JP5803563B2 - イソブタノールの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、イソブタノール(2-メチルプロパン-1-オール)生合成に関連する遺伝子群を有しイソブタノール生産能を有する組換え微生物を利用したイソブタノール製造方法及び組換え微生物に関する。
イソブタノールは、2-メチルプロパン-1-オール又は2-メチルプロピルアルコールとも称され、広く化学工業分野に利用されている。これまで、イソブタノールはいわゆる発酵プロセスを利用して製造されている。例えば、特許文献1には、イソブタノール生合成経路に関与する遺伝子群のうち少なくとも1つの遺伝子を宿主微生物以外の生物由来とした組換え微生物及び当該組換え微生物を利用したイソブタノールの製造方法が開示されている。ここで、宿主微生物に導入する遺伝子は、アセト乳酸シンターゼ遺伝子、アセトヒドロキシ酸レダクトイソメラーゼ遺伝子、アセトヒドロキシ酸デヒドラターゼ遺伝子、分枝ケト酸脱炭酸酵素遺伝子及び分枝アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子である。また、宿主微生物としては、大腸菌、枯草菌、サッカロミセス・セレヴィシエ及びラクトバシラス・プランタルム等が使用されている。
また、特許文献2には、炭素数3〜5のアルコールを製造できるように代謝経路を改変された組換え微生物であって、NADH依存性を高めるか、補酵素特異性をNADPHからNADPに変更した変異型ケトール酸レダクトイソメラーゼ遺伝子を当該組換え微生物に導入することが記載されている。さらに、特許文献3には、NADHに対する結合能を有する変異型ケトール酸レダクトイソメラーゼ遺伝子を開示している。特許文献2及び3のいずれも、イソブタノール生合成経路においてNADPHを増やしNADHを減らすことでイソブタノール収率の改善を図るものである。
しかしながら、上述した特許文献1〜3のいずれにおいてもイソブタノールの収率は十分とは言えず、発酵プロセスを利用したイソブタノールの製造において、イソブタノール収率の更なる改善が望まれていた。
特開2009-513136号公報 WO 2010/051527 WO 2009/085953
そこで、本発明は、上述したような実情に鑑み、発酵プロセスを利用して優れた生産性でイソブタノールを製造する方法を提供するとともに、イソブタノール生産能に優れた組換え微生物を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するため、本発明者らが鋭意検討した結果、NADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼがNADPからNADPHを生成する反応を、イソブタノール生合成経路における2-アセト乳酸から2,3-ジヒドロキシイソ吉草酸への反応に使用されるNADPHの供給源として利用することで、イソブタノール生産量が格段に向上することを見いだし、本発明を完成するに至った。
本発明は以下を包含する。
(1)イソブタノール生合成経路を有し、NADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現を強化した組換え酵母を培養し、培養物からイソブタノールを取得することを特徴とするイソブタノールの製造方法。
(2)上記組換え酵母は、上記イソブタノール生合成経路において、補酵素としてNADPHを利用して2-アセト乳酸を2,3-ジヒドロキシイソ吉草酸とする反応を触媒するアセトヒドロキシ酸レダクトイソメラーゼが機能する細胞内組織において、上記NADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現を強化したものであることを特徴とする(1)記載のイソブタノールの製造方法。
(3)上記細胞内組織はミトコンドリアであることを特徴とする(2)記載のイソブタノールの製造方法。
(4)上記NADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子は、ミトコンドリア移行シグナルをコードする領域を有する遺伝子又は当該領域を付加した融合遺伝子であることを特徴とする(3)記載のイソブタノールの製造方法。
(5)上記組換え酵母は、上記イソブタノール生合成経路において、ピルビン酸から2-ケトイソ吉草酸までの経路に関与する酵素をコードする遺伝子群を細胞質内で発現させたものであることを特徴とする(2)記載のイソブタノールの製造方法。
(6)上記組換え酵母は、上記細胞内組織にて機能するNAD依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を欠損させたものであることを特徴とする(2)記載のイソブタノールの製造方法。
(7)イソブタノール生合成経路を有し、補酵素としてNADPHを利用して2-アセト乳酸を2,3-ジヒドロキシイソ吉草酸とする反応を触媒するアセトヒドロキシ酸レダクトイソメラーゼが機能する細胞内組織においてNADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現を強化した組換え酵母。
(8)上記細胞内組織はミトコンドリアであることを特徴とする(7)記載の組換え酵母。
(9)上記NADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子は、ミトコンドリア移行シグナルをコードする領域を有する遺伝子又は当該領域を付加した融合遺伝子であることを特徴とする(8)記載の組換え酵母。
(10)上記イソブタノール生合成経路において、ピルビン酸から2-ケトイソ吉草酸までの経路に関与する酵素をコードする遺伝子群を細胞質内で発現させたものであることを特徴とする(7)記載の組換え酵母。
(11)上記細胞内組織にて機能するNAD依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を欠損させたことを特徴とする(7)記載の組換え酵母。
本発明によれば、イソブタノール生産能が格段に向上した組換え微生物を利用することで生産性に優れたイソブタノールの製造方法を提供できる。すなわち、本発明に係るイソブタノールの製造方法によれば、広く化学工業分野に使用されるイソブタノールを製造する際の生産性を向上させることができ、イソブタノール生産コストを低減させることができる。
また、本発明に係る組換え微生物は、従来のイソブタノール生産能を有する組換え微生物と比較して優れたイソブタノール生産能を有する。
グルコースからイソブタノールに至る生合成経路の要部を示す概略構成図である。 クエン酸回路の要部を示す概略構成図である。 ミトコンドリア内にNADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を発現するように導入した組換え酵母が生合成したイソブタノールを定量した結果を示す特性図である。 細胞質内にNADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を発現するように導入し、グルコースからイソブタノールに至る生合成反応を細胞質で進行する組換え酵母が生合成したイソブタノールを定量した結果を示す特性図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係るイソブタノールの製造方法は、イソブタノール生産能を有する酵母に対して、NADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現を強化した組換え微生物を培養し、培養物からイソブタノールを得るものである。
ここで、イソブタノールの生合成経路について説明する。図1に示すように、グルコースは、細胞質で行われる解糖系によりピルビン酸へと代謝される。この過程において、グリセルアルデヒド-3-リン酸から1,3-ビスホスホグリセリン酸への反応は、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(TDH1〜3)が関与する。このグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼによる代謝反応では、2分子のNAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(nicotinamide adenine dinucleotide))が2分子のNADH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)となる。
細胞質内の解糖系で生合成されたピルビン酸は、ミトコンドリアに輸送され、ミトコンドリア内でアセト乳酸シンターゼ(ILV2、ILV6)の基質として利用され2-アセト乳酸となる。2-アセト乳酸は、ミトコンドリア内でアセトヒドロキシ酸レダクトイソメラーゼ(ILV5)の基質として利用され2,3-ヒドロキシイソ吉草酸となる。2,3-ヒドロキシイソ吉草酸は、ミトコンドリア内でジヒドロキシ酸デヒドラターゼ(ILV3)の基質として利用され2-ケトイソ吉草酸となる。このミトコンドリア内における代謝経路において、アセトヒドロキシ酸レダクトイソメラーゼ(ILV5)による代謝反応では、1分子のNADPH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(nicotinamide adenine dinucleotide phosphate))が1分子のNADP(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)となる。
