JP5801191B2 - 歯科用組成物の送給のための装置及び方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ヒトの歯牙から歯肉を圧排する際に使用するための装置、ヒトの歯牙から歯肉を圧排する方法、及びそのような方法を実施するように適合された部品キットに関する。
患者の歯牙の修復は多くの場合、人造の歯科修復物又は義歯で自然の歯牙構造を置換することを伴う。通常、修復される歯はまず、歯科医によって、例えば、望ましくない歯牙実質を除去するために、また歯科修復物を受容するのに適切な形状を歯牙に与えるために、適切な形状に摩減又は研磨されることによって調整される。
歯科修復物は通常、調整された歯牙の印象に基づいて歯科医によって調整された、残存する歯牙の形状と正確に嵌合される。したがって、歯科印象は、非常に精密であるべきであり、また、後の歯科修復の嵌合表面の形状を決定するのに必要なすべての歯牙構造を表しているべきである。特に、歯科印象は、歯牙内に調整された形状と自然の歯牙の形状との間の遷移又は「マージン」を表しているべきである。患者の歯肉(又は歯茎)の下方にわたる歯科修復の場合、歯科医はまた、そのマージンのうちの通常は歯肉で覆われている部分が歯科印象で採取可能となるようにしなければならない。また、歯肉を歯牙から変位させてマージンを採取可能にする手法は、歯科学の分野において「歯肉圧排」として知られている。一般的な歯肉圧排の手法は、いわゆる圧排糸を歯肉溝に挿入することを伴う。歯肉溝は、例えば図1に参照符号3で示すように、歯牙と歯肉との間の領域を指す。
歯肉圧排手技を実施する一方法は、いわゆる歯肉圧排糸の使用を伴うものであり、歯肉圧排糸は通常、歯肉を歯牙から機械的に変位させるように歯肉溝に押し込まれる。例えば、歯科医は、適切な歯科器具、例えばハイネマンスパーテル(Heinemann spatula)を使用することにより、歯肉圧排糸を歯肉溝の中に押し込むことができる。しかしながら、圧排糸の挿入(図2に示す参照符号5)は、比較的時間を要するものであり、一般には比較的に歯科医にとって不便であり、かつ患者にとって不快なものであると認識されている。したがって、実現性のある代替法が長年、強く望まれていた。
圧排糸に代わるものとして、いわゆる歯肉圧排ペーストが提案されてきた。通常、圧排ペーストは、非常に高粘度のペーストであり、このペーストは通常、糸に代わって、患者の口腔内で歯肉溝に圧入される。一例においては、ペーストが提供されるが、そのペーストは、患者の歯肉溝に導入されて歯肉組織を歯牙から変位させることを想定したものである。例えば、既知のペーストが、フランス国のActeon GroupのPierre RolandからExpasylの呼称で入手可能である。
そのような歯肉圧排ペーストは、一例において、ペーストの分配のための屈曲可能な金属製分配カニューレと接続可能な注射器に供給される。高粘度の歯肉圧排ペーストを歯牙の周りで歯肉溝の入口に向かって分配し、それによって歯肉溝の中に圧入する技法が提案されてきた。また、通常の分配の間にペーストが十分に歯肉溝に侵入しなかった場合に、歯肉溝の中にペーストをより深く挿入するための補助装置を使用することが提案されてきた。
ドイツ公開特許第37 37 552号には、歯肉溝の中に挿入するためのある組成物が開示されており、その組成物は、体積を膨張させ、それによって歯肉を歯牙から変位させると想定される。この組成物は、歯肉溝の中に注射することを意図したものである。
欧州公開特許第1 693 022号には、歯肉圧排のための手順が開示されている。その手順は、膨張し硬化するエラストマー材料を歯肉溝の上及び/又は周辺に塗布すること、並びに、歯牙を覆って置かれるキャップを使用してエラストマー材料の膨張を制限することを含む。エラストマー材料の膨張が原因で房内で高まる圧力により、材料が歯肉溝に押しやられると想定される。
米国特許第2007259313号には、歯牙の周りに着装されるように付形されたダムを有する歯肉組織圧排の装置及び方法が開示されている。ダムの穴は、高粘度を有する流動可能な圧排材料で充填されることができる。充填されたダムは、調整された歯牙に着装され、その結果、圧力がダムに加えられると、圧排材料は圧力下で変位され、歯肉溝の中に押しやられて、歯肉組織を歯牙から圧排させることになる。
国際特許公開第2008/021740号には、歯肉を歯牙から圧排させるための硬化性歯肉圧排用組成物が開示されている。
化学組成物の分野においては特に、いくつかの発展がなされてきたが、歯肉圧排用の組成物を歯肉溝の中に好都合に挿入することを可能にする手技及び装置が依然として必要とされている。許容可能な短い時間で、かつ歯科医による比較的少ない労力で、歯肉圧排用組成物を塗布可能にすることが特に望ましい。更には、信頼性があり、患者に受け入れられ、かつ副作用又は後作用の少ない治療法を提供する手技が必要とされている。特に、歯肉圧排手技が、歯肉と歯牙との間の上皮付着部に損傷を与える危険性を、抑制するかあるいは低下させることが望ましい。相当に安価であり、かつ使用が容易である歯肉圧排の装置及び方法を提供することが更に望ましい。
第1の態様において、本発明は、歯肉をヒトの歯牙から圧排する際に使用するための装置に関する。具体的に言えば、本発明の第1の態様は、歯肉と歯牙との間に形成された歯肉溝を、歯科用組成物を用いて拡げることによって、歯肉を歯牙から圧排することに関する。
本発明の装置は、自由端部を有するカニューレを備え、その自由端部は、歯科用組成物を分配する開口部を備える。
一実施形態において、自由端部と開口部は、自由端部の外側面(outer lateral surface)が歯牙及び歯肉に触れる状態で、開口部が歯肉溝の入口に配置され得るように付形される。自由端部は更に好ましくは、開口部が歯肉溝の内側に向いた状態でカニューレが更に移動されるとき、及び/又は、カニューレの自由端部が、歯肉溝内に置かれる際、歯牙の周りのマージンに沿って移動されるとき、歯肉が側方(laterally)に変位されるように、例えば歯牙から主として側方に変位されるように付形される。
したがって、このカニューレにより、好ましくは、予め開口された歯肉溝に歯科用組成物を注入することが可能となり、このことは、歯肉溝に歯科用組成物を確実に充填するのに役立ち得る。
別の実施形態において、自由端部は、第1の外径D1と第2の外径D2との間で延びる外側面を有する。好ましくは、第1の外径D1は、自由端部の前部の付近に、あるいは最前部に位置する。第2の外径D2は、好ましくは、第1の外径D1から更に後方へ距離L2のところに位置する。D2は好ましくはD1よりも大きい。これにより、好ましくは、装置は歯肉を歯牙から側方に変位させることができ、好ましくはそれによって、装置は、自由端部が歯肉溝の中に更に移動されるとき、歯肉溝を拡げることができる。
「直径」という用語は、非円形の横断面が与えられる場合、一般に「横断面寸法」として解釈されてもよい。例えば、円形の横断面の代わりに、特にカニューレの開口部には、卵形、矩形(例えばスリット形状)、星形形状、多角形形状の横断面が使用されてもよい。
本発明は、歯科用組成物を歯肉溝に正確に注入するのに有利となり得る。特に、本発明は、歯肉溝の入口が例えば歯科医に依然として視認可能となるように、歯肉溝の入口の付近の領域を実質的に歯科用組成物のない状態に保つのに役立ち得る。このカニューレの形状及び寸法は、患者の口腔内で本発明の装置を使用する間、歯肉組織への損傷を回避するのに役立ち得る。別の利点として、本発明は、上皮付着部に損傷を与える危険性を軽減することができる。更に、特に自由端部の形状及び寸法により、好ましくは、自由端部を歯肉溝の入口に挿入することが容易となり、その一方で、歯科用組成物を注入するために、歯肉溝を拡げることが可能となる。本発明はまた、患者の口腔内の歯間腔領域(2本の歯の間)において歯肉溝の中に歯科用組成物を分配する際に有利となり得る。また本発明により、例えば材料を分配する力を増加させずに、歯肉溝の中へ比較的深く歯科用組成物を挿入することが可能となる。歯科用組成物が歯肉溝に深く侵入することは、歯肉を歯牙から効果的に圧排するのに役立ち、結果として、歯牙の特に調整マージンの印象を良好なものにするのに役立ち得る。更に、本発明により、従来では困難であった、比較的高い粘度を有する歯科用組成物の使用が可能となり得る。
直径D1は、約0.2mm〜約1mm、具体的には約0.3mm〜約0.7mm、又は約0.3mm〜約0.8mmであってよく、より具体的には、D1は約0.4mm〜0.6mmの範囲内にあってよい。直径D1は好ましくは約0.4mmである。外径D1が比較的小さな寸法であることにより、好ましくは、例えば、自由端部の前部を歯肉溝の入口に比較的容易に挿入することが可能となる。更に、そのような寸法は、自由端部の前部を歯肉溝の入口に挿入する際に歯肉組織に損傷を与える危険性を低減するのに役立ち得るものであり、これは、自由端部の前部が、歯肉自体を押圧するのではなく、むしろ歯牙と歯肉との間に適合するからである。
