1.本発明は、式Ia、Ib、IIaまたはIIbの化合物もしくは薬学的に許容されるその塩を提供する。
ここで、Uは、
から独立に選択され、
R1、R2およびR3は、H、F、Cl、Br、I、−NR7R8、−(C1〜C6)アルキル、−(C1〜C6)置換アルキル、−(C3〜C9)シクロアルキル、−(C3〜C9)置換シクロアルキル、−O−(C1〜C6)アルキル、−O−(C3〜C9)シクロアルキルおよび−O−(C3〜C9)置換シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から独立に選択され、
R4、R7およびR8は、H、−(C1〜C4)アルキルおよび−(C1〜C4)置換アルキルからなる群から独立に選択され、
R5は、H、−(C1〜C6)アルキルおよび−CH2R6からなる群から選択され、
R6は、−O−P(=O)(OH)2、−O−P(=O)(−OH)(−O−(C1〜C6)アルキル)、−O−P(=O)(−O−(C1〜C6)アルキル)2、−O−P(=O)(−OH)(−O−(CH2)−フェニル)、−O−P(=O)(−O−(CH2)−フェニル)2、カルボン酸基、アミノカルボン酸基およびペプチドからなる群から選択され、
R9は、H、−(C1〜C6)アルキル、−(C1〜C6)置換アルキル、−(C3〜C9)シクロアルキル、−(C3〜C9)置換シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から選択され、
Qは、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルキル、置換アリール、置換ヘテロアリール、置換ヘテロシクリルおよび置換アルキルからなる群から選択され、
Tは−CH2−、−C(O)−または結合であり、Tが結合であり、Yが結合であり、Wが結合であり、Xが−CH2−であり、m=1である場合、n=1であり、
VおよびZは、O、SおよびH2からなる群から独立に選択され、
Xは、−CH2−、−NR8、S、O、および結合からなる群から独立に選択され、
YおよびWは独立に−CH2−または結合であり、
mは1または2であり、
nは1または2であり、
ただし、XとYとWがすべて結合であることはない。
この説明および添付の特許請求の範囲で用いるように、本明細書で用いるすべての技術的および科学的用語は、別段の定義のない限り、本発明が属する分野の技術者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。用語に不一致がある場合、本明細書がこれを支配する。以下の用語は一般に以下の意味を有する。
「アルキル」という用語は、不飽和を有さない、炭素および水素を含む基を指す。アルキル基は直鎖状であっても分岐状であってもよい。アルキル基の例には、これらに限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、t−ブチル、sec−ブチルなどが含まれる。アルキル基は範囲を用いて表示することができる。すなわち、例えば(C1〜C6)アルキル基は、直鎖状または分岐状のアルキル骨格中に1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である。置換および非置換アルキル基は独立に、(C1〜C5)アルキル、(C1〜C6)アルキル、(C1〜C10)アルキル、(C3〜C10)アルキルまたは(C5〜C10)アルキルであってよい。別段の記述のない限り、「アルキル」という用語は、「シクロアルキル」を含まない。
「シクロアルキル」基は、「環部分」に、表示された数の炭素原子を有する環状アルキル基を指す。その「環部分」は、縮合、スピロまたは架橋環構造のような1つもしくは複数の環構造を含んでもよい。例えば、C3〜C6シクロアルキル基(例えば、(C3〜C6)シクロアルキル)は環中に3〜6個の炭素原子を有する環構造である。範囲が示されていない場合、シクロアルキルは、環部分に3〜9個の炭素原子((C3〜C9)シクロアルキル)を有する。シクロアルキル基の例には、これらに限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびアダマンチルが含まれる。好ましいシクロアルキル基は、環構造中に3、4、5、6、7、8、9個または3〜9個の炭素原子を有する。
置換アルキルおよび置換シクロアルキルという用語は、フッ素、アリール、ヘテロアリール、−O−(C1〜C6)アルキルおよび−NR7R8(R7およびR8は、水素および−(C1〜C6)アルキルからなる群から独立に選択される)からなる群から独立に選択される1つまたは複数の置換基で置換された、上記定義のアルキルおよびシクロアルキル基を指す。
「アリール」という用語は、1、2または3個の芳香族環を有する芳香族炭素環基を指す。アリール基の例には、これらに限定されないが、フェニル、ナフチルなどが含まれる。アリール基は、4〜9員を有する1つもしくは複数の追加の非芳香族炭素環または複素環と縮合した1、2または3個の芳香族環構造を含む。縮合アリール基の例には、ベンゾシクロブタニル、インダニル、テトラヒドロナフチレニル、1,2,3,4−テトラヒドロフェナントレニル、テトラヒドロアントラセニル、1,4−ジヒドロ−1,4−メタノナフタレニル、ベンゾジオキソリルが含まれる。
「ヘテロアリール」という用語は、芳香族環の中に1〜4個のヘテロ原子(窒素、イオウまたは酸素など)を含む1、2または3個の芳香族環を有するヘテロ芳香族(ヘテロアリール)基を指す。ヘテロアリール基は、4〜9員を有する1つもしくは複数の追加の非芳香族環と縮合した1〜4個のヘテロ原子を含む1、2または3個の芳香族環構造を含む。芳香族環の中に単一のタイプのヘテロ原子を含むヘテロアリール基は、そこに含まれるヘテロ原子のタイプによって表され、したがって、窒素含有ヘテロアリール、酸素含有ヘテロアリールおよびイオウ含有ヘテロアリールは、1つもしくは複数の窒素、酸素またはイオウ原子をそれぞれ含むヘテロ芳香族基を表す。ヘテロアリール基の例には、これらに限定されないが、ピリジル、ピリミジニル、トリアゾリル、キノリル、キナゾリニル、チアゾリル、ベンゾ[b]チオフェニル、フラニル、イミダゾリル、インドリルなどが含まれる。
「置換アリール」および「置換ヘテロアリール」という用語は、F、Cl、Br、I、−(C1〜C6)アルキル、−(C1〜C6)フルオロ−置換アルキル、−(C3〜C9)シクロアルキル、−(C3〜C9)フルオロ−置換シクロアルキル、−O−(C1〜C6)アルキル、−O−(C1〜C6)フルオロ−置換アルキル、−O−(C3〜C9)シクロアルキルおよび−O−(C3〜C9)フルオロ−置換シクロアルキル、−アリール、−O−アリール、−O−(C1〜C4)アルキル−アリール、−O−(C1〜C4)アルキル−複素環および−S(=O)2−(C1〜C6)アルキルからなる群から独立に選択される1つまたは複数の置換基で置換された上記定義のアリールおよびヘテロアリール基を指す。
「ヘテロシクリル」または「複素環」という用語は、縮合、スピロまたは架橋により追加の環を形成していてよい、飽和かまたは不飽和の安定な非芳香族環構造を指す。各複素環は、1個または複数の炭素原子と、窒素、酸素およびイオウからなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子からなる。「ヘテロシクリル」または「複素環」には、安定な非芳香族3〜7員の単環式複素環環構造および8〜11員の二環式複素環環構造が含まれる。ヘテロシクリル基は、安定な構造の形成をもたらす、任意の環内炭素または窒素原子で結合していてよい。好ましい複素環には、3〜7員の単環式複素環(より好ましくは5〜7員の単環式複素環)および8〜10員の二環式複素環が含まれる。そうした基の例には、ピペリジニル、ピペラジニル、ピラニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、オキソピペリジニル、オキソピロリジニル、オキソアゼピニル、アゼピニル、イソオキソゾリル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、ジオキソリル、ジオキシニル、オキサチオリル、ジチオリル、スルホラニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、テトラヒドロフロジヒドロフラニル、テトラヒドロピラノジヒドロ−フラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロフロフラニル、テトラヒドロピラノフラン、キヌクリジニル(1−アザビシクロ[2.2.2]オクタニル)およびトロパニル(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタニル)が含まれる。
R6置換基について、「カルボン酸基」という用語は、−O−C(=O)−(C1〜C6)アルキル、−O−C(=O)−(C3〜C9)シクロアルキル、−O−C(=O)−アリール、−O−C(=O)−ヘテロアリール、−O−C(=O)−複素環、−O−C(=O)−(C1−C6)アルキル−アリール、−O−C(=O)−(C1〜C6)アルキル−ヘテロアリールまたは−O−C(=O)−(C1−C6)アルキル−複素環の形態の基を指す。「カルボン酸基」には、F、Cl、Br、I、−OH、−SH、−NR5’R6’、−(C1〜C6)アルキル、−(C1〜C6)置換アルキル、−(C3〜C9)シクロアルキル、−(C3〜C9)置換シクロアルキル、−O−(C1〜C6)アルキル、−O−(C1〜C6)置換アルキル、−S−(C1〜C6)アルキル、−O−(C3〜C9)シクロアルキル、−O−(C3〜C9)置換シクロアルキル、−アリール、−O−アリール、−O−(C1〜C4)アルキル−アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、−O−(C1〜C4)アルキル−複素環、−(S(=O)2)−(C1〜C6)アルキル、−NH−C(=NH)−NH2(すなわち、グアニド)、−COOHおよび−C(=O)−NR5’R6’(R5’およびR6’は、水素および−(C1〜C6)アルキルからなる群から独立に選択される)からなる群から独立に選択される1つまたは複数の置換基で置換された−O−C(=O)−(C1〜C6)アルキル、−O−C(=O)−(C3〜C9)シクロアルキル、−O−C(=O)−アリール、−O−C(=O)−ヘテロアリール、−O−C(=O)−複素環、−O−C(=O)−(C1〜C6)アルキル−アリール、−O−C(=O)−(C1〜C6)アルキル−ヘテロアリールまたは−O−C(=O)−(C1〜C6)アルキル−複素環の形態の基が含まれる。さらに、R6置換基について、「アミノカルボン酸基」という用語は、1つまたは複数の独立に選択されるアミノ基の形態の−NR5’R6’(R5’およびR6’は水素および(C1〜C6)アルキルからなる群から独立に選択される)を担持する上記置換基の1つまたは複数で置換されたカルボン酸基を含むカルボン酸基を指す。
本発明の一実施形態では、R6は、これらに限定されないが、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリンまたはその立体異性体もしくはラセミ混合物を含むαアミノ酸またはαイミノ酸である。本発明の他の実施形態では、R6は、L−アラニン、L−アルギニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−システイン、L−グルタミン、L−グルタミン酸、L−グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリンからなる群から選択されるαアミノ酸またはαミノ酸である。
R6置換基について、「ペプチド」という用語は、加水分解により2、3、4または5個のアミノ酸またはイミノ酸(例えば、プロリン)をそれぞれ放出するジペプチド、トリペプチド、テトラペプチドまたはペンタペプチドを指す。R6について、ペプチドは、分子の残りの部分とエステル結合を介して結合している。一実施形態では、R6のペプチドは、これらに限定されないが、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリンまたはその立体異性体もしくはラセミ混合物を含むαアミノ酸またはαイミノ酸を含み、本実施形態のより好ましい形態は、エステル結合に関わるカルボキシル基は、側鎖カルボキシルの反対側の、ペプチドのカルボキシル末端COOH基である。本発明の他の実施形態では、R6は、L−アラニン、L−アルギニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−システイン、L−グルタミン、L−グルタミン酸、L−グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシンおよびL−バリンからなる群から選択されるαアミノ酸またはαイミノ酸であり、この好ましい実施形態のより好ましい形態では、エステル結合に関わるカルボキシル基は、側鎖カルボキシルの反対側のペプチドのカルボキシル末端COOH基である。
一実施形態では、Qは、インドリル基、あるいはF、Cl、Br、I、−(C1〜C6)アルキル、−(C1〜C6)フルオロ−置換アルキル、−(C3〜C9)シクロアルキル、−(C3〜C9)フルオロ−置換シクロアルキル、−O−(C1〜C6)アルキル、−O−(C1〜C6)フルオロ−置換アルキル、−O−(C3〜C9)シクロアルキルおよび−O−(C3〜C9)フルオロ−置換シクロアルキル、−アリール、−O−アリール、−O−(C1〜C4)アルキル−アリール、−O−(C1〜C4)アルキル−複素環および−S(=O)2−(C1〜C6)アルキルからなる群から独立に選択される1つまたは複数の置換基で置換されたインドリル基である。
一実施形態では、VとZはどちらもOである。
一実施形態では、R5はHである。
一実施形態では、Xは、−(NR8)−、SおよびOからなる群から独立に選択される。
他の実施形態では、Xは−CH2−である。他の実施形態では、Yは結合である。さらに他の実施形態では、mは2であり、Wは−CH2−であり、nは1である。
一実施形態では、Uは、
である。
一実施形態では、Tは−CH2−である。他の実施形態では、Tは−C(O)−である。
他の実施形態では、Uは、
である。
他の実施形態では、Uは、
である。
さらに他の実施形態では、本発明の化合物は、(±)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルメチル)−4−(1H−インドール−3−イル)−ピロリジン−2,5−ジオン、(±)−シス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボニル)−4−(1H−インドール−3−イル)−ピロリジン−2,5−ジオン、(±)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)−ピロリジン−2,5−ジオン、(±)−トランス−3−(5−ブロモ−1H−インドール−3−イル)−4−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−ピロリジン−2,5−ジオン、(±)−トランス−3−(2−クロロ−フェニル)−4−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−ピロリジン−2,5−ジオン、(±)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−4−(3−メトキシ−フェニル)−ピロリジン−2,5−ジオンおよび(±)−トランス−3−(4,5−ジヒドロ−ピロロ[3,2,1−hi]インドール−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)−ピロリジン−2,5−ジオンからなる群から選択される。
本発明の化合物のすべての立体異性体は、ラセミ混合物の結晶形態および個別異性体の結晶形態を含む、混合形態、または純粋かもしくは実質的に純粋な形態であるものとする。本発明による化合物の定義は、可能性のあるすべての立体異性体(例えば、各不斉中心のR配置およびS配置)およびその混合物を包含する。それは特に、ラセミ体、および特定の活性を有する単離された光学異性体を包含する。ラセミ体は、例えば、分別結晶化、ジアステレオマー誘導体の分離または結晶化、キラルカラムクロマトグラフィーまたは超臨界流体クロマトグラフィーによる分離、などの物理的方法で分割することができる。個々の光学異性体は、光学的に活性な酸との塩の形成、続く結晶化などの従来の方法でラセミ化合物から得ることができる。さらに、二重結合でのE配置およびZ配置などのすべての幾何異性体は、別段の言及のない限り、本発明の範囲内であるものとする。本発明の具体的な化合物は、互変異性型で存在することができる。そうした化合物のすべての互変異性型は、別段の言及のない限り、本発明の範囲内であるものとする。本発明は、類似物または誘導体の1つまたは複数の位置異性体混合物も含む。
本明細書用いる「塩」という用語は、薬学的に許容される塩であり、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸、硫酸塩、硫酸水素塩、アルキルスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、乳酸塩および酒石酸塩を含む酸付加塩;Na+、K+、Li+などのアルカリ金属カチオン、MgもしくはCaなどのアルカリ土類金属塩または有機アミン塩を含むことができる。
本明細書用いる「代謝産物」という用語は、本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩、類似体または誘導体の代謝による産物であって、前記本発明の化合物に対してインビボで同様の活性を示す産物を意味する。
本明細書用いる「プロドラッグ」という用語は、アミノ酸部分または他の水溶性部分などの1つまたは複数のプロ部分と共有結合した本発明の化合物を意味する。本発明の化合物は、加水分解的、酸化的および/または酵素的放出機序によってプロ部分から放出させることができる。一実施形態では、本発明のプロドラッグ組成物は、高い水溶解度、改善された安定性および改善された薬物動態プロファイルからなる追加的利益を示す。所望のプロドラッグ特徴が得られるようにプロ部分を選択することができる。例えば、プロ部分、例えばR5内のホスフェートなどのアミノ酸部分または他の水溶性部分は、溶解性、安定性、生物学的利用能および/またはインビボでの送達または摂取にもとづいて選択することができる。
2.ピロリジン−2,5−ジオンの合成
有機分子の調製のための標準的な合成方法または手順、ならびに保護基の使用を含む官能基の転換および操作法は、この分野の関連する科学文献または標準的参考書から得ることができる。1つまたは複数のいずれかの情報源に限定するわけではないが、広く認められている有機合成の参考書には、Smith、M.B.;March、J.March's Advanced Organic Chemistry:Reactions、Mechanisms、and Structure、第5版;John Wiley&Sons:New York、2001年;およびGreene、T.W.;Wuts、P.G.M.Protective Groups in Organic Synthesis、3rd;John Wiley & Sons:New York、1999年が含まれる。合成方法の以下の記述は、限定するわけではないが、本発明の化合物の調製のための基本手順を示すものである。