ミトコンドリア内で生合成された2-ケトイソ吉草酸は、細胞質に輸送され、細胞質において2-ケト酸デカルボキシラーゼ(ARO10)の基質として利用されイソブタナールとなる。イソブタナールは、細胞室内でアルコールデヒドロゲナーゼの基質として利用されイソブタノールとなる。この細胞質内の代謝経路において、アルコールデヒドロゲナーゼによる代謝反応では、1分子のNADHが1分子のNADとなる。
以上のように、グルコースからのイソブタノール代謝経路では、1分子のグルコースから1分子のイソブタノールを生合成するときに、NADHが増加し、NADPHが減少する反応であることがわかる。
本発明に係るイソブタノールの製造方法では、このようなイソブタノール生合成経路を有する酵母に対して、NADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現を強化するように改変した組換え酵母を利用する。このNADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現を強化するように改変した組換え酵母は、当該NADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼにより生成されたNADPHを、イソブタノール生合成経路における2-アセト乳酸から2,3-ジヒドロキシイソ吉草酸への反応に使用されるNADPHの供給源として利用できる。これにより、この組換え酵母においては、イソブタノール生合成経路におけるNADPHの枯渇或いは減少に起因するイソブタノール生産性の低下が防止され、イソブタノールの生産性を維持することができる。
ここで、イソブタノール生合成経路を有する酵母とは、上述したイソブタノール生合成経路を本来的に有している酵母及び上述したイソブタノール生合成経路を付与するように改変された組換え微生物のいずれも含む意味である。また、この組換え酵母には、上述したイソブタノール生合成経路においてミトコンドリア内で進行する反応(ピルビン酸から2-ケトイソ吉草酸まで)の一部または全部が細胞質で進行するように改変された組換え微生物も含まれる。なお、このとき、ミトコンドリア内における代謝経路を保持したまま、これに加えて細胞質内で反応が進行するように改変されても良いし、ミトコンドリア内における代謝経路に代えて細胞質内で反応が進行するように改変されても良い。
また、NADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現を強化するには、当該遺伝子を複数コピーで染色体に組み込む方法、当該遺伝子を高発現プロモーターと連結して単コピー又は複数コピーで染色体に組み込む方法など公知の如何なる手法を適用しても良い。また、NADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現を強化するには、宿主酵母(野生型酵母でも組換え酵母でもよい)が本来的に有しているNADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子のプロモーターを高発現プロモーターに置換する方法を適用しても良い。なお、NADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現を強化するとは、言い換えるとNADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼの酵素活性を強化するという意味である。よって、NADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現を強化する方法には、NADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼの酵素活性を強化する方法も含まれる。また、NADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現を強化する方法としては、上述した方法を適宜組み合わせてもよい。
特に、イソブタノール生合成経路におけるアセトヒドロキシ酸レダクトイソメラーゼの反応がミトコンドリア内で進行する場合、NADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現はミトコンドリア内において強化することが好ましい。また、イソブタノール生合成経路におけるアセトヒドロキシ酸レダクトイソメラーゼの反応が細胞質内で進行する場合、NADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現は細胞質内において強化することが好ましい。
NADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子には、本来的にミトコンドリア内において発現するタイプのものと、細胞質内において発現するタイプのものとがある。上述のように、ミトコンドリア内でNADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現を強化する場合、本来的にミトコンドリア内において発現するタイプの遺伝子の発現を強化しても良いし、本来的に細胞質内において発現するタイプの遺伝子をミトコンドリア内において発現するように改変してもよい。後者の場合、本来的に細胞質内において発現するタイプの遺伝子に対してミトコンドリア移行シグナルをコードするオリゴヌクレオチドを融合させた融合遺伝子として発現させればよい。一方、上述のように、細胞質内でNADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現を強化する場合、本来的に細胞質内において発現するタイプの遺伝子の発現を強化しても良いし、本来的にミトコンドリア内において発現するタイプの遺伝子からミトコンドリア移行シグナルをコードする領域を欠失させた変異遺伝子が発現するように改変してもよい。
如何なる場合でも、アセトヒドロキシ酸レダクトイソメラーゼによる反応が進行する細胞内組織(ミトコンドリア及び/又は細胞質)で、NADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼによるNADPHを生合成する反応を進行するように、NADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼの発現を強化することが好ましい。これにより、アセトヒドロキシ酸レダクトイソメラーゼの反応(2-アセト乳酸から2,3-ジヒドロキシイソ吉草酸)に必要なNADPHを供給することができ、NADPHの枯渇或いは減少に起因するイソブタノール生産性の低下を防止することができる。
<NADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ>
以下、NADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼについて詳述する。NADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼとは、イソクエン酸を基質とし、2-オキソグルタル酸を生成する反応を触媒し、補酵素としてNADPを必要とする酵素であってクエン酸回路(図2参照)を構成する酵素である。なお、NADを補酵素として必要とするNAD依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼも知られている。特に、サッカロマイセス・セレビジエでは、図2に示すように、NADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子としてIPD1遺伝子及びIPD2遺伝子が知られている。IPD1遺伝子は、ミトコンドリア移行シグナルを有するNADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼをコードしている。また、IPD2遺伝子は、ミトコンドリア移行シグナルを有しないNADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼをコードしている。なお、サッカロマイセス・セレビジエにおいてNAD依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子は、図2に示すように、ミトコンドリア内にて機能するIDH1遺伝子及びIDH2遺伝子が知られている。
本発明において発現を強化するために、宿主酵母に対してNADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を発現可能に導入する場合、当該NADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子としては特に限定されず、従来公知の如何なる遺伝子を利用することができる。すなわち、導入するNADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の由来には限定されない。各種生物由来のNADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子は、例えば、DDBJ/EMBL/GenBank国際塩基配列データベースを利用することで特定することができ、更にその遺伝子の塩基配列及びコードするタンパク質のアミノ酸配列等を特定することができる。例えば、サッカロマイセス・セレビジエ由来のNADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の1つであるIPD2遺伝子の塩基配列及びIPD2タンパク質のアミノ酸配列をそれぞれ配列番号1及び2に示す。
