本発明で使用される用語についての定義は、以下の通りである。
本明細書で使用される「動物」又は「実験動物」は、人間以外の任意の哺乳類動物として、特に「反芻動物」を意味する。反芻動物(ruminants)は、哺乳類ウシ科に属する動物で、噛み直し動物ともいう。ラクダ科・シカ科・キリン科・ウシ科の動物でみることができる。このような動物は、第1胃〜第4胃までの複胃を有し、ブタ等の単胃動物とは非常に異なる消化構造を有するが、このような複数個の胃を反芻胃という。反芻胃は、食べた食物を入れておく大きな第1胃(こぶ胃:rumen)と蜂の巣のような模様の壁がある第2胃(蜂巣胃:reticulum)、粘膜がしわ模様になった第3胃(重弁胃:omasum)、胃腺が分布した第4胃(皺胃:abomasum)等の4室からなっている。前記動物は、胚芽、胎児、新生児及び成人を含む全ての年齢の動物を含む。
「飼料組成物(feed composition)」は、動物飼料として使用するのに適切で、多様な天然又は非天然基礎(non−natural base)又は加工されていない物質(raw materials)又はこれを添加物(additives)と混合した組成物を意味する。このような飼料は、目標動物(target animal)の特定な必要条件(specific requirements)に応じて剤形化することができる。商業的に製造された混合飼料に使用されている主な成分は、ふすま(wheat bran)、米ぬか(rice bran)、とうもろこし粉(corn meal)、麦(barley)、小麦(wheat)、ライ麦(rye)及び燕麦(oat)のような穀物(cereal grains)、大豆粕(soybean meal)、アルファルファ粉(alfalfa meal)、小麦粉末(wheat powder)等を一般的に含む。商業的な化合物餌(commercial compound feed)は、本発明がこのような側面で特に限定されなくても、消化しやすい全体栄養素(digestible total nutrients)を一般的に含むことができる。半固体(semi−solid)だけでなく液体、固体の動物飼料組成物は、本発明の範囲内に含まれる。このような組成物は、つぶした穀物類型(meal type)、ペレット(pellets)又はクランブル(crumbles)として一般的に製造されることができる。実際に、家畜に、本発明のこのようなもののような混合飼料のコンビネーション、及びサイレージ(silage)又は干し草等を一般的に食べさせることができる。一般的に混合動物飼料は、0.3ないし10kg/動物/一日の範囲内の量で供給される。本分野の熟練者は、動物の類型及びこれを保存する環境を考慮して、混合動物飼料に含まれることができるこのような成分の適切な量を決定することができる。
「飼料補充物(feed supplement)」は、予備配合物又は補充物が本発明に合うように、補充された飼料を形成するための動物の餌、又は量(ration)を添加することができる、有効成分(active ingredients)を含む濃縮予備配合添加剤(concentrated additive premix)を示す。用語「動物飼料予備配合物(animal feed premix)」、「動物飼料補充物」及び「動物飼料添加物(animal feed additive)」は、類似するか同一の意味を有するものと一般的にみなされ、一般的に入替えて使用することができるものとみなされる。一般的に、本発明の動物飼料補充物は、粉末(powder)又は圧縮型(compacted)又は顆粒型固体(granulated solid)の形態である。特に、家畜に配給量(ration)にこれを直接的に添加、例えばいわゆる配給量に肥料を振りかけて(top−dress)動物飼料補充物を一般的に食べされたり、又はこれを混合動物飼料(compounded animal feeds)又はリックブロック(lick blocks)のような生産物の製造(manufacture)又は物質(preparation)に使用されることができる。
「胃腸のメタン生成減少(reducing gastro−intestinal methanogenesis)」は、胃腸管(gastro−intestinal tract)でのメタンガス生産の減少を示すものである。反芻動物の反芻胃及び内臓(gut)での発酵は、いわゆるメタン生成菌によるメタンガスを生産する。本発明は、メタン排出(methane excretion)されるものを減少させることを目標とする。動物によるメタン排出を評価することは、本分野の熟練者の技量(skill)及び知識内である。反芻胃及び内臓でのメタン生産は、健康な動物で一般的に発生する過程(process)であり、メタン生成反応を減少させることは、反芻動物の健康又はウェルビーイング(wellbeing)な一般的状態を向上又は弱化させない。メタン形成の減少は、栄養素使用の動物の効率性を増加させ、動物の成長及び/又は生産性(productivity)を増進させることができる。
「基質」は、酵素の作用によって他の化合物に転換されるか転換されるようになっている任意の物質又は化合物を指称する。前記用語は、単一化合物だけでなく溶剤、混合物及び最小限一つの基質を含む他の材料のような化合物の組合及びこれらの誘導体を包括する。さらに、用語「基質」はバイオマス(biomass)誘導された砂糖のような出発材料として使用するに適する炭素供給源を提供する化合物だけでなく、本明細書に記載した代謝操作微生物と連関した経路で使用される中間生成物と最終代謝産物を包括する。微生物によって通常的に使用されるのに適した炭素基質を包括する。
