JP5788184B2 - 容器用蓋 - Google Patents

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本発明は、容器本体の開口部に対して着脱自在であり、ストローを挿入するための切り込み部を有する容器用蓋に関する。
従来、アイスコーヒー等の飲料を入れる容器には、容器本体に蓋を嵌合させるものが用いられてきた。図8に従来の嵌合蓋付き容器の一例を示す。同図に示す嵌合蓋付き容器90は、容器本体91と、容器本体91に対して着脱自在の嵌合蓋95とを備える。従来の容器にあっては、液体を収容した状態で傾けると、容器本体と嵌合蓋の隙間やストローを挿入するための切り込み部97から液体が漏れるという問題があった。
特許文献1には、ストローを挿入するための切り込み部から飲料が漏れるのを防止することを目的とした飲料容器用蓋が開示されている。この文献に記載の蓋は、切込線部の途中に非切込部を有するものである。
特開2010−137902号公報
ところで、特許文献1に記載の飲料容器用蓋は、切込線部にストローを挿入する際、ストローによって非切込部を切断する必要がある。その際、非切込部の破片が飲料に混入するおそれがある。また、非切込部の存在により、蓋にストローを突き刺しにくくなり、ストローが折れ曲がるなどの問題を招来する。
本発明は、ストローを挿入するための切り込み部から液体が漏れるのを十分に防止できる容器用蓋を提供することを目的とする。
本発明に係る容器用蓋は、容器本体の開口部に対して着脱自在であり、ストローを挿入するための十字形状の切り込み部を有するものであって、当該蓋の一方面上において、切り込み部はその中心から端部に向けて幅が狭くなっており、当該蓋の他方面側において、切り込み部を形成する端面同士が当接していることを特徴とする。
本発明において、切り込み部の形状は十字形状に限定されるものではない。本発明に係る容器用蓋は、容器本体の開口部に対して着脱自在であり、ストローを挿入するための切り込み部を有し、当該蓋の一方面上において、切り込み部の端部が尖形であり、当該蓋の他方面側において、切り込み部を形成する端面同士が当接していることを特徴とするものであってもよい。
従来の容器用蓋は、ストローを挿入する前であっても十字形状の切り込み部を形成する4つの片の断面が互いに当接せず、図9に示すように、上下にズレやすい。同図に示すような状態の蓋が嵌められた容器に収容した飲料は、容器が傾くと切り込み部から漏れ出てしまう。これに対し、本発明の容器用蓋は、切り込み部の端部を尖形としたことで、特に、十字形状の切り込み部の場合は、切り込み部の中心から端部に向けて幅が狭くなるように設けたことで、切り込み部を形成する4つの片が上下にズレにくくなり、両者が当接した状態を十分に維持しやすい。これにより、切り込み部から液体が漏れるのを十分に防止できる。
また、本発明の容器用蓋は、特許文献1に記載の飲料容器用蓋のような非切込部を有するものではないので、破片が飲料に混入するおそれはなく、また、比較的弱い力でストローを切り込み部に突き刺すことができる。
本発明において、切り込み部から液体が漏れるのをより高度に防止する観点から、切り込み部の端部は、当該蓋の法線方向に対して傾斜するように設けられており、当該蓋の一方面から他方面にかけて貫通していない部分を有することが好ましい(図4参照)。
本発明の容器用蓋は、容器本体の開口部に当該蓋を嵌めたとき、容器から遠ざかる方向に隆起する部分を有し、当該部分に切り込み部が形成されていることが好ましい。切り込み部を設ける位置を容器本体から遠ざけることで、容器が揺れても切り込み部に飲料が到達しにくくなり、飲料が切り込み部から漏れるのをより一層十分に防止できる。
本発明によれば、ストローを挿入するための切り込み部から液体が漏れるのを十分に防止できる。
図1は本発明に係る蓋を備えた容器の一例を示す斜視図である。 図2の(a)は図1に示す容器の端面図であり、図2の(b)は図2の(a)の部分拡大図である。 図3は本発明に係る蓋が有する切り込み部の態様の一例を示す平面図である。 図4は図3のIV−IV線における断面図である。 図5は図1に示す容器の液漏れ試験の様子を示す斜視図である。 図6は切り込み部の幅測定の結果を示す図である。 図7はストロー突刺し試験に用いた容器の切り込み部の寸法及び試験結果を示す図である。 図8は従来の蓋を備えた容器の一例を示す斜視図である。 図9は従来の蓋に設けられた切り込み部の状態を示す斜視図である。
