JP5791188B2 - 空隙量測定装置及び空隙量測定方法 - Google Patents
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Description
本発明の空隙量測定装置1は、測定対象物までの距離、より詳細には当該距離から算出した測定対象物の3次元形状に基づいて、人体模型と着用物の着用面との間の空隙量を算出する。3次元形状の測定は、例えば、測定対象物に対して投光した所定のレーザー光(光束)の反射光を受光し、三角測距の原理で距離情報を得て、3次元データ化することで実現することができる。図1を参照して、本発明の空隙量測定装置1は、距離測定装置10と、人体模型20と、演算装置30と、を含んで構成される。
台座部12は、センサ部11により距離を測定する測定対象物を載置する土台であり、センサ部11の下方に設けられる。
なお、レーザー光を透過する部材については、任意の部材を用いることができ、例えば、所定の線径及び網目寸法の金網や、透明アクリル板を用いることができる。ただし、透明アクリル板を用いた場合には、レーザー光が透明アクリル板を透過する際に屈折してしまうため、金網を用いた方がより好適である。網目構造の場合には、レーザー光が線部で遮断されてしまうが、屈折による影響が少なく、高精度な形状を取得することができるためである。そこで、本実施形態では、線径0.8mm、網目寸法5.0mmのステンレス製の金網で作成した人体模型20を用いることとしている。
なお、本実施形態では、人体模型20は、腹側が前面を向くように台座部12に載せられているものとする。
このとき、本実施形態では、人体模型20を透過したレーザー光を着用物40の着用面401に投光することで、着用物40の外表面402ではなく着用面401までの距離Lを測定することとしている。これにより、着用物40の種別に関わらず人体模型20との間の隙間を正確に測定することができる。
以上、本発明の空隙量測定装置1の構成について説明した。続いて、図5及び図6を参照して、人体模型20や着用物40の着用面401の3次元形状の測定方法について説明する。なお、以下では、着用物40の着用面401の3次元形状の測定を例にとり説明するが、人体模型20の3次元形状の測定についても同様の方法により行うことができる。
略水平面の股部表面201に対しては、台座部12をX方向及びY方向に移動することで、上方に設置されたセンサ部11を用いて距離Lを測定することができる。他方、股部表面201から立ち上がった腹部表面202及び尻部表面203に対しては、上方に設置されたセンサ部11からレーザー光を投光することができず、X方向及びY方向に移動しただけでは、距離Lを測定することができない。そこで、センサ部11の投光角度をY方向に所定角度変更した上で、台座部12をY方向に移動したりセンサ部11をZ方向に移動したりすることで、腹部表面202及び尻部表面203までの距離Lを測定することとしている(必要があればX方向への変更を行うこととしてもよい)。
続いて、本発明の空隙量測定装置1による空隙量の測定結果を図7に示す。図7では、吸収体(生理用ナプキン)を固着したショーツを人体模型20に着用させた際のショーツ及び吸収体(以下、単に「着用物」とする)と人体模型20との間の空隙量を測定している。なお、図7では、人体模型20と着用物との垂直方向(Z方向)の差分を空隙量として測定している。
このとき、吸収体が接触している領域に注目すると、吸収体の中央から腹側の領域(腹部表面202側)では空隙がほとんどない密着状態であるのに対し、背側の領域(尻部表面203側)では主に臀列において最大40mm程度の顕著な隙間があることが分かった。
また、前額面と平行な断面(E−E断面)では、吸収体が左右大腿部に挟まれることにより凸状に変形した結果、中央部に比べ端部の隙間が大きい様子なども測定することができた(図7(B))。
以上の空隙量測定装置1によれば、以下のような効果を奏する。
これにより、人体模型20の空洞部分に設置することができない形状及び大きさのセンサであっても、正確な空隙量を測定することができる。
これにより、網目状の部分については人体模型20の部材によるレーザー光の屈折を考慮することなく、適切な空隙量を算出することができる。
これにより、人体模型20や着用物の着用面の3次元形状を適切に測定することができ、正確な空隙量を測定することができる。
これにより、レーザー光を透過する部材で構成した人体模型20の距離や形状をセンサ部11のレーザー光を用いて測定することができ、結果として、正確な空隙量を測定することができる。
具体的には、試料S1は、粉砕パルプの目付け100g/m2、SAPの目付け10g/m2であり、試料S2,S3は、粉砕パルプの目付け300g/m2、SAPの目付け30g/m2である(試料S1の3倍)。また、試料S3は、試料S2に比べて2〜3倍程度の強い力をかけて吸収体501を圧着している。
目付けが空隙量に与える影響を測定するため、夫々乾燥状態の試料S1,S2の空隙量を測定し、統計的検定を行った。このとき、空隙量の違いを詳細に検討するため、生理用ナプキンが装着されている領域を図9のように25分割し、分割された各領域の平均空隙量を求め、二元配置分散分析を行った。