なお、宿主酵母としてサッカロマイセス・セレビジエを使用する場合、導入するNADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子は、サッカロマイセス・セレビジエ由来の遺伝子であることが好ましい。特に、宿主酵母としてサッカロマイセス・セレビジエを使用する場合、導入するNADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子は、ミトコンドリア移行シグナルをコードする領域を融合させたIPD2遺伝子とすることが好ましい。ミトコンドリア移行シグナルをコードする領域を融合させたIPD2遺伝子は、本来的に細胞質で発現して機能するNADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼをミトコンドリア内に局在させることができる。すなわち、この融合遺伝子を導入することで、本来的に細胞質で機能しているNADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼをミトコンドリア内にて機能させることができる。これにより、本来的にミトコンドリア内で発現するIPD1遺伝子とともに当該融合遺伝子がミトコンドリア内において発現し、ミトコンドリア内におけるNADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ活性を大幅に向上させることができる。
ここで、IPD2遺伝子としては、配列番号1に示す塩基配列からなるものや、配列番号2に示すアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子に限定されず、配列番号2のアミノ酸配列に対して高い類似性(又は同一性)を有するアミノ酸配列を有し、NADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼを有するタンパク質をコードする遺伝子であってもよい。ここで、高い類似性(又は同一性)とは、例えば80%以上の一致度を意味し、好ましくは90%以上の一致度、より好ましくは95%以上の一致度、最も好ましくは97%以上の一致度を意味する。なお、一致度の値は、配列類似性を検索するプログラム(相同性検索プログラムと称される場合もある)を用いて、配列番号1又は2のアミノ酸配列と他のアミノ酸配列とをアライメントした際に、当該他のアミノ酸配列における、配列番号1又は2のアミノ酸配列に対して一致したアミノ酸残基の割合として算出される値である。
また、IPD2遺伝子としては、配列番号2のアミノ酸配列において1又は複数個のアミノ酸が置換、欠失、付加又は挿入されたアミノ酸配列を有するタンパク質であって、NADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼを有するタンパク質をコードする遺伝子であってもよい。ここで、複数個のアミノ酸とは、例えば2〜30個のアミノ酸を意味し、好ましくは2〜20個、より好ましくは2〜10個、最も好ましくは2〜5個のアミノ酸を意味する。
さらに、IPD2遺伝子としては、配列番号1に示す塩基配列に対して相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチドの一部又は全部に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドであって、NADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼを有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドであってもよい。ここで、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするとは、60℃で2×SSC洗浄条件下で結合を維持することを意味する。ハイブリダイゼーションは、J. Sambrook et al. Molecular Cloning, A Laboratory Manual,2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory(1989)に記載されている方法等、従来公知の方法で行うことができる。
上述したような、配列番号2に示すアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子は、例えば、配列番号1に示す塩基配列からなるIPD2遺伝子を有するサッカロマイセス・セレビジエ株とは異なるサッカロマイセス・セレビジエ株から単離することができる。また、配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチドを、当該技術分野で公知の手法によって改変することによって行うことができる。塩基配列に変異を導入するには、Kunkel法またはGapped duplex法等の公知手法又はこれに準ずる方法により行うことができ、例えば部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(例えばMutant-KやMutant-G(何れも商品名、TAKARA社製))等を用いて、あるいはLA PCR in vitro Mutagenesisシリーズキット(商品名、TAKARA社製)を用いて変異が導入される。
配列番号2のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を有するタンパク質について、NADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ活性は以下のように評価することができる。すなわち、先ず、評価対象のタンパク質をコードする遺伝子を発現可能なように宿主細胞に導入し、クロマトグラフィー等の手法によってタンパク質を精製する。得られた評価対象のタンパク質を含む緩衝液中に、基質としてイソクエン酸とNADPを添加する。その後、例えば所望の温度(例えば10〜60℃)でインキュベートする。そして、反応終了後、基質の減少量及び/又は生成物(2-オキソグルタル酸)の生成量を測定することで、評価対象のタンパク質について、NADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ活性の有無及びその程度を評価することができる。
<酵母>
本発明において、NADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現を強化する対象となる酵母は、イソブタノール生合成経路を有するものであれば特に限定されるものではない。例えば、Saccharomyces cerevisiae等のSaccharomyces属酵母、Candida属酵母、Torulopsis属酵母、Zygosaccharomyces属酵母、Schizosaccharomyces属酵母、Pichia属酵母、Yarrowia属酵母、Hansenula属酵母、Kluyveromyces属酵母、Debaryomyces属酵母、Geotrichum属酵母、Wickerhamia属酵母及びFellomyces属酵母を挙げることができる。なお、酵母は、上述した酵母の野生株でも良いが、各種の変異が導入された変異株でも良い。例えば、遺伝子組換えや変異導入により外来遺伝子の発現量が向上するといった特徴を有する酵母変異株を宿主として使用することができる。
また、上述したように、イソブタノール生合成経路におけるミトコンドリア内で進行する反応が細胞質において進行するように改変された酵母変異株を使用することもできる。このような酵母変異株については、WO2011/019894に開示されている。この文献に開示された酵母変異株を使用することもできる。
さらに、NADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現を強化する対象となる酵母としては、NAD依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の機能を欠損した酵母変異体を使用することが好ましい。例えばSaccharomyces cerevisiaeにおいては、NAD依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子としてミトコンドリア内にて機能するIDH1遺伝子及びIDH2遺伝子が知られている。これらIDH1遺伝子及びIDH2遺伝子のうちいずれか一方又は両方の遺伝子を欠損させることで、ミトコンドリア内において、イソクエン酸から2-オキソグルタル酸を生成する反応に寄与する、NAD依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼの酵素活性を下げ、相対的にNADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼの酵素活性を向上させることができる。これにより、発現が強化されたNADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼによるNADPHの供給量を増加させることができる。
このような酵母を宿主として、NADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を発現可能に導入する場合、一般的に利用されている発現ベクターの形で酵母に導入することができる。ベクターは典型的には、選択可能マーカー遺伝子、クローニング部位及び制御領域(プロモーター及びターミネーター)を有している。このベクターは、本技術分野においてよく知られており商業的に入手可能である。
