JP5791771B2 - 表面平滑性に優れた多孔質シリカ系粒子および該多孔質シリカ系粒子を配合してなる化粧料 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、平均粒子径250nm以下の一次粒子(シリカ系微粒子)を含むコロイド液を、スプレイドライヤーを用いて噴霧乾燥することにより平均粒子径1〜20μmの多孔質シリカ系粒子を調製する噴霧乾燥法が開示されている。
例えば、特許文献3には、化粧料に多孔質シリカ系粒子を配合することによって、すべりがよく、かつ滑らかな使用感を有する粉末固形化粧料を得る方法が開示されている。
前記多孔質シリカ系粒子の粒子変動係数(CV値)は、5〜50%の範囲にあり、前記多孔質シリカ系粒子の比表面積が97〜320m2/gの範囲にある。
さらに、前記多孔質シリカ系粒子の細孔容積は、0.05〜3.0ml/gの範囲にあることが好ましい。
さらに、前記多孔質シリカ系粒子のシリカ純度(SiO2含有量)は、96重量%以上であることが好ましい。
また、前記化粧料は、メークアップ化粧料、スキンケア化粧料またはサンスクーン化粧料であることが好ましい。
(1)本発明で定義する粒子の表面粗さ値が20nm以下である。
(2)粒子の非真球率が5%以下である。(すなわち、粒子の真球率が95%を超えている。)
(3)粒子の吸油量が20〜300ml/100gの範囲にある。
(4)粒子の細孔容積が0.05〜3.0ml/gの範囲にある。
(5)粒子の粒子変動係数(CV値)が5〜50%の範囲にある。
(6)粒子のシリカ純度(SiO2含有量)が96重量%以上である。
(7)前記多孔質シリカ系粒子の比表面積が97〜320m2/gの範囲にある。
[多孔質シリカ系粒子]
本発明に係る多孔質シリカ系粒子は、平均粒子径が0.5〜30μm、好ましくは2〜10μmの範囲にある多孔質シリカ系粒子であって、該粒子の全体表面を10000倍の走査型電子顕微鏡で撮った写真(SEM写真)にて観察したとき、その表面に異物の付着が殆ど認められない程度の表面平滑性を備えたものである。
表面平滑度(%)=(総粒子数−異物が観察される粒子数)/総粒子数x100
次に、本発明に係わる多孔質シリカ系粒子の製造方法について具体的に説明する。しかし、本発明に係る多孔質シリカ系粒子は、これらの製造方法から得られるシリカ系粒子に限定されるものではない。
(a)シリカ系微粒子分散液、または該シリカ系微粒子分散液と酸性珪酸水溶液との混合水溶液をスプレイドライヤーに供して噴霧乾燥することにより、主として0.1〜50μmの粒子径を有する多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体を得る工程、
(b)前記工程(a)で得られた多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体を水中に入れて、該水中に含まれる前記多孔質シリカ系粒子のゼーター電位が−15mV〜−70mVの範囲となるようなpH条件下で撹拌処理することにより、粒子表面に付着した異物を取り除いた多孔質シリカ系粒子の分散液を得る工程、
(c)前記工程(b)で得られた分散液を湿式分級装置に供して、少なくとも0.5μm未満の粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む上澄み液を分離・除去することにより、主として0.5〜50μmの粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む分散液を得る工程、
(d)前記工程(c)で得られた分散液を湿式分級装置に供して、少なくとも30μmを超えた粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む沈降液を分離・除去することにより、主として0.5〜30μmの粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む分散液を得る工程、
(e)前記工程(d)で得られた分散液を濾過して固形分を分離することにより、多孔質シリカ系粒子のケーキ状物質を得る工程、および
(f)前記工程(e)で得られたケーキ状物質を乾燥して解砕することにより、平均粒子径が0.5〜30μmの範囲にある多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体を得る工程
