以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、パチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」と略称する。)1の正面図である。また図2は、パチンコ機1の背面図である。パチンコ機1は、遊技球を遊技媒体として用いるものであり、遊技者は、遊技場運営者から遊技球を借り受けてパチンコ機1による遊技を行う。なお、パチンコ機1における遊技において、遊技球はその1個1個が遊技価値を有した媒体であり、遊技の成果として遊技者が享受する特典(利益)は、例えば遊技者が獲得した遊技球の数に基づいて遊技価値に換算することができる。以下、図1及び図2を参照しつつ遊技機の全体構成について説明する。
〔遊技機の全体構成〕
パチンコ機1は、その本体として主に外枠アセンブリ2、ガラス枠ユニット4、受け皿ユニット6及びプラ枠アセンブリ7(遊技機枠)を備えている。このうち外枠アセンブリ2は、木材を縦長の矩形状に組み合わせた構造体であり、この外枠アセンブリ2は、遊技場内の島設備(図示されていない)に対してねじ等の締結具を用いて固定されるものである。
その他のガラス枠ユニット4や受け皿ユニット6、プラ枠アセンブリ7は外枠アセンブリ2を介して島設備に取り付けられ、これらはそれぞれ図示しないヒンジ機構を介して開閉式に動作する。図示しないヒンジ機構の開閉軸線は、パチンコ機1の正面からみて左側端部に沿って垂直方向に延びている。
図1中の正面からみてプラ枠アセンブリ7の右側縁部(図2では左側縁部)には、その内側に統一錠ユニット9が設けられている。また、これに対応してガラス枠ユニット4及び外枠アセンブリ2の右側縁部(裏側)にも、それぞれ図示しない施錠具が設けられている。図1に示されるように、外枠アセンブリ2に対してガラス枠ユニット4及びプラ枠アセンブリ7が閉じた状態で、その裏側にある統一錠ユニット9は施錠具とともにガラス枠ユニット4及びプラ枠アセンブリ7の開放を不能にしている。
また、受け皿ユニット6の右側縁部には鍵穴付きのシリンダ錠6aが設けられている。例えば、遊技場の管理者が専用キーを鍵穴に差し込んでシリンダ錠6aを時計回りに捻ると、統一錠ユニット9が作動してプラ枠アセンブリ7とともにガラス枠ユニット4及び受け皿ユニット6の開放が可能な状態となる。これら全体を外枠アセンブリ2から前面側へ開放する(扉のように動かす)と、前面側にてパチンコ機1の裏側が露出することになる。
一方、シリンダ錠6aを反時計回りに捻ると、プラ枠アセンブリ7は施錠されたままでガラス枠ユニット4の施錠だけが解除され、ガラス枠ユニット4が開放可能となる。ガラス枠ユニット4を前面側へ開放すると遊技盤8が直に露出し、この状態で遊技場の管理者が盤面内での球詰まり等の障害を取り除くことができる。またガラス枠ユニット4を開放すると、受け皿ユニット6のロック機構(図示していない)が露出する。この状態でロック機構を解除すると、受け皿ユニット6をプラ枠アセンブリ7に対して前面側へ開放することができる。
またパチンコ機1は、遊技用ユニットとして上記の遊技盤8を備えている。遊技盤8は、ガラス枠ユニット4の背後(内側)で上記のプラ枠アセンブリ7に支持されている。遊技盤8は、例えばガラス枠ユニット4を前面側へ開放した状態でプラ枠アセンブリ7に対して着脱可能である。ガラス枠ユニット4には、その中央部に縦長円形状の窓4aが形成されており、この窓4a内にガラスユニット(参照符号なし)が取り付けられている。ガラスユニットは、例えば窓4aの形状に合わせてカットされた2枚の透明板(ガラス板)を組み合わせたものである。ガラスユニットは、ガラス枠ユニット4の裏側に図示しないヒンジ機構を介して開閉式に取り付けられる。遊技盤8の前面には遊技領域8a(盤面)が形成されており、この遊技領域8aは窓4aを通じて前面側から遊技者に視認可能である。ガラス枠ユニット4が閉じられると、ガラスユニットの内面と盤面との間に遊技球が流下できる空間が形成される。
受け皿ユニット6は、全体的に外枠アセンブリ2から前面側へ突出した形状をなしており、その上面に上皿6bが形成されている。この上皿6bには、遊技者に貸し出された遊技球(貸球)や入賞により獲得した遊技球(賞球)を貯留することができる。また受け皿ユニット6には、上皿6bの下段位置に下皿6cが形成されている。この下皿6cには、上皿6bが満杯の状態でさらに払い出された遊技球が貯留される。なお本実施形態のパチンコ機1はいわゆるCR機(CRユニットに接続する機種)であり、遊技者が借り受けた遊技球は、賞球とは別に裏側の払出装置ユニット172から受け皿ユニット6(上皿6b又は下皿6c)に払い出される。
受け皿ユニット6の上面には貸出操作部14が設けられており、この貸出操作部14には、球貸ボタン10及び返却ボタン12が配置されている。図示しないCRユニットに有価媒体(例えば磁気記録媒体、記憶IC内蔵媒体等)を投入した状態で球貸ボタン10を遊技者が操作すると、予め決められた度数単位(例えば5度数)に対応する個数(例えば125個)分の遊技球が貸し出される。このため貸出操作部14の上面には度数表示部(図示されていない)が配置されており、この度数表示部には、CRユニットに投入されている有価媒体の残存度数が表示される。なお遊技者は、返却ボタン12を操作することで、度数が残存している有価媒体の返却を受けることができる。本実施形態ではCR機を例に挙げているが、パチンコ機1はCR機とは別の現金機(CRユニットに接続されない機種)であってもよい。
また、受け皿ユニット6の前面には、上段位置にある上皿6bの手前に上皿球抜きレバー6dが設置されており、そして下皿6cの手前でその中央部には下皿球抜きボタン6eが設置されている。遊技者は上皿球抜きレバー6dを例えば左方向へスライドさせることで、上皿6bに貯留された遊技球を下皿6cへ流下させることができる。また遊技者は、下皿球抜きボタン6eを例えば押し込み操作することで、下皿6cに貯留された遊技球を下方へ落下させて排出することができる。排出された遊技球は、例えば図示しない球受け箱等に受け止められる。
受け皿ユニット6の右下部には、グリップユニット16が設置されている。遊技者はこのグリップユニット16を操作することで発射制御基板セット174を作動させ、遊技領域8aに向けて遊技球を発射する(打ち込む)ことができる(球発射装置、球発射手段)。発射された遊技球は、遊技盤8の左側縁部に沿って上昇し、図示しない外バンドに案内されて遊技領域8a内に放り込まれる。遊技領域8a内には多数の障害釘や風車(図中参照符号なし)等が配置されており、放り込まれた遊技球は障害釘や風車により誘導・案内されながら遊技領域8a内を流下する。なお、遊技領域8a内(盤面)の構成については、別の図面を参照しながらさらに後述する。
〔枠前面の構成〕
ガラス枠ユニット4には、演出用の構成要素としてガラス枠トップランプ46,48やガラス枠サイドランプ50がガラスユニット(参照符号なし)を取り巻くようにして複数の箇所に設置されている。また、受け皿ユニット6には受け皿ランプ52が設置されており、この受け皿ランプ52とガラス枠トップランプ46,48及びガラス枠サイドランプ50とは、外見上、パチンコ機1の前面において一体的につながっているかのようにデザインされている。
上述した各種ランプ46〜52は、例えば内蔵するLEDの発光(点灯や点滅、輝度階調の変化、色調の変化等)により演出を実行する。またガラス枠ユニット4の上部には、左右一対のガラス枠上スピーカ54とその中央にガラス枠中スピーカ55が内蔵されており、そして受け皿ユニット6には、下皿6cの右側に受け皿スピーカ56が内蔵されている。これらスピーカ54,55,56は、効果音やBGM、音声等(音響全般)を出力して演出を実行するものである。
また受け皿ユニット6の中央には、上皿6bの手前位置に演出切替ボタン450が設置されている。遊技者は、この演出切替ボタン450を操作することで、遊技中の演出内容(例えばBGMの種類)を切り替えることができる。
〔裏側の構成〕
図2に示されているように、パチンコ機1の裏側には、電源制御ユニット162や主制御基板ユニット170、払出装置ユニット172、流路ユニット173、発射制御基板セット174、払出制御基板ユニット176、裏カバーユニット178等が設置されている。この他にパチンコ機1の裏側には、パチンコ機1の電源系統や制御系統を構成する各種の電子機器類(図示しない制御コンピュータを含む)や外部端子板160、電源コード(電源プラグ)164、アース線(アース端子)166、図示しない接続配線等が設置されている。なお、電子機器類については別のブロック図(図5)に基づいてさらに後述する。
上記の払出装置ユニット172は、例えば賞球タンク172a及び賞球ケース(参照符号なし)を有しており、このうち賞球タンク172aはプラ枠アセンブリ7の上縁部(裏側)に設置された状態で、図示しない補給経路から補給された遊技球を蓄えることができる。賞球タンク172aに蓄えられた遊技球は、図示しない上側賞球樋を通じて賞球ケースに導かれる。流路ユニット173は、払出装置ユニット172から送り出された遊技球を前面側の受け皿ユニット6に向けて案内する。
また上記の外部端子板160は、パチンコ機1を外部の電子機器(例えばデータ表示装置、ホールコンピュータ等)に接続するためのものであり、この外部端子板160からは、パチンコ機1の遊技進行状態やメンテナンス状態等を表す各種の外部情報信号(例えば賞球情報、扉開放情報、図柄確定回数情報、大当り情報、始動口情報、セキュリティエラー情報等)が外部の電子機器に向けて出力されるものとなっている。
電源コード164は、例えば遊技場の島設備に設置された電源装置(例えばAC24V)に接続されることで、パチンコ機1の動作に必要な電源(電力)を確保するものである。またアース線166は、同じく島設備に設置されたアース端子に接続されることで、パチンコ機1のアース(接地)を確保するものである。
〔盤面の構成〕
図3は、遊技盤8を単独で示した正面図である。遊技領域8a内には、その中央位置に比較的大型の球誘導ユニット40(入球装置)が配置されており、この球誘導ユニット40を中心として遊技領域8aが左側部分(第1遊技領域)、右側部分(第2遊技領域)及び下部分に大きく分かれている。
先ず遊技領域8aの右側部分には、球誘導ユニット40の周辺で上から順に始動ゲート20、可変始動入賞装置28及び可変入賞装置30が設置されている。また遊技領域8aの左側部分には、内バンド(参照符号なし)に沿ってサイド装飾ランプ400が設置されている他、その中段位置近辺に演出切替ゲート402が設置されている。そして遊技領域8aの下部分には、球誘導ユニット40の略直下の位置に中始動入賞口26(第1特別始動入賞口)が設置されている他、左右に2つずつ対をなして4つの普通入賞口22が設置されている。
球誘導ユニット40は、その上縁部(参照符号なし)にて遊技球の流下(落下)方向を変化させ、遊技領域8a内で大きく右側部分又は左側部分のいずれかに遊技球の流下方向を振り分ける。このとき左側部分に振り分けられた遊技球は、その流下の過程で無作為に演出切替ゲート402を通過したり、特に左側に位置する普通入賞口22に入賞したりする可能性がある。一方、遊技領域8aの右側部分に振り分けられた遊技球は、その流下の過程で始動ゲート20を通過するか、作動時の可変始動入賞装置28や開放動作時の可変入賞装置30に入賞(入球)するか、もしくは右側に位置する普通入賞口22に入賞する可能性がある。始動ゲート20や演出切替ゲート402を通過した遊技球は続けて遊技領域8a内を流下するが、普通入賞口22や可変始動入賞装置28、可変入賞装置30に入賞(入球)した遊技球は遊技板(遊技盤8を構成する合板材)に形成された貫通穴を通じて遊技盤8の裏側へ回収される。
本実施形態において、上記の可変始動入賞装置28は、所定の作動条件が満たされた場合(普通図柄が当りの態様で停止表示された場合)に作動し、それに伴って右始動入賞口28a(第2特別始動入賞口)への入賞を可能にする(普通電動役物、作動手段)。可変始動入賞装置28は、例えば左右一対の可動片28bを有しており、これら可動片28bは、例えば図示しないソレノイドを用いたリンク機構の働きにより、盤面に沿って左右方向に往復動作する。すなわち、図3中に実線で示されるように、左右の可動片28bは各先端が上を向いた状態で閉位置にあり、このとき右始動入賞口28aへの入賞は不能(遊技球が流入できる隙間がない状態)となっている。一方、可変始動入賞装置28が作動すると、図3中の二点鎖線で示されるように、左右の可動片28bはそれぞれ閉位置から開放位置に向けて変位(拡開)し、右始動入賞口28aの開口幅を左右に拡大する。この間に可変始動入賞装置28は遊技球の流入が可能な状態となり、右始動入賞口28aへの入賞を発生させることができる(可変入賞手段)。なお、遊技盤8に設置されている障害釘の配列(ゲージ)は、基本的に可変始動入賞装置28(作動時の右始動入賞口28a)に向かう遊技球の流下を極端に阻害しない態様となっているが、遊技球が作動時の可変始動入賞装置28に必ず流入するというわけではなく、あくまで流入は無作為に発生する。
また上記の可変入賞装置30は、規定の条件が満たされた場合(特別図柄が非当選以外の態様で停止表示された場合)に作動し、大入賞口30bへの入賞を可能にする(特別電動役物)。可変入賞装置30は例えば左右一対の開閉部材30aを有しており、これら開閉部材30aもまた、例えば図示しないソレノイドを用いたリンク機構の働きにより、盤面に沿って左右方向に往復動作する。すなわち、図3中に実線で示されるように、左右の開閉部材30aは各先端が上を向いた状態で閉止位置にあり、このとき大入賞口30bへの入賞は不能(遊技球が流入できる隙間がない状態)となっている。一方、可変入賞装置30が作動すると、図3中の二点鎖線で示されるように左右の開閉部材30aはそれぞれ閉止位置から開放位置に向けて変位(拡開)し、左右に開口幅を拡大して大入賞口30bを開放する(開放動作)。この間に可変入賞装置30は遊技球の流入が可能な状態となり、大入賞口30bへの入賞を発生させることができる(可変入賞手段)。ここでも同様に、遊技盤8に設置されている障害釘の配列(ゲージ)は、基本的に可変入賞装置30(開放時の大入賞口30b)へ向かう遊技球の流下を極端に阻害しない態様となっているが、遊技球が開放動作時の可変入賞装置30(大入賞口30b)に必ず流入するというわけではなく、あくまで流入は無作為に発生する。
一方、遊技領域8a内で中央下部に位置する中始動入賞口26へは、球誘導ユニット40を通じて遊技球の入賞が可能となる。したがって、球誘導ユニット40の周辺を流下してきた遊技球が中始動入賞口26へ入賞することはなく、入賞するためには球誘導ユニット40の内部を通る必要がある。以下、球誘導ユニット40の構成について説明する。
〔球誘導ユニットの構成〕
球誘導ユニット40には、例えばその正面からみて左側縁の上部位置に球流入口40aが形成されている。この球流入口40aは、例えば正面からみて左斜め上方向に開口しており、遊技領域8a内で左側部分を流下する遊技球は、球流入口40aの周辺に設置された障害釘によって誘導されつつ、無作為に球流入口40aに流入することができる。なお、球流入口40aには役物遊技開始スイッチ200が設置されており、球流入口40aに流入した遊技球は、役物遊技開始スイッチ200により検出される。
球誘導ユニット40の内部には、その上部位置に第1ステージ40bが形成されており、球流入口40aから流入した遊技球は、先ず第1ステージ40b上に転がり込む。第1ステージ40bの上面は、中央に向けて緩やかに傾斜した湾曲形状をなしており、球流入口40aから転がり込んだ遊技球は、第1ステージ40b上にて左右方向にしばらく転動する。
また第1ステージ40bの中央位置には落下通路40cが形成されており、この落下通路40cは鉛直下方に延びている。第1ステージ40b上で転動していた遊技球は、やがて落下通路40cに入り込み、そのまま鉛直下方へ案内される。
球誘導ユニット40の内部には、落下通路40cの略直下位置に上回転体44が設置されており、この上回転体44は、図示しない上回転体モータにより一方向(この例では反時計回り方向)に回転されている。また上回転体44には、その周縁部に複数(この例では3つ)の球受入穴44aが形成されており、上回転体44の回転に伴い、各球受入穴44aは落下通路40cの下端に対向する地点を通過する。このため、落下通路40c内に入り込んだ遊技球は、いずれかの球受入穴44a内に填り込み、そのまま上回転体44の回転方向に誘導されることになる。なお図3中、球受入穴44a内にて誘導される遊技球を二点差線で示している。また上回転体44の周囲には、左右で対をなした半円形状のガイド壁(図中参照符号なし)が設置されており、これらガイド壁は、鉛直上方と下方にてそれぞれ開放されている。落下通路40cから球受入穴44a内に填り込んだ遊技球は、球受入穴44aが鉛直下方に向かう地点に到達するまでの間、ガイド壁により落下を防止されている。
また球誘導ユニット40の内部には、上回転体44の略直下位置にドットマトリクスLED表示器42が設置されている他、その左右両側に一対をなしてドラムユニット214が設置されている。これらドットマトリクスLED表示器42及びドラムユニット214は、球誘導ユニット40のおよそ中段に位置しており、球誘導ユニット40の横幅は、この中段位置にて最大となっている。
上記のドットマトリクスLED表示器42は、例えば図示しない多色LED(又はフルカラーLED)によるドット発光部をマトリクス状に配列して構成されており、個々のドット発光部が図示しない多色LEDにより発光することで演出用の絵柄や文字等を表示する。また左右のドラムユニット214は、例えば透明カバー内に小型のドラム214a,214bをそれぞれ有しており、これらドラム214a,214bにはそれぞれ演出用の絵柄や文字等が付されている。なおドラム214a,214bは、図示しないステッピングモータにより縦方向に回転することができる。
また球誘導ユニット40の内部には、ドットマトリクスLED表示器42の下方位置に第2ステージ40dが形成されている。この第2ステージ40dは、例えば左右のドラムユニット214の間に跨って左右方向に延びており、その上面は中央位置に向かって下り傾斜を有している。上回転体44の球受入穴44aに填り込んでいた遊技球は、その回転に伴って球受入穴44aが鉛直下方に向かう地点に到達すると、そこから第2ステージ40d上に落下する。落下した遊技球は、しばらく第2ステージ40d上にて転動する。
第2ステージ40dの中央位置には、別の落下通路40eが形成されており、第2ステージ40d上にて転動していた遊技球は、やがて落下通路40e内に入り込み、そのまま鉛直下方へ案内される。
また球誘導ユニット40の内部には、落下通路40eの略直下位置に下回転体45が設置されており、この下回転体45は、図示しない下回転体モータにより一方向(この例では時計回り方向)に回転されている。下回転体45にもまた、その周縁部に複数(この例では3つ)の球受入穴45aが形成されており、下回転体45の回転に伴い、各球受入穴45aは落下通路40eの下端に対向する地点を通過する。このため、落下通路40e内に入り込んだ遊技球は、いずれかの球受入穴45a内に填り込み、そのまま下回転体45の回転方向に誘導されることになる。なお図3中、球受入穴45a内にて誘導される遊技球を二点差線で示している。また下回転体45の周囲にも、左右で対をなした半円形状のガイド壁(図中参照符号なし)が設置されており、これらガイド壁もまた、鉛直上方と下方にてそれぞれ開放されている。落下通路40eから球受入穴45a内に填り込んだ遊技球は、球受入穴45aが鉛直下方に向かう地点に到達するまでの間、ガイド壁により落下を防止されている。
さらに球誘導ユニット40の内部には、下回転体45の略直下位置に振り分け体40f(振分動作手段)が設置されている他、この振り分け体40fの略直下位置に放出通路40gが設置されている。このうち振り分け体40fは、その上面視において一本橋のような形状をなしており、正面からみて奥側を基端とすると、振り分け体40fはその基端部分から手前方向へ延びた案内溝を形成している。振り分け体40fは案内溝に沿って遊技球を手前方向へ誘導し、その先端から放出することができる。また基端部分は円形の窪み形状をなしており、その窪み内にて遊技球を受け止めることができる。下回転体45の球受入穴45aに填り込んでいた遊技球は、その回転に伴って球受入穴45aが鉛直下方に向かう地点に到達すると、そこから振り分け体40fの基端部分に落下する。落下した遊技球は、基端部分を介して案内溝に誘導され、そのまま手前方向へ転動する。
上記の放出通路40gは固定されており、その内部で遊技球を鉛直下方に案内する。一方、振り分け体40fはその基端部分を中心として、例えば図示しない振り分けモータにより左右方向に往復動作(スイング)している。このため、振り分け体40fが左右方向に往復動作する過程で、案内溝の先端がちょうど放出通路40gの略直上に位置するタイミングで遊技球が放出されると、その遊技球はそのまま放出通路40g内を通って鉛直下方に放出される。そして、放出された遊技球は中始動入賞口26に向かって落下し、高い確率で中始動入賞口26に入賞する。
これに対し、振り分け体40fが左右方向に往復動作する過程で、案内溝の先端が放出通路40gの直上に位置していないタイミングで遊技球が放出されると、その遊技球は放出通路40g内を通ることなく球誘導ユニット40から放出される。この場合、放出された遊技球は中始動入賞口26への入賞が困難となる。ただし、放出通路40gと中始動入賞口26の命釘との間にはいくらか余裕(遊技球1個分以上の落差)があるため、左右の障害釘に弾かれて中始動入賞口26への入賞が発生する場合もある。
その他、遊技領域8a内にはアウト口32が形成されており、入賞しなかった遊技球は最終的にアウト口32を通じて遊技盤8の裏側へ回収される。また、普通入賞口22や可変始動入賞装置28(右始動入賞口28a)、可変入賞装置30(大入賞口30b)に入賞した遊技球も含めて、遊技領域8a内に打ち込まれた全ての遊技球は遊技盤8の裏側へ回収される。回収された遊技球は、図示しないアウト通路アセンブリを通じてパチンコ機1の裏側から枠外へ排出され、さらに図示しない島設備の補給経路に合流する。
図4は、遊技盤8の一部(窓4a内の左下位置)を拡大して示す正面図である。すなわち遊技盤8には、例えば窓4a内の左下位置に普通図柄表示装置33及び普通図柄作動記憶ランプ33a(抽選要素記憶手段)が設けられている他、特別図柄表示装置34及び遊技状態表示装置38が設けられている。このうち普通図柄表示装置33は、例えば2つのランプ(LED)を交互に点灯させて普通図柄を変動表示し、そしてランプの点灯又は消灯により普通図柄を停止表示する(普通図柄表示手段)。普通図柄作動記憶ランプ33aは、例えば2つのランプ(LED)の消灯又は点灯、点滅の組み合わせで構成される表示態様によって0〜4個の記憶数を表示する。例えば、2つのランプをともに消灯させた表示態様では記憶数0個を表示し、1つのランプを点灯させた表示態様では記憶数1個を表示し、同じ1つのランプを点滅させた表示態様では記憶数2個を表示し、1つのランプの点滅に加えてもう1つのランプを点灯させた表示態様では記憶数3個を表示し、そして2つのランプをともに点滅させた表示態様では記憶数4個を表示する、といった具合である。なお、ここでは2つのランプ(LED)を使用することとしているが、4つのランプ(LED)を使用して普通図柄作動記憶ランプ33aを構成してもよい。この場合、点灯するランプの個数で作動記憶数を表示することができる。
普通図柄作動記憶ランプ33aは、上記の始動ゲート20を遊技球が通過すると、その都度、作動抽選の契機となる通過が発生したことを記憶する意味で1個ずつ増加後の表示態様へと変化していき(最大4個まで)、その通過を契機として普通図柄の変動が開始されるごとに1個ずつ減少後の表示態様へと変化していく。なお本実施形態では、普通図柄作動記憶ランプ33aが未点灯(記憶数が0個)の場合、普通図柄が既に変動開始可能な状態(停止表示時)で始動ゲート20を遊技球が通過しても表示態様は変化しない。すなわち、普通図柄作動記憶ランプ33aの表示態様によって表される記憶数(最大4個)は、その時点で未だ普通図柄の変動が開始されていない通過の回数を表している。
また特別図柄表示装置34は、例えば7セグメントLED(ドット付き)により特別図柄の変動状態と停止状態とを表示することができる(特別図柄表示手段)。本実施形態では1つの特別図柄を使用しているため、特別図柄表示装置34として1個の7セグメントLEDを設ければよいが、図4に示されるように、予め2個の7セグメントLEDを実装しておくことで、2つの特別図柄を使用する他の機種にも同じハードウェア構成(統合表示基板89)を適用することができる。なお、本実施形態において特別図柄に対応する作動記憶ランプや作動記憶数表示装置は設けられていない。また、1つの特別図柄を2個の7セグメントLEDで表示してもよい。
遊技状態表示装置38には、例えば高確率状態表示ランプ38c、時短状態表示ランプ38d、発射位置指定表示ランプ38e(発射位置指定表示手段)にそれぞれ対応する3つのLEDが含まれている。なお図4中、特に参照符号を付していない他のランプ(LED)は未使用(ブランク)のものである。本実施形態では、上述した普通図柄表示装置33や普通図柄作動記憶ランプ33a、特別図柄表示装置34及び遊技状態表示装置38が1枚の統合表示基板89に実装された状態で遊技盤8に取り付けられている。
〔遊技盤のその他の構成:図3を参照〕
上記の球誘導ユニット40は、その上縁部が遊技球の流下方向を変化させる案内部材として機能する他、その内側に各種の装飾部品(参照符号なし)を備えている。装飾部品はその立体的な造形により遊技盤8の装飾性を高めるとともに、例えば内蔵された発光器(LED等)により透過光を発することで、演出的な動作をすることができる。
また、上記のドットマトリクスLED表示器42には特別図柄に対応させた演出図柄をはじめ、各種の演出画像が表示される。このように遊技盤8は、その盤面の構成(図示しないセル板のデザイン)や球誘導ユニット40の装飾性に基づいて、遊技者にパチンコ機1の特徴を印象付けている。
上記のサイド装飾ランプ400は、その立体的な造形(例えば複数のアナログレコード盤を重ね合わせたような造形)により遊技領域8aを装飾する他、内蔵された発光器による演出動作を行う。またサイド装飾ランプ400は、上記の演出切替ゲート402や演出切替ボタン450と協働して演出のパターン(例えば遊技中のBGM)を切り替えることに用いられる。例えば、遊技者が演出切替ボタン450を押し込み操作すると、その都度、サイド装飾ランプ400において多数のアナログレコード盤に対応する点灯位置が変化する。このとき点灯位置がBGMの種類(何らかの曲名)に対応しており、遊技球が演出切替ゲート402を通過すると、点灯位置に対応するBGMが出力されるものとなっている。
〔制御上の構成〕
次に、パチンコ機1の制御に関する構成について説明する。図5は、パチンコ機1に装備された各種の電子機器類を示すブロック図である。パチンコ機1は、制御動作の中枢となる主制御装置70を備えており、この主制御装置70は主に、パチンコ機1における遊技の進行を制御する機能を有している。なお主制御装置70は、上記の主制御基板ユニット170に内蔵されている。
また主制御装置70には、中央演算処理装置である主制御CPU72を実装した回路基板(主制御基板)が装備されており、主制御CPU72は、図示しないCPUコアやレジスタとともにROM74、RAM(RWM)76等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。また主制御装置70には、乱数発生器75やサンプリング回路77が装備されている。このうち乱数発生器75は、大当り判定用にハードウェア乱数(例えば10進数表記で0〜65535)を発生させるものであり、ここで発生された乱数は、サンプリング回路77を通じて主制御CPU72に入力される。その他にも主制御装置70には、入出力(I/O)ポート79や図示しないクロック発生回路、カウンタ/タイマ回路(CTC)等の周辺ICが装備されており、これらは主制御CPU72とともに回路基板上に実装されている。なお回路基板上(又は内層部分)には、信号伝送経路や電源供給経路、制御用バス等が配線パターンとして形成されている。
上述した始動ゲート20には、遊技球の通過を検出するためのゲートスイッチ78が一体的に設けられている。また遊技盤8には、中始動入賞口26、可変始動入賞装置28及び可変入賞装置30にそれぞれ対応して中始動入賞口スイッチ80、右始動入賞口スイッチ82及びカウントスイッチ84が装備されている。このうち中始動入賞口スイッチ80及び右始動入賞口スイッチ82は、それぞれ中始動入賞口26、可変始動入賞装置28(右始動入賞口28a)への遊技球の入賞を検出するためのものである。またカウントスイッチ84は、可変入賞装置30(大入賞口30b)への遊技球の入賞を検出し、その数をカウントするためのものである。
同様に遊技盤8には、普通入賞口22への遊技球の入賞を検出する入賞口スイッチ86が装備されている。なお、入賞口スイッチ86は全ての普通入賞口22について共通のものを用いてもよいし、複数ある普通入賞口22のそれぞれに別々の入賞口スイッチ86を設置してもよい。例えば、盤面の左右にそれぞれ別の入賞口スイッチ86を設置し、左側の入賞口スイッチ86では盤面の左側に位置する普通入賞口22に対する遊技球の入賞を検出し、右側の入賞口スイッチ86では盤面の右側に位置する普通入賞口22に対する遊技球の入賞を検出することとしてもよい。
いずれにしても、これらスイッチ類78〜86の入賞検出信号は、図示しない入出力ドライバを介して主制御CPU72に入力される。なお遊技盤8の構成上、本実施形態ではゲートスイッチ78、カウントスイッチ84及び入賞口スイッチ86からの入賞検出信号は、パネル中継端子板87を経由して送信されるものとなっている。パネル中継端子板87には、それぞれの入賞検出信号を中継するための配線パターンや接続端子等が設けられている。
上述した普通図柄表示装置33や普通図柄作動記憶ランプ33a、特別図柄表示装置34及び遊技状態表示装置38は、主制御CPU72からの制御信号に基づいて表示動作を制御されている。主制御CPU72は、遊技の進行状況に応じてこれら表示装置33,34,38及びランプ33aに対する制御信号を出力し、各LEDの点灯状態を制御している。また、これら表示装置33,34,38及びランプ33aは、上記のように1枚の統合表示基板89に実装された状態で遊技盤8に設置されており、この統合表示基板89には上記のパネル中継端子板87を中継して主制御CPU72から制御信号が送信される。
また遊技盤8には、可変始動入賞装置28及び可変入賞装置30にそれぞれ対応して普通電動役物ソレノイド88及び大入賞口ソレノイド90が設けられている。これらソレノイド88,90は主制御CPU72からの制御信号に基づいて動作(励磁)し、それぞれ可変始動入賞装置28、可変入賞装置30を作動(開放)させる。なお、これらソレノイド88,90についても上記のパネル中継端子板87を中継して主制御CPU72から制御信号が送信される。
