JP5796862B2 - トリにおける導入遺伝子発現 - Google Patents

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関連出願情報
本出願は、2007年5月16日出願の米国仮出願第60/930,491号および2007年9月18日出願の米国仮出願第60/994,203号の利益を主張し、2007年1月26日出願の米国特許出願第11/699,257号の一部継続出願である。これら2つの仮出願および1つの特許出願の各々の開示は、引用によりその全体が本明細書に取込まれる。
本発明の分野
本発明は一般的に、トランスジェニックニワトリなどのトランスジェニックトリの細胞(例えば、卵管細胞)において機能するプロモーターおよびかかるプロモーターを含有するベクターの使用に関する。より具体的には、本発明は、組換え核酸および発現ベクター、トランスフェクトされた細胞ならびにトランスジェニック動物、例えば、トランスジェニックニワトリなどのトランスジェニックトリに関し、これらはコード配列に作動可能に連結した遺伝子発現制御領域を備えたベクターを含有する。
背景
遺伝子組換えの分野は最初、動物全体における単一の遺伝子の作用ならびに遺伝子の活性化、発現および相互作用の現象を理解するために発達した。遺伝子組換え技術は、ヒトおよび他の動物における様々な疾患のためのモデルを作成するためにも用いられてきており、遺伝学の研究ならびに遺伝的なメカニズムおよび機能の理解のために利用できる最も強力なツールの一つである。経済的観点から、動物を特定のタンパク質または医薬上興味のある他の物質の生産のための“タンパク質工場”へと変換するための遺伝子組換え技術の使用 (Gordon et al.、1987、Biotechnology 5: 1183-1187(非特許文献1); Wilmut et al.、1990、Theriogenology 33: 113-123(非特許文献2)) は、遺伝子発現によるタンパク質生産のより常套の方法を超えて顕著な利点を提供する。
外来タンパク質を発現させるために有用な1つの系は、トリの生殖系である。トリの卵の生成は、雌鶏の卵巣における大きな卵黄の形成から始まる。未授精の卵母細胞または卵子は、卵黄嚢の上端に位置する。排卵後、卵子は、精子が存在する場合にそこで受精する卵管の漏斗へ移行し、次いで管状腺細胞で裏打ちされている卵管の筒部へ移動する。これらの細胞は、卵白アルブミン、リゾチーム、オボムコイド、コンアルブミンおよびオボムチンを含む卵白タンパク質を、それらがトリの胚および卵黄上に貯蔵される筒部の内腔中に分泌する。これまでは、外因性タンパク質生産は、トリの生殖系においてトリの卵管を特異的に標的として行われてきた。
外因性タンパク質の発現のためにトリの卵管を標的にする利点は、標的タンパク質の適切なフォールディングおよび翻訳後修飾、産物回収の容易さ、ならびに鳥、例えばニワトリの、他の動物種と比べて短い発育期間を含み得る。
トランスジェニックトリの卵管において異種性遺伝子産物の発現を行うことは、鳥におけるユビキタスな発現を超えて著しく有利であり得る。つまり、宿主動物における生理活性遺伝子産物のユビキタスな発現の結果は、望ましくないものであり得る。例えば、特定の場合においては、組換えタンパク質のユビキタスな存在は、トリの発育にとって有害であり得、その鳥を殺す可能性がある。さらに、鳥の健康が負の影響を受け、タンパク質生産レベルの低下につながり得る。
重量で、トリの卵のおよそ 60% は、4つの主要なタンパク質成分; 卵白アルブミン、オボムコイド、リゾチームおよびオボトランスフェリンで構成され卵白アルブミンおよびオボムコイドが最も多い量で存在する卵白で構成される。
卵白アルブミン プロモーター、オボムコイド プロモーターおよびリゾチーム プロモーターは、これまで、トランスジェニックトリの卵管における異種性(外因性)タンパク質の生産のために採用されて成功してきた。例えば、卵管において主としてまたは独占的に発現する様々なトリのプロモーターによって促進される、トリ卵管における外因性タンパク質の生産を開示する 2005年4月5日発行の米国特許第6,875,588号(特許文献1); 2007年2月13日発行の米国特許第7,176,300号(特許文献2); 2007年4月3日発行の米国特許第7,199,279号(特許文献3); および2006年6月15日公開の米国特許出願公開第2006/0130170号(特許文献4)(これら3つの発行された特許および1つの公開された特許出願の各々の開示事項は、引用により全体が本明細書に取込まれる)を参照されたい。これらの発行された特許および公開された出願において開示されたプロモーターおよびプロモーターの断片を用いるトリにおける発現レベルは有用なレベルであったが、収量は通常、0.1 mg/ml卵白 をかなり下回っていた。
トランスジェニックトリの細胞において、特に、トランスジェニックトリの卵管細胞(例えば、管状腺細胞)において外因性コード配列の高レベルの発現を提供する系が必要とされている。
米国特許第6,875,588号 米国特許第7,176,300号 米国特許第7,199,279号 米国特許出願公開第2006/0130170号
Gordon et al.、1987、Biotechnology 5: 1183-1187 Wilmut et al.、1990、Theriogenology 33: 113-123
本発明の概要
本発明は、この要求およびそれ以上のものに応える。何年にもわたるトランスジェニックトリの卵管組織における少ない収量での外因性タンパク質生産の後、本発明の発明者らは、本明細書に記載される新しい構成(composition)および方法を採用することによって、かかる生産レベルを 約 10 倍から約 100 倍以上増やすことができることを見出した。
一つの側面において、本発明は、そのゲノム中にプロモーター構成成分(promoter component)および SIN ベクターを含む外因性のヌクレオチド配列を含有するトランスジェニックトリ(例えば、ニワトリ、シチメンチョウ、ウズラ)に向けられる。通常、プロモーター構成成分は、トリにとって外因性のコード配列に連結している、すなわち、該コード配列はトリにおいて通常はまたは天然には存在しない。通常、外因性ヌクレオチド配列は、トリのゲノム中に組み込まれる。ひとつの特に有用な態様において、プロモーター構成成分は、主としてトリの卵管(例えば、管状腺細胞)において機能しまたは発現する。例えば、プロモーター構成成分は、卵管特異的プロモーターであり得る。例えば、プロモーター構成成分は、トリ オボムコイド プロモーター構成成分、トリ 卵白アルブミン プロモーター構成成分、トリ リゾチーム プロモーター構成成分および トリ オボインヒビター プロモーター構成成分(すなわち、コンアルブミン プロモーター構成成分)のうちの一つであり得る。
SIN ベクターは、本発明者らによって、トリの卵管において生産される外因性タンパク質の量を増大させるために特に有用であることが示された。この効果は、SIN ベクターが
SC 陰性ベクター(すなわち、機能的プロモーターを伴う選択マーカー カセットを含有しないベクター)でもある場合には、さらに増強され得る。
本発明はまた、本発明のトランスジェニックトリを作出する方法および本発明のトランスジェニックトリを用いて外因性タンパク質を生産する方法を含む。一つの態様において、トランスジェニックトリは、SIN ベクターおよび SC 陰性ベクターの少なくとも1つであるベクターを含むヌクレオチド配列を、そのゲノム中に有する。通常、ヌクレオチド 配列は、外因性のコード配列に連結したプロモーター構成成分を含む。
一つの有用な態様において、外因性のコード配列は、トリの卵管細胞において発現され、卵管細胞から分泌される。例えば、外因性のコード配列は、管状腺細胞において発現され得る。一つの態様において、外因性タンパク質は、トランスジェニックトリによって産まれる殻の硬い卵の中に貯蔵される。一つの態様において、外因性タンパク質は、ヒトのタンパク質である。一つの態様において、外因性タンパク質は、治療タンパク質、例えばサイトカインである。
一つの態様において、トランスジェニックトリは、SC 陰性ベクターおよび外因性タンパク質をコードする外因性コード配列に連結したプロモーター構成成分を有する外因性ヌクレオチド配列を、そのゲノム中に含有する。一つの態様において、SC 陰性ベクターは、SIN ベクターでもある。
一つの側面において、トリ白血症ウイルス ベクター(ALV)、マウス白血病ウイルス(MLV)レトロウイルス ベクター、モロニー マウス白血病ウイルス(MMLV)およびレンチウイルス ベクターが、本発明にしたがって用いられ得る。
本発明は、キメラのトランスジェニックトリおよび家禽育種の分野における通常の知識を有する実務者によって理解される通り生殖系列キメラから得られ得る完全にトランスジェニック生殖系列のトリを含む。
本発明はまた、以下の 1 から 8 の番号付けされた配列と類似または同一のヌクレオチド配列(すなわち、DNA 配列)を有する遺伝子発現制御領域またはプロモーターを含む。本発明の特に有用な態様において、断片は、それが単一の DNA 分子上に存在する 5' から 3' への線形順序で、上から下へ記載される。例えば、配列 1 の 3.5 kb OV 断片の 3' 末端は 5' UTR-5' 部分の 5' 末端に共有結合し、5' UTR-5' 部分の 3' 末端は 5' UTR-3' 部分の 5' 末端に共有結合する。しかし、本発明は、断片のいかなる特定の順序にも制限されず、断片間には介在ヌクレオチド配列が存在しても良い。
1. 3.5 kb OV 断片 (DHS I、II および III を含む)
5' UTR-5' 部分 (エキソン L から)
5' UTR-3' 部分 (エキソン 1 から);


2. 3.5 kb OV 断片 (DHS I、II および III を含む)
5' UTR-5' 部分 (エキソン L から)
イントロン A
5' UTR-3' 部分 (エキソン 1 から)
3' UTR;


3. 3.5 kb OV 断片 (DHS I、II および III を含む)
5' UTR-5' 部分 (エキソン L から)
イントロン A
5' UTR-3' 部分 (エキソン 1 から);


4. 3.5 kb OV 断片 (DHS I、II および III を含む)
5' UTR-5' 部分 (エキソン L から)
5' UTR-3' 部分 (エキソン 1 から)
3' UTR;


5. 3.5 kb OV 断片 (DHS I、II および III を含む)
5' UTR-5' 部分 (エキソン L から)
イントロン A
5' UTR-3' 部分 (エキソン 1 から)
3' UTR / DHS A (配列番号 22 の 13576 から 15163 bp)

6. 3.5 kb OV 断片 (DHS I、II および III を含む)
5' UTR-5' 部分 (エキソン L から)
5' UTR-3' 部分 (エキソン 1 から)
3' UTR / DHS A (配列番号 22 の 13576 から 15163 bp)


7. 3.5 kb OV 断片 (DHS I、II および III を含む)
5' UTR-5' 部分 (エキソン L から)
イントロン A
5' UTR-3' 部分 (エキソン 1 から)
部分的な 3' UTR
RRE (Rev 応答エレメント) 図 9a


8. ALV CTE (図 9 b) が挿入された 3.5 kb OV 断片の 5'
3.5 kb OV 断片 (DHS I、II および III を含む)
5' UTR-5' 部分 (エキソン L から)
イントロン A
5' UTR-3' 部分 (エキソン 1 から)
部分的な 3' UTR;
本明細書に開示される特定の卵白アルブミン コンストラクト(例えば、上記のコンストラクト 1 から 8)についてのエレメントのいくつかの、配列番号 22 の 16051 bp の卵白アルブミン DNA セグメント中における座標を、以下に示す:

3.5 kb OV 断片 (DHS I、II および III を含む): 図 8 (配列番号 22)のうち、開始: 3199 終了: 6659;
1.4 kb OV 断片 (DHS I および II を含む): 図 8 (配列番号 22)のうち、開始: 5209 終了: 6659;
3.8 kb OV 断片: 図 8 (配列番号 22)のうち、開始: 2863 終了: 6659;
5.2 kb OV 断片: 図 8 (配列番号 22)のうち、開始: 1463 終了: 6659;

5' UTR-5' 部分 (エキソン L から): 図 8 (配列番号 22)のうち、開始: 6659 終了:
6705;
5' UTR-3' 部分 (エキソン 1 から): 図 8 (配列番号 22)のうち、開始: 8295 終了:
8311;
3' UTR: 図 8 (配列番号 22)のうち、開始: 13576 終了: 14209;
部分的な 3' UTR: 図 8 (配列番号 22)のうち、開始 13576 終了: 13996;
イントロン A: 図 8 (配列番号 22)のうち、開始: 6706 終了: 8294;
イントロン E: 図 8 (配列番号 22)のうち、開始: 10010 終了: 10968;

