以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の実施形態にかかる冷凍装置Rの冷媒回路図である。本実施例における冷凍装置Rは、例えばスーパーマーケット等の店舗に複数台設置されたショーケース(冷凍機器)5A、5Bの貯蔵室内を冷却するものであり、圧縮機11、凝縮器12及び凝縮器用送風機13(図3)等が設置された冷凍機ユニット3と、複数台のショーケース5A、5B・・にそれぞれ設置された蒸発器15A、15Bや電磁弁16、膨張弁(絞り手段)17A、17B等を据え付け現場にて冷媒配管7、9により接続することで冷媒回路1が構成される。この冷媒回路1内には、冷媒の一例としてR404A(HFC冷媒)が所定量充填されている。
冷凍機ユニット3は店舗の売り場以外の屋内、若しくは、屋外(室外)に設置され、ショーケース5A、5B・・は店舗の売り場内(室内)に設置される。本実施例において、冷凍機ユニット3は、並列に配置された2台の圧縮機11、11を備える。
圧縮機11は、運転周波数を変更することで回転数を制御可能とされており、吸込口21には冷媒導入管22が接続され、それぞれの上流側で合流し、アキュムレータ27、ストレーナ28を順次介して冷媒配管9に接続される。また、吐出口23には冷媒吐出管24が接続され、それぞれの下流側で合流し、オイルセパレータ26、凝縮器12、レシーバタンク30、フィルタドライヤ44、モイスチャインジケータ45、電磁弁16を順次介して冷媒配管7に接続される。尚、レシーバタンク30の詳細については後述する。
オイルセパレータ26のオイル出口はオイル戻し管41により、それぞれキャピラリチューブ42、42を介して圧縮機11、11に接続されている。また、レシーバタンク30には、リキッドインジェクション回路を構成する配管43が接続されている。配管43の途中で二方向に分岐し、直列に接続された電磁弁44を介してそれぞれ圧縮機11の注入口25に接続されている。
一方、ショーケース5A、5Bは、それぞれ店舗内等に設置され、冷媒配管7及び9にそれぞれ並列に接続されている。各ショーケース5A、5Bは、冷媒配管7と連結するケース側冷媒配管18A、18B及び冷媒配管9と連結するケース側冷媒配管19A、19Bとを有している。各ケース側冷媒配管18A、18Bには、絞り手段としての膨張弁17A、17Bが介設されると共に、蒸発器15A、15Bの冷媒入口側に接続される。蒸発器15A、15Bの冷媒出口側には、各ケース側冷媒配管19A、19Bを介して冷媒配管9に接続される。各蒸発器15A、15Bには、それぞれ当該蒸発器に送風する冷気循環用送風機14A、14Bが隣接されている。
そして、上述したように冷媒配管9は冷媒導入管22を介して各圧縮機11、11に接続され、冷媒配管7は電磁弁16に接続されることにより、本実施例における冷凍装置Rの冷媒回路1が構成される。
これにより、圧縮機11にて圧縮された高温高圧の冷媒ガスは、オイルセパレータ26を経て凝縮器12に流入し、そこで、凝縮器用送風機13の空冷により凝縮液化し、凝縮器12から流出してレシーバタンク30、フィルタドライヤ44、モイスチャインジケータ45を経て冷凍機ユニット3から出て電磁弁16を介して冷媒配管7を通り、各ショーケース5A、5Bに分配される。分配された液冷媒は各ショーケース5A、5Bの膨張弁17A、17Bにて減圧された後、蒸発器15A、15Bに流入して蒸発し、冷却作用を発揮する。蒸発器15A、15Bにより冷却された冷気は冷気循環用送風機14A、14Bにより各ショーケースの貯蔵室内に循環され、それによって、貯蔵室内に陳列された商品は冷却される。
各ショーケース5A、5Bの蒸発器15A、15Bから流出した冷媒は合流し、冷媒配管9を通って冷凍機ユニット3に戻り、各圧縮機11、11に吸い込まれる循環を繰り返す。尚、各冷媒配管7、9や冷凍機ユニット3、各ショーケース5A、5B内の冷媒回路には溶接箇所やネジ止め箇所、継ぎ手等が複数存在する。
次に、上記図1及び図2を参照して上記レシーバタンク30について詳述する。図2はレシーバタンク30の概略構成図を示している。レシーバタンク30は、縦長形状を呈し、内部に冷媒を貯留する冷媒貯留部32により構成されており、当該冷媒貯留部32上部に凝縮器12から流出した冷媒が流入する流入部32Aが、下部にフィルタドライヤ44に冷媒を流出させる流出部32Bが設けられている。そして、この冷媒貯留部32の側面には、内部に貯留されている冷媒液面を外部から視認可能とするサイトグラス35が上下に渡って所定間隔を存して複数設けられている。
また、本実施例において、この冷媒貯留部32には、内部に貯留されている冷媒量を検出するための複数のフロート式冷媒量センサ(レシーバタンク冷媒量センサ。冷媒量検出手段)36、37が設けられている。
フロート式冷媒量センサ36、37は、その上部と下部とが冷媒貯留部32と連通パイプ36B、37Bを介して連通した検出部36A、37Aを有しており、該検出部36A、37A内の冷媒液面は、冷媒貯留部32内の冷媒液面と略同一とされる。そして、各検出部36A、37A内には、冷媒量センサ36、37を構成する複数のフロート31・・と、各フロート31によって開閉される複数の接点33・・が設けられている。各フロート31は、連通パイプ36B、37Bを介して冷媒貯留部32内の冷媒が検出部36A、37A内に流入出することで、冷媒貯留部32内の冷媒液面と共に上下するものであり、所定間隔を存して上下に設けられている。本実施例では、冷媒量センサ36、37はいずれもフロート31が8個、それらに対応する接点33が8個設けられた8接点のフロートセンサである。
