JP2017061059A - 歯車用素形体の製造法及びその素形体を用いる歯車の製造法 - Google Patents

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Abstract

【課題】外周部に歯を有する金属製環状体とその中心に配置された金属製ブッシュとが樹脂製ウェブで一体に連結された歯車において、前記連結の強度を確保する。
【解決手段】外周部に歯を有し内周部に回り止め部5が形成された金属製環状体2と、外周部に回り止め部5’を有し回転軸を中心にして回転される金属製ブッシュ3とを用意し、金属製環状体2の内周部とその中心に配置された金属製ブッシュ3の外周部との間に、補強繊維で形成され且つ回り止め部5,5’に嵌った状態で配置された補強用繊維基材8’を抄造法により形成し、金属製環状体2及び金属製ブッシュ3が補強用繊維基材8’と連結された歯車用素形体とする。この歯車用素形体を成形金型に配置し、補強用繊維基材8’に樹脂を含浸させ、加熱加圧成形により樹脂製ウェブを成形し、金属製環状体2及び金属製ブッシュ3と一体に連結する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、外周部に歯が形成された金属製環状体と、この金属製環状体の中心に配置された金属製ブッシュとが、樹脂製ウェブで一体に連結された歯車のための歯車用素形体の製造法及びその歯車用素形体を用いる歯車の製造法に関する。
特許文献1(実開昭58−91046号全文明細書)は、次の技術を開示している。すなわち、外周部に歯が形成された金属製環状体と、この金属製環状体の中心に配置された金属製ブッシュとが、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂よりなる樹脂製ウェブにより一体に連結された歯車である。前記樹脂製ウェブは、金属製ウェブに比し弾性係数が小さい。従って、樹脂製ウェブが歯に加わる衝撃を緩衝し振動や騒音の発生を抑制している。
特許文献1の技術においては、金属製環状体と金属製ブッシュを熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂からなる樹脂製ウェブで連結し一体化するために、次の幾つかの手段を採用している。
(1)金属製環状体と金属製ブッシュの間に、樹脂製ウェブが一体となるように成形する。
(2)金属製ブッシュをインサートとして樹脂製ウェブを成形した後に、樹脂製ウェブに金属製環状体を焼嵌めする。
(3)樹脂製ウェブを予め成形し、この樹脂製ウェブを金属製環状体と金属製ブッシュの間に圧入する。
以上から、特許文献1は、金属製環状体と金属製ブッシュをインサートとして、或いは、金属製環状体と金属製ブッシュの一方をインサートとして、加熱加圧成形又は射出成形することを開示している。また、樹脂製ウェブのみを加熱加圧成形又は射出成形することを開示している。
特許文献2(特開2009−250364号公報)は、樹脂製歯車と樹脂製ウェブの部分を構成する樹脂成形体と、樹脂成形体の中心に配置された金属製ブッシュとを、一体化する技術を開示している。
この技術は、外周部に1以上の回り止め部が形成されて回転軸を中心にして回転される金属製ブッシュを用意するステップと、前記金属製ブッシュの前記外周部に、補強繊維によって形成され且つ前記1以上の回り止め部を囲むように嵌った状態で配置された補強用繊維基材を形成するステップと、補強用繊維基材に樹脂を含浸させ、樹脂を硬化して樹脂成形体を成形するステップとからなっている。
補強用繊維基材を形成するステップは、抄造法により、金属製ブッシュの外周部の周囲に補強繊維を集積させて回り止め部を含む金属製ブッシュの外周部を囲む補強繊維集積体を形成する第1ステップと、補強繊維集積体を前記回転軸の軸線方向に圧縮して補強用繊維基材を形成する第2ステップとからなっており、第1ステップと第2ステップとを、金属製ブッシュと補強繊維集積体を収容している同一装置内で連続して行なっている。
上記の第1ステップと第2ステップとを行なう装置は、圧縮動作時に補強繊維集積体が金属製ブッシュの径方向外側に広がらないように規制する筒状金型と、筒状金型の径方向中心に配置されて金属製ブッシュの外周部よりも内側に位置する部分を前記軸線方向の両側から挟み且つ圧縮動作時に補強繊維集積体がブッシュの径方向内側に広がらないように規制する一対のブッシュ支持用金型と、前記筒状金型と前記一対のブッシュ支持用金型の間に位置して、圧縮動作時に補強繊維集積体を前記軸線方向両側から挟んで圧縮する一対の圧縮用金型とを備えており、下側の圧縮用金型が透水性を有している。
上記の補強用繊維基材に樹脂を含浸させ、樹脂を硬化して樹脂成形体を成形するステップの後に、樹脂成形体の外周部に歯切り加工を施して樹脂製歯車を製造している。
実開昭58−91046号全文明細書 特開2009−250364号公報
外周部に歯が形成された金属製環状体と、この金属製環状体の中心に配置された金属製ブッシュが樹脂製ウェブで一体に連結された歯車においては、金属製環状体と金属製ブッシュのそれぞれと、樹脂製ウェブとの間の連結強度が求められる。また、樹脂製ウェブ自体の機械強度も求められる。