図1−4を参照しながら、本発明に係る容器用蓋(以下。単に「蓋」という。)5を備えた嵌合蓋付き容器(以下、単に「容器」という。)10について説明する。
容器10は、開口部11aを有する容器本体11と、容器本体11に対して着脱自在の蓋5とを備える。蓋5及び容器本体11をなす材料としては、プラスチック、紙、発泡スチロールなどが挙げられる。これらの材料のうち、加工性や機械的強度、デザイン性等の観点から透明なプラスチック材料(例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET))が好ましい。蓋5の材料と容器本体11の材料は、同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
蓋5は、図1に示すとおり、ストローを挿入するための十字形状の切り込み部7を中央部分に有する。切り込み部7は、図3に示すとおり、蓋5の外側面F1上において、その中心Aから端部Bに向けて幅が狭くなり、端部Bは尖形となっている。外側面F1上の中心Aの幅(図3の幅W)は、1000μm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましい。この幅が1000μmを超えると、液漏れしやすくなる。十字形状の切り込み部7の一方のラインの長さ(図3の長さL)は、2〜50mmであることが好ましく、5〜30mmであることがより好ましい。この長さが2mm未満であると、ストローが挿入しにくくなり、50mmを超えると、内容物の内圧によって当接部が変形し、液体が漏れやすい。なお、図3は、切り込み部7の幅Wを誇張して図示しており、上記の寸法とは必ずしも一致しない。また、切り込み部7は少なくとも端部Bが尖形であればよく、必ずしも図3に示すように中心Aから端部Bに向けて連続的に幅が狭くなる態様でなくてもよく、例えば、中心Aから端部Bの間に幅が一定の部分があってもよい。
上記態様の切り込み部7を蓋5に設けたことで、切り込み部7を形成する4つの片7a−7dが上下にズレにくくなり、これらの片の端面が当接した状態を十分に維持しやすい。これにより、切り込み部7から液体が漏れるのを十分に防止できる。
切り込み部7から液体が漏れるのをより高度に防止する観点から、図4に示すように、切り込み部7の端部は、蓋5の法線方向(図4の矢印Z)に対して傾斜するように設けられており、蓋5の外側面F1から内側面F2にかけて貫通していない部分5aを有することが好ましい。図4は、図3のIV−IV線における断面図であり、十字形状の切り込み部7の一方のラインの延在方向であり且つ蓋5の法線方向Zの断面を示す図である。端部の傾斜角(図4の角度α)は、3〜80°であることが好ましく、5〜30°であることがより好ましい。この角度が3°未満であると、ライン長さ(L)の貫通する部分が小さくなりストロー挿入がしづらくなり、80°を超えると、端部が尖形にならず、液体が漏れやすい。
なお、蓋5の外側及び内側と、切り込み部7の端部の傾斜の向きとの関係は、図3,4に示したものに限定されず、逆の関係であってもよい。
蓋5は、容器本体11に蓋5を嵌めたとき、容器本体11から遠ざかる方向に隆起した部分6を有し、図1に示すように、この部分6に切り込み部7が形成されていることが好ましい。切り込み部7を設ける位置を容器本体11から遠ざけることで、容器10が揺れても切り込み部7に飲料が到達しにくくなり、飲料が切り込み部7から漏れるのをより一層十分に防止できる。
蓋5の爪部5cは、蓋5の周縁部からその全周にわたって容器本体11の方向に延在している。爪部5cは、先端の内径がフランジ12の外径よりもやや大きくなっており、蓋5をフランジ12に装着しやすいようになっている。