これにより、各フロート式冷媒量センサ36、37の接点33・・の開閉を検出することにより、レシーバタンク30(冷媒貯留部32)内の冷媒液面を的確に検出することができる。
各フロート式冷媒量センサ36、37は、各接点33・・の位置が上下方向で相互にずれるかたちで配置されている。図2では一方の冷媒量センサ36が他方の冷媒量センサ37の上となるように配置されている。本実施例では、フロート式冷媒量センサ36、37が重複する部分が、冷媒液面が最も一般的な位置(レベル。通常、冷媒貯留部32の中央)となるように設けられている。また、相互にずれた状態で、各センサ36、37の重複する部分では、各接点33・・の間隔は、一方のみの接点33・・の間隔の略半分(略1/2)となるように設定される。
そのため、例えば、一つの冷媒量センサの各接点33の間隔が仮に全体量の10%に相当するとしたとき、下側にずれて配置された冷媒量センサ37のみならず、上側にずれて配置された冷媒量センサ36のすべての接点33がフロート31によって閉じた場合(ON)の場合、レシーバタンク30の冷媒量(液冷媒量)は満杯(100%)と検出される。上側の冷媒量センサ36の一番上の接点33のみがOFFでその他すべての接点33がONの場合、レシーバタンク30の冷媒量は全体から10%減った量と検出される。
この際、一つしか冷媒量センサが設けられていない場合には、一番上の接点33と、その直ぐ下の接点33との間に冷媒液面がある場合には、一番上の接点33のみがOFFとなり、それより下の接点33はONとされることとなるが、これでは、全体の10%減少した冷媒液面であるか、20%には満たない例えば19%減少した冷媒液面であるかを判定することができない。
しかし、本実施例では、冷媒液面が最も一般的な位置には、複数(この場合、2つ)の冷媒量センサ36、37が上下方向で相互にずれるかたちで設けられているため、上側にずれた冷媒量センサ36の重複部分で一番上の接点33より上がOFFとなり、下側にずれた冷媒量センサ37の一番上の接点33がONとなった場合、レシーバタンク30の冷媒液面は、冷媒量センサ36の重複部分で一番上の接点33と冷媒量センサ37の一番上の接点33との間であると判定できる。
従って、この場合、冷媒量センサ36の重複部分で一番上の接点33より上がOFF、その下側の接点33がONとなり、下側にずれた冷媒量センサ37の一番上の接点33が更にOFFとなった場合、多くとも当該重複部分で全体の10%に満たない(例えば9%)分の減少があったと判定でき、冷媒量センサ36の重複部分で上から2番目の接点33がOFFとなって初めて重複部分で全体の10%の減少があったと判定することが可能となる。従って、フロート式冷媒量センサを複数設け、各接点33の間隔を全体の10%に相当する量の冷媒量とした場合、その精度を10%とすることができる。
このように、各フロート式冷媒量センサ36、37の接点33・・の位置が上下方向で相互にずれるかたちで配置されることにより、係る重複する部分では、接点33・・の間隔が小さくなり、これにより、分解能を高くすることができる。従って、冷媒液面の検出精度を向上させることができる。
尚、本実施例では、フロート式冷媒量センサは上下方向に接点33・・が相互にずれた状態で2つ設けられているが、これに限定されるものではなく、同様のフロート式冷媒量センサを3つ以上設けこれらを上下方向に接点33・・が相互にずれた状態で設けることでこれら冷媒量センサによって検出される冷媒量の分解能を増大させることができる。
レシーバタンク冷媒量センサは、これ以外にも、冷媒貯留部32にレシーバタンク30内の冷媒の温度を検出するレシーバタンク温度センサ(レシーバタンク温度検出手段)50(図1参照)を上下に複数、(図1では、5個示しているが、これに限定されず、例えば8個〜16個)設けることによって構成してもよい。
レシーバタンク30内の冷媒は、液状態とガス状態とでは、その温度が異なるため、各レシーバタンク温度センサ50の温度を検出することにより、温度が所定値より低い場合、当該高さにおける位置では冷媒あり、所定温度以上の場合、当該高さにおける位置では冷媒無しと判断することができ、その冷媒液面を的確に検出することが可能となる。
この場合においても、フロート式冷媒量センサによってレシーバタンク冷媒量センサを構成した場合と同様に、上下に複数設けられたレシーバタンク温度センサ50を複数組、上下方向で相互に位置がずれるかたちで配置してもよい。これにより、各組のレシーバタンク温度センサ50の間隔が小さくなり、分解能が高くなる。そのため、冷媒液面の検出精度を向上させることができる。
尚、フロート式冷媒量センサ36、37又は複数のレシーバタンク温度センサ50によりレシーバタンク冷媒量センサを構成する場合、本実施例のようにレシーバタンク30が縦長形状を呈していることで、レシーバタンク30内における冷媒液面の変化を生じさせやすくなり、後述するような精度の高い冷媒量検出を実現することができる。
これ以外にもレシーバタンク冷媒量センサとして、レシーバタンク30自体の重量を検出する計量器によって構成してもよい。これにより、レシーバタンク30内に貯留された冷媒量を計量器によって適切に検出することができる。