さらに遊技盤8には、球誘導ユニット40の内部にある上回転体44や下回転体45、振り分け体40fにそれぞれ対応して上回転体モータ208、下回転体モータ210及び振り分け体モータ212が設けられている。このうち上回転体モータ208は上回転体44を回転させるものである。また下回転体モータ210は、下回転体45を回転させるものである。振り分け体モータ212は、例えば図示しないリンク機構を用いて振り分け体40fを往復動作させるものである。これらモータ208,210,212についても同様に、上記のパネル中継端子板87を中継して主制御CPU72から制御信号が送信される。
本実施形態では、電源投入後から上回転体44や下回転体45、振り分け体40fがそれぞれ一定動作を行うため、各モータ208,210,212に対し、主制御装置70(主制御CPU72)から一定動作用の駆動信号が出力されている。また各モータ208,210,212については、それぞれ図示しないインデックスセンサを用いて回転に関する原点位置の検出を行っている。このため主制御装置70には、これらインデックスセンサからの原点位置検出信号が入力されている。
また遊技盤8には、磁気センサ204や振動センサ206が設置されており、このうち磁気センサ204は、その設置位置で遊技盤8に飛来してくる磁束を検出し、その密度(磁気強度)に応じた検出信号を出力する。また振動センサ206は、その設置位置で遊技盤8に加えられる加速度(振動)を検出し、その大きさに応じた検出信号を出力する。これら磁気センサ204や振動センサ206の検出信号は、それぞれパネル中継端子板87を通じて主制御装置70(主制御CPU72)に入力されている。
その他に上記のガラス枠ユニット4にはガラス枠開放スイッチ91が設置されており、また上記のプラ枠アセンブリ7にはプラ枠開放スイッチ93が設置されている。ガラス枠ユニット4が単独で開放されると、ガラス枠開放スイッチ91からの接点信号が主制御装置70(主制御CPU72)に入力され、また外枠アセンブリ2からプラ枠アセンブリ7が開放されると、プラ枠開放スイッチ93からの接点信号が主制御装置70(主制御CPU72)に入力される。主制御CPU72は、これら接点信号からガラス枠ユニット4やプラ枠アセンブリ7の開放状態を検出することができる。なお主制御CPU72は、ガラス枠ユニット4やプラ枠アセンブリ7の開放状態を検出すると、上記の外部情報信号として扉開放情報信号を生成する。
パチンコ機1の裏側には、払出制御装置92が装備されている。この払出制御装置92(払出制御コンピュータ)は、上述した払出装置ユニット172の動作を制御する。払出制御装置92には、払出制御CPU94を実装した回路基板(払出制御基板)が装備されており、この払出制御CPU94もまた、図示しないCPUコアとともにROM96、RAM98等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。払出制御装置92(払出制御CPU94)は、主制御CPU72からの賞球指示コマンドに基づいて払出装置ユニット172の動作を制御し、要求された個数の遊技球の払出動作を実行させる。なお主制御CPU72は賞球指示コマンドとともに、上記の外部情報信号として賞球情報信号を生成する。
払出装置ユニット172の図示しない賞球ケース内には、払出モータ102(例えばステッピングモータ)とともに払出装置基板100が設置されており、この払出装置基板100には払出モータ102の駆動回路が設けられている。払出装置基板100は、払出制御装置92(払出制御CPU94)からの払出数指示信号に基づいて払出モータ102の回転角度を具体的に制御し、指示された数の遊技球を賞球ケースから払い出させる。払い出された遊技球は、流路ユニット173内の払出流路を通って上記の受け皿ユニット6に送られる。
また、例えば賞球ケースの上流位置には払出路球切れスイッチ104が設置されている他、払出モータ102の下流位置には払出計数スイッチ106が設置されている。払出モータ102の駆動により実際に賞球が払い出されると、その都度、払出計数スイッチ106からの計数信号が払出装置基板100に入力される。また賞球ケースの上流位置で球切れが発生すると、払出路球切れスイッチ104からの接点信号が払出装置基板100に入力される。払出装置基板100は、入力された計数信号や接点信号を払出制御装置92(払出制御CPU94)に送信する。払出制御CPU94は、払出装置基板100から受信した信号に基づき、実際の払出数や球切れ状態を検知することができる。
またパチンコ機1には、例えば下皿6cの内部(パチンコ機1の正面からみて奧の位置)に満タンスイッチ161が設置されている。実際に払い出された賞球(遊技球)は上記の流路ユニット173を通じて上皿6bに放出されるが、上皿6bが遊技球で満杯になると、それ以上に払い出された遊技球は上述したように下皿6cへ流れ込む。さらに下皿6cが遊技球で満杯になると、それによって満タンスイッチ161がONになり、満タン検出信号が払出制御装置92(払出制御CPU94)に入力される。これを受けて払出制御CPU94は、主制御CPU72から賞球指示コマンドを受信してもそれ以上の賞球動作を一旦保留とし、未払出の賞球残数をRAM98に記憶させておく。なお、RAM98の記憶は電源断時にもバックアップが可能であり、遊技中に停電(瞬間的な停電を含む)が発生しても、未払出の賞球残数情報が消失してしまうことはない。
またパチンコ機1の裏側には、発射制御基板108とともに発射ソレノイド110が設置されている。また、受け皿ユニット6内には球送りソレノイド111が設けられている。これら発射制御基板108、発射ソレノイド110及び球送りソレノイド111は上述した発射制御基板セット174を構成しており、このうち発射制御基板108には発射ソレノイド110及び球送りソレノイド111の駆動回路が設けられている。このうち球送りソレノイド111は、受け皿ユニット6内に蓄えられた遊技球を1個ずつ、発射機ケース内で所定の発射位置に送り出す動作を行う。また発射ソレノイド110は、発射位置に送り出された遊技球を打撃し、上記のように遊技領域8に向けて遊技球を1個ずつ連続的(間欠的)に打ち出す動作を行う。なお遊技球の発射間隔は、例えば0.6秒程度の間隔(1分間で100個以内)である。
一方、パチンコ機1の表側に位置する上記のグリップユニット16には、発射レバーボリューム112、タッチセンサ114及び発射停止スイッチ116が設けられている。このうち発射レバーボリューム112は、遊技者による発射ハンドルの操作量(いわゆるストローク)に比例したアナログ信号を生成する。またタッチセンサ114は、静電容量の変化から遊技者の身体がグリップユニット16(発射ハンドル)に触れていることを検出し、その検出信号を出力する。そして発射停止スイッチ116は、遊技者の操作に応じて発射停止信号(接点信号)を生成する。
上記の受け皿ユニット6には発射中継端子板118が設置されており、発射レバーボリューム112やタッチセンサ114、発射停止スイッチ116からの各信号は、発射中継端子板118を経由して発射制御基板108に送信される。また、発射制御基板108からの駆動信号は、発射中継端子板118を経由して球送りソレノイド111に印加される。遊技者が発射ハンドルを操作すると、その操作量に応じて発射レバーボリューム112でアナログ信号(エンコードされたデジタル信号でもよい)が生成され、このときの信号に基づいて発射ソレノイド110が駆動される。これにより、遊技者の操作量に応じて遊技球を打ち出す強さが調整されるものとなっている。なお発射制御基板108の駆動回路は、タッチセンサ114からの検出信号がオフ(ローレベル)の場合か、もしくは発射停止スイッチ116から発射停止信号が入力された場合は発射ソレノイド110の駆動を停止する。この他に、発射中継端子板118には遊技球等貸出装置接続端子板120が接続されており、この遊技球等貸出装置接続端子板120に上記のCRユニットが接続されていない場合、同じく発射制御基板108の駆動回路は発射ソレノイド110の駆動を停止する。
また、受け皿ユニット6には度数表示基板122及び貸出及び返却スイッチ基板123が内蔵されている。このうち度数表示基板122には、上記の度数表示部の表示器(3桁分の7セグメントLED)が設けられている。また貸出及び返却スイッチ基板123には球貸ボタン10や返却ボタン12にそれぞれ接続されるスイッチモジュールが実装されており、球貸ボタン10又は返却ボタン12が操作されると、その操作信号が貸出及び返却スイッチ基板123から遊技球等貸出装置接続端子板120を経由してCRユニットに送信される。またCRユニットからは、有価媒体の残り度数を表す度数信号が遊技球等貸出装置接続端子板120を経由して度数表示基板122に送信される。度数表示基板122上の図示しない表示回路は、度数信号に基づいて表示器を駆動し、有価媒体の残り度数を数値表示する。またCRユニットに有価媒体が投入されていなかったり、あるいは投入された有価媒体の残り度数が0になったりした場合、度数表示基板122の表示回路は表示器を駆動してデモ表示(有価媒体の投入を促す表示)を行うこともできる。
またパチンコ機1は制御上の構成として、演出制御装置124を備えている。この演出制御装置124は、パチンコ機1における遊技の進行に伴う演出の制御を行う。演出制御装置124にもまた、中央演算処理装置である演出制御CPU126を実装した回路基板(複合サブ制御基板)が装備されている。演出制御CPU126には、図示しないCPUコアとともにメインメモリとしてROM128やRAM130等の半導体メモリが内蔵されている。演出制御CPU126には、主制御CPU72よりも高速(高クロック周波数)で、データバス幅が広い(例えば64ビット)タイプのものを使用することができる。なお演出制御装置124は、パチンコ機1の裏側で上記の裏カバーユニット178に覆われる位置に設けられている。
また演出制御装置124には、図示しない入出力ドライバや各種の周辺ICが装備されている他、ランプ駆動回路132や音響駆動回路134が装備されている。演出制御CPU126は、主制御CPU72から送信される演出用のコマンドに基づいて演出の制御を行い、ランプ駆動回路132や音響駆動回路134に指令を与えて各種ランプ46〜52や盤面ランプ53を発光させたり、スピーカ54,55,56から実際に効果音や音声等を出力させたりする処理を行う。
ランプ駆動回路132は、例えば図示しないPWM(パルス幅変調)ICやMOSFET等のスイッチング素子を備えており、このランプ駆動回路132は、LEDを含む各種ランプに印加する駆動電圧をスイッチング(又はデューティ切替)して、その発光・点滅等の動作を管理する。なお各種ランプには、上記のガラス枠トップランプ46,48やガラス枠サイドランプ50,受け皿ランプ52の他に、遊技盤8に設置された装飾・演出用の盤面ランプ53が含まれる。盤面ランプ53は上記の演出ユニットに内蔵されるLEDや、可変始動入賞装置28、可変入賞装置30等に内蔵されるLEDに相当するものである。なお、ここでは受け皿ランプ52がガラス枠電飾基板136に接続されている例を挙げているが、受け皿ユニット6に受け皿電飾基板を設置し、受け皿ランプ52については受け皿電飾基板を介してランプ駆動回路132に接続される構成であってもよい。
また音響駆動回路134は、例えば図示しないサウンドROMや音響制御IC、アンプ等を内蔵したサウンドジェネレータであり、この音響駆動回路134は、上スピーカ54及び下スピーカ56を駆動して音響出力を行う。
本実施形態ではガラス枠ユニット4の内面にガラス枠電飾基板136が設置されており、ランプ駆動回路132や音響駆動回路134からの駆動信号はガラス枠電飾基板136を経由して各種ランプ46〜52やスピーカ54,55,56に印加されている。またガラス枠電飾基板136には、上記の演出切替ボタン450が接続されており、遊技者が演出切替ボタン450を操作すると、その接点信号がガラス枠電飾基板136を通じて演出制御装置124に入力される。なお、ここではガラス枠電飾基板136に演出切替ボタン450を接続した例を挙げているが、上記の受け皿電飾基板を設置する場合、演出切替ボタン450は受け皿電飾基板に接続されていてもよい。
その他、遊技盤8にはパネル電飾基板138が設置されており、ランプ駆動回路132からの駆動信号がパネル電飾基板138を経由して盤面ランプ53に印加されている。
上記のように球誘導ユニット40の球流入口40aには、上記の役物遊技開始スイッチ200が設けられている。また遊技盤8には、上記の演出切替ゲート402内に左演出切替スイッチ202が設けられている。これら役物遊技開始スイッチ200や左演出切替スイッチ202は、いずれも遊技球の通過を契機として何らかの演出動作を発生させるための球検出器である。これらスイッチ200,202の各検出信号はパネル電飾基板138を中継して送信され、図示しない入出力ドライバを介して演出制御CPU126に入力される。なお、ここでは役物遊技開始スイッチ200や左演出切替スイッチ202を演出制御装置124に接続する形態を例に挙げているが、これら役物遊技開始スイッチ200や左演出切替スイッチ202を主制御装置70に接続してもよい。この場合、主制御CPU72が各スイッチ200,202からの検出信号を受信すると、それぞれについて演出コマンドを演出制御CPU126に送信すればよい。
また、上記のドットマトリクスLED表示器42やドラムユニット214は遊技盤8の裏側に設置されており、遊技盤8に形成された開口部を通じてのその表示画面や透明カバーが視認可能となっている。さらに、遊技盤8の裏側には演出駆動制御装置144が設置されており、ドットマトリクスLED表示器42による表示動作やドラムユニット214によるドラム214a,214bの回転動作は、演出駆動制御装置144により制御されている。演出駆動制御装置144には、汎用の中央演算処理装置である駆動制御CPU146を実装した回路基板(演出駆動制御基板)が装備されている。この駆動制御CPU146は、図示しないCPUコアとともにROM148、RAM150等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。
演出制御CPU126のROM128には、演出の制御に関する基本的なプログラムが格納されており、演出制御CPU126は、このプログラムに沿って演出の制御を実行する。演出の制御には、上記のように各種ランプ46〜53等やスピーカ54,55,56を用いた演出の制御が含まれる他、ドットマトリクスLED表示器42を用いたドット表示演出や、ドラムユニット214を用いたドラム演出の制御が含まれる。演出制御CPU126は、駆動制御CPU146に対して演出に関する基本的な情報(例えば演出番号)を送信し、これを受け取った駆動制御CPU146は、基本的な情報に基づいて具体的にドットマトリクスLED表示器42の多色LEDの点灯状態を個別に制御し、また、ドラム214a,214bの駆動モータ(図示していない)を駆動する制御を行う。
その他、プラ枠アセンブリ7の裏側には電源制御ユニット162が装備されている。この電源制御ユニット162はスイッチング電源回路を内蔵し、電源コード164を通じて島設備から外部電力(例えばAC24V等)を取り込むと、そこから必要な電力(例えばDC+34V、+12V等)を生成することができる。電源制御ユニット162で生成された電力は、主制御装置70や払出制御装置92、演出制御装置124に分配されている。さらに、払出制御装置92を経由して発射制御基板108に電力が供給されている他、遊技球等貸出装置接続端子板120を経由してCRユニットに電力が供給されている。また、演出制御装置124を経由して演出駆動制御装置144に電力が供給されるとともに、演出駆動制御装置144からドットマトリクスLED表示器42及びドラムユニット214に電力が分配されている。なお、ロジック用の低電圧電力(例えばDC+5V)は、各装置に内蔵された電源用IC(3端子レギュレータ等)で生成される。また上記のように電源制御ユニット162は、アース線166を通じて島設備にアース(接地)されている。
上記の外部端子板160は払出制御装置92に接続されており、主制御装置70(主制御CPU72)にて生成された各種の外部情報信号は、払出制御装置92を経由して外部端子板160から外部に出力されるものとなっている。主制御装置70(主制御CPU72)及び払出制御装置92(払出制御CPU94)は、外部端子板160を通じてパチンコ機1の外部に向けて外部情報信号を出力することができる。外部端子板160から出力される信号は、例えば遊技場のホールコンピュータ(図示していない)で集計される。なお、ここでは払出制御装置92を経由する構成を例に挙げているが、主制御装置70からそのまま外部情報信号が外部端子板160に出力される構成であってもよい。
〔遊技フロー〕
次に図6は、本実施形態のパチンコ機1による遊技の流れを一例として示すゲームフロー図である。パチンコ機1による通常遊技は、遊技球を遊技領域8a内に打ち込む(発射する)ことで開始される。以下、遊技球の打ち出しを前提として遊技の流れについて説明する。
〔G01:ぶっこみ通過〕
遊技球が遊技領域8a内を流下する過程で、上記の球流入口40a(球誘導ユニット40の内部)に流入すると、役物遊技開始スイッチ200によって遊技球の通過が検出される。
〔G02:ドットマトリクスLED演出〕
球流入口40aに遊技球が流入すると、ドットマトリクスLED表示器42を用いた演出(ドラム214aを一緒に用いてもよい)が開始される。ここで行われる演出は、球誘導ユニット40の内部で遊技球が上回転体44や下回転体45により誘導され、最終的に振り分け体40fの先端から放出されるまでの平均的な所要時間内で行われる。このような演出を行うことにより、球誘導ユニット40の内部での遊技球の動きに対して遊技者を注目させ、遊技球が中始動入賞口26に入賞するか否かが判明するまでの流れに一段と興味を惹き付けることができる。
〔G03:特図始動入賞判定〕
球流入口40aに流入した遊技球が最終的に振り分け体40fから放出されたものの、中始動入賞口26に入賞しなかった場合(No)、ひとまず球誘導ユニット40を用いたゲームフロー(いわゆる役物遊技)は終了となる。この場合、ゲームフローは最初からやり直しとなる。
一方、振り分け体40fから放出された遊技球が中始動入賞口26に入賞した場合(Yes)、ゲームフローは以下に進む。
〔G04:ドット演出図柄変動〕
中始動入賞口26への入賞に伴い、ドットマトリクスLED表示器42を用いたドット演出図柄の変動が開始される。このとき内部的には、主制御CPU72による遊技制御上で抽選用の乱数が取得され、特別図柄表示装置34による特別図柄の変動表示が開始されている。ドット演出図柄は、例えば数字の「1」〜「9」をドット表示したものに相当する。またドット演出図柄は、例えば左・中・右で3つの数字の組み合わせを構成し、その変動中は左ドット演出図柄、中ドット演出図柄、右ドット演出図柄がそれぞれ数字をくるくると変化させていくような演出が行われる。
〔G05:リーチ演出抽選〕
例えば、左ドット演出図柄と右ドット演出図柄においてリーチ状態(例えば「7」−変動中−「7」等)が発生し、その後のリーチ演出の発展先を決定する演出が行われる。本実施形態では、リーチ演出の発展先として「ノーマルリーチ」又は「バトルリーチ」があり、ここではいずれか1つが選択されることになる。このうち「ノーマルリーチ」は、例えば単純に中ドット演出図柄がいずれの数字で停止するかを見せる内容のリーチ演出である。一方、「バトルリーチ演出」は、例えば左右のドラム214a,214bが回転し、それぞれ異なるキャラクターの絵柄画像を表示しつつ、ドットマトリクスLED表示器42を用いて何らかの勝負(バトル)を繰り広げていく様子を表示する内容のリーチ演出である。
〔G06,G07:ドット大当り判定〕
「ノーマルリーチ」に発展した場合、中ドット演出図柄が停止した段階でドット大当り判定の結果が明らかとなる。例えば、リーチ状態として上記の「7」−変動中−「7」が発生しており、最終的に中ドット演出図柄が数字の「7」で停止すれば、「7」−「7」−「7」の3つ揃いからドット大当りとなる。なお、ドット大当りにならなかった場合(No)、ここでゲームフローはひとまず終了し、最初からやり直しとなる。
あるいは「バトルリーチ」に発展した場合、遊技者にとっての味方に相当するキャラクターがバトルで勝利すると、ドット大当りとなる。なお、この場合はバトルの勝利とともに数字の「7」−「7」−「7」の3つ揃いを合わせて表示してもよい。ここでも同様に、ドット大当りにならなかった場合(No)、ここでゲームフローはひとまず終了し、最初からやり直しとなる。
〔G08:可変入賞装置作動(右打ち)〕
ドット大当りになると(G06:Yes,G07:Yes)、可変入賞装置30が作動して大当り状態(特別遊技状態)となる。この場合、主に遊技領域8a内の右側部分に遊技球を打ち込む(いわゆる「右打ち」する)ことで、開放中の可変入賞装置30(大入賞口30b)への入賞が可能となる。
〔G09:時間短縮状態へ移行〕
可変入賞装置30の作動終了後、それまでの通常状態(非時間短縮状態)から時間短縮状態に移行する。時間短縮状態に移行すると、引き続き遊技領域8a内の右側部分に遊技球を打ち込むことで、以下の流れが発生する。
(1)始動ゲート20の通過に伴い、通常状態(非時間短縮状態)に比較して高確率(例えば)で普通図柄に対応した作動抽選に当選する。
(2)作動抽選に当選し、普通図柄表示装置33により普通図柄が変動後に当りの態様で停止表示されると、可変始動入賞装置28が作動する。これにより、「右打ち」のままで作動中の可変始動入賞装置28(右始動入賞口28a)への入賞が可能となる。
(3)可変始動入賞装置28(右始動入賞口28a)への入賞に伴い、特別図柄に対応した大当り抽選(内部抽選)が行われる。このとき特別図柄に関しては「高確率状態」にあり、通常状態(低確率状態)に比較して高確率で内部抽選に当選する。
(4)内部抽選に当選し、特別図柄表示装置34により特別図柄が変動後に大当りの態様で停止表示されると、可変入賞装置30が作動して大当り状態(特別遊技状態)となる。これにより、「右打ち」のままで開放中の可変入賞装置30(大入賞口30b)への入賞が可能となる。
以下、上記(1)〜(4)が繰り返されていくことで、入賞に対する賞球の払い出しという利益(特典)を遊技者に付与することができる。なお本実施形態では、上記(3)で内部抽選に当選しても、「高確率状態」を継続できる回数に上限が設けられている(例えば20回程度)。このため上記(3)の当選回数が上限回数に到達すると、上記(4)の大当り終了後は内部抽選の当選確率は「低確率状態」となる。
ただし、大当り終了後に内部抽選の当選確率が「低確率状態」に設定されても、「時間短縮状態」が付加される場合がある。「時間短縮状態」がどの程度まで付加されるかは、「高確率状態」を継続できる回数が上限回数に達した際の上記(3)の当選時に当選図柄の種類によって決定されるものであり、例えば9回程度まで「時間短縮状態」が継続する当選図柄に該当した場合、上記(1)と(2)が9回までは繰り返し実行されることになる。ただし、この状態においては、内部抽選の当選確率は「低確率状態」であり、内部抽選の当選確率は「高確率状態」に比較して低いため、上記(3)と(4)に移行できるか否かは内部抽選の結果次第となる。そして、見事9回以内に当選が得られた場合、上記(4)を経て(1)〜(4)の繰り返しとなり、さらに入賞に対する特典(利益)を遊技者が享受することができる。
このように、本実施形態のパチンコ機1は、大当り状態が何度も繰り返される(ループする)タイプの遊技機であるため、1回の大当り遊技は2ラウンドで終了するものとしている。このため、1回の大当りではそれほど出球を獲得することができないが、大当り遊技の終了後には高確率状態かつ時間短縮状態となり、これが20回継続するため、20回の大当りをワンセットとして、ある程度まとまった出球を獲得することができる。この際、可変入賞装置30だけでなく、可変始動入賞装置28においても入賞が発生するため、遊技者は、2つの入賞装置を用いて出球を増やすことができる。
以上が本実施形態のパチンコ機1による遊技の流れであるが、このような遊技の進行やそれに伴う演出は、上記の主制御装置70及び演出制御装置124を中心とする電子機器によって制御されている。そこで、次に主制御装置70の主制御CPU72により実行される制御上の処理について説明する。
〔リセットスタート(メイン)処理〕
パチンコ機1に電源が投入されると、主制御CPU72はリセットスタート処理を開始する。リセットスタート処理は、前回の電源遮断時に保存されたバックアップ情報を元に遊技状態を復旧(いわゆる復電)したり、逆にバックアップ情報をクリアしたりすることで、パチンコ機1の初期状態を整えるための処理である。またリセットスタート処理は、初期状態の調整後にパチンコ機1の安定した遊技動作を保証するためのメイン処理(メイン制御プログラム)として位置付けられる。
図7及び図8は、リセットスタート処理の手順例を示すフローチャートである。以下、主制御CPU72が行う処理について、各手順を追って説明する。
ステップS101:主制御CPU72は、先ずスタックポインタにスタック領域の先頭アドレスをセットする。
ステップS102:続いて主制御CPU72は、ベクタ方式の割込モード(モード2)を設定し、デフォルトであるRST方式の割込モード(モード0)を修正する。これにより、以後、主制御CPU72は任意のアドレス(ただし最下位ビットは0)を割込ベクタとして参照し、指定の割込ハンドラを実行することができる。
ステップS103:主制御CPU72は、ここでリセット時待機処理を実行する。この処理は、リセットスタート(例えば電源投入)時にある程度の待機時間(例えば数千ms程度)を確保しておき、その間に主電源断検出信号のチェックを行うためのものである。具体的には、主制御CPU72は待機時間分のループカウンタをセットすると、ループカウンタの値をデクリメントしながら主電源断検出信号の入力ポートをビットチェックする。主電源断検出信号は、例えば周辺デバイスである電源監視ICから入力される。そして、ループカウンタが0になる前に主電源断検出信号の入力を確認すると、主制御CPU72は先頭から処理を再開する。これにより、例えば図示しない主電源スイッチの投入と切断の操作が短時間(1〜2秒程度)内に繰り返し行われた場合のシステム保護を図ることができる。
ステップS104:次に主制御CPU72は、RAM76のワーク領域に対するアクセスを許可する。具体的には、ワーク領域のRAMプロテクト設定値をリセット(00H)する。これにより、以後はRAM76のワーク領域に対するアクセスが許可された状態となる。
ステップS105:また主制御CPU72、割り込みマスクを設定するためにマスクレジスタの初期設定を行う。具体的には、CTC割り込みを有効にする値をマスクレジスタに格納する。
ステップS106:主制御CPU72は、先に退避しておいたRAMクリアスイッチからの入力信号を参照し、RAMクリアスイッチが操作(スイッチON)されたか否かを確認する。RAMクリアスイッチが操作されていなければ(No)、次にステップS107を実行する。
ステップS107:次に主制御CPU72は、RAM76にバックアップ情報が保存されているか否か、つまり、バックアップ有効判定フラグがセットされているか否かを確認する。前回の電源遮断処理でバックアップが正常に終了し、バックアップ有効判定フラグ(例えば「A55AH」)がセットされていれば(Yes)、次に主制御CPU72はステップS108を実行する。
ステップS108:主制御CPU72は、RAM76のバックアップ情報についてサムチェックを実行する。具体的には、主制御CPU72はRAM76のワーク領域(使用禁止領域及びスタック領域を含むユーザワーク領域)のうち、バックアップ有効判定フラグ及びサムチェックバッファを除く全ての領域をサムチェックする。サムチェックの結果が正常であれば(Yes)、次に主制御CPU72はステップS109を実行する。
ステップS109:主制御CPU72は、バックアップ有効判定フラグをリセット(例えば「0000H」)する。
ステップS110:また主制御CPU72は、前回の電源断発生直前に送信待ちであったコマンドをクリアする。
ステップS111:次に主制御CPU72は、演出制御復帰処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は演出制御装置124に対し、復帰用のコマンド(例えば機種指定コマンド、特別図柄確率状態指定コマンド、回数切りカウンタ残数コマンド、特別遊技状態指定コマンド等)を送信する。これを受けて演出制御装置124は、前回の電源遮断時に実行中であった演出状態(例えば、時間短縮状態、内部確率状態、ドット演出図柄の表示態様、音響出力内容、各種ランプの発光状態等)を復帰させることができる。
ステップS112:主制御CPU72は、状態復帰処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はバックアップ情報を元にRAM76のワーク領域に各種の値をセットし、前回の電源遮断時に実行中であった遊技状態(例えば、特別図柄の表示態様、内部確率状態、作動記憶内容、各種フラグ状態、乱数更新状態等)を復帰させる。また主制御CPU72は、バックアップされていたPCレジスタの値を復旧する。
一方、電源投入時にRAMクリアスイッチが操作されていた場合(ステップS106:Yes)や、バックアップ有効判定フラグがセットされていなかった場合(ステップS107:No)、あるいは、バックアップ情報が正常でなかった場合(ステップS108:No)、主制御CPU72はステップS113に移行する。
ステップS113:主制御CPU72は、RAM76の使用禁止領域以外の記憶内容をクリアする。これにより、RAM76のワーク領域及びスタックエリアは全て初期化され、有効なバックアップ情報が保存されていても、その内容は消去される。
ステップS114:また主制御CPU72は、RAM76の初期設定を行う。
ステップS115:主制御CPU72は、演出制御出力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72が初期設定後に演出制御装置124に送信するべきコマンド(演出制御に必要なコマンド)を出力する。
ステップS116:主制御CPU72は、払出制御出力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は払出制御装置92に対して、賞球の払い出しを開始するための指示コマンドを出力する。
ステップS117:主制御CPU72は、CTC初期設定処理を実行し、周辺デバイスであるCTC(カウンタ/タイマ回路)の初期設定を行う。この処理では、主制御CPU72は割込ベクタレジスタを設定し、また、CTCに割り込みカウント値(例えば4ms)を設定する。これにより、次にCTC割り込みが発生すると、主制御CPU72はバックアップされていたPCレジスタのプログラムアドレスから処理を続行することができる。
リセットスタート処理において以上の手順を実行すると、主制御CPU72は図8に示されるメインループに移行する(接続記号A→A)。