エキソン L: 図 8 (配列番号 22)のうち、開始: 6659 終了: 6705;
エキソン 1: 図 8 (配列番号 22)のうち、開始: 8295 終了: 8478;
エキソン 2: 図 8 (配列番号 22)のうち、開始: 8731 終了: 8781;
エキソン 3: 図 8 (配列番号 22)のうち、開始: 9363 終了: 9491;
エキソン 4: 図 8 (配列番号 22)のうち、開始: 9892 終了: 10009;
エキソン 5: 図 8 (配列番号 22)のうち、開始: 10968 終了: 11110;
エキソン 6: 図 8 (配列番号 22)のうち、開始: 11442 終了: 11597;
エキソン 7: 図 8 (配列番号 22)のうち、開始: 13180 終了: 13575;

+1 部位: 図 8 (配列番号 22)のうち、開始: 6659 終了: 6659;
ATG: 図 8 (配列番号 22)のうち、開始: 8312 終了: 8312;
Poly A: 図 8 (配列番号 22)のうち、開始: 14204 終了: 14209;
TATA: 図 8 (配列番号 22)のうち、開始: 6627 終了: 6632;

DHS A: 図 8 (配列番号 22)のうち、開始: 13858 終了: 15163;
DHS IV: 図 8 (配列番号 22)のうち、開始: 459 終了: 859;
DHS III: 図 8 (配列番号 22)のうち、開始: 3253 終了: 3559;
DHS II: 図 8 (配列番号 22)のうち、開始: 5629 終了: 6009; そして
DHS I: 図 8 (配列番号 22)のうち、開始: 6359 終了: 6659。
プロモーター コンストラクトはまた、本明細書に開示されるプロモーター コンストラクト、例えば上記のプロモーター コンストラクト(すなわち、上記 1 から 8)の各々と 80% 同一、85% 同一、90% 同一、91% 同一、92% 同一、93% 同一、94% 同一、95% 同一、96% 同一、97% 同一、98% 同一および 99% 同一のヌクレオチド配列を有することが考慮される。
本発明はまた、3.5 kb OV 断片が 3.8 kb OV 断片で置換されている上記のプロモーター コンストラクト 1 から 8 に対応するプロモーター コンストラクトをも考慮する。本発明はまた、3.5 kb OV 断片が 5.2 kb OV 断片で置換されているプロモーター コンストラクト 1 から 8 に対応するプロモーター コンストラクトをも考慮する。
プロモーター コンストラクトはまた、DHS III がコンストラクトから除かれている、上で特定した組換えプロモーター(すなわち、1 から 8)の各々についても考慮される。
イントロン A が外因性タンパク質生産レベルの増大をもたらし得るイントロン E で置換されている上記のコンストラクト 2、3、5、7 および 8 の各々に対応するプロモーター コンストラクトが考慮される。イントロン A および E は、周囲の DNA 領域においてヒストンの整列を誘導する DNA 配列を有する。かかる整列は、OV 遺伝子の転写調節を提供し得る。いかなる特定の理論または作用機序にも拘束される意図はないが、イントロン
A とイントロン E との置換は、イントロン E の使用に起因するヒストンの優先的な間隔(preferential spacing)を提供し得る(すなわち、イントロン A についての周期性(periodicity)は 202 bp +/- 5 bp であり、イントロン E については 196 bp +/- 5 bp である)。例えば、ヒストンによる DNA のパッケージングは、その操作が転写調節の原因であるタンパク質(例えば、転写因子)のための結合部位の優先的な整列につながり得、転写レベルの増強につながる、DNA の位相幾何学的変化をもたらすと考えられる。
本発明には、本明細書に開示される各々のベクター コンストラクトおよび他のコンストラクトおよびヌクレオチド配列と 80% 同一、85% 同一、90% 同一、91% 同一、92% 同一、93% 同一、94% 同一、95% 同一、96% 同一、97% 同一、98% 同一および 99% 同一のヌクレオチド配列を有する、本明細書に開示されるベクター コンストラクトおよび他のコンストラクトおよびヌクレオチド配列も含まれる。
文脈、本明細書および当業者の知識から明らかなように、かかる組み合わせのいずれかに含まれる特徴が相互に矛盾しないことを考えれば、本明細書に記載されるあらゆる有用な特徴の組み合わせが、本発明の範囲内に含まれる。
[1] プロモーター構成成分および SIN ベクターを含む外因性ヌクレオチド配列をそのゲノム中に含有するトランスジェニックトリであって、該外因性ヌクレオチド配列が該ゲノム中に組み込まれ、該トリによって産まれる殻の硬い卵の中に貯蔵される外因性タンパク質を生産する、トランスジェニックトリ。
[2] プロモーター構成成分が、卵管特異的プロモーターである、[1]に記載のトランスジェニックトリ。
[3] トリが、ニワトリ、シチメンチョウおよびウズラからなる群から選択される、[1]に記載のトランスジェニックトリ。
[4] プロモーター構成成分が、トリにとって外因性のコード配列に連結している、[1]に記載のトランスジェニックトリ。
[5] プロモーター構成成分が、トリ オボムコイド プロモーター構成成分である、[1]に記載のトランスジェニックトリ。
[6] プロモーター構成成分が、トリ 卵白アルブミン プロモーター構成成分である、[1]に記載のトランスジェニックトリ。
[7] プロモーター構成成分が、トリ リゾチーム プロモーター構成成分である、[1]に記載のトランスジェニックトリ。
[8] 外因性タンパク質が、治療タンパク質である、[1]に記載のトランスジェニックトリ。
[9] 外因性タンパク質が、サイトカインである、[1]に記載のトランスジェニックトリ。
[10] 外因性タンパク質が、エリスロポエチン、GM-CSF、インターフェロン、融合タンパク質、CTLA4-Fc 融合タンパク質、成長ホルモン、サイトカイン、ストラクチュラル、インターフェロン、リゾチーム、β-カゼイン、アルブミン、α-1 アンチトリプシン、アンチトロンビン III、コラーゲン、第VIII因子、第IX因子、第X因子(など)、フィブリノーゲン、ラクトフェリン、プロテイン C、組織型プラスミノーゲン活性化因子(tPA)、ソマトトロピン、およびキモトリプシン、免疫グロブリン、抗体、免疫毒素、第VIII因子、b-ドメイン欠失第VIII因子、第VIIa因子、第IX因子、抗凝固剤; ヒルジン、アルテプラーゼ、tpa、レテプラーゼ、tpa、5つのドメインのうち3つが欠失した tpa、インスリン、インスリン リスプロ、インスリン アスパルト、インスリン グラルギン、長時間作用型インスリンアナログ、グルカゴン、tsh、フォリトロピン-ベータ、fsh、pdgh、inf-ベータ、inf-アルファ 1、ifn-アルファ 2、inf-ベータ、inf-ベータ 1b、ifn-ベータ 1a、ifn-ガンマ、ifn-ガンマ 1b、il-2、il-11、hbsag、ospa、ドルナーゼ-アルファ DNA分解酵素、ベータ グルコセレブロシダーゼ、tnf-アルファ、il-2-ジフテリア毒素融合タンパク質、tnfr-lgg 断片融合タンパク質、ラロニダーゼ、DNAアーゼ、アレファセプト、トシツモマブ、マウス mab、アレムツズマブ、ラスブリカーゼ、アガルシダーゼ ベータ、テリパラチド、副甲状腺ホルモン誘導体、アダリムマブ (lgg1)、アナキンラ、生物学的モディファイヤー、ネシリチド、ヒト b-型 ナトリウム利尿ペプチド(hbnp)、コロニー刺激因子、ペグビソマント、ヒト成長ホルモン受容体アンタゴニスト、組換え活性化プロテイン c、オマリズマブ、免疫グロブリン e (lge) ブロッカー、イブリツモマブチウキセタン、ACTH、グルカゴン、ソマトスタチン、ソマトトロピン、チモシン、副甲状腺ホルモン、色素性ホルモン、ソマトメジン、黄体形成ホルモン、絨毛性ゴナドトロピン、視床下部放出因子、エタネルセプト、抗利尿ホルモン、プロラクチンおよび甲状腺刺激ホルモン、免疫グロブリン ポリペプチド、免疫グロブリン ポリペプチド D 領域、免疫グロブリン ポリペプチド J 領域、免疫グロブリン ポリペプチド C 領域、免疫グロブリン軽鎖、免疫グロブリン重鎖、免疫グロブリン重鎖可変領域、免疫グロブリン軽鎖可変領域ならびにリンカー ペプチドからなる群から選択される、[1]に記載のトランスジェニックトリ。
[11] レトロウイルスが、トリ白血症ウイルスベクター(ALV)、マウス白血病ウイルス(MLV)レトロウイルス ベクター、モロニー マウス白血病ウイルス(MMLV)およびレンチウイルスベクターからなる群から選択される、[1]に記載のトランスジェニックトリ。
[12] 組み込まれた SIN ベクター中に含有される外因性コード配列に連結したプロモーター構成成分を含む外因性ヌクレオチド配列を含有する卵管細胞を含むトランスジェニックトリであって、該外因性コード配列が卵管細胞において発現し、卵管細胞から分泌される、トランスジェニックトリ。
[13] トリが、ニワトリである、[12]に記載のトランスジェニックトリ。
[14] 卵管細胞が、管状腺細胞である、[12]に記載のトランスジェニックトリ。
[15] プロモーター構成成分が、トリ オボムコイド プロモーター構成成分である、[12]に記載のトランスジェニックトリ。
[16] プロモーター構成成分が、トリ 卵白アルブミン プロモーター構成成分である、[12]に記載のトランスジェニックトリ。
[17] プロモーター構成成分が、トリ リゾチーム プロモーター構成成分である、[12]に記載のトランスジェニックトリ。
[18] SIN ベクターおよび SC 陰性ベクターの少なくとも一方であるベクターを含むヌクレオチド配列をそのゲノム中に有するトランスジェニックトリを作出することを含む、外因性タンパク質を生産する方法であって、該ヌクレオチド配列が外因性コード配列に連結したプロモーター構成成分を含む、方法。
[19] 外因性コード配列が、ヒトのタンパク質をコードする、[18]に記載の方法。
[20] 外因性コード配列が、治療タンパク質をコードする、[18]に記載の方法。
[21] プロモーター構成成分が、トリ 卵白アルブミン プロモーター構成成分、トリ オボムコイド プロモーター構成成分、トリ リゾチーム プロモーター構成成分およびトリ コンアルブミン プロモーター構成成分からなる群から選択されるプロモーターの機能的プロモーター配列を含む、[18]に記載の方法。
[22] トリが、ニワトリである、[18]に記載の方法。
[23] プロモーター構成成分および SC 陰性ベクターを含む外因性ヌクレオチド配列をそのゲノム中に含有するトランスジェニックトリであって、該外因性ヌクレオチド配列が該ゲノム中に組み込まれ、外因性タンパク質を生産する、トランスジェニックトリ。
[24] プロモーター構成成分が、トリ 卵白アルブミン プロモーター構成成分、トリ オボムコイド プロモーター構成成分およびトリ リゾチーム プロモーター構成成分からなる群から選択されるプロモーターの機能的プロモーター配列を含む、[23]に記載のトランスジェニックトリ。
[25] 以下を含有するヌクレオチド配列からなる群から選択される核酸分子と 90% 同一の核酸:
1. 3.5 kb OV 断片 (DHS I、II および III を含む)
5' UTR-5' 部分 (エキソン L から)
5' UTR-3' 部分 (エキソン 1 から);

2. 3.5 kb OV 断片 (DHS I、II および III を含む)
5' UTR-5' 部分 (エキソン L から)
イントロン A
5' UTR-3' 部分 (エキソン 1 から)
3' UTR;

3. 3.5 kb OV 断片 (DHS I、II および III を含む)
5' UTR-5' 部分 (エキソン L から)
イントロン A
5' UTR-3' 部分 (エキソン 1 から);

4. 3.5 kb OV 断片 (DHS I、II および III を含む)
5' UTR-5' 部分 (エキソン L から)
5' UTR-3' 部分 (エキソン 1 から)
3' UTR;

5. 3.5 kb OV 断片 (DHS I、II および III を含む)
5' UTR-5' 部分 (エキソン L から)
イントロン A
5' UTR-3' 部分 (エキソン 1 から)
3' UTR / DHS A (図 8 の 13576 から 15163 bp);

