4)は次のものである。
ケーブル(1):長さ1m
ケーブル(2):長さ1m
ケーブル(3):長さ1m
ケーブル(4):長さ1.5m
ケーブル(1)〜(4)は全て同じ種類(グレード)のケーブルである。ケーブル(1)〜(3)は同じ長さのものとして市販されている製品であるが、ロット番号の異なるものである。これらのケーブル(1)〜(3)には製造上のばらつきによる違いがあると考えられる。ケーブル(4)は大きく長さが異なるものである。
L型アダプタ「なし」はケーブル44a,44bを空洞共振器1のアンテナにアダプタを使用しないで直接接続した場合、L型アダプタ「あり」はケーブル44a,44bを空洞共振器1のアンテナにL型アダプタを使用して接続した場合を表わしている。L型アダプタとはケーブルの向きを90°変えるために汎用的に用いられるものであり、通常10〜30mm程度であって、ケーブルと比較して短いものの、反射波の位相を十分に変えることが可能である。
測定した試料の塗工試料1」は塗工層を1層のみ塗工した試料であり、「塗工試料2」は塗工層を2層塗工した試料である。
表1の結果によれば、アイソレータ15aと15bのいずれも設けなかった場合は、ケーブルを変更するだけでもΔWが変動し、最大で0.1程度変動する。ケーブル長さが大きく異なればΔWが大きく変動し、同じ長さで売られている製品でさえもロット番号が異なる程度の製造上のばらつきに相当するような微小な長さの変化によってもΔWの値が変わることがわかる。L型アダプタを設けるとΔWの変動幅がさらに増大することがわかる。
次に、マイクロ波共振器の導波管の入力側のアンテナにアイソレータ15aを直接取り付け、出力側のアイソレータ15bを設けないで同様の測定を行った結果を表2に示す。なおアイソレータとして、ファラデー回転形アイソレーター(MTC社の製品、型式:F169V)を用いた。
Figure 0005804065
この場合も、ケーブル44bは同じものを使用し、ケーブル44aとして種類の異なる上記の4つのケーブル(1)〜(4)のそれぞれを使用して測定を行った。
L型アダプタ「なし」はケーブル44aと44bをアイソレータ15aと空洞共振器1の出力側のアンテナにそれぞれアダプタを使用しないで直接接続した場合、L型アダプタ「あり」はケーブル44aと44bをアイソレータ15aと空洞共振器1の出力側のアンテナにそれぞれL型アダプタを使用して接続した場合を表わしている。
表2の結果によれば、アイソレータ15aに接続される側のケーブルを変えてもΔWはほとんど変動しない。また。L型アダプタの有無によってもΔWはほとんど変動しない。
次に、マイクロ波共振器の導波管の入力側のアンテナにアイソレータ15aを直接取り付け、出力側のアンテナにアイソレータ15bを設けない場合と直接取り付けた場合とで同様の測定を行った結果を表3に示す。
Figure 0005804065
ケーブル44aと44bアイソレータ又は空洞共振器の導波管のアンテナとの接続はL型アダプタを用いて行った。この測定では、導波管の出力側のケーブル44bとして種類の異なる上記の4つのケーブル(1)〜(4)のいずれかを使用して測定を行った。
表3の結果によれば、導波管の入口側にアイソレータを設けても、導波管の出口側にもアイソレータを設けない場合は、ケーブルを変えることによってΔWが変動する。それに対し、本発明のように、導波管の入口側にも出口側にもアイソレータを設けることにより、ケーブルを変えてもΔWがほとんど変動しないことがわかる。
以上のことから、導波管の入口側と出口側の両方にアイソレータを設けることによりケーブルが変わったような環境変化に対しても再現性のよい測定を行うことができることが確かめられた。
(比較例)
比較例として、アイソレータをベクトルネットワークアナライザ40側に直接設けた例を示す。したがって、アイソレータと空洞共振器1との間にはケーブルが存在する。アイソレータは実施例と同じファラデー回転形アイソレータを使用した。測定した試料は塗工層を1層のみ塗工した試料である。その結果を表4に示す。
Figure 0005804065
ここで、ケーブル(1)〜(3)は次のものである。