「機能」及び「機能性」等は、生物学的又は酵素的機能を意味する。
「増加した」又は「増加」とは、非変型微生物、又は相異に変形した微生物のような対照微生物に比べて与えられた産物又は分子(例えば、汎用化学物質、バイオ燃料又はこれらの中間体産物)をさらに多量に生産することができる一つ以上の組換え微生物の能力を意味する。
「〜から得た」又は「〜由来の」とは、例えば、所定有機体、典型的に微生物のような特定供給源から単離されるか、これから誘導されたポリヌクレオチド抽出物又はポリペプチド抽出物等のようなサンプルを意味する。また、ポリヌクレオチド又はポリペプチド序列が特定有機体又は微生物から単離されるか、これから誘導された状況も意味することができる。
「外来」は、一般的に野生型細胞又は有機体で自然的に発生するものではなく、典型的に分子生物学技術、すなわち、組換え微生物を生成するための工学的処理により細胞に導入されたポリヌクレオチド序列又はポリペプチドを意味する。
「組換え」微生物は、典型的に、例えばプラスミド又はベクターに一つ以上の外来ヌクレオチド序列を含む。
「約」というのは、参照量、水準、値、数、頻度、パーセント、寸法、大きさ、量、重量又は長さについて、30、25、20、25、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1%程度で変わる量、水準、値、数、頻度、パーセント、寸法、大きさ、量、重量又は長さを意味する。
本明細書を通じて、文脈で別に必要でなければ、「含む」及び「含む〜」という言葉は、提示された段階又は元素、又は段階又は元素らの群を含むが、任意の他の段階又は元素、又は段階又は元素らの群が排除されないことを内包するものと理解しなければならない。
本発明で使用される全ての技術用語は、別に定義されない以上、本発明の関連分野で通常の当業者が一般的に理解するところと同じ意味で使用される。また本明細書には望ましい方法や資料が記載されるが、これと類似するか同等なものも本発明の範疇に含まれる。本明細書に参考文献として記載される全ての刊行物の内容は、本発明に導入される。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明者らは、乳牛及び在来ヤギの反芻胃液を収集して培養した後、還元的酢酸生成菌を分離及び確認した結果、新しい菌株を発見した。
本発明は、このような新規の還元的酢酸生成菌株及びその用途に関するもので、反芻動物の反芻胃内のメタン生成抑制能を有するプロテイニフィルム(Proteiniphilum)属微生物及びその多様な利用に関するものである。
本発明で使用される「反芻動物」は、哺乳類ウシ科に属する動物で、消化形態上一度飲込んだ餌を再び吐き出して噛む特性を持った動物として噛み直し動物とも呼ばれ、ラクダ科、マメジカ科、シカ科、キリン科、ウシ科等の動物がこれに該当する。本発明の反芻動物は、ラクダ科、マメジカ科、シカ科、キリン科、ウシ科に属するウシ、ヤギ、牡ウシ、スイギュウ、ヤギュウ、シカ、ラクダ、ヒツジ等の反芻胃がある動物であればこれに制限されず、望ましくはウシである。
反芻胃には、細菌、原生動物及び真菌等の嫌気性微生物が多数棲息しているが、これらは反芻動物が摂取した飼料を発酵過程を経て消化させる作用をする。
反芻動物が、炭水化物が含まれた飼料を摂取する場合、反芻胃内の微生物によって発酵及び分解され最終分解産物として揮発性脂肪酸、水素、二酸化炭素、アンモニア等が生成されるが、このうち揮発性脂肪酸やアンモニアは、反芻動物又は反芻胃内の微生物が利用するので大きく問題にならない。しかし、二酸化炭素及び水素は、反芻動物内のメタン生成微生物によってメタンに生成されたり、競争的に酢酸生成微生物によって酢酸を生成したりするようになり、特にメタンが生成される場合には、反芻動物の体内で吸収されることができずに1時間に15ないし20回程度大気に放出されるので問題になっている。
反芻動物の反芻胃で生成されるメタンは、酸素がない嫌気状態でのみ発生するが、全体の発生するメタンの原因中の約15%を占め、地球温暖化現象を引き起こす主要物質である。また、反芻動物が飼料から摂取した総エネルギーの3ないし12%がメタンの生成で消失する結果をもたらすため、飼料利用効率とも深い関連がある。
このように、反芻動物の反芻胃内でメタンが生成される場合、地球温暖化による環境問題が発生し、飼料利用効率が減少するので、この生成を抑制するためのさまざまな方案が研究されている実情である。
本発明は、一観点からは、反芻動物の反芻胃内のメタン生成抑制能を有するプロテイニフィルム属微生物(菌株)である還元的酢酸生成菌に関するものである。
「還元的酢酸生成菌」は、反芻動物が、炭水化物が含まれた飼料を摂取する場合、反芻胃内の微生物によって発酵及び分解された後の最終分解産物のうち水素又は二酸化炭素を利用して酢酸を生成する菌をいう。
反芻動物が炭水化物を含む飼料を摂取する場合、メタン生成微生物によって反芻胃でメタンが生成されるが、これは地球温暖化を起こす主犯中の一つであり、飼料利用効率を落とす原因中の一つであるため、反芻動物の反芻胃内のメタン生成を抑制することが重要である。本発明の還元的酢酸生成菌は、メタン生成微生物と効果的に基質競争をして酢酸を生成するため、反芻動物の反芻胃内のメタン生成を抑制するのに効果的である。
本発明の還元的酢酸生成菌は、反芻胃内のメタン生成抑制能を有するプロテイニフィルム属微生物として、最も望ましくはプロテイニフィルム・アセタティゲネス(Proteiniphilum acetatigenes)菌株である。
