JP2019178418A - 金属材、プリント配線板、プリント配線板の製造方法及び電子機器の製造方法 - Google Patents

金属材、プリント配線板、プリント配線板の製造方法及び電子機器の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】埋め込み法によってプリント配線板等の回路埋め込み基板(ETS, Embedded Trace Substrate)を作製する際の回路の微細配線形成性が良好となる金属材、良好な微細配線が形成されたプリント配線板及びその製造方法、更に当該プリント配線板を用いた電子機器の製造方法を提供する。【解決手段】少なくとも一方の表面が以下の(A)および(B)の内一つまたは二つを満たす金属材。(A)表面の算術平均うねりWaが0.052μm以上0.500μm以下である、(B)表面の二乗平均平方根うねりWqが0.060μm以上0.550μm以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、金属材、プリント配線板、プリント配線板の製造方法及び電子機器の製造方法に関する。
プリント配線板はここ半世紀に亘って大きな進展を遂げ、今日ではほぼすべての電子機器に使用されるまでに至っている。近年の電子機器の小型化、高性能化ニーズの増大に伴い搭載部品の高密度実装化や信号の高周波化が進展し、プリント配線板に対して導体パターンの微細化(ファインピッチ化)や高周波対応等が求められており、特にプリント配線板上にICチップを載せる場合、ラインアンドスペースパターンにおけるL(ライン)/S(スペース)=20μm/20μm以下のファインピッチ化が求められている。
また、近年、プリント配線板の作製方法について、それぞれ目的に応じて種々のものが開発・利用されている。例えば、銅箔等の金属材の表面に回路めっきを形成し、当該形成した回路めっきを覆うように(回路めっきが埋没するように)金属材上に埋め込み樹脂を設けて樹脂層を積層し、樹脂層の所定位置に穴あけを行い、回路めっきを露出させてブラインドビアを形成して積層体の複数の層間で回路や配線を導通させる、いわゆる埋め込み法によってプリント配線板等の回路埋め込み基板(ETS, Embedded Trace Substrate)が作製されている(特許文献1)。
特開2017−140838号公報
回路埋め込み基板等では、銅箔等の金属材の表面に回路めっきを形成するが、このとき、金属材の表面にドライフィルム(めっきレジスト)を積層し、続いて露光、現像を行うことで、パターンめっきを形成した後、ドライフィルムを剥離することで、回路を形成している。従来の金属材を使用して一定レベルの微細な導体パターンを形成することができるが、近年の更なる微細な導体パターンに対する要求に応えることができる回路の作製が可能な金属材が待ち望まれている。
本発明は、埋め込み法によってプリント配線板等の回路埋め込み基板(ETS, Embedded Trace Substrate)を作製する際の回路の微細配線形成性が良好となる金属材、良好な微細配線が形成されたプリント配線板及びその製造方法、更に当該プリント配線板を用いた電子機器の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、金属材の表面の算術平均うねりWa及び二乗平均平方根うねりWqの一方または両方を制御することで、上記課題が解決できることを見出した。
本発明は上記知見を基礎として完成したものであり、一側面において、以下の(A)および(B)の内一つまたは二つを満たす金属材である。
(A)前記表面の算術平均うねりWaが0.052μm以上0.500μm以下である、
(B)前記表面の二乗平均平方根うねりWqが0.060μm以上0.550μm以下である。
上記知見を基礎にして完成した本発明の実施形態は一側面において、少なくとも一方の表面が以下の(A)および(B)の内一つまたは二つを満たす金属材である。
(A)前記表面の算術平均うねりWaが0.052μm以上0.500μm以下である、
(B)前記表面の二乗平均平方根うねりWqが0.060μm以上0.550μm以下である。
また、本発明の実施形態は他の一側面において、導体パターンとしてラインアンドスペースパターンを有するプリント配線板であって、前記ラインアンドスペースパターンのライン/スペースが3μm/3μm以下であり、以下の式で表される配線直線性が12.00以下であるプリント配線板である。
配線直線性(−)=配線幅の標準偏差(μm)/配線幅の平均値(μm)×100
また、本発明の実施形態は他の一側面において、本発明の実施形態に係る金属材を用いてプリント配線板を製造するプリント配線板の製造方法である。
また、本発明の実施形態は他の一側面において、本発明の実施形態に係る金属材の前記表面に回路を形成する工程、前記回路が埋没するように前記金属材の前記表面に樹脂層を形成する工程、及び、前記金属材を除去することで、前記樹脂層に埋没している回路を露出させる工程を含むプリント配線板の製造方法である。
また、本発明の実施形態は他の一側面において、金属材をエッチングして本発明の実施形態に係る金属材を作製した後、前記金属材の前記表面に回路を形成する工程、前記回路が埋没するように前記金属材の前記表面に樹脂層を形成する工程、前記樹脂層上に回路を形成する工程、前記樹脂層上に回路を形成した後に、前記金属材を除去することで、前記樹脂層に埋没している回路を露出させる工程を含むプリント配線板の製造方法である。
また、本発明の実施形態は他の一側面において、本発明の実施形態に係るプリント配線板、或いは、本発明の実施形態に係る方法で製造されたプリント配線板を用いて電子機器を製造する電子機器の製造方法である。
本発明によれば、埋め込み法によってプリント配線板等の回路埋め込み基板を作製する際の回路の微細配線形成性が良好となる金属材、良好な微細配線が形成されたプリント配線板及びその製造方法、更に当該プリント配線板を用いた電子機器の製造方法を提供することができる。
A〜Cは、金属材を用いたプリント配線板の製造方法の具体例に係る、回路メッキ・レジスト除去までの工程における配線板断面の模式図である。 D〜Eは、金属材を用いたプリント配線板の製造方法の具体例に係る、樹脂及び2層目金属材積層からレーザー穴あけまでの工程における配線板断面の模式図である。 F〜Gは、金属材を用いたプリント配線板の製造方法の具体例に係る、ビアフィル形成から2層目の回路メッキまでの工程における配線板断面の模式図である。 H〜Iは、金属材を用いたプリント配線板の製造方法の具体例に係る、フラッシュエッチングからバンプ・銅ピラー形成までの工程における配線板断面の模式図である。 A〜Cは、キャリア付銅箔を用いたプリント配線板の製造方法の具体例に係る、回路メッキ・レジスト除去までの工程における配線板断面の模式図である。 D〜Fは、キャリア付銅箔を用いたプリント配線板の製造方法の具体例に係る、樹脂及び2層目キャリア付銅箔積層からレーザー穴あけまでの工程における配線板断面の模式図である。 G〜Iは、キャリア付銅箔を用いたプリント配線板の製造方法の具体例に係る、ビアフィル形成から1層目のキャリア剥離までの工程における配線板断面の模式図である。 J〜Kは、キャリア付銅箔を用いたプリント配線板の製造方法の具体例に係る、フラッシュエッチングからバンプ・銅ピラー形成までの工程における配線板断面の模式図である。 実施例の配線直線性の評価方法を説明するための回路の表面の観察写真の例である。 実施例の配線直線性の評価方法を説明するための回路の表面の観察写真の例である。 実施例の配線直線性の評価方法を説明するための回路の表面の観察写真の例である。
<金属材>
本発明において用いる金属材は、銅、銅合金、アルミ、アルミ合金、鉄、鉄合金、ニッケル、ニッケル合金、金、金合金、銀、銀合金、白金族、白金族合金、クロム、クロム合金、マグネシウム、マグネシウム合金、タングステン、タングステン合金、モリブデン、モリブデン合金、鉛、鉛合金、タンタル、タンタル合金、錫、錫合金、インジウム、インジウム合金、亜鉛、又は、亜鉛合金で形成されていてもよい。
銅としては、典型的には、JIS H0500やJIS H3100に規定されるリン脱酸銅(JIS H3100 合金番号C1201、C1220、C1221)、無酸素銅(JIS H3100 合金番号C1020)及びタフピッチ銅(JIS H3100 合金番号C1100)、電解銅箔などの95質量%以上、より好ましくは99.90質量%以上の純度の銅が挙げられる。また、銅として湿式めっきや乾式めっきによって製造された銅を使用することができる。Sn、Ag、Au、Co、Cr、Fe、In、Ni、P、Si、Te、Ti、Zn、B、MnおよびZrの中の一種以上を合計で0.001〜4.0質量%含有する銅又は銅合金とすることもできる。
銅合金としては、更に、リン青銅、コルソン合金、丹銅、黄銅、洋白、その他銅合金等が挙げられる。また、銅または銅合金としてはJIS H 3100〜JIS H3510、JIS H 5120、JIS H 5121、JIS C 2520〜JIS C 2801、JIS E 2101〜JIS E 2102に規格されている銅または銅合金も、本発明に用いることができる。なお、本明細書においては特に断らない限りは、金属の規格を示すために挙げたJIS規格は2001年度版のJIS規格を意味する。
リン青銅は典型的には、リン青銅とは銅を主成分としてSn及びこれよりも少ない質量のPを含有する銅合金のことを指す。一例として、りん青銅はSnを3.5〜11質量%、Pを0.03〜0.35質量%含有し、残部銅及び不可避的不純物からなる組成を有する。リン青銅は、Ni、Zn等の元素を合計で1.0質量%以下含有しても良い。
コルソン合金は典型的にはSiと化合物を形成する元素(例えば、Ni、Co及びCrの何れか一種以上)が添加され、母相中に第二相粒子として析出する銅合金のことをいう。一例として、コルソン合金はNiを0.5〜4.0質量%、Siを0.1〜1.3質量%含有し、残部銅及び不可避的不純物から構成される組成を有する。別の一例として、コルソン合金はNiを0.5〜4.0質量%、Siを0.1〜1.3質量%、Crを0.03〜0.5質量%含有し、残部銅及び不可避的不純物から構成される組成を有する。更に別の一例として、コルソン合金はNiを0.5〜4.0質量%、Siを0.1〜1.3質量%、Coを0.5〜2.5質量%含有し、残部銅及び不可避的不純物から構成される組成を有する。更に別の一例として、コルソン合金はNiを0.5〜4.0質量%、Siを0.1〜1.3質量%、Coを0.5〜2.5質量%、Crを0.03〜0.5質量%含有し、残部銅及び不可避的不純物から構成される組成を有する。更に別の一例として、コルソン合金はSiを0.2〜1.3質量%、Coを0.5〜2.5質量%含有し、残部銅及び不可避的不純物から構成される組成を有する。コルソン合金には随意にその他の元素(例えば、Mg、Sn、B、Ti、Mn、Ag、P、Zn、As、Sb、Be、Zr、Al及びFe)が添加されてもよい。これらその他の元素は総計で5.0質量%程度まで添加するのが一般的である。例えば、更に別の一例として、コルソン合金はNiを0.5〜4.0質量%、Siを0.1〜1.3質量%、Snを0.01〜2.0質量%、Znを0.01〜2.0質量%含有し、残部銅及び不可避的不純物から構成される組成を有する。
本発明において、丹銅とは、銅と亜鉛との合金であり亜鉛を1〜20質量%、より好ましくは亜鉛を1〜10質量%含有する銅合金のことをいう。また、丹銅は錫を0.1〜1.0質量%含んでも良い。
本発明において、黄銅とは、銅と亜鉛との合金で、特に亜鉛を20質量%以上含有する銅合金のことをいう。亜鉛の上限は特には限定されないが60質量%以下、好ましくは45質量%以下、あるいは40質量%以下である。
本発明において、洋白とは銅を主成分として、銅を60質量%から75質量%、ニッケルを8.5質量%から19.5質量%、亜鉛を10質量%から30質量%含有する銅合金のことをいう。
本発明において、その他銅合金とはZn、Sn、Ni、Mg、Fe、Si、P、Co、Mn、Zr、Ag、B、CrおよびTiの内一種または二種以上を合計で8.0質量%以下含み、残部が不可避的不純物と銅からなる銅合金をいう。