ステップS118,ステップS119:主制御CPU72は割込を禁止した上で、電源断発生チェック処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は主電源断検出信号の入力ポートをビットチェックし、電源遮断の発生(供給電圧の低下)を監視する。電源遮断が発生すると、主制御CPU72は普通電動役物ソレノイド88及び大入賞口ソレノイド90に対応する出力ポートバッファをクリアし、RAM76のワーク領域のうちバックアップ有効判定フラグ及びサムチェックバッファを除く全体の内容をバックアップし、またサムチェックバッファにサム結果値を保存する。そして主制御CPU72はバックアップ有効判定フラグ領域に上記の有効値(例えば「A55AH」)を格納し、RAM76のアクセスを禁止して処理を停止(NOP)する。一方、電源遮断が発生しなければ、主制御CPU72は次にステップS120を実行する。なお、このような電源断発生時の処理をマスク不能割込(NMI)処理としてCPUに実行させている公知のプログラミング例もある。
ステップS120:主制御CPU72は、初期値更新乱数更新処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、各種のソフトウェア乱数の初期値を更新(変更)するための乱数をインクリメントする。本実施形態では、大当り決定乱数(ハードウェア乱数)を除く各種の乱数(例えば、普通図柄に対応する当り決定乱数、当り図柄乱数、大当り図柄乱数、リーチ判定乱数、変動パターン決定乱数等)をプログラム上で発生させている。なお、特別図柄に対応する変動パターン決定乱数やリーチ判定乱数については、必要に応じて発生させることができ、使用しない場合は乱数発生の処理を省略することができる。いずれにしても、これらソフトウェア乱数は、別の割込処理(図10中のステップS201)で所定範囲内のループカウンタにより更新されているが、この処理において乱数値が1巡するごとにループカウンタの初期値(全ての乱数が対象でなくてもよい)を変更している。初期値更新用乱数は、この初期値をランダムに変更するために用いられており、ステップS120では、その初期値更新用乱数の更新を行っている。なお、ステップS118で割込を禁止した後にステップS120を実行しているのは、別の割込管理処理(図10中のステップS202)でも同様の処理を実行するため、これとの重複(競合)を防止するためである。なお上記のように、本実施形態において大当り決定乱数は乱数発生器75により発生されるハードウェア乱数であり、その更新周期はタイマ割込周期(例えば数ms)よりもさらに高速(例えば数μs)であるため、大当り決定乱数の初期値を更新する必要はない。
ステップS121,ステップS122:主制御CPU72は割込を許可し、その他乱数更新処理を実行する。この処理で更新される乱数は、ソフトウェア乱数のうち当選種類(当り種別)の判定に関わらない乱数(リーチ判定乱数、変動パターン決定乱数等)である。この処理は、メインループの実行中にタイマ割込が発生し、主制御CPU72が別の割込管理処理(図10)を実行した場合の残り時間で行われる。なお割込管理処理の内容については後述する。
〔電源断発生チェック処理〕
図9は、上記の電源断発生チェック処理の手順例を具体的に示すフローチャートである。
ステップS130:ここでは先ず、主制御CPU72は、電源断発生チェックのための条件を設定する。このチェック条件は、例えば主電源断検出信号が継続して出力されていることを確認するためのオンカウンタ値として設定することができる。
ステップS132:次に主制御CPU72は、主電源断検出スイッチ入力用ポートをリードし、主電源断検出信号が出力されているか否かを確認(特定のビットをチェック)する。特に図示していないが、主電源断検出スイッチは例えば主制御装置70に実装されており、この主電源断検出スイッチは、電源制御ユニット162から供給される駆動電圧を監視し、その電圧レベルが基準電圧を下回った場合に主電源断検出信号を出力する。なお、主電源断検出スイッチは電源制御ユニット162に内蔵されていてもよい。主制御CPU72は、現時点で主電源断検出信号が出力されていないことを確認すると(No)、この処理を抜けてリセットスタート処理に復帰する。一方、主電源断検出信号が出力されていることを確認した場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS134に進む。
ステップS134:主制御CPU72は、上記のチェック条件を満たすか否かを確認する。具体的には、先のステップS130で設定したオンカウンタ値を例えば1減算し、その結果が0になったか否かを確認する。現時点で未だオンカウンタ値が0でなければ(No)、主制御CPU72はステップS132に戻って主電源断検出スイッチ入力用ポートを改めて確認する。そして、ステップS134からステップS132へのループを繰り返してチェック条件が満たされると(ステップS134:Yes)、主制御CPU72は次にステップS136に進む。
ステップS136:主制御CPU72は、上記のように普通電動役物ソレノイド88や大入賞口ソレノイド90に対応する出力ポートに加え、試験信号端子やコマンド制御信号に対応する出力ポートバッファをクリアする。
ステップS138,ステップS140:次に主制御CPU72は、RAM76のワーク領域のうち、バックアップ有効判定フラグ及びサムチェックバッファを除く全体の内容を1バイト単位で加算し、全領域について加算を完了するまで繰り返す。
ステップS142:全領域についてサムの算出が完了すると(ステップS140:Yes)、主制御CPU72はサムチェックバッファにサム結果値を保存する。
ステップS144:次に主制御CPU72は、上記のようにバックアップ有効判定フラグ領域に有効値を格納する。
ステップS146:また主制御CPU72は、RAM76のプロテクト値にアクセス禁止を表す「01H」を格納し、RAM76のワーク領域(使用禁止領域及びスタック領域を含む)に対するアクセスを禁止する。
ステップS148:そして主制御CPU72は待機ループに入り、主電源断の遮断に備えて他の処理を全て停止する。主電源断の発生後は、図示しないバックアップ電源回路(例えば主制御装置70に実装された容量素子を含む回路)からバックアップ用電力が供給されるため、RAM76の記憶内容は主電源断後も消失することなく保持される。なおバックアップ用電源回路は、例えば電源制御ユニット162に内蔵されていてもよい。
以上の処理を通じて、バックアップ対象(サム加算対象)となるRAM76のワーク領域に記憶されていた情報は、全て主電源断の後もRAM76に記憶として保持されることになる。また保持されていた記憶は、先のリセットスタート処理(図7)でチェックサムの正常を確認した上で、電源断時のバックアップ情報として復元される。
〔割込管理処理(タイマ割込処理)〕
次に、割込管理処理(タイマ割込処理)について説明する。図10は、割込管理処理の手順例を示すフローチャートである。主制御CPU72は、カウンタ/タイマ回路からの割込要求信号に基づき、所定時間(例えば数ms)ごとに割込管理処理を実行する。以下、各手順を追って説明する。
ステップS200:先ず主制御CPU72は、メインループの実行中に使用していたレジスタ(アキュムレータAとフラグレジスタF、汎用レジスタB〜Lの各ペア)の値をRAM76の退避領域に退避させる。値を退避させた後のレジスタ(A〜L)には、割込管理処理の中で別の値を書き込むことができる。
ステップS201:次に主制御CPU72は、抽選乱数更新処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は抽選用の各種乱数を発生させるためのカウンタの値を更新する。各カウンタの値は、RAM76の乱数カウンタ領域にてインクリメントされ、それぞれ規定の範囲内でループする。各種乱数には、例えば大当り図柄乱数、普通図柄当り決定乱数等が含まれる。
ステップS202:主制御CPU72は、ここでも初期値更新乱数更新処理を実行する。処理の内容は、先に述べたものと同じである。
ステップS203:主制御CPU72は、入力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は入出力(I/O)ポート79から各種スイッチ信号を入力する(入賞検出情報生成手段)。具体的には、ゲートスイッチ78からの検出信号や、中始動入賞口スイッチ80、右始動入賞口スイッチ82、カウントスイッチ84、入賞口スイッチ86からの入賞検出信号の入力状態(ON/OFF)をリードする。
ステップS204:ここで主制御CPU72は、セキュリティ管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は先の入力処理(ステップS203)でリードした入賞検出信号の入力状態(ON/OFF)に基づいて、不正な入賞が発生したか否かの判定を行う(入賞正否判定手段)。そして、不正な入賞が発生したと判定した場合、主制御CPU72は不正入賞エラーコマンドを生成し(不正入賞情報生成手段)、不正入賞による入賞検出信号のビットをON→OFFへ書き換える(入賞検出情報消去手段)。また主制御CPU72は、上記の磁気センサ204や振動センサ206による不正行為の監視を行ったり、過度な入賞やゲート402の通過が発生しているか否かの判定を行ったりする。なお、セキュリティ管理処理の詳細については、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
ステップS205:次に主制御CPU72は、スイッチ入力イベント処理を実行する。この処理では、先の入力処理で入力したスイッチ信号のうち、不正入賞として消去されずに維持されている信号に基づく処理を行う。例えば、主制御CPU72はゲートスイッチ78からの通過検出信号や中始動入賞口スイッチ80又は右始動入賞口スイッチ82からの入賞検出信号に基づいて遊技中に発生した事象の判定を行い、それぞれ発生した事象に応じてさらに別の処理を実行する。なお、スイッチ入力イベント処理の具体的な内容については、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
本実施形態では、中始動入賞口スイッチ80又は右始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号(ON)が入力されると、主制御CPU72は特別図柄に対応した内部抽選の契機(抽選契機)となる事象が発生したと判定する。またゲートスイッチ78から通過検出信号(ON)が入力されると、主制御CPU72は普通図柄に対応した抽選契機となる事象が発生したと判定する。いずれかの事象が発生したと判定すると、主制御CPU72は、それぞれの発生事象に応じた処理を実行する。なお、主制御CPU72は、中始動入賞口スイッチ80及び右始動入賞口スイッチ82について、いずれのスイッチにて内部抽選の契機(抽選契機)となる事象が発生したのかを区別するためのスイッチ別入賞コマンドを演出制御CPU126に送信してもよい。
ステップS206,ステップS207:主制御CPU72は、割込管理処理中において特別図柄遊技処理及び普通図柄遊技処理を実行する。これら処理は、パチンコ機1における遊技を具体的に進行させるためのものである。このうち特別図柄遊技処理(ステップS206)では、主制御CPU72は先に述べた特別図柄に対応する内部抽選の実行を制御したり、特別図柄表示装置34による変動表示や停止表示を制御したり、その表示結果に応じて可変入賞装置30の作動を制御したりする。なお、特別図柄遊技処理の詳細については、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
また普通図柄遊技処理(ステップS207)では、主制御CPU72は先に述べた普通図柄表示装置33による変動表示や停止表示を制御したり、その表示結果に応じて可変始動入賞装置28の作動を制御したりする。例えば、主制御CPU72は先のスイッチ入力イベント処理(ステップS205)の中で始動ゲート20の通過を契機として取得した乱数(普通図柄当り決定乱数)を記憶しておき、この普通図柄遊技処理の中で記憶から乱数値を読み出し、所定の当り範囲内に該当するか否かの判定を行う。乱数値が当り範囲内に該当する場合、普通図柄表示装置33により普通図柄を変動表示させて所定の当り態様で普通図柄の停止表示を行った後、主制御CPU72は普通電動役物ソレノイド88を励磁して可変始動入賞装置28を作動させる。一方、乱数値が当り範囲外であれば、主制御CPU72は、変動表示の後にはずれの態様で普通図柄の停止表示を行う。
ステップS208:また主制御CPU72は、モータ管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は各種モータ(上回転体モータ208、下回転体モータ210、振り分け体モータ212等)の回転に関する原点位置を検出し、また、各種モータに対して駆動信号を出力する場合、その駆動信号を対応するポート出力要求バッファに格納する。なお上回転体モータ208、下回転体モータ210、振り分け体モータ212等は、いずれも上記のように電源投入時から予め決まったパターンで回転している。例えば、上回転体モータ208及び下回転体モータ210については、それぞれ決まった回転速度で一方向に回転しているか、もしくは、ある程度の長い周期(例えば数分周期)で回転速度を変化させながら一方向に回転している。また振り分け体モータ212については、決まった回転速度で一方向に回転しているか、もしくは、ある程度の長い周期で回転速度を変化させながら一方向に回転している。このため主制御CPU72は、モータ管理処理において各モータに対応する回転パターンに基づく駆動信号を生成する。
ステップS209:次に主制御CPU72は、賞球払出処理を実行する。この処理では、先の入力処理(ステップS203)において各種スイッチ80,82,84,86から入力された入賞検出信号に基づき、払出制御装置92に対して賞球個数を指示する賞球指示コマンドを出力する。また主制御CPU72は、演出制御装置124に対する賞球数コマンドを生成し、これをコマンドバッファに格納する。
ステップS210:次に主制御CPU72は、外部情報処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は外部端子板160を通じて遊技場のホールコンピュータに対して上記の外部情報信号(例えば賞球情報、扉開放情報、図柄確定回数情報、大当り情報、始動口情報、セキュリティエラー情報等)をポート出力要求バッファに格納する。
なお本実施形態では、各種の外部情報信号のうち、例えば大当り情報として「大当り1」〜「大当り5」を外部に出力することで、パチンコ機1に接続された外部の電子機器(データ表示器やホールコンピュータ)に対して多様な大当り情報を提供することができる。すなわち、大当り情報を複数の「大当り1」〜「大当り5」に分けて出力することで、これらの組み合わせから大当りの種別(当選種類)を図示しないホールコンピュータで集計・管理したり、内部的な確率状態(低確率状態又は高確率状態)や図柄変動時間の短縮状態の変化を認識したりすることが可能となる。また大当り情報に基づき、例えば図示しないデータ表示装置によりパチンコ機1の台ごとに過去数営業日以内の大当り発生回数を計数及び表示したり、台ごとに現在大当り中であるか否かを認識したり、あるいは台ごとに現在図柄変動時間の短縮状態であるか否かを認識したりすることができる。この外部情報処理において、主制御CPU72は「大当り1」〜「大当り5」のそれぞれの出力状態(ON又はOFFのセット)を詳細に制御する。
ステップS211:また主制御CPU72は、試験信号処理を実行する。この処理では、主制御CPU72が自己の内部状態(例えば、普通図柄遊技管理状態、特別図柄遊技管理状態、大当り中、確率変動機能作動中、時間短縮機能作動中)を表す各種の試験信号を生成し、これらをポート出力要求バッファに格納する。この試験信号により、例えば主制御装置70の外部で主制御CPU72の内部状態を試験することができる。
ステップS212:次に主制御CPU72は、表示出力管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は普通図柄表示装置33、普通図柄作動記憶ランプ33a、特別図柄表示装置34、遊技状態表示装置38等の点灯状態を制御する。具体的には、先の特別図柄遊技処理(ステップS206)や普通図柄遊技処理(ステップS207)においてポート出力要求バッファに格納されている駆動信号をポート出力する。なお駆動信号は、各LEDに対して印加するバイトデータとしてポート出力要求バッファに格納されている。これにより、各LEDが所定の表示態様(図柄の変動表示や停止表示、普通図柄作動記憶数表示、遊技状態表示等を行う態様)で駆動されることになる。なお、具体的な処理の内容は、別のフローチャートを用いて後述する。
ステップS213:また主制御CPU72は、出力管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は先の外部情報処理(ステップS210)でポート出力要求バッファに格納された外部情報信号(バイトデータ)をポート出力する。また主制御CPU72は、ポート出力要求バッファに格納されている普通電動役物ソレノイド88及び大入賞口ソレノイド90の各駆動信号、試験信号等を合わせてポート出力する。
ステップS214:主制御CPU72は、演出制御出力処理を実行する。この処理では、コマンドバッファ内に主制御CPU72が演出制御装置124に送信するべきコマンド(演出制御に必要なコマンド)があるか否かを確認し、未送信コマンドがある場合は出力対象のコマンドをポート出力する。
ステップS215:そして主制御CPU72は、今回のCTC割込で格納したポート出力要求バッファをクリアする。
なお本実施形態では、ステップS206〜ステップS214の処理(遊技制御プログラムモジュール)をタイマ割込処理として実行する例を挙げているが、これら処理をCPUのメインループ中に組み込んで実行している公知のプログラミング例もある。
ステップS216:以上の処理を終えると、主制御CPU72は割込終了を指定する値(01H)を割込プログラムカウンタ内に格納し、CTC割込を終了する。
ステップS217,ステップS218:そして主制御CPU72は、退避しておいたレジスタ(A〜L)の値を復帰し、次回のCTC割込を許可する。この後、主制御CPU72は、メインループ(スタックポインタで指示されるプログラムアドレス)に復帰する。
〔セキュリティ管理処理〕
図11は、割込管理処理の中で実行されるセキュリティ管理処理の手順例を示すフローチャートである。以下、手順例に沿ってセキュリティ管理処理の内容を説明する。
ステップS220:先ず主制御CPU72は、不正入賞検出処理を実行する。この処理では、例えば先の入力処理でリードした入賞検出信号の入力状態が「ON」のものについて、以下の条件に基づいて不正入賞に該当するか否かを判定する。
(1)可変入賞装置30(特別電動役物)に係る一連の動作中及び動作終了後から所定時間(例えば15秒程度)が経過するまでの期間以外に大入賞口30bへの入賞が発生したこと。
(2)可変始動入賞装置28(普通電動役物)に係る一連の動作中及び動作終了後から所定時間(例えば3秒程度)が経過するまでの期間以外に右始動入賞口28aへの入賞が発生したこと。
〔不正入賞カウンタの加算〕
上記の条件(1)を用いた判定は、例えばカウントスイッチ84からの入賞検出信号(ON)が入力された割込周期において、特別遊技管理ステータスの値や入賞有効タイマの値を参照して行うことができる。条件(1)を満たす場合、主制御CPU72は不正入賞カウンタの値を1加算する。なお、特別遊技管理ステータスや入賞有効タイマについては後述する。
また条件(2)を用いた判定は、例えば右始動入賞口スイッチ82からの入賞検出信号(ON)が入力された割込周期において、普通遊技管理ステータスの値や有効時間タイマの値を参照して行うことができる。条件(2)を満たす場合についても、主制御CPU72は不正入賞カウンタの値を1加算する。なお、普通遊技管理ステータスや入賞有効タイマについては後述する。
〔不正入賞エラーの発生〕
そして、条件(1),(2)のそれぞれについて割込周期ごとに判定を行い、不正入賞カウンタの値が規定値(例えば5個)に達すると、主制御CPU72は内部情報として不正入賞エラーフラグをON(=1)にする。これにより、パチンコ機1において「不正入賞エラー」が発生することになる。
ステップS222:次に主制御CPU72は、磁気検出処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は上記の磁気センサ204からの検出信号に基づいて不正行為(いわゆる「磁石ゴト」)の有無を判断する。その結果、不正行為に相当する程度の磁束が検出された場合、主制御CPU72はセキュリティエラーフラグをON(=1)にする。これにより、パチンコ機1においてその他の「セキュリティエラー」が発生することになる。
ステップS224:また主制御CPU72は、振動検出処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は上記の振動センサ206からの検出信号に基づいて不正行為(いわゆる「ドツキゴト」)の有無を判断する。その結果、不正行為と認められる程度の振動が検出された場合、主制御CPU72は同じくセキュリティエラーフラグをONにする。
ステップS226:次に主制御CPU72は、入賞超過検出処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は一定時間(例えば1分間)あたりの入賞発生回数をカウントし、不正行為に相当する程度の入賞超過が発生しているか否かを判断する。入賞超過と判断した場合、主制御CPU72は同じくセキュリティエラーフラグをONにする。
ステップS228:また主制御CPU72は、通過口超過検出処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は一定時間(例えば1分間)あたりの始動ゲート20の通過発生回数をカウントし、不正行為に相当する程度の超過が発生しているか否かを判断する。超過と判断した場合、主制御CPU72は同じくセキュリティエラーフラグをONにする。
ステップS230:そして主制御CPU72は、上記の「不正入賞エラーフラグ」や「セキュリティエラーフラグ」の値をチェックする。いずれかのエラーフラグがON(=1)にセットされた場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS232を実行する。なお、いずれのエラーフラグもONにセットされなかった場合(No)、主制御CPU72はステップS232を実行しない。
ステップS232:この場合、主制御CPU72はエラーコマンド処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は演出制御装置124(演出制御CPU126)に対して送信するエラーコマンド(エラー状態指定コマンド)を生成し、その値をコマンド送信バッファに転送する。なおエラーコマンドは、発生したエラー別に異なる値をセットすることができる。例えば、「不正入賞エラーフラグ」がONの場合は「不正入賞エラー」として識別可能な値をエラーコマンドにセットし、「セキュリティエラーフラグ」がONの場合は「セキュリティエラー」として識別可能な値をエラーコマンドにセットする。なお、ここで生成されたエラーコマンドは、この後の演出制御出力処理(図10中のステップS214)で演出制御装置124に送信される。
ステップS234:また主制御CPU72は、ここで不正入賞マスク処理を実行する。この処理では、先の不正入賞検出処理(ステップS220)で不正入賞エラーと判定したか否かに関わらず、上記の条件(1),(2)を満たす全ての入賞検出信号をONからOFFに書き換える。なお、具体的な処理の内容については、別のフローチャートを用いてさらに後述する。
以上の手順を実行すると、主制御CPU72は割込管理処理に復帰する。
〔始動入賞口エラーの例〕
図12は、右始動入賞口28aでの不正入賞発生時について、エラーコマンドが生成されるまでの各種状況の時間的な変化を示したタイミングチャートである。以下、時系列に沿って説明する。
〔普通遊技管理ステータス〕
主制御CPU72は、普通図柄に対応する遊技の進行状況(1)〜(6)に応じて普通遊技管理ステータスの値(カギ括弧内)を以下のようにセットする。
(1)普通図柄変動待ち状態:「00H」
(2)普通図柄変動表示中状態:「01H」
(3)普通図柄停止表示中状態:「02H」
(4)可変始動入賞装置(普通電動役物)開放状態:「03H」
(5)可変始動入賞装置(普通電動役物)開放後閉鎖状態:「04H」
(6)可変始動入賞装置(普通電動役物)作動終了時間中状態:「05H」
〔当初〕
図12中(A):例えば当初、ある時点(時刻t1より前)で普通図柄が当りの態様で停止表示された場合を想定する。このとき、普通遊技管理ステータスの値は「02H」である。
〔時刻t1〕
図12中(B):この後、普通図柄の確定停止時間が経過し、可変始動入賞装置28(普通電動役物)が作動状態(条件装置作動)となる。
〔時刻t2〕
図12中(A):時刻t1から開放待ち時間τ1の経過後、普通遊技管理ステータスの値が「03H」となる。
図12中(C):これにより、普通電動役物ソレノイド88がONになり、可変始動入賞装置28が閉鎖状態(非作動状態)から開放状態(作動状態)に変化する(可変入賞手段)。
〔時刻t2〜時刻t3まで〕
図12中(E):可変始動入賞装置28の開放中に複数個(この例では6個)の遊技球が右始動入賞口28aに入賞したことで、その都度、右始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号が主制御CPU72に入力される。
図12中(C),(A):開放時間(例えば数秒)が経過し、普通電動役物ソレノイド88がOFFになる。これにより、可変始動入賞装置28が開放状態(作動状態)から閉鎖状態(非作動状態)に変化する。また、普通遊技管理ステータスの値は「04H」となる。
〔時刻t3〕
図12中(A),(B):可変始動入賞装置28の閉鎖後、作動終了時間τ2が経過すると、普通遊技管理ステータスの値は「05H」となり、可変始動入賞装置28(普通電動役物)が非作動状態(条件装置非作動)となる。
図12中(D):そして、この時点(時刻t3)から作動終了後入賞有効タイマがスタートする。
〔時刻t3〜時刻t4まで〕
図12中(E):なお、作動終了後入賞有効タイマのカウントダウン中(有効時間TS1内)に右始動入賞口28aへの入賞が発生しても、不正入賞カウンタは加算されず、入賞検出信号(破線で示す)は不正入賞マスク処理で書き換えの対象とならない。
図12中(A):また、作動終了時間が経過すると、普通遊技管理ステータスの値は「00H」に復帰する。これにより、普通図柄について作動記憶があれば、その記憶を用いて普通図柄の次の変動が開始される。
〔時刻t4〕
図12中(D):時刻t3から有効時間TS1が経過すると、作動終了後入賞有効タイマが0になり、カウントダウン終了(OFF)となる。
〔時刻t4以降〕
図12中(E):時刻t4以降に右始動入賞口28aへの入賞が発生した場合、その都度、不正入賞カウンタが加算され、個々の入賞検出信号(二点鎖線で示す)は不正入賞マスク処理で書き換えられることになる。
〔時刻t5〕
図12中(F):そして時刻t4以降、次に普通遊技管理ステータスの値が「03H」となる前に不正入賞カウンタが規定値(例えば5個)に達すると、不正入賞エラーコマンドが生成される(不正入賞情報生成手段)。これにより、演出制御装置124においてエラー発生音を出力したり、特定の枠ランプを発光させたりする処理が実行される。
〔エラー解除〕
なお本実施形態では、例えば不正入賞エラーの発生後、一定時間(例えば60秒間)が経過した場合か、電源再投入の場合に不正入賞エラーが解除される。図示の例では、電源断後の再投入により、不正入賞エラーが解除(不正入賞エラーコマンドOFF)されている。ただし、エラー解除後に新たな不正入賞エラーが発生すると、その時点から一定時間の経過をもってエラー解除となる。
〔大入賞口エラーの例〕
次に図13は、大入賞口30bでの不正入賞発生時について、エラーコマンドが生成されるまでの各種状況の時間的な変化を示したタイミングチャートである。以下、時系列に沿って説明する。
〔特別遊技管理ステータス〕
主制御CPU72は、特別図柄に対応する遊技の進行状況(1)〜(7)に応じて特別遊技管理ステータスの値(カギ括弧内)を以下のようにセットする。
(1)特別図柄変動待ち状態:「00H」
(2)特別図柄変動表示中状態:「01H」
(3)特別図柄停止表示中状態:「02H」
(4)可変入賞装置(特別電動役物)開放待ち状態:「03H」
(5)可変入賞装置(特別電動役物)開放状態:「04H」
(6)可変入賞装置(特別電動役物)開放後閉鎖状態:「05H」
(7)可変入賞装置(特別電動役物)作動終了時間中状態:「06H」
〔当初〕
図13中(A):例えば当初、ある時点(時刻t10より前)で特別図柄が大当りの態様で確定停止表示されたことで、遊技の進行状況が可変入賞装置30の開放待ち状態になっていた場合を想定する。この場合、特別遊技管理ステータスの値は「03H」である。
〔時刻t10〕
図13中(B):この後、可変入賞装置30(特別電動役物)が作動状態(条件装置作動)となる。
〔時刻t20〕
図13中(A):時刻t10から開放待ち時間τ10の経過後、特別遊技管理ステータスの値が「04H」となる。
図13中(C):これにより、大入賞口ソレノイド90がONになり、可変入賞装置30が閉鎖状態(非作動状態)から開放状態(作動状態)に変化する(可変入賞手段)。本実施形態では、1回の大当り中に2回の開放が行われるため、ここでは1回目(1ラウンド目)の開放が開始されている。
〔時刻t20〜時刻t30まで〕
図13中(C):1回目の開放終了後、インターバル時間τiを挟んで2回目(2ラウンド目)の開放が開始される。
図13中(E):可変入賞装置30の2回の開放中、それぞれで遊技球が大入賞口30bに入賞し、その都度、カウントスイッチ84から入賞検出信号が主制御CPU72に入力される。なお可変入賞装置30は、1回分の開放時間が経過するか、開放時間内に1個以上の入賞が検出されると閉鎖される。
図13中(C),(A):合計2回の開放動作が終了し、大入賞口ソレノイド90がOFFになる。これにより、可変入賞装置30が開放状態(作動状態)から閉鎖状態(非作動状態)に変化する。また、特別遊技管理ステータスの値は「05H」となる。
〔時刻t30〕
図13中(A),(B):可変入賞装置30の閉鎖後、作動終了時間τ20が経過すると、特別遊技管理ステータスの値は「06H」となる。また、可変入賞装置30(特別電動役物)が非作動状態(条件装置非作動)となる。
図13中(D):そして、この時点(時刻t30)から作動終了後入賞有効タイマがスタートする。
〔時刻t30〜時刻t40まで〕
図13中(E):ここでも同様に、作動終了後入賞有効タイマのカウントダウン中(有効時間TS2内)に大入賞口30bへの入賞が発生しても、不正入賞カウンタは加算されず、入賞検出信号(破線で示す)は不正入賞マスク処理で書き換えの対象とならない。
図13中(A):また、作動終了時間が経過すると、特別遊技管理ステータスの値は「00H」に復帰する。これにより、特別図柄について次回の変動待ちとなる。
〔時刻t40〕
図13中(D):時刻t30から有効時間TS2が経過すると、作動終了後入賞有効タイマが0になり、カウントダウン終了(OFF)となる。
〔時刻t40以降〕
図13中(E):時刻t40以降に大入賞口30bへの入賞が発生した場合、その都度、不正入賞カウンタが加算され、個々の入賞検出信号(二点鎖線で示す)は不正入賞マスク処理で書き換えられることになる。