特許文献1は、これらの要望に応えるための解決手段を具体的に開示していない。
また、特許文献2は、金属製ブッシュと樹脂製ウェブの間の連結強度を確保することについては開示しているが、外周部に歯が形成された金属製環状体と樹脂製ウェブの間の連結を想定していない。
本発明が解決しようとする課題は、外周部に歯が形成された金属製環状体と、この金属製環状体の中心に配置された金属製ブッシュとが樹脂製ウェブで一体に連結された歯車において、金属製環状体及び金属製ブッシュのそれぞれと、樹脂製ウェブとの間の連結強度を確保するとともに樹脂製ウェブ自体の機械強度も確保する製造法を提供することである。
上記課題を解決する本発明に係る歯車の製造法を、歯車の製造に用いる歯車用素形体の製造と、その歯車用素形体を用いる歯車の製造に分けて説明する。まず、歯車用素形体の製造は、以下のとおりである。
外周部に歯が形成され内周部に1以上の回り止め部が形成された金属製環状体と、外周部に1以上の回り止め部が形成されて回転軸を中心にして回転される金属製ブッシュとを用意するステップと、前記金属製環状体の前記内周部と金属製環状体の中心に配置された前記金属製ブッシュの前記外周部との間に、補強繊維によって形成され且つ前記それぞれの1以上の回り止め部を囲むように嵌った状態で配置された補強用繊維基材を抄造法により形成するステップとからなっている。本発明では、金属製環状体の内周部と金属製ブッシュの外周部との間に、補強用繊維基材が一体に嵌った状態の構成物を歯車用素形体という。
前記補強用繊維基材を抄造により形成するステップは、金属製環状体の回り止め部を含む内周部と金属製ブッシュの回り止め部を含む外周部との間に補強繊維を集積させて補強繊維集積体を形成する第1ステップと、補強繊維集積体を前記回転軸の軸線方向に圧縮して補強用繊維基材を形成する第2ステップとからなっており、第1ステップと第2ステップとを、金属製環状体及び金属製ブッシュと補強繊維集積体を収容している同一装置内で連続して行ない歯車用素形体を製造するものである。
上記の第1ステップと第2ステップとを行なう装置は、筒状外金型と、筒状外金型の大内径部に内挿される筒状内金型と、前記筒状外金型ならびに筒状内金型の径方向中心に配置される一対のブッシュ支持用金型と、前記筒状外金型及び筒状内金型と前記一対のブッシュ支持用金型の間に位置する一対の圧縮用金型とを備えている。
さらに詳細に説明すると、筒状外金型は、前記軸線方向の下方側の小内径部と上方側の大内径部を備えており、小内径部と大内径部の境界に段部を形づくっている。この段部に金属製環状体が載置され金属製環状体の内周部よりも外側に位置する部分が下側から支持される。小内径部は圧縮動作時に金属製環状体より下方側の補強繊維集積体が金属製環状体の内周より径方向外側に広がらないように規制する。大内径部は前記段部から上方に伸びている。筒状外金型の大内径部に内挿された筒状内金型は、段部に載置された金属製環状体の内周部よりも外側に位置する部分を前記軸線方向の上側から支持する。また、筒状内金型は、圧縮動作時に金属製環状体より上方側の補強繊維集積体が金属製環状体の内周より径方向外側に広がらないように規制する。
一対のブッシュ支持用金型は、筒状外金型ならびに筒状内金型の径方向中心に配置される。そして、金属製ブッシュの外周部よりも内側に位置する部分を前記軸線方向の両側から挟み且つ圧縮動作時に補強繊維集積体が金属製ブッシュの径方向内側に広がらないように規制する。さらに、一対の圧縮用金型は、筒状外金型及び筒状内金型と前記一対のブッシュ支持用金型の間に位置して、圧縮動作時に補強繊維集積体を前記軸線方向両側から挟んで圧縮する。下側の圧縮用金型は透水性を有している。
第1ステップでは、筒状内金型と上側のブッシュ支持用金型を上方向に後退させた上で、金属製環状体を段部の上に位置決めし、金属製ブッシュを下側のブッシュ支持用金型の上に位置決めした後に、筒状内金型と上側のブッシュ支持用金型を下方向に移動して、金属製環状体を段部と筒状内金型の間に、金属製ブッシュを一対のブッシュ支持用金型の間に、それぞれ挟持する。そして、補強繊維と水を混合して形成したスラリーを筒状内金型の上側の開口部から供給し、下側の圧縮用金型から水分を排出することにより、金属製環状体の内周部と金属製ブッシュの外周部の間に補強繊維集積体を形成する。
第2ステップでは、上側の圧縮用金型を下降させ、一対の圧縮用金型の間で補強繊維集積体を所定厚まで圧縮し補強用繊維基材を形成する。
次に、上述のようにして製造した歯車用素形体を用いる歯車の製造は、この歯車用素形体を成形金型に配置し、補強用繊維基材に樹脂を含浸させ、樹脂を硬化して樹脂製ウェブを成形し、金属製環状体ならびに金属製ブッシュが樹脂製ウェブと一体に連結された歯車とする。
