JP5794316B2 - 樹脂製回転体成形用半加工品の製造方法及び樹脂製回転体の製造方法 - Google Patents

樹脂製回転体成形用半加工品の製造方法及び樹脂製回転体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂製回転体成形用半加工品の製造方法に関するものであり、また本発明は樹脂製回転体の製造方法に関するものである
補強用繊維基材を用いた樹脂製回転体は耐久性能に優れ、車輌用部品、産業用部品等に用いられる樹脂製歯車などの樹脂製回転体として好適である。
特開2009−154338号公報(特許文献1)及び特開2009−250364号公報(特許文献2)には、短繊維からなる補強繊維と水とを混合したスラリーを用いて、ブッシュの外周部に補強用繊維基材を形成する樹脂製回転体の製造方法が開示されている。これらの公報に記載の方法では、スラリーを金属製ブッシュを収納した固定金型内に入れ、補強繊維が漏出しないようにスラリーから脱水を行ってブッシュの周囲に補強繊維を集合させて集合物を作り、その後集合体を圧縮して補強用繊維基材を形成する。その後、補強用繊維基材に樹脂を含浸させて、樹脂を硬化させて樹脂製回転体を製造する。
特開2009−154338号公報 特開2009−250364号公報
特許文献1及び2に記載の従来の方法は、金属製ブッシュと補強繊維とを一体化した補強用繊維基材を使用することで耐久性能の低下を防止する。しかし、この従来の方法では、補強用繊維基材を成形用金型に配置して、この補強用繊維基材を軸方向から押圧しながら成形用金型内部を真空に減圧し、樹脂を流しこんで該補強用繊維基材に樹脂を含浸させなければならない。このため、成形用金型の構造が複雑となり、また工程数が増加するという問題がある。
また従来の方法では、短繊維を漏出させることなく、しかも短い時間で成形素材を製造することができなかった。
本発明の目的は、簡易な工程で樹脂製回転体成形用半加工品及び樹脂製回転体を形成できる樹脂製回転体成形用半加工品の製造方法及び樹脂製回転体の製造方法を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、短い時間で、樹脂製回転体成形用半加工品を形成できる樹脂製回転体成形用半加工品の製造方法を提供することにある
本発明が改良の対象とする樹脂製回転体成形用半加工品の製造方法では、まず外周部に1以上の回り止め部が形成されて回転軸を中心にして回転することができるブッシュを用意するステップを実施する。次に、ブッシュの外周部に、短繊維と粉末状樹脂の集合物によって形成され且つ1以上の回り止め部を囲むようにブッシュに嵌った状態で配置された成形素材を形成するステップを実施する。
本発明では、成形素材を形成するステップを次の二つのステップにより構成する。第1のステップでは、短繊維と粉末状樹脂と水とを混合して調製したスラリーを濾過脱水法により、ブッシュの外周部の周囲に短繊維と粉末状樹脂を集積させて1以上の回り止め部を含むブッシュの外周部を囲む短繊維と粉末状樹脂の集合物を形成する。濾過脱水法とは、短繊維を含むスラリーを所定の容器にいれて、容器内のスラリーを濾過しながら脱水することにより、短繊維と粉末状樹脂が集合してなる集合物を形成する方法である。このような方法により短繊維と粉末状樹脂の集合物を製造すれば、成形素材の中央部に剥離の原因となるような境界部が形成されることはない。さらに濾過しながら脱水する際に、1以上の回り止め部の周囲に短繊維と粉末状樹脂が確実に回り込むため、樹脂成形体とブッシュの回り止め部との結合強度を高めることができる。そして第2のステップでは、短繊維と粉末状樹脂の集合物を回転軸の軸線方向に圧縮してブッシュの外周部に成形素材を形成する。この圧縮によって、回り止め部への短繊維と粉末状樹脂の喰い込みを確実なものとするとともに、回り止め部の周囲の短繊維の密度が高まり、ブッシュと樹脂成形体との結合がさらに高まる。
なお、前記第1のステップと前記第2のステップとを、ブッシュと、短繊維と粉末状樹脂の集合物を収容している同一装置内で連続して行ってもよい。短繊維と粉末状樹脂の集合物を同一の装置を用いて連続して圧縮まで行った場合は、嵩高く強度が弱い(型崩れしやすい)集合物を取り扱う作業が必要ないため、作業工程が少なくて済む。また、第2のステップで行う圧縮により成形素材の密度が高まるので、成形素材の強度を高めることができ、作業性(取り扱い性)が大幅に向上する。
第1のステップは、ブッシュと、短繊維と粉末状樹脂の集合物の収容空間を減圧吸引した状態で行うことが好ましい。これにより、ブッシュの外周部の周囲に短繊維と粉末状樹脂を集積させる時間を短縮することができる。
また第1のステップでは、短繊維と粉末状樹脂と水とを混合した混合液に、1種以上の静電引力凝集タイプの高分子凝集剤(polymer flocculating agent)を添加してスラリーを調整するようにしてもよい。静電引力凝集タイプの高分子凝集剤を添加すると、高分子凝集剤が凝集機能だけでなく定着剤(fixing agent)としても機能し、短繊維同士が定着するともとに、短繊維と粉末状樹脂が定着する。その結果、集合物中に残る短繊維及び粉末状樹脂の量を増やすことができる。すなわち短繊維と粉末状樹脂の定着率を高めることができる。
なお1種以上の静電引力凝集タイプの高分子凝集剤として、混合液に、カチオン性高分子凝集剤(cationic polymer flocculating agent)を添加した後、アニオン性高分子凝集剤(anionic polymer flocculating agent)を添加するのが好ましい。混合液にカチオン性高分子凝集剤を添加すると、一部の短繊維と一部の粉末状樹脂とが集まってできる多数のフロックと呼ばれる集合物が形成される。その後アニオン性高分子凝集剤を添加すると、フロック同士が集合して更に大きなフロックの形成が進み、寸法の大きなフロックが多数形成される。このようなフロックが形成されると、脱水性が向上する。その結果、短い時間で脱水をできるとともに、短繊維と粉末状樹脂の定着率が向上する。特に、カチオン性高分子凝集剤としてカチオン性スチレン系高分子水溶液を用い、アニオン性高分子凝集剤としてアニオン性アクリル系高分子水溶液を用いると、高い脱水性を得ることができる。
なお1種以上の静電引力凝集タイプの高分子凝集剤として、両性高分子凝集剤(amphoteric polymer flocculating agent)を用いてもよい。両性高分子凝集剤とは、混合液中の短繊維及び粉末状粒子の中和効果(カチオン)と、高分子鎖による絡まり合い(高分子量体)の生成と、絡まり合い(高分子量体)をアニオンとカチオンの電荷による静電引力により補強する作用を発揮するものである。