直径D2は、約0.6mm〜約1.5mm、具体的には約0.9mm〜1.4mmであってよく、より具体的には、直径D2は約0.9mm〜1.3mmであってよい。好ましくは、直径D2は約1.1mm、より好ましくは約1.0mmである。そのような寸法により、例えば、カニューレの自由端部に十分な剛性を与えることができ、その一方で、依然として、歯間腔への良好なアクセスを自由端部にもたらすことができる。したがって、本発明の装置は、抑制された方式で、また歯肉溝の遠位部分又は舌側部分だけでなく、歯牙の周りの至る所で歯肉溝に歯科用組成物を注入するのに好適となり得る。
自由端部の長さL2は、約0.3mm〜約2.0mm、具体的には約0.6mm〜約1.5mm、好ましくは約0.5mm、より好ましくは約1mmとなり得る。
別の実施形態において、第1の外径D1は開口部の近傍に位置する。第1の外径D1はまた、開口部によって形成されてもよい。開口部は、約0.2mm〜約1mmの第1の内径P1を有してもよいが、開口部は、約0.3mm〜0.8mmの第1の内径P1を更に有してもよい。特に、P1は、約0.4mm〜0.6mmの範囲内にあってもよく、好ましくは約0.4mmであってもよい。P1はD1より小さくてもよいが、好ましくはD1にほぼ等しい。後者の場合、P1とD1は共に、開口部の直径を指す。特に、内径P1により、高粘度の歯科用組成物が歯肉溝に注入されるとき、その組成物の流量が比較的正確に制御されることになり得る。
別の実施形態において、自由端部の外側面は、第2の外径D2から第1の外径D1に向かって先細る。したがって、先細りは好ましくは、D2からD1に向かう方向に先細る。更に、先細りは好ましくは、比較的一定の半径Rを有する曲線に基づいて先細る。この半径RはD2の1/2を超えるものであってもよい。例えば、自由端部の形状は、ノーズコーン(nose cone)、凸錐、又は放射錐に似たものであってよい。D2の1/2を超える放射状に似た曲線により、カニューレの自由端部を歯肉溝の入口に挿入するのに必要な力を比較的小さなものにすることができる。直線的な錐と比べて、そのような凸状又は放射状の錐により、更に、最前端部をより鈍いものにすることができ、それにより、歯肉溝に挿入されるときに損傷を与える危険性を低減することができる。
本発明の装置のカニューレは、第1の外径D1〜第3の外径D3の長さL1を有してもよい。カニューレは、第2の外径D2と第3の外径D3との間に延びるシャフト部を有してもよい。シャフト部と自由端部は、互いの近傍に位置してもよく、共に長さL1に沿って延びてもよい。第3の外径D3は、約0.6mm〜約2.5mm、具体的には約0.9mm〜約1.9mm、好ましくは約1.8mmであってよい。D3は好ましくはD2よりも大きいが、D2にほぼ等しくてもよい。したがって、シャフト部は、概ね円筒状であっても円錐状であってもよい。好ましくは、シャフト部は、自由端部へと平滑に遷移する。長さL1は、約4mm〜約18mm、具体的には約6mm〜約14mm、好ましくは約11mmであってよい。そのような寸法により、好ましくは、患者の口腔内の狭い空間、例えば2本の歯牙の間の歯肉溝を通じてのみアクセス可能な領域に、カニューレがアクセスすることが可能となる。また、このことは、実質的に歯牙の全周にわたって歯科用組成物を注入するのにも役立ち得る。
一実施形態において、カニューレはマーキングを有する。そのマーキングは好ましくは、歯肉溝でのカニューレの一定の(例えば好ましい)侵入深さに関する基準として利用可能である。そのマーキングは、患者の処置の間にカニューレが歯肉溝に挿入される深さをユーザーが観察及び/又は評価するのに役立ち得る。したがって、ユーザーは、カニューレの侵入深さを比較的正確に制御することができ、それによって効果的な歯肉圧排を達成することができる。他方で、このことは、カニューレが歯肉溝に過度に深く侵入することによって生じ得る歯肉組織の損傷を回避するのに役立ち得る。マーキングは、例えば、切込み、縁、段差、又は(印刷された)線であってよい。マーキングは、カニューレの周囲を部分的に又は完全に囲んで延びてよい。マーキングは更に、カニューレの外側面の色の変化によって形成されてもよい。例えば、カニューレの前端部は、ある第1の外側色を有してもよく、それに隣接するカニューレの後方部分は、ある第2の外側色を有してもよく、第1の色と第2の色は異なるものである。マーキングはまた、透明性又は半透明性の異なる領域同士の間の遷移によって形成されてもよい。好ましくは、マーキングは、カニューレの外側面の表面構造同士の間の遷移によって形成される。例えば、カニューレの前端部は、概ね平坦な又は光沢のある外側面を有してもよく、それに隣接するカニューレの後部分は、より粗い又は艶のない外側面を有してもよい。マーキングはまた、種々の侵入深さを記す目盛りであってもよい。
本発明の第2の態様は、歯科用組成物と組み合わせた本発明の装置に関し、本発明の第3の態様は、歯肉圧排材料と組み合わせた本発明の装置に関する。
歯科印象材料は好ましくは、アルギン酸塩、又は合成エラストマーの印象材料を含み、その合成エラストマーの印象材料は、ポリエーテル、シリコーン、及びそれらの組み合わせ、例えばポリエーテル基を含有するシリコーンから選択されたものである。歯科印象材料は、ポリスルフィド、縮合硬化シリコーン、付加硬化シリコーン、及びそれらの混合物を更に含んでもよい。
一実施形態において、本発明の装置は、自硬性の歯科印象材料を収容する。例えば、ユーザーは、本発明の装置の外側で、そのような自硬性の歯科印象材料を少なくとも2つの構成成分と混合し、装置にその混合物を充填することができ、次いで混合物はある期間内(例えば20分未満の期間内)に硬化する。
歯科印象材料のある例示的な実施形態は、米国特許第6,861,457号において開示されているように、不飽和炭化水素を含有するオルガノポリシロキサンと、不飽和炭化水素とシリコーン可溶の白金化合物とを含有するポリエーテルとを含む。歯科印象材料の別の例示的な実施形態は、欧州特許第1 402 873号において開示されているように、制酸成分を含有するシリコン官能化された誘導体を含む。
一実施形態において、本発明の装置は、液体とケイ酸塩フィルターとを含む歯肉圧排材料を収容する。典型的には、ケイ酸塩鉱物の群にはとりわけ、二酸化ケイ素(シリカとも呼ばれる)、石英、及びフィロケイ酸塩が挙げられる。
別の実施形態において、本発明の装置は、液体と少なくとも2種類のフィロケイ酸塩の組み合わせとを含む歯肉圧排材料を収容する。
「フィロケイ酸塩」は、ケイ酸塩の四面体のシートをSiで形成するケイ酸塩である。フィロケイ酸塩は、例えば互いに配列されたシート又は層の数に従って、更に小群に分類されることができる。フィロケイ酸塩は、本発明の解釈上、次の小群、つまり2:1の層型のケイ酸塩鉱物の群、及び1:1の層型のケイ酸塩鉱物の群に分類される。この分類に関しては、より詳細な記述をUllmanns Encyclopedia of Industrial Chemistry(Wiley−VCH)、2005、ケイ酸塩(Silicates)、表4に見出すことができる。この文献によれば、粘土鉱物はフィロケイ酸塩の群に属し、互いに連結又は配列された層の数によって特徴付けられることができる。この分類はまた、本発明に関連して使用される。例えば、典型的な化学式Al[Si(OH)])を有するカオリナイトにおいては、2つの単層が互いに連結又は配列されている。例えば、典型的な化学式KAl(AlSi10)(OH)を有し、鉱物の雲母系の群に属する白雲母においては、3つの層が互いに連結又は配列されている。
フィロケイ酸塩の組み合わせは、層型の1:1ケイ酸塩鉱物と層型の2:1ケイ酸塩鉱物とを、互いに対して一定の比率で含み得る。使用され得る層型の1:1ケイ酸塩鉱物に由来するフィロケイ酸塩には、カオリナイト、リザルダイト、及びそれらの混合物又は組み合わせが挙げられるが、カオリナイトが好ましい。使用され得る層型の2:1のケイ酸塩鉱物に由来するフィロケイ酸塩には、滑石−葉蝋石−葉蝋石型の鉱物、スメクタイト型の鉱物、蛭石型の鉱物、イライト型の鉱物、雲母型の鉱物、並びにそれらの混合物及び組み合わせが挙げられる。具体的な例に、滑石、ウイルセムアイト(willemseite)、葉蝋石、ステベンサイト(stevensite)、サポナイト(滑石−葉蝋石型の鉱物群に由来)、スポナイト(sponite)、ソーコナイト、ヘクトライト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、フォルコスカイト(volkonskite)(スメクタイト型の鉱物群に由来)、金雲母、黒雲母、紅雲母、白雲母、イライト、海緑石、セラドナイト(雲母型の鉱物群に由来)が挙げられる。
層型の1:1ケイ酸塩鉱物と層型の2:1ケイ酸塩鉱物は通常、互いに対して一定の重量比で歯肉圧排材料に存在する。この重量比には、約50/50〜約5/95、又は約30/70〜約10/90の範囲が挙げられる。つまり、歯肉圧排材料中の層型の1:1ケイ酸塩鉱物と層型の2:1ケイ酸塩鉱物の含量は、ほぼ等しくされることができる。しかしながら、層型の2:1ケイ酸塩鉱物が、層型の1:1のケイ酸塩鉱物と比較して過剰に存在することもまた、本発明の範囲に含まれる。この比が上述の範囲内にある場合、結果として得られる歯肉圧排材料は、低い押出し力を必要とする傾向があるが、比較的良好な貯蔵弾性率を有し得るという点で好都合である。更に、そのような歯肉圧排材料は、例えば水ですすぐことによって、患者の口腔から比較的迅速に除去可能となり得る。