次に、図3において2は店舗の事務室やメンテナンス会社等に設置されたマスターコントローラ、6は冷凍機ユニット3に設けられた冷凍機コントローラ、8は各ショーケース5A、5B・・にそれぞれ設けられたショーケースコントローラである。各コントローラ2、6、8は、いずれも汎用のマイクロコンピュータにより構成され、通信線10にて接続されて、相互にデータの送受信を行うことにより、冷凍装置Rの制御手段を構築し、冷凍機ユニット3や各ショーケース5A、5Bを集中制御する。
冷凍機コントローラ6の出力側には、前記圧縮機11、11や凝縮器用送風機13、電磁弁16等が接続され、入力側には吐出温度センサ(吐出温度検出手段)47と、凝縮器入口側温度センサ(凝縮器入口側温度検出手段)48と、凝縮器出口側温度センサ(凝縮器出口側温度検出手段)49と、レシーバタンク温度センサ(レシーバタンク温度検出手段)50と、冷凍機ユニット出口側温度センサ(冷凍機ユニット出口側温度検出手段)51と、蒸発器入口側温度センサ(蒸発器入口側温度検出手段)52A、52Bと、蒸発器出口側温度センサ(蒸発器出口側温度検出手段)53A、53Bと、吸込温度センサ(吸込温度検出手段)54と、高圧圧力センサ(高圧圧力検出手段)46、低圧圧力センサ(低圧圧力検出手段)55と、レシーバタンク圧力センサ(レシーバタンク圧力検出手段)56、各フロート式冷媒量センサ(レシーバタンク冷媒量センサ)36、37が接続されている。
吐出温度センサ47は、圧縮機11の吐出口23に接続された冷媒吐出管24に設けられ、圧縮機11から吐出された吐出冷媒温度を検出する。高圧圧力センサ46は、オイルセパレータ26と凝縮器12との間に設けられ、圧縮機11から吐出された冷媒の吐出圧力を検出する。凝縮器入口側温度センサ48は、凝縮器12に流入する冷媒温度を検出するものであり、凝縮器出口側温度センサ49は、凝縮器12から流出した冷媒温度を検出する。
冷凍機ユニット出口側温度センサ51は、レシーバタンク30とフィルタドライヤ44との間に設けられて、冷凍機ユニット3から流出する液冷媒温度を検出する。蒸発器入口側温度センサ52A、52Bは、それぞれの蒸発器15A、15Bに流入する冷媒温度を検出するものであり、蒸発器出口側温度センサ53A、53Bは、それぞれの蒸発器15A、15Bから流出した冷媒温度を検出する。
吸込温度センサ54は、アキュムレータ27の下流側であって、各圧縮機11に接続される冷媒導入管22、22の合流部手前に設けられ、各圧縮機11に吸い込まれる冷媒温度を検出する。低圧圧力センサ55は、ストレーナ28とアキュムレータ27との間に設けられて、当該冷媒回路1の低圧側の圧力を検出する。
レシーバタンク圧力センサ56は、レシーバタンク30内の圧力を検出するものであり、レシーバタンク温度センサ50は、レシーバタンク30内の温度を検出するものである。尚、レシーバタンク冷媒量センサとしてフロート式冷媒量センサ36、37を設けた場合には、レシーバタンク温度センサ50は、単一でよく、レシーバタンク冷媒量センサとしてレシーバタンク温度センサ50を複数設けた場合には、フロート式冷媒量センサを設ける必要はない。この場合、レシーバタンク冷媒量センサを構成するレシーバタンク温度センサ50の内の一つをレシーバタンク30内の温度を検出するレシーバタンク温度センサ50として用いるものとする。
他方、各ショーケース5A、5Bにそれぞれ設けられたショーケースコントローラ8・・の出力側には、前記冷気循環用送風機14A、14Bや膨張弁17A、17Bが接続され、入力側には各ショーケース5A、5Bの貯蔵室内の温度を検出する庫内温度センサ57A、57B等が接続されている。
マスターコントローラ2は、読み書き可能な不揮発性メモリやハードディスク等から構成される記憶装置(記憶手段)61や、キーボードやマウス等の入力装置及びプリンタやディスプレイ等の出力装置(併せて端末4)の他、ブザーやランプから成る警報装置60を備えている。記憶装置61には、霜取り制御を含む制御動作用のソフトウエアが予め書き込まれ、保持されている。また、マスターコントローラ2の基板には、7セグメントによる表示部62が設けられている。
以下に、冷凍装置Rの冷却動作を説明する。各ショーケース5A、5Bのショーケースコントローラ8・・は、庫内温度センサ57A、57Bの出力に基づき、所定の上限温度で膨張弁17A、17Bを開き、下限温度で膨張弁17A、17Bを全閉とする。また、蒸発器15A、15Bの過熱度に基づいて膨張弁17A、17Bの弁開度を制御する。それによって、各貯蔵室内の温度を前記上限温度と下限温度の間の設定温度に維持する。
冷凍機コントローラ6は、低圧圧力センサ55の出力に基づき、電磁弁16を開いたままですべてのショーケース5A、5Bの膨張弁17A、17Bが閉じられて低圧が所定の下限値まで低下した場合、各圧縮機11、11と凝縮器用送風機13を停止する。そして、電磁弁16を開いたままでいずれかのショーケース5A、5Bの膨張弁17A、17Bが開放された場合の低圧側の圧力上昇で圧縮機11、11及び凝縮器用送風機13を起動する。
このような各コントローラ6、8における運転制御に関するデータは通信線10を介してマスターコントローラ2に収集される。また、マスターコントローラ2には各ショーケース5A、5Bや冷凍機ユニット3における故障に関するデータも各コントローラ6、8から収集される。また、マスターコントローラ2からは各ショーケース5A、5Bの設定温度が各ショーケースコントローラ8に送信され、更に、霜取り制御に関するデータも送信される。これによって、マスターコントローラ2は各ショーケース5A、5Bや冷凍機ユニット3を集中制御可能とされている。
