JP5803530B2 - 太陽電池用集電シートの製造方法 - Google Patents
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Description
この発明は、太陽電池モジュールの内部において配線として使用される太陽電池用集電シートの製造方法に関する。
近年、環境問題に対する意識の高まりから、クリーンなエネルギー源としての太陽電池が注目されている。一般に、太陽電池を構成する太陽電池モジュールは、受光面側から、透明前面基板、表面側封止材シート、太陽電池素子、裏面側封止材シート、及び裏面保護シートが順に積層された構成であり、太陽光が上記太陽電池素子に入射することにより発電する機能を有している。
太陽電池モジュールの内部で発電を行う太陽電池素子は、通常、太陽電池モジュールの内部に複数枚設けられ、これらが直並列接続されることにより必要な電圧及び電流を得られるように構成されている。複数の太陽電池素子を太陽電池モジュールの内部で配線するために、例えば、配線パターンになる金属箔を基材である樹脂シートの表面に積層させた太陽電池用集電シートが使用される(特許文献1参照)。そして、金属箔からなる配線パターンと、太陽電池素子の出力電極とはハンダ加工により電気的に接合される。
太陽電池用集電シートの基材である樹脂シートの表面に配線パターンを設けるには、例えば、プリント配線基板と同様に、まず、基材の表面の全面に銅箔等からなる導電性基材を積層させ、その後、この導電性基材をフォトリソグラフィ法により所望の配線パターンとなるようにエッチング加工すればよい。
ところで、上記の導電性基材として一般的に用いられる銅箔の表面は、極めて酸化されやすい。そして、酸化された銅箔の表面は、ハンダに対する濡れ性に乏しく、ハンダ加工適正が著しく劣るものとなる。そのため、配線パターンとなる銅箔の表面には、防錆加工が必須である。
そこで、太陽電池用集電シートの配線パターンを形成する導電性基材として用いられる銅箔としては、クロム及び亜鉛を含むめっきによって表面に防錆保護層を形成した銅箔が広く用いられている(特許文献2参照)。
或いは、ニッケル含有量の比率を50%以上に限定したニッケル−亜鉛合金からなる表面処理層を表面に形成することにより、クロムフリーでありながら、防錆性を有する銅箔も提案されている(特許文献3参照)。
しかしながら、太陽電池用集電シートの配線パターンを形成する導電性基材として、特許文献2に記載の銅箔、即ち、クロム等を含むめっきによって表面に防錆保護層を形成した銅箔を用いた場合には、銅箔の酸化によるハンダに対する濡れ性の劣化を防止できる一方で、防錆保護層を形成する組成物、中でも、とりわけクロムが配線パターンのハンダに対する濡れ性に対して悪影響を及ぼし、太陽電池素子の電極と太陽電池用集電シートとのハンダによる接合の確実性が低下するという問題がある。
また、特許文献3に記載の銅箔は、ニッケルが、一般的にハンダ加工適性、即ちハンダに対する濡れ性に悪影響を及ぼす点については、何らの考慮もされていないものであり、又、クロムフリーとするために、高い配分比以上のニッケルを必須とする分、高コストである。
このように、太陽電池用集電シートの配線パターンに用いる銅箔からなる導電性基材には、防錆を目的とした表面処理として様々な処理が施されているが、それらはいずれも、一方では、太陽電池用集電シートの配線パターンに求められるハンダ加工適性に対しては好ましくない影響を及ぼすものである。導電性基材としての防錆性と配線パターンとなったときのハンダ加工適性を高いレベルで両立することのできる導電性基材が求められていたが、そのような導電性基材は未だ存在しない。そこで、ハンダ加工適性には、改善の余地を残しつつ、比較的低コストで入手可能な汎用品として、クロム等を含むめっきによる表面処理層を形成した銅箔からなる導電性基材が、広く用いられているのが現状であった。
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであり、銅箔において必須である防錆のための表面処理の態様に関わらず、良好なハンダ加工適性を備えた太陽電池用集電シートを製造することのできる太陽電池用集電シートの製造方法を提供すること、を課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、太陽電池用集電シートの製造工程において独自の工夫をすることにより、上記課題の解決が可能であることを見出した。即ち、所望の配線パターンとなるようにエッチング加工された導電性基材の表面から、化学研磨によって防錆のために銅箔表面に予め施された第1防錆保護層を完全除去する第1防錆保護層除去工程と、第1防錆保護層を完全除去した銅箔の表面に、新たに第2防錆保護層を形成する第2防錆保護層形成工程とを備え、且つ、第1防錆保護層除去工程と、第2防錆保護層形成工程とが、同一生産設備内で連続的に行われる製造方法により、銅箔製品において必須である防錆のための表面処理の態様に関わらず、極めて良好なハンダ加工適性を備えた太陽電池用集電シートを製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 太陽電池用集電シートの製造方法であって、銅箔の表面上に第1防錆保護層が形成されている導電性基材と、樹脂基材とを、積層して積層体を得る積層工程と、所望の配線パターンの形状にパターニングされたエッチングマスクを前記積層体の表面に作製した後にエッチング処理を行うことにより、前記エッチングマスクに覆われていない箇所の前記導電性基材を除去するエッチング工程と、前記銅箔の表面上から前記第1防錆保護層を除去する第1防錆保護層除去工程と、前記第1防錆保護層除去工程後に、前記銅箔上に、第2防錆保護層を形成する第2防錆保護層形成工程と、を備え、前記第1防錆保護層は、少なくとも、亜鉛又は錫、以外の防錆剤を含んでなり、前記第2防錆保護層は、亜鉛からなることを特徴とする太陽電池用集電シートの製造方法。