本発明では、歯車用素形体の製造を次の二つのステップにより構成している。第1のステップでは、抄造法により、金属製環状体の回り止め部を含む内周部と金属製ブッシュの回り止め部を含む外周部の間に補強繊維を集積させて補強繊維集積体を形成する。抄造法により補強繊維集積体を製造するので、抄造の際に、1以上の回り止め部の周囲に補強繊維が確実に回り込んでいる。そして第2のステップでは、前記第1のステップと同一の装置を用いて、補強繊維集積体を回転軸の軸線方向に圧縮して補強用繊維基材を形成している。この圧縮により、回り止め部への補強繊維の喰い込みを確実なものとするとともに、回り止め部の補強用繊維基材の密度が高まり、金属製環状体ならびに金属製ブッシュと補強用繊維基材との結合がさらに高まる。このように製造した歯車用素形体は、金属製環状体ならびに金属製ブッシュと補強用繊維基材とを一体の構成物として取り扱いやすいだけでなく、歯車の製造において樹脂製ウェブと回り止め部との結合強度を高めることができる。
前記第1のステップと前記第2のステップとを、金属製環状体ならびに金属製ブッシュと補強繊維集積体を収容している同一装置内で連続して補強用繊維基材を形成する圧縮まで行なうので、嵩高く強度が弱い(型崩れしやすい)抄造後の補強繊維集積体を取り扱う作業が必要ないため、作業工程が少なくて済む。前記第2のステップで行なう圧縮により補強用繊維基材の密度が高まり補強用繊維基材の強度は高くなっている。従って、金属製環状体ならびに金属製ブッシュは重量物であるにも拘わらず、これらが補強用繊維基材に確実に保持された歯車用素形体となっており、この歯車用素形体を用いる作業性(取り扱い性)が大幅に向上する。
本発明によれば、抄造により金属製環状体の内周部と金属製ブッシュの外周部との間に補強繊維集積体を形成する過程で、補強繊維を金属製環状体ならびに金属製ブッシュの回り止めの周囲に必要な量にて集積させて、金属製環状体ならびに金属製ブッシュの回り止め部を補強繊維集積体で完全に囲むことができる。さらにこれを圧縮することによって、回り止め部への補強繊維の喰い込みを確実なものにするとともに、樹脂製ウェブを構成する補強用繊維基材の密度を高めることができる。このため、樹脂製ウェブと回り止め部との結合強度を向上させることができて、歯車の耐久性能を大幅に向上することができる利点がある。
本発明の実施の形態において、補強繊維集積体の抄造と圧縮の工程の進行を説明する縦断面図である。 本発明の実施の形態における歯車の平面図(A)とA−A’に沿う縦断面図(B)である。 本発明の他の実施の形態における歯車の平面図(A)とA−A’に沿う縦断面図(B)である。 本発明の実施の形態において、歯車用素形体を加熱加圧成形する様子を説明する断面図である。
図2は、本発明の実施の形態で製造される歯車の一例を模式的に示した平面図(A)とそのA−A’に沿う縦断面図(B)である。この歯車1は、外周部に歯が形成された金属製環状体2と、図示しない回転軸を中心にして回転する金属製ブッシュ3と、金属製環状体2と金属製ブッシュ3を連結する樹脂製ウェブ4を備えている。金属製環状体2の内周部には複数の回り止め部5が周方向に所定の間隔をあけて一体に形成されている。金属製ブッシュ3の中央部には、図示しない軸が嵌合される貫通穴6が形成されている。また金属製ブッシュ3の外周部には、複数の回り止め部5’が周方向に所定の間隔をあけて一体に形成されている。
本発明の実施の形態では、1つの補強用繊維基材が金属製環状体2とその中心に位置する金属製ブッシュ3の間に嵌った状態で配置された歯車用素形体を歯車の製造に用いる。そして、前記補強用繊維基材に樹脂が含浸され且つ樹脂が硬化して樹脂製ウェブ4が成形されている。
図3は、本発明の実施の形態で製造される他の歯車1’の一例を模式的に示した平面図(A)とそのA−A’に沿う縦断面図(B)である。この歯車1’が、図2を参照して説明した歯車1と異なる点は、樹脂製ウェブ4’が、金属製環状体2の内周部近傍と金属製ブッシュ3の外周部近傍を除いて薄肉に成形されている点である。この場合、樹脂製ウェブ4’を構成する補強用繊維基材も、樹脂製ウェブ4’に近似した形状にて抄造により準備される。
上記各歯車の製造に供する歯車用素形体は、図1(A)(B)(C)の工程に示すように、抄造と圧縮を連続して行うことができる抄造圧縮装置7を用いて、金属製環状体2の内周部と金属製環状体2の中心に配置された金属製ブッシュ3の外周部の間に、補強繊維による補強繊維集積体8を形成し(第1ステップ)、この補強繊維集積体8を回転軸の軸線方向に圧縮し補強用繊維基材8’を形成する(第2ステップ)ことにより製造される。
まず、抄造法により金属製環状体2の内周部と金属製ブッシュ3の外周部の間に補強繊維を集積させて1以上の回り止め部5,5’を含む金属製環状体2の内周部と金属製ブッシュ3の外周部の間に補強繊維集積体8を形成する第1のステップについて説明する。
図1(A)に示すように、この抄造圧縮装置7で用いる金型は、筒状外金型10と、筒状外金型10の大内径部10−2に内挿される筒状内金型9と、前記筒状外金型10ならびに筒状内金型9の径方向中心に配置される一対のブッシュ支持用金型11,12と、前記筒状外金型10及び筒状内金型9と前記一対のブッシュ支持用金型11,12の間に位置する一対の圧縮用金型13,14とを備えている。
