JP5801169B2 - 片側スポット溶接装置 - Google Patents
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Description
図1に示すように、片側スポット溶接装置1は、板状を呈する金属製の第1ワークW1と第2ワークW2とが重ねられてなるワークWの上面側(片側)のみから、ワークWの溶接部位Qに溶接電極11等を当接させてスポット溶接する装置である。
なお、溶接後、溶接部位Qにおける第1ワークW1と第2ワークW2との境界面には、縦断面視で楕円形のナゲットP(接合部)が形成される。また、図1は、溶接電極11等の当接時を示すが、便宜的にナゲットPを記載している。
溶接ガン10は、+極側の溶接電極11と、−極側の2本のアース電極12と、溶接電極11を保持する溶接電極保持部13と、を備えている。
溶接電極11は、丸棒状を呈し、その先端(図1の下端)が、ワークWの溶接部位Qの上面に当接されるものである。溶接電極11の基端部(図1の上端部)は、溶接電極保持部13に挿通され固定されている。すなわち、溶接電極保持部13は溶接電極11を保持すると共に、溶接電極11と溶接電極保持部13とは一体である。
アース電極12は、溶接電極11と平行であって、溶接電極11の左右に距離Lを隔て、溶接電極11を対称中心として配置されている。ただし、アース電極12の数はこれに限定されず、3本、4本等に変更してよい。このように変更する場合、複数本のアース電極12を、溶接電極11を中心とする円周上に等間隔で配置すればよい。
溶接ガン10は、2つの変位量センサ16を備えている。変位量センサ16は、溶接電極保持部13(溶接電極11)と、シャフト14a(アース電極12)との軸方向における相対位置(距離)を検出するセンサである。変位量センサ16は、ブラケット16aを介して溶接電極保持部13に固定されると共に、そのロッド16bが貫通孔13a内を延び、ロッド16bの下端がフランジ14bの上面に当接している。
サーボモータ21は、制御部51からの指令に従って、溶接ガン10(溶接電極保持部13)を図1の上下方向に移動させると共に、溶接電極11でワークWの溶接部位Qを加圧する加圧機構である。そして、電圧センサ22が、サーボモータ21の印加電圧を検出し、制御部51に出力するようになっている。したがって、溶接電極11がワークWに当接すると、電圧センサ22の検出する電圧が上昇するので、制御部51が溶接電極11の当接時を検知するようになっている。
電源回路31は、制御部51からの指令に従って、溶接電極11及びアース電極12を経由するように、スポット溶接用の電流を通電させる回路である。電源回路31の+端子は溶接電極11に接続されており、電源回路31の−端子はアース電極12に接続されている。このような電源回路31は、交流電源、インバータ、スイッチング回路等を備えて構成されている。
入力装置41は、オペレータが、目標ナゲット径(目標ナゲット大きさ、目標溶接強度)、ワークWの材質、ワークWの厚さ、溶接部位Qの情報(角部、中央部等)、等を入力する装置であり、キーボード等を備えている。そして、入力装置41は、目標ナゲット径等の入力された情報を制御部51に出力するようになっている。
制御装置50は、制御部51と、記憶部52(データベース)と、を備えている。
制御部51は、片側スポット溶接装置1を電子制御する制御装置であり、CPU、ROM、RAM、各種インタフェイス、電子回路などを含んで構成されており、その内部に記憶されたプログラムに従って、各種機器を制御し、各種処理を実行するようになっている。
記憶部52は、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置で構成されている。そして、記憶部52には、図2のマップ(データベース)が記憶されている。図2のマップは、種々の事前試験によって取得されたものであり、溶接電極11の変位量とナゲット径D(溶接強度、図1参照)とが相関性を有している。すなわち、溶接電極11の変位量とナゲット径(溶接強度)とは、相関式Fの関係を有しており、溶接電極11の変位量が大きくなるにつれて、ナゲット径(溶接強度)が大きくなる関係となっている。
次に、図3〜図5を参照して、片側スポット溶接装置1の動作と、片側スポット溶接方法について説明する。片側スポット溶接方法は、溶接電極11の目標変位量を算出する目標変位量算出ステップと、溶接ステップと、を含んでいる。