2.1ピロリジン−2,5−ジオンの合成のための基本手順
本発明は、式IAa、IBb、IIAaまたはIIBbのピロリジン−2,5−ジオン化合物を提供する。式IAa、IBb、IIAaおよびIIBbの化合物の調製は、スキーム1〜5に示すように、式IV、VII、IXまたはXIIIのオキソ酢酸エステルと、式III、VIまたはXIのアミドを反応させて式V、VIII、X、XIIまたはXIVのピロール−2,5−ジオンを生成させ、続いて、式IAa、IBb、IIAaまたはIIBbのピロリジン−2,5−ジオン化合物へと還元する一連の反応で実施することができる。
スキーム1
スキーム2
スキーム3
スキーム4
スキーム5
2.1.1.式V、VIII、X、XIIおよびXIVのピロール−2,5−ジオンの合成
式V、VIII、X、XIIおよびXIVの化合物を生成するための式IV、VII、IXまたはXIIIのオキソ酢酸エステルと式III、VIまたはXIの化合物の縮合は、これらに限定されないが、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン、ジエチルエーテルなどの適切な任意の無水溶媒中、塩基の存在下で実施する。この反応のための適切な式IV、VII、IXまたはXIIIのオキソ酢酸エステルには、これらに限定されないが、R10が(C1〜C4)アルキル基であるアルキルエステルで含まれ、好ましいエステルには、メチルおよびエチルエステルが含まれる。この反応のための適切な塩基には、これらに限定されないが、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノールおよびtert−ブタノールのアルカリ金属塩を含む低分子量アルキルアルコールのアルカリ金属塩が含まれる。低分子量アルキルアルコールの好ましいアルカリ金属塩には、ナトリウムおよびカリウム塩が含まれ、カリウムtert−ブトキシド(t−BuOK)が好ましい塩基である。一般的には反応は0℃で2時間実施するが、時間と温度はどちらも、式III、IV、VI、VII、IX、XIおよびVIIIの化合物の具体的な置換基、ならびに使用する溶媒に応じて変えることができる。反応温度は−78℃〜37℃、好ましくは−35℃〜25℃、より好ましくは−15℃〜10℃で変えることができる。反応時間は一般に、使用する温度に逆比例して変えることになり、約15分間〜24時間、より好ましくは30分間〜12時間、より好ましくは1〜6時間の適切な時間を用いることができる。
2.1.2.式IAa、IBb、IIAaおよびIIBbの化合物の調製
式IAa、IBb、IIAaまたはIIBbを有する対応するピロリジン−2,5−ジオンを得るための式V、VIII、X、XIIおよびXIVの化合物の還元は、これらに限定されないが、触媒的水素化を用いた還元(手順B)、およびメタノール中のマグネシウムを用いた還元(手順A)を含む様々な手順で実施することができる。スキーム1に示すように、選択した還元反応および条件に応じて、反応は、主に式IAaおよびIBbの化合物、または主に式IIAaおよびIIBbの化合物を生成する。
式IAaおよびIBbの化合物は、触媒的水素化による式V、VIII、X、XIIおよびXIVの化合物を直接還元することによって調製することができる。式V、VIII、X、XIIおよびXIVの化合物の触媒的水素化は、テトラヒドロフラン、酢酸エチルまたはアルコールなどの適切な溶媒中、少なくとも1気圧の水素下で、貴金属触媒を用いて48時間実施することができる。n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、エタノールまたはメタノールを含む様々な低分子量アルキルアルコールを用いて還元を行うことができる。アルコールはエタノールまたはメタノールが好ましく、メタノールが最も好ましい。式V、VIII、X、XIIおよびXIVの化合物の還元には活性炭担持の貴金属触媒(例えば、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム等)が好ましい。より好ましい実施形態では、その貴金属触媒は活性炭担持のパラジウムである。ピロリジン−2,5−ジオンの調製のためには、1気圧の水素下、室温(25℃)で12〜48時間での式V、VIII、X、XIIおよびXIVの化合物の還元が一般に適しているが、水素圧力、反応時間および反応温度は変えることができる。3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボニル)−4−(1H−インドール−3−イル)−ピロール−2,5−ジオンの触媒的水素化を実施例6、手順Bに示す。
式V、VIII、X、XIIおよびXIVのピロール−2,5−ジオンは、無水アルコール中で金属還元剤を用いて還元することによって、式IIAaの化合物とIIBbの化合物の混合物を得ることができる。好ましい金属還元剤はマグネシウムである。反応は一般に、不活性な窒素雰囲気下で、30分間〜6時間、メタノール、エタノール、n−プロパノールおよびイソプロパノールからなる群から選択されるアルコール中で、削り屑状マグネシウムと式V、VIII、X、XIIおよびXIVの化合物を還流加熱することによって実施する。還元のために好ましい溶媒はメタノールである。好ましい実施形態では、(±)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルメチル)−4−(1H−インドール−3−イル)−ピロリジン−2,5−ジオンの調製のために、実施例9、手順Aに記載のようにして、反応をメタノール中で、約6時間実施する。
シス配置でピロリジン環置換基を有するIAaおよび/またはIBbの化合物は、その置換基がトランス配置であるIIAaの化合物とIIBbの化合物の混合物に転換させるか、あるいは、適切な溶媒中で塩基を用いて処理することによって式IAa、IBb、IIAaおよびIIBb4つのすべての異性体の混合物に転換させることができる。適切な溶媒は、アルコール、N,N−ジメチルホルムアミドまたはテトラヒドロフランであってよい。一般にその反応では、アルコール溶媒中の(C1〜C4)アルキルアルコールのアルカリ金属塩(例えば、メタノール中のナトリウム、カリウムメトキシド、エタノール中のナトリウム、カリウムエトキシド、tert−ブタノール中のナトリウムまたはカリウムtert−ブトキシド)を用いる。アルカリ金属塩および溶媒混合物としては、tert−ブタノール中のカリウムtert−ブトキシドが好ましい。反応は一般に、0℃から反応混合物の還流温度の範囲で、4〜48時間実施する。より好ましい実施形態では、反応は、室温(25℃)から混合物の還流温度の範囲で、8〜24時間実施する。さらに好ましい実施形態では、反応は、tert−ブタノール中のカリウムtert−ブトキシド混合物で、約50℃で約16時間実施する。化合物IAaおよび/またはIBbを依然として含む混合物を生成するには、短い反応時間と低い温度が好都合である。
2.1.3.式式IAa、IBb、IIAaおよびIIBbの化合物の分離
式IAa、IBb、IIAaおよびIIBbの構造を有する個々の生成物の単離が望ましい場合、その生成物は、1つまたは複数のクロマトグラフィー媒体を用いたクロマトグラフィーにより分離することができる。試料中に存在する生成物のアイデンティティおよび純度を判定するために、クロマトグラフィーは、分取スケールまたは分析的スケールで実施することができる。これらに限定されないが、シリカ、C18逆相シリカ、イオン交換、キラルクロマトグラフィー媒体またはその組合せを含む適切な任意のクロマトグラフィー媒体を分離に有利に使用することができるが、式IAa、IBb、IIAaおよびIIBbを有する生成物の分離のための具体的なクロマトグラフィー媒体の適合性および条件は、その化合物上に存在する置換基に依存することになる。好ましい実施形態では、クロマトグラフィー分離はHPLCを用いて実施する。他の好ましい実施形態では、分離は超臨界流体クロマトグラフィーを用いて実施する。超臨界流体クロマトグラフィーを用いる場合、CO2、またはCO2とアセトニトリル(ACN)、メタノール、エタノール、イソプロパノールもしくはヘキサンを含む他の溶媒の混合物が好ましい移動相であり、CO2とメタノールの混合物が最も好ましい。これらに限定されないが、ChiralCel OA、OB、ODまたはOJ;ChiralPak ADまたはAS;Cyclobond I、IIまたはIII;およびChirobiotic T、VおよびR媒体を含む様々なクロマトグラフィー媒体(固定相)を、超臨界流体クロマトグラフィーで使用することができる。
別の好ましい実施形態では、生成物が式IAa、IBb、IIAaおよびIIBbの個々の異性体である場合、その異性体の2つ以上を含む混合物を、CHIRALPAK(登録商標)ADカラム(Daicel(U.S.A.)Inc.Fort Lee、NJ)を用いて分離を行うことができる。その実施形態では、生成物を、メタノール中でADカラムにかけ、続いて、カラムを、メタノールを用いて溶出させる。
式IAa、IBb、IIAaおよびIIBbの化合物の個々のラセミ体は、例えば、ジアステレオマー誘導体の分別結晶化または結晶化などの物理的方法によっても分割することができる。さらに、個々の光学異性体は、光学的に活性な酸を用いた塩の生成、必要に応じて、続く結晶化などの従来の方法によって、ラセミ混合物から得ることができる。
2.2.式VIおよびVII(Yは結合である)の化合物の調製
式V、VIII、X、XIIおよびXIVのピロール−2,5−ジオンの合成で使用する式VIおよびVIIの化合物は購入するか、または、以下に示すものなどの様々な合成経路によって得ることができる。
2.2.1.式VII(Yは結合である)の化合物の調製
式VIIの化合物は、式Aの対応化合物(ただし、Xは、−(CH2)−、−(NR6)−、SおよびOからなる群から選択され、R8は、水素、−(C1〜C6)アルキル、−(C1〜C6)置換アルキル、−(C3〜C9)シクロアルキル、−(C3〜C9)置換シクロアルキルおよび−O−(C1〜C6)アルキルからなる群から選択され、mは1または2である)から調製することができる。式Aの化合物の例には、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、1,2,3,4−テトラヒドロ−キノキサリン、3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン、3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]チアジン、2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン、2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b][1,4]ジアゼピン、6,7,8,9−テトラヒドロ−5−オキサ−9−アザ−ベンゾシクロヘプテンまたは2,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[b][1,4]チアゼピン)が含まれる。その調製は、式Aの化合物を式Bの対応する3−置換−2−オキソプロピオン酸エチルエステルに転換させることから始まる。式Bのエチルエステルを環化して式Cの化合物を生成させ、これを遊離酸Dに転換させ、次いで脱炭酸して所望の三環型の生成物Eを得る。続いて三環型の生成物Eを塩化オキサリルと反応させ、アルコール性塩基で後処理して対応する式VIIの化合物を得る。スキーム6に、式Aの化合物から出発する一連の反応を示す。
スキーム6の一連の反応による、式Aの化合物の式VIIの化合物への転換のためのいくつかの適切な条件を本明細書で説明する。THFなどの無水エーテル中のピルビン酸ブロモエチルを用いて室温で約24時間処理することによって、式Aの化合物を、式Bの対応する3−置換−2−オキソプロピオン酸エチルエステルに転換させることができる。2−メトキシエタノール中の無水MgCl2で、式Bの3−置換−2−オキソプロピオン酸エチルエステルを約125℃で30分間〜2時間、好ましくは1時間処理すると、式Cの対応する三環式カルボン酸エステルが生成する。続く、この化合物の式Dの遊離酸への転換を、水系塩基中の加水分解により実施することができる。好ましい実施形態では、この反応を、これらに限定されないが、NaOHまたはKOHを含む水系塩基中、共溶媒としてのアルコールの存在下で実施する。好ましいアルコール共溶媒には、メタノール、エタノール、n−プロパノールおよびイソプロパノールが含まれる。共溶媒としてはエタノールがより好ましい。反応は一般に、混合物を2時間還流加熱して行うが、反応の時間と温度は必要に応じて変えることができる。式Dの化合物の酸化的脱炭酸は、芳香族酸の脱炭酸に適した様々な手順で行うことができる。好ましい実施形態では、式Dの化合物の脱炭酸は、遊離酸をキノリン中で銅クロマイト(CuO−Cr2O3)と約2時間加熱して式Eの脱炭酸化生成物を得ることによって行う。式Eの化合物の式VIIの化合物への転換は、塩化オキサリルと反応させ、続いて、無水アルコールと、アルコールのアルカリ金属塩、好ましくはナトリウムメトキシドまたはナトリウムエトキシドの混合物で処理して遂行することができる。塩化オキサリルの式Eの化合物との反応は一般に、エーテルを含む無水溶媒中、約−78℃〜約10℃の温度で実施する。好ましい実施形態では、溶媒としてエーテルを用いて約−25℃〜約5℃の温度で反応を実施する。より好ましい実施形態では、0℃で反応を実施する。反応を実施するのに好ましい溶媒には、これらに限定されないが、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン、ジエチルエーテルなどが含まれる。
スキーム6
2.2.2.式VIの化合物の調製
置換アセトアミドである式VIの化合物は購入するか、または、市販されている出発原料から調製することができる。2−(1H−インドール−3−イル)−アセトアミド、2−(5−メチル−1H−インドール−3−イル)アセトアミド、2−(5−メトキシ−1H−インドール−3−イル)アセトアミド、2−(4−ヒドロキシ−1H−インドール−3−イル)アセトアミド、2−フェニルアセトアミド、2−(4−メチルフェニル)アセトアミド、4−ヒドロキシフェニルアセトアミド、4−ヒドロキシフェニルアセトアミド、N−シクロペンチル−2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3−キノリニル)アセトアミド、2−フェノキシアセトアミド、2−(2−メチルフェノキシ)アセトアミド、2−(4−フルオロフェノキシ)アセトアミド、2−(4−ピリジニル)アセトアミドおよび2−[(4−クロロフェニル)スルファニル]アセトアミドを含む市販のアセトアミドは、Sigma Aldrich Chemical Co.、St.Louis Moを含む様々な供給業者から入手することができる。式VIの化合物は、対応する遊離酸から、遊離酸をその酸クロリドに転換し、続いて、アンモニアと反応させることによって調製することもできる。
3.治療方法
本明細書で用いるように、「対象」は任意の哺乳動物、例えば、ヒト、霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ラクダであってよい。好ましい態様では、対象はヒトである。
本明細書で用いるように、「それを必要とする対象」は、細胞増殖性障害を有する対象、または一般集団と比較して細胞増殖性障害を起こすリスクの高い対象である。一態様では、それを必要とする対象は、前癌状態を有する。好ましい態様では、それを必要とする対象は、癌を有する。
本明細書で用いるように、用語「細胞増殖性障害」は、細胞の無秩序または異常な増殖、またはその両方が、癌性であっても癌性でなくともよい望ましくない状態または疾患の発生をもたらし得る状態を指す。一態様では、細胞増殖性障害には、非癌性の状態、例えば、関節リウマチ、炎症、自己免疫疾患、リンパ球増殖性状態、先端巨大、リウマチ様脊椎炎、骨関節炎、痛風、他の関節炎状態、敗血症、敗血症性ショック、内毒素ショック、グラム陰性の敗血症、毒素ショック症候群、喘息、成人呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、慢性肺炎症、炎症性腸疾患、クローン病、乾癬、湿疹、潰瘍性大腸炎、膵臓線維症、肝臓線維症、急性および慢性の腎疾患、過敏性腸症候群、発熱(pyresis)、再狭窄、大脳マラリア、脳卒中および虚血傷害、神経外傷、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、急性および慢性疼痛、アレルギー性鼻炎、アレルギー結膜炎、慢性心不全、急性冠状動脈症候群、悪液質、マラリア、ハンセン病、リーシュマニア症、ライム病、ライター症候群、急性滑膜炎、筋肉変性、滑液包炎、腱炎、滑液鞘炎、ヘルニア性、破裂性または脱出性の椎間板症候群、大理石骨病、血栓症、再狭窄、ケイ肺症、肺筋肉の異常増殖、骨粗鬆症などの骨吸収疾患、移植片対宿主反応、多発硬化症、ループス、線維筋痛、エイズおよび帯状ヘルペス、単純ヘルぺスI型またはII型、インフルエンザウイルスおよびサイトメガロウイルスなどの他のウイルス疾患、ならびに糖尿病が含まれる。別の態様では、細胞増殖性障害には、前癌または前癌状態が含まれる。別の態様では、細胞増殖性障害には、癌が含まれる。治療する様々な癌には、それらに限定されないが、乳癌、肺癌、結腸直腸癌、膵臓癌、卵巣癌、前立腺癌、腎癌、肝癌、脳腫瘍、黒色腫、多発性骨髄腫、慢性骨髄性白血病、血液腫瘍およびリンパ腫が含まれ、それらには、原発腫瘍部位から離れている他の組織または器官の転移病巣も含まれる。治療する癌には、それらに限定されないが、肉腫、癌腫および腺癌が含まれる。一態様では、「前癌細胞」または「前癌性の細胞」は、前癌または前癌状態である細胞増殖性障害を発現している細胞である。別の態様では、「癌細胞」または「癌性の細胞」は、癌である細胞増殖性障害を発現している細胞である。癌細胞または前癌細胞を特定するために、再現性のある任意の測定手段を用いることができる。好ましい態様では、癌細胞または前癌細胞は、組織試料(例えば、生検試料)の組織学的タイピングまたは類別によって特定される。別の態様では、癌細胞または前癌細胞は、適当な分子マーカーを用いることによって特定される。
「血液系の細胞増殖性障害」は、血液系の細胞に関わる細胞増殖性障害である。一態様では、血管系の細胞増殖性障害には、リンパ腫、白血病、骨髄新生物、肥満細胞新生物、脊髄形成異常、良性単クローン性免疫グロブリン症、リンパ腫様肉芽腫症、リンパ腫様丘疹症、真性赤血球増加症、慢性骨髄性白血病、原因不明骨髄様化生および本態性血小板血症が含まれる。別の態様では、血液系の細胞増殖性障害には、血液系の細胞の過形成、異形成および化生が含まれる。好ましい態様では、本発明の組成物は、本発明の血液癌または本発明の血液細胞増殖性障害からなる群から選択される癌を治療するために用いることができる。一態様では、本発明の血液癌には、多発性骨髄腫、リンパ腫(ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、小児リンパ腫ならびにリンパおよび皮膚起源のリンパ腫を含む)、白血病(小児白血病、毛様細胞性白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄球性白血病、慢性骨髄性白血病および肥満細胞性白血病を含む)、骨髄新生物および肥満細胞新生物が含まれる。