アルミ及びアルミ合金としては、例えばAlを40質量%以上含むあるいは、80質量%以上含む、あるいは99質量%以上含むものを使用することができる。例えば、JIS H 4000〜JIS H 4180、JIS H 5202、JIS H 5303あるいはJIS Z 3232〜JIS Z 3263に規格されているアルミ及びアルミ合金を用いることができる。例えば、JIS H 4000に規格されているアルミニウムの合金番号1085、1080、1070、1050、1100、1200、1N00、1N30に代表される、Al:99.00質量%以上のアルミニウム又はその合金等を用いることができる。
ニッケル及びニッケル合金としては、例えばNiを40質量%以上含むあるいは、80質量%以上含む、あるいは99.0質量%以上含むものを使用することができる。例えば、JIS H 4541〜JIS H 4554、JIS H 5701またはJIS G 7604〜 JIS G 7605、JIS C 2531に規格されているニッケルまたはニッケル合金を用いることができる。また、例えば、JIS H4551に記載の合金番号NW2200、NW2201に代表される、Ni:99.0質量%以上のニッケル又はその合金等を用いることができる。
鉄合金としては、例えば軟鋼、炭素鋼、鉄ニッケル合金、鋼等を用いることができる。例えばJIS G 3101〜JIS G 7603、JIS C 2502〜JIS C 8380、JIS A 5504〜JIS A 6514またはJIS E 1101〜JIS E 5402−1に記載されている鉄または鉄合金を用いることができる。軟鋼は、炭素が0.15質量%以下の軟鋼を用いることができ、JIS G3141に記載の軟鋼等を用いることができる。鉄ニッケル合金は、Niを35〜85質量%含み、残部がFe及び不可避不純物からなり、具体的には、JIS C2531に記載の鉄ニッケル合金等を用いることができる。
亜鉛及び亜鉛合金としては、例えばZnを40質量%以上含むあるいは、80質量%以上含む、あるいは99.0質量%以上含むものを使用することができる。例えば、JIS H 2107 〜 JIS H 5301に記載されている亜鉛または亜鉛合金を使用することができる。
鉛及び鉛合金としては、例えばPbを40質量%以上含むあるいは、80質量%以上含む、あるいは99.0質量%以上含むものを使用することができる。例えば、JIS H 4301 〜 JIS H 4312、またはJIS H 5601に規格されている鉛または鉛合金を用いることができる。
マグネシウム及びマグネシウム合金としては、例えばMgを40質量%以上含むあるいは、80質量%以上含む、あるいは99.0質量%以上含むものを使用することができる。例えば、JIS H 4201〜JIS H 4204、JIS H 5203〜JIS H 5303、JIS H 6125に規格されているマグネシウム及びマグネシウム合金を用いることができる。
タングステン及びタングステン合金としては、例えばWを40質量%以上含むあるいは、80質量%以上含む、あるいは99.0質量%以上含むものを使用することができる。例えば、JIS H 4463に規格されているタングステン及びタングステン合金を用いることができる。
モリブデン及びモリブデン合金としては、例えばMoを40質量%以上含むあるいは、80質量%以上含む、あるいは99.0質量%以上含むものを使用することができる。
タンタル及びタンタル合金としては、例えばTaを40質量%以上含むあるいは、80質量%以上含む、あるいは99.0質量%以上含むものを使用することができる。例えば、JIS H 4701に規格されているタンタル及びタンタル合金を用いることができる。
錫及び錫合金としては、例えばSnを40質量%以上含むあるいは、80質量%以上含む、あるいは99.0質量%以上含むものを使用することができる。例えば、JIS H 5401に規格されている錫及び錫合金を用いることができる。
インジウム及びインジウム合金としては、例えばInを40質量%以上含むあるいは、80質量%以上含む、あるいは99.0質量%以上含むものを使用することができる。
クロム及びクロム合金としては、例えばCrを40質量%以上含むあるいは、80質量%以上含む、あるいは99.0質量%以上含むものを使用することができる。
銀及び銀合金としては、例えばAgを40質量%以上含むあるいは、80質量%以上含む、あるいは99.0質量%以上含むものを使用することができる。
金及び金合金としては、例えばAuを40質量%以上含むあるいは、80質量%以上含む、あるいは99.0質量%以上含むものを使用することができる。
白金族とはルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金の総称である。白金族及び白金族合金としては、例えばPt、Os、Ru、Pd、Ir及びRhの元素群から選択される少なくとも1種以上の元素を40質量%以上含むあるいは、80質量%以上含む、あるいは99.0質量%以上含むものを使用することができる。
本発明において用いる金属材は、金属条、金属板、又は、金属箔であってもよい。なお、本発明において用語「金属条、金属板、又は、金属箔」の金属は単体金属であってもよく、合金であってもよい。例えば、本発明において「銅箔」を単独で用いたときには単体の銅の箔の他に、銅合金箔も含むものとする。
本発明において用いる金属材の厚さは典型的には0.1〜7.0μm、あるいは0.2〜6.8μm、あるいは0.3〜6.5μm、あるいは0.5〜6.0μm、あるいは1〜5μmである。
本発明の実施形態に係る金属材は少なくとも一方の表面が以下の(A)および(B)の内一つまたは二つを満たすように制御されている。
(A)前記表面の算術平均うねりWaが0.052μm以上0.500μm以下である、
(B)前記表面の二乗平均平方根うねりWqが0.060μm以上0.550μm以下である。算術平均うねりWaを0.052μm以上、または、二乗平均平方根うねりWqを0.060μm以上とすることで、金属材表面にある程度のうねりが形成された状態となり、当該うねりがアンカー効果を生じ、金属材とドライフィルムとの密着性が向上する。また、算術平均うねりWaを0.500μm以下、または、二乗平均平方根うねりWqを0.550μm以下とすることで、金属材表面のうねりが大きくなりすぎることは無いため、金属材の表面にドライフィルムが追随しやすくなり、金属材とドライフィルムとの密着性が向上する。よって、(A)および(B)の内一つを満たす構成とすることで、当該金属材を用いて埋め込み法によってプリント配線板等の回路埋め込み基板を作製する際の回路の微細配線形成性が良好となる。また、(A)および(B)の内二つを満たす構成とすることで、当該回路の微細配線形成性がより良好となる。
本発明における「算術平均うねりWa」はレーザー顕微鏡で測定されるJIS B 0601 2001に準拠した算術平均うねりWaである。
本発明における「二乗平均平方根うねりWq」はレーザー顕微鏡で測定されるJIS B 0601 2001に準拠した二乗平均平方根うねりWqである。
本発明の実施形態に係る金属材の少なくとも一方の表面の算術平均うねりWaは、0.400μm以下であるのが好ましく、0.300μm以下であるのがより好ましく、0.250μm以下であるのが更により好ましく、0.220μm以下であるのが更により好ましく、0.200μm以下であるのが更により好ましく、0.155μm以下であるのが更により好ましい。また、本発明の実施形態に係る金属材の少なくとも一方の表面の算術平均うねりWaは、0.075μm以上であるのが好ましく、0.083μm以上であるのがより好ましく、0.093μm以上であるのが更により好ましい。
本発明の実施形態に係る金属材の少なくとも一方の表面の二乗平均平方根うねりWqは、0.500μm以下であるのが好ましく、0.400μm以下であるのがより好ましく、0.300μm以下であるのが更により好ましく、0.279μm以下であるのが更により好ましく、0.260μm以下であるのが更により好ましく、0.200μm以下であるのが更により好ましく、0.185μm以下であるのが更により好ましく、0.140μm以下であるのが更により好ましい。また、本発明の実施形態に係る金属材の少なくとも一方の表面の二乗平均平方根うねりWqは、0.091μm以上であるのが好ましく、0.103μm以上であるのがより好ましく、0.114μm以上であるのが更により好ましい。
本発明の実施形態に係る金属材の少なくとも一方の表面の二乗平均平方根うねりWqと前記表面の算術平均うねりWaとの比であるWq/Waの値が1.181以上であるのが好ましい。このような構成によれば、当該金属材を用いて埋め込み法によってプリント配線板等の回路埋め込み基板を作製する際の回路の微細配線形成性がより良好となる。
当該Wq/Waの値は1.184以上であるのがより好ましく、1.190以上であるのが更により好ましく、1.200以上であるのが更により好ましい。また、当該Wq/Waの値は3.000以下であるのがより好ましく、2.000以下であるのが更により好ましく、1.800以下であるのが更により好ましく、1.500以下であるのが更により好ましく、1.300以下であるのが更により好ましい。
本発明の実施形態に係る金属材は、前述の金属基材(原箔)に対して、例えば、以下の処理を(1)〜(6)の順に行うことで製造することができる。なお、必要に応じて、原箔に粗化処理を行った後で、以下の処理を(1)〜(6)の順に行ってもよい。
(1)7〜17質量%HCL水溶液(温度35〜45℃)に0.5〜2分間浸漬
(2)水洗
(3)前処理液(温度20〜45℃)として後述の「メック UT4100」、「メック CZ」又は「MGC CPE900」を、80〜250秒間、以下のスプレーノズルとスプレー圧力で噴射
スプレーノズル:フラットコーン型
スプレー圧力:0.20〜0.30MPa
(4)水洗
(5)7〜17質量%HCL水溶液(温度35〜45℃)に0.5〜2分間浸漬
(6)水洗
「メック UT4100」:メック株式会社製の電子基板用薬品(UT粗化処理プロセス用) メックエッチボンド UTシリーズのUT4100。
「メック CZ」:メック株式会社製の電子基板用薬品(ソルダーレジスト前処理用、又は、銅表面の粗化(CZ処理)用) メックエッチボンド CZシリーズのCZ−8101。
「MGC CPE900」:三菱ガス化学株式会社製のドライフィルムレジスト前処理専用銅表面粗化剤のCPE−900。
本発明の実施形態に係る金属材の表面の二乗平均平方根うねりWqと前記表面の算術平均うねりWaは、原箔のRa、Rt、Rzjisを大きくすることにより、大きくすることができる。本発明の実施形態に係る金属材の表面の二乗平均平方根うねりWqと前記表面の算術平均うねりWaは、原箔のRa、Rt、Rzjisを小さくすることにより、小さくすることができる。本発明の実施形態に係る金属材の表面の二乗平均平方根うねりWqと前記表面の算術平均うねりWaは、前述の前処理の時間を0秒〜130秒の範囲で長くすることにより、大きくすることができる。本発明の実施形態に係る金属材の表面の二乗平均平方根うねりWqと前記表面の算術平均うねりWaは、前述の前処理の時間を0秒〜130秒の範囲で短くすることにより、または、前述の前処理の時間を130秒を超えた範囲で長くすることにより、小さくすることができる。本発明の実施形態に係る金属材の表面の二乗平均平方根うねりWqと前記表面の算術平均うねりWaは、前処理前に原箔を粗化めっき処理することにより、大きくすることができる。
<キャリア付銅箔>
本発明の実施形態に係る金属材、当該金属材が銅箔であってキャリアを有してもよい。このような構成としては、キャリア付銅箔が挙げられる。キャリア付銅箔は、キャリアの一方の面、又は、両方の面に、中間層、極薄銅層をこの順に有しており、当該極薄銅層が本発明の実施形態に係る金属材で形成されている。
<キャリア>
キャリアは典型的には金属箔または樹脂フィルムであり、例えば銅箔、銅合金箔、ニッケル箔、ニッケル合金箔、鉄箔、鉄合金箔、ステンレス箔、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔、絶縁樹脂フィルム、ポリイミドフィルム、LCP(液晶ポリマー)フィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタラート(PET)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリアミドフィルム、ポリアミドイミドフィルムの形態で提供される。また、キャリアに無機化合物を有する板を用いてもよい。前述の無機化合物は例えばガラスやセラミックスであってもよい。また、キャリアは典型的には圧延銅箔や電解銅箔の形態で提供される。一般的には、電解銅箔は硫酸銅めっき浴からチタンやステンレスのドラム上に銅を電解析出して製造され、圧延銅箔は圧延ロールによる塑性加工と熱処理を繰り返して製造される。銅箔の材料としてはタフピッチ銅(JIS H3100 合金番号C1100)や無酸素銅(JIS H3100 合金番号C1020またはJIS H3510 合金番号C1011)といった高純度の銅の他、例えばSn入り銅、Ag入り銅、Cr、Zr又はMg等を添加した銅合金、Ni及びSi等を添加したコルソン系銅合金のような銅合金も使用可能である。
