JP5791316B2 - スクロール型流体機械 - Google Patents

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本発明は、固定スクロール及び旋回スクロールのうち、それぞれ渦巻き状ラップの歯先面と歯底面の渦巻き方向に沿う所定位置に、それぞれ段付部及び段差部が設けられたスクロール型流体機械に関するものである。
一対の固定スクロール及び旋回スクロールを噛み合わせることによって圧縮室を形成しているスクロール圧縮機には、各渦巻き状ラップの周方向及び高さ方向の双方にガスを圧縮できる三次元圧縮可能なスクロール圧縮機構を有するものがある。スクロール圧縮機構は、圧縮室の旋回軸線方向の高さが各渦巻き状ラップの外周側において内周側の高さよりも高い。
すなわち、固定スクロール及び旋回スクロールには、それぞれ渦巻き状ラップの歯先面と歯底面の渦巻き方向に沿う所定位置に、それぞれ段付部及び段差部が設けられている。この段付部を境に、渦巻き状ラップの歯先面においては、旋回軸線方向に外周側の歯先面が高く、内周側の歯先面が低い。また、段差部を境に、渦巻き状ラップの歯底面においては、旋回軸線方向に外周側の歯底面が低く、内周側の歯底面が高い。これによって、各渦巻き状ラップは、その外周側におけるラップ高さが内周側のラップ高さよりも高い。
特許文献1では、高効率で安全率を高めるため、ラップの中心側端部にて、底壁の表面とラップの根元側の側面との隅部を塞ぐ円弧状の円弧部を備えるスクロール型圧縮機が開示されている。
特開平8−177760号公報
固定スクロール又は旋回スクロールにおいて、渦巻き状ラップの歯先面の渦巻き方向に沿う所定位置に設けられた段付部は、内周側の歯先面から外周側の歯先面への立ち上がり部分の根元が直角又はそれに近い形状で形成されていた。そのため、渦巻き状ラップの壁体に負荷される応力が、立ち上がり部分の根元に集中し、破損の恐れがあった。
一方、従来、渦巻き状ラップの段付部について、立ち上がり部分の根元が直角である場合、端板に形成された段差部の断面形状は、断付部に対応する直角形状であり、加工が容易であった。上述した立ち上がり部分の根元の応力集中を防止するため、断付部に補強部を設けることも可能であるが、端板の段差部の断面形状は、旋回時において渦巻き状ラップの補強部と干渉しないような形状で形成する必要がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、渦巻き状ラップの段付部の応力集中を緩和しつつ、段付部に対応する端板の段差部を容易に形成することが可能なスクロール型流体機械を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のスクロール型流体機械は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明に係るスクロール型流体機械は、それぞれの端板の一側面に渦巻き状の壁体を立設させた固定スクロール及び旋回スクロールが互いに噛み合わされて、流体を密閉する密閉室が形成されるスクロール型流体機械であって、固定スクロールと旋回スクロールのうち少なくともいずれか一方の壁体の縁部に形成され、その高さが壁体の渦に沿ってその中心部側で低く外端側で高くなる段付部と、固定スクロールと旋回スクロールのうち他方の端板の一側面に形成され、壁体の縁部の段付部に対応し、その高さが壁体の渦に沿ってその中心部側で高く外端側で低くなる段差部とを備え、段付部は、その一端が渦の中心部側の壁体の縁部に接続され、他端が渦の外端側の壁体に接続された板状の補強部を有し、段差部は、補強部に対応した1段又は複数段の凹形状の溝部を有する。