歯肉圧排材料を調製するのに好適な液体には、存在する他の構成要素と共にペースト又はジェルを形成することが概ね可能な液体が挙げられる。具体的には、その液体には、極性及び無極性液体、並びにそれらの混合物を挙げることができる。具体的な例には、水、アルコール(例えば、エタノール、n−及びイソ−プロパノール、エリトリトール)、ケトン(例えばアセトン)、グリセリン(例えば、エトキシル化グリセリン)、グリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、及び/又はそのオリゴ若しくは混合オリゴマー)、及びシリコーン油が挙げられる。
本発明の歯肉圧排材料はまた、1種類以上の収斂剤(ときに止血剤とも呼ばれる)を含むことができる。止血を支援するのに有用となり得る収斂剤には、限定するものではないが、鉄(例えば、硫酸第二鉄、塩基性硫酸第二鉄、塩化第二鉄)、アルミニウム(例えば、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アンモニウムアルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミニウムクロロハイドレート、酢酸アルミニウム)及び亜鉛の酸化物、塩化物又は硫酸塩、ポリフェノール、エラグ酸、過マンガン酸塩(例えば過マンガン酸カリウム)、鉄酸カリウム(IV)、硝酸銀と過酸化水素、エピネフリン、並びにそれらの混合物が挙げられる。止血剤の好ましい1つの群に、アルミニウム化合物が含まれる。
本発明の歯肉圧排材料はまた、1種類以上の添加剤を含むことができる。
組成物中に存在し得る添加剤には、着色剤、調合薬、抗微生物剤、抗蒸発剤、レオロジー改変剤、香料、保存剤、界面活性剤、pH緩衝剤、並びにそれらの混合物及び組み合わせが挙げられる。
本発明の典型的な歯科圧排用組成物は、以下の配合、つまり、
・約15重量%〜約30重量%の量の液体と、
・約50重量%〜約70重量%の量のフィロケイ酸塩、例えば2:1型のケイ酸塩鉱物又は1:1型のケイ酸塩物質と、
・約10重量%〜約20重量%の量の収斂剤と、
・最大約10重量%の量の他の添加剤と、を有してもよい。
本発明の典型的な別の歯科圧排用組成物は、以下の配合、つまり、
・約15重量%〜約50重量%、又は約16重量%〜約40重量%、又は約17重量%〜約30重量%の量の液体
・約1重量%〜約34重量%、又は約2重量%〜約30重量%、又は約2.5重量%〜約25重量%の量の層型の1:1ケイ酸塩鉱物
・約30重量%〜約65重量%、又は約31重量%〜約64重量%、又は約32重量%〜約63重量%の量の層型の2:1ケイ酸塩鉱物
・約0.01重量%〜約30重量%、又は約5重量%〜約20重量%、又は約10重量%〜約15重量%の量の収斂薬
・約0.0001重量%〜約10重量%、又は約1重量%〜約7重量%、又は約2重量%〜約5重量%の量の添加剤と、を有してもよい。
特に、本発明で使用され得る歯科印象材料は、ドイツ国の3M ESPE AGからImpregum(商標)、Penta(商標)、Permadyne(商標)、Express Penta(商標)、Imprint(商標)の呼称で入手可能である。
歯科印象材料は、歯肉圧排に使用されてもよい。更に、歯肉圧排に使用される歯科印象材料は、歯科印象の一部を形成してもよい。例えば、歯科印象材料は、歯肉圧排を生じさせるために、歯牙の歯肉溝の中に注入されてもよく、歯牙の印象を採取するために使用される別の歯科印象材料が、歯肉溝内の歯科印象材料と合流してもよい。したがって、最終的な印象は、歯牙の印象と、その同じ歯牙の歯肉溝の少なくとも一部の印象を含むことができ、歯牙から得られた印象材料と歯肉溝から得られた印象材料の双方が、同時に取り外されてもよい。
一実施形態において、歯科用組成物は、歯肉溝を物理的に拡げるように適合される。歯科用組成物は更に、例えば、30秒〜約10分の期間にわたって、具体的には約1分〜5分の期間にわたって、好ましくは約2分にわたって、歯肉溝を圧排位置に維持するのに十分な貯蔵弾性率を有することができる。歯科用組成物(印象材料又は歯肉圧排材料)は好ましくは、少なくとも約2000kPaの貯蔵弾性率を有することを特徴とする。
一実施形態において、本発明の装置は、歯科用組成物を保持するためのチャンバを有するカートリッジを備える。その装置は好ましくは、ピストンを備えるように適合されるか、あるいはピストンを備えてもよい。その装置は好ましくは、カニューレを通じて歯科用組成物を分配するように適合される。カートリッジは長手軸線に沿って延びていてもよく、ピストンは、歯科用組成物をカニューレに向かって付勢するために、その長手軸線に沿って移動可能であってもよい。チャンバは、例えばノズルに通じてもよく、カニューレはそのノズルに適合されることができる。別法として、チャンバはカニューレに通じていてもよい。カニューレは、固定式でカートリッジに取り付けられてもよい。例えば、カニューレとカートリッジは、共射出成型されてもよい。別の実施形態において、カニューレとカートリッジは、異なるプラスチック材料で作られる。例えば、カートリッジは、カニューレよりも硬質なプラスチック材料から作られてもよい。したがって、カートリッジは、組成物を押し出すのに十分な安定性を得ることができ、カニューレは、使用中に歯肉に損傷を与える危険性を低減するように、十分に軟質なものであってもよい。
別の実施形態において、カニューレはある長手軸線に沿って延び、その長手軸線は、約30度〜約60度の角度をなして、好ましくは約45度の角度をなしてカートリッジの長手軸線に対して傾斜する。カニューレはまた、ある曲線に沿って延びてもよく、カニューレの開口部を貫く中央軸線は、約30度〜約60度の角度をなして、好ましくは約45度をなしてカートリッジの長手軸線に対して傾斜してもよい。
別の実施形態において、カニューレは、第1の内径P1を有する開口部と第2の内径P2を有する入口との間の通路を備え、P2は約0.2mm〜2.0mmであり、より具体的にはP2は約0.3mm〜1.6mmであり、好ましくはP2は約1.2mmである。P2は好ましくは、P1を超えるかあるいはP1に等しい。したがって、この通路は開口部に向かって先細ることができ、それにより、ある歯科用組成物を分配する際、押出し力を低下させることができる。別法として、この通路は概ね円筒状であってもよく、それにより製造を容易にすることができる。
別の実施形態において、凸状に先細となった自由端部の外面は、90度未満の角度をなして通路の内面と会合してもよい。自由端部の外面と通路の内面との角度を90度未満にすることにより、自由端部の前部を歯肉溝の入口の中に挿入するのに必要な力を比較的小さくできることが判明した。
特定の実施形態は以下の構成を備えてもよい。
本発明の特定の一実施形態において、カニューレは、
−約0.4mmの第1の外径D1と、
−約1.0mmの第2の外径D2と、を有し、
−第1の外径D1は、自由端部の前端部の近傍に位置し、第2の外径D2は、第1の外径D1から更に後方へ距離L2のところに位置し、
−距離L2が約1.0mmであり、
−第1の外径D1は開口部によって形成され、したがって開口部は、外径D1にほぼ対応する第1の内径P1を有し、
−自由端部の外側面が第2の外径D2から第1の外径D1に向かって凸状に先細り、D2からD1に向かう方向における凸状の先細りが、約3.0mmである半径Rに近似する曲線に基づいて先細り、
−カニューレが、第1の外径D1〜第3の外径D3の長さL1を更に有し、第3の外径D3が約1.8mmであり、長さL1が約11.0mmであり、
更に
−カニューレと流体連通し歯科用組成物を受容するための容器と、
−歯科用組成物を容器からカニューレに向かって前進させるために容器内で押出し経路に沿って移動可能なピストンと、
−押出し経路の側方に延在し、押出し経路に平行な方向における移動に抗して装置を捕捉するように適合された捕捉部と、
−押出し経路の側方に弾力性を持つ弾性アダプタと、を更に備え、
この装置が、
−約15重量%〜約30重量%の量の液体と、
−約1重量%〜約40重量%の量の層型の1:1ケイ酸塩鉱物と、
−約30重量%〜約69重量%の量の層型の2:1ケイ酸塩鉱物と、
−約0重量%〜約25重量%の量の収斂剤と、
−約0重量%〜約10重量%の量の添加剤と、を含む歯科用組成物を収容し、
重量%が組成物全体を基準とするものである。
そのような特定の実施形態が、歯肉圧排処置における使用に特に有利であることが判明した。
本発明の第4の態様は、歯肉をヒトの歯牙から圧排する方法に関する。その方法は、
−歯科用組成物を分配するための開口部を備えた自由端部を有するカニューレを用意する工程と、
−歯肉と歯牙との間の歯肉溝の入口内にカニューレを配置する工程と、
−カニューレを歯肉溝の入口の中に挿入し、それによって歯肉を歯牙から側方に変位させる工程と、
−開口部から歯肉溝の中に歯科用組成物を供給する工程と、を含む。