ベクターに含まれるプロモーターは、酵母において機能しうるならば、構成的発現プロモーター及び誘導型プロモーターのいずれでも良い。プロモーターが機能しうるとは、宿主酵母内において下流遺伝子の転写が可能であることを意味する。プロモーターとしては、特に限定されないが、例えばグリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子(TDH3)のプロモーター、3-ホスホグリセレートキナーゼ遺伝子(PGK1)のプロモーター、高浸透圧応答7遺伝子(HOR7)のプロモーターなどが利用可能である。なかでもピルビン酸脱炭酸酵素遺伝子(PDC1)のプロモーターが下流の目的遺伝子を高発現させる能力が高いために好ましい。
発現ベクターを導入する方法としては、従来公知の各種方法、例えば、エレクトロポレーション法“Meth. Enzym., 194, p182 (1990)”、スフェロプラスト法“Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 75 p1929(1978)”、酢酸リチウム法“J.Bacteriology, 153, p163(1983)”、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 75 p1929 (1978)、Methods in yeast genetics, 2000 Edition : A Cold Spring Harbor Laboratory Course Manualなどに記載の方法で実施可能であるが、これに限定されない。
<イソブタノールの製造>
上述したNADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現を強化する対象となる酵母を、グルコース等の炭素源を含む培地で培養することによって、イソブタノールの生合成が進行する。このとき、NADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼは、2-アセト乳酸から2,3-ジヒドロキシイソ吉草酸への反応に使用されるNADPHを供給することができる。これにより、イソブタノール生合成経路におけるNADPHの枯渇或いは減少に起因するイソブタノール生産性の低下が防止され、イソブタノールの生産性を高く維持することができる。
また、合成されたイソブタノールは培地中に存在するため、遠心分離等の手段によって培地から菌体を分離した後の上清画分からイソブタノールを回収することができる。上清画分からブタノールを回収するには、例えば、上清画分に酢酸エチル及びメタノール等の有機溶媒を添加し、十分に撹拌する。水層と溶媒層とに分離し、溶媒層からイソブタノールを抽出することができる。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
<ミトコンドリア局在型IDP2遺伝子過剰発現用DNA断片の構築>
下記の参考例に作製方法を記載したpCR-5U_PDC6-T_HIS3-P_TDH3-Ble-T_URA3-PDC1part-5U_PDC6を鋳型として、HIS3遺伝子のターミネーター領域とTDH3遺伝子のプロモーター領域とを含むDNA断片をPCRで増幅した。このPCRにはプライマーとして、TB3345(5'-TGCGGCCGGCCGCAGCTTTGCAGAG-3':配列番号3)とTB1928(5'-TTTGTTTGTTTATGTGTGTTTATTCGAAAC-3':配列番号4)を使用した。
一方、酵母OC2株(NBRC2260)のゲノムを鋳型として、TDH2遺伝子のプロモーター領域を含むDNA断片、COX4遺伝子のミトコンドリア移行シグナルを含むDNA断片、IDP2遺伝子のORF及びターミネーター領域を含むDNA断片、並びにPDC1遺伝子の一部を含むDNA断片をPCRで増幅した。これらPCRに使用するプライマーはSaccharomyces Genome Database(http://www.yeastgenome.org/)のDNA配列データを参考にし、増幅して得られたDNA断片が約15bp重複するように設計した。TDH2遺伝子のプロモーター領域を含むDNA断片を増幅するPCRにはプライマーとしてTB2704(5'-CTTGACGGGTATTCTGAGCATCTTAC-3':配列番号5)とTB2595(5'-TTTGTTTTGTTTGTTTGTGTGATGAATTTAATTTG-3:配列番号6)を使用した。COX4遺伝子のミトコンドリア移行シグナルを含むDNA断片を増幅するPCRにはプライマーとしてTB2448(5'-AACAAACAAAACAAAATGCTTTCACTACGTCAATC-3':配列番号7)とTB2449(5'-CTTAATCTTTGTCATAAGAGCATATCTAGAGCTACACAAAG-3':配列番号8)を使用した。IDP2遺伝子のORF及びターミネーター領域を含むDNA断片を増幅するPCRにはプライマーとしてTB2452(5'-ATGACAAAGATTAAGGTAGCTAACCCC-3':配列番号9)とTB2092(5'-GACCAAGTTAGCTGGTATATCGGTCCTCTGTGTAG-3':配列番号10)を使用した。PDC1遺伝子の一部を含むDNA断片を増幅するPCRにはプライマーとしてTB2814(5'-CCAGCTAACTTGGTCGACTTG-3':配列番号11)とTB0115(5'-TTGCAAAGAACCGTCACCAATG-3':配列番号12)を使用した。
なお、COX4遺伝子のミトコンドリア移行シグナル配列は、O. Emanuelsson ら(J. Mol. Biol. 300,1005-1016のアルゴリズムを基にした予測プログラム「TargetP」(http://www.cbs.dtu.dk/services/TargetP/)を用いて、ORF5'末端の25アミノ酸と推定した。
また、pAUR101(タカラバイオ)を鋳型としてAUR1-C(オーレオバシジン耐性)遺伝子ORF及びターミネーター領域を含むDNA断片をPCRで増幅した。このPCRにはプライマーとしてTB1972(5'-ACATAAACAAACAAAATGGCAAACCCTTTTTCGAGATG-3':配列番号13)とTB1973(5'-AGAATACCCGTCAAGCTGGATAGAGCCTCATCGTTAC-3':配列番号14)を使用した。
次に、PCRで増幅したAUR1-C遺伝子を含むDNA断片とTDH2遺伝子のプロモーター領域を含むDNA断片とを、In-FusionTM Advantage PCR Cloning Kit (Clontech社製)を用いて結合し、プライマーTB1972及びTB2595を使用してPCRで増幅した。COX4遺伝子のミトコンドリア移行シグナルを含むDNA断片とIDP2遺伝子ORF及びターミネーター領域を含むDNA断片とPDC1遺伝子の一部を含むDNA断片とをプライマーTB2448及びTB0115を使用して結合し、PCRで増幅した。2つの結合DNA断片はZero Blunt TOPO PCR Cloning Kit(インビトロジェン社製)を使用して、プラスミドにクローニングした。クローニングした各プラスミドを鋳型としてPCRで増幅した2つのDNA断片と、HIS3遺伝子のターミネーター領域及びTDH3遺伝子のプロモーター領域を含むDNA断片とをIn-FusionTM Advantage PCR Cloning Kitを用いて結合し、結合DNA断片をプライマーTB1932及びTB0115を使用してPCRで増幅した。PCRで増幅された結合DNA断片はZero Blunt TOPO PCR Cloning Kitを使用して、プラスミドにクローニングした。得られたプラスミドをpCR-T_HIS3-P_TDH3-AUR1-C-P_TDH2-IDP2m-T_IDP2-PDC1partと命名した。
<IDP2過剰発現用DNA断片の構築>
上記で得られたpCR-T_HIS3-P_TDH3-AUR1-C-P_TDH2-IDP2m-T_IDP2-PDC1partを鋳型として、PrimeSTAR MAX DNA Polymerase(タカラバイオ社製)用いて、IDP2遺伝子に融合されているCOX4遺伝子のミトコンドリア移行シグナルを欠失したプラスミドを構築した。このプラスミドをpCR-T_HIS3-P_TDH3-AUR1-C-P_TDH2-IDP2-T_IDP2-PDC1partと命名した。このときプライマーはTB2091(5’-AACAAACAAAACAAAATGACAAAGATTAAGGTAGCTAACCC-3’:配列番号15)とTB2595を使用した。
<ミトコンドリア局在型IDP2遺伝子過剰発現株の作製>
先ず、下記の参考例に作製方法を記載したpCR-5U_PDC6-T_HIS3-P_TDH3-Ble-T_URA3-PDC1part-5U_PDC6を鋳型として、ベクター部分のpCR-Blunt II TOPO以外のDNA断片をPCRで増幅した。PCR用プライマーはそれぞれTB0948とTB0735を使用した(プライマーの配列は参考例を参照)。Frozen-EZ Yeast Transformation IIキット(ZYMO RESEARCH)を用いて、サッカロマイセス・セレビジエOC2-T株(J. Ferment. Bioeng. 81:98-103)に、キット添付のプロトコールに従い、増幅したDNA断片を形質転換した。形質転換後、ゼオシン(300μg/ml)を含むYPDとしたプレートにまいて、30℃で5日間培養し、形質転換体を得、Uz180株と命名した。
一方、上記で得られたpCR-T_HIS3-P_TDH3-AUR1-C-P_TDH2-IDP2m-T_IDP2-PDC1partを鋳型として、ベクター部分のpCR-Blunt II TOPO以外のDNA断片をPCRで増幅した。PCR用プライマーはそれぞれTB1932とTB0115を使用した。上記で得られたUz180株をFrozen-EZ Yeast Transformation IIキットを用いて、増幅したDNA断片を形質転換した。形質転換後、オーレオバシジン(1.5μg/ml)を含むYPDとしたプレートにまいて、30℃で5日間培養し、形質転換体を得、Uz251株と命名した。