次に、冷凍装置Rにおける冷媒漏洩検出動作について説明する。先ず、冷媒漏洩検出動作に必要とされる基準値をマスターコントローラ2の記憶装置61に登録(記憶)するため、マスターコントローラ2は、冷凍装置Rの設置時(運転開始時)に、初期データの登録動作を実行する。以下、図4のフローチャートを参照して説明する。
(1)初期データの登録動作
マスターコントローラ2は、ステップS1において初期データの登録動作開始した場合、ステップS2に進み、各部の配管径、配管長等の入力を要求する。本実施例では、冷媒漏洩検出動作において、冷媒回路1を複数の領域に分割し、各領域内の冷媒密度と、予め把握される当該領域の容積から冷媒量を算出し、初期データの登録動作において登録された基準値と比較することで冷媒漏洩の判定を行う。
本実施例では、冷媒回路1を、蒸発器15A、15Bの出口から圧縮機11、11の吸込側までの領域を第1の領域、圧縮機11、11から凝縮器12の入口までの領域を第2の領域、凝縮器12内を第3の領域、凝縮器12の出口からレシーバタンク30の入口までの領域を第4の領域、レシーバタンク30内を第5の領域、レシーバタンク30の出口から蒸発器15A、15Bの入口までの領域を第6の領域、蒸発器15A、15B内を第7の領域に分割し、各領域について冷媒量を算出する(図5参照)。
そのため、ステップS2では、マスターコントローラ2からの要求に基づき、管理者は、各領域毎に各部の配管径、配管長等を端末4から入力を行う。第1の領域については蒸発器15A、15Bの出口に接続されたケース側冷媒配管19A、19B、これに接続された冷媒配管9、圧縮機11、11に至る冷媒導入管22の配管径と配管長を入力する。これに基づきマスターコントローラ2は、蒸発器15A、15Bの出口から圧縮機11、11の吸込側までの領域の容積を算出し、第1の領域の容積として記憶装置61に記憶する。
第2の領域については圧縮機11、11の容積、圧縮機11から凝縮器12の入口に至る冷媒吐出管25の配管径と配管長を入力する。これに基づきマスターコントローラ2は、圧縮機11から凝縮器12の入口までの領域の容積を算出し、第2の領域の容積として記憶装置61に記憶する。第3の領域については凝縮器12内の容積を入力し、第3の領域の容積として記憶装置61に記憶する。
第4の領域については凝縮器12の出口からレシーバタンク30の入口までの冷媒配管の配管径と配管長とを入力し、これに基づきマスターコントローラ2は凝縮器12の出口からレシーバタンク30の入口までの領域の容積を算出し、第4の領域の容積として記憶装置61に記憶する。
第6の領域についてはレシーバタンク30の出口から各蒸発器15A、15Bに至る冷媒配管7の配管径と配管長を入力し、これに基づきマスターコントローラ2はレシーバタンク30の出口から各蒸発器15A、15Bまでの領域の容積を算出し、第6の領域の容積として記憶装置61に記憶する。第7の領域については各蒸発器15A、15B内の容積を入力し、第7の領域の容積として記憶装置61に記憶する。
この際、凝縮器12や蒸発器15A、15Bの容積は、実際に設置されているショーケース5A、5Bや凝縮器ユニット(屋外に設置されたもの)によって異なり、詳細な容積を把握できない場合が多い。これら凝縮器及び蒸発器の容積が把握可能な場合には、記憶装置61に、第3の領域の容積及び第7の領域の容積として記憶することが可能であるが、把握できない場合には、入力を省略し、必要な領域のみ(本実施例では、第3の領域の容積及び第7の領域以外の、第1、第2、第4、第5、第6の領域)入力してもよい。以後、これら第3及び第7の領域は、容積が把握できない(不明)であるものとして説明する。尚、第5の領域の容積は、後述する如くレシーバタンク30内の冷媒液面レベルを検出することで取得する。
その後、マスターコントローラ2は、ステップS3に進み、冷媒封入動作を開始する。マスターコントローラ2の指示に基づき作業者が冷媒回路1内に冷媒封入を行った後、マスターコントローラ2は、封入された冷媒の種類と初期冷媒量の入力を要求する。これに基づき作業者は、端末4により冷媒の種類及び初期冷媒量を入力し、マスターコントローラ2は、記憶装置61に冷媒の種類及び初期冷媒量を記憶する。
その後、マスターコントローラ2は、ステップS6に進み、冷凍装置Rの試運転を開始する。この試運転では、マスターコントローラ2からの指示に基づいて、各ショーケース5A、5Bのショーケースコントローラ8・・が、上述した冷却動作と同様に膨張弁17A、17Bを制御し、冷凍機コントローラ6が圧縮機11や凝縮器用送風機13を制御し、貯蔵室内を上限温度と下限温度の間の設定温度に冷却する(サーモサイクル運転)。
そして、マスターコントローラ2は、ショーケースコントローラ8・・や冷凍機コントローラ6から収集されたデータに基づき、上記サーモサイクル運転で貯蔵室内の温度が上限温度と下限温度との間を維持する安定状態となったか否かを確認する(ステップS6)。安定状態となった場合、マスターコントローラ2は、冷凍機コントローラ6を介してフロート式冷媒量センサ36、37からレシーバタンク30の冷媒液面レベル(容積)を取得する(ステップS7)。
上述したように、冷凍機コントローラ6は、各フロート式冷媒量センサ36、37の各接点33・・の開閉状態を検出することでレシーバタンク30(冷媒貯留部32)内の冷媒液面レベルを容積として的確に検出することができる。これにより、当該冷媒の液面レベルに基づいてレシーバタンク30内の冷媒量の把握を可能とすることができる。