また、前述の絶縁樹脂フィルムは典型的には表面平滑性を有する絶縁樹脂フィルムの形態で提供される。絶縁樹脂フィルムは、乾式表面処理や湿式表面処理時、あるいは基板作製時の積層プレス時の熱負荷に耐えられる耐熱フィルムが好ましい。例えば、樹脂フィルムとしてポリイミドフィルムなどを使用することができる。
ポリイミドフィルムに使用する材料は、特に制限はない。例えば、宇部興産製ユーピレックス、DuPont/東レ・デュポン製カプトン、カネカ製アピカルなどが上市されているが、いずれのポリイミドフィルムをも適用できる。このような特定の品種に限定されるものではない。
前述の絶縁樹脂フィルムの表面の十点平均粗さRzjis(JIS B0601 2001)は、Rzjis=0.0025〜0.5000μmであることが好ましい。十点平均粗さRzjisは例えば以下の装置、条件で測定することができる。
装置:島津製作所製 走査型プローブ顕微鏡 SPM−9600
条件:ダイナミックモード
走査範囲:1μm×1μm
画素数:512×512
なお、前述の絶縁樹脂フィルムの表面をプラズマ処理することにより、絶縁樹脂フィルム表面の汚染物質の除去と表面の改質を行ってもよい。
キャリアの厚さについても特に制限はないが、キャリアとしての役目を果たす上で適した厚さに適宜調節すればよく、例えば5μm以上とすることができ、例えば6μm以上とすることができ、例えば7μm以上とすることができ、例えば7.5μm以上とすることができ、例えば12μm以上とすることができる。但し、厚すぎると生産コストが高くなる場合があるので200μm以下とするのが好ましい。キャリアの厚みの上限は、例えば150μm以下とすることができ、例えば125μm以下とすることができ、例えば100μm以下とすることができ、例えば90μm以下とすることができ、例えば80μm以下とすることができ、例えば70μm以下とすることができる。なお、キャリアが金属箔の場合には、キャリアの厚みを12μm以上とすることができる。また、キャリアが金属箔の場合には、キャリアの厚みを70μm以下とすることができる。なお、キャリアが絶縁樹脂フィルムの場合には、キャリアの厚みを7.5μm以上とすることができる。また、キャリアが絶縁樹脂フィルムの場合には、キャリアの厚みを75μm以下とすることができる。
なお、キャリアの極薄銅層を設ける側の表面とは反対側の表面に粗化処理層を設けてもよい。当該粗化処理層を公知の方法を用いて設けてもよく、後述の粗化処理により設けてもよい。キャリアの極薄銅層を設ける側の表面とは反対側の表面に粗化処理層を設けることは、キャリアを、当該粗化処理層を有する表面側から樹脂基板などの支持体に積層する際、キャリアと樹脂基板が剥離し難くなるという利点を有する。
以下に、キャリアとして電解銅箔を使用する場合の製造条件の一例を示す。
<電解液組成>
銅:90〜110g/L
硫酸:90〜110g/L
塩素:50〜100ppm
レベリング剤1(ビス(3スルホプロピル)ジスルフィド):10〜30ppm
レベリング剤2(アミン化合物):10〜30ppm
上記のアミン化合物には以下の化学式のアミン化合物を用いることができる。
なお、本発明に用いられる電解、表面処理又はめっき等に用いられる処理液の残部は特に明記しない限り水である。
(上記化学式中、R1及びR2はヒドロキシアルキル基、エーテル基、アリール基、芳香族置換アルキル基、不飽和炭化水素基、アルキル基からなる一群から選ばれるものである。)
上記アミン化合物は、例えばナガセケムテックス株式会社製デナコール Ex−314とジメチルアミンを所定量混合させ、60℃で3時間反応を行うことで得ることができる。
<製造条件>
電流密度:70〜100A/dm2
電解液温度:50〜60℃
電解液線速:3〜5m/sec
電解時間:0.5〜10分間
<中間層>
キャリア上には中間層を設ける。キャリアと中間層との間に他の層を設けてもよい。本発明で用いる中間層は、キャリア付銅箔が絶縁基板への積層工程前にはキャリアから極薄銅層が剥離し難い一方で、絶縁基板への積層工程後にはキャリアから極薄銅層が剥離可能となるような構成であれば特に限定されない。例えば、本発明の実施形態に係るキャリア付銅箔の中間層はCr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Zn、これらの合金、これらの水和物、これらの酸化物、有機物からなる群から選択される一種又は二種以上を含んでも良い。また、中間層は複数の層であっても良い。
また、例えば、中間層はキャリア側からCr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Znで構成された元素群から選択された一種の元素からなる単一金属層、或いは、Cr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Znで構成された元素群から選択された一種又は二種以上の元素からなる合金層を形成し、その上にCr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Znで構成された元素群から選択された一種又は二種以上の元素の水和物または酸化物、あるいは有機物からなる層、あるいはCr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Znで構成された元素群から選択された一種の元素からなる単一金属層、或いは、Cr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Znで構成された元素群から選択された一種又は二種以上の元素からなる合金層を形成することで構成することができる。
中間層を片面にのみ設ける場合、キャリアの反対面にはNiメッキ層などの防錆層を設けることが好ましい。なお、中間層をクロメート処理や亜鉛クロメート処理やメッキ処理で設けた場合には、クロムや亜鉛など、付着した金属の一部は水和物や酸化物となっている場合があると考えられる。
また、例えば、中間層は、キャリア上に、ニッケル、ニッケル−リン合金又はニッケル−コバルト合金と、クロムとがこの順で積層されて構成することができる。ニッケルと銅との接着力はクロムと銅の接着力よりも高いので、極薄銅層を剥離する際に、極薄銅層とクロムとの界面で剥離するようになる。また、中間層のニッケルにはキャリアから銅成分が極薄銅層へと拡散していくのを防ぐバリア効果が期待される。中間層におけるニッケルの付着量は好ましくは100μg/dm2以上40000μg/dm2以下、より好ましくは100μg/dm2以上4000μg/dm2以下、より好ましくは100μg/dm2以上2500μg/dm2以下、より好ましくは100μg/dm2以上1000μg/dm2未満であり、中間層におけるクロムの付着量は5μg/dm2以上100μg/dm2以下であることが好ましい。
<極薄銅層>
中間層の上には極薄銅層(本発明の実施形態に係る金属材)を設ける。中間層と極薄銅層との間には他の層を設けてもよい。極薄銅層は、硫酸銅、ピロリン酸銅、スルファミン酸銅、シアン化銅等の電解浴を利用した電気メッキにより形成することができ、一般的な電解銅箔で使用され、高電流密度での銅箔形成が可能であることから硫酸銅浴が好ましい。極薄銅層の厚みは特に制限はないが、一般的にはキャリアよりも薄く、例えば12μm以下である。典型的には0.5〜12μmであり、より典型的には1〜5μm、更に典型的には1.5〜5μm、更に典型的には2〜5μmである。なお、キャリアの両面に極薄銅層を設けてもよい。
このようにして、キャリアと、キャリア上に積層された中間層と、中間層の上に積層された極薄銅層とを備えたキャリア付銅箔が製造される。キャリア付銅箔自体の使用方法は当業者に周知であるが、例えば極薄銅層の表面を紙基材フェノール樹脂、紙基材エポキシ樹脂、合成繊維布基材エポキシ樹脂、ガラス布・紙複合基材エポキシ樹脂、ガラス布・ガラス不織布複合基材エポキシ樹脂及びガラス布基材エポキシ樹脂、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム等の絶縁基板に貼り合わせて熱圧着後にキャリアを剥がして銅張積層板とし、絶縁基板に接着した極薄銅層を目的とする導体パターンにエッチングし、最終的にプリント配線板を製造することができる。
キャリア付銅箔自体の使用方法は当業者に周知であるが、例えば極薄銅層の表面を紙基材フェノール樹脂、紙基材エポキシ樹脂、合成繊維布基材エポキシ樹脂、ガラス布・紙複合基材エポキシ樹脂、ガラス布・ガラス不織布複合基材エポキシ樹脂及びガラス布基材エポキシ樹脂、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム等の絶縁基板に貼り合わせて熱圧着後にキャリアを剥がして銅張積層板とし、絶縁基板に接着した極薄銅層を目的とする導体パターンにエッチングし、最終的にプリント配線板を製造することができる。
<表面処理>
極薄銅層の表面に粗化処理を行うことで、粗化処理層を形成してもよい。粗化処理としては、例えば、下記の条件で粗化銅めっき処理を施してもよい。
・液組成:Cu:5〜55g/L、H2SO4:60〜120g/L
・液温:10〜50℃
・電流密度Dk:0.1〜30A/dm2
・処理時間:0.1〜60秒
また、極薄銅層の表面に更にNi、Co、Cu、Znの単体またはNiの合金、Coの合金、Cuの合金、Znの合金、または、Ni、Co、Cu、Znの群から選択される一種以上の元素を含む合金等で耐熱層または防錆層を形成しても良く、更にその表面にクロメート処理、シランカップリング処理などの処理を施してもよい。すなわち、粗化処理層の表面に、耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層を形成してもよい。なお、上述の耐熱層、防錆層、クロメート処理層、シランカップリング処理層はそれぞれ複数の層で形成されてもよい(例えば2層以上、3層以上など)。
前記クロメート処理層とは無水クロム酸、クロム酸、二クロム酸、クロム酸塩または二クロム酸塩を含む液で処理した層のことをいう。クロメート処理層はCo、Fe、Ni、Mo、Zn、Ta、Cu、Al、P、W、Sn、AsおよびTi等の元素(金属、合金、酸化物、窒化物、硫化物等どのような形態でもよい)を含んでもよい。クロメート処理層の具体例としては、無水クロム酸または二クロム酸カリウム水溶液で処理したクロメート処理層や、無水クロム酸または二クロム酸カリウムおよび亜鉛を含む処理液で処理したクロメート処理層等が挙げられる。
前記シランカップリング処理層は、公知のシランカップリング剤を使用して形成してもよく、エポキシ系シラン、アミノ系シラン、メタクリロキシ系シラン、メルカプト系シラン、ビニル系シラン、イミダゾール系シラン、トリアジン系シランなどのシランカップリング剤などを使用して形成してもよい。なお、このようなシランカップリング剤は、2種以上混合して使用してもよい。中でも、アミノ系シランカップリング剤又はエポキシ系シランカップリング剤を用いて形成したものであることが好ましい。
また、極薄銅層、粗化処理層、耐熱層、防錆層、シランカップリング処理層またはクロメート処理層の表面に、国際公開番号WO2008/053878、特開2008−111169号、特許第5024930号、国際公開番号WO2006/028207、特許第4828427号、国際公開番号WO2006/134868、特許第5046927号、国際公開番号WO2007/105635、特許第5180815号、特開2013−19056号に記載の表面処理を行うことができる。
<樹脂層>
極薄銅層の表面に樹脂層を備えてもよい。前記樹脂層は接着剤であってもよく、接着用の半硬化状態(Bステージ)の絶縁樹脂層であってもよい。半硬化状態(Bステージ)とは、その表面に指で触れても粘着感はなく、該絶縁樹脂層を重ね合わせて保管することができ、更に加熱処理を受けると硬化反応が起こる状態のことを含む。