に処するものである。
工程(a)
この工程では、先にも述べたように、シリカ系微粒子分散液、または該シリカ系微粒子分散液と酸性珪酸水溶液との混合水溶液をスプレイドライヤーに供して噴霧乾燥することにより、0.1〜50μmの粒子径を有する多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体を調製する。
このように、本発明においては、前記シリカ系微粒子分散液、前記酸性珪酸水溶液、あるいはこれらの混合物から選択して使用することができるが、多くの細孔または空隙を含む多孔質シリカ系粒子を調製するためには、前記シリカ系微粒子分散液のみ、あるいは少なくとも前記シリカ系微粒子分散液を含むものを使用することが望ましい。しかし、前記酸性珪酸水溶液は、前記シリカ系微粒子の粒子間のバインダー成分としても機能するので、圧縮強度に優れた多孔質シリカ系粒子を製造する必要がある場合には、この酸性珪酸水溶液を前記シリカ系微粒子分散液に適量、混合して使用することが望ましい。一方、前記酸性珪酸水溶液のみを使用すると、得られるシリカ系粒子の多孔性が低くなってしまうので、これのみを使用することは好ましくない。
すなわち、この噴霧乾燥は、前記シリカ系微粒子分散液、または該シリカ系微粒子分散液と酸性珪酸水溶液との混合水溶液からなるシリカ成分含有分散液(以下、単に「分散液」という)を、例えば、熱風気流中に1〜3リットル/分の速度で噴霧することによって行われる。この際、前記熱風の温度は、入り口温度が70〜400℃、好ましくは100〜300℃の範囲にあることが望ましく、出口温度が40〜60℃の範囲にあることが好ましい。ここで、前記入口温度が70℃未満であると、前記分散液中に含まれる固形分の乾燥が不充分となり、また400℃を超えると、噴霧乾燥時に粒子の形状が歪んでしまうので、好ましくない。また、前記出口温度が40℃未満であると、前記固形分の乾燥度合いが悪くて装置内に付着するので、好ましくない。
また、このように噴霧乾燥して得られる前記多孔質シリカ系粒子は、概ね球状またはほぼ球状からなる形状を有しているが、該粒子の噴霧乾燥工程で発生した、ナノサイズ粒子などの小粒子その他が、最終製品となる多孔質シリカ系粒子の表面に付着した状態にある。すなわち、前記小粒子などは、該多孔質シリカ系粒子の全体表面を10000倍の走査型電子顕微鏡で撮った写真(SEM写真)にて観察したとき、図2に示すように、その表面に付着した異物として観察される。また、このように、小粒子などが多孔質シリカ系粒子の表面に付着しているのは、粒子間同士に働く静電気力であると考えられる。
この工程では、前記工程(a)で得られた多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体を水中に入れて、該水中に含まれる前記多孔質シリカ系粒子のゼーター電位が−15mV〜−70mVの範囲となるようなpH条件下で撹拌処理することにより、粒子表面に付着した異物を取り除いた多孔質シリカ系粒子の分散液を調製する。
ここで、前記撹拌速度が10rpm未満であると、前記小粒子やその他の付着物を前記多孔質シリカ粒子の表面から取り除くことが困難となり、また前記撹拌速度が5000rpmを超えると、粒子同士が衝突して一部の粒子が崩壊することもあるので、好ましくない。また、前記撹拌時間が3分間未満であると、前記小粒子やその他の付着物を前記多孔質シリカ粒子の表面から取り除くことが困難となるので、好ましくない。しかし、この撹拌を24時間程度行えば、殆どの付着物は取り除くことができるので、これ以上の時間をかけて撹拌することは得策でない。
この工程では、前記工程(b)で得られた分散液を湿式分級装置に供して、少なくとも0.5μm未満の粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む上澄み液を分離・除去することにより、主として0.5〜50μmの粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む分散液を調製する。
この工程では、前記工程(c)で得られた分散液を湿式分級装置に供して、少なくとも30μmを超えた粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む沈降液を分離・除去することにより、主として0.5〜30μmの粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む分散液を調製する。