上記の筒状外金型10は、前記軸線方向の下方側の小内径部10−1と上方側の大内径部10−2を備えており、小内径部10−1と大内径部10−2の境界に段部を形づくっている。この段部に金属製環状体2を載置し、金属製環状体2の内周部よりも外側に補強繊維が入り込まないように金属製環状体2の内周部よりも外側に位置する部分をこの段部で下側から支持する。このとき、回り止め部5は段部より径方向内側へ突出している。後述するように、小内径部10−1は、圧縮動作時に段部に載置された金属製環状体2より下方側の補強繊維集積体8が金属製環状体2の内周より径方向外側に広がらないように規制する。大内径部10−2は前記段部から上方に伸びている。大内径部10−2には筒状内金型9を内挿して、金属製環状体2の内周部よりも外側に補強繊維が入り込まないように、筒状内金型9が前記段部に載置された金属製環状体2の内周部よりも外側に位置する部分を前記軸線方向の上側から段部との間に挟み支持する。後述するように、筒状内金型9は、圧縮動作時に段部に載置された金属製環状体2より上方側の補強繊維集積体8が金属製環状体2の内周部よりも径方向外側に広がらないように規制する。
さらに、一対のブッシュ支持用金型11,12が、筒状外金型10及び筒状内金型9の径方向中心に配置される。そして、一対のブッシュ支持用金型11,12は、金属製ブッシュ3の外周部よりも内側に補強繊維が入り込まないように金属製ブッシュ3の外周部よりも内側に位置する部分を前記軸線方向の両側から挟み支持する。このとき、回り止め部5’は一対のブッシュ支持用金型11,12の外周面より外側へ突出している。後述するように、一対のブッシュ支持用金型11,12は、圧縮動作時に補強繊維集積体8が金属製ブッシュ3の径方向内側に広がらないように規制する。
また、一対の圧縮用金型13,14が、筒状外金型10及び筒状内金型9と一対のブッシュ支持用金型11,12の間に位置しており、後述するように、圧縮動作時に補強繊維集積体8を前記軸線方向両側から挟んで圧縮する。下側の圧縮用金型14は透水性を有している。下側の圧縮用金型14に透水性を付与するために、下側の圧縮用金型14には水を排水するための貫通孔15が形成されている。この貫通孔15に真空吸引するためのポンプを取付けると排水を短時間で完了することができ好ましい。なおこの例では、排水時の補強繊維の流出防止のために、下側の圧縮用金型14上には底部材16(金網等)が配置されている。また、下側のブッシュ支持用金型12、上側のブッシュ支持用金型11、下側の圧縮用金型14、上側の圧縮用金型13、筒状内金型9及び筒状外金型10は互いに独立して上下に移動可能に構成されている。
金属製環状体2を段部に載置し、金属製ブッシュ3をブッシュ支持用金型12に載置するときには、図1(A)に示すように、筒状内金型9と上側のブッシュ支持用金型11が上方向に後退している。そして、金属製環状体2を段部の上に位置決めし、金属製ブッシュ3を下側のブッシュ支持用金型12の上に位置決めした後に、図1(B)に示すように、筒状内金型9と上側のブッシュ支持用金型11を下方向に移動して、金属製環状体2を段部と筒状内金型9の間に、金属製ブッシュ3を一対のブッシュ支持用金型11,12の間に、それぞれ挟持する。
補強繊維と水を混合して形成したスラリーは、図1(B)に示すように、筒状内金型9の上側の開口部から供給される。このとき、下側の圧縮用金型14の貫通孔15から真空吸引した状態で行なうことにより、金属製環状体2の内周部と金属製ブッシュ3の外周部の間に補強繊維を集積させる時間を短縮することができる。そして真空吸引を継続して、下側の圧縮用金型14に設けた複数の貫通孔15から水分を排出することにより、金属製環状体2の内周部と金属製ブッシュ3の外周部の間に補強繊維集積体8を形成する。このように、筒状外金型10及び筒状内金型9と一対のブッシュ支持用金型11,12を用いると、金属製環状体2と金属製ブッシュ3の位置決めと支持を簡単に行なうことができる。また補強繊維集積体8の外周面の形状は、小内径部10−1の内周面の形状と筒状内金型9の内周面の形状によって定まる。なおスラリーの供給は、前記開口部の複数の場所から行なってもよい。
次に、補強繊維集積体8を回転軸の軸線方向に圧縮して補強用繊維基材8’を形成する第2のステップについて説明する。
前述の抄造圧縮装置7で用いる金型であれば、一対の圧縮用金型13,14で補強繊維集積体8を圧縮した場合に、金属製ブッシュ3の径方向の内側及び金属製環状体2の内周部の外側の両方向に補強繊維が膨出するのを確実に阻止することができる。
下側の圧縮用金型14に設けた複数の貫通孔15から水分を排出した後あるいは排出しながら、図1(C)に示すように上側の圧縮用金型13を下降させ、金属製環状体2及び金属製ブッシュ3が補強用繊維基材8’の厚み方向中央に位置した状態になるように、補強繊維集積体8を所定厚まで圧縮する。前記厚み方向中央に位置した状態になるように、下側の圧縮用金型14よる底面位置の高さが予め調整される。なお圧縮を行なう時間、温度は使用する補強繊維の種類によって任意であるが、前記圧縮の際、上側の圧縮用金型13にヒータを取り付け、加熱した状態で圧縮してもよい。これにより、抄造後の補強繊維集積体8に含まれる水分を取り除く時間を短縮することができる。また前記圧縮の際、下側の圧縮用金型14の貫通孔15から真空吸引した状態で圧縮することにより、抄造後の補強繊維集積体8に含まれる水分を取り除く時間を短縮することができる。