〔時刻t50〕
図13中(F):そして時刻t40以降、次に特別遊技管理ステータスの値が「04H」となる前に不正入賞カウンタが規定値(例えば5個)に達すると、不正入賞エラーコマンドが生成される(不正入賞情報生成手段)。これにより、演出制御装置124においてエラー発生音を出力したり、特定の枠ランプを発光させたりする処理が実行される。
〔エラー解除〕
ここでも同様に、例えば不正入賞エラーの発生後、一定時間(例えば60秒間)が経過した場合か、電源再投入の場合に不正入賞エラーが解除(不正入賞エラーコマンドOFF)される。エラー解除後に新たな不正入賞エラーが発生すると、その時点から一定時間の経過をもってエラー解除となる点も上記と同様である。
〔不正入賞マスク処理〕
図14は、セキュリティ管理処理の中で実行される不正入賞マスク処理の手順例を示すフローチャートである。以下、手順例に沿って説明する。
ステップS250:先ず主制御CPU72は、始動入賞口(右始動入賞口28a)について不正入賞を検出したか否かを確認する。例えば、この不正入賞マスク処理の前に行った不正入賞検出処理(図11中のステップS220)において、主制御CPU72が右始動入賞口28aについて不正入賞カウンタを加算した場合、不正入賞を検出したことを確認することができる(Yes)。この場合、主制御CPU72は次のステップS252に進む。
ステップS252:次に主制御CPU72は、普通遊技管理ステータスが「作動中」以後であるか否かを確認する。すなわち、現時点で普通遊技管理ステータスの値が「03H」以上であれば(Yes)、主制御CPU72は次のステップS254に進む。
ステップS254:続いて主制御CPU72は、可変始動入賞装置28について作動終了後入賞有効タイマの値を確認する。その結果、タイマの値が0以下であれば(Yes)、主制御CPU72は次のステップS256を実行する。
ステップS256:この場合、主制御CPU72は右始動入賞口28aについての入賞検出信号をクリア、つまり、ONになっているビットをOFFに書き換える(入賞検出情報消去手段)。これにより、この後の制御プロセスでは、右始動入賞口28aへの入賞が発生しなかったものとして取り扱うことができるため、不正入賞による特別図柄の変動や内部抽選が行われたり、賞球の払い出しが行われたりすることを確実に防止することができる。
以上の手順を実行すると、次に主制御CPU72はステップS258に進む。なお、右始動入賞口28aついて不正入賞を検出していない場合(ステップS250:No)、普通遊技管理ステータスが「作動中」より前である(「03H」より小さい)場合(ステップS252:No)、あるいは、作動終了後入賞有効タイマが0より大きい場合(ステップS254:No)、主制御CPU72はステップS256を実行することなく、ステップS258に進む。
ステップS258:続いて主制御CPU72は、大入賞口30bについて不正入賞を検出したか否かを確認する。ここでも同様に、この不正入賞マスク処理の前に行った不正入賞検出処理(図11中のステップS220)において、主制御CPU72が大入賞口30bについて不正入賞カウンタを加算した場合、不正入賞を検出したことを確認することができる(Yes)。この場合、主制御CPU72は次のステップS260に進む。
ステップS260:また主制御CPU72は、特別遊技管理ステータスが「作動中」以後であるか否かを確認する。すなわち、現時点で特別遊技管理ステータスの値が「04H」以上であれば(Yes)、主制御CPU72は次のステップS262に進む。
ステップS262:続いて主制御CPU72は、可変入賞装置30について作動終了後入賞有効タイマの値を確認する。その結果、タイマの値が0以下であれば(Yes)、主制御CPU72は次のステップS264を実行する。
ステップS264:この場合、主制御CPU72は大入賞口30bについての入賞検出信号をクリア、つまり、ONになっているビットをOFFに書き換える(入賞検出情報消去手段)。これにより、この後の制御プロセスでは、大入賞口30bへの入賞が発生しなかったものとして取り扱うことができるため、不正入賞による賞球の払い出しが行われることを確実に防止することができる。
以上の手順を実行すると、主制御CPU72はセキュリティ管理処理に復帰する。また、大入賞口30bについて不正入賞を検出していない場合(ステップS258:No)、特別遊技管理ステータスが「作動中」より前である(「04H」より小さい)場合(ステップS260:No)、あるいは、作動終了後入賞有効タイマが0より大きい場合(ステップS262:No)、主制御CPU72はステップS264を実行することなくセキュリティ管理処理に復帰する。
そして、主制御CPU72はセキュリティ管理処理の末尾アドレスから割込管理処理(図10)に復帰すると、次のスイッチ入力イベント処理を実行する。
〔スイッチ入力イベント処理〕
図15は、スイッチ入力イベント処理の手順例を示すフローチャートである。以下、各手順を追って説明する。
ステップS10:主制御CPU72は、中始動入賞口スイッチ80から入賞検出信号が入力されたか否かを確認する。この入賞検出信号の入力が確認された場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS11に進んで特別図柄乱数取得処理を実行する。一方、入賞検出信号の入力がなかった場合(No)、主制御CPU72はステップS12に進む。なお、この段階で既に不正入賞マスク処理(図14)を実行した後であるため、不正入賞に対して入賞検出信号の入力が確認されることはない。
ステップS11:特別図柄乱数取得処理では、主制御CPU72は大当り決定乱数値を取得し、また、大当り図柄乱数値や変動用乱数値を取得する。取得した各種乱数は、例えばRAM76の乱数記憶領域に記憶される。
ステップS12:また主制御CPU72は、右始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号が入力されたか否かを確認する。この入賞検出信号の入力が確認された場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS13に進んで特別図柄乱数記憶処理を実行する。なお、特別図柄乱数記憶処理の内容については、別のフローチャートを用いて後述するものとする。
特に入賞検出信号の入力がなかった場合(No)、主制御CPU72はステップS14に進む。ここでも同様に、この段階で既に不正入賞マスク処理(図14)を実行した後であるため、不正入賞に対して入賞検出信号の入力が確認されることはない。
ステップS14:主制御CPU72は、大入賞口30bに対応するカウントスイッチ84から入賞検出信号が入力されたか否かを確認する。この入賞検出信号の入力が確認された場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS15に進んで大入賞口カウント処理を実行する。大入賞口カウント処理では、主制御CPU72は大当り遊技中に1ラウンドごとの可変入賞装置30への入賞球数をカウントする。一方、入賞検出信号の入力がなかった場合(No)、主制御CPU72はステップS16に進む。
ステップS16:そして主制御CPU72は、普通図柄に対応するゲートスイッチ78から通過検出信号が入力されたか否かを確認する。この通過検出信号の入力が確認された場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS17に進んで普通図柄記憶更新処理を実行する。一方、入賞検出信号の入力がなかった場合(No)、主制御CPU72は割込管理処理(図10)に復帰する。
ステップS17:普通図柄記憶更新処理では、主制御CPU72は普通図柄作動記憶数が最大値でないかを確認し、最大値以下の場合は普通図柄作動記憶数を加算し、また、普通図柄当り決定乱数値を取得して記憶する。
以上の手順を終えると、主制御CPU72は割込管理処理(図10)に復帰し、特別遊技管理処理(ステップS206)以降を実行する。
〔特別図柄記憶処理〕
図16は、特別図柄記憶処理の手順例を示すフローチャートである。以下、特別図柄記憶処理について、手順例に沿って説明する。
ステップS30:ここでは先ず、主制御CPU72は特別図柄について作動記憶があるか否かを確認する。本実施形態では、特別図柄に2個以上の作動記憶を設けていないため、ここでは例えば、既にRAM76の乱数記憶領域に転送済みの大当り決定乱数(1個)があれば、主制御CPU72は特別図柄について作動記憶があると判断する(Yes)。既に作動記憶がある状態であれば(Yes)、主制御CPU72はスイッチ入力イベント処理(図15)に復帰する。一方、作動記憶が特にない場合(No)、主制御CPU72は次のステップS32に進む。なお、制御プログラムの構成上、ここで特別図柄作動記憶数カウンタ(上限数1個)を用いることとしてもよい。この場合、主制御CPU72は特別図柄作動記憶数カウンタの値を参照し、作動記憶数が1である場合は作動記憶があると判断する(Yes)。また作動記憶数が1でなければ(=0)、主制御CPU72は作動記憶がないと判断する(No)。
ステップS32:先のステップS30で作動記憶がないと判断した場合(ステップS30:No)、主制御CPU72は、上記のサンプリング回路77を通じて乱数発生器75から大当り決定乱数値を取得する。乱数値の取得は、乱数発生器75のピンアドレスを指定して行う。主制御CPU72が8ビットのデータバス幅を有する場合、アドレスの指定は上位及び下位で1バイトずつ2回に分けて行われる。主制御CPU72は、指定したアドレスから大当り決定乱数値をリードすると、これを大当り決定乱数として転送先(乱数記憶領域)のアドレスにセーブする。
ステップS33:次に主制御CPU72は、RAM76の大当り図柄乱数カウンタ領域から大当り図柄乱数値を取得する。この乱数値の取得もまた、大当り図柄乱数カウンタ領域のアドレスを指定して行う。主制御CPU72は、指定したアドレスから大当り図柄乱数値をリードすると、これを大当り図柄乱数として転送先のアドレスにセーブする。
ステップS34:また主制御CPU72は、RAM76の変動用乱数カウンタ領域から、特別図柄の変動条件に関する乱数値として、例えば変動パターン決定乱数を取得する。この乱数値の取得も同様に、変動用乱数カウンタ領域のアドレスを指定して行われる。そして主制御CPU72は、指定したアドレスから変動パターン決定乱数を取得すると、これを転送先のアドレスにセーブする。
ステップS36:主制御CPU72は、セーブした大当り決定乱数、大当り図柄乱数及び変動パターン決定乱数をともに特別図柄に対応する乱数記憶領域(この時点で空き状態)に転送し、これら乱数をセットで記憶させる。
ステップS38:そして主制御CPU72は、特別図柄に関して演出コマンド出力設定処理を実行する。この処理は、例えば始動口入賞音制御コマンドを演出制御装置124に対して送信する設定を行うためのものである。
以上の手順を終えるか、もしくは特別図柄作動記憶が既にあった場合(ステップS30:Yes)、主制御CPU72はスイッチ入力イベント処理(図15)に復帰する。
〔特別図柄遊技処理〕
次に、割込管理処理(図10)の中で実行される特別図柄遊技処理の詳細について説明する。図17は、特別図柄遊技処理の構成例を示すフローチャートである。特別図柄遊技処理は、実行選択処理(ステップS1000)、特別図柄変動前処理(ステップS2000)、特別図柄変動中処理(ステップS3000)、特別図柄停止表示中処理(ステップS4000)、可変入賞装置管理処理(ステップS5000)のサブルーチン(プログラムモジュール)群を含む構成である。ここでは先ず、各処理に沿って特別図柄遊技処理の基本的な流れを説明する。
ステップS1000:実行選択処理において、主制御CPU72は次に実行するべき処理(ステップS2000〜ステップS5000のいずれか)のジャンプ先を「ジャンプテーブル」から選択する。例えば、主制御CPU72は次に実行するべき処理のプログラムアドレスをジャンプ先のアドレスとし、また戻り先のアドレスとして特別図柄遊技処理の末尾をスタックポインタにセットする。
いずれの処理を次のジャンプ先として選択するかは、これまでに行われた処理の進行状況(特別遊技管理ステータス)によって異なる。例えば、未だ特別図柄が変動表示を開始していない状況であれば(特別遊技管理ステータス:00H)、主制御CPU72は次のジャンプ先として特別図柄変動前処理(ステップS2000)を選択する。一方、既に特別図柄変動前処理が完了していれば(特別遊技管理ステータス:01H)、主制御CPU72は次のジャンプ先として特別図柄変動中処理(ステップS3000)を選択し、特別図柄変動中処理まで完了していれば(特別遊技管理ステータス:02H)、次のジャンプ先として特別図柄停止表示中処理(ステップS4000)を選択するといった具合である。なお、本実施形態ではジャンプ先のアドレスを「ジャンプテーブル」で指定して処理を選択しているが、このような選択手法とは別に、「プロセスフラグ」や「処理選択フラグ」等を用いてCPUが次に実行するべき処理を選択している公知のプログラミング例もある。このようなプログラミング例では、CPUが一通り各処理をCALLし、その先頭ステップで一々フラグを参照して条件分岐(継続/リターン)することになるが、本実施形態の選択手法では、主制御CPU72が各処理を一々呼び出す手間は不要である。
ステップS2000:特別図柄変動前処理では、主制御CPU72は特別図柄の変動表示を開始するための条件を整える作業を行う。具体的には、ここで大当り判定(内部抽選実行手段)や変動パターンの決定を行い、大当りの場合はあわせて当選種別の判定を行う。また、当選種別の判定に伴い、主制御CPU72は内部状態(「低確率状態」又は「高確率状態」)別に「時間短縮状態」の回数切りカウンタを設定したり、確変リミッタ回数の初期値を設定したりする。なお、具体的な処理の内容は、別のフローチャートを用いて後述する。
ステップS3000:特別図柄変動中処理では、主制御CPU72は変動タイマをカウントしつつ、特別図柄表示装置34の駆動制御を行う。具体的には、7セグメントLEDの各セグメント及びドット(0番〜7番)に対してON又はOFFの駆動信号(1バイトデータ)を出力する。駆動信号のパターンは時間の経過に伴って変化し、それによって特別図柄の変動表示が行われる。
ステップS4000:特別図柄停止表示中処理では、主制御CPU72は特別図柄表示装置34の駆動制御を行う。ここでも同様に、7セグメントLEDの各セグメント及びドットに対してON又はOFFの駆動信号を出力するが、駆動信号のパターンは一定であり、これにより特別図柄の停止表示が行われる。またこの処理において、主制御CPU72は確率変動機能に関して「リミッタ回数」を設定したり、その減算処理を行ったりする。なお、具体的な処理の内容は、別のフローチャートを用いて後述する。
ステップS5000:可変入賞装置管理処理は、先の特別図柄停止表示中処理において当りの態様(非当選以外の態様)で特別図柄が停止表示された場合に選択される。例えば、特別図柄が大当りの態様で停止表示されると、大当り遊技状態(遊技者にとって有利な特別遊技状態)に移行する契機が発生する(特別遊技実行手段)。大当り遊技中は、先の実行選択処理(ステップS1000)においてジャンプ先が可変入賞装置管理処理にセットされ、特別図柄の変動表示は行われない。可変入賞装置管理処理においては、大入賞口ソレノイド90がある程度の時間(例えば最長で6.0秒間又は1個の入賞をカウントするまで)、予め設定された連続作動回数(例えば2回)にわたって励磁され、これにより可変入賞装置30が決まったパターンで開閉動作する。この間に可変入賞装置30に対して遊技球を入賞させることで、遊技者には賞球(例えば1個の入賞に対して6個の賞球払出)を獲得する機会が与えられる(特典付与手段)。なお、このように大当り時に可変入賞装置30が開閉動作することを「ラウンド」と称し、連続作動回数が2回であれば、これらを「2ラウンド」と総称することがある。ただし、本実施形態では1回あたりの開放時間が比較的短時間(6.0秒)であり、また、1ラウンド内のカウント数が最小(例えば1個)であるため、一般的な15ラウンド大当り(例えば1ラウンド29秒開放、カウント数9個)と比較すると、1回の大当り(2ラウンド)で獲得できる賞球数は少なくなっている。なお、具体的な処理の内容は、別のフローチャートを用いて後述する。
いずれにしても、主制御CPU72は可変入賞装置管理処理において大入賞口開放パターン(ラウンド数と1ラウンドごとの開放動作の回数、開放時間等)を設定すると、1ラウンド分の可変入賞装置30の開放動作を終了させるごとにラウンド数カウンタの値を1インクリメントする。ラウンド数カウンタの値は、例えば初期値を0としてRAM76のカウント領域に記憶されている。ラウンド数カウンタの値が設定した連続作動回数(この例では2回)に達すると、主制御CPU72はそのラウンド限りで大当り遊技(大役)を終了する。
そして、大当り遊技(可変入賞装置30の開放動作)を終了すると、主制御CPU72は遊技状態フラグ(確率変動機能作動フラグ又は時間短縮機能作動フラグ)に基づいて大当り遊技終了後の状態(高確率状態、時間短縮状態)を変化させる。「高確率状態」では確率変動機能が作動し、内部抽選での当選確率が通常よりも高くなる。
また「時間短縮状態」では時間短縮機能が作動し、普通図柄の作動抽選により当選を得られる確率が「低確率」から「高確率」になり(例えば「低確率」で128分の1→「高確率」で128分の127程度)、普通図柄の変動時間が短縮して設定(例えば0.6秒程度に固定して設定)される。なお、「高確率状態」及び「時間短縮状態」については、制御上でいずれか一方だけに移行する場合もあれば、これら両方に合わせて移行する場合もある。
以上が主制御装置70(主制御CPU72)による各種の制御処理の内容である。主制御CPU72がこれら処理を実行することで、パチンコ機1による遊技が具体的に進行し、内部抽選や図柄の変動表示や停止表示、大当り中の動作が行われ、また賞球払い出し動作等が行われる。
〔特別図柄変動前処理〕
図18は、特別図柄変動前処理の手順例を示すフローチャートである。以下、各手順に沿って説明する。
ステップS2100:先ず主制御CPU72は、RAM76の乱数記憶領域に特別図柄作動記憶があるか否かを確認する。あるいは、上記のように作動記憶数カウンタの値を参照して確認を行ってもよい。なお特別図柄の作動記憶は、上記のようにスイッチ入力イベント処理において中始動入賞口26又は可変始動入賞装置28(右始動入賞口28a)への入賞の発生を契機として発生するものである。このとき、未だ変動を開始するべき特別図柄の作動記憶がないことを確認した場合(No)、主制御CPU72はステップS2500のデモ設定処理を実行する。これに対し、特別図柄の作動記憶があることを確認した場合(Yes)、主制御CPU72は次にステップS2300を実行する。
ステップS2500:この処理では、主制御CPU72はデモ演出用コマンドを生成する。デモ演出用コマンドは、上記の演出制御出力処理(図10中のステップS214)において演出制御装置124に出力される。デモ設定処理を実行すると、主制御CPU72は普通図柄遊技処理に復帰する。
ステップS2300:主制御CPU72は、大当り判定処理(内部抽選)を実行する。この処理では、先ず主制御CPU72は、RAM76の乱数記憶領域に記憶されている抽選用乱数(大当り決定乱数、大当り図柄乱数)を読み出す。読み出した乱数は、例えば別の一時記憶領域に保存され、乱数記憶領域からは作動記憶が消去(消費)される。次に主制御CPU72は大当り値の範囲を設定し、この範囲内に読み出した乱数値が含まれるか否かを判断する(内部抽選実行手段)。このとき設定される大当り値の範囲は、低確率状態と高確率状態(確率変動機能作動時)とで異なり、高確率状態では通常確率状態よりも大当り値の範囲が約10倍程度に拡大される(例えば、低確率状態で1/10程度,高確率状態で略1/1程度)。そして、このとき読み出した乱数値が大当り値の範囲内に含まれていれば、主制御CPU72は大当りフラグ(01H)をセットし、次にステップS2400に進む。
ステップS2400:主制御CPU72は、先の大当り判定処理で大当りフラグに値(01H)がセットされたか否かを判断する。大当りフラグに値(01H)がセットされていなければ(No)、主制御CPU72は次にステップS2404を実行する。
ステップS2404:主制御CPU72は、はずれ時停止図柄決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、特別図柄表示装置34によるはずれ時の停止図柄番号データをセットする。また主制御CPU72は、演出制御装置124に送信するための停止図柄コマンド及び抽選結果コマンド(はずれ時)を生成する。これらコマンドは、演出制御出力処理(図10中のステップS214)において演出制御装置124に送信される。
なお本実施形態では、特別図柄表示装置34に7セグメントLEDを用いているため、例えば、はずれ時の停止図柄の表示態様を1つのセグメント(中央のバー「−」)の点灯表示だけにしておき、停止図柄番号データを1つの値(例えば64H)に固定することができる。この場合、プログラム上で使用する記憶容量を削減し、主制御CPU72の処理負荷を軽減して処理速度を向上することができる。
ステップS2406:次に主制御CPU72は、はずれ時変動パターン決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は特別図柄について、はずれ時の変動パターン番号を決定する。変動パターン番号は、特別図柄の変動表示の種類(パターン)を区別したり、変動表示にかかる変動時間に対応したりするものである。はずれ時の変動時間は、上記の各状態(非時間短縮状態、時間短縮状態)によって異なってくるため、この処理において主制御CPU72は、遊技状態フラグをロードし、現在の状態が「時間短縮状態」であるか否かを確認する。そして「時間短縮状態」であれば、はずれ時の変動時間を短縮した変動時間に設定することもできる。また「非時間短縮状態」であれば、はずれ時の変動時間は例えば変動パターン決定乱数に基づいて決定される。そして、主制御CPU72は、決定した変動時間(はずれ時)の値を変動タイマにセットするとともに、はずれ時の停止表示時間の値を停止図柄表示タイマにセットする(特別図柄変動時間決定手段)。
本実施形態では、特別図柄抽選の結果、非当選に該当した場合、演出上で例えば「リーチ演出」を発生させてはずれとしたり、「リーチ演出」を発生させずにはずれとしたりする制御を行うこととしている。そして「特別図柄はずれ時変動パターン選択テーブル」には、予め複数種類の演出、例えば「非リーチ演出」、「リーチ演出」に対応した変動パターンが規定されており、非当選に該当した場合は、その中からいずれかの変動パターンが選択されることになる。なお、リーチ演出には、ノーマルリーチ演出、バトルリーチ演出等といった様々なリーチ演出が含まれる。
〔特別図柄はずれ時変動パターン選択テーブル(通常中・低確率時短中)〕
図19は、通常中又は低確率時短中に用いられる特別図柄はずれ時変動パターン選択テーブルの一例を示す図である。
この選択テーブルは、通常中(低確率状態かつ非時間短縮状態)又は低確率時短中(低確率状態かつ時間短縮状態)において、特別図柄抽選のはずれ時(非当選に該当した場合)に使用されるテーブルである。また、この選択テーブルは、例えばその先頭アドレスから順番に「比較値」、「変動パターン番号」をそれぞれ1バイトずつセットにして記憶する構造である。「比較値」には、例えば8つの段階的に異なる値「101」,「201」,「211」,「221」,「231」,「241」,「251」,「255(FFH)」が設けられており、それぞれの「比較値」に対して「変動パターン番号」の「1」〜「8」が割り当てられている。
変動パターン番号「1」,「2」は、リーチ演出が行われずに、はずれとなる変動パターンに対応しており、変動パターン番号「3」〜「5」は、ノーマルリーチ後にはずれとなる変動パターンに対応しており、変動パターン番号「6」〜「8」は、バトルリーチ後にはずれとなる変動パターンに対応している。
主制御CPU72は、取得した変動パターン決定乱数値を、上記の変動パターン選択テーブル中の「比較値」と順番に比較していき、乱数値が比較値以下であれば、その比較値に対応する変動パターン番号を選択する。例えば、そのときの変動パターン決定乱数値が「190」であった場合、最初の比較値「101」と比較すると、乱数値が比較値を超えているため、主制御CPU72は次の比較値「201」と乱数値を比較する。この場合、乱数値が比較値以下であるため、主制御CPU72は対応する変動パターン番号として「2」を選択する。
なお、本実施形態では、「通常中」と「低確率時短中」とで共通のはずれ時変動パターン選択テーブルを用いているが、「通常中」の変動時間よりも「低確率時短中」の変動時間を短縮させる場合には、それぞれ別々のはずれ時変動パターン選択テーブルを用いてもよい。
〔特別図柄はずれ時変動パターン選択テーブル(高確率時短中)〕
図20は、高確率時短中に用いられる特別図柄はずれ時変動パターン選択テーブルの一例を示す図である。
この選択テーブルは、高確率時短中(高確率状態かつ時間短縮状態)において、はずれ時(非当選に該当した場合)に使用されるテーブルである。
ここで、高確率時短中の特別図柄のはずれ時の変動パターンは、すべて同一の変動パターン(変動時間は例えば0.6秒)を設定するため、この選択テーブルでは、予め定められた1つの変動パターン(非リーチ変動パターン9)を選択するテーブル構成としている。したがって、主制御CPU72は、取得した変動パターン決定乱数値がいずれの値であっても、変動パターン番号として「9」を選択する。
〔図18:特別図柄変動前処理を参照〕
以上のステップS2404,ステップS2406は、大当り判定結果がはずれ時(非当選の場合)の制御手順であるが、判定結果が大当り(ステップS2400:Yes)の場合、主制御CPU72は以下の手順を実行する。なお、本実施形態では、通常中又は低確率時短中においては内部抽選の当選確率を約1/10に設定しているが、高確率時短中においては内部抽選の当選確率を略1/1に設定しているため、高確率時短中に関してはほとんど毎回の変動時に以下の処理が選択されることになる。
ステップS2410:主制御CPU72は、大当り時停止図柄決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は大当り図柄乱数に基づき、特別図柄別について今回の当選図柄の種類(大当り時停止図柄番号)を決定する。大当り図柄乱数値と当選図柄の種類との関係は、予め大当り時停止図柄選択テーブルで規定されている。このため主制御CPU72は、大当り時停止図柄決定処理において大当り時停止図柄選択テーブルを参照し、その記憶内容から大当り図柄乱数に基づいて当選図柄の種類を決定することができる。
〔大当り時の当選図柄〕
ここで、大当り時に決定される当選図柄の種類について説明する。本実施形態では大当り時に選択的に決定される当選図柄として、大きく分けて以下の4種類が用意されている。4種類の内訳は、「確変図柄1」、「確変図柄2」、「確変図柄3」及び「確変図柄4」である。なお、これらは好ましい例示に過ぎず、上記4種類の当選図柄は全てを網羅したものではない。
図21は、大当り時停止図柄選択テーブルの構成列を示す図である。主制御CPU72は先の大当り時停止図柄決定処理(図18中のステップS2410)において、図21に示される大当り時停止図柄選択テーブルを参照して当選図柄の種類を決定することができる。また主制御CPU72は、決定した当選図柄別にその時点での遊技状態(非時間短縮状態、時間短縮状態、低確率状態、高確率状態)に応じて、特別遊技の終了後に付与する時間短縮機能作動回数を決定することができる。
図21に示される大当り時停止図柄選択テーブル中、左端カラムには当選図柄別の振分値が示されており、各振分値「40」,「30」,「20」,「10」は、それぞれ分母を100とした場合の割合(選択比率)に相当する。また左から2番目のカラムには、各振分値に対応する「確変図柄1」、「確変図柄2」、「確変図柄3」及び「確変図柄4」が示されている。すなわち、内部抽選での大当り時には、「確変図柄1」が選択される割合は100分の40(=40%)であり、「確変図柄2」が選択される割合は100分の30(=30%)である。また「確変図柄3」が選択される割合は100分の20(=20%)であり、「確変図柄4」が選択される割合は100分の10(=10%)である。各振分値の大きさは、大当り図柄乱数を用いた当選図柄別の選択比率に相当する。ここで、すべての当選図柄は、大当り後において確率変動機能を作動させることになる当選図柄(確変図柄)である。このため、本実施形態では全体として確変図柄の選択比率は100%であり、初回の大当り時には必ず「確変図柄」が選択されることになる。
〔時間短縮機能作動回数(時短回数)〕
次に、当選図柄(当選種類)別及び当選時の状態別に付加される時間短縮機能作動回数の違いについて説明する。本実施形態では、上述した4種類の当選図柄について、その当選時の状態に応じて付加される時間短縮機能作動回数が異なっている。以下、具体的に説明する。なお、時間短縮機能作動回数(0回以外)が付加されるということは、時間短縮状態に移行されることを意味しており、その後の普通図柄抽選について特定の条件(例えば普通図柄抽選の当選確率が通常の確率より高確率になり、普通図柄の変動時間が短縮されるという条件)を適用することを意味している。
(1)低確率非時短中
図21中の左から3番目のカラムに示されているように、特別図柄抽選(内部抽選)に関して「低確率状態」であり、普通図柄抽選(作動抽選)に関して「非時間短縮状態」である場合を想定する。この場合、当選図柄が「確変図柄1」〜「確変図柄4」のいずれに該当しても10000回の時間短縮機能作動回数が付加されて高確率時短中へ移行される。なお、「確変図柄1」〜「確変図柄4」のいずれに該当した場合であっても、大当り終了後の状態は「高確率状態」となる。
〔リミッタ回数の設定〕
本実施形態においては、特別図柄抽選(内部抽選)に関して当選時の内部状態が「低確率状態」であり、そこから「確変図柄1」〜「確変図柄4」のいずれかで当選(初回当選)すると、例えば先の特別図柄停止表示中処理(図17中のステップS4000)において、上記の「リミッタ回数」が所定の上限回数(例えば1回目を含めて20回とする)に基づいて設定される。この「リミッタ回数」は、「高確率状態」での当選時に主制御CPU72が「確変図柄1」〜「確変図柄4」に該当すると連続して決定することができる限度(連続回数)を意味する。そして「リミッタ回数」は、「高確率状態」での当選時に「確変図柄1」〜「確変図柄4」に該当すると、その度ごとに1ずつ減算され、その残り回数が少なくなっていく。ただし、「リミッタ回数」が残り0回に達しない(残りが1回以上ある)間は、主制御CPU72は先の大当り時停止図柄決定処理(図18中のステップS2410)において、「高確率状態」での当選時に連続して「確変図柄1」〜「確変図柄4」に該当すると決定することが可能である。そこで先ず、「リミッタ回数」に1回以上の残りがある場合(リミッタ到達前)について説明する。
(2)高確率時短中(リミッタ到達前)