この工程では、前記工程(d)で得られた分散液を濾過して固形分を分離することにより、多孔質シリカ系粒子のケーキ状物質を調製する。
さらに、前記ケーキ状物質は、後段の工程に供する前に、イオン交換水や蒸留水などの純水を用いて、十分に洗浄しておくことが好ましい。
この工程では、前記工程(e)で得られたケーキ状物質を乾燥して解砕することにより、平均粒子径が0.5〜30μmの範囲にある多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体を調製する。
従って、高い圧縮強度が要求される用途に、この多孔質シリカ系粒子を使用する場合には、前記多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体を焼成する必要がある。すなわち、前記工程(f)で得られた多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体を、200〜800℃の温度で、1〜24時間、焼成することが望まれる。ここで、前記焼成温度が200℃未満では、多孔質シリカ系粒子を構成する一次粒子同士のシロキサン結合が十分でないため、圧縮強度の向上が期待できず、また前記焼成温度が800℃を超えると、粒子の焼結により粒子内の細孔が消失して、所望の多孔性を保持できなくなり、さらには結晶性のシリカ(クオーツ等)が生成することがあるので、好ましくない。また、前記焼成時間が1時間未満では、多孔質シリカ系粒子を構成する一次粒子同士のシロキサン結合が十分でないため、圧縮強度の向上が期待できず、また前記焼成時間が24時間を超えても、格別の効果が得られないので、経済的であるとは云えない。
よって、その用途に応じ、上記の多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体および焼成粉体から適宜、選択して使用することができる。
以下に、本発明に係る化粧料について具体的に説明するが、これらの化粧料に必ずしも限定されるものではない。
本発明に係る化粧料は、前記多孔質シリカ系粒子と、以下に述べる各種化粧料成分とを配合して得られるものである。
また、ポリアクリル酸メチル、ナイロン、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、ポリエチレン、ポリエステル、ポリウレタンなどの樹脂粒子を含んでいてもよい。
このような方法で製造された化粧料は、粉末状、ケーキ状、ペンシル状、スティック状、クリーム状、ジェル状、ムース状、液状、クリーム状などの各種形態で使用され、さらに具体的に述べれば、石鹸、クレンジングフォーム、メーク落とし用クリーム等の洗浄用化粧料、保湿・肌荒れ防止、アクネ、角質ケア、マッサージ、しわ・たるみ対応、くすみ・くま対応、紫外線ケア、美白、抗酸化ケア用等のスキンケア化粧料、パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、クリームファンデーション、ムースファンデーション、プレスドパウダー、化粧下地等のベースメークアップ化粧料、アイシャドウ、アイブロー、アイライナー、マスカラ、口紅等のポイントメークアップ化粧料、育毛用、フケ防止、かゆみ防止、洗浄用、コンディショニング・整髪、パーマネント・ウエーブ用、ヘアカラー・ヘアブリーチ用等のヘアケア化粧料、洗浄用、日焼け防止、手荒れ防止、スリミング用、血行改善用、かゆみ抑制、体臭防止、制汗、体毛ケア、リペラント用、ボディパウダー等のボディーケア化粧料、香水、オードパルファム、オードトワレ、オーデコロン、シャワーコロン等、練香水、ボディーロ−ション、バスオイル等のフレグランス化粧料、歯磨き、マウスウォッシュ等のオーラルケア製品などが挙げられる。
次に、本発明の実施例その他で採用された測定方法を具体的に述べれば、以下の通りである。
(1)多孔質シリカ系粒子の平均粒子径
多孔質シリカ系粒子の粉体を40重量%のグリセリン含有水溶液に分散させてなるスラリー液(固形分濃度0.1〜5質量%)を調製し、これを超音波発生装置(iuch社製、US-2型)にかけて5分間、分散処理を施す。次いで、前記グリセリン水溶液を加えて濃度を調節した分散液より試料を取り、これをガラスセル(長さ10mm、幅10mm、高さ45cmのサイズ)に入れて、遠心沈降式粒度分布測定装置(堀場製作所製:CAPA−700)を用いて平均粒子径を測定する。