補強繊維集積体8を形成するために用いる補強繊維の種類は後述するように、種々のものを用いることができる。そして補強繊維の長さは、長すぎてもスラリーの均一分散を妨げる原因となり、強度の増強に寄与しない不均一な繊維分布になる。そのため補強繊維の繊維長は、好ましくは2mmから6mmであり、さらに好ましくは3mmである。繊維長が2mm未満の場合、樹脂製ウェブ4,4’の機械特性が低下する。また、繊維長が6mmを超えると、繊維束を水中で解離し分散させるときに、繊維束の解離が困難になる。また、これまで説明した補強繊維(繊維チョップ)のほかに、アラミド繊維等のパルプを併用してもよい。これにより、繊維同士の絡み合いが増し、金属製環状体2及び金属製ブッシュ3と補強用繊維基材8’を一体とした歯車用素形体の取り扱い性が良好となるので好ましい。
また、回り止め部5,5’と樹脂製ウェブ4,4’の結合を強固たるものとするためには、回り止め部5,5’は頂部の厚さが厚く基部の厚さが薄いアンダーカット形状であるものが効果的である。これは外径・内径いずれの方向への抜け阻止に作用するものである。
上記アンダーカット形状をもった回り止め部5,5’は、焼結法で成型すれば、精度よく設計どおりに作ることができる。
使用する補強繊維は、融点あるいは分解温度が250℃以上の繊維からなるものが好ましい。このような補強繊維を用いて補強用繊維基材8’を形成することで、樹脂製ウェブ4,4’成形時の成形温度や加工温度、実使用時の雰囲気温度において、樹脂製ウェブ4,4’内の補強繊維が熱劣化を起こすことなく、耐熱性に優れた歯車とすることができる。このような繊維としては、パラ系アラミド繊維、メタ系アラミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、セラミック繊維、超高強力ポリエチレン繊維、ポリケトン繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリイミド繊維、及びポリビニルアルコール系繊維から選ばれた少なくとも1種以上の繊維を使用するのが好ましい。
また、補強繊維には、引張強度15cN/dtex以上、引張弾性率350cN/dtex以上の高強度高弾性率繊維を、使用する補強繊維全体の少なくとも20体積%以上含むことが好ましい。このようにして得られる補強用繊維基材を用いた歯車は、樹脂製ウェブを採用しつつ使用中にかかる高負荷に耐え得るものとすることができる。
また、抄造圧縮装置7を用いて補強用繊維基材8’を金属製環状体2及び金属製ブッシュ3と一体化して形成した歯車素形体を次工程に移動又は搬送する際に形状を維持するための強度を付与するためには、補強繊維にアラミド繊維をフィブリル化処理した微細繊維(パルプ)を含み、微細繊維のフリーネスが100ml以上400ml以下であって、微細繊維の含有量が使用する補強繊維全体の30質量%以下になるように配合することが望ましい。望ましい態様としては、パラ系アラミド繊維に機械的剪断処理を施し繊維軸方向に裂開させたフィブリル化処理のアラミド微細繊維を混合することが好ましい。フリーネスが400mlを超えるとフィブリル化が不充分のため補強用繊維基材8’の形状を維持するための強度を付与する上で好ましいものでなくなる。またフリーネスが100ml未満になると繊維軸方向に裂開させるだけでなく、径方向に剪断されて粉末状態になってしまうために繊維の絡みが悪くなって、補強用繊維基材8’の形状を維持するための強度を付与する上で好ましいものでなくなる。好ましくは、適度な強度を付与することができるように、使用する補強繊維全体の5〜10質量%のフィブリル化した微細繊維を配合するのが好ましい。
上記補強繊維を水中に分散させる際の濃度は、0.3g/リットル以上20g/リットル以下が好ましい。繊維長が短い繊維を使用する場合、繊維同士の絡みが少なく、分散が良いため濃度20g/リットルの高濃度のスラリーで分散させることができる。一方、繊維長が長い繊維を使用する場合、繊維長が長すぎるため0.3g/リットルの低濃度でないと充分分散させることができない。
ちなみに、前述の補強繊維がアラミド繊維をフィブリル化処理した微細繊維を含む場合において、金属製環状体2と金属製ブッシュ3の厚みが13mmの場合に使用する補強繊維集積体8の厚み寸法(軸線方向寸法)は、約10cmである。そして前述の第2ステップによる圧縮作業により、補強繊維集積体8は約2cm程度まで圧縮されて補強用繊維基材8’に成形される。
図3を参照して説明した樹脂製ウェブ4’の形状とする場合、一対の圧縮用金型13,14の相対する面の形状を、樹脂製ウェブ4’の厚みの薄い箇所に対応する部位では突出させ、同厚みの厚い箇所に対応する部位では窪ませた逆形状としておく。これにより、上記第2のスッテプで、補強繊維集積体8を回転軸の軸線方向に圧縮して補強用繊維基材8’を形成するときに、厚みの薄い箇所も厚い箇所も補強用繊維基材8’の繊維密度を均一にしつつ補強用繊維基材8’が樹脂製ウェブ4’に相似した形状の歯車用素形体とすることができる。
上記の各実施の形態では、補強用繊維基材8’が補強繊維を抄造して形成されている。前記抄造の際に、補強繊維とともに樹脂粒子を分散させることにより補強用繊維基材8’に樹脂粒子を含有させることができる。樹脂粒子はフェノール樹脂前駆体の粒子等である。