上記のような切り込み部7を有する蓋5は以下のようにして作製できる。まず、切り込み部7が形成されていない蓋を準備する。この蓋の中心部にカッターを押し当てて半径方向に直線的に切り込みを入れ、端部に近づくにつれてカッターに加える力を徐々に弱くする。このような作業を90度ずつ回転させて4回行えばよい。カッターの代わりにレーザを用いてもよい。この場合、切り込み部7の中央付近には強いレーザを照射し、端部に近づくにつれて弱いレーザを照射すればよい。
レーザを用いて切り込み部7を形成する場合、レーザマーカとして3次元制御可能なマーカ(例えば、COレーザマーカ(ML−Z9500シリーズ、株式会社キーエンス製))を準備し、外部入力にて、アナログ信号をレーザマーカへ入力することによって、連続的にレーザマーカの焦点を変化させればよい。より具体的には、Z軸スキャナー(焦点を変化させる装置)を制御し、線の端では焦点をずらせておいて、十字形状の切り込み部7の中心Aでは焦点を合わす位置に来るように、中心Aを越えて端部Bに向かうほど、また焦点をずらせるように設定する。この制御を、交差させる2本の線ともに設定することによって、中心Aの付近ほど強くレーザを当てることができる。
蓋5によれば、切り込み部7から液体が漏れるのを十分に防止できる。なお、蓋5と容器本体11のフランジ12との間から液体が漏れるのを十分に防止するには、容器本体11として以下の態様のものを使用することが好ましい。
図2の(a)に示す通り、容器本体11は、有底容器からなり、底部11bから上方の開口部11aに向けて径が拡大する胴部11cを有する。開口部11aの周囲には、開口部11aから略水平方向に延在するフランジ12が形成されている。フランジ12は蓋5の内面5bと当接する上面12aを有する。この上面12aは、容器本体11の上端をなしており、開口部11aの全周にわたって開口部11aから外側に延びている。なお、容器本体11の胴部11cは、上記の形状に限定されるものではない。
フランジ12の上面12aには開口部11aを囲むように、開口部11aと同心円状の溝12bが設けられている。図2の(b)に拡大して示す通り、フランジ12と蓋5が嵌合したとき、溝12bと蓋5の周縁部の内面5bとによって開口部11aを囲む環状の空間S1が画成される。より具体的には、環状の空間S1は、開口部11aの周りを一周するように連続的に画成される。なお、図2の(b)には、断面形状が円弧状の溝12bを図示したが、溝の断面形状はこれに限定されず、方形状や三角形状であってもよい。
溝12bの上面12aにおける幅は、好ましくは0.1mm〜3mmであり、より好ましくは0.2mm〜2.5mmであり、更に好ましくは0.5mm〜2mmである。溝12bの幅が0.1mm未満であると液漏れ防止効果が不十分となりやすく、他方、3mm超とするにはこれに対応するサイズのフランジ12を要し、デザイン性が不十分となりやすい。
溝12bの深さは、好ましくは0.1mm〜3mmであり、より好ましくは0.1mm〜1mmであり、更に好ましくは0.2mm〜0.5mmである。溝12bの深さが0.1mm未満であると液漏れ防止効果が不十分となりやすく、他方、3mm超とするにはこれに対応するサイズのフランジ12を要し、デザイン性が不十分となりやすい。
フランジ12の上面12aと蓋5の内面5bは、溝12bの部分を除き、なるべく離間せずに当接していることが好ましい。容器10内に収容する液体の粘度等にもよるが、両者の離間距離は、好ましくは2mm以下であり、より好ましくは1mm以下であり、更に好ましくは0.5mm以下である。
本実施形態に係る容器10によれば、液体を入れた状態で容器10を傾けても、上記態様の切り込み部7を設けたことで切り込み部7から液体が漏れるのを高度に防止でき、また、フランジ12の上面12aに溝12bを設けたことでフランジ12と蓋5の隙間から液体が漏れるのを十分に防止できる。なお、フランジ12に溝12bを設けたことで、フランジ12と蓋5の隙間から液体が漏れるのを十分に防止できる主因は必ずしも明らかではないが、容器10を傾けた際、液体がフランジ12と蓋5の間の環状の空間(溝12b)に入り込むことによって生じる毛細管現象が関係していると本発明者らは推察する。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、切り込み部7の形状は十字形状に限定されず、例えば、略C字形状、略H字形状、略L字形状、略N字形状、略S字形状、略T字形状、略U字形状、略V字形状、略W字形状、略Y字形状又は略コ字形状であってもよい。これらの場合、切り込み部7の端部を尖形とし、必要に応じて、切り込み部の端部を傾斜面(図4参照)としたりすることが好ましい。