「肺の細胞増殖性障害」は、肺の細胞に関わる細胞増殖性障害である。一態様では、肺の細胞増殖性障害には、肺細胞に影響を及ぼす細胞増殖性障害のすべての形態が含まれる。一態様では、肺の細胞増殖性障害には、肺癌、肺の前癌または前癌状態、肺の良性の増殖または病巣、および肺の悪性の増殖または病巣、および肺以外の体組織および器官の転移病巣が含まれる。好ましい態様では、本発明の組成物を、肺癌または肺の細胞増殖性障害を治療するために用いることができる。一態様では、肺癌には、肺の癌のすべての形態が含まれる。別の態様では、肺癌には、悪性の肺新生物、上皮内癌、定型的カルチノイド腫瘍および非定型カルチノイド腫瘍が含まれる。別の態様では、肺癌には、小細胞肺癌(「SCLC」)、非小細胞肺癌(「NSCLC」)、扁平上皮癌、腺癌、小細胞癌、大細胞癌、腺扁平上皮癌および中皮腫が含まれる。別の態様では、肺癌には、「瘢痕癌」、気管支肺胞癌、巨細胞癌、紡錘体細胞癌および大細胞神経内分泌癌が含まれる。別の態様では、肺癌には、組織学的および超微細構造的不均一性(例えば、混合した細胞型)を有する肺新生物が含まれる。
一態様では、肺の細胞増殖性障害には、肺細胞に影響を及ぼす細胞増殖性障害のすべての形態が含まれる。一態様では、肺の細胞増殖性障害には、肺癌、肺の前癌状態が含まれる。一態様では、肺の細胞増殖性障害には、肺の過形成、化生および異形成が含まれる。別の態様では、肺の細胞増殖性障害には、アスベスト誘発過形成、扁平上皮化生および良性反応性中皮化生が含まれる。別の態様では、肺の細胞増殖性障害には、円柱上皮の重層扁平上皮との交換、および粘膜異形成が含まれる。別の態様では、たばこの煙およびアスベストなどの吸入された有害な環境因子に曝露した個体は、肺の細胞増殖性障害を発症するリスクが高いことがある。別の態様では、個体が肺の細胞増殖性障害を発症する素因になり得る先行肺疾患には、慢性間質性肺疾患、壊死性肺疾患、強皮症、リウマチ様疾患、サルコイドーシス、間質性肺炎、結核、反復肺炎、特発性肺線維症、肉芽腫、石綿肺症、線維化性肺胞炎およびホジキン病が含まれる。
「結腸の細胞増殖性障害」は、結腸の細胞に関わる細胞増殖性障害である。好ましい態様では、結腸の細胞増殖性障害は、結腸癌である。好ましい態様では、本発明の組成物を、結腸癌または結腸の細胞増殖性障害を治療するために用いることができる。一態様では、結腸癌には、結腸の癌のすべての形態が含まれる。別の態様では、結腸癌には、散発性および遺伝性の結腸癌が含まれる。別の態様では、結腸癌には、悪性の結腸新生物、上皮内癌、定型的カルチノイド腫瘍および非定型カルチノイド腫瘍が含まれる。別の態様では、結腸癌には、腺癌、扁平上皮癌および腺扁平上皮癌が含まれる。別の態様では、結腸癌は、遺伝性の非ポリープ性結腸直腸癌、家族性腺腫様ポリープ症、ガードナー症候群、ポイツ−ジェガーズ症候群、ターコット症候群および若年性ポリポーシスからなる群から選択される遺伝性の症候群と関連する。別の態様では、結腸癌は、遺伝性の非ポリープ性結腸直腸癌、家族性腺腫様ポリープ症、ガードナー症候群、ポイツ−ジェガーズ症候群、ターコット症候群および若年性ポリポーシスからなる群から選択される遺伝性の症候群に起因する。
一態様では、結腸の細胞増殖性障害には、結腸細胞に影響を及ぼす細胞増殖性障害のすべての形態が含まれる。一態様では、結腸の細胞増殖性障害には、結腸癌、結腸の前癌状態、結腸の腺腫性ポリープおよび結腸の異時性病巣が含まれる。一態様では、結腸の細胞増殖性障害には、腺腫が含まれる。一態様では、結腸の細胞増殖性障害は、結腸の過形成、化生および異形成を特徴とする。別の態様では、個体が結腸の細胞増殖性障害を発症する素因になることができる先行結腸疾患には、先行結腸癌が含まれる。別の態様では、個体が結腸の細胞増殖性障害を発症する素因になることができる現在の疾患には、クローン病および潰瘍性大腸炎が含まれる。一態様では、結腸の細胞増殖性障害は、p53、ras、FAPおよびDCCからなる群から選択される遺伝子の突然変異と関連する。別の態様では、個体は、p53、ras、FAPおよびDCCからなる群から選択される遺伝子の突然変異の存在のために、結腸の細胞増殖性障害を発症するリスクが高い。
「前立腺の細胞増殖性障害」は、前立腺の細胞に関わる細胞増殖性障害である。一態様では、前立腺の細胞増殖性障害には、前立腺細胞に影響を及ぼす細胞増殖性障害のすべての形態が含まれる。一態様では、前立腺の細胞増殖性障害には、前立腺癌、前立腺の前癌または前癌状態、前立腺の良性の増殖または病巣、および前立腺の悪性の増殖または病巣、および前立腺以外の体組織および器官の転移病巣が含まれる。別の態様では、前立腺の細胞増殖性障害には、前立腺の過形成、化生および異形成が含まれる。
「皮膚の細胞増殖性障害」は、皮膚の細胞に関わる細胞増殖性障害である。一態様では、皮膚の細胞増殖性障害には、皮膚細胞に影響を及ぼす細胞増殖性障害のすべての形態が含まれる。一態様では、皮膚の細胞増殖性障害には、皮膚の前癌または前癌状態、皮膚の良性の増殖または病巣、黒色腫、悪性黒色腫、および皮膚の他の悪性の増殖または病巣、および皮膚以外の体組織および器官の転移病巣が含まれる。別の態様では、皮膚の細胞増殖性障害には、皮膚の過形成、化生および異形成が含まれる。
「卵巣の細胞増殖性障害」は、卵巣の細胞に関わる細胞増殖性障害である。一態様では、卵巣の細胞増殖性障害には、卵巣細胞に影響を及ぼす細胞増殖性障害のすべての形態が含まれる。一態様では、卵巣の細胞増殖性障害には、卵巣の前癌または前癌状態、卵巣の良性の増殖または病巣、卵巣癌、卵巣の悪性の増殖または病巣、および卵巣以外の体組織および器官の転移病巣が含まれる。別の態様では、皮膚の細胞増殖性障害には、卵巣の過形成、化生および異形成が含まれる。
「乳房の細胞増殖性障害」は、乳房の細胞に関わる細胞増殖性障害である。一態様では、乳房の細胞増殖性障害には、乳房細胞に影響を及ぼす細胞増殖性障害のすべての形態が含まれる。一態様では、乳房の細胞増殖性障害には、乳癌、乳房の前癌または前癌状態、乳房の良性の増殖または病巣、および乳房の悪性の増殖または病巣、および乳房以外の体組織および器官の転移病巣が含まれる。別の態様では、乳房の細胞増殖性障害には、乳房の過形成、化生および異形成が含まれる。
一態様では、乳房の細胞増殖性障害は、乳房の前癌状態である。一態様では、本発明の組成物を、乳房の前癌状態を治療するために用いることができる。一態様では、乳房の前癌状態には、乳房の非定型過形成、腺管上皮内癌(DCIS)、分泌管内癌、上皮内小葉癌(LCIS)、小葉新生物、および乳房の第0期または段階0の増殖または病巣(例えば、第0期または段階0の乳癌または上皮内癌)が含まれる。別の態様では、乳房の前癌状態は、アメリカ癌合同委員会(AJCC)によって認められているようなTNM分類スキームによって段階付けされ、そこでは、原発腫瘍(T)はT0期またはTis期が割り当てられ、所属リンパ節(N)はN0期が割り当てられ、遠隔転移(M)はM0期が割り当てられている。
好ましい態様では、乳房の細胞増殖性障害は、乳癌である。好ましい態様では、本発明の組成物を、乳癌を治療するために用いることができる。一態様では、乳癌には、乳房の癌のすべての形態が含まれる。一態様では、乳癌には、原発性上皮乳癌が含まれる。別の態様では、乳癌には、リンパ腫、肉腫または黒色腫などの他の腫瘍が乳房に関わる癌が含まれる。別の態様では、乳癌には、乳房の癌腫、乳房の腺管癌、乳房の小葉癌、乳房の未分化癌腫、乳房の葉状嚢胞肉腫、乳房の血管肉腫および乳房の原発性リンパ腫が含まれる。一態様では、乳癌には、I期、II期、IIIA期、IIIB期、IIIC期およびIV期乳癌が含まれる。一態様では、乳房の腺管癌には、侵襲性の癌腫、管内成分優位の侵襲性の上皮内癌、炎症性乳癌、および、面皰、膠様(コロイド状)、髄様、リンパ浸潤を伴う髄様、乳頭状、硬性および管状からなる群から選択される組織型を有する、乳房の腺管癌が含まれる。一態様では、乳房の小葉癌には、原位置成分優位の侵襲性の小葉癌、侵襲性の小葉癌および浸潤性の小葉癌が含まれる。一態様では、乳癌には、ページェット病、管内癌を伴うページェット病、および侵襲性の腺管癌を伴うページェット病が含まれる。別の態様では、乳癌には、組織学的および超微細構造的不均一性(例えば、混合した細胞型)を有する乳房新生物が含まれる。
好ましい態様では、本発明の化合物を、乳癌を治療するために用いることができる。一態様では、治療される乳癌には、家族性乳癌が含まれる。別の態様では、治療される乳癌には、散発性の乳癌が含まれる。一態様では、治療される乳癌は、男性対象で生じた。一態様では、治療される乳癌は、女性対象で生じた。一態様では、治療される乳癌は、閉経前の女性対象または閉経後の女性対象で生じた。一態様では、治療される乳癌は、30才以上の対象、または30才未満の対象で生じた。一態様では、治療される乳癌は、50才以上の対象、または50才未満の対象で生じた。一態様では、治療される乳癌は、70才以上の対象、または70才未満の対象で生じた。
一態様では、治療される乳癌は、BRCA1、BRCA2またはp53の家族性または自然発生の突然変異を特定するために分類されている。一態様では、治療される乳癌は、HER2/neu遺伝子増幅を有する、HER2/neuを過剰発現するか、または、低い、中間の、または高いレベルのHER2/neu発現を有すると、分類されている。別の態様では、治療される乳癌は、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)、ヒト上皮成長因子受容体−2、Ki−67、CA15−3、CA27−29およびc−Metからなる群から選択されるマーカーについて分類されている。一態様では、治療される乳癌は、未知ER、富ERまたは貧ERと分類されている。別の態様では、治療される乳癌は、ER陰性またはER陽性と分類されている。乳癌のER分類は、任意の再現性のある手段によって実施することができる。好ましい態様では、乳癌のER分類は、Onkologie、第27号、:175〜179頁(2004年)に記載されているように実施することができる。一態様では、治療される乳癌は、未知PR、富PRまたは貧PRと分類されている。別の態様では、治療される乳癌は、PR陰性またはPR陽性と分類されている。別の態様では、治療される乳癌は、受容体陽性または受容体陰性と分類されている。一態様では、治療される乳癌は、CA15−3またはCA27−29、またはその両方の上昇した血液レベルと関連すると分類されている。
一態様では、治療される乳癌には、乳房の限局性腫瘍が含まれる。一態様では、治療される乳癌には、陰性のセンチネルリンパ節(SLN)生検と関連する乳房の腫瘍が含まれる。一態様では、治療される乳癌には、陽性のセンチネルリンパ節(SLN)生検と関連する乳房の腫瘍が含まれる。別の態様では、治療される乳癌には、1つまたは複数の陽性の腋窩リンパ節と関連する乳房の腫瘍が含まれ、ここで、腋窩リンパ節は任意の適用できる方法によって段階付けされている。別の態様では、治療される乳癌には、結節陰性の状態(例えば、リンパ節陰性)または結節陽性の状態(例えば、リンパ節陽性)を有すると分類されている乳房の腫瘍が含まれる。別の態様では、治療される乳癌には、体の他の部位へ転移した乳房の腫瘍が含まれる。一態様では、治療される乳癌は、骨、肺、肝臓または脳からなる群から選択される部位に転移したと分類されている。別の態様では、治療される乳癌は、転移性、限局性、領域性、局所領域性、局所進行性、遠隔、多中心性、両側性、同側性、対側性、新規診断、再発性および手術不能からなる群から選択される特徴によって分類される。
一態様では、本発明の化合物は、一般集団と比較して乳癌発症リスクの高い対象で、乳房の細胞増殖性障害を治療もしくは予防するために、または、乳癌を治療もしくは予防するために用いることができる。一態様では、一般の集団と比較して乳癌発症リスクの高い対象は、乳癌の家族歴または既往のある女性対象である。別の態様では、一般の集団と比較して乳癌発症リスクの高い対象は、BRCA1またはBRCA2またはその両方の、生殖細胞系または自然発生の突然変異を有する女性対象である。一態様では、一般の集団と比較して乳癌発症リスクの高い対象は、乳癌の家族歴およびBRCA1またはBRCA2またはその両方の、生殖細胞系または自然発生の突然変異を有する女性対象である。別の態様では、一般の集団と比較して乳癌の発症リスクの高い対象は、30才、40才、50才、60才、70才、80才または90才を超える女性である。一態様では、一般の集団と比較して乳癌の発症リスクの高い対象は、乳房の非定型過形成、腺管上皮内癌(DCIS)、分泌管内癌、上皮内小葉癌(LCIS)、小葉新生物または乳房の0期の増殖もしくは病巣(例えば、0期または段階0の乳癌または上皮内癌)を有する対象である。
別の態様では、治療される乳癌はScarff−Bloom−Richardson系によって組織学的に段階付けされており、そこでは、乳房腫瘍は1、2または3の有糸分裂カウントスコア、1、2または3の核多形スコア、1、2または3の細管形成スコア、および、3〜9の総Scarff−Bloom−Richardsonスコアが割り当てられている。別の態様では、治療される乳癌は、段階1、段階1〜2、段階2、段階2〜3または段階3からなる群から選択される、International Consensus Panel on the Treatment of Breast Cancerによる腫瘍段階が割り当てられている。
一態様では、治療される癌は、アメリカ癌合同委員会(AJCC)TNM分類系によって段階付けされており、そこでは、腫瘍(T)はTX、T1、T1mic、T1a、T1b、T1c、T2、T3、T4、T4a、T4b、T4cまたはT4dの各期が割り当てられ、所属リンパ節(N)はNX、N0、N1、N2、N2a、N2b、N3、N3a、N3bまたはN3cの各期が割り当てられ、遠隔転移(M)はMX、M0またはM1の各期が割り当てられている。別の態様では、治療される癌は、アメリカ癌合同委員会(AJCC)分類によってI期、IIA期、IIB期、IIIA期、IIIB期、IIIC期またはIV期と段階付けされている。別の態様では、治療される癌は、AJCC分類によって段階GX(例えば、段階を評価することができない)、段階1、段階2、段階3または段階4のように、段階が割り当てられている。別の態様では、治療される癌は、pNX、pN0、PN0(I−)、PN0(I+)、PN0(mol−)、PN0(mol+)、PN1、PN1(mi)、PN1a、PN1b、PN1c、pN2、pN2a、pN2b、pN3、pN3a、pN3bまたはpN3cのAJCC病理分類(pN)によって段階付けされている。
一態様では、治療される癌には、直径約2センチメートル以下であると判定された腫瘍が含まれる。別の態様では、治療される癌には、直径約2〜約5センチメートルであると判定された腫瘍が含まれる。別の態様では、治療される癌には、直径約3センチメートル以上であると判定された腫瘍が含まれる。別の態様では、治療される癌には、直径5センチメートルを超えると判定された腫瘍が含まれる。別の態様では、治療される癌は、顕微鏡的外観によって、よく分化している、適度に分化している、あまり分化していない、または未分化であると分類される。別の態様では、治療される癌は、有糸分裂カウント(例えば、細胞分裂の量)または核多形(例えば、細胞の変化)に関する顕微鏡的外観によって分類される。別の態様では、治療される癌は、顕微鏡的外観によって、壊死領域(例えば、死にかけているか変性している細胞の領域)と関連していると分類される。一態様では、治療される癌は、異常な核型を有する、異常な染色体数を有する、または、外観が異常である1つまたは複数の染色体を有すると分類される。一態様では、治療される癌は、異数体、三倍体、四倍体である、または、変化した倍数性を有すると分類される。一態様では、治療される癌は、染色体転位、またはある染色体全体の欠失もしくは重複、または、ある染色体の欠失領域、ある部分の重複もしくは増幅を有すると分類される。
一態様では、治療される癌は、DNAサイトメトリー、フローサイトメトリーまたは画像サイトメトリーによって評価される。一態様では、治療される癌は、細胞分裂の合成期(例えば、細胞分裂のS期)の細胞の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%を有すると分類されている。一態様では、治療される癌は、低いS期分画または高いS期分画を有すると分類されている。
本明細書で用いるように、「正常細胞」は、「細胞増殖性障害」の一部として分類することができない細胞である。一態様では、正常な細胞は、望ましくない状態または疾患の発症をもたらすことができる、無秩序または異常な増殖またはその両方が欠如している。例えば、正常な細胞は、正常に機能している細胞周期チェックポイント制御機構(これは、制御されない増殖および異常な増殖を妨げる)を有する。
本明細書で用いるように、「細胞を接触させること」は、物質の化合物または他の組成物が細胞と直接接触しているか、細胞で所望の生物効果を誘導するのに十分近接している状態を指す。
本明細書で用いるように、「候補化合物」は、その化合物が、研究者または臨床医が調査中の細胞、組織、系、動物またはヒトにおいて、所望の生物学的応答または医学的応答を引き出す可能性があるか否かを判定するために、1つまたは複数のインビトロまたはインビボの生物検定で試験された、または試験される本発明の化合物を指す。一態様では、好ましい態様では、生物学的または医学的な応答は、癌の治療である。別の態様では、生物学的または医学的な応答は、細胞増殖性障害の治療または予防である。一態様では、インビトロまたはインビボの生物検定には、それらに限定されないが、酵素活性アッセイ、電気泳動移動度シフトアッセイ、リポーター遺伝子アッセイ、インビトロ細胞生存度アッセイが含まれる。
本明細書で用いるように、「単独療法」は、それを必要とする対象への単一の活性化合物または治療的化合物の投与を指す。好ましくは、単独療法は治療有効量の活性化合物の投与を含む。例えば、IIaによる癌単独療法は、癌の治療が必要な対象への、治療有効量のIIa、または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、代謝産物、類似体または誘導体の投与を含む。単独療法は、好ましくはその組合せの各成分が治療有効量で存在する、複数の活性化合物の組合せが投与される併用療法と対比させることができる。一態様では、本発明の化合物による単独療法は、所望の生物効果を誘導することにおいては併用療法よりも有効である。
本明細書で用いるように、「治療すること」は、疾患、状態または障害と闘うための患者の管理およびケアのことを述べ、それには、症状または合併症の開始を予防すること、症状または合併症を軽減すること、または疾患、状態もしくは障害を除去することのための本発明の化合物の投与が含まれる。
一態様では、癌を治療することは、腫瘍のサイズの縮小をもたらす。腫瘍のサイズの縮小は、「腫瘍退縮」と呼ぶこともできる。好ましくは、治療の後、腫瘍サイズは、その治療前のサイズと比較して5%以上縮小し、より好ましくは、腫瘍サイズは10%以上縮小し、より好ましくは、20%以上縮小し、より好ましくは、30%以上縮小し、より好ましくは、40%以上縮小し、さらにより好ましくは、50%以上縮小し、最も好ましくは、75%以上を超えて縮小する。腫瘍のサイズは、再現性のある任意の測定手段によって測定することができる。好ましい態様では、腫瘍のサイズは、腫瘍の直径として測定することができる。