<ミトコンドリア局在型IDP2遺伝子過剰発現用、IDH1遺伝子破壊用DNA断片の構築>
上記で得られたpCR-T_HIS3-P_TDH3-AUR1-C-P_TDH2-IDP2m-T_IDP2-PDC1partを鋳型として、TDH3遺伝子のプロモーター領域、HIS3遺伝子のターミネーター領域、pCR-Blunt II TOPOのベクター配列、PDC1遺伝子の一部を含むDNA断片をPCRで増幅した。PCRにはプライマーとしてTB1928とTB1147(5’-CCAGCTAACTTGGTCGACTTG-3’:配列番号16)を使用した。
また、pAUR101を鋳型としてAUR1-C遺伝子ORF及びプロモーター・ターミネーター領域をを含むDNA断片をPCRで増幅した。PCRにはプライマーとしてTB2819(5’-CGTGGCTGCGAGCGAAGCCATCGCACTGTACCA-3’:配列番号17)とTB2859(5’-CTGGATAGAGCCTCATCGTTACAC-3’:配列番号18)を使用した。
さらに、酵母OC2株のゲノムDNAを鋳型として、COX4遺伝子のミトコンドリア移行シグナルとIDP2遺伝子及びそのターミネーター領域を含むDNA断片、ERO1遺伝子のターミネーター領域を含むDNA断片、HOR7遺伝子のプロモーター領域を含むDNA断片を増幅した。プライマーは増幅して得られたDNA断片が約15bp重複するように設計した。COX4遺伝子のミトコンドリア移行シグナルとIDP2遺伝子及びそのターミネーター領域を含むDNA断片を増幅するPCRにはプライマーとしてTB2863(5’-ACATAAACAAACAAAATGCTTTCACTACGTCAATCTATAAG-3’:配列番号19)とTB2862 (5’- AATCACTCCTCATTGTATATCGGTCCTCTGTGTAG-3’:配列番号20)を使用した。ERO1遺伝子のターミネーター領域を含むDNA断片を増幅するPCRにはプライマーとしてTB2429(5’-CAATGAGGAGTGATTTTACACAAAAAG-3’:配列番号21)とTB2433(5’-TAATAAAAGAGCAACACAGTTTATCTTATATG-3’:配列番号22)を使用した。HOR7遺伝子のプロモーター領域を含むDNA断片を増幅するPCRにはプライマーとしてTB4032(5’-ACATAAACAAACAAATTTTATTATTAGTCTTTTTTTTTTTTGACAATATC-3’:配列番号23)とTB2654(5’-TCGCTCGCAGCCACGGGT-3’:配列番号24)を使用した。
次に、TDH3遺伝子のプロモーター領域、HIS3遺伝子のターミネーター領域、pCR-Blunt II TOPOのベクター配列、PDC1遺伝子の一部を含むDNA断片、HOR7遺伝子のプロモーター領域を含むDNA断片とAUR1-C遺伝子ORF及びプロモーター・ターミネーター領域を含むDNA断片とをIn-FusionTM Advantage PCR Cloning Kit(タカラバイオ社製)を用いてクローニングした。得られたプラスミドをpCR-T_HIS3-P_TDH3-HOR7_P-AUR1-PDC1partと命名した。次に、得られたpCR-T_HIS3-P_TDH3-HOR7_P-AUR1-PDC1partを鋳型として、TDH3遺伝子のプロモーター領域とHOR7遺伝子のプロモーター領域の間で切断され、直鎖上になるDNA断片をPCRで増幅した。プライマーとしてはTB1928とTB2432(5’-GTTGCTCTTTTATTATTAGTCTTTTTTTTTTTTG-3’:配列番号25)を使用した。得られたDNA断片と、COX4遺伝子のミトコンドリア移行シグナルとIDP2遺伝子及びそのターミネーター領域を含むDNA断片と、ERO1遺伝子のターミネーター領域を含むDNA断片とをIn-FusionTM Advantage PCR Cloning Kitを用いてクローニングした。得られたプラスミドを、pCR-T_HIS3-P_TDH3-IDP2m-T_IDP2-ERO1_T-HOR7_P-AUR1-PDC1partと命名した。
一方、IDH1遺伝子とその5'上流・3'下流非翻訳領域とを含むDNA断片をPCRで増幅し、Zero Blunt TOPO PCR Cloning Kitを使用してクローニングした。PCRにはプライマーとしてTB2789(5’-CGGTAGCGCTCATTCTGATG-3’:配列番号26)とTB2791(5’- TCAAGCAAAATGGGAGGGTAG-3’:配列番号27)を使用した。上記プラスミドを鋳型として、IDH1遺伝子の5'上流・3'下流非翻訳領域とpCR-Blunt II TOPOを含む領域のDNA断片を増幅した。プライマーはTB2792(5’-TAACATTCAACGCTATTTTCTCTTACAATTATGGAGG-3’:配列番号28)とTB2860(5’-TGAGGCTCTATCCAGTGAAAACAATTCCCCTTTTTTTTGTTC-3’:配列番号29)を使用した。次に、上記で得られたpCR-T_HIS3-P_TDH3-IDP2m-T_IDP2-ERO1_T-HOR7_P-AUR1-PDC1partを鋳型としてTDH3遺伝子のプロモーター領域、COX4遺伝子のミトコンドリア移行シグナル、IDP2遺伝子及びそのターミネーター領域、ERO1遺伝子のターミネーター領域、HOR7遺伝子のプロモーター領域、AUR1-C遺伝子ORF及びプロモーター・ターミネーター領域を含むDNA断片をPCRで増幅した。このPCRにはプライマーとしてTB2717とTB2859を使用した。得られたDNA断片と、IDH1遺伝子の5'上流・3'下流非翻訳領域及びpCR-Blunt II TOPOを含む領域のDNA断片とをIn-FusionTM Advantage PCR Cloning Kitを用いてクローニングした。得られたプラスミドをpCR-5U_IDH1-P_TDH3 -IDP2m-T_IDP2-ERO1_T-HOR7_P-AUR1-3U_IDH3と命名した。
<ミトコンドリア局在型IDP2遺伝子過剰発現、IDH1遺伝子ヘテロ破壊株の作製>
上記で得られたpCR-5U_IDH1-P_TDH3-IDP2m-T_IDP2-ERO1_T-HOR7_P-AUR1-3U_IDH3を鋳型として、ベクター部分のpCR-Blunt II TOPO以外のDNA断片をPCRで増幅した。PCRにはプライマーとしてTB2789とTB2791を使用した。OC2-T株をFrozen-EZ Yeast Transformation IIキットを用いて、増幅したDNA断片で形質転換した。形質転換後、オーレオバシジン(1.5μg/ml)を含むYPDとしたプレートにまいて、30℃で5日間培養し、形質転換体を得、Uz487株と命名した。なお、OC2-T株は2倍体のため、Uz487株はヘテロにIDH1遺伝子が破壊されている。
<細胞質局在型ILV3・ILV6・ADH2遺伝子過剰発現、PDC5遺伝子破壊用DNA断片の構築>
先ず、酵母OC2株のゲノムDNAを鋳型として、PDC5遺伝子とその5'上流・3'下流非翻訳領域とを含むDNA断片と、プラスミドpUC19を鋳型として、pUC19のマルチクローニングサイトで切断され、pUC19全長を含むDNA断片とをPCRで増幅した。なお、PCRに使用するプライマーは増幅した断片が約15bp重複するように設計した。
PDC5遺伝子とその5'上流・3'下流非翻訳領域とを含むDNA断片を増幅するPCRには、プライマーとしてTB1511(5’-AAGCCTCCACTGCCATCACT-3’:配列番号30)とTB1566(5’-AAAACCACTAAGTGACAAAGAACTACGC-3’:配列番号31)を使用した。pUC19のマルチクローニングサイトで切断され、pUC19全長を含むDNA断片を増幅するPCRには、プライマーとしてTB2204(5’-TCACTTAGTGGTTTTGATCCTCTAGAGTCGAC-3’:配列番号32)とTB2205(5’-TGGCAGTGGAGGCTTGATCCCCGGGTACCGAGC-3’:配列番号33)を使用した。PCRで増幅されたDNA断片をIn-FusionTMAdvantage PCR Cloning Kit(タカラバイオ社製)を用いてクローニングし、得られたプラスミドをpUC19-5U_PDC5-PDC5-3U_PDC5と命名した。
次に、得られたpUC19-5U_PDC5-PDC5-3U_PDC5を鋳型として、PDC5遺伝子の5'上流・3'下流非翻訳領域とpUC19を含む領域のDNA断片と、酵母BY4742株(Open Biosystems)のゲノムDNAを鋳型として、CYC1ターミネーター領域を含むDNA断片、TEF1プロモーター領域を含むDNA断片、ADH2遺伝子を含むDNA断片PCRで増幅した。なお、PCRに使用するプライマーは増幅した断片が約15bp重複するように設計した。
PDC5遺伝子の5'上流・3'下流非翻訳領域とpUC19を含む領域のDNA断片を増幅するPCRには、プライマーとしてTB2238(5’-GGGGCCTGTCTTAAGAGAAAGAGAGGAAAGGACTTACTAC-3’:配列番号34)とTB3048(5’-GGTTAAAGATTAGCTTCTAATATTTTAGGTGG-3’:配列番号35)を使用した。CYC1ターミネーター領域を含むDNA断片を増幅するPCRには、プライマーとしてTB2236とTB3189(5’-GCTATGGTGTGTGGGCTGCAGGAATTCGATATCAAGC-3’:配列番号36)を使用した。TEF1プロモーター領域を含むDNA断片を増幅するPCRには、プライマーとしてTB2210(5’-CCCACACACCATAGCTTCAAAATG-3’:配列番号37)とTB2123(5’-TAGATTGCTATGCTTTCTTTCTAATGAGC-3’:配列番号38)を使用した。ADH2遺伝子を含むDNA断片を増幅するPCRには、プライマーとしてTB1960(5’-AAGCATAGCAATCTAATCTAAAGAATGTCTATTCCAGAAACTCA-3’:配列番号39)とTB4023(5’-AGCTAATCTTTAACCCTTATTTAGAAGTGTCAACAACGTATC-3’:配列番号40)を使用した。PCRで増幅された4つのDNA断片をIn-FusionTMAdvantage PCR Cloning Kitを用いてクローニングし、得られたプラスミドをpUC19-5U_PDC5-T_CYC1-P_TEF1-ADH2-3U_PDC5と命名した。