この発明によれば、段付部の補強部は、板状であって、その一端が渦の中心部側の壁体の縁部に接続され、他端が渦の外端側の壁体に接続されることによって、固定スクロール又は旋回スクロールにおいて、壁体に負荷される応力が分散される。一方、段付部に対応する段差部には、1段又は複数段の溝部が補強部に対応して形成されることで、旋回スクロールが固定スクロールに対して旋回する際に、段付部と段差部が干渉することがない。また、溝部が凹状であることから、端板の段差部を加工して溝部を形成することが容易である。溝部の形成は、例えばエンドミルによる加工で可能である。
上記発明において、補強部は、固定スクロール又は旋回スクロールの軸線に対して垂直方向に切断した断面にて、端部が矩形であり、壁体の側面から見た形状が凹状の円弧であってもよい。
この発明によれば、段付部の補強部は、壁体の側面から見た形状が凹状の円弧であり、固定スクロール又は旋回スクロールを軸線に対して垂直方向に切断したとき、補強部の端部の断面形状が矩形であることによって、断面形状が凸状の円弧形状を有する場合と異なり、立ち上がり部分端部の高さ方向で断面形状を一定に保つことができ、応力集中緩和の効果を高めることができる。なお、壁体の段付部の旋回を考慮すると、端板の段差部を上面から見たときの形状は、両端が旋回半径を有する1/4円の円弧であり、二つの円弧間は直線で結ばれた形状を有することが好ましい。
上記発明において、段差部に溝部が設けられたことによって段差部に形成される複数の突端部は、補強部の形状に対応した位置に設けられてもよい。
この発明によれば、段付部と段差部が最も近接した状態にあるとき、段付部の補強部と段差部の突端部間の隙間を低減でき、一の密閉室から隣接する密閉室への流体の洩れを抑制できる。
上記発明において、補強部が半径Rの円弧であるとき、溝部の合計深さは、補強部の半径Rと同一長さであって、溝部は、少なくとも2段であってもよい。
この発明によれば、段差部に形成される複数の突端部が、補強部の形状に対応した位置に設けられており、段付部と段差部が最も近接した状態にあるとき、段付部と段差部間の隙間は、溝部の代わりに、段差部のうち渦方向に平行な長さRかつ高さRの部分について面取りをしたときの隙間と同一又はそれ以下に低減できる。
上記発明において、凹部が半径Rの円弧であるとき、段付部と段差部が最も近接した状態にて形成される段付部端面と段差部端面間の隙間は、半径Rの1/20以上1/10以下であってもよい。
この発明によれば、段付部端面と段差部端面間に隙間が設けられることで、加工誤差や熱膨張などが生じた場合でも、段付部と段差部間の干渉を回避できる。また、段付部と段差部が最も近接した状態にて形成される段付部端面と段差部端面間の隙間が、半径Rの1/20以上1/10以下であることで、固体スクロール又は旋回スクロール壁面に付着する油膜によって、一の密閉室から隣接する密閉室への流体の洩れが抑制される。
本発明によれば、渦巻き状ラップの段付部の応力集中を緩和しつつ、段付部に対応する端板の段差部を容易に形成することができる。
本発明の第1実施形態に係るスクロール圧縮機の縦断面図である。 図2(A)は、固定スクロールを示す斜視図であり、図2(B)は、旋回スクロールを示す斜視図である。 旋回スクロールを示す部分拡大斜視図である。 固定スクロールと旋回スクロールを示す部分拡大斜視図である。 固定スクロールと旋回スクロールを示す部分拡大側面図である。 固定スクロールと旋回スクロールを示す部分拡大上面図である。 固定スクロールと旋回スクロールの第1変形例を示す部分拡大側面図である。 固定スクロールと旋回スクロールの第1変形例を示す部分拡大斜視図である。 固定スクロールと旋回スクロールを示す部分拡大側面図である。 固定スクロールと旋回スクロールの第1変形例を示す部分拡大側面図である。 固定スクロールと旋回スクロールの第2変形例を示す部分拡大側面図である。 洩れ面積比とステップ数の関係を示すグラフである。 効率比とステップ数の関係を示すグラフである。 固定スクロールと旋回スクロールの第3変形例を示す部分拡大側面図である。 効率比と控え量の関係を示すグラフである。