(2) 前記第1防錆保護層除去工程と、前記第2防錆保護層形成工程とが、同一生産設備内で連続的に行われることを特徴とする(1)に記載の太陽電池用集電シートの製造方法。
(3) 前記第1防錆保護層除去工程が酸性の洗浄剤を使用した化学研磨よって第1防錆保護層を除去する工程である(1)又は(2)に記載の太陽電池用集電シートの製造方法。
(4) 前記第2防錆保護層形成工程において形成される前記第2防錆保護層が、亜鉛からなる層であり、前記銅箔の表面上への亜鉛の付着量が0.5mg/m2を超えて20mg/m2以下である(1)から(3)のいずれかに記載の太陽電池用集電シートの製造方法。
(5) 前記第1防錆保護層がクロム及び亜鉛を含む層である(1)から(4)のいずれかに記載の太陽電池用集電シートの製造方法。
(6) 太陽電池モジュールの製造方法であって、(1)から(5)のいずれかに記載の太陽電池用集電シートの製造方法によって太陽電池用集電シートを製造する太陽電池用集電シート製造工程と、前記太陽電池用集電シート製造工程で製造された前記太陽電池用集電シートの配線パターンの表面に、太陽電池素子の電極をハンダ加工によって接合するハンダ接合工程と、前記ハンダ接合工程で接合された太陽電池素子と太陽電池用集電シートとからなる接合体と、太陽電池モジュールを構成するその他の部材とを、積層して一体化するモジュール一体化工程と、を備える太陽電池モジュールの製造方法。
本発明によれば、銅箔において必須である防錆のための表面処理の態様に関わらず、良好なハンダ加工適性を備えた太陽電池用集電シートを製造することができる太陽電池用集電シートの製造方法が提供される。一例として、クロム及び亜鉛による防錆保護層を形成した一般的に広く流通する低コストで入手可能な銅箔によっても、良好なハンダ加工性を備えた太陽電池用集電シートを製造することを可能とするものである。
以下、本発明の好ましい実施形態につき、図面を参照しながら説明する。まず、本発明の太陽電池用集電シートの製造方法によって製造することができる太陽電池用集電シート(以下、単に「太陽電池用集電シート」とも言う。)及び太陽電池用集電シートの製造に用いる導電性基材の構造について説明し、その後、太陽電池用集電シートの製造方法及び太陽電池用集電シートを用いた太陽電池モジュールの製造方法について説明する。
<太陽電池用集電シート>
まず、図1を参照しながら太陽電池用集電シートについて説明する。図1は、太陽電池用集電シートの模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線における縦断面図である。
まず、図1を参照しながら太陽電池用集電シートについて説明する。図1は、太陽電池用集電シートの模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線における縦断面図である。
太陽電池用集電シート1は、樹脂基材2の表面に配線パターン3が形成されたものである。太陽電池用集電シート1は、配線パターン3と、太陽電池素子の出力電極とをハンダ加工により電気的に接合することにより、太陽電池モジュールの内部で、複数の太陽電池素子間の電気配線を形成して太陽電池素子からの集電を行うものである。
樹脂基材2は、シート状に成型された樹脂である。ここで、シート状とはフィルム状を含む概念であり、本発明において両者に差はない。樹脂基材2を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系等が例示される。これらの中でも、ハンダ加工における良好な耐熱性を太陽電池用集電シート1に付与することができるとの観点からは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアミドイミド系樹脂、ポリイミド系樹脂等が好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等が最も好ましい。又、樹脂基材2は単層のシートに限らず、上記樹脂のうちの複数の異なる樹脂からなるシートを積層してなる複層の樹脂であってもよい。樹脂基材2の厚さは、太陽電池用集電シート1に要求される強度や薄さ等に応じて適宜設定すればよい。樹脂基材2の厚さは、特に限定されないが、一例として20〜250μmが挙げられる。
配線パターン3は、所望の配線形状(配線パターン)となるように太陽電池用集電シート1の表面に形成された電気配線である。配線パターン3は、少なくとも銅箔310からなる導電層と第2防錆保護層32とを備える。尚、本明細書においては、配線パターン3の構成材料である銅箔の表面に、当該銅箔が導電性基材の一部として樹脂基材に積層されるより前に予め形成されている防錆保護層を第1防錆保護層といい、第1防錆保護層を除去後に、当該銅箔の第1防錆保護層が形成されていた面に新たに設けられる防錆保護層のことを第2防錆保護層という。又、図1(b)に示す通り、配線パターン3の構成材料である導電性基材の背面に形成された背面処理層330bが銅箔310と樹脂基材2の間にそのまま残存していてもよい。
銅箔310からなる導電層は、配線パターン3に導電性を付与するための層である。導電層の厚さは、太陽電池用集電シート1に要求される耐電流の大きさ等に応じて適宜設定すればよい。導電層の厚さは、特に限定されないが、一例として10〜35μmが挙げられる。