本発明の一実施例では、在来ヤギの反芻胃から分離した新規のプロテイニフィルム・アセタティゲネス(Proteiniphilum acetatigenes)菌株をプロテイニフィルム・アセタティゲネスSROD1と命名した。
具体的には、本発明者らは乳牛及び在来ヤギの反芻胃液を収集して培養した後、還元的酢酸生成菌を分離及び確認した結果、新しい菌株を発見することになり、そのうちメタン除去能が優秀な菌株であるGA3をプロテイニフィルム・アセタティゲネス(Proteiniphilum acetatigenes)SROD1と命名し、これを2011年11月9日付けで韓国微生物保存センターに寄託番号KCCM11219Pにて寄託した。
一つの具体的実施として、AC−B1培地にそれぞれ異なる菌株を接種して培養した後、還元的酢酸生成遺伝子を利用して還元的酢酸生成菌を特異的に検出した結果、総4種の菌株であるDA02、GA01、GA02及びGA03が選別された。また、前記で選別された菌株の発酵特性を詳察した結果、選別された菌株全てで多量の酢酸が検出され、特にGA03であるプロテイニフィルム・アセタティゲネス(Proteiniphilum acetatigenes)SROD1(寄託番号KCCM11219P)で最も多量の酢酸が検出された。
他の一つの具体的実施として、前記で選別された4種の菌株を利用してin vitro発酵システムで揮発性脂肪酸の含量を詳察した結果、澱粉及びカゼインを基質として使用した群の全てでアセテートの含量が最も高く現われたが、対照群とは異なりラクテートは検出されなかった。
また、他の一つの具体的実施として、前記で選別された4種の菌株を利用してメタン生成抑制能を詳察した結果、澱粉を基質として使用した場合にメタン生成抑制能が優秀に現われ、特にGA03であるプロテイニフィルム・アセタティゲネス(Proteiniphilum acetatigenes)SROD1のメタン生成抑制程度が優秀であった。
したがって、本発明のプロテイニフィルム・アセタティゲネス(Proteiniphilum acetatigenes)SROD1は、反芻動物の反芻胃内のメタン生成を抑制するのに、今まで報告されたいかなる他の微生物に比べても効果的に使用可能であり、特に炭水化物を根源としてメタンが生成されることを抑制するのに効果的に使用することができる。
本発明は、他の観点からは、前記還元的酢酸生成菌を含むメタン生成抑制用微生物製剤に関するものである。
前記還元的酢酸生成菌は、プロテイニフィルム属微生物で、最も望ましくはプロテイニフィルム・アセタティゲネス(Proteiniphilum acetatigenes)SROD1である。
本発明において、前記微生物製剤は、本発明者によって新たに発見された前記プロテイニフィルム・アセタティゲネス(Proteiniphilum acetatigenes)SROD1の単一種で使用されることができ、微生物が2種以上混合された形態でも使用されることができる。微生物が2種以上混合された場合は、プロテイニフィルム・アセタティゲネス(Proteiniphilum acetatigenes)SROD1の他にメタン生成抑制能が公知となった微生物からなる群から一つ以上選択された微生物を含むことができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。
本発明において、前記微生物製剤は、粉末又は液状の形態であることができる。
前記粉末形態の微生物製剤の場合、前記微生物の特徴上嫌気状態で培養しなければならず、担体に付着させた後、水分含量が0.1ないし10重量%になるように乾燥し粉碎して製品化する。水分含量が10重量%を超過する場合、微生物の再活性化効率が落ちたりメタン生成抑制効果の増加がわずかで経済的に望ましくない。本発明の菌株は、嫌気微生物であり、粉末形態や液状形態に微生物製剤を生産時、嫌気状態条件で製造生産しなくてはならない。
前記担体としては、粉末状の粘土類、活性炭、コークス、製鉄所廃スラグ、火山灰及び燃焼灰から構成される群から一つ以上選択されたものが使用されることができ、前記粘土類としてはゼオライト、バーミキュライト、珪藻土、カオリン、甕器土、長石、及び滑石からなる群から一つ以上選択されたものを使用することができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。
前記粉末形態の微生物製剤には、付形剤が追加されることができる。前記付形剤の場合、アミノ酸、ビタミンC、ビタミンE、キトサン及びブドウ糖を単独で使用するか2種以上混合して使用することができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。
前記液状形態の微生物製剤の場合、前記微生物の培養液を混合するか希薄し、微生物を安定化させるためにブドウ糖やグリセリンを混合した後、最終濃度が1ないし10重量%、望ましくは1ないし5重量%になるように製造する。微生物が1重量%未満の場合には微生物製剤のメタン除去効果が微々たることがあり得、10重量%を超過する場合にはメタン生成抑制効果の増加が微々として経済的に望ましくない。液状形態で微生物製剤を使用する場合、粉末製品に比べて活性が早く取扱いが簡便な長所がある。
本発明は、また他の観点からは、前記メタン生成抑制用微生物製剤を含むことを特徴とする畜産用飼料又は飼料補充物に関するものである。