また前記樹脂層は熱硬化性樹脂を含んでもよく、熱可塑性樹脂であってもよい。また、前記樹脂層は熱可塑性樹脂を含んでもよい。その種類は格別限定されるものではないが、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、多官能性シアン酸エステル化合物、マレイミド化合物、ポリマレイミド化合物、マレイミド系樹脂、芳香族マレイミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ウレタン樹脂、ポリエーテルスルホン(ポリエーテルサルホン、ポリエーテルサルフォンともいう)、ポリエーテルスルホン(ポリエーテルサルホン、ポリエーテルサルフォンともいう)樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂ポリマー、ゴム性樹脂、ポリアミン、芳香族ポリアミン、ポリアミドイミド樹脂、ゴム変成エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、カルボキシル基変性アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ビスマレイミドトリアジン樹脂、熱硬化性ポリフェニレンオキサイド樹脂、シアネートエステル系樹脂、カルボン酸の無水物、多価カルボン酸の無水物、架橋可能な官能基を有する線状ポリマー、ポリフェニレンエーテル樹脂、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、リン含有フェノール化合物、ナフテン酸マンガン、2,2−ビス(4−グリシジルフェニル)プロパン、ポリフェニレンエーテル−シアネート系樹脂、シロキサン変性ポリアミドイミド樹脂、シアノエステル樹脂、フォスファゼン系樹脂、ゴム変成ポリアミドイミド樹脂、イソプレン、水素添加型ポリブタジエン、ポリビニルブチラール、フェノキシ、高分子エポキシ、芳香族ポリアミド、フッ素樹脂、ビスフェノール、ブロック共重合ポリイミド樹脂およびシアノエステル樹脂の群から選択される一種以上を含む樹脂を好適なものとして挙げることができる。
また前記エポキシ樹脂は、分子内に2個以上のエポキシ基を有するものであって、電気・電子材料用途に用いることのできるものであれば、特に問題なく使用できる。また、前記エポキシ樹脂は分子内に2個以上のグリシジル基を有する化合物を用いてエポキシ化したエポキシ樹脂が好ましい。また、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ブロム化(臭素化)エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ゴム変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、N,N−ジグリシジルアニリン等のグリシジルアミン化合物、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等のグリシジルエステル化合物、リン含有エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、の群から選ばれる1種又は2種以上を混合して用いることができ、又は前記エポキシ樹脂の水素添加体やハロゲン化体を用いることができる。
前記リン含有エポキシ樹脂として公知のリンを含有するエポキシ樹脂を用いることができる。また、前記リン含有エポキシ樹脂は例えば、分子内に2以上のエポキシ基を備える9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドからの誘導体として得られるエポキシ樹脂であることが好ましい。
前記樹脂層は公知の樹脂、樹脂硬化剤、化合物、硬化促進剤、誘電体(無機化合物及び/または有機化合物を含む誘電体、金属酸化物を含む誘電体等どのような誘電体を用いてもよい)、反応触媒、架橋剤、ポリマー、プリプレグ、骨格材等を含んでよい。また、前記樹脂層は例えば国際公開番号WO2008/004399、国際公開番号WO2008/053878、国際公開番号WO2009/084533、特開平11−5828号、特開平11−140281号、特許第3184485号、国際公開番号WO97/02728、特許第3676375号、特開2000−43188号、特許第3612594号、特開2002−179772号、特開2002−359444号、特開2003−304068号、特許第3992225号、特開2003−249739号、特許第4136509号、特開2004−82687号、特許第4025177号、特開2004−349654号、特許第4286060号、特開2005−262506号、特許第4570070号、特開2005−53218号、特許第3949676号、特許第4178415号、国際公開番号WO2004/005588、特開2006−257153号、特開2007−326923号、特開2008−111169号、特許第5024930号、国際公開番号WO2006/028207、特許第4828427号、特開2009−67029号、国際公開番号WO2006/134868、特許第5046927号、特開2009−173017号、国際公開番号WO2007/105635、特許第5180815号、国際公開番号WO2008/114858、国際公開番号WO2009/008471、特開2011−14727号、国際公開番号WO2009/001850、国際公開番号WO2009/145179、国際公開番号WO2011/068157、特開2013−19056号に記載されている物質(樹脂、樹脂硬化剤、化合物、硬化促進剤、誘電体、反応触媒、架橋剤、ポリマー、プリプレグ、骨格材等)および/または樹脂層の形成方法、形成装置を用いて形成してもよい。
上述したこれらの樹脂を例えばメチルエチルケトン(MEK)、トルエンなどの溶剤に溶解して樹脂液とし、これを前記極薄銅層上、あるいは前記耐熱層、防錆層、あるいは前記クロメート皮膜層、あるいは前記シランカップリング剤層の上に、例えばロールコータ法などによって塗布し、ついで必要に応じて加熱乾燥して溶剤を除去しBステージ状態にする。乾燥には例えば熱風乾燥炉を用いればよく、乾燥温度は100〜250℃、好ましくは130〜200℃であればよい。
前記樹脂層を備えたキャリア付銅箔(樹脂付きキャリア付銅箔)は、その樹脂層を基材に重ね合わせたのち全体を熱圧着して該樹脂層を熱硬化せしめ、ついでキャリアを剥離して極薄銅層を表出せしめ(当然に表出するのは該極薄銅層の中間層側の表面である)、そこに所定の配線パターンを形成するという態様で使用される。
この樹脂付きキャリア付銅箔を使用すると、多層プリント配線基板の製造時におけるプリプレグ材の使用枚数を減らすことができる。しかも、樹脂層の厚みを層間絶縁が確保できるような厚みにしたり、プリプレグ材を全く使用していなくても銅張積層板を製造することができる。またこのとき、基材の表面に絶縁樹脂をアンダーコートして表面の平滑性を更に改善することもできる。
なお、プリプレグ材を使用しない場合には、プリプレグ材の材料コストが節約され、また積層工程も簡略になるので経済的に有利となり、しかも、プリプレグ材の厚み分だけ製造される多層プリント配線基板の厚みは薄くなり、1層の厚みが100μm以下である極薄の多層プリント配線基板を製造することができるという利点がある。
この樹脂層の厚みは0.1〜80μmであることが好ましい。樹脂層の厚みが0.1μmより薄くなると、接着力が低下し、プリプレグ材を介在させることなくこの樹脂付きキャリア付銅箔を内層材を備えた基材に積層したときに、内層材の回路との間の層間絶縁を確保することが困難になる場合がある。
一方、樹脂層の厚みを80μmより厚くすると、1回の塗布工程で目的厚みの樹脂層を形成することが困難となり、余分な材料費と工数がかかるため経済的に不利となる。更には、形成された樹脂層はその可撓性が劣るので、ハンドリング時にクラックなどが発生しやすくなり、また内層材との熱圧着時に過剰な樹脂流れが起こって円滑な積層が困難になる場合がある。
更に、この樹脂付きキャリア付銅箔のもう一つの製品形態としては、前記極薄銅層上、あるいは前記耐熱層、防錆層、あるいは前記クロメート処理層、あるいは前記シランカップリング処理層の上に樹脂層で被覆し、半硬化状態とした後、ついでキャリアを剥離して、キャリアが存在しない樹脂付き銅箔の形で製造することも可能である。
<プリント配線板>
上述の微細配線形成性が良好な金属材を用いることで、導体パターンとしてラインアンドスペースパターンを有するプリント配線板であって、ラインアンドスペースパターンの配線の幅/隣り合う配線同士の間隔=ライン/スペースが3μm/3μm以下という超微細パターンを有するプリント配線板を作製することができる。本発明の実施形態に係るプリント配線板はライン/スペースが2.5μm/2.5μm以下であってもよく、2.0μm/2.0μm以下であってもよく、1.5μm/1.5μm以下であってもよい。
本発明の実施形態に係るプリント配線板の製造方法は、本発明の実施形態に係る金属材の前記表面に回路を形成する工程、前記回路が埋没するように前記金属材の前記表面に樹脂層を形成する工程、前記金属材を除去することで、前記樹脂層に埋没している回路を露出させる工程を含んでもよい。また、本発明の実施形態に係るプリント配線板の製造方法は、本発明の実施形態に係る金属材の前記表面に回路を形成する工程、前記回路が埋没するように前記金属材の前記表面に樹脂層を形成する工程、前記樹脂層上に回路を形成する工程、前記樹脂層上に回路を形成した後に、前記金属材を除去することで、前記樹脂層に埋没している回路を露出させる工程を含んでもよい。また、本発明の実施形態に係るプリント配線板の製造方法は、金属材をエッチングして本発明の実施形態に係る金属材を作製した後、前記金属材の前記表面に回路を形成する工程、前記回路が埋没するように前記金属材の前記表面に樹脂層を形成する工程、前記樹脂層上に回路を形成する工程、前記樹脂層上に回路を形成した後に、前記金属材を除去することで、前記樹脂層に埋没している回路を露出させる工程を含んでもよい。また、従来の金属材をエッチングすることで本発明の実施形態に係る金属材を作製した後、当該本発明の実施形態に係る金属材を上述のプリント配線板の製造方法に使用してもよい。このように、本発明の実施形態に係る金属材を使用し、且つ、いわゆる埋め込み法を用いてプリント配線板を製造しており、プリント配線板に微細配線を良好に形成することができる。
ここで、本発明の実施形態に係る金属材を用いたプリント配線板の製造方法の具体例を図面を用いて詳細に説明する。
まず、図1−Aに示すように、金属材(1層目)を準備する。
次に、図1−Bに示すように、金属材上にレジストを塗布し、露光・現像を行い、レジストを所定の形状にエッチングする。
次に、図1−Cに示すように、回路用のめっきを形成した後、レジストを除去することで、所定の形状の回路めっきを形成する。
次に、図2−Dに示すように、回路めっきを覆うように(回路めっきが埋没するように)金属材上に埋め込み樹脂を設けて樹脂層を積層し、続いて別の金属材(2層目)を樹脂層に上に設ける。
次に、図2−Eに示すように、樹脂層の所定位置にレーザー穴あけを行い、回路めっきを露出させてブラインドビアを形成する。
次に、図3−Fに示すように、ブラインドビアに銅を埋め込みビアフィルを形成する。
次に、図3−Gに示すように、ビアフィル上に、モディファイドセミアディティブ法によって回路めっきを形成する。
次に、図4−Hに示すように、フラッシュエッチングにより両表面の金属材を除去し、樹脂層内の回路めっきの表面を露出させる。
次に、図4−Iに示すように、樹脂層内の回路めっき上にバンプを形成し、当該はんだ上に銅ピラーを形成する。このようにして本発明の実施形態に係る金属箔を用いたプリント配線板を作製する。
本発明の実施形態に係るプリント配線板は、導体パターンとしてラインアンドスペースパターンを有するプリント配線板であって、ラインアンドスペースパターンのライン/スペースが3μm/3μm以下であり、以下の式で表される配線直線性が12.00以下であることが好ましい。
配線直線性(−)=配線幅の標準偏差(μm)/配線幅の平均値(μm)×100
当該式で表される配線直線性が12.00以下であると、配線の直線性に優れるため、配線と配線との間でショートしにくく、また、耐マイグレーション性が良好となる。当該式で表される配線直線性は、11.50以下がより好ましく、11.00以下がより好ましく、10.50以下がより好ましく、10.00以下が更により好ましい。当該式で表される配線直線性の下限は特に限定する必要はないが、例えば0.01以上、0.02以上、0.03以上、0.04以上、0.05以上である。当該配線は樹脂に埋め込まれていてもよい。