なお成形素材を加熱しながら加圧して、粉末状樹脂を溶融させて生成した溶融樹脂を短繊維からなる補強繊維層に含浸させた後、溶融樹脂を硬化させれば樹脂成形体を形成することができる。本発明では、特許文献1及び2のように、成形素材を軸方向から押圧しながら成形用金型内部を真空に減圧し、樹脂を流しこんで成形素材に樹脂を含浸させる作業が必要ないため、工程数が少なくて済む。また成形用金型の構造も簡略化できる。
なお短繊維としては、種々の材質及び種類のものを用いることができる。本願特許請求の範囲において「短繊維」とは、文字通りに長さが短い繊維だけでなく、繊維をフィブリル化処理した微細繊維及び/またはパルプ状繊維を含んでいる場合を包含するものである。例えば、短繊維として、長さが2乃至6mmのアラミド繊維と、アラミド繊維をフィブリル化処理した微細繊維を含み、微細繊維のフリーネスが100ml以上400ml以下であって、微細繊維の含有量が短繊維中の30質量%以下となるものを用いるのが好ましい。このような短繊維を用いると、圧縮が容易でしかも、樹脂成形体と回り止め部との間に必要十分な結合強度を得ることができる。
粉末状樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂など種々の材質のものを用いることができる。粉末状樹脂の粒子形状は任意であるが、粒状のものを用いるのが好ましい。また、粒子径は、短繊維の繊維径により異なるが、短繊維の集合物の隙間に均一に分布できるような粒子径が好ましい。粒子径が大きい場合、短繊維の集合物の繊維配向を乱したり、加熱加圧成形して樹脂成形体を形成する際、成形体内部の短繊維と樹脂が均一に分布しない原因となるからである。
また短繊維は、熱分解温度或いは溶融温度が250℃以上の合成繊維からなり、粉末状樹脂は、成形可能温度が合成繊維の熱分解温度或いは溶融温度よりも低く且つ粒子径が50μm以下の熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂の粒子からなるのが好ましい。このような合成繊維と粉末状樹脂とを用いると、短繊維を熱分解或いは溶融させずに、粉末状樹脂だけを溶融して、短繊維の周囲に溶融した樹脂を確実に浸透させて、樹脂製回転体を形成することができる。本願明細書において、50μm以下の粒子径は、JIS−Z8801−1で規定されている金属製網ふるい分け法によって測定した粒子の径寸法を意味する。
なお樹脂成形体に対する短繊維の割合は、30体積%以上60体積%以下であることが望ましい。この範囲の値であれば、樹脂成形体に必要とされる機械的強度を、確実に得ることができる。
本発明で用いることができる、成形素材を加熱しながら加圧する加熱加圧装置は、成形素材の径方向外側への広がりを規制するようにブッシュと一緒に成形素材を収容する凹部を備えた固定金型と、ブッシュを支持する支持部が固定金型の凹部内で変位するように固定金具に対して変位可能に配置された第1の可動金型と、凹部内に挿入されて支持部に支持されたブッシュ及び成形素材を凹部の内底面に向かって押す押圧部を備えた第2の可動金型とを備えているものを用いることができる。この加熱加圧装置は、固定金型の内底面と、第2の可動金型の押圧部とを成形素材に接触させた状態で、固定金型、第1の可動金型及び第2の可動金型が粉末状樹脂の成形可能温度に加熱され、粉末状樹脂が溶融した状態で第2の可動金型が内底面に向かって移動するように構成されているのが好ましい。このような加熱加圧装置であれば、簡単な構造で加熱と加圧とを実行することができる。
樹脂成形体に機械加工を施して複数の歯を形成すれば、機械的に強度が高く、しかも、使用時の騒音の発生が少ない歯車を得ることができる。なお本発明の樹脂製回転体を用いて、歯車の他に、プーリ等の回転部品を製造してもよいのは勿論である。
本発明の方法により形成される成形素材は、基材の重ね合せ界面がなく、剥離することがない。これらのことから、樹脂製歯車などの樹脂製回転体の耐久性能は大幅に向上する。
模式的に示した本発明の樹脂製回転体の製造方法の実施の形態により製造する樹脂製回転体の一例の縦断面図である。 (A)及び(B)は、金属製ブッシュの平面図及び縦断面図である。 (A)乃至(D)は、成形素材の抄造及び圧縮工程を順番に示す図である。 加熱加圧成形用の金型の一例を示す概略断面図である。 (A)はメッシュサイズにより生じる問題を説明するために用いる図であり、(B)は静電引力凝集タイプの高分子凝集剤の機能を説明するために用いる図である。 静電引力凝集タイプの高分子凝集剤の機能を説明するために用いる図である。 (A)及び(B)は、従来例を製造するために用いる抄造装置の一例と、従来の補強用繊維基材の製造例を示す図である。 (A)は従来例を製造するために用いる樹脂注型用の金型の一例を示す概略断面図であり、(B)は従来例で製造した樹脂製回転体の縦断面図である。 ボス抜き強度を測定する装置の構成を示す図である。
以下図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、模式的に示した本発明の樹脂製回転体の製造方法の実施の形態により製造する樹脂製回転体の一例の縦断面図である。この樹脂製回転体1は、図示しない回転軸を中心にして回転する金属製ブッシュ2を備えている。金属製ブッシュ2の中央部には、図示しない軸が嵌合される貫通孔3が形成されている。また金属製ブッシュ2の外周部4には、複数の回り止め部を構成する突出部4Aが周方向に所定の間隔をあけて一体に形成されている。なお金属製ブッシュ2に軸が一体に形成されていてもよい。複数の突出部4Aの軸線方向に測った厚み寸法L2は、金属製ブッシュ2の軸線方向に測った厚み寸法L1よりも小さい。そして図2に示すように、回転方向への負荷に耐える回り止め部の作用を高めるためには、好ましくは、回り止め部となる突出部4Aは、少なくとも高さh1の突出部4Aと二つの突出部4A間に形成されて高さh2の底部を有する凹部4Bとが交互に配列されたものが好ましい。このようなアンダーカットの形状を持ち、角度θが5°以上40°以下の突出部4Aを用いると、図3(D)及び図4に示す成形素材5内に回り止め部としての複数の突出部4Aが完全に埋まった状態となり、ブッシュ2と成形素材5との間の機械的結合の強度を十分なものとすることができる。