本発明の方法により、歯肉溝の底部から上部に向かって、あるいは上部から下方に底部へと、歯肉溝に歯科用組成物を充填することができる。したがって、歯科用組成物は、底部と上部との間で歯肉溝に好ましくは連続的に充填され、好ましくは歯肉溝の入口にて視認可能となる。このようにして、歯肉溝は、比較的少数の空隙、気泡、又はポケットを伴って充填されることができる。更に、そのような方法により、歯肉溝の入口に隣接する領域を、好ましくは実質的に歯科用組成物のない状態に維持することができる。したがって、歯肉溝の入口は依然として視認可能となることができ、このことは、歯肉溝のどの部分が十分に充填されているかを歯科医が確実に認識する上で役立ち得る。
また、本発明の方法により、実質的に上皮付着部に影響を与えることなく、歯科用組成物を歯肉溝の中に比較的深く充填できることが判明した。したがって、既知の歯肉圧排の方法と比べて、より確実であると同時に、より良好な歯肉圧排が本発明の方法で達成され得る。結果的に、後の印象が良好な質で採取され得る。したがって、印象採取と歯肉圧排を繰り返す現行の施術が回避され得る。このようにして、本発明はまた、歯科治療における無駄及び費用を除くのにも役立ち得る。
本発明のある実施形態において、本方法は、歯肉の一領域(例えば、歯肉溝の入口に隣接する領域)を色の変化に関して観察し、色の変化に応じて歯科用組成物の流量を制御する工程を含む。歯肉は、歯牙から圧排されるとき、色が変化し、例えば薄色化する傾向があることが判明している。したがって、ユーザーは、ある色の変化が生じたとき、歯科用組成物の注入を中止することができる。それにより、この歯肉圧排の方法は、患者にとって比較的穏やかなものとなり得る。
別の実施形態において、本発明の方法は、本発明のカニューレを歯牙の周縁の少なくとも一部に沿って移動させる工程を更に含む。好ましくは、カニューレの開口部が歯肉溝に挿入され、好ましくは、歯牙の周縁の少なくとも一部に沿ってカニューレが移動される間に、更なる歯科用組成物が押し出される。
別の実施形態において、歯科用組成物は歯科印象材料又は歯肉圧排材料であり、歯科印象材料は上記の通りのものである。
一実施形態において、この方法は、歯科用組成物を押し出すためにアプリケータに手で加えられた力を、アプリケータのプランジャによって歯科用組成物に加えられる押出し力に変えるアプリケータを使用することを含み、押出し力と手による力との比は、約1:3、約1:7、約1:8、約1:10、又はそれ未満である。歯肉圧排材料を押し出すための押出し力は、例えば、約50N〜300N、具体的には約100Nとなり得る。アプリケータの使用により、その押出し力は、手による力に変換されることができ、手による力は約25Nに低下する。したがって、取扱いを比較的好都合にすることができる。印象材料を押し出すための押出し力は、例えば、約10N〜150N、具体的には約30Nとなり得る。アプリケータの使用により、その押出し力は、手による力に変換されることができ、手による力は約10Nに低下する。
本発明の第5の態様は、歯科用組成物を分配する装置と、歯科用組成物を分配するための開口部を備えた自由端部を有するカニューレと、説明書とを含む部品キットに関し、その説明書は、
−歯肉と歯牙との間に形成された歯肉溝の入口に、開口部を備えたカニューレを配置する工程と、
−カニューレを歯肉溝に向かって移動させて、開口部を歯肉溝の入口の中に挿入し、それによって歯肉を歯牙から側方に変位させる工程と、
−開口部から歯肉溝の中に歯科用組成物を押し出す工程と、を含む方法を実施すべくユーザーに指示するものである。
自然歯牙及び歯肉の一部の横断面図。 歯肉が圧排糸によって圧排されている、修復のために調整された自然歯牙の横断面図。 修復のために調整された自然歯牙及び従来技術によるカニューレの図。 修復のために調整された自然歯牙及び従来技術によるカニューレの図。 修復のために調整された自然歯牙及び本発明の実施形態によるカニューレの図。 修復のために調整された自然歯牙及び本発明の実施形態によるカニューレの図。 本発明の実施形態によるカニューレの横断面図。 本発明の実施形態による装置の横断面図。 本発明の実施形態による更なる装置の横断面図。 図7に示す実施形態の斜視詳細図。 歯肉溝の中への潜在的侵入深さを評価するための試験装置の横断面図。 図9に示した試験装置の斜視図。 図9に示した試験装置の斜視図。 図9に示した試験装置の斜視図。 実施例4において使用した本発明の実施形態によるカニューレ形状の図。 図13に示したカニューレ形状と関連する、実施例4において使用した2つの異なるカニューレ形状の図。 図13に示したカニューレ形状と関連する、実施例4において使用した2つの異なるカニューレ形状の図。 実施例4の結果を示す写真。 実施例4の測定結果をまとめた図。 実施例4の測定結果をまとめた図。
以下で、本発明について、単に一例として説明し、歯牙修復に関する手技上の背景から紹介する。
図1は、患者の口腔内の通常の位置にある自然のヒトの歯牙1の横断面図を示している。歯牙1は歯肉2で囲まれている。図示のように、歯肉2は、通常は少なくとも下方の領域4aにおいて歯牙1と当接し、通常は上方の領域4bにおいて歯牙1からわずかに離れて延びる。下方の領域4aと上方の領域4bとの境界線は通常、いわゆる上皮付着部8によって形成される。更に、上皮付着部8は通常、歯肉と歯牙が密着するゾーンを特徴付けるものである。歯肉と歯牙との間の上方の領域4bは、歯肉溝3である。歯肉溝3は、歯牙1と歯肉2との間に間隙を形成し得る。健康な歯肉の歯肉溝は、最大約2mmの深さ、及び0.2mm以下の幅を有し得る。また、上皮付着部8の上の健康な歯肉は歯牙と当接し得る。
図2は、修復のために調整された自然歯牙1’を示している。この例は、部分被覆冠のための調整を示すものであり、そのため、歯牙周辺部のうちの一部6のみが除去されている。通常、歯牙の準備は、歯牙構造を十分に取り除いて病的な組織(例えば齲蝕した歯牙組織)を除去すること、及び調整した歯牙に取り付ける修復物のために更に空間を設けることを含む。
図に示す調整は、自然歯牙1と後の歯科修復物との間の遷移部を、特に、2つの部分を取り付けるために使用される接着剤又は他の材料を、歯肉の背後に隠すように、歯肉の高さの下方に広がっている。それにより、患者の口腔内における仕上げられた修復歯牙の審美性が最適化され得る。この例においては、圧排糸5が歯肉溝の中に置かれ、歯肉を歯牙1’から変位させている。それにより、調整マージン(preparation margin)7にアクセス可能となり、その結果、調整マージン7は、別の工程で歯牙から作製され得る印象に複製されることができる。
図3及び3Aは、既知の歯科圧排ペースト14を使用することによる歯肉圧排用の既知の装置を示している。この例において、歯牙10は、部分被覆冠、例えば歯牙10の上部及び側部の一部と置換する歯冠を受容するように調整されている。図3は、歯牙10の調整された側面に隣接する歯肉溝に向かってペーストが開口部13から分配される状況を示しており、図3Aは、調整されていない歯牙10の別の側面における同様の状況を示している。典型的には非常に高粘度である既知の歯科圧排ペーストを分配するための既知のカニューレ11が、歯肉組織12に配置されており、ペースト14が歯肉溝13に向かって分配されている。ペーストは、歯肉溝13の入口にてペースト14に加圧することによって、例えば、ペーストを更に分配すること及び/又は歯肉溝に向かってカニューレ11を押すことによって、歯肉溝に向かって押される。通常、ペーストは、歯肉溝の外側から中にペーストを押し込むように、歯肉溝の外側の領域で加圧される。したがって、そのような手技はまた、通常、ペーストを歯肉溝の中に流入させるために、ペースト内の圧力を高めるのに十分な安定性を有する比較的高粘度のペーストを必要とする。しかしながら、図示のように、ペーストは、圧力下で変形又は流動し、歯肉溝及び周囲の組織の一部分に広がる傾向を有することがある。更に、例えば歯牙及び歯肉の特定の幾何学的状況によって、かつ/又はユーザーによっては、歯肉溝に向かってペーストを押し込むと、場合によっては、結果として生じる力F1で示すように、歯肉を歯牙に向かって付勢することになり得る。これにより、例えば、ペーストが歯肉溝の中に侵入するのを妨害するように、歯肉溝の入口が強制的に閉鎖されることがある。また、そのような既知の手技では、場合によっては、歯肉溝の中に十分深くペーストを押し込むことに失敗する可能性があり、その結果、各歯牙から採取された印象が、調整された歯牙のプレパレーションマージン(preparation margin)又は他の特徴を表さないものとなり得ることが判明している。特に、例えば図3Aに示すように、歯肉溝が、歯牙の調整されていない領域、つまり自然の領域の近傍に位置する状況において、カニューレを歯肉溝に向けて配置するための空間が、図3に示す状況と比べて限られたものとなることがある。したがって、図3Aに示すような状況において、カニューレの開口部を歯肉溝の入口に向けるために、ユーザーは、図3に示す状況と比べてより鈍角にカニューレを向け、それにより、図3に示す状況と比べて、歯牙に向けて歯肉を圧接する、更に強い力を生じさせる傾向を有し得る。