第2防錆保護層32は、銅箔310の表面が酸化するのを抑制するために銅箔の表面に形成される金属薄膜層である。第2防錆保護層32を形成する金属としては、防錆性とハンダ加工適性を両立させうるものとして、亜鉛又は錫を用いることができる。
<導電性基材>
次に、図2を参照しながら、本発明の太陽電池用集電シートの製造方法において配線パターン3を構成する材料である導電性基材30について、説明する。図2は、太陽電池用集電シートの配線パターン形成用の導電性基材30の層構成を示す模式図である。
次に、図2を参照しながら、本発明の太陽電池用集電シートの製造方法において配線パターン3を構成する材料である導電性基材30について、説明する。図2は、太陽電池用集電シートの配線パターン形成用の導電性基材30の層構成を示す模式図である。
導電性基材30は、銅箔310の一方の面に第1防錆保護層330aが形成されてなる導電性の薄膜であり、後に詳しく説明する製造方法によって、太陽電池用集電シート1を製造する際に、配線パターン3を構成する基材として好適に用いることができるものである。
第1防錆保護層330aは、銅箔310の表面が酸化するのを抑制するために銅箔310の一方の面に薄膜形成された層であり、クロム、亜鉛、リン酸、ニッケル等を含有する無機系の防錆剤により形成することができる。これらの中でも特に広く採用されている第1防錆保護層330aの一例として、亜鉛及びクロムからなる防錆保護層を挙げることができる。
導電性基材30において第1防錆保護層330aの形成される側の面と反対側の面は、太陽電池用集電シート1の配線パターン3として用いられる際に、配線パターン3における樹脂基材2と接合する面となる。そのため第1防錆保護層330aの形成される面ほどの高い防錆性やハンダ加工性は求められないが、適当な防錆性を確保するために、第1防錆保護層330aと同様の組成からなる背面処理層330bが形成されることが好ましい。
本発明の太陽電池用集電シートの製造方法においては、第1防錆保護層330aは、後に詳しく説明する通り、その製造工程中において、完全に除去される。そのため、本発明の太陽電池用集電シートの製造方法においては、比較的低コストで入手可能である亜鉛及びクロムからなる防錆保護層を備える汎用的な導電性基材はもちろんのこと、少なくとも亜鉛又は錫、以外の防錆剤を含んでなる防錆保護層を備えるものであれば、導電性基材の防錆保護層の組成や態様に関わらず、ハンダ加工適性に優れた太陽電池用集電シートを製造することができる。
<太陽電池用集電シートの製造方法>
次に、図3(a)〜(f)を参照しながら本発明の太陽電池用集電シートの製造方法について説明する。図3(a)〜(f)は、本発明の太陽電池用集電シートの製造方法により太陽電池用集電シート1の配線パターン3が形成される様子を順次示す模式図である。
次に、図3(a)〜(f)を参照しながら本発明の太陽電池用集電シートの製造方法について説明する。図3(a)〜(f)は、本発明の太陽電池用集電シートの製造方法により太陽電池用集電シート1の配線パターン3が形成される様子を順次示す模式図である。
[積層工程]
図1(a)に示す通り、積層工程は、導電性基材30を、樹脂基材2と積層して積層体10を得る工程である。
図1(a)に示す通り、積層工程は、導電性基材30を、樹脂基材2と積層して積層体10を得る工程である。
樹脂基材2の表面に導電性基材30を接合させるには、公知の方法を特に制限なく使用することができる。このような方法としては、導電性基材30を接着剤によって樹脂基材2の表面に接着する方法が挙げられる。中でも、ウレタン系、ポリカーボネート系、エポキシ系等の接着剤を使用したドライラミネート法によって導電性基材30を樹脂基材2の表面に接着する方法が好ましい。
[エッチング工程]
エッチング工程は、所望の配線パターンの形状にパターニングされたエッチングマスク4を積層体10の表面に作製した後でエッチング処理を行うことにより、エッチングマスク4に覆われていない箇所における導電性基材30を除去する工程である。
エッチング工程は、所望の配線パターンの形状にパターニングされたエッチングマスク4を積層体10の表面に作製した後でエッチング処理を行うことにより、エッチングマスク4に覆われていない箇所における導電性基材30を除去する工程である。
この工程では、図2(b)に示すように、まず、積層体10の表面(即ち第1防錆保護層330aの表面)に所望の配線パターンの形状にパターニングされたエッチングマスク4が作製される。エッチングマスク4は、導電性基材30のうち、後に説明するエッチング処理において、将来、配線パターン3となる部分がエッチング液による腐食を免れるために設けられる。つまり、作製しようとする配線パターン3の平面視形状とエッチングマスク4の平面視形状は同一である。このようなエッチングマスク4を形成する方法は特に限定されず、例えば、フォトレジスト又はドライフィルムをフォトマスクを通して感光させた後で現像することにより積層体10表面にエッチングマスク4を形成してもよいし、インクジェットプリンター等の印刷技術により積層体10の表面にエッチングマスク4を形成してもよい。
エッチングマスク4は、後に説明する剥離工程において、アルカリ性の剥離液で剥離できることが必要である。このような観点からは、フォトレジスト又はドライフィルムを使用してエッチングマスク4を作製することが好ましい。
次に、エッチング工程におけるエッチング処理について説明する。この処理は、図2(c)に示すように、エッチングマスク4に覆われていない箇所における導電性基材30をエッチング液により除去する処理である。この処理を経ることにより、導電性基材30のうち、配線パターン3となる箇所以外の部分が除去されるので、樹脂基材2の表面には、所望とする配線パターン3の形状に、背面処理層330b、銅箔310及び第1防錆保護層330a、及びエッチングマスク4が残ることになる。