6. 3.5 kb OV 断片 (DHS I、II および III を含む)
5' UTR-5' 部分 (エキソン L から)
5' UTR-3' 部分 (エキソン 1 から)
3' UTR / DHS A (図 8 の 13576 から 15163 bp);

7. 3.5 kb OV 断片 (DHS I、II および III を含む)
5' UTR-5' 部分 (エキソン L から)
イントロン A
5' UTR-3' 部分 (エキソン 1 から)
部分的な 3' UTR
RRE;

8. ALV CTE
3.5 kb OV 断片 (DHS I、II および III を含む)
5' UTR-5' 部分 (エキソン L から)
イントロン A
5' UTR-3' 部分 (エキソン 1 から)
部分的な 3' UTR;

ここで、
3.5 kb OV 断片 (DHS I、II および III を含む): 図 8 (配列番号 22)のうち、開始: 3199 終了: 6659;

5' UTR-5' 部分 (エキソン L から): 図 8 (配列番号 22)のうち、開始: 6659 終了: 6705;
5' UTR-3' 部分 (エキソン 1 から): 図 8 (配列番号 22)のうち、開始: 8295 終了: 8311;
3' UTR: 図 8 (配列番号 22)のうち、開始: 13576 終了: 14209;
部分的な 3' UTR: 図 8 (配列番号 22)のうち、開始 13576 終了: 13996;

イントロン A: 図 8 (配列番号 22)のうち、開始: 6706 終了: 8294;

エキソン L: 図 8 (配列番号 22)のうち、開始: 6659 終了: 6705;
エキソン 1: 図 8 (配列番号 22)のうち、開始: 8295 終了: 8478;

DHS III: 図 8 (配列番号 22)のうち、開始: 3253 終了: 3559;
DHS II: 図 8 (配列番号 22)のうち、開始: 5629 終了: 6009;
DHS I: 図 8 (配列番号 22)のうち、開始: 6359 終了: 6659; そして、