図4及び4Aは、図3及び3Aと対比して本発明のカニューレ21を示している。図4は、調整された側面に隣接する歯肉溝における状況を示しており、図4Aは、歯牙10の調整されていない別の側面における同様の状況を示している。カニューレ21は、先細の自由端部22を有しており、自由端部22は、歯科用組成物を分配するための開口部23を有している。カニューレ21の自由端部22は、その先細りにより、その前端部、つまり最前端部において、比較的小さな直径を有しており、したがって、歯肉12と調整された歯牙10との間に置かれることができる。他方で、先細りが凸状であるため、自由端部は既に、開口部23の付近において比較的大きな直径を有している。これにより、自由端部22を歯肉12と調整された歯牙10との間にわずかに挿入するだけで、歯肉12を歯牙10から変位させることができる。カニューレ21の自由端部22は、歯肉12と調整された歯牙10との間に置かれており、その結果、歯肉12は側方にわずかに変位して歯牙10から離れている。これは、結果として生じる側方の力F2によって示されている。カニューレ21の自由端部22の形状により、歯肉溝が歯牙の天然領域の近傍に位置する(図4A)状況においても、歯肉12は、結果として生じる側方の力F2を受けることができ、この側方の力F2は、図3及び3Aに示すように歯肉溝を閉鎖するのではなく、むしろ開放するように向きをなしている。開口部23は、開口した歯肉溝内に位置しており、その結果、カニューレ21から分配された歯科用組成物は、歯肉溝の中に流入する。実際に、カニューレを浅く挿入し、それによってカニューレで歯肉溝を穏やかに機械的に開口すれば、歯科用組成物が歯肉溝内に比較的良好に侵入することが十分に達成される。これは、歯肉溝の中に注入される初期量の歯科用組成物で歯肉溝が更に開口される傾向があり、それによっても、歯科用組成物の注入が更に促進されるからである。したがって、本発明は、歯肉溝に歯科用組成物を適切に充填することを可能にし、それにより、歯肉圧排を確実にし、プレパレーションマージンの印象採得を適切にすることができる。歯科用組成物は開口した歯肉溝の中に注入されるため、歯肉もまた、好ましくは、概して歯科用組成物で覆われていない状態を維持する。したがって、歯肉溝の入口の周りの領域は、好ましくは、例えば歯科医から依然として視認可能である。特に、歯科医は歯肉の色を観察することができ、歯肉の色は、歯牙から圧排されると薄色化する傾向がある。したがって、歯肉溝に分配される歯科用組成物の量が、比較的良好に制御され得ることが判明した。それにより、歯肉溝内の歯科用組成物の圧力は、上皮付着部が影響を受ける限界未満に保たれることができる。結果として、上皮付着部が分離する危険性を低減することができる。これは好都合なことであるが、それは、上皮付着部が歯牙から引き離されると、歯牙と歯肉との間の組織の中に細菌が深く侵入する可能性があるため、歯肉及び/又は顎の疾病を引き起こす可能性があるからである。
更に、既知の手技とは対照的に、より低粘度の歯科用組成物が使用され得ることが判明した。これは、本発明によって、例えば、歯科用組成物が、歯肉溝の外側から押し込まれるのではなく、わずかに開口した歯肉溝内に注入されるがために可能となることである。したがって、一実施形態において、好ましい歯科用組成物は比較的低い粘度を有する。歯科用組成物がより低粘度のものとなることにより、通常、例えばより低い押出し力で分配することが可能となり、このことは、ユーザー及び患者にとってより好都合となり得る。
図5は、本発明の実施形態によるカニューレ51を示している。カニューレ51は、シャフト部54と前端部つまり自由端部52とを有している。カニューレ51は、前方内径P1と後方内径P2を有する通路53を更に備えている。通路53は円筒形であってもよい。この場合、前方内径P1と後方内径P2は概ね同じである。別の実施形態において、前方内径P1及び後方内径P2は異なってもよい。通路53は、後方内径P2から前方内径P1へ向かって先細となっていてもよく、この場合、P2はP1よりも大きいものとなる。これにより、例えば、カニューレを通じて歯科用組成物を移動させるのに必要な力を比較的小さくすることができ、また、場合によっては低粘度の材料が好まれ得るが、高粘度の組成物を使用することも可能となり得る。
試験
先細の通路を有するカニューレを通じて歯科圧排用組成物を押し出すための押出し力を、先細でない通路(長さにわたって概ね一様な寸法を有するもの)を有するカニューレを通じて同じ材料を押し出すための押出し力と比較した。
先細の通路を有するカニューレは、約0.4mmの前方内径P1を有するものであった。カニューレと通路は、約7.6mmの長さを有するものであった。カニューレの後方内径P2を前方内径の反対側に与えた。先細りは、通路の対向側壁間で概ね通路の中心に沿った平面において測定して、約3度であった。
先細でない通路を有するカニューレは、約0.4mmの前方内径P1を有するものであった。カニューレ及び通路は、約7.6mmの長さを有するものであった。通路は、カニューレの全長にわたって約0.4mmの直径を有するものであった。
試験に使用した組成物は、以下の配合を有する組成物に対応するものであった。
・約15重量%〜約50重量%、又は約16重量%〜約40重量%、又は約17重量%〜約30重量%の量の液体
・約1重量%〜約34重量%、又は約2重量%〜約30重量%、又は約2.5重量%〜約25重量%の量の層型の1:1ケイ酸塩鉱物
・約30重量%〜約65重量%、又は約31重量%〜約64重量%、又は約32重量%〜約63重量%の量の層型の2:1ケイ酸塩鉱物
・約0.01重量%〜約30重量%、又は約5重量%〜約20重量%、又は約10重量%〜約15重量%の量の収斂薬
・約0.0001重量%〜約10重量%、又は約1重量%〜約7重量%、又は約2重量%〜約5重量%の量の添加剤
押出し力を以下のように測定した。
試験装置Zwick Z020(Zwick Roell Comp.)を使用して押出し力を測定した。この試験装置は、カニューレを通じて歯科用組成物を貯蔵部から分配する装置のホルダーと、装置内に挿入されたピストンを押圧し貯蔵部を密閉する小型スタンプとを備えるものであった。スタンプの寸法は、市販の単一容器ディスペンサ(例えば3M ESPE Comp.から注文コード5706SDとして市販)において使用されているものに対応するものであった。供給速度を1.0mm/sに設定した。初期の降伏点(始点から約6mm〜9mm)を超えた後に力を測定した。6つの個々の測定値に対する平均値として押出し力を求めた。
結果
先細の通路を有するノズルにて測定された押出し力は約135Nであり、先細でない通路を有するノズルにて測定された押出し力は約190Nであった。
カニューレ51は、第1の前方外径D1を有している。図示の例において、第1の前方外径D1は、前方内径P1よりも大きなものとなっている。しかしながら、他の実施形態において、前方外径D1は、前方内径P1と同じかあるいはほぼ同じであってもよい。前方外径D1は好ましくは、前方内径P1の付近で測定される。カニューレ51は、第2の前方外径D2と後方外径D3を更に有している。好ましくは、前方内径P1及び/又は前方外径D1は、自由端部52の前端部を形成している。したがって、自由端部52は好ましくは、第1の前方外径D1と第2の前方外径D2との間、又は前方内径P1と前方外径D2との間に延びる。カニューレ51のシャフト部54は、自由端部52に近接して第2の前方外径D2と後方外径D3との間に延びることができる。D2及びD3は、シャフト部54が概ね円筒状となるように、概ね同じであってもよい。別法として、D2及びD3は、シャフト部54が概ね円錐状となるように、異なっていてもよい。例えば、D3は、シャフト部54がD3からD2に向かって先細るように、D2よりも大きくてもよい。
カニューレ51はまた最小全長L1を有し、自由端部52は長さL2を有し、凸状の先細りが、およそ半径Rを有する曲線に沿って先細となっている。寸法D2、D3、P1、P2、L1、L2及びRは、上に明記した範囲内にあるものでよい。P1及びD1は等しい直径を有してもよいが、D1は、0.05mm〜1mmだけ、具体的には0.1mm〜0.4mmだけP1よりも大きくてもよい。上に明記した寸法の組み合わせが、必要に応じて可能となる。
カニューレ51のある好ましい実施形態は、約1.15mmの後方内径P2と約0.4mmの前方内径P1を有する通路を有してもよく、後方内径P2と前方内径P1との間のその通路の長さは、約10.9mmである。後方内径P2と前方内径P1との間の通路の長さは、例えば長さL2と対応してもよい。好ましくは、前方内径P1と後方内径P2との間の通路は、後方内径P2から前方内径P1に向かって直線的に又は実質的に直線的に先細る。この好ましい実施形態によるカニューレは、約1.03mmの長さL2と、概ね前方内径P1に対応する前方外径D1と、約1.93mmの後方外径を更に有してもよい。この実施形態の半径Rは好ましくは約2.76mmである。この実施形態により、患者の歯肉溝の中に歯肉圧排材料が容易に供給されることが判明した。