NaOH滴定法にてシリカ系微粒子の比表面積S(m2/g)を測定し、以下の式にて平均粒子径を算出する。
S=[4π(D/2)2×(10-9)2]/[(4π×(D/2)3/3×(無定形シリカ真比重)×(10-7)3)]より、
D=6000/(S×2.2)
上記の式で、Dは平均粒子径(nm)、Sは比表面積(m2/g)を表す。また、無定形シリカの真比重は2.2g/cm3とする。
多孔質シリカ系粒子の粉体に、真空蒸着装置(JEOL社製、JFC−1200)を用いて、真空度8Paで40秒間、金蒸着処理を施した試料を作成する。次いで、走査型電子顕微鏡(JEOL社製:JSM−5600)を用いて、この試料を加速電圧15kVの条件下で、10,000倍のSEM写真を撮影する。さらに、任意の100個以上の粒子について、この粒子表面に付着した極小微粒子等の異物の有無を目視で観察し、粒子表面に異物の付着が認められない粒子、すなわちSEM写真で捉えた平面1μm2当たりに6個以上の極小微粒子などが付着していない表面平滑性を備えた粒子の比率を次式から算出する。
表面平滑度(%)=(総粒子数−異物が観察される粒子数)/総粒子数x100
多孔質シリカ系粒子の粉体0.1gをエポキシ樹脂約1g(BUEHLHER製EPO-KWICK)に均一に混合して常温で硬化させた後、FIB加工装置(日立製作所製、FB-2100)を用いてGaイオンのスパッタリングにて、20μmエリアの断面加工を行い、厚み100〜200nmの切片の試料を調製する。次いで、透過型電子顕微鏡(日立製作所製、HF-2200)を用いて、この試料を加速電圧200kVの条件下で、倍率100000倍のTEM写真を撮影する。さらに、任意の顕微鏡写真10枚について粒子界面の外接円と内接円の差を計測し、その平均値を表面粗さ値とする。
前記(3)と同様に、走査型電子顕微鏡(JEOL社製:JSM−5600)を用いて、倍率1000〜3000倍のSEM写真を撮影する。さらに、任意の100個以上の粒子について、それぞれその最大径(DL)と、これと直交する短径(DS)との比(DS/DL)を測定し、この比率が5%以上である非球状粒子(歪な形状の粒子を含む)の個数、および粒子同士が凝集した凝集粒子の個数を計測し、これより非真球率を算出する。
前記(3)と同様に、走査型電子顕微鏡(JEOL社製:JSM−5600)を用いて、倍率1000〜3000倍のSEM写真を撮影する。さらに、任意の2000個以上の粒子画像について、画像解析装置(旭化成社製、IP−1000)を用いて、平均粒子径を測定し、粒子径分布に関する変動係数(CV値)を算出する。具体的には、粒子2000個について、それぞれの粒子径を測定し、その値から平均粒子径および粒子径の標準偏差を求め、下記の式から変動係数(CV値)を算出する。
変動係数(CV値)=(粒子径標準偏差(σ)/平均粒子径(Dn))×100
多孔質シリカ系粒子の粉体を磁性ルツボ(B−2型)に約30ml採取し、105℃の温度で2時間乾燥後、デシケーターに入れて室温まで冷却する。次に、サンプルを1g取り、全自動表面積測定装置(湯浅アイオニクス社製、マルチソーブ12型)を用いて、比表面積(m2/g)をBET法にて測定する。
多孔質シリカ系粒子の粉体10gをルツボに取り、105℃の温度で1時間乾燥後、デシケーターに入れて室温まで冷却する。次いで、よく洗浄したセルに1g試料を取り、窒素吸着装置(触媒化成工業社製)を用いて窒素を吸着させ、以下の式から細孔容積を算出する。
細孔容積(ml/g)=(0.001567×(V−Vc)/w)
上記の式で、Vは圧力735mmHgにおける標準状態の吸着量(ml)、Vcは圧力735mmHgにおけるセルブランクの容量(ml)、Wは試料の重量(g)を表す。また、窒素ガスと液体窒素の密度の比を0.001567とする。
多孔質シリカ系粒子の粉体1.5gを薬包紙に採取し、ガラス測定板に移す。次に、煮あまに油(JIS K 5101に規定するもの)をビュレットから1回に4、5滴ずつ試料に滴下し、全体をヘラで練り合わせる。この滴下と練り合わせを繰り返し、螺旋形を巻く状態となったときを終点とし、以下の式にて吸油量を算出する。
吸油量(ml/100g)=(A/W)×100
上記の式で、Aは煮あまに油の滴下量(ml)、Wは試料の採取量(g)を表す。