次に、上述のようにして製造した歯車用素形体を用いる歯車の製造は、この歯車用素形体を成形金型に配置し、補強用繊維基材8’に樹脂を含浸させ、樹脂を硬化して樹脂製ウェブ4,4’を成形し、金属製環状体2ならびに金属製ブッシュ3が樹脂製ウェブ4,4’と一体に連結された歯車とする。補強用繊維基材8’に樹脂粒子を含有しない場合は、前記成形時に熱硬化性樹脂前駆体を添加する。一方、補強用繊維基材8’に樹脂粒子を含有している場合は、熱硬化性樹脂前駆体を添加することなくそのまま加熱加圧成形する。
具体的には、図4に示すように、補強用繊維基材8’を金属製環状体2及び金属製ブッシュ3と一体化して形成した歯車用素形体を、予め加熱した成形金型20内に配置した後に成形金型20を型締めし、予め加熱により液状とした熱硬化性樹脂前駆体あるいは成形金型内で加熱により液状となった熱硬化性樹脂前駆体を補強用繊維基材8’に浸透させ加熱加圧成形により硬化させて、樹脂製ウェブ4,4’を成形する。
一つの実施の形態においては、図4に示すように、成形金型20は、筒状固定金型21と、筒状固定金型21の大内径部21−2に内挿される筒状移動金型22と、前記筒状固定金型21ならびに筒状移動金型22の径方向中心に配置される一対のセンタピン23,24と、前記筒状固定金型21及び筒状移動金型22と前記一対のセンタピン23,24の間に位置する一対の圧縮用移動金型25,26とを備えている。
上記の筒状固定金型21は、前記軸線方向の下方側の小内径部21−1と上方側の大内径部21−2を備えており、小内径部21−1と大内径部21−2の境界に段部を形づくっている。この段部に金属製環状体2を載置し、金属製環状体2の内周部よりも外側に補強用繊維基材8’と液状となった熱硬化性樹脂前駆体とが入り込まないように金属製環状体2の内周部よりも外側に位置する部分をこの段部で下側から支持する。このとき、回り止め部5は段部より径方向内側へ突出している。後述するように、小内径部21−1は、加熱加圧成形時に段部に載置された金属製環状体2より下方側の補強用繊維基材8’が金属製環状体2の径方向外側に広がらないように規制する。大内径部21−2は前記段部から上方に伸びている。大内径部21−2には筒状移動内金型22を内挿して、金属製環状体2の内周部よりも外側に補強用繊維基材8’と液状となった熱硬化性樹脂前駆体とが入り込まないように、筒状移動金型22が前記段部に載置された金属製環状体2の内周部よりも外側に位置する部分を前記軸線方向の上側から段部との間に挟み支持する。後述するように、筒状移動金型22は、加熱加圧成形時に段部に載置された金属製環状体2より上方側の補強用繊維基材8’が金属製環状体2の内周部よりも径方向外側に広がらないように規制する。
さらに、一対のセンタピン23,24が、筒状固定金型21及び筒状移動金型22の径方向中心に配置される。そして、一対のセンタピン23,24は、金属製ブッシュ3の外周部よりも内側に補強用繊維基材8’と液状となった熱硬化性樹脂前駆体とが入り込まないように金属製ブッシュ3の外周部よりも内側に位置する部分を前記軸線方向の両側から挟み支持する。このとき、回り止め部5’は一対のセンタピン23,24の外周面より外側へ突出している。後述するように、一対のセンタピン23,24は、加熱加圧成形時に補強用繊維基材8’が金属製ブッシュ3の径方向内側に広がらないように規制する。
また、一対の圧縮用移動金型25,26が、筒状固定金型21及び筒状移動金型22と一対のセンタピン23,24の間に位置しており、後述するように、加熱加圧時に補強用繊維基材8’を前記軸線方向両側から挟んで圧縮する。圧縮用移動金型25,26は、加熱加圧成形に際し、補強用繊維基材8’の上面と下面の形状を規制する。図3を参照して説明した樹脂製ウェブ4’の形状とする場合、補強用繊維基材8’の上面と下面は抄造の段階で既に樹脂製ウェブ4’の形状と近似した形状に形成されているので、一対の圧縮用移動金型25,26の相対する面の形状を、樹脂製ウェブ4’の厚みの薄い箇所に対応する部位では突出させ、同厚みの厚い箇所に対応する部位では窪ませた逆形状としておく。
図4を参照して説明したように、歯車用素形体を成形金型20に収容し金属製環状体2及び金属製ブッシュ3を支持する。そして、圧縮用移動金型25,26を、互いに近づくように軸線方向に移動して型締めし、補強用繊維基材8’を圧縮する。このとき、金属製環状体2及び金属製ブッシュ3が、常に、補強用繊維基材8’の厚さ方向中央に位置するように、圧縮用移動金型25,26を軸線方向の相対する側から近づくように移動して型締めする。
ここで、熱硬化性樹脂前駆体が抄造時の添加により補強用繊維基材8’に含まれている場合は、補強用繊維基材8’を上記型締めによりそのまま加熱加圧成形する。