ケーブル(1):長さ1.0m
ケーブル(2):長さ1.5m
ケーブル(3):長さ2.5m
一方の固定ケーブルは長さ1.0mのものを使用した。
表4の結果によれば、アイソレータを空洞共振器1側ではなく、ベクトルネットワークアナライザ40側に設けてアイソレータと空洞共振器1との間にケーブルが存在する状態にするとΔWが大きく変動し、再現性を得る上ではアイソレータは役に立っていないことが分かる。
本発明は、紙、不織布、フィルムをはじめとするシート状物質の基材に塗料溶液を塗布して塗工層を設けた試料の水分量及び塗工量を測定するのに利用することができる。
1 マイクロ波空洞共振器
2A,2B 導波管
4a,4b 導波管の共振器部分
6a,6b,16a,16b 導波管部分の進行波部分
8a、8b アイリスプレート
10 試料
12 スリット
14a、14b アンテナ
15a,15b アイソレータ
20 マイクロ波掃引発振器
22 検波ダイオード
24 増幅器・A/D変換器
30 ピークレベル検出部
32 共振周波数検出部
34 演算部
35 装置定数保持部
37 データ処理装置
40 ベクトルネットワークアナライザ
42 パーソナルコンピュータ

Claims (3)

  1. 導波管の途中に管軸に垂直に、穴の開いた2つのアイリスプレートを備え、アイリスプレート間が共振器部分となり、アイリスプレートの外側の導波管部分がそれぞれアンテナを備えた第1と第2の進行波部分となっているとともに、前記共振器部分には導波管を横切るようにシート状試料を配置するスリットが設けられたマイクロ波空洞共振器と、
    前記第1の進行波部分側に接続されて所定の範囲の周波数で発振させるマイクロ波掃引発振器と、
    前記第2の進行波部分側に接続されたマイクロ波強度受信器と、
    前記第1の進行波部分と前記マイクロ波掃引発振器の間に、前記マイクロ波掃引発振器から前記第1の進行波部分のアンテナ方向にのみ信号を伝送する方向に配置され、前記第1の進行波部分のアンテナのコネクタ部にケーブルを介さないで直接に接続された第1のアイソレータであって、前記コネクタ部との接続部分が金属で取り囲まれている第1のアイソレータと、
    前記第2の進行波部分と前記マイクロ波強度受信器の間に、前記第2の進行波部分のアンテナから前記マイクロ波強度受信器方向にのみ信号を伝送する方向に配置され、前記第2の進行波部分のアンテナのコネクタ部にケーブルを介さないで直接に接続された第2のアイソレータであって、前記第2の進行波部分のアンテナの前記コネクタ部との接続部分が金属で取り囲まれている第2のアイソレータと、
    前記マイクロ波強度受信器からの信号を受けて共振周波数でのピークレベルを検出するピークレベル検出部、前記マイクロ波強度受信器からの信号を受けて共振周波数を検出する共振周波数検出部、シート状基材の表面に塗工層を設けた試料と塗工層を設けていない試料との間での前記ピークレベル検出部によるピークレベル差及び前記共振周波数検出部による共振周波数差に基づいて塗工層の水分量及び塗工量を求める演算部を含むデータ処理装置と
    を備えたシート状試料の測定装置。
  2. 前記データ処理装置は塗工層の水分量及び塗工量を求める際の係数を装置定数として保持している装置定数保持部をさらに備え、
    前記演算部は未知試料を測定したときの前記ピークレベル検出部によるピークレベル検出値及び前記共振周波数検出部による共振周波数に前記装置定数保持部に保持されている係数を用いて塗工層の水分量及び塗工量を算出するものである請求項1に記載の測定装置。
  3. 前記データ処理装置は塗工層の水分量及び塗工量を求める際の検量線データを装置定数として保持している装置定数保持部をさらに備え、
    前記演算部は未知試料を測定したときの前記ピークレベル検出部によるピークレベル検出値及び前記共振周波数検出部による共振周波数に前記装置定数保持部に保持されている検量線データを用いて塗工層の水分量及び塗工量を算出するものである請求項1に記載の測定装置。
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