多孔質シリカ系粒子の粉体より、平均粒子径±0.5μmの範囲にある粒子1個を試料として取り、微小圧縮試験機(島津製作所製、MCTM−200)を用いて、この試料に一定の負荷速度で荷重を負荷し、粒子が破壊した時点の加重値を圧縮強度(kgf/mm2)とする。さらに、この操作を4回繰り返し、5個の試料について圧縮強度を測定し、その平均値を粒子圧縮強度とする。
噴霧乾燥して得られた多孔質シリカ系粒子を分散させた分散液またはこれにアンモニアなどを添加してpHを調整した分散液を、25℃の恒温槽中で30分以上攪拌した後、pH4、7および9の標準液で更正が完了したpHメータ(堀場製作所製、F22)のガラス電極を挿入して測定する。
多孔質シリカ系粒子の粉体1gを105℃の温度で2時間、乾燥して、その際、減じられる重量と乾燥前の重量(1g)から乾燥減量率(%)を求める。また、前記多孔質シリカ系粒子の粉体1gを850℃の温度で30分間焼成して、その際、減じられる重量と焼成前の重量(1g)から強熱減量率(%)を求める。
多孔質シリカ系粒子の粉体を850℃で30分間加熱し、その0.8gを精密に量り、塩酸20mlを加えて、砂浴上で蒸発乾固し、さらに残留物を塩酸で潤して蒸発乾固した後、110〜120℃で2時間加熱する。次いで、室温まで冷却した試料に、希塩酸5mlを加えて加熱した後、室温に放冷し、熱湯20〜25mlを加えて速やかにろ過し、洗液が塩化物の反応を呈しなくなるまで温湯で洗浄する。次に、残留物をろ紙と共に白金るつぼに入れて、灰化するまで強熱し、さらに30分間強熱してから、室温まで冷却して、その重量をはかり、シリカ純度(SiO2含有量)を算出する。
噴霧乾燥して得られた多孔質シリカ系粒子を分散させた分散液またはこれにアンモニアなどを添加してpHを調整した分散液を、超音波方式のゼーター電位測定装置(Dispersion Technology Inc.製、DT-1200)に供して、該試料中に分散させた粒子のゼーター電位を計測する。
多孔質シリカ系粒子の粉体について、20名の専門パネラーによる官能テストを行い、さらさら感、しっとり感、転がり感、均一な延び広がり性、肌への付着性、転がり感の持続性、およびシリカ系粒子独特のシャリシャリ感の低さの7つの評価項目に関して聞き取り調査を行う。その結果を以下の評価点基準(a)に基づき評価する。次いで、各人がつけた評価点を合計し、以下の評価基準(b)に基づき多孔質シリカ系粒子の感触に関する評価を行う。
評価点基準(a)
5点:非常に優れている。
4点:優れている。
3点:普通。
2点:劣る。
1点:非常に劣る。
評価基準(b)
◎:合計点が80点以上
○:合計点が60点以上80点未満
△:合計点が40点以上60点未満
▲:合計点が20点以上40点未満
×:合計点が20点未満
多孔質シリカ系粒子の粉体を配合したパウダーファンデーションについて、20名の専門パネラーによる官能テストを行い、1)肌への塗布中の均一な延び、しっとり感、滑らかさ、および2)肌に塗布後の化粧膜の均一性、しっとり感、やわらかさの6つの評価項目に関して聞き取り調査を行う。その結果を以下の評価点基準(a)に基づき評価する。次いで、各人がつけた評価点を合計し、以下の評価基準(b)に基づきファンデーションの使用感に関する評価を行う。
評価点基準(a)
5点:非常に優れている。
4点:優れている。
3点:普通。
2点:劣る。
1点:非常に劣る。
評価基準(b)
◎:合計点が80点以上
○:合計点が60点以上80点未満
△:合計点が40点以上60点未満
▲:合計点が20点以上40点未満
×:合計点が20点未満
[実施例1]
工程(a)
平均粒子径15nmのシリカ系微粒子を含むシリカゾル(触媒化成工業(株)製、Cataloid S-20L、SiO2含有量20重量%)をスプレイドライヤー(NIRO社製、NIRO ATMIZER)に供して、入口温度240℃、出口温度55℃、噴霧速度2リットル/分の条件下で噴霧乾燥を行い、平均粒子径5μmの多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体1Aを得た。
前記工程(a)で得られた多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体1A240gに純水2160ccを加え、さらにこれにアンモニア水を加えてpH8とした後、300rpmの回転速度で2時間攪拌して、固形分濃度10重量%の分散液(1)を調製した。この分散液(1)中に含まれる粒子のゼーター電位を測定したところ、−35mVであった。