一方、補強用繊維基材8’に熱硬化性樹脂前駆体が含まれていない場合は、歯車用素形体とともに熱硬化性樹脂前駆体を成形金型20に収容し、上記型締めにより加熱加圧成形する。この熱硬化性樹脂前駆体は、室温(25℃)で固体であるその粉末を硬化剤及び硬化促進剤とともに固めたタブレットの形態で用いると取扱いが容易で成形金型20への投入をしやすい。例えば、室温(25℃)で固体である2,2’−(1,3フェニレン)ビス2−オキサゾリン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン及びオクチルブロマイド1の粉末の所定量を計量しリング状のタブレットに固めた形態にて用いることができる。また、上記型締め後に、予め加熱により液状にした熱硬化性樹脂前駆体を成形金型20へ注入し、補強用繊維基材8’に浸透させるようにしてもよい。この場合、成形金型20内を減圧状態にしておくと、熱硬化性樹脂前駆体の補強用繊維基材8’への浸透性が高まる。
樹脂製ウェブ4,4’に含まれる補強用繊維基材8’の割合は、所望する樹脂製ウェブ4,4’の強度等によって異なるが、30体積%以上60体積%以下であることが好ましい。樹脂製ウェブ4,4’に占める補強用繊維基材8’の割合が30体積%未満である場合、樹脂を繊維で補強する効果が十分に発揮されず、また回り止め部5,5’への繊維の充填も不充分となる。また、補強用繊維基材8’の割合が60体積%を超えた場合は、繊維の占める割合が高すぎるため、加熱加圧成形時に液状となった熱硬化性樹脂前駆体が補強用繊維基材全体に浸透せず樹脂不足部分が発生しやすくなるなどの問題がおこる。そのため補強用繊維基材8’に含まれる繊維の割合は樹脂製ウェブの強度があり、回り止め部5,5’の周囲に繊維が確実に充填され、しかも樹脂の浸透を阻害しない35〜45体積%がさらに好ましい。
以下、本発明の実施例を説明する。
実施例1
スラリーを製造するために、補強繊維投入時の濃度が4g/リットルとなる量の水を満たしたタンクを用意する。そしてこのタンク内に、樹脂製ウェブ中の補強繊維の繊維総量が40体積%となる量の補強繊維を入れる。具体的には、補強繊維として用いる繊維チョップとして、アスペクト比200のパラ系アラミド繊維“帝人(株)製「テクノーラ(登録商標)」”を50質量%、アスペクト比200のメタ系アラミド繊維“帝人(株)製「コーネックス(登録商標)」”を45質量%、そしてフリーネス値300mlまでフィブリル化処理した微細繊維“デュポン(株)製「ケブラー(登録商標)」”を5質量%となる量をそれぞれ投入する。次に攪拌機でタンク内の水を攪拌し繊維を分散させる。
次に、図1(A)に示す抄造圧縮装置7を用いて、下側のブッシュ支持用金型12上に金属製ブッシュ3を位置決めする。また、小内径部21−1と大内径部21−2により形成される段部に金属製環状体2を位置決めする。そして、図1(B)に示すように、上側のブッシュ支持用金型11と筒状内金型9を下方向に移動して、一対のブッシュ支持用金型11及び12の間に金属製ブッシュ3を挟持し、前記段部と筒状内金型9の間に金属製環状体2を挟持する。
ここで、下側の圧縮用金型14の位置は、金属製ブッシュ3の軸方向中央から底部材16上面までの距離が10mmとなる位置とした。この抄造圧縮装置7内に、真空吸引をしながら、分散させた繊維を含むスラリーを充填する。そして、真空吸引を継続して下側の圧縮用金型14に設けた複数の貫通孔15から水を排水することにより、繊維と水を分離して円筒状の補強繊維集積体8を得る。なお排水時に貫通孔15より繊維が流出するのを防止するために、下側の圧縮用金型14上には底部材16を配置した。この底部材16としては金属製100メッシュの金網を用いた。
次に、金属製環状体2と金属製ブッシュ3の回り止め部5,5’にさらに強固に繊維を喰い込ませるために圧縮を行う。図1(C)に示すように、150℃に加熱した上側の圧縮用金型13を下降させ、補強繊維集積体8が厚み20mmの補強用繊維基材8’となるまで圧縮する。この状態で2分間圧縮することにより、補強用繊維基材8‘が金属製環状体2及び金属製ブッシュ3と一体化した歯車用素形体を得た。前記圧縮の際、下側の圧縮用金型14の貫通孔15から真空吸引した状態で圧縮している。
この補強用繊維基材8’を水分含有率が0.5質量%以下になるまで乾燥する。ちなみに、本実施例では、前記乾燥により補強用繊維基材8’の厚みは20〜40mmとなる。
次に、図4を参照して説明したように、上記の工程で得られた歯車用素形体と熱硬化性樹脂前駆体を200℃に加熱した成形金型20に配置して型締めする。そして、熱と圧力で液状となった熱硬化性樹脂前駆体を補強用繊維基材8’に浸透させ、加熱加圧成形して熱硬化性樹脂前駆体を硬化させた樹脂製ウェブとする。
ここで、熱硬化性前駆体として、2,2’−(1,3フェニレン)ビス2−オキサゾリン69質量部及び4,4’−ジアミノジフェニルメタン31質量部の各粉末を混合してリング状に固めたタブレットを用いた。このタブレットを成形金型20に配置して加熱溶融させたところに硬化反応の触媒として1質量部のオクチルブロマイドを添加する。
ちなみに、本実施例では、厚み20〜40mmであった補強用繊維基材5は、前記加熱加圧成形により、金属製環状体2及び金属製ブッシュ3とほぼ同厚みの13mmとなる。
比較例1
上記実施例1において、金属製環状体2を省略した状態で歯車用素形体を製造した。この歯車用素形体の外周部は、次工程の成形で嵌め合わせる金属製環状体2の回り止め部5に対応する箇所が切り欠いてある。そして、当該歯車用素形体と金属製環状体2を、前記切欠き部と回り止め部5の位置を合せて成形金型20に配置して型締めする。以下、実施例1と同様とした。