別の態様では、癌を治療することは、腫瘍容積の減少をもたらす。好ましくは、治療の後、腫瘍容積は、その治療前のサイズと比較して5%以上減少し、より好ましくは、腫瘍容積は10%以上減少し、より好ましくは、20%以上減少し、より好ましくは、30%以上減少し、より好ましくは、40%以上減少し、さらにより好ましくは、50%以上減少し、最も好ましくは、75%以上を超えて減少する。腫瘍容積は、再現性のある任意の測定手段によって測定することができる。
別の態様では、癌を治療することは、腫瘍数の減少をもたらす。好ましくは、治療の後、腫瘍数は、治療前の数と比較して5%以上減少し、より好ましくは、腫瘍数は10%以上減少し、より好ましくは、20%以上減少し、より好ましくは、30%以上減少し、より好ましくは、40%以上減少し、さらにより好ましくは、50%以上減少し、最も好ましくは、75%を超えて減少する。腫瘍の数は、再現性のある任意の測定手段によって測定することができる。好ましい態様では、腫瘍数は、肉眼で、または特定の倍率で見える腫瘍を計数することによって測定することができる。好ましい態様では、特定の倍率は2×、3×、4×、5×、10×または50×である。
別の態様では、癌を治療することは、原発腫瘍部位から離れている他の組織または器官における転移病巣の数の減少をもたらす。好ましくは、治療の後、転移病巣の数は、治療前の数と比較して5%以上減少し、より好ましくは、転移病巣数は10%以上減少し、より好ましくは、20%以上減少し、より好ましくは、30%以上減少し、より好ましくは、40%以上減少し、さらにより好ましくは、50%以上減少し、最も好ましくは、75%を超えて減少する。転移病巣の数は、再現性のある任意の測定手段によって測定することができる。好ましい態様では、転移病巣数は、肉眼で、または特定の倍率で見える転移病巣を計数することによって測定することができる。好ましい態様では、特定の倍率は2×、3×、4×、5×、10×または50×である。
別の態様では、癌を治療することは、担体単独を投与された集団に比較して、治療対象集団の平均生存期間の増加をもたらす。好ましくは、平均生存期間は30日を超えて、より好ましくは、60日を超えて、より好ましくは、90日を超えて、最も好ましくは、120日を超えて増加する。集団の平均生存期間の増加は、再現性のある任意の手段によって測定することができる。好ましい態様では、集団の平均生存期間の増加は、例えば、ある集団について活性化合物による治療の開始後の生存期間の平均長さを計算することによって測定することができる。別の好ましい態様では、集団の平均生存期間の増加は、例えば、ある集団について活性化合物による1回目の治療の終了後の生存期間の平均長さを計算することによって測定することもできる。
別の態様では、癌を治療することは、未処置対象集団に比較して、治療対象集団の平均生存期間の増加をもたらす。好ましくは、平均生存期間は30日を超えて、より好ましくは、60日を超えて、より好ましくは、90日を超えて、最も好ましくは、120日を超えて増加する。集団の平均生存期間の増加は、再現性のある任意の手段によって測定することができる。好ましい態様では、集団の平均生存期間の増加は、例えば、ある集団について活性化合物による治療の開始後の生存期間の平均長さを計算することによって測定することができる。別の好ましい態様では、集団の平均生存期間の増加は、例えば、ある集団について活性化合物による1回目の治療の終了後の生存期間の平均長さを計算することによって測定することもできる。
別の態様では、癌を治療することは、本発明の化合物、および薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、代謝産物、類似体または誘導体でない薬剤を用いる単独療法を投与された集団に比較して、治療対象集団の平均生存期間の増加をもたらす。好ましくは、平均生存期間は30日を超えて、より好ましくは、60日を超えて、より好ましくは、90日を超えて、最も好ましくは、120日を超えて増加する。集団の平均生存期間の増加は、再現性のある任意の手段によって測定することができる。好ましい態様では、集団の平均生存期間の増加は、例えば、ある集団について活性化合物による治療の開始後の生存期間の平均長さを計算することによって測定することができる。別の好ましい態様では、集団の平均生存期間の増加は、例えば、ある集団について活性化合物による1回目の治療の終了後の生存期間の平均長さを計算することによって測定することもできる。
別の態様では、癌を治療することは、担体単独を投与された集団に比較して、治療対象集団の死亡率の低下をもたらす。別の態様では、癌を治療することは、未処置集団に比較して、治療対象集団の死亡率の低下をもたらす。さらなる態様では、癌を治療することは、本発明の化合物、および薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、代謝産物、類似体または誘導体でない薬剤の単独療法を投与された集団に比較して、治療対象集団の死亡率の低下をもたらす。好ましくは、死亡率は、2%を超えて、より好ましくは、5%を超えて、より好ましくは、10%を超えて、最も好ましくは、25%を超えて低下する。好ましい態様では、治療対象集団の死亡率の低下は、再現性のある任意の手段によって測定することができる。別の好ましい態様では、集団の死亡率の低下は、例えば、ある集団について活性化合物による治療の開始後の単位時間あたりの疾患関連死の平均数を計算することによって測定することができる。別の好ましい態様では、集団の死亡率の低下は、例えば、ある集団について活性化合物による1回目の治療の終了後の単位時間あたりの疾患関連死の平均数を計算することによって測定することもできる。
別の態様では、癌を治療することは、腫瘍増殖速度の低下をもたらす。好ましくは、治療の後、腫瘍増殖速度は、治療前の数字と比較して少なくとも5%低下し、より好ましくは、腫瘍増殖速度は少なくとも10%低下し、より好ましくは、少なくとも20%低下し、より好ましくは、少なくとも30%低下し、より好ましくは、少なくとも40%低下し、より好ましくは、少なくとも50%低下し、さらにより好ましくは、少なくとも60%低下し、最も好ましくは、少なくとも75%低下する。腫瘍増殖速度は、再現性のある任意の測定手段によって測定することができる。好ましい態様では、腫瘍増殖速度は、単位時間あたりの腫瘍直径の変化によって測定される。
別の態様では、癌を治療することは、腫瘍再成長の減少をもたらす。好ましくは、治療の後、腫瘍再成長は5%未満であり、より好ましくは、腫瘍再成長は10%未満、より好ましくは、20%未満、より好ましくは、30%未満、より好ましくは、40%未満、より好ましくは、50%未満、さらにより好ましくは、60%未満、最も好ましくは、75%未満である。腫瘍再成長は、再現性のある任意の測定手段によって測定することができる。好ましい態様では、腫瘍再成長は、例えば、治療後の先行する腫瘍縮小の後の腫瘍直径の増加を測定することで測定される。別の好ましい態様では、腫瘍再成長の減少は、治療が停止した後に腫瘍が再発生することができないことによって示される。
別の態様では、細胞増殖性障害を治療または予防することは、細胞増殖速度の低下をもたらす。好ましくは、治療の後、細胞増殖速度は少なくとも5%、より好ましくは、少なくとも10%、より好ましくは、少なくとも20%、より好ましくは、少なくとも30%、より好ましくは、少なくとも40%、より好ましくは、少なくとも50%、さらにより好ましくは、少なくとも60%、最も好ましくは、少なくとも75%低下する。細胞増殖速度は、再現性のある任意の測定手段によって測定することができる。好ましい態様では、細胞増殖速度は、例えば、単位時間あたりの組織試料中の分裂細胞数を測定することによって測定される。
別の態様では、細胞増殖性障害を治療または予防することは、増殖細胞の割合の低下をもたらす。好ましくは、治療の後、増殖細胞の割合は少なくとも5%低下し、より好ましくは、少なくとも10%、より好ましくは、少なくとも20%、より好ましくは、少なくとも30%、より好ましくは、少なくとも40%、より好ましくは、少なくとも50%、さらにより好ましくは、少なくとも60%、最も好ましくは、少なくとも75%低下する。増殖細胞の割合は、再現性のある任意の測定手段によって測定することができる。好ましい態様では、増殖細胞の割合は、例えば、組織試料中の非分裂細胞数と比較した分裂細胞数を定量化することで測定される。別の好ましい態様では、増殖細胞の割合は、分裂指数と同等である。
別の態様では、細胞増殖性障害を治療または予防することは、細胞増殖の領域または帯域のサイズの低下をもたらす。好ましくは、治療の後、細胞増殖の領域または帯域のサイズは、治療前のそのサイズと比較して少なくとも5%低下し、より好ましくは、少なくとも10%低下し、より好ましくは、少なくとも20%低下し、より好ましくは、少なくとも30%低下し、より好ましくは、少なくとも40%低下し、より好ましくは、少なくとも50%低下し、さらにより好ましくは、少なくとも60%低下し、最も好ましくは、少なくとも75%低下する。細胞増殖の領域または帯域のサイズは、再現性のある任意の測定手段によって測定することができる。好ましい態様では、細胞増殖の領域または帯域のサイズは、細胞増殖の領域または帯域の直径または幅として測定することができる。
別の態様では、細胞増殖性障害を治療または予防することは、異常な外観または形態を有する細胞の数または割合の低下をもたらす。好ましくは、治療の後、異常な形態を有する細胞の数は、治療前のそのサイズと比較して少なくとも5%低下し、より好ましくは、少なくとも10%低下し、より好ましくは、少なくとも20%低下し、より好ましくは、少なくとも30%低下し、より好ましくは、少なくとも40%低下し、より好ましくは、少なくとも50%低下し、さらにより好ましくは、少なくとも60%低下し、最も好ましくは、少なくとも75%低下する。異常な細胞の外観または形態は、再現性のある任意の測定手段によって測定することができる。一態様では、異常な細胞の形態は、鏡検によって、例えば、倒立組織培養顕微鏡を用いて測定される。一態様では、異常な細胞の形態は、核多形の形態をとる。
本明細書で用いるように、用語「選択的に」は、1つの集団において別の集団でよりも高い頻度で起こる傾向を意味する。一態様では、比較される集団は細胞集団である。好ましい態様では、本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、代謝産物、類似体もしくは誘導体は、正常な細胞には作用しないが、癌または前癌細胞に選択的に作用する。別の好ましい態様では、本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、代謝産物、類似体もしくは誘導体は、選択的に作用して1つの分子標的(例えば、c−Met)を調節するが、別の分子標的(例えば、プロテインキナーゼC)を有意には調節しない。別の好ましい態様では、本発明は、キナーゼなどの酵素の活性を選択的に阻害する方法を提供する。好ましくは、ある事象が集団Bと比較して集団Aで2倍を超えてより頻繁に起こる場合、その事象は集団Bと比較して集団Aで選択的に起こる。より好ましくは、ある事象が集団Aで5倍を超えてより頻繁に起こる場合、その事象は選択的に起こる。より好ましくは、ある事象が集団Bと比較して集団Aで10倍を超えて、より好ましくは、50倍を超えて、さらにより好ましくは、100倍を超えて、最も好ましくは、集団Aで1000倍を超えてより頻繁に起こる場合、その事象は選択的に起こる。例えば、細胞死が正常細胞と比較して癌細胞で2倍を超えてより頻繁に起こるならば、その細胞死は癌細胞で選択的に起こると言われるであろう。
好ましい態様では、本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、代謝産物、類似体もしくは誘導体は、分子標的(例えば、c−Met)の活性を調節する。一態様では、調節することは、分子標的の活性を刺激または阻害することを指す。好ましくは、本発明の化合物が、その化合物の存在を欠くこと以外は同じ条件下での分子標的の活性と比較して、少なくとも2倍分子標的の活性を刺激または阻害するように、前記化合物は分子標的の活性を調節する。より好ましくは、本発明の化合物が、その化合物の存在を欠くこと以外は同じ条件下での分子標的の活性と比較して、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、分子標的の活性を刺激または阻害するように、前記化合物は分子標的の活性を調節する。分子標的の活性は、再現性のある任意の手段によって測定することができる。分子標的の活性は、インビトロまたはインビボで測定することができる。例えば、分子標的の活性は、酵素活性アッセイもしくはDNA結合アッセイによりインビトロで測定することができ、または、分子標的の活性は、リポーター遺伝子の発現について検査することによってインビボで測定することができる。
本明細書で用いるように、用語「アイソザイム選択的」は、酵素の第2のアイソフォームと比較した、酵素の第1のアイソフォームの優先的阻害または刺激(例えば、キナーゼアイソザイムβと比較したキナーゼアイソザイムαの優先的阻害または刺激)を意味する。好ましくは、本発明の化合物は、生物効果を達成するのに必要な投薬量の、最低4倍の差、好ましくは10倍の差、より好ましくは50倍の差を示す。好ましくは、本発明の化合物は、阻害の範囲全域にわたってこの差を実証し、差は、目的の分子標的のIC50、すなわち50%阻害で例証される。
好ましい実施形態では、細胞またはそれを必要とする対象へ、本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、代謝産物、類似体もしくは誘導体を投与することは、c−Metの活性の調節(すなわち、刺激または阻害)をもたらす。本明細書で用いるように、c−Metの活性とは、c−Metによって実行される任意の生物学的機能または活性を指す。例えば、c−Metの機能には、下流の標的タンパク質のリン酸化が含まれる。c−Metの他の機能には、自己リン酸化、Gab−1、Grb−2、Shc、SHP2およびc−Cblなどのアダプタータンパク質の結合、ならびに、Ras、Src、PI3K、PLC−γ、STATs、ERK 1および2およびFAKなどのシグナルトランスデューサの活性化が含まれる。
好ましい実施形態では、細胞またはそれを必要とする対象へ、本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、代謝産物、類似体もしくは誘導体を投与することは、ERK 1またはERK 2またはその両方の活性の調節(すなわち、刺激または阻害)をもたらす。本明細書で用いるように、ERK 1またはERK 2の活性とは、ERK 1またはERK 2によって実行される任意の生物学的機能または活性を指す。例えば、ERK 1またはERK 2の機能には、下流の標的タンパク質のリン酸化が含まれる。
一態様では、活性化とは、物質の組成物(例えば、タンパク質または核酸)を、所望の生物学的機能を実行するのに適する状態に置くことを指す。一態様では、活性化されることができる物質の組成物は、非活性化状態も有する。一態様では、活性化された物質の組成物は、阻害性または刺激性、またはその両方の生物学的機能を有することができる。
一態様では、上昇とは、物質の組成物(例えば、タンパク質または核酸)の所望の生物活性の増大を指す。一態様では、上昇は、物質の組成物の濃度の増加を通して起こり得る。
本明細書で用いるように、「細胞周期チェックポイント経路」は、細胞周期チェックポイントの調節に関与する生化学経路を指す。細胞周期チェックポイント経路は、細胞周期チェックポイントを含む1つまたは複数の機能に対して、刺激性または阻害性の作用またはその両方を有することができる。細胞周期チェックポイント経路は、少なくとも2つの物質の組成物、好ましくはタンパク質を含み、その両方は細胞周期チェックポイントの調節に寄与する。細胞周期チェックポイント経路は、細胞周期チェックポイント経路の1つまたは複数の構成員の活性化を通して活性化することができる。好ましくは、細胞周期チェックポイント経路は、生化学的シグナル伝達経路である。
本明細書で用いるように、「細胞周期チェックポイント調節因子」は、細胞周期チェックポイントの調節において、少なくとも一部作用することができる物質の組成物を指す。細胞周期チェックポイント調節因子は、細胞周期チェックポイントを含む1つまたは複数の機能に対して、刺激性または阻害性の作用またはその両方を有することができる。一態様では、細胞周期チェックポイント調節因子は、タンパク質である。別の態様では、細胞周期チェックポイント調節因子は、タンパク質でない。
一態様では、癌または細胞増殖性障害を治療することは細胞死をもたらし、好ましくは、細胞死は集団内の細胞数の少なくとも10%の減少をもたらす。より好ましくは、細胞死は少なくとも20%の減少、より好ましくは、少なくとも30%の減少、より好ましくは、少なくとも40%の減少、より好ましくは、少なくとも50%の減少、最も好ましくは、少なくとも75%の減少を意味する。集団内の細胞数は、再現性のある任意の手段によって測定することができる。一態様では、集団内の細胞数は、蛍光標示式細胞分取(FACS)によって測定される。別の態様では、集団内の細胞数は、免疫蛍光顕微鏡検査法によって測定される。別の態様では、集団内の細胞数は、光学顕微鏡法によって測定される。別の態様では、細胞死の測定方法は、Liら、(2003年)Proc Natl Acad Sci USA.第100巻(5号):2674〜8頁に示されるとおりである。一態様では、細胞死はアポトーシスによって起こる。
好ましい態様では、本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、代謝産物、類似体もしくは誘導体の有効量は、正常細胞にあまり細胞傷害性ではない。治療有効量での化合物の投与が正常細胞の10%を超えて細胞死を誘導しない場合、その化合物の治療有効量は正常細胞にあまり細胞傷害性でない。治療有効量での化合物の投与が正常細胞の10%を超えて細胞死を誘導しない場合、その化合物の治療有効量は正常細胞の生存度にあまり影響しない。一態様では、細胞死はアポトーシスによって起こる。
一態様では、細胞を本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、代謝産物、類似体もしくは誘導体と接触させることは、癌細胞で選択的に細胞死を誘導または活性化する。好ましくは、それを必要とする対象に本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、代謝産物、類似体もしくは誘導体を投与することは、癌細胞で選択的に細胞死を誘導または活性化する。別の態様では、細胞を本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、代謝産物、類似体もしくは誘導体と接触させることは、細胞増殖性障害の影響を受ける1つまたは複数の細胞で選択的に細胞死を誘導する。好ましくは、それを必要とする対象に本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、代謝産物、類似体もしくは誘導体を投与することは、細胞増殖性障害の影響を受ける1つまたは複数の細胞で選択的に細胞死を誘導する。