前記工程(b)で得られた分散液(1)を、700ccの遠心缶4つにそれぞれ600gずつ採取し、遠心分離機(日立工機社製、CF7D2、ローター:RT3S3)を用いて、主として2.5μm以上の粒子径を有する粒子が沈降するように、室温にて500rpmの回転速度(48.6Gの遠心加速度に相当する)で370秒間(6.2分間)、遠心分離操作を行った。次いで、主として2.5μm以下の粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む上澄み液を静かに抜き取り、分離・除去した。次に、得られた沈殿物(一部の沈殿液を含む)に、アンモニア水を添加してpH8とした純水を加えて600ccとした後、2時間攪拌した。
前記工程(c)で得られた分散液(2)を、遠心分離機(日立工機社製、CF7D2、ローター:RT3S3)を用いて、主として10μmを超えた粒子径を有する粒子が沈降するように、室温にて300rpmの回転速度(17.5Gの遠心加速度に相当する)で64秒間(1.1分間)、遠心分離操作を行った。次いで、主として2.5〜10μmの粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む上澄み液を静かに抜き取り、主として10〜50μmの粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む沈殿液(または沈殿物)を分離・除去した。これにより、主として2.5〜10μmの粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む分散液(3)を得た。
前記工程(d)で得られた分散液(3)を、ブフナー漏斗(関谷理化硝子器械(株)製3.2L)を用いて定量濾紙(アドバンテック東洋(株)製No.5C)で濾過した後、純水で繰り返し洗浄して、ケーキ状物質を得た。
前記工程(e)で得られたケーキ状物質を、110℃の温度で5時間乾燥した。次いで、この乾燥粉体をジューサーミキサー(日立製作所(株)製)にかけて凝集物を解砕して、多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体2A(以下、「実施例乾燥粉体2A」という)を得た。
前記工程(f)で得られた実施例乾燥粉体2Aを、450℃の温度で3時間焼成した。これにより、多孔質シリカ系粒子の焼成粉体3A(以下、「実施例焼成粉体3A」という)を得た。
実施例1で使用したシリカゾルの代わりに、表1に示す触媒化成工業(株)製や日本アエロジル(株)製のシリカ系微粒子を含むシリカ系微粒子分散液を用いると共に、必要に応じて一部の噴霧乾燥条件を変更して、実施例1の場合と同様に、これらのシリカゾルを噴霧乾燥して、表1に示す多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体1B〜1Eを得た。
実施例5で使用したシリカ系微粒子(SiO2含有量100重量%)を含むシリカ系微粒子分散液と、酸性珪酸水溶液(SiO2換算基準でシリカ成分を5重量%を含む)をそれぞれ表1に示す重量比で混合し、さらに1時間攪拌して得られた混合分散液を、スプレイドライヤー(NIRO社製、NIRO ATMIZER)に供して、入口温度240℃、出口温度55℃、噴霧速度2リットル/分の条件下で噴霧乾燥を行い、表1に示す多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体1F〜1Gを得た。
なお、以下の表1〜表4には、比較を容易にするため、実施例1で得られた測定結果並びに操作条件も併せて記載する。
実施例7の工程(a)で得られた多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体1G240gに純水2160ccを加えると共に、表5に示す性状の分散液を調製した。さらに、表5に示す条件下で攪拌処理して、固形分濃度10重量%の分散液(1)を調製した。
なお、前記分散液のpH調整に際しては、NH3濃度を適宜調整したアンモニア水を用いて行った。
実施例1の工程(a)で得られた多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体1Aを、セパレータ方式の乾式分級装置(ホソカワミクロン(株)製、TTSP)を用いて、15μmを超えた粒子径の粒子が分離されるような条件下で乾式分級を行い、多孔質シリカ系粒子の乾式分級乾燥粉体(以下、「比較例乾燥粉体1f」を得た。