本実施の形態では、図3(D)及び図4に示す1つの成形素材5が、金属製ブッシュ2の外周部4の外側の位置に、外周部4に嵌った状態で配置されている。そして成形素材5を加熱加圧成形して、樹脂成形体6が形成されている。
成形素材5を形成する場合には、図3に概略的に示すように、濾過及び脱水と圧縮を連続して行うことができる濾過脱水圧縮装置7を用いて金属製ブッシュ2の外周部4の外側位置に短繊維と粉末状樹脂の集合物8を形成する。そしてこの短繊維と粉末状樹脂の集合物8を回転軸の軸線方向に圧縮することにより成形素材5を形成する。
まず、濾過脱水法によりブッシュ2の外周部4の周囲に短繊維と粉末状樹脂を集積させて1以上の回り止め部(4A)を含むブッシュ2の外周部4を囲む短繊維と粉末状樹脂の集合物8を形成する第1のステップについて説明する。
図3(A)に示すように、この濾過脱水圧縮装置7で用いる金型は、圧縮動作時に短繊維と粉末状樹脂の集合物8が金属製ブッシュ2の径方向外側に広がるのを規制する筒状金型10と、筒状金型10の内部に配置されて金属製ブッシュ2の外周部よりも内側に位置する部分を軸線方向の両側から挟み且つ圧縮動作時に短繊維と粉末状樹脂の集合物8が金属製ブッシュ2の径方向内側に広がるのを規制する一対のブッシュ支持用金型11及び12と、筒状金型10と一対のブッシュ支持用金型11及び12の間に位置して、圧縮動作時に短繊維と粉末状樹脂の集合物8を軸線方向両側から挟んで圧縮する一対の圧縮用金型13及び14とを備えている。そしてこの金型では、下側の圧縮用金型14に透水性または濾過性を付与するために、下側の圧縮用金型14には水を排水するための複数の貫通孔15が形成されている。この複数の貫通孔15に対して、真空吸引するためのポンプを設けると排水を短時間で完了することができ好ましい。なおこの例では、排水時において短繊維と粉末状樹脂の流出を防止するために、下側の圧縮用金型14上には濾過機能を有する底部材16が配置されている。
なおこの底部材16には金網を使用できる。金網のメッシュサイズは、100メッシュより大きくなると、金網の網目(貫通孔)が小さくなるため、水と、短繊維と粉末状樹脂の濾過抵抗が大きくなる。その結果、金型の内部に入れた短繊維と粉末状樹脂を含む後述のスラリーを、ポンプで吸引して水分を金型から排水させても、短繊維及び粉末状樹脂と、水の分離に要する時間が長くなり、製造サイクルが長くなる。またメッシュサイズが10メッシュより小さいと、繊維長が長い短繊維を使用しても金網の網目(貫通孔)が大きいために、濾過機能が低く、短繊維や粉末状樹脂の多くが水と共に流出してしまう。そのために、短繊維と粉末状樹脂の集合物8の繊維密度や樹脂量が著しく低下してしまう問題が発生する。よって使用するメッシュサイズは10メッシュ以上100メッシュ以下が好ましい。
一対のブッシュ支持用金型11及び12は、金属製ブッシュ2の外周部よりも内側に短繊維と粉末状樹脂が入り込まないように金属製ブッシュ2の外周部4よりも内側に位置する部分を筒状金型10の中心線が延びる方向の両側から挟んで支持する。なおこの例では、下側のブッシュ支持用金型12、上側のブッシュ支持用金型11、下側の圧縮用金型14、上側の圧縮用金型13、及び筒状金型10はそれぞれ単独で上下に移動可能に構成されている。
金属製ブッシュ2を一対のブッシュ支持用金型11及び12の間に挟む場合には、図3(A)に示すように、上側のブッシュ支持用金型11が上方向に移動する。そして金属製ブッシュ2を下側のブッシュ支持用金型12の上に位置決めした後に、図3(B)に示すように、上側のブッシュ支持用金型11を下方向に移動して、一対のブッシュ支持用金型11及び12の間に金属製ブッシュ2を挟持する。
短繊維と粉末状樹脂と、水とを混合して形成したスラリーは、図3(B)に示すように、筒状金型10の上側の開口部から供給される。このとき、下側の圧縮用金型14の複数の貫通孔15から真空吸引した状態で行うことにより、ブッシュ2の外周部4の周囲に短繊維と粉末状樹脂を集積させる時間を短縮することができる。そして真空吸引を継続して、下側の圧縮用金型14に設けた複数の貫通孔15から水分を排出することにより、金属製ブッシュ2の外周部の周囲を囲む短繊維と粉末状樹脂の集合物8を形成する。このように一対のブッシュ支持用金型11及び12を用いると、金属製ブッシュ2の位置決めと支持を簡単に行うことができる。また短繊維と粉末状樹脂の集合物8の外周面の形状は、筒状金型10の内周面の形状によって定まる。その結果、筒状金型10の内周面を歯車形状とすることにより、短繊維と粉末状樹脂の集合物8の外周面に歯車形状の凹凸を形成することも可能になる。なおスラリーの供給は、筒状金型10の上側の開口部の複数の場所から行ってもよい。
次に、短繊維と粉末状樹脂の集合物を回転軸の軸線方向に圧縮して成形素材を形成する第2のステップについて説明する。
前述の濾過脱水圧縮装置7で用いる金型であれば、一対の圧縮用金型13及び14で短繊維と粉末状樹脂の集合物8を圧縮した場合に、金属製ブッシュ2の径方向の内側及び外側の両方向に短繊維と粉末状樹脂が膨出するのを確実に阻止することができる。
下側の圧縮用金型14に設けた複数の貫通孔15から水分を排出した後、図3(C)に示すように、金属製ブッシュ2が一対の圧縮用金型13と14の間の中央に位置する状態となる位置まで、上側の圧縮用金型13を下降させる。その後、図3(D)に示すように、金属製ブッシュ2が一対の圧縮用金型13及び14の中央に位置する状態で、一対の圧縮用金型13及び14をそれぞれ移動させ、短繊維と粉末状樹脂の集合物8が所定の厚みとなるまで圧縮する。なお圧縮を行う時間、温度は使用する短繊維と粉末状樹脂の種類によって任意であるが、前記圧縮の際、上側の圧縮用金型13にヒータを取り付け、加熱した状態で圧縮してもよい。これにより、成形素材5に含まれる水分を取り除く時間を短縮することができる。また前記圧縮の際、下側の圧縮用金型14の貫通孔15から真空吸引した状態で圧縮することにより、抄造後の成形素材5に含まれる水分を取り除く時間を短縮することができる。