好ましい態様では、本発明は、それを必要とする対象に本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、代謝産物、類似体もしくは誘導体を投与することによって癌を治療または予防する方法に関し、そこで、本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、代謝産物、類似体もしくは誘導体の投与は、以下のうちの1つをもたらす。細胞周期のG1期および/またはS期の細胞の蓄積、正常細胞のかなりの量の細胞死を伴わない癌細胞の細胞死による細胞傷害性、動物での少なくとも2の治療指数を有する抗腫瘍活性、および細胞周期チェックポイントの活性化。本明細書で用いるように、「治療指数」は、有効な用量で割った最大耐量である。
当分野の技術者は、本明細書で述べる既知の技術または同等技術の詳細な説明のために、一般の参考テキストを参照することができる。これらのテキストには、Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley and Sons, Inc.(2005年)、Sambrookら、Molecular Cloning, A Laboratory Manual(第3版)、Cold Spring Harbor Press、Cold Spring Harbor、New York(2000年)、Coliganら、Current Protocols in Immunology、John Wiley & Sons、N.Y.、Ennaら、Current Protocols in Pharmacology、John Wiley & Sons、N.Y.、Finglら、The Pharmacological Basis of Therapeutics(1975年)、Remington's Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton、PA、第18版(1990年)が含まれる。当然、これらのテキストは、本発明の態様を作製または使用することに参照することもできる。
さらなる態様では、本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、代謝産物、類似体もしくは誘導体は、第2の化学療法剤と併用投与することができる。第2の化学療法剤は、タキサン、アロマターゼ阻害剤、アントラサイクリン、微小管標的剤、トポイソメラーゼ毒薬、標的モノクローナルもしくはポリクローナル抗体、分子標的もしくは酵素の阻害剤(例えば、キナーゼ阻害剤)、またはシチジン類似薬であり得る。好ましい態様では、化学療法剤は、それらに限定されないが、タモキシフェン、ラロキシフェン、アナストロゾール、エクセメスタン、レトロゾール、HERCEPTIN(登録商標)(トラスツズマブ)、GLEEVEC(登録商標)(イマチニブ)、タキソール(登録商標)(パクリタキセル)、シクロホスファミド、ロバスタチン、ミノシン、araC、5−フルオロウラシル(5−FU)、メトトレキサート(MTX)、タキソテール(登録商標)(ドセタキセル)、ZOLADEX(登録商標)(ゴセレリン)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、テニポシド、エトポシド、GEMZAR(登録商標)(ゲムシタビン)、エポチロン、ナベルビン、カンプトテシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、ミトキサントロン、アムサクリン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、エピルビシンまたはイダルビシン、またはwww.cancer.org/docroot/cdg/cdg_0.aspに掲載されている物質であり得るが、それらに限定されない。別の態様では、第2の化学療法剤は、G−CSF(顆粒球コロニー刺激因子)などのサイトカインであることができる。別の態様では、本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、代謝産物、類似体もしくは誘導体は、放射線療法と併用投与することができる。さらなる別の態様では、本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、代謝産物、類似体もしくは誘導体は、標準の化学療法併用剤、例えば、それらに限定されないが、CMF(シクロホスファミド、メトトレキサートおよび5−フルオロウラシル)、CAF(シクロホスファミド、アドリアマイシンおよび5−フルオロウラシル)、AC(アドリアマイシンおよびシクロホスファミド)、FEC(5−フルオロウラシル、エピルビシンおよびシクロホスファミド)、ACTもしくはATC(アドリアマイシン、シクロホスファミドおよびパクリタキセル)、またはCMFP(シクロホスファミド、メトトレキサート、5−フルオロウラシルおよびプレドニゾン)と併用投与することができる。
本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、代謝産物、類似体もしくは誘導体は、投与に適する医薬組成物に組み込むことができる。そのような組成物は、化合物(すなわち、活性化合物を含む)および薬学的に許容される賦形剤または担体を一般的に含む。本明細書で用いるように、「薬学的に許容される賦形剤」または「薬学的に許容される担体」には、薬剤投与に適合する任意またはすべての溶媒、分散媒、コーティング材、抗細菌剤および抗かび剤、等張剤および吸収遅延剤などが含まれるものとする。適する担体は、当分野で標準の参考テキストであるRemington’s Pharmaceutical Sciencesの最新版に記載されている。そのような担体または希釈剤の好ましい例には、それらに限定されないが、水、生理食塩水、リンガー溶液、デキストロース溶液および5%ヒト血清アルブミンが含まれる。薬学的に許容される担体には、乳糖、白土、ショ糖、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアゴム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸などの固体担体が含まれる。例示的な液体担体には、シロップ、落花生油、オリーブ油、水などが含まれる。同様に、担体または希釈剤には、単独のもしくはワックスと一緒のモノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリン、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸メチルなどの、当技術分野で公知である時間遅延型物質を含めることができる。他の充填剤、賦形剤、矯味矯臭剤、および当技術分野で知られているような他の添加剤も、本発明による医薬組成物に含まれてもよい。リポソーム、および不揮発性油などの非水性媒体を用いることもできる。薬学的に活性な物質のためのそのような媒体および物質の使用は、当技術分野で公知である。従来の任意の媒体または物質が活性化合物と相容れない場合以外は、組成物中でのそれらの使用が企図されている。補助活性化合物を、組成物に組み込むこともできる。
一態様では、本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、代謝産物、類似体もしくは誘導体は、有効成分として本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、代謝産物、類似体もしくは誘導体の治療有効量(例えば、腫瘍増殖の阻害、腫瘍細胞の殺滅、細胞増殖性障害の治療もしくは予防その他を通して所望の治療効果を達成するのに十分な効力レベル)を、従来の手順(すなわち、本発明の医薬組成物を生成すること)によって標準の医薬担体または希釈剤と組み合わせることによって調製される、適する剤形で投与される。これらの手順は、成分を混合、造粒、および、所望の調製物を達成するために適宜圧縮または溶解することを含むことができる。
本発明の医薬組成物は、その意図された投与経路に適合するように製剤化される。投与経路の例には、非経口投与、例えば、静脈内、皮内、皮下、経口(例えば、吸入)、経皮(局所)および経粘膜投与が含まれる。非経口、皮内または皮下適用のために用いられる溶液または懸濁液は、以下の成分を含むことができる。注射用蒸留水、食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒などの滅菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート化剤;酢酸、クエン酸またはリン酸などの緩衝剤、および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの張性調節剤。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基で調節することができる。非経口調製物は、ガラス製またはプラスチック製のアンプル、使い捨て注射器または多回用量バイアルに封入することができる。
本発明の化合物または医薬組成物は、化学療法治療のために現在用いられている公知の方法の多くで、対象に投与することができる。例えば、癌の治療のために、本発明の化合物を腫瘍に直接注入すること、血流もしくは体腔に注入すること、または経口的に投与するか、パッチにより皮膚を通して適用することができる。選択される用量は、有効な治療を構成するのに十分であるべきであるが、受け入れがたい副作用を起こすほど高くてはいけない。好ましくは、病状の状態(例えば、癌、前癌など)および患者の健康状態を、治療中および治療後の相応な期間、密に監視すべきである。
用語「治療有効量」は、本明細書で用いるように、特定された疾患または状態を治療、改善または予防する薬剤量、あるいは、検出可能な治療効果または阻害効果を示す薬剤量を指す。効果は、当技術分野で公知である任意のアッセイ方法によって検出することができる。対象のための正確な有効量は、対象の体重、サイズおよび健康、状態の性質および程度、ならびに、投与のために選択される治療法または治療法の組合せによって決まる。所与の状況のための治療有効量は、臨床医の技術および判断の範囲内である日常の実験によって判定することができる。好ましい態様では、治療される疾患または状態は、癌である。別の態様では、治療される疾患または状態は、細胞増殖性障害である。
任意の化合物について、治療有効量は、最初に、例えば新生細胞の細胞培養アッセイで、または、通常ラット、マウス、ウサギ、イヌまたはブタの動物モデルで推定することができる。動物モデルを用いて、適当な濃度範囲および投与経路を決定することもできる。そのような情報を次に用いて、ヒトの有益な用量および投与経路を決定することができる。治療的/予防的効力および毒性は、細胞培養または実験動物における標準の製薬手順によって、例えば、ED50(集団の50%で治療的に有効な用量)およびLD50(集団の50%に致死性の用量)で判定することができる。治療効果と毒性効果との間の用量比は治療指数であり、それは、比LD50/ED50で表すことができる。高い治療指数を示す医薬組成物が、好ましい。投薬量は、使用した剤形、患者の感受性および投与経路によって、この範囲内で異なることができる。
用法および用量は、活性剤の十分なレベルを提供するか、所望の効果を維持するように調節する。考慮することができる因子には、疾患状態の程度、対象の健康状態、年齢、体重および対象の性別、食事、投与の時間および頻度、薬剤の組合せ、反応感受性、ならびに療法に対する寛容性/応答が含まれる。持続性医薬組成物は、特定の製剤の半減期およびクリアランス速度によって、3〜4日ごと、毎週または2週間に1回投与することができる。
上記説明における定義は、他の様式で文脈が要求しない限り、明細書および添付の特許請求の範囲に適用される。
4.医薬組成物および製剤
本発明の活性化合物を含む医薬組成物は、公知である方法で、例えば、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠化、摩砕、乳状化、封入、混入または凍結乾燥工程によって製造することができる。医薬組成物は、薬学的に用いることができる調製物への活性化合物の加工を促進する、賦形剤および/または補助剤を含む1つまたは複数の薬学的に許容される担体を用いて、従来の方法で製剤化することができる。当然、適当な製剤は、選択される投与経路によって決まる。
注射用に適する医薬組成物には、滅菌の水溶液(水溶性の場合)または分散液、および、滅菌注射用溶液または分散液の即時使用の調製物のための滅菌粉末が含まれる。静脈内投与のためには、適する担体には、生理的食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF、Parsippany、N.J.)またはリン酸緩衝食塩水(PBS)が含まれる。すべての場合に、組成物は滅菌でなければならず、注射針を容易に通過するように流動的であるべきである。この組成物は製造および保存の条件下で安定でなければならず、細菌および真菌などの微生物の汚染作用から保存されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)およびそれらの適する混合物を含む溶媒または分散媒であってよい。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散液の場合には必要とされる粒径の維持によって、および、界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物の作用の予防は、様々な抗細菌剤および抗かび剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどによって達成することができる。多くの場合、等張剤、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールなどの多価アルコール、塩化ナトリウムを組成物に含むことが好ましい。注射可能な組成物の長期吸収は、組成物に吸収を遅らせる物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを含ませることによってもたらすことができる。
注射可能な滅菌溶液は、必要に応じて上で列挙した成分の1つまたはそれらの組合せと一緒に、適当な溶媒中に必要とされる量の活性化合物を組み込み、続いてろ過滅菌することによって調製することができる。一般に、分散液は、活性化合物を、基礎分散媒および上で列挙されたものからの必要とされる他の成分を含む滅菌媒体に組み込むことによって調製される。注射可能な滅菌溶液の調製のための滅菌粉末の場合、調製法は、有効成分と、前もってろ過滅菌したその溶液からの任意の追加の所望の成分との粉末を産する、減圧乾燥およびフリーズドライイングである。
経口組成物は、不活性の希釈剤または食用の薬学的に許容される担体を一般に含む。それらは、ゼラチンカプセルに封入すること、または錠剤に圧縮することができる。経口治療投与のためには、活性化合物を賦形剤と一緒に組み込み、錠剤、トローチまたはカプセルの形で用いることができる。経口組成物は、洗口剤として用いるための流体担体を用いて調製することもでき、その場合、流体担体中の化合物は口に入れられてうがいされ、吐き出されるか飲み込まれる。薬学的に適合する結合剤および/またはアジュバント物質を、組成物の一部として含むことができる。錠剤、ピル、カプセル、トローチなどは、以下の成分または類似した性質の化合物のいずれかを含むことができる。微結晶性セルロース、トラガカントゴムまたはゼラチンなどの結合剤、デンプンまたは乳糖などの賦形剤、アルギン酸、Primogelまたはトウモロコシデンプンなどの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムまたはSterotesなどの滑沢剤、コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤、ショ糖またはサッカリンなどの甘味剤、あるいは、ハッカ、サリチル酸メチルまたはオレンジ着香料などの着香剤。
吸入による投与のために、化合物は、適する噴射剤、例えば二酸化炭素などのガスを含む加圧容器もしくはディスペンサー、またはネブライザーからのエアゾール噴霧の形で送達される。
全身投与は、経粘膜または経皮的手段により得る。経粘膜または経皮的投与のために、浸透すべきバリアに適当な浸透剤が、製剤で用いられる。そのような浸透剤は一般に当技術分野で公知であり、例えば、経粘膜投与のためには、界面活性剤、胆汁酸塩およびフシジン酸誘導体がある。経粘膜投与は、鼻内噴霧剤または坐薬を用いることにより達成することができる。経皮投与のためには、一般に当技術分野で公知であるように、活性化合物は、軟膏、膏薬、ゲルまたはクリームに製剤化される。
一態様では、活性化合物は、インプラントおよびマイクロカプセル送達系を含む制御放出製剤など、体からの速やかな消失から化合物を保護する薬学的に許容される担体を用いて調製される。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸などの、生物分解性、生体適合性のポリマーを用いることができる。そのような製剤の調製方法は、当分野の技術者にとって明らかとなる。このような物質は、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals,Inc.から市販されているものから得ることもできる。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を有する感染細胞を標的にしたリポソームを含む)を、薬学的に許容される担体として用いることもできる。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号に記載されているような、当分野の技術者に公知である方法によって調製することができる。
投与の容易さおよび投薬量の均一性のために、経口または非経口組成物を投薬単位剤形で製剤化することが特に有利である。本明細書で用いる投薬単位剤形は、治療される対象のための単一投薬量として適する物理的に別々の単位を指し、各単位は、必要な医薬担体と組み合わせて所望の治療効果を生じるように計算された、活性化合物の所定量を含有する。本発明の投薬単位剤形の仕様は、活性化合物の特有の特性および達成すべき特定の治療効果によって決定され、およびそれらに直接依存する。
治療的適用では、本発明に従って用いられる医薬組成物の投薬量は、選択される投薬量に影響を及ぼす他の要素の中でも、薬剤、レシピエント患者の年齢、体重および臨床状態、ならびに、療法を投与する臨床医または開業医の経験および判断によって異なる。一般に、用量は、腫瘍の増殖を遅くし、好ましくは退縮させ、さらに、好ましくは癌の完全な退縮を引き起こすのに十分であるべきである。投薬量は、1日あたり約0.01mg/kg〜約3000mg/kgの範囲でよい。好ましい態様では、投薬量は、1日あたり約1mg/kg〜約1000mg/kgの範囲でよい。一態様では、用量は、単回の、分割された、または連続的な用量で、約0.1mg/日〜約50g/日、約0.1mg/日〜約25g/日、約0.1mg/日〜約10g/日、約0.1mg〜約3g/日、または約0.1mg〜約1g/日の範囲である(用量は、kgで表した患者の体重、m2で表した体表面積および年齢について調整することができる)。医薬用薬剤の有効量は、臨床医または他の資格のある観察者が気づくような、客観的に識別可能な改善を提供する量である。例えば、患者の腫瘍の退縮は、腫瘍の直径について測定することができる。腫瘍の直径の減少は、退縮を示す。退縮は、治療が停止した後に腫瘍が再発生することができないことによっても示される。本明細書で用いるように、用語「投薬が有効な方法」は、対象または細胞で所望の生物効果を生成する活性化合物の量を指す。