RRE: 図 9a (配列番号 25)に示される
ALV CTE: 図 9b (配列番号 26)に示される。
本発明のさらなる目的および側面は、以下に簡単に説明される添付の図と併せて、以下に記載される詳細な説明をよく吟味すれば、より明らかになるであろう。
図の簡単な説明
図 1 は、pALV-SIN-4.2-Lys-IFNa-2B ベクターの環状マップを示す。pALV-SIN-4.2-Lys-IFNa-2B の配列は、配列番号 1 に示される。 図 2 は、トランスジェニック ウズラの卵白における IFNa の発現レベルを示す棒グラフである。G0 ウズラは、pALV-SIN-4.0-Lys-IFNa-2B レトロウイルス ベクター 形質導入粒子をニホンウズラの胚へ注入することによって作出された。 図 3 は、pSIN-OV-3.5-I-CTLA4-inv ベクターの環状マップを示す。pSIN-OV-3.5-I-CTLA4-inv のヌクレオチド配列は、配列番号 19 に示される。 図 4 は、pSIN-3.9-OM-CTLA4-Fc ベクターの環状マップを示す。pSIN-3.9-OM-CTLA4-Fc のヌクレオチド配列は、配列番号 20 に示される。 図 5 は、pBS-OM-4.4 ベクターの環状マップを示す。pBS-OM-4.4 のヌクレオチド配列は、配列番号 23 に示される。 図 6 は、pAVIJCR-A137.91.1.2 ベクターの環状マップを示す。pAVIJCR-A137.91.1.2 のヌクレオチド配列は、配列番号 24 に示される。 図 7 は、pSIN-1.8-OM-IFNa-2B プラスミド ベクターの環状マップを示す。pSIN-1.8-OM-IFNa-2B のヌクレオチド配列は、配列番号 21 に示される。 図 8a (配列番号 22)は、ニワトリ 卵白アルブミン遺伝子のセグメントを示す。 図 8b は、図 8a の続きを示す図である。 図 8c は、図 8b の続きを示す図である。 図 8d は、図 8c の続きを示す図である。 図 8e は、図 8d の続きを示す図である。 図 9a (配列番号 25)は、レンチウイルスの RRE (rev 応答エレメント) 配列を示す。 図 9b (配列番号 26)は、ALV CTE (構成的輸送エレメント) 配列を示す。 図 10a は、SIN ベクターを作成するために代表的なレトロウイルス LTR (ALV) から削除されたセグメントの略図を示す。 図 10b (配列番号 29)は、10a に示される LTR の配列を示す。下線の引かれた配列が、削除された配列である。
詳細な説明
定義
本明細書において“動物”の用語は、トリを含む全ての脊椎動物を包含するために用いられ、ヒトを含み得る。それは、胚性および胎性の段階を含む発生の全段階における個々の動物をも包含する。
本明細書において用いる場合、“抗体”の用語は、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体ならびにそれらの機能的断片をいう。抗体は、エピトープに特異的に結合する能力を保持している改変または誘導体化された抗体変異体を包含する。抗体は、標的の抗原またはエピトープに選択的に結合することができる。抗体は、これらに限定されないが、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体 (mAb)、ヒト化および他のキメラ抗体、一本鎖抗体 (scFvs)、Fab 断片、F(ab')2 断片ならびにジスルフィド結合した Fvs (sdFv) 断片を含み得る。
本明細書において用いる場合、“トリ”の用語は、分類学的クラス ava の生物のあらゆる種、亜種または系統、例えば、これらに限定されないが、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、ウズラ、キジ、オウム、フィンチ、タカ、カラスならびにダチョウ、エミューおよびヒクイドリを含む走鳥類などの生物をいう。該用語は、セキショクヤケイ(Gallus gallus)またはニワトリの様々な既知の系統、(例えば、白色レグホン、褐色レグホン、バードロック(Barred-Rock)、サセックス(Sussex)、ニューハンプシャー(New Hampshire)、ロードアイランド(Rhode Island)、オーストラロープ(Ausstralorp)、ミノルカ(Minorca)、アムロックス(Amrox)、カリフォルニアグレイ(California Gray)、イタリアンパートリッジカラード(Italian Partridge-colored))、ならびにシチメンチョウ、キジ、ウズラ、アヒル、ダチョウおよび一般に商業的な量で飼育される他の家禽の系統を包含する。
特定のレトロウイルスに基づくかもしくはこれに由来するレトロウイルス ベクターまたは特定のレトロウイルスのヌクレオチド配列に基づくレトロウイルス ベクターにおけるような、“基づく”または“由来する”との語句は、レトロウイルス ベクターのゲノムが特定のレトロウイルスのゲノムのヌクレオチド配列の実質的部分を含有することを意味する。当業者の知識として本明細書の文脈から明らかであるように、実質的部分は、特定の遺伝子またはヌクレオチド配列、例えば gag、pol および/または env タンパク質をコードするヌクレオチド配列、またはウイルス ゲノムの他の構造的もしくは機能的ヌクレオチド配列、例えば LTR をコードする配列であり得、または実質的に完全なレトロウイルス ゲノム、例えば、レトロウイルス ゲノムのほとんど(例えば、60% より多くまたは 70% より多くまたは 80% より多くまたは 90%より多く)もしくは全てであり得る。レトロウイルスに基づくかまたはこれに由来するレトロウイルス ベクターの例は、Cosset et al、Journal of Virology (1991) vol 65、p 3388-3394 に開示されるように、ALV レトロウイルスに基づく NL レトロウイルス ベクター (例えば、NLB)である。
本明細書において用いる場合、“コード配列”および“コード領域”の用語は、RNA、タンパク質、または RNA もしくはタンパク質のあらゆる部分の合成のための遺伝情報をコードする、RNA および DNA の両方を含むヌクレオチド配列および核酸配列をいう。天然には特定の生物のゲノムの部分でないヌクレオチド配列は、“外来ヌクレオチド配列”、“異種性ヌクレオチド配列”または“外因性ヌクレオチド配列”と称される。“異種性タンパク質”とは、外来、異種性または外因性のヌクレオチド配列によってコードされ、そのためにしばしば細胞において天然には発現しないタンパク質である。単離された後に生物の同じタイプ(例えば、同じ種)に再導入されたヌクレオチド配列は、特定の生物のゲノムの自然に生じる部分であるとはみなされず、そのため外因性または異種性であるとみなされる。
本明細書において用いる場合、“コンストラクト”の用語は、線状または環状のヌクレオチド配列、例えば、天然の源から単離されもしくは化学的に合成されたヌクレオチド配列またはそれらの組み合わせの2以上のセグメントから構築された DNA をいう。
本明細書において用いる場合、“相補的”の用語は、互いに特異的な相互作用を形成できる2つの核酸分子をいう。該特異的な相互作用において、2つの核酸鎖が反対方向を向いている場合、核酸の1つの鎖内のアデニン塩基は、第2の核酸鎖内のチミンと2つの水素結合を形成することができる。特異的な相互作用においてはまた、2つの核酸鎖が反対方向を向いている場合、核酸の1つの鎖内のグアニン塩基は、第2の核酸鎖内のシトシンと3つの水素結合を形成することができる。本明細書において言及する場合、相補的な核酸は、改変された塩基をさらに含み得、ここで、改変されたアデニンは、チミンまたは改変されたチミンと水素結合を形成し得、改変されたシトシンは、グアニンまたは改変されたグアニンと水素結合を形成し得る。
本明細書において用いる場合、“サイトカイン”の用語は、細胞の機能に影響を及ぼし、免疫性、炎症性または造血性の応答における細胞間の相互作用を調節する分子であるあらゆる分泌されるアミノ酸配列をいう。サイトカインは、これらに限定されないが、どの細胞がそれらを産生するかにかかわらず、モノカインおよびリンホカインを包含する。例えば、モノカインは一般的に、単核の細胞、例えばマクロファージおよび/または単球によって産生および分泌されると言われている。しかし、多くの他の細胞、例えばナチュラルキラー細胞、線維芽細胞、好塩基球、好中球、内皮細胞、脳のアストロサイト、骨髄間質細胞、表皮性(epideral)ケラチノサイトおよび B-リンパ球もまた、モノカインを産生する。リンホカインは一般的に、リンパ球細胞によって産生されると言われている。サイトカインの例は、これらに限定されないが、インターロイキン-1 (IL-1)、インターロイキン-6 (IL-6)、インターロイキン-8 (IL-8)、腫瘍壊死因子-アルファ (TNF-アルファ) および腫瘍壊死因子ベータ (TNF-ベータ) を含む。
本明細書において用いる場合、“発現する”または“発現”の用語は、遺伝子の2つの核酸鎖のうちの一方の領域に対し少なくとも部分的には相補的な RNA 核酸分子をもたらす、遺伝子からの転写をいう。本明細書において用いる場合、“発現する”または“発現”の用語は、タンパク質またはペプチドを産生する、RNA の翻訳をもいい得る。
本明細書において用いる場合、“発現ベクター”の用語は、少なくとも1つのポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した遺伝子発現制御領域、例えばプロモーターまたはプロモーター構成成分を含む核酸ベクターをいう。
本明細書において用いる場合、“断片”の用語は、例えば、人工的に(例えば、化学合成によって)または制限エンドヌクレアーゼもしくは機械的せん断を用いて天然の産物を複数の断片へと切断することによってまたは酵素的に、例えば PCR または当該技術分野に公知のあらゆる他の重合技術によって構築された、または当業者に公知の組換え核酸技術によって宿主細胞において発現された、少なくとも約 10、20、50、75、100、150、200、250、300、500、1000、2000、5000、6,000、8,000、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000 または 60,000 ヌクレオチド長の核酸の部分を言い得る。本明細書において用いる場合、“断片”の用語は、例えば、アミノ酸配列の少なくとも約 5、10、20、30、40、50、75、100、150、200、250、300、400、500、1000、2000、5000、6,000、8,000 または 10,000 アミノ酸の部分をも言い得、その部分は少なくとも1つのプロテアーゼによるタンパク質分解性切断によって天然のアミノ酸配列から切断されるか、または化学的方法によってまたは当業者に公知の組換え DNA 技術を用いて(例えば、天然のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列の一部から発現されて)合成される天然のアミノ酸配列の一部である。“断片”は、特定のヌクレオチド配列またはアミノ酸配列の一部、例えば約 5%、約 10%、約 20%、約 30%、約 40%、約 50%、約 60%、約 70%、約 80%、約 90%、約 95% または 約 99% の部分をもいい得る。
“機能的部分”または“機能的断片”は互換的に用いられ、本明細書において用いる場合、全体または部分として全体の機能を果たすことができる、全体の部分または断片を意味する。例えば、分子の生物学的に機能的な部分とは、分子全体またはインタクトな分子の生物学的機能を果たす分子の部分を意味する。例えば、遺伝子発現制御領域の機能的部分は、生物学的システムにおいて全体または部分として遺伝子発現を調節または制御する(例えば、全体または部分のいずれかとして促進する)特定の遺伝子発現制御領域(例えば、プロモーター)の断片または部分である。機能的部分は、あらゆる有用なサイズのものであり得る。例えば、機能的断片は、長さ約 20 塩基から特定の配列の全長より1ヌクレオチドを引いたものに等しい長さまでの範囲のサイズであり得る。別の例において、機能的断片は、長さ約 50 塩基から特定の配列の全長より1ヌクレオチドを引いたものに等しい長さまでの範囲のサイズであり得る。別の例において、機能的断片は、長さ約 50 塩基から長さ約 20 kb の範囲のサイズであり得る。別の例において、機能的断片は、長さ約 500 塩基から長さ約 20 kb の範囲のサイズであり得る。別の例において、機能的断片は、長さ約 1 kb から長さ約 20 kb の範囲のサイズであり得る。別の例において、機能的断片は、長さ約 0.1 kb から長さ約 10 kb の範囲のサイズであり得る。別の例において、機能的断片は、長さ約 20 塩基kb から長さ約 10 kb の範囲のサイズであり得る。
本明細書において用いる場合、“遺伝子発現制御領域”の用語は、コード配列に付随しており、全体または部分としてコード配列の発現を調節する、例えば全体または部分としてコード配列の転写を調節する、ヌクレオチド配列をいう。遺伝子発現制御領域は、天然の源から単離しまたは化学的に合成することができ、適切な細胞における調節された転写を可能にするために核酸ベクターへ組み込むことができる。“遺伝子発現制御領域”は、前には限定されないが、mRNA に転写され得るコード配列の末端の領域 5' にある核酸配列の領域の前にあり得る。
“異種性”、“外因性”および“外来”の用語は、本明細書において互換的に用いられ、一般的に、特定の生物においてまたは特定の細胞、組織または生物中に含まれもしくは生物によって生産される他の構成要素において通常は見出されない、核酸またはタンパク質などの生体分子をいう。例えば、卵にとって異種性または外因性であるタンパク質とは、卵において通常は見出されないタンパク質である。本明細書において用いる場合、“異種性”、“外因性”および“外来”の用語は、核酸、例えば DNA および RNA に関して、互換的に用いられ、それが存在する染色体、ゲノムまたは細胞の部分として自然には生じない核酸、またはそれが自然に生じる1または複数の場所および/または量とは異なる1または複数の場所でおよび/または量で見出される核酸をいう。それは、ゲノム、染色体または細胞にとって内在性でなく、ゲノム、染色体または細胞へ外因的に導入された核酸であり得る。異種性 DNA の例は、これらに限定されないが、遺伝子発現制御領域を含む DNA および1または複数の産物、例えば RNA またはタンパク質産物をコードする DNA を包含する。異種性 DNA の例は、これらに限定されないが、一旦トリから単離され、その後に、例えばトリ ゲノムへの再導入の後に用いられる、本明細書に開示される遺伝子発現制御領域またはプロモーターを包含する。
本明細書において用いる場合、“単離された核酸”の用語は、例えば、(a)天然のゲノム分子の部分の配列を有するが、それが自然に生じる種のゲノムにおける分子のその部分に隣接する配列の少なくとも1つによって隣接されない DNA ; (b) 結果として生じるベクターまたはゲノム DNA が、その核酸が得られた天然の DNA と同一でないようにベクター中または原核生物もしくは真核生物のゲノム DNA 中に組み込まれた核酸; (c) 分離した(separate)分子、例えば cDNA、ゲノム断片、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)もしくは化学合成によって生成される断片、または制限断片; (d) ハイブリッド遺伝子、すなわち融合タンパク質をコードする遺伝子の部分である組換えヌクレオチド配列、および (e) 自然には生じないハイブリッド配列の部分である組換えヌクレオチド配列を包含する。本発明の単離された核酸分子は、例えば、天然の対立遺伝子変異体およびヌクレオチドの欠失、挿入、逆位(inversion)または置換によって改変された核酸分子を包含し得る。
本明細書において用いる場合、“核酸”の用語は、ヌクレオチドおよびヌクレオシドのあらゆる直鎖状もしくは連続的な配列、例えば cDNA、ゲノム DNA、mRNA、tRNA、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシドおよびこれらの誘導体をいう。議論を簡単にするため、非天然核酸は、本明細書においてコンストラクトと称され得る。核酸は、発現、クローニング、コスミドおよび形質転換ベクターを含む細菌のプラスミド ベクター、例えば、動物ウイルス ベクター、例えば、これらに限定されないが、改変アデノウイルス、インフルエンザ ウイルス、ポリオ ウイルス、ポックス ウイルス、レトロウイルス、例えばトリ白血症ウイルス (ALV) レトロウイルス ベクター、マウス白血病ウイルス (MLV) レトロウイルス ベクター、およびレンチウイルス ベクター等ならびにこれらの断片を包含し得る。加えて、核酸は、トリ白血症ウイルス (ALV) レトロウイルス ベクター、マウス白血病ウイルス (MLV) レトロウイルス ベクターまたはレンチウイルス ベクターの LTR およびこれらの断片であり得る。核酸(Nuclic acid)は、NL ベクター、例えば NLB、NLD および NLA ならびにこれらの断片、ならびに合成オリゴヌクレオチド、例えば化学的に合成された DNA または RNA をも包含し得る。核酸は、改変または誘導体化されたヌクレオチドおよびヌクレオシド、例えば、これらに限定されないが、ハロゲン化されたヌクレオチド、例えば、これだけではないが、5-ブロモウラシル、ならびに誘導体化されたヌクレオチド、例えばビオチン標識されたヌクレオチドを包含し得る。
本明細書において用いる場合、“ベクター”および“核酸ベクター”の用語は、細胞へトランスフェクトまたは形質転換され得、宿主細胞ゲノムと独立してまたは宿主細胞ゲノムの中で複製することができる、天然のまたは合成の、一本鎖または二本鎖の、プラスミドまたはウイルス核酸分子をいう。環状二本鎖ベクターは、ベクターのヌクレオチド配列に基づき、適切な制限酵素での処理によって直線化され得る。核酸は、ベクターを制限酵素で切断し、所望の断片を共に連結することによって、ベクターに挿入され得る。
“作動可能に連結”との用語は、記載された構成要素がその通常の機能を果たすよう構成される、エレメントの配置をいう。コード配列に作動可能に連結した遺伝子発現制御領域またはプロモーター(例えば、プロモーター構成成分)は、コード配列の発現をもたらすことができる。制御配列は、それらがコード配列の発現を指示するよう機能する限り、コード配列と隣接している必要はない。つまり、例えば、翻訳されないが転写される介在性配列がプロモーター配列とコード配列との間に存在し得、プロモーター配列はそれでもなお、コード配列に“作動可能に連結”しているとみなすことができる。
本明細書において用いる場合、“卵管特異的プロモーター”の用語は、機能的な、すなわち、コード配列の転写を、大きな程度で、例えば、鳥の卵管細胞において主要に(すなわち、特定のプロモーターの型によって動物において産生される転写産物の 50% よりも多く、卵管細胞において産生される)または排他的に提供するプロモーターおよびプロモーター成分をいう。卵管特異的プロモーターの例は、卵白アルブミン プロモーター、オボムコイド プロモーター、オボインヒビター プロモーター、リゾチーム プロモーターおよびオボトランスフェリン プロモーターならびにこれらのプロモーターの機能的部分、例えば、プロモーター構成成分を包含する。