エッチング処理に使用されるエッチング液については、公知のものを特に制限なく使用することができる。エッチング処理に際しては、導電性基材30を構成する第1防錆保護層330a、銅箔310、背面処理層330bを一回の処理で除去してもよいし、各層を随時除去する処理を複数回に分けて行ってもよい。
[第1防錆保護層除去工程]
次に、第1防錆保護層除去工程について説明する。この工程は、銅箔310上の第1防錆保護層330aを除去する工程である。銅箔の酸化を確実に防ぐために、エッチング工程後に配線パターン3の形状となった銅箔310から除去することが好ましいが、エッチング工程の前に、以下に説明する方法で、第1防錆保護層330aを予め除去することもできる。以下においては、エッチング工程後に配線パターン3の形状となった銅箔310から除去する場合について説明する。
次に、第1防錆保護層除去工程について説明する。この工程は、銅箔310上の第1防錆保護層330aを除去する工程である。銅箔の酸化を確実に防ぐために、エッチング工程後に配線パターン3の形状となった銅箔310から除去することが好ましいが、エッチング工程の前に、以下に説明する方法で、第1防錆保護層330aを予め除去することもできる。以下においては、エッチング工程後に配線パターン3の形状となった銅箔310から除去する場合について説明する。
第1防錆保護層除去工程においては、銅箔310上の第1防錆保護層330aの除去と同時にエッチングマスク4を除去してもよいが、第1防錆保護層330aの除去に先駈けて、予め、アルカリ性の剥離液を使用して、エッチングマスク4を除去する剥離処理を別途行ってもよい。この場合は、アルカリ性の剥離液を使用してエッチングマスク4を除去することができる。アルカリ性の剥離液としては、一例として、苛性ソーダの水溶液が挙げられる。
この剥離処理により、図2(d)に示すように、エッチングマスク4が第1防錆保護層330aの表面から除去される。このとき、第1防錆保護層330aは、アルカリ性の剥離液によってその表面の一部が溶解されて、もとの第1防錆保護層330aよりも薄膜となる。
尚、この剥離処理内において、剥離液の温度を上げたり、或いは、剥離液の濃度を上げること等により、剥離条件を適宜調整して、第1防錆保護層330aの一部ではなく、その全てを銅箔310の表面から除去してもよい。この場合、この剥離処理が即ち第1防錆保護層除去工程となる。
第1防錆保護層除去工程は、上記の剥離処理によっても行うことができるが、第1防錆保護層330aを完全に除去するためには、化学研磨によって行うことがより好ましい。化学研磨は、従来公知の化学研磨液、即ち、硫酸、蟻酸、塩酸等及びその他溶剤を含有する酸性の洗浄剤によって、第1防錆保護層330aを洗浄することによって行うことができる。又、この洗浄剤は、有機或いは無機の防錆剤を含むものであってもよい。一例として、特開平6−112646に記載の硫酸と過酸化水素を含有する水溶液を好ましく用いることができる。尚、上述した通り、上記の剥離処理に加えて、この化学研磨を追加的に行ってもよいし、上記剥離処理を経ずに、この化学研磨によって、エッチングマスクと第1防錆保護層330aを一挙に除去することもできる。
この工程を経ることにより、図2(e)に示すように、第1防錆保護層330aが銅箔310の表面から完全に除去されて、銅箔310を構成する銅箔が配線パターン3の表面に露出する状態となる。
尚、第1防錆保護層除去工程と同時、或いは同工程終了後速やかに、次の第2防錆保護層形成工程に至るまでの間における銅箔表面の酸化の進行を抑制するために、例えば、ベンゾトリアゾール等の有機系の防錆剤による仮防錆処理を行ってもよい。
[第2防錆保護層形成工程]
次に、第2防錆保護層形成工程について説明する。この工程は、前記の第1防錆保護層除去工程において、第1防錆保護層330aが除去されて銅箔310を構成する銅箔が配線パターン3の表面に露出している状態となった銅箔310上に第2防錆保護層32を形成する工程である。
次に、第2防錆保護層形成工程について説明する。この工程は、前記の第1防錆保護層除去工程において、第1防錆保護層330aが除去されて銅箔310を構成する銅箔が配線パターン3の表面に露出している状態となった銅箔310上に第2防錆保護層32を形成する工程である。
第2防錆保護層32は、上記において説明した通り、銅箔310の表面に形成される亜鉛及び/又は錫からなる金属薄膜層である。配線パターン3の表面処理層として、防錆性とハンダ加工適性を兼ね備える点で好ましいものである。
第2防錆保護層32を形成する金属が亜鉛である場合、具体的には、銅箔310の表面上に第2防錆保護層32を形成する亜鉛の付着量は、好ましくは0.5mg/m2を超えて20mg/m2以下、より好ましくは0.5mg/m2を超えて6mg/m2以下である。銅箔上への亜鉛の付着量が0.5mg/m2以下の場合、銅箔に対する十分な防錆効果を得ることができない。また、亜鉛の付着量が20mg/m2を超えると、配線パターン3のハンダ加工適性が低下する。
この銅箔上への亜鉛の付着量は、層(薄膜)を形成させるには極めて小さい量である。そのため、このような量の亜鉛で形成された薄膜は、原子数個レベルの厚さであると考えられ、また、所々に膜の欠陥を生じていると考えられる。このような膜の欠陥が存在するために、第2防錆保護層32の下層に存在する銅箔310の銅が所々で露出していると考えられる。このような構成を有することにより、銅箔310である銅の防錆性とハンダ加工適正を両立することができるものと考えられる。