医薬組成物は、投与のための説明書と一緒に、容器、パックまたはディスペンサーに入れることができる。
本明細書で引用したすべての特許、特許出願および参考文献は、参照により完全に本明細書に組み込まれる。
本発明の様々な特徴をさらに説明するために以下に実施例を示す。これらの実施例では、本発明を実施するための有用な方法も説明する。これらは、請求の範囲に記載されている発明を限定するものではない。
(実施例1)
3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−3−オキソ−プロピオニトリルの調製
無水酢酸(50ml)中の5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン(3.0g、19.1ミリモル)およびシアノ酢酸(1.7g、20.0ミリモル)を90℃で1.5時間加熱した。室温に冷却した後、生成物を沈殿させ、ろ別し、冷メタノールで洗浄し、減圧下で乾燥して3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−3−オキソ−プロピオニトリルをクリーム色の結晶(3.457g)として得た。400MHz 1H NMR(CDCl3)δ:7.99(d,J=7.6Hz1H),7.83(s,1H),7.25(s,1H),7.07(d,J=6.4Hz,1H),4.23(m,2H),3.88(s,2H),3.01(m,2H),2.28(m,2H);LCMS:225[M+H]。
(実施例2)
(E)−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−アクリロニトリルの調製
無水N,N−ジメチルホルムアミド(20ml)中の3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−3−オキソ−プロピオニトリル(1.0g、4.5ミリモル)の室温での撹拌溶液に、過剰の水素化ホウ素ナトリウムを少量に分割して3日間にわたって加えた。5日後、混合物を1M塩酸(50ml)でクエンチし、酢酸エチル(3×100ml)で抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、乾燥するまで蒸発させた。得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン中の20%EtOAc)で精製して(E)−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−アクリロニトリルを灰白色固体(348mg)として得た。400MHz 1H NMR(CDCl3)δ:7.55(d,J=8.0Hz,1H),7.5(d,J=16.4Hz,1H),7.3(s,1H),7.18(t,J=7.6Hz,1H),7.03(dd,J=0.8および6.8Hz,1H),5.7(d,J=16.4Hz,1H),4.17(t,J=5.6Hz,2H),3.0(t,J=6.4Hz,2H),2.28−2.22(m,2H);LCMS:208[M+]。
(実施例3)
3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−プロピオニトリルの調製
メタノール(20ml)中の(E)−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−アクリロニトリル(348mg、1.7ミリモル)および10%Pd−C(50mg)を1気圧の水素ガスのもと、室温で6時間撹拌した。混合物をセライト(celite)でろ過し、メタノールで洗浄し、乾燥するまで蒸発させて3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−プロピオニトリルを灰白色固体(310mg)として得た。400 MHz 1H NMR(CDCl3)δ:7.32(d,J=8.4Hz,1H),7.03−6.96(m,2H),6.91(d,J=6.8Hz,1H),4.11(t,J=5.6Hz,2H),3.11(t,J=6.8Hz,2H),2.97(t,J=6.4Hz,2H),2.66(t,J=7.2Hz,2H),2.26−2.19(m,2H);LCMS:211[M+H]。
(実施例4)
3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−プロピオンアミドの調製
ポリリン酸(8ml)中の3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−プロピオニトリル(300mg、1.4ミリモル)を100℃で3時間加熱した。次いで混合物を水(150ml)に加え、摩砕して沈殿物を得た。沈殿物をろ別し、水で洗浄し、減圧下で乾燥して3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−プロピオンアミドを黄褐色粉末(249mg)として得た。400 MHz 1H NMR(DMSO−d6)δ:7.31(s,2H),7.06(s,1H),6.9−6.7(m,3H),4.08(s,2H),2.89(s,4H),2.4(m,2H),2.1(m,2H);LCMS:229[M+H]。
(実施例5)
3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルメチル)−4−(1H−インドール−3−イル)−ピロール−2,5−ジオンの調製
無水テトラヒドロフラン(10ml)中の3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−プロピオンアミド(249mg、1.1ミリモル)および(1H−インドール−3−イル)−オキソ−酢酸メチルエステル(244mg、1.2ミリモル)の溶液に、0℃でカリウムtert−ブトキシド(4.36ml、4.36ミリモル;テトラヒドロフラン中に1M)を加えた。混合物を2時間で室温に加温した。濃塩酸(4ml)を加え、混合物を室温でさらに30分間撹拌した。混合物を酢酸エチル(250ml)に注加し、水(750ml)で洗浄し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン中の30〜40%EtOAc)で精製して3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルメチル)−4−(1H−インドール−3−イル)−ピロール−2,5−ジオンをオレンジ色の泡状物(226mg)として得た。400MHz1HNMR(CDCl3)δ:8.54(s,1H),7.80(d,J=8.4Hz,1H),7.53(d,J=3.2Hz,1H),7.42(m,1H),7.3−7.25(m,1H),7.21−7.17(m,1H),7.09(dd,J=1.6および7.2Hz,1H),6.92−6.86(m,2H),4.15−4.04(m,4H),2.95(t,J=6.4Hz,2H),2.22−2.16(m,2H);LCMS:382[M+H]。
(実施例6)
手順A:メタノール中でのマグネシウムによる3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルメチル)−4−(1H−インドール−3−イル)−ピロール−2,5−ジオンの還元
無水メタノール(12ml)中の3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルメチル)−4−(1H−インドール−3−イル)−ピロール−2,5−ジオン(207mg、0.54ミリモル)の溶液に、削り屑状マグネシウム(264mg、10.7ミリモル)を加えた。混合物を1.5時間還流加熱した。混合物を酢酸エチル(200ml)と水(600ml)に分配させ、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、乾燥するまで蒸発させて淡い黄褐色固体を得た。その固体をメタノールで摩砕し、固体をろ別し、氷冷メタノールで洗浄して(±)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルメチル)−4−(1H−インドール−3−イル)−ピロリジン−2,5−ジオンを灰白色粉末(83mg)として得た。融点=215−218°C;400MHz 1H NMR(DMSO−d6)δ:11.28(s,1H),11.00(s,1H),7.35−6.75(m,9H),4.07(m,2H),3.98(d,J=5.2Hz,1H),3.26−3.16(m,3H),2.89(m,2H),2.09(m,2H);LCMS:384[M+H]。
(実施例7)
3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−3−オキソ−プロピオンアミドの調製
ポリリン酸(25ml)中の3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−3−オキソ−プロピオニトリル(2.71g、12.1ミリモル)を100℃で3時間加熱した。次いで混合物を氷水(250ml)に加え、摩砕して沈殿物を得た。沈殿物をろ別し、水で洗浄し、減圧下で乾燥して3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−3−オキソ−プロピオンアミドを茶色の粉末(2.65g)として得た。融点= 200−201°C; 400
MHz 1H NMR(DMSO−d6)δ:8.3(s,1H),7.88(d,J=7.6Hz,1H),7.52(s,1H),7.14−6.99(m,3H),4.24(t,J=5.6Hz,2H),3.65(s,2H),2.94(t,J=6.0Hz,2H),2.18−2.11(m,2H);LCMS:243[M+H]。
(実施例8)
3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボニル)−4−(1H−インドール−3−イル)−ピロール−2,5−ジオンの調製
無水テトラヒドロフラン(40ml)中の3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−3−オキソ−プロピオンアミド(2.0g、8.3ミリモル)および(1H−インドール−3−イル)−オキソ−酢酸メチルエステル(1.8g、8.8ミリモル)の溶液に、カリウムtert−ブトキシド(26ml、26.0ミリモル;テトラヒドロフラン中の1M溶液)を室温で加えた。45分後、濃塩酸(10ml)を加えた。混合物に水(500ml)を加え、次いでこれを酢酸エチル(350ml)で抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、乾燥するまで蒸発させた。得られた残留物を酢酸エチル(50ml)で超音波処理して3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボニル)−4−(1H−インドール−3−イル)−ピロール−2,5−ジオンをオレンジ色の固体(2.58g)として得た。融点= >300°C;400MHz 1H NMR(DMSO−d6)δ:11.99(s,1H),11.12(s,1H),8.18(s,1H),8.13(s,1H),7.93(m,1H),7.52(d,J=8.0Hz,1H),7.40(d,J=8.4Hz,1H),7.18(m,1H),7.06−7.01(m,2H),6.85(m,1H),4.11(m,2H),2.90(m,2H),2.08(m,2H);LCMS:396[M+H]。
(実施例9)
手順B:パラジウム炭素の存在下での水素による3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボニル)−4−(1H−インドール−3−イル)−ピロール−2,5−ジオンの還元
無水テトラヒドロフラン(60ml)中の3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボニル)−4−(1H−インドール−3−イル)−ピロール−2,5−ジオン(500mg、1.26ミリモル)および10%Pd−C(300mg)を、1気圧の水素ガスのもと、室温で1日間撹拌した。混合物をセライトでろ過し、乾燥するまで蒸発させた。得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン中の65%EtOAc)で精製して(±)−シス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボニル)−4−(1H−インドール−3−イル)−ピロリジン−2,5−ジオンを淡黄色粉末(186mg)として得た。融点=283−285°C;400MHz 1H NMR(DMSO−d6)δ:11.64(s,1H),11.1(s,1H),8.46(s,1H),7.92(d,J=8.0Hz,1H),7.42−7.36(m,3H),7.19−6.97(m,4H),4.85(dd,J=5.0および46Hz,2H),4.27−4.15(m,2H),2.98−2.88(m,2H),2.18−2.08(m,2H);LCMS:398[M+H]。
(実施例10)
1,2,5,6−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリンの調製
メタノール(100ml)中の5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン(4.0g、25.5ミリモル)の溶液を、ナトリウムシアノボロヒドリド(1.5g、23.9ミリモル)で処理し、次いで0℃に冷却した。トリフルオロ無水酢酸(15ml)を15分間かけて滴下し、次いで反応物を室温に加温し、さらに2時間撹拌した。反応物を5M水酸化カリウム水溶液で塩基性化し、次いで水(500ml)で希釈した。混合物をジクロロメタン(3×100ml)で抽出し、一緒にした有機抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、乾燥するまで蒸発させて1,2,5,6−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリンを無色油状物(4.0g)として得た。これをさらに精製することなく使用した。LCMS:160[M+H]。
(実施例11)
8−ブロモ−1,2,5,6−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリンの調製
−30℃に冷却したN,N−ジメチルホルムアミド(160ml)中の1,2,5,6−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン(4.0g、25.2ミリモル)の溶液を、N,N−ジメチルホルムアミド(30ml)中のN−ブロモスクシンイミド(4.5g、25.3ミリモル)の溶液を5分間かけて滴下しながら処理した。混合物をさらに15分間撹拌し、次いで10%亜硫酸ナトリウム水溶液(100ml)で処理し、水(500ml)および酢酸エチル(300ml)で希釈した。水層を除去し、有機層を飽和重炭酸ナトリウム水溶液(100ml)で洗浄し、次いで水(3×150ml)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、乾燥するまで蒸発させて8−ブロモ−1,2,5,6−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリンを薄茶色の油状物(5.2g)として得た。これをさらに精製することなく使用した。400 MHz 1H NMR(CDCl3)δ:7.02(m,1H),6.94(m,1H),3.25(t,2H),2.95(m,2H),2.89(t,2H),2.65(t,2H),2.06(m,2H);LCMS:238および240[M+H]。
(実施例12)
オキソ−(1,2,5,6−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−酢酸メチルエステルの調製
−78℃に冷却した無水テトラヒドロフラン(317ml)中の8−ブロモ−1,2,5,6−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン(9.53g、40.0ミリモル)の溶液を、n−ブチルリチウム(36.1ml、90.1ミリモル;ヘキサン中の2.5M溶液)で処理し、次いで20分間撹拌した。反応物をシアン化銅(I)(10.88g、120.1ミリモル)で処理し、0〜10℃に加温し、続いて−78℃に再冷した。メチルクロロオキソアセテート(11.1ml、120.7ミリモル)を加え、混合物を室温に加温した。この反応物に水(250ml)を加え、次いで反応物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液で塩基性化した。ジクロロメタン(200ml)を加え、混合物をセライト層でろ過した。有機層を除去し、水層をジクロロメタン(2×200ml)で抽出した。一緒にした有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、乾燥するまで蒸発させて暗緑色油状物を得た。これをフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン中の20%EtOAcからヘキサン中の25%EtOAcへ)で精製してオキソ−(1,2,5,6−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−酢酸メチルエステルを黄色/茶色固体(8.4g)として得た。融点=102−105°C;400MHz 1H NMR(CDCl3)δ:7.55(s,1H),7.50(s,1H),3.92(s,3H),3.58(t,2H),3.19(m,2H),3.01(t,2H),2.66(t,2H),2.02(m,2H);LCMS:246[M+H]。
(実施例13)
3−(1H−インドール−3−イル)−4−(1,2,5,6−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−ピロール−2,5−ジオンの調製