例えば“% 同一”のように用いられる“パーセント配列同一性”“パーセント同一性”の用語、ならびに例えば“% 相同性”および“パーセント配列類似性”のように用いられる“パーセント配列相同性”“パーセント相同性”の用語は、各々、Karlin & Attschul (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. 90: 5873 5877 の通りに改変された Karlin & Attschul
(1990) Proc. Natl. Acad. Sci. 87: 2264 2268 のアルゴリズムを用いて決定される、2つの核酸配列間または2つのアミノ酸配列間の配列一致の程度をいう。かかるアルゴリズムは、Attschul et al. (1990) T. Mol. Biol. Q15: 403 410 の NBLAST および XBLAST プログラムに組み込まれている。本発明の核酸分子と相同なヌクレオチド配列を得るために、BLAST ヌクレオチド検索は、NBLAST プログラム、スコア = 100、単語長(wordlength) = 12 で実行される。基準の(reference)アミノ酸配列と相同なアミノ酸配列を得るために、BLAST タンパク質検索は、XBLAST プログラム、スコア = 50、単語長(wordlength)
= 3 で実行される。比較目的のギャップありアラインメントを得るため、Gapped BLAST が Attschul et al. (1997) Nucl. Acids Res. 25: 3389 3402 に記載される通りに利用される。BLAST および Gapped BLAST プログラムを利用する場合、それぞれのプログラム
(例えば XBLAST および NBLAST) のデフォルトのパラメータが用いられる。他のアルゴリズム、プログラムおよびデフォルトの設定、例えば、これだけではないが、ヌクレオチドまたはアミノ酸の配列比較のためのプログラムを含む U.K. Human Genome Mapping Project Resource Centre の GCG 配列解析パッケージも適し得る。
“ポリヌクレオチド”、“オリゴヌクレオチド”、“ヌクレオチド配列”および“核酸配列”の用語は、本明細書において互換的に用いられ得、これらに限定されないが、コード配列、すなわち、適切な調節または制御配列; 制御配列、例えば、翻訳開始および停止コドン、プロモーター配列、リボソーム結合部位、ポリアデニル化シグナル、転写因子結合部位、転写終結配列、上流および下流の調節ドメイン、エンハンサー、サイレンサー、1又は複数の転写因子がそこに結合し遺伝子のプロモーターの活性を正(誘導)または負(抑制)のいずれかに変化させる DNA 配列等の制御下に置かれた場合に、インビトロもしくは生体内で転写され、ポリペプチドへ翻訳される1又は複数のポリヌクレオチドもしくは核酸配列を包含する。長さまたは合成起源に関しては、本明細書に記載される用語によって制限が示唆されるものではない。
本明細書において用いる場合、“ポリペプチド”および“タンパク質”の用語は、ペプチド結合を介して連結した、連続した配置の3以上のアミノ酸のポリマーをいう。“ポリペプチド”の用語は、タンパク質、タンパク質断片、タンパク質類縁体、オリゴペプチド等を包含する。“ポリペプチド”の用語は、上で定義される通り、核酸によってコードされ、組換え技術を介して生産され (例えば、トランスジェニック鳥から単離され)または合成されるポリペプチドを包含する。“ポリペプチド”の用語は、上で定義される通り、化学的に修飾されたアミノ酸または標識リガンドに共有結合もしくは非共有結合によって結合したアミノ酸を含むポリペプチドをさらに考慮する。
本明細書において用いる場合、“プロモーター”の用語は、トリ細胞において RNA ポリメラーゼによる転写開始を惹起するのに有用な DNA 配列 をいう。“プロモーター構成成分”は、それだけでまたは他の DNA 配列と共同して、転写を生じさせまたは促進することができる DNA 配列である。特異的プロモーター構成成分、例えば卵白アルブミン プロモーター構成成分、オボムコイド プロモーター構成成分およびリゾチーム プロモーター構成成分ならびに本明細書で開示され特許請求の範囲として主張される他のプロモーターおよびプロモーター構成成分は、特定のプロモーター配列を記載しない。むしろ、それらは、コード配列の転写を生じさせまたは促進するのに有用なそれぞれのプロモーターのあらゆる配列もしくは配列断片を包含する。例えば、オボムコイド プロモーター構成成分は、限定されることなく、引用によりその全体が本明細書に取り込まれている 2007年5月17日公開の米国出願公開第11/649,543号に開示される約 1.8 kb、約 3.9 kb および約 10 kb のオボムコイド プロモーターを包含する。“プロモーター構成成分”は、RNA 転写を開始するよう機能する再配列された遺伝子発現制御領域ならびに RNA 転写を開始するよう機能する天然の DNA 配列および/または合成の DNA 配列で構成されるハイブリッド DNA 分子をも包含し得る。
本明細書において用いる場合、“組換え核酸”および“組換え DNA”の用語は、真核または原核細胞において天然には見出されない、少なくとも2つの核酸配列の組み合わせをいう。核酸配列は、これらに限定されないが、核酸ベクター、遺伝子発現調節エレメント、複製起点、発現すると抗生物質耐性を与える適切な(suitable)遺伝子配列、タンパク質をコードする配列等を含み得る。“組換えポリペプチド”の用語は、その場所、純度または構造のいずれかにおいて天然のポリペプチドとは異なるように組換え DNA 技術によって生産されるポリペプチドを包含するよう意図される。一般的に、かかる組換えポリペプチドは、天然の状態で通常観察されるのとは異なる量で、細胞中に存在する。
本明細書において用いる場合、“調節配列”の用語は、プロモーター、エンハンサー、および遺伝子発現を制御し得る他のエレメントを包含する。
“SC 陰性ベクター”とは、機能的プロモーターを有し、選択可能なまたはスクリーニング可能なカセットマーカーを含有しないベクターである。プロモーターは、全体としてまたは部分的に削除され得、またはヌクレオチド配列の挿入によって不活化され得る。スクリーニング可能なカセットは、限定されることなく、抗生物質耐性マーカー、例えばネオマイシン耐性の DNA 配列 および他の選択可能なマーカー、例えば GFP もしくは lacZ
の DNA 配列を包含する。
“SIN ベクター”とは、自己不活化(self-inactivating)ベクターである。具体的には、SIN ベクターは、標的細胞(例えば、トリの胚細胞)のゲノム DNA へ組み込まれると、組み込まれたレトロウイルス ベクターの 5' LTR がプロモーターとして機能しないように変更されたゲノムを有する、レトロウイルス ベクターである。例えば、一旦組み込まれたレトロウイルス ベクターの 5' LTR の U3 領域をもたらすレトロウイルス ベクターのヌクレオチド配列の部分または全ては、5' LTR のプロモーター活性を減少させまたは除去するために、削除または変更され得る。特定の例において、当該技術分野において理解される通り、5' LTR の U3 からの CAAT ボックス および/または TAATA ボックスの欠失は、SIN ベクターをもたらすことができる。
“SIN/SC 陰性ベクター”とは、SIN ベクターおよび SC 陰性ベクターの両方である、ベクター、すなわちレトロウイルス ベクターである。
本明細書において用いる場合、“センス鎖”の用語は、RNA へ転写され得、遺伝子の天然ポリペプチド産物へ翻訳され得る、ゲノム DNA からの一本鎖 DNA 分子をいう。本明細書において用いる場合、“アンチセンス鎖”の用語は、遺伝子のセンス鎖と相補的な、ゲノム DNA の一本鎖 DNA 分子をいう。
“治療タンパク質”または“医薬タンパク質”は、全体または部分として薬剤を構成する物質である。具体的には、“治療タンパク質”および“医薬タンパク質”は、全体または部分として薬剤を構成するアミノ酸配列を包含する。
本明細書において用いる場合、“転写調節配列”および“遺伝子発現制御領域”および“プロモーター構成成分”の用語は、核酸配列に付随し、コード配列の転写発現を調節するヌクレオチド配列をいう。代表的な転写調節配列は、エンハンサー エレメント、ホルモン応答エレメント、ステロイド応答エレメント、負の調節エレメント等を含む。適切な細胞におけるベクター DNA の部分の調節された転写を可能にするため、“転写調節配列”は単離され得、ベクターの核酸中へ組み込まれ得る。“転写調節配列”は、これらに限定されないが、mRNA へ転写され得るタンパク質コード配列の末端の領域 5'に存在する核酸配列の領域に先行し得る。転写調節配列は、タンパク質コード領域内、“イントロン”領域として同定される遺伝子の領域中にも位置し得、すなわち核酸の該領域にある核酸配列の領域中にあり得る。
本明細書において用いる場合、“形質転換”および“トランスフェクション”の用語は、核酸を宿主へ挿入する過程をいう。原核生物または真核生物への核酸の形質転換またはトランスフェクションを促進するための多くの技術が、当業者に周知である。これらの方法は、宿主細胞を核酸分子の取込みについてコンピテントな状態にするための様々な技術、例えば細胞を高濃度の塩、例えば、これだけではないが、カルシウムもしくはマグネシウム塩、電場、洗浄剤で処理すること、またはリポソームに媒介されるトランスフェクションを包含する。
本明細書において用いる場合、“トランスジェニック動物”とは、あらゆる非ヒト動物、例えば、トリの細胞のうち1以上が、人間の介入によって、例えば本明細書に開示されるものを含む当該技術分野において公知のトランスジェニック技術 (例えば、その開示事項が全体として引用により本明細書に取込まれる 2007年10月18日公開の米国特許出願公開第2007/0243165号参照) によって導入された異種性の核酸を含み得る、ニワトリを含むトリの種である。核酸は、計画的な(deliberate)遺伝子操作の手段、例えばマイクロインジェクションまたは組換えウイルスの感染によって細胞の前駆体へ導入することにより、直接的にまたは間接的に動物へ導入される。遺伝子操作との用語は、古典的な交雑または体外受精を含まないが、それよりも組換え DNA 分子の導入に向けられている。この分子は、染色体内に組み込まれ得、または染色体外で複製する DNA であり得る。典型的なトランスジェニック動物において、導入遺伝子は、細胞に標的タンパク質または標的ポリペプチドの組換え型を発現させることができる。本明細書において“キメラ動物”または“モザイク動物”の用語は、導入遺伝子が見出される動物、または該動物の全てではないがいくつかの細胞において組換えヌクレオチド配列が発現する動物をいうために用いられる。生殖系列キメラの動物は、その生殖細胞中に導入遺伝子を含有し、子孫動物のほとんどまたは全ての細胞が導入遺伝子を含有するトランスジェニック動物を生じさせることができる。
本明細書において用いる場合、“導入遺伝子”の用語は、それが導入されるトランスジェニック動物もしくは細胞に対して部分的にまたは完全に異種性、すなわち外来の、またはそれが導入されるトランスジェニック動物もしくは細胞の内在性遺伝子と相同であるが、それが導入される細胞のゲノムを変化させるように動物のゲノム中へ挿入されるよう設計されもしくは挿入される(例えば、それは天然の遺伝子とは異なる場所に挿入されるか、またはその挿入がノックアウトをもたらす)、核酸配列(例えば、ヒトタンパク質をコードする)を意味する。本発明による導入遺伝子は、トリにおける(例えば、トリの卵管における)外因性タンパク質の生産に有用な配列を含有する本発明のベクター(例えば、SIN ベクター)を包含し得る。
本発明の核酸およびタンパク質を単離および特徴付けするのに有用な技術は、当業者に周知であり、過度の実験をすることなく、使用に適したプロトコールを選択するために、標準的な分子生物学および生化学のマニュアルを参考にすることができる。例えば、その内容が引用により全体として本明細書に取り込まれている Sambrook et al、1989、“Molecular Cloning: A Laboratory Manual”、2nd ed.、Cold Spring Harbor を参照されたい。
略称:
本明細書において用いられる略称は、以下を含みうる: aa、1または複数のアミノ酸; bp、1または複数の塩基対; cDNA、RNA に対し相補的な DNA; nt、1または複数のヌクレオチド; kb、1000 塩基対; μg、マイクログラム; ml、ミリリットル; ng、ナノグラム。
説明:
本発明に従って設計され用いられる SIN ベクターは、トランスジェニックトリにおいて採用される興味の対象であるプロモーターのプロモーター干渉を減少させまたは除去することができる。特に有用な態様において、興味の対象であるプロモーター(すなわち、プロモーター構成成分)、例えば卵管特異的プロモーターは、その遺伝子産物を卵管細胞または卵管組織において優先的に発現する。かかるプロモーター(例えば、プロモーター構成成分)の例は、これらに限定されないが、卵白アルブミン、リゾチーム、コンアルブミン(すなわち、オボトランスフェリン)、オボムコイド、オボムチンおよび/またはオボインヒビター遺伝子の発現制御領域もしくはプロモーター領域の機能的部分を包含する。一つの態様において、興味の対象であるプロモーターは、1以上のプロモーターの組み合わせもしくは融合または1以上のプロモーター断片の融合、例えば、別のプロモーターもしくはプロモーター断片、例えばウイルス プロモーター(例えば、LTR プロモーター)を伴う卵白アルブミン、リゾチーム、コンアルブミン(すなわち、オボトランスフェリン)、オボムコイド、オボムチン、および/またはオボインヒビター プロモーターである。
SIN ベクターは、卵管特異的プロモーターを伴う状態で特に有用であることが示された。いかなる特定の理論または作用機序にも本発明を限定する意図はないが、卵管特異的プロモーターはレトロウイルスの LTR プロモーターの影響に特に感受性であり得ると信じられている。結果として、SIN ベクターは、トリ卵管特異的プロモーターと組み合わせて採用される場合に特に有用である。
1つの特に有用な態様において、本発明の卵管特異的プロモーターに作動可能に連結したコード配列の転写を少なくとも部分的に阻害することができる干渉プロモーター(例えば、LTR プロモーター)が、例えば干渉プロモーターの配列の全てまたは部分の欠失、挿入または転位によって不活化される SIN ベクターが作成される。例えば、図 1 に示されるベクター pALV-SIN-4.2-Lys-IFNa-2B においては、当該技術分野において理解される通り、レトロウイルス領域が組み込まれると 5' LTR が不活化されるよう、3' RAV2 LTR がエンハンサー中に欠失を有している。LTR 欠失の詳細な図については、図 10 を参照されたい。
本発明の一つの有用な態様において、SIN/SC 陰性ベクターを作成するために、SC 陰性ベクターでもある SIN ベクターが採用される。SC 陰性ベクターと SIN ベクターとの組み合わせは、ただ SIN ベクターまたは SC 陰性ベクターであるだけのベクターと比較してプロモーター干渉の量が実質的に減少したベクターをもたらし得る。例えば、pALV-SIN-4.2-Lys-IFNa-2B および 実施例において開示される他の SIN ベクターも、抗生物質耐性マーカーを欠いており、その事が該ベクターを SC 陰性ベクター且つ SIN ベクターの両方にしている。
SIN ベクター、SC 陰性ベクターおよび SIN/SC 陰性ベクターは、生殖系列キメラを含むキメラおよび例えば当業者に公知の繁殖技術を用いて作出される子孫の鳥を作出するための、あらゆる有用なトリ、例えばニワトリ、ウズラおよびシチメンチョウにおける本発明による使用のために考慮される。加えて、(非 SIN ベクターである) SC 陰性レトロウイルス ベクターも、SC 陰性ベクターではない本質的に同じレトロウイルス ベクターを用いて作出されたトランスジェニックトリと比較して、トランスジェニックトリにおいて生産される外因性タンパク質の量を増強または増大させることが考慮される。
本発明をいかなる特定の理論または作用機序にも限定する意図はないが、選択可能なマーカーカセットの欠如は、プロモーターエレメント、例えば、そうでなければトリ卵管細胞における外因性タンパク質の生産のために採用されるプロモーター(例えば、卵管特異的プロモーター)に対してシスに且つ近接して存在するであろうエンハンサーの存在を減少させると考えられる。この近接は、マーカー遺伝子の転写調節エレメントによる、興味の対象であるプロモーター、すなわち外因性タンパク質の生産のために採用されるプロモーターへの干渉を可能にし得る。しかし、本発明は、マーカー遺伝子のコード配列、例えば、限定されないが、ネオマイシン耐性のコード配列およびベータ ラクタマーゼのコード配列が、トリ卵管細胞における外因性タンパク質の生産のために採用されるプロモーター(すなわち、第1のプロモーター)に干渉しないプロモーター(すなわち、第2のプロモーター)に作動可能に連結され得ることを考慮する。例えば、マーカーのプロモーターと興味の対象であるプロモーターが同一または類似のプロモーターである場合、選択可能なカセットによる干渉は最小化されまたは除去されることが考慮される。例えば、マーカー遺伝子のコード配列に作動可能に連結した第2の卵白アルブミン プロモーターは、トリ卵管細胞における外因性タンパク質の生産のために採用される第1の卵白アルブミン プロモーターに干渉しない。
本発明は、トリにおける外因性タンパク質発現のための本発明のベクターにおいて、あらゆる有用な卵管特異的プロモーターおよび卵管特異的プロモーター断片が採用されることを考慮する。例えば、引用によりその開示事項が全体として本明細書に取り込まれている2005年1月31日出願の米国特許出願公開第2005/0176047号、引用によりその開示事項が全体として本明細書に取り込まれている2007年1月26日出願の米国特許出願公開第2007/0124829号、および引用によりその開示事項が全体として本明細書に取り込まれている2003年12月11日出願の米国特許出願公開第2006/0130170号において開示されるプロモーターおよびプロモーターの有用な(例えば、機能的な)断片(例えば、プロモーター構成成分)が、本発明による SIN ベクターおよび SC 陰性ベクターおよび SIN/SC 陰性ベクターとの併用における使用のために考慮される。
本発明はまた、本発明による興味の対象であるプロモーターとしての使用のための他のプロモーターおよびその転写的に機能的な部分(例えば、プロモーター構成成分)、例えばサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、β-アクチン プロモーター(例えば、ニワトリ β-アクチン プロモーター)、マウス白血病ウイルス(MLV)プロモーター、マウス乳癌ウイルス(MMTV)プロモーターをも考慮する。
本発明はまた、トランスジェニックトリにおいて外因性タンパク質を生産する際の使用のために考慮される様々な卵白アルブミンプロモーター構成成分を包含する。本明細書に開示されるプロモーターの各々が、本発明によるベクターにおける使用のために考慮される。
組換え卵白アルブミン DNA を含有する本発明のベクターの例を、以下に示す。断片は、それが単一の DNA 分子上に存在する 5' から 3' への線形順序で、上から下へ記載される。例えば、配列 1 の 3.5 kb OV 断片の 3' 末端は、5' UTR-5' 部分の 5' 末端に共有結合し、5' UTR-5' 部分の 3' 末端は、5' UTR-3' 部分の 5' 末端に共有結合する。
1. pSIN-OV-3.5-CSI
3.5 kb OV 断片 (DHS I、II および III を含む)
5' UTR-5' 部分 (エキソン L から)
5' UTR-3' 部分 (エキソン 1 から)