次に、得られたpUC19-5U_PDC5-T_CYC1-P_TEF1-ADH2-3U_PDC5を鋳型として、ADH2遺伝子とPDC5遺伝子の3'下流非翻訳領域の間で切断され直鎖上になるDNA断片と、酵母BY4742株のゲノムDNAを鋳型として、HIS3ターミネーター領域を含むDNA断片、CYC1プロモーター領域を含むDNA断片、Appl Environ Microbiol. 71(5): 2789-2792記載のpBG418-LDHKCBを鋳型として、G418遺伝子を含むDNA断片をPCRで増幅した。なお、PCRに使用するプライマーは増幅した断片が約15bp重複するように設計した。
ADH2遺伝子とPDC5遺伝子の3'下流非翻訳領域の間で切断され直鎖上になるDNA断片を増幅するPCRには、プライマーとしてTB2126(5’-CTGCGGCCGGCCGCACTTATTTAGAAGTGTCAACAACGTATC-3’:配列番号41)とTB3048を使用した。HIS3ターミネーター領域を含むDNA断片を増幅するPCRには、プライマーとしてTB3345(5’-TGCGGCCGGCCGCAGCTTTGCAGAG-3’:配列番号42)とTB2490(5’-AGAGCGCGCCTCGTTCAG-3’:配列番号43)を使用した。CYC1プロモーター領域を含むDNA断片を増幅するPCRには、プライマーとしてTB1207(5’-AACGAGGCGCGCTCTACGACATCGTCGAATATGAT-3’:配列番号44)とTB2465(5’-TATTAATTTAGTGTGTGTATTTGTGTTTGTGTG-3’:配列番号45)を使用した。G418遺伝子を含むDNA断片を増幅するPCRには、プライマーとしてTB2776(5’-CACACTAAATTAATAATGAGCCATATTCAACGGG-3’:配列番号46)とTB4024(5’-AGCTAATCTTTAACCTTACAACCAATTAACCAATTCTG-3’:配列番号47)を使用した。PCRで増幅された4つのDNA断片をIn-FusionTMAdvantage PCR Cloning Kitを用いてクローニングし、得られたプラスミドをpUC19-5U_PDC5-T_CYC1-P_TEF1-ADH2-T_HIS3-P_CYC1-G418-3U_PDC5と命名した。
次に、得られたpUC19-5U_PDC5-T_CYC1-P_TEF1-ADH2-T_HIS3-P_CYC1-G418-3U_PDC5を鋳型として、G418遺伝子とPDC5遺伝子の3'下流非翻訳領域の間で切断され直鎖上になるDNA断片、URA3ターミネーター領域を含むDNA断片と、酵母OC2株のゲノムDNAを鋳型として、TDH2プロモーター領域を含むDNA断片、細胞質局在型のILV3遺伝子及びターミネーター領域を含むDNA断片をPCRで増幅した。ここで、細胞質局在型のILV3遺伝子とは、5'末端よりミトコンドリア移行シグナルと推定される19アミノ酸をコードする領域に代えてメチオニンをコードするコドンに置換した塩基配列からなる遺伝子である。ミトコンドリア移行シグナルは、予測プログラム「TargetP」を用いて推測した。なお、PCRに使用するプライマーは増幅した断片が約15bp重複するように設計した。
G418遺伝子とPDC5遺伝子の3'下流非翻訳領域の間で切断され直鎖上になるDNA断片を増幅するPCRには、プライマーとしてTB2122(5’-TTTAGTAGACATGCATTACAACCAATTAACCAATTCTG-3’:配列番号48)とTB3048を使用した。URA3ターミネーター領域を含むDNA断片を増幅するPCRには、プライマーとしてTB2121(5’-TGCATGTCTACTAAACTCACAAATTAGAGCTTCAATT-3’:配列番号49)とTB2026(5’-GCTCAGAATACCCGTCAAGGGGTAATAACTGATATAATTAAATTGAAG-3’:配列番号50)を使用した。TDH2プロモーター領域を含むDNA断片を増幅するPCRには、プライマーとしてTB2704とTB2595を使用した。細胞質局在型のILV3遺伝子及びターミネーター領域を含むDNA断片を増幅するPCRには、プライマーとして、TB2014(5’-AACAAACAAAACAAAATGGCAAAGAAGCTCAACAAGTAC-3’:配列番号51)とTB4025(5’-AGCTAATCTTTAACCATTTCGTAGATTATAATTAAGGCGAC-3’:配列番号52)を使用した。PCRで増幅された4つのDNA断片をIn-FusionTMAdvantage PCR Cloning Kitを用いてクローニングし、得られたプラスミドをpUC19-5U_PDC5-T_CYC1-P_TEF1-ADH2-T_HIS3-P_CYC1-G418-T_URA3-P_TDH2-ILV3c-T_ILV3-3U_PDC5と命名した。
次に、得られたpUC19-5U_PDC5-T_CYC1-P_TEF1-ADH2-T_HIS3-P_CYC1-G418-T_URA3-P_TDH2-ILV3c-T_ILV3-3U_PDC5を鋳型として、ILV3ターミネーター領域を含むDNA断片とPDC5遺伝子の3'下流非翻訳領域を含むDNA断片との間で切断され直鎖上になるDNA断片と、酵母OC2株のゲノムDNAを鋳型として、細胞質局在型のILV6遺伝子及びターミネーター領域を含むDNA断片と、PDC1プロモーター領域を含むDNA断片とをPCRで増幅した。ここで、細胞質局在型のILV6遺伝子とは、5'末端よりミトコンドリア移行シグナルと推定される40アミノ酸をコードする領域に代えてメチオニンをコードするコドンに置換した塩基配列からなる遺伝子である。ミトコンドリア移行シグナルは、予測プログラム「TargetP」を用いて推測した。なお、PCRに使用するプライマーは増幅した断片が約15bp重複するように設計した。
ILV3ターミネーター領域を含むDNA断片とPDC5遺伝子の3'下流非翻訳領域を含むDNA断片との間で切断され直鎖上になるDNA断片を増幅するPCRには、プライマーとしてTB3052(5’-ATTTCGTAGATTATAATTAAGGCGACTTTTC-3’:配列番号53)とTB2237(5’-CACGGTGGAAGAAGGGGTTAAAGATTAGCTTCTAATATTTTAGG-3’:配列番号54)を使用した。細胞質局在型のILV6遺伝子及びターミネーター領域を含むDNA断片を増幅するPCRには、プライマーとしてTB4022(5’-TATAATCTACGAAATTAATAAGAAAGGTGACCGTG-3’:配列番号55)とTB2015(5’-GTCAAATCAATCAAAATGGCAACAAGACCTCCCTTG-3’:配列番号56)を使用した。PDC1プロモーター領域を含むDNA断片を増幅するPCRには、プライマーとしてTB2010(5’-TTTGATTGATTTGACTGTGTTATTTTGC-3’:配列番号57)とTB2057(5’-CCTTCTTCCACCGTGTCAAGC-3’:配列番号58)を使用した。PCRで増幅された4つのDNA断片をIn-FusionTMAdvantage PCR Cloning Kitを用いてクローニングし、得られたプラスミドをpUC19-5U_PDC5-T_CYC1-P_TEF1-ADH2-T_HIS3-P_CYC1-G418-T_URA3-P_TDH2-ILV3c-T_ILV3- ILV6_T-ILV6c-PDC1_P-3U_PDC5と命名した。
<細胞質局在型ILV5・ILV2・ARO10遺伝子過剰発現、PDC5遺伝子破壊用DNA断片の作成>
次に、pUC19-5U_PDC5-PDC5-3U_PDC5を鋳型として、PDC5遺伝子の5'上流・3'下流非翻訳領域とpUC19を含む領域のDNA断片と、酵母OC2株のゲノムDNAを鋳型として、TDH3ターミネーター領域を含むDNA断片、細胞質局在型のILV5遺伝子及びターミネーター領域を含むDNA断片、細胞質局在型のILV2遺伝子及びターミネーター領域を含むDNA断片をPCRで増幅した。ここで、細胞質局在型のILV5遺伝子とは、5'末端よりミトコンドリア移行シグナルと推定される34アミノ酸をコードする領域に代えてメチオニンをコードするコドンに置換した塩基配列からなる遺伝子である。細胞質局在型のILV2遺伝子とは、5'末端よりミトコンドリア移行シグナルと推定される54アミノ酸をコードする領域に代えてメチオニンをコードするコドンに置換した塩基配列からなる遺伝子である。ミトコンドリア移行シグナルは、予測プログラム「TargetP」を用いて推測した。なお、PCRに使用するプライマーは増幅した断片が約15bp重複するように設計した。