例えば、図21中の左から4番目のカラムに示されているように、特別図柄抽選(内部抽選)に関して「高確率状態」であり、かつ、普通図柄抽選(作動抽選)に関して「時間短縮状態」である場合を想定する。例えば、上記(1)の低確率非時短中にいずれかの「確変図柄」に該当した場合、高確率時短中の状態となる。そしてこの場合、4種類あるいずれの当選図柄についても、必ず10000回の時間短縮機能作動回数が付加される。この場合、「高確率状態」で「確変図柄1」〜「確変図柄4」に連続当選しているため、「リミッタ回数」は1減算される。また「確変図柄1」〜「確変図柄4」のいずれに該当しても、大当り終了後の状態は「高確率状態」となり、合わせて「時間短縮状態」となるため、結果的に「(2)高確率時短中」が維持されることになる。
〔リミッタ到達時〕
「高確率状態」で連続して「確変図柄1」〜「確変図柄4」のいずれかに当選し、その度ごとに「リミッタ回数」が減算された結果、上記の「リミッタ回数」が残り0回に到達すると、「高確率状態」での当選時に主制御CPU72は「確変図柄1」〜「確変図柄4」に該当すると決定することができなくなる。具体的には、大当り図柄乱数が「確変図柄1」〜「確変図柄4」のいずれかに対応していたとしても、最終的な当選図柄は「単発図柄1」〜「単発図柄4」のいずれかへ強制的に変更される。
(3)高確率時短中(リミッタ到達時)
当選図柄の強制変更については、図21中の右から2番目のカラムに示されている。「高確率状態」かつ「時間短縮状態」で「リミッタ回数」の残りが0回(規定値)に達すると、「確変図柄1」に該当すると決定されている場合であっても、最終的な当選図柄は「単発図柄1」に強制される。また、「確変図柄2」に該当すると決定されている場合であっても、最終的な当選図柄は「単発図柄2」に強制される。同様に、「確変図柄3」に該当すると決定されている場合は「単発図柄3」に強制され、「確変図柄4」に該当すると決定されている場合は「単発図柄4」に強制される。このような当選図柄の強制(規制)が行われる結果、「リミッタ回数」の残りが0回に達した後の「高確率状態」は継続されなくなり、大当り終了後に「低確率状態」に強制的に復帰されることになる。
また、当選図柄として「単発図柄1」が強制的に選択された場合は、2回の時間短縮機能作動回数が付加され、当選図柄として「単発図柄2」が強制的に選択された場合は、6回の時間短縮機能作動回数が付加され、当選図柄として「単発図柄3」が強制的に選択された場合は、9回の時間短縮機能作動回数が付加され、当選図柄として「単発図柄4」が強制的に選択された場合は、50回の時間短縮機能作動回数が付加されて低確率時短中へ移行される。
(4)低確率時短中
図21中の右端カラムに示されているように、特別図柄抽選(内部抽選)に関して「低確率状態」であり、かつ、普通図柄抽選(作動抽選)に関して「時間短縮状態」である場合を想定する。上記(3)の高確率時短中でのリミッタ到達時に、いずれかの単発図柄に強制された場合、低確率時短中の状態となる。そしてこの状態で当選の結果が得られた場合、4種類あるいずれの当選図柄についても、10000回の時間短縮機能作動回数が付加される。この場合、「低確率状態」から「確変図柄1」〜「確変図柄4」に初当選していることになるため、「リミッタ回数」は再設定(残り19回に設定)される。また「確変図柄1」〜「確変図柄4」のいずれに該当しても、大当り終了後の状態は「高確率状態」となり、合わせて「時間短縮状態」となるため、結果的に「(2)の高確率時短中」が再開されることになる。
以上のように本実施形態では、当選時の状態別、リミッタ残数別(到達前・到達時)によって付加される時間短縮機能作動回数が異なっていることが分かる。その結果、例えば同じ「確変図柄1」であっても、当選時の状態別やリミッタ残数別(到達前・到達時)で10000回の時間短縮機能作動回数が付加される場合もあれば、2回の時間短縮機能作動回数が付加される場合もある。
〔図18:特別図柄変動前処理を参照〕
ステップS2412:次に主制御CPU72は、大当り時変動パターン決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は先のステップS2300で読み出した抽選用乱数等に基づいて特別図柄の変動パターン(変動時間と停止表示時間)を決定する。また主制御CPU72は、決定した変動時間の値を変動タイマにセットするとともに、停止表示時間の値を停止図柄表示タイマにセットする。大当り時の変動時間については、上記の「時間短縮状態」であるか否かによって異ならせることもできる。この場合、主制御CPU72は遊技状態フラグをロードし、現在の状態が「時間短縮状態」であるか否かを確認し、「時間短縮状態」であれば、大当り時であっても変動時間を短縮した時間に設定することができる。そして、主制御CPU72は、決定した変動時間(大当り時)の値を変動タイマにセットするとともに、大当り時の停止表示時間の値を停止図柄表示タイマにセットする。
ここで、本実施形態では、特別図柄抽選の結果、当選に該当した場合、演出上で例えば「リーチ演出」を発生させて当りとしたり、「リーチ演出」を発生させずに当りとしたりする制御を行うこととしている。そして、「大当り時変動パターン選択テーブル」には、複数種類の「リーチ演出」に対応した変動パターンが規定されており、特別図柄抽選にて当選した場合は、その中からいずれかの変動パターンが選択されることになる。なお、リーチ演出には、ノーマルリーチ演出、バトルリーチ演出等といった様々なリーチ演出が含まれる。
〔特別図柄大当り時変動パターン選択テーブル(通常中・低確率時短中)〕
図22は、通常中又は低確率時短中に用いられる特別図柄大当り時変動パターン選択テーブルの一例を示す図である。
この選択テーブルは、通常中(低確率状態かつ非時間短縮状態)又は低確率時短中(低確率状態かつ時間短縮状態)において、特別図柄抽選での大当り時(当選に該当した場合)に使用されるテーブルである。また、この選択テーブルは、例えばその先頭アドレスから順番に「比較値」、「変動パターン番号」をそれぞれ1バイトずつセットにして記憶する構造である。「比較値」には、例えば8つの段階的に異なる値「101」,「201」,「211」,「221」,「231」,「241」,「251」,「255(FFH)」が設けられており、それぞれの「比較値」に対して「変動パターン番号」の「13」〜「20」が割り当てられている。
変動パターン番号「13」〜「17」は、バトルリーチ後に当りとなる変動パターンに対応しており、変動パターン番号「18」〜「20」は、ノーマルリーチ後に当りとなる変動パターンに対応している。
主制御CPU72は、取得した変動パターン決定乱数値を、上記の変動パターン選択テーブル中の「比較値」と順番に比較していき、乱数値が比較値以下であれば、その比較値に対応する変動パターン番号を選択する(変動パターン決定手段)。例えば、そのときの変動パターン決定乱数値が「190」であった場合、最初の比較値「101」と比較すると、乱数値が比較値を超えているため、主制御CPU72は次の比較値「201」と乱数値を比較する。この場合、乱数値が比較値以下であるため、主制御CPU72は対応する変動パターン番号として「14」を選択する。
なお、本実施形態では、「通常中」と「低確率時短中」とで共通の大当り時変動パターン選択テーブルを用いているが、「通常中」の変動時間よりも「低確率時短中」の変動時間を短縮させる場合には、それぞれ別々の大当り時変動パターン選択テーブルを用いてもよい。
〔特別図柄大当り時変動パターン選択テーブル(高確率時短中)〕
図23は、高確率時短中に用いられる特別図柄大当り時変動パターン選択テーブルの一例を示す図である。
この選択テーブルは、高確率時短中(高確率状態かつ時間短縮状態)において、特別図柄抽選での当選時に使用されるテーブルである。
ここで、高確率時短中の特別図柄における当選時の変動パターンは、すべて同一の変動パターンが選択されることとなる(非リーチ当り変動パターン21;変動時間0.6秒程度)。特別図柄の当選確率が高確率状態に設定されている場合、特別図柄の変動は、ほとんど当り変動となるため、本実施形態では、リーチ状態を発生させない非リーチ当り変動パターンを採用している。したがって、主制御CPU72は、取得した変動パターン決定乱数値がいずれの値であっても、変動パターン番号として「21」を選択する(特別図柄変動時間決定手段)。
〔図18:特別図柄変動前処理を参照〕
ステップS2413:主制御CPU72は、大当り時その他設定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は先のステップS2410で決定した当選図柄の種類(大当り時停止図柄番号)がいずれかの確変図柄に該当する場合、例えば遊技状態フラグとして確率変動機能作動フラグの値(01H)をRAM76のフラグ領域にセットし、合わせて回数切りカウンタ値(例えば10000回)をセットする。また主制御CPU72は、そのとき決定した当選図柄に対応する時間短縮機能作動回数が付加されている場合、遊技状態フラグとして時間短縮機能作動フラグの値(01H)をRAM76のフラグ領域にセットし、あわせて回数切りカウンタ値(10000回等)をセットする(時間短縮状態移行手段)。
また主制御CPU72は、当選図柄に対応して付加された時間短縮機能作動回数の値に基づき、時間短縮機能作動回数コマンド(回数切りカウンタ数コマンドでもよい)を生成する。ここで生成された時間短縮機能作動回数コマンドは、演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。なお、当選図柄の種類や時間短縮機能作動回数の付加については、図21で説明した通りである。
またステップS2413の処理において、主制御CPU72は大当り時停止図柄番号に基づいて特別図柄表示装置34による停止図柄(大当り図柄)の表示態様を決定する。合わせて主制御CPU72は、上記の停止図柄コマンド(大当り時)とともに抽選結果コマンド(大当り時)を生成する。これら停止図柄コマンド及び抽選結果コマンドもまた、演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。
ステップS2414:次に主制御CPU72は、特別図柄変動開始処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は変動パターン番号(はずれ時/当り時)に基づいて変動パターンデータを選択する。また主制御CPU72は、変動パターンに対応する停止図柄表示時間の値を表示タイマにセットする。合わせて主制御CPU72は、RAM76のフラグ領域に特別図柄の変動開始フラグをセットする。そして主制御CPU72は、演出制御装置124に送信する変動開始コマンドを生成する。この変動開始コマンドもまた、上記の演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。以上の手順を終えると、主制御CPU72は特別図柄変動中処理(ステップS3000)を次のジャンプ先に設定し、特別図柄遊技処理に復帰する。
〔図17:特別図柄変動中処理,特別図柄停止表示中処理〕
特別図柄変動中処理では、上記のように主制御CPU72は変動タイマの値をレジスタからタイマカウンタにロードし、その後、時間の経過(クロックパルスのカウント数又は割込カウンタの値)に応じてタイマカウンタの値をデクリメントする。そして主制御CPU72は、タイマカウンタの値を参照しつつ、その値が0になるまで上記のように特別図柄の変動表示を制御する。そして、タイマカウンタの値が0になると、主制御CPU72は特別図柄停止表示中処理(ステップS4000)を次のジャンプ先に設定する。
また特別図柄停止表示中処理では、主制御CPU72は停止図柄決定処理(図18中のステップS2404,ステップS2410)で決定した停止図柄に基づいて特別図柄の停止表示を制御する。また主制御CPU72は、演出制御装置124に送信する図柄停止コマンドを生成する。図柄停止コマンドは、上記の演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。特別図柄停止表示中処理の中で停止図柄を所定時間にわたり表示させると、主制御CPU72は図柄変動中フラグを消去する。なお、特別図柄停止表示中処理の手順についてはさらに別のフローチャートを用いて後述する。
〔特別図柄停止表示中処理〕
次に、図24は、特別図柄停止表示中処理(図17中のステップS4000)の手順例を示すフローチャートである。以下に、特別図柄停止表示中処理の具体的な手順と合わせて、上記の「リミッタ回数」の設定や減算処理を行う手法について説明する。
ステップS4100:主制御CPU72は、停止図柄表示タイマの値を減算(例えば割込周期分だけデクリメント)する。
ステップS4200:そして主制御CPU72は、今回減算した停止図柄表示タイマの値に基づき、停止表示時間が終了したか否かを判断する。具体的には、停止図柄表示タイマの値が0以下でなければ、主制御CPU72は未だ停止表示時間が終了していないと判断する(No)。この場合、主制御CPU72は特別図柄遊技処理に復帰し、次の割込周期においても実行選択処理(図17中のステップS1000)からジャンプして、この特別図柄停止表示中処理を繰り返し実行する。
これに対し、停止図柄表示タイマの値が0以下であれば、主制御CPU72は停止表示時間が終了したと判断する(Yes)。この場合、主制御CPU72は次にステップS4250を実行する。
ステップS4250:主制御CPU72は、図柄停止コマンド及び停止表示時間終了コマンドを生成する。図柄停止コマンド及び停止表示時間終了コマンドは、上記の演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。また主制御CPU72は、ここで図柄変動中フラグを消去する。なお、「停止表示時間終了コマンド」とは、特別図柄の停止表示時間が終了(経過)したことを示すコマンドである。
ステップS4300:ここで主制御CPU72は、大当りフラグの値(01H)がセットされているか否かを確認する。大当りフラグの値(01H)がセットされている場合(Yes)、主制御CPU72は次にステップS4310を実行する。
ステップS4310:主制御CPU72は、今回の当選図柄が確変図柄であるか否かを確認する。この確認は、大当り時停止図柄番号に基づいて行うことができる。すなわち、今回の大当り時停止図柄番号が上記の「確変図柄1」〜「確変図柄4」のいずれかに該当する場合(Yes)、主制御CPU72は次にステップS4320に進む。
〔確変図柄選択時〕
ステップS4320:主制御CPU72は、今回の当選時が「高確率状態」であるか否かを確認する。今回の当選時が「低確率状態」である場合(No)、主制御CPU72は次にステップS4330を実行する。
ステップS4330:この場合、主制御CPU72は「リミッタ回数」を上限回数(1回目を含めて20回)に基づいて設定する。具体的には、「リミッタ回数」の値を19回(リミッタ残数=19)に設定し、その値を例えばRAM76の残数カウンタ領域にセーブする。なお、ここで「リミッタ回数」を19回に設定するのは、上記のように上限回数が1回目の当選を含めて20回としているため、全体を通して残りが19回となるからである。
以上は、今回の当選時が「低確率状態」である場合の手順例であるが、今回の当選時が「高確率状態」であった場合(ステップS4320:Yes)、主制御CPU72は以下の手順を実行する。
ステップS4340:この場合、主制御CPU72は「リミッタ回数」を減算(−1)し、その減算後の値を残数カウンタ領域にセーブ(更新)する。例えば、今回の当選が「確変図柄1」〜「確変図柄4」の2連続目であった場合、既に1回目の当選時に「リミッタ回数」が19回に設定されているので、主制御CPU72は2回目で「リミッタ回数」を1つ減算し、その残りを18回として「リミッタ回数」を更新する。あるいは、今回の当選が「確変図柄1」〜「確変図柄4」の3連続目であった場合、2回目で18回に減算された「リミッタ回数」をさらに3回目で1つ減算し、その残りを17回として「リミッタ回数」を更新する。これにより、「高確率状態」の大当り時に「確変図柄1」〜「確変図柄4」のいずれかに連続して該当すると、その度ごとに「リミッタ回数」の残りが減少していくことになる。
この後、当選の度ごとに20回目まで連続して「確変図柄1」〜「確変図柄4」に該当した場合、19回目で残り1回に減算された「リミッタ回数」をさらに20回目で1つ減算すると、その残りは0回に到達する。この場合、主制御CPU72が次回の当選時に先の大当り時停止図柄決定処理(図18中のステップS2410)を実行すると、図21のテーブルを用いた当選図柄の決定に際して「リミッタ回数」が残り0回に達しているため、上記のように「確変図柄1」〜「確変図柄4」は、「単発図柄1」〜「単発図柄4」に強制されることになる。
〔単発(通常)図柄選択時〕
これに対し、先のステップS4310で今回の大当り時停止図柄番号が強制的に決定された「単発図柄1」〜「単発図柄4」のいずれかに該当する場合(No)、主制御CPU72は次にステップS4345に進む。
ステップS4345:この場合、主制御CPU72は「リミッタ回数」の値を0回にクリア(リミッタ残数=0)する。なお実際には、リミッタ到達時のステップS4340で「リミッタ回数」の値は既に0回に設定されることになるが、主制御CPU72は、例えば先の大当り時停止図柄決定処理(図18中のステップS2410)において、今回の当選図柄として「単発図柄1」〜「単発図柄4」のいずれかを選択した時点で「リミッタ回数」の値をクリアすることとしてもよい。
ステップS4346:いずれにしても、以上の手順を実行すると、次に主制御CPU72は、現在の「リミッタ回数」に基づいてリミッタ残数コマンドを生成する。ここで生成したリミッタ残数コマンドは、演出制御出力処理(図10中のステップS214)で演出制御装置124に出力される。
ステップS4350:次に主制御CPU72は、ジャンプテーブルのジャンプ先を「可変入賞装置管理処理」に設定する。
ステップS4400:そして主制御CPU72は、制御上の内部状態フラグとして「大役開始(大当り遊技中)」をセットする。また合わせて主制御CPU72は、大当り中を表す状態コマンドを生成する。大当り中を表す状態コマンドは、上記の演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。
大当り時に以上の手順を終えると、主制御CPU72は特別図柄遊技処理に復帰する。
〔非当選時〕
これに対し、大当り時以外の場合は以下の手順が実行される。
すなわち主制御CPU72は、ステップS4300において大当りフラグの値(01H)がセットされていないと判断した場合(No)、次にステップS4600を実行する。
ステップS4600:主制御CPU72は、ジャンプテーブルのジャンプ先アドレスとして特別図柄変動前処理のアドレスをセットする。
ステップ4610:次に主制御CPU72は、回数切りカウンタの値をロードする。「回数切りカウンタ」は、「高確率状態」や「時間短縮状態」においてそれぞれのカウンタ値がRAM76の確変カウント領域又は時短カウント領域にセットされている。なお、ここでは「回数切り」としているが、「高確率状態」の場合の回数切りカウンタの値は、極端に膨大な値(例えば10000回以上)に設定されている。また「時間短縮状態」の場合についても、上記のように当選図柄によって10000回の作動回数が付加される場合もある。このような膨大な値を設定することで、実質的に次回の当選が得られるまで「高確率状態」や「時間短縮状態」が継続することを確率的に保証することができる。なお、「時間短縮状態」の作動回数として10000回以外の回数、例えば2回、6回、9回、50回等の回数が付加された場合、次回の大当りまで「時間短縮状態」が継続しない場合もある。
ステップS4620:主制御CPU72は、ロードしたカウンタ値が0であるか否かを確認する。このとき、既に回数切りカウンタ値が0であれば(Yes)、主制御CPU72は特別図柄遊技処理に復帰する。一方、回数切りカウンタ値が0でなかった場合(No)、主制御CPU72は次にステップS4630を実行する。
ステップS4630:主制御CPU72は、回数切りカウンタ値をデクリメント(1減算)する。
ステップS4640:そして主制御CPU72は、その減算結果が0でないか否かを判断する。減算の結果、回数切りカウンタの値が0でなかった場合(Yes)、主制御CPU72は特別図柄遊技処理に復帰する。これに対し、回数切りカウンタの値が0になった場合(No)、主制御CPU72はステップS4650に進む。
ステップS4650:ここで主制御CPU72は、回数切り機能作動時のフラグをリセットする。リセットされるのは、確率変動機能作動フラグ又は時間短縮機能作動フラグであるが、上記のように「高確率状態」で回数切りカウンタの値が0になることは実質的にはないため、実際にリセットされ得るのは時間短縮機能作動フラグである。これにより、特別図柄の停止表示を経て時間短縮状態が終了する(非時間短縮状態復帰手段)。以上の手順を終えると、特別図柄遊技処理に復帰する。
〔表示出力管理処理〕
次に図25は、割込管理処理の中で実行される表示出力管理処理(図10中のステップS212)の構成例を示すフローチャートである。表示出力管理処理は、特別図柄表示設定処理(ステップS1200)、普通図柄表示設定処理(ステップS1210)、状態表示設定処理(ステップS1220)、作動記憶表示設定処理(ステップS1230)のサブルーチン群を含む構成である。
このうち特別図柄表示設定処理(ステップS1200)、普通図柄表示設定処理(ステップS1210)及び作動記憶表示設定処理(ステップS1230)については、既に述べたように特別図柄表示装置34、普通図柄表示装置33及び普通図柄作動記憶ランプ33aの各LEDに対して印加する駆動信号を生成及び出力する処理である。
また状態表示設定処理(ステップS1220)については、遊技状態表示装置38の各LEDに対して印加する駆動信号を生成及び出力する処理である。この処理では、主制御CPU72は、確率変動機能作動フラグ又は時間短縮機能作動フラグの値に応じてそれぞれ高確率状態表示ランプ38c、時短状態表示ランプ38dの点灯を制御する。例えば、パチンコ機1の電源投入時において確率変動機能作動フラグに値(01H)がセットされていれば、主制御CPU72は高確率状態表示ランプ38cに対応するLEDに対して点灯信号を出力する。なお高確率状態表示ランプ38cは、この後に特別図柄の変動表示が行われると、確率変動機能作動フラグがセットされていても非表示に(消灯)切り替えられる。一方、時間短縮機能作動フラグに値(01H)がセットされていれば、特に電源投入時であるか否かに関わらず、主制御CPU72は時短状態表示ランプ38dに対応するLEDに対して点灯信号を出力する。
また、この状態表示設定処理(ステップS1220)においては、主制御CPU72は、遊技状態表示装置38の発射位置指定表示ランプ38eに対する制御も行う。以下、発射位置指定表示ランプ38eの制御手法について説明する。
発射位置指定表示ランプ38eは、出球率の高い方、すなわち、遊技者に対して有利な方の領域を表示するためのランプであり、原則として非時間短縮状態では左打ち領域(第1遊技領域)に遊技球を発射すべきことを促す態様の消灯表示(第1表示)を行う一方、時間短縮状態では右打ち領域(第2遊技領域)に遊技球を発射すべきことを促す態様の点灯表示(第2表示)を行う(発射位置指定表示手段)。
そして、発射位置指定表示ランプ38eの制御手法としては、以下の2つの制御手法を採用することができる。
〔第1制御手法〕
1つ目の制御手法は、発射位置指定表示ランプ38eの機能を遊技者に対して有利な方の領域を表示する機能として捉えて制御する方法である。すなわち、発射位置指定表示ランプ38eの点灯表示を行う状態として、(1)特別遊技状態(大役中状態)、(2)時間短縮状態のみならず、(3)時間短縮状態の終了時に開放している可変始動入賞装置28の開放状態が閉鎖するまでの状態、という3つの状態を含ませる方法である。これは、時間短縮状態の終了時に可変始動入賞装置28がまだ開放状態である場合は、時間短縮状態が終了したとしても、可変始動入賞装置28が開放している限りにおいては可変始動入賞装置28にて入賞が発生する可能性があるため、その場合には点灯表示を継続していたとしても、「遊技者に対して有利な方の領域を表示している」ということに反することにはならないという解釈に基づくものである。
〔第2制御手法〕
これに対して、2つ目の制御手法は、発射位置指定表示ランプ38eの機能を時間短縮状態の有無を示す機能として捉える方法である。すなわち、発射位置指定表示ランプ38eについて、点灯表示を行う状態として、(1)特別遊技状態(大役中状態)、(2)時間短縮状態に限定する方法である。これは、時間短縮状態が終了すれば、その後は左打ちに戻すことが通常であることから、時間短縮状態が終了した時点で「遊技者に対して有利な方の領域は左打ち領域である」という解釈に基づくものである。
以下、これら2つの制御手法について順に説明するが、これら2つの制御手法は、遊技仕様や遊技規則に合わせていずれか一方を採用すればよく、両方を採用する必要はない。
〔発射位置指定表示ランプ38eの第1制御手法〕
図26は、発射位置指定表示ランプ38eの第1制御手法について説明するタイミングチャートである。
ここで、図中(A)は特別図柄の変動又は停止の変化を示し、図中(B)は時間短縮機能のON又はOFFを示している。また図中(C)は普通図柄の変動又は停止の変化を示し、図中(D)は可変始動入賞装置の開放又は閉鎖を示している。また図中(E)は発射位置指定表示ランプの点灯又は消灯の変化を示している。なお、これらの表記は図27においても同様である。
図26中(A):時刻t0において、特別図柄は変動中の状態である。ここでの特別図柄の変動は、時間短縮状態での特別図柄の最終変動であるものとする。時刻t0以前から開始された特別図柄の変動は時刻t4にて終了する。そして、時刻t4で特別図柄の変動が終了すると、時刻t4から時刻t5までの時間にわたって特別図柄が停止表示される。
図26中(B):時刻t5にて、時間短縮状態での特別図柄の最終変動の停止表示が終了したことを条件として、時間短縮機能がONからOFFにセットされる。
図26中(C):時刻t1において、普通図柄の変動が開始される。ここでの普通図柄の変動は、時間短縮機能がONの状態での変動であるため、短縮変動時間(0.6秒程度)が選択されている。時刻t1から開始された普通図柄の変動は時刻t2にて終了する。時刻t1から時刻t2までの時間は、普通図柄の変動時間に該当する。そして、時刻t2で普通図柄の変動が終了すると、時刻t2から時刻t3までの時間にわたって普通図柄が停止表示される。時刻t2から時刻t3までの時間は、普通図柄の停止表示時間である(例えば、0.5秒程度)。ここでは、普通図柄が当選の態様で停止表示されたものとする。
図26中(D):普通図柄が当選の態様で停止表示されたことを契機として、可変始動入賞装置28が開放状態となる。なお、可変始動入賞装置28が開放状態になるまでには、普通図柄の停止表示が終了した後に多少のタイムラグが発生することもある(以下、同様)。可変始動入賞装置28は、時刻t3にて開放状態が開始され、時刻t6にて開放状態が終了して閉鎖状態となる。時刻t3から時刻t6までの時間は、可変始動入賞装置28の開放時間である(例えば、6.0秒程度)。
図26中(E):時刻t6にて可変始動入賞装置28の開放状態が終了したことを契機として、発射位置指定表示ランプ38eが点灯状態から消灯状態に制御される(第2表示継続手段)。
このように、発射位置指定表示ランプ38eの第1制御手法によれば、時間短縮状態の終了時に可変始動入賞装置28が開放状態であれば、その開放状態が終了するまでの間は右打ちを継続させることが遊技者にとって有利であると捉えることにより、発射位置指定表示ランプ38eの点灯表示を延長させることができる。これにより、後述する入賞発生促進演出においては、右打ちを直接的に示唆する態様の演出を実行することができる。
〔発射位置指定表示ランプ38eの第2制御手法〕
図27は、発射位置指定表示ランプ38eの第2制御手法について説明するタイミングチャートである。なお、図27中(A)〜図27中(D)についての各種タイミングは、図26で示した例と同様である。
図27中(E):上述した図26の制御手法では、時刻t6にて可変始動入賞装置28の開放状態が終了したことを契機として、発射位置指定表示ランプ38eを点灯状態から消灯状態に制御する例で説明したが、本制御手法では、時刻t5にて時間短縮機能がONからOFFに制御されたことを契機として、発射位置指定表示ランプ38eを点灯状態から消灯状態に制御している(第2表示終了手段)。
このように、発射位置指定表示ランプ38eの第2制御手法によれば、時間短縮状態の終了時に可変始動入賞装置28が開放状態であっても、あくまで時間短縮状態の有無に追従させて発射位置指定表示ランプ38eの点灯又は消灯を制御することになる。これにより、後述する入賞発生促進演出においては、右打ちを間接的に示唆する態様の演出等を実行することができる。
〔可変入賞装置管理処理〕
次に、可変入賞装置管理処理の詳細について説明する。図28は、可変入賞装置管理処理の構成例を示すフローチャートである。可変入賞装置管理処理は、遊技プロセス選択処理(ステップS5100)、大入賞口開放パターン設定処理(ステップS5200)、大入賞口開閉動作処理(ステップS5300)、大入賞口閉鎖処理(ステップS5400)、終了処理(ステップS5500)のサブルーチン群を含む構成である。
ステップS5100:遊技プロセス選択処理において、主制御CPU72は次に実行するべき処理(ステップS5200〜ステップS5500のいずれか)のジャンプ先を選択する。すなわち主制御CPU72は、ジャンプテーブルから次に実行するべき処理のプログラムアドレスをジャンプ先のアドレスとして選択し、また戻り先のアドレスとして可変入賞装置管理処理の末尾をスタックポインタにセットする。いずれの処理を次のジャンプ先として選択するかは、これまでに行われた処理の進行状況によって異なる。例えば、未だ可変入賞装置30の作動(開放動作)を開始していない状況であれば、主制御CPU72は次のジャンプ先として大入賞口開放パターン設定処理(ステップS5200)を選択する。一方、既に大入賞口開放パターン設定処理が完了していれば、主制御CPU72は次のジャンプ先として大入賞口開閉動作処理(ステップS5300)を選択し、大入賞口開閉動作処理まで完了していれば、次のジャンプ先として大入賞口閉鎖処理(ステップS5400)を選択する。また、設定された連続作動回数(ラウンド数)にわたって大入賞口開閉動作処理及び大入賞口閉鎖処理が繰り返し実行されると、主制御CPU72は次のジャンプ先として終了処理(ステップS5500)を選択する。
ステップS5200:大入賞口開放パターン設定処理では、主制御CPU72は1ラウンド中の開放時間、インターバル及びラウンド数の開放パターンを設定する。なお本実施形態では、1ラウンドの開放時間が最大で例えば「6.0秒」、また、ラウンド数は「2ラウンド」に予め固定されている。これにより、開放タイマ、インターバルタイマ、ラウンド数カウンタにそれぞれ値がセットされることになる。そして主制御CPU72は次のジャンプ先を大入賞口開閉動作処理に設定する。ただし、上記の開放パターンはあくまで一例であり、これに限定されるものではない。