前記飼料は、必ずしもこれに制限されるものではないが、とうもろこし、小麦、大豆ミール、豆、米等のいずれか一つ又はこれらからなった群から2以上を選択した混合物を粉碎して得られる粉砕物と、これらを加工する過程で得られる米ぬか、ふすま、麦ぬかのような加工副産物が使用されることができる。
前記畜産用飼料には、前記メタン生成抑制用微生物製剤が飼料の総重量に対して0.3ないし0.5重量%含むことを特徴とし、望ましくは0.4重量%である。前記微生物製剤が0.3重量%未満含まれる場合、畜産用飼料のメタン生成抑制効能が微々たることがあり得、0.5重量%を超過する場合、効果がそれ以下である場合とほとんど同一であり効果に比べ非経済的であるためである。
前記畜産用飼料は、必ずしもこれに制限されるものではないが、ラクダ科、マメジカ科、シカ科、キリン科、ウシ科等の反芻胃がある動物に提供するためのものであり、望ましくはウシに提供するためのものである。
本発明の畜産用飼料組成物は、本分野で一般的に使用されるいかなる追加的な飼料添加物(feed additive)をも含むことができる。当業者によって公知になっているように、「飼料添加物」は飼料の質(quality)及び動物起源(animal origin)からの食物の質を増進させたり、例えば飼料物質(feed materials)の増進した消化性(digestibility)を提供する動物の遂行力(animals’ performance)を増進させるための目的で動物栄養処理過程(animal nutrition)に使用された生産物を示す。非制限的に、保存剤(preservatives)、酸化防止剤(antioxidants)、乳化剤(emulsifiers)、安定剤(stabilising agents)、酸度調節剤(acidity regulators)及びサイレージ添加剤(silage additives)のような技術的な添加剤(technological additives);感覚作用と係わる添加剤(sensory additives)特に香味剤(flavours)及び着色剤(colorants); ビタミン、アミノ酸及び微量元素(trace elements)のような(追加の)栄養上の添加剤;及び消化率増進剤及び腸内有益菌安定剤(gut flora stabilizers)のような(追加的な)畜産添加剤を含むことができる。
本発明の動物飼料補充物は、本発明の範囲から外れないいかなる追加的な構成要素(ingredient)をも含むことができる。これは、一般的に目的とする生産物形態(product form)を製造するのに必要な公知の付形剤(excipient)を含むことができ、これは飼料の質(quality)を改善及び/又は補充物を消費する動物の実行(performance)を改善することを目標とする添加剤を追加的に含むことができる。このような付形剤の適切な例は、担体(carrier)又はラクトース、スクロース、マンニトール(mannitol)、澱粉結晶質セルロース(starch crystalline cellulose)、炭酸水素ナトリウム(sodium hydrogen carbonate)、塩化ナトリウム(sodium chloride)等のような充填剤(filler)及び、アラビアゴム(gum Arabic)、トラガントゴム(gum tragacanth)、アルギン酸ナトリウム(sodium alginate)、澱粉、PVP及びセルロース誘導体等のようなバインダー(binder)を含む。本分野の熟練者に公知の飼料添加物の例は、ビタミン、アミノ酸及び微量元素(trace elements)、消化率改善剤(digestibility enhancers)及び腸内有益菌安定剤(gut flora stabilizers)等を含むことができる。
畜産用飼料内の本発明の微生物の場合、無毒性であり、酸、酵素、胆汁に対する耐性を備えていて腸に行く間生き残る特性を有する。また嫌気的環境でも生理活性をみせ、腸内の上皮細胞や粘膜に吸着して着生することができる。
そして、前記畜産用飼料を摂取する場合、反芻動物の反芻胃内のメタンの生成を抑制して地球温暖化効果を防止することができ、飼料利用効率を増大させることができる。
一方、本発明は、前記還元的酢酸生成菌の他の用途として、これを動物に給与して反芻動物の反芻胃内のメタン生成を抑制する方法を含む。
本発明において、前記還元的酢酸生成菌は、反芻動物が炭水化物が含まれた飼料を摂取する場合、反芻胃内の微生物によって発酵及び分解された後の産物のうち水素又は二酸化炭素を利用して酢酸を生成する菌をいう。前記還元的酢酸生成菌は、反芻動物の反芻胃内でメタン生成を抑制することができる微生物であれば、その種類がこれに制限されるものではないが、望ましくはプロテイニフィルム属微生物、最も望ましくはプロテイニフィルム・アセタティゲネス(Proteiniphilum acetatigenes)SROD1である。
前記プロテイニフィルム・アセタティゲネス(Proteiniphilum acetatigenes)SROD1は、本発明者らによって在来ヤギの反芻胃から分離した新規の還元的酢酸生成菌として、メタン生成微生物と効果的に基質競争をして酢酸を生成するため反芻動物の反芻胃内のメタン生成を抑制するのに効果的である。
本発明の方法において、前記給与は、前記還元的酢酸生成菌が含まれた微生物製剤又は前記微生物製剤を含む畜産用飼料を前記反芻動物に提供することをいうが、反芻動物に前記還元的酢酸生成菌を提供する方法であれば何であっても関係なく、その方法がこれに制限されるものではない。