以下に、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
まず、本発明の第1実施形態について、図1及び図2を用いて説明する。
図1には、本発明の第1実施形態に係るスクロール圧縮機1の縦断面図が示されている。スクロール圧縮機1は、外殻を構成するハウジング2を有している。ハウジング2は、フロントハウジング3とリアハウジング4とをボルト5で一体的に締め付け固定することにより構成されている。フロントハウジング3及びリアハウジング4には、円周上の複数箇所、例えば4箇所に等間隔で締め付け用のフランジ3A,4Aが一体に形成され、このフランジ3A,4A同士をボルト5で締め付けることによって、フロントハウジング3とリアハウジング4とが一体に結合されている。
フロントハウジング3の内部には、クランク軸(駆動軸)6がメイン軸受7及びサブ軸受8を介してその軸線L回りに回転自在に支持されている。クランク軸6の一端側(図1において左側)は小径軸部6Aとされ、該小径軸部6Aはフロントハウジング3を貫通して図1の左側に突出されている。小径軸部6Aの突出部には、公知の如く動力を受ける図示省略の電磁クラッチ、プーリー等が設けられ、エンジン等の駆動源からVベルト等を介して動力が伝達されるようになっている。メイン軸受7とサブ軸受8との間には、メカニカルシール(リップシール)9が設置されており、ハウジング2内と大気との間を気密にシールしている。
クランク軸6の他端側(図1において右側)には、大径軸部6Bが設けられ、この大径軸部6Bには、クランク軸6の軸線Lより所定寸法だけ偏心した状態でクランクピン6Cが一体に設けられている。クランク軸6は、大径軸部6B及び小径軸部6Aがフロントハウジング3にメイン軸受7及びサブ軸受8を介して支持されることにより、回転自在に支持されている。クランクピン6Cには、ドライブブッシュ10、円筒環(フローティングブッシュ)11及びドライブ軸受12を介して後述の旋回スクロール15が連結され、クランク軸6が回転されることにより旋回スクロール15が旋回駆動されるようになっている。
ドライブブッシュ10には、旋回スクロール15が旋回駆動されることで発生するアンバランス荷重を除去するバランスウェイト10Aが一体に形成され、旋回スクロール15の旋回駆動と共に旋回されるようになっている。また、ドライブブッシュ10には、その中心に対して偏心した位置にクランクピン6Cが嵌合されるクランクピン穴10Bが設けられている。これにより、クランクピン6Cに嵌合されたドライブブッシュ10及び旋回スクロール15がガスの圧縮反力を受けてクランクピン6Cの周りに回動され、旋回スクロール15の旋回半径を可変とする公知の従動クランク機構が構成されている。
また、ハウジング2内には、一対の固定スクロール14及び旋回スクロール15により構成されるスクロール圧縮機構13が組み込まれている。固定スクロール14は、固定端板14Aと該固定端板14Aに立設されている固定渦巻き状ラップ14B(壁体)とから構成され、旋回スクロール15は、旋回端板15Aと該旋回端板15Aに立設されている旋回渦巻き状ラップ15B(壁体)とから構成されている。
上記固定スクロール14及び旋回スクロール15には、それぞれ渦巻き状ラップ14B,15Bの歯先面と歯底面の渦巻き方向に沿う所定位置に、それぞれ段付部14D,15D及び段差部14E,15E(図2参照)が設けられている。この段付部14D,15D及び段差部14E,15Eを境に、渦巻き状ラップ14B,15Bの歯先面14H,15Hにおいては、旋回軸線方向に外周側の歯先面14H,15Hが高く、内周側の歯先面14H,15Hが低くされている。また、渦巻き状ラップ14B,15Bの歯底面14J,15Jにおいては、旋回軸線方向に外周側の歯底面14J,15Jが低く、内周側の歯底面14J,15Jが高くされている。これによって、各渦巻き状ラップ14B,15Bは、その外周側におけるラップ高さが内周側のラップ高さよりも高くされている。