ステップS5300:次に大入賞口開閉動作処理では、主制御CPU72は可変入賞装置30の開閉動作(開放動作)を制御する。具体的には、主制御CPU72は大入賞口ソレノイド90に対して印加する駆動信号を出力する。これにより、可変入賞装置30の開閉部材30aが閉止位置から開放位置に変位し、大入賞口30bへの入賞の発生が可能な状態になる。また主制御CPU72は、開放タイマのカウントダウンを実行し、開放タイマの値が0以下になっていなければ、次に入賞球数のカウントを実行する。開放時間が終了するか、もしくはカウント数が所定数(例えば1個)に達したことを確認すると、主制御CPU72は大入賞口を閉止させる。具体的には、大入賞口ソレノイド90に印加していた駆動信号の出力を停止する。これにより、可変入賞装置30が開放状態から閉止状態に復帰する。この後、主制御CPU72はインターバルタイマのカウントダウンを実行し、インターバルタイマの値が0以下になると、次のジャンプ先を大入賞口閉鎖処理に設定する。
ステップS5400:大入賞口閉鎖処理では、主制御CPU72は可変入賞装置30の作動を継続したり、その作動を終了したりする。すなわち、現在の遊技状態が大当り中(大役中)であれば、主制御CPU72は上記のラウンド数カウンタをインクリメントする。これにより、例えば1ラウンド目が終了し、2ラウンド目に向かう段階でラウンド数カウンタの値が増加する。そして主制御CPU72は、次のジャンプ先を大入賞口開閉動作処理に設定すると、入賞球数カウンタをリセットする。
主制御CPU72が次に可変入賞装置管理処理を実行すると、遊技プロセス選択処理(ステップS5100)で主制御CPU72は次のジャンプ先である大入賞口開閉動作処理を実行する。そして、大入賞口開閉動作処理の実行後に主制御CPU72が再び大入賞口閉鎖処理を実行することで、実際のラウンド数が設定した実行ラウンド数(2回)に達するまでの間、可変入賞装置30の開閉動作が連続して実行される。そして、実際のラウンド数が設定した実行ラウンド数に達した場合、主制御CPU72はラウンド数カウンタをリセット(=0)すると、次のジャンプ先を終了処理に設定する。また主制御CPU72は、入賞球数カウンタをリセットし、可変入賞装置管理処理に復帰する。これにより、次に主制御CPU72が可変入賞装置管理処理を実行すると、今度は終了処理が選択されることになる。
〔終了処理〕
図29は、終了処理の手順例を示すフローチャートである。この終了処理は、可変入賞装置30の作動を終了する際の条件を整えるためのものである。以下、手順に沿って説明する。
ステップS5502:主制御CPU72は、大当りフラグをリセット(00H)する。これにより、主制御CPU72の制御処理上で大当り遊技状態は終了する。
ステップS5504:また主制御CPU72は、ここで内部的に大役中の状態を終了する。
ステップS5510:次に主制御CPU72は、RAM76のフラグ領域を参照し、上記の時間短縮機能作動フラグの値(01H)がセットされているか否かを確認する。この時間短縮機能作動フラグは、先の特別図柄変動前処理(図18)においてセットされるものである。時間短縮機能作動フラグがセットされていれば(Yes)、主制御CPU72は次にステップS5512を実行する。
ステップS5512:主制御CPU72は、今回の当選図柄に対応する時間短縮機能作動回数(10000回等)に基づき、時間短縮機能に対応する回数切りカウンタの値を設定する。設定した回数切りカウンタの値は、上述したRAM76の時短カウント領域に格納される。なお、時間短縮機能作動フラグがセットされていなければ(ステップS5510:No)、主制御CPU72はステップS5512を実行しない。この場合、大当り終了後に「時間短縮状態」には移行しない(時間短縮機能が非作動)。なお、本実施形態では、時間短縮機能作動回数の付与回数の相違はあれども、大当り終了後には必ず「時間短縮状態」に移行されることになる。
ステップS5514:主制御CPU72は、ここで状態指定コマンドを生成する。具体的には、大当りフラグのリセットに伴い、遊技状態として「大役終了」を表す状態指定コマンドを生成する。また時間短縮機能作動回数に基づいて回数切りカウンタの値を設定した場合、内部状態として「時間短縮状態」を表す状態指定コマンドを生成する。これら状態指定コマンドは、演出制御出力処理(図10中のステップS214)において演出制御装置124に送信される。
ステップS5516:大当り時に以上の手順を経ると、主制御CPU72は次のジャンプ先を大入賞口開放パターン設定処理に設定する。
ステップS5518:そして主制御CPU72は、特別図柄遊技処理の中の実行選択処理(図17中のステップS1000)でのジャンプ先を特別図柄変動前処理に設定する。以上の手順を終えると、主制御CPU72は可変入賞装置管理処理に復帰する。
以上が特別図柄遊技処理(図10中のステップS206)を通じて行われる内部抽選や可変入賞装置30を作動させるための制御手法の概要である。
〔普通図柄記憶更新処理〕
次に、上記の普通図柄記憶更新処理(図15中のステップS17)について説明する。図30は、普通図柄記憶更新処理の手順例を示すフローチャートである。以下、普通図柄記憶更新処理の手順について順を追って説明する。
ステップS20:ここでは先ず、主制御CPU72は普通図柄作動記憶数カウンタの値を参照し、作動記憶数が最大値の4未満であるか否かを確認する。作動記憶数カウンタは、RAM76の乱数記憶領域に記憶されている普通図柄当り決定乱数の個数(組数)を表すものである。すなわち、RAM76の乱数記憶領域は普通図柄について4つのセクション(例えば各1バイト)に分けられており、各セクションには普通図柄当り決定乱数を1個ずつ記憶可能である。このとき、作動記憶数カウンタの値が上限値(最大値)に達していれば(Yes)、主制御CPU72はスイッチ入力イベント処理(図15)に復帰する。一方、作動記憶数カウンタの値が上限値(最大値)未満であれば(No)、主制御CPU72は次のステップS21に進む。
ステップS21:主制御CPU72は、普通図柄作動記憶数を1つ加算する。普通図柄作動記憶数カウンタは、例えばRAM76の作動記憶数領域に記憶されており、主制御CPU72はその値をインクリメント(+1)する。ここで加算されたカウンタの値に基づき、表示出力管理処理(図10中のステップS212)で普通図柄作動記憶ランプ33aの点灯状態が制御されることになる。
ステップS22:そして主制御CPU72は、例えばRAM76の当り乱数カウンタ領域から普通図柄に対応する当り決定乱数値を取得する(抽選要素取得手段)。主制御CPU72は、指定したアドレスから普通図柄当り決定乱数値をリードすると、これを普通図柄に対応する当り決定乱数として転送先のアドレスにセーブする。
ステップS23:主制御CPU72は、セーブした普通図柄当り決定乱数を普通図柄に対応する乱数記憶領域に転送し、これを領域内の空きセクションに記憶させる。複数のセクションには順番(例えば第1〜第4)が設定されており、現段階で第1〜第4の全てのセクションが空きであれば、第1セクションから順に当り決定乱数が記憶される(抽選要素記憶手段)。あるいは、第1セクションが既に埋まっており、その他の第2〜第4セクションが空きであれば、第2セクションから順に当り決定乱数が記憶されていく。なお、乱数記憶領域の読み出しはFIFO形式である。
ステップS23a:主制御CPU72は、普通図柄に関して取得時演出判定処理を実行する(先判定手段)。この処理は、先のステップS22,S23でそれぞれ取得した普通図柄の当り決定乱数及び当り図柄乱数に基づいて、事前(変動開始前)に作動抽選の結果を判定し、それによって作動抽選の抽選結果や普通図柄の変動時間を判定(いわゆる「先読み」)するためのものである。そして、主制御CPU72は、事前の判定結果に基づいて変動パターン先判定コマンドを生成する。ここで生成される変動パターン先判定コマンドには、作動抽選の抽選結果や普通図柄の変動時間(又は変動パターン番号)等の判定情報が反映される。ここで生成された変動パターン先判定コマンドは、以下の普通図柄演出コマンド出力設定処理(ステップS24)で送信バッファにセットされ、演出制御装置124に送信される。
ステップS24:そして主制御CPU72は、普通図柄演出コマンド出力設定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は例えば普通図柄の始動音制御コマンドや、先のステップS23で生成した変動パターン先判定コマンドを演出制御装置124に対して送信するための設定を行う。
以上の手順を終えるか、もしくは普通図柄作動記憶数が4(最大値)に達していた場合(ステップS20:Yes)、主制御CPU72はスイッチ入力イベント処理(図15)に復帰する。
〔普通図柄遊技処理〕
次に、割込管理処理中に実行される普通図柄遊技処理(図10中のステップS207)の詳細について説明する。図31は、普通図柄遊技処理の構成例を示すフローチャートである。普通図柄遊技処理は、実行選択処理(ステップS1001)、普通図柄変動前処理(ステップS2001)、普通図柄変動中処理(ステップS3001)、普通図柄停止表示中処理(ステップS4001)、可変始動入賞装置管理処理(ステップS5001)のサブルーチン群を含む構成である。ここでは先ず、各処理に沿って普通遊技管理処理の基本的な流れを説明する。
ステップS1001:実行選択処理において、主制御CPU72は次に実行するべき処理(ステップS2001〜ステップS5001のいずれか)のジャンプ先を選択する。例えば、主制御CPU72は次に実行するべき処理のプログラムアドレスをジャンプ先のアドレスとし、また戻り先のアドレスとして普通図柄遊技処理の末尾を「ジャンプテーブル」にセットする。いずれの処理を次のジャンプ先として選択するかは、これまでに行われた処理の進行状況によって異なる。例えば、未だ普通図柄が変動表示を開始していない状況であれば、主制御CPU72は次のジャンプ先として普通図柄変動前処理(ステップS2001)を選択する。一方、既に普通図柄変動前処理が完了していれば、主制御CPU72は次のジャンプ先として普通図柄変動中処理(ステップS3001)を選択し、普通図柄変動中処理まで完了していれば、次のジャンプ先として普通図柄停止表示中処理(ステップS4001)を選択するといった具合である。なお、本実施形態ではジャンプ先のアドレスを「ジャンプテーブル」で指定して処理を選択しているが、このような選択手法とは別に、「プロセスフラグ」や「処理選択フラグ」等を用いてCPUが次に実行するべき処理を選択している公知のプログラミング例もある。このようなプログラミング例では、CPUが一通り各処理をCALLし、その先頭ステップで一々フラグを参照して条件分岐(継続/リターン)することになるが、本実施形態の選択手法では、主制御CPU72が各処理を一々呼び出す手間は不要である。
ステップS2001:普通図柄変動前処理では、主制御CPU72は普通図柄の変動表示を開始するための条件を整える作業を行う。なお、具体的な処理の内容は、別のフローチャートを用いて後述する。
ステップS3001:普通図柄変動中処理では、主制御CPU72は変動タイマをカウントしつつ、普通図柄表示装置33の駆動制御を行う。具体的には、普通図柄表示装置33を構成する2つのLEDに対してそれぞれON又はOFFの駆動信号を出力する。駆動信号のパターンは時間の経過に伴って変化し、それによって普通図柄の変動表示が行われる。なお、本実施形態では2つのLEDを交互に点灯及び消灯させることで、普通図柄の変動表示を行うため、駆動信号のパターンをシンプルに(例えば2パターンで)構成することができ、それだけ主制御CPU72の負荷を軽減することができる。
ステップS4001:普通図柄停止表示中処理では、主制御CPU72は普通図柄表示装置33の駆動制御を行う。ここでも同様に、2つのLEDに対してそれぞれON又はOFFの駆動信号を出力するが、駆動信号のパターンは一定であり、これにより普通図柄の停止表示が行われる。なお、本実施形態では上下2つのLEDのうち、例えば上のLEDを点灯させた状態で当選時の停止表示を行い、下のLEDを点灯させた状態で非当選時の停止表示を行うことができる。
ステップS5001:可変始動入賞装置管理処理は、先の普通図柄停止表示中処理において当りの態様(例えば上の1つのLEDが点灯した状態)で普通図柄が停止表示された場合に選択される。普通図柄が当りの態様で停止表示されると、この処理において主制御CPU72は作動条件が満たされたものとして、可変始動入賞装置28を作動させる。なお、可変始動入賞装置28についての作動条件についてはさらに後述する。
可変始動入賞装置28の作動中は、先の実行選択処理(ステップS1001)においてジャンプ先が可変始動入賞装置管理処理(ステップS5001)にセットされ、普通図柄の変動表示は行われない。また可変始動入賞装置管理処理においては、普通電動役物ソレノイド88が所定時間(例えば最長で6.0秒間又は9個の入賞をカウントするまで)、規定回数(例えば1回)だけ励磁され、これにより可変始動入賞装置28が設定されたパターンで作動し、右始動入賞口28aへの入賞の発生が可能となる。
〔普通図柄変動前処理〕
次に図32は、普通図柄変動前処理の手順例を示すフローチャートである。以下、各手順に沿って説明する。
ステップS6100:先ず主制御CPU72は、普通図柄作動記憶数が残存しているか(0より大であるか)否かを確認する。この確認は、RAM76に記憶されている普通図柄作動記憶数カウンタの値を参照して行うことができる。作動記憶数が0であった場合(No)、主制御CPU72は普通図柄遊技処理(図31)に復帰する。
これに対し、普通図柄作動記憶数カウンタの値が0より大きければ(Yes)、主制御CPU72は次にステップS6200を実行する。
ステップS6200:主制御CPU72は、普通図柄記憶シフト処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はRAM76の乱数記憶領域に記憶されている抽選用乱数(普通図柄当り決定乱数)を読み出し、これを例えば別の共通記憶領域に保存する。このとき2つ以上のセクションに乱数が記憶されていれば、主制御CPU72は第1セクションから順に乱数を読み出し、残った乱数を1つずつ前のセクションに移動(シフト)させる。共通記憶領域に保存された各乱数は、以降の当り判定処理で作動抽選に使用される。
ステップS6250:次に主制御CPU72は、普通図柄作動記憶数減算処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、RAM76に記憶されている普通図柄作動記憶数カウンタの値を1つ減算し、減算後の値を「普通図柄変動開始時作動記憶数」に設定する。これにより、上記の表示出力管理処理(図10中のステップS212)の中で普通図柄作動記憶ランプ33による記憶数の表示態様が変化(1減少)する。ここまでの手順を終えると、主制御CPU72は次にステップS6300を実行する。
ステップS6300:主制御CPU72は、当り判定処理(作動抽選)を実行する(作動抽選実行手段)。この処理では、主制御CPU72は、普通図柄当り値の範囲を設定し、この範囲内に読み出した乱数値が含まれるか否かを判断する。このとき設定される普通図柄当り値の範囲は、「非時間短縮状態」と「時間短縮状態」とで異なり、「時間短縮状態」では、「非時間短縮状態」よりも当り値の範囲が約100倍程度に拡大されることで、作動抽選の当選確率が「非時間短縮状態」に比較して極端に高く設定される。そして、このとき読み出した乱数値が当り値の範囲内に含まれていれば、主制御CPU72は普通図柄当りフラグ(01H)をセットし、次にステップS6400に進む。なお、本実施形態ではプログラム上で当り値の範囲を設定して当り判定を行っているが、予め当り判定テーブルをROM74に書き込んでおき、これを読み出して乱数値と対比しながら当り判定を行うプログラミング例もある。また、状態別の具体的な当選確率については別の図面を用いてさらに後述する。
ここで、本実施形態で登場する「非時間短縮状態」と「時間短縮状態」との2つの状態について説明する。なお、「非時間短縮状態」は、遊技機で最初に遊技を開始した状態である通常中の状態であり、「時間短縮状態」は特別遊技の終了後に実行される高確率時短中と低確率時短中とを含む状態である。
〔非時間短縮状態〕
先ず「非時間短縮状態」であるが、この状態は、普通図柄の変動時間が通常の長さ(例えば15秒程度)に設定された状態である。
〔時間短縮状態〕
次に「時間短縮状態」であるが、この状態は、上記の「非時間短縮状態」と比較して普通図柄の変動時間が短縮された長さ(例えば0.6秒程度)に設定され、普通図柄抽選(作動抽選)で当選の結果が得られる確率が「非時間短縮状態」と比較して高確率に設定され(例えば「低確率」で128分の1→「高確率」で128分の127程度)、可変始動入賞装置28の開放時間が「非時間短縮状態」と比較して延長した長さ(例えば「0.1秒程度」→「6.0秒程度」)に設定された状態である。
なお、各状態の具体的な設定値等の詳細は後述するが、簡単にまとめると、「非時間短縮状態」は、いわゆる電チューサポートが行われていない状態であり、通常の頻度で特別図柄抽選についての抽選契機が発生する状態である。これに対して、「時間短縮状態」は、いわゆる電チューサポートが行われている状態であり、「非時間短縮状態」と比較して高い頻度で特別図柄抽選についての抽選契機が発生する状態である。
〔図32:普通図柄変動前処理を参照〕
ステップS6400:主制御CPU72は、先の当り判定処理で当りフラグに値(01H)がセットされたか否かを判断する。当りフラグに値(01H)がセットされていなければ(No)、主制御CPU72は次にステップS6404を実行する。
ステップS6404:主制御CPU72は、はずれ時停止図柄決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、普通図柄表示装置33によるはずれ時の停止図柄番号データをセットする。また主制御CPU72は、演出制御装置124に送信するための停止図柄指定コマンド及び抽選結果コマンド(はずれ時)を生成する。これらコマンドは、演出制御出力処理(図10中のステップS214)において演出制御装置124に送信される。
なお本実施形態では、普通図柄表示装置33に2つのLEDを用いているため、例えば上記のように、はずれ時の停止図柄の表示態様をいずれか1つ(下側)のLEDの点灯表示だけにしておき、停止図柄番号データを1つの値に固定することができる。この場合、プログラム上で使用する記憶容量を削減し、主制御CPU72の処理負荷を軽減して処理速度を向上することができる。このような考え方は、普通図柄表示装置33に7セグメントLEDを用いた場合も同様に適用することができる。
ステップS6406:次に主制御CPU72は、はずれ時変動パターン決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、普通図柄についてはずれ時の変動パターン番号を決定する。変動パターン番号は、変動パターンの種類を区別したり、そのときの変動時間を規定したりするものであり、例えば主制御CPU72による乱数抽選で決定される。すなわち主制御CPU72は、この処理において例えば変動パターン選択テーブルを参照し、このテーブル上で普通図柄当り乱数(非当選のもの)に対応する変動パターン番号を選択する。またテーブルには、変動パターン番号に対応する変動時間が予め設定されており、主制御CPU72は選択した変動パターン番号に対応する変動時間をテーブルから取得することができる。
〔普通図柄はずれ時変動パターン選択テーブル〕
図33は、普通図柄はずれ時変動パターン選択テーブルの一例を示す図である。なお、図33中(A)は通常中における普通図柄抽選での非当選時に用いられるテーブルであり、図33中(B)は低確率時短中又は高確率時短中における普通図柄抽選での非当選時に用いられるテーブルである。
ここで、図33中(A)に示されるように、通常中の普通図柄抽選にて非当選の結果が得られた場合、そのときの変動パターンは、すべて同一の変動パターンが選択されることとなる(はずれ変動パターン31;変動時間15.0秒程度)。したがって、主制御CPU72は、取得した変動パターン決定乱数値がいずれの値であっても、変動パターン番号として「31」を選択する(普通図柄変動時間決定手段)。
また、図33中(B)に示されるように、低確率時短中又は高確率時短中の普通図柄抽選にて非当選の結果が得られた場合、そのときの変動パターンは、すべて同一の変動パターンが選択されることとなる(はずれ変動パターン32;変動時間0.6秒程度)。したがって、主制御CPU72は、取得した変動パターン決定乱数値がいずれの値であっても、変動パターン番号として「32」を選択する(普通図柄変動時間決定手段)。
〔図32:普通図柄変動前処理を参照〕
以上のステップS6404,ステップS6406は、当り判定結果がはずれ時の制御手順であるが、判定結果が当り(ステップS6400:Yes)の場合、主制御CPU72は以下の手順を実行する。
ステップS6410:主制御CPU72は、当り時停止図柄決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は当り時停止図柄番号を決定する。ただし本実施形態では、普通図柄について複数の当選図柄が設けられていないため、基本的に主制御CPU72は、1種類の停止図柄番号を選択することになる。
ステップS6412:次に主制御CPU72は、当り時変動パターン決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は例えばRAM76のカウンタ領域から変動パターン決定乱数(普通図柄変動用乱数)を取得すると、その値に基づいて普通図柄の変動パターン(変動時間)を決定する。
〔普通図柄当り時変動パターン選択テーブル〕
図34は、普通図柄当り時変動パターン選択テーブルの一例を示す図である。なお、図34中(A)は、通常中における普通図柄抽選での当選時に用いられるテーブルであり、図34中(B)は低確率時短中又は高確率時短中における普通図柄抽選での当選時に用いられるテーブルである。
ここで、図34中(A)に示されるように、通常中の普通図柄抽選にて当選の結果が得られた場合、そのときの変動パターンは、すべて同一の変動パターンが選択されることとなる(非リーチ当り変動パターン41;変動時間15.0秒程度)。したがって、主制御CPU72は、取得した変動パターン決定乱数値がいずれの値であっても、変動パターン番号として「41」を選択する(普通図柄変動時間決定手段)。
また、図34中(B)に示されるように、低確率時短中又は高確率時短中の普通図柄抽選にて当選の結果が得られた場合、そのときの変動パターンは、すべて同一の変動パターンが選択されることとなる(非リーチ当り変動パターン42;変動時間0.6秒程度)。したがって、主制御CPU72は、取得した変動パターン決定乱数値がいずれの値であっても、変動パターン番号として「42」を選択する(普通図柄変動時間決定手段)。
〔図32:普通図柄変動前処理を参照〕
ステップS6413:主制御CPU72は、当り時その他設定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は当り時停止図柄番号に基づいて、普通図柄表示装置33による停止図柄(当り図柄)の表示態様を決定する。ただし、上記のように本実施形態では停止図柄番号が1種類であるため、主制御CPU72は1つの表示態様(上側のLEDを点灯)を決定する。また主制御CPU72は、演出制御装置124に送信する停止図柄コマンド及び抽選結果コマンド(当り時)を生成する。これら停止図柄コマンド及び抽選結果コマンドもまた、演出制御出力処理(図10中のステップS214)において演出制御装置124に送信される。
ステップS6414:次に主制御CPU72は、普通図柄変動開始処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は変動パターン番号(はずれ時/当り時)に基づいて変動パターンデータを選択し、変動パターンに対応する変動時間の値を変動タイマにセットする。合わせて主制御CPU72は、RAM76のフラグ領域に普通図柄の変動開始フラグをセットする。そして主制御CPU72は、演出制御装置124に送信する変動開始コマンドを生成する。この変動開始コマンドもまた、上記の演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。以上の手順を終えると、主制御CPU72は普通図柄遊技処理に復帰する。
〔図31:普通図柄変動中処理,普通図柄停止表示中処理〕
普通図柄遊技処理に復帰すると、主制御CPU72は普通図柄変動中処理(ステップS3001)を次のジャンプ先に設定する。普通図柄変動中処理では、上記のように主制御CPU72は変動タイマの値をレジスタからタイマカウンタにロードし、その後、時間の経過(クロックパルスのカウント数、又は割込カウンタのカウント数)に応じてタイマカウンタの値をデクリメントする。そして主制御CPU72は、タイマカウンタの値を参照しつつ、その値が0になるまで上記のように普通図柄の変動表示を制御する。そして、タイマカウンタの値が0になると、主制御CPU72は普通図柄停止表示中処理(ステップS4001)を次のジャンプ先に設定する。
普通図柄停止表示中処理では、主制御CPU72は当り時停止図柄決定処理(図32中のステップS6404,ステップS6410)で決定した停止図柄に基づいて普通図柄の停止表示を制御する。また主制御CPU72は、演出制御装置124に送信する図柄停止コマンドを生成する。図柄停止コマンドは、上記の演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。なお、普通図柄停止表示中処理の中で停止図柄を所定時間にわたり表示させると、主制御CPU72は図柄変動中フラグを消去する。
〔可変入賞装置管理処理〕
次に、可変始動入賞装置管理処理について説明する。図35は、可変始動入賞装置管理処理の構成例を示すフローチャートである。可変始動入賞装置管理処理は、遊技プロセス選択処理(ステップS5101)、開放パターン設定処理(ステップS5201)、開閉動作処理(ステップS5301)、閉鎖処理(ステップS5401)、終了処理(ステップS5501)のサブルーチン群を含む構成である。
ステップS5101:遊技プロセス選択処理において、主制御CPU72は次に実行するべき処理(ステップS5201〜ステップS5501のいずれか)のジャンプ先を選択する。すなわち主制御CPU72は、ジャンプテーブルから次に実行するべき処理のプログラムアドレスをジャンプ先のアドレスとして選択し、また戻り先のアドレスとして可変始動入賞装置管理処理の末尾をスタックポインタにセットする。いずれの処理を次のジャンプ先として選択するかは、これまでに行われた処理の進行状況によって異なる。例えば、未だ可変始動入賞装置28の作動を開始していない状況であれば、主制御CPU72は次のジャンプ先として開放パターン設定処理(ステップS5201)を選択する。一方、既に開放パターン設定処理が完了していれば、主制御CPU72は次のジャンプ先として開閉動作処理(ステップS5301)を選択し、開閉動作処理まで完了していれば、次のジャンプ先として閉鎖処理(ステップS5401)を選択する。また、開閉動作処理及び閉鎖処理を実行すると、主制御CPU72は次のジャンプ先として終了処理(ステップS5501)を選択する。以下、それぞれの処理についてさらに詳しく説明する。
〔開放パターン設定処理〕
ステップS5201:開放パターン設定処理では、主制御CPU72は可変始動入賞装置28の開放パターンとして、例えば作動時間(開放時間)と作動回数(開放回数)を設定する。なお、本実施形態では「非時間短縮状態」又は「時間短縮状態」に応じて、可変始動入賞装置28の作動時間を異ならせて設定している(詳細は後述する)。そして主制御CPU72は、次のジャンプ先として開閉動作処理(ステップS5301)を設定する。
ステップS5301:次の開閉動作処理では、主制御CPU72は先のステップS5201で設定した作動時間に基づいて普通電動役物ソレノイド88を駆動する。これにより、実際に可変始動入賞装置28の作動(開放)が行われる。また主制御CPU72は、次のジャンプ先として閉鎖処理(ステップS5401)を設定する。
ステップS5401:閉鎖処理では、主制御CPU72は作動時間の経過をタイマカウンタ値に基づいてカウントする。そして、タイマカウンタの値が0以下になれば、主制御CPU72は普通電動役物ソレノイド88を非作動状態(OFF)に切り替える。そして主制御CPU72は、次のジャンプ先として終了処理(ステップS5501)を設定する。
ステップS5501:終了処理では、主制御CPU72は可変始動入賞装置28の作動を終了する際の条件を整える。例えば、主制御CPU72は普通電動役物作動フラグの値(01H)をリセットする。そして主制御CPU72は、普通図柄遊技処理の中の実行選択処理(図31中のステップS1001)でのジャンプ先を普通図柄変動前処理に設定する。以上の手順を終えると、主制御CPU72は可変始動入賞装置管理処理に復帰する。
図36は、普通図柄作動条件設定テーブルの構成例を示す図である。この普通図柄作動条件設定テーブルは、通常中(非時間短縮状態)と、低確率時短中又は高確率時短中(時間短縮状態)とで普通図柄の当り確率や変動時間を異なる設定とし、また、当り時の可変始動入賞装置28の開放パターン(作動時間)を異なる設定とするためのものである。
図36中の上から2番目の段に示されているように、通常中で行われる普通図柄抽選(作動抽選)に際しては、通常の当り確率(例えば1/128)が適用される。また通常中に行われる普通図柄の変動表示については、ロング変動時間(15.0秒程度)が適用される。
また通常中においては、可変始動入賞装置28はショート開放パターンに基づいて開放動作を行う。具体的には、例えばショート開放時間(作動時間:0.1秒)、及び1回の作動回数が設定された作動パターンが適用される。
一方、図36中の一番下の段に示されているように、低確率時短中又は高確率時短中(時間短縮状態)で行われる作動抽選に際しては、通常に比較して高い当り確率(例えば127/128≒1/1)が適用される。これにより、低確率時短中又は高確率時短中では通常中よりも高い頻度で作動抽選に当選する(作動条件が満たされる)ことから、それだけ高い頻度で可変始動入賞装置28への入賞が発生しやすくなる。また、低確率時短中又は高確率時短中に行われる普通図柄の変動表示については、ショート変動時間(例えば0.6秒程度)が適用される。
また低確率時短中又は高確率時短中においては、可変始動入賞装置28はロング開放パターンに基づいて開放動作を行う。具体的には、例えばロング開放時間(作動時間:6.0秒)、及び1回の作動回数が設定された作動パターンが適用される。
以上が普通図柄遊技処理(図10中のステップS207)を通じて行われる作動抽選や可変始動入賞装置28を作動させるための制御手法の概要である。
〔演出画像の例〕
次に、パチンコ機1において実際にドットマトリクスLED表示器42に表示される演出画像について、いくつかの例を挙げて説明する。以上のように、パチンコ機1において大当りの内部抽選が行われると、主制御CPU72による制御の下で変動パターン(変動時間)を決定し、特別図柄による変動表示が行われる(特別図柄表示手段)。ただし、上記のように特別図柄そのものは7セグメントLEDによる点灯・点滅表示であるため、見た目上の訴求力に乏しい。そこでパチンコ機1では、演出図柄を用いた変動表示演出が行われている。