また、この例におけるカニューレ51は、歯肉溝でのカニューレの一定の侵入深さに関する基準とするためのマーキング55を有している。マーキング55は、円周方向の切込みとして形成されている。しかしながら、例えば、色若しくは表面構造の遷移、縁、又は線、及びそれらの組み合わせなど、他の実施形態も考えられる。このマーキングは、歯肉組織に損傷を与える危険性を低減するのに役立ち、かつ/又は、歯肉圧排手技を確実にするのに役立ち得る。
図6は、本発明による装置30の実施形態を示している。装置30は、凸状の先細自由端部32を有するカニューレ31を有している。装置30は、歯科用組成物を保持するための貯蔵部34を更に有している。ピストン35は貯蔵部を閉鎖するものであり、歯科用組成物を貯蔵部34から押し出すために貯蔵部において変位可能である。貯蔵部34は、カニューレ31の通路33の中へと開口している。装置30が使用されるまで通路33を閉鎖するために、取り外し可能なキャップ36(破線で示す)が使用されてもよい。更に、カニューレ31はプラグ(図示せず)で閉鎖されてもよい。プラグは、例えば、歯肉圧排材料が装置30から分配されるときに自動的に外れてもよい。好ましくは、そのような自動開放プラグは、許容されない悪影響を実質的に生じることなく、歯科用組成物が塗布される同じ場所に塗布され得る材料で形成される。そのようなプラグは、例えば、ろう又は硬化した歯科用組成物で形成されてもよい。装置30は、ドイツ国の3M ESPEから「5706 SD Capsule Dispenser」の呼称で入手可能な塗布装置と共に使用されてもよい。したがって、装置30は、装置30をディスペンサに係合させるために使用され得る縁37を有している。縁37は、装置をロックして使用中に意図せずに回転することを防ぐための切り込み又は平部を有してもよい。また、そのような回転の防止は、それ以外の方法でも、例えば、装置を圧締めすることによって、又は装置と塗布装置との間の任意の他の噛合い又は摩擦嵌め(positive or frictional fit)によって達成されてもよい。
好ましくは、カニューレ31とカプセル本体38は、異なるプラスチック材料から成型される。これにより、カニューレ31が好都合に患者の口腔内の比較的敏感な組織に直接接触して使用されることができるように、例えば、比較的軟質のプラスチック材料をカニューレ31に選択することができる。他方で、これにより、カプセル本体38を比較的硬質の材料から成型することが可能となり、硬質の材料は、装置から歯科用組成物を押し出す間に必要となり得る機械的強度を十分にもたらす。また、カニューレ31とカプセル本体38は、異なるプラスチック材料から成型されてもよい。カニューレ31は、カプセル本体38と一体に成型されてもよい。これは、例えば、カニューレを形成する側で第1のプラスチック材料を型に注入し、それと概ね同時に、本体を形成する側で第2のプラスチック材料を型に注入することによって達成されてもよい。個々のプラスチック材料の流量は、カニューレ31がカプセル本体38と結合する領域でプラスチック材料が合流するように制御されてもよい。2種類のプラスチック材料から装置30を成型する別の方法は、まずカニューレ31を成型し、続いて、予め成型されたそのカニューレの上にカプセル本体38を成型するか、又はその逆に成型することを含む。
カニューレ31に好ましいプラスチック材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−ブタジエン−メタクリレートブロックコポリマー、熱可塑性ポリウレタンである。しかしながらカニューレは更に、金属、例えば鋼で作られてもよい。これは本発明によるカニューレの形状によって可能となるものであるが、歯科医は通常、歯肉溝のような敏感な組織と接触するために軟質の材料を好む。カプセル本体38に好ましいプラスチック材料は、ポリアミド、ポリオキシエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネートである。
図7は、本発明の別の実施形態による装置40の部分横断面図である。この装置はチャンバ41を有しており、チャンバ41は歯肉圧排材料を受容することができる。歯肉圧排材料を前進させるピストン42が、このチャンバ内に受容される。装置40は、歯科用物質を分配することができる分配端部43と、装置40をアプリケータで使用するように構成された後端部44とを有している。本発明で使用され得るアプリケータが、例えば、ドイツ国の3M ESPE AGからCapsule Dispenserの呼称で入手可能である。装置40の後端部44は、捕捉部45と弾性アダプタ46とを備えている。捕捉部45と弾性アダプタ46により、装置40はアプリケータ内に保持されることができる。アプリケータは、歯科用物質をディスペンサ端部43から分配するのを容易にすることができる。
装置40は容器47を更に有しており、またカニューレ48を有してもよい。図示の例における容器47は、軸線E−Eに沿って概ね直線的に延びており、カニューレ48は、その軸線E−Eからある角度をなして概ね直線的に延びている。この構成により、例えば、歯科治療の間に、患者の口腔内の特定の箇所にカニューレで到達することが容易となり得る。しかしながら、他の構成、例えばカニューレと容器が互いに整列するかあるいは平行となる構成が、当業者には明らかとなろう。更に、容器47は、曲線、例えば円形又は概ね円形の曲線に沿って延びていてもよい。この例において、カニューレは、容器が沿って延びる曲線と整列してもよい。したがって、患者の口腔内の特定の位置に達するのに同様に好適となり得る構成が提供される。
図8は、装置40の後端部44を詳細に示している。捕捉部45は好ましくは、軸線E−Eの方向をなす力を原因とする移動を防止するように適合されている。特に、捕捉部45は、装置内に格納された材料を前進させるピストン42に及ぼされる力に対抗して装置40を保持するように適合されてもよい。この例における捕捉部45は、容器47の一区分を囲む環状縁として構成されている。特に、捕捉部45は、好ましくは容器と一体に形成される概ね中実の縁であってもよい。他の構成も考えられる。例えば、環状縁は切り込みを付けられてもよい。更に、縁に代わって、容器47の外表面から突出する少なくとも1つの別個の保持部材が、捕捉部として使用されてもよい。別の実施形態において、捕捉部は、容器の外表面と縁の後方面(装置の後端部に面する)とを結合するウェブによって支持される縁で形成されてもよい。捕捉部は、任意の実施形態において、概ね容器47の外表面の側方にあるいは容器47の外表面から離れて半径方向に延びる前方面49を有している。したがって、捕捉部は段差を容器47に形成してもよい。これは、装置をアプリケータにしっかりと保持するのに役立ち得る。後端部44は更に、弾性アダプタ46を有している。この例において、弾性アダプタ46は、縁の後方面から後ろ向きに(後端部44に向かって)突出している。弾性アダプタ46は、概ね環状の形状をなしている。好ましくは、弾性アダプタは捕捉部と一体に形成される。しかしながら、弾性アダプタはまた、別々に、例えば捕捉部以外の別の材料から形成されてもよい。弾性アダプタ46は、図示のように、容器の外表面47aから離間した比較的薄い環として形成されてもよい。したがって、弾性アダプタ46は、捕捉部45に対して特定の弾力性をもたらしている。このようにして、弾性アダプタ46は好ましくは、軸線E−E方向に弾性的に変形可能となる。弾性アダプタ46は、アプリケータ内においてカプセルを位置決めするために使用され得る。
弾性アダプタに関する他の構成も考えられる。例えば、容器は、半径方向に突出する少なくとも1つの環状のフラッシュ(flash)又はリブを設けられてもよい。
実施例
図9は、歯肉圧排の効果を評価するための試験装置100を示している。この装置は基本的に、2つのジョーを有しており、それらのジョーの間に、例えば、歯科用組成物を分配するための、本明細書に記載するような装置によって、歯科用組成物を押し込むことができる。ジョーを分離して、歯科用組成物がどの程度の深さまでジョーの間に侵入したかを評価することができる。特に、この試験装置は、歯牙に似せた「ハードジョー(hard jaw)」101と、歯肉に似せた「ソフトジョー(soft jaw)」102を有している。ハードジョー101は、比較的非弾性的な又は硬質な材料でできている。この例において、ハードジョー101はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)でできている。PTFEは一般に、試験で使用される組成物を、ジョーから比較的に容易に除去されるようにし、その結果、試験装置の清浄が容易となる。しかしながら、任意の他の好適なプラスチック又は金属が使用されてもよい。この例におけるソフトジョー102は、スイス国のColtene/Whaledent AGによる歯肉マスク材料Gi−Maskから作られている。したがって、ソフトジョー102は、天然の歯肉に似た材料特性を有している。ハードジョー101及びソフトジョー102はそれぞれ、互いに対向してかつ概ね平行に構成された、概ね平坦な試験表面を有している。ジョー101、102は、ソフトジョー102がねじジャッキ104によってハードジョー101に対して調節可能となるように、平行万力103に載置されている。ねじジャッキは、ソフトジョー102を取り付けられた可動ブロック105を移動させるように適合されている。したがって、ジョー101、102の試験表面は、互いに対して異なる距離で、あるいは試験表面が互いに触れるか押し合う状態で、調節されることができる。