また、上記実施形態においては、特に好ましい例として容器本体11としてフランジ12に環状の溝12bが形成されたものを採用する場合を挙げたが、フランジ12に溝12bが形成されていないものを採用してもよい。
<液漏れ試験>
(実施例1)
ストローを刺すための切り込み部からの液漏れの有無を確認するため、図1,2に示す蓋5と同様の構成の蓋を有する容器(満杯容量420mL、PP製)を3つ準備し、液漏れ試験を行った。それぞれの容器内に300mLの水を入れ、図5に示すように、容器を90°傾けた。この状態を5分間にわたって保持し、切り込み部からの液漏れの有無を評価した。その結果、いずれの容器について試験開始から5分後でも液漏れは認められなかった。
(比較例1)
蓋に設けられた切り込み部の端部が尖形でない従来の容器(満杯容量420mL、PP製)を3つ準備し、実施例1と同様にして液漏れの有無を確認した。3つの容器とも試験開始から30〜90秒後に液漏れが認められ、それぞれの液漏れ量(試験開始から5分後)は、5mL、10mL、及び、3.5mLであった。
<切り込み部の幅測定>
上記実施例1で用いた容器と同様の容器の切り込み部の幅(隙間)をデジタルマイクロスコープ(株式会社ハイロックス製、KH−7700)を用いて測定した。図6に蓋の表面の拡大画像及び隙間寸法(単位μm)を示す。切り込みの中央から端部にいくに従って次第に細くなっていることが確認できた。
<ストロー突刺し試験>
切り込み部へのストローの突き刺し易さを評価するため、圧縮試験機(東洋精機製STROGRAPHV1−C)を用いてストローを突き刺すのに要する力を定量化した。上方から下方にストローを降下させるスピードは100mm/分とした。評価対象は、(a)上記実施例1で用いた3つの容器、及び、(b)特開2010−137902号公報に記載の蓋(切り込みの途中に非切り込み部を有する蓋)を備えた3つの容器とした。図7にそれぞれの切り込み部の寸法(左側)及び測定結果(右側、単位N)を示した。ストローの突刺しに要した力の最大値の平均は、(a)の容器が4.5Nであったのに対し、(b)の容器は9.2Nであった。
5…蓋、5a…貫通していない部分、6…隆起した部分、7…切り込み部、10…容器、11…容器本体、11a…開口部、A…切り込み部の中心、B…切り込み部の端部、F1…蓋の外側面、F2…蓋の内側面。

Claims (4)

  1. 容器本体の開口部に対して着脱自在であり、ストローを挿入するための十字形状の切り込み部を有する容器用蓋であって、
    当該蓋の一方面上において、前記切り込み部はその中心から端部に向けて幅が狭くなっており、
    当該蓋の他方面側において、前記切り込み部を形成する端面同士が当接していることを特徴とする蓋。
  2. 容器本体の開口部に対して着脱自在であり、ストローを刺すための切り込み部を有する容器用蓋であって、
    当該蓋の一方面上において、前記切り込み部の端部が尖形であり、
    当該蓋の他方面側において、前記切り込み部を形成する端面同士が当接していることを特徴とする蓋。
  3. 前記切り込み部の端部は、当該蓋の法線方向に対して傾斜するように設けられており、当該蓋の一方面から他方面にかけて貫通していない部分を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の蓋。
  4. 前記容器本体の開口部に当該蓋を嵌めたとき、前記容器本体から遠ざかる方向に隆起する部分を有し、当該部分に前記切り込み部が形成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の蓋。
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