このようにして得られた比較例焼成粉体3fについて、実施例1の場合と同様に、平均粒子径、粒子変動係数、表面平滑度、表面粗さ、非真球率、比表面積、吸油量、細孔容積、圧縮強度、シリカ純度、乾燥減量率および強熱減量率をそれぞれ測定した。その結果を表10に示す。
市販の多孔質シリカ系粒子の焼成粉体1h(触媒化成工業(株)製、シリカマイクロビード P-1500)について、実施例1の場合と同様に、平均粒子径、粒子変動係数、表面平滑度、表面粗さ、非真球率、比表面積、吸油量、細孔容積、圧縮強度、シリカ純度、乾燥減量率および強熱減量率をそれぞれ測定した。その結果を表8に示す。
このようにして得られた比較例乾燥粉体2hについて、実施例1の場合と同様に、平均粒子径、粒子変動係数、表面平滑度、表面粗さ、非真球率、比表面積、吸油量、細孔容積、圧縮強度、シリカ純度、乾燥減量率および強熱減量率をそれぞれ測定した。その結果を表9に示す。
このようにして得られた比較例焼成粉体3hについて、実施例1の場合と同様に、平均粒子径、粒子変動係数、表面平滑度、表面粗さ、非真球率、比表面積、吸油量、細孔容積、圧縮強度、シリカ純度、乾燥減量率および強熱減量率をそれぞれ測定した。その結果を表10に示す。
比較例7で使用した、市販の多孔質シリカ系粒子の焼成粉体1h(触媒化成工業(株)製、シリカマイクロビード P-1500)240gに純水2160ccを加えた後、これを超音波洗浄装置(SND社製、US-3、38kHz)に供して10分間処理し、該粉体の分散と表面洗浄を行って、固形分濃度10重量%の分散液を調製した。この分散液中に含まれる粒子のゼーター電位を測定したところ、−33mVであった。(なお、前記洗浄処理は、超音波洗浄装置の処理容量が少なすぎたため、6回に別けて行った。)
次に、得られた沈殿物(一部の沈殿液を含む)に純水を加えて600ccとした後、1時間攪拌した。
このようにして得られた比較例乾燥粉体2iについて、実施例1の場合と同様に、平均粒子径、粒子変動係数、表面平滑度、表面粗さ、非真球率、比表面積、吸油量、細孔容積、圧縮強度、シリカ純度、乾燥減量率および強熱減量率をそれぞれ測定した。その結果を表9に示す。
このようにして得られた比較例焼成粉体3iについて、実施例1の場合と同様に、平均粒子径、粒子変動係数、表面平滑度、表面粗さ、非真球率、比表面積、吸油量、細孔容積、圧縮強度、シリカ純度、乾燥減量率および強熱減量率をそれぞれ測定した。その結果を表10に示す。
比較例6で得られた、多孔質シリカ系粒子の乾式分級乾燥粉体、すなわち比較例乾燥粉体1f240gに純水2160ccを加えた後、これを6つに分割して、それぞれを超音波洗浄装置(SND社製、US-3、38kHz)に供して10分間処理し、該粉体の分散と表面洗浄を行って、固形分濃度10重量%の分散液を調製した。この分散液中に含まれる粒子のゼーター電位を測定したところ、−33mVであった。(なお、前記洗浄処理は、超音波洗浄装置の処理容量が少なすぎたため、6回に別けて行った。)
次いで、この分散液を、比較例8に示す工程(c)〜(f)に供して、比較例8の場合と同様な条件下で操作を行い、多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体2j(以下、「比較例乾燥粉体2j」という)を得た。
このようにして得られた比較例焼成粉体3jについて、実施例1の場合と同様に、平均粒子径、粒子変動係数、表面平滑度、表面粗さ、非真球率、比表面積、吸油量、細孔容積、圧縮強度、シリカ純度、乾燥減量率および強熱減量率をそれぞれ測定した。その結果を表10に示す。
実施例4の工程(c)で分離・除去された、主として0.5μm以下の粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む上澄み液を、実施例1に示す工程(e)〜(f)に供して、実施例1の場合と同様な条件下で操作を行い、多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体2k(以下、「比較例乾燥粉体2k」という)を得た。
このようにして得られた比較例焼成粉体3kについて、実施例1の場合と同様に、平均粒子径、粒子変動係数、表面平滑度、表面粗さ、非真球率、比表面積、吸油量、細孔容積、圧縮強度、シリカ純度、乾燥減量率および強熱減量率をそれぞれ測定した。その結果を表10に示す。