PDC5遺伝子の5'上流・3'下流非翻訳領域とpUC19を含む領域のDNA断片を増幅するPCRには、プライマーとしてTB2739(5’-AGAAAGAGAGGAAAGGACTTACTACAGTATATTG-3’:配列番号59)とTB3048を使用した。TDH3ターミネーター領域を含むDNA断片を増幅するPCRには、プライマーとしてTB2738(5’-CTTTCCTCTCTTTCTCTATTTTCGAGGACCTTGTCACC-3’:配列番号60)とTB3061(5’-ACGGGCAGCTGGCATTTTGTTTGTTTATGTGTGTTTATTCGAAAC-3’:配列番号61)を使用した。細胞質局在型のILV5遺伝子及びターミネーター領域を含むDNA断片を増幅するPCRには、プライマーとしてTB3060(5’-ATGCCAGCTGCCCGTTTC-3’:配列番号62)とTB4026(5’-AACCGCTTTATAGAATATGTACACGTATATGTGACGAG-3’:配列番号63)を使用した。細胞質局在型のILV2遺伝子及びターミネーター領域を含むDNA断片を増幅するPCRには、プライマーとしてTB4027(5’-TTCTATAAAGCGGTTAAATTCGTATTGGC-3’:配列番号64)とTB4028(5’-AGCTAATCTTTAACCATGCCAGAGCCTGCTCCA-3’:配列番号65)を使用した。PCRで得られた4つのDNA断片をIn-FusionTMAdvantage PCR Cloning Kitを用いてクローニングし、得られたプラスミドをpUC19-5U_PDC5-P_TDH3-ILV5c-ILV2c-3U_PDC5と命名した。
次に、得られたpUC19-5U_PDC5-P_TDH3-ILV5c-ILV2c-3U_PDC5を鋳型として、ILV2遺伝子とPDC5遺伝子の3’下流非翻訳領域を含むDNA断片の間で切断され直鎖上になるDNA断片と、酵母OC2株のゲノムDNAを鋳型として、FBA1プロモーター領域を含むDNA断片と、ADH1プロモーター領域を含むDNA断片と、ARO10遺伝子を含むDNA断片とをPCRで増幅した。なお、PCRに使用するプライマーは増幅した断片が約15bp重複するように設計した。
ILV2遺伝子とPDC5遺伝子の3’下流非翻訳領域を含むDNA断片の間で切断され直鎖上になるDNA断片を増幅するPCRには、プライマーとしてTB2277(5’-TAATACATATTCAAAATGCCAGAGCCTGCTCCA-3’:配列番号66)とTB3048を使用した。FBA1プロモーター領域を含むDNA断片を増幅するPCRには、プライマーとしてTB2276(5’-TTTGAATATGTATTACTTGGTTATGGTTATATATGAC-3’:配列番号67)とTB3085(5’-ACTGGTAGAGAGCGACTTTGTATGC-3’:配列番号68)を使用した。ADH1プロモーター領域を含むDNA断片を増幅するPCRには、プライマーとしてTB2243(5’-CAAAGTCGCTCTCTACCAGTCGCTTTCAATTCATTTGGGTG-3’:配列番号69)とTB2298(5’-GGTGCCATTGTATATGAGATAGTTGA-3’:配列番号70)を使用した。ARO10遺伝子を含むDNA断片を増幅するPCRには、プライマーとしてTB2297(5’-ATATACAATGGCACCTGTTACAATT-3’:配列番号71)とTB4029(5’-AGCTAATCTTTAACCCTATTTTTTATTTCTTTTAAGTGCCG-3’:配列番号72)を使用した。PCRにより増幅した4つのDNA断片をIn-FusionTMAdvantage PCR Cloning Kitを用いてクローニングし、得られたプラスミドをpUC19-5U_PDC5-P_TDH3-ILV5c-T_ILV5-ILV2_T-ILV2c-P_FBA1-P_ADH1-ARO10-3U_PDC5と命名した。
次に、得られたpUC19-5U_PDC5-P_TDH3-ILV5cy-T_ILV5-ILV2_T-ILV2cy-P_FBA1-P_ADH1-ARO10-3U_PDC5を鋳型として、ARO10遺伝子とPDC5遺伝子の3'下流非翻訳領域を含むDNA断片の間で切断され直鎖上になるDNA断片と、酵母OC2株のゲノムDNAを鋳型として、CYC1ターミネーター領域を含むDNA断片、TEF1プロモーター領域を含むDNA断片をPCRで増幅した。なお、PCRに使用するプライマーは増幅した断片が約15bp重複するように設計した。
ARO10遺伝子とPDC5遺伝子の3'下流非翻訳領域を含むDNA断片の間で切断され直鎖上になるDNA断片を増幅するPCRには、プライマーとしてTB4030(5’-GGGGCCTGTCTTAAGCTATTTTTTATTTCTTTTAAGTGC-3’:配列番号73)とTB2245(5’-AATCTAATCTAAAGAGGTTAAAGATTAGCTTCTAATATTTTAGGTG-3’:配列番号74)を使用した。CYC1ターミネーター領域を含むDNA断片を増幅するPCRには、プライマーとしてTB2236(5’-CTTAAGACAGGCCCCTTTTCCTTTG-3’:配列番号75)とTB3189を使用した。TEF1プロモーター領域を含むDNA断片を増幅するPCRには、プライマーとしてTB2210とTB2269(5’-TCTTTAGATTAGATTGCTATGCTTTCTTTCTAATGAGCAAG-3’:配列番号76)を使用した。PCRにより得られた3つのDNA断片をIn-FusionTMAdvantage PCR Cloning Kitを用いてクローニングし、得られたプラスミドをpUC19-5U_PDC5- P_TDH3-ILV5c-T_ILV5-ILV2_T-ILV2c-P_FBA1-P_ADH1-ARO10-T_CYC1-P_TEF1-3U_PDC5と命名した。
<細胞質局在型ILV3・ILV6・ADH2・ILV5・ILV2・ARO10遺伝子過剰発現、PDC5遺伝子破壊株の作製>
上記で得られたpUC19-5U_PDC5-T_CYC1-P_TEF1-ADH2-T_HIS3-P_CYC1-G418-T_URA3-P_TDH2-ILV3c-T_ILV3- ILV6_T-ILV6c-PDC1_P-3U_PDC5を鋳型として、CYC1ターミネーター領域からPDC5遺伝子の3’下流非翻訳領域までのDNA断片と、pUC19-5U_PDC5- P_TDH3-ILV5c-T_ILV5-ILV2_T-ILV2c-P_FBA1-P_ADH1-ARO10-T_CYC1-P_TEF1-3U_PDC5を鋳型として、PDC5遺伝子の5’上流非翻訳領域からTEF1プロモーター領域までのDNA断片をPCRで増幅した。PCR用プライマーはそれぞれTB2236とTB1566、TB1511とTB2269を使用した。増幅した断片は、CYC1ターミネーター領域とTEF1プロモーター領域がそれぞれ配列が重複しているため、本断片を同時に形質転換した場合、PDC5遺伝子座5’上流非翻訳領域、CYC1ターミネーター領域かTEF1プロモーター領域、PDC5遺伝子座3’下流非翻訳領域の3か所で相同組換えが起こり、ゲノムに全ての遺伝子が導入される。OC2-T株をFrozen-EZ Yeast Transformation IIキットを用いて、増幅したDNA断片を形質転換した。形質転換後、G418(200μg/ml)を含むYPDとしたプレートにまいて、30℃で5日間培養し、形質転換体を得、Uz258株と命名した。
<細胞質局在型ILV3・ILV6・ADH2・ILV5・ILV2・ARO10・IDP2遺伝子過剰発現、PDC5遺伝子破壊株の作製>
上記で得られたpCR-5U_PDC6-T_HIS3-P_TDH3-Ble-T_URA3-PDC1part-5U_PDC6を鋳型として、ベクター部分のpCR-Blunt II TOPO以外のDNA断片をPCRで増幅した。PCR用プライマーはそれぞれTB0948とTB0735を使用した。上記で得られたUz258株をFrozen-EZ Yeast Transformation IIキットを用いて、増幅したDNA断片を形質転換した。形質転換後、ゼオシン(300μg/ml)を含むYPDとしたプレートにまいて、30℃で5日間培養し、形質転換体を得、Uz430株と命名した。
また、上記で得られたpCR-T_HIS3-P_TDH3-AUR1-C-P_TDH2-IDP2-T_URA3-PDC1partを鋳型として、ベクター部分のpCR-Blunt II TOPO以外のDNA断片をPCRで増幅した。PCR用プライマーはそれぞれTB1932とTB0115を使用した。Uz430をFrozen-EZ Yeast Transformation IIキットを用いて、増幅したDNA断片を形質転換した。形質転換後、オーレオバシジン(1.5μg/ml)を含むYPDとしたプレートにまいて、30℃で5日間培養し、形質転換体を得、Uz443株と命名した。
<発酵試験>
先ず、得られた形質転換体をYPD培地(イーストエキストラクト 10g/L、ペプトン 20g/Lグルコース20g/L)に植菌し、30℃で24時間震盪培養を行った。培養終了後、遠心分離(2000g、3分)により菌体を回収した。
次に、グルコース培地(グルコース200g/L、イーストエキス10g/L)10mlもしくは30mlを100ml容のフラスコに入れ、菌体濃度が菌体乾燥重量2.7g/Lになるように植菌し、80rpm/分(震とう幅35mm)34℃で発酵を行い、17時間と24時間の2回サンプリングを行った(結果としてはどちらか高い方の濃度を示した)。発酵液中のイソブタノールはガスクロマトグラフィ装置(GC-2010;島津製作所)を使用して下記条件にて測定した。
カラム:J&W 社製キャピラリーカラムDB-1(30m×内径0.32mm,膜厚1μm)
ガスクロマトグラフパラメータは以下の通りとした。カラム温度:40℃、平衡時間:2分、気化室温度:250℃、検出器温度:300℃、サンプリング時間:1分、スプリット:スプリットレス、キャリア圧力:58.9kPa、カラム流量:1.79ml/分、線速度:30cm/sec、全流量:4.8ml/分、オーブン温度:40℃(2分)→(5℃/分)→70℃→(50℃/分)→250℃(1分)
<結果・考察>