その後、マスターコントローラ2は、ステップS8に進み、各領域の冷媒量の算出を行う。具体的には、各領域の温度と圧力から当該領域内部の冷媒の密度を算出し、これに当該領域の前述した如く記憶装置61に記憶された容積、若しくは、フロート式冷媒量センサ36、37から検出された冷媒液面レベル(容積)を乗算することで、各領域の冷媒量を算出する。尚、冷媒回路1内に封入した冷媒の圧力及び温度から密度を算出する相関式は、予め作成しておき、マスターコントローラ2の記憶装置61に登録されているものとし、当該相関式を用いて密度を算出する。
第1の領域は、温度を吸込温度センサ54により検出し、圧力を低圧圧力センサ55により検出した値を採用して当該第1の領域の冷媒の密度を算出する。第2の領域は、温度を吐出温度センサ47により検出し、圧力を高圧圧力センサ46により検出した値を採用して当該第2の領域の冷媒の密度を算出する。
第3の領域は、温度を凝縮器入口側温度センサ48により検出された凝縮器12の入口温度と、凝縮器出口側温度センサ49により検出された凝縮器12の出口温度の平均値を算出した値を採用し、圧力を高圧圧力センサ46により検出した値を採用して当該第3の領域の冷媒の密度を算出する。この際、凝縮器12の内部では冷媒は液・ガスの状態変化があるが、算出に用いられる温度は、凝縮器12の入口と出口の温度の平均値であるため、精度よく第3の領域に相当する凝縮器12内の冷媒密度を取得することが可能となる。
第4の領域は、温度を凝縮器出口側温度センサ49により検出し、圧力を高圧圧力センサ46により検出した値を採用して当該第4の領域の冷媒の密度を算出する。第5の領域は、温度をレシーバタンク温度センサ50により検出し、圧力をレシーバタンク圧力センサ56により検出した値を採用して当該第5の領域の冷媒の密度を算出する。
第6の領域は、温度を冷凍機ユニット出口側温度センサ51により検出し、圧力をレシーバタンク圧力センサ56により検出した値を採用して当該第6の領域の冷媒の密度を算出する。
第7の領域は、温度を蒸発器入口側温度センサ52A、52Bにより検出された蒸発器15A、15Bの入口温度と、蒸発器出口側温度センサ53A、53Bにより検出された蒸発器15A、15Bの出口温度の平均値を算出した値を採用し、圧力を低圧圧力センサ55により検出した値を採用して当該第7の領域の冷媒の密度を算出する。この際、蒸発器15A、15Bの内部では冷媒は液・ガスの状態変化があるが算出に用いられる温度は、各蒸発器15A、15Bの入口と出口の温度の平均値であるため、精度よく第7の領域に相当する蒸発器15A、15B内の冷媒密度を取得することが可能となる。
本実施例では、上述したように第3及び第7の領域の容積は把握できない(不明である)。そのため、ステップS8では、第3及び第7の領域以外の必要な領域、即ち、第1の領域、第2の領域、第4の領域、第5の領域、及び、第6の領域の容積と冷媒の密度を乗算して各領域の冷媒量を算出する。
この際、第5の領域であるレシーバタンク30内の容積は、詳細は上述したように、各フロート式冷媒量センサ36、37の各接点33・・の開閉状態を検出することで得られたレシーバタンク30(冷媒貯留部32)内の冷媒液面レベルを採用し、これに基づいて当該領域の冷媒量の算出を行うことができるため、より精度良くレシーバタンク内の冷媒量を取得することができ、精度の高い冷媒漏洩検出を実現することができる。
また、第3及び第7の領域については、それぞれの冷媒密度を算出した後、それらの冷媒密度の比を算出する。
ステップS9において、マスターコントローラ2は、上記ステップS4において記憶された初期冷媒封入量から第1、第2、第4、第5及び第6の各領域の冷媒量を合算した量を減算して、第3及び第7の領域の冷媒量を算出する。そして、当該冷媒量と上記において算出された第3と第7の冷媒密度の比から、第3の領域(凝縮器12内)の冷媒量を算出し、当該第3の領域の冷媒量を通常運転漏洩基準値(予備検出用基準値)として記憶装置61に記憶(登録)する。
第3及び第7の領域の容積が不明な場合の式:
初期冷媒封入量−(第1の領域の冷媒量+第2の領域の冷媒量+第4の領域の冷媒量+第5の領域の冷媒量+第6の領域の冷媒量)=第3の領域の冷媒量+第7の領域の冷媒量
通常運転漏洩基準値=(第3の領域の冷媒量+第7の領域の冷媒量)×(第3の領域の冷媒密度/(第3の領域の冷媒密度+第7の領域の冷媒密度))
次に、マスターコントローラ2は、ステップS10に進み、ポンプダウン運転及び一斉霜取り運転を実行する。この際、マスターコントローラ2から冷凍機コントローラ6及びすべてのショーケースコントローラ8・・に霜取り開始データが送信されるので、冷凍機コントローラ6は圧縮機11及び凝縮器用送風機13を停止させると共に、電磁弁16を開放したままとし、ショーケースコントローラ8によって膨張弁17A、17Bを閉じる。尚、絞り手段として膨張弁ではなくキャピラリーチューブを採用していた場合、電磁弁16を閉じて霜取り運転を行う。
これにより、各蒸発器15A、15Bには、冷媒が流入しなくなり、蒸発器15A、15Bの温度が上昇していき、該蒸発器に付着した霜が融解除去される。当該霜取り運転は、蒸発器15A、15Bが所定の除霜終了温度となると終了される。
係る霜取り運転を実行している際に、冷凍機コントローラ6は、圧縮機11及び冷気循環用送風機14A、14Bを運転して、蒸発器15A、15B内の冷媒を回収するポンプダウン運転を実行する。尚、当該ポンプダウン運転は、数回に分けて実行してもよい。