演出図柄には、例えば左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄の3つが含まれており、これらはドットマトリクスLED表示器42の画面上で左・中・右に並んで表示される。各演出図柄は、例えば数字の「0」〜「9」が表現されたものとなっている。そして、すべての演出図柄(左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄)については、数字が「0」〜「9」の昇順に並んだ図柄列を構成している。このような図柄列は、画面上の左領域・中領域・右領域でそれぞれ縦方向に流れる(スクロールする)ようにして変動表示される。
〔特別図柄当り演出〕
図37は、特別図柄の変動表示及び停止表示に対応させた演出例を示す連続図である。なお、ここでは当選時の特別図柄の変動について、演出図柄を用いて行われる変動表示演出と停止表示演出の一例を表している。この変動表示演出は、特別図柄が変動表示を開始してから、停止表示(確定停止を含む)するまでの間に行われる一連の演出に該当する。また停止表示演出は、特別図柄が停止表示されたことと、そのときの内部抽選の結果を演出図柄の組み合わせとして表す演出である。ここでは先ず、制御処理の具体的な内容を説明する前に、本実施形態で採用されている変動1回ごとの変動表示演出と停止表示演出の基本的な流れについて説明する。
〔変動表示演出開始〕
図37中(A):特別図柄の変動開始に同期して、ドットマトリクスLED表示器42の表示画面上で3つの演出図柄がスクロール変動することで変動表示演出が開始される。図中、演出図柄の変動表示は単に下向きの矢印で示されている。また、ここでは図示していないが、この後例えば表示画面内にキャラクターやアイテム等の画像を表示させることで、予告演出が行われる態様であってもよい。
〔左演出図柄の停止〕
図37中(B):特別図柄の変動が開始してから、ある程度の時間が経過すると、最初に左演出図柄が変動を停止する。この例では、画面の左側位置にドット文字の「7」を表す演出図柄が停止したことが表されている。
〔リーチ状態発生〕
図37中(C):さらに、右演出図柄が変動を停止し、このとき画面の右側位置に同じくドット文字の「7」を表す演出図柄が停止することで、リーチ状態が発生する。このとき中演出図柄は変動中である。
一般に、演出上で同種の演出図柄が3つ揃って停止すると「当り」であり、ここでは「当り」の確定まで残りあとの1つ中演出図柄が停止表示されるだけの状態である。なお特に図示していないが、表示画面内に「リーチ!」等の文字情報を表示し、合わせて音声を出力する演出が行われる態様であってもよい。リーチ状態の発生後は、最後の演出図柄(中演出図柄)が停止表示されるまでの過程が多様な内容で表現される。この例では、中演出図柄がゆっくりとスクロールしながら移動する演出が行われている。このような演出は、「最後に「7」のドット文字が停止すれば当り」という観念を遊技者に想起させ、それまでの過程で期待感を持続させようとするものである。
〔リーチ発生後予告演出〕
図37中(D):リーチ演出が終盤に近付いたところで、突然、画面上にハートの図形の画像が大写しに割って入るようにして表示されるという内容のリーチ発生後予告演出が行われる。この時点で例えばリーチ演出の内容は、「最後の「6」のドット文字が通過すれば、次に「7」−「7」−「7」の大当りの可能性が高まる」という展開である。したがって、このタイミングで大きくハートの図形の画像を出現させることにより、遊技者に対して「当りになるかもしれない」という期待感を抱かせる効果が得られる。また、図示の例では、3つのハートの図形を表示している例で説明しているが、ハートの図形の個数を増減させることにより大当りに対する信頼度(期待度)を変化させることもできる。
〔結果表示演出〕
図37中(E):特別図柄の停止表示に略同期して(完全に同時でなくてもよい)、最後の中演出図柄が停止する。図示の例では、画面上に「7」のドット文字が停止表示されており、左・中・右の演出図柄は「7」−「7」−「7」の当りの態様で停止表示される。このように、大当りの態様で演出図柄(特別図柄)が停止表示されると、可変入賞装置30の作動が開始されることになる。
〔可変入賞装置作動時演出〕
図38は、可変入賞装置作動時に実行される演出例を示す図である。この例では、例えばドットマトリクスLED表示器42の画面内に「右ダ!」というドット文字を表示したり(図38中(A)参照)、右方向を指示する右矢印の図形を模した画像を表示したりすることができる(図38中(B)参照)。このような演出を実行することで、遊技者に対して「右打ち」を促し、可変入賞装置30の作動が開始されることを意識させることができる。なお、このとき表示画面上で文字情報を表示するのに合わせて、スピーカ54,55,56から「右を狙ってね」や「右打ちしてね」等の音声を発生させてもよい。なお、この可変入賞装置作動時演出は、可変入賞装置30の作動が開始された直後に実行してもよいが、可変入賞装置30の作動が開始される前の状態(可変入賞装置開放待ち状態)で実行してもよい。
〔大役中演出〕
次に図39は、連続した大当り状態が発生している際に実行される演出例を示す図である。本実施形態のパチンコ機1は、一旦大当り状態が発生すると、大当り状態が何度も繰り返される(ループする)タイプの遊技機である。以下の演出例は、大当りのループ状態が発生している状態において、可変始動入賞装置28及び可変入賞装置30が作動している際の演出例を示すものである。
可変入賞装置30が作動している際には、例えばドットマトリクスLED表示器42の画面内に「V」というドット文字を表示したり(図39中(A)参照)、「アタリ」というドット文字を表示したりすることができる(図39中(B)参照)。このような演出を実行することにより、遊技者に対して「大役中」であるということを教示したり、特別遊技状態に突入した又は特別遊技状態が継続しているという満足感を与えたりすることができる。
また、大当りのループが発生している状態であって、可変始動入賞装置28が作動している際には(高確率時短中)、確変当選が発生する度ごとに1つずつリミッタが減少していくため、例えばドットマトリクスLED表示器42の画面内に「ノコリ」というドット文字を表示し(図39中(C)参照)、それに続けて「15回」というドット文字を表示したりすることができる(図39中(D)参照)。これにより、遊技者に対して「リミッタ残数が次第に減少してきている」ということを想起させ、実際のゲームフロー上で使用されている内部情報(「リミッタ回数」)を遊技者に伝達(教示、示唆)することができる。
〔リミッタ到達時演出〕
次に図40は、リミッタ到達時に実行される演出例を示す図である。内部的に「リミッタ回数」の残りが0回に達した場合、以下の演出例が実行される。
〔終了演出〕
図40中(A):ドットマトリクスLED表示器42の画面内に例えば「オワリ」のドット文字が表示される。これにより、遊技者に対して「大当りのループが終了した」ということを教示することができる。
〔時短回数教示演出(その1)〕
図40中(B):終了演出に続けて、時短回数教示演出が実行される。ここでは、リミッタ到達時に「確変図柄1」に該当し、「単発図柄1」に強制されて、時間短縮機能作動回数が「2回」付与されていたものとする。図示の例では、ドットマトリクスLED表示器42の画面内に例えば「ジタン」のドット文字が表示される。
〔時短回数教示演出(その2)〕
図40中(C):そして、付与された時間短縮機能作動回数が遊技者に伝達される。図示の例では、ドットマトリクスLED表示器42の画面内に例えば「2回」のドット文字が表示される。これにより、遊技者に対して「時間短縮状態でのチャンスが2回ある」ということを教示することができ、次なる大当りへ向けて遊技意欲を持続させることができる。
時間短縮状態に突入した場合には、可変始動入賞装置28が高頻度で作動することになるため、球誘導ユニット40の球流入口40aに遊技球を流入させなくても特別図柄を変動させることができることから、それだけ有利な状態といえる。ただし、特別図柄の当選確率は低確率に戻っているため、付与された時間短縮機能作動回数の分だけ特別図柄を変動させても、特別図柄抽選にて当選が得られずに通常状態に復帰することもある。
〔残開放時間教示演出〕
次に図41は、時間短縮状態での特別図柄の最終変動に際して実行される残開放時間教示演出の演出例を示す図である。以下の演出例は、時間短縮機能作動回数が「2回」付与されている場合において、時間短縮状態での2回目の変動表示が行われており、2回目の変動において非当選に該当するノーマルリーチ演出が選択されている場合の演出例である。
〔変動表示演出開始〕
図41中(A):特別図柄の変動開始に同期して、ドットマトリクスLED表示器42の表示画面上で3つの演出図柄がスクロール変動することで変動表示演出が開始される。
〔左演出図柄の停止〕
図41中(B):特別図柄の変動が開始されてから、ある程度の時間が経過すると、最初に左演出図柄が変動を停止する。この例では、画面の左側位置にドット文字の「3」を表す演出図柄が停止したことが表されている。
〔リーチ状態発生〕
図41中(C):さらに、右演出図柄が変動を停止し、このとき画面の右側位置に同じくドット文字の「3」を表す演出図柄が停止することで、リーチ状態が発生する。このとき中演出図柄は変動中である。
〔残開放時間教示演出(大チャンス演出)〕
図41中(D):リーチ演出が終盤に近付いたところで、特別図柄の残りの変動時間が所定の値に達した(例えば残り5秒となった)ものとする。このとき、突然、画面上に「ネラエヨ」のドット文字が大写しに割って入るようにして表示される。ここでは、可変始動入賞装置28の残開放時間が3秒以上残っていたものとする。なお「残開放時間」とは、時間短縮状態が終了した際に開放状態である可変始動入賞装置28の残りの開放時間に相当する時間である。また、残開放時間教示演出における大チャンス演出とは、時間短縮状態から非時間短縮状態に復帰した際には特別図柄抽選(内部抽選)についての抽選契機が発生する可能性が高いことを示唆する内容の演出である。
〔残開放時間教示演出(小チャンス演出)〕
図41中(E):一方、可変始動入賞装置28の残開放時間が3秒未満である場合、特別図柄の残りの変動時間が5秒になったことを契機として、画面上に突然「キツイ」のドット文字が大写しに割って入るようにして表示される。
ここで、残開放時間教示演出における小チャンス演出とは、先の大チャンス演出と比較して時間短縮状態から非時間短縮状態に復帰した際には特別図柄抽選(内部抽選)についての抽選契機が発生する可能性が低いことを示唆する内容の演出である。
このように、本実施形態によれば、時間短縮状態が終了する前に「残開放時間」に関する情報を教示するため、遊技者は時間短縮状態が終了する前から「残開放時間」に関する情報を事前に知ることができる。このため、時間短縮状態が終了する際に可変始動入賞装置28が開放し続ける状況であれば、内部抽選の契機を再び発生させることができるプラス1変動のチャンス状態が発生するため、可変始動入賞装置28の残りの開放時間を教示することにより、遊技者はそのチャンス状態に対して予め準備をしておくことができる。
そして、この「残開放時間」を教示する残開放時間教示演出は、初心者に対しても、熟練者に対しても実行される演出となるため、遊技者の技量による優劣がなくなり、遊技者の知識や技量によって有利不利を招くことを抑制し、遊技の公平性を担保することができる。
また、本実施形態によれば、残開放時間が3秒以上残っていれば、プラス1変動のチャンス状態においては内部抽選の抽選契機が比較的発生しやすい状態となるため「大チャンス演出(ネラエヨ)」を実行することができる。一方、残開放時間が3秒未満であれば、プラス1変動のチャンス状態においてはもしかしたら内部抽選の抽選契機が発生しないことも想定されるため、その場合は「小チャンス演出(キツイ)」を実行することにより、バリエーションに富んだ演出内容とすることができる。
〔結果表示演出〕
図41中(F):特別図柄の停止表示に略同期して(完全に同時でなくてもよい)、最後の中演出図柄が停止する。図示の例では、画面上に「4」のドット文字が停止表示されており、左・中・右の演出図柄は「3」−「4」−「3」の当りの態様で停止表示される。これにより、今回の特別図柄の変動が非当選であったことを遊技者に対して教示することができる。
〔時間短縮状態終了後演出〕
図42は、時間短縮状態が終了した際に実行される時間短縮状態終了後演出の演出例を示す図である。本実施形態では、時間短縮状態終了後演出として、「入賞発生促進演出」と「特殊入賞演出」との2種類が用意されている。
ここで、「入賞発生促進演出」とは、時間短縮状態から非時間短縮状態に復帰した場合に、可変始動入賞装置28の残開放時間を利用して遊技者に可変始動入賞装置28への入賞の発生を促す内容の演出である。
また「特殊入賞演出」とは、時間短縮状態から非時間短縮状態に復帰した際に開放状態である可変始動入賞装置28にて入賞が発生することにより特別図柄抽選についての抽選契機が発生した場合、特別図柄抽選についての抽選契機が発生したことを示す内容の演出である。さらに以下の演出例は、第1制御手法(図26参照)を採用している場合の演出例である。
〔入賞発生促進演出(大チャンス演出)〕
図42中(A):可変始動入賞装置28の残開放時間が所定の値以上(例えば3秒以上)である場合、特別図柄抽選についての抽選契機が発生する可能性が高いことを示唆する態様により入賞発生促進演出(大チャンス演出)が実行される。具体的には、画面上に「イマダ」のドット文字が表示される。
また、ここでは第1制御手法(図26参照)を採用しているため、残開放時間を利用して第2遊技領域(右側領域)に遊技球を発射すべきことを直接的に示唆する態様(例えば、「右ウチ」、「右ヲネラエ」等のドット文字の表示)により入賞発生促進演出を実行することができる。これにより、遊技者に対しては右打ちを示唆するとともに、可変始動入賞装置28にて入賞が発生する可能性が高いことを教示することができる。
〔入賞発生促進演出(小チャンス演出)〕
図42中(B):一方、可変始動入賞装置28の残開放時間が所定の値未満(例えば3秒未満)である場合、上記の大チャンス演出と比較して特別図柄抽選についての抽選契機が発生する可能性が低いことを示唆する態様により入賞発生促進演出(小チャンス演出)が実行される。具体的には、画面上に「ゴメン」のドット文字が表示される。これにより、遊技者に対しては、右打ちを行っても、可変始動入賞装置28にて入賞が発生する可能性が低いことを教示することができる。
これにより、遊技者に対しては、時間短縮状態が終了する前の1段階目の演出として上記の残開放時間教示演出が実行され、時間短縮状態が終了した後には2段階目の演出として入賞発生促進演出が実行されるため、プラス1変動のチャンス状態への意識を向上させ、プラス1変動のチャンス状態を逸することを2段階の演出の相乗効果により抑止することができる。
〔特殊入賞演出〕
図42中(C):ここで、図42中(A)に示す大チャンス演出が実行された場合、可変始動入賞装置28の残開放時間は比較的長い時間残っているため、可変始動入賞装置28にて入賞が発生しやすい状態である。一方、図42中(B)に示す小チャンス演出が実行された場合、残開放時間はほとんど残っていないため、右打ちを継続しても可変始動入賞装置28にて入賞が発生しにくい状態である。
ただし、可変始動入賞装置28の残開放時間がほとんど残っていない状況であっても、可変始動入賞装置28にて入賞が発生することはあり得るため、可変始動入賞装置28にて入賞が発生すれば、特別図柄抽選についての抽選契機が発生したことを示す内容の特殊入賞演出が実行される。具体的には、画面上に「モウ1回」のドット文字が表示される。なお、特殊入賞演出の演出尺にもよるが、その後は通常のリーチ演出等が実行される。
このように、非時間短縮状態に復帰した際に開放状態である可変始動入賞装置28にて入賞が発生することにより内部抽選についての抽選契機が発生した場合、プラス1変動のチャンス状態において入賞が発生したことを強調する演出が実行されるので、遊技者の達成感や満足度を向上させることができる。
〔入賞発生促進演出〕
図43は、入賞発生促進演出の他の演出例を示す図である。以下の演出例は、第2制御手法(図27参照)を採用している場合の演出例である。ここでは、時間短縮状態での特別図柄の最終変動に際してノーマルリーチ演出が実行され、非当選の態様で演出図柄が停止表示された際の演出例について説明する。
〔結果表示演出〕
図43中(A):特別図柄の停止表示に略同期して(完全に同時でなくてもよい)、最後の中演出図柄が停止する。図示の例では、画面上に「4」のドット文字が停止表示されており、左・中・右の演出図柄は「3」−「4」−「3」の当りの態様で停止表示される。これにより、今回の特別図柄の変動が非当選であったことを遊技者に対して教示することができる。
〔入賞発生促進演出〕
図43中(B):ここで、可変始動入賞装置28の残開放時間を利用して、第2遊技領域(右打ち領域)に遊技球を発射すべきことを間接的に示唆する態様により入賞発生促進演出が実行される。具体的には、画面上に「爆弾」の図形を模した画像が表示され、「爆弾」の導火線に火が付いた様子が表現されている。
図43中(C):そして、導火線に着火した火種がさらに燃え進んでいくことにより、徐々に導火線が短くなっていく演出が実行される。これにより、導火線の火種が爆弾に着火して爆発が起るまでに何かをしなければならないということを間接的に示唆することができる。ここで、導火線の長さは、可変始動入賞装置28の残開放時間と対応しており、残開放時間が長いほど導火線の長さが長く表示され、残開放時間が短ければ導火線の長さが短く表示される。
ここでは、第2制御手法(図27参照)を採用しているため、残開放時間を利用して第2遊技領域(右側領域)に遊技球を発射すべきことを直接的に示唆する態様(例えば、「右ウチ」、「右ヲネラエ」等のドット文字の表示)により入賞発生促進演出を実行することができない。そこで、残開放時間を利用して第2遊技領域(右打ち領域)に遊技球を発射すべきことを間接的に示唆する態様(例えば、上記の爆弾演出や、所定のメータが徐々に減少していく演出等)、もしくは第2遊技領域(右打ち領域)に遊技球を発射すべきことを示唆しない態様(所定の画像を単純に表示するだけの演出又は無演出等)により入賞発生促進演出を実行することができる。
図43中(D):導火線の火種が爆弾に着火するときまでに、すなわち、残開放時間がなくなるまでの間に、可変始動入賞装置28にて入賞を発生させることができなければ、爆弾が爆発する演出が行われる。これにより、遊技者に対して、プラス1変動のチャンス状態を逃してしまったということを教示することができる。なお、爆弾が爆発する前に、可変始動入賞装置28にて入賞を発生させることができれば、爆弾が爆発する演出が行われずに、図42中(C)に示す特殊入賞演出が実行される。
図43中(E):そして、爆弾が爆発する演出が実行された後には、プラス1変動のチャンス状態は終了しているため、例えばドットマトリクスLED表示器42の画面内に「左ダ!」というドット文字を表示することで、遊技者に対して「左打ち」を促し、チャンスゾーンが終了したことを意識させることができる。
次に、以上の演出を具体的に実現するための制御手法の例について説明する。上述した変動表示演出やリーチ演出、リーチ発生後予告演出、大当り中演出、残開放時間教示演出、入賞発生促進演出、特殊入賞演出等は、いずれも以下の制御処理を通じて制御されている。
〔演出制御処理〕
図44は、演出制御CPU126により実行される演出制御処理の手順例を示すフローチャートである。この演出制御処理は、例えば図示しないリセットスタート(メイン)処理とは別にタイマ割込処理(割込管理処理)の中で実行される。演出制御CPU126は、リセットスタート処理の実行中に所定の割込周期(例えば数十μs〜数ms周期)でタイマ割込を発生させ、タイマ割込処理を実行する。
演出制御処理は、コマンド受信処理(ステップS400)、演出図柄管理処理(ステップS402)、特殊演出管理処理(ステップS403)、表示出力処理(ステップS404)、ランプ駆動処理(ステップS406)、音響駆動処理(ステップS408)、演出乱数更新処理(ステップS410)及びその他の処理(ステップS412)のサブルーチン群を含む構成である。以下、各処理に沿って演出制御処理の基本的な流れを説明する。
ステップS400:コマンド受信処理において、演出制御CPU126は主制御CPU72から送信される演出用のコマンドを受信する。また、演出制御CPU126は受信したコマンドを解析し、それらを種類別にRAM130のコマンドバッファ領域に保存する。なお、主制御CPU72から送信される演出用のコマンドには、例えば変動パターン先判定コマンド、始動口入賞音制御コマンド、デモ演出用コマンド、抽選結果コマンド、変動パターンコマンド、変動開始コマンド、停止図柄コマンド、図柄停止時コマンド、状態指定コマンド、ラウンド数コマンド、エラー通知コマンド、時間短縮機能作動回数コマンド、停止表示時間終了コマンド、スイッチ別入賞コマンド等がある。なお、演出制御CPU126が受信するコマンドは、これらのコマンドに限定されるものではなく、演出内容や遊技仕様に応じて様々なコマンドを受信することができる。
ステップS402:演出図柄管理処理では、演出制御CPU126は演出図柄を用いた変動表示演出や結果表示演出の内容を制御したり、可変入賞装置30の開閉動作時の演出内容を制御したりする。またこの処理において、演出制御CPU126は各種予告演出(リーチ発生後予告演出等)のパターンを選択する。なお、演出図柄管理処理の内容については、別の図面を参照しながらさらに後述する。
ステップS403:特殊演出管理処理では、演出制御CPU126は上述した残開放時間教示演出や入賞発生促進演出、特殊入賞演出等の実行を制御する。なお、特殊演出管理処理の内容については、別の図面を参照しながらさらに後述する。
ステップS404:表示出力処理では、演出制御CPU126は演出表示制御装置144(表示制御CPU146)に対して演出内容の基本的な制御情報(例えば、変動演出パターン番号、変動時予告演出番号等)を指示する。これにより、演出表示制御装置144(表示制御CPU146及びVDP152)は指示された演出内容に基づいてドットマトリクスLED表示器42による表示動作を制御する(各種の演出実行手段としての機能を果たす。)。
ステップS406:ランプ駆動処理では、演出制御CPU126はランプ駆動回路132に対して制御信号を出力する。これを受けてランプ駆動回路132は、制御信号に基づいて各種ランプ46〜52や盤面ランプ53等を駆動(点灯又は消灯、点滅、輝度階調変化等)する。
ステップS408:次の音響駆動処理では、演出制御CPU126は音響駆動回路134に対して演出内容(例えば変動表示演出中やリーチ演出中、大当り演出中のBGM、確変中BGM、時短中BGM、音声データ等)を指示する。これにより、スピーカ54,55,56から演出内容に応じた音が出力される。
ステップS410:演出乱数更新処理では、演出制御CPU126はRAM130のカウンタ領域において各種の演出乱数を更新する。演出乱数には、例えば予告選択に用いられる乱数や通常の演出抽選に用いられる乱数等がある。
ステップS412:その他の処理では、例えば演出用の可動体(例えばドラムユニット214等)に関して、演出制御CPU126は可動体の駆動用ICに対して制御信号を出力する。可動体は例えばソレノイドやステッピングモータ等の駆動源によって動作し、ドットマトリクスLED表示器42による画像の表示と同期して、又は単独で演出を行うものである。これらソレノイドやステッピングモータ等の駆動源は、例えば図5中のパネル電飾基板138に接続することができる。
以上の演出制御処理を通じて、演出制御CPU126はパチンコ機1における演出内容を統括的に制御することができる。次に、演出制御処理の中で実行される図柄演出管理処理の内容について説明する。
〔演出図柄管理処理〕
図45は、演出図柄管理処理の手順例を示すフローチャートである。演出図柄管理処理は、実行選択処理(ステップS500)、演出図柄変動前処理(ステップS502)、演出図柄変動中処理(ステップS504)、演出図柄停止表示中処理(ステップS506)及び可変入賞装置作動時処理(ステップS508)のサブルーチン群を含む構成である。以下、各処理に沿って演出図柄管理処理の基本的な流れを説明する。
ステップS500:実行選択処理において、演出制御CPU126は次に実行するべき処理(ステップS502〜ステップS508のいずれか)のジャンプ先を選択する。例えば、演出制御CPU126は次に実行するべき処理のプログラムアドレスをジャンプ先のアドレスとし、また戻り先のアドレスとして演出図柄管理処理の末尾を「ジャンプテーブル」にセットする。いずれの処理を次のジャンプ先として選択するかは、これまでに行われた処理の進行状況によって異なる。例えば、未だ変動表示演出を開始していない状況であれば、演出制御CPU126は次のジャンプ先として演出図柄変動前処理(ステップS502)を選択する。一方、既に演出図柄変動前処理が完了していれば、演出制御CPU126は次のジャンプ先として演出図柄変動中処理(ステップS504)を選択し、演出図柄変動中処理まで完了していれば、次のジャンプ先として演出図柄停止表示中処理(ステップS506)を選択する。また可変入賞装置作動時処理(ステップS508)は、主制御CPU72において可変入賞装置管理処理(図17中のステップS5000)が選択された場合にのみジャンプ先として選択される。この場合、ステップS502〜ステップS506は実行されない。
ステップS502:演出図柄変動前処理では、演出制御CPU126は演出図柄を用いた変動表示演出を開始するための条件を整える作業を行う。またこの処理において、演出制御CPU126は各種の条件(抽選結果、当選種類、変動パターン等)に応じてリーチ演出の内容を選択したり、予告演出のパターン(リーチ発生前予告パターン、リーチ発生後予告パターン等)を選択したりする。その他にも演出制御CPU126は、パチンコ機1がいわゆる客待ち状態である場合のデモ演出の制御も行う。なお、具体的な処理の内容は、別のフローチャートを用いて後述する。
ステップS504:演出図柄変動中処理では、演出制御CPU126は必要に応じて演出表示制御装置144(表示制御CPU146)に指示する制御情報を生成する。例えば、演出図柄を用いた変動表示演出を実行中に演出切替ボタン450を用いた演出を行う場合、遊技者による演出ボタンの操作の有無を演出制御CPU126が監視するとともに、その結果に応じた演出内容(ボタン演出)の制御情報を表示制御CPU146に対して指示する。
ステップS506:演出図柄停止表示中処理では、演出制御CPU126は内部抽選の結果に応じた態様で演出図柄や動画像を用いた結果表示演出の内容を制御する。すなわち、演出制御CPU126は演出表示制御装置144(表示制御CPU146)に対して変動表示演出の終了と結果表示演出の実行を指示する。これを受けて演出表示制御装置144(表示制御CPU146)は、実際にドットマトリクスLED表示器42の表示画面内でそれまで実行していた変動表示演出を終了させ、結果表示演出を実行する。これにより、特別図柄の停止表示に略同期して結果表示演出が実行され、遊技者に対して内部抽選の結果を演出的に教示(開示、告知、報知等)することができる。
ステップS508:可変入賞装置作動時処理では、演出制御CPU126は大当り中の演出内容を制御する。この処理において、演出制御CPU126は各種の条件(例えば当選種類)に応じて大役中演出の内容を選択する。本実施形態では、2ラウンド大当りを採用しているため、演出制御CPU126はドットマトリクスLED表示器42に表示する演出内容として、2ラウンドの大役中演出パターンを選択し、これを演出表示制御装置144(表示制御CPU146)に対して指示する。これにより、ドットマトリクスLED表示器42の表示画面では大当り中演出の画像が表示されるとともに、ラウンドの進行に伴って演出内容が変化していくことになる。
〔演出図柄変動前処理〕
図46は、上記の演出図柄変動前処理の手順例を示すフローチャートである。以下、手順例に沿って説明する。
ステップS600:演出制御CPU126は、主制御CPU72からデモ演出用コマンドを受信したか否かを確認する。具体的には、演出制御CPU126はRAM130のコマンドバッファ領域にアクセスし、デモ演出用コマンドが保存されているか否かを確認する。その結果、デモ演出用コマンドが保存されていることを確認した場合(Yes)、演出制御CPU126はステップS602を実行する。
ステップS602:演出制御CPU126は、デモ選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU126はデモ演出パターンを選択する。デモ演出パターンは、パチンコ機1がいわゆる客待ち状態であることを表す演出の内容を規定したものである。なお、演出制御CPU126は、デモ演出用コマンドを受信してから所定時間(例えば40秒程度)が経過したか否かを確認し、所定時間が経過した場合に限ってデモ選択処理を実行するようにしてもよい。
以上の手順を終えると、演出制御CPU126は演出図柄管理処理の末尾のアドレスに復帰する。そして演出制御CPU126はそのまま演出制御処理に復帰し、続く表示出力処理(図44中のステップS404)、ランプ駆動処理(図44中のステップS406)においてデモ演出パターンに基づいてデモ演出の内容を制御する。
一方、ステップS600においてデモ演出用コマンドが保存されていないことを確認すると(No)、演出制御CPU126は次にステップS604を実行する。
ステップS604:演出制御CPU126は、今回の変動がはずれ(非当選)であるか否かを確認する。具体的には、演出制御CPU126はRAM130のコマンドバッファ領域にアクセスし、非当選時の抽選結果コマンドが保存されているか否かを確認する。その結果、非当選時の抽選結果コマンドが保存されていることを確認した場合(Yes)、演出制御CPU126はステップS608を実行する。逆に、非当選時の抽選結果コマンドが保存されていないことを確認した場合(No)、当選に該当することになるため、演出制御CPU126はステップS606を実行する。なお、今回の変動がはずれか否かの確認は、抽選結果コマンドの他に変動パターンコマンドや停止図柄コマンドに基づいて行うことも可能である。すなわち、今回の変動パターンコマンドがはずれ通常変動又ははずれリーチ変動に該当していれば、今回の変動がはずれであると判定することができる。あるいは、今回の停止図柄コマンドが非当選の図柄を指定するものであれば、今回の変動がはずれであると判定することができる。
ステップS606:当選時の場合、演出制御CPU126は、大当り時変動演出パターン選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU126は主制御CPU72から受信した変動パターンコマンド(例えば、「E0H00H」〜「F0H7FH」)に基づいて、そのときの演出パターン番号を決定する。ここで決定される演出図柄の種類は、上記の「大当りの組み合わせ」を構成するもの(例えば「7」−「7」−「7」)である。
一方、非当選時の場合は以下の手順が実行される。すなわち、演出制御CPU126はステップS604ではずれであることを確認すると(Yes)、次にステップS608を実行する。