成形素材5または短繊維と粉末状樹脂の集合物8を形成するために用いる短繊維の種類は後述するように、種々のものを用いることができる。そして短繊維の長さは、例えば、図2に示すような金属製ブッシュ2を用いる場合には、次のように定める。すなわち突出部4Aの突出寸法(金属製ブッシュ2の中央部分2Aから径方向へ測った突出部4Aの高さ)をh1、凹部4Bの底部の高さ(金属製ブッシュ2の中央部分2Aから径方向へ測った凹部4Bの底部の高さ)をh2としたとき、短繊維の長さは、0.5×h1mmと1×h2mmの小さいほうの値以上であり、5×h1mmと10×h2mmの大きいほうの値以下であるのが好ましい。ここで、高さ寸法h1とh2が同じ場合は、回り止めの効果が弱くなる。突出部4Aまたは凹部4Bの底部の高さ寸法h1またはh2に対しては、短繊維が覆いかぶさるのに充分な繊維長さが必要であり、短繊維の長さが0.5×h1mmと1×h2mmの小さいほうの値以上であることが適当である。また、短繊維は、長すぎてもスラリーの均一分散を妨げる原因となり、強度の増強に寄与しない不均一な繊維分布になる。そのため短繊維の長さは、5×h1mmと10×h2mmの大きいほうの値以下が適当である。なお、突出部4Aとして、凹部4Bの底部の高さ寸法がh1よりも大きなh3となる突出部(2種類以上の突出寸法の異なる突出部)を組み合わせて使用してもよいのは勿論である。
このようにして定めた短繊維の繊維長は、好ましくは2mmから6mmであり、さらに好ましくは3mmである。繊維長が2mm未満の場合、繊維強化樹脂成形体の機械特性が低下する。また、繊維長が6mmを超えると、繊維束を水中で解離し分散させるときに、繊維束の解離が困難になる。また、これまで説明した短繊維(繊維チョップ)のほかに、アラミド繊維等をフィブリル化処理した微細繊維及び/またはパルプ状繊維を併用してもよい。
上記アンダーカット形状をもった回り止め部を構成する突出部4Aは、焼結法で成型すれば、精度よく設計どおりに作ることができる。突出部4Aの最適構造は、たとえば外径60mmの樹脂製歯車の場合、突出部(山)の数が30であり、突出部の間に形成される凹部すなわち谷部分の数は29である。なおこれらの数は、樹脂製歯車の径や厚さ、歯の構造に応じて適宜変更されることは当然である。
使用する短繊維は、熱分解温度或いは溶融温度が250℃以上の繊維からなるものが好ましい。このような短繊維を用いて成形素材5を形成することで、成形時の成形温度や加工温度、実使用時の雰囲気温度において、樹脂製回転体内の短繊維が熱劣化を起こすことなく、耐熱性に優れた樹脂製回転体を形成できる。本実施の形態で用いることができる繊維としては、パラ系アラミド繊維、メタ系アラミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、セラミック繊維、超高強力ポリエチレン繊維、ポリケトン繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリイミド繊維、及びポリビニルアルコール系繊維から選ばれた少なくとも1種以上の合成繊維を使用することができる。
また、短繊維には、引張強度15cN/dtex以上、引張弾性率350cN/dtex以上の高強度高弾性率繊維を少なくとも20体積%以上含むことが好ましい。このようにして得られる成形素材5を用いた樹脂製回転体は、使用中にかかる高負荷に耐え得るものとすることができる。
また、濾過脱水圧縮装置7を用いて成形素材5を金属製ブッシュ2と一体化して形成したものを次工程に移動、又は搬送する際に形状を維持するための強度を付与するためには、短繊維がアラミド繊維をフィブリル化処理した微細繊維及び/またはパルプ状繊維を含めるのが好ましい。ここで使用可能な微細繊維及び/またはパルプ状繊維のフリーネス(濾水度)は、100ml以上400ml以下であって、微細繊維の含有量が短繊維中の30質量%以下になるように配合することが望ましい。望ましい態様としては、パラアラミド繊維の機械的剪断で繊維軸方向に裂開させたフィブリル化処理のアラミド微細繊維と短繊維とを混合することが好ましい。フリーネスが400mlを超えると、フィブリル化が不充分のため成形素材の形状を維持するための強度を付与する上で好ましいものでなくなる。またフリーネスが100ml未満になると繊維軸方向に裂開させるだけでなく、径方向に剪断されて粉末状態になってしまうために、繊維の絡みが悪くなって、成形素材の形状を維持するための強度を付与する上で好ましいものでなくなる。成形素材に適度な強度を付与することができる5〜10質量%のフィブリル化した微細繊維を配合するのが好ましい。
粉末状樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂など種々の材質のものを用いることができる。例えば、エポキシ樹脂、ポリアミノアミド樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂から選ばれた1以上の樹脂を組み合わせたものが使用できる。これらの中でも樹脂硬化物の強度、耐熱性等の点からフェノール樹脂が好ましい。
粉末状樹脂の粒子形状は任意であるが、粒状のものを用いるのが好ましい。また、粒子径は、短繊維の繊維径により異なるが、50μm以下が好ましい。なお粒子径は、JIS−Z8801−1で規定されている金属製網ふるい分け法によって測定した。これにより、短繊維の集合物の隙間に粉末状樹脂を均一に分布させることができる。粉末状樹脂の粒子径が大きい場合には、短繊維の集合物の繊維配向を乱したり、加熱加圧成形して樹脂製回転体を形成する際に、樹脂製回転体内部で短繊維と粉末状樹脂が溶融して硬化した樹脂とが均一に分布しない原因となる。
上記短繊維を水中に分散させる際の濃度は、0.3g/リットル以上20g/リットル以下が好ましい。繊維長が短い繊維を使用する場合、繊維同士の絡みが少なく、分散が良いため濃度20g/リットルの高濃度のスラリーで分散させることができる。一方、繊維長が長い繊維を使用する場合、繊維長が長すぎるため0.3g/リットルの低濃度でないと充分分散させることができない。
ちなみに、前述の短繊維がアラミド繊維をフィブリル化処理した微細繊維及び/またはパルプ状繊維を含む場合において、金属製ブッシュ2の直径が5cmの場合に使用する短繊維と粉末状樹脂の集合物8の厚み寸法(軸線方向寸法)は、約10cmである。そして後述する圧縮作業により、短繊維と粉末状樹脂の集合物8は約2cm程度まで圧縮されて成形素材5に成形される。ブッシュ2に成形素材5が成形されたものが、樹脂製回転体成形用半加工品21である。
次に、成形素材を加熱加圧成形して樹脂成形体を形成するステップについて説明する。