そして、マスターコントローラ2は、ステップS11に進み、冷凍機コントローラ6を介してフロート式冷媒量センサ36、37からレシーバタンク30の冷媒液面レベル(容積)を取得する。
その後、マスターコントローラ2は、ステップS12に進み、上記ステップS8と同様に、各領域の温度と圧力を検出してこれらから当該領域内部の冷媒の密度を算出し、これに当該領域の前述した如く記憶装置61に記憶された容積、若しくは、フロート式冷媒量センサ36、37から検出された冷媒液面レベル(容積)を乗算することで、各領域の冷媒量を算出する。
本実施例では、第3及び第7の領域の容積は不明であるため、第1の領域、第2の領域、第4の領域、第5の領域、及び、第6の領域の容積と冷媒の密度を乗算して各領域の冷媒量を算出し、第3及び第7の領域については、それぞれの冷媒密度を算出した後、それらの冷媒密度の比を算出する。
そして、ステップS13において、マスターコントローラ2は、上記ステップS4において記憶された初期冷媒封入量から第1、第2、第4、第5及び第6の各領域の冷媒量を合算した量を減算して、第3及び第7の領域の冷媒量を算出する。そして、当該冷媒量と上記において算出された第3と第7の冷媒密度の比から、第3の領域(凝縮器12内)の冷媒量を算出し、当該第3の領域の冷媒量をポンプダウン漏洩基準値(詳細検出用基準値)として記憶装置61に記憶(登録)する。
その後、マスターコントローラ2は、ステップS14に進み、ポンプダウン運転の解除及び一斉霜取り運転の解除を行い、全ショーケースコントローラ8は、膨張弁を所定の弁開度に開放し、冷凍機コントローラ6は圧縮機11及び凝縮器用送風機13を起動して、通常の冷却運転を再開する(ステップS15)。以上により、マスターコントローラ2は、初期データの登録動作を終了する。
(2)冷媒漏洩検出動作
次に、本実施例における冷媒漏洩検出動作について図6のフローチャートを参照して説明する。マスターコントローラ2は、通常の冷却運転を開始し(ステップS21)、所定の周期で、冷媒漏洩の予備検出を実行する。
(2−1)予備検出動作
マスターコントローラ2は、通常の冷却運転を開始してから、所定期間経過後、若しくは、前回の予備検出動作若しくは詳細検出動作を終了してから所定期間経過後に、ステップS22に進み、予備検出動作を実行する。先ずはじめに、マスターコントローラ2は、ショーケースコントローラ8・・や冷凍機コントローラ6から収集されたデータに基づき、サーモサイクル運転で貯蔵室内の温度が上限温度と下限温度との間を維持する安定状態となったか否かを確認し、安定状態となった場合、マスターコントローラ2は、冷凍機コントローラ6を介してフロート式冷媒量センサ36、37からレシーバタンク30の冷媒液面レベル(容積)を取得する(ステップS22)。
その後、マスターコントローラ2は、ステップS23に進み、上述した如きステップS8と同様に、各領域の冷媒量の算出を行う。本実施例では、上述したように第3及び第7の領域の容積は把握できないため、第1の領域、第2の領域、第4の領域、第5の領域、及び、第6の領域の温度と圧力から当該領域内部の冷媒の密度を算出し、これに当該領域の前述した如く記憶装置61に記憶された容積、若しくは、フロート式冷媒量センサ36、37から検出された冷媒液面レベル(容積)を乗算することで、各領域の冷媒量を算出する。第3及び第7の領域については、それぞれの領域の温度と圧力から当該領域内部の冷媒密度を算出した後、それらの冷媒密度の比を算出する。尚、算出方法については、ステップS8と同様とする。
その後、マスターコントローラ2は、ステップS24に進み、初期データ登録動作において記憶された初期冷媒封入量から、ステップS23で算出された第1、第2、第4、第5及び第6の各領域の冷媒量を合算した量を減算して、第3及び第7の領域の冷媒量を算出する。そして、当該冷媒量と上記において算出された第3と第7の冷媒密度の比から、第3の領域(凝縮器12内)の冷媒量を算出し、当該第3の領域の冷媒量が初期データ登録動作において記憶された通常運転漏洩基準値に対して許容範囲であるか否かを判断する。尚、該判定に用いられる第3の領域の冷媒量は、常時移動平均を採用する。
即ち、当該ステップS24において算出された第3の領域の冷媒量が、通常運転漏洩基準値より所定の許容範囲よりも大きくなっていれば、その他の領域の分が減っていると判断でき、これにより、冷媒漏洩と判定することができる。
当該通常運転漏洩基準値は、初期データの登録動作において記録装置61に記憶されているため、当該予備検出動作において算出された第3の領域の冷媒量と、運転開始時における初期データ登録動作において算出された当該第3の領域の冷媒量(通常運転漏洩基準値)とを比較することにより、冷媒回路からの冷媒漏洩を迅速且つ容易に検出することができるようになる。
そして、当該ステップS24にて冷媒漏洩と判定されなかった場合、即ち、算出された第3の領域の冷媒量が通常運転漏洩基準値と比較して許容範囲内であった場合、ステップS25に進み、マスターコントローラ2は、現在の設定が定期漏洩検知ONとなっている(定期漏洩検知モードである)か否かを判断する。この定期漏洩検知は、運転開始時における各種設定において、当該予備検知動作において冷媒漏洩判定となったか否かに関わらず、定期的に(予備検出動作の周期よりも少なくとも長い周期で)詳細検知動作を実行するか否かを設定するものである。ここで、定期漏洩検知がONと設定されていた(定期漏洩検知モードである)場合には、後述するステップS29に進み、OFFと設定されていた場合には、ステップS26に進む。