この固定スクロール14及び旋回スクロール15は、その中心を旋回半径分だけ離すとともに、各渦巻き状ラップ14B,15Bの位相を180度ずらして噛合され、該渦巻き状ラップ14B,15Bの歯先面と歯底面との間に常温で僅かなラップ高さ方向のクリアランス(数十〜数百ミクロン)を有するように組み付けられている。これにより、図1に示されるように、両スクロール14,15間には、各端板14A,15Aと各渦巻き状ラップ14B,15Bとにより限界される複数対の圧縮室16がスクロール中心に対して点対称に形成されるとともに、旋回スクロール15が固定スクロール14の周りをスムーズに旋回できるように構成されている。
圧縮室16は、旋回軸線方向の高さが各渦巻き状ラップ14B,15Bの外周側において内周側の高さよりも高くされることによって、各渦巻き状ラップ14B,15Bの周方向及び高さ方向の双方にガスを圧縮できる三次元圧縮可能なスクロール圧縮機構13を構成している。固定スクロール14及び旋回スクロール15のそれぞれの渦巻き状ラップ14B,15Bの歯先面には、相手方スクロールの歯底面との間に形成されるチップ隙間をシールするチップシール17,18が、それぞれ歯先面に設けられているシール溝14F,14G及び15F,15Gに嵌合されて組み込まれてもよい。
固定スクロール14は、リアハウジング4の内面にボルト27を介して固定設置されている。また、旋回スクロール15は、旋回端板15Aの背面に設けられているボス部15Cに対して、上述のとおり、クランク軸6の一端側に設けられているクランクピン6Cがドライブブッシュ10、円筒環(フローティングブッシュ)11及びドライブ軸受12を介して連結され、旋回駆動されるように構成されている。
更に、旋回スクロール15は、フロントハウジング3のスラスト受け面3Bに旋回端板15Aの背面が支持され、該スラスト受け面3Bと旋回端板15Aの背面との間に設けられている自転阻止機構19を介して自転が阻止されながら固定スクロール14の周りに公転旋回駆動されるようになっている。本実施形態の自転阻止機構19は、旋回スクロール15の旋回端板15Aに設けられたリング穴に組み込まれている自転阻止リング19Aの内周面に対して、フロントハウジング3に設けられたピン穴に組み込まれている自転阻止ピン19Bが摺動自在に嵌合されたピンリング式の自転阻止機構19とされている。
固定スクロール14には、固定端板14Aの中央部位に圧縮された冷媒ガスを吐出する吐出ポート14Cが開口されており、該吐出ポート14Cには、固定端板14Aにリテーナ20を介して取り付けられている吐出リード弁21が設置されている。また、固定端板14Aの背面側には、リアハウジング4の内面と密接されるようにOリング等のシール材22が介装されており、リアハウジング4の内面との間にハウジング2の内部空間から区画された吐出チャンバー23を形成している。これにより、吐出チャンバー23を除くハウジング2の内部空間が、吸入チャンバー24として機能するように構成されている。
吸入チャンバー24には、フロントハウジング3に設けられている吸入口25を介して冷凍サイクルから戻ってくる冷媒ガスが吸入され、この吸入チャンバー24を経て圧縮室16に冷媒ガスが吸い込まれるようになっている。フロントハウジング3とリアハウジング4との間の接合面には、Oリング等のシール材26が介装され、ハウジング2内に形成される吸入チャンバー24を大気に対して気密にシールしている。