以下に、本発明の実施形態に係る金属材を極薄銅層として備えたキャリア付銅箔を用いたプリント配線板の製造工程の例を幾つか示す。
本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明の実施形態に係る金属材を極薄銅層として備えたキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、前記キャリア付銅箔と絶縁基板を極薄銅層側が絶縁基板と対向するように積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程を経て銅張積層板を形成し、その後、セミアディティブ法、モディファイドセミアディティブ法、パートリーアディティブ法及びサブトラクティブ法の何れかの方法によって、回路を形成する工程を含む。絶縁基板は内層回路入りのものとすることも可能である。
本発明において、セミアディティブ法とは、絶縁基板又は銅箔シード層上に薄い無電解めっきを行い、パターンを形成後、電気めっき及びエッチングを用いて導体パターンを形成する方法を指す。
従って、セミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明の実施形態に係る金属材を極薄銅層として備えたキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法によりすべて除去する工程、
前記極薄銅層をエッチングにより除去することにより露出した前記樹脂にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記樹脂および前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、
前記無電解めっき層の上にめっきレジストを設ける工程、
前記めっきレジストに対して露光し、その後、回路が形成される領域のめっきレジストを除去する工程、
前記めっきレジストが除去された前記回路が形成される領域に、電解めっき層を設ける工程、
前記めっきレジストを除去する工程、
前記回路が形成される領域以外の領域にある無電解めっき層をフラッシュエッチングなどにより除去する工程、
を含む。
セミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の別の一実施形態においては、本発明の実施形態に係る金属材を極薄銅層として備えたキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層と、前記絶縁樹脂基板とにスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法によりすべて除去する工程、
前記極薄銅層をエッチング等により除去することにより露出した前記樹脂および前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、
前記無電解めっき層の上にめっきレジストを設ける工程、
前記めっきレジストに対して露光し、その後、回路が形成される領域のめっきレジストを除去する工程、
前記めっきレジストが除去された前記回路が形成される領域に、電解めっき層を設ける工程、
前記めっきレジストを除去する工程、
前記回路が形成される領域以外の領域にある無電解めっき層をフラッシュエッチングなどにより除去する工程、
を含む。
セミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の別の一実施形態においては、本発明の実施形態に係る金属材を極薄銅層として備えたキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層と、前記絶縁樹脂基板とにスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法によりすべて除去する工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記極薄銅層をエッチング等により除去することにより露出した前記樹脂および前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、
前記無電解めっき層の上にめっきレジストを設ける工程、
前記めっきレジストに対して露光し、その後、回路が形成される領域のめっきレジストを除去する工程、
前記めっきレジストが除去された前記回路が形成される領域に、電解めっき層を設ける工程、
前記めっきレジストを除去する工程、
前記回路が形成される領域以外の領域にある無電解めっき層をフラッシュエッチングなどにより除去する工程、
を含む。
セミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の別の一実施形態においては、本発明の実施形態に係る金属材を極薄銅層として備えたキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法によりすべて除去する工程、
前記極薄銅層をエッチングにより除去することにより露出した前記樹脂の表面について無電解めっき層を設ける工程、
前記無電解めっき層の上にめっきレジストを設ける工程、
前記めっきレジストに対して露光し、その後、回路が形成される領域のめっきレジストを除去する工程、
前記めっきレジストが除去された前記回路が形成される領域に、電解めっき層を設ける工程、
前記めっきレジストを除去する工程、
前記回路が形成される領域以外の領域にある無電解めっき層及び極薄銅層をフラッシュエッチングなどにより除去する工程、
を含む。
本発明において、モディファイドセミアディティブ法とは、絶縁層上に金属箔を積層し、めっきレジストにより非回路形成部を保護し、電解めっきにより回路形成部の銅厚付けを行った後、レジストを除去し、前記回路形成部以外の金属箔を(フラッシュ)エッチングで除去することにより、絶縁層上に回路を形成する方法を指す。
従って、モディファイドセミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明の実施形態に係る金属材を極薄銅層として備えたキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層と絶縁基板にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層表面にめっきレジストを設ける工程、
前記めっきレジストを設けた後に、電解めっきにより回路を形成する工程、
前記めっきレジストを除去する工程、
前記めっきレジストを除去することにより露出した極薄銅層をフラッシュエッチングにより除去する工程、
を含む。
モディファイドセミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の別の一実施形態においては、本発明の実施形態に係る金属材を極薄銅層として備えたキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層の上にめっきレジストを設ける工程、
前記めっきレジストに対して露光し、その後、回路が形成される領域のめっきレジストを除去する工程、
前記めっきレジストが除去された前記回路が形成される領域に、電解めっき層を設ける工程、
前記めっきレジストを除去する工程、
前記回路が形成される領域以外の領域にある無電解めっき層及び極薄銅層をフラッシュエッチングなどにより除去する工程、
を含む。
本発明において、パートリーアディティブ法とは、導体層を設けてなる基板、必要に応じてスルーホールやバイアホール用の孔を穿けてなる基板上に触媒核を付与し、エッチングして導体回路を形成し、必要に応じてソルダレジストまたはメッキレジストを設けた後に、前記導体回路上、スルーホールやバイアホールなどに無電解めっき処理によって厚付けを行うことにより、プリント配線板を製造する方法を指す。
従って、パートリーアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明の実施形態に係る金属材を極薄銅層として備えたキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層と絶縁基板にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について触媒核を付与する工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層表面にエッチングレジストを設ける工程、
前記エッチングレジストに対して露光し、回路パターンを形成する工程、
前記極薄銅層および前記触媒核を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法により除去して、回路を形成する工程、
前記エッチングレジストを除去する工程、
前記極薄銅層および前記触媒核を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法により除去して露出した前記絶縁基板表面に、ソルダレジストまたはメッキレジストを設ける工程、
前記ソルダレジストまたはメッキレジストが設けられていない領域に無電解めっき層を設ける工程、
を含む。
本発明において、サブトラクティブ法とは、銅張積層板上の銅箔の不要部分を、エッチングなどによって、選択的に除去して、導体パターンを形成する方法を指す。
従って、サブトラクティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明の実施形態に係る金属材を極薄銅層として備えたキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層と絶縁基板にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、
前記無電解めっき層の表面に、電解めっき層を設ける工程、
前記電解めっき層または/および前記極薄銅層の表面にエッチングレジストを設ける工程、
前記エッチングレジストに対して露光し、回路パターンを形成する工程、
前記極薄銅層および前記無電解めっき層および前記電解めっき層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法により除去して、回路を形成する工程、
前記エッチングレジストを除去する工程、
を含む。
サブトラクティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の別の一実施形態においては、本発明の実施形態に係る金属材を極薄銅層として備えたキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層と絶縁基板にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、
前記無電解めっき層の表面にマスクを形成する工程、
マスクが形成されいない前記無電解めっき層の表面に電解めっき層を設ける工程、
前記電解めっき層または/および前記極薄銅層の表面にエッチングレジストを設ける工程、
前記エッチングレジストに対して露光し、回路パターンを形成する工程、
前記極薄銅層および前記無電解めっき層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法により除去して、回路を形成する工程、
前記エッチングレジストを除去する工程、
を含む。
スルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、及びその後のデスミア工程は行わなくてもよい。
ここで、本発明の実施形態に係る金属材を極薄銅層として備えるキャリア付銅箔を用いたプリント配線板の製造方法の具体例を図面を用いて詳細に説明する。なお、ここでは粗化処理層が形成された極薄銅層を有するキャリア付銅箔を例に説明するが、これに限らず、粗化処理層が形成されていない極薄銅層を有するキャリア付銅箔を用いても同様に下記のプリント配線板の製造方法を行うことができる。
まず、図5−Aに示すように、表面に粗化処理層が形成された極薄銅層を有するキャリア付銅箔(1層目)を準備する。
次に、図5−Bに示すように、極薄銅層の粗化処理層上にレジストを塗布し、露光・現像を行い、レジストを所定の形状にエッチングする。