ステップS26に進んだ場合、マスターコントローラ2は、定時霜取り運転であるか否かを判断して、定時霜取りでない場合には、ステップS22に戻り、定時霜取りのタイミングである場合には、ステップS27に進んで、マスターコントローラ2から冷凍機コントローラ6及びすべてのショーケースコントローラ8・・に霜取り開始データが送信される。
これにより、冷凍機コントローラ6は圧縮機11及び凝縮器用送風機13を停止させると共に、電磁弁16を開放したままとし、ショーケースコントローラ8によって膨張弁17A、17Bを閉じる。尚、絞り手段として膨張弁ではなくキャピラリーチューブを採用していた場合、電磁弁16を閉じて霜取り運転を行う。これにより、各蒸発器15A、15Bには、冷媒が流入しなくなり、蒸発器15A、15Bの温度が上昇していき、該蒸発器に付着した霜が融解除去される。当該霜取り運転は、蒸発器15A、15Bが所定の除霜終了温度となると終了される。霜取り運転終了後、マスターコントローラ2は、ステップS21に戻り、通常の冷却運転を開始する。
一方、上記ステップS24の予備検出動作において冷媒漏洩と判定された場合、即ち、算出された第3の領域の冷媒量が通常運転漏洩基準値と比較して許容範囲内でなかった場合、冷媒漏洩が疑わしいとしてステップS28に進み、マスターコントローラ2の基板の7セグメントによる表示部62に内部警報を発する。
上述した如き予備検出動作では、第3の領域(凝縮器12内)と、第7の領域(蒸発器15A、15B内)の容積が不明であるため、これら領域内の冷媒量が不明確である。特に、蒸発器15A、15B内には、冷媒が寝込みやすく、その誤差が大きく影響し、誤って寝込んだ冷媒量が算出されず、その分、冷媒漏洩したものと見なされてしまう場合がある。そのため、予備検出動作で冷媒漏洩と判定された場合には、詳細検出動作を実行する。
(2−2)詳細検出動作
マスターコントローラ2は、ステップS29に進み、ポンプダウン運転及び一斉霜取り運転を実行する。この際、マスターコントローラ2から冷凍機コントローラ6及びすべてのショーケースコントローラ8・・に霜取り開始データが送信されるので、冷凍機コントローラ6は圧縮機11及び凝縮器用送風機13を停止させると共に、電磁弁16を開放したままとし、ショーケースコントローラ8によって膨張弁17A、17Bを閉じる。尚、絞り手段として膨張弁ではなくキャピラリーチューブを採用していた場合、電磁弁16を閉じて霜取り運転を行う。
係る霜取り運転を実行している際に、冷凍機コントローラ6は、圧縮機11及び冷気循環用送風機14A、14Bを運転して、蒸発器15A、15B内の冷媒を回収するポンプダウン運転を実行する。尚、当該ポンプダウン運転は、数回に分けて実行してもよい。
そして、マスターコントローラ2は、ステップS30に進み、冷凍機コントローラ6を介してフロート式冷媒量センサ36、37からレシーバタンク30の冷媒液面レベル(容積)を取得する。
その後、マスターコントローラ2は、ステップS31に進み、上記ステップS23と同様に、各領域の冷媒量の算出を行う。本実施例では、上述したように第3及び第7の領域の容積は把握できないため、冷媒漏洩検出に必要な領域、即ち、第1の領域、第2の領域、第4の領域、第5の領域、及び、第6の領域の温度と圧力から当該領域内部の冷媒の密度を算出し、これに当該領域の前述した如く記憶装置61に記憶された容積、若しくは、フロート式冷媒量センサ36、37から検出された冷媒液面レベル(容積)を乗算することで、各領域の冷媒量を算出する。第3及び第7の領域については、それぞれの領域の温度と圧力から当該領域内部の冷媒密度を算出した後、それらの冷媒密度の比を算出する。尚、算出方法については、ステップS23と同様とする。
その後、マスターコントローラ2は、ステップS32に進み、初期データ登録動作において記憶された初期冷媒封入量から、ステップS31で算出された第1、第2、第4、第5及び第6の各領域の冷媒量を合算した量を減算して、第3及び第7の領域の冷媒量を算出する。そして、当該冷媒量と上記において算出された第3と第7の冷媒密度の比から、第3の領域(凝縮器12内)の冷媒量を算出し、当該第3の領域の冷媒量が初期データ登録動作において記憶されたポンプダウン漏洩基準値を比較し(ステップS32)当該ポンプダウン漏洩基準値に対して当該算出された第3の領域の冷媒量が許容範囲であるか否かを判断する(ステップS33)。
即ち、当該ステップS31において算出された第3の領域の冷媒量が、ポンプダウン漏洩基準値より所定の許容範囲よりも大きくなっていれば、その他の領域の分が減っていると判断でき、これにより、冷媒漏洩と判定することができる。
そのため、当該詳細検出動作において算出された第3の領域の冷媒量と、運転開始時における初期データ登録動作においてポンプダウン運転を伴った状態で算出された当該第3の領域の冷媒量(ポンプダウン漏洩基準値)とを比較することにより、冷媒回路からの冷媒漏洩を迅速且つ容易に検出することができるようになる。
特に、当該詳細検出動作では、レシーバタンク30内に蒸発器15A、15B内に寝込んだ冷媒を回収するポンプダウン運転を実行することにより、係る蒸発器内などに寝込んだ冷媒を回収し、殆どない状態として、冷媒漏洩判定を行うことができるようになり、不明確な領域の中の寝込み冷媒を最小限とし、誤差をより小さくすることができる。