図4には、成形素材5を加熱しながら加圧する加熱加圧装置20の一例を示してある。この装置で用いる金型22は、成形素材5の径方向外側への広がりを規制するようにブッシュ2と成形素材5とからなる半加工品21を収容する凹部23を備えた固定金型25、ブッシュ2を支持する支持部26が固定金型25の凹部23内で変位するように固定金型25に対して変位可能に配置された第1の可動金型27と、凹部23内に挿入されて支持部26に支持されたブッシュ2及び成形素材5を凹部23の内底面24に向かって押す押圧部29Aを備えた第2の可動金型29とを備えている。固定金型25は、加熱装置30内に保持されている。なお第1の可動金型27も加熱装置30によって加熱される。また、第2の可動金型29も、図示していない別の加熱装置によって加熱されている。したがって、この加熱加圧装置20は、固定金型25の内底面24と、第2の可動金型29の押圧部29Aとを成形素材に接触させた状態で、固定金型25、第1の可動金型27及び第2の可動金型29が粉末状樹脂の成形可能温度に加熱され、粉末状樹脂が溶融した状態で第2の可動金型29が内底面24に向かって移動するように構成されている。
この加熱加圧装置20では、第2の可動金型29の押圧部29Aが、固定金型25の凹部23内に挿入されて、金属製ブッシュ2を押圧すると、第1の可動金型27は、第2の可動金型29の挿入量に応じて下方に変位する。粉末状樹脂が熱硬化性樹脂の場合には、樹脂が溶融した後、樹脂が硬化したら、主として短繊維を芯材(補強繊維層)として成形された樹脂成形体を備えた樹脂製回転体を金型22から取り出して、樹脂製回転体の製造を完了する。
このようにして成形した樹脂製回転体の樹脂成形体の外周部に機械加工を施して歯を形成すれば樹脂製歯車を得ることができる。また外周面に沿って溝を形成すれば、プーリを得ることができる。
短繊維を芯材とする樹脂成形体に含まれる短繊維の割合は、所望する樹脂成形体の強度等によって異なるが、樹脂成形体に対して30体積%以上60体積%以下であることが好ましい。樹脂成形体に占める短繊維の割合が30体積%未満である場合、樹脂を繊維で補強する効果がほとんど見られず、また金属製ブッシュ2の回り止め部への繊維の充填も不充分となる。また、短繊維の割合が60体積%を超えた場合は、繊維の占める割合が高すぎるため、加熱加圧成形時に溶融した樹脂が樹脂成形体全体に流動せず樹脂不足部分が発生しやすくなるなどの問題がおこる。そのため樹脂成形体に含まれる繊維の割合は樹脂製回転体の強度があり、及び2つの突出部4Aの間に形成される回り止め用の凹部4B内に繊維が確実に充填され、しかも樹脂の含浸を阻害しない35〜45体積%がさらに好ましい。
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態では、短繊維と水とを混合してスラリーを作っている。このようなスラリーを用いる場合には、スラリーの粘度が低いために、例えば図3に示した圧縮用金型14の底部材16に用いる金網のメッシュサイズが小さくなる(金網の網目が大きくなる)と、成形素材5中の短繊維及び粉末状樹脂の定着歩留まりが悪くなる。図5(A)に模式的に示すように、例えば、一辺が100μmのメッシュサイズの金網を使用する場合に、粉末状樹脂の粒子径が10μmであったとすると、濾過性能が悪いために、水と一緒に排出されてしまう粉末状樹脂の量が多くなる。このような事態を防ぐために、メッシュサイズを大きくする(金網の網目を小さくする)と、濾過性能は上がるものの、脱水時間が長くなる。そこで第2の実施の形態では、このような問題に対応するために、前述の第1のステップにおいて、短繊維と粉末状樹脂と水とを混合した混合液に、1種以上の静電引力凝集タイプの高分子凝集剤を添加してスラリーを調整する。静電引力凝集タイプの高分子凝集剤を添加すると、図5(B)に模式的に示すように、静電引力凝集タイプの高分子凝集剤が凝集機能だけでなく定着剤としても機能し、短繊維同士が定着するともとに、短繊維と粉末状樹脂が定着する。その結果、図3(B)に示す集合物8中に残る短繊維及び粉末状樹脂の量を増やすことができる。すなわち短繊維と粉末状樹脂の定着率を高めることができる。
使用可能な静電引力凝集タイプの高分子凝集剤は、短繊維と粉末状樹脂の定着率を高めることができて、しかも脱水性を著しく阻害しないものであれば、どのようなものでもよく、カチオン性高分子凝集剤としては、例えば、スチレン系高分子、ポリアミン縮合物、ジシアンジアミド縮合物、カチオン変性アクリル系共重合体、ポリメタアクリル酸エステル系、ポリアミジン塩酸塩を用いることができる。また、アニオン性高分子凝集剤としては、例えば、アクリル系共重合物、スルホン化ポリフェノール、多価フェノール系樹脂、ポリアクリル酸エステル系、ポリアクリル酸ソーダ・アミド誘導体を用いることができる。
代表的な高分子凝集剤を用いた凝集方法では、混合液に、カチオン性高分子凝集剤を添加した後、アニオン性高分子凝集剤を添加する。図6に模式的に示すように、混合液にカチオン性高分子凝集剤を添加すると、一部の短繊維と一部の粉末状樹脂とが集まってできる多数のフロックと呼ばれる集合物が形成される。その後アニオン性高分子凝集剤を添加すると、フロック同士が集合して更に大きなフロックの生成が進み、寸法の大きなフロックが多数形成される。このようなフロックが形成されると、脱水性が向上する。その結果、短い時間で脱水をできるとともに、短繊維と粉末状樹脂の定着率が向上する。特に、カチオン性高分子凝集剤としてカチオン性スチレン系高分子水溶液を用い、アニオン性高分子凝集剤としてアニオン性アクリル系高分子水溶液を用いると、高い脱水性を得ることができる。
また高分子凝集剤として、両性高分子凝集剤を用いることができる。両性高分子凝集剤とは、混合液中の短繊維及び粉末状粒子の中和効果(カチオン)と、高分子鎖による絡まり合い(高分子量体)の生成と、絡まり合い(高分子量体)をアニオンとカチオンの電荷による静電引力により補強する作用を発揮するものである。このような、両性高分子凝集剤としては、例えば、アクリルアミド・アクリル酸・アルキルアミノアクリレート4級塩共重合物、ポリアクリル酸エステル系、ポリメタクリル酸エステル系を用いることができる。
以下、本発明の実施例を説明する。
[実施例1]
スラリーを製造するために、短繊維と粉末状樹脂投入時の濃度が4g/リットルとなる量の水を満たしたタンクを用意する。そしてこのタンク内に、樹脂成形体中の短繊維の繊維総量が40体積%となる量の短繊維と、樹脂成形体中の樹脂の総量が60体積%となる量の粉末状樹脂を入れる。具体的には、短繊維として用いる繊維チョップとして、アスペクト比200のパラ系アラミド繊維“帝人(株)製「テクノーラ(商標)」”を50質量%、アスペクト比200のメタ系アラミド繊維“帝人(株)製「コーネックス(商標)」”を45質量%、そしてフリーネス値300mlまでフィブリル化処理した微細繊維“デュポン(株)製「ケブラー(商標)」”を5質量%となる量をそれぞれ投入する。また、粉末状樹脂として、粒子径20μmのフェノール樹脂粉末“エア・ウォーター・ベルパール(株)製「ベルパール(商標)」を投入する。次に攪拌機でタンク内の水を攪拌し繊維チョップとフェノール樹脂粉末を分散させてスラリーを製造する。