次に、図5−Cに示すように、回路用のめっきを形成した後、レジストを除去することで、所定の形状の回路めっきを形成する。
次に、図6−Dに示すように、回路めっきを覆うように(回路めっきが埋没するように)極薄銅層上に埋め込み樹脂を設けて樹脂層を積層し、続いて別のキャリア付銅箔(2層目)を極薄銅層側から接着させる。
次に、図6−Eに示すように、2層目のキャリア付銅箔からキャリアを剥がす。
次に、図6−Fに示すように、樹脂層の所定位置にレーザー穴あけを行い、回路めっきを露出させてブラインドビアを形成する。
次に、図7−Gに示すように、ブラインドビアに銅を埋め込みビアフィルを形成する。
次に、図7−Hに示すように、ビアフィル上に、上記図5−B及び図5−Cのようにして回路めっきを形成する。
次に、図7−Iに示すように、1層目のキャリア付銅箔からキャリアを剥がす。
次に、図8−Jに示すように、フラッシュエッチングにより両表面の極薄銅層を除去し、樹脂層内の回路めっきの表面を露出させる。
次に、図8−Kに示すように、樹脂層内の回路めっき上にバンプを形成し、当該はんだ上に銅ピラーを形成する。このようにして本発明の実施形態に係るキャリア付銅箔を用いたプリント配線板を作製する。
なお、上述のプリント配線板の製造方法で、「極薄銅層」をキャリアに、「キャリア」を極薄銅層に読み替えて、キャリア付銅箔のキャリア側の表面に回路を形成して、樹脂で回路を埋め込み、プリント配線板を製造することも可能である。
上記別のキャリア付銅箔(2層目)は、本発明の実施形態に係る金属材を極薄銅層として用いたキャリア付銅箔を用いてもよく、従来のキャリア付銅箔を用いてもよく、さらに通常の銅箔を用いてもよい。また、図7−Hに示される2層目の回路上に、さらに回路を1層或いは複数層形成してもよく、それらの回路形成をセミアディティブ法、サブトラクティブ法、パートリーアディティブ法又はモディファイドセミアディティブ法のいずれかの方法によって行ってもよい。
上述のようなプリント配線板の製造方法によれば、回路めっきが樹脂層に埋め込まれた構成となっているため、例えば図8−Jに示すようなフラッシュエッチングによる極薄銅層の除去の際に、回路めっきが樹脂層によって保護され、その形状が保たれ、これにより微細回路の形成が容易となる。また、回路めっきが樹脂層によって保護されるため、耐マイグレーション性が向上し、回路の配線の導通が良好に抑制される。このため、微細回路の形成が容易となる。また、図8−J及び図8−Kに示すようにフラッシュエッチングによって極薄銅層を除去したとき、回路めっきの露出面が樹脂層から凹んだ形状となるため、当該回路めっき上にバンプが、さらにその上に銅ピラーがそれぞれ形成しやすくなり、製造効率が向上する。
なお、埋め込み樹脂(レジン)には公知の樹脂、プリプレグを用いることができる。例えば、BT(ビスマレイミドトリアジン)レジンやBTレジンを含浸させたガラス布であるプリプレグ、味の素ファインテクノ株式会社製ABFフィルムやABFを用いることができる。また、前記埋め込み樹脂(レジン)には本明細書に記載の樹脂層および/または樹脂および/またはプリプレグを使用することができる。
また、前記一層目に用いられるキャリア付銅箔は、当該キャリア付銅箔の表面に基板または樹脂層を有してもよい。当該基板または樹脂層を有することで一層目に用いられるキャリア付銅箔は支持され、しわが入りにくくなるため、生産性が向上するという利点がある。なお、前記基板または樹脂層には、前記一層目に用いられるキャリア付銅箔を支持する効果するものであれば、全ての基板または樹脂層を用いることが出来る。例えば前記基板または樹脂層として本願明細書に記載のキャリア、プリプレグ、樹脂層や公知のキャリア、プリプレグ、樹脂層、金属板、金属箔、無機化合物の板、無機化合物の箔、有機化合物の板、有機化合物の箔を用いることができる。
また、本発明の実施形態に係る金属材を極薄銅層として備えたキャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面または前記キャリア側表面と樹脂基板とを積層する工程、前記樹脂基板と積層した極薄銅層側表面または前記キャリア側表面とは反対側のキャリア付銅箔の表面に、樹脂層と回路との2層を、少なくとも1回設ける工程、及び、前記樹脂層及び回路の2層を形成した後に、前記キャリア付銅箔から前記キャリアまたは前記極薄銅層を剥離させる工程を少なくとも備えることで、プリント配線板を製造(コアレス工法)してもよい。当該コアレス工法について、具体的な例としては、まず、本発明の実施形態に係る金属材を極薄銅層として備えたキャリア付銅箔の極薄銅層側表面またはキャリア側表面と樹脂基板とを積層して積層体(銅張積層板、銅張積層体ともいう)を製造する。その後、樹脂基板と積層した極薄銅層側表面または前記キャリア側表面とは反対側のキャリア付銅箔の表面に樹脂層を形成する。キャリア側表面又は極薄銅層側表面に形成した樹脂層には、さらに別のキャリア付銅箔をキャリア側又は極薄銅層側から積層してもよい。また、樹脂基板又は樹脂又はプリプレグを中心として、当該樹脂基板又は樹脂又はプリプレグの両方の表面側に、キャリア/中間層/極薄銅層の順あるいは極薄銅層/中間層/キャリアの順でキャリア付銅箔が積層された構成を有する積層体あるいは「キャリア/中間層/極薄銅層/樹脂基板又は樹脂又はプリプレグ/キャリア/中間層/極薄銅層」の順に積層された構成を有する積層体あるいは「キャリア/中間層/極薄銅層/樹脂基板/キャリア/中間層/極薄銅層」の順に積層された構成を有する積層体あるいは「極薄銅層/中間層/キャリア/樹脂基板/キャリア/中間層/極薄銅層」の順に積層された構成を有する積層体を上述のプリント配線板の製造方法(コアレス工法)に用いてもよい。そして、当該積層体の両端の極薄銅層あるいはキャリアの露出した表面には、別の樹脂層を設け、さらに銅層又は金属層を設けた後、当該銅層又は金属層を加工することで回路を形成してもよい。さらに、別の樹脂層を当該回路上に、当該回路を埋め込むように設けても良い。また、このような回路及び樹脂層の形成を1回以上行ってもよい(ビルドアップ工法)。そして、このようにして形成した積層体(以下、積層体Bとも言う)について、それぞれのキャリア付銅箔の極薄銅層またはキャリアをキャリアまたは極薄銅層から剥離させてコアレス基板を作製することができる。なお、前述のコアレス基板の作製には、2つのキャリア付銅箔を用いて、後述する極薄銅層/中間層/キャリア/キャリア/中間層/極薄銅層の構成を有する積層体や、キャリア/中間層/極薄銅層/極薄銅層/中間層/キャリアの構成を有する積層体や、キャリア/中間層/極薄銅層/キャリア/中間層/極薄銅層の構成を有する積層体を作製し、当該積層体を中心に用いることもできる。これら積層体(以下、積層体Aとも言う)の両側の極薄銅層またはキャリアの表面に樹脂層及び回路の2層を1回以上設け、樹脂層及び回路の2層を1回以上設けた後に、それぞれのキャリア付銅箔の極薄銅層またはキャリアをキャリアまたは極薄銅層から剥離させてコアレス基板を作製することができる。前述の積層体は、極薄銅層の表面、キャリアの表面、キャリアとキャリアとの間、極薄銅層と極薄銅層との間、極薄銅層とキャリアとの間には他の層を有してもよい。他の層は樹脂基板または樹脂層であってもよい。なお、本明細書において「極薄銅層の表面」、「極薄銅層側表面」、「極薄銅層表面」、「キャリアの表面」、「キャリア側表面」、「キャリア表面」、「積層体の表面」、「積層体表面」は、極薄銅層、キャリア、積層体が、極薄銅層表面、キャリア表面、積層体表面に他の層を有する場合には、当該他の層の表面(最表面)を含む概念とする。また、積層体は極薄銅層/中間層/キャリア/キャリア/中間層/極薄銅層の構成を有することが好ましい。当該積層体を用いてコアレス基板を作製した際、コアレス基板側に極薄銅層が配置されるため、モディファイドセミアディティブ法を用いてコアレス基板上に回路を形成しやすくなるためである。また、極薄銅層の厚みは薄いため、当該極薄銅層の除去がしやすく、極薄銅層の除去後にセミアディティブ法を用いて、コアレス基板上に回路を形成しやすくなるためである。
なお、本明細書において、「積層体A」または「積層体B」と特に記載していない「積層体」は、少なくとも積層体A及び積層体Bを含む積層体を示す。
なお、上述のコアレス基板の製造方法において、キャリア付銅箔または上述の積層体(積層体Aを含む)の端面の一部または全部を樹脂で覆うことにより、ビルドアップ工法でプリント配線板を製造する際に、中間層または積層体を構成する1つのキャリア付銅箔ともう1つのキャリア付銅箔の間のへの薬液の染み込みを防止することができ、薬液の染み込みによる極薄銅層とキャリアの分離やキャリア付銅箔の腐食を防止することができ、歩留りを向上させることができる。ここで用いる「キャリア付銅箔の端面の一部または全部を覆う樹脂」または「積層体の端面の一部または全部を覆う樹脂」としては、樹脂層に用いることができる樹脂または公知の樹脂を使用することができる。また、上述のコアレス基板の製造方法において、キャリア付銅箔または積層体において平面視したときにキャリア付銅箔または積層体の積層部分(キャリアと極薄銅層との積層部分、または、1つのキャリア付銅箔ともう1つのキャリア付銅箔との積層部分)の外周の少なくとも一部が樹脂又はプリプレグで覆ってもよい。また、上述のコアレス基板の製造方法で形成する積層体(積層体A)は、一対のキャリア付銅箔を互いに分離可能に接触させて構成されていてもよい。また、当該キャリア付銅箔において平面視したときにキャリア付銅箔または積層体の積層部分(キャリアと極薄銅層との積層部分、または、1つのキャリア付銅箔ともう1つのキャリア付銅箔との積層部分)の外周の全体又は積層部分の全面にわたって樹脂又はプリプレグで覆われてなるものであってもよい。また、平面視した場合に樹脂又はプリプレグはキャリア付銅箔または積層体または積層体の積層部分よりも大きい方が好ましく、当該樹脂又はプリプレグをキャリア付銅箔または積層体の両面に積層し、キャリア付銅箔または積層体が樹脂又はプリプレグにより袋とじ(包まれている)されている構成を有する積層体とすることが好ましい。このような構成とすることにより、キャリア付銅箔または積層体を平面視したときに、キャリア付銅箔または積層体の積層部分が樹脂又はプリプレグにより覆われ、他の部材がこの部分の側方向、すなわち積層方向に対して横からの方向から当たることを防ぐことができるようになり、結果としてハンドリング中のキャリアと極薄銅層またはキャリア付銅箔同士の剥がれを少なくすることができる。また、キャリア付銅箔または積層体の積層部分の外周を露出しないように樹脂又はプリプレグで覆うことにより、前述したような薬液処理工程におけるこの積層部分の界面への薬液の浸入を防ぐことができ、キャリア付銅箔の腐食や侵食を防ぐことができる。なお、積層体の一対のキャリア付銅箔から一つのキャリア付銅箔を分離する際、またはキャリア付銅箔のキャリアと銅箔(極薄銅層)を分離する際には、樹脂又はプリプレグで覆われているキャリア付銅箔又は積層体の積層部分(キャリアと極薄銅層との積層部分、または、1つのキャリア付銅箔ともう1つのキャリア付銅箔との積層部分)が樹脂又はプリプレグ等により強固に密着している場合には、当該積層部分等を切断等により除去する必要が生じる場合がある。
本発明の実施形態に係る金属材を極薄銅層として備えたキャリア付銅箔をキャリア側又は極薄銅層側から、もう一つの本発明の実施形態に係る金属材を極薄銅層として備えたキャリア付銅箔のキャリア側または極薄銅層側に積層して積層体を構成してもよい。また、前記一つのキャリア付銅箔の前記キャリア側表面又は前記極薄銅層側表面と前記もう一つのキャリア付銅箔の前記キャリア側表面又は前記極薄銅層側表面とが、必要に応じて接着剤を介して、直接積層させて得られた積層体であってもよい。また、前記一つのキャリア付銅箔のキャリア又は極薄銅層と、前記もう一つのキャリア付銅箔のキャリア又は極薄銅層とが接合されていてもよい。ここで、当該「接合」は、キャリア又は極薄銅層が表面処理層を有する場合は、当該表面処理層を介して互いに接合されている態様も含む。また、当該積層体の端面の一部または全部が樹脂により覆われていてもよい。
キャリア同士、極薄銅層同士、キャリアと極薄銅層、キャリア付銅箔同士の積層は、単に重ね合わせる他、例えば以下の方法で行うことができる。
(a)冶金的接合方法:融接(アーク溶接、TIG(タングステン・イナート・ガス)溶接、MIG(メタル・イナート・ガス)溶接、抵抗溶接、シーム溶接、スポット溶接)、圧接(超音波溶接、摩擦撹拌溶接)、ろう接;