発酵試験の結果を図3及び4に示した。
図3に示すように、NADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼをコードするIDP2遺伝子をミトコンドリアで過剰発現させたUz251-17株は、イソブタノールの収率が向上した。一方、IDP2遺伝子をミトコンドリアで過剰発現させるとともにミトコンドリアに局在するNAD依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼIDHの1つのサブユニットをコードするIDH1遺伝子をヘテロに破壊したUz487株は、Uz251-17株と比較してイソブタノールの収率が更に向上していた。これは、ミトコンドリア内において、NAD依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼの酵素活性を下げ、相対的にNADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼの酵素活性を向上させることで、NADPHの供給量を増加させることができたことによると考えられる。
一方、イソブタノール生合成経路において、ピルビン酸から2-ケトイソ吉草酸までの生合成反応は、本来的にミトコンドリア内で進行する。本来的にミトコンドリアにて発現するイソブタノール生産経路遺伝子であるILV2遺伝子、ILV6遺伝子、ILV5遺伝子及びILV3遺伝子を細胞質で発現させたUz430株では、ピルビン酸から2-ケトイソ吉草酸までの生合成反応が細胞質で進行する。また、イソブタノール生産経路遺伝子であるILV2遺伝子、ILV6遺伝子、ILV5遺伝子及びILV3遺伝子並びにIPD2遺伝子を細胞質で発現させたUz443株では、Uz430株におけるイソブタノールの収率と比較してイソブタノールの収率が向上していた(図4)。この結果から、ピルビン酸から2-ケトイソ吉草酸までの生合成反応の進行する組織においてNADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現を強化することでイソブタノールの収率を改善できることがわかった。
〔参考例〕
本参考例では、実施例で使用したpCR-5U_PDC6-T_HIS3-P_TDH3-Ble-T_URA3-PDC1part-5U_PDC6の作製手順について説明する。このプラスミドは、上述した実施例において、IPD2遺伝子を過剰発現させるDNA断片を導入する土台となるプラスミドである。すなわち、実施例で作製したpCR-T_HIS3-P_TDH3-AUR1-C-P_TDH2-IDP2m-T_IDP2-PDC1partを鋳型とし、プライマーTB1932及びTB0115用いて増幅したDNA断片をOC2株のゲノムに導入するためには、相同組換え領域であるDNA断片の5'及び3'両末端の配列がそれぞれの染色体上の近傍な位置にある必要がある。そこで、HIS3遺伝子のターミネーター領域及びTDH3遺伝子のプロモーター領域を含むDNA断片と、PDC1遺伝子の一部を含むDNA断片とをPDC6遺伝子上流に導入するためのDNA断片を作製した。
先ず、酵母OC2株のゲノムを鋳型として、PDC6遺伝子5'上流非翻訳領域と一部PDC6遺伝子領域含むDNA断片を増幅し、Zero Blunt TOPO PCR Cloning Kitを使用してクローニングし、pCR-5U_PDC6と命名した。PCRにはプライマーとしてTB0948(5'-GTTGAAGTCGCCTGGTAGCC-3’:配列番号77)とTB0735(5'-CGGTGATCCCCTTGAAAAAG-3’:配列番号78)を使用した。
また、酵母OC2株のゲノムを鋳型として、HIS3遺伝子のターミネーター領域を含むDNA断片、TDH3遺伝子のプロモーター領域を含むDNA断片、URA3遺伝子のターミネーター領域を含むDNA断片、PDC1遺伝子の一部を含むDNA断片をPCRで増幅した。
HIS3遺伝子のターミネーター領域を含むDNA断片を増幅するPCRには、プライマーとしてTB1401(5'-TGCGGCCGGCCGCAGC-3’:配列番号79)とTB1433(5'-CGCTAACATTCAACGCTAAGAGCGCGCCTCGTTC-3’:配列番号80)を使用した。TDH3遺伝子のプロモーター領域を含むDNA断片を増幅するPCRには、プライマーとしてTB2717(5'-TAGCGTTGAATGTTAGCGTCAACAAC-3’:配列番号81)とTB1928(5'-TTTGTTTGTTTATGTGTGTTTATTCGAAAC-3’:配列番号82)を使用した。URA3遺伝子のターミネーター領域を含むDNA断片を増幅するPCRには、プライマーとしてTB2121(5'-TGCATGTCTACTAAACTCACAAATTAGAGCTTCAATT-3’:配列番号83)とTB1672(5'-GTCGACCAAGTTAGCTGGGGGTAATAACTGATATAATTAAA-3’:配列番号84)を使用した。PDC1遺伝子の一部を含むDNA断片を増幅するPCRには、プライマーとしてTB2814とTB0115を使用した。
さらに、pBBLE-LDHKCB(Applied and Environmental Microbiology, 71, 2789-2792)を鋳型として、フレオマイシン耐性遺伝子をPCRで増幅した。このPCRにはプライマーとしてTB2100(5'-ACATAAACAAACAAAATGACCGACCAAGCGACG-3’:配列番号85)とTB0897(5'-AGTTTAGTAGACATGCATCATGAGATGCCTGCAAG-3’:配列番号86)を使用した。
さらにまた、pCR-5U_PDC6を鋳型として、PDC6遺伝子5'上流約700bpの部分で切断され直鎖上になるDNA断片をPCRで増幅した。このPCRにはプライマーとしてTB2105(5'-CTGCGGCCGGCCGCACTTCCAAGCATCTCATAAACC-3’:配列番号87)とTB4031(5'-ACATAAACAAACAAAGATGTACGATCGCCTGCAC-3’:配列番号88)を使用した。このPCRにより得られたDNA断片と、上述したHIS3遺伝子のターミネーター領域を含むDNA断片と、上述したTDH3遺伝子のプロモーター領域を含むDNA断片とを、In-FusionTM Advantage PCR Cloning Kitを用いてクローニングし、得られたプラスミドをpCR-5U_PDC6-T_HIS3-P_TDH3-3U_PDC6と命名した。
次に、得られたpCR-5U_PDC6-T_HIS3-P_TDH3-5U_PDC6を鋳型として、TDH3遺伝子のプロモーター領域とPDC6遺伝子5'上流非翻訳領域の配列の間で切断され直鎖上になるDNA断片をPCRで増幅した。このPCRにはプライマーとしてTB1928とTB2118(5'-GACGGTTCTTTGCAAGATGTACGATCGCCTGCAC-3’:配列番号89)を使用した。このPCRにより得られた本DNA断片と、上述したURA3遺伝子のターミネーター領域を含むDNA断片と、上述したフレオマイシン耐性遺伝子と、上述したPDC1遺伝子の一部を含むDNA断片とを、In-FusionTM Advantage PCR Cloning Kitを用いてクローニングし、得られたプラスミドをpCR-5U_PDC6-T_HIS3-P_TDH3-Ble-T_URA3-PDC1part-5U_PDC6と命名した。

Claims (6)

  1. イソブタノール生合成経路を有し、以下の(a)又は(b)のタンパク質をコードするNADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を過剰発現可能に導入した組換え酵母を培養し、
    (a) 配列番号2に示すアミノ酸配列からなるタンパク質、
    (b) 配列番号2に示すアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質からなり、NADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質
    培養物からイソブタノールを取得することを特徴とするイソブタノールの製造方法。
  2. 上記組換え酵母は、上記イソブタノール生合成経路において、補酵素としてNADPHを利用して2-アセト乳酸を2,3-ジヒドロキシイソ吉草酸とする反応を触媒するアセトヒドロキシ酸レダクトイソメラーゼが機能する細胞内組織において、上記NADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現を強化したものであることを特徴とする請求項1記載のイソブタノールの製造方法。
  3. 上記細胞内組織はミトコンドリアであることを特徴とする請求項2記載のイソブタノールの製造方法。
  4. 上記NADP依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子は、ミトコンドリア移行シグナルをコードする領域を有する遺伝子又は当該領域を付加した融合遺伝子であることを特徴とする請求項3記載のイソブタノールの製造方法。
  5. 上記組換え酵母は、上記イソブタノール生合成経路において、ピルビン酸から2-ケトイソ吉草酸までの経路に関与する酵素をコードする遺伝子群を細胞質内で発現させたものであることを特徴とする請求項2記載のイソブタノールの製造方法。
  6. 上記組換え酵母は、上記細胞内組織にて機能するNAD依存型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を欠損させたものであることを特徴とする請求項2記載のイソブタノールの製造方法。
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