固定渦巻き状ラップ14B及び旋回渦巻き状ラップ15Bの歯先面に組み込まれるチップシール17,18は、図2に示されるように、段付部14D,15Dを境に、外周側ラップの歯先面に設けられているシール溝14F,15Fに組み込まれるチップシール17A,18Aと、内周側ラップの歯先面に設けられているシール溝14G,15Gに組み込まれるチップシール17B,18Bと、に各々分割され、各シール溝14F,14G及び15F,15Gに嵌合されるように組み込まれている。
なお、スクロール圧縮機1は、内部の摺動部を滑らかに動かすための潤滑油が使用される。潤滑油は、冷媒と共に所定の割合で共存し、冷媒と一緒に固定スクロール14及び旋回スクロール15内に吸入される。この潤滑油は、固定スクロール14及び旋回スクロール15の内壁面に付着し、微小な隙間をシールすることができる。内壁面に付着する潤滑油の油膜厚さは、空調用途の場合、薄い部分は5μm、厚い部分は100μm程度であり、平均的には40μm程度となる。
潤滑油は、スクロール圧縮機1から例えば冷凍回路を構成する冷媒配管へ排出され、冷凍回路の各構成要素を通過して、再びスクロール圧縮機1へ戻り、スクロール圧縮機1に吸入される。なお、冷凍回路の中には、スクロール圧縮機1の吐出側に潤滑油と冷媒を分離するオイルセパレータが設置されるものがあり、オイルセパレータは、分離した潤滑油をスクロール圧縮機1内へ戻すことができる。
次に、本実施形態の段付部14D,15D及び段差部14E,15Eについて説明する。ここでは、図3〜図6を参照して、旋回スクロール15の旋回渦巻き状ラップ15Bにおける段付部15Dと、固定スクロール14の固定端板14Aにおける段差部14Eについて説明するが、固定スクロール14の段付部14Dと旋回スクロール15の段差部15Eも同様の構成を有する。
段付部15Dは、旋回スクロール15の軸線に対して垂直方向に切断した断面(横断面)にて、端部が矩形である。例えば、図3及び図6に示すように、内周側の歯先面15Hから外周側の歯先面15Hへの立ち上がり部分の断面形状は、二つの直角部分を有する。そして、段付部15Dは、根元部分にて、旋回渦巻き状ラップ15Bの側面から見た形状が凹状の円弧である補強部31を有する。補強部31は、例えば、図3〜図5に示すように、旋回渦巻き状ラップ15Bの立ち上がり部分に設けられ、1/4円の凹状の円弧である。
段付部15Dは、一端が渦の中心部側の旋回渦巻き状ラップ15Bの歯先面15Hに接続され、他端が渦の外端側の旋回渦巻き状ラップ15Bに接続される。これによって、旋回スクロール15において、旋回渦巻き状ラップ15Bの立ち上がり部分の根元に負荷される応力が分散され、部材の破損を防止できる。
また、段付部15Dは、端部の断面形状が二つの直角を有する矩形であり、補強部31の断面形状も矩形である。したがって、段付部15Dと補強部31は、立ち上がり部分の端部にて連続するように設けられ、断面形状が端部の高さ方向で一定であることから、応力集中緩和の効果を高めることができる。一方、関連技術として、段付部の立ち上がり部分の端部の断面形状が1/2円の凸状の円弧である場合、本実施形態のように、立ち上がりの根元部分に1/4円の凹状の円弧の補強部を設けると、渦の中心部側の旋回渦巻き状ラップ15Bの歯先面15Hに近づくにつれて、端部の断面形状が強度の低い形になる。この場合、立ち上がりの根元部分にて、応力集中緩和の効果が小さくなる。
段差部14Eは、段付部15Dの補強部31に対応した1段の凹形状の溝部32を有する。溝部32は、図4及び図5に示すように、渦方向に平行な方向に切断した断面が、階段形状である。補強部31の円弧の半径をRとしたとき、溝部32の高さ及び奥行きは、図5に示すように、いずれもRである。これによって、段付部15Dの補強部31が段差部14Eと干渉することがなく、旋回スクロール15は、滑らかに公転旋回運動できる。