2. pSIN-OV-3.5-Int-CSI-inv
3.5 kb OV 断片 (DHS I、II および III を含む)
5' UTR-5' 部分 (エキソン L から)
イントロン A
5' UTR-3' 部分 (エキソン 1 から)
3' UTR


3. pSIN-OV-3.5-Int-CSI
3.5 kb OV 断片 (DHS I、II および III を含む)
5' UTR-5' 部分 (エキソン L から)
イントロン A
5' UTR-3' 部分 (エキソン 1 から)


4. pSIN-OV-3.5-CSI-UTR-inv
3.5 kb OV 断片 (DHS I、II および III を含む)
5' UTR-5' 部分 (エキソン L から)
5' UTR-3' 部分 (エキソン 1 から)
3' UTR


5. pSIN-OV-3.5-Int-CSI-LUTR-inv
3.5 kb OV 断片 (DHS I、II および III を含む)
5' UTR-5' 部分 (エキソン L から)
イントロン A
5' UTR-3' 部分 (エキソン 1 から)
3' UTR / DHS A (図 8 の 13576 から 15163 bp);


6. pSIN-OV-3.5-CSI-LUTR-inv
3.5 kb OV 断片 (DHS I、II および III を含む)
5' UTR-5' 部分 (エキソン L から)
5' UTR-3' 部分 (エキソン 1 から)
3' UTR / DHS A (図 8 の 13576 から 15163 bp);