天然の歯牙に隣接する天然の歯肉の間の幾何学的状況を模倣するために、ハードジョー101は、試験表面から側方にソフトジョー102を越えて突出し、その結果、ジョー101、102が互いに移動すると、ジョー101、102によって段差が形成される。
(実施例1.1)
試験装置を調節して、ジョー101、102の試験表面を互いに約0.2mm離間した。ジョー101とジョー102との間のこの0.2mmという間隙は、参照文献、Laufer,Ben−Zion(歯学博士、医学博士)、Baharav,Haim(歯学博士、理学修士)、Cardash,Harold S(歯科学士、歯科医学士(LDS)、RCS(英国))著の「The Linear Accuracy of Impressions and Stone Dies as Affected by the Thickness of the Impression Margin」、及び、Laufer,Ben−Zion(歯学博士、医学博士)、Baharav,Haim(歯学博士、理学修士)、Ganor,Yehuda(歯学博士)、Cardash,Harold S.(歯科学士)著の「マージン厚さが種々の印象材料の歪みに与える影響(The effect of marginal thickness on the distortion of different impression materials)」において記載されているように、自然の歯肉溝の間隙の生理学的な幅に従って選択したものである。
本発明によるカニューレを有する装置に、フランス国のProduits Dentaires Pierre Rolland社からExpasyl(商標)の呼称で入手可能な、以後「Expasyl」と呼ぶ歯科用組成物を充填した。この装置は、図6に示す装置に概ね対応するものであった。カニューレは、表1に示す寸法を有するものである。
(すべての寸法はmm単位であり、
D1、D2、D3、P1、P2、L1、L2、及びRは図5に示す通りである)
自由端部をジョー101とジョー102との間隙に向けて、カニューレを置いた。それにより、カニューレを試験表面(参照符号108で示す)に対して約45°に向けた。装置のピストンを1秒当たり約2mmの速度で移動させることによって、Expasylを押し出した。実施例1.1においてExpasylを押し出すために使用したピストンは、約4.1mmの直径を有するものであり、その結果、押出し速度は1秒当たり約26.4mmとなった。
(実施例1.2及び1.3)
実施例1.1は、同じ装置とカニューレを使用して繰り返したものであるが、実施例1.2においては、ジョー101、102を約0.3mmの距離で離間し、実施例1.3においては約0.4mmの距離で離間した。
(実施例2.1、2.2、2.3)
実施例2.1、2.2及び2.3は、実施例1.1、1.2及び1.3に対応しているが、本発明による種々のカニューレを使用した。実施例2.1、2.2及び2.3で使用したカニューレの寸法を表2に示す。
(すべての寸法はmm単位であり、
D1、D2、D3、P1、P2、L1、L2及びRは図5に示す通りである)
比較例3.1、3.2、3.3
実施例1.1、1.2及び1.3は、既知の装置と既知のカニューレを使用して繰り返したものである。比較例3.1、3.2及び3.3で使用したカニューレは、表3に示す寸法を有するものであった。比較例3.1、3.2及び3.3におけるExpasylを、既知の装置のピストンを1秒当たり約2mmの速度で移動させることによって押し出した。実施例3.1、3.2及び3.3においてExpasylを押し出すために使用したピストンは、約4.5mmの直径を有するものであり、その結果、押出し速度は1秒当たり約31.8mmとなった。
(すべての寸法はmm単位であり、
D1、D2、D3、P1、P2、L1、L2及びRは図5に示す通りである)
実施例及び比較例の結果
図10〜12は、実施例及び比較例に使用した試験装置100の斜視図を示している。図10は、装置100の頂面図を示している。ハードジョー及びソフトジョーは、それぞれ参照符号101、102で示されている。更に、平行万力103の一部分が示されている。図11は、ジョー101とジョー102との間隙にカニューレを置いた試験装置100を示しており、図12は、ジョー101とジョー102を互いから離隔して侵入深さの評価を可能にした試験装置100を示している。ジョー101とジョー102との間に侵入した歯科用組成物が、参照符号106で示されている。実施例1.1〜1.3、2.1〜2.3の各々、及び比較例3.1〜3.3に対し、歯科用組成物が侵入した深さを、スチール製の定規を使用して測定した。それにより、ジョー102の上方角部107から、ジョーの一方に付着する歯科用組成物の最下方の点までの距離によって深さを評価した。試験結果を表4に示す。
実施例1.1〜1.3、実施例2.1〜2.3及び比較例3.1〜3.3を繰り返して、表4にまとめた結果を確認した。この確認結果を表5に示す。
これらの例において、約0.2mmの幅を有する間隙の中へ歯科用組成物が比較的深く侵入することが達成された。溝の間隙のこの0.2mmという幅は、健康な歯肉に概ね対応すると想定したものである。したがって、本発明は、健康な歯肉に対して歯肉圧排を効果的に実施する可能性をもたらし得ると考えられる。対照的に、比較例において、歯肉溝の中への歯科用組成物の侵入は、間隙が約0.4mmの幅を有する状態でのみ達成された。ゆえに、本発明は、広範囲に及ぶ臨床的状況に対応することができ、したがって、概してより確実に機能し得ると考えられる。
(実施例4)
本発明の実施形態によるカニューレ(カニューレA)を、また、それと比較して、異なる2つの形状をなすカニューレ(カニューレB及びC)を侵入試験において試験して、種々のカニューレが歯肉溝の中に侵入することで歯肉組織が受ける影響を評価した。
米国カリフォルニア州のDUX Dentalによる「Heavy Bodied reversible Hydrocolloid Tray Material」、ロット番号012350を使用して、歯肉溝の模型を作製した。概ね平坦な底部と概ね直立した側壁を有する開口したプラスチック容器を鋳型として用意した。使用説明書に従って親水コロイドを加熱し、鋳型の中に充填した。親水コロイドが室温に冷え、それによって凝固した後、親水コロイドの概ね固体の塊が形成された。親水コロイドの塊を鋳型から取り外し、反転して再び鋳型に置いて、塊の概ね平坦な表面が底面を上向きにして置かれるようにした。この配置において、親水コロイドの塊は鋳型によって支持され、特に、塊の上縁部は、鋳型の側壁によって支持され、したがって安定化された。鋭利なナイフを使用して、約10mmの深さのスリットを平坦な表面に刻んだ。親水コロイドの塊の中にあるスリットは、歯肉溝の状況におおよそ似たものとなる。したがって、そのように形成された塊を歯肉溝の模型として使用した。
侵入試験
この歯肉溝の模型を、種々のカニューレA、B、及びCをホルダー内に受容するように準備した、Zwickの万能材料試験機に置いた。
図13、図14、及び図15は、種々のカニューレA、B、及びCをそれぞれ示している。カニューレAは、丸みを付けられた自由端部を有しており、この自由端部は、本発明の実施形態に従って特定的に寸法を定められている。カニューレBは、カニューレAと同様の寸法を有する概ね円錐状の形状を有しており、カニューレCは概ね円筒状であり、カニューレA及びBよりも大きな横断面積を有している。カニューレCの形状及び横断面積は、比較例3.1、3.2、及び3.3に従う従来技術のカニューレの形状及び横断面積に対応している。
自由端部をスリットに向けた状態でカニューレを移動させることができるように、歯肉溝の模型をホルダーの下方でスリットと位置合わせした。カニューレA、B、及びCの各々を、約0.25mm/sの速度でスリットの中に約4mmの侵入深さまで移動させた。約5秒後、個々のカニューレをスリットから回収した。カニューレの各々の試験後に模型を再び配置し、各カニューレがスリットの新たな部分に侵入するようにした。更に、親水コロイドが乾燥することによる影響を軽減するために、スリットの切り込みから侵入試験までの時間を最長5分間に制限した。更に、同じ理由により、カニューレA、B、及びCを用いた個々の侵入試験の間の時間を最長3分間に制限した。
カニューレA、B、及びCの各々が、歯肉溝の模型の中に刻まれた第2のスリットにある状態で、侵入試験を繰り返した。
図16は、侵入試験に使用した歯肉溝の模型の写真を示している。2つの切れ目I及びIIを模型に設けた。更に、3つの侵入領域A、B、及びCが各スリットI、IIに示されている。侵入領域A、B、及びCは、異なる大きさの跡を呈しており、これらの跡は、それぞれのカニューレの侵入によって、例えばスリットの縁部における変形及び/又は材料除去によって生じたものである。この模型を使用して、試験後に残った侵入跡を測定した。