前記微生物製剤は、粉末又は液状形態に製造されたものにその形態が制限されず、前記還元的酢酸生成菌が1種又は2種以上混合された形態で使用されることができる。前記微生物製剤の特性及び含量は、上述した通りである。
前記畜産用飼料は、反芻動物が成長するために反芻動物に給与する餌であり、本発明の畜産用飼料は、前記還元的酢酸生成菌が含まれた微生物製剤を含んでいるものをいい、その特性及び含量は上述した通りである。
前記還元的酢酸生成菌を動物に給与して反芻動物がこれを摂取する場合、反芻動物の反芻胃内のメタン生成を抑制して地球温暖化を防止することができ、飼料利用効率を増大させることができる。
このように、本発明は、還元的酢酸生成菌としてプロテイニフィルム属微生物のメタン生成抑制機能に関するもので、特に、本発明者らが分離同定したプロテイニフィルム・アセタティゲネス(Proteiniphilum acetatigenes)SROD1菌株は、反芻動物の反芻胃内のメタン生成を抑制するのに今まで報告されたいかなる他の微生物に比べても優秀な効果を示すところ、メタン生成を抑制するのに有用に活用することができるものである。
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明することにする。これらの実施例は、ただ本発明を具体的に説明するためのものであり、本発明の要旨によって本発明の範囲がこれら実施例によって制限されないということは、当業界で通常の知識を有する者において自明なことである。
実施例1:乳牛(ニュウギュウ)及び在来ヤギの飼育環境及び胃液の収集と培養
1−1.乳牛及び在来ヤギの飼育環境
乳牛は、順天大学校付設農場で飼育し、在来ヤギは全羅南道求礼で放牧して飼育し、実験には反芻胃瘻管が装着されたホルスタイン・フリーシアン(hostein friesian)種の乳牛及び在来ヤギを使用した。実験期間の間、乳牛は稲藁と濃厚飼料を6:4の割合で体重の2%水準で1日2回給与し、在来ヤギは稲藁を自由給与し肥育用濃厚飼料を毎日800g給与した。
1−2.反芻胃液の収集及び培養
反芻胃液は、前記実施例1−1の乳牛及び在来ヤギから収集した。
前記乳牛及び在来ヤギから反芻胃液を採取して4重のチーズ織布(cheese cloth)を利用して飼料粒子を除去した後、保温及び嫌気状態の容器に保管して実験室に運んだ。
血清瓶(Serum bottle)内のそれぞれ採取された反芻胃液50mLに、最終濃度が50mMになるようにBES(bromoethanesulfonic acid)を添加した後、一時間の間80%N2−20%CO2(vol%)ガスでバブリングした。80%N2−20%CO2(vol%)ガスを注入した培養液を対照区とし、80%H2−20%CO2(vol%)ガスを注入した培養液を実験区としてブチルゴムストリッパーとアルミニウムキャップで封じた。その後、前記対照区及び実験区を、39℃でシェイキングインキュベーターで120rpmの速度で1週間培養した。
実施例2:菌株の分離及びDNAの抽出
2−1.菌株の分離
前記実施例1−2で収集及び培養した反芻胃液から、メタン生成微生物(methanogens)と効果的に基質競争をする還元的酢酸生成菌(reductive acetogen)を分離するために、選択培地として使用されている下記表1の成分を有するAC−B1培地(Le Van等、1998)5mLに、培養された反芻胃液を5%接種した後、39℃のシェイキングインキュベーターで120rpmの速度で1週間培養した。
その後、1次培養液0.5mLを新鮮なAC−B1培地で同じ条件で継代培養し、3次継代培養まで実施した。継代培養時には、追加的に80%H2−20%CO2(vol%)ガスを注入した。
還元的酢酸生成菌の純粋分離のために、前記で培養した1ないし3次培養液をAC−B1培地を使用して10進希釈法100〜10−9まで希薄した後、10−2〜10−9希薄液をAC−B1寒天培地に塗抹した後、嫌気チャンバ(Visionbionex、N2:90%、H2:5%、CO2:5%)内の39℃インキュベーターで1週間培養した。その後、最終的に還元的酢酸生成菌を分離するために、再塗抹及び培養した後、分離菌株を冷凍保管した。
2−2.DNA抽出
前記2−1で分離した菌株を固体培地で培養した後、コロニーをチューブに入れた後100μLの5%Chelex(Biorad)を入れた。その後、95℃で10分間置いた後、上澄液からでDNAを抽出した。
実施例3:菌株の同定
3−1.PCRの遂行及びDNAの確認
前記実施例2−1で分離した菌株の種を確認するために、分離した菌株の16S rDNAを利用して、重合酵素連鎖反応(polymerase chain reaction、PCR)実験を遂行した。
AC−B1寒天培地から適当量のコロニーを取って1.5mLチューブに移した後、100μL5%Chelex 100 Resin(Biorad、USA)を添加、95℃で10分間熱処理した後、これを円心分離して、上澄液1μLを取ってPCR反応のDNA鋳型として使用した。
プライマーとしては、普遍的なプライマーである27F(5’−AGA GTT TGA TCM TGG CTC AG−3’;配列番号1)と、1492R(5’−TAC GGY TAC CTT GTT ACG ACT T−3’;配列番号2)を使用した(Nubel et al.1996.Sequence heterogeneities of genes encoding 16S rRNAs in Paenibacillus polymixa detected by temperature gradient gel electrophoresis.J.Bacteriol.178、5636−5643)。