具体的には、制御部51は、入力装置41から入力される目標ナゲット径(目標ナゲット大きさ、目標溶接強度)、溶接部位Qの情報(角部、中央部等)、溶接電極11の形状(大きさ、材質等)と、図2のマップ(相関式F)とに基づいて、溶接電極11の目標変位量を算出する(図2参照)。
具体的には、制御部51は、電源回路31を制御し、ステップS101で算出したナゲット形成用の電流値A2よりも小さい予備通電用の電流値A1で通電を開始する(図5参照)。
なお、このような予備通電は、事前試験等により求められた所定時間にて実行される。
具体的には、制御部51は、加圧力F1を維持しつつ、電流値をステップS101で算出したナゲット形成用の電流値A2に上昇させる(図5参照)。そうすると、第1ワークW1及び第2ワークW2がさらに発熱し、特に、溶接電極11の下方の溶接部位Qにおける温度が非常に高くなる。その結果、第1ワークW1及び第2ワークW2の間において金属原子の拡散が起こり、当該箇所にナゲットPが形成し始める(図1参照)。
具体的には、制御部51は、予備通電処理の電流値A1よりも大きく、かつ、ナゲット形成処理の電流値A2よりも小さい電流値A3(A1<A3<A2)で通電させると共に、加圧力F1よりも小さい加圧力F2で加圧する。これにより、ナゲットPの近傍における気孔の発生を抑制し、ブローホールの形成を抑制できる。なお、徐冷処理は、事前試験等によって求められた所定時間にて実行される。
このような片側スポット溶接装置1によれば次の効果を得る。
目標ナゲット径(目標溶接強度)に基づいて、溶接電極11の目標変位量を算出し、実測変位量が目標変位量となるように、サーボモータ21等を制御するので、溶接品質を容易に管理しつつ、ワークWを良好に溶接できる。また、主に変位量センサ16のみを追加する簡易な構成であるので、片側スポット溶接装置1を低コストで構成でき、量産ラインにも適用容易である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、次のように変更できる。
12 アース電極
13 溶接電極保持部
14a シャフト
16 変位量センサ(変位量検出手段)
21 サーボモータ(加圧機構)
31 電源回路
51 制御部(制御手段)
52 記憶部(データベース)
D ナゲット径(ナゲット大きさ)
P ナゲット
Claims (2)
- 第1ワーク及び第2ワークが重ねられてなるワークに、前記第1ワーク側である片側からのみ電極を当接させて溶接する片側スポット溶接装置であって、
前記第1ワークに片側から当接する溶接電極と、
前記第1ワークに片側から当接するアース電極と、
前記溶接電極を所定位置で保持すると共に、前記アース電極を軸方向の相対位置が可変自在で保持する溶接電極保持部と、
前記溶接電極保持部を前記ワークに向かって変位させることで前記溶接電極を前記ワークに向かって加圧する加圧機構と、
前記アース電極と前記溶接電極保持部との間に介装され、前記アース電極を前記ワークに向けて付勢すると共に、前記アース電極の前記ワークへの当接後に縮退することで前記アース電極を前記ワークに対して変位させない圧縮コイルばねと、
前記溶接電極及び前記アース電極を経由するように通電させる電源回路と、
前記溶接電極保持部と前記アース電極との相対位置を検出することで、前記ワークに対する前記溶接電極の沈み込み量である変位量を検出する変位量検出手段と、
制御手段と、
前記溶接電極の変位量と溶接後のワークに形成されるナゲット大きさとが、予め関連付けられたデータベースと、
を備え、
前記制御手段は、
目標ナゲット大きさと前記データベースとに基づいて、目標変位量を算出し、
前記変位量検出手段の検出する実測変位量が前記目標変位量となるように、前記加圧機構及び前記電源回路を制御する
ことを特徴とする片側スポット溶接装置。 - 前記アース電極と一体であるシャフトと、
を備え、
前記変位量検出手段は、前記溶接電極保持部と前記シャフトとの相対位置を検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の片側スポット溶接装置。
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