銅箔310の表面に亜鉛からなる第2防錆保護層32を形成させるため方法としては、めっきやスパッタ、蒸着によることができるが、上述した通りの極めて薄い層を均一に形成するために、無電解めっきによることが好ましい。無電解めっきは従来公知の方法を用いることができる。具体的には、銅箔310の表面を界面活性剤等で処理し、パラジウム等のめっき触媒を付与した後、亜鉛を含有する無電解めっき液に浸漬することで第2防錆保護層32を形成することが好ましい。上記説明した第2防錆保護層32における亜鉛の付着量については、処理液の温度、処理時間を調整することにより、適宜、好ましい範囲に調整すればよい。
尚、第2防錆保護層32に含まれる亜鉛の量は上記のように極めて微量である。このような微量の亜鉛を定量するには、予め面積の判っている第2防錆保護層32を酸やアルカリで溶解し、得られた溶液に含まれる亜鉛原子の量を原子吸光分析で定量すればよい。
第2防錆保護層32を形成する金属が錫である場合、錫の量は、0.005mg/m2を超える量であれば、上限は特に限定されない。第2防錆保護層32に含まれる錫の量が0.005mg/m2以下の場合、銅箔310に対する十分な防錆効果を得ることができない。一般に、錫はハンダの成分としても用いられていることからも明らかな通り、ハンダ加工適性を阻害するものではない。一方、錫は銅よりもイオン化傾向が高いため、錫の腐食が優先的に発生する。これにより、銅の腐食を防ぐことができるため、錫は、一定の防錆効果をも有するものでもある。以上より、第2防錆保護層32を形成する金属を錫とすることにより、ハンダ加工適性と防錆性を兼ね備えた太陽電池用集電シート1を製造することができる。
銅箔310の表面に錫からなる第2防錆保護層32を形成させるため方法としては、めっきやスパッタ、蒸着によることができるが、簡便な設備での生産が可能である、めっきによる形成が好ましく、具体的にはメッキ浴に浸漬することで形成を行うことによって、第2防錆保護層32を形成することが好ましい。
第2防錆保護層形成工程は、銅箔310の表面の酸化を防止するために、先行する第1防錆保護層除去工程の終了後、銅箔表面上の酸化が開始するより前に速やかに開始する。銅箔表面上の酸化が開始するより前とは、具体的には、外観上、酸化に起因する変色等の変化が起こっていない状態であればよく、このような状態であるうちに第2防錆保護層形成工程を開始することにより、製造工程中及び製造工程後における銅箔の酸化を防ぎ、良好なハンダ加工適性を備えた太陽電池用集電シートを製造することができる。
更に具体的には、第1防錆保護層除去工程と、第2防錆保護層形成工程とを、同一の生産設備内で連続的に行うことが好ましい。このようにすることで、第1防錆保護層除去工程後における銅箔の酸化をより確実に防ぐことができる。同一の生産設備内で、とは、文字通り単一の製造装置内で行う場合、及び、いわゆるインラインにおける連続的な生産形態において製造を行う場合を含むものであり、又、第1防錆保護層除去工程と、第2防錆保護層形成工程とを、酸素を遮断した状態で行える設備内で行うことが更に好ましい。
従来の太陽電池用集電シートの製造方法においては、導電性基材を構成する銅箔の酸化を防ぐために、銅箔の表面に形成される表面保護層は必須の構成要素であり、太陽電池用集電シートの製造の全工程において除去できないものとされていた。しかし、本発明の太陽電池用集電シートの製造方法においては、上述した通りの態様の製造工程とすることにより、製造工程中での表面保護層の除去を可能とし、それにより、導電性基材30の表面処理の態様の如何に関わらず、良好なハンダ加工適性を備えた太陽電池用集電シートを製造することを可能とした。
尚、本発明の太陽電池用集電シートの製造方法によって製造した太陽電池用集電シートは、いわゆるハンダショートが好適に抑制できるという優れた効果を奏する。即ち本発明の太陽電池用集電シート1は、ハンダの濡れ性に優れるため、配線間の絶縁部分へのハンダ残りがほとんどない。このため、本発明の太陽電池用集電シートは、特に、配線間ピッチが1mm以下の高密度配線においてはもちろん、例えば、100μm以下の高密度配線においても好適に用いることができる。
<太陽電池モジュールの製造方法>
上記の太陽電池用集電シートの製造方法によって製造された太陽電池用集電シート1を使用した太陽電池モジュールの製造方法も本発明の一つである。次に、この太陽電池モジュールの製造方法について図4及び図5を参照しながら説明する。図4は、太陽電池用集電シート1が太陽電池素子5に接合される様子を模式的に示す斜視図である。太陽電池モジュールの製造方法によって製造される太陽電池モジュール100の層構成を示す模式図である。
上記の太陽電池用集電シートの製造方法によって製造された太陽電池用集電シート1を使用した太陽電池モジュールの製造方法も本発明の一つである。次に、この太陽電池モジュールの製造方法について図4及び図5を参照しながら説明する。図4は、太陽電池用集電シート1が太陽電池素子5に接合される様子を模式的に示す斜視図である。太陽電池モジュールの製造方法によって製造される太陽電池モジュール100の層構成を示す模式図である。
[ハンダ接合工程]
図4に示す通り、本発明の太陽電池モジュールの製造方法によって太陽電池用集電シート1を製造する太陽電池用集電シート製造工程の後、太陽電池用集電シート1の配線パターン3の表面と、太陽電池素子5の電極とをハンダ加工によって接合する。具体的には、銅箔310を第2防錆保護層32を介して、太陽電池素子5の電極(図示せず)に対してハンダ加工によって接合する。これにより、太陽電池用集電シート1と太陽電池素子5とが電気的に接合され、太陽電池モジュール内部の電気配線となる。なお、太陽電池モジュール内部において、太陽電池用集電シート1による配線の他にも、必要に応じて、リボン線等による配線を行ってもよい。