PCR条件は、50μLのPCR混合溶液になるよう増幅DNA 1μL、10μM forward及びreverse primers 2μLと、各2.5mM dNTPs 1μL、1.25unitのTaq polymerase(Takara、Japan)0.25μL、PCR緩衝溶液(15mM MgCl2、100mM Tris−HCl pH8.3、500mM KCl)5μLに蒸溜水を加えて94℃で5分間初期変性(pre−denaturation)させた後、94℃で45秒間単一鎖に変性(denaturation)させ、55℃で45秒間結合させた(annealing)後、72℃で1分間延長(extension)する過程を総32回反復して遂行した。後期延長(Post−extension)は、72℃で10分間遂行した。前記実験は、Applied Biosstem社のGene Amp PCR System 2700 thermocyclerを利用して遂行した。
最終反応物を1% agarose gelで、40分間100Vで電気泳動を実施し、EtBrで染色して増幅産物を確認した。16S rRNA PCR増幅産物に対して制限酵素を処理した後、各菌株の切断様相を観察した。Hae III、及びHha I(Takara、Japan)を利用して37℃で5時間処理した後、制限酵素を処理した産物を2.5% Metaphor agarose gel(BioWhittaker、USA)を使用して170Vで70分間電気泳動を実施し、EtBrで染色してUV下で確認した。確認されたバンドのパターンをクラスタリングして互いに異なるバンドタイプを調査した後、これらのうち、代表することができる菌株を選別した。
その結果、反芻胃液から分離された還元的酢酸生成菌株は、乳牛で13種、在来ヤギで36種であり、二つの制限酵素を処理して同一菌株を分離した。
3−2.DNAの塩基序列の分析
前記実施例3−1で増幅したDNAを、Qiagen社のQIAquick PCR Purification Kits(Qiagen、USA)を使用して分離した。その後、分離したDNAは、マクロゼン(Macrogen)社(大田、韓国)に送って両方向のDNAの塩基序列を分析した。
3−3.還元的酢酸生成菌関連遺伝子の検出
還元的酢酸生成(Reductive acetogenesis)微生物の分離のために、還元的酢酸生成(Reductive acetogenesis)関連遺伝子 FTHFS(Formyl tetrahydrofolate synthetase)を利用して、分離及び同定された還元的酢酸生成菌を特異的に検出した。
プライマーとしてはFTHFSf(5’−TTYACWGGHGAYTTCCATGC−3’;配列番号3)とFTHFSr(5’−GTATTGDGTYTTRGCCATACA−3’;配列番号4)を使用した後、前記実施例3−1の方法でPCRを遂行した。
すなわち、用意したDNA鋳型1μLをPCR eppendorf tubeに取り、ここにFTHFS primer FTHFSf、及び、FTHFSr、それぞれ1μL、各2.5mM dNTPs 0.5μL、1.25unitのTaq polymerase(Takara、Japan)0.125μL、及びPCR緩衝溶液(15mM MgCl2、100mM Tris−HCl pH8.3、500mM KCl)2.5μLを加えて、滅菌蒸溜水で総量が25μLになるようにしてPCRを遂行した。PCR反応条件は、touchdown PCRで付着温度を9 cyclesごとに、1℃ずつ下げて63℃から55℃までなるようにし、初期変性94℃で2分、変性は94℃で30秒、伸長は72℃でそれぞれ1分ずつした。最後のcycleは、25cycles増幅し、72℃で10分間伸長した。
最終反応物を1% agarose gelで、40分間100Vで電気泳動を実施し、EtBrで染色して増幅産物を観察して1kbの大きさを持ったDNAを確認した。すなわち、既存の還元性酢酸菌として知られた比較菌株と、乳牛と在来ヤギから分離した還元的酢酸生成菌株からFTHFs遺伝子が検出され、約1kbの大きさの増幅産物を示した(図1)。
実施例4:還元的酢酸生成菌の系統樹の作成
16S rRNA sequence分析結果から分類された菌株を、再PCRを還元酢酸生成プライマーFTHFs gene primers(G Henderson et al.、2010)を利用して Alkaliphilus crotonoxidans及びPaenibacillus acetatigenes菌株を分離同定した。
その結果、FTHFS遺伝子を有している微生物を、乳牛から1種(DA02)及び在来ヤギから3種(GA01、GA02、GA03)で総4種選別し、選別された微生物の塩基序列をNational Center Biotechnology Information(NCBI)のBlast Network Serviceを利用して比べた結果を下記表2に示し、このうち、GA03菌株の分析された塩基序列を配列番号5に示した。
[配列番号5]
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前記実施例4−1で選別した微生物について、16S rRNA塩基序列を分析、既存に報告されたFTHFs遺伝子を含む還元的酢酸生成菌株らと比較、系統学的位置を検討した。