なお、この比較例焼成粉体2kは、以下に記載する比較例に使用するために、調製されたものである。
実施例3の工程(d)で分離・除去された、主として30μm以上の粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む沈殿物(一部の沈降液を含む)を、実施例1に示す工程(e)〜(f)に供して、実施例1の場合と同様な条件下で操作を行い、多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体2n(以下、「比較例乾燥粉体2n」という)を得た。
このようにして得られた比較例焼成粉体3nについて、実施例1の場合と同様に、平均粒子径、粒子変動係数、表面平滑度、表面粗さ、非真球率、比表面積、吸油量、細孔容積、圧縮強度、シリカ純度、乾燥減量率および強熱減量率をそれぞれ測定した。その結果を表10に示す。
なお、この比較例焼成粉体2nは、以下に記載する比較例に使用するために、調製されたものである。
前記焼成粉体の官能テスト
実施例1〜10で得られた実施例焼成粉体3A〜3Jおよび比較例1〜11で得られた比較例焼成粉体3a〜3n(ただし、3g、3lおよび3mは欠番)を用いて、これらの粉体の感触を上記の試験法で評価した。その結果を表11に示す。
その結果、前記実施例焼成粉体は、化粧料の感触改良材として極めて優れているが、前記比較例焼成粉体は、該感触改良材して適していないことが分かった。
パウダーファンデーションの調製
表12に示す配合比率(重量%)となるように、実施例1〜10で得られた実施例焼成粉体3A〜3Jおよび比較例1〜11で得られた比較例焼成粉体3a〜3n(ただし、3g、3lおよび3mは欠番)の成分(1)および(2)〜(9)をそれぞれミキサーに入れて撹拌し、均一に混合した。次に、下記化粧料成分(10)〜(12)をこのミキサーに入れて撹拌し、さらに均一に混合した。次いで、得られたケーキ状物質を解砕処理した後、その中から約12gを取り出し、46mm×54mm×4mmの角金皿に入れてプレス成型した。
その結果、前記実施例化粧料は、その使用感が塗布中および塗布後においても非常に優れていることが分かった。しかし、前記比較例化粧料は、その使用感がよくないことが分かった。
Claims (6)
- 平均粒子径が0.005〜0.1μmの球状シリカ系微粒子または非球状シリカ系微粒子を一次粒子とし、平均粒子径が0.5〜30μmの範囲にある前記一次粒子同士が結合した多孔質シリカ系粒子であって、該粒子の全体表面を10000倍の走査型電子顕微鏡で撮った写真(SEM写真)で捉えた平面1μm2当たりに存在する極小微粒子が5個以下である表面平滑性を備え、
前記多孔質シリカ系粒子の断面を100000倍の透過型電子顕微鏡で撮った写真(TEM写真)より、該粒子の粒界における外接円と内接円との差を測定し、その値を表面粗さ値としたとき、該粒子の表面粗さ値が20nm以下であり、該粒子の非真球率が、5%以下であり、該粒子の粒子変動係数(CV値)が、5〜50%の範囲にあり、
前記多孔質シリカ系粒子の比表面積が97〜320m2/gの範囲にある多孔質シリカ系粒子。 - 前記多孔質シリカ系粒子の吸油量が、20〜300ml/100gの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の多孔質シリカ系粒子。
- 前記多孔質シリカ系粒子の細孔容積が、0.05〜3.0ml/gの範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の多孔質シリカ系粒子。
- 前記多孔質シリカ系粒子のシリカ純度(SiO2含有量)が、96重量%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の多孔質シリカ系粒子。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の表面平滑性を備えた多孔質シリカ系粒子を配合してなる化粧料。
- 前記化粧料が、メークアップ化粧料、スキンケア化粧料またはサンスクーン化粧料であることを特徴とする請求項5に記載の化粧料。
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