図4に示す通り、本発明の太陽電池モジュールの製造方法によって太陽電池用集電シート1を製造する太陽電池用集電シート製造工程の後、太陽電池用集電シート1の配線パターン3の表面と、太陽電池素子5の電極とをハンダ加工によって接合する。具体的には、銅箔310を第2防錆保護層32を介して、太陽電池素子5の電極(図示せず)に対してハンダ加工によって接合する。これにより、太陽電池用集電シート1と太陽電池素子5とが電気的に接合され、太陽電池モジュール内部の電気配線となる。なお、太陽電池モジュール内部において、太陽電池用集電シート1による配線の他にも、必要に応じて、リボン線等による配線を行ってもよい。
ここで、太陽電池素子5の電極とは、太陽電池素子5が光を受けて発生させた電力を、太陽電池素子5の外部に出力するための電極である。特に限定されないが、この電極は、一例として、銀、又は銀化合物等で構成される。
太陽電池素子5の電極と、銅箔310の表面とを第2防錆保護層32を介してハンダ加工によって接合する際のハンダ加工において使用されるハンダは、従来公知のものを特に制限なく使用することができる。このようなハンダの一例としては、鉛−錫合金ハンダ、銀入りハンダ、無鉛ハンダ、錫−ビスマス、錫−ビスマス−銀、等が挙げられる。
また、本発明の太陽電池モジュールの製造方法においては、使用するハンダが、導電性の合金成分と、絶縁性の高い樹脂成分と、からなる合金/樹脂複合系ハンダであって、このハンダを太陽電池用集電シート面の略全面に塗布した後に太陽電池用集電シートと重ね、その後リフローして太陽電池用集電シートと加熱接合する際に、ハンダの樹脂成分を配線間に残しつつ、合金成分を配線パターン上に移行させて合金と樹脂とを相分離し、ハンダの合金成分で配線パターンと接合する方法を好適に用いることができる。即ち、この場合、リフローによって速やかに合金と樹脂とが分離する必要があるが、太陽電池用集電シート1は配線パターン部分の濡れ性に優れるので、合金部分の移行が速やかに起こる
[モジュール一体化工程]
図5に示す通り、太陽電池用集電シート1と太陽電池素子5との接合体は、必要に応じて、透明前面基板6、表面側封止材シート7、裏面側封止材シート8、及び裏面保護シート9等を組み合わせることにより、太陽電池モジュール100となる。
図5に示す通り、太陽電池用集電シート1と太陽電池素子5との接合体は、必要に応じて、透明前面基板6、表面側封止材シート7、裏面側封止材シート8、及び裏面保護シート9等を組み合わせることにより、太陽電池モジュール100となる。
図5に示す通り、太陽電池モジュール100は、太陽電池モジュールの表面側から、透明前面基板6、表面側封止材シート7、太陽電池素子5と太陽電池用集電シート1との接合体、裏面側封止材シート8、及び裏面保護シート9をこの順で重ねあわせ、真空熱ラミネート加工により一体化することにより製造することができる。
以上の太陽電池用集電シートの製造方法及び太陽電池モジュールの製造方法によれば、以下のような効果を奏する。
(1) 太陽電池用集電シートの配線パターンに用いる銅箔からなる導電性基材には、防錆を目的とした表面処理が必須であるが、そのような処理は、一方では、太陽電池用集電シートの配線パターンに求められるハンダ加工適性に対して好ましくない影響を及ぼすものであった。そこで、本発明に係る太陽電池用集電シートの製造方法においては、太陽電池用集電シートの製造工程に独自の工夫をすることによりこの問題を解決した。即ち、太陽電池用集電シートの製造方法を、積層工程と、エッチング工程と、銅箔表面上から第1防錆保護層を除去する第1防錆保護層除去工程と、第1防錆保護層除去工程後に、銅箔上に、第2防錆保護層を形成する第2防錆保護層形成工程と、を備え、第1防錆保護層は、少なくとも、亜鉛又は錫、以外の防錆剤を含んでなり、第2防錆保護層は、亜鉛及び/又は錫からなることを特徴とする製造方法とした。これにより、太陽電池用集電シートの製造工程中における第1防錆保護層の完全除去と、その後の工程における第2防錆保護層の形成を可能とした。よって、防錆のための表面処理の態様の如何に関わらずに、良好なハンダ加工適性を備えた太陽電池用集電シートを製造することができる。
(2) 又、第1防錆保護層除去工程と、第2防錆保護層形成工程とが、同一生産設備内で連続的に行われる製造方法とした。これにより、第1防錆保護層除去工程後における銅箔の酸化をより確実に防ぐことができる。
(3) 又、第1防錆保護層除去工程を酸性の洗浄剤を使用した化学研磨よって第1防錆保護層を除去する工程とした。これにより、第1防錆保護層の除去を、より完全に行うことができる。
(4) 又、第2防錆保護層が、亜鉛からなる層であり、銅箔表面上への亜鉛の付着量を0.5mg/m2を超えて20mg/m2以下とした。これにより、導電層を構成する銅箔の防錆性とハンダ加工適正を両立することができる。よって、良好なハンダ加工適性を備えた太陽電池用集電シートを製造することができる。
(5) 又、第1防錆保護層をクロム及び亜鉛を含む層とした。これにより、比較的低コストで入手可能である汎用的な導電性基材を用いた場合であっても、ハンダ加工適性に優れた太陽電池用集電シートを製造することができる。
(6) 又、上記製造方法によって太陽電池用集電シートを製造する太陽電池用集電シート製造工程と、前記太陽電池用集電シート製造工程で製造された前記太陽電池用集電シートの配線パターンの表面に、太陽電池素子の電極をハンダ加工によって接合するハンダ接合工程と、前記ハンダ接合工程で接合された太陽電池素子と太陽電池用集電シートとからなる接合体と、太陽電池モジュールを構成するその他の部材とを、積層して一体化するモジュール一体化工程と、を備える太陽電池モジュールの製造方法によれば、太陽電池用集電シートが良好なハンダ加工適性を備えるものであることにより、ハンダショートが好適に抑制でき、又、耐久性においても優れた太陽電池モジュールを製造することができる。