また、旋回渦巻き状ラップ15Bの段付部15Dの旋回を考慮すると、固定端板14Aの段差部14Eを上面から見たときの輪郭形状は、図6に示すように、両端が旋回半径ρを有する1/4円の円弧であり、二つの円弧間は長さ直線Trで結ばれた形状を有することが好ましい。このとき、Trは、旋回渦巻き状ラップ15Bの厚さと同一である。また、溝部32を上面から見たときの輪郭形状は、段差部14Eの輪郭形状と同一であり、溝部32は、渦方向に長さRだけ平行移動した位置に設けられる。
このとき、補強部31の円弧の半径Rは、補強部31による応力集中緩和と、段差部14Eにおける溝部32の加工のしやすさに基づいて、0.9mm以上であるとよい。なお、半径Rは上記例に限定されない。溝部32は、階段形状であることから、エンドミルを用いた加工で容易に形成できる。一方、図9の破線50に示すように、段差部14Eにおいてテーパ形状を設ける場合、数値制御による加工が位置の関数を使用することになって、実際の製作は困難である。
次に、本実施形態の変形例について説明する。
上記説明では、段差部14Eが、図4〜図6に示すように、1段の階段形状である溝部32を有する場合について説明したが、2段以上の階段形状であってもよい。図7及び図8には、段差部14Eが、溝部33,34を有して2段の階段形状である例を示し、図11には、段差部14Eが、溝部35,36,37を有して3段の階段形状である例を示した。
また、段差部14Eに2段以上の溝部が形成されることによって、段差部14Eに形成される突端部40は、補強部31の形状に対応した位置に設けられる。例えば、図7に示すとおり、三つの突端部40が補強部31の1/4円の凹状の円弧に対応するように、段差部14Eに溝部33,34が形成される。また、図11に示すとおり、四つの突端部40が補強部31の1/4円の凹状の円弧に対応するように、段差部14Eに溝部35,36,37が形成される。
図7に示す溝部33の高さ及び奥行きは、それぞれ0.7R、0.3Rであり、溝部34の高さ及び奥行きは、それぞれ0.3R、0.7Rである。そして、溝部33,34の高さの合計、奥行きの合計は、いずれもRである。また、図11に示す溝部36の歯底面14Jに対して平行な面は、上側に位置する歯底面14Jから0.5Rの位置に設けられ、溝部36の歯底面14Jに対して垂直な面は、段差部14Eの立ち上がり面から0.5Rの位置に設けられる。そして、溝部35,36,37の高さの合計、奥行きの合計は、いずれもRである。
以上のように、段差部14Eに2段以上の溝部が形成されることによって、段付部15Dと段差部14Eが最も近接した状態にあるとき、段付部15Dの補強部31と段差部14Eの突端部40間の隙間を低減でき、スクロール圧縮機1において、一の圧縮室16から隣接する圧縮室16への冷媒の洩れを抑制できる。
図7又は図11に示す例は、それぞれ段差部14Eを2段又は3段にした場合に、段付部15Dと段差部14Eが最も近接した状態にあるとき、段付部15Dの補強部31と段差部14Eの溝部33,34との隙間、又は段付部15Dの補強部31と段差部14Eの溝部35,36,37との隙間を同一ステップ数(段数)の中で最も低減できる形状である。
次に、図12及び図13を参照して、ステップ数と洩れ面積及び効率比の関係について説明する。図12は、洩れ面積比とステップ数の関係を示すグラフであり、図13は、効率比とステップ数の関係を示すグラフである。
ここで、洩れ面積比とは、溝部の代わりに、図9の破線50に示すように、段差部14Eにおいてテーパ形状を設ける場合、すなわち段差部14Eのうち渦方向に平行な長さRかつ高さRの部分について面取りをしたときの形状(図9の領域A)と、補強部31との間に設けられる隙間(領域B)を洩れ面積1とした場合の各ステップ数の洩れ面積比である。
図12によれば、ステップ数が1段である場合、すなわち隙間が図9の領域AとBを合わせた領域となる場合、洩れ面積は、テーパ形状を設ける場合の約2.75倍の面積となることが分かる。一方、ステップ数が2段である場合、すなわち隙間が図10の領域C1とC2を合わせた領域となる場合、洩れ面積は、テーパ形状を設ける場合と同一になる。また、ステップ数が3段である場合、すなわち隙間が図11の領域Dとなる場合、洩れ面積は、テーパ形状を設ける場合よりも小さくなり、3段以上では洩れ面積が少ないことが分かる。