参考例
実施例1において、金属製環状体2の部分もウェブ4と同じ樹脂製の歯車用素形体を製造する。この歯車用素形体の外周部にホブ切加工を行い、歯部を形成した。
歯車の外径、歯幅、歯数、歯部のモジュール、圧力角は実施例1と同様になるように加工した。
本参考例は、金属製環状体2の材質が金属から樹脂に変更され、歯部とウェブとの境界がなくなったもので、歯部も実施例1の樹脂製ウェブと同材質としたものである。
上記実施例1と比較例1により得た歯車について、強度を測定した結果を表1に示す。また、参考例の樹脂製歯車についても同結果を示す。測定方法は以下に示すとおりである。
<強度測定方法>
各例により得た歯車を金属製歯車(ウェブも金属製)と噛み合わせる。その状態で金属製歯車を固定し、各例により得た歯車を回転させて、破損までの強度を測定した。
表1から明らかなように、比較例1では、補強繊維が回り止め部5の周囲に十分に充填されないために、強度が低くなっている。
Figure 2017061059
1,1’ 歯車
2 金属製環状体
3 金属製ブッシュ
4,4’ 樹脂製ウェブ
5,5’ 回り止め部
6 貫通穴
7 抄造圧縮装置
8 補強繊維集積体
8’ 補強用繊維基材
9 筒状内金型
10 筒状外金型
11,12 ブッシュ支持用金型
13,14 圧縮用金型
15 貫通孔
16 底部材
17 熱硬化性樹脂前駆体
20 成形金型
21 筒状固定金型
21−1 小内径部
21−2 大内径部
22 筒状移動金型
23,24 センタピン
25,26 圧縮用移動金型

Claims (6)

  1. 外周部に歯が形成され内周部に1以上の回り止め部が形成された金属製環状体と、外周部に1以上の回り止め部が形成されて回転軸を中心にして回転される金属製ブッシュとを用意するステップと、
    前記金属製環状体の前記内周部と金属製環状体の中心に配置された前記金属製ブッシュの前記外周部との間に、補強繊維によって形成され且つ前記それぞれの1以上の回り止め部を囲むように嵌った状態で配置された補強用繊維基材を抄造により形成するステップを経ることを特徴とする歯車用素形体の製造法。
  2. 前記補強用繊維基材を抄造により形成するステップが、
    金属製環状体の回り止め部を含む内周部と金属製ブッシュの回り止め部を含む外周部との間に補強繊維を集積させて補強繊維集積体を形成する第1ステップと、補強繊維集積体を前記回転軸の軸線方向に圧縮して補強用繊維基材を形成する第2ステップとからなっており、
    第1ステップと第2ステップとを、金属製環状体及び金属製ブッシュと補強繊維集積体を収容している同一装置内で連続して行なうことを特徴とする請求項1記載の歯車用素形体の製造法。
  3. 上記第1ステップと第2ステップとを行なう装置は、
    筒状外金型と、筒状外金型の大内径部に内挿される筒状内金型と、前記筒状外金型ならびに筒状内金型の径方向中心に配置される上下一対のブッシュ支持用金型と、前記筒状外金型及び筒状内金型と前記一対のブッシュ支持用金型の間に位置する上下一対の圧縮用金型とを備え、
    前記筒状外金型は、前記軸線方向の下方側の小内径部と上方側の前記大内径部を備えて、小内径部と大内径部の境界に段部を形づくり、
    前記下側の圧縮用金型は透水性を有しており、
    前記第1ステップでは、
    筒状内金型と上側のブッシュ支持用金型を上方向に後退させて、金属製環状体を前記段部の上に位置決めし、金属製ブッシュを下側のブッシュ支持用金型の上に位置決めした後に、筒状内金型と上側のブッシュ支持用金型を下方向に移動して、金属製環状体を前記段部と筒状内金型の間に、金属製ブッシュを一対のブッシュ支持用金型の間に、それぞれ挟持し、
    補強繊維と水を混合して形成したスラリーを筒状内金型の上側の開口部から供給し、下側の圧縮用金型から水分を排出することにより、金属製環状体の内周部と金属製ブッシュの外周部の間に補強繊維集積体を形成し、
    前記第2ステップでは、
    上側の圧縮用金型を下降させて一対の圧縮用金型の間で前記補強繊維集積体を所定厚まで圧縮し補強用繊維基材を形成することを特徴とする請求項2記載の歯車用素形体の製造法。
  4. 金属製環状体及び金属製ブッシュ3が補強用繊維基材の厚み方向中央に位置した状態になるように、下側の圧縮用金型よる底面位置の高さを調整し、上側の圧縮用金型を下降させることを特徴とする請求項3記載の歯車用素形体の製造法。
  5. 前記一対の圧縮用金型の相対する面のそれぞれの形状を、形成する補強用繊維基材の厚みの薄い箇所に対応する部位では突出させ、同厚みの厚い箇所に対応する部位では窪ませた形状としておくことを特徴とする請求項3又は4記載の歯車用素形体の製造法。
  6. 請求項1〜5のいずれかにより製造された歯車用素形体を成形金型に配置し、補強用繊維基材に樹脂を含浸させ、樹脂を硬化して樹脂製ウェブを成形し、金属製環状体ならびに金属製ブッシュを樹脂製ウェブと一体に連結することを特徴とする歯車の製造法。
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