無水テトラヒドロフラン(4ml)中のオキソ−(1,2,5,6−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−酢酸メチルエステル(60mg、0.245ミリモル)および2−(1H−インドール−3−イル)−アセトアミド(51mg、0.293ミリモル)の溶液を、0℃で、水素化ナトリウム(20mg、0.833ミリモル;95%)で処理し、5分間撹拌し、次いで50℃に加熱した。反応物をさらに30分間撹拌し、次いで0℃に冷却し、水(5ml)でクエンチし、2M塩酸水溶液でpH6に酸性化した。混合物をジクロロメタン(3×50ml)で抽出し、一緒にした有機抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、乾燥するまで蒸発させた。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、ジクロロメタン中の1%〜10%メタノール)で精製して3−(1H−インドール−3−イル)−4−(1,2,5,6−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−ピロール−2,5−ジオンを紫色の固体(60mg)として得た。400MHz 1H NMR(CDCl3)δ:8.53(s,1H),7.90(s,1H),7.36(d,J=8.2Hz,1H),7.25(m,1H),7.16(m,1H),7.14(m,1H),6.88(t,J=7.0Hz,1H),6.76(d,J=8.2Hz,1H),3.32(t,J=7.8Hz,2H),3.03(t,J=5.5Hz,2H),2.81(t,J=8.3Hz,2H),2.49(t,J=6.7Hz,2H),2.02(m,2H);LCMS:370[M+H]。
(実施例14)
3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)−ピロール−2,5−ジオンの調製
ジクロロメタン(10ml)中の3−(1H−インドール−3−イル)−4−(1,2,5,6−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−ピロール−2,5−ジオン(90mg)の室温での溶液を、二酸化マンガン(300mg;約85%、5μm、活性化されている)で処理し、1時間撹拌した。反応混合物をセライト層でろ過し、ろ過ケーキをメタノール(15ml)で洗浄した。ろ液を乾燥するまで蒸発させ、3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)−ピロール−2,5−ジオン(88mg)をさらに精製することなく使用した。400MHz 1H NMR(CDCl3)δ:8.65(s,1H),7.92(d,J=2.4Hz,1H),7.73(d,J=1.6Hz,1H),7.51(s,1H),7.33(d,J=8.4Hz,1H),7.07(m,2H),6.70(t,J=8.0Hz,1H),6.57(d,J=8.0Hz,1H),6.38(d,J=3.2Hz,1H),4.13(m,2H),2.79(t,J=6.4Hz,2H),2.16(m,2H);LCMS:368[M+H]。
(実施例15)
(±)−シス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)−ピロリジン−2,5−ジオンの調製
メタノール(40ml)中の3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)−ピロール−2,5−ジオン(753mg、2.05ミリモル)および5%パラジウム炭素(100mg)を60psiの水素雰囲気下、15時間室温で撹拌した。反応混合物をセライト層でろ過し、ろ液を乾燥するまで蒸発させて(±)−シス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)−ピロリジン−2,5−ジオン(760mg)を得た。これをさらに精製することなく使用した。LCMS:370 [M+H]。
(実施例16)
(±)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)−ピロリジン−2,5−ジオンの調製
無水テトラヒドロフラン(10ml)中の(±)−シス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)−ピロリジン−2,5−ジオン(760mg、2.06ミリモル)の室温での溶液を、カリウムtert−ブトキシド(1.0ml、1.00ミリモル;テトラヒドロフラン中の1M溶液)で処理し、次いで50℃に加熱し、さらに1時間撹拌した。反応物を水(10ml)でクエンチし、2M塩酸で酸性化し、混合物をジクロロメタン(3×50ml)で抽出した。一緒にした有機抽出物を無水硫酸塩で乾燥させ、乾燥するまで蒸発させた。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、ジクロロメタン中の1%〜10%メタノール)で精製して(±)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)−ピロリジン−2,5−ジオンをオレンジ色の固体(46mg)として得た。融点= 141−145°C;400MHz 1H NMR(CDCl3)δ:8.12(s,1H),8.05(s,1H),7.40(d,J=8.2Hz,1H),7.29(s,1H),7.23(m,1H),7.11(m,2H),6.78(s,1H),6.39(d,J=2.7Hz,1H),4.48(d,J=5.9Hz,1H),4.32(d,J=5.5Hz,1H),4.16(t,J=5.5Hz,2H),2.98(t,J=6.3Hz,2H),2.25(t,J=6.3Hz,2H);LCMS:370[M+H]。
(実施例17)
3−(5−ブロモ−1H−インドール−3−イル)−4−(1,2,5,6−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−ピロール−2,5−ジオンの調製
無水テトラヒドロフラン中の2−(5−ブロモ−1H−インドール−3−イル)−アセトアミド(500mg、1.98ミリモル)およびオキソ−(1,2,5,6−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−酢酸メチルエステル(404mg、1.65ミリモル)の溶液に、0℃で、カリウムtert−ブトキシド(4.95ml、4.95ミリモル;テトラヒドロフラン中の1M溶液)の溶液を5分間かけて滴下した。反応物をさらに30分間撹拌し、次いで0℃に冷却し、水(50ml)でクエンチし、2M塩酸水溶液でpH6に酸性化した。混合物をジクロロメタン(3×50ml)で抽出し、一緒にした有機抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、乾燥するまで蒸発させた。残留物をN,N−ジメチルホルムアミド(4ml)に溶解し、ピペリジン(99μl、1.00ミリモル)と酢酸(57μl、1.00ミリモル)で処理した。混合物をマイクロ波条件下で150℃に5分間加熱し、次いで酢酸エチル(50ml)と水(30ml)に分配させた。水層を除去し、有機層を水(2×30ml)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、乾燥するまで蒸発させた。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、ジクロロメタン中の1%メタノール〜10%メタノール)で精製して3−(5−ブロモ−1H−インドール−3−イル)−4−(1,2,5,6−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−ピロール−2,5−ジオンを赤色固体(340mg)として得た。400 MHz 1H NMR(CDCl3)δ:8.71(s,1H),7.96(d,J=2.4Hz,1H),7.48(s,1H),7.27(m,2H),7.08(s,1H),6.94(s,1H),6.56(s,1H),3.36(t,J=8.0Hz,2H),3.07(m,2H),3.83(t,J=8.0Hz,2H),2.47(t,J=6.8Hz,2H),2.04(m,2H);LCMS:448および450[M+H]。
(実施例18)
3−(5−ブロモ−1H−インドール−3−イル)−4−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−ピロール−2,5−ジオンの調製
無水テトラヒドロフラン(15ml)中の3−(5−ブロモ−1H−インドール−3−イル)−4−(1,2,5,6−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−ピロール−2,5−ジオン(300mg、0.668ミリモル)の室温での溶液を、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン(182mg、0.802ミリモル)で処理し、30分間撹拌した。反応物を10%亜硫酸ナトリウム水溶液(40ml)で処理し、水(50ml)および酢酸エチル(50ml)で希釈した。水層を除去し、有機層を飽和重炭酸ナトリウム水溶液(50ml)で洗浄し、次いで水(2×50ml)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、乾燥するまで蒸発させた。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、ジクロロメタン中の1%メタノールから10%メタノールへ)で精製して3−(5−ブロモ−1H−インドール−3−イル)−4−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−ピロール−2,5−ジオンをオレンジ色の固体(255mg)として得た。400 MHz 1H NMR(DMSO−d6)δ:11.94(s,1H),10.95(s,1H),7.99(s,1H),7.45(d,J=1.6Hz,1H),7.33(m,2H),7.08(dd,J=6.8および1.6Hz,1H),6.81(d,J=1.6Hz,1H),6.34(d,J=2.8Hz,1H),6.20(d,J=2.0Hz,2H),4.17(m,2H),2.75(m,2H),2.12(m,2H);LCMS:446および448[M+H]。
(実施例19)
(±)−トランス−3−(5−ブロモ−1H−インドール−3−イル)−4−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−ピロリジン−2,5−ジオンの調製
メタノール(35ml)中の3−(5−ブロモ−1H−インドール−3−イル)−4−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−ピロール−2,5−ジオン(250mg、0.559ミリモル)の溶液に、削り屑状マグネシウム(354mg、14.57ミリモル)を20分間かけて分割添加し、混合物を6時間還流加熱した。混合物を冷却し、水(50ml)で希釈し、2M塩酸水溶液で酸性化した。混合物をジクロロメタン(3×50ml)で抽出し、一緒にした有機抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、乾燥するまで蒸発させた。残留物を精製して(Xterra C18、逆相カラム、調製剤として0.1%トリフルオロ酢酸を用いてアセトニトリル−水系で溶出させた)、(±)−トランス−3−(5−ブロモ−1H−インドール−3−イル)−4−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−ピロリジン−2,5−ジオンを茶色固体(45mg)として得た。融点= 195−200°C; 400 MHz 1H NMR(DMSO−d6)δ:11.41(s,1H),11.24(s,1H),7.99(d,J=2.0Hz,1H),7.47(d,J=2.0Hz,1H),7.30(m,3H),7.17(dd,J=8.4および2.0Hz,1H),6.83(s,1H),4.53(d,J=7.6Hz,1H),4.38(d,J=7.6Hz,1H),4.13(m,2H),2.90(t,J=6.0Hz,2H),2.11(m,2H);LCMS:448および450[M+H]。
(実施例20)
3−(2−クロロ−フェニル)−4−(1,2,5,6−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−ピロール−2,5−ジオンの調製
2−(1H−インドール−3−イル)−アセトアミドの代わりに2−(2−クロロ−フェニル)−アセトアミドを用いて、3−(2−クロロ−フェニル)−4−(1,2,5,6−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−ピロール−2,5−ジオンを実施例13に従って調製した。400MHz 1H NMR(CDCl3)δ:7.70(s,1H),7.48(d,J=7.6Hz,1H),7.31(m,3H),7.13(s,1H),7.08(s,1H),3.38(t,J=8.4Hz,2H),3.06(m,2H),2.85(t,J=7.6Hz,2H),2.53(t,J=6.8Hz,2H),1.99(m,2H);LCMS:365[M+H]。
(実施例21)
3−(2−クロロ−フェニル)−4−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−ピロール−2,5−ジオンの調製
3−(5−ブロモ−1H−インドール−3−イル)−4−(1,2,5,6−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−ピロール−2,5−ジオンの代わりに3−(2−クロロ−フェニル)−4−(1,2,5,6−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−ピロール−2,5−ジオンを用いて、3−(2−クロロ−フェニル)−4−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−ピロール−2,5−ジオンを実施例18に従って調製した。400MHz 1H NMR(CDCl3)δ:7.68(s,1H),7.56(s,1H),7.48(d,J=7.6Hz,1H),7.37(t,J=7.6Hz,1H),7.28(m,2H),7.06(d,J=3.2Hz,1H),6.97(s,1H),6.40(d,J=2.8Hz,1H),4.12(t,J=5.6Hz,2H),2.86(t,J=5.2Hz,2H),2.19(m,2H);LCMS:363[M+H]。
(実施例22)
(±)−トランス−3−(2−クロロ−フェニル)−4−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−ピロリジン−2,5−ジオンの調製
3−(5−ブロモ−1H−インドール−3−イル)−4−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−ピロール−2,5−ジオンの代わりに3−(2−クロロ−フェニル)−4−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−ピロール−2,5−ジオンを用いて、(±)−トランス−3−(2−クロロ−フェニル)−4−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−ピロリジン−2,5−ジオンを実施例19に従って調製した。融点= 209−212°C; 400MHz 1H NMR(DMSO−d6)δ:11.59(s,1H),7.47(dd,J=7.6および1.2Hz,1H),7.33(m,4H),7.20(d,J=1.2Hz,1H),6.79(s,1H),6.28(d,J=2.8Hz,1H),4.61(d,J=7.6,1H),4.25(d,J=7.2Hz,1H),4.14(t,J=5.6Hz,2H),2.90(t,J=6.0Hz,2H),2.11(m,2H);LCMS:365[M+H]。
(実施例23)
3−(3−メトキシ−フェニル)−4−(1,2,5,6−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−ピロール−2,5−ジオンの調製
2−(1H−インドール−3−イル)−アセトアミドの代わりに2−(3−メトキシ−フェニル)−アセトアミドを用いて、3−(3−メトキシ−フェニル)−4−(1,2,5,6−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−ピロール−2,5−ジオンを実施例13に従って調製した。400MHz 1H NMR(CDCl3)δ:7.63(m,2H),7.24(m,1H),7.11(d,J=10.8Hz,1H),7.07(m,2H),6.90(d,J=7.2Hz,1H),3.76(s,3H),3.46(t,J=8.0Hz,1H),3.38(t,J=8.0Hz,1H),3.11(m,1H),3.06(m,1H),2.98(t,J=8.4Hz,1H),2.87(t,J=8.4Hz,1H),2.68(t,J=6.0Hz,1H),2.59(t,J=6.0Hz,1H);LCMS:361[M+H]。
(実施例24)
3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−4−(3−メトキシ−フェニル)−ピロール−2,5−ジオンの調製
3−(5−ブロモ−1H−インドール−3−イル)−4−(1,2,5,6−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−ピロール−2,5−ジオンの代わりに3−(3−メトキシ−フェニル)−4−(1,2,5,6−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−ピロール−2,5−ジオンを用いて、3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−4−(3−メトキシ−フェニル)−ピロール−2,5−ジオンを実施例18に従って調製した。400MHz 1H NMR(CDCl3)δ:7.69(d,J=1.2Hz,1H),7.34(s,1H),7.23(t,J=8.0Hz,1H),7.09(m,2H),7.06(d,J=8.0Hz,1H),6.99(d,J=1.2Hz,1H),6.91(d,J=2.4Hz,1H),6.44(d,J=2.8Hz,1H),4.15(m,2H),3.71(s,3H),2.91(t,J=6.4Hz,2H),2.22(m,2H);LCMS:359[M+H]。
(実施例25)
(±)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−4−(3−メトキシ−フェニル)−ピロリジン−2,5−ジオンの調製
3−(5−ブロモ−1H−インドール−3−イル)−4−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−ピロール−2,5−ジオンの代わりに3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−4−(3−メトキシ−フェニル)−ピロール−2,5−ジオンを用いて、(±)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)−4−(3−メトキシ−フェニル)−ピロリジン−2,5−ジオンを実施例19に従って調製した。400MHz 1H NMR(DMSO−d6)δ:11.44(s,1H),7.30(d,J=2.8Hz,1H),7.23(d,J=8.0Hz,1H),7.20(s,1H),6.89(m,1H),6.85(m,1H),6.77(s,1H),6.29(d,J=3.2Hz,1H),4.32(d.J=8.0Hz,1H),4.27(d,J=7.6Hz,1H),4.13(m,2H),3.72(s,3H),2.90(t,J=6.0Hz,2H),2.11(m,2H);LCMS:359[M+H]。