以上、本発明の太陽電池用集電シートの製造方法、太陽電池モジュールの製造方法について、その実施態様を示して具体的に説明したが、本発明は上記実施態様に限定されるものでなく、本発明の構成の範囲において適宜変更を加えて実施することができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<試験例1>
実施例、比較例、及び参考例として、下記の通り、太陽電池用集電シートの評価用試料(以下、単に「試料」とも言う。)を作成し、各々の試料について、ハンダ加工適性と防錆性を評価した。
実施例、比較例、及び参考例として、下記の通り、太陽電池用集電シートの評価用試料(以下、単に「試料」とも言う。)を作成し、各々の試料について、ハンダ加工適性と防錆性を評価した。
[積層工程]
実施例、比較例1〜3、及び参考例1、2の試料を作成するために、下記の樹脂基材に下記の導電性基材をドライラミネート法により積層して積層体とした。
樹脂基材:シート状に成型されたポリエチレンナフタレート(PEN)(厚さ50μm)。
導電性基材:25μmの銅箔の表面に亜鉛めっきによる付着量20mg/m2の亜鉛層、及びクロムめっきによる付着量2mg/m2のクロム層が、第1防錆保護層として形成されているもの。
実施例、比較例1〜3、及び参考例1、2の試料を作成するために、下記の樹脂基材に下記の導電性基材をドライラミネート法により積層して積層体とした。
樹脂基材:シート状に成型されたポリエチレンナフタレート(PEN)(厚さ50μm)。
導電性基材:25μmの銅箔の表面に亜鉛めっきによる付着量20mg/m2の亜鉛層、及びクロムめっきによる付着量2mg/m2のクロム層が、第1防錆保護層として形成されているもの。
[エッチング工程]
更に、これらの積層体の表面にドライフィルムを使用して、厚さ15μm、幅150mm、長さ150mmのエッチングマスクを作製した。その後、温度45℃、濃度250g/Lの塩化第2鉄水溶液をエッチング液として、上記エッチングマスクが形成された積層体をこのエッチング液に約2分間浸漬し、次いで、純水で洗浄した。これにより、エッチングマスクで被覆されていない箇所の導電性基材が除去された。
更に、これらの積層体の表面にドライフィルムを使用して、厚さ15μm、幅150mm、長さ150mmのエッチングマスクを作製した。その後、温度45℃、濃度250g/Lの塩化第2鉄水溶液をエッチング液として、上記エッチングマスクが形成された積層体をこのエッチング液に約2分間浸漬し、次いで、純水で洗浄した。これにより、エッチングマスクで被覆されていない箇所の導電性基材が除去された。
[剥離処理]
次に、剥離処理として、上記エッチング工程を経た積層体を、温度40℃、濃度1.0g/Lの苛性ソーダ水溶液である剥離液に、表1記載の時間だけ浸漬した。次いで、純水で洗浄した。これにより、銅箔からなる導電層及び亜鉛からなる表面処理層が形成された幅150mm、長さ150mmの配線パターンが基材の表面に形成された。
次に、剥離処理として、上記エッチング工程を経た積層体を、温度40℃、濃度1.0g/Lの苛性ソーダ水溶液である剥離液に、表1記載の時間だけ浸漬した。次いで、純水で洗浄した。これにより、銅箔からなる導電層及び亜鉛からなる表面処理層が形成された幅150mm、長さ150mmの配線パターンが基材の表面に形成された。
[第1防錆保護層除去工程]
次に、第1防錆保護層除去工程として、上記剥離処理を経た積層体の導電性基材表面に形成されている第1防錆保護層を化学研磨処理により除去した。化学研磨処理は、硫酸15〜20%、過酸化水素水10〜15%の洗浄剤の原液(メック株式会社製 メックブライト CA−5330Hを使用)をイオン交換水にて2倍希釈後、常温にて30秒間浸漬することにより行った。但し、比較例1の試料とする積層体については、この第1防錆保護層除去工程を行わなかった。
次に、第1防錆保護層除去工程として、上記剥離処理を経た積層体の導電性基材表面に形成されている第1防錆保護層を化学研磨処理により除去した。化学研磨処理は、硫酸15〜20%、過酸化水素水10〜15%の洗浄剤の原液(メック株式会社製 メックブライト CA−5330Hを使用)をイオン交換水にて2倍希釈後、常温にて30秒間浸漬することにより行った。但し、比較例1の試料とする積層体については、この第1防錆保護層除去工程を行わなかった。
[第2防錆保護層形成工程]
次に、第2防錆保護層形成工程として、上記第1防錆保護層除去工程を経た実施例、及び比較例2、参考例1、2の試料とする積層体の導電性基材表面に、無電解めっきにより第2防錆保護層を形成した。無電解めっきは、40℃の亜鉛メッキ液に、それぞれ表1に示す時間だけ浸漬することにより行った。尚、実施例及び参考例1、2については、この第2防錆保護層形成工程を、第1防錆保護層除去工程終了後1分後に連続して行い、比較例2については第1防錆保護層除去工程終了後3時間放置後に行った。
次に、第2防錆保護層形成工程として、上記第1防錆保護層除去工程を経た実施例、及び比較例2、参考例1、2の試料とする積層体の導電性基材表面に、無電解めっきにより第2防錆保護層を形成した。無電解めっきは、40℃の亜鉛メッキ液に、それぞれ表1に示す時間だけ浸漬することにより行った。尚、実施例及び参考例1、2については、この第2防錆保護層形成工程を、第1防錆保護層除去工程終了後1分後に連続して行い、比較例2については第1防錆保護層除去工程終了後3時間放置後に行った。