7. pSIN-OV-3.5-Int-CSI-RRE
3.5 kb OV 断片 (DHS I、II および III を含む)
5' UTR-5' 部分 (エキソン L から)
イントロン A
5' UTR-3' 部分 (エキソン 1 から)
部分的な 3' UTR
RRE (Rev 応答エレメント) 図 9a
コンストラクト 7 は、スプライスされていない RNA ゲノムの細胞質への輸送を可能にするための RRE を含み、そのため、インタクトなレトロウイルス RNA のパッケージングを増強し得る。RRE は、Rev タンパク質の存在下でのみ活性である。Rev 活性は、レトロウイルス構成成分の一過性トランスフェクションの間に、当該技術分野において周知であり市販されている(例えば、Invitrogen、Inc.) Rev をコードする DNA、Rev をコードする RNA、および/または Rev タンパク質の形態で提供される。このため、ウイルス粒子によって作出されるトランスジェニック鳥のゲノム中に含有される導入遺伝子の中にはイントロンが存在する(rev タンパク質はトランスジェニック鳥の細胞中には存在しない)。結果として、RNA は産卵鶏の卵管細胞においてスプライスされ、イントロンのない同じ導入遺伝子を有する同じトランスジェニック鳥と比較して、増強されたレベルのタンパク質発現をもたらす。
8. pSIN-CTE-OV-3.5-Int-CSI
ALV CTE (図 9b) が挿入された 3.5 kb OV 断片の 5'
3.5 kb OV 断片 (DHS I、II および III を含む)
5' UTR-5' 部分 (エキソン L から)
イントロン A
5' UTR-3' 部分 (エキソン 1 から)
部分的な 3' UTR
上記の8つのベクターのためのエレメントのいくつかについての座標は、本明細書の他の場所に記載される。例えば、卵白アルブミン ヌクレオチド配列からの配列の座標は、上記の要約セクションにおいて記載される。CSI は、興味の対象であるコード配列、すなわち、トランスジェニックトリの卵管において発現することが望まれるタンパク質をコードするヌクレオチド配列を意味する。
本発明による使用のための SIN ベクター、SIN/SC 陰性ベクターおよび SC 陰性ベクターは、ベクター、例えばトリ白血病/白血症ウイルス(ALV)、例えば、限定されることなく、RAV-0、RAV-1、RAV-2; トリ肉腫ウイルス(ASV); 限定されることなく、ラウス肉腫ウイルス(RSV)を含むトリ肉腫/急性白血病ウイルス(ASLV); 藤波肉腫ウイルス(FSV); トリ骨髄芽球症ウイルス(AMV); トリ赤芽球症ウイルス(AEV); トリ骨髄球腫症ウイルス(MCV)、例えば、限定されることなく、MC29; 細網内皮症ウイルス(REV)、例えば、限定されることなく、脾臓壊死ウイルス(SNV)を包含する。本発明はまた、限定されることなく、マウス白血病ウイルス(MLV)に基づくレトロウイルス ベクター; モロニー(Molony)マウス肉腫ウイルス(MMSV); モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV); ならびにレンチウイルス(例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)およびサル免疫不全ウイルス(SIV))を含む、当業者に理解される通りに SIN ベクター、SIN/SC 陰性ベクターまたは SC 陰性ベクターへ変更される他の有用なレトロウイルス ベクターを考慮する。
一つの非常に具体的な態様において、その開示事項が全体として引用により本明細書に取り込まれている Cosset et al、J of Virology (1991) vol 65、no.6、p3388-3394 に開示される改変された ALV ベクターの 5' LTR の一部は、SIN ベクターを作成するために削除されている。具体的には、配列番号 29 に示される ALV に基づくベクターの LTR 配列から、ヌクレオチド 1 から 173 が削除された。トリの遺伝子組換えにおいて用いられ得る他のベクターから SIN ベクターを作成するのに有用な 5' LTR 配列からの特定の欠失は、当業者によって決定され得る。
一つの特に有用な態様において、本発明は、本発明によるトランスジェニックトリ、例えばニワトリの卵管において生産され得る治療タンパク質の生産に引き寄せられる。本発明による生産について代表的なタンパク質は、限定されることなく、エリスロポエチン、GM-CSF、インターフェロンβ、融合タンパク質、CTLA4-Fc 融合タンパク質、成長ホルモン、サイトカイン、ストラクチュラル プロテイン(structural protein)、インターフェロン、リゾチーム、β-カゼイン、アルブミン、α-1 アンチトリプシン、アンチトロンビン III、コラーゲン、第VIII因子、第IX因子、第X因子(など)、フィブリノーゲン、ラクトフェリン、プロテイン C、組織型プラスミノーゲン活性化因子(tPA)、ソマトトロピン、およびキモトリプシン、免疫グロブリン、抗体、免疫毒素、第VIII因子、b-ドメイン欠失第VIII因子、第VIIa因子、第IX因子、抗凝固剤; ヒルジン、アルテプラーゼ、tpa、レテプラーゼ、tpa、5つのドメインのうち3つが欠失した tpa、インスリン、インスリン リスプロ、インスリン アスパルト、インスリン グラルギン、長時間作用型インスリンアナログ、グルカゴン、tsh、フォリトロピン-ベータ、fsh、pdgh、inf-ベータ、inf-アルファ 1、ifn-アルファ 2、inf-ベータ、inf-ベータ 1b、ifn-ベータ 1a、ifn-ガンマ、ifn-ガンマ 1b、il-2、il-11、hbsag、ospa、ドルナーゼ-アルファ DNA分解酵素、ベータ グルコセレブロシダーゼ、tnf-アルファ、il-2-ジフテリア(diphtheria)毒素融合タンパク質、tnfr-lgg 断片融合タンパク質、ラロニダーゼ、DNAアーゼ、アレファセプト、トシツモマブ、マウス mab、アレムツズマブ、ラスブリカーゼ、アガルシダーゼ ベータ、テリパラチド、副甲状腺ホルモン誘導体、アダリムマブ(lgg1)、アナキンラ、ネシリチド、ヒト b-型ナトリウム利尿ペプチド(hbnp)、コロニー刺激因子、ペグビソマント、ヒト成長ホルモン受容体アンタゴニスト、組換え活性化プロテイン c、オマリズマブ、免疫グロブリン e (lge) ブロッカー、イブリツモマブチウキセタン(lbritumomab tiuxetan)、ACTH、グルカゴン、ソマトスタチン、ソマトトロピン、チモシン、副甲状腺ホルモン、色素性ホルモン、ソマトメジン、黄体形成ホルモン、絨毛性ゴナドトロピン、視床下部(hypothalmic)放出因子、エタネルセプト、抗利尿ホルモン、プロラクチンおよび甲状腺刺激ホルモン、免疫グロブリン ポリペプチド、免疫グロブリン ポリペプチド D 領域、免疫グロブリン ポリペプチド J 領域、免疫グロブリン ポリペプチド C 領域、免疫グロブリン軽鎖、免疫グロブリン重鎖、免疫グロブリン重鎖可変領域、免疫グロブリン軽鎖可変領域ならびにリンカーペプチドを含む。本発明の方法、ベクターおよびプロモーターを用いるこれらのタンパク質および他のタンパク質の各々の生産が、考慮される。
本発明は、実例として提供され、限定とみなされるべきではない以下の実施例によってさらに説明される。本出願を通して引用された全ての引用文献、公開された特許および特許の内容は、その全体が引用により本明細書に取り込まれる。
実施例 1
pALV-SIN-4.2-Lys-IFNa-2B の作成
(図 1 に示される)ベクター pALV-SIN-4.2-Lys-IFNa-2B を構築し、図 1 に示す。pALV-SIN-4.2-Lys-IFNa-2B の配列を、配列番号 1 に示す。4.2 Kb リゾチーム プロモーターは、配列番号 1 のヌクレオチド 4810 から 9008 に及ぶ。リゾチーム シグナルペプチドのコード配列は、配列番号 1 のヌクレオチド 9037 から 9090 に及ぶ。インターフェロン アルファ 2b のコード配列は、配列番号 1 のヌクレオチド 9091 から 9585 に及ぶ。配列の他の構成要素は、配列番号 1 のヌクレオチド 4000 から 4345 およびヌクレオチド 725 から 897 に及ぶ LTR を含む。
pALV-SIN-4.2-Lys-IFNa-2B は、当業者にとって明白な様々な方法によって構築することができる。しかし、該ベクターを作成するのに最も有用であると考えられる方法は、以下の通りである: (その開示事項が全体として引用により本明細書に取り込まれている2005年6月24日出願の米国特許出願第11/167,052号に開示される) pNLB-CMV-IFN-アルファ2B の 3427 bp の領域を、プライマー ATGCGCGCATTGGTAATTGATCGGCTGG (プライマー ALV-SIN-1、配列番号 2) および ATATGCGGCCGCGGTACCGCCCGGGCATCGATATCAAGCTTACGGTTCACTA AACGAGCTCTGCTTATATAGACCTCCCA (プライマー ALV-SIN-2、配列番号 3) を用いて PCR 増幅する。産物を BssHII および Not I で消化し、ゲル精製によって単離することができる 3428 bp の断片を得る。pNLB-CMV-IFN-アルファ2B の 1436 bp の領域を、プライマー ATATGCGGCCGCGTCGACGGCCGGCCAGATCTGCTGAGCCGGTCGCTACCATTACCAGT (プライマー ALV-SIN-3、配列番号 4) および ATACGCGTATTCCCTAACGATCACGTCG (プライマー ALV-SIN-4、配列番号 5) を用いて PCR 増幅する。その結果得られた産物を Not I および Mlu I で消化し、ゲル精製によって単離される 1438 bp の断片を得る。BssHII スタッファー(stuffer)断片を含有する Bluescript II SK ベクターを BssHII で消化し、ゲル精製される 2788 bp の直線化された Bluescript ベクターを得、次いで 3428 bp および 1438 bp の PCR 産物に連結して、JCR.A108.49.5.24 を得る。
JCR.A108.49.5.24 を Hind III で消化し、得られた 6823 bp の断片をライゲーションによって環状化して JCR.A108.76.1.1 を得る。
JCR.A108.76.1.1 の 1175 bp の領域を、プライマー CTGAAGTGTAAGGAATGTAAG (プライマー ALV-SIN-5、配列番号 6) および GCGCGTCTCATCCCCCTCCCTATGCAAAAG (プライマー ALV-SIN-6、配列番号 7) を用いて PCR 増幅し、得られた断片を Blp I および Esp3I で消化して、ゲル精製によって単離される 1030 bp の断片を生成させる。JCR.A108.76.1.1 の 660 bp の領域を、プライマー GGGCGTCTCAGGGACGGATTGGACGAACCACTGAATT (プライマー
ALV-SIN-7、配列番号 8) および TTAGTGCTTTACGGCACCTC (プライマー ALV-SIN-8、配列番号 9) を用いて PCR 増幅し、Esp3I および DraIII で消化して、ゲル精製によって単離される 596 bp の断片を得る。JCR.A108.76.1.1 を DraIII および Blp I で消化し、5024 bp の直線状ベクターを、1030 および 596 bp の PCR 断片に連結して pALV-SIN を作成する。
pALV-SIN を BamHI で消化し、4795 bp の直線状ベクターをゲル精製によって単離する。(2007年1月26日出願の米国特許出願第2007/0124829号に開示される) JCR.115.93.1.2 の 4815 bp の領域を、プライマー GACGGATCCGATACCGTCCCTATTTTTGTGTTTGCTTC (プライマー ALV-SIN-9、配列番号 10) および TAACGGATCCTAGACTTTTTACTCCTTAGA (プライマー ALV-SIN-10、配列番号 11) を用いて PCR 増幅し、BamHI で消化する。得られた 4802 断片を 4795 bp の直線状 pALV-SIN に連結して、pALV-SIN-4.0-Lys-IFNa-2B を作成する。
実施例 2
pALV-SIN-4.2-Lys-IFNa-2B を用いるトランスジェニック ウズラの作出
ベクター pALV-SIN-4.2-Lys-IFNa-2B の形質導入粒子を、その開示事項が全体として引用により本明細書に取り込まれている、Rapid Production of High Titer Virus という表題の2007年4月5日公開の米国特許出願公開第2007/0077650号に開示される通りに、線維芽細胞において作成した。
その開示事項が全体として引用により本明細書に取り込まれている米国特許第5,897,998号に開示される Speksnijder の手法に本質的に従って、受精したニホンウズラの卵に孔を開けた。80個の卵に、卵あたり約 7 マイクロリットル(全部でおよそ 7 x 104 のウイルス粒子)の pALV-SIN-4.2-Lys-IFNa-2B 形質導入粒子を、胚下腔において注入した。pALV-SIN-4.2-Lys-IFNa-2B 中には選択可能なマーカーが用いられていないため、ウイルス粒子の濃度は、粒子の定量化を可能にした、ベクター中に選択可能なカセットまたはマーカーを用いたウイルス粒子生産についての過去の結果に基づいて推定される。16羽のヒヨコが注入後約 18 日で孵化し、孵化後 12 週間のヒヨコから回収された血清サンプルから IFN ELISA によってヒト IFN レベルを測定した。血清において、IFN タンパク質について陽性のものは無かった。
ゲノム中に導入遺伝子を含有する、インターフェロン アルファ 2 のコード配列を含有した G0 ウズラを同定するため、DNA を鳥の血液から抽出し、DNA サンプルを 7700 Sequence Detector(Perkin Elmer)上での Taqman(登録商標)解析に供した。
8羽の G0 ウズラからの卵を、ELISA によって、卵白中の IFN タンパク質の存在について試験した。ウズラ第4号は、その卵からの卵白中にかなりのレベルの IFN を有することが見出された。図 2 は、ウズラ第4号の卵白中における IFN の発現レベルを表す棒グラフを示す。ウズラ第4号は、IFN-アルファ-2 を、G0 トリにとって高レベルの発現である 0.45 μg/ml卵白で発現した。特に重要なウズラ第4号の血液中において、インターフェロン アルファ 2 は検出されなかった。例えば、特定の場合において、組換えタンパク質は、血中に存在する場合、トリの発育または健康にとって有害であり得、それは鳥を殺し得るかまたはタンパク質生産レベルの低下につながり得る。
実施例 3
pALV-SIN-6.5-Lys-IFNa-2B を用いるトランスジェニック ウズラの作出
当業者に公知の標準的な方法を用いて、ベクター pALV-SIN-4.2-Lys-IFNa-2B の 4.2 kb リゾチーム プロモーターを除去し、配列番号 12 の約ヌクレオチド 5363 から 11863 に対応する 6.5 kb リゾチーム プロモーターで置き換えて、pALV-SIN-6.5-Lys-IFNa-2B を得る。新たなベクター pALV-SIN-6.5-Lys-IFNa-2B の形質導入粒子を、2007年4月5日公開の米国特許出願公開第2007/0077650号に開示される通りに作成する。
受精したニワトリの卵またはニホンウズラの卵に孔を開け、約 7x104 の pALV-SIN-6.5-Lys-IFNa-2B 形質導入粒子を、各々の卵の胚下腔に注入する。卵は、注入後 21 または 18 日で孵化し、実施例 2 に記載される通りに、そのゲノム中に活性な導入遺伝子を含有するキメラ鳥が同定される。当該技術分野に公知の方法を用いて、すなわち、雄のキメラを非トランスジェニックの雌と交配することで、そのゲノム中に導入遺伝子を含有する完全にトランスジェニックの G1 鳥を、キメラから作出する。
実施例 4
ベクター pSIN-OV-3.5-I-CTLA4-Fc-Inv の作成
このベクターは、第2のエキソン(エキソン 1) の ATG および 3' 非翻訳領域(UTR)と共に、卵白アルブミンの DNA分解酵素超感受性部位(DHS)I、II および III、第1のエキソン(エキソン L)、第1のイントロンならびにインフレームに挿入された CTLA4-Fc 融合タンパク質コード配列を含む。発現カセットは、配列番号 29 に示される ALV LTR 配列のヌクレオチド 1 から 173 の欠失によって自己不活化(SIN)にされたトリ白血症ウイルス(ALV)ベクターへ、逆方向に挿入される。
ベクターを、以下のように構築した: その開示事項が全体として引用により本明細書に取り込まれている2007年5月17日公開の米国特許出願公開第2007/0113299号の実施例20に開示される pNLB-3.9-OM-CTLA4-Fc を、Nae I および Not I で切断した。Not I 部位を、クレノー反応によって平滑化(fill in)した。得られた 8125 bp の断片をゲル精製し、再連結し、pOM-3.9-CTLA4-dSacI を作成した。
pOM-3.9-CTLA4-dSacI を、EcoRI および Kpn I で切断し、8115 bp の断片をゲル精製した。ニワトリ卵白アルブミン遺伝子の 3' UTR を、2006年6月15日公開の米国特許出願公開第2006/0130170号に開示される BAC 26 から、プライマー 5'-GCGGAATTCAAAGAAGAAAGCTGAAAAAC-3' (配列番号 13) および 5'-GCGGGTACCTTCAAATACTACAAGTGAAA-3' (配列番号 14)を用いて PCR した。3' UTR PCR を、Eco RI および Kpn I で切断し、684 bp の断片をゲル精製した。pOM-3.9-CTLA4-dSacI の 8115 bp の断片を 3' UTR PCR の 684 bp の断片と連結し、pOM-3.9-CTLA4-OV3'UTR を作成した。
3.5 kb OV プロモーター領域、エキソン L、第1のイントロンおよびエキソン 1 の UTR を、BAC26 を鋳型とし、プライマー 5'-GGCCTCGAGTCAAGTTCTGAGTAGGTTTTAGTG-3' (配列番号 15) および 5'-GCGCGTCTCTGTCTAGAGCAAACAGCAGAACAGTGAAAATG-3' (配列番号 16) を用いて PCR 増幅した。PCR 産物を Xho I および Esp3I で切断し、5094 bp の産物をゲル精製した。
CTLA4-Fc 遺伝子の 5' 部分を、pOM-3.9-CTLA4 を鋳型とし、プライマー 5'-GCGCGTCTCAAGACAACTCAGAGTTCACCATGGGTGTACTGCTCACACAG-3' (配列番号 17) および 5'-GGCCCGGGAGTTTTGTCAGAAGATTTGGG-3' (配列番号 18) を用いて PCR 増幅した。PCR 産物を Esp3I および SacI で切断し、384 bp の産物をゲル精製した。
pOM-3.9-CTLA4-OV3'UTR を Sac I および Xho I で切断し、4473 bp の産物をゲル精製し、5094 bp の OV PCR 断片および 384 bp の CTLA4-Fc 断片と連結して、pOV-3.5-I-CTLA4 を作成した。
例えば、親出願である2007年5月31日公開の米国特許出願公開第2007/0124829号の実施例10に開示される pALV-SIN を、Mfe I および Xho I で切断し、クレノーで平滑化し、4911 bp の断片をゲル精製した。
pOV-3.5-I-CTLA4 を XhoI および BamHI で切断し、クレノーで平滑化し、6957 bp の断片をゲル精製した。この断片を、CTLA4-Fc 遺伝子および隣接する発現エレメントが ALV の長い末端反復と反対方向になるよう pAVI-SIN の 4911 bp の断片に連結して、pSIN-OV-3.5-I-CTLA4-inv を作成した。図 3 および 配列番号 19 を参照されたい。導入遺伝子中の興味のあるコード配列(すなわち、CSI)が1以上のイントロンまたはスプライス部位を含有している場合、このように反対方向であることが好ましいこともある。
実施例 5
SIN-OV-3.5-I-CTLA4-inv を用いるトランスジェニック ウズラの作出
pSIN-OV-3.5-I-CTLA4-inv ベクター(図 3)を含有し、VSV エンベロープ タンパク質で偽型にされたレトロウイルス粒子を、2007年4月5日公開の米国特許出願公開第2007/0077650号に記載される通りに作成した。ウイルス粒子をトランスフェクション後 48 時間で回収し、濃縮し、同日に、約 1 x 105 の粒子を含むおよそ 4 マイクロリットルのウイルス懸濁液を、ステージ X のウズラの卵の胚下腔へ注入した。卵は再び塞がれ、そして孵化した。
ALV は、そのゲノムの 3' 末端において、スプライスされていないレトロウイルス RNA
の細胞質への輸送を可能にする CTE エレメントを有する。pSIN-OV-3.5-I-CTLA4-invにおいては、OV プロモーターが LTR に対して逆方向を向いているため、CTE エレメントが
5' LTR プロモーター由来の RNA 中にのみ存在し、OV プロモーターによって転写される
RNA 中には存在しないよう、CTE は OV プロモーターの上流にある。そのため、OV プロモーターによって転写されるあらゆる RNA は、細胞質中へ輸送される前にスプライスされる。
キメラ ウズラからの卵白を、ELISA を用いて CTLA4-Fc についてアッセイした。1羽のウズラが、その卵白中におよそ 16 μg/ml で CTLA4-Fc を有することが判明した。これらのウズラにおける遺伝子組換えレベルは、約 5% 以下と推定される。そのため、G1 におけるレベルは実質的により大きいはずである。ウズラおよびニワトリの卵白アルブミン遺伝子、ならびに他のトリの卵白アルブミン遺伝子は非常に類似しているため、ニワトリおよび他のトリにおいて同様のレベルが見られると期待される。
実施例 6
pSIN-3.9-OM-CTLA4-Fc の構築
(例えば、2007年5月31日公開の米国特許出願公開第2007/0124829号に開示される) pALV-SIN の 4907 bp の MfeI/XhoI 断片を、(2007年5月17日公開の米国特許出願公開第2007/0113299号の 図 15 に示される) pOM-3.9-CTLA4 の 5115 XhoI/EcoRI 断片に連結し、図 4 および配列番号 20 に示される pSIN-3.9-OM-CTLA4-Fc を作成した。
実施例 7
pSIN-3.9-OM-CTLA4-Fc を用いるトランスジェニック ニワトリの作出
VSV エンベロープ タンパク質で偽型にされ、pSIN-3.9-OM-CTLA4-Fc (図 4) ベクターを含有するレトロウイルス粒子を、2007年4月5日公開の米国特許出願公開第2007/0077650号に記載される通りに作成した。ウイルスを、トランスフェクション後 48 時間で回収し、濃縮し、同日に、およそ 7 マイクロリットルをステージ X の卵の胚下腔へ注入した。卵を再び塞ぎ、孵化するまでインキュベートした。
雌鶏からの卵白を、ELISA を用いて CTLA4-Fc についてアッセイした。1羽の雌鶏が、その卵白中におよそ 0.37 μg/ml で CTLA4-Fc を有することが判明した。これらの雌鶏における遺伝子組換えレベルは、5% 以下と推定される。このため、G1 におけるレベルは実質的により大きいはずである。
対応する産物の生産のために、あらゆる有用なコード配列を CTLA4-Fc コード配列の代わりに挿入することができる。
実施例 8
pSIN-1.8-OM-IFNa-2B の構築
pBS-OM-4.4 (図 5、配列番号 23) からの 1051 bp の NcoI-NcoI 断片を、pAVIJCR-A137.91.1.2 (図 6、配列番号 24) の Nco I 部位に挿入し、それによって IFN コード配列および SV40 ポリアデニル化シグナルの前に 1 kb オボムコイド プロモーターを挿入し、p1kb-OM-IFNMM を作成した。p1kb-OM-IFNMM の 1816 bp の ClaI-SacI 断片を、pBS-OM-4.4 の 6245 bp の ClaI-SacI 断片に挿入し、それによって 4.4 kb オボムコイド断片を IFN コード配列と融合させ、p4.4OM-IFNMM を作成した。pBS-OMUP-10 の 8511 bp の BamHI-SalI 断片を、p4.4OM-IFN の 5148 bp の BamHI-SalI 断片と連結し、それによって 10 kb オボムコイド プロモーターを IFN コード配列の前に配置し、p10-OM-IFN を作成した。
p10.0-OM-IFN の領域 2487-4889 を、プライマー 5'-GGCGTCGACGGATCCGTTAACCCTAGAACTAGTGGATCTCTGCCCTTGTGCTGAC-3' (配列番号 27) および 5'-GGCCTCGAGCCTAGACTTTTTACTCCTTAGA-3' (配列番号 28) を用いて PCR 増幅した。PCR 産物を Sal I および Xho I で消化し、2435 bp を単離した。(例えば、2007年5月31日公開の米国特許出願公開第2007/0124829号に開示される) pALV-SIN を Xho I で消化し、4915 bp の断片を単離し、2435 bp の断片に連結し、図 7 および 配列番号 21 に示される pSIN-1.8-OM-IFNa-2B を作成した。
実施例 9
pSIN-1.8-OM-IFNa-2B を用いるトランスジェニック ニワトリの作出
pSIN-1.8-OM-IFNa-2B 導入遺伝子を有し、VSV エンベロープ タンパク質で偽型にされたレトロウイルス粒子を、2007年4月5日公開の米国特許出願公開第2007/0077650号に記載される通りに作成した。ウイルスを、トランスフェクション後 48 時間で回収し、濃縮し、同日に、およそ 7 マイクロリットルをステージ X のニワトリの卵の胚下腔へ注入した。卵を再び塞ぎ、孵化するまでインキュベートした。
雌鶏からの卵白を、ELISA を用いて IFNa-2B についてアッセイした。複数の雌鶏が、少なくとも約 600 倍低い血清中の IFNa-2B レベルを伴って、卵白中に 1.5 から 865.0 ng/ml の範囲のレベルで IFNa-2B を有することが判明した。これらの雌鶏における遺伝子組換えレベルは、5% 以下と推定される。
5羽の G0 精子陽性の雄鶏を、非トランスジェニック雌鶏に交配した。1251 羽の子孫のうち、30 羽が pSIN-1.8-OM-IFNa-2B 導入遺伝子を保有していた。30 羽のうち6羽の雌鶏が、ヒト IFN-α-2B を 34.1 から 165.6 μg/ml卵白で発現した。6羽の雌鶏の各々は、単一コピーの導入遺伝子を有していた。ヒト IFN-α-2B の血清レベルは、平均して卵白レベルより 30,000 倍低い、0.3 から 9.2 ng/ml であった。
実施例 10
レンチウイルス ベクターおよびモロニー マウス白血病ウイルスを用いるトランスジェニック ニワトリの作出
本発明は、本発明に従って使用するための、トリの遺伝子組換えにおいて有用な他のレトロウイルス ベクターの採用を具体的に考慮する。かかるベクターは、例えば上記の実施例 1 から 9 において ALV-SIN ベクターが用いられたのと同様の方法で、トランスジェニックトリを作出するために採用することができる。例えば、モロニー マウス白血病ウイルス (MMLV) およびレンチウイルス ベクターを、それぞれ、例えば、各ウイルスの上流 LTR の U3 領域中に含まれる CAAT ボックス; TAATA ボックス; およびエンハンサーのうち1以上を欠失させることによって、SIN ベクターを作成するために本発明に従って用いることができる。その代わりに、またはそれに加えて(すなわち、SIN ベクターと併せて)、レトロウイルス ベクターの各々の中には、転写的に活性なマーカーまたは選択可能なカセットが含まれない。
本発明の好ましい態様を、特定の用語、装置および方法を用いて記載したが、かかる記載は、単に説明目的のものである。用いられた単語は、限定ではなく説明の単語である。以下の特許請求の範囲に示される本発明の精神または範囲から逸脱することなく、当業者によって変更およびバリエーションが作られ得ることが理解されるべきである。加えて、様々な態様の側面が、全体または部分のどちらとしても交換され得ることが理解されるべきである。