従って、通常運転状態において周期的に実行される予備検出動作によって冷媒漏洩が疑わしいかどうかを判定し、冷媒漏洩と判定された場合にのみ、ポンプダウン運転を伴う詳細検出動作を実行することにより、通常の冷却運転に与える影響を最小限とし、高い精度で第3の領域(凝縮器12内)の冷媒量を特定することができる。そのため、冷媒漏洩検出の精度をより一層高いものとすることができる。
そして、当該ステップS33にて冷媒漏洩と判定されなかった場合、即ち、算出された第3の領域の冷媒量がポンプダウン漏洩基準値と比較して許容範囲内であった場合、ステップS35に進み、当該ステップS33にて冷媒漏洩と判定された場合、即ち、算出された第3の領域の冷媒量がポンプダウン漏洩基準値と比較して許容範囲内でなかった場合、ステップS34に進む。ステップS34では、マスターコントローラ2からの出力に基づき、警報装置(ブザーやランプ)60による警報動作を実行し、その後、ステップS35に進む。これにより、冷媒漏洩の発生を早期に使用者に知らせて漏洩量を最低限に抑えることが可能となり、貯蔵室内の物品の劣化や環境への悪影響を最小限に抑制することができるようになる。
ステップS35では、マスターコントローラ2から冷凍機コントローラ6及びすべてのショーケースコントローラ8・・に霜取り終了(解除)データが送信される。そして、ステップS36に進んでステップS21に戻り、通常の冷却運転を開始する。
以上の如く詳述したように、本実施例では、予備検出動作及び詳細検出動作のいずれにおいても、冷媒回路を複数の領域に分割し、冷媒漏洩の検出に必要な領域の温度及び圧力から当該領域内の冷媒密度を算出し、該冷媒密度に当該領域の容積を乗算することで冷媒量を算出し、算出された冷媒量に基づいて冷媒回路からの冷媒漏洩を判定する。そのため、冷媒の状態が異なる各領域を分割し、冷媒の状態が分かる領域と、冷媒の状態の把握が困難な領域とを分けて冷媒量の算出を行うことができる。
そのため、上述したように、第3の領域に相当する凝縮機12内及び第7の領域に相当する蒸発器15A、15B内は、内部の冷媒の状態やそれ自体の容量が把握し難いが、それ以外の容量が把握可能な(必要な領域である)第1の領域、第2の領域、第4の領域、第5の領域、及び、第6の領域の冷媒量を算出し、これらを初期冷媒封入量から減算して第3の領域と第7の領域の冷媒量を算出すると共に、当該第3の領域と第7の領域の冷媒密度を算出し、算出された各冷媒密度の比から得られる第3の領域の冷媒量と、当該第3の領域の冷媒量に関する基準値とを比較して冷媒漏洩を判定することにより、冷媒の状態が分からない領域を第3の領域のみに特定し、予備検出動作では通常運転漏洩基準値と、詳細検出動作ではポンプダウン漏洩基準値と比較することで、冷媒漏洩検出の精度をより向上させることができる。
尚、本実施例では、初期データの登録動作において、容積が不明な第3と第7の領域の冷媒密度の比から第3の領域の冷媒量を算出して通常運転漏洩基準値又はポンプダウン運転漏洩基準値とし、これを用いて予備検出動作又は詳細検出動作において冷媒漏洩判定を行っているが、これに限定されるものではなく、冷媒漏洩の判定基準として、初期冷媒封入量から、容積が把握可能な各領域(第1、第2、第4、第5及び第6の領域)の冷媒量を減算して得られる第3及び第7の領域の冷媒量を採用してもよい。
これにより、初期冷媒封入量から第1、第2、第4、第5、第6の領域の冷媒量を減算した値によって、これら第3及び第7の領域の現在の値を把握し、これとこれらの基準値とを比較することで、冷媒回路内の冷媒漏洩を迅速且つ、容易に検出することができるようになる。
尚、すべての領域の容積が把握可能である場合には、各領域の容積に対応する各領域の冷媒の密度を乗算してそれぞれの領域の冷媒量を算出する。そして、初期冷媒封入量から各領域の冷媒量を合算した量を減算して得られた値を通常運転漏洩基準値、又は、ポンプダウン運転漏洩基準値として採用してもよい。
全領域の容積が把握可能な場合の式:
通常運転漏洩基準値=初期冷媒封入量−(第1の領域の冷媒量+第2の領域の冷媒量+第3の領域の冷媒量+第4の領域の冷媒量+第5の領域の冷媒量+第6の領域の冷媒量+第7の領域の冷媒量)
この場合、冷媒回路内の冷媒漏洩をより精度の高く、且つ迅速に検出することが可能となる。
また、本実施例では、詳細検出動作を行う際には、ポンプダウン運転を実行し、蒸発器15A、15B内の冷媒を吸引する動作を実行するが、これに伴って、ステップS29では当該蒸発器15A、15Bに付着した霜を融解除去する霜取り動作を実行する。そのため、ポンプダウン運転において蒸発器15A、15B内の冷媒が吸引され、蒸発器15A、15Bの温度が上昇してしまう際に、同様に蒸発器の温度を上昇させる霜取を行うことで、効率的な霜取及び冷媒漏洩の判定を実行することができる。
更に、本実施例では、マスターコントローラ2は、ステップS25において、定期漏洩検知の設定がONとなっているか否かを判定し、定期漏洩検知の設定がONとなっている場合には、予備検出動作において冷媒漏洩と判定されたか否かにかかわらず、即ち、冷媒漏洩と判定されていない場合であっても、定期的に詳細検出動作を実行することとしている。そのため、定期的に詳細検出動作を行うことが可能となり、これによっても、精度の高い冷媒漏洩検出を実現することができる。
特に、本実施例のように冷媒としてHFCを採用した場合、冷媒回路にレシーバタンク30を設けて比較的多量の冷媒が封入されることとなり、冷媒漏洩を検出し難いこととなるが、以上詳述したように、本願発明によれば、高い精度で初期データ登録動作時における基準値と、各検出動作において算出された冷媒量とを比較することが可能となり、冷媒漏洩を迅速的確に発見することが可能となる。