(b)機械的接合方法:かしめ、リベットによる接合(セルフピアッシングリベットによる接合、リベットによる接合)、ステッチャー;
(c)物理的接合方法:接着剤、(両面)粘着テープ
一方のキャリアの一部若しくは全部と他方のキャリアの一部若しくは全部若しくは極薄銅層の一部若しくは全部とを、上記接合方法を用いて接合することにより、一方のキャリアと他方のキャリアまたは極薄銅層を積層し、キャリア同士またはキャリアと極薄銅層を分離可能に接触させて構成される積層体を製造することができる。一方のキャリアと他方のキャリアまたは極薄銅層とが弱く接合されて、一方のキャリアと他方のキャリアまたは極薄銅層とが積層されている場合には、一方のキャリアと他方のキャリアまたは極薄銅層との接合部を除去しないでも、一方のキャリアと他方のキャリアまたは極薄銅層とは分離可能である。また、一方のキャリアと他方のキャリアまたは極薄銅層とが強く接合されている場合には、一方のキャリアと他方のキャリアまたは極薄銅層とが接合されている箇所を切断や化学研磨(エッチング等)、機械研磨等により除去することにより、一方のキャリアと他方のキャリアまたは極薄銅層を分離することができる。
また、このように構成した積層体に樹脂層と回路との2層を、少なくとも1回設ける工程、及び、前記樹脂層及び回路の2層を少なくとも1回形成した後に、前記積層体のキャリア付銅箔から前記極薄銅層又はキャリアを剥離させる工程を実施することでコアを有さないプリント配線板を作製することができる。なお、当該積層体の一方または両方の表面に、樹脂層と回路との2層を設けてもよい。
前述した積層体に用いる樹脂基板、樹脂層、樹脂、プリプレグは、本明細書に記載した樹脂層であってもよく、本明細書に記載した樹脂層に用いる樹脂、樹脂硬化剤、化合物、硬化促進剤、誘電体、反応触媒、架橋剤、ポリマー、プリプレグ、骨格材等を含んでもよい。なお、前述のキャリア付銅箔または積層体は平面視したときに樹脂又はプリプレグ又は樹脂基板又は樹脂層よりも小さくてもよい。
また、樹脂基板はプリント配線板等に適用可能な特性を有するものであれば特に制限を受けないが、例えば、リジッドPWB用に紙基材フェノール樹脂、紙基材エポキシ樹脂、合成繊維布基材エポキシ樹脂、ガラス布・紙複合基材エポキシ樹脂、ガラス布・ガラス不織布複合基材エポキシ樹脂及びガラス布基材エポキシ樹脂等を使用し、FPC用にポリエステルフィルムやポリイミドフィルム、液晶ポリマー(LCP)フィルム、フッ素樹脂、や低誘電率ポリイミド樹脂フィルム、シクロオレフィンポリマ―(COP)樹脂フィルム等を使用する事ができる。なお、液晶ポリマー(LCP)フィルムやフッ素樹脂フィルムを用いた場合、ポリイミドフィルムを用いた場合よりも、当該フィルムと表面処理銅箔とのピール強度が小さくなる傾向にある。よって、液晶ポリマー(LCP)フィルムやフッ素樹脂フィルムを用いた場合には、銅回路を形成後、銅回路をカバーレイで覆うことによって、当該フィルムと銅回路とが剥がれにくくし、ピール強度の低下による当該フィルムと銅回路との剥離を防止することができる。
本明細書に記載のプリント配線板の製造方法において、「極薄銅層」を「極薄金属層」と読み替え、「キャリア付銅箔」を「キャリア付金属箔」に読み替えることで、キャリア付金属箔を用いてプリント配線板を製造することもできる。極薄金属層としては、前述の金属箔の組成を有する金属層を用いることができる。
また、本発明の実施形態に係る金属材または本発明の実施形態に係る金属材を極薄銅層として備えたキャリア付銅箔は、リチウムイオン二次電池等の二次電池の負極集電体等の電池材料にも好適に用いられる。また、本発明の実施形態に係る金属材または本発明の実施形態に係る金属材を極薄銅層として備えたキャリア付銅箔を、例えば、電池または二次電池の集電体として用い、当該金属材またはキャリア付銅箔のその上に活物質薄膜を形成して電極を作製することができる。そして、最終的には前述の電極を電極とする(正極又は負極のいずれでもよい)とする電池または二次電池を製造することができる。活物質薄膜を集電体上に形成する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、CVD法、スパッタリング法、蒸着法、溶射法、活物質を含む液体を集電体上に塗布およびその後乾燥をする方法またはめっき法などが挙げられる。これらの薄膜形成方法の中でも、CVD法、スパッタリング法、及び蒸着法が特に好ましく用いられる。また、集電体の上に中間層を形成し、この中間層の上に活物質薄膜を形成してもよい。本発明の実施形態に係る金属材または本発明の実施形態に係る金属材を極薄銅層として備えたキャリア付銅箔は公知の電極、公知の集電体、公知の電池に用いることができる。公知の電池としては例えばリチウムイオン二次電池、全固体二次電池、空気電池(リチウム−空気電池、亜鉛−空気電池等)、ナトリウムイオン電池、マグネシウムイオン電池、多価イオン電池、正極に硫黄系物質を用いた二次電池、正極に酸化還元活性を示す有機物を用いた二次電池、ニッケル・カドミウム電池、マンガン電池(乾電池)、アルカリ電池(乾電池)、リチウム電池(乾電池)等が挙げられる。公知の電極、公知の集電体としては前述の公知の電池に用いられる電極、集電体が挙げられる。
また、本発明の実施形態に係るプリント配線板に電子部品類を搭載することで、プリント回路板が完成する。本発明において、「プリント配線板」にはこのように電子部品類が搭載されたプリント配線板およびプリント回路板およびプリント基板も含まれることとする。
また、当該プリント配線板を用いて電子機器を作製してもよく、当該電子部品類が搭載されたプリント回路板を用いて電子機器を作製してもよく、当該電子部品類が搭載されたプリント基板を用いて電子機器を作製してもよい。
以下、実施例及び比較例に基づいて説明する。なお、本実施例はあくまで一例であり、この例のみに制限されるものではない。すなわち、本発明に含まれる他の態様または変形を包含するものである。
<金属材の作製>
金属材の基材(原箔)として、以下の3種類(原箔A〜C)のキャリア付銅箔を準備した。
・原箔A:キャリアとして電解銅箔であるJX金属製の厚み18μmのJTC箔を用いた。JTC箔のS面の十点平均粗さRz(JIS B0601 1982)は1.5μmであった。前述のJTC箔のS面(光沢面)側に以下の方法により、中間層および極薄銅層を形成した。
<中間層>
(1)Ni層(Niメッキ)
キャリアに対して、以下の条件でロール・トウ・ロール型の連続メッキラインで電気メッキすることにより1000μg/dm2の付着量のNi層を形成した。具体的なメッキ条件を以下に記す。
硫酸ニッケル:275g/L
塩化ニッケル:40g/L
酢酸ニッケル:15g/L
ホウ酸:35g/L
光沢剤:サッカリン、ブチンジオール
ドデシル硫酸ナトリウム:65ppm
pH:5
浴温:60℃
電流密度:10A/dm2
(2)Cr層(電解クロメート処理)
次に、(1)にて形成したNi層表面を水洗及び酸洗後、引き続き、ロール・トウ・ロール型の連続メッキライン上でNi層の上に11μg/dm2の付着量のCr層を以下の条件で電解クロメート処理することにより付着させた。
重クロム酸カリウム5g/L
pH:8.5
液温:50℃
電流密度:2A/dm2
<極薄銅層>
中間層のCr層の表面を水洗及び酸洗後、引き続き、ロール・トウ・ロール型の連続メッキライン上で、中間層のCr層の上に厚み3μmの極薄銅層を以下の条件で電気メッキすることにより形成し、キャリア付銅箔を作製した。
銅濃度:65g/L
硫酸濃度:150g/L
電解液温度:45℃
電流密度:15A/dm2
電解液線速:1.5m/sec
・原箔B:キャリアとして電解銅箔であるJX金属製の厚み18μmのJTC箔を用いた。JTC箔のS面の十点平均粗さRz(JIS B0601 1982)は1.5μmであった。前述のJTC箔のS面(光沢面)側に原箔Aと同様の方法により中間層を形成した。その後、中間層の表面に以下の方法で極薄銅層を形成した。
<極薄銅層>
中間層のCr層の表面を水洗及び酸洗後、引き続き、ロール・トウ・ロール型の連続メッキライン上で、中間層のCr層の上に厚み3μmの極薄銅層を以下の条件で電気メッキすることにより形成し、キャリア付銅箔を作製した。
銅濃度:100g/L
硫酸濃度:100g/L
塩化物イオン濃度:70ppm
レベリング剤1(ビス(3スルホプロピル)ジスルフィド):20ppm
レベリング剤2(アミン化合物):20ppm
なお、レベリング剤2として下記のアミン化合物を用いた。
(上記化学式中、R1及びR2はメチル基である。)
電解液温度:65℃
電流密度:100A/dm2
電解液線速:1.5m/sec
上記アミン化合物はナガセケムテックス株式会社製デナコール Ex−314とジメチルアミンを所定量混合させ、60℃で3時間反応を行うことで得た。
・原箔C:キャリアとしてポリイミドフィルムである、宇部興産製の厚み25μmのユーピレックス−Sフィルムを使用した。ポリイミドフィルムの表面の十点平均粗さRzjisは0.0650μmであった。前述のポリイミドフィルムの表面に以下の方法により、中間層および極薄銅層を形成した。
<中間層>
前述のポリイミドフィルムを真空装置内にセットし、真空排気後、ポリイミドフィルムに対して酸素を用いてプラズマ処理を実施した。
続いてプラズマ処理したポリイミドフィルムの面に、CrスパッタリングによりCr層を10nm形成した。その後、Crスパッタ層を酸素ガス雰囲気(圧力:5Pa、時間60秒)のチャンバー内で処理し、表面酸化物層を形成させ、中間層を形成した。
<極薄銅層>
さらに、中間層の表面にCuをスパッタしてCuスパッタ層を厚み0.2μm形成した。スパッタ条件は、Cuターゲットを用いたArガス中で、放電電圧500V、放電電流15A、真空度5×10-2Paとした。
引き続き、ロールtoロールの連続めっきライン上で、Cuスパッタ層の上に電解めっきで2.8μmの電解Cuめっき層を形成し、総銅厚が3μmの極薄銅層を形成した。なお、電解Cuめっき層は、以下の条件で電気めっきすることにより形成した。
・電解Cuめっき層
銅濃度:75g/L
2SO4濃度:70g/L
Cl濃度:55mg/L
ビス(3−スルフォプロピル)ジスルファイド2ナトリウム濃度:30mg/L
下記構造式で示されるジアルキルアミノ基含有重合体(重量平均分子量8500):10〜50mg/L
電解液温度:50℃
電流密度:55A/dm2
電解液線速:1.5m/sec
実施例6、7、8の原箔の表面には、下記の条件で粗化銅めっき処理を施した。
・液組成:Cu:45g/L、H2SO4:90g/L
・液温:40℃
・電流密度Dk:1A/dm2
・処理時間:5秒(実施例6)、10秒(実施例7)、15秒(実施例8)
<原箔の表面性状>
次に、各実施例及び比較例の原箔の表面粗さRa、Rt及びRzjisを以下の方法で測定した。
原箔の表面粗さRa、Rt及びRzjisは、それぞれJIS B0601−2001に準拠して、オリンパス株式会社製レーザー顕微鏡LEXT OLS 4000にて倍率を1000倍として測定した。なお、Ra、Rt及びRzjisの値の算出の前に、プロファイルを面傾き補正し、ワンショットフィルターボタンの測定前処理ボタンをクリックすることで、ノイズ(ピンノイズ)を除去した。評価長さを258μmとした。また、評価面積は66306μm2(257μm×258μm)の領域とした。フィルタータイプはガウシアンフィルタとした。また、各輪郭曲線フィルターのカットオフ値は、λs=0.25μm、λc=0.08mm、λf=80μmとした。Ra、Rt及びRzjisを任意に10箇所測定し、その平均値をそれぞれ原箔の表面粗さRa(μm)、Rt(μm)及びRzjis(μm)の値とした。
<金属材の前処理>
各実施例及び比較例の原箔に対して以下の処理を(1)〜(6)の順に行った。なお、実施例6、7、8については前述の粗化銅めっき処理の後に以下の処理を(1)〜(6)の順に行った。
(1)12質量%HCL水溶液(温度40℃)に1分間浸漬
(2)水洗
(3)表に記載の前処理液(温度27℃)を、表に記載の時間、滝沢産業株式会社製のフォトリソ用小型現像装置AD−1200を用いて以下のスプレーノズルとスプレー圧力で噴射
スプレーノズル:フラットコーン型
スプレー圧力:0.25MPa
(4)水洗
(5)12質量%HCL水溶液(温度40℃)に1分間浸漬
(6)水洗
なお、表中の「前処理液」の欄の「メック UT4100」、「メック CZ」、「MGC CPE900」は以下の処理液を用いたことを意味する。また「なし」は前処理を行っていないことを意味する。