また、効率比は、補強部31と段差部14Eの間に設けられた隙間からの冷媒洩れによる影響を比較したものである。冷媒漏れが無いときの効率を1とすると、図13によれば、ステップ数が1段である場合は、効率比が0.90であるが、ステップ数が2段以上であれば、効率比が0.98以上になり、洩れの影響がほとんど無くなることが分かる。ここで、効率比は、隙間部分の水力直径に基づいて算出したものである。以上より、加工の手間と洩れ効率の観点から、段差部14Eに設けられる階段形状は、2段又は3段が有効であるといえる。
次に、図14及び図15を参照して、固定スクロール14と旋回スクロール15間に控えδを設ける場合について説明する。
段付部14Dと段差部15E、又は段付部15Dと段差部14Eが最も近接したとき、段付部14D、15D端面と段差部15E,14E端面間の隙間(控えδ、図14参照)は、半径Rの1/20以上1/10以下となるように設けられる。ここで、半径Rは、補強部31の1/4円の凹状の円弧の半径である。また、溝部33,34の高さの合計、奥行きの合計も、図14に示すようにいずれもRである。
図15は、効率比と控え量δ/Rの関係を示すグラフであり、補強部31と段差部14Eの間に設けられた隙間からの冷媒洩れによる影響を比較したものである。冷媒漏れが無いときの効率を1とすると、控えδは、半径Rの1/10以下であれば、効率比が低下することなく、冷媒の洩れによる影響を抑えることができることがわかる。ここで、効率比は、隙間部分の水力直径、壁面油膜厚さに基づいて算出したものである。壁面へ付着する油膜厚さは約40μmであり、控えδが小さい場合は、控えδが油膜でシールされるため、隙間による洩れの影響は小さくなる。
また、控えδは、半径Rの1/20以上であれば、部材間の接触を防止できる距離を確保でき、控えδは、半径Rの1/20以上であることが好ましい。なお、控えδは、上記の例に限定されない。また、図15に示すような効率比と控え量の関係は、段差部14Eにおけるステップ数に関わらず、同じ結果が得られる。
スクロール圧縮機1は、実際の機械では加工誤差が発生する。また、運転によって、熱膨張が発生して、段付部14D、15D端面と段差部15E,14E端面間が干渉する可能性がある。そのため、段付部14D、15D端面と段差部15E,14E端面間には、接触による焼き付きや磨耗の問題を防止するように、控えδが設けられる。本実施形態では、上述の控えδを設けることによって、加工誤差や熱膨張の発生による部材間の干渉を防止できる。
以上で説明した構成によって、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
外部駆動源から図示省略のプーリー及び電磁クラッチを介して回転駆動力をクランク軸6に伝達し、クランク軸6を回転すると、そのクランクピン6Cにドライブブッシュ10、円筒環(フローティングブッシュ)11及びドライブ軸受12を介して旋回半径が可変に連結されている旋回スクロール14が、ピンリング式自転阻止機構19により自転を阻止されながら、固定スクロール15の周りに所定の旋回半径で公転旋回駆動される。
この旋回スクロール15の公転旋回駆動により、半径方向最外周に形成される一対の圧縮室16内に、吸入チャンバー24内の冷媒ガスが取り込まれる。圧縮室16は、所定の旋回角位置で吸入締め切りされた後、その容積が周方向及びラップ高さ方向に減少されながら中心側へと移動される。この間に冷媒ガスは圧縮され、当該圧縮室16が吐出ポート14Cに連通する位置に達すると、吐出リード弁21を押し開く。その結果、圧縮された高温高圧のガスは、吐出チャンバー23内に吐き出され、該吐出チャンバー23を経てスクロール圧縮機1の外部へと送出される。