侵入跡の大きさを測定するために使用した方法については、スリットIの侵入領域Cのみにおいて実施例で説明する。想像線M上の侵入跡の外縁部にて距離XMを測定した。線Mは、スリットに対しておおよそ直角に向いており、おおよそ跡の中心を貫いて延びている。更に、スリットの全幅XSを測定した。侵入跡の実際の大きさXを求めるために、全幅XSを距離XMから減じた(X=XM−XS)。
結果
カニューレを模型のスリットの中に移動させるために加えられた最大の力Fmaxを、侵入試験の間に、カニューレA、B、及びCの各々に万能材料試験機を使用することによって測定した。すべてのカニューレを用いた侵入試験の後、侵入領域の周りの表面を評価した。特に、歯肉溝の模型にある跡の大きさを測定した。この測定を、米国ニューハンプシャー州のMetronics Inc.から入手可能な測定ユニット「Quadra−Chek(商標)200」を含めて、日本国のニコン社から入手可能なタイプ「MM−40」の測定顕微鏡を使用して実施した。上述のように、親水コロイド材料が乾燥した結果として生じるスリットの全体的な拡げと、カニューレの侵入の結果として生じたものではない拡げを考慮するために、侵入領域の外側のスリットの幅(XS)を測定した。全体的な拡げの測定値XSをマークの測定値XMから減じた。親水コロイドが乾燥することによる許容できない不正確さを回避するために、侵入試験から測定までの時間を最大10分に制限した。
図17は、表6に記載した侵入力を表すグラフを示しており、図18は、侵入試験後に残った跡の大きさを表すグラフを示している。棒は表6に従う測定値を示し、A、B、及びCで示されており、A、B、及びCはそれぞれ、試験に使用したカニューレA、B、及びCに対応している。更に、棒I及びIIの2つの群は、表6に記載する2組みの測定値に対応している。
結論
本発明のカニューレによって比較的小さな侵入力で歯肉溝への侵入が可能になると、実施例4から推論することができる。したがって、本発明の装置は、使用の際、比較的好都合となり得る。更に、本発明のカニューレは、歯肉溝の中に置かれるとき、歯肉組織に対する影響を比較的小さなものにし得ることが、実施例4によって示されている。したがって、本発明の装置は、歯肉治療を比較的穏やかなものにすることができ、更に、歯肉組織に残る影響を比較的小さなものにすることができる。したがって、本発明によるカニューレは全体として、患者の口腔における歯肉溝の中への挿入に好適となり得る。
実施例5:種々の歯科圧排用組成物の貯蔵弾性率の測定
歯科圧排用組成物の個々の成分をスピードミキサー(speedmixer)に入れ、約60秒間、約2400rpmで混合した。構成成分を接触させた直後に、この混合プロセスを開始した。得られたペーストが塊状(cloddy)であった場合、混合工程を繰り返した。
プレート/プレートの結合構造(プレートの直径は15mm、表面は刻み付き)でPhysica Rheometer(Paar MCR 300)を使用して、貯蔵弾性率を測定した。初期の間隙を1mmに設定し、測定の間に作用される力を(1±1)Nに設定した。300sの間に1s−1〜10S−1の直線的な傾斜を利用して、振動試験を実施した。歪みを0.01%に設定した。貯蔵弾性率を室温(23℃)にて5s−1の角周波数で求めた。
1)、2)は、シリカ鉱物の全含有量に対するものである。

Claims (9)

  1. 歯肉と歯牙との間に形成される歯肉溝を歯科用組成物で拡げることによって歯肉をヒトの歯牙から圧排するための装置であって、
    前記歯科用組成物を分配するための開口部を備えた自由端部を有するカニューレを備え、前記自由端部及び前記開口部は、前記自由端部の外側面が前記歯牙及び前記歯肉に触れる状態で、前記開口部が前記歯肉溝の入口に配置され得るように付形され、前記開口部が前記歯肉溝の内側に向いた状態で、前記カニューレが更に移動されるとき、前記歯肉が前記歯牙から側方に変位されるように、前記自由端部が更に付形されており、
    前記自由端部の前記外側面が第1の外径D1と第2の外径D2との間で延び、前記第1の外径D1が前記自由端部の前端部の近傍に位置し、前記第2の外径D2が前記第1の外径D1から距離L2だけ更に後方に位置し、D2がD1より大きく、前記自由端部の前記外側面が前記第2の外径D2から前記第1の外径D1に向かって凸状に先細り、D2からD1に向かう方向における前記凸状の先細りが、D2の1/2を超える半径Rに近似する曲線に基づいて先細り、
    前記装置は、さらに、長手軸線に沿って延びるカートリッジであって、前記歯科用組成物を保持するためのチャンバを有するカートリッジを備え、前記装置は前記カニューレを通じて前記歯科用組成物を分配するように適合されており、更に、前記歯科用組成物を前記カニューレに向かって付勢するために前記長手軸線に沿って移動可能であるピストンを備えるように適合され、前記カニューレが前記カートリッジに固定式で取り付けられ、前記カニューレ及び前記カートリッジが異なるプラスチック材料から作られ、前記カートリッジが前記カニューレよりも硬質である、装置。
  2. D1が約0.3mm〜約0.7mmであり、D2が約0.7mm〜約1.3mmであり、L2が約0.3mm〜約2mmであり、前記第1の外径D1が、前記開口部の近傍に位置するか、あるいは前記開口部によって形成されており、前記開口部が約0.3mm〜約0.7mmである第1の内径P1を有し、P1がD1に等しいかD1より小さい、請求項1に記載の装置。
  3. 前記カニューレが更に、前記第1の外径D1と第3の外径D3の間の長さL1と、前記第2の外径D2と前記第3の外径D3との間に延びるシャフト部とを有し、前記第3の外径D3が約0.7mm〜約2mmであり、D3が、好ましくはD2を超えるか、あるいはほぼD2に等しく、L1が約6mm〜約18mmである、請求項1又は2に記載の装置。
  4. 自硬性の歯科印象材料を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
  5. 液体及びケイ酸塩を含む歯科圧排材料を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の装置。
  6. 前記歯科圧排材料が、フィロケイ酸塩、又は少なくとも2つの異なるフィロケイ酸塩の組み合わせを含む、請求項5に記載の装置。
  7. 前記カニューレが、第1の内径P1を有する前記開口部と第2の内径P2を有する入口との間の通路を備え、P2が約0.3mm〜約1.0mmであり、P2が好ましくはP1よりも大きいかあるいは等しい、請求項1〜のいずれか一項に記載の装置。
  8. 前記カニューレが、前記歯肉溝での前記カニューレの侵入深さに関する基準として利用可能なマーキングを有し、前記マーキングが、切り込み、縁、印刷された線、前記カニューレの外側面の色の遷移、及び前記カニューレの外側面の2種類の表面構造の間の遷移の少なくとも1つで形成される、請求項1〜のいずれか一項に記載の装置。
  9. 前記カニューレが、
    約0.4mmの第1の外径D1と、
    約1.0mmの第1の外径D2とを有し、
    前記第1の外径D1が、前記自由端部の前記前端部の近傍に位置し、前記第2の外径D2が、前記第1の外径D1から更に後方へ距離L2のところに位置し、
    前記距離L2が約1.0mmであり、
    前記第1の外径D1が前記開口部によって形成され、したがって前記開口部は、前記外径D1にほぼ対応する第1の内径P1を有し、
    前記自由端部の前記外側面が、前記第2の外径D2から前記第1の外径D1に向かって凸状に先細り、D2からD1に向かう方向における前記凸状の先細りが、約3.0mmである半径Rに近似する曲線に基づいて先細り、
    前記カニューレが、前記第1の外径D1と第3の外径D3の間の長さL1を更に有し、前記第3の外径D3が約1.8mmであり、前記長さL1が約11.0mmであり、
    前記装置が更に、
    前記カニューレと流体連通し前記歯科用組成物を受容するための容器と、
    前記歯科用組成物を前記容器から前記カニューレに向かって前進させるために前記容器内で押出し経路に沿って移動可能なピストンと、
    前記押出し経路の側方に延在し、前記押出し経路に平行な方向における移動に抗して前記装置を捕捉するように適合された捕捉部と、
    前記押出し経路の側方に弾力性を持つ弾性アダプタと、を備え、
    前記装置が、
    約15重量%〜約30重量%の量の液体と、
    約1重量%〜約40重量%の量の層型の1:1ケイ酸塩鉱物と、
    約30重量%〜約69重量%の量の層型の2:1ケイ酸塩鉱物と、
    約0重量%〜約25重量%の量の収斂剤と、
    約0重量%〜約10重量%の量の添加剤と、を含む歯科用組成物を収容し、
    重量%がすべての前記組成物全体を基準とする、
    請求項1に記載の装置。
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