「メック UT4100」:メック株式会社製の電子基板用薬品(UT粗化処理プロセス用) メックエッチボンド UTシリーズのUT4100を意味する。なお、UT4100は原液をそのまま用いた。
「メック CZ」:メック株式会社製の電子基板用薬品(ソルダーレジスト前処理用、又は、銅表面の粗化(CZ処理)用) メックエッチボンド CZシリーズのCZ−8101を意味する。なお、CZ−8101は原液をそのまま用いた。
「MGC CPE900」:三菱ガス化学株式会社製のドライフィルムレジスト前処理専用銅表面粗化剤のCPE−900を意味する。なお、CPE−900は原液をそのまま用いた。
<表面性状>
上記のようにして得られた金属材の各サンプルについて、以下の方法で各表面性状の評価を実施した。
金属材の表面について、表面粗さRa、Rt及びRzjisを測定した。表面粗さRa、Rt及びRzjisの測定方法は、前述の原箔の表面粗さRa、Rt及びRzjisを測定した方法と同様とした。また、実施例6、7、8については前述の粗化銅めっき処理の後であって、前処理前の表面粗さRa、Rt及びRzjisについても測定した。
金属材の表面について、輪郭曲線フィルターのカットオフ値λsおよびλfを設定しなかったこと以外はJIS B 0601 2001に準拠して、オリンパス社製レーザー顕微鏡LEXT OLS 4000にて、倍率を1000倍として算術平均うねりWa及び二乗平均平方根うねりWqを測定した。小さい波長成分に起因するうねりの影響も考慮に入れるため、輪郭曲線フィルターのカットオフ値λsを設定しないこととした。また、大きい波長成分に起因するうねりの影響も考慮に入れるため、輪郭曲線フィルターのカットオフ値λfを設定しないこととした。算術平均うねりWa及び二乗平均平方根うねりWqの値の算出の前に、プロファイルを面傾き補正し、ワンショットフィルターボタンの測定前処理ボタンをクリックすることで、ノイズ(ピンノイズ)を除去した。評価長さを258μmとした。また、評価面積は66306μm2(257μm×258μm)の領域とした。輪郭曲線フィルターのフィルタータイプはガウシアンフィルタとした。また、輪郭曲線フィルターのカットオフ値λsおよびλfは設定しなかった。輪郭曲線フィルターのカットオフ値λcは1.0μmとした。Wa及びWqを任意に10箇所測定し、その平均値をそれぞれ金属材の表面の算術平均うねりWa(μm)及び二乗平均平方根うねりWq(μm)の値とした。なお、レーザー顕微鏡による測定環境温度は23〜25℃とした。
<微細配線形成性>
次に、金属材の表面に、以下の条件で所定形状のドライフィルム(日立化成株式会社製RY−5107、厚み7μm)を設けた後に、以下の条件で銅めっき処理を行い、金属材表面のドライフィルムで覆われていない領域にパターン銅めっき層を形成した。その後、走査型電子顕微鏡を用いて金属材表面の観察写真を得た。
・ドライフィルムラミネート工程:上記金属材の表面に当該ドライフィルムを貼り合わせた。貼り合わせに用いたラミネートロールの温度は110℃、圧力は0.3MPa、回転速度は1.0m/分とした。
・ドライフィルム露光工程:所定のL(ライン)/S(スペース)の露光マスクを使用し、当該露光マスクを介してドライフィルムに光を照射した。使用したドライフィルムはネガタイプであり、光が当たった部分が光硬化した。露光量は100mJ/cm2とした。
・ドライフィルム現像工程:株式会社山縣機械製のEX-250JXを用いて、炭酸ナトリウム水溶液(現像液)によるスプレーエッチングにより現像することで、上記露光工程で光の当たっていない箇所を現像液で溶解除去した。なおスプレーエッチングをする際のスプレーノズルはフラットコーン型のものを用いた。炭酸ナトリウム水溶液の炭酸ナトリウム濃度は1wt/vol%、温度は30℃、スプレー圧は0.17MPa、スプレー噴霧時間は36秒とした。
・水洗工程:スプレーによって水の噴霧を行い、現像処理面を水洗した。スプレー圧は0.16MPa、スプレー噴霧時間は36秒とした。
パターン銅めっき層の形成は以下の様に行った。
・パターン銅めっき液組成:
・硫酸銅五水和物:100g/L
・硫酸:180g/L
・塩素イオン:50ppm
・添加剤: 株式会社JCU製 CU−BRITE−RF 適量
・パターン銅めっき液温度:30℃
・パターン銅めっき電流条件:
電流密度0.75A/dm2で5分間めっきを行い、その後、電流密度3A/dm2で7分30秒間めっきを実施
添加剤は、めっき表面の光沢や平滑性の向上を目的として用いた。
次に、水酸化ナトリウム溶液にてドライフィルム(DF)を剥離除去することで、金属材にラインアンドスペースパターンのライン/スペースが5μm/5μmの回路を形成した。水酸化ナトリウム濃度は3wt/vol%、液温は55℃、処理時間は5分とした。また、同様の手順で、ラインアンドスペースパターンのライン/スペースが3μm/3μmである回路、2.5μm/2.5μmである回路、2μm/2μmである回路、1.5μm/1.5μmである回路が形成された金属材を作製した。そして走査型電子顕微鏡を用いて加速電圧を5kVとし、3000倍の倍率で回路の真上から写真撮影を行い、回路の観察写真を得た。なお、上述の写真の大きさは縦32μm×横42.2μmとした。また、写真の縦が配線の伸びる方向と平行となるようにして撮影を行った。
当該観察写真を目視することで、各回路について以下の基準で微細配線形成性を評価した。
◎:回路のうねりがほとんどなく、回路幅のばらつきも小さい
○:回路のうねりが小さく、回路幅のばらつきも概ね小さい
△:回路が形成できているが、回路のうねりが大きいか回路幅のばらつきが大きい
×:回路を形成できていない箇所がある。
<配線直線性>
微細配線形成性の評価の際に得た走査型電子顕微鏡写真について以下の様に配線直線性を評価した。
・図9に示すように、写真中央の5つの配線を選択する。
・次に、図10に示すように、各配線について、写真の上枠部分の幅中央の点と、写真の下枠部分の幅中央の点とを結ぶ直線A、B、C、D、Eを引く。
・次に、図11に示すように、直線A〜Eをそれぞれ、6等分する点において、直線A〜Eの右側に直線A〜Eに対して垂直の線(A1〜A5、B1〜B5、C1〜C5、D1〜D5、E1〜E5)を引く。そして、6等分する点から、当該垂直の線(A1〜A5、B1〜B5、C1〜C5、D1〜D5、E1〜E5)が配線の端と交わる点までの、垂直の線の長さ(LA1〜LA5、LB1〜LB5、LC1〜LC5、LD1〜LD5、LE1〜LE5)を測定する。
・次に、以下の式で配線直線性を算出する。
配線直線性(−)=[LA1、LA2、LA3、LA4、LA5、LB1、LB2、LB3、LB4、LB5、LC1、LC2、LC3、LC4、LC5、LD1、LD2、LD3、LD4、LD5、LE1、LE2、LE3、LE4及びLE5の標準偏差(μm)]/[LA1、LA2、LA3、LA4、LA5、LB1、LB2、LB3、LB4、LB5、LC1、LC2、LC3、LC4、LC5、LD1、LD2、LD3、LD4、LD5、LE1、LE2、LE3、LE4及びLE5の平均値(μm)]×100
配線直線性が15.50以下である場合、配線が直線的であり、配線直線性が好ましいとした。
前述の標準偏差は以下の式で算出した。
以上の試験条件及び評価結果を表1〜4に示す。
(評価結果)
実施例1〜12の金属材はいずれも、少なくとも一方の表面が以下の(A)および(B)の内一つまたは二つを満たした。
(A)前記表面の算術平均うねりWaが0.052μm以上0.500μm以下である、
(B)前記表面の二乗平均平方根うねりWqが0.060μm以上0.550μm以下である。
従って、実施例1〜12の金属材はいずれもL/S=3/3μm以下の微細な回路を形成することができた。
一方、比較例1及び2の金属材は、表面が上記(A)及び(B)のいずれも満たさなかったため、L/S=3/3μm以下の微細な回路を形成することができなかった。

Claims (27)

  1. 少なくとも一方の表面が以下の(A)および(B)の内一つまたは二つを満たす金属材。
    (A)前記表面の算術平均うねりWaが0.052μm以上0.500μm以下である、
    (B)前記表面の二乗平均平方根うねりWqが0.060μm以上0.550μm以下である。
  2. 前記表面の算術平均うねりWaが0.075μm以上である請求項1に記載の金属材。
  3. 前記表面の算術平均うねりWaが0.083μm以上である請求項2に記載の金属材。
  4. 前記表面の算術平均うねりWaが0.093μm以上である請求項3に記載の金属材。
  5. 前記表面の算術平均うねりWaが0.220μm以下である請求項1〜4のいずれか一項に記載の金属材。
  6. 前記表面の算術平均うねりWaが0.200μm以下である請求項5に記載の金属材。
  7. 前記表面の算術平均うねりWaが0.155μm以下である請求項6に記載の金属材。
  8. 前記表面の二乗平均平方根うねりWqが0.091μm以上である請求項1〜7のいずれか一項に記載の金属材。
  9. 前記表面の二乗平均平方根うねりWqが0.103μm以上である請求項8に記載の金属材。
  10. 前記表面の二乗平均平方根うねりWqが0.114μm以上である請求項9に記載の金属材。
  11. 前記表面の二乗平均平方根うねりWqが0.279μm以下である請求項1〜10のいずれか一項に記載の金属材。
  12. 前記表面の二乗平均平方根うねりWqが0.260μm以下である請求項11に記載の金属材。
  13. 前記表面の二乗平均平方根うねりWqが0.200μm以下である請求項12に記載の金属材。
  14. 前記表面の二乗平均平方根うねりWqが0.185μm以下である請求項13に記載の金属材。
  15. 前記表面の二乗平均平方根うねりWqが0.140μm以下である請求項14に記載の金属材。
  16. 前記表面の二乗平均平方根うねりWqと前記表面の算術平均うねりWaとの比であるWq/Waの値が1.181以上である請求項1〜15のいずれか一項に記載の金属材。
  17. 前記表面の二乗平均平方根うねりWqと前記表面の算術平均うねりWaとの比であるWq/Waの値が1.184以上である請求項16に記載の金属材。
  18. 前記表面の二乗平均平方根うねりWqと前記表面の算術平均うねりWaとの比であるWq/Waの値が1.190以上である請求項17に記載の金属材。
  19. 前記表面の二乗平均平方根うねりWqと前記表面の算術平均うねりWaとの比であるWq/Waの値が1.200以上である請求項18に記載の金属材。
  20. 前記金属材が銅または銅合金である請求項1〜19のいずれか一項に記載の金属材。
  21. 前記金属材が銅箔であり、キャリアを有する請求項1〜20のいずれか一項に記載の金属材。
  22. 導体パターンとしてラインアンドスペースパターンを有するプリント配線板であって、
    前記ラインアンドスペースパターンのライン/スペースが3μm/3μm以下であり、
    以下の式で表される配線直線性が12.00以下であるプリント配線板。
    配線直線性(−)=配線幅の標準偏差(μm)/配線幅の平均値(μm)×100
  23. 配線が樹脂に埋め込まれている請求項22に記載のプリント配線板。
  24. 請求項1〜21のいずれか一項に記載の金属材を用いてプリント配線板を製造するプリント配線板の製造方法。
  25. 請求項1〜21のいずれか一項に記載の金属材の前記表面に回路を形成する工程、
    前記回路が埋没するように前記金属材の前記表面に樹脂層を形成する工程、
    前記樹脂層上に回路を形成する工程、
    前記樹脂層上に回路を形成した後に、前記金属材を除去することで、前記樹脂層に埋没している回路を露出させる工程
    を含むプリント配線板の製造方法。
  26. 金属材をエッチングして請求項1〜21のいずれか一項に記載の金属材を作製した後、前記金属材の前記表面に回路を形成する工程、
    前記回路が埋没するように前記金属材の前記表面に樹脂層を形成する工程、
    前記樹脂層上に回路を形成する工程、
    前記樹脂層上に回路を形成した後に、前記金属材を除去することで、前記樹脂層に埋没している回路を露出させる工程
    を含むプリント配線板の製造方法。
  27. 請求項22又は23に記載のプリント配線板、或いは、請求項24〜26のいずれか一項に記載の方法で製造されたプリント配線板を用いて電子機器を製造する電子機器の製造方法。
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