このとき、カチオン性高分子凝集剤として明成化学工業株式会社が「セラフィックスST」(商標)の名称で販売するカチオン性スチレン系高分子水溶液を添加して撹拌した後、アニオン性高分子凝集剤として明成化学工業株式会社が「ファイレックスM」(商標)の名称で販売するアニオン性アクリル系高分子水溶液を添加して撹拌して、本実施例で用いるスラリーとした。カチオン性スチレン系高分子水溶液の添加量は、短繊維と粉末状樹脂の総量に対して、0.2質量%であり、アニオン性アクリル系高分子水溶液の添加量は、短繊維と粉末状樹脂の総量に対して、0.1質量%であった。
次に図3(A)に示す濾過脱水圧縮装置7を用いて、下側のブッシュ支持用金型12上に金属製ブッシュ2を位置決めする。使用する金属製ブッシュ2の突出部4A及び凹部4Bの形状は、h1=2mm、h2=0.5mmであり、アンダーカット形状であり、金属製ブッシュ2の仮想中心横断面と側面SFとの間の角度θが20°である。そして、図3(B)に示すように、上側のブッシュ支持用金型11を下方向に移動して、一対のブッシュ支持用金型11及び12の間に金属製ブッシュを挟持する。ここで、下側の圧縮用金型14の位置は、金属製ブッシュ2の軸方向中央から底部材16上面までの距離が50mmとなる位置とした。この濾過脱水圧縮装置7内に、真空吸引をしながら、分散させた繊維チョップとフェノール樹脂粉末を含むスラリーを充填する。そして、真空吸引を継続して下側の圧縮用金型14に設けた複数の貫通孔15から水を排水することにより、繊維チョップとフェノール樹脂粉末と、水を分離して円筒状の短繊維と粉末状樹脂の集合物8を得る。なお排水時に貫通孔15より繊維チョップとフェノール樹脂粉末が流出するのを防止するために、下側の圧縮用金型14上には底部材16を配置した。この底部材16としては金属製20メッシュの金網を用いた。
次に金属製ブッシュ2の回り止め部にさらに強固に繊維を喰い込ませるために圧縮を行う。まず図3(C)に示すように、上側の圧縮用金型13を、金属製ブッシュ2の軸方向中央から上側の圧縮用金型13下面までの距離が50mmとなる位置まで下降させる。この位置は、金属製ブッシュ2が一対の圧縮用金型13と14の間の中央に位置する状態となる位置である。そして、図3(D)に示すように、金属製ブッシュ2が一対の圧縮用金型13と14の間の中央に位置する状態で、一対の圧縮用金型13及び14をそれぞれ速度1〜5mm/sで相互に近づく方向に移動させ、短繊維と粉末状樹脂の集合物8が厚み20mmとなるまで圧縮する。この状態で1分間圧縮することにより、金属製ブッシュ2と一体化した成形素材5を得た。前記圧縮の際、下側の圧縮用金型14の貫通孔15から真空吸引した状態で圧縮している。
この成形素材5を水分含有率が0.5質量%以下になるまで乾燥する。ちなみに、本実施例では、前記乾燥により成形素材5の厚みは20〜50mmとなる。
次に図4に示すように、上記の工程で得られた金属製ブッシュ2と一体化した成形素材5(樹脂製回転体成形用半加工品)を200℃に加熱した第1の可動金型27に配置して型締めする。そして、成形素材5を加熱加圧成形して粉末状樹脂を硬化させ歯車素材を得る。ちなみに、本実施例では、厚み20〜50mmであった成形素材5は、前記加熱加圧成形により、金属製ブッシュ2とほぼ同厚みの13mmとなる。
この歯車素材を切削加工により歯を形成することにより樹脂製歯車を得る。
[実施例2]
上記実施例1で製造したのと同じスラリーに、カチオン性高分子凝集剤及びアニオン性高分子凝集剤を添加せずに撹拌して、本実施例で用いるスラリーとした。このようにして作製したスラリーを用いて、実施例1と同様に樹脂製歯車を製造した。なお図3(A)に示す濾過脱水圧縮装置7で用いる金属製金網のメッシュサイズは、実施例1と同様に20メッシュを用いた。
[実施例3]
上記実施例1で製造したのと同じスラリーに対して、カチオン性高分子凝集剤としてカチオン性スチレン系高分子水溶液を添加して撹拌して、本実施例で用いるスラリーとした。カチオン性スチレン系高分子水溶液の添加量は、短繊維と粉末状樹脂の総量に対して、0.2質量%であった。このようにして作製したスラリーを用いて、実施例1と同様に樹脂製歯車を製造した。
[実施例4]
上記実施例1で製造したのと同じスラリーに対して、アニオン性高分子凝集剤としてアニオン性アクリル系高分子水溶液を添加して撹拌して、本実施例で用いるスラリーとした。アニオン性アクリル系高分子水溶液の添加量は、短繊維と粉末状樹脂の総量に対して、0.1質量%であった。このようにして作製したスラリーを用いて、実施例1と同様に樹脂製歯車を製造した。
[実施例5]
上記実施例1で製造したのと同じスラリーに対して、カチオン性高分子凝集剤としてカチオン性スチレン系高分子水溶液と、アニオン性高分子凝集剤としてアニオン性アクリル系高分子水溶液を同時に添加して撹拌して、本実施例で用いるスラリーとした。カチオン性スチレン系高分子水溶液の添加量は、短繊維と粉末状樹脂の総量に対して、0.2質量%であり、アニオン性アクリル系高分子水溶液の添加量は、短繊維と粉末状樹脂の総量に対して、0.1質量%であった。このようにして作製したスラリーを用いて、実施例1と同様に樹脂製歯車を製造した。
[実施例6]
上記実施例1で製造したのと同じスラリーに対して、アニオン性高分子凝集剤としてアニオン性アクリル系高分子水溶液を添加して撹拌した後、カチオン性高分子凝集剤としてカチオン性スチレン系高分子水溶液を添加して撹拌して、本実施例で用いるスラリーとした。アニオン性アクリル系高分子水溶液の添加量は、短繊維と粉末状樹脂の総量に対して、0.1%であり、カチオン性スチレン系高分子水溶液の添加量は、短繊維と粉末状樹脂の総量に対して、0.2wt%であった。このようにして作製したスラリーを用いて、実施例1と同様に樹脂製歯車を製造した。
[実施例7]
実施例1でスラリーに添加する静電引力凝集タイプの高分子凝集剤に代えて、増粘凝集タイプの高分子凝集剤としてポリエチレンオキサイド系凝集剤を用いた。ポリエチレンオキサイド系凝集剤としては、住友精化株式会社が「ペオ」(商標)の名称で販売するポリエチレンオキサイド系凝集剤を添加して撹拌して、本実施例で用いるスラリーとした。ポリエチレンオキサイド系凝集剤の添加量は、短繊維と粉末状樹脂の総量に対して、0.05質量%であった。このようにして作製したスラリーを用いて、実施例1と同様に樹脂製歯車を製造した。なお図3(A)に示す濾過脱水圧縮装置7で用いる金属製金網のメッシュサイズは、実施例1と同様に20メッシュを用いた。