旋回スクロール15の公転旋回駆動時において、段付部14Dと段差部15E、又は段付部15Dと段差部14Eは、近接しながら相対移動する。本実施形態のように、補強部31が段付部14D,15Dが設けられることによって、段付部14D,15Dの根元部分にて、固定渦巻き状ラップ14Bや旋回渦巻き状ラップ15Bに負荷される応力が分散する。その結果、固定渦巻き状ラップ14Bや旋回渦巻き状ラップ15Bの破損を防止できる。
また、段差部14E,15Eは、階段状に形成されることから、段付部14D,15Dとの干渉が無く、エンドミルによる加工によって、段差部14E,15Eの溝部を容易に形成できる。また更に、2段以上のステップ数を有する段差部14E,15Eとすることで、一の圧縮室16から他の圧縮室16への冷媒の洩れによる効率低下を防止できる。
なお、上記実施形態では、本発明を外部から駆動力を受けて駆動される開放型のスクロール圧縮機に適用した例について説明したが、駆動源として電動モータを内蔵している密閉型又は半密閉型のスクロール圧縮機にも同様に適用できる。また、上記実施形態では、本発明をスクロール圧縮機に適用した例について説明したが、スクロール膨張機にも同様に適用できる。
14 固定スクロール
14A 固定端板
14B 固定渦巻き状ラップ
14D 段付部
14E 段差部
14F,14G シール溝
14H 歯先面
14J 歯底面
15 旋回スクロール
15A 旋回端板
15B 旋回渦巻き状ラップ
15D 段付部
15E 段差部
15F,15G シール溝
15H 歯先面
15J 歯底面
16 圧縮室
31 補強部
32,33,34,35,36,37 溝部
40 突端部

Claims (5)

  1. それぞれの端板の一側面に渦巻き状の壁体を立設させた固定スクロール及び旋回スクロールが互いに噛み合わされて、流体を密閉する密閉室が形成されるスクロール型流体機械であって、
    前記固定スクロールと前記旋回スクロールのうち少なくともいずれか一方の前記壁体の縁部に形成され、その高さが前記壁体の渦に沿ってその中心部側で低く外端側で高くなる段付部と、
    前記固定スクロールと前記旋回スクロールのうち他方の前記端板の前記一側面に形成され、前記壁体の縁部の前記段付部に対応し、その高さが前記壁体の渦に沿ってその中心部側で高く外端側で低くなる段差部と、
    を備え、
    前記段付部は、その一端が渦の中心部側の前記壁体の縁部に接続され、他端が渦の外端側の前記壁体に接続された板状の補強部を有し、
    前記段差部は、前記補強部に対応した1段又は複数段の凹形状の溝部を有するスクロール型流体機械。
  2. 前記補強部は、前記固定スクロール又は前記旋回スクロールの軸線に対して垂直方向に切断した断面にて、端部が矩形であり、前記壁体の側面から見た形状が凹状の円弧である請求項1に記載のスクロール型流体機械。
  3. 前記段差部に前記溝部が設けられたことによって前記段差部に形成される複数の突端部は、前記補強部の形状に対応した位置に設けられる請求項1又は2に記載のスクロール型流体機械。
  4. 前記補強部が半径Rの円弧であるとき、前記溝部の合計深さは、前記補強部の半径Rと同一長さであって、
    前記溝部は、少なくとも2段である請求項3に記載のスクロール型流体機械。
  5. 前記凹部が半径Rの円弧であるとき、前記段付部と前記段差部が最も近接した状態にて形成される前記段付部端面と前記段差部端面間の隙間は、前記半径Rの1/20以上1/10以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載のスクロール型流体機械。
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