Claims (10)

  1. トランスジェニックトリにおいて、外因性タンパク質を生産する方法であって、以下の工程を含む方法:
    トランスジェニックトリを作成するために、外因性ヌクレオチド配列をトリへ導入する工程であって、該外因性ヌクレオチド配列は、レトロウイルスに由来する選択マーカーを含有しない自己不活化(SIN)ベクターにおいて含まれる卵管特異的プロモーターと作動可能に連結した外因性タンパク質をコードする核酸配列を含み、さらにここで、該外因性ヌクレオチド配列は、外因性タンパク質がトリの卵管細胞において発現し、該卵管の内腔へ分泌し、該トリによって産まれた殻の硬い卵の中に貯蔵されるようにトリのゲノムへ組み込まれる、工程;
    該トリによって産まれた卵から外因性タンパク質を含む卵白を取得する工程;および
    該卵白中に貯蔵された外因性タンパク質を単離する工程。
  2. 外因性コード配列が、ヒトのタンパク質をコードする、請求項1に記載の方法。
  3. 外因性コード配列が、治療タンパク質をコードする、請求項1に記載の方法。
  4. 卵管特異的プロモーターが、トリ 卵白アルブミン プロモーター構成成分、トリ オボムコイド プロモーター構成成分、トリ リゾチーム プロモーター構成成分およびトリ コンアルブミン プロモーター構成成分からなる群から選択されるプロモーターの機能的プロモーター配列を含む、請求項1に記載の方法。
  5. 卵管特異的プロモーターが、以下を含有するヌクレオチド配列からなる群から選択される核酸分子と 90% 同一の核酸を含む、請求項1に記載の方法:

    (a) DHS I、およびIIを含む3.5 kb OV 断片
    エキソン L から5' UTR-5' 部分、および
    エキソン 1 から5' UTR-3' 部分;

    (b) DHS I、およびIIを含む3.5 kb OV 断片
    エキソン L から5' UTR-5' 部分
    イントロン A
    エキソン 1 から5' UTR-3' 部分、および
    3' UTR;

    (c) DHS I、およびIIを含む3.5 kb OV 断片
    エキソン L から5' UTR-5' 部分
    イントロン A、および
    エキソン 1 から5' UTR-3' 部分;

    (d) DHS I、およびIIを含む3.5 kb OV 断片
    エキソン L から5' UTR-5' 部分
    エキソン 1 から5' UTR-3' 部分、および
    3' UTR;

    (e) DHS I、およびIIを含む3.5 kb OV 断片
    エキソン L から5' UTR-5' 部分
    イントロン A
    エキソン 1 から5' UTR-3' 部分、および
    配列番号22の13576 から 15163のヌクレオチド配列で示される3' UTR / DHS A;

    (f) DHS I、およびIIを含む3.5 kb OV 断片
    エキソン L から5' UTR-5' 部分
    エキソン 1 から5' UTR-3' 部分、および
    配列番号22の13576 から 15163のヌクレオチド配列で示される3' UTR / DHS A;

    (g) DHS I、およびIIを含む3.5 kb OV 断片
    エキソン L から5' UTR-5' 部分
    イントロン A
    エキソン 1 から5' UTR-3' 部分
    部分的な 3' UTR、および
    RRE;、並びに

    (h) ALV CTE
    DHS I、およびIIを含む3.5 kb OV 断片
    エキソン L から5' UTR-5' 部分
    イントロン A
    エキソン 1 から5' UTR-3' 部分、および
    部分的な 3' UTR;

    ここで、
    3.5 kb OV 断片が配列番号22の3199 から6659のヌクレオチド配列であり;
    エキソン L から5' UTR-5' 部分が配列番号22の6659から6705のヌクレオチド配列であり;
    エキソン 1 から5' UTR-3' 部分が配列番号22の8295から8311のヌクレオチド配列であり;
    3' UTRが配列番号22の13576から14209のヌクレオチド配列であり;
    部分的な 3' UTRが配列番号22の13576から13996のヌクレオチド配列であり;
    イントロン Aが配列番号22の6706から8294のヌクレオチド配列であり;
    エキソン Lが配列番号22の6659から6705のヌクレオチド配列であり;
    エキソン 1が配列番号22の8295から8478のヌクレオチド配列であり;
    DHS IIIが配列番号22の3253から3559のヌクレオチド配列であり;
    DHS IIが配列番号22の5629から6009のヌクレオチド配列であり;
    DHS Iが配列番号22の6359から6659のヌクレオチド配列であり; そして、
    RREが配列番号25に示され、および
    ALV CTEが配列番号26に示される。
  6. 卵管特異的プロモーターが、請求項5におけるヌクレオチド配列からなる群から選択される核酸分子と 95% 同一の核酸を含む、請求項5に記載の方法。
  7. 卵管特異的プロモーターが、請求項5におけるヌクレオチド配列からなる群から選択される核酸分子と 99% 同一の核酸を含む、請求項5に記載の方法。
  8. 卵管特異的プロモーターが、卵白アルブミン特異的プロモーターである、請求項4に記載の方法。
  9. 卵管細胞が、管状腺細胞である、請求項1に記載の方法。
  10. 選択マーカーを含有しない組み込まれた自己不活化(SIN)ベクターにおいて含まれる外因性コード配列と連結したプロモーター構成成分を含むトランスジェニックトリ外因性ヌクレオチド配列からなるDNAであって、ここで、該プロモーター構成成分は卵管細胞において外因性コード配列の発現を駆動し、卵管細胞において生産された外因性タンパク質は該卵管細胞から卵管の内腔へ分泌し、トランスジェニックトリによって産まれた卵の卵白において貯蔵される、DNA
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