[従来例1]
スラリーを製造するために、短繊維投入時の濃度が4g/リットルとなる量の水を満たしたタンクを用意する。そしてこのタンク内に、樹脂成形体中の短繊維の繊維総量が40体積%となる量の短繊維を入れる。短繊維として用いる繊維チョップの種類及び混合比率は、実施例1に示したとおりである。次に攪拌機でタンク内の水を攪拌し繊維チョップを分散させる。
次に図3(A)に示す濾過脱水圧縮装置7を用いて、下側のブッシュ支持用金型12上に金属製ブッシュ2を位置決めする。使用する金属製ブッシュ2の形状は、実施例1に示したとおりである。そして、図3(B)に示すように、上側のブッシュ支持用金型11を下方向に移動して、一対のブッシュ支持用金型11及び12の間に金属製ブッシュを挟持する。ここで、下側の圧縮用金型14の位置は、金属製ブッシュ2の軸方向中央から底部材16上面までの距離が40mmとなる位置とした。この濾過脱水圧縮装置7内に、分散させた繊維チョップを含むスラリーを充填する。そして、真空吸引をして下側の圧縮用金型14に設けた複数の貫通孔15から水を排水することにより、繊維チョップと水を分離して円筒状の短繊維の集積体を得る。なお排水時に貫通孔15より繊維チョップが流出するのを防止するために、下側の圧縮用金型14上には底部材16を配置した。この底部材16としては金属製100メッシュの金網を用いた。
次に金属製ブッシュ2の回り止め部にさらに強固に繊維を喰い込ませるために圧縮を行う。まず図3(C)に示すように、150℃に加熱した上側の圧縮用金型13を、金属製ブッシュ2の軸方向中央から上側の圧縮用金型13下面までの距離が40mmとなる位置まで下降させる。この位置は、金属製ブッシュ2が一対の圧縮用金型13と14の間の中央に位置する状態となる位置である。そして、図3(D)に示すように、金属製ブッシュ2が一対の圧縮用金型13と14の間の中央に位置する状態で、一対の圧縮用金型13及び14をそれぞれ速度1〜5mm/sで相互に近づく方向に移動させ、短繊維の集積体が厚み10mmとなるまで圧縮する。そして、加熱した状態で2分間圧縮することにより、金属製ブッシュ2と一体化した補強用繊維基材を得た。前記圧縮の際、下側の圧縮用金型14の貫通孔15から真空吸引した状態で圧縮している。
次に図4に示すように、上記の工程で得られた金属製ブッシュ2と一体化した補強用繊維基材を200℃に加熱した第1の可動金型27に配置して型締めする。そして、第1の可動金型27内部を圧力90kPa以下に減圧した後、2,2’−(1,3フェニレン)ビス2−オキサゾリン69質量部、4,4’−ジアミノジフェニルメタン31質量部を混合した樹脂を温度140℃で溶解し、オクチルブロマイド1質量部を加えて撹拌した樹脂を金型内部に注入して補強用繊維基材に含浸させ、第1の可動金型27内で加熱硬化し歯車素材を得る。この歯車素材を切削加工により歯を形成することにより樹脂製歯車を得る。
[従来例2]
水を満たしたタンクを用意し、従来例1と同様の繊維配合、濃度で繊維チョップを分散させる。図7(A)に示すように、抄造装置307は、底面部313及び角筒状の抄造用筒体309を備えている。なお底面部313のみを金網で構成した。使用した金網は、100メッシュのシート状金網であった。そして、前述の分散させた繊維チョップを含むスラリーを抄造装置307に導入して、集積物310を得た。集積物310を取り出して、これを脱水、乾燥した。その後、図7(B)に示すように、外径φ80mm×内径φ55mmのドーナツ状に打ち抜き、短繊維の集積体308を得た。
次に図8(A)に示すように、上記の工程で得られた短繊維の集積体308を2個使用して、金属製ブッシュ2に設けた突出部4Aを挟み込み、加熱した成形金型323内に配置して型締めをした。その後の工程は、従来例1と同様にして、樹脂製歯車を製造した。図8(B)は、このようにして製造した樹脂製回転体の概略縦断面図である。この樹脂製回転体の樹脂成形体306中にある2つの補強用繊維基材305の重ね合せ界面BSには、短繊維の絡み合いが殆どない。
[評価1]
上記実施例1に示す方法で作製した樹脂製回転体成形用半加工品、従来例1に示す方法で作製した金属製ブッシュと一体化した補強用繊維基材及び従来例2に示す方法で作製した短繊維の集積体を用いて歯車素材を作製する際にかかる実作業時間を測定した結果を表1に示す。また、実施例1及び従来例1〜2で得られた樹脂製歯車について、ボス抜き強度を測定した結果を表1に示す。測定方法は以下に示すとおりである。
ボス抜き強度:図9に示すように樹脂成形体部のみに接し、かつ金属製ブッシュ2の外径サイズより大きい内径の円筒形状の台55の上に樹脂製歯車51を配置する。上方より金属製ブッシュ2を押さえる金具56を取付け、金具56に荷重を加えて、樹脂製歯車51が破壊に至る最大荷重を測定した。
Figure 0005794316
表1から明らかなように、本発明に係る樹脂製回転体成形用半加工品は、従来例のように、補強用繊維基材を軸方向から押圧しながら成形用金型内部を真空に減圧し、樹脂を流しこんで該補強用繊維基材に樹脂を含浸させる作業が省くことができ、実作業時間が短縮できる。
また、本発明に係る樹脂製回転体は、成形素材の内部に繊維層の境界面を形成することがなく、また、樹脂成形体とブッシュの回り止め部との結合強度を向上させることができるため、ボス抜き強度が向上している。
[評価2]
上記実施例1〜7に示す方法で樹脂製回転体成形用半加工品を作成した場合における、定着歩留りと排水時間について評価した結果を表2に示す。測定方法は以下に示すとおりである。
定着歩留り:スラリー中に入れた繊維チョップとフェノール樹脂粉末を100%として、脱水後に繊維チョップとフェノール樹脂粉末の合計質量で何%が残ったのかを示す指標である。この定着歩留まりは、実施例1〜7に定める材料配合で、凝集剤を添加してスラリーを作製し、濾過脱水圧縮装置7を用いて作製した成形素材5の乾燥後の質量を測定することにより算出した。
排水時間:濾過脱水圧縮装置7内にスラリーを充填してから、スラリー液面が底部材16に達するまでの時間として測定した。
Figure 0005794316
実施例1は実施例2に比べて定着歩留りが高く、排水時間が実施例2とほぼ同じであることが判る。また実施例7は、定着歩留りは高いものの、排水時間が実施例1〜6と比べて8倍近く長く、実用的でないことが判る。