ステップS608:演出制御CPU126は、はずれ時変動演出パターン選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU126は主制御CPU72から受信した変動パターンコマンド(例えば、「A0H00H」〜「A6H7FH」)に基づいて、はずれ時の演出パターン番号を決定する。はずれ時の演出パターン番号は、「はずれ通常変動」や「はずれリーチ変動」等に分類されており、さらに「はずれリーチ変動」には細かいリーチ変動パターンが規定されている。なお、演出制御CPU126がいずれの演出パターン番号を選択するかは、主制御CPU72から送信された変動パターンコマンドによって決まる。
はずれ時の演出パターン番号を選択すると、演出制御CPU126は図示しない演出テーブルを参照し、そのときの変動演出パターン番号に対応する演出図柄の変動スケジュール(変動時間やリーチ発生の有無、リーチ発生の場合はリーチ種類とリーチ発生タイミング)、停止表示の態様(例えば「7」−「2」−「4」等)を決定する。
以上のステップS606,ステップS608のいずれかの処理を実行すると、演出制御CPU126は次にステップS610を実行する。
ステップS610:演出制御CPU126は、予告選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU126は今回の変動表示演出中に実行するべき予告演出の内容を抽選によって選択する。予告演出の内容は、例えば内部抽選の結果(当選又は非当選)や現在の内部状態(通常状態、高確率状態、時間短縮状態)に基づいて決定される。予告演出は、変動表示演出中にリーチ状態が発生する可能性を遊技者に予告したり、最終的に大当りになる可能性があることを予告したりするものである。したがって、非当選時には予告演出の選択比率は低く設定されているが、当選時には遊技者の期待感を高めるため、予告演出の選択比率は比較的高く設定されている。
以上の手順を終えると、演出制御CPU126は演出図柄管理処理(末尾アドレス)に復帰する。これにより、その後の演出図柄変動中処理(図45中のステップS504)において、実際に選択された変動演出パターンに基づいて変動表示演出及び結果表示演出が実行されるとともに、各種予告演出パターンに基づいて予告演出が実行される。
〔特殊演出管理処理〕
図47は、上記の特殊演出管理処理の手順例を示すフローチャートである。以下、手順例に沿って説明する。
ステップS650:先ず演出制御CPU126は、残開放時間教示演出管理処理を実行する。この処理において、演出制御CPU126は、可変始動入賞装置28の残開放時間を算出したり、算出した残開放時間に基づいて残開放時間教示演出を実行するか否かの判断を行ったりする。なお、具体的な処理の内容は、別のフローチャートを用いて後述する。
ステップS660:次に演出制御CPU126は、入賞発生促進演出管理処理を実行する。この処理において、演出制御CPU126は、入賞発生促進演出を実行するか否かの判断を行ったり、実際に入賞発生促進演出を実行する場合にはどのような入賞発生促進演出を実行するかの判断を行ったりする。なお、具体的な処理の内容は、別のフローチャートを用いて後述する。
ステップS670:最後に演出制御CPU126は、特殊入賞演出管理処理を実行する。この処理において、演出制御CPU126は、特殊入賞演出を実行するか否かの判断を行う。なお、具体的な処理の内容は、別のフローチャートを用いて後述する。
以上の手順を終えると、演出制御CPU126は演出制御処理(図44)に復帰する。
〔残開放時間教示演出管理処理〕
図48は、上記の残開放時間教示演出管理処理の手順例を示すフローチャートである。以下、手順例に沿って説明する。
ステップS700:演出制御CPU126は、教示演出パターン選択フラグがONであるか否かを判断する。具体的には、演出制御CPU126はRAM130のカウンタ領域にアクセスし、教示演出パターン選択フラグがONであるか否かを確認する。この確認処理を実行する理由は、教示演出パターン選択フラグがONである場合は、以下に示す処理は既に実行されているため、重複した処理を回避するためである。
その結果、教示演出パターン選択フラグがONでないことを確認した場合(ステップS700:No)、演出制御CPU126はステップS702を実行する。これに対して、教示演出パターン選択フラグがONであることを確認した場合(ステップS700:Yes)、演出制御CPU126は特殊演出管理処理(図47)に復帰する。
ステップS702:演出制御CPU126は、今回の特別図柄の変動が時間短縮状態での最終変動であるか否かを確認する。具体的には、演出制御CPU126はRAM130のコマンドバッファ領域にアクセスし、状態指定コマンドを確認して内部状態が時間短縮状態であるか否かを確認する。また、最終変動であるか否かについては、演出制御CPU126はRAM130のコマンドバッファ領域にアクセスし、時間短縮機能作動回数コマンドを確認しつつ、大当り遊技終了後からの変動回数をカウントしてそれらの差分を確認することにより判断することができる。
その結果、今回の特別図柄の変動が時間短縮状態での最終変動であることを確認した場合(ステップS702:Yes)、演出制御CPU126はステップS704を実行する。これに対して、今回の特別図柄の変動が時間短縮状態での最終変動でないことを確認した場合(ステップS702:No)、演出制御CPU126は特殊演出管理処理(図47)に復帰する。
ステップS704:演出制御CPU126は、今回の特別図柄抽選の結果が非当選であるか否かを確認する。具体的には、演出制御CPU126はRAM130のコマンドバッファ領域にアクセスし、抽選結果コマンドを確認して特別図柄抽選の結果が非当選であるか否かを確認する。
その結果、今回の特別図柄抽選の結果が非当選であることを確認した場合(ステップS704:Yes)、演出制御CPU126はステップS706を実行する。これに対して、今回の特別図柄抽選の結果が非当選でないこと(当選であること)を確認した場合(ステップS704:No)、演出制御CPU126は特殊演出管理処理(図47)に復帰する。
これは、特別図柄抽選の結果が「当選」に該当していれば、その後は特別遊技に突入するため、無駄な演出が実行されることを回避するためである。
ステップS706:演出制御CPU126は、特別図柄最終変動終了時刻算出処理を実行する(特別図柄最終変動終了時刻算出手段)。具体的には、主制御CPU72から送信された特別図柄の変動パターンコマンドに基づいて特別図柄の変動時間を算出し、時間短縮状態での特別図柄の最終変動の停止表示が終了する時刻である特別図柄最終変動終了時刻を算出する。
ステップS708:演出制御CPU126は、開放状態開始時刻算出処理を実行する(開放状態時刻算出手段)。具体的には、主制御CPU72から送信された普通図柄の変動パターンコマンドに基づいて普通図柄の変動時間を算出し、かつ、普通図柄の当否を確認することにより、可変始動入賞装置28の開放状態開始時刻を算出する。
ステップS710:演出制御CPU126は、開放状態終了時刻算出処理を実行する(開放状態時刻算出手段)。具体的には、主制御CPU72から送信された普通図柄の変動パターンコマンドに基づいて普通図柄の変動時間を算出し、かつ、普通図柄の当否を確認することにより、可変始動入賞装置28の開放状態終了時刻を算出する。
ステップS712:演出制御CPU126は、特別図柄の最終変動終了時刻が所定の条件を満たすか否かを確認する。具体的には、先のステップS708により算出された可変始動入賞装置28の開放状態開始時刻と、先のステップS710により算出された開放状態終了時刻との間に、先のステップS706により算出された特別図柄最終変動終了時刻があるか否かを確認する。
その結果、所定の条件を満たすことを確認した場合(ステップS712:Yes)、演出制御CPU126はステップS714を実行する。これに対して、所定の条件を満たさないことを確認した場合(ステップS712:No)、演出制御CPU126は特殊演出管理処理(図47)に復帰する。
ステップS714:演出制御CPU126は、残開放時間算出処理を実行する(残開放時間算出手段)。具体的には、先のステップS706により算出された特別図柄最終変動終了時刻から先のステップS710により算出された開放状態終了時刻までの時間に相当する「残開放時間」を算出する。
ステップS716:演出制御CPU126は、残開放時間が所定の値以上であるか否かを確認する。具体的には、先のステップS714により算出された「残開放時間」が例えば3秒以上であるか否かを確認する。
その結果、残開放時間が所定の値以上であることを確認した場合(ステップS716:Yes)、演出制御CPU126はステップS718を実行する。これに対して、残開放時間が所定の値未満であることを確認した場合(ステップS716:No)、演出制御CPU126はステップS720を実行する。
ステップS718:演出制御CPU126は、第1残開放時間教示演出パターン選択処理を実行する(残開放時間教示演出実行手段)。具体的には、残開放時間教示演出(大チャンス演出)を選択する処理を実行する(例えば、図41中(D)等)。
ステップS720:演出制御CPU126は、第2残開放時間教示演出パターン選択処理を実行する(残開放時間教示演出実行手段)。具体的には、残開放時間教示演出(小チャンス演出)を選択する処理を実行する(例えば、図41中(E)等)。
なお、ステップS718及びステップS720で選択された演出パターンは、時間短縮状態での特別図柄の最終変動における残りの変動時間が所定の値に達した(例えば残り5秒となった)場合に実行されるものとなる。ただし、特別図柄の変動中に実行される演出がすでに選択されている場合には、その変動中演出の一部が残開放時間教示演出に書き換えられることになる。
ステップS722:演出制御CPU126は、RAM130のカウンタ領域に記憶されている教示演出パターン選択フラグをONにセットする。なお、教示演出パターン選択フラグは、残開放時間教示演出が実際に実行された際にOFFにセットされる。
以上の手順を終えると、演出制御CPU126は特殊演出管理処理(図47)に復帰する。
〔残開放時間の算出方法〕
図49は、残開放時間の算出方法について説明するタイミングチャートである。可変始動入賞装置28の残開放時間は、以下の手法によって算出される。
ここで、図中(A)は特別図柄の変動又は停止の変化を示し、図中(B)は時間短縮機能のON又はOFFを示している。また図中(C)は普通図柄の変動又は停止の変化を示し、図中(D)は可変始動入賞装置の開放又は閉鎖を示している。
図49中(A):時刻t0において、特別図柄は停止表示中の状態であり、時刻t1において、特別図柄の変動が開始される。またこのときの特別図柄の変動は、時間短縮状態での特別図柄の最終変動であるものとする。時刻t1から開始された特別図柄の変動は時刻t14にて終了する。そして、時刻t14で特別図柄の変動が終了すると、時刻t14から時刻t15までの時間にわたって特別図柄が停止表示される。
図49中(B):時刻t15にて、時間短縮状態での特別図柄の最終変動の停止表示が終了したことを条件として、時間短縮機能がONからOFFにセットされる。
〔普通図柄変動1回目〕
図49中(C):時刻t2において、普通図柄の変動が開始される。ここでの普通図柄の変動は、時間短縮機能がONの状態での変動であるため、短縮変動時間(0.6秒程度)が選択されている。時刻t2から開始された普通図柄の変動は時刻t3にて終了する。時刻t2から時刻t3までの時間は、普通図柄の変動時間に該当する。そして、時刻t3で普通図柄の変動が終了すると、時刻t3から時刻t4までの時間にわたって普通図柄が停止表示される。時刻t3から時刻t4までの時間は、普通図柄の停止表示時間である(例えば、0.5秒程度)。ここでは、普通図柄が当選の態様で停止表示されたものとする。
図49中(D):普通図柄が当選の態様で停止表示されたことを契機として、可変始動入賞装置28が開放状態となる。可変始動入賞装置28は、時刻t4にて開放状態が開始され、時刻t5にて開放状態が終了して閉鎖状態となる。時刻t4から時刻t5までの時間は、可変始動入賞装置28の開放時間である(例えば、6.0秒程度)。
〔普通図柄変動2回目〕
図49中(C):時刻t5にて可変始動入賞装置28の開放状態が終了したことを契機として、次の普通図柄の始動条件が満たされ、時刻t5において、普通図柄の変動が開始される。ここでの普通図柄の変動も、時間短縮機能がONの状態での変動であるため、短縮変動時間(0.6秒程度)が選択されている。時刻t5から開始された普通図柄の変動は時刻t6にて終了する。時刻t5から時刻t6までの時間は、普通図柄の変動時間に該当する。そして、時刻t6で普通図柄の変動が終了すると、時刻t6から時刻t7までの時間にわたって普通図柄が停止表示される。時刻t6から時刻t7までの時間は、普通図柄の停止表示時間である(例えば、0.5秒程度)。ここでは、普通図柄が当選の態様で停止表示されたものとする。
図49中(D):普通図柄が当選の態様で停止表示されたことを契機として、可変始動入賞装置28が開放状態となる。可変始動入賞装置28は、時刻t7にて開放状態が開始され、時刻t8にて開放状態が終了して閉鎖状態となる。時刻t7から時刻t8までの時間は、可変始動入賞装置28の開放時間である(例えば、6.0秒程度)。
〔普通図柄変動3回目〕
図49中(C):時刻t8にて可変始動入賞装置28の開放状態が終了したことを契機として、次の普通図柄の始動条件が満たされ、時刻t8において、普通図柄の変動が開始される。ここでの普通図柄の変動も、時間短縮機能がONの状態での変動であるため、短縮変動時間(0.6秒程度)が選択されている。時刻t8から開始された普通図柄の変動は時刻t9にて終了する。時刻t8から時刻t9までの時間は、普通図柄の変動時間に該当する。そして、時刻t9で普通図柄の変動が終了すると、時刻t9から時刻t10までの時間にわたって普通図柄が停止表示される。時刻t9から時刻t10までの時間は、普通図柄の停止表示時間である(例えば、0.5秒程度)。ここでは、普通図柄が当選の態様で停止表示されたものとする。
図49中(D):普通図柄が当選の態様で停止表示されたことを契機として、可変始動入賞装置28が開放状態となる。可変始動入賞装置28は、時刻t10にて開放状態が開始され、時刻t11にて開放状態が終了して閉鎖状態となる。時刻t10から時刻t11までの時間は、可変始動入賞装置28の開放時間である(例えば、6.0秒程度)。
〔普通図柄変動4回目〕
図49中(C):時刻t11にて可変始動入賞装置28の開放状態が終了したことを契機として、次の普通図柄の始動条件が満たされ、時刻t11において、普通図柄の変動が開始される。ここでの普通図柄の変動も、時間短縮機能がONの状態での変動であるため、短縮変動時間(0.6秒程度)が選択されている。時刻t11から開始された普通図柄の変動は時刻t12にて終了する。時刻t11から時刻t12までの時間は、普通図柄の変動時間に該当する。そして、時刻t12で普通図柄の変動が終了すると、時刻t12から時刻t13までの時間にわたって普通図柄が停止表示される。時刻t12から時刻t13までの時間は、普通図柄の停止表示時間である(例えば、0.5秒程度)。ここでは、普通図柄が当選の態様で停止表示されたものとする。
図49中(D):普通図柄が当選の態様で停止表示されたことを契機として、可変始動入賞装置28が開放状態となる。可変始動入賞装置28は、時刻t13にて開放状態が開始され、時刻t16にて開放状態が終了して閉鎖状態となる。時刻t13から時刻t16までの時間は、可変始動入賞装置28の開放時間である(例えば、6.0秒程度)。
〔各種時刻の算出方法〕
そして、特別図柄や普通図柄、可変始動入賞装置の動作スケジュールは、本タイミングチャートに従って動作することになるが、このような動作スケジュールについては、普通図柄の記憶がある場合は、その記憶を変動パターン先判定コマンドによって先判定(先読み)することにより、予め把握することができる。
例えば、特別図柄の変動開始時(時刻t1)に、普通図柄の記憶が4つ記憶されている場合、普通図柄及び可変始動入賞装置の動作スケジュールを4回分まで先取り的に把握することができる。
ここで、仮に時刻t1の特別図柄の変動開始時に普通図柄の記憶が4つ記憶されているものとすると、普通図柄の変動時間及び普通図柄抽選の当否を変動パターン先判定コマンドで確認することができる。また、特別図柄の変動時間は、変動パターンコマンドにて確認することができる。
このため、普通図柄の変動時間、普通図柄抽選の当否、特別図柄の変動時間のすべてを考慮することにより、特別図柄最終変動終了時刻t15の後に、4回目の可変始動入賞装置28の閉鎖時刻t16が到来することが分かる。したがって、特別図柄最終変動終了時刻t15から4回目の可変始動入賞装置28の閉鎖時刻t16までの時間Tzを可変始動入賞装置28の残開放時間として算出することができる。
なお、普通図柄の抽選要素が記憶されていない場合(記憶がない場合)、このような先読みによって可変始動入賞装置28の残開放時間を算出することはできないが、普通図柄の抽選要素が記憶される度に可変始動入賞装置28の開放時刻と閉鎖時刻とを算出することにより、特別図柄最終変動終了時刻t15よりも後に可変始動入賞装置28の閉鎖時刻があるか否かを確認すれば、可変始動入賞装置28の残開放時間Tzを算出することができる。
〔入賞発生促進演出管理処理〕
図50は、上記の入賞発生促進演出管理処理の手順例を示すフローチャートである。以下、手順例に沿って説明する。
ステップS800:演出制御CPU126は、促進演出パターン選択フラグがONであるか否かを判断する。具体的には、演出制御CPU126はRAM130のカウンタ領域にアクセスし、促進演出パターン選択フラグがONであるか否かを確認する。この確認処理を実行する理由は、促進演出パターン選択フラグがONである場合は、以下に示す処理は既に実行されているため、重複した処理を回避するためである。
その結果、促進演出パターン選択フラグがONでないことを確認した場合(ステップS800:No)、演出制御CPU126はステップS802を実行する。これに対して、促進演出パターン選択フラグがONであることを確認した場合(ステップS800:Yes)、演出制御CPU126は特殊演出管理処理(図47)に復帰する。
ステップS802:演出制御CPU126は、時間短縮状態での特別図柄の最終変動が終了したか否かを確認する。時間短縮状態での特別図柄の最終変動が終了したか否かについては、演出制御CPU126はRAM130のコマンドバッファ領域にアクセスし、時間短縮機能作動回数コマンドを確認しつつ、大当り遊技終了後からの変動回数をカウントしてそれらの差分を確認し、特別図柄の最終変動にて停止表示時間終了コマンドを受信したことを確認することにより実現することができる。
その結果、時間短縮状態での特別図柄の最終変動が終了したことを確認した場合(ステップS802:Yes)、演出制御CPU126はステップS804を実行する。これに対して、時間短縮状態での特別図柄の最終変動が終了していないことを確認した場合(ステップS802:No)、演出制御CPU126は特殊演出管理処理(図47)に復帰する。
ステップS804:演出制御CPU126は、残開放時間が所定の値以上であるか否かを確認する。具体的には、残開放時間教示演出管理処理(図48)のステップS714により算出された「残開放時間」が例えば3秒以上であるか否かを確認する。
その結果、残開放時間が所定の値以上であることを確認した場合(ステップS804:Yes)、演出制御CPU126はステップS806を実行する。これに対して、残開放時間が所定の値未満であることを確認した場合(ステップS804:No)、演出制御CPU126はステップS808を実行する。
ステップS806:演出制御CPU126は、第1入賞発生促進演出パターン選択処理を実行する(入賞発生促進演出実行手段)。具体的には、入賞発生促進演出(大チャンス演出)を選択する処理を実行する(例えば、図42中(A)等)。
ステップS808:演出制御CPU126は、第2入賞発生促進演出パターン選択処理を実行する(入賞発生促進演出実行手段)。具体的には、入賞発生促進演出(小チャンス演出)を選択する処理を実行する(例えば、図42中(B)等)。
ステップS810:演出制御CPU126は、RAM130のカウンタ領域に記憶されている促進演出パターン選択フラグをONにセットする。なお、促進演出パターン選択フラグは、入賞発生促進演出が実際に実行された際にOFFにセットされる。
以上の手順を終えると、演出制御CPU126は特殊演出管理処理(図47)に復帰する。
〔特殊入賞演出管理処理〕
図51は、上記の特殊入賞演出管理処理の手順例を示すフローチャートである。以下、手順例に沿って説明する。
ステップS900:演出制御CPU126は、特殊入賞演出パターン選択フラグがONであるか否かを判断する。具体的には、演出制御CPU126はRAM130のカウンタ領域にアクセスし、特殊入賞演出パターン選択フラグがONであるか否かを確認する。この確認処理を実行する理由は、特殊入賞演出パターン選択フラグがONである場合は、以下に示す処理は既に実行されているため、重複した処理を回避するためである。
その結果、特殊入賞演出パターン選択フラグがONでないことを確認した場合(ステップS900:No)、演出制御CPU126はステップS902を実行する。これに対して、特殊入賞演出パターン選択フラグがONであることを確認した場合(ステップS900:Yes)、演出制御CPU126は特殊演出管理処理(図47)に復帰する。
ステップS902:演出制御CPU126は、今回の特別図柄の変動について、時間短縮状態が終了した後の第1回目の変動であるか否かを確認する。具体的には、演出制御CPU126はRAM130のコマンドバッファ領域にアクセスし、時間短縮機能作動回数コマンドを確認しつつ、大当り遊技終了後からの変動回数をカウントしてそれらの差分を確認することにより、時間短縮状態が終了した後の第1回目の変動であるか否かを判断することができる。
その結果、時間短縮状態が終了した後の第1回目の変動であることを確認した場合(ステップS902:Yes)、演出制御CPU126はステップS904を実行する。これに対して、時間短縮状態が終了した後の第1回目の変動でないことを確認した場合(ステップS902:No)、演出制御CPU126は特殊演出管理処理(図47)に復帰する。
ステップS904:演出制御CPU126は、今回の可変始動入賞装置28での入賞が、時間短縮状態時に開放状態である可変始動入賞装置28での入賞であるか否かを確認する。具体的には、演出制御CPU126は、RAM130のコマンドバッファ領域にアクセスし、残開放時間教示演出管理処理(図48)のステップS714により算出された「残開放時間」が経過する前に右始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号が入力されたことを示すスイッチ別入賞コマンドが保存されているか否かを確認することにより実現することができる。「残開放時間」が経過したか否かの判断は、例えば所定のタイマに残開放時間の値をセットしてデクリメント演算を実行することにより実現することができる。
その結果、今回の可変始動入賞装置28での入賞が、時間短縮状態時に開放状態である可変始動入賞装置28での入賞であることを確認した場合(ステップS904:Yes)、演出制御CPU126はステップS906を実行する。これに対して、今回の可変始動入賞装置28での入賞が、時間短縮状態時に開放状態である可変始動入賞装置28での入賞でないことを確認した場合(ステップS904:No)、演出制御CPU126は特殊演出管理処理(図47)に復帰する。
ステップS906:演出制御CPU126は、特殊入賞演出パターン選択処理を実行する(特殊入賞演出実行手段)。具体的には、特殊入賞演出を選択する処理を実行する(例えば、図42中(C)等)。
ステップS908:演出制御CPU126は、RAM130のカウンタ領域に記憶されている入賞演出パターン選択フラグをONにセットする。なお、入賞演出パターン選択フラグは、特殊入賞演出が実際に実行された際にOFFにセットされる。
以上の手順を終えると、演出制御CPU126は特殊演出管理処理(図47)に復帰する。
〔特殊演出の第1例〕
図52は、特殊演出の第1例について説明するタイミングチャートである。
ここで、図中(A)は特別図柄の変動又は停止の変化を示し、図中(B)は時間短縮機能のON又はOFFを示している。また図中(C)は普通図柄の変動又は停止の変化を示し、図中(D)は可変始動入賞装置の開放又は閉鎖を示している。また図中(E)はドットマトリクスLED表示器42で実行される演出内容を示している。なお、これらの表記は図53においても同様である。
また、ここで説明する第1例は、可変始動入賞装置28の残開放時間が所定の値(例えば3.0秒)以上である場合(例えば5.0秒程度)の例を示している。
図52中(A):時刻t0において、特別図柄は変動中の状態である。ここでの特別図柄の変動は、時間短縮状態での特別図柄の最終変動であるものとする。時刻t0以前から開始された特別図柄の変動は時刻t4にて終了する。そして、時刻t4で特別図柄の変動が終了すると、時刻t4から時刻t5までの時間にわたって特別図柄が停止表示される。
図52中(B):時刻t5にて、時間短縮状態での特別図柄の最終変動の停止表示が終了したことを条件として、時間短縮機能がONからOFFにセットされる。
図52中(C):時刻t1において、普通図柄の変動が開始される。ここでの普通図柄の変動は、時間短縮機能がONの状態での変動であるため、短縮変動時間(0.6秒程度)が選択されている。時刻t1から開始された普通図柄の変動は時刻t2にて終了する。時刻t1から時刻t2までの時間は、普通図柄の変動時間に該当する。そして、時刻t2で普通図柄の変動が終了すると、時刻t2から時刻t3までの時間にわたって普通図柄が停止表示される。時刻t2から時刻t3までの時間は、普通図柄の停止表示時間である(例えば、0.5秒程度)。ここでは、普通図柄が当選の態様で停止表示されたものとする。
図52中(D):普通図柄が当選の態様で停止表示されたことを契機として、可変始動入賞装置28が開放状態となる。可変始動入賞装置28は、時刻t3にて開放状態が開始され、時刻t7にて開放状態が終了して閉鎖状態となる。時刻t3から時刻t7までの時間は、可変始動入賞装置28の開放時間である(例えば、6.0秒程度)。この例では、上述したように残開放時間が所定の値(例えば3.0秒)以上である場合(例えば、5.0秒程度)を想定している。
図52中(E):この場合、ドットマトリクスLED表示器42で実行される演出内容としては、時刻t0以前から時刻t5までの特別図柄の変動表示及び停止表示の時間を利用して、はずれ時演出が実行され、合わせて第1残開放時間教示演出(大チャンス演出)が実行される。そして、特別図柄の停止表示時間が終了した時刻t5から次の特別図柄の変動が開始される時刻t6までの時間を利用して第1入賞発生促進演出(大チャンス演出)が実行される。さらに、特別図柄の変動が開始されたことを契機として、特殊入賞演出が実行される。なお、可変始動入賞装置28が開放している間に、特別図柄の変動が開始されない場合は、第1入賞発生促進演出は時刻t7まで継続され、特殊入賞演出は実行されない。
〔特殊演出の第2例〕
図53は、特殊演出の第2例について説明するタイミングチャートである。ここで説明する第2例は、可変始動入賞装置28の残開放時間が所定の値(例えば3.0秒)未満である場合(例えば2.0秒程度)の例を示している。
図53中(A):時刻t0において、特別図柄は変動中の状態である。ここでの特別図柄の変動は、時間短縮状態での特別図柄の最終変動であるものとする。時刻t0以前から開始された特別図柄の変動は時刻t1にて終了する。そして、時刻t1で特別図柄の変動が終了すると、時刻t1から時刻t2までの時間にわたって特別図柄が停止表示される。
図53中(B):時刻t2にて、時間短縮状態での特別図柄の最終変動の停止表示が終了したことを条件として、時間短縮機能がONからOFFにセットされる。
図53中(C):ここで、時刻t0以前において、普通図柄の変動が開始され、普通図柄が当選の態様で停止表示されたものとする。
図53中(D):普通図柄が当選の態様で停止表示されたことを契機として、可変始動入賞装置28が開放状態となる。可変始動入賞装置28は、時刻t0以前から開放状態が開始され、時刻t3にて開放状態が終了して閉鎖状態となる。可変始動入賞装置28の開放時間は、例えば、6.0秒程度である。ここでは、残開放時間が所定の値(例えば3.0秒)未満である場合(例えば2.0秒程度)を想定する。
図53中(E):この場合、ドットマトリクスLED表示器42で実行される演出内容としては、時刻t0以前から時刻t2までの特別図柄の変動表示及び停止表示の時間を利用して、はずれ時演出が実行され、合わせて第2残開放時間教示演出(小チャンス演出)が実行される。そして、特別図柄の停止表示時間が終了した時刻t2から可変始動入賞装置28が閉鎖するまでの時刻t3を利用して第2入賞発生促進演出が実行される。ここでは、残開放時間の間(時刻t2から時刻t3までの間)に可変始動入賞装置28への入賞が発生しなかった場合を想定する。残開放時間の間に可変始動入賞装置28への入賞が発生しなかった場合は、通常演出(例えば通常中の演出)が再開される。なお、残開放時間の間に可変始動入賞装置28への入賞が発生した場合、特別図柄の変動が開始されるため、図52中(E)と同様に、特殊入賞演出が実行される。
本発明は、上述した実施形態に制約されることなく、各種の変形を採用することができる。一実施形態では、特別図柄について作動記憶を設けない例を挙げているが、特別図柄について作動記憶(4個)を設けている態様であっても本発明を適用することができる。この場合、特別図柄の作動記憶を事前に判定(先読み)することにより、残開放時間等を算出することにしてもよい。
また、残開放時間教示演出は、残開放時間の残り具合に応じて2種類の演出のうちいずれかの演出を選択する例で説明したが、例えば残開放時間が所定の値以上(例えば3.0秒以上)残存している場合に限って残開放時間教示演出を実行し、残開放時間が所定の値以上残存していない場合は残開放時間教示演出を実行しないことにしてもよい。
残開放時間教示演出は、時間短縮状態での特別図柄の最終変動において、特別図柄の残りの変動時間が所定の値(例えば残り5.0秒)に達した場合に開始する例で説明したが、特別図柄の変動中であればいずれのタイミングで開始してもよい。また、残開放時間教示演出は、特別図柄の変動に合わせて実行するのではなく、残開放時間が算出された時点ですぐさま開始することにしてもよい。
上述した実施形態では、時間短縮状態においては右打ちにて遊技を進行する遊技機の例で説明したが、左打ちにて遊技を進行する遊技機についても本発明を適用することができる。特に、特別図柄の当選確率が高く(甘く)設定されている機種であれば、時間短縮状態から非時間短縮状態に復帰した際のプラス1変動のチャンスに対して有効である。
また本発明は、球誘導ユニット40を用いて始動入賞口に遊技球を誘導することなく、遊技領域からランダムに始動入賞口への入賞が可能である態様についても適用することができる。
その他、パチンコ機1の構造や盤面構成等は図示のものも含めて好ましい例示であり、これらを適宜に変形可能であることはいうまでもない。