第2防錆保護層形成工程を経た実施例、比較例2、及び参考例1、2の試料について、第2防錆保護層に含まれる亜鉛の量を原子吸光分析により測定した。結果を表1に示す。尚、第1防錆保護層を除去しなかった比較例1の試料について防錆保護層の表層に含まれるクロムの量を原子吸光分析により定量したところ、クロムの付着量は2mg/m2であった。
以上の通り作成した実施例、比較例及び参考例の各試料について、ハンダ密着適性を試験した。試験に使用したハンダは、合金成分として錫42%、ビスマス57%、銀1%を含むものであり(タムラ化研株式会社製の形式TCAP―5405)、太陽電池用集電シート面の全面にハンダを塗布した後、太陽電池用集電シートをホットプレートでハンダ溶融温度である160から170℃となるように加熱溶融さえた。これにより、ハンダの合金成分は、太陽電池用集電シートの配線パターン部分に移行した。ハンダ密着適性の評価は、目視により行い、以下の基準に従った。結果を表1に示す。
○:ハンダが配線パターンに広がり、良好な濡れ性を示した
△:ハンダが配線パターンの表面に盛り上がるように付着したが、密着性は良好だった
×:ハンダが配線パターンの表面に盛り上がるように付着し、密着性は不良だった
○:ハンダが配線パターンに広がり、良好な濡れ性を示した
△:ハンダが配線パターンの表面に盛り上がるように付着したが、密着性は良好だった
×:ハンダが配線パターンの表面に盛り上がるように付着し、密着性は不良だった
以上の通り作成した実施例、比較例及び参考例の各試料について、防錆性を試験した。試験は、各試料について、85℃、85%RHで24時間放置することにより行い、防錆性の評価は、目視により行い、以下の基準に従った。
○:配線パターンの表面に曇りを生じない
△:配線パターンの表面の金属光沢がやや低下した
×:配線パターンが部分的に変色した
○:配線パターンの表面に曇りを生じない
△:配線パターンの表面の金属光沢がやや低下した
×:配線パターンが部分的に変色した
表1に示すように、本発明の製造方法によって製造された実施例の試料は、好ましいハンダ密着適性及び好ましい防錆性を兼ね備えるものであるのに対して、本発明の製造方法の構成要件のいずれかを欠く製造方法で製造した比較例1〜3では、ハンダ密着適性又は防錆性のいずれかを満足できないことがわかる。又、参考例1、2の評価結果から、第2防錆保護層に含まれる亜鉛の含有量は、0.5mg/m2を超えて20mg/m2以下であることが、好ましいことが分かる。以上より、本発明の製造方法によって製造した太陽電池用集電シートの有用性を確認することができる。
1 太陽電池用集電シート
10 積層体
100 太陽電池モジュール
2 樹脂基材
3 配線パターン
30 導電性基材
310 銅箔
32 第2防錆保護層
330a 第1防錆保護層
330b 背面処理層
4 エッチングマスク
5 太陽電池素子
6 透明前面基板
7 表面側封止材シート
8 裏面側封止材シート
9 裏面保護シート
10 積層体
100 太陽電池モジュール
2 樹脂基材
3 配線パターン
30 導電性基材
310 銅箔
32 第2防錆保護層
330a 第1防錆保護層
330b 背面処理層
4 エッチングマスク
5 太陽電池素子
6 透明前面基板
7 表面側封止材シート
8 裏面側封止材シート
9 裏面保護シート
Claims (6)
- 太陽電池用集電シートの製造方法であって、
銅箔の表面上に第1防錆保護層が形成されている導電性基材と、樹脂基材とを、積層して積層体を得る積層工程と、
所望の配線パターンの形状にパターニングされたエッチングマスクを前記積層体の表面に作製した後にエッチング処理を行うことにより、前記エッチングマスクに覆われていない箇所の前記導電性基材を除去するエッチング工程と、
前記銅箔の表面上から前記第1防錆保護層を除去する第1防錆保護層除去工程と、
前記第1防錆保護層除去工程後に、前記銅箔上に、第2防錆保護層を形成する第2防錆保護層形成工程と、を備え、
前記第1防錆保護層は、少なくとも、亜鉛又は錫、以外の防錆剤を含んでなり、前記第2防錆保護層は、亜鉛からなることを特徴とする太陽電池用集電シートの製造方法。 - 前記第1防錆保護層除去工程と、前記第2防錆保護層形成工程とが、同一生産設備内で連続的に行われることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用集電シートの製造方法。
- 前記第1防錆保護層除去工程が酸性の洗浄剤を使用した化学研磨よって第1防錆保護層を除去する工程である請求項1又は2に記載の太陽電池用集電シートの製造方法。
- 前記第2防錆保護層形成工程において形成される前記第2防錆保護層が、亜鉛からなる層であり、前記銅箔の表面上への亜鉛の付着量が0.5mg/m2を超えて20mg/m2以下である請求項1から3のいずれかに記載の太陽電池用集電シートの製造方法。
- 前記第1防錆保護層がクロム及び亜鉛を含む層である請求項1から4のいずれかに記載の太陽電池用集電シートの製造方法。
- 太陽電池モジュールの製造方法であって、
請求項1から5のいずれかに記載の太陽電池用集電シートの製造方法によって太陽電池用集電シートを製造する太陽電池用集電シート製造工程と、
前記太陽電池用集電シート製造工程で製造された前記太陽電池用集電シートの配線パターンの表面に、太陽電池素子の電極をハンダ加工によって接合するハンダ接合工程と、
前記ハンダ接合工程で接合された太陽電池素子と太陽電池用集電シートとからなる接合体と、太陽電池モジュールを構成するその他の部材とを、積層して一体化するモジュール一体化工程と、を備える太陽電池モジュールの製造方法。
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