なお、実施例2〜5は実施例1と比較し、特にフェノール樹脂粉末の定着歩留りが低く、樹脂製歯車の機械強度が低下する心配があるため、スラリー製造時に、定着歩留りを考慮してフェノール樹脂粉末を多めに配合している。
本発明によれば、ブッシュの外周部に短繊維と粉末状樹脂の集合物を形成する過程で、短繊維と粉末状樹脂をブッシュの回り止めの周囲に必要な量集積させてブッシュの回り止め部を短繊維と粉末状樹脂の集合物で完全に囲むことができる。さらにこれを圧縮することによって、ブッシュの回り止め部への短繊維と粉末状樹脂の喰い込みを確実なものとするとともに、ブッシュの外周部近傍の短繊維の密度を高めることができる。このため、従来のように、補強用繊維基材の内部に繊維層の境界面を形成することなく、樹脂成形体とブッシュの回り止め部との結合強度を向上させることができて、樹脂製歯車などの樹脂製回転体の耐久性能を大幅に向上することができる利点が得られる。
また、成形素材を加熱加圧成形することによって、樹脂成形体を形成することができるので、従来のように、補強用繊維基材を軸方向から押圧しながら成形用金型内部を真空に減圧し、樹脂を流しこんで該補強用繊維基材に樹脂を含浸させる作業が省くことができ、工程数が少なくて済む。また成形用金型の構造も簡略化できる。
1 樹脂製回転体
2 金属製ブッシュ
3 貫通孔
4 外周部
4A 突出部(回り止め部)
4B 凹部
5 成形素材
7 抄造圧縮装置
8 短繊維と粉末状樹脂の集合物
10 筒状金型
11,12 ブッシュ支持用金型
13,14 圧縮用金型
15 貫通孔
16 底部材

Claims (8)

  1. 外周部に1以上の回り止め部が形成されて回転軸を中心にして回転することができるブッシュを用意するステップと、
    前記ブッシュの前記外周部に、短繊維と粉末状樹脂の集合物によって形成され且つ前記1以上の回り止め部を囲むように前記ブッシュに嵌った状態で配置された成形素材を形成するステップとからなり、
    前記成形素材を形成するステップが、
    前記短繊維と前記粉末状樹脂と水とを混合して調製したスラリーを用いて、濾過脱水法により、前記ブッシュの前記外周部の周囲に前記短繊維と前記粉末状樹脂を集合させて集合物を形成する第1のステップと、
    前記集合物を前記回転軸の軸線方向に圧縮して前記ブッシュの前記外周部上に前記成形素材を形成する第2のステップとからなり、
    前記第1のステップでは、前記短繊維と前記粉末状樹脂と水とを混合した混合液に、カチオン性高分子凝集剤を添加した後、アニオン性高分子凝集剤を添加して前記スラリーを調整することを特徴とする樹脂製回転体成形用半加工品の製造方法。
  2. 前記第1のステップでは、前記ブッシュを収容し且つ前記集合物を収容する空間を吸引濾過した状態で、前記ブッシュの前記外周部の周囲に前記短繊維と前記粉末状樹脂を集合させることを特徴とする請求項1に記載の樹脂製回転体成形用半加工品の製造方法。
  3. 前記カチオン性高分子凝集剤はカチオン性スチレン系高分子水溶液であり、前記アニオン性高分子凝集剤はアニオン性アクリル系高分子水溶液である請求項1に記載の樹脂製回転体成形用半加工品の製造方法。
  4. 外周部に1以上の回り止め部が形成されて回転軸を中心にして回転することができるブッシュを用意するステップと、
    前記ブッシュの前記外周部に、短繊維と粉末状樹脂の集合物によって形成され且つ前記1以上の回り止め部を囲むように前記ブッシュに嵌った状態で配置された成形素材を形成するステップと、
    前記成形素材を加熱しながら加圧して前記粉末状樹脂を溶融させて生成した溶融樹脂を前記短繊維からなる補強繊維層に含浸させた後、前記溶融樹脂を硬化させて樹脂成形体を形成するステップとからなり、
    前記成形素材を形成するステップが、
    前記短繊維と前記粉末状樹脂と水とを混合して調製したスラリーを用いて、濾過脱水法により、前記ブッシュの前記外周部の周囲に前記短繊維と前記粉末状樹脂を集合させて集合物を形成する第1のステップと、
    前記集合物を前記回転軸の軸線方向に圧縮して前記ブッシュの前記外周部上に前記成形素材を形成する第2のステップとからなり、
    前記第1のステップでは、前記短繊維と前記粉末状樹脂と水とを混合した混合液に、カチオン性高分子凝集剤を添加した後、アニオン性高分子凝集剤を添加して前記スラリーを調整することを特徴とする樹脂製回転体の製造方法。
  5. 前記短繊維は、長さが2乃至6mmのアラミド繊維と、アラミド繊維をフィブリル化処理した微細繊維及び/またはパルプ状繊維を含み、微細繊維のフリーネスが100ml以上400ml以下であって、微細繊維の含有量が短繊維中の30質量%以下となるものであることを特徴とする請求項4に記載の樹脂製回転体の製造方法。
  6. 前記短繊維は、熱分解温度或いは溶融温度が250℃以上の合成繊維からなり、
    前記粉末状樹脂は、成形可能温度が前記合成繊維の熱分解温度或いは溶融温度よりも低く且つ粒子径が50μm以下の熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂の粒子からなる請求項5に記載の樹脂製回転体の製造方法。
  7. 前記樹脂成形体に対する前記短繊維の割合は、30体積%以上60体積%以下である請求項4に記載の樹脂製回転体の製造方法。
  8. 前記成形素材を加熱しながら加圧する加熱加圧装置が、
    前記成形素材の径方向外側への広がりを規制するように前記ブッシュと一緒に前記成形素材を収容する凹部を備えた固定金型と、
    前記ブッシュを支持する支持部が前記固定金型の前記凹部内で変位するように固定金具対して変位可能に配置された第1の可動金型と、前記凹部内に挿入されて前記支持部に支持された前記ブッシュ及び前記成形素材を前記凹部の内底面に向かって押す押圧部を備えた第2の可動金型とを備えて、
    前記固定金型の前記内底面と、前記第2の可動金型の前記押圧部とを前記成形素材に接触させた状態で、前記固定金型、前記第1の可動金型及び第2の可動金型は前記粉末状樹脂の成形可能温度に加熱され、前記粉末状樹脂が溶融した状態で前記第2の可動金型が前記内底面に向かって移動するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の樹脂製回転体の製造方法
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