系統学的所属を決定するためにBLASTプログラム及びEzTaxonを利用してNCBI(National Center Biotechnology Information)のGene Bankにある16s rRNA遺伝子の塩基序列と比較した。
塩基序列の整列は、CLUSTAL W version 1.6を利用して遂行した(Thompson et al.1994.CLUSTAL W:improving the sensitivity of progressive multiple sequence alignment through sequence weighting、position−specific gap penalties and weight matrix choice.Nucleic Acids Res.22、4673−4680)。 Kimura two−parameter model(Kimura、M.、1980.A simple method of estimating evolutionary rates of base substitutions through comparative studies of nucleotide sequences.J.Mol.Evol.16、111−120)によって計算されたdistance matrixを使用してNJ(neighbor−joining)方法によって系統樹を作成し、ブートストラップ(bootstrap)値は1000回反復して計算した。前記のような方法で作成された系統樹を図2に示した。
検討の結果、DA02、GA01及びGA03菌株は、BacteroidetesグループのProteiniphilum属に属する菌株であることが確認されたが、類似度が99%と示され他のグループとも連関性が低くて現在まで知られていない新種である可能性が高いということができる。GA02菌株は、FirmicutesグループのAlkaliphilusに属し、98%の類似性を見せた。
実施例5:還元的酢酸生成菌のin vitro発酵特性の測定
5−1.アセト酸等の生成
前記実施例4で選別した、分離された還元的酢酸生成菌株のうちFTHFs 遺伝子を有している微生物は総4種であった。比較菌株としては、既存の反芻胃内から分離した還元的酢酸生成菌としてユウバクテリウム・リモサム(Eubacterium limosum)ATCC 8486を使用した。
全ての菌種は、接種前2代継代培養し、発酵特性分析のために表3のような組成を有するRM02培地(Kenters等、2009)を利用して39℃のシェイキングインキュベーターで100rpmの速度で4日間培養した。
培養条件は、80%N2−20%CO2(vol%)ガスを注入した培地で成長した菌株を対照区とし、80%H2−20%CO2(vol%)ガスを注入した培地及び5mMグルコースが添加された培地で成長した菌株を実験区とした。
その後、前記で培養した菌株の培養液を10,000gで15分間円心分離し、上澄液を0.45μmフィルターで濾過してHPLC(Agilent Technologies 1200 Series、USA)で各菌株の発酵特性を分析した。コラムは、METACARB 87H(Varian、USA)、ディテクターは Agilent 1200 Series diode−array detector(210nm/ 220nm)を使用し、35℃で0.6mL/minの流速で菌株試料を移動させた。移動相溶媒は0.0085N H2SO4を使用し、オートサンプラーを利用して10μLをコラムに注入して分析した結果を、下記表4に示した。
そして、in vitro発酵上で澱粉とカゼインを基質として使用した場合、アセト酸生成の場合を観察した。
水溶性澱粉(Soluble starch)とカゼイン基質のin vitro発酵時間は、0、3、6、9、12及び24時間とした。各基質別発酵時間当りの処理区は、滅菌したAC−B1培地を添加した対照群(con)、比較菌株であるEubacterium limosumを添加したE.limosum、ホルスタイン乳牛から分離したProteiniphilum acetatigenesを添加したDA02、韓国在来ヤギから分離したProteiniphilum acetatigenesを添加したGA01、Alkaliphilus crotonatoxidansを添加したGA02、Proteiniphilum acetatigenesであるGA03を、各基質別発酵時間当り添加して3基質6処理区3反復で遂行した。
その結果を、図3及び図4に示した。
前記結果から分かるように、選別された菌株DA02、GA01、GA02及びGA03全てで比較菌株に比べて多量のアセト酸(酢酸)を生成し、特に在来ヤギから分離した菌株であるGA03で最も多い酢酸が検出され、グルコースを添加した処理区では唯一ラクテート(酪産)を生成した。
5−2.追加実験
選別した菌株の揮発性脂肪酸含量を測定するための実験を追加的にさらに遂行した。
嫌気性環境にある濾過した反芻胃液に緩衝液を1:2の割合で混合し、前記緩衝額は水1lにK2HPO45g、KH2PO44g、NaCl 0.52g、MgSO4−7H2O 70mg、CaCl235mg、NaHCO35.9g、cystein HCl 174gを、それぞれ混合した後、pHが6.8になるように滴定して製造した。その後、滅菌したそれぞれの瓶に基質である澱粉とカゼインをそれぞれ0.25g入れた後、前記反芻胃液と混合した緩衝額を25mL添加してから、前記実施例4で選別した4つの菌株をそれぞれ5mL接種した。その後、前記瓶らをシェイキングインキュベーターに入れた後、120rpmの速度で、39℃で嫌気培養した後、培養0時間、24時間及び48時間後に揮発性脂肪酸数値を測定した。