(実施例26)
1−ニトロソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドールの調製
酢酸(100ml)中の2,3−ジヒドロ−1H−インドール(10.0g、84ミリモル)の溶液に、0℃で、水(25ml)の中の亜硝酸ナトリウム(6.08g、88ミリモル)の溶液を滴下した。温度は5℃未満になるようにした。1時間後、生成した沈殿物に水(500ml)と1M塩酸(500ml)を加えた。混合物をもう1時間撹拌し、次いで生成物をろ別し、水(3×100ml)で洗浄し、真空下で乾燥して1−ニトロソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドールを茶色固体(5.27g)として得た。400MHz 1H NMR(DMSO−d6)δ:7.8(d,J=7.6Hz1H),7.45(d,J=7.6Hz,1H),7.37(t,J=7.6Hz1H),7.29(t,J=7.6Hz,1H),4.09(m,2H),3.19(t,J=7.6Hz,2H);LCMS:149[M+H]。
(実施例27)
2,3−ジヒドロ−インドール−1−イルアミンの調製
テトラヒドロフラン(35ml)中の1−ニトロソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール(5.27g、35.6ミリモル)の溶液を、テトラヒドロフラン(100ml)中の水素化アルミニウムリチウム(2.98g、78.5ミリモル)の還流下でのスラリーに滴下した。1時間後、混合物を氷浴中で冷却し、水(3ml)を注意深く加えた。2M水酸化ナトリウム(6ml)を加え、続いて水(6ml)を加え、混合物を30分間還流加熱した。室温に冷却した後、生成した沈殿物をろ別した。得られたろ液を乾燥するまで蒸発させて2,3−ジヒドロ−インドール−1−イルアミンを赤色/茶色油状物(4.216g)として得た。これをさらに精製することなく次のステップで使用した。
(実施例28)
4,5−ジヒドロ−ピロロ[3,2,1−hi]インドール−2−カルボン酸エチルエステルの調製
ピルビン酸エチル(3.7ml、33.3ミリモル)を、無水エタノール(40ml)中の2,3−ジヒドロ−インドール−1−イルアミン(4.216g、31.4ミリモル)の溶液に加えた。混合物を1時間還流加熱し、続いて乾燥するまで蒸発させた。残留物を酢酸(40ml)に溶解し、三フッ化ホウ素エーテラート(4.0ml 31.4ミリモル)を加えた。混合物を1時間還流加熱し、次いで酢酸エチル(200ml)に注加した。酢酸エチルを水(1L)、飽和炭酸水素ナトリウム(2×300ml)および塩水(100ml)で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、混合物を乾燥するまで蒸発させ、残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン中の7%〜10%EtOAc)で精製して4,5−ジヒドロ−ピロロ[3,2,1−hi]インドール−2−カルボン酸エチルエステルを黄色固体(1.117g)として得た。400 MHz 1H NMR(DMSO−d6)δ:7.35(d,J=6.8Hz,1H),7.12(s,1H),7.04−6.99(m,2H),4.73(t,J=6.8Hz,2H),4.37(q,J=7.2Hz,2H),3.77(t,J=6.8Hz,2H),1.41(t,6.8Hz,3H);LCMS:216[M+H]。
(実施例29)
4,5−ジヒドロ−ピロロ[3,2,1−hi]インドール−2−カルボン酸の調製
エタノール(25ml)および2M水酸化ナトリウム(25ml)中の4,5−ジヒドロ−ピロロ[3,2,1−hi]インドール−2−カルボン酸エチルエステル(1.117g)の溶液を、1時間還流加熱した。混合物を室温に冷却し、水(300ml)に注加した。pH1になるまで1M塩酸を加え、生成した沈殿物をろ別し、水(50ml)で洗浄した。減圧下で乾燥した後、4,5−ジヒドロ−ピロロ[3,2,1−hi]インドール−2−カルボン酸を淡黄色粉末(884mg)として得た。400 MHz 1H NMR (DMSO−d6)δ:12.94(s,1H),7.31(d,J=7.2Hz,1H),7.01−6.96(m,3H),4.67(t,J=6.8Hz,2H),3.74(t,J=6.8Hz,2H);LCMS:188[M+H]。
(実施例30)
1,2−ジヒドロ−ピロロ[3,2,1−hi]インドールの調製
密封容器中でのキノリン(5ml)中の4,5−ジヒドロ−ピロロ[3,2,1−hi]インドール−2−カルボン酸(120mg、0.64ミリモル)と銅クロマイト(50mg)の混合物をマイクロ波で200℃に20分間加熱した。室温に冷却した後、混合物を酢酸エチル(100ml)に注加し、1M塩酸(3×100ml)で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、乾燥するまで蒸発させた。残留物を分取薄層クロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン中の20%EtOAc)で精製して1,2−ジヒドロ−ピロロ[3,2,1−hi]インドールを淡黄色の結晶性固体(56mg)として得た。400 MHz 1H NMR(CDCl3)δ:7.33(d,J=8.0Hz,1H),7.14(d,J=2.8Hz,1H),7.04−6.97(m,1H),6.91(d,J=6.8Hz,1H),6.44(d,J=2.8Hz,1H),4.51(t,J=7.2Hz,2H),3.80(t,J=7.2Hz,2H);LCMS:144[M+H]。
(実施例31)
(4,5−ジヒドロ−ピロロ[3,2,1−hi]インドール−1−イル)−オキソ−酢酸メチルエステルの調製
無水テトラヒドロフラン(3ml)中の1,2−ジヒドロ−ピロロ[3,2,1−hi]インドール(112mg、0.78ミリモル)の溶液に、0℃で、塩化オキサリル(71μl、0.82ミリモル)を加えた。混合物を0℃で1時間撹拌した。メタノール(1ml)を加え、混合物を室温に加温した。30分後、酢酸エチル(100ml)を加え、混合物を水(100ml)および塩水(50ml)で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、乾燥するまで蒸発させて(4,5−ジヒドロ−ピロロ[3,2,1−hi]インドール−1−イル)−オキソ−酢酸メチルエステルを紫色の固体(153mg)として得た。400MHz 1H NMR(CDCl3)δ:8.32(s,1H),7.86(d,J=7.6Hz,1H),7.23(d,J=8.0Hz,1H),7.08(d,J=6.4Hz,1H),4.60(t,J=6.8Hz,2H),3.95(s,3H),3.84(t,J=6.8Hz,2H);LCMS:230[M+H]。
(実施例32)
3−(4,5−ジヒドロ−ピロロ[3,2,1−hi]インドール−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)−ピロール−2,5−ジオンの調製
無水テトラヒドロフラン(10ml)中の(4,5−ジヒドロ−ピロロ[3,2,1−hi]インドール−1−イル)−オキソ−酢酸メチルエステル(150mg、0.66ミリモル)および2−(1H−インドール−3−イル)−アセトアミド(114mg、0.66ミリモル)の溶液に、0℃で、カリウムtert−ブトキシド(2.6ml、2.6ミリモル;テトラヒドロフラン中の1M溶液)を加えた。混合物を室温で1時間撹拌し、次いで濃塩酸(3ml)を加え、混合物をさらに20分間撹拌した。混合物を酢酸エチル(200ml)に注加し、水(700ml)および塩水(100ml)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、乾燥するまで蒸発させた。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン中の40%EtOAc)で精製して3−(4,5−ジヒドロ−ピロロ[3,2,1−hi]インドール−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)−ピロール−2,5−ジオンを赤色固体(115mg)として得た。400 MHz 1H NMR(DMSO−d6)δ:11.63(s,1H),10.84(s,1H),7.98(s,1H),7.62(d,J=2.8Hz,1H),7.42(d,J=8.0Hz,1H),7.05−7.01(m,2H),6.78−6.74(m,2H),6.53(t,J=7.2Hz,1H),6.08(d,J=8.0Hz,1H),4.58(t,J=7.2Hz,2H),3.71(t,J=6.8Hz,2H);LCMS:354[M+H]。
(実施例33)
(±)−トランス−3−(4,5−ジヒドロ−ピロロ[3,2,1−hi]インドール−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)−ピロリジン−2,5−ジオンの調製
無水メタノール(10ml)中の3−(4,5−ジヒドロ−ピロロ[3,2,1−hi]インドール−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)−ピロール−2,5−ジオン(115mg、0.33ミリモル)の溶液に、削り屑状マグネシウム(200mg)を加えた。混合物を1.5時間還流加熱した。混合物を室温に冷却し、酢酸エチル(100ml)に注加し、1M塩酸(100ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥するまで蒸発させて残留物を得た。これをフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン中の50%EtOAc)で精製して(±)−トランス−3−(4,5−ジヒドロ−ピロロ[3,2,1−hi]インドール−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)−ピロリジン−2,5−ジオンをピンク色の固体(108mg)として得た。融点=144−148°C,400MHz 1H NMR(DMSO−d6)δ:11.53(s,1H),11.05(s,1H),7.41−7.35(m,4H),7.14−7.07(m,2H),6.96(t,J=7.6Hz,1H),6.89−6.85(m,2H),4.51−4.45(m,4H),3.69(t,J=7.2Hz,2H);LCMS:356[M+H]。
(実施例34)
指数的に増殖するHT29細胞を、黒色96ウェルプレートの10%FBS含有培地に、5,000細胞数/ウェルで一晩平板培養した。その翌日、DharmaFECT 4試薬を用いて、細胞を4つのmet特異21−ヌクレオチドRNAオリゴヌクレオチドのプールで2日間一時的にトランスフェクトし、組み合わされた2−ヌクレオチド3’オーバーハングを有する19−bp二重鎖コアを形成した(Dharmacon,Inc.、Lafayette、CO)。対照として、同じ条件下でのgapdh siRNA(Dharmacon,Inc.)および非標的siRNAのトランスフェクションを並行して行った(Dharmacon,Inc.)。次に、濃度を次第に高めた不可逆的カスパーゼ阻害剤ZvAD−FMKの非存在下または存在下で、細胞をさらに1日インキュベートした。2μg/ml Hoechst 33342(青色チャネル、Molecular Probes/Invitrogen Corp.、Natick、MA)、500倍希釈のAnnexin V−Fluos(緑色チャネル、Roche Applied Science、Indianapolis、IN)および1μg/mlヨウ化プロピジウム(赤色チャネル、Roche Applied Science)を含む標識化溶液(10mM HEPES、140mM NaClおよび6mM CaCl2)で、少なくとも10分間細胞をインキュベートした。高含量画像獲得および分析を、Beckman Coulter IC100血球計算器を用いて実施した。プログラムは、1ウェルにつき4画像をとるように設定した。曝露時間は、DAPI、FITCおよびローダミンチャネルのために、それぞれ16.7ms/10%増、500ms/35%増および300ms/30%増に設定した。画像を処理し、各チャネルおよび各条件に陽性の細胞数を、Cytoshop 2.1ソフトウェア(Beckman Coulter,Inc.)を用いて判定した。対照(gapdhおよび非標的siRNAによってトランスフェクトされた細胞)と比較して、Annexin V−Fluosによって陽性に染色された細胞の割合によって判定された細胞死の増加量が、met siRNAでトランスフェクトされたHT29細胞で観察された。さらに、濃度を増加させたZvAD−FMKの存在は細胞死のレベルを低下させ、それは、c−MetノックダウンがHT29細胞でカスパーゼ依存性アポトーシスを誘導することを示す。さらに、これらのデータは、HT29細胞が、それらの生存のためにc−Met経路に少なくとも部分的に依存し、したがって、c−Met阻害化合物について試験するための良好なモデルであることを示す。例えば図1Aを参照。
HT29細胞でsiRNAを用いてGAPDHおよびc−Metの有効なノックダウンを調べるために、正確に同じ条件を用いて同じ実験を並行して実施した。3日間のトランスフェクションの後、20mMトリス−HCl[pH7.5]、150mM NaCl、1mM Na2EDTA、1mM EGTA、1%トリトン、2.5mMピロリン酸ナトリウム、1mMβ−グリセロリン酸、1mM Na3VO4、1μg/mlロイペプチンおよび1mM PMSFを含む細胞溶解緩衝液(Cell Signaling Technology)で、完全体細胞抽出物を調製した。製造業者の指示に従ってBio−Rad試薬(BioRad、Hercules、CA)を用いて、タンパク質濃度をBradfordアッセイによって測定した。還元条件下で試料(50μgの総タンパク質)をSDS−7.5%ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)によって分解し、ポリビニリデン二フッ化膜(Millipore Corp.、Billerica、MA)に移した。3%ウシ血清アルブミンを含むTBS−T(50mMトリス−HCl[pH7.6]、200mM NaCl、0.1%Tween 20)中で、膜を4℃で一晩インキュベートした。ウサギポリクローナル抗c−Met抗体(sc−10、Santa Cruz Biotechnology、Santa Cruz、CA)、およびGAPDHに対するモノクローナル抗体(Dharmacon,Inc.)およびβ−アクチン(Invitrogen Corp、Carlsbad、CA)と一緒に膜を3%ウシ血清アルブミン含有TBS−T中でインキュベートすることによって、c−Met、GAPDHおよびβ−アクチンの発現レベルを判定した。TBS−T中での十分な洗浄の後、西洋ワサビペルオキシダーゼ標識二次抗体(Amersham Biosciences Corp.、Piscataway、NJ)の1:5,000希釈溶液を1時間加え、製造業者の説明書に従って強化化学発光検出システム(PerkinElmer検出システム、Woburn、MA)を用いて、特異的タンパク質バンドを視覚化した。例えば、図1Bを参照。
Origen Technologiesから購入した完全長c−MetのcDNAを、PCR増幅のための鋳型として用いた。キナーゼドメイン(1038〜1346)をコードするDNA断片を、Novagenベクターpet28aのNcoIおよびSalIの部位の間に挿入した。プライマーは、N末端に6−ヒスチジンタグを含むように設計した。脱リン酸化c−Metキナーゼタンパク質を発現させるために、チロシンホスファターゼPTP1B(1−283)を、作製した構築物のSalIおよびNotIの部位の間に逐次的に連結した。第2のリボソーム結合部位を、SalI部位の後のPTP1Bプライマーに組み込んだ。N末端His標識タンパク質を、Circlegrow培養液(Q−Biogen)中に発現させた。形質転換E. Coli細胞系BL21(DE3)RIL(Stratagene)を、37℃でOD=0.8まで培養し、12℃で一晩、0.3mMのIPTGで誘導した。同時発現したタンパク質を金属キレート化クロマトグラフィーで、続いてアニオンおよびカチオンカラムで精製した。簡潔には、20mM MOPS pH=6.5、200mM NaCl、7.5%グリセロール、0.1%Igepalを含み、1mM PMSFを補給した140mlの緩衝液での超音波処理によって、4リットルの細胞を溶解した。50,000gで30分間の遠心分離によって上清を得、それを、4℃で1時間、8mLのNi−NTA His結合樹脂(Novagen)とインキュベートした。溶解緩衝液による最初の洗浄の後、第2段階の50mL洗浄緩衝液(100mM NaClおよび5mMイミダゾールで)を加えた。200mMイミダゾールpH=8.5、100mM NaClおよび7.5%グリセロールによってタンパク質を溶出させ、10mL QFFカラムを通させることによって直ちに清澄化した。希釈によってタンパク質フロースルーの塩濃度およびpH値を50mMおよび7.5に調節し、次に、1mL SP FFカラムに加えた。20mMトリスHCl pH=8.5、150mM NaCl、7.5%グリセロールおよび2mM DTTの平衡緩衝液で、タンパク質をさらにゲルろ過した。−80℃での保存のために、単量体非リン酸化c−Metタンパク質を30mg/mLまで濃縮した。
残基1038〜1346を含む組換え体非リン酸化c−Met(12.5ng)を、濃度を次第に高めた化合物と一緒に、室温で15分間プレインキュベートした。化合物とのプレインキュベーションに続いて、100μMのIGF−1Rtide基質および、2.5μCi[33P−γATP]を含む100μM ATPを混合液に加えた。反応は、8mM MOPS−NaOH pH=7.0、200μM EDTA、5mM酢酸マグネシウム、200μMジチオスレイトール(DTT)および10mM Na3VO4を含む反応緩衝液中で、30分間実行した。次に、10μLの3%リン酸で反応を終了させた。10μLをフィルタープレートに移し、1%リン酸で3回洗浄し、マイクロベータカウンターでカウントを読み取り、各化合物についてc−Met阻害のIC50を判定した。
(実施例35)
MTSアッセイ
HT29細胞を、96ウェルプレートの10%FBS含有培地に、1,800細胞数/ウェルで一晩播種した。その翌日、37℃で24時間、濃度を次第に高めた化合物で細胞を処理した。処理の後、化合物含有培地を除去し、細胞をPBSで2回洗浄し、10%FBSを含有する無薬剤培地でさらなる48時間インキュベートした。それぞれ2mg/mLおよび0.92mg/mLの濃度のMTSおよびPMSの4時間の添加の後、結果をλ=490nmでの分光測光によって数量化し、各化合物のIC50値を判定した。
他の実施形態は以下の特許請求の範囲内にある。いくつかの実施形態を示し説明してきたが、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく、様々な修正を加えることができる。