図10(A)は、試料S1,S2の空隙量の測定結果を示すグラフである。多重比較の結果、生理用ナプキンの中央から腹側の領域で空隙が少なく、中央から尻側の領域で空隙が大きいという分布は、目付けの大小を問わず共通した特徴であるが、目付けが大きい試料S2では試料S1に比べて相対的に空隙が大きい傾向が見られた。より具体的には、試料S2は、領域18〜20及び領域23〜25において、試料S1に比べて空隙量が有意に大きいことが確認された。
このことから、空隙形成における目付けの影響は、主に臀裂周辺において現れ、その領域では目付けの増加に伴い空隙量が増加することが分かった。
圧着の程度が空隙量に与える影響を測定するため、夫々乾燥状態の試料S2,S3の空隙量を測定し、統計的検定を行った。このとき、空隙量の違いを詳細に検討するため、生理用ナプキンが装着されている領域を図9のように25分割し、分割された各領域の平均空隙量を求め、二元配置分散分析を行った。
図10(B)は、試料S2,S3の空隙量の測定結果を示すグラフである。多重比較の結果、臀裂周辺に見られる顕著な空隙は、圧着の程度を問わず共通した傾向であるが、生理用ナプキンの中央から腹側にかけては、圧着の程度による空隙量の差異が観察され、圧着の強い試料S3は、試料S2に比べ空隙が相対的に小さい傾向が見られた。より具体的には、領域8,9,13,14では、試料S2の方が試料S3よりも空隙が大きく、領域11,15では、試料S3の方が試料S2よりも空隙が大きいことが明らかになった。
領域8,9,13,14は、主に圧着により形成された表溝に囲まれた領域であり、一方、領域11,15は、主に大腿部近傍の表溝外側の領域であることから、表溝に囲まれた領域では、圧着の圧力が増すにつれて空隙が減少し、大腿部近傍の表溝外側の領域では空隙が増加することが分かった。
吸収の有無が空隙量に与える影響を測定するため、乾燥状態及び吸収状態の試料S1,S2,S3の空隙量を測定し、統計的検定を行った。
図10(C)は、乾燥状態及び吸収状態の空隙量の測定結果を示すグラフである。多重比較の結果、いずれの試料S1,S2,S3においても乾燥状態に比べ吸収状態における空隙が相対的に小さい傾向が見られた。
なお、空隙量の違いを詳細に検討するため、生理用ナプキンが装着されている領域を図9のように25分割し、分割された各領域の平均空隙量を求め、二元配置分散分析を行ったが、吸収の有無と領域の交互作用において有意差はなく、吸収の有無に関する主効果において有意差が認められた。
このことから、生理用ナプキンの領域に関わらず、吸収状態では、乾燥状態に比べて空隙量が減少することが分かった。
10 距離測定装置
11 センサ部
12 台座部
13 ガイド
20 人体模型
30 演算装置
31 制御部
32 記憶部
Claims (5)
- 人体模型に着用された着用物と前記人体模型との間の空隙量を測定する空隙量測定装置であって、
光束を透過する部材で構成され、上部が開口するとともにその内部が空洞状に形成された人体模型と、
前記人体模型を載置する台座部、及び対象物に対して光束を投光することで当該対象物までの距離を測定するセンサ部を備える距離測定装置と、
前記距離測定装置が測定した距離に基づいて前記空隙量を算出する演算装置と、
を備え、
前記距離測定装置は、前記センサ部により前記人体模型の内部から当該人体模型に着用された着用物の着用面に対して前記光束を投光することで前記着用面までの距離を測定し、
前記演算装置は、前記センサ部により測定された前記着用面までの距離と、前記センサ部により測定された前記人体模型までの距離と、に基づいて、前記空隙量を算出する、
空隙量測定装置。 - 前記センサ部は、前記台座部の上方に設置され、前記人体模型の開口から前記光束を投光することで、前記着用物の着用面に対して前記光束を投光する、
請求項1に記載の空隙量測定装置。 - 前記人体模型は、所定の線径及び網目寸法を有するステンレス製の金網で構成される、
請求項1又は2の何れかに記載の空隙量測定装置。 - 前記人体模型は、水平面及び前記水平面に対して所定角度で立ち上がった側面を有し、
前記距離測定装置は、前記センサ部による前記光束の投光角度を変更可能な角度調節部を備え、
前記演算装置は、前記人体模型の前記側面までの距離を、前記センサ部が測定した距離及び前記投光角度に基づいて演算する、
請求項1〜3の何れかに記載の空隙量測定装置。 - 請求項1〜4に記載の空隙量測定装置を用いて人体模型に着用された着用物と前記人体模型との間の空隙量を測定する空隙量測定方法であって、
前記人体模型に前記光束を反射する反射シートを貼付した状態で前記人体模型までの距離を測定する工程と、
前記人体模型から前記反射シートを剥がした状態で前記着用面までの距離を測定する工程と、
前記人体模型までの距離と前記着用面までの距離とに基づいて前記空隙量を算出する工程と、
を含む空隙量測定方法。
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