揮発酸脂肪酸(ブチルレート(butylate)、プロピオネート(protionate)及びアセテート(acetate))とラクテート(lactate)を高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して測定した。溶媒としては、0.0085ノルマルの硫酸を0.6μL/minの速度で流し、コラムの温度は35℃に維持した。試料は使用前13,000rpmの速度で、4℃で10分間円心分離後、上澄液を取ってミリフォア(Milipore)社の0.2μmフィルターでフィルターした後、20μLずつ注入した。
澱粉を基質として使用した場合の実験結果は図5に、カゼインを基質として使用した場合の実験結果は図6に示した。
澱粉を基質として使用した場合及びカゼインを基質として使用した場合、全てで培養時間が長くなるほど全て揮発性脂肪酸含量が増加し、全ての群でアセテートの含量が最も高く示された。また、澱粉を基質として使用した場合、対照群及び実験群全てで培養24時間後からブチルレートが生成された。そして、対照群の場合、培養24時間後にラクテートが検出された一方、実験群では検出されなかった。
そして、カゼインを基質として使用した場合には、培養0時間にGA03群を除いた実験群及び対照群でブチルレートが検出されたが、培養が始まって全ての群でブチルレートが検出されなかった。また、対照群の場合、培養24時間後にラクテートが検出された一方、実験群では検出されなかった。
5−3 メタンガス含量の測定
前記実施例4で選別された菌株のメタン生成抑制能を評価するために、前記実施例5−1の方法を使用して各菌株のメタン生成抑制程度を観察した。
基質としてカゼインが添加されたin vitro分析試験で、還元的生成菌株であるProteiniphilum acetatigenes(GA03)が添加された処理区(50,185ppm)が対照区(86,575ppm)よりメタン発生量が減少し、また基質として澱粉が添加されたin vitro試験でも還元的生成菌株 Proteiniphilum acetatigenes(GA03)が添加された処理区(8,934ppm)が対照区(29,705ppm)よりメタン発生量が減少することを確認することができた。このような結果を図7に図示した。
一方、追加でメタン生成抑制能を評価するために、前記実施例5−2の方法を使用して各菌株のメタン生成抑制程度を観察した結果、澱粉を基質として使用した場合の各菌株のメタン生成抑制程度を下記図8に、カゼインを基質として使用した場合の各菌株のメタン生成抑制程度を観察した結果を下記図9に示した。
追加実験の結果、やはり澱粉を基質として使用した場合、培養48時間後から全ての実験群でメタンの生成を効果的に抑制するものと示され、GA03群のメタン生成抑制能が最も優秀なものと観察された。
そして、カゼインを基質として使用した場合には、培養24時間後に実験群のメタン濃度が対照群に比べて増加したが、培養48時間後にはメタン濃度が減少し、特にGA02及びGA03の場合、対照群に比べてメタン濃度が減少するものと示された。
実施例6:in vivo発酵特性
発酵性状試験のために、反芻胃カニューレ(Bar Diamond、Parma、ID、USA; internal diameter、120mm)が装着された平均体重376.75±6.25kgの去勢韓牛から発酵性状試験に必要な反芻胃液を採取した。
この供試畜には濃厚飼料5kg、稲藁1kgを一日2回(09:00、17:00)に分けて給与し、配合飼料の原料構成と配合飼料及び稲藁の化学的組成分は下記表5のように構成した。
本実験は、4×4 Latin square designでし、期間は21日に構成した。21日のうち1〜15日は添加剤給与によるCH4の発生量測定を隔日間隔で測定し、5日に発酵性状を調査した。16〜21日は反芻胃内の微生物及び環境組成が元通りに戻るように回復期間を持った。対照区(control、サッカリン3g、大豆粕33.6g、脱脂糠33.6g);及びAcetogen添加区(Acetogen混合120g、サッカリン3g)で実験を遂行した。
そして、呼吸ガスを測定するために、生後29ヶ月領の肥育後期の去勢韓牛4頭(392±14kg)を供試して農村進興庁国立畜産科学院の家畜代謝実験棟で遂行した。供試飼料はとうもろこしを主とした濃厚飼料5kg、稲藁1kgを一日2回(09:00、17:00)に分けて給与した。試験期間は、飼料適応期間6日、呼吸ガス測定15日とし、1period当り21日が所要された。ただし、ガス測定は15日のうち隔日で総7回測定した。期間別メタン測定及び回復期間を下記表6のように設計した。
国立畜産科学院(RDA)で実施した呼吸チャンバ(図11)を利用して、還元的酢酸生成菌(GA3)分離菌株のin vivoメタン生成量を測定した結果を図に図示した。
その結果、対照区で174(l/day/head)、Acetogen処理区で163(l/day/head)と、還元的酢酸生成菌が添加された処理区で5.8%のメタン低減効果が発生した。
前記実施例で確認したように、本発明者らが在来ヤギから抽出した菌株であるGA03のメタン生成抑制能が優秀なことを確認したところ、前記菌株をプロテイニフィルム・アセタティゲネス(Proteiniphilum acetatigenes)SROD1と命名して韓国微生物保存センターに2011年11月9日付けで、寄託番号KCCM11219Pにて寄託した。